少なくとも第1のヘテロ二量体及び第2のヘテロ二量体を含み、第1のヘテロ二量体が、第1の免疫グロブリン重鎖ポリペプチド配列(H1)及び第1の免疫グロブリン軽鎖ポリペプチド配列(L1)を含み、第2のヘテロ二量体が、第2の免疫グロブリン重鎖ポリペプチド配列(H2)及び第2の免疫グロブリン軽鎖ポリペプチド配列(L2)を含み、第1のヘテロ二量体のH1またはL1配列のうち少なくとも1つが、第2のヘテロ二量体の対応するH2またはL2とは異なり、H1及びH2がそれぞれ、少なくとも重鎖可変ドメイン(VHドメイン)及び重鎖定常ドメイン(CH1ドメイン)を含み、L1及びL2がそれぞれ、少なくとも軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)及び軽鎖定常ドメイン(CLドメイン)を含み、H1、H2、L1及びL2のうち少なくとも1つが、少なくとも1個のアミノ酸修飾を少なくとも1つの定常ドメイン及び/または少なくとも1つの可変ドメインに含み、H1が、L2よりもL1と優先的に対合し、H2が、L1よりもL2と優先的に対合する、単離された抗原結合ポリペプチド構築物が、本明細書に記載される。
いくつかの態様において、構築物はヘテロ二量体Fcを更に含み、Fcは、少なくとも2つのCH3配列を含み、Fcは、一つまたは複数のリンカーを用いて、または用いることなく、第1のヘテロ二量体及び第2のヘテロ二量体に結合し、二量体化CH3配列は、示差走査熱量測定(DSC)により測定して、約68℃以上の融解温度(Tm)を有し、構築物は、二重特異性である。
いくつかの態様において、少なくとも1個のアミノ酸修飾は、表または実施例に示されている少なくとも1個のアミノ酸修飾から選択される。
いくつかの態様において、H1、H2、L1及びL2が細胞もしくは哺乳類細胞において同時発現するとき、またはH1、H2、L1及びL2が無細胞発現系において同時発現するとき、またはH1、H2、L1及びL2が同時産生されるとき、またはH1、H2、L1及びL2が、レドックス産生方法を介して同時産生されるとき、H1は、L2よりもL1と優先的に対合し、H2は、L1よりもL2と優先的に対合する。
いくつかの態様において、H1、H2、L1及びL2のうち少なくとも1つは、H1が、L2よりもL1と優先的に対合する及び/またはH2が、L1よりもL2と優先的に対合するように、VH及び/またはVLドメインのうち少なくとも1個のアミノ酸修飾、ならびにCH1及び/またはCLドメインのうち少なくとも1個のアミノ酸修飾を含む。
いくつかの態様において、H1が、CH1ドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を含む場合、L1及びL2のうち少なくとも1つは、CLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を含む及び/又またはH1が、VHドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を含む場合、L1及びL2のうち少なくとも1つは、VLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を含む。
いくつかの態様において、H1、L1、H2及び/またはL2は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸修飾を含む。いくつかの態様において、H1、H2、L1及びL2のうち少なくとも1つは、少なくとも1つの定常ドメイン及び/または少なくとも1つの可変ドメインに少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸修飾を含む。
いくつかの態様において、L1及びL2の両方が、H1及びH2のうち少なくとも1つと同時発現するとき、H1-L1及びH2-L2ヘテロ二量体対のうち少なくとも1つの相対的な対合は、それぞれ対応するH1-L2またはH2-L1ヘテロ二量体対に対して、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%を超え、修飾されたH1-L1またはH2-L2ヘテロ二量体対の相対的な対合は、少なくとも1個のアミノ酸修飾を有さない対応するH1-L1またはH2-L2ヘテロ二量体対において観察されるそれぞれの相対的な対合よりも大きい。
いくつかの態様において、第1及び第2のヘテロ二量体のうち少なくとも1つの、DSFにより測定する融解温度(Tm)によって測定する熱安定性は、少なくとも1個のアミノ酸修飾を有さない対応するヘテロ二量体のTmの約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10℃以内である。いくつかの態様において、少なくとも1個のアミノ酸修飾を含むヘテロ二量体それぞれの、DSFにより測定する融解温度(Tm)によって測定する熱安定性は、少なくとも1個のアミノ酸修飾を有さない対応するヘテロ二量体のTmの約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10℃以内である。いくつかの実施形態において、少なくとも1個のアミノ酸修飾を含むヘテロ二量体それぞれの、DSFにより測定する融解温度(Tm)によって測定する熱安定性は、少なくとも1個のアミノ酸修飾を有さない対応するヘテロ二量体のTmの約0、1、2または3℃以内である。
いくつかの態様において、結合する抗原への各ヘテロ二量体の親和性は、表面プラスモン共鳴(SPR)またはFACSにより測定すると、同じ抗原への対応する未修飾ヘテロ二量体の親和性の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10倍以内である。
いくつかの態様において、H1及びL1のうち少なくとも1つは、H1が、L2よりもL1と対合するとき、アミノ酸のより大きな立体相補性をもたらす少なくとも1個のアミノ酸修飾を含む少なくとも1つのドメインを含む。いくつかの態様において、H2及びL2のうち少なくとも1つは、H2が、L1よりもL2と対合するとき、アミノ酸のより大きな立体相補性をもたらす少なくとも1個のアミノ酸修飾を含む少なくとも1つのドメインを含む。いくつかの態様において、H1及びL1のうち少なくとも1つは、H1が、L2よりもL1と対合するとき、荷電アミノ酸の間により大きな静電相補性をもたらす少なくとも1個のアミノ酸修飾を含む少なくとも1つのドメインを含む。いくつかの態様において、H2及びL2のうち少なくとも1つは、H2が、L1よりもL2と対合するとき、荷電アミノ酸の間により大きな静電相補性をもたらす少なくとも1個のアミノ酸修飾を含む少なくとも1つのドメインを含む。
いくつかの態様において、少なくとも1個のアミノ酸修飾は、表または実施例の少なくとも1つに示されている突然変異のセットである。
いくつかの態様において、構築物は、少なくとも2つのCH3配列を含むFcを更に含み、Fcは、一つまたは複数のリンカーを用いて、または用いることなく、第1のヘテロ二量体及び第2のヘテロ二量体と結合する。
いくつかの態様において、Fcは、ヒトFc、ヒトIgG1 Fc、ヒトIgA Fc、ヒトIgG Fc、ヒトIgD Fc、ヒトIgE Fc、ヒトIgM Fc、ヒトIgG2 Fc、ヒトIgG3 FcまたはヒトIgG4 Fcである。いくつかの態様において、Fcはヘテロ二量体Fcである。いくつかの態様において、Fcは、CH3配列のうち少なくとも一つに、一つまたは複数の修飾を含む。いくつかの態様において、二量体化CH3配列は、DSCにより測定すると、約68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、77.5、78、79、80、81、82、83、84もしくは85℃、またはそれより高い融解温度(Tm)を有する。いくつかの態様において、Fcは、産生されるとき、約75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%を超える純度で形成されるヘテロ二量体である、あるいはFcは、発現するとき、または単一細胞を介して発現するとき、約75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%を超える純度で形成されるヘテロ二量体である。いくつかの態様において、Fcは、野生型ホモ二量体Fcに匹敵する安定性を有するヘテロ二量体Fcの形成を促進するCH3配列のうち少なくとも一つに、一つまたは複数の修飾を含む。いくつかの態様において、Fcは、少なくとも1つのCH2配列を更に含む。いくつかの態様において、FcのCH2配列は、一つまたは複数の修飾を含む。いくつかの態様において、Fcは、Fcガンマ受容体の選択的結合を促進する一つまたは複数の修飾を含む。
いくつかの実施形態において、Fcは、
i)第1のFcポリペプチドに修飾L351Y_F405A_Y407Vを有し、第2のFcポリペプチドに修飾T366L_K392M_T394Wを有する、ヘテロ二量体IgG1 Fc;
ii)第1のFcポリペプチドに修飾L351Y_F405A_Y407Vを有し、第2のFcポリペプチドに修飾T366L_K392L_T394Wを有する、ヘテロ二量体IgG1 Fc;
iii)第1のFcポリペプチドに修飾T350V_L351Y_F405A_Y407Vを有し、第2のFcポリペプチドに修飾T350V_T366L_K392L_T394Wを有する、ヘテロ二量体IgG1 Fc;
iv)第1のFcポリペプチドに修飾T350V_L351Y_F405A_Y407Vを有し、第2のFcポリペプチドに修飾T350V_T366L_K392M_T394Wを有する、ヘテロ二量体IgG1 Fc;または
v)第1のFcポリペプチドに修飾T350V_L351Y_S400E_F405A_Y407Vを有し、第2のFcポリペプチドに修飾T350V_T366L_N390R_K392M_T394Wを有する、ヘテロ二量体IgG1 Fcを含む。
いくつかの態様において、Fcは、一つまたは複数のリンカーによりヘテロ二量体に結合する、またはFcは、一つまたは複数のリンカーによりH1及びH2に結合する。いくつかの態様において、一つまたは複数のリンカーは、一つまたは複数のポリペプチドリンカーである。いくつかの態様において、一つまたは複数のリンカーは、一つまたは複数の抗体ヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、一つまたは複数のリンカーは、一つまたは複数のIgG1ヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、一つまたは複数のリンカーは、一つまたは複数の修飾を含む。いくつかの態様において、一つまたは複数のリンカーへの一つまたは複数の修飾は、Fcガンマ受容体の選択的結合を促進する。
いくつかの態様において、少なくとも1個のアミノ酸修飾は、少なくとも1個のアミノ酸突然変異である、または少なくとも1個のアミノ酸修飾は、少なくとも1個のアミノ酸置換である。
いくつかの態様において、H1、H2、L1及びL2のそれぞれの配列は、ヒト配列に由来する。
いくつかの態様において、構築物は、多特異性または二重特異性である。いくつかの態様において、構築物は、多価または二価である。
いくつかの態様において、本明細書に記載されるヘテロ二量体は、優先的に対合して、二重特異性抗体を形成する。例えば、いくつかの実施形態において、重鎖ポリペプチド配列H1及びH2は、重鎖定常ドメイン(CH1ドメイン)、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含む完全長の重鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体において正確に対合する重鎖及び軽鎖(例えば、H1-L1:H2-L2)の率は、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%を超える。
本明細書に記載される構築物または重鎖もしくは軽鎖をコードする少なくとも1つの配列を含む、単離されたポリヌクレオチドまたは単離されたポリヌクレオチドのセットも、本明細書に記載される。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのセットは、cDNAである。
本明細書に記載されるポリヌクレオチドのうち一つまたは複数またはポリヌクレオチドのセットを含む、ベクターまたはベクターのセットも、本明細書に記載される。いくつかの態様において、ベクターまたはベクターのセットは、プラスミド、複数シストロンベクター、ウイルスベクター、非エピソーム哺乳類ベクター、発現ベクター及び組換え発現ベクターからなる群から選択される。
本明細書に記載されるポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドのセット、または本明細書に記載されるベクターもしくはベクターのセットを含む単離細胞も、本明細書に記載される。いくつかの態様において、細胞は、ハイブリドーマ、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはHEK293細胞である。
本明細書に記載される構築物と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物も、本明細書に記載される。いくつかの態様において、組成物は、緩衝液、酸化防止剤、低分子量分子、薬物、タンパク質、アミノ酸、炭水化物、脂質、キレート剤、安定剤及び賦形剤からなる群から選択される一つまたは複数の物質を更に含む。
対象における疾患もしくは障害、または癌もしくは血管疾患の治療における、あるいは医薬品の製造における、本明細書に記載される構築物または本明細書に記載される薬学的組成物の使用も、本明細書に記載される。
本明細書に記載される構築物または本明細書に記載される組成物を対象に投与することを含む、疾患もしくは障害、または癌もしくは血管疾患を有する対象の治療方法も、本明細書に記載される。
本明細書に記載される構築物を宿主細胞培養物から得る方法であって、(a)構築物をコードする一つまたは複数の核酸配列を含む少なくとも1つの宿主細胞を含む宿主細胞培養物を得るステップと、(b)宿主細胞培養物から構築物を回収するステップとを含む方法も、本明細書に記載される。
(a)H1、L1、H2及びL2を得るステップと、(b)H1を、L2よりもL1と優先的に対合させ、かつH2を、L1よりもL2と優先的に対合させるステップと、(c)構築物を得るステップとを含む、本明細書に記載される構築物を得る方法も、本明細書に記載される。
少なくとも1つの構築物をコードするポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのセットを得る段階と、少なくとも1つの宿主細胞に導入するためにポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのセットのそれぞれの最適な比を決定する段階であって、最適な比が、H1、L1、H2及びL2の発現の際に形成された誤対合H1-L2及びH2-L1ヘテロ二量体対と比較して、H1、L1、H2及びL2の発現の際に形成されたH1-L1及びH2-L2ヘテロ二量体対の量を評価することによって決定される段階と、好ましい最適比を選択する段階であって、好ましい最適比のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのセットによる少なくとも1つの宿主細胞への形質移入が、構築物の発現をもたらす段階と、少なくとも1つの宿主細胞に、最適比のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのセットにより形質移入する段階と、少なくとも1つの宿主細胞を培養して、構築物を発現させる段階と、を含む、本明細書に記載される構築物を調製する方法も、本明細書に記載される。
いくつかの態様において、最適比を選択する段階は、一過性形質移入系における形質移入によって評価される。いくつかの態様において、好ましい最適比のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのセットによる少なくとも1つの宿主細胞への形質移入は、構築物の最適な発現をもたらす。いくつかの態様において、構築物は、少なくとも2つのCH3配列を含むFcを含み、Fcは、一つまたは複数のリンカーを用いて、または用いることなく、第1のヘテロ二量体及び第2のヘテロ二量体と結合する。いくつかの態様において、Fcは、場合により一つまたは複数のアミノ酸修飾を含むヘテロ二量体である。
第1の免疫グロブリン重鎖ポリペプチド配列(H1)と第1の免疫グロブリン軽鎖ポリペプチド配列(L1)とを含む第1のヘテロ二量体及び第2の免疫グロブリン重鎖ポリペプチド配列(H2)と第2の免疫グロブリン軽鎖ポリペプチド配列(L2)とを含む第2のヘテロ二量体に相補的突然変異を表すデータを含み、H1及びH2がそれぞれ、少なくとも重鎖可変ドメイン(VHドメイン)及び重鎖定常ドメイン(CH1ドメイン)を含み、L1及びL2がそれぞれ、少なくとも軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)及び軽鎖定常ドメイン(CLドメイン)を含み、相補的突然変異のデータセットが、表もしくは実施例に提示されている突然変異またはこれらの突然変異のサブセットを表すデータを含む、データセット、ならびにH1が、L2よりもL1と優先的に対合する及び/またはH2が、L1よりもL2と優先的に対合する可能性を決定するコンピューター実行可能コード、を記憶するコンピューター読み取り可能記憶媒体も、本明細書に記載される。
第1の免疫グロブリン重鎖ポリペプチド配列(H1)と第1の免疫グロブリン軽鎖ポリペプチド配列(L1)とを含む第1のヘテロ二量体及び第2の免疫グロブリン重鎖ポリペプチド配列(H2)と第2の免疫グロブリン軽鎖ポリペプチド配列(L2)とを含む第2のヘテロ二量体に相補的突然変異を表すデータを含み、H1及びH2がそれぞれ、少なくとも重鎖可変ドメイン(VHドメイン)及び重鎖定常ドメイン(CH1ドメイン)を含み、L1及びL2がそれぞれ、少なくとも軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)及び軽鎖定常ドメイン(CLドメイン)を含むデータセットであって、相補的突然変異のデータセットが、表もしくは実施例に提示されている突然変異またはこれらの突然変異のサブセットを表すデータを含む、データセットを得る段階と、H1が、L2よりもL1と優先的に対合する及び/またはH2が、L1よりもL2と優先的に対合する可能性をコンピュータープロセッサーにより決定する段階と、を含む、優先的対形成を決定するコンピューターによる実施方法も、本明細書に記載される。いくつかの態様において、方法は、本明細書に記載される構築物を産生する段階を更に含む。
二重特異性抗原結合ポリペプチド構築物を産生する方法であって、該二重特異性構築物が、第1の単一特異性抗原結合ポリペプチドの第1の免疫グロブリン重鎖ポリペプチド配列(H1)と第1の免疫グロブリン軽鎖ポリペプチド配列(L1)とを含む第1のヘテロ二量体及び第2の単一特異性抗原結合ポリペプチドの第2の免疫グロブリン重鎖ポリペプチド配列(H2)と第2の免疫グロブリン軽鎖ポリペプチド配列(L2)とを含む第2のヘテロ二量体を含み、H1及びH2がそれぞれ、少なくとも重鎖可変ドメイン(VHドメイン)及び重鎖定常ドメイン(CH1ドメイン)を含み、L1及びL2がそれぞれ、少なくとも軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)及び軽鎖定常ドメイン(CLドメイン)を含み、本明細書に記載されるデータセットの一つまたは複数の相補的突然変異を第1のヘテロ二量体及び/または第2のヘテロ二量体に導入する段階と、第1のヘテロ二量体及び第2のヘテロ二量体を少なくとも1つの宿主細胞に同時発現させて、二重特異性構築物を含む発現産物を産生する段階と、を含む方法も、本明細書に記載される。
いくつかの態様において、方法は、発現産物における二重特異性構築物の量を、他のポリペプチド産物と比べて決定して、相補的突然変異の好ましいサブセットを選択する段階を更に含む。いくつかの態様において、二重特異性構築物は、他のポリペプチド産物と比較して、70%を超える(例えば、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%を超える)純度で産生される。いくつかの態様において、データセットは、本明細書に記載されるデータセットである。いくつかの態様において、方法は、追加のアミノ酸修飾を、H1、H2、L1またはL2のうち少なくとも1つに付加して、二重特異性構築物の純度を他のポリペプチド産物と比較して増加させるステップを更に含む。いくつかの態様において、構築物は、少なくとも2つのCH3配列を含むFcを含み、Fcは、一つまたは複数のリンカーを用いて、または用いることなく、第1のヘテロ二量体及び第2のヘテロ二量体と結合する。いくつかの態様において、Fcは、場合により一つまたは複数のアミノ酸修飾を含むヘテロ二量体である。いくつかの態様において、抗原結合ポリペプチドは、抗体、FabまたはscFvである。
構築物のいくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、L124、K145、D146、Q179及びS186に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、Q124、S131、V133、Q160、S176、T178及びT180に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。例えば、いくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、L124R、L124E、K145M、K145T、D146N、Q179E、Q179K、S186R及びS186Kから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、Q124E、S131R、S131K、V133G、Q160E、S176R、S176D、T178D、T178E及びT180Eから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1は、L124E、K145M、K145T及びQ179Eまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L1は、S131R、S131K、V133G及びS176Rまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、H2は、L124R、D146N、Q179K、S186R及びS186Kまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L2は、Q124E、V133G、Q160E、S176D、T178D、T178E及びT180Eまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾L124E、K145T及びQ179Eを含み、L1は、アミノ酸修飾S131K、V133G及びS176Rを含み、H2は、アミノ酸修飾L124R及びS186Rを含み、L2は、アミノ酸修飾V133G、S176D及びT178Dを含む。
構築物のいくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、L124、L143、K145、D146、Q179及びS186に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、Q124、V133、Q160、S176、T178及びT180に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、L124E、L124R、L143E、L143D、K145T、K145M、D146N、Q179K、S186R及びS186Kから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、Q124K、Q124E、V133G、Q160K、S176R、S176D、T178E、T178K、T178R、T178D及びT180Eから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1は、L124E、L143E、L143D、K145T及びK145Mまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L1は、Q124K、V133G、Q160K、S176R、T178K及びT178Rまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、H2は、L124R、D146N、Q179K、S186R及びS186Kまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L2は、Q124E、V133G、S176D、T178E、T178D及びT180Eまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾L124E、L143E及びK145Tを含み、L1は、アミノ酸修飾Q124K、V133G及びS176Rを含み、H2は、アミノ酸修飾L124R及びQ179Kを含み、L2は、アミノ酸修飾V133G、S176D及びT178Eを含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾L124E、L143E及びK145Tを含み、L1は、アミノ酸修飾Q124K、V133G及びS176Rを含み、H2は、アミノ酸修飾L124R及びS186Rを含み、L2は、アミノ酸修飾V133G、S176D及びT178Dを含む。
構築物のいくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、Q39、L45、L124、L143、F122及びH172に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、Q38、P44、Q124、S131、V133、N137、S174、S176及びT178に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、Q39E、Q39R、L45P、F122C、L124E、L124R、L143F、H172T及びH172Rから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、Q38R、Q38E、P44F、Q124C、S131T、S131E、V133G、N137K、S174R、S176R、S176K、S176D、T178Y及びT178Dから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1は、Q39E、L45P、F122C、L124E、L143F、H172T及びH172Rまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L1は、Q38R、P44F、Q124C、S131T、V133G、N137K、S174R、S176R、S176K及びT178Yまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、H2は、Q39R、L124R及びH172Rまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L2は、Q38E、S131E、V133G、S176D及びT178Dまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾Q39E及びL124Eを含み、L1は、アミノ酸修飾Q38R、V133G及びS176Rを含み、H2は、アミノ酸修飾Q39R及びL124Rを含み、L2は、アミノ酸修飾Q38E、V133G及びS176Dを含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾L45P及びL124Eを含み、L1は、アミノ酸修飾P44F、V133G及びS176Rを含み、H2は、アミノ酸修飾L124Rを含み、L2は、アミノ酸修飾V133G、S176D及びT178Dを含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾L124E及びL143Fを含み、L1は、アミノ酸修飾V133G及びS176Rを含み、H2は、アミノ酸修飾L124Rを含み、L2は、アミノ酸修飾V133G、S176D及びT178Dを含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾F122C及びL124Eを含み、L1は、アミノ酸修飾Q124C、V133G及びS176Rを含み、H2は、アミノ酸修飾L124Rを含み、L2は、アミノ酸修飾V133G及びS176Dを含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾L124E及びH172Tを含み、L1は、アミノ酸修飾V133G、N137K、S174R及びS176Rを含み、H2は、アミノ酸修飾L124R及びH172Rを含み、L2は、アミノ酸修飾V133G、S176D及びT178Dを含む。
構築物のいくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、L124、A125、H172及びK228に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、S121、V133、N137、S174、S176及びT178に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、L124E、L124R、A125S、A125R、H172R、H172T及びK228Dから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、(ii)L1及び/またはL2は、S121K、V133G、N137K、S174R、S176K、S176R、S176D及びT178Dから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1は、L124E、A125S、H172R及びK228Dまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L1は、S121K、V133G及びS176Rまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、H2は、L124R、A125R及びH172Tまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L2は、V133G、N137K、S174R、S176D及びT178Dまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾L124E及びK228Dを含み、L1は、アミノ酸修飾S121K、V133G及びS176Rを含み、H2は、アミノ酸修飾L124R及びA125Rを含み、L2は、アミノ酸修飾V133G及びS176Dを含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾L124E及びH172Rを含み、L1は、アミノ酸修飾V133G及びS176Rを含み、H2は、アミノ酸修飾L124R及びH172Tを含み、L2は、アミノ酸修飾V133G、S174R及びS176Dを含む。
構築物のいくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、L124、A139及びV190に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2はF116、V133、L135及びS176に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、L124E、L124R、A139W、A139G及びV190Aから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、F116A、V133G、L135V、L135W、S176R及びS176Dから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1は、L124E及びA139Wまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L1は、F116A、V133G、L135V及びS176Rまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、H2は、L124R、A139G及びV190Aまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L2は、V133G、L135W及びS176Dまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾L124E及びA139Wを含み、L1は、アミノ酸修飾F116A、V133G、L135V及びS176Rを含み、H2は、アミノ酸修飾L124R、A139G及びV190Aを含み、L2は、アミノ酸修飾V133G、L135W及びS176Dを含む。
構築物のいくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、Q39、L45、K145、H172、Q179及びS186に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、Q38、P44、Q124、S131、Q160、T180及びC214に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、Q39E、Q39R、L45P、K145T、H172R、Q179E及びS186Rから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、Q38R、Q38E、P44F、Q124E、S131K、Q160E、T180E及びC214Sから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1は、Q39E、L45P、K145T、H172R及びQ179Eまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L1は、Q38R、P44F及びS131Kまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、H2は、Q39R、H172R及びS186Rまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L2は、Q38E、Q124E、Q160E、T180E及びC214Sまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾Q39E、K145T及びQ179Eを含み、L1は、アミノ酸修飾Q38R及びS131Kを含み、H2は、アミノ酸修飾Q39R及びS186Rを含み、L2は、アミノ酸修飾Q38E、Q124E、Q160E及びT180Eを含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾L45P、K145T、H172R及びQ179Eを含み、L1は、アミノ酸修飾P44F及びS131Kを含み、H2は、アミノ酸修飾H172R及びS186Rを含み、L2は、アミノ酸修飾Q124E、Q160E及びT180Eを含む。
構築物のいくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、A139、L143、K145、Q179及びV190に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、F116、Q124、L135、Q160、T178及びT180に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、A139W、A139G、L143E、K145T、Q179E、Q179K及びV190Aから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、F116A、Q124R、Q124E、L135V、L135W、Q160E、T178R及びT180Eから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1は、A139W、L143E、K145T及びQ179Eまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L1は、F116A、Q124R、L135V及びT178Rまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、H2は、A139G、Q179K及びV190Aまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L2は、Q124E、L135W、Q160E及びT180Eまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾A139W、L143E、K145T及びQ179Eを含み、L1は、アミノ酸修飾F116A、Q124R、L135V及びT178Rを含み、H2は、アミノ酸修飾Q179Kを含み、L2は、アミノ酸修飾Q124E、L135W、Q160E及びT180Eを含む。
構築物のいくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、Q39、L143、K145、D146、H172及びQ179に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、Q38、Q124、Q160、T178及びT180に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、Q39E、Q39R、L143E、K145T、D146G、H172R、Q179E及びQ179Kから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、Q38R、Q38E、Q124R、Q124E、Q160K、Q160E、T178R及びT180Eから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1は、Q39E、L143E、K145T、H172R及びQ179Eまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L1は、Q38R、Q124R、Q160K及びT178Rまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、H2は、Q39R、H172R及びQ179Kまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L2は、Q38E、Q124E、D146G、Q160E及びT180Eまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾Q39E、L143E、K145T及びQ179Eを含み、L1は、アミノ酸修飾Q38R、Q124R、Q160K及びT178Rを含み、H2は、アミノ酸修飾Q39R、H172R及びQ179Kを含み、L2は、アミノ酸修飾Q38E、Q124E、Q160E及びT180Eを含む。
構築物のいくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、L45、L143、K145、D146、H172及びQ179に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、Q38、P44、Q124、N137、Q160、S174、T178、T180及びC214に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、L45P、L143E、K145T、D146G、H172R、H172T、Q179E及びQ179Kから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、(ii)L1及び/またはL2は、Q38E、P44F、Q124R、Q124E、N137K、Q160K、Q160E、S174R、T178R、T180E及びC214Sから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1は、L45P、L143E、K145T、H172R及びQ179Eまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L1は、P44F、Q124R、Q160K及びT178Rまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、H2は、D146G、H172R、H172T及びQ179Kまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L2は、Q38E、Q124E、N137K、Q160E、S174R、T180E及びC214Sまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾L45P、L143E及びK145Tを含み、L1は、アミノ酸修飾P44F、Q124R、Q160K及びT178Rを含み、H2は、アミノ酸修飾D146G及びQ179Kを含み、L2は、アミノ酸修飾Q38E、Q124E、Q160E及びT180Eを含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾L143E、K145T及びH172Rを含み、L1は、アミノ酸修飾Q124R、Q160K及びT178Rを含み、H2は、アミノ酸修飾H172T及びQ179Kを含み、L2は、アミノ酸修飾Q124E、Q160E、N137K、S174R及びT180Eを含む。
構築物のいくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、L124、L143、K145及びQ179に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、Q124、S131、V133、S176、T178及びT180に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、L124W、L124A、L143E、L143F、K145T、Q179E及びQ179Kから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、Q124R、Q124K、Q124E、S131K、V133A、V133W、S176T、T178R、T178L、T178E及びT180Eから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1は、L124W、L143E、K145T及びQ179Eまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L1は、Q124R、Q124K、S131K、V133A、S176T、T178R及びT178Lまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、H2は、L124A、L143F及びQ179Kまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L2は、Q124E、V133W、S176T、T178L、T178E及びT180Eまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾L124W、L143E、K145T及びQ179Eを含み、L1は、アミノ酸修飾Q124R、V133A、S176T及びT178Rを含み、H2は、アミノ酸修飾L124A、L143F及びQ179Kを含み、L2は、アミノ酸修飾Q124E、V133W、S176T、T178L及びT180Eを含む。
構築物のいくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、A139、L143、K145、Q179及びS186に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、F116、Q124、V133、Q160、T178及びT180に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、A139C、L143E、L143D、L143R、L143K、K145T、Q179E、Q179D、Q179R、Q179K、S186K及びS186Rから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、F116C、Q124R、Q124K、Q124E、V133E、V133D、Q160K、Q160E、T178R、T178K、T178E及びT180Eから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1は、A139C、L143E、L143D、K145T、Q179E及びQ179Dまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L1は、F116C、Q124R、Q124K、Q160K、T178R及びT178Kまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、H2は、L143R、L143K、Q179R、Q179K、S186K及びS186Rまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L2は、Q124E、V133E、V133D、Q160E、T178E及びT180Eまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾A139C、L143E、K145T及びQ179Eを含み、L1は、アミノ酸修飾F116C、Q124R及びT178Rを含み、H2は、アミノ酸修飾Q179Kを含み、L2は、アミノ酸修飾Q124E、Q160E及びT180Eを含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾L143E、K145T及びQ179Eを含み、L1は、アミノ酸修飾Q124R及びT178Rを含み、H2は、アミノ酸修飾S186Kを含み、L2は、アミノ酸修飾Q124E、Q160E及びT178Eを含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾L143E、K145T及びQ179Eを含み、L1は、アミノ酸修飾Q124R及びT178Rを含み、H2は、アミノ酸修飾L143Rを含み、L2は、アミノ酸修飾Q124E及びV133Eを含む。
構築物のいくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、L124、L143、K145、D146、Q179、S186及びS188に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、Q124、S131、V133、Q160、S176、T178及びT180に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、L124A、L143A、L143R、L143E、L143K、K145T、D146G、Q179R、Q179E、Q179K、S186R、S186K及びS188Lから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1及び/またはL2は、Q124R、Q124E、S131E、S131T、V133Y、V133W、V133E、V133D、Q160E、Q160K、Q160M、S176L、T178R、T178E、T178F、T178Y及びT180Eから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1は、L143E、K145T、Q179E及びS188Lまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L1は、Q124R、Q160K及びT178Rまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、H2は、L124A、L143A、L143R、L143K、D146G、Q179R、Q179K、S186R及びS186Kまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L2は、Q124E、S131E、S131T、V133Y、V133W、V133E、V133D、Q160E、Q160M、S176L、T178E、T178F、T178Y及びT180Eまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾L143E、K145T、Q179E及びS188Lを含み、L1は、アミノ酸修飾Q124R及びT178Rを含み、H2は、アミノ酸修飾S186Kを含み、L2は、アミノ酸修飾Q124E、S176L及びT180Eを含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾L143E、K145T、Q179E及びS188Lを含み、L1は、アミノ酸修飾Q124R及びT178Rを含み、H2は、アミノ酸修飾S186Kを含み、L2は、アミノ酸修飾Q124E、S131T、T178Y及びT180Eを含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾L143E及びK145Tを含み、L1は、アミノ酸修飾Q124R、Q160K及びT178Rを含み、H2は、アミノ酸修飾S186Kを含み、L2は、アミノ酸修飾S131Eを含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾L143E及びK145Tを含み、L1は、アミノ酸修飾Q124Rを含み、H2は、アミノ酸修飾L143Rを含み、L2は、アミノ酸修飾Q124E及びV133Eを含む。
構築物のいくつかの実施形態において、H1は、F122及びC233に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1は、Q124及びC214に少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1は、F122C及びC233Sから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含み、L1は、Q124C及びC214Sから選択される少なくとも1個のアミノ酸修飾またはアミノ酸修飾のセットを含む。いくつかの実施形態において、H1は、F122C及びC233Sまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、L1は、Q124C及びC214Sまたはこれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸修飾を含み、H2は、野生型または未修飾アミノ酸配列を含み、L2は、野生型または未修飾アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾F122C及びC233Sを含み、L1は、アミノ酸修飾Q124C及びC214Sを含み、H2は、野生型または未修飾アミノ酸配列を含み、L2は、野生型または未修飾アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、構築物は、本明細書の表のSMCA設計9561-9095_1、9561-9095_2、9121-9373_1、9121-9373_2、9116-9349_1、9116-9349_2、9134-9521_1、9134-9521_2、9286-9402_1、9286-9402_2、9667-9830_1、9667-9830_2、9696-9848_1、9696-9848_2、9060-9756_1、9060-9756_2、9682-9740_1、9682-9740_2、9049-9759_1、9049-9759_2、9820-9823_1及び9820-9823_2から選択されるアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態において、構築物は、本明細書の表のSMCA設計9327-6054_1、9815-9825_1、9815-9825_2、9587-9735_1、9587-9735_2、3522_1、3522_2、3519_1及び3519_2から選択されるアミノ酸修飾を含む。
いくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、位置Q179にアミノ酸修飾を含まない。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾Q179Eを含まない及び/またはH2は、アミノ酸修飾Q179Kを含まない。いくつかの実施形態において、L1は、位置S131にアミノ酸修飾を含まない。1つの実施形態において、L1は、アミノ酸修飾S131Kを含まない。いくつかの実施形態において、L2は、位置T180にアミノ酸修飾を含まない。1つの実施形態において、L2は、アミノ酸修飾T180Eを含まない。いくつかの実施形態において、構築物は、H1がQ179Eを含み、L1がS131Kを含み、H2がQ179Kを含み、L2がT180Eを含む、アミノ酸修飾の組み合わせを含まない。
いくつかの実施形態において、H1は、位置Q39及び/またはQ179にアミノ酸修飾を含まない。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾Q39E及び/またはQ179Eを含まない。いくつかの実施形態において、L1は、位置Q160にアミノ酸修飾を含まない。1つの実施形態において、L1は、アミノ酸修飾Q160Kを含まない。いくつかの実施形態において、H2は、位置Q179にアミノ酸修飾を含まない。1つの実施形態において、H2は、アミノ酸修飾Q179Kを含まない。いくつかの実施形態において、L2は、位置Q38、Q160及び/またはT180にアミノ酸修飾を含まない。1つの実施形態において、L2は、アミノ酸修飾Q38E、Q160E及び/またはT180Eを含まない。いくつかの実施形態において、構築物は、H1がQ39E及び/またはQ179Eを含み、L1がQ160Kを含み、H2がQ179Kを含み、L2がQ38E、Q160E及び/またはT180Eを含む、アミノ酸修飾の組み合わせを含まない。例えば、いくつかの実施形態において、構築物は、(i)H1がQ179Eを含み、L1がQ160Kを含み、H2がQ179Kを含み、L2がQ160E及びT180Eを含む、(ii)H1がQ39E及びQ179Eを含み、L1がQ160Kを含み、H2がQ179Kを含み、L2がQ38E、Q160E及びT180Eを含む、または(iii)H1がQ39Eを含み、L1がQ160Kを含み、H2がQ179Kを含み、L2がQ38E、Q160E及びT180Eを含む、アミノ酸修飾の組み合わせを含まない。
いくつかの実施形態において、H1は、位置Q179にアミノ酸修飾を含まない。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾Q179KまたはQ179Eを含まない。いくつかの実施形態において、L1は、位置Q160及び/またはT180にアミノ酸修飾を含まない。1つの実施形態において、L1は、アミノ酸修飾Q160E、Q160K及び/またはT180Eを含まない。いくつかの実施形態において、H2は、位置Q179にアミノ酸修飾を含まない。1つの実施形態において、H2は、アミノ酸修飾Q179KまたはQ179Eを含まない。いくつかの実施形態において、L2は、位置Q160及び/またはT180にアミノ酸修飾を含まない。1つの実施形態において、L2は、アミノ酸修飾Q160K、Q160E及び/またはT180Eを含まない。いくつかの実施形態において、構築物は、H1がQ179KまたはQ179Eを含み、L1がQ160E、Q160K及び/またはT180Eを含み、H2がQ179KまたはQ179Eを含み、L2がQ160K、Q160E及び/またはT180Eを含む、アミノ酸修飾の組み合わせを含まない。
いくつかの実施形態において、H1及び/またはH2は、位置Q179にアミノ酸修飾を含まない。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾Q179Kを含まない及び/またはH2は、アミノ酸修飾Q179Eを含まない。いくつかの実施形態において、L1は、位置T180にアミノ酸修飾を含まない。1つの実施形態において、L1は、アミノ酸修飾T180Eを含まない。いくつかの実施形態において、L2は、位置S131にアミノ酸修飾を含まない。1つの実施形態において、L2は、アミノ酸修飾S131Kを含まない。いくつかの実施形態において、構築物は、H1がQ179Kを含み、L1がT180Eを含み、H2がQ179Eを含み、L2がS131Kを含む、アミノ酸修飾の組み合わせを含まない。
いくつかの実施形態において、H1は、位置Q179にアミノ酸修飾を含まない。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾Q179Eを含まない。いくつかの実施形態において、L1は、位置Q160にアミノ酸修飾を含まない。1つの実施形態において、L1は、アミノ酸修飾Q160Kを含まない。いくつかの実施形態において、H2は、位置Q179にアミノ酸修飾を含まない。1つの実施形態において、H2は、アミノ酸修飾Q179Kを含まない。いくつかの実施形態において、L2は、位置T180にアミノ酸修飾を含まない。1つの実施形態において、L2は、アミノ酸修飾T180Eを含まない。いくつかの実施形態において、構築物は、H1がQ179Eを含み、L1がQ160Kを含み、H2がQ179Kを含み、L2がT180Eを含む、アミノ酸修飾の組み合わせを含まない。
いくつかの実施形態において、H1は、位置A139にアミノ酸修飾を含まない。いくつかの実施形態において、H1は、アミノ酸修飾A139Cを含まない。いくつかの実施形態において、L1は、位置F116にアミノ酸修飾を含まない。1つの実施形態において、L1は、アミノ酸修飾F116Cを含まない。いくつかの実施形態において、構築物は、H1がA139Cを含み、L1がF116Cを含む、アミノ酸修飾の組み合わせを含まない。
いくつかの実施形態において、構築物は、重鎖と軽鎖の間に未変性ジスルフィド連結を含まない。例えば、いくつかの実施形態において、L1及び/またはL2の位置214のシステインは修飾されて、別のアミノ酸になっている。いくつかの実施形態において、L1及び/またはL2は、アミノ酸修飾C214Sを含む。いくつかの実施形態において、H1及び/またはH2の位置233のシステインは修飾されて、別のアミノ酸になっている。1つの実施形態において、H1及び/またはH2は、アミノ酸修飾C233Sを含む。
本明細書に記載されている実施形態は、Fabフォーマット及び完全抗体フォーマットの構築物に適用可能である。
第1のヘテロ二量体及び第2のヘテロ二量体を含むことができ、各ヘテロ二量体が免疫グロブリン重鎖またはそのフラグメント及び免疫グロブリン軽鎖を含む、抗原結合ポリペプチド構築物(ヘテロ二量体対とも呼ばれる)が、本明細書に提供される。両方のヘテロ二量体は、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン1(CH1)に一つまたは複数のアミノ酸修飾及び免疫グロブリン軽鎖定常ドメイン(CL)に一つまたは複数のアミノ酸修飾、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)に一つまたは複数のアミノ酸修飾及び免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)に一つまたは複数のアミノ酸修飾、または重鎖及び軽鎖の定常及び可変ドメインの両方に前述のアミノ酸修飾の組み合わせを含むことができる。修飾されたアミノ酸は、典型的には軽鎖と重鎖の界面の一部であり、第1のヘテロ二量体の重鎖が一方の軽鎖と優先的に対合するが他方とは対合しないように修飾されて、各重鎖と所望の軽鎖との間に優先的な対合を作り出す。同様に、第2のヘテロ二量体の重鎖は、第1ではなく第2の軽鎖と優先的に対合することができる。
上記に示されているように、本明細書に記載されているアミノ酸修飾の特定の組み合わせは、重鎖と、特定の軽鎖との優先的な対合を促進し、それによって、無視できるほどの誤対合または限られた誤対合を伴い、望ましくない産物または誤対合している産物から所望のヘテロ二量体を精製する必要性が最小限であるように、二重特異性モノクローナル抗体(Mab)の発現を生じることができる。ヘテロ二量体は、アミノ酸修飾を含まないヘテロ二量体に匹敵する熱安定性を示すことができ、アミノ酸修飾を含まないヘテロ二量体に匹敵する結合親和性を抗原に対して実証することもできる。
第1及び第2のヘテロ二量体の設計を使用して、2つの異なる治療標的を標的にする、または同じ抗原内の2つの別個のエピトープ(重複もしくは非重複)を標的にする、二重特異性抗体を作ることができる。
ヘテロ二量体対を調製する方法も、本明細書に提供される。
定義
特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術及び科学用語は、特許請求される主題に属する当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書の用語に複数の定義が存在する場合、この章におけるものが優先される。参照がURLまたは他のそのような識別子もしくはアドレスに対して行われる場合、そのような識別子は変わることがあり、インターネット上の特定の情報は現れたり消えたりすることがあるが、同等の情報は、インターネットを検索することによって見つけることができる。これらへの参照は、そのような情報が利用可能であり、一般に普及されていることの証拠である。
前述の一般的な記載及び以下の詳細な記載は、例示及び説明のためだけのものであり、任意の特許請求される主題を限定するものではないことが理解されるべきである。本出願において、単数の使用は、特定的に記述されない限り、複数を含む。
本記載において、任意の濃度範囲、百分率範囲、比の範囲、または整数範囲は、特に示されない限り、列挙された範囲内の任意の整数、適切であれば、その分数(例えば、整数の10分の1及び100分の1)の値を含むことが理解されるべきである。本明細書に使用されるとき、「約」は、特に示されない限り、示された範囲、値、配列または構造の±10%を意味する。用語「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、本明細書に使用されるとき、特に示されない限り、または文脈から決定されない限り、列挙された構成成分のうちの「一つまたは複数」を指すことが理解されるべきである。選択肢(例えば、「または(or)」)の使用は、選択肢のいずれか1つ、両方、または任意の組み合わせを意味することが理解されるべきである。本明細書に使用されるとき、用語「含む(include)」及び「含む(comprise)」は、同義的に使用される。加えて、本明細書に記載されている構造及び置換基の様々な組み合わせから誘導される個別の単鎖ポリペプチドまたは免疫グロブリン構築物は、それぞれの単鎖ポリペプチドまたはヘテロ二量体が個別に記載されているのと同じ程度に、本出願において開示されていることが理解されるべきである。したがって、個別の単鎖ポリペプチドまたはヘテロ二量体を形成する特定の構成成分の選択は、本開示の範囲内である。
本明細書に使用される章の見出しは、構成の目的のためだけのものであり、記載される主題を制限するものと解釈されるべきではない。特許、特許出願、記事、書籍、マニュアル及び条約文書が含まれるが、これらに限定されない、本出願に引用されている全ての文書または文書に一部は、任意の目的においてその全体が参照として本明細書に明確に組み込まれる。
本明細書に記載されている方法及び組成物は、本明細書に記載されている特定の方法論、プロトコール、細胞系、構築物及び試薬に限定されず、それらは変わり得ることが理解されるべきである。本明細書に使用される用語法は、特定の実施形態を記載する目的のためだけであり、本明細書に記載されている方法及び組成物の範囲を限定することを意図せず、これらは添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも、理解されるべきである。
本明細書に記述される全ての出版物及び特許は、例えば、本明細書に記載されている方法、組成物及び化合物と関連して使用され得る、出版物に記載されている構築物及び方法論を記載及び開示する目的において、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。本明細書において考察される出版物は、単に、本出願の出願日に先行した開示として提供される。本明細書に記載されている発明が、先行発明のため、または任意の他の理由によって、そのような開示に先立つ権利を受けないことを承認すると解釈されるべきことは、本明細書において何もない。
本出願において、アミノ酸の名称及び原子の名称(例えば、N、O、C等)は、Protein DataBank(PDB)(www.pdb.org)に定義されているように使用され、これは、IUPAC命名法(IUPAC Nomenclature and Symbolism for Amino Acids and Peptides(残基の名称、原子の名称等)、Eur.J.Biochem.,152,1(1985)による修正を伴うEur.J.Biochem.,138,9-37(1984)に基づいている。用語「アミノ酸残基」は、20個の、天然に生じるアミノ酸、すなわち、アラニン(AlaまたはA)、システイン(CysまたはC)、アスパラギン酸(AspまたはD)、グルタミン酸(GluまたはE)、フェニルアラニン(PheまたはF)、グリシン(GlyまたはG)、ヒスチジン(HisまたはH)、イソロイシン(IleまたはI)、リジン(LysまたはK)、ロイシン(LeuまたはL)、メチオニン(MetまたはM)、アスパラギン(AsnまたはN)、プロリン(ProまたはP)、グルタミン(GlnまたはQ)、アルギニン(ArgまたはR)、セリン(SerまたはS)、トレオニン(ThrまたはT)、バリン(ValまたはV)、トリプトファン(TrpまたはW)及びチロシン(TyrまたはY)残基からなる群に含有されたアミノ酸残基を示すことが主に意図されている。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書において交換可能に使用されて、アミノ酸残基のポリマーを指す。すなわち、ポリペプチドを対象とする記載は、ペプチドを対象とする記載及びタンパク質を対象とする記載に等しく当てはまり、その逆も同じである。この用語は、天然に生じるアミノ酸ポリマー、ならびに一つまたは複数のアミノ酸残基が非天然にコードされているアミノ酸であるアミノ酸ポリマーに当てはまる。本明細書に使用されるとき、この用語は、アミノ酸残基が共有ペプチド結合により連結している完全長タンパク質を含む、任意の長さのアミノ酸鎖を包含する。
用語「ヌクレオチド配列」または「核酸配列」は、2つ以上のヌクレオチド分子が連続して延びていることを示すことが意図される。ヌクレオチド配列は、ゲノム、cDNA、RNA、半合成もしくは合成由来、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。
「細胞」、「宿主細胞」、「細胞系」及び「細胞培養物」は、本明細書において交換可能に使用され、そのような用語は、全て、細胞の増殖または培養によってもたらされる継代を含むことが理解されるべきである。「形質転換」及び「形質移入」は交換可能に使用されて、核酸配列を細胞に導入する過程を指す。
用語「アミノ酸」は、天然に生じる及び非天然に生じるアミノ酸、ならびに天然に生じるアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類縁体及び模倣体を指す。天然にコードされたアミノ酸は、20個のアミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリン)、ならびにピロールリジン及びセレノシステインである。アミノ酸類縁体は、天然に生じるアミノ酸と同じ基本的な化学構造、すなわち、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムなどの、水素に結合している炭素、カルボキシル基、アミノ基及びR基を有する化合物を指す。そのような類縁体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド主鎖を有するが、天然に生じるアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持している。アミノ酸への参照には、例えば、天然に生じるタンパク新生Lアミノ酸、D-アミノ酸、アミノ酸変種及び誘導体などの化学的に修飾されたアミノ酸、アラニン、オルニチン等などの天然に生じる非タンパク新生アミノ酸、ならびにアミノ酸の特徴であることが当該技術に知られている特性を有する化学的に合成された化合物が含まれる。非天然に生じるアミノ酸の例には、□-メチルアミノ酸(例えば、メチルアラニン)、D-アミノ酸、ヒスチジン様アミノ酸(例えば、2-アミノ-ヒスチジン、ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン)、追加のメチレンを側鎖に有するアミノ酸(「ホモ」アミノ酸)、及び側鎖のカルボン酸官能基がスルホン酸基(例えば、システイン酸)に代えられているアミノ酸が含まれるが、これらに限定されない。合成非未変性アミノ酸、置換アミノ酸または一つまたは複数のD-アミノ酸を含む非天然アミノ酸の、本発明のタンパク質への組み込みは、多数の異なる方法で有益であり得る。D-アミノ酸含有ペプチド等は、L-アミノ酸含有対応物と比較して、インビトロまたはインビボにおいて増加した安定性を示す。したがって、D-アミノ酸を組み込んだペプチド等の構築は、より大きな細胞内安定性が望ましいとき、またはそれが求められるときに特に有用であり得る。より詳細には、D-ペプチド等は、内在性ペプチダーゼ及びプロテアーゼに抵抗性があり、それによって、そのような特性が望ましい場合、分子の改善された生物学的利用能及びインビボにおける延長された寿命をもたらす。加えて、D-ペプチド等は、主要な組織適合性複合体クラスIIの、Tヘルパー細胞への制限された提示によって効率的に処理されず、したがって、生物体全体に体液性免疫応答を誘発する可能性が少ない。
アミノ酸は、本明細書において、一般的に知られている3文字符号により、またはIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字符号により参照される。ヌクレオチドも同様に、一般的に許容される単一文字コードにより参照され得る。
「保存的修飾変種」は、アミノ酸と核酸の両方の配列に当てはまる。特定の核酸配列に関して、「保存的修飾変種」は、同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸、または核酸がアミノ酸配列をコードしない場合は、実質的に同一の配列を指す。遺伝子コードの縮重のため、多数の機能的に同一の核酸が、任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンのGCA、GCC、GCG及びGCUは、全てアミノ酸のアラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンにより特定されるすべての位置において、コドンは、コードされたポリペプチドを変更することなく、記載された対応するコドンのいずれかに変更され得る。そのような核酸変異は、「サイレント変異」であり、これは保存的に修飾された変異の1種である。ポリペプチドをコードする本明細書における全ての核酸配列も、核酸の全ての可能なサイレント変異を記載する。当業者は、核酸におけるそれぞれのコドンが(通常はメチオニンの唯一のコドンであるAUG及び通常はトリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除いて)修飾されて、機能的に同一の分子を生じ得ることを認識する。したがって、ポリペプチドをコードする核酸のそれぞれのサイレント変異は、それぞれの記載される配列に潜在している。
アミノ酸配列では、当業者は、コードされた配列における単一のアミノ酸または僅かな率のアミノ酸を変更、付加または欠失する、核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質配列への個別の置換、欠失または付加が、変更がアミノ酸の欠失、アミノ酸の付加、またはアミノ酸の化学的に類似したアミノ酸への置換をもたらす、「保存的修飾変種」であることを認識している。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換の表は、当業者に知られている。そのような保存的に修飾された変種は、本発明の多形、変種、種間相同体及び対立遺伝子に追加されるものであり、これらを除外しない。
機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換の表は、当業者に知られている。以下の8つ群は、それぞれ互いに保存的置換があるアミノ酸を含有する。
アラニン(A)、グリシン(G);
アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
アルギニン(R)、リジン(K);
イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
セリン(S)、トレオニン(T);及び
システイン(C)、メチオニン(M)。
(例えば、Creighton、Proteins:Structures and Molecular Properties(W H Freeman & Co.、第2版(December 1993)を参照すること。)
用語「同一」または「同一性」率は、2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において、同じである2つ以上の配列または部分配列を指す。配列は、比較範囲にわたって最大限に対応させて比較及び整列したとき、または指定された領域にわたって以下の配列比較アルゴリズムの1つ(もしくは当業者に利用可能な他のアルゴリズム)を使用して測定したとき、または手作業の整列及び目視検査によって、同じであるアミノ酸残基またはヌクレオチドの率(すなわち、特定された領域にわたって少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性)を有する場合、「実質的に同一」である。この定義は、試験配列の相補とも呼ばれる。同一性は、少なくとも約50個のアミノ酸もしくはヌクレオチド長さの領域にわたって、または75~100個のアミノ酸もしくはヌクレオチド長さの領域にわたって、または特定されない場合、ポリヌクレオチドもしくはポリペプチドの全配列にわたって存在することができる。ヒト以外の種からの相同体を含む、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ライブラリーを、本発明のポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントを有する標識プローブを用いて厳密なハイブリッド形成条件下で選別するステップ及び前記ポリヌクレオチド配列を含有する完全長cDNA及びゲノムクローンを単離するステップを含むプロセスによって、得ることができる。そのようなハイブリッド形成技術は、当業者に良く知られている。
ポリペプチドの誘導体または変種は、誘導体または変種のアミノ酸配列が元のペプチドの100個のアミノ酸の配列と少なくとも50%の同一性を有する場合、ペプチドと「相同性」を共有する、または「相同性がある」と言われる。ある特定の実施形態において、誘導体または変種は、誘導体と同じ数のアミノ酸残基を有するペプチドまたはペプチドのフラグメントと少なくとも75%同じである。ある特定の実施形態において、誘導体または変種は、誘導体と同じ数のアミノ酸残基を有するペプチドまたはペプチドのフラグメントと少なくとも85%同じである。ある特定の実施形態において、誘導体のアミノ酸配列は、誘導体と同じ数のアミノ酸残基を有するペプチドまたはペプチドのフラグメントと少なくとも90%同じである。いくつかの実施形態において、誘導体のアミノ酸配列は、誘導体と同じ数のアミノ酸残基を有するペプチドまたはペプチドのフラグメントと少なくとも95%同じである。ある特定の実施形態において、誘導体または変種は、誘導体と同じ数のアミノ酸残基を有するペプチドまたはペプチドのフラグメントと少なくとも99%同じである。
本明細書に使用されるとき、「単離された」ポリペプチドまたは構築物は、天然の細胞培養環境の構成成分から特定及び分離、ならびに/または回収された構築物またはポリペプチドを意味する。天然環境の汚染構成成分は、ヘテロ多量体の診断的または治療的使用を典型的に妨げる材料であり、酵素、ホルモン及び他のタンパク質性または非タンパク質性溶質が含まれ得る。
ある特定の実施形態において、本明細書に使用されるとき、本明細書に記載されている「単離された」抗原結合ポリペプチド構築物は、天然の細胞培養環境の構成成分から特定及び分離、ならびに/または回収されたヘテロ二量体またはヘテロ二量体対を含む、ヘテロ二量体対または「単離された」ヘテロ二量体対を含む。天然環境の汚染構成成分は、ヘテロ二量体または抗原結合ポリペプチド構築物の診断的または治療的使用を妨げる材料であり、酵素、ホルモン及び他のタンパク質性または非タンパク質性溶質が含まれ得る。
ヘテロ二量体及び抗原結合ポリペプチド構築物、ならびにヘテロ二量体対は、一般に実質的に均質に精製される。語句「実質的に均質」、「実質的に均質な形態」及び「実質的均質性」は、産物が望ましくないポリペプチドの組み合わせ(例えば、ホモ二量体)から生じる副産物を実質的に欠いていることを示すために使用される。この文脈において、目的の種は、H1及びL1(H1-L1)またはH2及びL2(H2-L2)を含むヘテロ二量体である。汚染物質には、H1及びL2(H1-L2)もしくはH2及びL1(H2-L1)を含むヘテロ二量体、またはH1及びL1もしくはH2及びL2を含むホモ二量体が(Fab部分が正確に対合されている、または誤対合されているにかかわらず)含まれる。純度に関して表現すると、実質的均質性は、副産物の量が混合物の存在する全ての種の総LC-MS強度の10%を超えないこと、例えば、5%未満、1%未満または0.5%未満であることを意味し、百分率は、質量分析の結果を反映している。
語句「選択的(または特異的)にハイブリッド形成する」は、特定のヌクレオチド配列のみに、その配列が複合混合物(全細胞もしくはライブラリーDNAまたはRNAが含まれるが、これらに限定されない)に存在するとき、厳密なハイブリッド形成条件下で、分子を結合、複製またはハイブリッド形成させることを意味する。
抗体技術の当業者により理解される用語は、本明細書において特に異なって明確に定義されない限り、当該技術において取得された意味を、それぞれ提示する。抗体は、可変領域、ヒンジ領域及び定常ドメインを有することが知られている。免疫グロブリンの構造及び機能は、例えば、Harlowら編、Antibodies:A Laboratory Manual、第14章(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,1988)において総説されている。
本明細書に使用されるとき、用語「抗体」及び「免疫グロブリン」または「抗原結合ポリペプチド構築物」は、交換可能に使用される。「抗原結合ポリペプチド構築物」は、免疫グロブリン遺伝子または一つまたは複数のそのフラグメントにより実質的にコードされ、分析物(抗原)に特異的に結合するポリペプチドを指す。認識されている免疫グロブリン遺伝子には、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン及びミュー定常ドメイン遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。軽鎖は、カッパまたはラムダのいずれかに分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタまたはイプシロンと分類され、次に免疫グロブリンアイソタイプIgG、IgM、IgA、IgD及びIgEをそれぞれ定義する。更に、抗体は、多数のサブタイプの1つに属することができ、例えば、IgGは、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4サブクラスに属することができる。
例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、2対のポリペプチド鎖から構成され、各対は、1つの「軽」鎖(約25kD)及び1つの「重」鎖(約50~70kD)を有する。用語「軽鎖」には、結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有する完全長軽鎖及びそのフラグメントが含まれる。完全長軽鎖は、可変領域ドメインVL及び定常領域ドメインCLを含む。軽鎖の可変領域ドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にある。軽鎖には、カッパ鎖およびラムダ鎖が含まれる。用語「重鎖」には、結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有する完全長重鎖及びそのフラグメントが含まれる。完全長重鎖は、可変領域ドメインVH、ならびに3つの定常領域ドメインCH1、CH2及びCH3を含む。VHドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にあり、CHドメインは、カルボキシル末端にあり、CH3が、ポリペプチドのカルボキシ末端に最も近いところにある。重鎖は、IgG(IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4サブクラスを含む)、IgA(IgA1及びIgA2サブクラスを含む)、IgM、ならびにIgEが含まれる、任意のアイソタイプであり得る。用語「可変領域」または「可変ドメイン」は、典型的には、重鎖(VH)におよそ120~130個のアミノ末端アミノ酸及び軽鎖(VL)に約100~110個のアミノ末端アミノ酸を含む、一般に抗原認識に関与する抗体の軽鎖及び/または重鎖の一部を指す。「相補性決定領域」または「CDR」は、抗原結合特性及び親和性に寄与するアミノ酸配列である。「フレームワーク」領域(FR)は、CDRの正確な立体構造を維持することを助けて、抗原結合領域と抗原との結合を促進することができる。構造的に、フレームワーク領域は抗体においてCDR間に位置することができる。可変領域は、比較的保護されたフレームワーク領域(FR)が3つの超可変領域CDRと結合した、同じ一般構造を典型的に示す。各対の2つの鎖のCDRは、典型的にフレームワーク領域により整列され、これが、特定のエピトープへの結合を可能にする。N末端からC末端まで、軽鎖及び重鎖可変領域は両方とも、典型的にはドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4を含む。それぞれのドメインへのアミノ酸の指定は、特に記述されない限り、典型的にはKabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987 and 1991))の定義に従っている。ある特定の実施形態において、抗原結合ポリペプチド構築物は、治療用ポリペプチド結合されているIgG、IgM、IgA、IgDまたはIgEのうち少なくとも1つの免疫グロブリンドメインを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に提供されている抗原結合ポリペプチド構築物に含まれる免疫グロブリンドメインは、ダイアボディまたはナノボディなどの免疫グロブリンに基づいた構築物のものである。ある特定の実施形態において、本明細書に記載されている抗原結合ポリペプチド構築物は、ラクダ抗体などの重鎖抗体の少なくとも1つの免疫グロブリンドメインを含む。ある特定の実施形態において、本明細書に提供されている抗原結合ポリペプチド構築物は、ウシ抗体、ヒト抗体、ラクダ抗体(単一ドメイン及び非単一ドメイン)、齧歯類抗体、ヒト化抗体、非ヒト化抗体、マウス抗体または任意のキメラ抗体などの、哺乳類抗体からの少なくとも1つの免疫グロブリンドメインを含む。ある特定の実施形態において、本明細書に提供されている抗原結合ポリペプチド構築物は、合成ライブラリーから生成された抗体の少なくとも1つの免疫グロブリンドメインを含む。
「二重特異性(bi-specific)」、「二重特異性(dual-specific)」または「二機能性(bifunctional)」の抗原結合タンパク質または抗体は、2つの異なる抗原結合部位を有するハイブリッド抗原結合タンパク質である。二重特異性抗原結合タンパク質及び抗体は、多特異性抗原結合タンパク質抗体の一種である。二重特異的抗原結合タンパク質及び抗体の2つの結合部位は、同じ、または異なる分子標的に存在し得る2つの異なるエピトープに結合する。「多特異性抗原結合タンパク質」または「多特異性抗体」は、1つを超える抗原またはエピトープを標的にする。「二価抗原結合タンパク質」または「二価抗体」は、2つの抗原結合部位を含む。いくつかの場合において、2つの結合部位は、同じ抗原特異性を有する。二価抗原結合タンパク質及び二価抗体は、二重特異性であり得る。上記を参照すること。「多特異性」または「多機能性」抗体以外の二価抗体は、ある特定の実施形態において、典型的には、それぞれ同一の結合部位を有すると理解される。
用語「優先的な対合」は、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの対合パターンを記載するために本明細書に使用され、例えば、本明細書に記載されている抗原結合ポリペプチド構築物及びヘテロ二量体における免疫グロブリン重鎖と免疫グロブリン軽鎖である。このように、「優先的な対合」は、第1と第2のポリペプチドの間に対合が生じるとき、一つまたは複数の追加の異なるポリペプチドが同時に存在する場合、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの優先的な対合を指す。典型的には、優先的な対合は、第1及び第2のポリペプチドの一方または両方の修飾(例えば、アミノ酸修飾)の結果として生じる。典型的には、優先的な対合は、対合した第1及び第2のポリペプチドが、対合が生じた後に最も豊富な二量体であることをもたらす。免疫グロブリン重鎖(H1)は、2つの異なる免疫グロブリン軽鎖(L1及びL2)と同時発現すると、両方の軽鎖と統計的に等しく対合し、L1と対合したH1、及びL2と対合したH1についておよそ50:50の混合物をもたらすことが、当該技術において知られている。この文脈において、「優先的な対合」は、例えば、H1がL1及びL2と同時発現するとき、H1-L1重鎖-軽鎖ヘテロ二量体の量が、H1-L2ヘテロ二量体の量よりも大きい場合、H1とL1の間に生じる。したがって、この場合では、H1はL2と比べてL1と優先的に対合する。
しかし、2つの出発抗体系から生成される野生型二重特異性抗体の文脈では、一方の抗体系の軽鎖が両方の抗体系の重鎖と優先的に対合する本質的な偏向が、いくつかの場合において存在することも知られている。したがって、二重特異性抗体結合構築物の文脈において設計の強度を決定するとき、野生型系の対合の程度と比較して設計の対合程度を評価する必要があり得る。したがって、1つの実施形態において、設計は、所望の二重特異性抗体の量が野生型系において得られる所望の二重特異性抗体の量より大きい場合、優先的な対合を示すことが考慮される。別の実施形態において、設計は、抗体の弱いアームにおける対合の量が、野生型系において見られるものより大きい場合、優先的な対合を示すことが考慮される。
抗体の重鎖は抗体の軽鎖と対合し、一つまたは複数の「界面」において互いに出会う、または接触する。「界面」には、第2のポリペプチドの一つまたは複数の「接触」アミノ酸残基と相互作用する第1のポリペプチドの一つまたは複数の「接触」アミノ酸が含まれる。例えば、界面は、二量体化CH3ドメインのCH3ポリペプチド配列間、重鎖のCH1ドメインと軽鎖のCLドメインの間、及び重鎖のVHドメインと軽鎖のVLドメインの間に存在する。「界面」は、IgG抗体から、例えば、ヒトIgG1抗体から誘導され得る。
用語「アミノ酸修飾」には、本明細書に使用されるとき、アミノ酸突然変異、挿入、欠失、置換、化学修飾、物理的修飾及び再編成が含まれるが、これらに限定されない。
抗原結合ポリペプチド構築物及びヘテロ二量体対
本明細書に記載されている抗原結合ポリペプチド構築物は、第1のヘテロ二量体及び第2のヘテロ二量体を含むことができ、それぞれのヘテロ二量体は、免疫グロブリン重鎖と免疫グロブリン軽鎖との対合によって得られる。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の定常及び可変ドメインの構造及び組織は、当該技術において良く知られている。免疫グロブリン重鎖は、典型的には、1つの可変(VH)ドメイン、ならびに3つの定常ドメインであるCH1、CH2及びCH3を含む。免疫グロブリン軽鎖は、典型的には、1つの可変(VL)ドメイン及び1つの定常(CL)ドメインを含む。これらの典型的なフォーマットに対して様々な修飾を行うことができる。
本明細書に記載されている抗原結合ポリペプチド構築物及びヘテロ二量体対は、第1のヘテロ二量体及び第2のヘテロ二量体を含むことができ、それぞれのヘテロ二量体は、少なくともVH及びCH1ドメインを含む免疫グロブリン/抗体重鎖またはそのフラグメント、ならびにVLドメイン及びCLドメインを有する免疫グロブリン/抗体軽鎖を含む。1つの実施形態において、ヘテロ二量体対及び抗原結合ポリペプチド構築物の両方のヘテロ二量体は、完全長免疫グロブリン重鎖を含む。別の実施形態において、ヘテロ二量体対または抗原結合ポリペプチド構築物の両方のヘテロ二量体は、少なくともVH及びCH1ドメインを含む免疫グロブリン重鎖のフラグメントを含む。1つの実施形態において、ヘテロ二量体対の両方のヘテロ二量体は、少なくともVH及びCH1ドメインを含む免疫グロブリン重鎖のアミノ末端フラグメントを含む。別の実施形態において、ヘテロ二量体対の両方のヘテロ二量体は、少なくともVH及びCH1ドメインを含む免疫グロブリン重鎖のカルボキシ末端フラグメントを含む。
ヘテロ二量体対のそれぞれのヘテロ二量体は、抗原またはエピトープに特異的に結合することができる。1つの実施形態において、それぞれのヘテロ二量体の免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖は、既知の抗体、例えば治療用抗体から誘導または改変される。治療用抗体は、疾患もしくは障害を有する、または疾患もしくは障害にかかり易くなっている哺乳動物における疾患または障害の治療に有効なものである。それぞれのヘテロ二量体が誘導され得る適切な治療用抗体には、アバゴボマブ(abagovomab)、アダリムマブ、アレムツズマブ、アウログラブ(aurograb)、バピネオズマブ、バシリキシマブ、ベリムマブ、ベバシズマブ、ブリアキヌマブ、カナキヌマブ、カツマキソマブ、セルトリズマブペゴル、セツキシマブ、ダクリズマブ、デノスマブ、エファリズマブ、ガリキシマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゴリムマブ、イブリツモマブチウキセタン、インフリキシマブ、イピリムマブ、ルミリキシマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、ムロモナブ、マイコグラブ(mycograb)、ナタリズマブ、ニモツズマブ(nimotuzumab)、オクレリズマブ、オファツムマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ペルツズマブ、ラニビズマブ、レスリズマブ、リツキシマブ、テプリズマブ、トシリズマブ/アトリズマブ(atlizumab)、トシツモマブ、トラスツズマブ、Proxinium(商標)、Rencarex(商標)、ウステキヌマブ及びザルツムマブが含まれるが、これらに限定されない。
1つの実施形態において、それぞれのヘテロ二量体の免疫グロブリン重鎖及び/または免疫グロブリン軽鎖は、以下のリストのタンパク質、ならびに以下のリストのタンパク質に属するサブユニット、ドメイン、モチーフ及びエピトープが含まれるが、これらに限定されない分子に結合する抗体から誘導または改変される。レニン;ヒト成長ホルモン及びウシ成長ホルモンを含む成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;アルファ-1-アンチトリプシン;インスリンA鎖;インスリンB鎖;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;第VII因子、第VIIIC因子、第IX因子、組織因子(TF)及びフォン・ヴィルブランド因子などの凝固因子;プロテインCなどの凝固因子;心房性ナトリウム利尿因子:肺サーファクタント;ウロキナーゼなどのプラスミノーゲン活性化因子またはヒト尿もしくは組織型プラスミノーゲン活性化因子(t-PA);ボンベシン;トロンビン;造血増殖因子;腫瘍壊死因子-アルファ及びベータ;エンケファリナーゼ;RANTES(正常に発現及び分泌されたT細胞の活性化を調節する(regulated on activation normally T-cell expressed and secreted));ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP-1-アルファ);ヒト血清アルブミンなどの血清アルブミン;ミュラー管抑制物質;リラキシンA鎖;リラキシンB鎖;プロレラキシン(prorelaxin);マウスゴナドトロピン関連ペプチド;ベータラクタマーゼなどの微生物タンパク質;DNアーゼ;IgE;CTLA-4などの細胞障害性Tリンパ球関連抗原(CTLA);インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子(VEGF);例えばEGFR、VEGFRなどのホルモンまたは増殖因子の受容体;アルファインターフェロン(アルファ-IFN)、ベータインターフェロン(ベータ-IFN)及びガンマインターフェロン(ガンマ-IFN)などのインターフェロン;プロテインAまたはD;リウマトイド因子;骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3、-4、-5もしくは-6(NT-3、NT-4、NT-5もしくはNT-6)などの神経栄養因子、または神経成長因子;血小板由来増殖因子(PDGF);AFGF及びPFGFなどの線維芽細胞増殖因子;上皮増殖因子(EGF);TGF-1、TGF-2、TGF-3、TGF-4またはTGF-5を含むTGF-アルファ及びTGF-ベータなどの形質転換増殖因子(TGF);インスリン様増殖因子I及びII(IGF-I及びIGF-II);デス(1-3)-IGF-I(脳IGF-I)、インスリン様増殖因子結合タンパク質;CD2、CD3、CD4、CD8、CD11a、CD14、CD18、CD19、CD20、CD22、CD23、CD25、CD33、CD34、CD40、CD40L、CD52、CD63、CD64、CD80及びCD147などのCDタンパク質;エリスロポエチン;骨誘導因子;免疫毒素;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロンアルファ、ベータ及びガンマなどのインターフェロン;M-CSF、GM-CSF及びG-CSFなどのコロニー刺激因子(CSF);インターロイキン(ILs)、例えば、IL-1~IL-13;TNF-アルファ、スーパーオキシドジスムターゼ;T細胞受容体;表面膜タンパク質;崩壊促進因子;例えばAIDSエンベロープの一部、例えばgp120などのウイルス抗原;輸送タンパク質;ホーミング受容体;アドレシン;調節タンパク質;LFA-1、Mac1、p150.95、VLA-4、ICAM-1、ICAM-3及びVCAMなどの細胞接着分;aまたはそのサブユニットを含むa4/p7インテグリン及び(Xv/p3インテグリン;CD49a、CD49b、CD49c、CD49d、CD49e、CD49f、アルファ7、アルファ8、アルファ9、アルファD、CD11a、CD11b、CD51、CD11c、CD41、アルファIIb、アルファIELbなどのインテグリンアルファサブユニット;CD29、CD18、CD61、CD104、ベータ5、ベータ6、ベータ7及びベータ8などのインテグリンベータサブユニット;アルファVベータ3、アルファVベータ5及びアルファ4ベータ7が含まれるが、これらに限定されないインテグリンサブユニットの組み合わせ;アポトーシス経路のメンバー;IgE;血液型抗原;flk2/flt3受容体;肥満(OB)受容体;mpI受容体;CTLA-4;プロテインC;EphA2、EphA4、EphB2等などのEph受容体;HLA-DRなどのヒト白血球抗原(HLA);補体受容体CR1、C1Rqなどの補体タンパク質、ならびにC3及びC5などの他の補体因子;GpIbアルファ、GPIIb/IIIa及びCD200などの糖タンパク質受容体;ならびに上記に列挙されたポリペプチドのいずれかのフラグメント。
ある実施形態において、それぞれのヘテロ二量体の免疫グロブリン重鎖及び/または免疫グロブリン軽鎖は、ALK受容体(プレイオトロフィン受容体)、プレイオトロフィン、KS1/4汎性癌抗原(pan-carcinoma antigen);卵巣癌抗原(CA125);前立腺酸性ホスファターゼ;前立腺特異的抗原(PSA);黒色腫関連抗原p97;黒色腫抗原gp75;高分子黒色腫抗原(HMW-MAA);前立腺特異的膜抗原;癌胎児性抗原(CEA);多形上皮ムチン抗原;ヒト乳脂肪球抗原;CEA、TAG-72、CO17-1A、GICA19-9、CTA-1及びLEAなどの結腸直腸癌関連抗原;バーキットリンパ腫抗原-38.13;CD19;ヒトBリンパ腫抗原CD20;CD33;ガングリオシドGD2、ガングリオシドGD3、ガングリオシドGM2及びガングリオシドGM3などの黒色腫特異的抗原;腫瘍特異的移植型細胞表面抗原(TSTA);RNA腫瘍ウイルスのT抗原、DNA腫瘍ウイルス及びエンベロープ抗原を含むウイルス誘発性腫瘍抗原;結腸のCEA、514癌胎児性栄養芽層糖タンパク質及び膀胱腫瘍抗原などの癌胎児性抗原アルファフェトプロテイン;ヒト肺抗原L6及びL20などの分化抗原;線維肉腫の抗原;ヒト白血病T細胞抗原Gp37;ネオ糖タンパク質;スフィンゴ脂質;EGFR(表皮増殖因子受容体)などの乳癌抗原;NY-BR-16;NY-BR-16及びHER2抗原(p185HER2);多形上皮ムチン(PEM);悪性腫瘍ヒト白血球抗原APO-1;胎児の赤血球に見出されるI抗原などの分化抗原;成人の赤血球に見出される初期内胚葉I抗原;着床前胚;胃腺癌に見出されるI(Ma);乳房上皮に見出されるM18、M39;骨髄細胞に見出されるSSEA-1;VEP8;VEP9;Myl;Va4-D5;結腸直腸癌に見出されるD156-22;TRA-1-85(血液型H);精巣及び卵巣癌に見出されるSCP-1;直腸腺癌に見出されるC14;肺腺癌に見出されるF3;胃癌に見出されるAH6;Yハプテン;胚性癌細胞に見出されるLey;TL5(血液型A);A431細胞に見出されるEGF受容体;膵癌に見出されるE1シリーズ(血液型B);胚性癌細胞に見出されるFC10.2;胃腺癌抗原;腺癌に見出されるCO-514(血液型Lea);腺癌に見出されるNS-10;CO-43(血液型Leb);A431細胞のEGF受容体に見出されるG49;結腸腺癌に見出されるMH2(血液型ALeb/Ley);結腸癌に見出される19.9;胃癌ムチン;骨髄細胞に見出されるT5A7;黒色腫に見出されるR24;胚性癌細胞に見出される4.2、GD3、D1.1、OFA-1、GM2、OFA-2、GD2及びM1:22:25:8、ならびに胚の4~8細胞期に見出されるSSEA-3及びSSEA-4;皮膚T細胞リンパ腫抗原;MART-1抗原;Sialy Tn(STn)抗原;結腸癌抗原NY-CO-45;肺癌抗原NY-LU-12変種A;腺癌抗原ART1;傍腫瘍性関連脳精巣癌抗原(腫瘍神経細胞抗原(onconeuronal antigen)MA2、傍腫瘍性神経細胞抗原(paraneoplastic neuronal antigen));神経腫瘍学的腹部抗原2(Neuro-oncological ventral antigen 2)(NOVA2);肝細胞癌抗原遺伝子520;腫瘍関連抗原CO-029;腫瘍関連抗原MAGE-C1(癌/精巣抗原CT7)、MAGE-B1(MAGE-XP抗原)、MAGE-B2(DAM6)、MAGE-2、MAGE-4-a、MAGE-4-b及びMAGE-X2;癌-精巣抗原NY-EOS-1)、ならびに上記に列挙されたポリペプチドのいずれかのフラグメントが含まれるが、これらに限定されない癌抗原に特異的に結合する抗体から誘導または改変される。
ヒト抗体は、IgG、IgA、IgE、IgM及びIgDを含むアイソタイプに分けることができる。1つの実施形態において、Fcは、IgGアイソタイプから誘導される。別の実施形態において、Fcは、IgAアイソタイプから誘導される。別の実施形態において、Fcは、IgEアイソタイプから誘導される。別の実施形態において、Fcは、IgMアイソタイプから誘導される。別の実施形態において、Fcは、IgDアイソタイプから誘導される。
ヒトIgG抗体は、サブクラスのIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4に分けることもできる。したがって、いくつかの実施形態において、Fcが抗体のIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のサブクラスから誘導され得ることが考慮される。
ヘテロ二量体対のそれぞれのヘテロ二量体は、エピトープまたは抗原に特異的に結合することができる。1つの実施形態において、ヘテロ二量体対のそれぞれのヘテロ二量体は、同じエピトープに結合する。別の実施形態において、ヘテロ二量体対の第1のヘテロ二量体は、1つの抗原のエピトープに特異的に結合し、ヘテロ二量体対の第2のヘテロ二量体は、同じ抗原の異なるエピトープに特異的に結合する。別の実施形態において、ヘテロ二量体対の第1のヘテロ二量体は、第1の抗原のエピトープに特異的に結合し、ヘテロ二量体対の第2のヘテロ二量体は、第1の抗原とは異なる第2の抗原のエピトープに特異的に結合する。例えば、1つの実施形態において、第1のヘテロ二量体は、組織因子に特異的に結合し、一方、第2のヘテロ二量体は、抗原Her2(ErbB2)に特異的に結合し、その逆も同じである。代替的な実施形態において、第1のヘテロ二量体は、組織因子に特異的に結合し、一方、第2のヘテロ二量体は、EGFRに特異的に結合し、その逆も同じである。なお別の実施形態において、第1のヘテロ二量体は、EGFRに特異的に結合し、一方、第2のヘテロ二量体は、抗原Her2に特異的に結合し、その逆も同じである。別の実施形態において、第1のヘテロ二量体は、上記に記載された分子または癌抗原に特異的に結合する。別の実施形態において、第2のヘテロ二量体は、上記に記載された分子または癌抗原に特異的に結合する。
上記に示されたように、いくつかの実施形態において、それぞれのヘテロ二量体の免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖は、既知の治療用抗体から、または様々な標的分子もしくは癌抗原に結合する抗体に由来してもよく、あるいはそれらから遺伝子工学的に操作されてもよい。多数のそのような分子のアミノ酸及びヌクレオチド配列は、容易に入手可能である(例えば、GenBank:AJ308087.1(ヒト化抗ヒト組織因子抗体D3H44軽鎖可変領域及びCLドメイン);GenBank:AJ308086.1(ヒト化抗ヒト組織因子抗体D3H44重鎖可変領域及びCH1ドメイン);GenBank:HC359025.1(ペルツズマブFab軽鎖遺伝子モジュール);GenBank:HC359024.1(ペルツズマブFab重鎖遺伝子モジュール);GenBank:GM685465.1(抗体トラスツズマブ(=Herceptin)-野生型;軽鎖);GenBank:GM685463.1(抗体トラスツズマブ(=Herceptin)-野生型;重鎖);GenBank:GM685466.1(抗体トラスツズマブ(=Herceptin)-GC最適化軽鎖);及びGenBank:GM685464.1(抗体トラスツズマブ(=Herceptin)-GC最適化重鎖を参照すること)。本明細書に記載されているそれぞれのGenBank番号の配列は、2012年11月28日付けのNCBIウエブサイトから入手可能であり、それぞれ全ての目的においてその全体が参照として本明細書に組み込まれる。セツキシマブのアミノ酸及びヌクレオチド配列も、当該技術に知られており、例えば、Canadian Institutes of Health Research,Alberta Innovates-Health Solutions及びThe Metabolomics Innovation Centre(TMIC)により支援されたDrug Bankウエブサイト、受入番号DB00002を参照すること。
いくつかの態様において、単離された抗原結合ポリペプチド構築物は、本明細書に開示されている表または受入番号に記載されているアミノ酸配列またはそのフラグメントに少なくとも80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%同一性があるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、単離された抗原結合ポリペプチド構築物は、本明細書に開示されている表または受入番号に記載されているヌクレオチド配列またはそのフラグメントに少なくとも80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%同一性があるポリヌクレオチドによりコードされているアミノ酸配列を含む。
免疫グロブリン重鎖及び軽鎖へのアミノ酸修飾
ヘテロ二量体対のうち少なくとも一方のヘテロ二量体は、第1のヘテロ二量体の重鎖が一方の軽鎖と優先的に対合するが他方とは対合しないように、免疫グロブリン重鎖及び/または免疫グロブリン軽鎖に一つまたは複数のアミノ酸修飾を含む。同様に、第2のヘテロ二量体の重鎖は、第1ではなく第2の軽鎖と優先的に対合することができる。1つの重鎖の、2つの軽鎖のうちの一方との優先的な対合は、1つの免疫グロブリン重鎖及び2つの免疫グロブリン軽鎖を含む設計セット(LCCA設計セットと呼ばれる)に基づくことができ、免疫グロブリン重鎖は、免疫グロブリン重鎖が両方の免疫グロブリン軽鎖と同時発現するとき、2つの免疫グロブリン軽鎖のうちの一方と、もう一方に優先して対合する。したがって、LCCA設計セットは、1つの免疫グロブリン重鎖、第1の免疫グロブリン軽鎖及び第2の免疫グロブリン軽鎖を含むことができる。
1つの実施形態において、一つまたは複数のアミノ酸修飾は一つまたは複数のアミノ酸置換を含む。
1つの実施形態において、LCCA設計セットにより実証される優先的対合は、軽鎖と重鎖の間の界面の一部である一つまたは複数のアミノ酸を修飾することによって確立される。1つの実施形態において、LCCA設計セットにより実証される優先的対合は、免疫グロブリン重鎖のCH1ドメイン、第1の免疫グロブリン軽鎖のCLドメイン及び第2の免疫グロブリン軽鎖のCLドメインのうち少なくとも1つにおける一つまたは複数のアミノ酸を修飾することによって確立される。
1つ実施形態において、一つまたは複数のアミノ酸修飾は、残基のKabat番号付けにより示されている、可変(VH、VL)及び定常(CH1、CL)ドメインの保存的フレームワーク残基に限定されている。例えば、Almagro[Frontiers In Bioscience(2008)13:1619-1633]は、Kabat、Chotia及びIMGT番号付けに基づいたフレームワーク残基の定義を提供する。
1つの実施形態において、ヘテロ二量体のうち少なくとも一方は、互いに相補的である免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖に導入された一つまたは複数の突然変異を含む。重鎖及び軽鎖界面における相補性は、立体及び疎水的接触、静電/荷電相互作用または様々な相互作用の組み合わせに基づいて達成することができる。タンパク質表面の間の相補性は、鍵と鍵穴の適合(lock and key fit)、ノブ・イントゥ・ホール(knob into hole)、突起及び空洞(protrusion and cavity)、供与体及び受容体等に関して文献に広く記載されており、全て、相互作用する2つの表面の間の構造的及び化学的性質の一致を含んでいる。1つの実施形態において、ヘテロ二量体のうち少なくとも一方は、免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖に導入された突然変異が界面における重鎖及び軽鎖に新たな水素結合を導入する、一つまたは複数の突然変異を含む。1つの実施形態において、ヘテロ二量体のうち少なくとも一方は、免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖に導入された突然変異が界面における重鎖及び軽鎖に新たな塩架橋を導入する、一つまたは複数の突然変異を含む。
適切なLCCA設計セットの非限定例は、実施例、表及び図に記載されている。1つの実施形態において、LCCA設計セットは、CH1ドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する免疫グロブリン重鎖、CLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第1の免疫グロブリン軽鎖及びCLドメインにアミノ酸修飾を有さない第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。別の実施形態において、LCCA設計セットは、CH1ドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する免疫グロブリン重鎖、CLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第1の免疫グロブリン軽鎖及びCLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。別の実施形態において、LCCA設計セットは、CH1ドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する免疫グロブリン重鎖、CLドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する第1の免疫グロブリン軽鎖及びCLドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。別の実施形態において、LCCA設計セットは、CH1ドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する免疫グロブリン重鎖、CLドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する第1の免疫グロブリン軽鎖及びCLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。
1つの実施形態において、LCCA設計セットは、CH1ドメインにアミノ酸修飾を有さない免疫グロブリン重鎖、CLドメインにアミノ酸修飾を有さない第1の免疫グロブリン軽鎖及びCLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。1つの実施形態において、LCCA設計セットは、CH1ドメインにアミノ酸修飾を有さない免疫グロブリン重鎖、CLドメインにアミノ酸修飾を有さない第1の免疫グロブリン軽鎖及びCLドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。
1つの実施形態において、LCCA設計セットは、CH1ドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する免疫グロブリン重鎖、CLドメインにアミノ酸修飾を有さない第1の免疫グロブリン軽鎖及びCLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。1つの実施形態において、LCCA設計セットは、CH1ドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する免疫グロブリン重鎖、CLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第1の免疫グロブリン軽鎖及びCLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。1つの実施形態において、LCCA設計セットは、CH1ドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する免疫グロブリン重鎖、CLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第1の免疫グロブリン軽鎖及びCLドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。1つの実施形態において、LCCA設計セットは、CH1ドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する免疫グロブリン重鎖、CLドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する第1の免疫グロブリン軽鎖及びCLドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。1つの実施形態において、LCCA設計セットは、CH1ドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する免疫グロブリン重鎖、CLドメインに少なくとも3個のアミノ酸修飾を有する第1の免疫グロブリン軽鎖及びCLドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。
1つの実施形態において、LCCA設計セットは、CH1ドメインに少なくとも3個のアミノ酸修飾を有する免疫グロブリン重鎖、CLドメインにアミノ酸修飾を有さない第1の免疫グロブリン軽鎖及びCLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。1つの実施形態において、LCCA設計セットは、CH1ドメインに少なくとも3個のアミノ酸修飾を有する免疫グロブリン重鎖、CLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第1の免疫グロブリン軽鎖及びCLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。1つの実施形態において、LCCA設計セットは、CH1ドメインに少なくとも3個のアミノ酸修飾を有する免疫グロブリン重鎖、CLドメインに少なくとも3個のアミノ酸修飾を有する第1の免疫グロブリン軽鎖及びCLドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。1つの実施形態において、LCCA設計セットは、CH1ドメインに少なくとも3個のアミノ酸修飾を有する免疫グロブリン重鎖、CLドメインに少なくとも4個のアミノ酸修飾を有する第1の免疫グロブリン軽鎖及びCLドメインに少なくとも3個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。1つの実施形態において、LCCA設計セットにより実証される優先的対合は、免疫グロブリン重鎖のVHドメイン、第1の免疫グロブリン軽鎖のVLドメイン及び第2の免疫グロブリン軽鎖のVLドメインのうち少なくとも1つにおける一つまたは複数のアミノ酸を修飾することによって確立される。適切なLCCA設計セットの非限定例は、下記の表及び実施例に示されている。
1つの実施形態において、LCCA設計セットは、VHドメインにアミノ酸修飾を有さない免疫グロブリン重鎖、VLドメインにアミノ酸修飾を有さない第1の免疫グロブリン軽鎖及びVLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。1つの実施形態において、LCCA設計セットは、VHドメインにアミノ酸修飾を有さない免疫グロブリン重鎖、VLドメインにアミノ酸修飾を有さない第1の免疫グロブリン軽鎖及びVLドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。
1つの実施形態において、LCCA設計セットは、VHドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する免疫グロブリン重鎖、VLドメインにアミノ酸修飾を有さない第1の免疫グロブリン軽鎖及びVLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。1つの実施形態において、LCCA設計セットは、VHドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する免疫グロブリン重鎖、VLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第1の免疫グロブリン軽鎖及びVLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。1つの実施形態において、LCCA設計セットは、VHドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する免疫グロブリン重鎖、VLドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する第1の免疫グロブリン軽鎖及びVLドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。
1つの実施形態において、LCCA設計セットは、VHドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する免疫グロブリン重鎖、VLドメインにアミノ酸修飾を有さない第1の免疫グロブリン軽鎖及びVLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。1つの実施形態において、LCCA設計セットは、VHドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する免疫グロブリン重鎖、VLドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する第1の免疫グロブリン軽鎖及びVLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。1つの実施形態において、LCCA設計セットは、VHドメインに少なくとも2個のアミノ酸修飾を有する免疫グロブリン重鎖、VLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第1の免疫グロブリン軽鎖及びVLドメインに少なくとも1個のアミノ酸修飾を有する第2の免疫グロブリン軽鎖を含む。
1つの実施形態において、LCCA設計セットを組み合わせて、2つの別個の免疫グロブリン重鎖(H1及びH2)、ならびに2つの別個の免疫グロブリン軽鎖(L1及びL2)を含む組み合わせを提供し、ここでH1、H2、L1及びL2が同時発現するとき、H1はL1と優先的に対合し、H2はL2と優先的に結合する。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているアミノ酸修飾は、二重特異性抗体構築物の文脈におけるものである。例えば、本明細書に記載されている設計セットを、完全長重鎖が免疫グロブリン軽鎖と優先的に対合するように、完全長の免疫グロブリン重鎖に組み込むことができる。いくつかの実施形態において、完全長免疫グロブリン重鎖は、実施例に記載されているように、Fc領域に二量体化を促進するアミノ酸修飾を含有する。
本明細書に特定されている特定のアミノ酸修飾の他の抗体への移行可能性:
上記に特定された免疫グロブリン重鎖及び軽鎖への特定のアミノ酸修飾は、D3H44抗組織因子細胞外ドメイン抗体、トラスツズマブ及びセツキシマブの免疫グロブリン重鎖及び軽鎖に関して記載されてきたが、これらのアミノ酸修飾は他の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖に移行可能であり、一方の免疫グロブリン重鎖と2つの免疫グロブリン軽鎖の一方との優先的対合の類似したパターンをもたらすことが、以下の観点から、本明細書において考慮及び実証されている(例えば、実施例、図及び表を参照すること)。
免疫グロブリン重鎖と軽鎖の界面におけるVH:VL及びCH1:CLの界面残基は、比較的十分に保存されている(Padlanら,1986,Mol.Immunol.23(9):951-960)。この配列保存は、進化抑制の結果であり、機能的に活性な抗原結合ドメインが軽鎖と重鎖の組み合わせ対合の際に形成される可能性を増加させる。この配列保存の結果、優先的対合を導く、D3H44について上述された特定の例における配列修飾を、他の重鎖及び軽鎖対ヘテロ二量体に移行して、優先的対合についてほぼ同等の結果を得られることがわかり、それは、この領域が抗体全体にわたって高い配列保存を示すからである。更に、配列の差異が生じる場合、これらは、通常CH1:CL界面から遠位にある。これは、CH1及びCLドメインにおいて特に当てはまる。しかし、CDR(相補性決定領域)ループ残基(及び長さ)、特にCDR-H3に関して、抗原結合部位に幾らかの配列変動性がある。したがって、1つの実施形態において、本明細書に記載されているヘテロ二量体対は、抗原結合部位のアミノ酸配列がD3H44抗体と有意に異なるとき、少なくとも1つのヘテロ二量体が一つまたは複数のアミノ酸修飾をCDRループの遠位にあるVH及び/またはVLドメインに含む、ヘテロ二量体を含む。別の実施形態において、本明細書に記載されているヘテロ二量体対は、抗原結合部位のアミノ酸配列がD3H44抗体と実質的に同じであるとき、少なくとも1つのヘテロ二量体が一つまたは複数のアミノ酸修飾をCDRループの近位または遠位にあるVH及び/またはVLドメインに含む、ヘテロ二量体を含む。
1つの実施形態において、本明細書に記載されているアミノ酸修飾は、ヒトまたはヒト化IgG1/κに基づいた抗体の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖に移行可能である。そのようなIgG1/κ鎖の非限定例には、オファツムマブ(ヒト)またはトラスツズマブ、ペルツズマブもしくはベバシズマブ(ヒト化)が含まれる。
別の実施形態において、本明細書に記載されているアミノ酸修飾は、一般的に使用されるVH及びVL部分群を利用した抗体の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖に移行可能である。そのような抗体の非限定例には、ペルツズマブが含まれる。
1つの実施形態において、本明細書に記載されているアミノ酸修飾は、生殖系に近いフレームワークを有する抗体の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖に移行可能である。そのような抗体の例には、オビヌツズマブが含まれる。
1つの実施形態において、本明細書に記載されているアミノ酸修飾は、重鎖及び軽鎖対に平均的に観察されるものに近いVH:VLドメイン間角度を有する抗体の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖に移行可能である。この種類の抗体の例には、ペルツズマブが含まれるが、これに限定されない。別の実施形態において、本明細書に記載されているアミノ酸修飾は、基本となるCL及びCH1ドメインを有する抗体の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖に移行可能である。そのような抗体の適切な例には、トラスツズマブが含まれるが、これに限定されない。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているアミノ酸修飾の特定のサブセットが、上記に提供された抗原結合構築物の可変ドメインに利用される。
実施例、図及び表は、アミノ酸修飾(例えば、可変領域及び定常領域を含む一つまたは複数のFabフラグメント内)が、他の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖に移行可能であり、一方の免疫グロブリン重鎖と2つの免疫グロブリン軽鎖の一方との優先的対合の類似したパターンをもたらすことを、実証している。
優先的対合
上記に記載されたように、本明細書に記載されている抗原結合構築物/ヘテロ二量体対のうち少なくとも一方のヘテロ二量体は、一方のヘテロ二量体の重鎖、例えばH1が、軽鎖の一方、例えばL1と優先的に対合し、他方の軽鎖L2とは対合しないように、及び他方のヘテロ二量体の重鎖H2が、軽鎖L2と優先的に対合し、軽鎖L1とは対合しないように、免疫グロブリン重鎖及び/または免疫グロブリン軽鎖に一つまたは複数のアミノ酸修飾を含むことができる。換言すると、所望の優先的対合は、H1とL1の間及びH2とL2の間であることが考慮される。例えば、H1とL1の優先的対合は、H1がL1及びL2と組み合わされるとき、H1-L1ヘテロ二量体の収率が、一つまたは複数のアミノ酸修飾を有さないH2/L2対に対する、対応するH1/L1対のそれぞれの対合に関して、誤対合H1-L2ヘテロ二量体の収率より大きい場合に生じると考慮される。同様に、H2とL2の優先的対合は、H2がL1及びL2と組み合わされるとき、H2-L2ヘテロ二量体の収率が、一つまたは複数のアミノ酸修飾を有さないH2/L2対に対する、対応するH1/L1対のそれぞれの対合に関して、誤対合H2-L1ヘテロ二量体の収率より大きい場合に生じると考慮される。この文脈において、H1及びL1(H1-L1)またはH2及びL2(H2-L2)を含むヘテロ二量体は、優先的に対合された、正確に対合された、絶対的な対または所望のヘテロ二量体と本明細書において呼ばれ、一方、H1とL2(H1-L2)またはH2とL1(H2-L1)を含むヘテロ二量体は、誤対合ヘテロ二量体と本明細書において呼ばれる。H1-L1及びH2-L2の選択的対合を達成することが意図される、2つの重鎖及び2つの軽鎖に対応する突然変異のセットは、設計セットと呼ばれる。
したがって、1つの実施形態において、ヘテロ二量体の1つの免疫グロブリン重鎖が2つの免疫グロブリン軽鎖と同時発現するとき、所望のヘテロ二量体の相対収率は、55%を超える。別の実施形態において、ヘテロ二量体の1つの免疫グロブリン重鎖が2つの免疫グロブリン軽鎖と同時発現するとき、所望のヘテロ二量体の相対収率は、60%を超える。別の実施形態において、ヘテロ二量体の1つの免疫グロブリン重鎖が2つの免疫グロブリン軽鎖と同時発現するとき、所望のヘテロ二量体の相対収率は、70%を超える。別の実施形態において、ヘテロ二量体の1つの免疫グロブリン重鎖が2つの免疫グロブリン軽鎖と同時発現するとき、所望のヘテロ二量体の相対収率は、80%を超える。別の実施形態において、ヘテロ二量体の1つの免疫グロブリン重鎖が2つの免疫グロブリン軽鎖と同時発現するとき、所望のヘテロ二量体の相対収率は、90%を超える。別の実施形態において、ヘテロ二量体の1つの免疫グロブリン重鎖が2つの免疫グロブリン軽鎖と同時発現するとき、所望のヘテロ二量体の相対収率は、95%を超える。
上記の例において、H1-L1の優先的対合は、所望のH1-L1ヘテロ二量体の量が、H1がL1及びL2と同時発現するとき、誤対合H1-L2ヘテロ二量体の量よりも大きい場合に生じると考慮される。同様に、H2-L2の優先的対合は、所望のH2-L2ヘテロ二量体の量が、H2がL1及びL2と同時発現するとき、誤対合H2-L2ヘテロ二量体の量よりも大きい場合に生じると考慮される。したがって、1つの実施形態において、ヘテロ二量体の1つの免疫グロブリン重鎖が2つの免疫グロブリン軽鎖と同時発現するとき、所望のヘテロ二量体と誤対合ヘテロ二量体の比は、1.25:1を超える。1つの実施形態において、ヘテロ二量体の1つの免疫グロブリン重鎖が2つの免疫グロブリン軽鎖と同時発現するとき、所望のヘテロ二量体と誤対合ヘテロ二量体の比は、1.5:1を超える。別の実施形態において、ヘテロ二量体の1つの免疫グロブリン重鎖が2つの免疫グロブリン軽鎖と同時発現するとき、所望のヘテロ二量体と誤対合ヘテロ二量体の比は、2:1を超える。別の実施形態において、ヘテロ二量体の1つの免疫グロブリン重鎖が2つの免疫グロブリン軽鎖と同時発現するとき、所望のヘテロ二量体と誤対合ヘテロ二量体の比は、3:1を超える。別の実施形態において、ヘテロ二量体の1つの免疫グロブリン重鎖が2つの免疫グロブリン軽鎖と同時発現するとき、所望のヘテロ二量体と誤対合ヘテロ二量体の比は、5:1を超える。別の実施形態において、ヘテロ二量体の1つの免疫グロブリン重鎖が2つの免疫グロブリン軽鎖と同時発現するとき、所望のヘテロ二量体と誤対合ヘテロ二量体の比は、10:1を超える。別の実施形態において、ヘテロ二量体の1つの免疫グロブリン重鎖が2つの免疫グロブリン軽鎖と同時発現するとき、所望のヘテロ二量体と誤対合ヘテロ二量体の比は、25:1を超える。別の実施形態において、ヘテロ二量体の1つの免疫グロブリン重鎖が2つの免疫グロブリン軽鎖と同時発現するとき、所望のヘテロ二量体と誤対合ヘテロ二量体の比は50:1を超える。
いくつかの態様において、本明細書に記載されるヘテロ二量体は、優先的に対合して、二重特異性抗体を形成する。いくつかの実施形態において、構築物は、D3H44/トラスツズマブ、D3H44/セツキシマブ及びトラスツズマブ/セツキシマブから選択される二重特異性抗体を形成するように優先的に対合するヘテロ二量体を含む。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体は、表28a~28cに記載されているアミノ酸修飾を含む。
いくつかの実施形態において、2つの完全長重鎖構築物は、2つの特有の軽鎖構築物と同時発現して、10個の可能な抗体種:H1-L1:H1-L1、H1-L2:H1-L2、H1-L1:H1-L2、H2-L1:H2-L1、H2-L2:H2-L2、H2-L1:H2-L2、H1-L1:H2-L1、H1-L2:H2-L2、H1-L2:H2-L1及びH1-L1:H2-L2を生じる。H1-L1:H2-L2種は、正確に対合した二重特異性抗体種であると考慮される。いくつかの実施形態において、DNA比は、最大量の正確に対合した二重特異性抗体種を生じるように選択される。例えば、いくつかの実施形態において、H1:H2:L1:L2の比は、15:15:53:17である。いくつかの実施形態において、H1:H2:L1:L2の比は、15:15:17:53である。
いくつかの実施形態において、正確に対合した二重特異性種の率は、全ての種と比べて少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%である(例えば、表29a~29c及び30a~30cを参照すること)。いくつかの実施形態において、正確に対合した二重特異性種の率は、表28a~28cに記載されているアミノ酸修飾を有さない対応する野生型H1、H2、L1及びL2を同時発現させることによって得られる正確に対合した二重特異性抗体種の率よりも大きい。いくつかの実施形態において、正確に対合した二重特異性種の率は、表28a~28cに記載されているアミノ酸修飾を有さない対応する野生型H1、H2、L1及びL2を同時発現させることによって得られる正確に対合した二重特異性抗体種の率と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%または75%増加している。
ヘテロ二量体の熱安定性
優先的対合の促進に加えて、アミノ酸置換は、突然変異がFabヘテロ二量体を不安定化しないように選択された。したがって、大部分の場合において、Fabヘテロ二量体の安定性の測定値は、野生型Fabに非常に近いもの(例えば、野生型Fabの3℃以内)であった。
したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているヘテロ二量体対のそれぞれのヘテロ二量体は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体に匹敵する熱安定性を有する。1つの実施形態において、熱安定性は、融解温度またはTmの測定によって決定される。したがって1つの実施形態において、本明細書に記載されているヘテロ二量体の熱安定性は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体の約10℃以内である。したがって、1つの実施形態において、本明細書に記載されているヘテロ二量体の熱安定性は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体の約5℃以内である。別の実施形態において、本明細書に記載されているヘテロ二量体の熱安定性は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体の約3℃以内である。別の実施形態において、本明細書に記載されているヘテロ二量体の熱安定性は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体の約2℃以内である。別の実施形態において、本明細書に記載されているヘテロ二量体の熱安定性は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体の約1.5℃以内である。別の実施形態において、本明細書に記載されているヘテロ二量体の熱安定性は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体の約1℃以内である。別の実施形態において、本明細書に記載されているヘテロ二量体の熱安定性は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体の約0.5℃以内である。別の実施形態において、本明細書に記載されているヘテロ二量体の熱安定性は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体の約0.25℃以内である。
更に、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているヘテロ二量体の熱安定性は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体と比べて驚くほど改善(すなわち、増加)される。したがって、1つの実施形態において、本明細書に記載されるヘテロ二量体の熱安定性は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体と比較して、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.5、5.0℃、またはそれ以上増加される。
抗原へのヘテロ二量体の親和性
1つの実施形態において、ヘテロ二量体対のそれぞれのヘテロ二量体は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体と同じ、または匹敵する親和性を、それぞれの抗原に対して有する。1つの実施形態において、ヘテロ二量体対のヘテロ二量体は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体の約50倍以内の親和性を、それぞれの抗原に有する。1つの実施形態において、ヘテロ二量体対のヘテロ二量体は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体の約25倍以内の親和性を、それぞれの抗原に有する。1つの実施形態において、ヘテロ二量体対のヘテロ二量体は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体の約10倍以内の親和性を、それぞれの抗原に有する。別の実施形態において、ヘテロ二量体対のヘテロ二量体は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体の約5倍以内の親和性を、それぞれの抗原に有する。別の実施形態において、ヘテロ二量体対のヘテロ二量体は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体の約2.5倍以内の親和性を、それぞれの抗原に有する。別の実施形態において、ヘテロ二量体対のヘテロ二量体は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体の約2倍以内の親和性を、それぞれの抗原に有する。別の実施形態において、ヘテロ二量体対のヘテロ二量体は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体の約1.5倍以内の親和性を、それぞれの抗原に有する。別の実施形態において、ヘテロ二量体対のヘテロ二量体は、同じ免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を含むが本明細書に記載されているCH1、CL、VHまたはVLドメインにアミノ酸修飾を有さないヘテロ二量体とほぼ同じ親和性を、それぞれの抗原に有する。
追加の選択的な修飾
1つの実施形態において、本明細書に記載されているヘテロ二量体対の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を、共有結合が重鎖と軽鎖の優先的対合を妨げない、またはヘテロ二量体が抗原に結合する能力に影響を与えない、またはヘテロ二量体の安定性に影響を与えないように、更に修飾(すなわち、様々な種類の分子の共有結合によって)することができる。そのような修飾には、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護/遮断基による誘導体化、タンパク質分解性切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への連結等によるものが含まれるが、これらに限定されない。多数の化学修飾のいずれかを、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成等が含まれるがこれらに限定されない既知の技術によって実施することができる。
別の実施形態において、本明細書に記載されているヘテロ二量体対の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を、所定の生物学的応答を修飾する治療剤または薬物の部分に(直接的または間接的に)コンジュゲートさせることができる。治療剤または薬物の部分は、古典的な化学治療剤に限定されると解釈されるべきではない。例えば、薬物の部分は、所望の生物学的活性を有するタンパク質またはポリペプチドであり得る。そのようなタンパク質には、例えば、アブリン、リシンA、オンコナーゼ(Onconase)(または別の細胞障害性RNアーゼ)、シュードモナス外毒素、コレラ毒素またはジフテリア毒素などの毒素;腫瘍壊死因子、アルファインターフェロン、ベータインターフェロン、神経成長因子、血小板由来増殖因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、アポトーシス剤、例えば、TNF-アルファ、TNF-ベータ、AIM I(国際公開第WO97/33899号を参照すること)、AIM II(国際公開第WO97/34911号を参照すること)、Fasリガンド(Takahashiら,1994,J.Immunol.,6:1567)及びVEGI(国際公開第WO99/23105号を参照すること)、血栓形成剤または抗血管新生剤、例えば、アンジオスタチンまたはエンドスタチン、などのタンパク質;あるいは、例えばリンホカイン(例えば、インターロイキン-1(「IL-1」)、インターロイキン-2(「IL-2」)、インターロイキン-6(「IL-6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM-CSF」)及び顆粒球コロニー刺激因子(「G-CSF」))などの生物学的応答修飾因子、または増殖因子(例えば、成長ホルモン(「GH」))が含まれ得る。
更に、代替的な実施形態において、抗体を、放射性金属イオンをコンジュゲートさせるのに有用な放射性材料または大環状キレート剤などの治療用部分に、コンジュゲートさせることができる(放射性材料の例については、上記を参照すること)。ある特定の実施形態において、大環状キレート剤は、リンカー分子を介して抗体に結合され得る1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N",N"-四酢酸(DOTA)である。そのようなリンカー分子は、当該技術において一般的に知られており、Denardoら、1998、Clin Cancer Res.4:2483;Petersonら、1999、Bioconjug.Chem.10:553;及びZimmermanら、1999、Nucl.Med.Biol.26:943に記載されている。
いくつかの実施形態において、ヘテロ二量体の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖は、精製及び/または試験等を推進するためにタグを含む融合タンパク質として発現される。本明細書において参照されるとき、「タグ」は、C末端、N末端または内部のいずれかでタンパク質に提供されてタンパク質の特定または精製に寄与する、任意の付加された一連のアミノ酸である。適切なタグには、アルブミン結合ドメイン(ABD)、Hisタグ、FLAGタグ、グルタチオン-s-トランスフェラーゼ、ヘマグルチニン(HA)及びマルトース結合タンパク質などの精製及び/又は試験に有用であることが当業者に知られているタグが含まれるが、これらに限定されない。そのようなタグ付タンパク質は、精製の前、間または後のタグの容易な除去のために、トロンビン、エンテロキナーゼまたはX因子切断部位などの切断部位を含むように改変することもできる。
いくつかの実施形態において、鎖間ジスルフィド結合を形成する軽鎖(位置214、Kabat番号付け)及び重鎖(位置233、Kabat番号付け)におけるFabドメインの下部のシステイン残基のうちの一つまたは複数を修飾して、セリン、またはアラニン、または非システイン、または別のアミノ酸にすることができる。
追加のアミノ酸修飾を免疫グロブリン重鎖に行って、ヘテロ二量体対の優先的対合のレベル及び/または熱安定性を増加できることが考慮される。例えば、追加のアミノ酸修飾を免疫グロブリン重鎖Fcドメインに行って、ホモ二量体対と比べてヘテロ二量体対に優先的な対合を導くことができる。そのようなアミノ酸修飾は、当該技術に知られており、例えば、米国特許公開第2012/0149876号に記載されているものが含まれる。あるいは、例えば、「ノブ・イントゥ・ホール」、イオン相互作用を有する荷電残基及び鎖交換改変ドメイン(SEED)技術などの、ホモ二量体対と比べてヘテロ二量体対に優先的な対合を導く代替的戦略を用いることもできる。後者の戦略は、当該技術に記載されており、Kleinら、上記において総説されている。Fcドメインについての更なる考察が下記に続く。
Fcドメイン
抗原結合ポリペプチド構築物が完全長免疫グロブリン重鎖を含む実施形態において、構築物はFcを含む。いくつかの態様において、Fcは、少なくとも1または2つのCH3ドメイン配列を含む。いくつかの態様において、抗原結合ポリペプチド構築物が、重鎖のFab領域のみを含むヘテロ二量体を含む場合、Fcは、一つまたは複数のリンカーを用いて、または用いることなく、第1のヘテロ二量体及び/または第2のヘテロ二量体に結合する。いくつかの態様において、FcはヒトFcである。いくつかの態様において、Fcは、IgGまたはIgG1 Fcである。いくつかの態様において、Fcはヘテロ二量体Fcである。いくつかの態様において、Fcは、少なくとも1または2つのCH2ドメイン配列を含む。
いくつかの態様において、Fcは、CH3ドメイン配列の少なくとも1つに、一つまたは複数の修飾を含む。いくつかの態様において、Fcは、CH2ドメイン配列の少なくとも1つに、一つまたは複数の修飾を含む。いくつかの態様において、Fcは単一のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、Fcは、複数のポリペプチド、例えば2つのポリペプチドである。
いくつかの態様において、Fcは、CH3配列の少なくとも1つに、一つまたは複数の修飾を含む。いくつかの態様において、Fcは、CH2配列の少なくとも1つに、一つまたは複数の修飾を含む。いくつかの態様において、Fcは単一のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、Fcは、複数のポリペプチド、例えば2つのポリペプチドである。
いくつかの実施形態において、Fcは、2011年11月4日出願のPCT/CA2011/001238及び2012年11月2日出願のPCT/CA2012/050780の特許出願に記載されているFcであり、これらそれぞれの全開示は、全ての目的においてその全体が参照として本明細書に組み込まれる。
いくつかの態様において、本明細書に記載されている構築物は、非対称的に修飾された修飾CH3ドメインを含むヘテロ二量体Fcを含む。ヘテロ二量体Fcは、2つの重鎖定常ドメインポリペプチド:第1の重鎖ポリペプチド及び第2の重鎖ポリペプチドを含むことができ、これらを交換可能に使用することができ、但し、Fcが1つの第1の重鎖ポリペプチド及び1つの第2の重鎖ポリペプチドを含むことが条件である。一般に、第1の重鎖ポリペプチドは、第1のCH3配列を含み、第2の重鎖ポリペプチドは、第2のCH3配列を含む。
非対称的に導入された一つまたは複数のアミノ酸修飾を含む2つのCH3配列は、2つのCH3配列が二量体化するとき、一般にホモ二量体ではなくヘテロ二量体Fcをもたらす。本明細書に使用されるとき、「非対称アミノ酸修飾」は、第1のCH3配列の特定の位置のアミノ酸が同じ位置の第2のCH3配列のアミノ酸とは異なり、第1と第2のCH3配列が優先的に対合して、ホモ二量体ではなくヘテロ二量体を形成する、任意の修飾を指す。このヘテロ二量体化は、それぞれの配列における同じ対応するアミノ酸位置の2個のアミノ酸のうちの一方のみの修飾、または第1及び第2のCH3配列のそれぞれにおける同じ対応する位置のそれぞれの配列の両方のアミノ酸の修飾の結果であり得る。ヘテロ二量体Fcの第1及び第2のCH3配列は、1個または1個を超える非対称アミノ酸修飾を含むことができる。
表Xは、完全長ヒトIgG1重鎖のアミノ酸231~447に対応する、ヒトIgG1 Fc配列のアミノ酸配列を提供する。CH3配列は、完全長ヒトIgG1重鎖のアミノ酸341~447を含む。
典型的には、Fcは、二量体化することができる2つの連続重鎖配列(A及びB)を含むことができる。いくつかの態様において、Fcの一方または両方の配列は、EU番号付けを使用して、以下の位置:L351、F405、Y407、T366、K392、T394、T350、S400及び/またはN390に一つまたは複数の突然変異または修飾を含む。いくつかの態様において、Fcは、表Xに示されている突然変異配列を含む。いくつかの態様において、Fcは、変種1A-Bの突然変異を含む。いくつかの態様において、Fcは、変種2A-Bの突然変異を含む。いくつかの態様において、Fcは、変種3A-Bの突然変異を含む。いくつかの態様において、Fcは、変種4A-Bの突然変異を含む。いくつかの態様において、Fcは、変種5A-Bの突然変異を含む。
第1及び第2のCH3配列は、完全長ヒトIgG1重鎖のアミノ酸231~447を参照して、本明細書に記載されているアミノ酸突然変異を含むことができる。1つの実施形態において、ヘテロ二量体Fcは、第1のCH3配列が位置F405及びY407にアミノ酸修飾を有し、第2のCH3配列が位置T394にアミノ酸修飾を有する、修飾CH3ドメインを含む。1つの実施形態において、ヘテロ二量体Fcは、第1のCH3配列がL351Y、F405A及びY407Vから選択される一つまたは複数のアミノ酸修飾を有し、第2のCH3配列がT366L、T366I、K392L、K392M及びT394Wから選択される一つまたは複数のアミノ酸修飾を有する、修飾CH3ドメインを含む。
1つの実施形態において、ヘテロ二量体Fcは、第1のCH3配列が位置L351、F405及びY407にアミノ酸修飾を有し、第2のCH3配列が位置T366、K392及びT394にアミノ酸修飾を有し、第1または第2のCH3配列の一方が、位置Q347にアミノ酸修飾を更に含み、他方のCH3配列が、位置K360にアミノ酸修飾を更に含む、修飾CH3ドメインを含む。別の実施形態において、ヘテロ二量体Fcは、第1のCH3配列が位置L351、F405及びY407にアミノ酸修飾を有し、第2のCH3配列が位置T366、K392及びT394にアミノ酸修飾を有し、第1または第2のCH3配列の一方が、位置Q347にアミノ酸修飾を更に含み、他方のCH3配列が、位置K360にアミノ酸修飾を更に含み、前記CH3配列の一方または両方が、アミノ酸修飾T350Vを更に含む、修飾CH3ドメインを含む。
1つの実施形態において、ヘテロ二量体Fcは、第1のCH3配列が位置L351、F405及びY407にアミノ酸修飾を有し、第2のCH3配列が位置T366、K392及びT394にアミノ酸修飾を有し、第1または第2のCH3配列の一方が、D399RまたはD399Kのアミノ酸修飾を更に含み、他方のCH3配列が、T411E、T411D、K409E、K409D、K392E及びK392Dのうち一つまたは複数を含む、修飾CH3ドメインを含む。別の実施形態において、ヘテロ二量体Fcは、第1のCH3配列が位置L351、F405及びY407にアミノ酸修飾を有し、第2のCH3配列が位置T366、K392及びT394にアミノ酸修飾を有し、第1または第2のCH3配列の一方が、D399RまたはD399Kのアミノ酸修飾を更に含み、他方のCH3配列が、T411E、T411D、K409E、K409D、K392E及びK392Dのうち一つまたは複数を含み、前記CH3配列の一方または両方が、アミノ酸修飾T350Vを更に含む、修飾CH3ドメインを含む。
1つの実施形態において、ヘテロ二量体Fcは、第1のCH3配列が位置L351、F405及びY407にアミノ酸修飾を有し、第2のCH3配列が位置T366、K392及びT394にアミノ酸修飾を有し、前記CH3配列の一方または両方がT350Vのアミノ酸修飾を更に含む、修飾CH3ドメインを含む。
1つの実施形態において、ヘテロ二量体Fcは、以下のアミノ酸修飾を含む修飾CH3ドメインを含み、ここで、「A」は、第1のCH3配列へのアミノ酸修飾を含み、「B」は、第2のCH3配列へのアミノ酸修飾を含む。A:L351Y_F405A_Y407V、B:T366L_K392M_T394W、A:L351Y_F405A_Y407V、B:T366L_K392L_T394W、A:T350V_L351Y_F405A_Y407V、B:T350V_T366L_K392L_T394W、A:T350V_L351Y_F405A_Y407V、B:T350V_T366L_K392M_T394W、A:T350V_L351Y_S400E_F405A_Y407V及び/またはB:T350V_T366L_N390R_K392M_T394W。
一つまたは複数の非対称アミノ酸修飾は、ヘテロ二量体CH3ドメインが野生型ホモ二量体CH3ドメインに匹敵する安定性を有する、ヘテロ二量体Fcの形成を促進することができる。ある実施形態において、一つまたは複数の非対称アミノ酸修飾は、ヘテロ二量体Fcドメインが野生型ホモ二量体Fcドメインに匹敵する安定性を有する、ヘテロ二量体Fcドメインの形成を促進する。ある実施形態において、一つまたは複数の非対称アミノ酸修飾は、ヘテロ二量体Fcドメインが、示差走査熱量測定研究において融解温度(Tm)により観察して安定性を有し、融解温度が、対応する対称野生型ホモ二量体Fcドメインにおいて観察された融解温度の4℃以内である、ヘテロ二量体Fcドメインの形成を促進する。いくつかの態様において、Fcは、野生型ホモ二量体Fcに匹敵する安定性を有するヘテロ二量体Fcの形成を促進する、CH3配列の少なくとも1つに一つまたは複数の修飾を含む。
1つの実施形態において、CH3ドメインの安定性は、例えば示差走査熱量測定(DSC)によりCH3ドメインの融解温度を測定することによって、評価することができる。したがって、更なる実施形態において、CH3ドメインは約68℃以上の融解温度を有する。別の実施形態において、CH3ドメインは、約70℃以上の融解温度を有する。別の実施形態において、CH3ドメインは、約72℃以上の融解温度を有する。別の実施形態において、CH3ドメインは、約73℃以上の融解温度を有する。別の実施形態において、CH3ドメインは、約75℃以上の融解温度を有する。別の実施形態において、CH3ドメインは、約78℃以上の融解温度を有する。いくつかの態様において、二量体化CH3配列は、約68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、77.5、78、79、80、81、82、83、84もしくは85℃、またはそれより高い融解温度(Tm)を有する。
いくつかの実施形態において、修飾CH3配列を含むヘテロ二量体Fcは、発現産物におけるホモ二量体Fcと比較して、少なくとも約75%の純度で形成され得る。別の実施形態において、ヘテロ二量体Fcは、約80%を超える純度で形成される。別の実施形態において、ヘテロ二量体Fcは、約85%を超える純度で形成される。別の実施形態において、ヘテロ二量体Fcは、約90%を超える純度で形成される。別の実施形態において、ヘテロ二量体Fcは、約95%を超える純度で形成される。別の実施形態において、ヘテロ二量体Fcは、約97%を超える純度で形成される。いくつかの実施形態において、Fcは、発現するとき、約75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%を超える純度で形成されるヘテロ二量体である。いくつかの実施形態において、Fcは、単一細胞を介して発現するとき、約75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%を超える純度で形成されるヘテロ二量体である。
モノマーFcポリペプチドを修飾して、ヘテロ二量体Fcの形成を促進する追加の方法は、国際特許公開第WO96/027011号(ノブ・イントゥ・ホール)、Gunasekaranら(Gunasekaran K.ら(2010)J Biol Chem.285,19637-46,electrostatic design to achieve selective heterodimerization)、Davisら(Davis,JH.ら(2010)Prot Eng Des Sel;23(4):195-202,strand exchange engineered domain(SEED)technology)及びLabrijnら[Efficient generation of stable bispecific IgG1 by controlled Fab-arm exchange.Labrijn AF,Meesters JI,de Goeij BE,van den Bremer ET,Neijssen J,van Kampen MD,Strumane K,Verploegen S,Kundu A,Gramer MJ,van Berkel PH,van de Winkel JG,Schuurman J,Parren PW.Proc Natl Acad Sci USA.2013 Mar 26;110(13):5145-50に記載されている。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている単離された構築物は、抗原に結合する抗原結合構築物、ならびに同じFcポリペプチドを含まない抗原結合構築物と比べて、安定性及び製造の容易さのような優れた生物物理的特徴を有する二量体Fcポリペプチド構築物を含む。Fcの重鎖配列における多数の突然変異は、異なるFcガンマ受容体への抗体Fcの親和性を選択的に変更することが、当該技術において知られている。いくつかの態様において、Fcは、Fcガンマ受容体の選択的結合を促進する一つまたは複数の修飾を含む。
CH2ドメインは、表Xに示されている配列のアミノ酸231~340である。例示的な突然変異が下記に列挙されている。
S298A/E333A/K334A, S298A/E333A/K334A/K326A(Lu Y,Vernes JM,Chiang N,ら J Immunol Methods.2011 Feb 28;365(1-2):132-41);F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L,F243L/R292P/Y300L/L235V/P396L(Stavenhagen JB,Gorlatov S, Tuaillon N,ら Cancer Res.2007 Sep 15;67(18):8882-90;Nordstrom JL,Gorlatov S,Zhang W,ら Breast Cancer Res.2011 Nov 30;13(6):R123);F243L(Stewart R,Thom G,Levens M,ら Protein Eng Des Sel.2011 Sep;24(9):671-8.),S298A/E333A/K334A(Shields RL,Namenuk AK,Hong K,ら J Biol Chem.2001 Mar 2;276(9):6591-604);S239D/I332E/A330L,S239D/I332E(Lazar GA,Dang W,Karki S,ら Proc Natl Acad Sci USA.2006 Mar 14;103(11):4005-10);S239D/S267E,S267E/L328F(Chu SY,Vostiar I,Karki S,ら Mol Immunol.2008 Sep;45(15):3926-33);S239D/D265S/S298A/I332E,S239E/S298A/K326A/A327H,G237F/S298A/A330L/I332E,S239D/I332E/S298A,S239D/K326E/A330L/I332E/S298A, G236A/S239D/D270L/I332E,S239E/S267E/H268D,L234F/S267E/N325L,G237F/V266L/S267D、ならびに参照として本明細書に組み込まれるWO2011/120134及びWO2011/120135に列挙されている他の突然変異。Therapeutic Antibody Engineering(William R.Strohl and Lila M.Strohl,Woodhead Publishing series in Biomedicine No 11,ISBN 1 907568 37 9,Oct 2012)は、283頁に突然変異を列挙している。
いくつかの実施形態において、CH2ドメインは、一つまたは複数の非対称アミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態において、CH2ドメインは、FcγRの選択的結合を促進する一つまたは複数の非対称アミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態において、CH2ドメインは、本明細書に記載されている単離された構築物の分離及び精製を可能にする。
FcRn結合及びPKパラメーター
当該技術において知られているように、FcRnへの結合は、エンドサイトーシスされた抗体をエンドソームから血流に再循環する(Raghavanら,1996,Annu Rev Cell Dev Biol 12:181-220;Ghetieら,2000,Annu Rev Immunol 18:739-766)。このプロセスは、完全長分子の大きなサイズに起因する腎臓濾過の妨害と合わせて、1~3週間の範囲にわたる好ましい抗体血清半減期をもたらす。FcRnへのFcの結合は、また、抗体輸送において主要な役割を果たす。したがって、1つの実施形態において、本発明の構築物はFcRnに結合することができる。
エフェクター機能を改善するための追加の修飾
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている構築物を修飾して、エフェクター機能を改善することができる。そのような修飾は当該技術において知られており、非フコシル化(afucosylation)、または活性化受容体へ向けた、主にADCCのためにFCGR3aに向けた及びCDCのためにC1qに向けた、抗体のFc部分の親和性の遺伝子工学的な操作が含まれる。以下の表Yは、エフェクター機能操作について文献に報告されている様々な設計をまとめる。
したがって、1つの実施形態において、本明細書に記載されている構築物は、改善されたエフェクター機能を付与する、上記表に示された一つまたは複数のアミノ酸修飾を含む二量体Fcを含むことができる。別の実施形態において、構築物を非フコシル化して、エフェクター機能を改善することができる。
リンカー
本明細書に記載されている構築物は、本明細書に記載されているFcに機能的に結合した、本明細書に記載されている一つまたは複数のヘテロ二量体を含むことができる。いくつかの態様において、Fcは、一つまたは複数のリンカーを用いて、また用いることなく一つまたは複数のヘテロ二量体に結合する。いくつかの態様において、Fcは、一つまたは複数のヘテロ二量体に直接的に結合する。いくつかの態様において、Fcは、一つまたは複数のリンカーにより一つまたは複数のヘテロ二量体に結合する。いくつかの態様において、Fcは、リンカーによりそれぞれのヘテロ二量体の重鎖に結合する。
いくつかの態様において、一つまたは複数のリンカーは、一つまたは複数のポリペプチドリンカーである。いくつかの態様において、一つまたは複数のリンカーは、一つまたは複数の抗体ヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、一つまたは複数のリンカーは、一つまたは複数のIgG1ヒンジ領域を含む。
二量体対の調製方法
上記に記載されたように、本明細書に記載されているヘテロ二量体対は、第1のヘテロ二量体及び第2のヘテロ二量体を含むことができ、それぞれのヘテロ二量体は、少なくともVH及びCH1ドメインを含む免疫グロブリン重鎖またはそのフラグメント、ならびにVLドメイン及びCLドメインを有する免疫グロブリン軽鎖を含む。ヘテロ二量体の免疫グロブリン重鎖及び免疫グロブリン軽鎖は、当該技術に既知の組換えDNA技術を使用して容易に調製することができる。例えば、Sambrook及びRussell、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor,N.Y.、第3版、2001);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor,N.Y.、第2版、1989);Short Protocols in Molecular Biology(Ausubelら、John Wiley and Sons,New York、第4版、1999);ならびにGlick及びPasternak、Molecular Biotechnology:Principles and Applications of Recombinant DNA(ASM Press、Washington,D.C.、第2版、1998)に記載されているものなどの標準的な技術を、組換え核酸法、核酸合成、細胞培養、導入遺伝子組み込み及び組換えタンパク質発現に使用することができる。あるいは、本明細書に記載されているヘテロ二量体及びヘテロ二量体対を、化学的に合成することができる。
ヘテロ二量体が誘導される抗体の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の核酸及びアミノ酸配列は、当該技術において知られている、または核酸及び/もしくはタンパク質配列決定法の使用により容易に決定することができる。本明細書に記載されているタグを免疫グロブリン重鎖及び/または軽鎖に遺伝子融合する方法は、当該技術において知られており、いくつかは下記及び実施例に記載されている。
例えば、宿主に免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を発現及び同時発現する方法は、当該技術において良く知られている。加えて、組換えDNA技術を使用して重鎖及び/または軽鎖をタグ付けする方法も、当該技術において良く知られている。重鎖及び軽鎖の発現に適した発現ベクター及び宿主も、当該技術において良く知られており、下記に記載される。
4つ全ての鎖を発現する単一クローンまたは一過性細胞系のみの使用に依存しない二重特異性抗体産生方法は、当該技術において知られている(Gramer,et al.(2013)mAbs 5,962;Stropら(2012)J Mol Biol 420,204)。これらの方法は、二重特異性抗体の形成に関与する2対の軽鎖及び重鎖のレドックス条件下の産生後アーム交換に依存している(レドックス産生)。この手法において、H1:L1及びH2:L2対を、2つの異なる細胞系において発現させて、2つのFabアームを独立して産生させることができる。続いて、2つのFabアームを選択的レドックス条件下で混合して、2つの特有の重鎖H1及びH2の再会合を達成して、L1:H1:H2:L2鎖を含む二重得特異性抗体を形成する。レドックス産生方法またはその方法の変更型を使用した二重抗体の産生において、本明細書に記載されている設計のライブラリー/データセットを使用することが考察され得る。
ある特定の実施形態において、無細胞タンパク質発現系を利用して、生細胞を使用することなく、ポリペプチド(例えば、ポリペプチドの重鎖及び軽鎖)を同時発現する。そうではなく、DNAをRNAに転写するために及びRNAをタンパク質(例えば、リボソーム、tRNA、酵素、補助因子、アミノ酸)に転写するために必要な全ての構成要素は、インビトロで使用される溶液において提供される。ある特定の実施形態において、インビトロ発現は、(1)重鎖及び軽鎖ポリペプチドをコードする遺伝子テンプレート(mRNAまたはDNA)、ならびに(2)必要な転写及び翻訳分子機構を含有する反応溶液を必要とする。ある特定の実施形態において、細胞抽出物は、反応溶液の構成要素を、例えば、mRNA転写のためにRNAポリメラーゼ、ポリペプチド翻訳のためにリボソーム、tRNA、アミノ酸、酵素補助因子、エネルギー源及び正確なタンパク質折りたたみのために必須の細胞構成要素を実質的に供給する。無細胞タンパク質発現系は、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞、哺乳類細胞、ヒト細胞またはこれらの組み合わせから得られる溶解産物を使用して、調製することができる。そのような細胞溶解産物は、翻訳に必要な酵素及び構成要素の正確な組成及び割合を提供することができる。いくつかの実施形態において、細胞膜を除去して、細胞の細胞質及び小器官構成要素のみを残す。
いくつかの無細胞タンパク質発現系が、Carlsonら(2012)Biotechnol.Adv.30:1185-1194において総説されているように、当該技術において知られている。例えば、無細胞タンパク質発現系は、原核細胞または真核細胞に基づいたものが利用可能である。無原核細胞発現系の例には、大腸菌(E.coli)のものが含まれる。無真核細胞発現系の例には、例えば、ウサギ網状赤血球、小麦胚芽及び昆虫細胞の抽出物に基づいたものが利用可能である。そのような無原核細胞または真核細胞タンパク質発現系は、Roche、Invitrogen、Qiagen及びNovagenなどの会社から市販されている。当業者は、互いに対合することができるポリペプチド(例えば、重鎖及び軽鎖ポリペプチド)を産生するのに適した無細胞タンパク質発現系を容易に選択することができる。更に、無細胞タンパク質発現系に、シャペロン(例えば、BiP)及びイソメラーゼ(例えば、ジスルフィドイソメラーゼ)を補充して、IgGの折りたたみの効率を改善することもできる。
いくつかの実施形態において、無細胞発現系を利用して、DNAテンプレート(転写及び翻訳)またはmRNAテンプレート(翻訳のみ)から、重鎖及び軽鎖ポリペプチドを同時発現させる。
ベクター及び宿主細胞
重鎖及び軽鎖の組換え発現は、重鎖または軽鎖(例えば、抗体または融合タンパク質)をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を必要とする。重鎖または軽鎖をコードするポリヌクレオチドが得られると、重鎖または軽鎖を産生するためのベクターは、当該技術に周知の技術を使用して組換えDNA技術により産生することができる。したがって、ヌクレオチド配列をコードする重鎖または軽鎖を含有するポリヌクレオチドを発現してタンパク質を調製する方法が、本明細書において記載される。当業者に周知の方法を使用して、重鎖または軽鎖コード配列、ならびに適切な転写及び翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術及びインビボ遺伝子組換えが含まれる。したがって本発明は、プロモーターに機能的に連結した、重鎖または軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含む、複製可能ベクターを提供する。
発現ベクターを従来の技術により宿主細胞に移し、次に形質移入された細胞を従来の技術により培養して、本発明の方法に使用される修飾重鎖または軽鎖を産生する。特定の実施形態において、本方法に使用される重鎖及び軽鎖は、免疫グロブリン分子全体の発現のために宿主細胞において同時発現され、下記に詳述される。
様々な宿主発現ベクター系を利用して、修飾重鎖及び軽鎖を発現させることができる。そのような宿主発現系は、目的のコード配列が産生され、続いて精製され得るビヒクルを表し、また、適切なヌクレオチドコード配列により形質転換または形質移入されると、修飾重鎖及び軽鎖をその場で発現するができる細胞も表す。これらには、修飾重鎖及び軽鎖コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターにより形質転換された細菌(例えば大腸菌及び枯草菌(B.sutilis))などの微生物;修飾重鎖及び軽鎖コード配列を含有する組換え酵母用発現ベクターにより形質転換された酵母(例えば、サッカロマイセス(Saccharomyces)、ピキア(Pichia));修飾重鎖及び軽鎖コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染させた昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコザイクウイルス、TMV)に感染させた、もしくは修飾重鎖及び軽鎖コード配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)により形質転換された、植物細胞系;または哺乳類細胞のゲノムから誘導されたプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)もしくは哺乳類ウイルスから誘導されたプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現構築物を持つ哺乳類細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、HEK-293、NSO及び3T3細胞)が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、大腸菌(Escherichia coli)などの細菌細胞または真核細胞が、組換え抗体または融合タンパク質分子である修飾重鎖及び軽鎖の発現に使用される。例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳類細胞は、ヒトサイトメガロウイルスの主要な中間初期遺伝子プロモーターエレメントなどのベクターと一緒になって、抗体の有効な発現系である(Foeckingら,1986,Gene 45:101;and Cockettら,1990,Bio/Technology 8:2)。特定の実施形態において、それぞれのヘテロ二量体の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖をコードするヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーター、誘導プロモーターまたは組織特異的プロモーターにより調節される。
哺乳類宿主細胞では、ウイルスに基づいた多数の発現系を利用することができる。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合、目的の修飾重鎖及び軽鎖コード配列を、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば後期プロモーター及び三分子リーダー配列に連結することができる。次にこのキメラ遺伝子を、インビトロまたはインビボ組換えによってアデノウイルスゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)への挿入は、感染宿主における修飾重鎖及び軽鎖の発現が実用的であり可能である組換えウイルスをもたらす(Logan & Shenk、1984、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:355-359を参照すること)。特定の開始シグナルも、挿入抗体コード配列の効率的な翻訳のため必要であり得る。これらのシグナルには、ATG開始コドン及び隣接配列が含まれる。更に、開始コドンは、挿入物全体の翻訳を確実にするため、所望のコード配列のリーディングフレームとずれずにいなければならない。これらの外来性翻訳制御シグナル及び開始コドンは、天然でもあり合成でもある様々な由来のものであり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーター等を含めることによって増強され得る(例えば、Bittnerら、1987、Methods in Enzymol.153:516-544を参照すること)。
ヘテロ二量体の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の発現は、当該技術に既知の任意のプロモーターまたはエンハンサーエレメントにより制御され得る。修飾重鎖及び軽鎖(例えば、抗体または融合タンパク質)をコードする遺伝子の発現の制御に使用され得るプロモーターには、SV40初期プロモーター領域(Bernoist及びChambon、1981、Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイルスの3'の長い末端反復に含有されたプロモーター(Yamamotoら、1980、Cell 22:787-797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら、1981、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78.1441-1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら、1982、Nature 296:39-42)、テトラサイクリン(Tet)プロモーター(Gossenら、1995、Proc.Nat.Acad.Sci.USA89:5547-5551);β-ラクタマーゼプロモーター(Villa-Kamaroffら、1978、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.75:3727-3731)またはtacプロモーター(DeBoerら、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21-25;"Useful proteins from recombinant bacteria"in Scientific American、1980、242:74-94も参照すること)などの原核生物発現ベクター;ノパリンシンセターゼプロモーター領域(Herrera-Estrellaら、Nature 303:209-213)またはカリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーター(Gardnerら、1981、Nucl.Acids Res.9:2871)及び光合成酵素リブロース二リン酸カルボキシラーゼのプロモーター(Herrera-Estrellaら、1984、Nature 310:115-120)を含む植物発現ベクター;Gal4プロモーター、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーターなどの酵母または他の真菌のプロモーターエレメント、ならびに組織特異性を示し、遺伝子導入動物に利用されている以下の動物用転写制御領域:膵腺房細胞において活性なエラスターゼI遺伝子制御領域(Swiftら、1984、Cell 38:639-646;Ornitzら、1986、Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399-409;MacDonald、1987、Hepatology 7:425-515)、膵ベータ細胞において活性なインスリン遺伝子制御領域(Hanahan、1985、Nature 315:115-122)、リンパ細胞において活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedlら、1984、Cell 38:647-658;Adamesら、1985、Nature 318:533-538;Alexanderら、1987、Mol.Cell.Biol.7:1436-1444)、卵巣、乳房、リンパ及びマスト細胞において活性なマウス乳癌ウイルス制御領域(Lederら、1986、Cell 45:485-495)、肝臓において活性なアルブミン遺伝子制御領域(Pinkertら、1987、Genes and Devel.1:268-276)、肝臓において活性なアルファ-フェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlaufら、1985、Mol.Cell.Biol.5:1639-1648;Hammerら、1987、Science 235:53-58)、肝臓において活性なアルファ1-アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelseyら、1987、Genes and Devel.1:161-171)、骨髄細胞において活性なベータ-グロビン遺伝子制御領域(Mogramら、1985、Nature 315:338-340;Kolliasら、1986、Cell 46:89-94)、脳のオリゴデンドロサイト細胞において活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readheadら、1987、Cell 48:703-712)、骨格筋において活性なミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域(Sani、1985、Nature 314:283-286)、神経細胞において活性な神経細胞特異的エノラーゼ(NSE)(Morelliら、1999、Gen.Virol.80:571-83)、神経細胞において活性な脳由来神経栄養因子(BDNF)遺伝子制御領域(Tabuchiら、1998、Biochem.Biophysic.Res.Com.253:818-823)、星状膠細胞において活性なグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)プロモーター(Gomesら、1999、Braz J Med Biol Res 32(5):619-631;Morelliら、1999、Gen.Virol.80:571-83)及び視床下部において活性な性腺刺激放出ホルモン遺伝子制御領域(Masonら、1986、Science 234:1372-1378)が含まれるが、これらに限定されない。
加えて、挿入された配列の発現を調節する、または遺伝子産物を特定の望ましい方法で修飾及び処理する宿主細胞株を、選択することができる。特定のプロモーターによる発現を特定のインデューサーの存在下で上昇させることができ、これによって、遺伝子改変された融合タンパク質の発現を制御することができる。更に、異なる宿主細胞は、翻訳及び翻訳後の処理及び修飾(例えば、タンパク質のグリコシル化、リン酸化)において特徴的で特定の機構を有する。適切な細胞系または宿主系を選択して、発現された外来性タンパク質の望ましい修飾及び処理を確実にする。例えば、細菌系における発現は、非グリコシル化産物を産生し、酵母における発現は、グリコシル化産物を産生する。遺伝子産物の一次転写物を正確に処理する細胞機構(例えば、グリコシル化及びリン酸化)を有する真核宿主細胞を使用することができる。そのような哺乳類宿主細胞には、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、MDCK、HEK-293、3T3、WI38、NSO、特に、例えば、SK-N-AS、SK-N-FI、SK-N-DZヒト神経芽細胞腫(Sugimotoら、1984、J.Natl.Cancer Inst.73:51-57)、SK-N-SHヒト神経芽細胞腫(Biochim.Biophys.Acta、1982、704:450-460)、Daoyヒト小脳髄芽細胞腫(Heら、1992、Cancer Res.52:1144-1148)、DBTRG-05MGグリア芽細胞腫細胞(Kruseら、1992、In Vitro Cell.Dev.Biol.28A:609-614)、IMR-32ヒト神経芽細胞腫(Cancer Res.、1970、30:2110-2118)、1321 N1ヒト星状細胞腫(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1977、74:4816)、MOG-G-CCMヒト星状細胞腫(Br.J.Cancer、1984、49:269)、U87MGヒトグリア芽細胞腫-星状細胞腫(Acta Pathol.Microbiol.Scand.、1968、74:465-486)、A172ヒトグリア芽細胞腫(Olopadeら、1992、Cancer Res.52:2523-2529)、C6ラット神経膠腫細胞(Bendaら、1968、Science 161:370-371)、Neuro-2aマウス神経芽細胞腫(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1970、65:129-136)、NB41A3マウス神経芽細胞腫(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1962、48:1184-1190)、SCPヒツジ脈絡叢(Bolinら、1994、J.Virol.Methods 48:211-221)、G355-5、PG-4ネコ正常星状膠細胞(Haapalaら、1985、J.Virol.53:827-833)、Mpfフェレット脳(Trowbridgeら、1982、In Vitro 18:952-960)などの神経細胞系、ならびに、例えばCRL7030及びHs578Bstなどの、例えばCTX TNA2ラット正常大脳皮質(Radanyら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6467-6471)などの正常な細胞系が含まれるが、これらに限定されない。更に、異なるベクター/宿主発現系は、異なる程度で処理反応に影響を与えることができる。
組換えタンパク質の長期間で高収率の産生のため、安定した発現が多くの場合に好ましい。例えば、本発明の修飾重鎖及び軽鎖(例えば、抗体または融合タンパク質)を安定して発現する細胞系を、遺伝子工学的に操作することができる。ウイルスの複製起点を含有する発現ベクターを使用するかわりに、宿主細胞を、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位等)により制御されたDNA及び選択的マーカーを用いて形質転換することができる。外来性DNAを導入した後、改変細胞を富栄養培地において1~2日間増殖させ、次に、選択的培地に交換した。組換えプラスミドにおける選択的マーカーは選択に対する抵抗性を付与し、細胞が、プラスミドを染色体に安定して組み込み、増殖させて増殖巣を形成することを可能にし、次に細胞株へとクローン化させ増殖させることができる。
多数の選択系を使用することができ、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら、1977、Cell 11:223)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski、1962、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:2026)及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、1980、Cell 22:817)遺伝子を、tk-、hgprt-またはaprt-細胞にそれぞれ用いることができることが含まれるが、これらに限定されない。また、dhfr遺伝子の選択基準としてメトトレキセートに対して抵抗性を付与する(Wiglerら、1980、Natl.Acad.Sci.USA 77:3567;O'Hareら、1981、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527)、gpt遺伝子の選択基準としてミコフェノール酸に対する抵抗性を付与する(Mulligan & Berg、1981、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072)、neo遺伝子の選択基準としてアミノグリコシドG-418に対する抵抗性を付与する(Colberre-Garapinら、1981、J.Mol.Biol.150:1)及びhygro遺伝子の選択基準としてハイグロマイシンに対する抵抗性を付与する(Santerreら、1984、Gene 30:147)、抗代謝抵抗性を使用することができる。
重鎖及び軽鎖の同時発現
本明細書に記載されているヘテロ二量体の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖を、上記に示されたように、哺乳類細胞において同時発現させることができる。1つの実施形態において、1つの重鎖は、上記に記載されたLCCA設計セットの2つの異なる軽鎖と同時発現し、重鎖は、2つの軽鎖の一方と優先的に対合する。別の実施形態において、2つの特有の重鎖は、2つの特有の軽鎖と同時発現し、重鎖はそれぞれ軽鎖の一方と優先的に対合する。
ヘテロ二量体対の試験
上記に記載されたように、本明細書に記載されているヘテロ二量体対のうち少なくとも一方のヘテロ二量体は、ヘテロ二量体対の2つの特有の重鎖及び2つの特有の軽鎖が哺乳類細胞において同時発現するとき、第1のヘテロ二量体の重鎖が一方の軽鎖と優先的に対合するが他方とは対合しないように、一つまたは複数のアミノ酸修飾を免疫グロブリン重鎖及び/または免疫グロブリン軽鎖に含むことができる。同様に、第2のヘテロ二量体の重鎖は、第1ではなく第2の軽鎖と優先的に対合する。優先的対合の程度は、例えば、下記に記載されている方法を使用して評価することができる。ヘテロ二量体対のそれぞれのヘテロ二量体の対応する抗原への親和性を、下記に記載されているように試験することができる。ヘテロ二量体対のそれぞれのヘテロ二量体の熱安定性も、下記に記載されているように試験することができる。
優先的対合の測定方法
LCCA
1つの実施形態において、免疫グロブリン重鎖と軽鎖の優先的対合は、軽鎖競合アッセイ(LCCA)を実施することによって決定される。2013年10月3日出願の共有特許出願PCT/US2013/063306は、LCCAの様々な実施形態を記載しており、その全体が全ての目的において参照として本明細書に組み込まれる。方法は、同時発現タンパク質の混合物内の重鎖と特定の軽鎖との対合の定量分析を可能にし、重鎖及び軽鎖が同時発現するとき、1つの特定の免疫グロブリン重鎖が2つの免疫グロブリン軽鎖のいずれか一方と選択的に会合するかの決定に、使用することができる。方法を以下に簡潔に記載する。少なくとも1つの重鎖及び2つの異なる軽鎖を、重鎖が限定された対合反応対であるような比率で細胞に同時発現させ、場合により分泌タンパク質を細胞から分離し、重鎖に結合した免疫グロブリン軽鎖ポリペプチドを分泌タンパク質の残りから分離して、単離された重鎖対合画分を産生し、それぞれの異なる軽鎖の量を単離された重鎖画分において検出し、単離された重鎖画分におけるそれぞれの異なる軽鎖の相対量を分析して、少なくとも1つの重鎖が一方の軽鎖と選択的に対合する能力を決定する。
方法は、妥当な処理量を提供し、堅牢であり(すなわち、使用者または流速などの、実施における僅かな変化に対して感度が低い)、正確である。方法は、タンパク質配列における小さな変動の効果を測定することができる高感度アッセイを提供する。大きな面積にわたる不規則なタンパク質-タンパク質、ドメイン-ドメイン、鎖-鎖の相互作用は、通常、選択性を導入するために複数の突然変異(取り替え)を必要とする。タンパク質産物を単離及び精製する必要はなく、このことはより効率的な選別を可能にする。この方法の実施形態に関する更なる詳細は、実施例に記載されている。
優先的対合を決定する代替的な方法
優先的対合を検出する代替的方法は、分子量の差を使用してそれぞれ別個の種を特定し、それぞれ軽鎖を含む相対的なヘテロ二量体個体群を定量化するため、LC-MS(液体クロマトグラフィー・質量分析)を使用することを含む。抗原活性アッセイを使用して、それぞれ軽鎖を含有する相対的なヘテロ二量体個体群を定量化することもでき、測定される結合の程度(対照と比べた)を使用して、それぞれ対応するヘテロ二量体個体群を推定する。
SMCAなどの追加の方法が、実施例、図及び表に記載されている。
熱安定性
ヘテロ二量体の熱安定性は、当該技術に既知の方法に従って決定することができる。それぞれのヘテロ二量体の融解温度は、熱安定性を示す。ヘテロ二量体の融点は、示差走査熱量測定などの技術を使用して決定することができる(Chenら(2003)Pharm Res 20:1952-60;Ghirlandoら(1999)Immunol Lett 68:47-52)。あるいは、ヘテロ二量体の熱安定性は、円二色性を使用して測定することができる(Murrayら(2002)J.Chromatogr Sci 40:343-9)。
抗原への親和性
ヘテロ二量体の対応する抗原への結合親和性及び相互作用のオフ速度(off-rate)は、当該技術に周知の方法に従って競合結合アッセイにより決定することができる。競合結合アッセイの1つの例は、標識抗原(例えば、3Hまたは125I)と、目的の分子(例えば、本発明のヘテロ二量体)とを、増量の非標識抗原の存在下でインキュベートすること及び標識リガンドに結合した分子を検出すること、を含むラジオイムノアッセイである。本発明のヘテロ二量体の抗原への親和性及び結合オフ速度は、スキャッチャード分析による飽和データから決定することができる。
本明細書に記載されているヘテロ二量体の動力学パラメーターは、当該技術に既知の表面プラスモン共鳴(SPR)に基づいたアッセイ(例えば、BIAcore動力学分析)を使用して決定することもできる。SPRに基づいた技術の総説には、Mulletら、2000、Methods 22: 77-91;Dongら、2002、Review in Mol.Biotech.,82:303-23;Fivashら、1998、Current Opinion in Biotechnology 9:97-101;Richら、2000、Current Opinion in Biotechnology 11:54-61を参照すること。加えて、米国特許第6,373,577号、同第6,289,286号、同第5,322,798号、同第5,341,215号、同第6,268,125号に記載されているタンパク質-タンパク質相互作用を測定するSPR機器及びSPRに基づいた方法のいずれもが、本発明の方法に考慮される。FACSを親和性の測定に使用することもでき、当該技術において知られている。
二重特異性抗体突然変異設計セットのライブラリーを使用して、二重特異性抗体の所定のMab1及びMab2を生成する
1つの実施形態において、抗原結合フラグメントFab1及びFab2をそれぞれ含む2つの基本となる抗体Mab1及びMab2から出発して、二重特異性抗体を選択的に形成することを目的にした二重特異性抗体突然変異設計セットが、本明細書に記載される。設計セットは、Fab1、Fab2及びFcにそれぞれ対応する同族突然変異からなる。1つの実施形態において、設計セットライブラリーは、表5、表12または表15~17のいずれかに含まれる設計セットにより表される。突然変異は、Fab1の軽鎖及び重鎖の界面に導入されて、Fab2の競合する軽鎖及び重鎖の存在下で、2つの絶対的な鎖の選択的対合を達成する。選択的対合は、好ましい相補的突然変異を、界面の特定のホットスポットフレームワーク残基間の立体的、疎水的または静電的相補性に基づいて2つの絶対的な軽鎖及び重鎖に導入し、一方、これらの突然変異残基を、非絶対的な鎖対への好ましくない界面相互作用に関与させることによって、達成される。それぞれの設計セットにおいて、選択的対合突然変異を、Fab2の軽鎖及び重鎖の界面に導入して、Fab1の競合する軽鎖及び重鎖の存在下で、2つの絶対的な鎖の選択的対合を達成することもできる。突然変異は、Fab1の軽鎖とFab2の重鎖との誤対合及びその逆の誤対合も低減することを目的とする。突然変異は、重鎖の選択的対合を達成して、2つの異なる重鎖を含む非対称抗体分子を形成するために、Fc界面に導入される。抗体の軽鎖及び重鎖の特定の界面残基位置の遺伝子工学的な操作は、多くの場合に、その抗体の抗原結合親和性、安定性、可溶性、凝集特性等の喪失などの有害な作用をもたらし得る。kon及びkoff速度、融解温度(Tm)、酸、塩基、酸化、凍結/解凍、撹拌、圧力等のようなストレス条件に対する安定性などの、多数の関連する特性が影響を受け得る。これは、多くの場合、目的の抗体の相補性決定領域(CDR)によって影響を受ける。異なる抗体のCDRが一般に同一ではない場合、上記に記載された特性に対する突然変異設計セットの影響は、全ての抗体にわたって同じではないことがある。他の汚染物質含有の不正確に対合した抗体様構造に比べて際立つ純度を有する二重特異性抗体の所定の任意の2つの利用可能な抗体のMab1及びMab2を作り出す方法が、本明細書において提示される。Mab1及びMab2の軽鎖及び重鎖を、それぞれの突然変異設計セットの同族突然変異の導入後に同時発現させ、発現した抗体産物を分析的に選別し、タンパク質産物に発現した他のMab様種に対して、好ましい二重特異性抗体の純度を推定する。いくつかの実施形態において、分析的選別手順は、LC-MS技術に基づいていてもよい。いくつかの実施形態において、分析的選別手順は、毛細管等電点電気泳動(cIEF)技術またはクロマトグラフ技術などの電荷に基づいた分離に基づいていてもよい。選別技術の例は、SMCA手順に基づいた実施例9に提示されている。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体の際立った純度は、発現タンパク質産物において得られた全てのMab様種の70%を超えると定義される。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体の際立った純度は、発現タンパク質産物において得られた全てのMab様種の90%を超えると定義される。二重特異性Mab設計セットの所定のMab1及びMab2の調製及び選択の手順が、図12に概略的に示されている。
薬学的組成物
本発明は、本明細書に記載されているヘテロ二量体またはヘテロ二量体対を含む薬学的組成物も提供する。そのような組成物は、治療有効量のヘテロ二量体またはヘテロ二量体対及び薬学的に許容される担体を含む。特定の実施形態において、用語「薬学的に許容される」は、連邦もしくは州政府の規制当局により認可されたこと、または動物、とりわけヒトへの使用のための米国薬局方もしくは他の一般に認められた薬局方に提示されたことを意味する。用語「担体」は、希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを指し、それと共に治療薬が投与される。そのような薬学的担体は、水、及び滅菌液体ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油等などの石油、動物、植物または合成由来のものを含む、油であり得る。水は、薬学的組成物が静脈内投与されるとき、好ましい担体である。食塩溶液、ならびにデキストロース及びグリセロール水溶液を、特に注射用液剤の液体担体として用いることもできる。適切な薬学的賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、バクガ、コメ、コムギ、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が含まれる。望ましい場合、組成物は、微量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有することもできる。これらの組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末剤、持続放出製剤等の形態を取ることができる。組成物は、トリグリセリドなどの伝統的な結合剤及び担体により、坐剤として処方することができる。経口製剤は、医薬品等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム(sodium saccharine)、セルロース、炭酸マグネシウム等などの標準的な担体を含むことができる。適切な薬学的担体の例は、E.W.Martinによる"Remington's Pharmaceutical Sciences"に記載されている。そのような組成物は、治療有効量の化合物を、好ましくは精製された形態で、患者への正確な投与形態を提供するために適切な量の担体と一緒に含有する。製剤は、投与様式に適合するべきである。
ある特定の実施形態において、ヘテロ二量体またはヘテロ二量体対を含む組成物は、ヒトへの静脈内投与に適合した薬学的組成物における日常的な手順に従って処方される。典型的には、静脈内投与様の組成物は、滅菌等張水性緩衝液による液剤である。必要な場合、組成物は可溶化剤及び注射部位の痛みを和らげるためにリグノカインなどの局所麻酔薬を含むこともできる。一般に成分は、別々に、または単位剤形に一緒に混合して、例えば、活性剤の量を示すアンプルまたはサシェなどの気密封止容器に含有された凍結乾燥粉末または無水濃縮物として提供される。注入により投与される組成物の場合、医薬品等級の滅菌水または食塩水を含有する点滴ボトルにより分配することができる。組成物が注射により投与される場合、成分を投与前に混合できるように、注射用滅菌水または食塩水のアンプルを提供することができる。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載されている組成物は、中性または塩形態で処方される。薬学的に許容される塩には、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸等から誘導されるものなどのアニオンにより、及びナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等から誘導されるものなどのカチオンにより、形成されるものが含まれる。
治療用タンパク質の異常発現及び/または活性に関連する疾患または障害の治療、阻害及び予防に有効である、本明細書に記載されている組成物の量は、標準的な臨床技術によって決定することができる。加えてインビトロアッセイを、最適な投与量範囲の特定を助けるため、場合により用いることができる。処方に用いる正確な用量は、投与経路及び疾患または障害の重篤度によっても左右され、医師の判断及びそれぞれの患者の状況によって決定されるべきである。有効用量は、インビトロまたは動物モデル試験系から誘導される用量応答曲線から推定される。
ヘテロ二量体対の使用
上記に記載されたように、本明細書に記載されているヘテロ二量体対は、第1のヘテロ二量体及び第2のヘテロ二量体を含むことができ、それぞれのヘテロ二量体の免疫グロブリン重鎖及び/または免疫グロブリン軽鎖は、既知の治療用抗体から、または分子に結合する既知の抗体からの一つまたは複数の修飾を含む。したがって、これらの抗体に対する修飾を含むヘテロ二量体を、既知の治療用抗体または既知の抗体を使用できる同じ疾患、障害または感染の治療または予防に使用できることが考慮される。
別の実施形態において、本明細書に記載されているヘテロ二量体対を、癌、自己免疫性疾患、炎症性障害または感染症の治療または予防において当該技術に既知の他の治療剤と組み合わせて、有利に利用することもできる。特定の実施形態において、本明細書に記載されているヘテロ二量体対を、モノクローナルもしくはキメラ抗体、リンホカイン、または造血成長因子(例えば、IL-2、IL-3及びIL-7など)と組み合わせて使用することができ、このことは、例えば、分子と相互作用するエフェクターの数または活性を増加させること及び免疫応答を増加させることに役立つ。本明細書に記載されているヘテロ二量体対を、例えば、抗癌剤、抗炎症剤または抗ウイルス剤などの、疾患、障害または感染の治療に使用される一つまたは複数の薬物と組み合わせて有利に利用することもできる。
キット
本発明は、追加的に、一つまたは複数のヘテロ二量体対を含むキットを提供する。キットにおける個別の構成要素は、別々の容器に包装され、医薬品または生物学的製剤の製造、使用または販売を規制する行政当医局により規定された表示形態を、そのような容器に関連付けることができ、表示は、当局による製造、使用または販売の認可を反映している。キットは、ヘテロ二量体対の使用方法または投与レジメンを概説する使用説明書または指示書を、場合により含有することができる。
キットの一つまたは複数の構成要素が、溶液として、例えば水溶液または滅菌水溶液として提供されるとき、容器手段は、それ自体、吸入器、シリンジ、ピペット、点眼容器または他のそのような器具であることができ、それらから、溶液を対象に投与することができる、またはキットの他の構成要素に適用または混合することができる。
キットの構成要素を、乾燥または凍結乾燥形態で提供することもでき、キットは、凍結乾燥構成要素の再構成に適した溶媒を追加的に含有することができる。容器の数または種類に関わりなく、本発明のキットは、患者への組成物の投与を補助する器具を含むこともできる。そのような器具は、吸入器、鼻内噴霧器、シリンジ、ピペット、鉗子、計量スプーン、点眼容器または同様の医学的に認可された送達ビヒクルであり得る。
コンピューターによる実施
1つの実施形態において、コンピューターは、チップセットに結合した少なくとも1個のプロセッサーを含む。メモリー、記憶装置、キーボード、デバイス、グラフィックス・アダプタ、ポインティング装置及びネットワーク・アダプタも、チップセットに結合している。ディスプレイは、グラフィックス・アダプタに結合している。1つの実施形態において、チップセットの機能性は、メモリコントローラハブ及びI/Oコントローラハブにより提供される。別の実施形態において、メモリーは、チップセットではなくプロセッサーに直接結合している。
記憶装置は、ハード・ドライブ、コンパクト・ディスク読み取り専用メモリー(CD-ROM)、DVDまたは半導体メモリー装置のような、データを保持することができる任意の装置である。メモリーは、プロセッサーにより使用される指示及びデータを保持する。ポインティング装置は、マウス、トラック・ボールまたは他の種類のポインティング装置であることができ、キーボードと組み合わせて使用して、データをコンピューターシステムに入力することに使用される。グラフィックス・アダプタは、ディスプレイに画像及び他の情報を表示する。ネットワーク・アダプタは、コンピューターシステムを地域または広範囲のネットワークに結合する。
当該技術に知られているように、コンピューターは、前記のものと異なる構成要素及び/または他の構成要素を有することができる。加えて、コンピューターは、特定の構成要素を欠いていてもよい。さらに、記憶装置は、コンピューターに対して局所及び/または遠隔にありうる(例えば、ストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)内に組み入れられている)。
当該技術において知られているように、コンピューターは、本明細書に記載されている機能性を提供するために、コンピュータープログラムモジュール実行するように適合されている。本明細書に使用されるとき、用語「モジュール」は、特定の機能性を提供するために利用されるコンピュータプログラム論理を指す。したがって、モジュールは、ハードウエア、ファームウエア及び/またはソフトウエアによって実施することができる。1つの実施形態において、プログラムモジュールは、記憶装置に記憶されており、メモリーに装填され、プロセッサーにより実行される。
本明細書に記載されている例及び実施形態は、例示する目的のためだけのものであり、その観点から様々な修正または変更が当業者に示唆され、本出願の精神及び範囲の範囲内、ならびに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるべきであることが、理解される。
下記は、本発明を実施する特定の実施形態の例である。例は、例示する目的のためだけに提供され、本発明の範囲をいかようにも制限することを意図しない。使用される数値(例えば、量、温度等)に関する正確さを確実にするために努力がなされているが、幾らかの実験誤差及び偏差は、当然のことながら許容されるべきである。
本発明の実施は、特に示されない限り、当該技術の技能の範囲内のタンパク質化学、生化学、組換えDNA技術及び薬理学の従来の方法を用いる。そのような技術は、文献において完全に説明されている。例えば、T.E.Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company、1993);A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.、現行版);Sambrookら、Molecular Cloning:ALaboratory Manual(第2版、1989);Methods In Enzymology(S.Colowick及びN.Kaplan編、Academic Press,Inc.);Remington's Pharmaceutical Sciences,第18版(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company、1990);Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry第3版(Plenum Press)A及びB巻(1992)を参照すること。
実施例1:Fab界面の分子モデル形成及びコンピューター誘導操作
構造及びコンピューター分子モデル形成誘導手法を使用して、他の抗体(Ab)またはそのフラグメントの文脈において選別することができる重鎖及び軽鎖突然変異設計のライブラリーを生成して、目的の抗体において望ましい特異性を示す突然変異を特定した。優先的な重鎖(H)-軽鎖(L)対合を操作する設計戦略は、最初に代表的なFab(すなわち、D3H44)を特定することを含んだ。
表1に示されているように、このFabの主な判断基準は、ヒトである/ヒト化されていること、一般に使用されるVH及びVL部分群を有すること及び最小のフレームワーク領域突然変異を含有することであった。加えて、構造的な考慮は、VH:VLドメイン間角度が抗体において観察される平均に近いものであるべきであることであった。Fab D3H44を選択した後、Fab界面のコンピューター分析を実施して、重鎖と軽鎖の相互作用に重要な残基を二股手法の使用により特定及び理解した。
Fab可変及び定常界面にわたる配列保存の網羅的分析を伴う第1の手法は、既知の抗体の配列及び構造の整列を介して実施した。様々な抗体部分群の定常及び可変ドメイン配列の整列を、図1に示す。図1Aは、代表的なヒトVH生殖系部分群の整列を示す。図1Bは、代表的なヒトカッパVL生殖系部分群の整列を示す。図1Cは、代表的なヒトラムダVL生殖系部分群の整列を示す。図1Dは、ヒトCH1対立遺伝子配列の整列を示す。図1Eは、ヒトカッパ及びラムダ対立遺伝子配列の整列を示す。第2の手法は、図2に示されているように、多数の分子モデル形成ツール(例えば、ResidueContacts(商標))を使用するD3H44結晶構造界面の分析を伴った。これらの分析は、優先的なH-L対合を遺伝子工学的に操作するためのホットスポット位置のリストの特定をもたらした。これらの分析において決定されたホットスポット位置を、表2に列挙する。これらの位置及びアミノ酸は、主に(いくつかはCDR3ループに位置していることを除いて)フレームワーク残基であり、また大部分は、ラムダL鎖に保存されている。Kabat番号付けを有する親D3H44配列のアミノ酸が、表3a~3bに提示されている。
次に、三次元結晶構造におけるホットスポット位置と目的のホットスポットに隣接する位置の可能性のある突然変異を、Zymepack(商標)によるコンピューター突然変異誘発及び詰め込み/モデル形成を介して模擬及び特定した。Zymepack(商標)は、投入構造及び突然変異のセットが与えられると、供給された突然変異に従って投入構造の残基の種類を変更し、突然変異タンパク質の物理的構造に近似する新たな構造を生成する、ソフトウエアスイートである。加えて、Zymepackは、様々な定量的メトリクスを計算することによって、突然変異タンパク質の特性を評価する。これらのメトリクスには、立体的及び静電的相補性の測定が含まれ、これは、突然変異タンパク質の安定性、結合親和性またはヘテロ二量体特異性と相関し得る。
図3は、可変ドメインの重鎖及び軽鎖界面におけるホットスポット位置のサブセットを表し、突然変異をこれらの界面位置にどのように導入して、絶対的な鎖の選択的対合を推進し、同時に不正確な鎖対合の形成を退けるようにするかを実証している。Zymepack(商標)を含むコンピューターによる方法を使用して、立体相補性をモデル形成し、また、ファンデルワールス詰め込み、空洞化効果及び疎水性基との緊密な接触などのエネルギー要素に基づいて計算した。同様に、静電相互作用エネルギーをモデル形成し、電荷、水素結合及び脱溶媒和効果のクーロン相互作用に基づいて評価した。目的の突然変異の導入により得られたH1:L1(またはH2:L2)などの好ましい重鎖及び軽鎖対モデル及びH1:L2(及びH2:L1)などの不正確な対モデルの両方を模擬して、相対的な立体及び静電スコアを計算した。このことは、特定の突然変異セットが、不正確(非絶対)対と比べて、好ましい(絶対)重鎖-軽鎖対に優位なエネルギー、すなわち、より大きな立体的及び/または静電的相補性をもたらすかの決定を可能にした。計算された立体及び静電エネルギーは、軽鎖及び重鎖対合に関連する自由エネルギーの構成要素である。したがって、より大きな立体及び静電相補性は、非絶対的な対の対合と比べて、絶対的な対の対合に関連するより大きな自由エネルギーを示す。より大きな立体及び静電相補性は、非絶対的な対と比べて、絶対的な重鎖及び軽鎖の優先的(選択的)対合をもたらす。
実施例2:設計の選択及び記載
実施例1に記載された手法を使用して、選択的又は優先的対合を示す重鎖-軽鎖ヘテロ二量体対(すなわち、H1-L1及びH2-L2)を設計した。ヘテロ二量体は対で設計され、「設計」または「設計セット」と呼ばれ、優先的対合を促進するH1、L1、H2及びL2鎖に置換のセットを含む(表5)。設計セットは、相対的対合を評価するため、1つの重鎖が2つの軽鎖と同時発現する「LCCA設計」(表4)として最初に試験した。アミノ酸置換は、Kabat番号付け系を使用して、表3a、3bを参照することによって特定される。
国際特許出願PCT/CA2013/050914の表30に記載されている設計ライブラリーを出発点として使用して、表4に示されているLCCA設計及び表5に示されている設計セットのいくつかを特定した。表4及び表5の設計のいくつかは、新たな独立した設計である。コア設計が、関連する特有の識別子を伴って表6に示されている。大部分の設計は、定常領域のみの範囲であるが、いくつかの設計は、可変領域にも修飾を組み込んでいる。これらの設計は、対合特異性を更に誘導し、同時に他の抗体系への好都合な移行可能性もあることが提案された。
誘導された設計において、国際特許出願PCT/CA2013/050914の表30に記載されている設計のライブラリーを出発点として使用し、設計を構造類似性によってクラスター化し、示差走査熱量測定(DSC)により測定した対合特異性の強度、抗原結合の効果及び安定性に基づいてランク付けした。次に設計を組み合わせ(例えば、表7を参照すること)及び/または最適化して(例えば、表8及び表9を参照すること)、誘導された設計を生じた。組み合わせでは、少なくとも1つの設計が高い対合特異性を示し、他の設計は一連の好ましい対合特異性を示した。組み合わせ及び/または最適化に選択された設計は、全て、抗原結合に対して最小の影響を示し/影響を全く示さず、融解温度(Tm)に対して最小の影響を示した/影響を全く示さなかった。
独立した設計を単独で(表5の設計型の縦列に独立と分類されている)、また、誘導された設計と組み合わせて(表5の設計型の縦列に独立/組み合わせと分類されている。表10も参照すること)を試験した。
設計をD3H44の分子モデルに詰め込み、メトリクスを(実施例1に記載されたように)計算した。次に上位の設計を、危険性(安定性と免疫原性に対するありうる影響)及びインパクト(対合特異性を誘導する提案された強度を考慮する)に基づいて選択した。これらの上位設計を表5に示す。
実施例3:D3H44 IgG重鎖及びD3H44 IgG軽鎖をコードするFab構築物の調製
抗組織因子抗体D3H44の野生型Fab重鎖及び軽鎖を以下のように調製した。D3H44 Fab軽鎖(AJ308087.1)及び重鎖(AJ308068.1)配列をGenBankから取り(表3c)、遺伝子を合成し、コドンを哺乳類発現のために最適化した。5'-EcoRI切断部位-HLA-Aシグナルペプチド-HAまたはFLAGタグ-軽鎖Igクローン-'TGAストップ'-BamH1切断部位-3'からなる軽鎖ベクター挿入物を、pTT5ベクターに連結した(Durocher Yら,Nucl.Acids Res.2002;30,No.2e9)。得られたベクター+挿入物を配列決定して、コードDNAの正確なリーディングフレーム及び配列を確認した。同様に、5'-EcoR1切断部位-HLA-Aシグナルペプチド-重鎖クローン(T238において終止、表3aを参照すること)-ABD2-His6タグ-TGAストップ-BamH1切断部位-3'からなる重鎖ベクター挿入物を、pTT5ベクター(ABD、アルブミン結合ドメイン)に連結した。また、得られたベクター+挿入物を配列決定して、コードDNAの正確なリーディングフレーム及び配列を確認した。設計セットのためのアミノ酸置換を含有する様々なFab D3H44構築物を、遺伝子合成により、または部位指定突然変異誘発により生成した(Braman J,Papworth C & Greener A.,Methods Mol.Biol.(1996)57:31-44)。
競合アッセイSPR選別による優先的対合の評価を推進するため、重鎖及び軽鎖のC末端及びN末端にそれぞれタグ付けした。ABD2-His6重鎖タグは、H-L複合体が抗HisタグSPRチップ表面において捕捉されること特定的に可能にし、一方、FLAG及びHA軽鎖タグは、相対的L1及びL2個体群の定量化を可能にした。
実施例4:D3H44 IgG軽鎖及び/または重鎖に定常ドメイン修飾または定常及び可変ドメイン修飾の組み合わせのいずれかを含むFabヘテロ二量体の優先的対合の評価
表12のLCCA設計セットのアミノ酸修飾を含むFabフォーマットにおけるD3H44 IgG重鎖及び軽鎖をコードする構築物を、実施例3に記載されたとおりに調製した。優先的に対合して、LCCA設計セット(H1、L1、L2)の文脈において望ましいH1-L1ヘテロ二量体を形成する構築物の能力を、軽鎖競合アッセイ(LCCA)の使用により決定した。
LCCAは、1つの重鎖と少なくとも2つの特有の軽鎖との相対的対合を定量化し、以下のようにまとめることができる。1つのD3H44重鎖Fab構築物を2つの特有のD3H44軽鎖Fab構築物と同時発現させ、相対的な軽鎖対合特異性(例えば、H1-L1:H1-L2)を競合アッセイ-SPR選別によって決定し、これを2回実施した。L1(H鎖と優先的に対合するように設計された)の量をL2と比較して低減させ(例えば、重量に基づいてL1:L2=1:3)、一方、重鎖を限定量(すなわち、H1:L1+L2を1:3)に保持することによって、LCCA選別比を偏らせて、強力なドライバー(driver)を特定した。形成されたそれぞれのヘテロ二量体(すなわち、H1-L1及びH1-L2)の量を、Hisタグのプルダウンを介したSPRチップへの重鎖の結合、続くこれらのタグに特異的な抗体を使用したそれぞれの軽鎖タグ(HAまたはFLAG)の量の検出によって、決定した。続いて、選択されたヘテロ二量体のヒットを軽鎖競合アッセイの検証を介して検証し、これによると、L1:L2のDNA比は、形質移入の際に1:3及び1:9で変動しており、一方、重鎖は限定された量に保持された。軽鎖タグ(HAまたはFLAG)は、D3H44系においてLCCA対合に影響を与えないことにも留意すること(国際特許出願PCT/CA2013/050914の実施例10を参照すること)。このアッセイの設計の概略図を、図4に示す。図5は、重鎖及び軽鎖がどのようにタグ付けされ、優先的な対形成がどのように評価されるかを示す。LCCAの実験の詳細を下記に提供する。
形質移入方法
実施例3に記載されたとおりに調製された、1つの重鎖及び2つの軽鎖の構築物を含むLCCA設計を、CHO-3E7細胞に以下のように形質移入した。CHO-3E7細胞を、4mMのグルタミン及び0.1%のKoliphorP188(Sigma #K4894)を補充したFreeStyle(商標)F17培地(Invitrogenカタログ番号A-1383501)において、1.7~2×106細胞/mlの密度により、37℃で培養した。総量の2mlに対し、PEI-pro(Polyplus形質移入番号115-375)の使用により、DNA:PEI比=1:2.5で、合計2μgのDNAにより形質移入した。DNA-PEI混合物を添加した24時間後、細胞を32℃に移した。上澄みを、非還元SDS-PAGE分析により7日目に発現について試験し、続いてクーマシーブルー染色により、バンドを可視化した。H:L比は、表11に示されているとおりである。
競合アッセイSPR方法
LCCA設計におけるD3H44重鎖への優先的D3H44軽鎖対合の程度を、それぞれの軽鎖のN末端に位置する特有のエピトープタグのSPRに基づいた読み取りの使用により評価した。
表面プラスモン共鳴(SPR)の供給。GLCセンサーチップ、Biorad ProteOnアミンカップリングキット(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)、N-ヒドロキシスルホスクシンイミド(sNHS)及びエタノールアミン)、ならびに10mMの酢酸ナトリウム緩衝液は、Bio-Rad Laboratories(Canada)Ltd.(Mississauga,ON)から購入した。4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)緩衝液、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びNaClは、Sigma-Aldrich(Oakville,ON)から購入した。10% Tween20溶液は、Teknova(Hollister,CA)から購入した。
SPRバイオセンサーアッセイ。全ての表面プラスモン共鳴アッセイは、BioRad ProteOn XPR36器具(Bio-Rad Laboratories(Canada)Ltd.(Mississauga,ON))をPBSTランニングバッファー(running buffer)(PBS、Teknova Inc、0.05% Tween20を伴う)と共に25℃の温度で使用して実施した。抗ペンタHis捕捉表面を、分析物(水平)方向に100μL/分で140秒間注入した標準BioRad sNHS/EDC溶液の1:5希釈液により活性化されたGLMセンサーチップを使用して、生成した。活性化した直後、10mMのNaOAc、pH4.5中の抗ペンタHis抗体(Qiagen Inc.)の25μg/mLの溶液を、分析物(水平)方向に25μL/分の流速で、およそ3000共鳴単位(RU)が固定化されるまで注入した。残りの活性基を、分析物方向に100μL/分の流速で1Mのエタノールアミンを140秒間注入することにより停止させ、このことは、偽活性化インタースポット(interspot)がブランク参照のために作り出されることも確実にした。
抗FLAG(Sigma Inc.)及び抗HA(Roche Inc.)モノクローナル抗体への結合についてのヘテロ二量体の選別を2つのステップで行った。抗ペンタHis表面へのヘテロ二量体のリガンド方向での間接的捕捉、続いて、抗FLAG及び抗HAの分析物方向での注入である。最初に、リガンド方向での100μL/分の30秒間のPBSTの1回の注入を、ベースラインの安定化に使用した。それぞれのヘテロ二量体の捕捉では、細胞培養培地中の非精製ヘテロ二量体を、PBSTにより4%に希釈した。1~5つのヘテロ二量体または対照(すなわち、100%のHA軽鎖もしくは100%のFLAG軽鎖を含有する対照)を、個別のリガンドチャンネルに流速25μL/分で240秒間同時に注入し、飽和ヘテロ二量体捕捉のおよそ300~400RUを抗ペンタHis表面にもたらした。第1のリガンドチャンネルを空のままにして、必要に応じてブランク対照として使用した。このヘテロ二量体捕捉ステップの直後に、2つの緩衝液の分析物方向への注入が続いて、ベースラインを安定化させ、次に、5nMの抗FLAG及び5nMの抗HAを、それぞれ、180秒間の解離段階を伴って、50μL/分により120秒間注入し、これを2回繰り返し、捕捉されたヘテロ二量体のそれぞれに関して、緩衝液基準を用いる一組の結合センサーグラムをもたらした。ヘテロ二量体が結合する組織因子(TF)抗原も、最後に残った分析物チャンネルに活性対照として注入した。ヘテロ二量体を、0.85%のリン酸の18秒間のパルスにより100μL/分で18秒間再生して、次の注入サイクルのために抗ペンタHis表面を調製した。センサーグラムを、緩衝液ブランク注入及びインタースポットの使用により整列及び二重参照し、得られたセンサーグラムを、ProteOn Managerソフトウエアv3.0の使用により分析した。
結果
LCCAの結果を表12、13a及び14aに示す。表13及び14において、「特有の識別子」は、2つの構成LCCAの特有の識別子がいずれかの配向((H1L1L2のセット番号-H2L2L1のセット番号)または(H2L2L1のセット番号-H1L1L2のセット番号))であり得るので、表5と正確に一致しないことがあり得ることに留意すること。それぞれのLCCA設計の優先的対合の評価を、表12の後ろの3つの縦列に示す。また同じデータが、表13a及び14aの縦列5、6及び8または10、11及び13に設計対の文脈で含まれる。H1、L1及びL2突然変異のそれぞれの特有のセット(LCCA設計)には、特有の番号または「セット番号」(例えば、9567もしくは9087)を割り当てた。データがH1L1H2L2フォーマット(Fab対フォーマットまたは設計セット)により表されるとき、したがってそのような設計セットは、2つの構成LCCA(例えば9567-9087)のセット番号から構成される「特有の識別子」によって示される。大部分のLCCA実験を、定常ドメインに位置する鎖間Fabジスルフィド結合を含有する構築物(H/C233-L/C214、Kabat番号付け)において実施したことに留意すること。表13(a及びb)ならびに14(a及びb)において、優先的対合に関して成功した特定の設計を強調する目的で、2つの相補的LCCAセット(H1、L1、L2及びH2、L2、L1)は、Fab対フォーマットで表されている。タグの存在(L鎖:HA及びFLAG、ならびにH鎖:ABD2-His6)は、D3H44 WTでの約50%:50%の予測された中立的対合に影響を与えなかった。
この表において、報告されたLCCAデータは、L1:L2DNA比=1:1に正規化された比率フォーマット(H1-L1:H1-L2及びH2-L2:H2-L1)の中央値である。更に、いくつかの変種において、L1及びL2の総量が100%から有意に異なることが観察されたので、LCCAデータを100%に正規化した。総軽鎖率におけるこの差異は、SPRチップにおける初期ヘテロ二量体捕捉の際に、非特異的結合の変動が発生することに部分的に起因すると考えられる。LCCA実験が2つの異なるL1:L2DNA比(それぞれ1:3及び1:9のL1:L2)で実施されたので、両方のLCCA正規化比率が表に提示されている。LCCAデータは、得られた実験データが算入の判断基準を満たさなかった(例えば、SPRチップのFab捕捉が、100未満であった、またはL1及びL2のLCCA総量が60~140の範囲外であった)ので、いくつかのLCCA実験について報告しなかった。
表12は、データが得られたLCCA設計(530個)の全てを網羅する。530個のLCCA設計のうち、これらのLCCAの490個(92.5%)は、L1:L2DNA比=1:3及び1:9の両方を考慮して、少なくとも60%の正確な対合(L1:L2DNA比=1:1に正規化)を有した。残りのLCCA設計は、主に中立であるLCCA設計的(32個/530個または6.0%)、ならびに一貫性のない結果を生じた少ない割合のLCCA設計(8個/530個または1.5%)を含んだ。表12に示されている設計は、主に静電的なもの(水素結合または電荷-電荷相互作用を利用する特異的ドライバーに基づいたもの)であり、いくつかの設計は、立体相補性及び/または鎖間共有ジスルフィド結合も含む。いくつかの設計は、天然の鎖間ジスルフィド結合の不在下での新たなジスルフィド結合(H/C233-L/C214により形成された)の形成のための突然変異も含んだ。
表13(a及びb)ならびに14(a及びb)は、LCCAデータが設計セットの両方のヘテロ二量体に存在する447個の設計を網羅する。表13a及び14aは、実施例1に記載されたコンピューター手法が、多様な設計セット及びこれらの変種にわたって、H1-L2よりもH1-L1の優先的対合及びH2-L1よりもH2-L2の優先的対合の達成をもたらしたことを実証している。
表13(a及びb)は、Fabヘテロ二量体の対合:誤対合が少なくとも86:14である、平均LCCA性能を有する設計を網羅し(L1:L2比の正規化中央値はH1-L1:H1:L2及びH2-L2:H2-L1では1:1である)、一方、表14(a及びb)は、Fabヘテロ二量体の対合:誤対合が86:14未満である、平均LCCA性能を有する設計を網羅する。それぞれのLCCAの性能を100%に正規化し、同様にL1:L2DNA比を1:1に正規化し(この実施例の上に記載されている)、両方のスカラー値((ln(r1/f1)またはln(r2/f2))により記載し、ここで、r1及びr2は、実験比でH1L1:H1L2及びH2L2:H2L1の中央値にそれぞれ相当し、f1及びf2は、対応する実験比に相当する)、対合と誤対合のFabヘテロ二量体の比により記載する。それぞれの設計は、関連する平均LCCA性能スカラー値(0.5(ln(r1/f1)+ln(r2/f2)))も有し、これらも、100%に正規化され、同様にL1:L2DNA比も1:1に正規化される(この実施例の上に記載されている)。更に、設計のそれぞれのLCCA(H1L1:H1L2及びH2L2:H2L1に対応するLCCA1及びLCCA2)のスカラー範囲を示す。447個のMab設計の内354個(79.2%)は、少なくとも86:14である平均LCCA性能を示す(表13a及びb)。表13(a及びb)における設計を、設計の類似性に基づいた13のクラスターに更に特徴付けた。それぞれのクラスター内の設計を最高から最低の平均LCCA性能スカラー値によって配列した。
加えて、表13aにおけるLCCAデータも、図7にグラフ表示した。図7は、各クラスターにおいて、Fabヘテロ二量体の対合:誤対合が少なくとも86:14である、平均LCCA性能値の箱髭図を示す。箱髭図の下部は、第1の四分位数(Q1)を示し、これは、第1の四分位数を下回る値がデータの最低25%を示すように、最小値と中央値の中間平均LCCA性能値である。箱髭図内の水平バーは、第2の四分位数を示し、これは、クラスターの中央平均LCCA性能値である。箱髭図の最上部は、第3の四分位数(Q3)を示し、これは、第3の四分位数を上回る値がデータの最高25%を示すように、最大値と中央値の中間平均LCCA性能値である。四分位数間領域は、Q3とQ1の差である。垂直に両方向へ伸びている髭線(whiskers)は、両方ともQ1-(1.5*IQR)またはQ3+(1.5*IQR)内にある値のデータ範囲を示す。髭線を止める(cap)水平バーは、範囲内の最大及び最長値を示す。箱髭図プロットを外れて存在するデータ及び髭線は、外れ値と特定され、中央外れ値は点線により示され(Q1またはQ3と1.5*IQR~3*IQR異なる)、極限外れ値は、+符号により示されている(Q1またはQ3と3*IQRを超えて異なる)。
実施例5:生物物理的特徴決定の大規模化
特有の識別子セット(表5)により示された正確に対合したヘテロ二量体を、熱安定性及び抗原結合について試験するため、以下のように大規模化し(典型的には20ml)、精製した。ヘテロ二量体の重鎖及び軽鎖を、CHO-3E7細胞の20mlの培養物において発現させた。CHO-3E7細胞を、4mMのグルタミン及び0.1%のKoliphor 188(Sigma #K4894)を補充したFreeStyle(商標)F17培地(Invitrogenカタログ番号A-1383501)において、1.7~2×106細胞/mlの密度により、37℃で培養した。総量の20mlに対し、PEI-pro(Polyplusカタログ番号115-375)の使用により、DNA:PEI比=1:2.5で、合計20μgのDNAにより形質移入した。DNA-PEI混合物を添加した24時間後、細胞を32℃に移した。
細胞を形質移入の7日後に遠心分離し、ヘテロ二量体をハイスループットニッケル親和性クロマトグラフィー精製により、上澄みから、以下のように精製した。上澄みを、平衡緩衝液(カルシウム、マグネシウム及びフェノールレット(HyClone(商標)番号SH30028.02を有さないダルベッコ-リン酸緩衝食塩水(DPBS))により20~25%細胞培養上澄みに希釈し、次に、予め平衡緩衝液に平衡にもしてある、HisPur(登録商標)Ni-NTA樹脂(Thermos Scienctific番号PI-88222)と混合しながら12時間インキュベートした。次に樹脂を遠心分離により収集し、96ウエルフリットプレートに移し、平衡緩衝液で3回洗浄し、HIS-Select(登録商標)溶出緩衝液(Sigma-Aldrich番号H5413)を使用して溶出した。
精製した後、ヘテロ二量体発現を、Caliper LabChip GXII(Perkin Elmer番号760499)を使用する非還元的High Throughput Protein Expressアッセイにより評価した。手順は、以下の変更と伴って、HT Protein Express LabChip User Guide version2 LabChip GXII User Manualに従って実施した。ヘテロ二量体試料を、2μlまたは5μlのいずれか(濃度範囲5~2000ng/μl)により、96ウエルプレート(BioRad番号HSP9601)の別々のウエルに、7μlのHT Protein Express Sample Buffer(Perkin Elmer番号760328)と共に加えた。次にヘテロ二量体試料を70℃で15分間変性した。LabChip器具を、HT Protein Express LabChip(Perkin Elmer番号760499)及びAb-200アッセイ設定の使用により作動した。使用後、チップをMilliQ水により清浄化し、4℃で保存した。
実施例6:DSFによるFabヘテロ二量体の熱安定性の測定
熱安定性を評価するため、示差走査蛍光測定(DSF)を、ハイスループット方法として使用して、野生型の非修飾重鎖-軽鎖対と比較して、正確に対合したヘテロ二量体を全て選別した。ヘテロ二量体は、実施例5に記載されたとおりに調製した。
熱安定性の測定
全てのヘテロ二量体対の熱安定性は、DSFを使用して以下のように測定した。それぞれのヘテロ二量体を実施例5に記載されたように精製し、DPBS(HyCloneカタログ番号SH30028.02)により0.5mg/mLに希釈した。大部分の試料において、Sypro Orangeゲル染色(Life Technologiesカタログ番号S-6650)の作業溶液(working stock)は、4μLのSypro Orangeゲル染色を2mlのDPBSに希釈することによって調製した。DSF試料は、14μLの0.5mg/mLタンパク質を60μLの希釈Sypro Orangeゲル染色作業溶液に加えることによって調製した。しかし、0.5mg/mL未満のタンパク質では、それぞれのDSF試料は、14μLの非希釈タンパク質を60μlのSypro Orange色素作業溶液(DPBSにより1:1500に希釈された)に加えることによって調製した。次にDSF分析を、Rotor-Gene 6000 qPCR器具(QiaGen Inc)の使用により20μlのアリコートで2回実施した。それぞれの試料を、それぞれのステップにおいて10秒間の平衡及び出発時に30秒間の待機時間を有する1℃の間隔を使用して、30℃から94℃で走査した。9のゲインを有する470nMの励起フィルター及び610nMの発光フィルターを使用した。データは、Tmの変性曲線の第1の微分係数からの最大値を使用して、Rotor-Gene 6000ソフトウエアにより分析した。残りのDSF試料は、測定したTm値を変更しない以下のプロトコール改変により同様に調製及び分析した。1)作業溶液は、1μLのSypro Orangeゲル染色を2mlのDPBSに希釈することによって調製した。2)30μlのアリコートを分析した。3)10のゲインを使用した。
DSFの結果を表12、13b及び14bに示す。LCCA設計の文脈におけるH1:L1 Fabの熱安定性(DSF値及び野生型と比較したDSF値)を、表12の縦列3及び4に示す。また同じDSF値が、表13b及び14bの縦列7及び8に設計対の文脈で含まれる。反復が実施されるそれぞれのFabヘテロ二量体において、報告されたTm値は、中央値である。Fabヘテロ二量体のTm値と、野生型Fabヘテロ二量体のTm値(Tm中央値の81.0℃を有する、HAタグを含有する野生型Fab構築物)との比較を、H1L1_dTm_dsfの縦列に報告する。天然の鎖間ジスルフィド結合(H鎖C233とL鎖C214の間)を欠いているいくつかのFabヘテロ二量体では、H1L1_dTm_dsf値は、自然の鎖間ジスルフィドを欠いている対応する野生型Fabを評価しなかったので、決定されなかったことに留意すること。また、いくつかのFabヘテロ二量体は、対応する実験の質(例えば、低収率、低強度、部分的に遮蔽されたピーク及び1℃を超えたFabヘテロ二量体の反復間の変動性)に起因して、Tm値が報告されなかった(17個/230個つまり7.4%のFebヘテロ二量体)ことに留意すること。これらのFabヘテロ二量体のいくつかにおいて、結合L鎖タグ(HAまたはFLAG)の存在/不在または素生のみが異なる類似したFabヘテロ二量体のTm値に相当する推定Tm値が、代わりに報告された。推定Tm値では、対応する野生型Tm値(81.2℃)は、全ての野生型Fabヘテロ二量体構築物(すなわち、HAタグまたはFLAGタグを含有するFab構築物)から得た中央値である。HAまたはFLAGタグは、野生型Fabヘテロ二量体のTm値に有意な影響を与えない。全体的に、Fabヘテロ二量体はWTと比較して類似したTm値を示した。天然の鎖間ジスルフィドを含有し、DSFデータが利用可能でもあるFabヘテロ二量体のうち、93%(195個/209個)のFabヘテロ二量体が、WTと比べて3℃以下の損失を示した。更に、最大の影響を受けたFabヘテロ二量体は、WTと比べて6.5℃の損失を示した。表12は、Tmランクが減少する順番でLCCA設計を網羅する。
更に、Fabヘテロ二量体の安定性を一般に改善する13個のアミノ酸置換が、特定された(表34を参照すること)。安定化突然変異は、安定化突然変異を含むFabヘテロ二量体と、安定化突然変異が不在であることが異なる類似したFabヘテロ二量体との比較の後に特定した。重鎖安定化突然変異には、A125R、H172R、L143F、Q179D、Q179E、Q39R、S188L及びV190Fが含まれる。軽鎖安定化突然変異には、Q124E、Q124R、Q160F、S176L及びT180Eが含まれる。全体的に、安定化突然変異は、安定性を0.4℃~2.1℃増加させた。重鎖安定化突然変異A125R、H172R、L143F、Q179D、Q179E、Q39R、S188L及びV190Fは、安定性をそれぞれ、0.4℃~0.6℃、0.4℃~2.1℃、0.4℃、0.5℃~0.6℃、0.5℃~0.8℃、1.1℃~1.6℃、0.4℃~1.2℃及び1℃増加させた。軽鎖安定化突然変異Q124E、Q124R、Q160F、S176L及びT180Eは、安定性をそれぞれ0.4℃~0.5℃、0.8℃~0.9℃、0.6℃、0.4℃~1.0℃及び0.5℃増加させた。
実施例7:Fabヘテロ二量体の抗原親和性の測定
Fabヘテロ二量体の、組織因子に結合する能力を、アミノ酸置換がヘテロ二量体の抗原に結合する能力に任意の作用を有するかを決定するために評価した。それぞれのFabヘテロ二量体の組織因子への親和性は、SPRにより以下のようにして決定した。
SPR供給。GLCセンサーチップ、Biorad ProteOnアミンカップリングキット(EDC、sNHS及びエタノールアミン)、ならびに10mMの酢酸ナトリウム緩衝液は、Bio-Rad Laboratories(Canada)Ltd.(Mississauga,ON)から購入した。0.05%のTween20(PBST)を伴うPBSランニングバッファーは、Taknoca Inc.(Hollister,CA)から購入した。
Fabヘテロ二量体のバッチ。精製されたFabヘテロ二量体を、3つのバッチであるA、B及びCにおいて試験した。バッチA及びBは、SPRアッセイを実施する前に、4℃でおよそ1か月間保存し、一方、バッチCのFabヘテロ二量体は、SPRアッセイを実施する前に、4℃でおよそ2か月間保存した。バッチCのFabヘテロ二量体は、表12において対応するKD値の隣に「+」を付けた。
全ての表面プラスモン共鳴アッセイは、BioRad ProteOn XPR36器具(Bio-Rad Laboratories(Canada)Ltd.(Mississauga,ON))をPBSTランニングバッファー(running buffer)と共に25℃の温度で使用して実施した。抗ペンタHis捕捉表面を、分析物(水平)方向に100μL/分で140秒間注入した標準BioRad sNHS/EDC溶液の1.5希釈液により活性化されたGLCセンサーチップを使用して、生成した。活性化した直後、10mMのNaOAc、pH4.5中の抗ペンタHis抗体(Qiagen Inc.)の25μg/mLの溶液を、分析物(水平)方向に25μL/分の流速で、およそ3000共鳴単位(RU)が固定化されるまで注入した。残りの活性基を、分析物方向に100μL/分の流速で1Mのエタノールアミンを140秒間注入することにより停止させ、このことは、偽活性化インタースポット(interspot)がブランク参照のために作り出されることも確実にした。
TF抗原に結合するFabヘテロ二量体の選別を、2ステップで行った。リガンド方向での抗ペンタHis抗体表面へのFabヘテロ二量体の間接的な捕捉、続く、分析物方向での二重参照のための、5つの精製抗原濃縮物と1つの緩衝液ブランクの同時注入である。最初にベースラインを、1つの緩衝液のリガンド方向での100uL/分による30秒間の注射により安定化した。PBST中3.4μg/mlの濃度の1~5つの変種または対照を、個別のリガンドチャンネルに25μL/分の流速で240秒間同時注入した。これは、バッチA及びBでは、およそ1000RUの平均捕捉を抗ペンタHis表面にもたらし、バッチCでは、およそ600RUの平均捕捉を抗ペンタHis表面にもたらした。第1のリガンドチャンネルを空のままにして、必要に応じてブランク対照として使用した。この捕捉ステップの直後に、分析物方向での100μL/分で30秒間の2つの緩衝液注入がそれぞれ続いて、ベースラインを安定化し、次に、60nM、20nM、6.7nM、2.2nM及び0.74nMの抗原(TF)を、緩衝液ブランクと共に、600秒間の解離段階を伴って、50μL/分で120秒間同時に注入した。捕捉抗体表面を、2回、0.85%のリン酸の18秒間のパルスにより100μL/分で18秒間再生して、次の注入サイクルのために調製した。センサーグラムを、緩衝液ブランク注入及びインタースポットの使用により整列及び二重参照し、得られたセンサーグラムを、ProteOn Managerソフトウエアv3.1の使用により分析した。二重参照センサーグラムを1:1結合モデルに当てはめた。それぞれの抗原のRmax値を、それぞれの変種の抗体捕捉レベルに正規化して、100%対照と比較した。
Fabヘテロ二量体試料の抗原親和性(KD)値を、表12、13b及び14bに報告する。LCCA設計の文脈におけるH1:L1 FabのKD値(KD及びKD値の範囲、ならびに野生型と比較したKD中央値)を、表12の縦列5、6及び7にそれぞれ示す。同じKD値は、表13b及び14bの縦列3(H1-L1 Fabヘテロ二量体のKD)、4(野生型と比較したH1-L1 Fabヘテロ二量体のKD変化)、5(H2-L2 Fabヘテロ二量体のKD)、ならびに6(野生型と比較したH2-L2 Fabヘテロ二量体のKD変化)の設計対の文脈においても含まれる。KD値は、少なくとも100RUのFabヘテロ二量体捕捉を示したFabヘテロ二量体試料のみにおいて決定された。基準野生型KD(0.157nM)は、軽鎖がFLAGタグを含有する野生型Fabヘテロ二量体の中央値を反映する。野生型Fabヘテロ二量体(FLAGまたはHAタグのいずれかを含有する)は類似するKD値を示し、2.6倍の差が最大値と最小値の間に観察された。表12、13b及び14bにおいて、野生型抗原結合親和性に関するKDの差は、-(対数(KD)設計-対数(KD)wt)の計算を使用して示され、正の値は、抗原への野生型結合親和性と比較して、Fabヘテロ二量体の低下したKD値を示し、一方、負の値は増加したKD値を示す。いくつかのFabヘテロ二量体は、測定KD値を欠いていることに留意すること。これらの場合のいくつかにおいて、Fabヘテロ二量体を評価したが、SPR実験は、低いFabヘテロ二量体捕捉(すなわち、100RU未満)を示し、したがって、KD値の正確な決定は可能ではなかった。他のFabヘテロ二量体に類似性を示す(すなわち、結合したL鎖タグ(HAまたはFLAG)の存在/不在または素生のみが異なる)Fabヘテロ二量体では、類似したFabヘテロ二量体のKD値に対応する推定KD値が代わりに提供される(表12、13b及び14bに示されている)。対応する推定野生型KD値(0.15nM)は、全ての野生型Fabヘテロ二量体構築物(すなわち、HAタグまたはFLAGタグを含有するFab構築物)から得た中央値であった。全体的に、結果は、正確に対合したヘテロ二量体は(設計の観点から)、抗原に野生型様の結合親和性(基準野生型親和性の約2.3倍以内)を示すことが示されている。
実施例8.野生型タグ付きD3H44ヘテロ二量体及び優先的に対合したヘテロ二量体の超高速液体クロマトグラフィーサイズ排除クロマトグラフィー(UPLC-SEC)プロファイル
重鎖にC末端ABD2-His6タグ及び軽鎖にN末端タグ(1つの構築物にFLAG及び別の構築物にHA)を有する野生型D3H44ヘテロ二量体(1つの重鎖及び1つの軽鎖)を、当該技術の既知の方法及び実施例5に記載されたものに類似した方法によって発現させ、精製した。優先的または正確に対合したヘテロ二量体を個別に大規模化し、実施例5に記載されたようにHisタグ親和性精製によって精製した。
30℃に設定し、PDA検出器を有するWaters Acquity UPLC系に取り付けたWaters BEH200 SECカラム(2.5mL、4.6×150mm、ステンレス鋼、1.7μm粒子)を使用して、UPLC-SECを実施した。実行時間は、7分間からなり、注入毎の総容量は2.8mLであり、ランニングバッファーのHyclone DPBS/改変-カルシウム-マグネシウム(部品番号SH30028.02)を0.4ml/分で用いた。溶出は、200~400nmの範囲のUV吸収によりモニターし、クロマトグラムを280nmで抽出した。ピーク積分は、Empower3ソフトウエアを使用して実施した。
図6は、代表的なWT Fabヘテロ二量体対(L鎖にFLAgタグを含有する)、ならびに設計Fabヘテロ二量体対の代表(LCCA設計の9735、9737及び9740のH1L1 Fab構成要素)のUPLC-SECプロファイルである。一般に、設計Fabヘテロ二量体対は、WTと比較して類似したUPLC-SECプロファイルを示した。
実施例9:二重特異性抗体フォーマットで定常ドメインまたは定常及び可変ドメインの修飾を含む同時発現セットにおけるヘテロ二量体の優先的対合の評価
ヘテロ二量体設計を、二重特異性抗体フォーマットにおいても特異的対合が可能であるかを決定するために評価した。この実施例において、特有の重鎖のヘテロ二量体化を促進するため、それぞれのヘテロ二量体の完全長重鎖のFc領域を、一方の重鎖が修飾T350V、L351Y、F405A及びY407Vを含み、他方の重鎖が修飾T350V、T366L、K392L及びT394Wを含む(EU番号付け)ように、非対称的に修飾した。
構築物の調製:
ヘテロ二量体設計を、次の二重特異性抗体:a)D3H44/トラスツズマブ、b)D3H44/セツキシマブ、及びc)トラスツズマブ/セツキシマブの文脈において試験した。D3H44はヒト抗体であり、トラスツズマブはヒト化抗体であり、セツキシマブは、ヒトIgG1及びマウスFv領域を含むキメラ抗体であることに、留意すること。設計によるアミノ酸修飾を含む、D3H44、トラスツズマブ及びセツキシマブのIgG重鎖及び軽鎖をコードする構築物を、以下のように調製した。D3H44、トラスツズマブ及びセツキシマブの重鎖及び軽鎖の塩基DNA配列を、表3Cに示す。D3H44、トラスツズマブ及びセツキシマブ軽鎖配列は、いくつかの配列がタグを欠いているが他の配列がFLAGまたはHAタグを含有していることを除いて、実施例3に記載されたとおりに調製した。D3H44、トラスツズマブ及びセツキシマブ重鎖配列は、完全長重鎖が、ヒンジCH2-CH3ドメインをコードするIgG1*0.1 DNA配列を付加することにより作り出し、修飾して、Fab重鎖のCH1ドメインのC末端に二量体化を促進した以外は、実施例3に記載されたとおりに調製した。基本となるC末端重鎖リジン残基が、C末端リジンクリッピング(clipping)に起因するLC-MSシグナル異種性を防止するために除去した(Lawrence W.Dick Jr.et al.,Biotechnol.Bioeng.(2008)100:1132-43)。
アッセイフォーマット(SMCA)
ヘテロ二量体同時発現セット設計が優先的に対合して二重特異性抗体を形成する能力を、下記に記載されているように評価した。アッセイは、4つの鎖(一方の抗体からH1及びL1鎖、他方の抗体からH2及びL2鎖)を同時発現させること及び正確に形成された二重特異性抗体の存在を質量分析(LC-MS)の使用により検出することに基づいている。図8は、4つの出発ポリペプチド鎖、ならびにヘテロ二量体対の重鎖及び軽鎖の優先的対合の不在下でのこれらの出発ポリペプチドの同時発現の結果もたらされる潜在的な産物を示す概略図を提供する。2つの完全長重鎖構築物は、2つの特有の軽鎖構築物と同時発現して、10個の可能な抗体種:H1-L1:H1-L1、H1-L2:H1-L2、H1-L1:H1-L2、H2-L1:H2-L1、H2-L2:H2-L2、H2-L1:H2-L2、H1-L1:H2-L1、H1-L2:H2-L2、H1-L2:H2-L1及びH1-L1:H2-L2を生じた。H1-L1:H2-L2種は、正確に対合した二重特異性抗体である(図8を参照すること)。好ましい種のH1-L1:H2-L2の量に関する他のものに対する相対的対合特異性を、pA精製及び脱グリコシル化の後にLC-MSを使用して決定した。可能であれば、鎖をタグ付けなしのままにしたが、全てのMab及び半Ab種が互いに少なくとも50Da異なっていることが条件であった。質量の差がこの可能性から外れたとき、N末端タグ(HAまたはFLAG)を、種の間に十分な質量の差を提供するために軽鎖に付加した。
二重特異性抗体の発現及び選別ステップを伴うこのアッセイは、SMCAと呼ばれる。
質量分析法
同時発現セットにおけるD3H44重鎖への優先的D3H44軽鎖対合の程度を、プロテインA精製及び非変性脱グリコシル化の後に質量分析を使用して評価した。D3H44/トラスツズマブヘテロ二量体はFc N連結グリカンのみを含有するので、この系を1つの酵素、N-グリコシダーゼF(PNGアーゼF)のみにより処理した。精製した試料を、PNGアーゼFにより以下のように脱グリコシル化した。50mMのTris-HCl、pH7.0中0.2U PNGアーゼF/μgの抗体を37℃で一晩インキュベートし、最終タンパク質濃度を0.5mg/mLにした。D3H44/セツキシマブ及びトラスツズマブ/セツキシマブの系では、セツキシマブのFab領域における追加のN連結グリカンに起因して、系をN-グリコシダーゼF+多数のエキソグリコシダーゼにより処理した。典型的には、4つの酵素混合物をこの目的に使用した。N-グリコシダーゼF、β-ガラクトシダーゼ(Prozyme)、β-N-アセチルグルコサミニダーゼ(New England Biolabs)及びノイラミニダーゼである。N-グリコシダーゼFは、Fc N連結グリカンを除去し、一方、エキソグリコシダーゼは、Fab N連結グリカンを切断し均一コア構造のM3F(GlcNAc2Man3Fuc1)にする。精製した試料を、4つの酵素混合物により以下のように脱グリコシル化した。0.2U PNGアーゼF/μgの抗体、0.002U α-ノイラミニダーゼ/μgの抗体、0.0001U β-ガラクトシダーゼ/μgの抗体及び50mMのTris-HCl pH7.0中0.2U β-N-アセチルグルコサミニダーゼ/μgの抗体を37℃で一晩インキュベートし、最終タンパク質濃度を0.5mg/mLにした。しかし、いくつかの場合において、3つの酵素処理(N-グリコシダーゼF、β-ガラクトシダーゼ及びノイラミニダーゼ)が、LC-MS分析において試料構成要素の質量重複を避けるために好ましかった。これらの場合において、Fabグルカンを還元して、僅かに大きな構造のG0F(Man3GlcNAc2Fuc1GlcNAc2)にした。精製された試料を、4つの試料混合物について記載されたものと同じ濃度及び条件を使用して、3つの酵素混合物により脱グリコシル化した。脱グリコシル化した後、試料を、LC-MS分析の前に4℃で保存した。
脱グリコシル化タンパク質試料を、Ion Maxエレクトロスプレーイオン源(ThermoFisher)を介してLTQ-Orbitrap XL質量分析機(ThermoFisher Scientific)に結合したAgilent 1100HPLC系を使用する無処理LC-MSによって、分析した。試料(5μg)を2.1×30mmPoros R2逆相カラム(Applied Biosystems)に注入し、以下の勾配条件:20%の溶媒Bにより0~3分間、20~90%の溶媒Bにより3~6分間、90~20%の溶媒Bにより6~7分間、20%の溶媒Bにより7~9分間を使用して、分解した。溶媒Aは、脱ガスした0.1%ギ酸水溶液であり、溶媒Bは、脱ガスしたアセトニトリルであった。流速は3mL/分であった。カラムの後で流れを分けて、100μLをエレクトロスプレー界面に向けた。カラムを82.5℃に加熱し、溶媒を80℃にプレカラム(pre-column)加熱して、タンパク質ピーク形状を改善した。LTQ-Orbitrap XLを、ThermoFisher ScientificのLTQ-Positive Ion ESI較正溶液(カフェイン、MRFA及びUltramark 1621)の使用により較正し、10mg/mLのCsIの溶液の使用により調整した。コーン電圧(源断片化設定)は40Vであり、FT分解は7,500であり、走査範囲は、m/z400~4,000であった。LTQ-Orbitrap XLを、標的タンパク質の最適な検出のために調整した(>50kDa)。
完全サイズ抗体(m/z2000~3800)及び半抗体(m/z1400から2000)からの複数荷電イオンを含有する範囲を、器具制御及びデータ分析ソフトウエアである、MassLynxのMaxEnt 1モジュール(Waters)を使用して別々にデコンボリューションし、分子量プロファイルにした。簡潔には、生のタンパク質LC-MSデータを、最初に、Xcaliburのスペクトル観察モジュールであるQualBrower(Thermo Scientific)により開き、Waterから提供されるファイル変換プログラムであるDatabridgeを使用して変換して、MassLynxに適合させた。変換されたタンパク質スペクトルを、MassLynxのSpectrumモジュールにより観察し、MaxEnt 1の使用によりデコンボリューションした。それぞれの試料における異なる抗体種の存在量を、得られた分子量プロファイルから直接決定した。
SMCAアッセイにおける代表的な設計
高い平均LCCA性能値を有する合計25個の代表的な設計を、SMCAフォーマットで試験するため、クラスター1~12から選択した。代表的な設計は、類似したドライバーを使用するが、類似した突然変異も共有する、類似した空間を占有する対応する設計セットに基づいて選択した。少なくとも1つの代表的な設計を、それぞれのクラスターから選択した。いくつかのクラスターは、1つの代表的設計を代表とした(すなわち、クラスター1、5、7、8、10である)。残りのクラスターは、クラスターが大きい(すなわち、クラスター2)か、または小さいクラスターから構成された(すなわち、クラスター3、4、6、9、11及び12)ので、1つを超える代表的設計を有した。それぞれのクラスター内の設計は、配列類似性を共有したが、クラスター内の小さいクラスターは、少なくとも1つのドライバーと突然変異のセットによって異なっていた。小さいクラスターにより構成されたクラスターでは、追加の代表的設計を小さいクラスターそれぞれから選択した。
それぞれのクラスターにおけるアミノ酸置換が表15~27に網羅されており、それぞれのクラスター/小さいクラスターにおける対応する代表が示されている。クラスター1では、1つの設計(9134-9521)のみがクラスターを代表するために選択されており、それは、これらの設計が類似した空間を占有する類似した静電ドライバーを利用したからである(表15を参照すること)。このクラスターの全てのメンバーでは、H1を、陰性荷電置換(L124E及びQ179E)がL1の陽性荷電置換(S176R及びS131KまたはS131Rのいずれか)と塩架橋を形成できるように設計した。H2を、陽性荷電置換(L124R及びQ179KまたはS186Kのいずれか)が、L2の陰性荷電置換(S176D及びT178DもしくはT178Eのいずれか、ならびに/またはT180E)と塩架橋を形成できるように設計した。不適合な対合のH1L2及びH2L1は、主に静電反発によって退けられる。
クラスター2では、2つの代表的設計(9279-9518及び9286-9402)が大きなクラスターを表すために選択された(表16を参照すること)。このクラスター内の設計は、類似した空間を占有する類似した静電ドライバーを利用した。このクラスターの全てのメンバーでは、H1を、陰性荷電置換(L124E及びL143EまたはL143D)がL1の陽性荷電置換(S176R、ならびに(Q124K及び/もしくはT178K)または(Q124K及びQ160K)のいずれかの組み合わせ)と塩架橋を形成できるように設計した。H2を、陽性荷電置換(L124R及びQ179KまたはS186K若しくはS186R)が、L2の陰性荷電置換(S176D及びT178DもしくはT178E、ならびに/またはT180E)と塩架橋を形成できるように設計した。不適合な対合のH1L2及びH2L1は、主に静電反発によって退けられる。
クラスター3では、5つの代表的設計(9338-9748、9815-9825、6054-9327、9066-9335及び9121-9373)が5つの小さいクラスターを表すために選択された(表17を参照すること)。このクラスターの全てのメンバーは、H1(L124E)、L1(S176R)、H2(L124R)及びL2(S176D)に類似した静電ドライバーを利用し、このことは、優先的に対合したヘテロ二量体において塩架橋の形成を可能にし、一方、不適合な対は、主に静電反発によって退けられる。主に定常領域ドライバーを利用する設計を表すため、6054-9327設計を選択して、これらの小さいクラスターの代表とした。これらの静電相互作用に加えて、1つの小さいクラスターは、可変領域立体ドライバー(H1にL45P及びL1にP44F)も含み、したがって可変領域ドライバーを含む代表を、この小さいクラスターを表すために選択した(9338-9748)。別の小さいクラスターは、両方のFabヘテロ二量体に可変領域静電ドライバー(H1にQ39E、L1にQ38R、H2にQ39R、L2にQ38E)も含み、したがって、この可変領域ドライバーを含む代表を、この小さいクラスターを表すために選択した(9815-9825)。更に、1つの小さいクラスターは、1つのメンバーから構成され、したがって、1つの代表的設計(9066-9335)は、H1のF122CとL1のQ124Cの間に改変ジスルフィドを含む。残りの小さいクラスターは、9121-9373により代表され、H1にH172T及びL1にS174Rの追加の置換を有する定常領域ドライバーを主に利用して、H1L1定常領域ドライバーの相互作用を僅かに修飾し、同時に、HC2におけるH172Rの効果も探索した。
クラスター4では、2つの代表的設計(9168-9342及び9118-6098)がそれぞれ2つの小さなクラスターを表すために選択された(表18を参照すること)。このクラスターの全てのメンバーは、H1(L124E)、L1(S176RまたはS176K)、H2(L124R)及びL2(S176D)に類似した静電ドライバーを利用し、このことは、優先的に対合したヘテロ二量体において塩架橋の形成を可能にし、一方、不適合な対は、主に静電反発によって退けられる。1つの小さなクラスターは、9118-6098により代表され、優先的対合に共有静電ドライバーを主に利用し、一方、9168-9342により代表される他の小さいクラスターは、追加の塩架橋の形成を可能にする、H1(K228D)及びL1(S121K)の置換を更に利用した。
クラスター5は、特有の識別子9116-9349により代表され、1つのメンバーのみにより構成される(表19を参照すること)。この設計は、H1(L124E)、L1(S176R)、H2(L124R)及びL2(S176D)での静電ドライバー、ならびH1(A139W)、L1(F116A_V133G_L135V)、H2(A139G_V190A)及びL2(V133G_L135W)での立体ドライバーの両方を利用した。その結果、優先的に対合したヘテロ二量体では、荷電置換は、塩架橋の形成を可能にする。誤対合Fabヘテロ二量体では、形成は、静電反発と追加的な立体効果によって退けられる。
クラスター6では、2つの代表的設計が、それぞれ2つの小さなクラスターを表すために選択された(表20を参照すること)。このクラスターの全てのメンバーは、定常領域に類似した静電ドライバー(H1にQ179E、L1にS131K、H2にS186R、ならびにL2にQ124E、Q160E及びT180E)を利用し、このことは、優先的に対合したヘテロ二量体において塩架橋の形成を可能にし、一方、不適合な対は、主に静電反発によって退けられる。加えて、小さなクラスターは、異なる可変領域ドライバーからも構成された。1つの小さいクラスターは、特有の識別子9814-9828により代表され、可変領域に静電ドライバー(H1にQ39E、L1にQ38R、H2にQ39R及びL2にQ38E)を利用した。他の小さなクラスターは、H1でのL45P及びL1でのP44Fから構成される可変領域立体ドライバーを利用した。その結果、この小さなクラスターでは、不適合な対合は、導入された立体効果によって更に退けられる。この小さいクラスターは、L2におけるQ38Eの不在のみが異なる、特有の識別子9745-9075から誘導された設計により代表される。
クラスター7では、1つの設計(9060-9756)のみがクラスターを代表するために選択されており、それは、これらの設計が類似した静電及び立体ドライバーを利用したからである(表21を参照すること)。共有静電ドライバーは、H1でのL143E及びQ179E、L1でのQ124R、H2でのQ179K、ならびにL2でのQ124E、Q160E及びT180Eから構成された。共有立体ドライバーは、H1でのA139W、L1でのF116A_L135V及びL2でのL135Wから構成された。その結果、優先的に対合したヘテロ二量体では、Fab領域における荷電置換は、塩架橋の形成を可能にする。誤対合ヘテロ二量体では、形成は、静電反発と追加的な立体効果によって退けられる。
クラスター8では、1つの設計(9820-9823)のみがクラスターを代表するために選択されており、それは、これらの設計が類似した静電ドライバーを利用したからである(表22を参照すること)。この可変領域において、H1にQ39E、L1にQ38R、H2にQ39R及びL2にQ38Eを利用した。定常領域において、H1にL143E、L1にQ124R、Q160K及びT178R、H2にQ179K、ならびに及びL2にQ124E、Q160E及びT180Eを利用した。優先的対合するヘテロ二量体では、Fab領域における荷電置換は、塩架橋の形成を可能にするが、誤対合ヘテロ二量体では、形成は主に静電反発によって退けられる。
クラスター9では、2つの代表的設計が、それぞれ2つの小さなクラスターを表すために選択された(表23を参照すること)。このクラスターの全てのメンバーは、定常領域に類似した静電ドライバー(H1にL143E、L1にQ124R、H2にQ179K、ならびにL2にQ124E、Q160E及びT180E)を利用し、このことは、優先的に対合したヘテロ二量体において塩架橋の形成を可能にし、一方、不適合な対は、主に静電反発によって退けられる。加えて、小さいクラスターは、可変領域ドライバー(H1にL45P及びL1にP44F)の存在/不在によって異なる。その結果、可変領域ドライバーを含む小さなクラスターでは、不適合な対合は、導入された立体効果によって更に退けられる。可変領域ドライバーを含むこの小さいクラスターの代表的設計は、L2におけるQ38Eの不在のみが異なる、特有の識別子9751-9065から誘導された。可変領域置換を各小さいクラスターの代表的設計は、9611-9077である。
クラスター10では、1つの設計(9561-9095)のみがクラスターを代表するために選択されており、それは、これらの設計が類似した空間を占有する類似した静電及び立体ドライバーを利用したからである(表24を参照すること)。共有静電ドライバーは、H1でのL143E及びQ179Eから構成され、同様に、L1のQ124R、Q124KまたはS131K、H2のQ179K、ならびにL2のQ124E及びT180Eに位置した。共有立体ドライバーは、H1でのL124W、L1でのV133A及びL2でのV133Wから構成された。その結果、優先的に対合したヘテロ二量体では、Fab領域における荷電置換は、塩架橋の形成を可能にする。誤対合ヘテロ二量体では、形成は、静電反発と追加的な立体効果によって退けられる。
クラスター11では、3つの代表的設計(9049-9759、9682-9740及び9667-9830)が、それぞれ3つの小さなクラスターを表すために選択された(表25を参照すること)。このクラスターの全てのメンバーは、ヘテロ二量体の優先的対合を導くために静電置換を利用した。その結果、優先的に対合したヘテロ二量体では、Fab領域における荷電置換は、塩架橋の形成を可能にする。誤対合ヘテロ二量体では、形成は、主に静電反発よって退けられる。特有の識別子9667-9830により代表される小さいクラスターでは、共有置換は、H1に陰性荷電置換(L143EまたはL143D及びQ179EまたはQ179D)、L1に陽性荷電置換(T178RまたはT178K)、H2に陽性荷電置換(S186KもしくはS186R、またはQ179KもしくはQ179R)、ならびにL2に陰性荷電置換(Q124E)を含んだ。別の小さいクラスターは、この小さいクラスターの単一のメンバー(特有の識別子9049-9759)により代表され、改変ジスルフィド結合の形成のために置換を追加的に含有した。残りのクラスターは、特有の識別子9682-9740により代表され、他の2つの小さいクラスターと類似したドライバーをH1及びL1に利用したが、異なった定常領域H2及びL2ドライバーを利用した。H2は、L143RまたはL143Kを利用し、L2は、Q124E置換(他の2つの小さいクラスターと共有している)に加えて、V133EまたはV133Dを利用した。
クラスター12では、4つの代表的設計(9696-9848、9986-9978、9692-9846及び9587-9735)がそれぞれ、4つの小さなクラスターを表すために選択された(表26を参照すること)。このクラスターの全てのメンバーは、ヘテロ二量体の優先的対合を導くために静電置換を利用した。いくつかのメンバーは、立体ドライバーを追加的に利用した。特有の識別子9696-9848により代表される小さいクラスターは、静電及び立体ドライバーの両方を利用した。この小さいクラスターにおいて共有されている静電置換は、H1でのL143E、L1でのQ124R及びT178Rから構成され、同様に、H2のS186KもしくはS186R、またはQ179KもしくはQ179R、ならびにL2のQ124E及びT180Eに位置している。このクラスターにおいて共有されている立体置換は、H1でのS188L及びL2でのS176LまたはV133YもしくはV133Wから構成され、L2でV133YまたはV133Wを利用する設計では、L143AまたはL124AもH2に存在して、嵩高い突然変異を有した。特有の識別子9692-9846により代表される小さいクラスターでは、特有の識別子9696-9848により代表される小さいクラスターと比較して、類似した静電ドライバーが利用され、いくつかのメンバーでは、類似して位置する置換T178Eが、T180Eの代わりにL2において利用された。更に、この小さいクラスターのサブセットも、類似した立体ドライバーを利用し、類似して位置する置換のT178YまたはT178FをS176Lの代わりにL2において利用した。特有の識別子9986-9978により代表される小さいクラスターは、優先的対合を導くために1つの静電ドライバーのみを利用した。類似した共有置換は、H1、L1及びH2に利用されたが、異なるL2置換(S131E)が利用された。残りの小さいクラスターは、特有の識別子9587-9735により代表され、H1及びL1に類似した静電ドライバーを利用したが(L1のT178Rがこの小さなクラスター内の全てのメンバーに利用されなかったことを除いて)、異なる静電クラスターがH2(L143RまたはL143K)及びL2(Q124E及びV133EまたはQ124E及びV133D)において利用された。この小さなクラスター内の小数のメンバーは、H1でのS188L及びL2でのS176Lから構成される類似した立体ドライバーも利用した。全体的に、優先的に対合したヘテロ二量体では、Fab領域における荷電置換は、塩架橋の形成を可能にする。誤対合ヘテロ二量体では、形成は、静電反発よって退けられる。更に、立体ドライバーも利用する設計では、形成は、立体効果によって追加的に退けられる。クラスター13は、1つのメンバー9122-9371から構成される(表27を参照すること)。この設計は、H1のF122CとL1のQ124Cの間に、ヘテロ二量体の優先対合の共有結合性ドライバーとして、改変ジスルフィドを利用した。加えて、設計が天然の鎖間ジスルフィドを欠いているので、ジスルフィド結合の形成は、非還元的及び還元的SDS-PAGEゲルによって確認した。この設計は、SMCAフォーマットで試験しなかったが、改変ジスルフィドは、天然の鎖間ジスルフィドの存在下で、追加の定常領域ドライバーと組み合わせて試験した(クラスター3、代表的設計9066-9335)。
形質移入方法
2つの重鎖及び2つの軽鎖の構築物を含む同時発現セットを、CHO-3E7細胞に以下のように形質移入した。CHO-3E7細胞を、4mMのグルタミン及び0.1%のPluronic F-68(Invitrogenカタログ番号24040-032)を補充したFreeStyle(商標)F17培地(Invitrogenカタログ番号A-1383501)において、1.7~2×106細胞/mlの密度により、37℃で培養した。総量の50mlに対し、PEI-pro(Polyplusカタログ番号115-010)の使用により、DNA:PEI比=1:2.5で、合計50μgのDNAにより形質移入した。DNA-PEI混合物を添加した24時間後、細胞を32℃に移し、採取する前に7日間インキュベートした。培養培地を遠心分離により採取し、Steriflip 0.2μMフィルターを使用し真空濾過した。次に、濾過した培養培地を、プロテインA MabSelect SuRe樹脂(GE Healthcare番号17-5438-02)の使用により以下のように精製した。濾過した培養培地を、予めPBSで平衡にしたカラム(Hyclone DPBS/modified、カルシウムなし、マグネシウムなし、番号SH-300028.02)に適用した。次にヘテロ二量体抗体種を、PBSで洗浄し、100mMのクエン酸塩pH3.6により、Amicon ultra 15遠心分離フィルターUltracel 10K(Millipore番号SCGP00525)に溶出した。次に緩衝液をPBS交換して、試料を、脱グリコシル化及びLC-MSの前に、カリパスにより評価した。
1つの系の軽鎖が両方のAb系の重鎖と優先的に結合する、野生型二重特異性Ab系に本質的な二重特異性系偏向を評価するため、H1:H2:L1:L2のDNA比のセットをCHO発現において試験した。これらの比は、2つの異なる抗体の重鎖及び軽鎖の発現レベルにおける天然の差及び/または固有の対合偏向を補うように試みる。全ての二重特異性Ab系において、偏向は、試験した全ての比にわたって観察された(図9)。D3H44/トラスツズマブ系では、偏向は、トラスツズマブに向かって観察され、すなわち、D3H44重鎖は、トラスツズマブ軽鎖と優先的に対合する(図9aを参照すること)。D3H44/セツキシマブでは、偏向は、セツキシマブに向かって観察され、すなわち、D3H44重鎖は、セツキシマブ軽鎖と優先的に対合する(図9bを参照すること)。トラスツズマブ/セツキシマブ系では、偏向は、トラスツズマブに向かって観察され、すなわち、セツキシマブ重鎖は、トラスツズマブ軽鎖と優先的に対合する(図9cを参照すること)。
それぞれの二重特異性Ab系における25個の代表的な設計のそれぞれにおける試験では、使用されたH1:H2:L1:L2DNA比は、最大量の二重特異性Ab種を生じ、同時に低量の半Abを有する、対応する野生型二重特異性系からの比であった(表32a、b及びcを参照すること)。D3H44/トラスツズマブ系では、使用された比は、15(H1)、15(H2)、53(L1)、17(L2)であり、ここでH1及びL1は、D3H44を参照し、H2及びL2は、トラスツズマブを参照する。D3H44/セツキシマブ系では、使用された比は、15(H1)、15(H2)、17(L1)、53(L2)であり、ここでH1及びL1は、トラスツズマブを参照し、H2及びL2は、セツキシマブを参照する。D3H44/セツキシマブ系では、使用された比は、15(H1)、15(H2)、53(L1)、17(L2)であり、ここでH1及びL1は、D3H44を参照し、H2及びL2は、セツキシマブを参照する。
更に、一方の配向において、H1L1及びH2L2に存在する置換を二重特異性Ab系の抗体1(Ab1)及び抗体2(Ab2)のそれぞれにおいて試験し、もう一方の「反転」配向において、H1L1及びH2L2に存在する置換をAb2及びAb1のそれぞれにおいて試験するように、設計はD3H44/セツキシマブ及びトラスツズマブ/セツキシマブ二重特異性系を両方の配向で試験した(表28a及びbを参照のこと)。特有の識別子に付けられた「_1」は、より強いLCCA優先的対合結果を与える重鎖及び関連軽鎖置換(表13aを参照すること)が、重鎖が他の抗体の軽鎖と比較して関連軽鎖と弱く競合する抗体に配置された設計を指す。特有の識別子に付けられた「_2」は、より強いLCCA優先的対合結果を与える重鎖及び関連軽鎖置換(表13aを参照すること)が、重鎖が他の抗体の軽鎖と比較して関連軽鎖と弱く競合する抗体に配置された、反対側の「反転」配向を指す。D3H44/トラスツズマブ系では、設計を、「_1」配向のみで試験した(表28cを参照すること)。
SMCAの結果
D3H44/トラスツズマブ系を、1つの酵素(PNGアーゼF)のみで処理し、完全に脱グリコシルした。多酵素処理では、Fab領域に結合した糖を一般的には切断して、コアM3F(4つの酵素処理を使用)またはG0F(3つの酵素を使用)のいずれかにした。全体的に、大部分の場合では、脱グリコシル化処理は、LC-MSにより特定される可能な異なる種を全て特定する能力をもたらした。多くの場合において、それぞれの種は、単一のLC-MSピークにより表された。例外には、望ましい二重特異性種に対応する可能性もある副ピーク(side peak)(おそらく、付加物またはリーダーペプチドの切断による異種性)が含まれるが、副ピークの曖昧さに起因して、これらの副ピークは、二重特異性種への寄与について考慮しなかった。加えて、D3H44/セツキシマブ(3519_1、3522_1)及びトラスツズマブ/セツキシマブ(9748-9338_1)系におけるいくつかの設計は、結合した高マンノースの変動性のため、種を説明するのに多数のピークを必要とした。これらの設計は、全て、セツキシマブ軽鎖にグリコシル化部位を導入していた。いくつかの場合において、種間の低い質量分離(すなわち、50Da未満の差)に起因して、いくつかの少数種(全ての種の5%未満を構成する)を区別することが可能ではなかった。更に、所望の二重特異性種H1-L1_H2-L2は、一般に、誤対合型のH1-L2_H2-L1とは、LC/MSに基づいて実験的に区別することができない。このように、二重特異性含有量が表に報告されるとき、この種の誤対合種を含有しないことを完全に除外することができない。しかし、H1-L2_H1-L2及びH2-L1_H2-L1、ならびにH1-L2及びH2-L1半抗体などの種において観察される非常に低い含有量は、二重特異性種の、あるとしても非常に少ない汚染が生じることを示している。
LC-MSデータを、表29a、29b及び29cに表す。比較のため、野生型データも表33a、33b及び33cに表し、「SMCA特有識別子」の縦列、ならびに「クラスター」の縦列に「NA」と示している。3つの二重特異性野生型系は、全て、1つの軽鎖が両方の重鎖と優位に結合するように偏った偏向を示した(表33及び図9を参照すること)。更に、少なくともトラスツズマブ/セツキシマブ系において、タグ配置もH1L1及びH2L2対合に有意な影響を有すると思われる。したがって、野生型に対する、所望の二重特異性種の移行可能性及び率への設計の効果を評価するため、対応する野生型二重特異性構築物との同じH1:H2:L1:L2DNA比での比較を実施し、「野生型に対するH1L1対合の割合(%)の変化(全てのH1種に対する)」、「野生型に対するH2L2対合の割合(%)の変化(全てのH2種に対する)」及び「野生型に対するH1:H2:L1:L2の割合(%)の変化」(完全サイズ抗体種のみを考慮)の縦列に報告した(表29を参照すること)。H1L1対合割合(%)(全てのH1種に対する)またはH2L2対合割合(%)(全てにH2種に対する)のいずれかの評価では、全ての種をFab領域における対合について評価する。対応する野生型二重特異性種抗体がSMCAにより評価されない場合、比較は、類似した野生型構築物において行った。推定値は、報告された値のすぐ隣りの「***」により示される。比較のために選択された類似した野生型構築物を、以下の様に選択した。移行可能性を評価するため、それぞれの野生型構築物を、最高の「H1L1対合の割合(%)及びH2L2対合の割合(%)(全ての種に対する)」を示したSMCA実験(異なる比で実施した)により表した。野生型に対する、所望の二重特異性種の率への設計の効果を評価するため、それぞれの野生型構築物を、最高のH1:H2:L1:L2の割合(%)(完全サイズ抗体種のみを考慮)を示したSMCA実験(異なる比で実施した)により表した。両方の場合において、二重特異性種における全ての野生型構築物のうち、中央値を比較用野生型値として選択した。
それぞれの設計において、移行可能性は、WTに関して全ての種にわたる全体的なH:L対合における、特にH1L1/全てのH1種の割合(%)及び/またはH2L2/全てのH2種の割合(%)における増加に注目することによって、評価した。加えて、所望の二重特異性種の率に対する効果も評価され、半抗体が、存在する場合、分取SECにより、または更なるH1:H2:L1:L2DNA滴定により除去/最小化され得るので、完全サイズ抗体種のみの比較が強調される。表30a、b及びcは、分取SECが、半Ab種の除去/最小化に有効であり得ることを示す。表32a、b及びcは、半Ab種の率も、様々なDNA滴定比を使用した形質移入の際に操作され得ることを示す。
D3H44/セツキシマブ系では(表29a)、1つの設計(9327-6054_2)を除いてすべての設計が、野生型に関して全ての種にわたるH1L1対合により評価して、移行された。大部分の設計(9327-6054_2及び9134-9521_2を除く)も、完全Ab種のみを考慮すると、所望の二重特異性抗体の率の増加を示した。更に、移行しなかった1つの設計(9327-6054_2)を除いて、設計は、野生型において観察された主な誤対合抗体種(H1H2L2L2)を減少した。加えて、9327-6054_2及び他方の配向における対応する9327-6054_1を除いて、設計は、両方の配向で移行され、大部分の設計は、両方の配向で類似した有効なH:L対合を示した。
D3H44/トラスツズマブ系では(表29b)、すべての設計が、野生型に関して全ての種にわたるH1L1対合により評価して、移行された。加えて、全ての設計が、所望の二重特異性抗体の率の増加を示した(完全Ab種のみを考慮した場合)。更に、大部分の設計は、野生型に観察される主な誤対合抗体種(H1H2L2L2)を有意に減少した。しかし、発現を欠いていたため、9611-9077_1についてデータは報告されなかった(表28c)。
トラスツズマブ/セツキシマブ系では(表29c)49個の設計のうち少なくとも35個は、全てのH2種にわたってH2L2対合を評価して、移行可能性を示した(「野生型に対するH2L2対合%の変化(全てのH2種に対する)」の縦列における正の値)。移行しなかったと考えられる設計には、9279-9518_2、3522_2、9815-9825_2、9327-6054_2、9118-6098_2、9748-9338_2、9692-9846_2、9587-9735_2、9814-9828_2、3519_2、9986-9978_2、9168-9342_2及び9066-9335_1が含まれるが(「野生型に対するH2L2対合割合(%)の変化(全てのH2種に対する)」の縦列における負の値)、他方の配向の設計は、移行可能性を阻害しなかった(9279-9518_1は、試料を欠いていたので試験しなかったことに留意すること)。移行可能性を示した全ての設計は、野生型実験において観察された主な誤対合抗体種(H1H2L1L1)の率の減少を示した。加えて、移行した設計のうち、2つの設計(9134-9521_1及び9279-9518_2)のみが、野生型と比較して、完全抗体種のみを考慮したときに所望の二重特異性Abの率に減少を示した。
一般に、弱い競合抗体のH:L対合を増加した大部分の設計は、所望の二重特異性種(完全サイズ抗体のみを考慮)の率の増加によってもたらされた。配向に関して、大部分の設計は「_1」配向において、「_2」は移行と比較したH:L対合と比較して類似した、または良好な移行可能性を示した(例外は、トラスツズマブ/セツキシマブ系において主に観察されたものであった)。更に、表35aは、試験した3つの二重特異性系(D3H44/セツキシマブ、D3H44/トラスツズマブ及びトラスツズマブ/セツキシマブ)の全てにおいて両方の配向で移行した設計を網羅する。表35bは、試験した3つの二重特異性系(D3H44/セツキシマブ、D3H44/トラスツズマブ及びトラスツズマブ/セツキシマブ)の全てにおいて一方の配向で移行した設計、ならびに唯一の二重特異性系においてもう一方の配向で移行した設計を網羅する。加えて、特定の配向において、同じ突然変異が3つの二重特異性系の重鎖及び弱く競合する同族軽鎖に存在し、軽鎖の利用は、少なくとも10%を超える。
クラスターの移行可能性及び性能に関して、D3H44/トラスツズマブ二重特異性系では、全てのクラスター内の全てのメンバーが、移行可能性を示し(図11aを参照すること)、所望の二重特異性抗体(完全サイズ抗体のみを考慮)の率を増加させた(図11bを参照すること)。D3H44/セツキシマブ二重特異性系では、全てのクラスターが移行可能性を示し、クラスター3における1つのメンバーのみが、野生型と比較して、全てのH1種にわたりH1L1対合に減少を示した(図11cを参照すること)。また、全てのクラスターは、野生型に対する所望の二重特異性抗体の率(完全長抗体のみを考慮)に増加を示したメンバーを含んだが、3つのクラスター(クラスター1、3及び4)は、野生型に対する所望の二重特異性抗体の率(完全長抗体のみを考慮)に減少を示したメンバーも含んだ(表11dを参照すること)。トラスツズマブ/セツキシマブ二重特異性系に関して、全てのクラスターは、望ましい移行可能性を示す変種を含むが、いくつかのクラスター(1、5、7、8、10、11)のみが、対応するメンバーの全てが移行可能性を示した変種を含む(図11eを参照すること)。加えて、全てのクラスターは、野生型に関して所望の二重特異性抗体の率(完全サイズ抗体のみを考慮)に増加を示すメンバーを含む(図11fを参照すること)。全てのメンバーが移行可能性を示したクラスターでは、クラスター5、7、8、10及び11における全てのメンバーが野生型に関して所望の二重特異性抗体の率(完全サイズ抗体のみを考慮)に増加も示した。
全体的に、3つの二重特異性系を全て一緒に考慮すると、クラスター1、5、7、8、10及び11における全てのメンバーは、移行可能性を示し(図11gを参照すること)、クラスター5、7、8,10及び11は、全てのメンバーが野生型に関して所望の二重特異性抗体の率(完全サイズ抗体のみを考慮)に増加を示したメンバーを含んだ(図11hを参照すること)。
全体的に、弱い競合抗体のH:L対合を増加した大部分の設計は、所望の二重特異性種(完全サイズ抗体のみを考慮)の率の増加によってもたらされた。配向に関して、大部分の設計は「_1」配向において、「_2」は移行と比較したH:L対合と比較して類似した、または良好な移行可能性を示した(例外は、トラスツズマブ/セツキシマブ系において主に観察されたものであった)。
実施例10:生物物理的特徴決定において選択されたSMCA二重特異性ヘテロ二量体抗体及び親Mabの分取サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
SMCA試料のサブセットを、追加の生物物理的特徴決定のために選択した。これらのSMCA試料の大部分は、典型的に高対合を示し(H1L1+H2L2/全ての種の縦列において約80%を超える)、低量の半抗体種(全ての半抗体種を考慮して約30%未満)を示した。分取SECを以下のように実施した。ヘテロ二量体抗体試料を、Pharmacia(GE Healthcare)AKTA Purifier系に取り付けたSuperdex 200 10/300 GL(GE Healthcare)カラムの使用により分離した。PBS(Hyclone DPBS/modified、カルシウムなし、マグネシウムなし、カタログ番号SH-300028.02)中のヘテロ二量体抗体試料(0.3~0.5ml)を、PBSを充填した0.5mlのループに手作業で装填した。次に試料を自動でカラムに注入させ、1CV溶出容量により0.5ml/分により分解した。タンパク質溶出をOD280でモニターし、0.5ml画分で収集した。それぞれのSMCA試料において、主要なピークを含むこれらの画分をプールし、更に生物物理的に特徴決定した。
実施例11:分取サイズ排除クロマトグラフィー後の抗体フォーマットでの二重特異性ヘテロ二量体の優先的対合の評価
分取SECの後、選択された試料を、実施例9に記載されたLC-MS法の使用により二重特異性ヘテロ二量体抗体の優先的対合について分析した。これらの試料は、全て、所望の二重特異性抗体種の率を増加させ、半抗体種の率を減少させる(表29及び30)。
実施例12:SMCA二重特異性ヘテロ二量体抗体の熱安定性
分取SECの後、選択されたSMCA二重特異性ヘテロ二量体抗体の熱安定性を測定し、親D3H44及びトラスツズマブモノクローナル抗体、ならびにセツキシマブ1アーム抗体と比較した。一般に、1アーム抗体は、1つの完全長重鎖、Fab領域を欠いている(及びC233S置換を組み込んでいる)1つの切断型重鎖、ならびに1つの軽鎖から構成され、実施例9に記載されたように達成された重鎖ヘテロ二量体化を有する、構築物を指す。
熱安定性の測定
選択された二重特異性ヘテロ二量体抗体及び野生型対照の熱安定性を、示差走査熱量測定(DSC)を使用して以下のように測定した。分取SEC処理の後、400μLの試料を、主に、PBS中0.2mg/mlまたは0.4mg/mLの濃度で、VP-Capilalry DSC(GE-Healthcare)によるDSC分析に使用した。それぞれのDSCの実施の開始時に、5つの緩衝液ブランク注入を実施して、ベースラインを安定化し、緩衝液注入を、基準のためそれぞれの試料注入の前に行った。それぞれの試料を、60℃/時間の速度で20~100℃、低いフィードバック、8秒間のフィルター、5分間のpreTstat及び70psiの窒素圧で走査した。得られたサーモグラムを基準とし、Origin 7ソフトウエアを使用して分析した。
結果を表31a、b及びcに示す。野生型について表に報告されたFabのTm値は、D3H44(79℃)及びトラスツズマブ(81℃)のホモ二量体抗体から、ならびにセツキシマブ(72℃)の1アーム抗体から得た。WT D3H44/セツキシマブ及びトラスツズマブ/セツキシマブヘテロ二量体抗体では、Fab Tmに対応する2つのピークのみが観察される。別個のピークは、CH2において(セツキシマブFabとの重複のため)またはCH3において(D3H44及びトラスツズマブFabのTm値の重複のため)観察されない。WT D3H44/トラスツズマブヘテロ二量体抗体では、D3H44及びトラスツズマブの2つのFabのTm値が類似しているので、81℃でのピークが両方のFabに対応する可能性があり、一方、およそ72℃でのピークがCH2に対応する可能性がある。
表31a、b及びcでは、特に示されない限り、両方のFabに対応するピークのTm値のみが報告された。いくつかのヘテロ二量体試料では、タンパク質濃度は、低く(0.4mg/mL未満)、ベースラインにおけるノイズの増加をもたらしたことにも留意すること。その結果、D3H44/トラスツズマブ系において、いくつかの試料は、CH2ピークを区別することが困難であり、Fabを不安定化させる可能性があるような低いピーク強度のDSC曲線を生じた。この場合では、70~72℃のTm値も報告された(表31a)。全体的に、大部分のヘテロ二量体抗体は、対応する野生型分子に類似した熱安定性(3℃以下)を示す。更に、大部分のヘテロ二量体は、CH2またはCH3ピークの有意な不安定を示唆する追加のピークを示さない。1つの例外には、CH2不安定化に起因し得る60℃での追加のピークを示す、トラスツズマブ/セツキシマブヘテロ系の改変ヘテロ二量体抗体9611-9077_2が含まれる。
実施例13:二重特異性ヘテロ二量体抗体の抗原親和性の測定
二重特異性抗体の、関連する抗原に結合する能力を、アミノ酸置換が抗原結合に任意の作用を有するかを決定するために評価した。抗原結合親和性をSPRにより以下のように決定した。
SPRバイオセンサーアッセイ
EDC:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、NHS:N-ヒドロキシスクシンイミド、SPR:表面プラスモン共鳴、EDTA:エチレンジアミン四酢酸、TF:組織因子、EGFR ECD:上皮増殖因子受容体細胞外ドメイン、Her2 ECD:ヒト上皮増殖因子受容体2細胞外ドメイン。
SPR供給。Series S Sensor Chip CM5、Biacoreアミンカップリングキット(NHS、EDC及び1Mエタノールアミン)、ならびに10mMの酢酸ナトリウム緩衝液は、GE Healthcare Life Science(Mississauga,ON)から購入した。組換えHer2細胞外ドメイン(ECD)タンパク質は、eBioscience(San Diego,CA)から購入した。1%のTween20(PBST)を伴うPBSランニングバッファーは、Taknova Inc.(Hollister,CA)から購入したヤギポリクローナルヒトFc抗体は、Jackson Immuno Research Laboratories Inc.(West Grove,PA)から購入した。EDTAは、Bioshop(Burlington,ON)から購入した。
全ての表面プラスモン共鳴アッセイは、PBSTランニングバッファー(0.5MのEDTA貯蔵溶液を加えて3.4mMの最終濃度にした)により25℃の温度でBiacore T200 Surface Plasmon Resonance器具(GE Healthcare Life Science,(Mississauga,ON))を使用して実施した。抗ヒトFc捕捉表面は、2000共鳴単位(RU)を標的にするように設定したBiacore T200制御ソフトウエアによるImmobilization Wizard下において既定パラメーターを使用する、Series S Sensor Chip CM5を使用して生成した。Her2 ECD、TFまたはEGFR ECD抗原標的に結合する抗体変種の選別を、2ステップで行った。抗ヒトFc抗体フローセル表面への抗体変種の間接的な捕捉、次いで、単一サイクル動力学方法論を使用した、動力学分析用の精製抗原の5つの濃縮物の注入である。捕捉のために変種または対照を、10μL/分の流速で60秒間にわたって個別のフローセルに1μg/mLにより注入した。一般的に、このことは、抗ヒトFc表面へのおよそ50~100RUの捕捉をもたらす。第1のフローセルを空のままにして、ブランク対照として使用した。この捕捉ステップの直後に、抗原の5つの濃縮物(TFもしくはEGFR ECD抗原では5nM、2.5nM、1.25nM、0.63nM及び0.31nM、またはHer2 ECD抗原では40nm、20nm、10nm、5nm及び2.5nm)を、4つのフローセルの全てにわたって、EGFR ECDでは300秒間、Her2 ECDでは1800秒間及びTFでは3600秒間の解離段階を伴って、180秒間で100μL/分により順次注入した。捕捉抗体表面を、10mMのグリシン、pH1.5により30μL/分で120秒間再生して、次の注入サイクルのために調製した。少なくとも2回の偽緩衝液注入を、基準として使用するそれぞれの分析物注入のために実施した。得られた単一サイクル動力学センサーグラムを、Biacore T200 BiaEvaluationソフトウエアの使用により分析し、1:1結合モデルに当てはめた。
ヘテロ二量体抗体の抗原親和性を、対応する野生型対照:D3H44、トラスツズマブOAA及びセツキシマブOAAのMabを参照して評価した。抗原親和性は、野生型二重特異性抗体からも得たが、WT二重特異性のSPR捕捉は、不均質(例えば、誤対合ヘテロ二量体の捕捉を伴う)であり得るので、KDの決定を妨げる(表31a及びcを参照すること)。D3H44/セツキシマブ系において測定された抗原結合を有するヘテロ二量体抗体では、抗原親和性は、対応するWT対照と類似していた(表31bを参照すること)。D3H44/トラスツズマブ及びトラスツズマブ/セツキシマブ系の両方において測定された抗原結合を有する大部分のヘテロ二量体抗体では、抗原親和性は、対応するWT対照と類似していた(表31a及びcを参照すること)。例外には、Her2結合を示さなかった11個の改変抗体が含まれる。D3H44/トラスツズマブ及びトラスツズマブ/セツキシマブ系の両方において、Her2結合は、6個の改変ヘテロ二量体抗体9049-9759_1及び9682-9740_1及び3522_1において観察されなかった。更に、トラスツズマブ/セツキシマブ系では、5個の更なる改変抗体9696-9848_1、9561-9095_2、9611-9077_2、9286-9402_2及び9060-9756_2も、Her2への結合を欠いていた。これらの11個の改変抗体のうち10個は、H鎖(L143E_K145T)及びL鎖(Q124R_T178R)に定常領域突然変異を共有した。他の改変抗体9286-9402_2は、H鎖(L143E_K145T)に同じ定常領域突然変異及びL鎖(Q124K及びS176R)に類似した突然変異を共有した。
実施例14:改変ヘテロ二量体抗体、ならびに野生型ヘテロ二量体及びホモ二量体抗体の超高速液体クロマトグラフィーサイズ排除クロマトグラフィー(UPLC-SEC)プロファイル
改変ヘテロ二量体抗体、ならびに対照野生型二重特異性及びホモ二量体抗体の分取SECの後、30℃に設定し、PDA検出器を有するWaters Acuity UPLC系に取り付けたWaters BEH200 SECカラム(2.5mL、4.6×150mm、ステンレス鋼、1.7μm粒子)を使用して、UPLC-SECを実施した。実施時間は、7分間からなり、注入毎の総容量は、2.8mLであり、ランニングバッファーのPBS及び0.02%のポリソルベート20または20mMのNaPO4、50mMのKCl、0.02%のポリソルベート20、10%のアセトニトリル、pH7を0.4ml/分で用いた。溶出は、210~400nmの範囲のUV吸収によりモニターし、クロマトグラムを280nmで抽出した。ピーク積分は、Empower3ソフトウエアを使用して実施した。
図10は、代表的な改変ヘテロ二量体抗体と代表的なWTヘテロ二量体のUPLC-SECプロファイルを示す。大部分の場合において、改変ヘテロ二量体抗体は、対応するWTヘテロ二量体抗体と類似したUPLC-SECプロファイルを示し、D3H44/トラスツズマブ、D3H44/セツキシマブ及びトラスツズマブ/セツキシマブのそれぞれにおけるモノマーの平均率が99.18%、98.70%及び98.77%であった(表31a、31b及び31cを参照すること)。
本発明は好ましい実施形態及び様々な代替的実施形態を参照して示され、記載されてきたが、形態及び詳細における様々な変更を、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく実行できることが、当業者に理解される。
本明細書に開示されている全ての参考文献、発行特許、特許公開及び配列受入番号は、全ての目的においてその全体が参照として本明細書に組み込まれる。
(表)表のキー
表1:Fabモデルの主な判断基準
表2:D3H44(カッパ軽鎖を含有する典型的なFab)の重鎖及び軽鎖の界面におけるホットスポットアミノ酸位置
表3A.D3H44、トラスツズマブ及びセツキシマブの重鎖アミノ酸配列のKabat番号付け
表3B.D3H44、トラスツズマブ及びセツキシマブの軽鎖アミノ酸配列のKabat番号付け
表3C:D3H44、トラスツズマブ及びセツキシマブのアミノ酸及びDNA配列
表4.H1がL1と優先的に対合する修飾を1つの免疫グロブリン重鎖及び/または2つの免疫グロブリン軽鎖に有する、LCCA設計
表5.設計ライブラリー
表6.コア設計
表7.組み合わせ設計の例
表8.修飾/最適化設計の例
表9.最適化設計を含む組み合わせ設計の例
表10.独立した設計を含む組み合わせ設計の例
表11:軽鎖競合アッセイ及び検証に使用されるH1:L1:L2のDNA比
表12.H1L1 Fabヘテロ二量体のDSF値を減少するように配置されたLCCA設計のLCCA性能、安定性及び抗原結合の評価
表13a.正確に対合したFabヘテロ二量体:誤対合したFabヘテロ二量体が86:14であるLCCA平均性能基準を満たす設計のLCCA性能
表13b. 正確に対合したFabヘテロ二量体:誤対合したFabヘテロ二量体が86:14であるLCCA平均性能基準を満たす設計の安定性及び抗体結合の評価
表14a. 正確に対合したFabヘテロ二量体:誤対合したFabヘテロ二量体が86:14であるLCCA平均性能基準を下回って機能する設計のLCCA性能
表14b. 正確に対合したFabヘテロ二量体:誤対合したFabヘテロ二量体が86:14であるLCCA平均性能基準を下回って機能する設計の安定性及び抗体結合の評価
表15.代表的な設計を含むクラスター1の設計
表16.代表的な設計を含むクラスター2の設計
表17.代表的な設計を含むクラスター3の設計
表18.代表的な設計を含むクラスター4の設計
表19.代表的な設計を含むクラスター5の設計
表20.代表的な設計を含むクラスター6の設計
表21.代表的な設計を含むクラスター7の設計
表22.代表的な設計を含むクラスター8の設計
表23.代表的な設計を含むクラスター9の設計
表24.代表的な設計を含むクラスター10の設計
表25.代表的な設計を含むクラスター11の設計
表26.代表的な設計を含むクラスター12の設計
表27.代表的な設計を含むクラスター13の設計
表28a.トラスツズマブ/セツキシマブ二重特異性系のSMCA特有識別子
表28b.D3H44/セツキシマブ二重特異性系のSMCA特有識別子
表28c.D3H44/トラスツズマブ二重特異性系のSMCA特有識別子
表29a.D3H44(H1L1)/セツキシマブ(H2L2)二重特異性系に由来するヘテロ二量体抗体のLC-MS対合データ及びpA後の収量(mg/L)
表29b.D3H44(H1L1)/トラスツズマブ(H2L2)二重特異性系に由来するヘテロ二量体抗体のLC-MS対合データ及びpA後の収量(mg/L)
表29c.トラスツズマブ(H1L1)/ セツキシマブ(H2L2)二重特異性系に由来するヘテロ二量体抗体のLC-MS対合データ及びpA後の収量(mg/L)
表30a.分取SEC後のD3H44(H1L1)/セツキシマブ(H2L2)二重特異性系に由来するヘテロ二量体抗体のLC-MS対合
表30b.分取SEC後のD3H44(H1L1)/トラスツズマブ(H2L2)二重特異性系に由来するヘテロ二量体抗体のLC-MS対合
表30c.分取SEC後のトラスツズマブ(H1L1)/ セツキシマブ(H2L2)二重特異性系に由来するヘテロ二量体抗体のLC-MS対合
表31a.D3H44/トラスツズマブ系に由来する選択された設計の生物物理学的特徴決定(抗原結合、熱安定性、UPLC-SEC)
表31b.D3H44/セツキシマブ系に由来する選択された設計の生物物理学的特徴決定(抗原結合、熱安定性、UPLC-SEC)
表31c.トラスツズマブ/セツキシマブ系に由来する選択された設計の生物物理学的特徴決定(抗原結合、熱安定性、UPLC-SEC)
表32a.LC-MSにより評価した、抗体種の百分率に対する野生型D3H44/トラスツズマブ系のDNA滴定比の効果。H1及びL1は、D3H44の重鎖及び軽鎖をそれぞれ指す。H2及びL2は、トラスツズマブの重鎖及び軽鎖をそれぞれ指す。
表32b.LC-MSにより評価した、抗体種の百分率に対する野生型D3H44/セツキシマブ系のDNA滴定比の効果。H1及びL1は、D3H44の重鎖及び軽鎖をそれぞれ指す。H2及びL2は、セツキシマブの重鎖及び軽鎖をそれぞれ指す。
表32c.LC-MSにより評価した、抗体種の百分率に対する野生型トラスツズマブ/セツキシマブ系のDNA滴定比の効果。H1及びL1は、トラスツズマブの重鎖及び軽鎖をそれぞれ指す。H2及びL2は、セツキシマブの重鎖及び軽鎖をそれぞれ指す。
表33a.D3H44(H1L1)/セツキシマブ(H2L2)二重特異性系に由来する野生型抗体構築物のLC-MS対合
表33b.D3H44(H1L1)/トラスツズマブ(H2L2)二重特異性系に由来する野生型抗体構築物のLC-MS対合
表33c.トラスツズマブ(H1L1)/セツキシマブ(H2L2)二重特異性系に由来する野生型抗体構築物のLC-MS対合
表34.Fabヘテロ二量体における突然変異の安定化
表35a.3つ全ての二重特異性系(D3H44/セツキシマブ、D3H44/トラスツズマブ及びトラスツズマブ/セツキシマブ)における移動性を両方の配向で示した設計
表35b.3つ全ての二重特異性系(D3H44/セツキシマブ、D3H44/トラスツズマブ及びトラスツズマブ/セツキシマブ)における移動性を一方の配向で示し、1つの二重特異性系においてのみ他方の配向に移動し、同時に軽鎖利用基準の少なくとも10%を満たしてもいる設計
(表2)D3H44(カッパ軽鎖を含有する典型的なFab)の重鎖及び軽鎖の界面におけるホットスポットアミノ酸位置
*Kabat番号付け
(表3A)D3H44、トラスツズマブ及びセツキシマブの重鎖アミノ酸配列のKabat番号付け
(表3B)D3H44、トラスツズマブ及びセツキシマブの軽鎖アミノ酸配列のKabat番号付け
(表3C)D3H44、トラスツズマブ及びセツキシマブのアミノ酸及びDNA配列
(表4)H1がL1と優先的に対合する修飾を1つの免疫グロブリン重鎖及び/または2つの免疫グロブリン軽鎖に有する、LCCA設計
*Kabat番号付け;WTは、アミノ酸突然変異を有さない野性型免疫グロブリン鎖を指す。
**H1、L1及びL2突然変異それぞれの特有のセット(LCCAフォーマット)が、セット番号または「特有の識別子」として指定された。
(表5)設計ライブラリー
*Kabat番号付け;WTは、アミノ酸突然変異を有さない野性型免疫グロブリン鎖を指す。
**「特有の識別子」は、2つの構成要素LCCAの特有の識別子から構成される、またはSMCAフォーマットのみにより試験された設計の単一識別子から構成される。
(表6)コア設計
*Kabat番号付け;WTは、アミノ酸突然変異を有さない野性型免疫グロブリン鎖を指す。
**「特有の識別子のセット」は、2つの構成要素LCCAの特有の識別子から構成される。
(表8)修飾/最適化設計の例
*Kabat番号付け
(表10)独立した設計を含む組み合わせ設計の例
*Kabat番号付け;WTは、アミノ酸突然変異を有さない野性型免疫グロブリン鎖を指す。
(表11)軽鎖競合アッセイ及び検証に使用されるH1:L1:L2のDNA比
^追加のDNA:AKTdd pTT22は、構成的に活性なタンパク質キナーゼB突然変異体(有意な陽性AKT突然変異体)を含有するベクターを指す。ssDNAは、サケ精子DNAを指す。
(表12)H1L1 Fabヘテロ二量体のDSF値を減少するように設置されたLCCA設計のLCCA性能、安定性及び抗原結合の評価
*結合L鎖タグ(HAまたはFLAG)の存在/不在のみが異なる他のFabヘテロ二量体から導かれた推定値を示す。
**333(H1)、250(L1)、749(L2)のLCCA実験から導かれた値。
***333(H1)、100(L1)、899(L2)のLCCA実験から導かれた値。
NDは、利用可能なデータがないことを示す。
(表13a)正確に対合したFabヘテロ二量体:誤対合したFabヘテロ二量体が86:14であるLCCA平均性能基準を満たす設計のLCCA性能
*値は、L1:L2のDNA比1:3で実施したLCCA実験から得て、L1:L2のDNA比を1:1に正規化した。
**値は、L1:L2のDNA比1:9で実施したLCCA実験から得て、L1:L2のDNA比を1:1に正規化した。
***「特有の識別子」は、(H1L1L2のセット番号-H2L2L1のセット番号)または(H2L2L1のセット番号-H1L1L2のセット番号)の配向のいずれかの2つの構成要素LCCAの特有の識別子からなる。
(表13b)正確に対合したFabヘテロ二量体:誤対合したFabヘテロ二量体が86:14であるLCCA平均性能基準を満たす設計の安定性及び抗体結合の評価
*結合L鎖タグ(HAまたはFLAG)の存在/不在のみが異なる他のFabヘテロ二量体から導かれた推定値を示す。
**「特有の識別子」は、(H1L1L2のセット番号-H2L2L1のセット番号)または(H2L2L1のセット番号-H1L1L2のセット番号)の配向のいずれかの2つの構成要素LCCAの特有の識別子からなる。
(表14a)正確に対合したFabヘテロ二量体:誤対合したFabヘテロ二量体が86:14であるLCCA平均性能基準を下回って機能する設計のLCCA性能
*値は、L1:L2のDNA比1:3で実施したLCCA実験から得て、L1:L2のDNA比を1:1に正規化した。
**値は、L1:L2のDNA比1:9で実施したLCCA実験から得て、L1:L2のDNA比を1:1に正規化した。
***「特有の識別子」は、(H1L1L2のセット番号-H2L2L1のセット番号)または(H2L2L1のセット番号-H1L1L2のセット番号)の配向のいずれかの2つの構成要素LCCAの特有の識別子からなる。
(表14b)正確に対合したFabヘテロ二量体:誤対合したFabヘテロ二量体が86:14であるLCCA平均性能基準を下回って機能する設計の安定性及び抗体結合の評価
*結合L鎖タグ(HAまたはFLAG)の存在/不在のみが異なる他のFabヘテロ二量体から導かれた推定値を示す。
**「特有の識別子」は、(H1L1L2のセット番号-H2L2L1のセット番号)または(H2L2L1のセット番号-H1L1L2のセット番号)の配向のいずれかの2つの構成要素LCCAの特有の識別子からなる。
(表15)代表的な設計を含むクラスター1の設計
*Kabat番号付け
**代表的な設計
(表16)代表的な設計を含むクラスター2の設計
*Kabat番号付け
**代表的な設計
(表17)代表的な設計を含むクラスター3の設計
*Kabat番号付け
**代表的な設計
(表18)代表的な設計を含むクラスター4の設計
*Kabat番号付け
**代表的な設計
(表19)代表的な設計を含むクラスター5の設計
*Kabat番号付け
**代表的な設計
(表20)代表的な設計を含むクラスター6の設計
*Kabat番号付け
**代表的な設計
***代表的な設計は、L2がQ38E置換を欠いていることを除いて、9745-9075に類似している。
(表21)代表的な設計を含むクラスター7の設計
*Kabat番号付け
**代表的な設計
(表22)代表的な設計を含むクラスター8の設計
*Kabat番号付け
**代表的な設計
(表23)代表的な設計を含むクラスター9の設計
*Kabat番号付け
**代表的な設計
***代表的な設計は、L2がQ38E置換を欠いていることを除いて、9751-9065に類似している。
(表24)代表的な設計を含むクラスター10の設計
*Kabat番号付け
**代表的な設計
(表25)代表的な設計を含むクラスター11の設計
*Kabat番号付け
**代表的な設計
(表26)代表的な設計を含むクラスター12の設計
*Kabat番号付け
**代表的な設計
(表28a)トラスツズマブ/セツキシマブ二重特異性系のSMCA特有識別子
*Kabat番号付け。WT残基は、D3H44系を指すことに留意すること。
(表28b)D3H44/セツキシマブ二重特異性系のSMCA特有識別子
*Kabat番号付け。WT残基は、D3H44系を指すことに留意すること。
(表28c)D3H44/トラスツズマブ二重特異性系のSMCA特有識別子
*Kabat番号付け。WT残基は、D3H44系を指すことに留意すること。
(表29a)D3H44(H1L1)/セツキシマブ(H2L2)二重特異性系に由来するヘテロ二量体抗体のLC-MS対合データ及びpA後の収量(mg/L)
*完全なAb種のみを考慮した割合(%)
**全ての種を考慮した割合(%)
***野生型に対するH1:H2:L1:L2の割合(%)の推定変化
(表29b)D3H44(H1L1)/トラスツズマブ(H2L2)二重特異性系に由来するヘテロ二量体抗体のLC-MS対合データ及びpA後の収量(mg/L)
*完全なAb種のみを考慮した割合(%)
**全ての種を考慮した割合(%)
***野生型に対するH1:H2:L1:L2の割合(%)の推定変化
(表29c)トラスツズマブ(H1L1)/セツキシマブ(H2L2)二重特異性系に由来するヘテロ二量体抗体のLC-MS対合データ及びpA後の収量(mg/L)
*完全なAb種のみを考慮した割合(%)
**全ての種を考慮した割合(%)
***野生型に対する推定変化
(表30a)分取SEC後のD3H44(H1L1)/セツキシマブ(H2L2)二重特異性系に由来するヘテロ二量体抗体のLC-MS対合
*完全なAb種のみを考慮した(%)
**全ての種を考慮した(%)
***野生型に対するH1:H2:L1:L2の割合(%)の推定変化
(表30b)分取SEC後のD3H44(H1L1)/トラスツズマブ(H2L2)二重特異性系に由来するヘテロ二量体抗体のLC-MS対合
*完全なAb種のみを考慮した(%)
**全ての種を考慮した(%)
***野生型に対するH1:H2:L1:L2の割合(%)の推定変化
(表30c)分取SEC後のトラスツズマブ(H1L1)/セツキシマブ(H2L2)二重特異性系に由来するヘテロ二量体抗体のLC-MS対合
*完全なAb種のみを考慮した(%)
**全ての種を考慮した(%)
***野生型に対する推定変化
(表31a)D3H44/トラスツズマブ系に由来する選択された設計の生物物理学的特徴決定(抗原結合、熱安定性。UPLC-SEC)
*報告されたKD値は、単回の測定または2回の測定の平均である。範囲は括弧内に示されている。
(表31b)D3H44/セツキシマブ系に由来する選択された設計の生物物理学的特徴決定(抗原結合、熱安定性。UPLC-SEC)
*報告されたKD値は、単回の測定または2回の測定の平均である。範囲は括弧内に示されている。
(表31c)トラスツズマブ/セツキシマブ系に由来する選択された設計の生物物理学的特徴決定(抗原結合、熱安定性。UPLC-SEC)
*報告されたKD値は、単回の測定または2回の測定の平均である。範囲は括弧内に示されている。
**ND=決定されず。
(表32a)LC-MSにより評価した、抗体種の百分率に対する野生型D3H44/トラスツズマブ系のDNA滴定比の効果。H1及びL1は、D3H44の重鎖及び軽鎖をそれぞれ指す。H2及びL2は、トラスツズマブの重鎖及び軽鎖をそれぞれ指す。
(表32b)LC-MSにより評価した、抗体種の百分率に対する野生型D3H44/セツキシマブ系のDNA滴定比の効果。H1及びL1は、D3H44の重鎖及び軽鎖をそれぞれ指す。H2及びL2は、セツキシマブの重鎖及び軽鎖をそれぞれ指す。
(表32c)LC-MSにより評価した、抗体種の百分率に対する野生型トラスツズマブ/セツキシマブ系のDNA滴定比の効果。H1及びL1は、トラスツズマブの重鎖及び軽鎖をそれぞれ指す。H2及びL2は、トラスツズマブの重鎖及び軽鎖をそれぞれ指す。
(表33a)D3H44(H1L1)/セツキシマブ(H2L2)二重特異性系に由来する野生型抗体構築物のLC-MS対合
*完全なAb種のみを考慮した(%)
**全ての種を考慮した(%)
(表33b)D3H44(H1L1)/トラスツズマブ(H2L2)二重特異性系に由来する野生型抗体構築物のLC-MS対合
*完全なAb種のみを考慮した(%)
**全ての種を考慮した(%)
(表33c)トラスツズマブ(H1L1)/セツキシマブ(H2L2)二重特異性系に由来する野生型抗体構築物のLC-MS対合
*完全なAb種のみを考慮した(%)
**全ての種を考慮した(%)
(表34)Fabヘテロ二量体における突然変異の安定化
*WTは、野生型を指す
**NAは、対応するLCCAセット番号がないので、該当なしを指す
(表35a)3つ全ての二重特異性系(D3H44/セツキシマブ、D3H44/トラスツズマブ、及びトラスツズマブ/セツキシマブ)における移動性を両方の配向で示した設計
*完全なAb種のみを考慮した(%)
**全ての種を考慮した(%)
***野生型に対する推定変化
(表35b)3つ全ての二重特異性系(D3H44/セツキシマブ、D3H44/トラスツズマブ、及びトラスツズマブ/セツキシマブ)における移動性を一方の配向で示し、1つの二重特異性系においてのみ他方の配向に移動し、同時に軽鎖利用基準の少なくとも10%を満たしてもいる設計
*完全なAb種のみを考慮した(%)
**全ての種を考慮した(%)
***野生型に対する推定変化