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JP7105464B2 - 貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの製造方法および貴金属元素担持酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法 - Google Patents
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貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの製造方法および貴金属元素担持酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法 Download PDF

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本発明は、希少糖の製造に適した貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの製造方法および貴金属元素担持酸化チタンの光触媒反応により糖に酸化分解を施して希少糖の選択的に製造する方法に関する。
希少糖とは、国際希少糖学会において「自然界に微量しか存在しない単糖と誘導体」と定義される50種類以上の希少物質のことである。近年、希少糖は、様々な有用な性質を有していることが認められ、機能性食品、医薬品または農薬等への応用が期待されている。
代表的な希少糖を製造する方法としては、酵素触媒を用いて糖の変換を行う方法、目的の希少糖を化学合成する方法または光触媒を用いて糖の酸化分解を行う方法などが挙げられる。
酵素触媒を用いて糖の変換を行う方法においては、特許文献1に示すように、高価な酵素触媒を用いて糖の変換を行う必要があり、安価に希少糖を得ることが困難であるという課題を有している。
また、希少糖を化学合成する方法は、有機合成化学の高度な技術が必要であるため、工業的な大量合成法として確立することが困難である。
これらに対して、光触媒を用いて糖の酸化分解を行う方法は、製造プロセスが比較的単純で大量生産が容易であり、光触媒が繰り返し使えることで生産コストを低く抑えることができるという利点を有している。
光触媒としては、分解効率、毒性、化学的・生物学的安定性、コストの観点から酸化チタン(チタニア)が実用的であることが知られている。
そして、本発明者等は、特許文献2に示すように、高比表面積を維持したまま細孔壁に結晶性を有するメソポーラスチタニアを確立している。
特開2008-109933号公報 特開2008-222491号公報
当該メソポーラスチタニアは、高比表面積を有していることから希少糖の製造への適用が試みられており、より希少糖の製造に適した機能性を有するメソポーラスチタニアが求められている。
また、希少糖を工業的に製造するにあたっては、生産コストを低く抑えるために、同一の製造ラインを用いて、複数種類を選択的に製造可能であることが求められる。
そこで、本発明においては、希少糖の製造に適した貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアおよびその製造方法並びに貴金属元素担持酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様の貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの製造方法は、希少糖を製造するために用いられる貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの製造方法であって、ミセル状の界面活性剤と貴金属元素前駆体と酸化チタン前駆体とを混合して前記界面活性剤の内部に前記貴金属元素前駆体を取り込みながら前記界面活性剤の表面に前記酸化チタン前駆体を吸着させた成形体を形成する吸着成形工程と、前記成形体を加熱攪拌して前記酸化チタン前駆体を酸化チタンとするとともに前記貴金属元素前駆体を還元して貴金属元素粒子とする結晶化工程と、pH調整剤により前記界面活性剤を除去する除去工程とからなることを特徴とする。また、本発明の第2の態様の貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの製造方法は、前記貴金属元素前駆体が、白金前駆体、金前駆体、銀前駆体、銅前駆体、パラジウム前駆体またはイリジウム前駆体のうち少なくとも1つであることを特徴とする。
このような、本発明の貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの製造方法によれば、メソポーラスチタニアの細孔内に容易に貴金属元素を担持させることが可能であり、光触媒特性および還元作用の両方に優れた貴金属元素担持酸化チタンを得ることができる。
本発明の第の態様の貴金属元素担持酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法によれば、グルコース、グルコン酸、ソルビトールまたはマンニトールのうち1つからなる原料糖に対して、本発明の第1の態様および第2の態様の貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの製造方法にて製造された貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアを前記貴金属元素担持酸化チタンとして接触させて紫外光照射を行い、前記貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの光触媒反応による酸化分解を前記原料糖に施すことによって、希少糖としてのアラビノースまたはエリトロースを選択的に製造する貴金属元素担持酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法であり、前記貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアを製造する際に、前記結晶化工程における加熱攪拌時間を調整して酸化チタンの結晶構造をルチル型および/またはアナターゼ型に制御して希少糖としてのアラビノ
ースおよびエリトロースの生成率を制御することを特徴とする。
このような、本発明の第の態様の貴金属元素担持酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法によれば、貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの結晶化工程における加熱攪拌条件を調整して酸化チタンの結晶構造を制御することによって選択的に希少糖を得ることができる。その結果、同一の製造ラインを用いて複数種類の希少糖を製造することを可能とする。
本発明の貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの製造方法によれば、糖の酸化分解に優れた貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアを提供することを可能とする。
本発明の貴金属元素担持酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法によれば、貴金属元素担持酸化チタンの酸化チタンの結晶構造を選択することにより、アラビノースまたはエリトロースの生成率を選択的に増大させることを可能とする。
さらに、本発明の貴金属元素担持酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法によれば、貴金属元素担持酸化チタンとしての貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの結晶化工程における加熱攪拌条件を調整することによって、同一の製造工程においてアラビノースとエリトロースの生成率を選択的に調整することができる。
本発明の貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアのイメージ図 本発明の貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの製造方法のフローチャート 本発明の貴金属元素担持酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法のフローチャート 実施例1において得られた希少糖の生成率を示す棒グラフ 実施例2において得られた貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアのTEM像であり、それぞれ、(a)加熱時間24時間、(b)加熱時間48時間、(c)加熱時間72時間および(d)加熱時間120時間のサンプルについて示す。 実施例2において得られた貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアのXRD測定結果 実施例2において得られた希少糖の生成率を示す棒グラフ
本発明の貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの製造方法および貴金属元素担持酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法の具体的な実施形態について図1乃至図3を用いて以下に説明する。
本発明の本発明の貴金属元素内部担持メソポーラスチタニア1は、希少糖を製造するために用いられる貴金属元素担持酸化チタンであり、図1に示すように、ルチル型および/またはアナターゼ型の結晶構造を有する酸化チタン2の結晶体からなる壁膜2aを備える六角柱状粒子である。当該六角柱状粒子には、複数の細孔2bが形成されており、前記細孔2b内部に貴金属元素3が担持された構造を有していることが重要である。
本発明の貴金属元素内部担持メソポーラスチタニア1は、酸化チタン2の光触媒反応による酸化反応と、貴金属元素3による還元反応とによって常に高い活性を維持する構造とされており、糖の酸化分解をスムーズに行って原料糖から容易に希少糖を得ることができる。特に、本発明の貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアは、細孔2b内に貴金属元素3が担持された構造とされていることで貴金属元素3によって覆い隠されることなく酸化チタン2の露出面積を最大限に保持することが可能となり、貴金属元素3の被覆による酸化チタン2による光触媒作用と貴金属元素3による還元作用とを効果的に得ることができる。
ここで、光触媒反応について簡単に説明する。光触媒反応とは、原料と光触媒とが接触している部分に対し、当該光触媒の光吸収特性および光反応活性に対応した波長の光を照射することによって生じる化学反応のことである。
また、酸化チタンについて簡単に説明する。酸化チタンは、実用的に用いられる光触媒の一つで、高効率、無害、化学的・生物学的安定性、低価格という特徴を有している。結晶構造は、ルチル型、アナターゼ型、ブルカイト型の3種類があり、特に、ルチル型およびアナターゼ型は紫外線領域の光を受けることによって触媒活性を発現するため汎用性に優れている。この酸化チタンの結晶構造は、結晶化が進むと最も安定なルチル型に転移する傾向がある。
そして、貴金属元素担持酸化チタンは、酸化チタン粒子に助触媒としての貴金属元素粒子が付着した構成を有している。このような、貴金属元素担持酸化チタンは、原料と接触した状態で光照射されることにより、酸化チタン部分において光反応活性が生じて原料を分解し、同時に、貴金属元素部分において還元反応が生じる。貴金属元素担持酸化チタンは、貴金属元素部分の還元作用によって、酸化チタン部分における電子のやりとりがスムーズになるため、純粋な酸化チタンよりも優れた光触媒作用を得ることができる。
貴金属元素としては、白金、金、銀、銅、パラジウムまたはイリジウムなどから少なくとも1つ選択して用いることができる。特に、白金は、酸化チタンの伝導帯よりもフェルミ順位が少しプラス側にある点、また、表面が電化分離しやすく活性化エネルギーを容易に下げることができる点などから好ましい。さらに、白金は、0価の状態で担持させることにより、表面上での還元反応を高効率で進行させることができる。
このような、本発明の貴金属元素内部担持メソポーラスチタニア1の製造方法について図2を用いて説明する。
本発明の貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの製造方法10は、まず、ミセル状の界面活性剤と貴金属元素前駆体とを水中で混合して加熱溶解し、酸化チタン前駆体を水に溶解させたものを先の混合物に混合することで、当該界面活性剤の内部に貴金属元素前駆体を取り込むとともに、当該界面活性剤の表面に酸化チタン前駆体を吸着させて形成体を得る吸着成形工程ST11を行う。ここで、当該界面活性剤は、メソポーラスチタニアを形成するための鋳型として用いている。
得られた成形体を水中で加熱攪拌して、酸化チタン前駆体を酸化チタンの結晶とするとともに、貴金属元素前駆体を還元して貴金属元素粒子とする結晶化工程ST12を行う。酸化チタンは、鋳型としてのミセル状の界面活性剤の周囲で結晶化し、膜壁2aを形成する。このとき、酸化チタンの結晶構造は、加熱攪拌時間が長くなるにしたがって、アナターゼ型からルチル型に移行しするため、加熱攪拌時間を調整してアナターゼ型とルチル型の存在比率を制御することができる。
結晶化が完了したら、pH調整剤により鋳型としての界面活性剤を除去する除去工程ST13を行う。当該界面活性剤がメソポーラスチタニアの細孔内から除去されると、細孔内部に貴金属元素粒子が担持された貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアが得られる。
界面活性剤としては、カオチン性界面活性剤を用いることができる。カチオン性界面活性剤としては、水中で配列して、多孔質酸化チタンを得る際の鋳型となる性質を有するものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、アンモニウムに結合する4つの置換基のうち1つの置換基のみが長鎖で他が短鎖の四級アンモニウム塩が挙げられる。より好ましくはモノ長鎖脂肪族四級アンモニウム塩であり、特に好ましくは長鎖アルキル基の炭素数が10~20であるモノ長鎖アルキル四級アンモニウム塩である。この長鎖アルキル基の炭素数は12~18であることが好ましい。また、長鎖アルキル基以外の基については特に限定はないが、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
特に好ましいカチオン性界面活性剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ミリスチルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。また、そのアニオンとしては特に限定はなく、塩素イオン、臭素イオン、水酸化イオン等が用いられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。下記の本実施例においては、セチルトリメチルアンモニウム塩としてのセチルトリメチルアンモニウムブロミド(C1948BrN)を用いた。
貴金属元素前駆体は、上述の貴金属元素から少なくとも1つ選択される貴金属元素粒子を酸化チタンに担持させることができるものであれば特に限定するものではない。
具体的には、白金を担持させる場合には、白金前駆体として親油性の白金化合物を用いることができる。特に、ビスアセチルアセトナト白金(Pt(acac))、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)、ジアンミンジニトロ白金、テトラアミン白金(II)クロライドテトラキス(トリフェニルホスフィン)白金(0)などを用いることが好ましい。
金を担持させる場合には、金前駆体として、テトラクロロ金(III)酸四水和物、テトラクロロ金(III)酸ナトリウム二水和物などを用いることが好ましい。
銀を担持させる場合には、銀前駆体として、硝酸銀(I)、塩化銀(I)などを用いることが好ましい。
銅を担持させる場合には、銅前駆体として、硝酸銅(II)、塩化銅(II)などを用いることが好ましい。
パラジウムを担持させる場合には、パラジウム前駆体として、硝酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、パラジウムアセテート(II)、トリス(ベジンジリデンアセトン)パラジウム(0)などを用いることが好ましい。
イリジウムを担持させる場合には、イリジウム前駆体として、塩化イリジウム(III)、トリス(アセチルアセトナト)イリジウム(III)、ヘキサアンミンイリジウム(III)塩化物、ヘキサアンミンイリジウム(III)水酸化物などを用いることが好ましい。
酸化チタン前駆体としては、酸性のチタン塩を用いることができる。具体的には、硫酸塩、オキシ硫酸塩、オキシ塩化物、リン酸塩、酢酸塩、硝酸塩などの塩化物を用いることが可能であり、硫酸チタン(TiSO)、酸化硫酸チタン(TiOSO)、四硝酸チタンなどが挙げられる。また、各種チタンアルコキシドもチタン源として用いることができる。
pH調整剤としては、酢酸(CHCOOH)、アンモニア(NH)などを用いることができる。
このような、本発明の貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの製造方法10においては、メソポーラスチタニアの細孔に貴金属元素が担持された構造とすることで酸化還元サイトを孔内外に明確に分離して、光触媒作用と還元作用とに優れた貴金属元素担持酸化チタンとしての貴金属元素内部担持メソポーラスチタニア1を容易に得ることができる。
さらに、結晶化工程ST12における加熱攪拌時間を調整することで、貴金属元素内部担持メソポーラスチタニア1の壁膜2aを形成する酸化チタン2の結晶構造を制御し、アナターゼ型とルチル型の存在比率を制御することを可能とする。
次に、本発明の貴金属元素担持酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法について説明する。本発明の貴金属元素担持酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法は、グルコース、グルコン酸、糖アルコールのうち1つからなる原料糖に対して、アナターゼ型またはルチル型の結晶構造を有する酸化チタンに貴金属元素が担持された貴金属元素担持酸化チタンを接触させて光照射を行い、当該貴金属元素担持酸化チタンの光触媒反応による酸化分解を原料糖に施すことによって、希少糖としてのアラビノースまたはエリトロースを選択的に製造するものである。なお、糖アルコールとしては、ソルビトールまたはマンニトールを用いることが好ましい。
本発明の貴金属元素担持酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法20のより具体的な実施形態は、図3に示すように、まず、原料糖の水溶液に貴金属元素担持酸化チタンを加えて超音波分散させる(ST21)。分散液を攪拌しながら光照射して糖の酸化分解を行い(ST22)、得られた希少糖をろ過・分離する(ST23)。
貴金属元素担持酸化チタンとしては、アナターゼ型および/またはルチル型の結晶構造を有する酸化チタンに貴金属元素粒子が付着している構成を有する物質を用いることができる。特に、貴金属元素担持酸化チタンとして本発明の貴金属元素内部担持メソポーラスチタニア1を適用すると、上述の貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの調製工程10における結晶化工程ST12の加熱攪拌時間を調整して、壁膜2aを形成する酸化チタン2の結晶構造をアナターゼ型および/またはルチル型に制御することで、アラビノースまたはエリトロースの生成率をも制御することが可能となる。その結果、同一の製造ラインにてアラビノースおよびエリトロースを選択的に製造することが可能となる。
このように、本発明の貴金属元素担持酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法20によれば、アナターゼ型の結晶構造を有する酸化チタンを用いることによりアラビノースを選択的に製造することを可能とし、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを用いることによりエリトロースを選択的に製造することを可能とする。
そして、本発明の貴金属元素担持酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法20において、貴金属元素担持酸化チタンとして本発明の貴金属元素内部担持メソポーラスチタニア1を適用することにより、加熱攪拌時間を調整して酸化チタンの結晶構造を自在に制御して、同一の製造ラインにてアラビノースとエリトロースの製造を選択的に行うことを可能とする。
<実施例1>
以下に、本発明の貴金属元素担持酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法20の具体的な実施例について説明する。なお、本実施例においては、白金を担持させた白金担持酸化チタンを用いて検討した。
実施例1においては、原料糖としてグルコースおよびグルコノラクトン(グルコン酸)、白金担持酸化チタンとしてルチル型チタニアA,アナターゼ型チタニアB,アナターゼ型チタニアC,アナターゼ・ルチル(7:3)型チタニアDおよびルチル型チタニアEを用いてアラビノースまたはエリトロースの生成を行った。
白金担持酸化チタンは、光励起時に生成される励起電子によって白金前駆体を還元して酸化チタンの表面に白金を析出させる光還元析出法、酸化チタンを白金前駆体(塩)に含浸した後に加熱還元を行って白金を析出させる方法などにより、酸化チタンに対して白金を担持させたものである。
具体的な生成方法は、グルコース135mgまたはグルコノラクトン(グルコン酸)133mgを超純水50mLに溶解し、上記の各白金担持酸化チタン25mgを加えて10分間の超音波分散を行った。分散液を攪拌しながらブラックライトを用いて6時間の紫外線照射を行った後、14000rpmで15分間の遠心分離を行って生成物を得た。
上記手順により得た生成物について、高速液体クロマトグラフィー(HPLC、示差屈折(RI)検出器RI-2031、カラム:PezexROA-OrganicAcidH+(8%)、60℃、0.5mL/min、移動相:0.005NHSOaq.)により定量分析を行った。さらに、HPLCの測定結果から生成したアラビノース濃度およびエリトロース濃度を算出した。これらの結果を踏まえて、希少糖の生成率を下記の数式1により求めた。各酸化チタンを用いて得られた希少糖の生成率を図4に示す。
Figure 0007105464000001
各白金担持酸化チタンにおける希少糖の生成率は、図4に示すように、原料糖に関わらず、結晶構造がアナターゼ型またはルチル型を有している場合で、アラビノースとエリトロースの生成量に優位差が認められた。
具体的には、アナターゼ型の結晶構造を有していたアナターゼ型チタニアBおよびアナターゼ型チタニアCを用いた酸化分解においては、原料糖をグルコースとするとアラビノースがエリトロースの5倍程度生成され、原料糖をグルコン酸とするとアラビノースがエリトロースの1.5~2倍程度生成された。ルチル型の結晶構造を有していたルチル型チタニアAおよびルチル型チタニアEを用いた酸化分解においては、原料糖をグルコースとするとアラビノースがエリトロースの1.3~1.5倍程度生成され、原料糖をグルコン酸とするとエリトロースがアラビノースの2.3~2.5倍程度生成された。アナターゼ・ルチル(7:3)型チタニアを用いた酸化分解においては、原料糖をグルコースとするとアラビノースがエリトロースの1.8倍程度生成され、原料糖をグルコン酸とするとアラビノースがエリトロースの1.1倍程度生成された。
このような、実施例1の結果から、原料糖としてのグルコースまたはグルコン酸をアナターゼ型の結晶構造を有する白金担持酸化チタンを用いて酸化分解することにより、アラビノースを選択的に得られることが明らかとなった。
また、実施例1の結果から、原料糖としてのグルコン酸をルチル型の結晶構造を有する白金担持酸化チタンを用いて酸化分解することにより、エリトロースを選択的に得られることが明らかとなった。
<実施例2>
以下に、貴金属元素担持酸化チタンとして本発明の貴金属元素内部担持メソポーラスチタニア1を用いた本発明の貴金属元素担持酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法20の具体的な実施例について説明する。なお、本実施例においては、貴金属元素として白金を用いて貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアを調製した。
実施例2においては、界面活性剤としてセチルトリメチルアンモニウムブロミド(C1948BrN(以降、CTABと称する。))、白金前駆体としてPt(acac)、酸化チタン前駆体として酸化硫酸チタン(TiOSO)、pH調整剤として酢酸およびアンモニアを用いて白金内部担持メソポーラスチタニアを調製した。希少糖の生成においては、原料糖としてグルコノラクトン(グルコン酸)を用いた。
はじめに、本実施例における白金内部担持メソポーラスチタニアの調製工程10について説明する。まず、鋳型となるCTABを超純水25gに加えて濃度が60mMとなるように調製し、Pt(acac)を0.05mmol加えて80℃に加熱して可溶化した。また、酸化硫酸チタン(TiOSO)を超純水25gに溶解させて濃度が3000mMとなるように調製した。これらの溶液を混合して白色沈殿を得た後、80℃の条件下にて24,48,72,120時間の加熱攪拌を行った。得られた粉末に対して、2%濃度の酢酸およびpH6のアンモニアを添加して6時間攪拌し、ろ過・洗浄してCTABの除去を行い白金内部担持メソポーラスチタニアを得た。
次に、希少糖の生成工程について説明する。グルコース135mgまたはグルコノラクトン(グルコン酸)133mgを超純水50mLに溶解し、前工程にて得た白金内部担持メソポーラスチタニア25gを加えて10分間の超音波分散を行った。分散液を攪拌しながらブラックライトを用いて6時間の紫外線照射を行った後、14000rpmで15分間の遠心分離を行って生成物を得た。
貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの調製工程10にて得た白金内部担持メソポーラスチタニアについて、透過型電子顕微鏡(TEM、日立ハイテクノロジーズH7650)を用いて評価した。得られたTEM像を図5に示す。
本実施例における白金内部担持メソポーラスチタニアは、図5(a)~(d)のTEM像に示すように、いずれの加熱攪拌時間においても、粒状の集合体様相が認められることから、細孔構造を有していることが明らかとなった。
さらに、白金内部担持メソポーラスチタニアについて、粉末X線回折(XRD)測定(PHILIPS X’PertPro、CuKα線)により評価した。得られたXRDデータを図6に示す。
白金内部担持メソポーラスチタニアは、図6に示すように、加熱攪拌時間24時間においてはアナターゼ型の結晶が認められる。そして、加熱攪拌時間が長くなるにつれてルチル型の結晶のピークが顕著となっており、結晶構造がアナターゼ型からルチル型に移行していることが分かる。
また、希少糖の生成工程において得られた生成物について、実施例1において説明したHPLCにより定量分析を行った。得られたHPLCの測定結果から上記の数式1により希少糖の生成率を算出した。得られた希少糖の生成率を図7に示す。
希少糖の生成率は、図7に示すように、加熱攪拌時間が長くなるのにしたがってエリトロースの生成量が増大していることが分かる。特に、原料糖としてグルコン酸を用いた場合において、エリトロースの生成量が大きく増大していた。他方で、アラビノースの生成量は、24時間以降は増大傾向が認められたがそれ以降は、ほとんど変化がないか減少傾向が認められた。これは、結晶化工程ST12における加熱攪拌時間が長くなる程、白金内部担持メソポーラスチタニアの酸化チタンに含まれるルチル型の結晶が増大したためである。
このように、貴金属元素担持酸化チタンとして本発明の貴金属元素内部担持メソポーラスチタニア1を用いることにより、加熱攪拌時間を調整することで当該貴金属元素内部担持メソポーラスチタニア1の酸化チタンの結晶構造を制御し、アラビノースおよびエリトロースの生成量を調整することができることが明らかとなった。
本発明の酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法および貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアは、上記の実施形態および実施例に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲において、種々の変更が可能である。
1 貴金属元素内部担持メソポーラスチタニア
2 酸化チタン
2a 壁膜
2b 細孔
3 貴金属元素
10 貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの製造方法
20 貴金属元素内部酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法

Claims (3)

  1. 希少糖を製造するために用いられる貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの製造方法であって、
    ミセル状の界面活性剤と貴金属元素前駆体と酸化チタン前駆体とを混合して前記界面活性剤の内部に前記貴金属元素前駆体を取り込みながら前記界面活性剤の表面に前記酸化チタン前駆体を吸着させた成形体を形成する吸着成形工程と、
    前記成形体を加熱攪拌して前記酸化チタン前駆体を酸化チタンとするとともに前記貴金属元素前駆体を還元して貴金属元素粒子とする結晶化工程と、
    pH調整剤により前記界面活性剤を除去する除去工程と
    からなることを特徴とする貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの製造方法。
  2. 前記貴金属元素前駆体が、白金前駆体、金前駆体、銀前駆体、銅前駆体、パラジウム前駆体またはイリジウム前駆体のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の貴金属内部担持メソポーラスチタニアの製造方法。
  3. グルコース、グルコン酸、ソルビトールまたはマンニトールのうち1つからなる原料糖に対して、請求項1または請求項2に記載の方法にて製造された貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアを貴金属元素担持酸化チタンとして接触させて紫外光照射を行い、
    前記貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアの光触媒反応による酸化分解を前記原料糖に施すことによって、
    希少糖としてのアラビノースまたはエリトロースを選択的に製造する貴金属元素担持酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法であり、
    前記貴金属元素内部担持メソポーラスチタニアを製造する際に、前記結晶化工程における加熱攪拌時間を調整して酸化チタンの結晶構造をルチル型および/またはアナターゼ型に制御して希少糖としてのアラビノースおよびエリトロースの生成率を制御することを特徴とする貴金属元素担持酸化チタンを用いた希少糖の選択的製造方法。
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