JP7108318B2 - 生体細胞凍結保存具および生体細胞凍結保存用具 - Google Patents
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Description
哺乳動物胚の凍結保存方法としては、特開2000-189155公報(特許文献1)において、哺乳動物胚または卵子を滅菌処理した凍結ストロー、凍結バイアルまたは凍結チューブ等の凍結保存用容器の内面に、これらの胚または卵子を包被するに充分な最少量のガラス化液で貼り付け、この凍結保存用容器を密封し、この容器を液体窒素に接触させて急速に冷却することが提案されている。そして、融解方法では、前記の方法で保存した凍結保存用容器を液体窒素から取り出し、容器の一端部を開口し、この容器内に33~39℃の希釈液を直接注入し、胚または卵子の凍結を融解希釈するものである。この方法によれば、哺乳動物胚または卵子をウイルスや細菌による感染のおそれがなく高い生存率で保存および融解希釈することができるという優れた効果を備えている。
しかし、凍結ストロー、凍結バイアルまたは凍結チューブ等の凍結保存用容器の内面に、胚または卵子などの卵を包被するに充分かつ少量のガラス化液で貼り付ける作業が必ずしも容易ではなかった。
また、特開2016-10359(特許文献4、US公開2017-0135335)には、支持体上に、接着層とガラス化液吸収層を少なくともこの順に有するガラス化液吸収体を有し、ガラス化液吸収層の細胞又は組織を載置する部分と支持体の間に接着層が存在しない部分を有する細胞又は組織のガラス化凍結保存用治具が開示されている。
耐寒性材料により形成された本体部と、耐寒性材料により形成された生体細胞保持部とを備える生体細胞凍結保存具であって、
前記生体細胞保持部は、光透過性を有するベース部と、前記ベース部の表面に固定された吸水部と、前記吸水部により取り囲まれた欠損部とを備え、
前記吸水部は、光難透過性シートからなり、前記ベース部は、細長い平坦シート状であり、前記欠損部は、光難透過性シートである前記吸水部により取り囲まれた円状または多角形状となっており、さらに、前記欠損部は、前記ベース部の前記表面が露出した光透過性を有する平坦な生体細胞載置部位を形成しており、かつ、透過型顕微鏡を用いた生体細胞の載置作業を行う際に、光難透過性である前記吸水部により取り囲まれ、光が透過する前記生体細胞載置部位が前記生体細胞を載置するターゲットを形成する生体細胞凍結保存具。
上記のいずれかに記載の生体細胞凍結保存具と、前記生体細胞凍結保存具を収納可能かつ耐寒性材料により形成された一端が閉塞した筒状収納部材とを備える生体細胞凍結保存用具。
本発明の生体細胞凍結保存具1は、耐寒性材料により形成された本体部2と、耐寒性材料により形成された生体細胞保持部3とを備える。生体細胞保持部3は、光透過性を有するベース部31と、ベース部31の表面に固定された吸水部32とを備える。吸水部32は、吸水部32により取り囲まれた欠損部(言い換えれば、吸水部32の中に設けられた欠損部)33を備え、欠損部33において、ベース部31の表面が露出し、光透過性を有している。
特に、この実施例の細胞凍結保存具1は、卵凍結保存具であり、生体細胞保持部3は、卵保持部となっている。なお、本発明の細胞凍結保存具は、胚などの卵、卵子、精子、造血幹細胞、多能性幹細胞等の幹細胞などの細胞、特に上記のような生体細胞を凍結保存するために用いることができる。
また、本発明の生体細胞凍結保存用具10は、上記の生体細胞凍結保存具1と、生体細胞凍結保存具1を収納可能かつ耐寒性材料により形成された一端が閉塞した筒状収納部材4とを備える。
なお、本発明の生体細胞凍結保存具1は、筒状収納部材4を使用せず、生体細胞凍結保存具単独としても卵凍結保存に使用することができる。
この説明では、生体細胞である卵子を凍結保存する場合を例にとり説明する。
まず、ピペットの先端に卵子を採取し、卵子の細胞内液を平衡液に置換する作業を行い、さらに、細胞外液をガラス化液に置換する作業を行う。そして、顕微鏡下において、本発明の生体細胞凍結保存具1の生体細胞保持部3に設けられた吸水部32の欠損部33に卵子を少量のガラス化液とともに配置させ、ベース部材31の表面に付着させる。卵子が付着した生体細胞凍結保存具1の生体細胞保持部をあらかじめ準備しておいた液体窒素に浸漬し凍結(ガラス化)させる。そして、筒状収納部材4内に、卵子が付着した生体細胞凍結保存具1を挿入し、収納容器(図示せず)内に、生体細胞凍結保存具1を収納した筒状収納部材4を収納させ、続いて、収納容器を液体窒素タンク内に入れ保存する。
この実施例の生体細胞凍結保存具1aは、耐寒性材料により形成された本体部2と、耐寒性材料により形成された生体細胞保持部3dとを備える。そして、生体細胞保持部3dは、光透過性を有し、細長いベース部31と、ベース部の少なくとも一方の表面の両側部に固定された細長い2つの吸水部32a,32bを備える。そして、2つの吸水部32a,32b間にて露出するベース部31が、光透過性を有する細胞載置部位33となっている。
光透過性を有するベース部31は、上述したものと同じである。図21および図23に示すように、ベース部31の一方の表面に吸水部32a,32bが固定されている。なお、吸水部32a,32bは、ベース部31の表面および裏面に設けてもよい。吸水部32a,32bは、ベース部31の表面の側部を被覆するように、長手方向に細長く延びるものとなっている。2つの吸水部32a,32bは、向かい合うように設けられている。
また、この実施例の生体細胞凍結保存具1aにおいても、上述した筒状収納部材4を用いることができる。生体細胞凍結保存具1aと筒状収納部材4により、生体細胞凍結保存用具が、構成される。
この実施例の生体細胞凍結保存具1bは、耐寒性材料により形成された本体部2と、耐寒性材料により形成された生体細胞保持部3eとを備える。そして、生体細胞保持部3eは、光透過性を有し、細長いベース部31と、ベース部31の少なくとも一方の表面に、ベース部31を横切るように固定された向かい合う2つの吸水部37a,37b,37c,37dを有し、吸水部37a,37b,37c,37d間にて露出するベース部31が、光透過性を有する細胞載置部位33となっている。
光透過性を有するベース部31は、上述したものと同じである。図24および図25に示すように、ベース部31の一方の表面に吸水部37a,37b,37c,37dが固定されている。なお、吸水部37a,37b,37c,37dは、ベース部31の表面および裏面に設けてもよい。
吸水部37a,37b,37c,37dは、ベース部31の表面を横切るように、複数設けられている。各吸水部37a,37b,37c,37dは、ベース部31の長手方向に隣り合う吸水部が向かい合うように設けられている。隣り合う吸水部間における露出するベース部部分が、生体細胞載置部位33となっている。
また、上述したの実施例の生体細胞凍結保存具1a,1bにおいても、上述した筒状収納部材4を用いることにより、生体細胞凍結保存用具を構成することができる。
この実施例の生体細胞凍結保存具5は、耐寒性材料により形成された本体部51と、耐寒性材料により形成された生体細胞保持部52とを備える。生体細胞保持部52は、光透過性を有するベース部53と、ベース部53の表面に固定された吸水部54とを備える。吸水部54は、吸水部54により取り囲まれた欠損部61を備え、欠損部61において、ベース部53の表面が露出し、光透過性を有している。
吸水部としては、繊維からなるシート、多孔性樹脂シートなどの各種シートが使用できる。吸水部の厚みは10μm~5mmであることが好ましく、より好ましくは20μm~2.5mmである。そして、繊維からなるシートとしては、紙又は不織布が使用できる。吸水部としては、上述したものが好適に使用できる。
熱伝導性体55,56は、熱伝導性材料により形成されている。熱伝導性材料としては、銀、銅、アルミニウム、ステンレス鋼などの金属類、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、アルミナなどの熱伝導性セラミックスなどが好適に使用できる。
筒状収納部材7は、図19に示すように、生体細胞凍結保存具5を収納可能かつ耐寒性材料により形成された一端が閉塞した筒状体である。筒状収納部材7は、内部に生体細胞保持部材収納部71を有する筒状体70と、筒状体70の先端に設けられた熱伝導性部材72とを備える。また、この実施例では、筒状収納部材7は、先端閉塞部73と、基端開口部74と、内部に生体細胞保持部材収納部71を有する筒状体70と、筒状体70の先端部内に収納された熱伝導性部材72とにより構成されている。
この説明では、生体細胞である卵子を凍結保存する場合を例にとり説明する。
まず、複数の卵子を採取し、卵子の細胞内液を平衡液に置換する作業を行い、さらに、細胞外液をガラス化液に置換する作業を行う。そして、顕微鏡下において、図18に示すように、生体細胞凍結保存具5の生体細胞保持部52に設けられた吸水部54の欠損部61に卵子68を少量のガラス化液とともに配置させ、ベース部材53の表面に付着させる。卵子が付着した生体細胞凍結保存具5を生体細胞保持部52側より、筒状収納部材7内に挿入し、図19に示すように、生体細胞凍結保存具5の生体細胞保持部52の先端より突出する熱伝導性体55,56の先端部55a,56aが、筒状収納部材7内の熱伝導性部材72と接触する状態とする。
(1) 耐寒性材料により形成された本体部と、耐寒性材料により形成された生体細胞保持部とを備える生体細胞凍結保存具であって、
前記生体細胞保持部は、光透過性を有するベース部と、前記ベース部の表面に固定された吸水部とを備え、前記吸水部は、前記吸水部により取り囲まれた欠損部を備え、前記欠損部において、前記ベース部の前記表面が露出し、光透過性を有している生体細胞凍結保存具。
(2) 前記欠損部における前記ベース部の表面が、細胞載置部位である上記(1)に記載の生体細胞凍結保存具。
(3) 前記生体細胞凍結保存具は、複数の前記欠損部を備えている上記(1)または(2)に記載の生体細胞凍結保存具。
(4) 前記欠損部は、円状または多角形状である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の生体細胞凍結保存具。
(5) 耐寒性材料により形成された本体部と、耐寒性材料により形成された生体細胞保持部とを備える生体細胞凍結保存具であって、
前記生体細胞保持部は、光透過性を有し、細長いベース部と、前記ベース部の少なくとも一方の表面の両側部に固定された細長い2つの吸水部を有し、前記2つの吸水部間にて露出する前記ベース部が、光透過性を有する細胞載置部位となっている生体細胞凍結保存具。
(6) 耐寒性材料により形成された本体部と、耐寒性材料により形成された生体細胞保持部とを備える生体細胞凍結保存具であって、
前記生体細胞保持部は、光透過性を有し、細長いベース部と、前記ベース部の少なくとも一方の表面に、前記ベース部を横切るように固定された向かい合う2つの吸水部を有し、前記2つの吸水部間にて露出する前記ベース部が、光透過性を有する細胞載置部位となっている生体細胞凍結保存具。
(7) 前記ベース部は、無色透明である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の生体細胞凍結保存具。
(8) 前記ベース部は、透明性シートである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の生体細胞凍結保存具。
(9) 前記ベース部は、細長い平板状の可撓性シートである上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の生体細胞凍結保存具。
(10) 前記ベース部は、細長い硬質平板部材である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の生体細胞凍結保存具。
(11) 前記吸水部は、光難透過性シートである上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の生体細胞凍結保存具。
(12) 上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の生体細胞凍結保存具と、前記生体細胞凍結保存具を収納可能かつ耐寒性材料により形成された一端が閉塞した筒状収納部材とを備える生体細胞凍結保存用具。
Claims (10)
- 耐寒性材料により形成された本体部と、耐寒性材料により形成された生体細胞保持部とを備える生体細胞凍結保存具であって、
前記生体細胞保持部は、光透過性を有するベース部と、前記ベース部の表面に固定された吸水部と、前記吸水部により取り囲まれた欠損部とを備え、
前記吸水部は、光難透過性シートからなり、前記ベース部は、細長い平坦シート状であり、前記欠損部は、光難透過性シートである前記吸水部により取り囲まれた円状または多角形状となっており、さらに、前記欠損部は、前記ベース部の前記表面が露出した光透過性を有する平坦な生体細胞載置部位を形成しており、かつ、透過型顕微鏡を用いた生体細胞の載置作業を行う際に、光難透過性である前記吸水部により取り囲まれ、光が透過する前記生体細胞載置部位が前記生体細胞を載置するターゲットを形成することを特徴とする生体細胞凍結保存具。 - 前記吸水部により取り囲まれ、光が透過する前記生体細胞載置部位は、円形であり、直径が.0.5~1.5mmである請求項1に記載の生体細胞凍結保存具。
- 前記生体細胞凍結保存具は、複数の前記欠損部を備えている請求項1または2に記載の生体細胞凍結保存具。
- 前記吸水部は、前記欠損部を除き、前記ベース部の先端部の一方の表面の全体を覆うものとなっている請求項1ないし3のいずれかに記載の生体細胞凍結保存具。
- 前記生体細胞保持部は、中央部に前記欠損部を有する個別吸水部を複数備えており、前記個別吸水部の外側および前記欠損部において、前記ベース部の表面は、露出している請求項1ないし3のいずれかに記載の生体細胞凍結保存具。
- 前記ベース部は、無色透明である請求項1ないし5のいずれかに記載の生体細胞凍結保存具。
- 前記ベース部は、透明性シートである請求項1ないし5のいずれかに記載の生体細胞凍結保存具。
- 前記ベース部は、細長い平板状の可撓性シートである請求項1ないし7のいずれかに記載の生体細胞凍結保存具。
- 前記ベース部は、細長い硬質平板部材である請求項1ないし8のいずれかに記載の生体細胞凍結保存具。
- 請求項1ないし9のいずれかに記載の生体細胞凍結保存具と、前記生体細胞凍結保存具を収納可能かつ耐寒性材料により形成された一端が閉塞した筒状収納部材とを備える生体細胞凍結保存用具。
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