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JP7108534B2 - 軟包装容器用積層フィルムの製造方法 - Google Patents
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JP7108534B2 - 軟包装容器用積層フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特に小ロット・多品種化が進む軟包装容器の製造に適した、軟包装容器用積層フィルムの製造方法に関する。
例えば、プラスチックフィルムを利用した食品用軟包装容器の分野では、印刷図柄の出来栄えが売り上げに直結するため、印刷品質が重視される。そういった理由から、まずは、美粧印刷物を得るのに適するという観点でグラビア印刷方式が利用されてきた。
グラビア印刷では、金属ローラーの表面に種々の方法でセルを設け、さらに耐摩耗性や耐腐食性を高めるために金属クロムメッキを施した印刷版を利用する。このような印刷版は、製版のために非常に多くのコストと手間を要する代わりに、高い耐刷性を有する。そこで、できる限り大量の印刷物を製造して、印刷物一枚当たりの製版のコストや手間を削減することが、経済的に優れた印刷方法となる。
食品包装容器の分野では、かつて、スナック菓子やラーメン袋に代表されるように、同じ印刷物を大量に印刷する仕事が多くあった。したがって、グラビア印刷方式が十分に経済的に優れた印刷方式となり得ることが、この分野で利用されたもう一つの大きな理由である。
しかし、最近、ライフスタイルの多様化に伴い、人それぞれに異なる価値観を持つようになった。当然、物の選択基準においても自己の価値観が優先されるため、結果として、多様化は選択肢の幅を押し広げる役割を果たす。
この様な選択肢の幅の広がりは、食品分野においても見られ、最近のスーパーやコンビニの食品の陳列棚には、今までは無かったような商品が並べられている光景をよく目にする。さらに、多様化は新たなカテゴリーの商品を生み出すばかりではなく、細分化をもたらすことになる。例えば、同じ食品のカテゴリーでも、カレー味、ソース味、わさび味などと味付けの種類が増加したり、名産地の食材を特別に選んで使用するという風に、直接、食品の素材に関連するものの他、価格帯や男女向けで細分化されることもある。
ただ、商品のカテゴリーが増え、また細分化されても、全体の需要が増えるわけではない。したがって、流通する商品の種類の多さに反比例するように、一つひとつの商品の販売量は少なくなる。そうした理由から、食品用軟包装容器の製造現場では、小ロット・多品種化が急速に進んでいる。
この様な状況の中、グラビア印刷方式の、同じ印刷物を大量に製造することにより経済性を高めるという利点は、だんだんと生かされないようになっている。今後、さらにライフスタイルの多様化が進むと予想されることを考えれば、食品用軟包装容器の印刷方式は転換期を迎えつつあると言える。
以上のような背景から、高価かつ製版に手間がかかり、印刷図柄が固定されるという印刷版を使用することなく、任意の図柄を印刷可能なインクジェット印刷方式が注目されている。ところが、インクジェット印刷方式では、一度に吐出できるインクの量が少ないことに起因して、広い面積で高い色濃度を必要とする印刷に適さないという弱点がある。この弱点は、印刷が高速になればなるほど顕著となり、結果として、以下のようなラミネート加工される複合フィルムの裏刷り印刷において、特に不具合を生じさせる。
ラミネート加工とは、印刷基材となる透明のプラスチックフィルム(ベースフィルム)にインキを印刷した印刷物の印刷面側に、熱溶融性の樹脂を溶融圧着するか、フィルム状にして接着剤で貼り合わせるかにより積層した、積層フィルムの製造方法のことである。そして、熱溶融性樹脂の薄膜層(シーラントフィルム)を一番内側にして、フィルム同士を熱で溶封して製袋加工される。得られる包装容器の外側からみると、印刷面はベースフィルムの裏側に位置するため、裏刷り印刷と呼ばれている。
裏刷り印刷では、まず、透明なベースフィルムに、例えば、画像や文字が黄紅藍墨の色相でフルカラー印刷される。しかし、そのままの状態で、画像や文字と背景との間で十分なコントラスト感を得ることは困難である。また、多くの食品包装用途で高い遮光性が要求されるため、上記の印刷面の全面を覆うように、広範囲で白インクによる白押え印刷が行われる。
このとき、インクジェット印刷方式では、上記の通り、高速で印刷すると広い面積にわたって高い色濃度を実現することが困難となり、十分な濃度で白押えができないという問題が発生する。そこで、その様な問題を解決するために、画像や文字などはインクジェット印刷方式で印刷して、小ロット・多品種化への対応を可能にし、白押えは従来のグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式で印刷する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2011-152930号公報 特開2014-166713号公報
上記のインクジェット印刷方式を利用して、印刷基材用のプラスチックフィルム(以下、単にプラスチックフィルムと記載することがある。なお、後記するシーラント用のプラスチックフィルムもプラスチックフィルムの一種であるが、印刷基材用のプラスチックフィルムと区別するためにシーラントフィルムと記載することがある)に画像や文字などを印刷する方法には一つの特徴がある。それは、グラビア印刷方式やフレキソ印刷方式で利用される白インクは、水性タイプのものが利用可能であるのに、インクジェットインク印刷方式で利用されるインクには、紫外線硬化タイプのインクが提案されているという点である。
この点について、別の見方をすれば、印刷品質に無関係な単なる白押えのインクには水性タイプのものが利用できても、特に印刷品質が重視される食品用軟包装容器の分野で、目的にかなう図柄や文字などの精緻な印刷物を製造するには、結局のところ、紫外線硬化タイプのインクを利用することになると言える。
インクジェット印刷方式では、微細なヘッドノズルからインクを吐出するために、吐出信頼性は極めて重要な性能である。紫外線硬化タイプのインクは、紫外線等が照射されないうちは固化することがないことから、ノズルの中や先端でのインクの固化が原因で発生するインクのドット抜けや飛行曲りが抑制でき、高い吐出信頼性が得られやすい。さらに、プラスチックフィルムに対する濡れ性についても良好である。この様な理由から、紫外線硬化タイプのインクは、プラスチックフィルムを印刷基材とする分野において、精緻な印刷物の製造に適する。
しかしながら、紫外線硬化タイプのインクは、紫外線などを照射して光重合性のモノマー成分の硬化皮膜を形成する際に、モノマー成分が未反応物として残存するという問題がある。そして、未反応物が時間と共にシーラントフィルム層を透過して包装容器内へ移行すると、本質的に光重合性のモノマーは有害成分であり、また、特有の強い臭気を有するため、移行した量が微量であっても、異臭として感じ取れるようになる。
過去から、色々なメディアで食の安全の問題が取り沙汰されてきたこともあり、何らかの異常に対して、消費者は非常に敏感に反応するようになっている。したがって、少しでも異臭がすれば、途端に商品価値が損なわれるという事態になりかねない。この様な局面で、食品用軟包装容器において、異臭が危惧される材料の利用を敬遠することは、当然の成り行きと言える。
現在、インクジェットインクには、上記の紫外線硬化タイプの他に、主に有機溶剤性タイプと水性タイプの二種のタイプがある。その中でも、色々な材料の選択が可能な有機溶剤性タイプのインクの方が、吐出信頼性とプラスチックフィルムに対する濡れ性の両方の面において、設計の自由度は高いと言える。
しかし、まず、有機溶剤系のインク自体の特性として、乾燥せずに残留した有機溶剤が、上記の光重合性のモノマーと同様の問題を起こすといった可能性は否定できない。さらに、最近では、環境問題に対する社会的な関心の高まりから、生活環境や作業環境をクリーンに保つ努力を惜しまぬ企業こそが、クリーンな企業といったイメージが定着しつつある。そこで、クリーンな企業のイメージをより一層大切にする食品メーカーは、自らの製品でない食品包装容器にまで、強く環境問題の改善を求めるようになっている。
以上のように、残留モノマーや残留溶剤の問題を解決し、さらに印刷作業環境の改善や大気汚染の防止といった環境問題の改善を図る事により、食品メーカーの要望を満足するためには、白押えのものを含めて、利用するインクをすべて水性タイプにすることが必要となった。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、インクジェット印刷方式と、グラビア印刷方式やフレキソ印刷方式とを利用して、印刷物の小ロット・多品種化に対応する軟包装容器用積層フィルムの製造方法であって、いずれの印刷方式でも水性インクを利用しながら、図柄や文字などの精緻な印刷を可能にすることである。さらに、インク組成物が水性化されることにより、残留溶剤の低減、印刷作業環境の改善、大気汚染の防止、消防上の安全性などの多様な利点を有する、軟包装容器用積層フィルムの製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の知見を得て、本発明を完成させたものである。
まず、本発明者らは、印刷適性を向上させる水性タイプのプライマー組成物と、特定のポリウレタン樹脂を含有する水性タイプのインクジェットインク組成物とを組み合わせることにより、軟包装容器の印刷基材で利用される様々なプラスチックフィルムにおいて、美粧印刷性と高い接着性が得られることを見出した。このことが、高いコストと手間をかけながら、印刷図柄が固定されてしまう印刷版の作製を必要とする従来の印刷方式から、無版のインクジェット印刷方式への転換を可能にし、小ロット多品種化した軟包装容器の、図柄や文字等の精緻な印刷物を製造する工程において、高い効率性をもたらす結果となった。また、上記の特許文献に見られるような、紫外線硬化タイプのインクを利用したときに発生する、残留モノマーの問題を解決した。
さらに、このインクジェットインク組成物の印刷層に対して、従来のグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式で利用される水性タイプの白色インクで白押えを行うと、両インクの界面での密着性が良好で剥離することもなく、高いラミネート強度(プラスチックフィルムとシーラントフィルムとの間の剥離強度)及びシール強度(袋のシーラントフィルムの溶封部分(シール部分)の剥離強度)の発現が見られた。したがって、高速で印刷しても、広い面積にわたって高い色濃度を必要とする印刷には、その様な印刷に適した従来のグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式が利用でき、さらに効率化を図ることが可能になった。
そして、両方の印刷方式で利用するインク組成物が、完全な水性化は困難なまでも、水性タイプのインクとしたことにより、残留溶剤の低減、印刷作業環境の改善、大気汚染の防止、消防上の安全性などの多様な利点を有する、軟包装容器用積層フィルムの製造方法につながった。
また、印刷基材がOPPフィルムであるときに、水性インクの適用性を改善する目的で好適に塗布される、塩素化PPを含有するプライマー組成物を、上記のポリウレタン系バインダー樹脂を含有する印刷用インクと組み合わせた結果、OPPフィルムは当然ながら、PETやNy系のフィルムに対しても良好な印刷性と高いラミネート強度やシール強度が得られるという、従来に無い効果が得られた。すなわち、特定のプライマー組成物とインクジェットインク組成物との組合せで、軟包装用容器で利用される主要な印刷基材のほとんどに適用できることから、印刷基材の材質に応じてプライマー組成物を変更する必要がなくなり、より一層、効率的に軟包装容器用積層フィルムを製造することが可能になる。
すなわち、本発明は、プラスチックフィルムにプライマー組成物を塗工してプライマー層を形成する工程、上記プライマー層に、白色以外の色相を有する水性インクジェットインク組成物をインクジェット方式により印刷し、第一の印刷層を形成する工程、上記第一の印刷層に、白色の水性インク組成物をグラビア印刷方式又はフレキソ印刷方式により白押え印刷し、第二の印刷層を形成する工程、及び、上記第二の印刷層に、直接又は他の機能層を介して熱融着性フィルムを積層する工程を有し、上記白色以外の色相を有する水性インクジェットインク組成物は、着色剤、下記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂、及び、水性媒体を含有することを特徴とする軟包装容器用積層フィルムの製造方法。
条件1
ヘキサメチレンジイソシアネート、下記の一般式1で表されるポリエステルジオール化合物の群から選択される少なくとも1種、及び、酸基含有ジオール化合物を含有する反応成分の反応物である。
Figure 0007108534000001
(ただし、Xは、それぞれ独立して、-CH-CH-CH-CH-CH-CH-、又は、-CH-CH-CH(CH)-CH-CH-で表わされる炭化水素基であり、nは2~20の整数である)
また、上記プライマー組成物は、下記条件2を満足することが好ましい。
条件2
水溶性多価金属塩、塩素化ポリオレフィンエマルジョン、アクリル系エマルジョン及び酢酸ビニル系エマルジョンからなる群から選択される少なくとも一種、及び、水を含有する、又は、水溶性多価金属塩、少なくとも2個のヒドラジン残基を有するヒドラジン誘導体、アクリル系エマルジョン及び酢酸ビニル系エマルジョンからなる群から選択される少なくとも一種、及び、水を含有する。
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法は、インクジェット印刷方式と、グラビア印刷方式やフレキソ印刷方式とを利用して、印刷物の小ロット・多品種化に対応する軟包装容器用積層フィルムの製造方法であって、いずれの印刷方式でも水性インクを利用しながら、図柄や文字などの精緻な印刷を可能にすることである。さらに、インク組成物が水性化されることにより、残留溶剤の低減、印刷作業環境の改善、大気汚染の防止、消防上の安全性などの多様な利点を有する。
以下に本発明を詳細に説明する。
<プライマー層を形成する工程>
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法は、プラスチックフィルムにプライマー組成物を塗工してプライマー層を形成する工程を有する。このようなプライマー層を形成することにより、後述する白色以外の色相を有する水性インクジェットインク組成物の印刷適性を向上させたり、後述する第一の印刷層との密着性を好適に付与したりすることができる。
〔プラスチックフィルム〕
上記本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法で利用するプラスチックフィルムとしては、フィルム形成能を有する熱可塑性樹脂等により形成されてなるものが好適であり、例えば、食品用包装容器の分野で利用される主要な材質には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン-6、ナイロン-6,6、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等を挙げることができる。
上記プラスチックフィルムは、透明性、耐熱性、機械的強度等を付与する観点から、一軸又は二軸延伸処理されていることが好ましく、また、上記プライマー組成物の塗工される側の表面には、上記プライマー組成物との接着性や濡れ性を高めるために、プラズマ処理やコロナ放電処理等が施されていることが好ましい。
また、上記プラスチックフィルムの厚みは特に限定されず、市販されている各膜厚の印刷基材用のプラスチックフィルムが適宜利用できる。
なお、上記プラスチックフィルムは、後述する裏刷り印刷物とした際に、該裏刷り印刷物を上記プラスチックフィルム側から見たときに、印刷の明瞭性が失われない程度に透明であることが好ましい。
〔プライマー組成物〕
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法で利用する、好適なプライマー組成物としては、例えば、下記のプライマー組成物1及びプライマー組成物2を挙げることができる。
プライマー組成物1は、水溶性多価金属塩、塩素化ポリオレフィンエマルジョン、アクリル系エマルジョン及び酢酸ビニル系エマルジョンからなる群から選択される少なくとも一種、及び、水を含有する。
プライマー組成物2は、水溶性多価金属塩、少なくとも2個のヒドラジン残基を有するヒドラジン誘導体、アクリル系エマルジョン及び酢酸ビニル系エマルジョンからなる群から選択される少なくとも一種、及び、水を含有する。
上記水溶性多価金属塩としては、Ca、Mg等のアルカリ土類金属の解離性塩が例示される。具体的には、カルシウム塩として硝酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、ギ酸カルシウム等、マグネシウム塩として塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等が例示される。これらの中でも、カルシウム塩であることが好ましく、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、ギ酸カルシウム等であることがより好ましい。
上記水溶性多価金属塩の含有量は、特に限定されないが、得られる印刷物が鮮明で滲まず、また、耐水性が良好であるという点から、プライマー組成物中に固形分換算で0.5~10質量%であることが好ましく、1~5質量%であることがより好ましい。上記水溶性多価金属塩は、2種以上を併用しても良い。
上記塩素化ポリオレフィンエマルジョンとしては、ポリオレフィン樹脂を塩素化して塩素化ポリオレフィン樹脂とし、さらに乳化剤等を利用してエマルジョン化したものである。なお、水性樹脂エマルジョンとして、保存安定性等を高めるために、(無水)マレイン酸等で酸変性されたものであっても良く、その場合は、系中にさらに塩基性化合物を添加して使用する。
上記ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等が例示され、また、塩素化度(塩素含有量)としては、樹脂全体に対して1~40質量%であることが好ましく、10~30質量%であることがより好ましい。
塩素化度が40質量%を超える場合、樹脂自体の極性が高くなって、プライマー組成物中に含有させたときに、ポリオレフィンのような非極性フィルムへの密着性が低下しやすくなることがある。
そして、これらの塩素化ポリオレフィンエマルジョンは、2種以上を併用しても良い。
上記塩素化ポリオレフィンエマルジョンの含有量は、特に限定されないが、ポリオレフィンフィルムに対するインクの接着性と、プライマー組成物自体の保存安定性が良好であるという観点から、プライマー組成物中に固形分換算で0.5~10質量%であることが好ましく、1~5質量%であることがより好ましい。
なお、塩素化ポリオレフィンエマルジョンは、水溶性多価金属塩の存在下でも安定性が良好なものが好ましい。
上記少なくとも2個のヒドラジン残基を有するヒドラジン誘導体としては、下記の一般式3で表される化合物、下記一般式4で表される化合物、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等が挙げられ、これらの中でもアジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドがより好ましい。そして、これらのヒドラジン誘導体は、2種以上を併用しても良い。
Figure 0007108534000002
Figure 0007108534000003
(ここで、nは1~10の整数、mは1~4の整数を表す)
上記ヒドラジン誘導体の含有量は、特に限定されないが、プラスチックフィルムに対するインクの接着性向上とプライマー組成物の保存安定性の点から、プライマー組成物中に0.5~10質量%であることが好ましく、1~5質量%であることがより好ましい。
上記アクリル系エマルジョン及び酢酸ビニル系エマルジョンからなる群から選択される少なくとも1種としては、アクリル系共重合体、スチレン-アクリル系共重合体、アクリル-酢酸ビニル系共重合体、アクリル-塩化ビニル系共重合体を、塩基性化合物や乳化剤等を利用してエマルジョン化したものが例示できる。また、利用可能な酢酸ビニル系エマルジョンとしては、酢酸ビニル及びその一部をケン化して得られる酢酸ビニル-ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、αオレフィン-酢酸ビニル共重合体等を、乳化剤等を利用してエマルジョン化したものが例示できる。これらのアクリル系エマルジョンや酢酸ビニル系エマルジョンは、プラスチックフィルムに対するプライマー組成物自体及びインクの接着性が良好であるという点から、ガラス転移温度が0~50℃であるものがより好ましい。
上記アクリル系エマルジョン及び酢酸ビニル系エマルジョンからなる群から選択される少なくとも1種の含有量は、特に限定されないが、ポリエステルフィルムやナイロンフィルムに対するプライマー組成物自体の接着性、プライマー組成物自体の保存安定性の点から、プライマー組成物中に固形換算分で、0.5~10質量%であることが好ましく、1~5質量%であることがより好ましい。
なお、これらアクリル系エマルジョン又は酢酸ビニル系エマルジョンは、水溶性多価金属塩の存在下でも安定性が良好なものが好ましい。
上記プライマー組成物は、必要に応じて、モノアルコール類、多価アルコール類、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、ケトン類、エーテル類、エステル類、窒素含有化合物類等の水溶性有機溶剤、アセチレンジオール及びその誘導体、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ヒンダートアミン系保存性向上剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤等の各種添加剤が任意成分として含んでいても良い。
上記プライマー組成物の製造方法は特に限定されないが、水に、水溶性多価金属塩、塩素化ポリオレフィンエマルジョン(少なくとも2個のヒドラジン残基を有するヒドラジン誘導体)、及び、アクリル系エマルジョン及び酢酸ビニル系エマルジョンからなる群から選択される少なくとも一種と、必要に応じて水溶性有機溶剤や各種添加剤を加え、ディスパー等の高速撹拌装置で攪拌混合する方法により製造することができる。
上記プライマー組成物は、塗工されることにより、プライマー層を形成することができる。
上記プライマー組成物の塗工方法としては、特に限定されず、インクジェットプリンターの他、ロールコーター、バーコーター、スプレーコーター、グラビアコーター等の各種塗工装置を用いた塗工方法を利用できる。
上記プライマー組成物の塗工量としては、該プライマー組成物に含まれる固形分の換算で0.05~3.00g/mとすることが好ましく、塗膜耐性を好適に付与する観点から、固形分の換算で0.1~2.00g/mとすることがより好ましい。
上記プラスチックフィルムにプライマー組成物を塗工した後、必要に応じて、各種乾燥装置を用いて塗工面を乾燥させてもよい。
なお、上記プライマー層を形成する工程と、後述する第一の印刷層及び第二の印刷層を形成する工程は、一連の工程で行っても良く、それぞれ別々に行ってもよい。
<第一の印刷層を形成する工程>
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法は、上記プライマー層に、白色以外の色相を有する水性インクジェットインク組成物をインクジェット方式により印刷し、第一の印刷層を形成する工程を有する。
〔白色以外の色相を有する水性インクジェットインク組成物〕
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法で利用する白色以外の色相を有する水性インクジェットインク組成物(以下、単にインクジェットインク組成物と記載することがある)は、着色剤、アルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂、及び、水性媒体を含有するものである。
上記着色剤としては、一般にインクジェットインクで使用される白色以外の色相を有する各種の無機顔料や有機顔料、染料が使用できる。
具体的には、無機顔料として、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミニウムイエロー、コバルトブルー、群青、紺青、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。また、有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等を挙げることができる。また、染料としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料等の水溶性染料を挙げることができる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
なお、本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法により得られる軟包装容器用積層フィルムが食品用包装容器に利用される場合、使用する着色剤としては顔料が好ましい。
上記着色剤の中でも、直接、水性媒体中に分散することができない顔料を用いる場合には、低分子量又は高分子量の顔料分散成分を用いて水性媒体中に分散させて、インクベースとしたインクジェットインク組成物を利用することが好ましい。ここで、上記低分子量の顔料分散成分としては、公知の低分子量の顔料分散剤等を利用することができる。また、上記高分子量の顔料分散成分としては、公知の高分子量の顔料分散用樹脂等を利用することができるが、分子内にイオン性基(例えば、酸基)と、好ましくは顔料表面に対して吸着性を有する基とを導入した高分子化合物である。上記高分子量の顔料分散成分は、該高分子量の顔料分散成分が有するイオン性基とイオン対を発生させる化合物(例えば、塩基性化合物等)の存在下で、水性媒体中に溶解又は分散させて水性樹脂ワニスとして利用することが好ましい。
上記高分子量の顔料分散成分として、例えば、アクリル酸系樹脂、スチレン-アクリル酸系樹脂、スチレン-マレイン酸系樹脂、スチレン-アクリル―マレイン酸系樹脂等の各種の共重合体樹脂を挙げることができる。なお、利用する顔料が、後述するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂により分散可能であるときは、後述するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂を高分子量の顔料分散成分として利用しても良い。
上記に例示した共重合体樹脂を合成するための単量体成分の中で、カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸、無水シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル等を使用できる。
また、上述した顔料との吸着性を向上させる観点から、炭素数6~20の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレート、なかでも、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシステアリル(メタ)アクリレート等が好ましい。さらに、スチレン系単量体として、スチレン、α-スチレン、ビニルトルエン等を使用できる。
また、その他の単量体成分として、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル等の(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等を使用できる。
上述した顔料の分散性及び分散安定性の観点から、上記共重合体樹脂の酸価としては、40~300mgKOH/gが好ましく、より好ましくは70~250mgKOH/gである。
また、上述した顔料の分散性及び分散安定性の観点や、適切な粘度を付与する観点から、上記共重合体樹脂の分子量としては、通常、重量平均分子量が3,000~20万であるのが好ましく、より好ましくは10,000~50,000である。
上記共重合体樹脂の配合量は、上述した顔料100質量部に対して10~200質量部が好ましい。
上記共重合体樹脂を、塩基性化合物の存在下で後記する水と必要に応じて水混和性有機溶剤とからなる水性媒体中に溶解または分散させて、水性樹脂ワニスとして利用する。
なお、本明細書において、上記酸価は、上記共重合体樹脂(後述するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂)を合成するために用いる単量体の組成に基づいて、上記共重合体樹脂(後述するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂)1gを中和するのに理論上要する水酸化カリウムのmg数を算術的に求めた理論酸価である。
また、本明細書において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置としてWater 2690(ウォーターズ社製)、カラムとしてPLgel 5μ MIXED-D(Agilent Technologies社製)を使用してクロマトグラフィーを行い、ポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる。
上記インクジェットインク組成物に用いる水性媒体は、水と必要に応じて水混和性有機溶剤を含有する。
なお、上記水としては、金属イオン等を除去したイオン交換水ないし蒸留水が好ましい。
また、上記インクジェットインク組成物に、保存安定性、吐出安定性、インクの飛翔性等を付与する観点から、水混和性有機溶剤、例えば、モノアルコール類、多価アルコール類、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、ケトン類、エーテル類、エステル類、窒素含有化合物類等を含有してもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記インクジェットインク組成物に用いる水性媒体の含有量は、上記インクジェットインク組成物100質量部に対して、60~97質量部が好ましく、70~96質量部がより好ましい。
上記着色剤は、上記インクジェットインク100質量部に対して、0.5~20質量部となる範囲で含有することが好ましく、1.0~15質量部となる範囲で含有することがより好ましい。
上記インクジェットインク組成物は、下記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂を含有する。
ヘキサメチレンジイソシアネート、下記の一般式1で表されるポリエステルジオール化合物の群から選択される少なくとも1種、及び、酸基含有ジオール化合物を含有する反応成分の反応物である。
Figure 0007108534000004
(ただし、Xは、それぞれ独立して、-CH-CH-CH-CH-CH-CH-、又は、-CH-CH-CH(CH)-CH-CH-で表わされる炭化水素基であり、nは2~20の整数である)
上記インクジェットインク組成物は、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂を含有することにより、保存安定性や吐出安定性に優れ、様々なベースフィルムに対して適用性(印刷画質)にも優れる。更に、例えば、塩素化ポリプロピレン等の材料を含有するプライマー組成物と組み合わせて利用したときに、様々なプラスチックフィルムに対して優れたラミネート強度を有することができる。
これは、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂が、(1)水性媒体中での溶解又は自己乳化安定性に優れていること、(2)後述するプライマー組成物の塗工層が形成され、次いで、上記インクジェットインク組成物が印刷された際に、上記インクジェットインク組成物中に含まれる上記プライマー組成物を塗工して形成されるプライマー層を溶解させる作用を有する成分により、該プライマー層が溶解されて、上記インクジェットインク組成物により形成される第一の印刷層と混合され、一体化した一つの層が形成されると推測され、結果として、上記プラスチックフィルムに対して、上記プライマー層と上記第一の印刷層との両方に含まれる上記プラスチックフィルムとの吸着部位(特に、上記プライマー組成物に含まれる塩素化ポリプロピレンや、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂の分子中の吸着部位)が接着力の発現に寄与できると推測されること、及び、(3)従来のインク組成物に用いられてきた樹脂と比較して柔軟性に優れるため、上記インクジェットインク組成物により形成される第一の印刷層が、上記プラスチックフィルムの形状の変化に追従することが可能であること、が要因にあると推測される
上記一般式1で表されるポリエステルジオール化合物は、例えば、ジオール成分であるヘキサメチレンジオール及び/又は3-メチル-1,5-ペンチレングリコールと、ジカルボン酸成分であるフタル酸とを縮重合させて得ることができる。
上記酸基含有ジオール化合物としては、例えば、下記一般式2で表されるカルボキシル基含有ジオール化合物を挙げることができる。
Figure 0007108534000005
(式中、Rは、水素原子、又は炭素数1~8の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を示す)
上記酸基含有ジオール化合物としては、例えば、コハク酸、アジピン酸等と低級ポリオールとを分子内に水酸基二つとカルボキシル基一つ以上が残存するように反応させて得られるカルボキシル基含有脂肪族ポリオール類や、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸又はその無水物と低級ポリオールとを分子内に水酸基二つとカルボキシル基一つ以上が残存するように反応させて得られるカルボキシル基含有芳香族ポリオール類等を挙げることができる。
上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂は、上述したヘキサメチレンジイソシアネート、上記の一般式1で表されるポリエステルジオール化合物の群から選択される少なくとも1種、及び、上記酸基含有ジオールのみの反応生成物であっても良いが、さらに必要に応じて、鎖伸長剤や反応停止剤を反応成分として使用することができる。
ここで、使用可能な鎖伸長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等のグリコール類、エチレンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、イソホロンジアミン等の低分子量の脂肪族及び脂環式ジアミン類、ヒドラジン、アルキルジヒドラジン、アルキルジヒドラジド等のヒドラジン類等を挙げることができる。
また、使用可能な反応停止剤とは、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、N,N-ジ-n-ブチルアミン等のアルキルアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類、ヒドラジン、アルキルジヒドラジン、アルキルジヒドラジド等のヒドラジン類、メタノール、エタノール等のモノアルコール類を挙げることができる。
なお、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂の各反応成分については、それぞれ単独で使用してもよく、また、2種以上を併用しても良い。また、上記インクジェットインク組成物として、上記の反応成分から合成されたポリウレタン樹脂の1種のみを使用しても、また、異なる反応成分から合成されたポリウレタン樹脂の2種以上を併用しても良い。
そして、上記の各反応成分を使用してポリウレタン樹脂を合成する方法としては、通常の方法を利用することができる。
例えば、反応成分が、ヘキサメチレンジイソシアネート、上記一般式1で表されるポリエステルジオール化合物、及び、酸基含有ジオール化合物のみの場合、これら三成分を一括して反応させる方法であっても、ヘキサメチレンジイソシアネートと上記一般式1で表されるポリエステルジオール化合物とを、イソシアネート基が過剰となる状態で反応させた後、上記酸基含有ジオール化合物を反応させる方法であっても良い。
さらに、反応成分に鎖伸長剤や反応停止剤を利用する場合、ヘキサメチレンジイソシアネートと上記一般式1で表されるポリエステルジオール化合物とを、イソシアネート基が過剰となる状態で反応させてウレタンプレポリマーを合成した後、当該ウレタンプレポリマーに、さらにイソシアネート基が過剰となる状態で上記酸基含有ジオール化合物と鎖伸長剤を反応させ、次いで、反応停止剤を反応させる方法であっても、上記酸基含有ジオール化合物、鎖伸長剤、反応停止剤を一括して反応させる方法であっても良い。
上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂の分子量は、重量平均分子量(以下、特に断りのない限り、ポリウレタン樹脂の分子量は重量平均分子量とする)として、2,000~100,000の範囲が好ましく、3,000~50,000がより好ましく、5,000~30,000がさらに好ましい。
上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂の分子量が2,000未満であると、インク皮膜が脆弱になる可能性があり、一方、分子量が100,000を超えると、少ない含有量でも上記インクジェット用インク組成物の粘度が高くなる傾向があり、インク皮膜の形成に支障をきたす可能性がある。
上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂の酸価は、5~100mgKOH/gが好ましい。上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂の酸価が5mgKOH/gより小さいと、後述する水性媒体中での分散性が低下する可能性があり、100mgKOH/gより大きいと、印刷時の乾燥性や得られた印刷物の耐水性等が低下する可能性がる。
上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂の酸価は、ラミネート強度(プラスチックフィルムとシーラントフィルムとの間の剥離強度)を好適に付与する観点から、5~50mgKOH/gがより好ましい。
なお、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂では、酸価が低くなると、アルカリ可溶型水性ポリウレタン樹脂から自己乳化型水性ポリウレタン樹脂に変化する。
上記インクジェットインク組成物の粘度を低く維持できる観点からも、自己乳化型水性ポリウレタン樹脂であることが好ましい。
なお、自己乳化型水性ポリウレタン樹脂とは、分子内にイオン性基を有し、水性媒体中でイオン性基がイオン化することにより、安定的に分散し得る性状を有するポリウレタン樹脂をいうものである。
上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂は、塩基性化合物の存在下で水中に溶解又は乳化させて、水性樹脂ワニスとして使用することが好ましい。
上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂を後述する水性媒体中に溶解又は乳化する方法としては、まず、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂に対してほぼ中和量となる塩基性化合物を後述する水性媒体中に溶解させる。その後、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂を添加し、高速撹拌装置で撹拌する方法が利用できる。
ここで、利用可能な上記塩基性化合物としては、特に限定されず、一般に使用されている塩基性化合物を使用できる。例えば、ブチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、モルホリン、アンモニア水、水酸化ナトリウム等を挙げることができる。塩基性化合物の配合量は、使用するポリウレタン樹脂の物性や使用量等に応じて適宜設定され、単独又は2種以上を混合して用いても良い。
上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂の含有量は、使用する後述する水性媒体中での粘度挙動、併用する成分、所望のインク物性等に応じて適宜調整されるが、本発明におけるインクジェットインク組成物の全質量に対して、1~10質量%とすることが好ましい。また、本発明におけるインクジェットインク組成物の保存安定性と吐出安定性、ラミネート強度(プラスチックフィルムとシーラントフィルムとの間の剥離強度)を付与する観点から、本発明におけるインクジェットインク組成物の全質量に対して、3~8質量%であることがより好ましい。
上記インクジェットインク組成物は、水性媒体を含有する。
上記水性媒体は、水を含有し、必要に応じて水混和性有機溶剤等を含む水性媒体を利用することが好ましい。
上記水混和性有機溶剤は、上述した条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂の溶解性の他に、乾燥性や保湿性、印刷時のレベリング性といった所望の性能に応じて配合する。ここで、利用できる水混和性有機溶剤としては、本発明の作用効果を阻害せず、またインクジェットプリンターに損傷を与えないものであれば、特に限定されず、モノアルコール類、モノ及びポリアルキレングリコール類とそのアルキルエーテル化合物、モノ及びポリグリセリンとそのエチレンオキサイド付加物が好適である。
上記モノアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、n-ノニルアルコール、n-デカノール、又はこれらの異性体、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等が挙げられ、好ましくはアルキル基の炭素数が1~6のアルコールである。
上記モノ及びポリアルキレングリコール類の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール等が挙げられる。
上記モノ及びポリアルキレングリコール類のアルキルエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル等である。
上記水性媒体では、水と水混和性有機溶剤の混合割合も、目的とするインクジェット用インク組成物の特性に応じて設定すれば良いが、通常、これら水混和性有機溶剤は、水性媒体中に2~30重量%含有するのが好ましい。
さらに、上記インクジェットインク組成物には、目的に応じて任意の成分を含有しても良く、例えば、公知の顔料分散剤、界面活性剤、防黴剤、防錆剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保存性向上剤、消泡剤、pH調整剤等の添加剤も添加することもできる。
上記インクジェットインク組成物は、例えば、以下の方法等により好適に製造することができる。
(1)顔料、必要に応じて、顔料分散成分(低分子量の顔料分散成分、高分子量の顔料分散成分を水性媒体に溶解させた水性樹脂ワニス等)、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂を水性媒体に溶解又は自己乳化させた水性樹脂ワニス、他の成分等を混合する。次いで、例えばボールミル、アトライター、ロールミル、サンドミル、アジテーターミル等の各種分散機を利用して顔料を分散させる。その後、必要に応じて、さらに残りの材料(上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂を水性媒体に溶解又は自己乳化させた水性樹脂ワニス、水性媒体等)を添加して、上記インクジェットインク組成物を調製する方法。
(2)上記(1)の方法で、上記高分子量の顔料分散成分を水性媒体に溶解させた水性樹脂ワニスにより、顔料を分散した後、酸析法や再公表特許WO2005/116147号公報に記載のイオン交換手段等により、顔料表面に上記高分子量の顔料分散成分を析出させた樹脂被覆顔料を得る。次いで、得られた樹脂被覆顔料を塩基性化合物で中和し、各種分散機(高速攪拌装置等)を用いて水性媒体に再分散し、さらに残りの材料を添加して、上記インクジェットインク組成物を調製する方法。
(3)染料、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂を水性媒体に溶解又は自己乳化させた水性樹脂ワニス、水性媒体、及び、必要に応じてその他の成分を、各種分散機(高速攪拌装置等)を用いて混合し、上記インクジェットインク組成物を調製する方法。
なかでも、上記インクジェット用インク組成物の保存安定性が更に良好になるという観点から、着色剤として顔料を利用するときは、製造方法(2)が好ましい。
このようにして得られた上記インクジェットインク組成物の製造後の初期粘度としては、2.0~20.0mPa・sが好適であり、3.0~10.0mPa・sがより好適である。
上記インクジェットインク組成物は、インクジェット方式により印刷されることにより、第一の印刷層を形成することができる。
なお、インクジェット方式による印刷には、より高速で印刷が可能であるという観点から、固定式ラインヘッドを用いたシングルパス印刷方式が好適である。
上記インクジェットインク組成物の塗工量としては、印刷速度と得られる印刷物の色濃度とのバランスの観点から、上記インクジェットインク組成物に含まれる固形分の換算で0.05~3.00g/mとすることが好ましく、固形分の換算で0.1~2.00g/mとすることがより好ましい。
上記インクジェットインク組成物を塗工した後、必要に応じて、各種乾燥装置を用いて乾燥させてもよい。
<第二の印刷層を形成する工程>
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法は、上記第一の印刷層に、白色の水性インク組成物をグラビア印刷方式又はフレキソ印刷方式により白押え印刷し、第二の印刷層を形成する工程を有する。
〔白押え印刷用水性白色インク組成物〕
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法で利用する、白色の水性インク組成物(以下、単に水性白色インク組成物とも記載することがある)は、白色顔料、水性バインダー樹脂、水性媒体を含有する水性白色インク組成物を好適に利用することができる。
上記白色顔料としては、通常の印刷インクで利用する既知の白色顔料が利用でき、その中でも高い白色度が得られる酸化チタンが好適である。さらに、分散安定性などの面から、酸化チタンの表面がシリカ処理やアルミナ処理されているものが好適である。
上記水性白色インキ組成物において、上記白色顔料は、上記水性白色インキ組成物中に10~50質量%含有されていることが好ましい。
また、上記水性バインダー樹脂としては、まず、プラスチックフィルム等に良好な接着性を有し、また、高いラミネート強度やシール強度が得られることから、ポリウレタン樹脂が好適である。そして、必要に応じて、塩基性化合物の存在下、容易に水中に溶解または分散状態になり、水性バインダー樹脂ワニスとして利用できることが好ましい。
上記水性白色インク組成物では、安定的な性能が得られることから、まず、有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物とを反応させてウレタンプレポリマーを合成し、鎖伸長剤及び反応停止剤を反応させたポリウレタン樹脂が好適に用いることができる。
さらに、水中へ溶解または分散が容易になるように、反応成分として酸基含有ジオール化合物を用い、ポリウレタン樹脂の分子内に酸基を導入することが好ましい。また、プラスチックフィルムがコロナ放電装置などで表面処理されているときに、当該処理表面との接着性を高めるという点から、ポリウレタン樹脂の分子内にヒドラジン残基を有するものであっても良い。
上記有機ジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4-シクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物、トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物を挙げる事ができる。
その中でも、各種フィルムに対する接着性や水性印刷インキの再溶解性を良好にするという点から、脂環族または芳香脂肪族ジイソシアネート化合物が好ましい。
また、上記高分子ジオール化合物としては、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の直鎖状グリコール類、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール等の分岐グリコール類、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のエーテル系ジオール類等の低分子量ジオール成分と、アジピン酸、フタル酸などの二塩基酸成分との重縮合、あるいは、ラクトン類などの環状エステル化合物の開環反応によって得られるポリエステルジオール類、また、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフラン等を単独重合もしくは共重合して得られるポリエーテルジオール類、更には、アルキレンカーボネート、ジアリルカーボネート、ジアルキルカーボネート等のカーボネート成分あるいはホスゲンと、上記低分子量ジオール成分とを反応させて得られるポリカーボネートジオール類、ポリブタジエングリコール類等が挙げられる。
上記高分子ジオール化合物としては、得られるポリウレタン樹脂の皮膜の柔軟性や高分子ジオール自体の反応性の面から、数平均分子量が500~5,000のものが好適に利用できる。また、プラスチックフィルムとの接着性やラミネート適性等の面から、ポリエステルジオール類、ポリカーボネートジオール類が好適に利用できる。
上記酸基含有ジオール化合物としては、上記の一般式2で表されるカルボキシル基含有ジオール化合物、カルボキシル基含有脂肪族ジオール化合物、カルボキシル基含有芳香族ジオール化合物を挙げることができる。
さらに好ましくは、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂で記載した鎖伸長剤や反応停止剤を反応成分として利用することができる。また、ポリウレタン樹脂を製造する方法としても、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂で記載した方法が利用でき、合成されるポリウレタン樹脂の分子量は、2,000~100,000の範囲が好適であり、さらに、3,000~50,000がさらに好適であり、5,000~40,000がとりわけ好適である。また、ポリウレタン樹脂を水性ワニス化する方法についても上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂で記載した方法が利用できる。
以上の材料と合成方法から得られるポリウレタン樹脂としては、例えば、上記インクジェットインク組成物で利用される、上記アルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂を好適に利用できる。
また、グラビア印刷方式やフレキソ印刷方式で印刷される上記水性白色インク組成物では、インクジェット印刷方式で必要とする吐出信頼性の制約がない等の理由から、合成材料として、特に有機ジイソシアネート化合物で脂環属や芳香脂肪属系の化合物を利用したポリウレタン樹脂も好適に利用可能である。
この様なポリウレタン系バインダー樹脂の使用比率は、水性白色インク組成物の上記水性バインダー樹脂の全量に対して、固形分換算で50~100重量%となる量が好適である。
その他の利用可能なバインダー樹脂としては、水溶性(アルカリ可溶型を含む)または水分散性(必要により、塩基性化合物の存在下での自己乳化型や、乳化剤の存在下でのエマルジョン型の形態であるもの)のアクリル系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、(無水)マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの、通常、水性インキ組成物で利用される既知のバインダー樹脂を併用することができる。
そして、上記水性白色インキ組成物において、上記水性バインダー樹脂の含有量は固形分量で3~30質量%の範囲が好ましい。
また、水性媒体としては、上記の本発明におけるインクジェットインク組成物と同様に、水と、必要に応じて水混和性有機溶剤とからなる水性媒体が利用できる。
さらに、顔料分散剤、ブロッキング防止剤、消泡剤、架橋剤等の各種添加剤を添加することも任意である。
これら各種材料を利用して、上記水性白色インク組成物を製造する方法としては、まず、上記ポリウレタン樹脂やその他の併用するバインダー樹脂を水性媒体中に溶解又は分散させた水性バインダー樹脂ワニス、顔料、必要に応じて顔料分散用樹脂(ワニス)又は顔料分散剤を混合して混練し、さらに所定の材料の残りを添加、混合する方法が一般的である。
上記水性白色インク組成物は、グラビア印刷方式又はフレキソ印刷方式により白押え印刷されることにより、第二の印刷層を形成することができる。
上記水性白色インク組成物の塗工量としては、得られる印刷物の色濃度の観点から、上記水性白色インク組成物に含まれる固形分の換算で0.10~3.00g/mとすることが好ましく、固形分の換算で0.20~2.00g/mとすることがより好ましい。
なお、上記第一の印刷層と上記第二の印刷層とを有し、後記の方法で包装容器を製造したとき、包装容器の外側からみると、印刷層がプラスチックフィルムの裏側に位置するため、この様な印刷物を、裏刷り印刷物ともいう。
<熱融着性フィルムを積層する工程>
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法は、上記第二の印刷層に、直接又は他の機能層を介して熱融着性フィルムを積層する工程を有する。
〔ラミネート加工用材料〕
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法で利用する熱融着性フィルムを積層する方法として、第二の印刷層に、熱溶融させたプラスチック(以下、シーラント材ともいう)を薄膜状に密着させる押出ラミネート方法と、薄膜状に成形された熱溶融性のプラスチックフィルム(以下、シーラントフィルムともいう)を、接着剤を用いて貼りあわせるドライラミネート方法が好適に利用できる。
上記シーラント材としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン-αオレフィン共重合体樹脂等を挙げることができる。
上記第二の印刷層と熱溶融させたシーラント材との間に塗工されるアンカーコート剤としては、イミン系、イソシアネート系、ポリブタジエン系、チタネート系等の各種アンカーコート剤を挙げることができる。
上記シーラントフィルムとしては、無延伸ポリエチレン(CPP)フィルム、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、ナイロン-ポリプロピレン共押出フィルム等を挙げることができる。
また、上記接着剤としては、ポリオール化合物を主剤とし、ポリイソシアネート化合物を架橋剤として利用した二液硬化型ラミネート用接着剤を挙げることができ、当該接着剤には、必要に応じて、エポキシ化合物やシランカップリング剤を含有させても良い。
上記シーラント材及びシーラントフィルムの厚みとしては、ラミネート強度を好適に付与する観点から、10~100μmが好ましく、15~80μmがより好ましい。
さらに、軟包装容器用積層フィルムの各種機能を向上させるために、各種機能性フィルムを機能層として積層することもでき、これらには、例えば、ガスバリア性の向上を目的として、アルミ箔、アルミ蒸着ポリエステルフィルム、無機酸化物蒸着ポリエステルフィルム、特殊変性エチレンビニルアルコールフィルム等、また、積層フィルムの強度補強の向上を目的として、延伸ナイロンフィルム等、上記の両者の機能の向上を目的として、ナイロン系メタキシレンジアミン樹脂フィルム等を挙げることができる。
これらの機能層の積層方法や、物性等は、公知の方法、物性のものを用いることができる。
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法では、上記第二の印刷層を有する面側に、ラミネート加工(押出ラミネート法、ドライラミネート法等)により、直接または他の機能層を介して熱融着性フィルム(シーラント材又はシーラントフィルム)を積層することにより、軟包装容器用積層フィルム(単に積層フィルムともいう)を得ることができる。
そして、得られた積層フィルムは、上記シーラント材又はシーラントフィルム面同士を合せて端部を熱溶封し、最終的に包装容器を製造することができる。
上記押出ラミネート法は、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター等の各種塗工装置とTダイ等とを備えた押出ラミネート加工装置を利用して、上記第二の印刷層を有する面に上記のアンカーコート剤を塗工後、その塗工面に、加熱溶融させた上記シーラント材を供給し、押圧して薄膜(フィルム)状に圧着させる積層フィルムの製造方法である。
また、上記ドライラミネート法は、上記押出ラミネート法で記載した様な各種塗工装置を備えたドライラミネート加工装置を利用して、上記第二の印刷層を有する面に上記のラミネート用接着剤を塗工後、上記シーラントフィルムを貼り合せる積層フィルムの製造方法である。
なお、通常の押出ラミネートおよびドライラミネート法を利用してラミネート加工する場合は、アンカーコート剤あるいは接着剤として水性系のものを利用することにより、完全水系のラミネート加工物が得られ、食品衛生などでより有利になる。
さらに、上記押出ラミネート法では、上記第二の印刷層を有する面に、加熱溶融させたシーラント材、各種機能性フィルム、加熱溶融させたシーラント材を積層することにより、機能性フィルムを含む積層フィルムの製造が可能であり、また、ドライラミネート法では、上記第二の印刷層を有する面に、接着剤、各種機能性フィルム、接着剤、シーラントフィルムの順に貼り合せて、機能性フィルムを含む積層フィルムの製造が可能である。
なお、安定したラミネート強度(プラスチックフィルムと、シーラント材及びシーラントフィルムとの間の剥離強度)が得られ、色々な機能性フィルムを容易に積層できるという点からすると、ドライラミネート法がより有用である。
そして、上記ドライラミネート法を利用する本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法では、得られる軟包装容器において、ラミネート強度は50g/15mm以上であることが好ましく、100g/15mm以上であることがより好ましい。
上記ラミネート強度は、上記ラミネート加工物を40℃で3日経時後、15mm幅に裁断して試料片を作成し、剥離試験機((株)安田精機製作所製)でT型剥離したときの剥離強度(ドライラミネート強度)を測定した値である。
さらに、上記の方法で得られた積層フィルムを製袋する方法としては、所定の形状に裁断され、シーラント材又はシーラントフィルム側が容器の内側に向くように中折りするか、あるいは積層フィルムを重ね合わせ、ヒートシーラー等を利用して、端部を熱溶融させて圧着する方法が利用でき、三方シール、四方シール、封筒貼り、合掌貼り、ガゼット貼り等の各種ヒートシールの形態の包装容器に適用可能である。
そして、食品などの内容物の充填口とするための一端を残して、他の端部をヒートシーラー等により熱溶封して袋状に加工し、内容物を充填した後、充填口の部分を熱溶封することにより、内容物の包装が完了する。
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法では、全ての印刷工程において水性インクを利用しながら、図柄や文字などの精緻な印刷を可能にする。
したがって、小ロット・多品種化が進む軟包装容器の製造において、単に効率化が図れるだけでなく、残留溶剤の低減、印刷作業環境の改善、大気汚染の防止、消防上の安全性などの多様な利点を有する。さらに、通常、水性印刷インク組成物を利用すると、良好なラミネート加工適性は得られにくいが、本発明では、良好なラミネート強度とシール強度を有する軟包装容器の製造が可能であるという、優れた特性を有する。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
(水性インクジェットインク組成物用ポリウレタン樹脂ワニスの調製)
<水性ポリウレタン樹脂ワニスAの調製>
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、1,6-ヘキサンジオールとフタル酸とを脱水共重合して得られた重量平均分子量2000のポリエステルジオール200.0部、ジメチロールプロピオン酸5.4部、ヘキサメチレンジイソシアネート21.9部及びメチルエチルケトン265.5部を仕込んで、75℃で7時間反応させた。その後、トリエチルアミン4.1部と純水539.5部とを加え、メチルエチルケトンを減圧蒸留して、重量平均分子量24000、理論酸価9.9mgKOH/gの自己乳化型ポリウレタン樹脂を固形分として30%含有する水性ポリウレタン水性樹脂ワニスA(U-A)を得た。
<水性ポリウレタン樹脂ワニスBの調製>
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、3-メチル-1,5-ペンタンジオールとフタル酸とを脱水共重合して得られた重量平均分子量2000のポリエステルジオール200.0部、ジメチロールプロピオン酸5.4部、ヘキサメチレンジイソシアネート21.9部及びメチルエチルケトン265.5部を仕込んで、75℃で7時間反応させた。その後、トリエチルアミン4.1部と純水539.5部とを加え、メチルエチルケトンを減圧蒸留して、重量平均分子量24000、理論酸価9.9mgKOH/gの自己乳化型ポリウレタン樹脂を固形分として30%含有する水性ポリウレタン水性樹脂ワニスB(U-B)を得た。
<水性ポリウレタン樹脂ワニスCの調製>
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、1,6-ヘキサンジオール:3-メチル-1,5-ペンタンジオールの質量比率が1:1であるジオール成分とフタル酸とを脱水共重合して得られた重量平均分子量2000のポリエステルジオール200.0部、ジメチロールプロピオン酸5.4部、ヘキサメチレンジイソシアネート21.9部及びメチルエチルケトン265.5部を仕込んで、75℃で7時間反応させた。その後、トリエチルアミン4.1部と純水539.5部とを加え、メチルエチルケトンを減圧蒸留して、重量平均分子量25000、理論酸価9.9mgKOH/gの自己乳化型ポリウレタン樹脂を固形分として30%含有する水性ポリウレタン水性樹脂ワニスC(U-C)を得た。
<水性ポリウレタン樹脂ワニスDの調製>
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、1,6-ヘキサンジオールとフタル酸とを脱水共重合して得られた重量平均分子量2000のポリエステルジオール200.0部、ジメチロールプロピオン酸5.4部、ヘキサメチレンジイソシアネート22.7部及びメチルエチルケトン265.5部を仕込んで、75℃で7時間反応させた。その後、トリエチルアミン4.1部と純水541.4部とを加え、メチルエチルケトンを減圧蒸留して、重量平均分子量47000、理論酸価10.0mgKOH/gの自己乳化型ポリウレタン樹脂を固形分として30%含有する水性ポリウレタン樹脂ワニスD(U-D)を得た。
<水性ポリウレタン樹脂ワニスEの調製>
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、1,6-ヘキサンジオールとフタル酸とを脱水共重合して得られた重量平均分子量2000のポリエステルジオール200.0部、ジメチロールプロピオン酸2.7部、ヘキサメチレンジイソシアネート18.5部及びメチルエチルケトン265.5部を仕込んで、75℃で7時間反応させた。その後、トリエチルアミン2.0部と純水516.4部とを加え、メチルエチルケトンを減圧蒸留して、重量平均分子量約23000、理論酸価約5.1mgKOH/gの自己乳化型ポリウレタン樹脂を固形分として30%含有する水性ポリウレタン水性樹脂ワニスE(U-E)を得た。
<水性ポリウレタン樹脂ワニスFの調製>
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、1,6-ヘキサンジオールとフタル酸とを脱水共重合して得られた重量平均分子量1000のポリエステルジオール200.0部、ヘキサメチレンジイソシアネート67.2部及びメチルエチルケトン350.0部を仕込んで、75℃で7時間反応させ、無水ピロメリット酸とエチレングリコールとを1:2で反応させて得られるジオールジカルボン酸化合物62.8部、エタノール1.5部を加え、さらに3時間反応させた。その後、トリエチルアミン37.1部と純水516.4部とを加え、メチルエチルケトンを減圧蒸留して、重量平均分子量22000、理論酸価55.8mgKOH/gの自己乳化型ポリウレタン樹脂を固形分として30%含有する水性ポリウレタン樹脂ワニスF(U-F)を得た。
<水性ポリウレタン樹脂ワニスGの調製>
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、1,6-ヘキサンジオールとフタル酸とを脱水共重合して得られた重量平均分子量2000のポリエステルジオール200.0部、ジメチロールプロピオン酸5.4部、ヘキサメチレンジイソシアネート25.2部及びメチルエチルケトン265.5部を仕込んで、75℃で7時間反応させ、水和ヒドラジン1.2部を仕込んで、75℃で7時間反応させた。その後、トリエチルアミン4.1部と純水550.2部とを加え、メチルエチルケトンを減圧蒸留して、重量平均分子量24000、理論酸価9.9mgKOH/gの自己乳化型ポリウレタン樹脂を固形分として30%含有する水性ポリウレタン水性樹脂ワニスG(U-G)を得た。
<水性ポリウレタン樹脂ワニスHの調製>
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、1,6-ヘキサンジオールとフタル酸とを脱水共重合して得られた重量平均分子量2000のポリエステルジオール200.0部、ジメチロールプロピオン酸5.4部、イソホロンジイソシアネート28.9部及びメチルエチルケトン265.5部を仕込んで、75℃で7時間反応させた。その後、トリエチルアミン3.9部と純水555.8部とを加え、メチルエチルケトンを減圧蒸留して、重量平均分子量25000、理論酸価9.6mgKOH/gの自己乳化型ポリウレタン樹脂を固形分として30%含有する水性ポリウレタン樹脂ワニスH(U-H)を得た。
<水性ポリウレタン樹脂ワニスI>
水性ポリウレタン樹脂ワニスI(U-I)として、NeoRez R-966 (椿本化成(株)製、ポリエーテル型ポリウレタン樹脂、固形分33質量%)を用いた。
<水性ポリウレタン樹脂ワニスJ>
水性ポリウレタン樹脂ワニスJ(U-J)として、スーパーフレックス420NS(第一工業製薬(株)製、ポリカーボネート型ポリウレタン樹脂、固形分32質量%)を用いた。
<水性アクリル樹脂ワニス>
水性アクリル樹脂ワニスとして、ビニブラン2687(日信化学工業(株)製、アクリル樹脂エマルジョン、固形分30質量%)を用いた。
(水性白色インク組成物用ポリウレタン樹脂ワニスの調製)
<水性ポリウレタン樹脂ワニスKの調製>
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ネオペンチルアジペートからなる重量平均分子量2000のポリエステルジオール200.0部、ジメチロールプロピオン酸5.4部、イソホロンジイソシアネート33.3部及びメチルエチルケトン265.5部を仕込んで、75℃で7時間反応させ、水和ヒドラジン1.3部を仕込んで、75℃で7時間反応させた。その後、トリエチルアミン3.9部と純水569.1部とを加え、メチルエチルケトンを減圧蒸留して、重量平均分子量24000、理論酸価9.9mgKOH/gの自己乳化型ポリウレタン樹脂を固形分として30%含有する水性ポリウレタン水性樹脂ワニスKを得た。
なお、重量平均分子量は、GPC装置としてWater 2690(ウォーターズ社製)を用い、カラムとしてPLgel 5μ MIXED-D(Polymer Laboratories社製)を使用してクロマトグラフィーを行ない、ポリスチレン換算の重量平均分子量として求めた。
また、理論酸価とは、ポリウレタン樹脂の合成成分として用いられるカルボキシル基含有化合物の分子量、配合比率、当該化合物の分子内に含まれるカルボキシル基の数等に基づいて算術的に求めた、ポリウレタン樹脂1gを中和するのに理論上要する水酸化カリウムのmg数をいう。
<顔料分散用水性樹脂ワニスAの調製>
ガラス転移温度40℃、重量平均分子量30,000、酸価185mgKOH/gのアクリル酸/n-ブチルアクリレート/ベンジルメタアクリレート/スチレン共重合体20部を、水酸化カリウム2.5部を溶解させた純水77.5部中に加熱・溶解させて、固形分20%の顔料分散用水性樹脂ワニスAを得た。
(水性インクジェットインク組成物用インクベースの調製)
<水性ブラックインクベースの調製>
顔料分散用水性樹脂ワニスA23.7部、純水64.3部、カーボンブラック(プリンテックス90、デグサ社製)12.0部を加え、撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉して水性ブラックインクベース(BASE-B)を得た。
<水性イエローインクベースの調製>
顔料分散用水性樹脂ワニスA23.7部、純水64.3部、イエロー顔料(ノバパームイエロー4G01、クラリアント社製)12.0部を加え、撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉して水性イエローインクベース(BASE-Y)を得た。
<水性マゼンタインクベースの調製>
顔料分散用水性樹脂ワニスA23.7部、純水64.3部、マゼンタ顔料(インクジェットマゼンタE5B02、クラリアント社製)12部を加え、撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉して水性マゼンタインクベース(BASE-M)を得た。
<水性シアンインクベースの調製>
顔料分散用水性樹脂ワニスA23.7部、純水64.3部、シアン顔料(ヘリオゲンブルーL7101F、BASF社製)12.0部を加え、撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉して水性シアンインクベース(BASE-C)を得た。
(水性白色インク組成物用インクベースの調製)
<水性ホワイトインクベースの調製>
水性ポリウレタン水性樹脂ワニスK40.0部、純水20.0部、酸化チタン(R-960、デュポン社製)40.0部を加え、撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉して水性ホワイトインクベースを得た。
<界面活性剤>
サーフィノール440(エアープロダクツ社製)
<インクジェットインク組成物の調製>
タンク内に表1に示す配合の通りに各材料を仕込み、高速撹拌装置で撹拌、混合して、後記する実施例1~12及び比較例1~5の軟包装容器用積層フィルムで使用するインクジェットインク組成物を調製した。
<インクジェットインク組成物の評価>
(保存安定性試験)
調製直後のインクジェットインク組成物を、それぞれ、50mlをガラス瓶に採取し、25℃の粘度を粘度計(東機産業社製、RE100L型)を用いて測定した。そして、密栓して60℃で1ヶ月間保存した後、再び、25℃の粘度を粘度計で測定し、保存安定性を、60℃・1ヶ月保存後インクジェットインク組成物の粘度/調製直後のインクジェットインク組成物の粘度で評価した。
(評価基準)
〇:粘度変化が5%未満であるもの
△:粘度変化が5%以上、10%未満であるもの
×:粘度変化が10%以上であるもの
(吐出安定性)
エプソン社製プリンターPX105を用いて、インクジェットインク組成物を、写真用紙(GL-101A450、キヤノン(株)製)に印刷して吐出安定性を評価した。
(評価基準)
〇:印刷の乱れがなく、安定して吐出できるもの
△:多少印刷の乱れがあるものの、吐出できるもの
×:印刷の乱れがあり、安定して吐出できないもの
(印刷画質)
0.1mmバーコーターで後記するプライマー組成物Aを塗工したOPPフィルムに、エプソン社製プリンターPX105を用いて、各インクジェットインク組成物を、約0.3mmの幅で細線状に印刷した。インクジェットインク組成物の滲みによる細線の太りを目視観察して、印刷画質を評価した。
(評価基準)
〇:滲みがなく、細線がそのままの太さで印刷されているもの
△:部分的な太りがみられるが、2倍以上の太りは観察されないもの
×:全体的に2倍以上の太りが観察されるもの
<プライマー組成物Aの調製>
酢酸カルシウム2部、塩素化ポリオレフィン樹脂エマルジョン(スーパークロンE-604、塩素化度21%、固形分30%、日本製紙(株)製)6.7部、アクリル系樹脂エマルジョン(ビニブラン2687、固形分30質量%、日信化学工業(株)製)16.7部、水74.6部を高速撹拌装置で撹拌混合して、プライマー組成物Aを調製した。
<白押え用水性白色インク組成物Aの調製>
水性ホワイトインクベース50部、純水25.0部、エタノール24部、界面活性剤1部を加え、撹拌混合して水性白色インク組成物Aを得た。
<実施例1~12、比較例1~5の軟包装容器用積層フィルムの製造>
片面にコロナ放電処理した二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(東洋紡(株)製、パイレンP-2161、厚さ25μm)及び片面にコロナ放電処理した二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡(株)製、E-5102、厚さ12μm)のそれぞれの処理面に、グラビアコーターでプライマー組成物Aを、固形分として0.3g/mとなる量で塗工し、塗工面を乾燥させ、プライマー層を形成した。その後、プライマー層を形成した面のそれぞれに、エプソン社製プリンターPX105を用いて、各インクジェットインク組成物を、画像として矩形のテストパターンの形状で印刷し、第一の印刷層を形成した。さらに第一の印刷層を乾燥させた後、該第一の印刷層を形成した面のそれぞれに、彫刻版(線数:175線/inch、版深度:28μm、スタイラス角度:120°)を備えたグラビア印刷機を用いて、水性白色インク組成物Aで白押え印刷を行い、第二の印刷層を形成して裏刷り印刷物を得た。
得られた裏刷り印刷物の第二の印刷層を有する面のそれぞれに、イソシアネート系接着剤を、固形分として2.0g/mとなる量で塗工し、ドライラミネート機で無延伸ポリプロピレンフィルムを積層し、実施例1~12、比較例1~5の軟包装容器用積層フィルム(OPPフィルム及びPETフィルム)をそれぞれ製造した。
なお、プラスチックフィルムとしてOPPフィルムを使用した裏刷り印刷物においては、イソシアネート系接着剤としてタケラックA969V/タケネートA-5を、無延伸ポリプロピレンフィルムとしてGLC(三井化学東セロ(株)製、厚さ40μm)を用いた。また、プラスチックフィルムとしてPETフィルムを使用した裏刷り印刷物においては、イソシアネート系接着剤としてタケラックA626/タケネートA-65を、無延伸ポリプロピレンフィルムとしてRXC-22(三井化学東セロ社(株)製、厚さ60μm)を用いた。
<実施例1~12、比較例1~5の軟包装容器用積層フィルムの評価>
(ドライラミネート強度)
実施例1~12、比較例1~5の軟包装容器用積層フィルムを40℃で3日間経時させた後、水性インクジェットインク組成物の印刷皮膜と白押え用水性白色インク組成物の印刷皮膜の重ね合わさった部分を15mm幅に裁断して試料片を作成し、剥離試験機((株)安田精機製作所製)でT型剥離したときの剥離強度(ドライラミネート強度)を測定した。
(評価基準)
〇:剥離強度が100g/15mm以上であるもの
△:剥離強度が50g/15mm以上、100g/15mm未満であるもの
×:剥離強度が50g/15mm未満であるもの
Figure 0007108534000006
実施例と比較例の評価試験により説明した様に、実施例1~12の軟包装容器用積層フィルムで用いたインクジェットインク組成物は、いずれもインク組成物として必要な保存安定性、吐出安定性及び印刷画質を十分に有する。そして、当該インクジェットインク組成物をインクジェット印刷方式で印刷して第一の印刷層を形成した後、グラビア印刷方式で水性白色インク組成物で白押え印刷を行い、第二の印刷層を形成した裏刷り印刷物をもとにした軟包装容器用積層フィルムは、極性の異なるOPPとPETの2種のプラスチックフィルムをベースフィルムとしたときに、双方とも優れたドライラミネート強度を有し、非極性・極性のどちらの基材フィルムにも好適に利用可能という結果となった。
それに対して、顔料分散用以外の水性樹脂ワニスを含有しないインクジェットインク組成物を用いた、比較例1の軟包装容器用積層フィルム、及び、水性アクリル樹脂ワニスを含有するインクジェットインク組成物を用いた、比較例5の軟包装容器用積層フィルムは、OPPとPETの2種のプラスチックフィルムにおいて、双方ともドライラミネート強度は低くなった。また、異なる合成成分からなるポリエステル型水性ポリウレタン樹脂ワニスを含有する水性インクジェットインク組成物、ポリエーテル型水性ポリウレタン樹脂ワニスを含有する水性インクジェットインク組成物、及びポリカーボネート型水性ポリウレタン樹脂ワニスを含有する水性インクジェットインク組成物を用いた、比較例2~4の軟包装容器用積層フィルムでは、いずれも、ドライラミネート強度として、OPPフィルムでは優れた強度を有するが、PETフィルムにおいては低いという結果になった。
これらの結果から、本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法を利用すると、食品包装等で必要とされる美粧性とラミネート適性とを兼ね備えた包装用容器を得ることが十分に可能である。そして、水性タイプの利点である「残留溶剤の低減」、「印刷作業環境の改善」、「大気汚染の防止」、「消防上の安全性」の効果と、インクジェット印刷方式の利点である「小ロット・多品種化に効率よく対応できる」という効果と、さらにグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式の利点である「高速で広い面積にわたって高い色濃度を有する印刷が実現できる」の全てを享受することができる。
さらに、塩素化ポリオレフィン樹脂エマルジョンを含有し、特にOPPフィルムに塗工したときに、インクジェットインク組成物に優れた印刷画質と接着性を付与できるプライマー組成物と組み合わせると、包装容器の分野において主要なプラスチックフィルムである、OPPとPETのどちらのフィルムでも、優れたドライラミネート強度を得ることができる。これは、小ロット・多品種化にますます効率よく対応できることを意味する。この様に、特定のプライマー組成物とインクジェットインク組成物との組み合わせにより、非極性・極性のどちらのプラスチックフィルムにも好適に利用可能となり、さらに高い汎用性を有することは、従来の軟包装容器用積層フィルムの製造方法にはなかった特徴と言える。
以上の通り、本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法は、上記の課題をすべて解決できるものである。
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法は、最近の小ロット・多品種化に効率よく対応することができ、種々のタイプのプラスチックフィルムに適用できる高い汎用性を有する。さらに、積層フィルム内に残留するモノマーや溶剤の低減、印刷作業環境の改善、大気汚染の防止、消防上の安全性等の多様な利点が得られ、また、十分なラミネート強度が得られることから、少なくとも運搬や陳列等の際に破袋せず、開封の際は二重袋の様な状態にならずに難なく開封できる食品用包装容器の製造を可能にする。

Claims (2)

  1. プラスチックフィルムにプライマー組成物を塗工してプライマー層を形成する工程、
    上記プライマー層に、白色以外の色相を有する水性インクジェットインク組成物をインクジェット方式により印刷し、第一の印刷層を形成する工程、
    上記第一の印刷層に、白色の水性インク組成物をグラビア印刷方式又はフレキソ印刷方式により白押え印刷し、第二の印刷層を形成する工程、及び、
    上記第二の印刷層に、直接又は他の機能層を介して熱融着性フィルムを積層する工程を有し、
    上記白色以外の色相を有する水性インクジェットインク組成物は、着色剤、下記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂、及び、水性媒体を含有する
    ことを特徴とする軟包装容器用積層フィルムの製造方法。
    条件1
    ヘキサメチレンジイソシアネート、下記の一般式1で表されるポリエステルジオール化合物の群から選択される少なくとも1種、及び、酸基含有ジオール化合物を含有する反応成分の反応物である。
    Figure 0007108534000007
    (ただし、Xは、それぞれ独立して、-CH-CH-CH-CH-CH-CH-、又は、-CH-CH-CH(CH)-CH-CH-で表わされる炭化水素基であり、nは2~20の整数である)
  2. 上記プライマー組成物は、下記条件2を満足する請求項1に記載の軟包装容器用積層フィルムの製造方法。
    条件2
    水溶性多価金属塩、塩素化ポリオレフィンエマルジョン、アクリル系エマルジョン及び酢酸ビニル系エマルジョンからなる群から選択される少なくとも一種、及び、水を含有する、又は、水溶性多価金属塩、少なくとも2個のヒドラジン残基を有するヒドラジン誘導体、アクリル系エマルジョン及び酢酸ビニル系エマルジョンからなる群から選択される少なくとも一種、及び、水を含有する。
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