JP7108534B2 - 軟包装容器用積層フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、最近、ライフスタイルの多様化に伴い、人それぞれに異なる価値観を持つようになった。当然、物の選択基準においても自己の価値観が優先されるため、結果として、多様化は選択肢の幅を押し広げる役割を果たす。
この様な状況の中、グラビア印刷方式の、同じ印刷物を大量に製造することにより経済性を高めるという利点は、だんだんと生かされないようになっている。今後、さらにライフスタイルの多様化が進むと予想されることを考えれば、食品用軟包装容器の印刷方式は転換期を迎えつつあると言える。
この点について、別の見方をすれば、印刷品質に無関係な単なる白押えのインクには水性タイプのものが利用できても、特に印刷品質が重視される食品用軟包装容器の分野で、目的にかなう図柄や文字などの精緻な印刷物を製造するには、結局のところ、紫外線硬化タイプのインクを利用することになると言える。
現在、インクジェットインクには、上記の紫外線硬化タイプの他に、主に有機溶剤性タイプと水性タイプの二種のタイプがある。その中でも、色々な材料の選択が可能な有機溶剤性タイプのインクの方が、吐出信頼性とプラスチックフィルムに対する濡れ性の両方の面において、設計の自由度は高いと言える。
まず、本発明者らは、印刷適性を向上させる水性タイプのプライマー組成物と、特定のポリウレタン樹脂を含有する水性タイプのインクジェットインク組成物とを組み合わせることにより、軟包装容器の印刷基材で利用される様々なプラスチックフィルムにおいて、美粧印刷性と高い接着性が得られることを見出した。このことが、高いコストと手間をかけながら、印刷図柄が固定されてしまう印刷版の作製を必要とする従来の印刷方式から、無版のインクジェット印刷方式への転換を可能にし、小ロット多品種化した軟包装容器の、図柄や文字等の精緻な印刷物を製造する工程において、高い効率性をもたらす結果となった。また、上記の特許文献に見られるような、紫外線硬化タイプのインクを利用したときに発生する、残留モノマーの問題を解決した。
さらに、このインクジェットインク組成物の印刷層に対して、従来のグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式で利用される水性タイプの白色インクで白押えを行うと、両インクの界面での密着性が良好で剥離することもなく、高いラミネート強度(プラスチックフィルムとシーラントフィルムとの間の剥離強度)及びシール強度(袋のシーラントフィルムの溶封部分(シール部分)の剥離強度)の発現が見られた。したがって、高速で印刷しても、広い面積にわたって高い色濃度を必要とする印刷には、その様な印刷に適した従来のグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式が利用でき、さらに効率化を図ることが可能になった。
そして、両方の印刷方式で利用するインク組成物が、完全な水性化は困難なまでも、水性タイプのインクとしたことにより、残留溶剤の低減、印刷作業環境の改善、大気汚染の防止、消防上の安全性などの多様な利点を有する、軟包装容器用積層フィルムの製造方法につながった。
条件1
ヘキサメチレンジイソシアネート、下記の一般式1で表されるポリエステルジオール化合物の群から選択される少なくとも1種、及び、酸基含有ジオール化合物を含有する反応成分の反応物である。
また、上記プライマー組成物は、下記条件2を満足することが好ましい。
条件2
水溶性多価金属塩、塩素化ポリオレフィンエマルジョン、アクリル系エマルジョン及び酢酸ビニル系エマルジョンからなる群から選択される少なくとも一種、及び、水を含有する、又は、水溶性多価金属塩、少なくとも2個のヒドラジン残基を有するヒドラジン誘導体、アクリル系エマルジョン及び酢酸ビニル系エマルジョンからなる群から選択される少なくとも一種、及び、水を含有する。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法は、プラスチックフィルムにプライマー組成物を塗工してプライマー層を形成する工程を有する。このようなプライマー層を形成することにより、後述する白色以外の色相を有する水性インクジェットインク組成物の印刷適性を向上させたり、後述する第一の印刷層との密着性を好適に付与したりすることができる。
上記本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法で利用するプラスチックフィルムとしては、フィルム形成能を有する熱可塑性樹脂等により形成されてなるものが好適であり、例えば、食品用包装容器の分野で利用される主要な材質には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン-6、ナイロン-6,6、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等を挙げることができる。
上記プラスチックフィルムは、透明性、耐熱性、機械的強度等を付与する観点から、一軸又は二軸延伸処理されていることが好ましく、また、上記プライマー組成物の塗工される側の表面には、上記プライマー組成物との接着性や濡れ性を高めるために、プラズマ処理やコロナ放電処理等が施されていることが好ましい。
また、上記プラスチックフィルムの厚みは特に限定されず、市販されている各膜厚の印刷基材用のプラスチックフィルムが適宜利用できる。
なお、上記プラスチックフィルムは、後述する裏刷り印刷物とした際に、該裏刷り印刷物を上記プラスチックフィルム側から見たときに、印刷の明瞭性が失われない程度に透明であることが好ましい。
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法で利用する、好適なプライマー組成物としては、例えば、下記のプライマー組成物1及びプライマー組成物2を挙げることができる。
プライマー組成物1は、水溶性多価金属塩、塩素化ポリオレフィンエマルジョン、アクリル系エマルジョン及び酢酸ビニル系エマルジョンからなる群から選択される少なくとも一種、及び、水を含有する。
プライマー組成物2は、水溶性多価金属塩、少なくとも2個のヒドラジン残基を有するヒドラジン誘導体、アクリル系エマルジョン及び酢酸ビニル系エマルジョンからなる群から選択される少なくとも一種、及び、水を含有する。
上記ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等が例示され、また、塩素化度(塩素含有量)としては、樹脂全体に対して1~40質量%であることが好ましく、10~30質量%であることがより好ましい。
塩素化度が40質量%を超える場合、樹脂自体の極性が高くなって、プライマー組成物中に含有させたときに、ポリオレフィンのような非極性フィルムへの密着性が低下しやすくなることがある。
そして、これらの塩素化ポリオレフィンエマルジョンは、2種以上を併用しても良い。
なお、塩素化ポリオレフィンエマルジョンは、水溶性多価金属塩の存在下でも安定性が良好なものが好ましい。
なお、これらアクリル系エマルジョン又は酢酸ビニル系エマルジョンは、水溶性多価金属塩の存在下でも安定性が良好なものが好ましい。
上記プライマー組成物の塗工方法としては、特に限定されず、インクジェットプリンターの他、ロールコーター、バーコーター、スプレーコーター、グラビアコーター等の各種塗工装置を用いた塗工方法を利用できる。
上記プライマー組成物の塗工量としては、該プライマー組成物に含まれる固形分の換算で0.05~3.00g/m2とすることが好ましく、塗膜耐性を好適に付与する観点から、固形分の換算で0.1~2.00g/m2とすることがより好ましい。
上記プラスチックフィルムにプライマー組成物を塗工した後、必要に応じて、各種乾燥装置を用いて塗工面を乾燥させてもよい。
なお、上記プライマー層を形成する工程と、後述する第一の印刷層及び第二の印刷層を形成する工程は、一連の工程で行っても良く、それぞれ別々に行ってもよい。
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法は、上記プライマー層に、白色以外の色相を有する水性インクジェットインク組成物をインクジェット方式により印刷し、第一の印刷層を形成する工程を有する。
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法で利用する白色以外の色相を有する水性インクジェットインク組成物(以下、単にインクジェットインク組成物と記載することがある)は、着色剤、アルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂、及び、水性媒体を含有するものである。
具体的には、無機顔料として、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミニウムイエロー、コバルトブルー、群青、紺青、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。また、有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等を挙げることができる。また、染料としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料等の水溶性染料を挙げることができる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
なお、本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法により得られる軟包装容器用積層フィルムが食品用包装容器に利用される場合、使用する着色剤としては顔料が好ましい。
上記に例示した共重合体樹脂を合成するための単量体成分の中で、カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸、無水シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル等を使用できる。
また、上述した顔料との吸着性を向上させる観点から、炭素数6~20の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレート、なかでも、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシステアリル(メタ)アクリレート等が好ましい。さらに、スチレン系単量体として、スチレン、α-スチレン、ビニルトルエン等を使用できる。
また、その他の単量体成分として、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル等の(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等を使用できる。
また、上述した顔料の分散性及び分散安定性の観点や、適切な粘度を付与する観点から、上記共重合体樹脂の分子量としては、通常、重量平均分子量が3,000~20万であるのが好ましく、より好ましくは10,000~50,000である。
上記共重合体樹脂の配合量は、上述した顔料100質量部に対して10~200質量部が好ましい。
なお、本明細書において、上記酸価は、上記共重合体樹脂(後述するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂)を合成するために用いる単量体の組成に基づいて、上記共重合体樹脂(後述するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂)1gを中和するのに理論上要する水酸化カリウムのmg数を算術的に求めた理論酸価である。
また、本明細書において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置としてWater 2690(ウォーターズ社製)、カラムとしてPLgel 5μ MIXED-D(Agilent Technologies社製)を使用してクロマトグラフィーを行い、ポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる。
なお、上記水としては、金属イオン等を除去したイオン交換水ないし蒸留水が好ましい。
また、上記インクジェットインク組成物に、保存安定性、吐出安定性、インクの飛翔性等を付与する観点から、水混和性有機溶剤、例えば、モノアルコール類、多価アルコール類、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、ケトン類、エーテル類、エステル類、窒素含有化合物類等を含有してもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ヘキサメチレンジイソシアネート、下記の一般式1で表されるポリエステルジオール化合物の群から選択される少なくとも1種、及び、酸基含有ジオール化合物を含有する反応成分の反応物である。
これは、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂が、(1)水性媒体中での溶解又は自己乳化安定性に優れていること、(2)後述するプライマー組成物の塗工層が形成され、次いで、上記インクジェットインク組成物が印刷された際に、上記インクジェットインク組成物中に含まれる上記プライマー組成物を塗工して形成されるプライマー層を溶解させる作用を有する成分により、該プライマー層が溶解されて、上記インクジェットインク組成物により形成される第一の印刷層と混合され、一体化した一つの層が形成されると推測され、結果として、上記プラスチックフィルムに対して、上記プライマー層と上記第一の印刷層との両方に含まれる上記プラスチックフィルムとの吸着部位(特に、上記プライマー組成物に含まれる塩素化ポリプロピレンや、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂の分子中の吸着部位)が接着力の発現に寄与できると推測されること、及び、(3)従来のインク組成物に用いられてきた樹脂と比較して柔軟性に優れるため、上記インクジェットインク組成物により形成される第一の印刷層が、上記プラスチックフィルムの形状の変化に追従することが可能であること、が要因にあると推測される
上記酸基含有ジオール化合物としては、例えば、下記一般式2で表されるカルボキシル基含有ジオール化合物を挙げることができる。
例えば、反応成分が、ヘキサメチレンジイソシアネート、上記一般式1で表されるポリエステルジオール化合物、及び、酸基含有ジオール化合物のみの場合、これら三成分を一括して反応させる方法であっても、ヘキサメチレンジイソシアネートと上記一般式1で表されるポリエステルジオール化合物とを、イソシアネート基が過剰となる状態で反応させた後、上記酸基含有ジオール化合物を反応させる方法であっても良い。
さらに、反応成分に鎖伸長剤や反応停止剤を利用する場合、ヘキサメチレンジイソシアネートと上記一般式1で表されるポリエステルジオール化合物とを、イソシアネート基が過剰となる状態で反応させてウレタンプレポリマーを合成した後、当該ウレタンプレポリマーに、さらにイソシアネート基が過剰となる状態で上記酸基含有ジオール化合物と鎖伸長剤を反応させ、次いで、反応停止剤を反応させる方法であっても、上記酸基含有ジオール化合物、鎖伸長剤、反応停止剤を一括して反応させる方法であっても良い。
上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂の分子量が2,000未満であると、インク皮膜が脆弱になる可能性があり、一方、分子量が100,000を超えると、少ない含有量でも上記インクジェット用インク組成物の粘度が高くなる傾向があり、インク皮膜の形成に支障をきたす可能性がある。
上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂の酸価は、ラミネート強度(プラスチックフィルムとシーラントフィルムとの間の剥離強度)を好適に付与する観点から、5~50mgKOH/gがより好ましい。
なお、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂では、酸価が低くなると、アルカリ可溶型水性ポリウレタン樹脂から自己乳化型水性ポリウレタン樹脂に変化する。
なお、自己乳化型水性ポリウレタン樹脂とは、分子内にイオン性基を有し、水性媒体中でイオン性基がイオン化することにより、安定的に分散し得る性状を有するポリウレタン樹脂をいうものである。
上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂を後述する水性媒体中に溶解又は乳化する方法としては、まず、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂に対してほぼ中和量となる塩基性化合物を後述する水性媒体中に溶解させる。その後、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂を添加し、高速撹拌装置で撹拌する方法が利用できる。
上記水性媒体は、水を含有し、必要に応じて水混和性有機溶剤等を含む水性媒体を利用することが好ましい。
上記水混和性有機溶剤は、上述した条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂の溶解性の他に、乾燥性や保湿性、印刷時のレベリング性といった所望の性能に応じて配合する。ここで、利用できる水混和性有機溶剤としては、本発明の作用効果を阻害せず、またインクジェットプリンターに損傷を与えないものであれば、特に限定されず、モノアルコール類、モノ及びポリアルキレングリコール類とそのアルキルエーテル化合物、モノ及びポリグリセリンとそのエチレンオキサイド付加物が好適である。
上記モノ及びポリアルキレングリコール類の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール等が挙げられる。
上記モノ及びポリアルキレングリコール類のアルキルエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル等である。
(1)顔料、必要に応じて、顔料分散成分(低分子量の顔料分散成分、高分子量の顔料分散成分を水性媒体に溶解させた水性樹脂ワニス等)、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂を水性媒体に溶解又は自己乳化させた水性樹脂ワニス、他の成分等を混合する。次いで、例えばボールミル、アトライター、ロールミル、サンドミル、アジテーターミル等の各種分散機を利用して顔料を分散させる。その後、必要に応じて、さらに残りの材料(上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂を水性媒体に溶解又は自己乳化させた水性樹脂ワニス、水性媒体等)を添加して、上記インクジェットインク組成物を調製する方法。
(2)上記(1)の方法で、上記高分子量の顔料分散成分を水性媒体に溶解させた水性樹脂ワニスにより、顔料を分散した後、酸析法や再公表特許WO2005/116147号公報に記載のイオン交換手段等により、顔料表面に上記高分子量の顔料分散成分を析出させた樹脂被覆顔料を得る。次いで、得られた樹脂被覆顔料を塩基性化合物で中和し、各種分散機(高速攪拌装置等)を用いて水性媒体に再分散し、さらに残りの材料を添加して、上記インクジェットインク組成物を調製する方法。
(3)染料、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂を水性媒体に溶解又は自己乳化させた水性樹脂ワニス、水性媒体、及び、必要に応じてその他の成分を、各種分散機(高速攪拌装置等)を用いて混合し、上記インクジェットインク組成物を調製する方法。
なかでも、上記インクジェット用インク組成物の保存安定性が更に良好になるという観点から、着色剤として顔料を利用するときは、製造方法(2)が好ましい。
なお、インクジェット方式による印刷には、より高速で印刷が可能であるという観点から、固定式ラインヘッドを用いたシングルパス印刷方式が好適である。
上記インクジェットインク組成物の塗工量としては、印刷速度と得られる印刷物の色濃度とのバランスの観点から、上記インクジェットインク組成物に含まれる固形分の換算で0.05~3.00g/m2とすることが好ましく、固形分の換算で0.1~2.00g/m2とすることがより好ましい。
上記インクジェットインク組成物を塗工した後、必要に応じて、各種乾燥装置を用いて乾燥させてもよい。
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法は、上記第一の印刷層に、白色の水性インク組成物をグラビア印刷方式又はフレキソ印刷方式により白押え印刷し、第二の印刷層を形成する工程を有する。
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法で利用する、白色の水性インク組成物(以下、単に水性白色インク組成物とも記載することがある)は、白色顔料、水性バインダー樹脂、水性媒体を含有する水性白色インク組成物を好適に利用することができる。
上記水性白色インキ組成物において、上記白色顔料は、上記水性白色インキ組成物中に10~50質量%含有されていることが好ましい。
さらに、水中へ溶解または分散が容易になるように、反応成分として酸基含有ジオール化合物を用い、ポリウレタン樹脂の分子内に酸基を導入することが好ましい。また、プラスチックフィルムがコロナ放電装置などで表面処理されているときに、当該処理表面との接着性を高めるという点から、ポリウレタン樹脂の分子内にヒドラジン残基を有するものであっても良い。
その中でも、各種フィルムに対する接着性や水性印刷インキの再溶解性を良好にするという点から、脂環族または芳香脂肪族ジイソシアネート化合物が好ましい。
さらに好ましくは、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂で記載した鎖伸長剤や反応停止剤を反応成分として利用することができる。また、ポリウレタン樹脂を製造する方法としても、上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂で記載した方法が利用でき、合成されるポリウレタン樹脂の分子量は、2,000~100,000の範囲が好適であり、さらに、3,000~50,000がさらに好適であり、5,000~40,000がとりわけ好適である。また、ポリウレタン樹脂を水性ワニス化する方法についても上記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂で記載した方法が利用できる。
また、グラビア印刷方式やフレキソ印刷方式で印刷される上記水性白色インク組成物では、インクジェット印刷方式で必要とする吐出信頼性の制約がない等の理由から、合成材料として、特に有機ジイソシアネート化合物で脂環属や芳香脂肪属系の化合物を利用したポリウレタン樹脂も好適に利用可能である。
この様なポリウレタン系バインダー樹脂の使用比率は、水性白色インク組成物の上記水性バインダー樹脂の全量に対して、固形分換算で50~100重量%となる量が好適である。
そして、上記水性白色インキ組成物において、上記水性バインダー樹脂の含有量は固形分量で3~30質量%の範囲が好ましい。
また、水性媒体としては、上記の本発明におけるインクジェットインク組成物と同様に、水と、必要に応じて水混和性有機溶剤とからなる水性媒体が利用できる。
上記水性白色インク組成物の塗工量としては、得られる印刷物の色濃度の観点から、上記水性白色インク組成物に含まれる固形分の換算で0.10~3.00g/m2とすることが好ましく、固形分の換算で0.20~2.00g/m2とすることがより好ましい。
なお、上記第一の印刷層と上記第二の印刷層とを有し、後記の方法で包装容器を製造したとき、包装容器の外側からみると、印刷層がプラスチックフィルムの裏側に位置するため、この様な印刷物を、裏刷り印刷物ともいう。
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法は、上記第二の印刷層に、直接又は他の機能層を介して熱融着性フィルムを積層する工程を有する。
本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法で利用する熱融着性フィルムを積層する方法として、第二の印刷層に、熱溶融させたプラスチック(以下、シーラント材ともいう)を薄膜状に密着させる押出ラミネート方法と、薄膜状に成形された熱溶融性のプラスチックフィルム(以下、シーラントフィルムともいう)を、接着剤を用いて貼りあわせるドライラミネート方法が好適に利用できる。
上記第二の印刷層と熱溶融させたシーラント材との間に塗工されるアンカーコート剤としては、イミン系、イソシアネート系、ポリブタジエン系、チタネート系等の各種アンカーコート剤を挙げることができる。
また、上記接着剤としては、ポリオール化合物を主剤とし、ポリイソシアネート化合物を架橋剤として利用した二液硬化型ラミネート用接着剤を挙げることができ、当該接着剤には、必要に応じて、エポキシ化合物やシランカップリング剤を含有させても良い。
これらの機能層の積層方法や、物性等は、公知の方法、物性のものを用いることができる。
そして、得られた積層フィルムは、上記シーラント材又はシーラントフィルム面同士を合せて端部を熱溶封し、最終的に包装容器を製造することができる。
また、上記ドライラミネート法は、上記押出ラミネート法で記載した様な各種塗工装置を備えたドライラミネート加工装置を利用して、上記第二の印刷層を有する面に上記のラミネート用接着剤を塗工後、上記シーラントフィルムを貼り合せる積層フィルムの製造方法である。
なお、通常の押出ラミネートおよびドライラミネート法を利用してラミネート加工する場合は、アンカーコート剤あるいは接着剤として水性系のものを利用することにより、完全水系のラミネート加工物が得られ、食品衛生などでより有利になる。
なお、安定したラミネート強度(プラスチックフィルムと、シーラント材及びシーラントフィルムとの間の剥離強度)が得られ、色々な機能性フィルムを容易に積層できるという点からすると、ドライラミネート法がより有用である。
上記ラミネート強度は、上記ラミネート加工物を40℃で3日経時後、15mm幅に裁断して試料片を作成し、剥離試験機((株)安田精機製作所製)でT型剥離したときの剥離強度(ドライラミネート強度)を測定した値である。
そして、食品などの内容物の充填口とするための一端を残して、他の端部をヒートシーラー等により熱溶封して袋状に加工し、内容物を充填した後、充填口の部分を熱溶封することにより、内容物の包装が完了する。
したがって、小ロット・多品種化が進む軟包装容器の製造において、単に効率化が図れるだけでなく、残留溶剤の低減、印刷作業環境の改善、大気汚染の防止、消防上の安全性などの多様な利点を有する。さらに、通常、水性印刷インク組成物を利用すると、良好なラミネート加工適性は得られにくいが、本発明では、良好なラミネート強度とシール強度を有する軟包装容器の製造が可能であるという、優れた特性を有する。
<水性ポリウレタン樹脂ワニスAの調製>
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、1,6-ヘキサンジオールとフタル酸とを脱水共重合して得られた重量平均分子量2000のポリエステルジオール200.0部、ジメチロールプロピオン酸5.4部、ヘキサメチレンジイソシアネート21.9部及びメチルエチルケトン265.5部を仕込んで、75℃で7時間反応させた。その後、トリエチルアミン4.1部と純水539.5部とを加え、メチルエチルケトンを減圧蒸留して、重量平均分子量24000、理論酸価9.9mgKOH/gの自己乳化型ポリウレタン樹脂を固形分として30%含有する水性ポリウレタン水性樹脂ワニスA(U-A)を得た。
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、3-メチル-1,5-ペンタンジオールとフタル酸とを脱水共重合して得られた重量平均分子量2000のポリエステルジオール200.0部、ジメチロールプロピオン酸5.4部、ヘキサメチレンジイソシアネート21.9部及びメチルエチルケトン265.5部を仕込んで、75℃で7時間反応させた。その後、トリエチルアミン4.1部と純水539.5部とを加え、メチルエチルケトンを減圧蒸留して、重量平均分子量24000、理論酸価9.9mgKOH/gの自己乳化型ポリウレタン樹脂を固形分として30%含有する水性ポリウレタン水性樹脂ワニスB(U-B)を得た。
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、1,6-ヘキサンジオール:3-メチル-1,5-ペンタンジオールの質量比率が1:1であるジオール成分とフタル酸とを脱水共重合して得られた重量平均分子量2000のポリエステルジオール200.0部、ジメチロールプロピオン酸5.4部、ヘキサメチレンジイソシアネート21.9部及びメチルエチルケトン265.5部を仕込んで、75℃で7時間反応させた。その後、トリエチルアミン4.1部と純水539.5部とを加え、メチルエチルケトンを減圧蒸留して、重量平均分子量25000、理論酸価9.9mgKOH/gの自己乳化型ポリウレタン樹脂を固形分として30%含有する水性ポリウレタン水性樹脂ワニスC(U-C)を得た。
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、1,6-ヘキサンジオールとフタル酸とを脱水共重合して得られた重量平均分子量2000のポリエステルジオール200.0部、ジメチロールプロピオン酸5.4部、ヘキサメチレンジイソシアネート22.7部及びメチルエチルケトン265.5部を仕込んで、75℃で7時間反応させた。その後、トリエチルアミン4.1部と純水541.4部とを加え、メチルエチルケトンを減圧蒸留して、重量平均分子量47000、理論酸価10.0mgKOH/gの自己乳化型ポリウレタン樹脂を固形分として30%含有する水性ポリウレタン樹脂ワニスD(U-D)を得た。
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、1,6-ヘキサンジオールとフタル酸とを脱水共重合して得られた重量平均分子量2000のポリエステルジオール200.0部、ジメチロールプロピオン酸2.7部、ヘキサメチレンジイソシアネート18.5部及びメチルエチルケトン265.5部を仕込んで、75℃で7時間反応させた。その後、トリエチルアミン2.0部と純水516.4部とを加え、メチルエチルケトンを減圧蒸留して、重量平均分子量約23000、理論酸価約5.1mgKOH/gの自己乳化型ポリウレタン樹脂を固形分として30%含有する水性ポリウレタン水性樹脂ワニスE(U-E)を得た。
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、1,6-ヘキサンジオールとフタル酸とを脱水共重合して得られた重量平均分子量1000のポリエステルジオール200.0部、ヘキサメチレンジイソシアネート67.2部及びメチルエチルケトン350.0部を仕込んで、75℃で7時間反応させ、無水ピロメリット酸とエチレングリコールとを1:2で反応させて得られるジオールジカルボン酸化合物62.8部、エタノール1.5部を加え、さらに3時間反応させた。その後、トリエチルアミン37.1部と純水516.4部とを加え、メチルエチルケトンを減圧蒸留して、重量平均分子量22000、理論酸価55.8mgKOH/gの自己乳化型ポリウレタン樹脂を固形分として30%含有する水性ポリウレタン樹脂ワニスF(U-F)を得た。
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、1,6-ヘキサンジオールとフタル酸とを脱水共重合して得られた重量平均分子量2000のポリエステルジオール200.0部、ジメチロールプロピオン酸5.4部、ヘキサメチレンジイソシアネート25.2部及びメチルエチルケトン265.5部を仕込んで、75℃で7時間反応させ、水和ヒドラジン1.2部を仕込んで、75℃で7時間反応させた。その後、トリエチルアミン4.1部と純水550.2部とを加え、メチルエチルケトンを減圧蒸留して、重量平均分子量24000、理論酸価9.9mgKOH/gの自己乳化型ポリウレタン樹脂を固形分として30%含有する水性ポリウレタン水性樹脂ワニスG(U-G)を得た。
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、1,6-ヘキサンジオールとフタル酸とを脱水共重合して得られた重量平均分子量2000のポリエステルジオール200.0部、ジメチロールプロピオン酸5.4部、イソホロンジイソシアネート28.9部及びメチルエチルケトン265.5部を仕込んで、75℃で7時間反応させた。その後、トリエチルアミン3.9部と純水555.8部とを加え、メチルエチルケトンを減圧蒸留して、重量平均分子量25000、理論酸価9.6mgKOH/gの自己乳化型ポリウレタン樹脂を固形分として30%含有する水性ポリウレタン樹脂ワニスH(U-H)を得た。
水性ポリウレタン樹脂ワニスI(U-I)として、NeoRez R-966 (椿本化成(株)製、ポリエーテル型ポリウレタン樹脂、固形分33質量%)を用いた。
水性ポリウレタン樹脂ワニスJ(U-J)として、スーパーフレックス420NS(第一工業製薬(株)製、ポリカーボネート型ポリウレタン樹脂、固形分32質量%)を用いた。
水性アクリル樹脂ワニスとして、ビニブラン2687(日信化学工業(株)製、アクリル樹脂エマルジョン、固形分30質量%)を用いた。
<水性ポリウレタン樹脂ワニスKの調製>
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ネオペンチルアジペートからなる重量平均分子量2000のポリエステルジオール200.0部、ジメチロールプロピオン酸5.4部、イソホロンジイソシアネート33.3部及びメチルエチルケトン265.5部を仕込んで、75℃で7時間反応させ、水和ヒドラジン1.3部を仕込んで、75℃で7時間反応させた。その後、トリエチルアミン3.9部と純水569.1部とを加え、メチルエチルケトンを減圧蒸留して、重量平均分子量24000、理論酸価9.9mgKOH/gの自己乳化型ポリウレタン樹脂を固形分として30%含有する水性ポリウレタン水性樹脂ワニスKを得た。
また、理論酸価とは、ポリウレタン樹脂の合成成分として用いられるカルボキシル基含有化合物の分子量、配合比率、当該化合物の分子内に含まれるカルボキシル基の数等に基づいて算術的に求めた、ポリウレタン樹脂1gを中和するのに理論上要する水酸化カリウムのmg数をいう。
ガラス転移温度40℃、重量平均分子量30,000、酸価185mgKOH/gのアクリル酸/n-ブチルアクリレート/ベンジルメタアクリレート/スチレン共重合体20部を、水酸化カリウム2.5部を溶解させた純水77.5部中に加熱・溶解させて、固形分20%の顔料分散用水性樹脂ワニスAを得た。
<水性ブラックインクベースの調製>
顔料分散用水性樹脂ワニスA23.7部、純水64.3部、カーボンブラック(プリンテックス90、デグサ社製)12.0部を加え、撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉して水性ブラックインクベース(BASE-B)を得た。
顔料分散用水性樹脂ワニスA23.7部、純水64.3部、イエロー顔料(ノバパームイエロー4G01、クラリアント社製)12.0部を加え、撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉して水性イエローインクベース(BASE-Y)を得た。
顔料分散用水性樹脂ワニスA23.7部、純水64.3部、マゼンタ顔料(インクジェットマゼンタE5B02、クラリアント社製)12部を加え、撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉して水性マゼンタインクベース(BASE-M)を得た。
顔料分散用水性樹脂ワニスA23.7部、純水64.3部、シアン顔料(ヘリオゲンブルーL7101F、BASF社製)12.0部を加え、撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉して水性シアンインクベース(BASE-C)を得た。
<水性ホワイトインクベースの調製>
水性ポリウレタン水性樹脂ワニスK40.0部、純水20.0部、酸化チタン(R-960、デュポン社製)40.0部を加え、撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉して水性ホワイトインクベースを得た。
サーフィノール440(エアープロダクツ社製)
タンク内に表1に示す配合の通りに各材料を仕込み、高速撹拌装置で撹拌、混合して、後記する実施例1~12及び比較例1~5の軟包装容器用積層フィルムで使用するインクジェットインク組成物を調製した。
(保存安定性試験)
調製直後のインクジェットインク組成物を、それぞれ、50mlをガラス瓶に採取し、25℃の粘度を粘度計(東機産業社製、RE100L型)を用いて測定した。そして、密栓して60℃で1ヶ月間保存した後、再び、25℃の粘度を粘度計で測定し、保存安定性を、60℃・1ヶ月保存後インクジェットインク組成物の粘度/調製直後のインクジェットインク組成物の粘度で評価した。
(評価基準)
〇:粘度変化が5%未満であるもの
△:粘度変化が5%以上、10%未満であるもの
×:粘度変化が10%以上であるもの
エプソン社製プリンターPX105を用いて、インクジェットインク組成物を、写真用紙(GL-101A450、キヤノン(株)製)に印刷して吐出安定性を評価した。
(評価基準)
〇:印刷の乱れがなく、安定して吐出できるもの
△:多少印刷の乱れがあるものの、吐出できるもの
×:印刷の乱れがあり、安定して吐出できないもの
0.1mmバーコーターで後記するプライマー組成物Aを塗工したOPPフィルムに、エプソン社製プリンターPX105を用いて、各インクジェットインク組成物を、約0.3mmの幅で細線状に印刷した。インクジェットインク組成物の滲みによる細線の太りを目視観察して、印刷画質を評価した。
(評価基準)
〇:滲みがなく、細線がそのままの太さで印刷されているもの
△:部分的な太りがみられるが、2倍以上の太りは観察されないもの
×:全体的に2倍以上の太りが観察されるもの
酢酸カルシウム2部、塩素化ポリオレフィン樹脂エマルジョン(スーパークロンE-604、塩素化度21%、固形分30%、日本製紙(株)製)6.7部、アクリル系樹脂エマルジョン(ビニブラン2687、固形分30質量%、日信化学工業(株)製)16.7部、水74.6部を高速撹拌装置で撹拌混合して、プライマー組成物Aを調製した。
水性ホワイトインクベース50部、純水25.0部、エタノール24部、界面活性剤1部を加え、撹拌混合して水性白色インク組成物Aを得た。
片面にコロナ放電処理した二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(東洋紡(株)製、パイレンP-2161、厚さ25μm)及び片面にコロナ放電処理した二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡(株)製、E-5102、厚さ12μm)のそれぞれの処理面に、グラビアコーターでプライマー組成物Aを、固形分として0.3g/m2となる量で塗工し、塗工面を乾燥させ、プライマー層を形成した。その後、プライマー層を形成した面のそれぞれに、エプソン社製プリンターPX105を用いて、各インクジェットインク組成物を、画像として矩形のテストパターンの形状で印刷し、第一の印刷層を形成した。さらに第一の印刷層を乾燥させた後、該第一の印刷層を形成した面のそれぞれに、彫刻版(線数:175線/inch、版深度:28μm、スタイラス角度:120°)を備えたグラビア印刷機を用いて、水性白色インク組成物Aで白押え印刷を行い、第二の印刷層を形成して裏刷り印刷物を得た。
得られた裏刷り印刷物の第二の印刷層を有する面のそれぞれに、イソシアネート系接着剤を、固形分として2.0g/m2となる量で塗工し、ドライラミネート機で無延伸ポリプロピレンフィルムを積層し、実施例1~12、比較例1~5の軟包装容器用積層フィルム(OPPフィルム及びPETフィルム)をそれぞれ製造した。
なお、プラスチックフィルムとしてOPPフィルムを使用した裏刷り印刷物においては、イソシアネート系接着剤としてタケラックA969V/タケネートA-5を、無延伸ポリプロピレンフィルムとしてGLC(三井化学東セロ(株)製、厚さ40μm)を用いた。また、プラスチックフィルムとしてPETフィルムを使用した裏刷り印刷物においては、イソシアネート系接着剤としてタケラックA626/タケネートA-65を、無延伸ポリプロピレンフィルムとしてRXC-22(三井化学東セロ社(株)製、厚さ60μm)を用いた。
(ドライラミネート強度)
実施例1~12、比較例1~5の軟包装容器用積層フィルムを40℃で3日間経時させた後、水性インクジェットインク組成物の印刷皮膜と白押え用水性白色インク組成物の印刷皮膜の重ね合わさった部分を15mm幅に裁断して試料片を作成し、剥離試験機((株)安田精機製作所製)でT型剥離したときの剥離強度(ドライラミネート強度)を測定した。
(評価基準)
〇:剥離強度が100g/15mm以上であるもの
△:剥離強度が50g/15mm以上、100g/15mm未満であるもの
×:剥離強度が50g/15mm未満であるもの
これらの結果から、本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法を利用すると、食品包装等で必要とされる美粧性とラミネート適性とを兼ね備えた包装用容器を得ることが十分に可能である。そして、水性タイプの利点である「残留溶剤の低減」、「印刷作業環境の改善」、「大気汚染の防止」、「消防上の安全性」の効果と、インクジェット印刷方式の利点である「小ロット・多品種化に効率よく対応できる」という効果と、さらにグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式の利点である「高速で広い面積にわたって高い色濃度を有する印刷が実現できる」の全てを享受することができる。
さらに、塩素化ポリオレフィン樹脂エマルジョンを含有し、特にOPPフィルムに塗工したときに、インクジェットインク組成物に優れた印刷画質と接着性を付与できるプライマー組成物と組み合わせると、包装容器の分野において主要なプラスチックフィルムである、OPPとPETのどちらのフィルムでも、優れたドライラミネート強度を得ることができる。これは、小ロット・多品種化にますます効率よく対応できることを意味する。この様に、特定のプライマー組成物とインクジェットインク組成物との組み合わせにより、非極性・極性のどちらのプラスチックフィルムにも好適に利用可能となり、さらに高い汎用性を有することは、従来の軟包装容器用積層フィルムの製造方法にはなかった特徴と言える。
以上の通り、本発明の軟包装容器用積層フィルムの製造方法は、上記の課題をすべて解決できるものである。
Claims (2)
- プラスチックフィルムにプライマー組成物を塗工してプライマー層を形成する工程、
上記プライマー層に、白色以外の色相を有する水性インクジェットインク組成物をインクジェット方式により印刷し、第一の印刷層を形成する工程、
上記第一の印刷層に、白色の水性インク組成物をグラビア印刷方式又はフレキソ印刷方式により白押え印刷し、第二の印刷層を形成する工程、及び、
上記第二の印刷層に、直接又は他の機能層を介して熱融着性フィルムを積層する工程を有し、
上記白色以外の色相を有する水性インクジェットインク組成物は、着色剤、下記条件1を満足するアルカリ可溶型又は自己乳化型水性ポリウレタン樹脂、及び、水性媒体を含有する
ことを特徴とする軟包装容器用積層フィルムの製造方法。
条件1
ヘキサメチレンジイソシアネート、下記の一般式1で表されるポリエステルジオール化合物の群から選択される少なくとも1種、及び、酸基含有ジオール化合物を含有する反応成分の反応物である。
(ただし、Xは、それぞれ独立して、-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-、又は、-CH2-CH2-CH(CH3)-CH2-CH2-で表わされる炭化水素基であり、nは2~20の整数である) - 上記プライマー組成物は、下記条件2を満足する請求項1に記載の軟包装容器用積層フィルムの製造方法。
条件2
水溶性多価金属塩、塩素化ポリオレフィンエマルジョン、アクリル系エマルジョン及び酢酸ビニル系エマルジョンからなる群から選択される少なくとも一種、及び、水を含有する、又は、水溶性多価金属塩、少なくとも2個のヒドラジン残基を有するヒドラジン誘導体、アクリル系エマルジョン及び酢酸ビニル系エマルジョンからなる群から選択される少なくとも一種、及び、水を含有する。
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