JP7110655B2 - 電子機器、情報処理方法及びプログラム - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に記載された技術等では、ユーザが登山を行う場合、登山時の運動状態に適したエネルギ消費量が算出される。特許文献1では、気圧データから高度の変化を検出し、ユーザの昇降運動に対応する消費エネルギを算出する手法が提案されている。
ユーザに関する情報を取得するユーザ情報取得手段と、
ユーザの高度を取得する高度取得手段と、を備え、
前記高度取得手段により取得された高度と、前記ユーザ情報取得手段が取得した前記ユーザに関する情報と、に基づいて、補正基準データを生成し、
前記補正基準データに基づいて、運動指標を算出し、算出された前記運動指標を補間することによって、前記高度における運動指標を算出することを特徴とする。
このように、電子機器は、補正基準データを生成することにより、種々の高度における生体情報を、より適切に補正して取得することが可能となる。
ここで、最大酸素摂取量(VO2max)は、「全身持久力」を表す有力な指標とされており、「1分間に摂取できる酸素量の最大値」(通常体重1kg当たり)である。最大酸素摂取量は、換気機能・肺拡散機能・循環機能および組織拡散機能などの「酸素搬送能力」によって左右されることが知られている。最大酸素摂取量は、正確にはブイドット・オーツー・マックスと呼ばれるが、以下では表記の都合上、単にVO2maxとする。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の電子機器1のシステム構成を示す図である。システムSは、電子機器1と、スマートフォンMと、外部センサ装置Oを備える。
電子機器1は、例えば、腕時計型に構成され、スマートフォンに類する機能を備えた装置である。電子機器1は、スマートフォンMと通信可能であり、電子機器1に蓄積されたデータをスマートフォンMに送信等することが出来る。
又、電子機器1は、無線通信機能付きの外部センサ装置Oとも通信可能である。外部センサ装置Oは、ユーザに関する情報としてのユーザの種々の生体情報を取得する装置である。生体情報とは、例えば、最大酸素摂取量センサ、心拍数センサ、心電センサ、酸素消費量センサ、動脈血酸素飽和度センサ、水分量センサ、及び/又は水分量等摂取センサを指す。電子機器1は、外部センサ装置Oと通信することによって、ユーザの生体情報を取得することが出来る。
図2は、本発明の携帯端末の一実施形態としての電子機器1のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、電子機器1は、制御部11と、センサユニット12と、入力部13と、表示部14と、時計回路15と、ROM(Read Only Memory)16と、RAM(Random Access Memory)17と、GPS(Global Positioning System)アンテナ18と、GPSモジュール19と、無線通信用アンテナ20と、無線通信モジュール21と、ドライブ22、報知部23とを備えている。なお、電子機器1には、撮像部等の他のハードウェアを適宜備えることが可能である。
センサユニット12は、加速度センサ、ジャイロセンサ、気圧センサ、地磁気センサあるいは高度センサ等の各種センサを備えている。
加速度センサは、電子機器1における3軸方向の加速度を検出し、検出した加速度を示す情報を制御部11に出力する。
ジャイロセンサは、電子機器1における3軸方向の角速度を検出し、検出した角速度を示す情報を制御部11に出力する。
気圧センサは、電子機器1がある環境下の気圧を検出し、検出した気圧を示す情報を制御部11に出力する。電子機器1では、気圧センサから出力される情報に基づいて、電子機器1の高度を検出する。
表示部14は、制御部11の指示に従って画像を出力する。例えば、表示部14は、各種画像やユーザインターフェースの画面を表示する。本実施形態においては、表示部14に入力部13の位置入力センサが重畳して配置され、タッチパネルが構成されている。
時計回路15は、システムクロックあるいは発振器により生成される信号から時刻信号を生成し、現在時刻を出力する。
RAM17は、制御部11が各種処理を実行する際のワークエリアを提供する。
GPSアンテナ18は、GPSにおける衛星から発信される電波を受信して電気信号に変換し、変換した電気信号(以下、「GPS信号」と称する。)をGPSモジュール19に出力する。
GPSモジュール19は、GPSアンテナ18から入力されたGPS信号に基づいて、電子機器1の位置(緯度、経度、高度)及びGPSによって示される現在時刻を検出する。また、GPSモジュール19は、検出した位置及び現在時刻を示す情報を制御部11に出力する。
無線通信モジュール21は、制御部11の指示に従って、無線通信用アンテナ20を介して他の装置に信号を送信する。また、無線通信モジュール21は、他の装置から送信された信号を受信し、受信した信号が示す情報を制御部11に出力する。
ドライブ22には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。リムーバブルメディア31は、位置及び高度のデータ等の各種データを記憶することができる。
図3は、図1の電子機器1の機能的構成のうち、高度補正処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
高度補正処理とは、ユーザの生体情報と、電子機器1を装着したユーザが居る場所の高度に応じて、ユーザの生体情報や運動指標値等を補正する、一連の処理をいう。
本実施形態では、電子機器1は、例えば、電子機器1を装着したユーザが登山を行った際の高度と、その際のユーザの生体情報とから補正基準データを生成する。補正基準データは、例えば、予め生成される。この補正基準データに基づいて、ユーザが居る場所の高度に対応する生体情報を補正によって算出し、補正された生体情報に基づいてユーザの運動指標値等を算出する。ユーザの運動指標値等もまた、ユーザの居る場所の高度に応じて補正される。
また、ROM16の一領域には、補正基準データ記憶部71が設定される。
補正基準データ記憶部71には、補正基準データが記録される。本実施形態において、補正基準データは、例えば、ユーザが種々の高度において計測した最大酸素摂取量VO2maxが、高度に対応付けられて記録されたデータである。即ち、補正基準データは、少なくともユーザの生体情報及びユーザの高度情報を含むデータである。この補正基準データは、電子機器1を使用するユーザ自身の生体情報であることが望ましいが、ユーザに似た身体機能を有する第三者のデータであってもよい。
ユーザ情報取得部111は、例えば、所定の高度におけるユーザの最大酸素摂取量VO2maxを取得する。ユーザ情報取得部111は、例えば、次のデータを取得する。高度0[m](平地)におけるVO2maxは約「100」、高度約4000[m]におけるVO2maxは約「80」、高度約7500[m]におけるVO2maxは約「30」である。取得されるデータは図示されるプロット数よりも多くても少なくてもよい。
図5に示される複数のプロットは、ユーザ情報取得部111によって取得されたデータに基づいて生成された、補正基準データである。図5の横軸は高度を表し、縦軸はVO2maxを表す。
このように、補正基準データ生成部114は、ユーザ情報取得部111によって取得された生体情報と、その生体情報が取得されたときの高度とを対応づけた補正基準データを生成する。
本実施形態では、ユーザ情報補正部115が、例えば、ラグランジュ補間によって、補正基準データに基づく第1補正関数f1を導出し、第1補正関数f1を用いて、生体情報を所定の高度における生体情報に補正する。
上述のように、図5のデータを参照すると、高度が0[m]から約7000[m]にかけて、2次多項式の第1補正関数f1が導出される。
このように、ユーザ情報補正部115は、図5に示される補正基準データに基づいて、第1補正関数f1を導出することによって、ユーザ情報取得部111が取得した最大酸素摂取量VO2maxを、所定の高度における最大酸素摂取量VO2maxに補正することが可能である。
より具体的な補正関数の一例として、あるユーザを対象とした、以下の第1補正関数f1が用いられる。ただし、x[m]は高度を示す。
<第1補正関数f1>
VO2max=-2*10^(-6)*x[m]^2+0.0016*x[m]+98.229
ここで、運動指標について概説する。運動指標は、運動強度と相関性のある酸素摂取量を用いて表すことができる。酸素摂取量VO2maxとは、ユーザが「1分間に消費した酸素量」(通常体重1kg当たり)である。
図6は、酸素摂取量VO2maxと被験者の走行速度との関係を示す図である(「ブランスフォードとホーレイ(D.R.Bransford、E.T.Howley)1977、山地啓司 1983作図」から引用)。図6を参照すると、横軸は被験者の走行速度であり、縦軸は走行速度に対応する酸素摂取量である。図示のとおり、被験者の走行速度の上昇に伴い、酸素摂取量も比例して増加する。このデータは、被験者の運動強度が上がる(走行速度が上がる)につれて息が上がる(酸素摂取量が上がる)現象になぞらえることが出来る。なお、この比例関係は、被験者の心拍数が最大心拍数の略60%を超える、比較的身体的な負荷が大きい場合に成立すると考えられている。従って、図6のグラフでは、比較的身体的な負荷が大きいと推定される、走行速度が分速150[m/min]以上の領域において、比例関係が成立している。このように、運動強度と酸素摂取量VO2maxとの間には相関関係がある。
即ち、運動強度は、運動するユーザ本人の酸素摂取能力を基準に数値で表すことが出来る。より詳しくは、運動強度は、運動中の酸素摂取量(VO2)と最大酸素摂取量(VO2max)の比率、換言すれば、「酸素摂取能力の何パーセントを使用しているか」(酸素摂取水準、%VO2max)で表現することが出来る。
例えば、ユーザの運動指標値である運動強度は、以下のように表される。
<第1運動指標値>
運動強度(%VO2max)[%]=酸素摂取量(VO2)[mL/(kg・min)]/補正後の最大酸素摂取量(VO2max)[mL/(kg・min)]*100
このように、運動指標算出部116は、複数の所定の高度に対応する第1運動指標値を算出する。又、運動指標算出部116は、算出された複数の第1運動指標値と、それに対応する所定の高度とを関連付けた運動指標データを生成する。
具体的には、運動指標補正部117は、運動指標算出部116によって生成された運動指標データに基づいて、運動指標値を補間する。補間には、例えば、内挿法や外挿法が用いられる。これにより、運動指標値が取得されている高度の範囲内及び範囲外の運動指標値を算出することが可能となる。
即ち、運動指標補正部117は、運動指標値を補間することによって、ユーザの現在の高度又は将来の高度に対応する運動指標を算出する。
次に、電子機器1の動作を説明する。
図4は、図3の機能的構成を有する図1の電子機器1が実行する高度補正処理の流れを説明するフローチャートである。
高度補正処理は、ユーザが入力部13を操作することによって、高度補正処理を行う設定にされることで開始する。
ユーザ情報取得部111は、例えば、ユーザの最大酸素摂取量VO2maxを、複数の所定の高度において取得する。
この処理は、例えば、高度補正処理に先立って行われており、ユーザが登山等を行う際に事前に取得されていることが望ましいが、ユーザが登山を行う際、所定の高度でリアルタイムに取得されてもよい。取得された生体情報は、ROM16の一領域に記録される。
高度判定部113が、高度が1500[m]未満であると判定すると、ユーザは高地にいないと判定し、高度補正処理は終了する。高度判定部113が、高度が1500[m]以上であると判定すると、処理はステップS4に進む。
高度判定部113が、ユーザが航空機に搭乗していると判定すると、高度補正処理は終了する。高度判定部113が、ユーザが航空機に搭乗していないと判定すると、処理はステップS5に進む。
補正基準データ生成部114は、ROM16の一領域に記録された生体情報を読み出して補正基準データを生成する。例えば、図5に示されるように、複数の高度におけるVO2maxの値と高度とを関連付けた、補正基準データを生成する。補正基準データ生成部114は、生成された補正基準データを補正基準データ記憶部71に保存する。
例えば、ユーザ情報補正部115は、図5に示される第1補正関数f1を導出し、第1補正関数f1を用いて、ある高度における最大酸素摂取量VO2maxの値をユーザの居る高度における最大酸素摂取量VO2maxに補正する。
終了条件は、例えば、電子機器1の電源が切られたときである。制御部11は、終了条件を満たすと判定した場合、高度補正処理を終了し、満たさないと判定した場合、処理はステップS1に戻る。
即ち、報知部23は、報知の基準とする運動指標値として、上記の第1運動指標値をそのまま用いるか、又は、運動指標補正部117によって補正された、現在のユーザの高度に対応する運動指標値を用いる。
<消費エネルギ量の算出式>
体重1kg・1分当たりの消費エネルギ量(kcal/kg/min)=VO2max(ml/kg/min)*4.92(kcal/l)/1000
上記算出式における最大酸素摂取量VO2maxは、上述のように高度にかかわらず適切に補正されているため、消費エネルギ量もまた、高度にかかわらず適切に算出される。
ユーザ情報取得部111は、ユーザの生体情報を取得する。
高度取得部112は、ユーザの高度を取得する。
補正基準データ生成部114は、高度取得部112により取得された高度と、ユーザ情報取得部111が取得した生体情報と、に基づいて、補正基準データを生成する。
このように、電子機器1は、補正基準データを生成することによって、高度にかかわらず生体情報をより適切に取得することが出来る。
このように、補正基準データに基づいて、生体情報が所定の高度における生体情報に補正されることによって、高度にかかわらず、生体情報がより適切に取得される。
運動指標算出部116は、所定の高度における生体情報に基づいて、所定の高度における運動指標を算出する。
このように、所定の高度における生体情報に基づいて運動指標が算出されることによって、ユーザの運動指標が、高度にかかわらず、より適切に取得される。
運動指標補正部117は、所定の高度における運動指標を補間することによって、高度取得部112によって取得される高度における運動指標を算出する。
このように、所定の高度に応じて運動指標が補正されることによって、高度にかかわらず、運動指標がより適切に取得される。
電子機器1は、補正基準データを生成することによって、運動指標を算出し、ユーザの高度に応じて補正することができる。
これにより、ユーザは、自己の運動状態について、高度に応じた運動指標に基づく報知を受けられるため、自己の運動状態をより適切に管理することが出来る。
高度取得部112が高度をリアルタイムに取得することによって、電子機器1は、補正基準データをリアルタイムに生成することができるとともに、ユーザのリアルタイムの高度に応じて生体情報や運動指標を算出することが出来る。
ユーザ情報取得部111が、生体情報を取得することによって、電子機器1は、高度に応じて変化する生体情報の補正データを保持することができる。
ユーザ情報取得部111が、移動距離、移動速度、又は移動時間を取得することによって、電子機器1は、これらに基づくエネルギ消費量等を算出することができる。又、これにより、電子機器1は、エネルギ消費量等と高度とを対応付けた補正データを生成することができ、結果として、電子機器1は、高度に応じたユーザのエネルギ消費量等を即座に算出することができる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
まず、上述の実施形態のステップS1において取得される生体情報は、最大酸素摂取量VO2maxであったが、最大酸素摂取量VO2maxの代わりに心拍数が取得されてもよい。
補正基準データ生成部114は、ユーザ情報取得部111によって取得された心拍数を用いて、補正基準データを生成する。
本変形例では、心拍数を生体情報の一例として説明する。図7A及び図7Bに示される複数のプロットは、生成された補正基準データである。図7A及び図7Bの横軸は高度を表し、縦軸は心拍数を表す。ユーザ情報取得部111は、所定の高度におけるユーザの心拍数を取得する。
図7Aに示されるデータでは、高度0[m](平地)での心拍数は約「60」、高度約1500[m]における心拍数は約「80」、高度約2500[m]における心拍数は約「80」、高度約4000[m]における心拍数は約「100」である。
又、図7Bに示されるデータでは、ユーザの居る場所の高度が3000[m]以上になると、図7Aに示されるデータの分布と比較して、心拍数の上昇率が相対的に低くなる。
このように、補正基準データ生成部114は、ユーザ情報取得部111によって取得された生体情報と、生体情報が取得されたときの高度とを対応づけた補正基準データを生成する。
本変形例では、ユーザ情報補正部115が、例えば、最小二乗法によって、補正基準データに基づく第2補正関数f2及び第3補正関数f3を導出し、第2補正関数f2及び第3補正関数f3を用いて、生体情報(心拍数)を所定の高度における生体情報(心拍数)に補正する場合を説明する。
上述のように、図7Aのデータを参照すると、高度が0[m]から約4000[m]では、傾きが「0.0099」の1次多項式の第2補正関数f2が導出される。又、図7Bのデータを参照すると、高度が約2500[m]から約5000[m]では、傾きが「0.0093」の第3補正関数f3が導出される。
このように、ユーザ情報補正部115は、図7A及び図7Bに示される補正基準データに基づいて、第2補正関数f2及び第3補正関数f3を導出することによって、ユーザ情報取得部111が取得した生体情報を所定の高度における心拍数に補正することが可能である。
より具体的な算出方法の一例として、あるユーザを対象とした、以下の第2補正関数f2及び第3補正関数f3が用いられる。ただし、x[m]は高度を示す。
<第2補正関数f2>
安静時心拍数(HRrest)[拍/min]=0.0099*x[m]+61.345
<第3補正関数f3>
安静時心拍数(HRrest)[拍/min]=0.0093*x[m]+31.023
<第2運動指標値>
運動強度(%VO2max)[%]={(心拍数-補正後の安静時心拍数)/(最高心拍数-補正後の安静時心拍数)}*100
他の変形例として、上述の実施形態では、ステップS1において取得される生体情報は電子機器1を使用するユーザ自身のデータであるが、必ずしもユーザ自身のデータでなくてもよい。例えば、ユーザ情報取得部111は、ユーザと似た身体機能を有する第三者の生体情報を取得してもよい。この場合、ステップS5において生成される補正基準データは、ユーザ自身のデータに基づくものではなく、第三者の生体情報に基づくデータとなる。
他の変形例として、ステップS1、S2、及びS5~S8の処理は、全てリアルタイムに行われてもよい。即ち、ステップS1の生体情報は、事前に取得されることなく、ユーザの登山時に変化する高度に伴ってリアルタイムに取得されてもよい。そして、ステップS5における補正基準データもまた、生体情報が取得される度にリアルタイムに生成されて、ステップS6~S8の補正処理もまたリアルタイムに順次実行されてもよい。これにより、ユーザは、電子機器1の使用前に事前にデータを取得しておく必要がないため、電子機器1の利便性が高まる。
なお、ユーザに関する情報として、ユーザ情報取得部111は、ユーザが登山で移動した距離、移動速度、移動時間などを取得してもよい。この場合、低地で移動した距離や低地での移動速度に対応する運動量(ユーザの運動の量を示す種々の値)と、高地で移動した距離や高地での移動速度に対応する運動量とは、その移動距離や移動速度が同じであったとしても異なる。例えば、高度が高くなればなるほど単位時間あたりの移動距離や移動速度における運動量が多くなるような相関関数やテーブルを予め準備しておく。そして、準備しておいた相関関数やテーブルを参照して、ユーザの移動速度や移動距離とユーザの高度とに基づいて補正基準データを作成し、そこから運動指標を補間したり、その時の運動量を算出したりするようにしてもよい。
ここでは、運動強度の指標を運動強度%VO2maxからエネルギ代謝率RMRに換算して消費エネルギ量を算出する手法を用いる。図8は、%VO2maxとRMRとの関係を示す図である。図8に示されるように、運動強度(%VO2max)が上がるにつれて、エネルギ代謝率(RMR)も上がる。ここで、RMRとは、Relative Metabolic Rate の略称であり、エネルギ代謝率を示す値である。
<消費エネルギ量>
消費エネルギ量=性別年齢別・基礎代謝基準値[kcal/kg/min]*(エネルギ代謝率RMR値+1.2)*移動時間[min]*体重[kg]
又は、電子機器1は、このテーブルを利用して算出される消費エネルギ量を高度と対応付けて、消費エネルギ量の補正基準データを生成し、保持していてもよい。これにより、電子機器1は、高度に応じた消費エネルギ量を即座に算出することが可能となる。
ここでは、ユーザの高度に応じて変化する運動強度(%VO2max)と脂肪燃焼率との関係を示すテーブルを予め保持しておくことによって、ユーザの高度に応じた脂肪燃焼量を算出することが出来る。
<歩行時の消費エネルギ量の算出式>
消費エネルギ量[kcal]=[E0/(1-V/Vu)^2]*T*W*B
=0.0283÷(1-(運動速度/基準速度))^2*移動時間[分]*体重[kg]*性別年齢別補正値
ただし、E0:基礎代謝基準値(0.0283kcal/kg/分)、V:歩行速度(分速)[m/分]<Vu、
Vu:歩行限界速度(例:242m/分)、T:歩行時間[分]、W:体重[kg]、B:性別年齢別補正値(標準=男子、20歳に対する補正値)、とする。
<歩行時の脂肪燃焼量の算出式>
脂肪燃焼量[g]=消費エネルギ量[kcal]*脂肪燃焼率[%]*1[g]/7[kcal]
消費エネルギ量=(0.0283/(1-100/242)^2)*30*45*0.97=107.6[kcal]
となる。
そして、ユーザの高度に応じた運動強度(%VO2max)が約44%であり、図9のテーブルから導かれる脂肪燃焼率を、肪燃焼率=(38%+42%+48%)/3=平均42.6%とすると、
燃焼脂肪量[g]=107.6*0.426*1/7=6.54[g]
となる。
<走行時の消費エネルギ量の算出式>
消費エネルギ量[kcal]=酸素摂取量[ml/kg/分]*酸素1ml当りのカロリー[kcal/ml]*T[分]*W[kg]*B
=(a*V+b)*c*T*W*B
=(0.2*V+3.5)*0.00492*T*W*B
=0.00492*(0.2*速度[m/分]+3.5)*移動時間[分]*体重[kg]*性別年令別補正値
ただし、酸素摂取量[ml/kg/分]=(a*V[m/分]+b)であり、
ただし、a=定数(0.15~0.26程度)、b=定数(-16~+11程度)、c=酸素1ml当りの消費エネルギ量=0.00492[kcal/ml]、V:走行速度(分速)[m/分]、T:走行時間[分]、W:体重[kg]、B:性別年齢別補正値(標準=男子、20歳に対する補正値)、である。
消費エネルギ量=(0.2*166.7+3.5)*0.00492*30*60*1.00=326.3[kcal]
となる。
そして、ユーザの高度に応じた運動強度(%VO2max)は約74%であって、図9のテーブルから導かれる脂肪燃焼率を、脂肪燃焼率=(25%+28%+32%)/3=平均28.3%とすると、脂肪燃焼量は、
燃焼脂肪量[g]=326.3*0.283*1/7=13.2[g]
となる。
又、電子機器1は、予め複数の高度における脂肪燃焼量を算出しておき、高度と関連付けた脂肪燃焼量の補正基準データとして保持していてもよい。この補正基準データを用いて、所望の高度に応じた脂肪燃焼量の補正を行うことが可能となる。
<参考文献>
「運動の基礎科学」(2008年8月、厚生省、「特定保健指導の実践定期指導実施者育成プログラム」 V.運動の基礎科学)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/info03k-06.pdf
又、変形例4における説明に用いた図9は、以下の参考文献に掲載されるデータを加工したものである。
<参考文献>
「Edward L. Fox Saunders College Publishing, 1979」
変形例4の類型として、例えば、上述の実施形態における、第2補正関数f2又は第3補正関数f3に示される高度に応じた心拍数に基づいて、消費エネルギ量を算出し、これを補正基準データとして保持してもよい。なお、ユーザが登山の熟練者か非熟練者かによって消費エネルギ量の算出式が異なるため、以下では消費エネルギ量の算出式として2つの例を挙げる。
<心拍数に基づく消費エネルギ量の算出式:非熟練者の場合>
消費エネルギ量[kcal]=(0.28× 心拍数(b/m)-18)×0.00492(kcal/ml)×体重(kg)×移動時間(min)
<心拍数に基づく消費エネルギ量の算出式:熟練者の場合>
消費エネルギ量[kcal]=(0.325× 心拍数(b/m)-18)×0.00492(kcal/ml)×体重(kg)×移動時間(min)
このように、変形例5による構成によれば、電子機器1は、ユーザ情報取得部111によって取得される、ユーザの移動時間及び高度に応じた心拍数に基づいて、高度に応じたエネルギ消費量を算出し、これに基づく補正基準データを生成することが可能となる。
即ち、ステップS1における生体情報の取得ステップと、ステップS2における高度の取得ステップとは順不同に実行されてもよい。また、ステップS5における補正基準データの生成は、高度補正処理が行われる前に事前に行われていてもよい。
さらに、高度補正処理は必ずしもステップS8まで行われる必要はなく、ステップS7で終了してもよい。ステップS7で終了する場合とは、例えば、ステップS7においてユーザの高度に対応する運動指標値が算出されており、ステップS8において補間の必要がない場合である。或いは、ステップS7において算出された運動指標値が、許容誤差の範囲内である場合には、ステップS8において補正する必要はないものとして、高度補正処理は終了してもよい。
即ち、外部センサ装置Oは、必ずしも電子機器1と別の媒体である必要はなく、電子機器1と一体的に構成されてもよい。図1に示されるシステムSは一例であって、本発明は、電子機器1、スマートフォンM、及び外部センサ装置Oの機能が一体となった装置によって実現されてもよい。
例えば、本発明は、運動を計測する機能を有する電子機器一般に適用することができる。具体的には、例えば、本発明は、ノート型のパーソナルコンピュータ、タブレット型端末、ビデオカメラ、携帯型ナビゲーション装置、携帯電話機、スマートフォン、ポータブルゲーム機等に適用可能である。
換言すると、図3の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が電子機器1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図3の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
本実施形態における機能的構成は、演算処理を実行するプロセッサによって実現され、本実施形態に用いることが可能なプロセッサには、シングルプロセッサ、マルチプロセッサ及びマルチコアプロセッサ等の各種処理装置単体によって構成されるものの他、これら各種処理装置と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field‐Programmable Gate Array)等の処理回路とが組み合わせられたものを含む。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
[付記1]
ユーザに関する情報を取得するユーザ情報取得手段と、
ユーザの高度を取得する高度取得手段と、を備え、
前記高度取得手段により取得された高度と、前記ユーザ情報取得手段が取得した前記ユーザに関する情報と、に基づいて、補正基準データを生成することを特徴とする電子機器。
[付記2]
前記補正基準データに基づいて、前記ユーザに関する情報を、所定の高度におけるユーザに関する情報に補正することを特徴とする付記1に記載の電子機器。
[付記3]
運動指標を算出する運動指標算出手段をさらに備え、
前記運動指標算出手段は、前記所定の高度における前記ユーザに関する情報に基づいて、前記所定の高度における運動指標を算出することを特徴とする付記2に記載の電子機器。
[付記4]
運動指標を補正する運動指標補正手段をさらに備え、
前記運動指標補正手段は、前記所定の高度における運動指標を補間することによって、前記高度取得手段によって取得される高度における、運動指標を算出することを特徴とする付記に記載の電子機器。
[付記5]
前記補正基準データに基づいて、運動指標を算出し、算出された前記運動指標を補間することによって、前記高度における運動指標を算出することを特徴とする付記1に記載の電子機器。
[付記6]
補正された前記運動指標に基づいて報知する、報知手段をさらに備えることを特徴とする付記3乃至5のいずれか一項に記載の電子機器。
[付記7]
前記高度は、前記高度取得手段によってリアルタイムに取得されることを特徴とする付記1乃至6のいずれか一項に記載の電子機器。
[付記8]
前記ユーザに関する情報は生体情報であることを特徴とする付記1乃至7のいずれか一項に記載の電子機器。
[付記9]
前記ユーザに関する情報はユーザの移動距離、移動速度又は移動時間であることを特徴とする付記1に記載の電子機器。
[付記10]
ユーザに関する情報を取得するユーザ情報取得手段と、
ユーザの高度を取得する高度取得手段と、を備えた電子機器が行う情報処理方法であって、
前記高度取得手段により取得された高度と、前記ユーザ情報取得手段が取得した前記ユーザに関する情報と、に基づいて、補正基準データを生成するステップを備えることを特徴とする情報処理方法。
[付記11]
ユーザに関する情報を取得するユーザ情報取得手段と、
ユーザの高度を取得する高度取得手段と、を備えた電子機器に、
前記高度取得手段により取得された高度と、前記ユーザ情報取得手段が取得した前記ユーザに関する情報と、に基づいて、補正基準データを生成する機能を実現させることを特徴とする情報処理プログラム。
Claims (10)
- ユーザに関する情報を取得するユーザ情報取得手段と、
ユーザの高度を取得する高度取得手段と、を備え、
前記高度取得手段により取得された高度と、前記ユーザ情報取得手段が取得した前記ユーザに関する情報と、に基づいて、補正基準データを生成し、
前記補正基準データに基づいて、運動指標を算出し、算出された前記運動指標を補間することによって、前記高度における運動指標を算出することを特徴とする電子機器。 - 前記補正基準データに基づいて、前記ユーザに関する情報を、所定の高度におけるユーザに関する情報に補正することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
- 運動指標を算出する運動指標算出手段をさらに備え、
前記運動指標算出手段は、前記所定の高度における前記ユーザに関する情報に基づいて、前記所定の高度における運動指標を算出することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。 - 運動指標を補正する運動指標補正手段をさらに備え、
前記運動指標補正手段は、前記所定の高度における運動指標を補間することによって、前記高度取得手段によって取得される高度における、運動指標を算出することを特徴とする請求項3に記載の電子機器。 - 補正された前記運動指標に基づいて報知する、報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項3または4のいずれか一項に記載の電子機器。
- 前記高度は、前記高度取得手段によってリアルタイムに取得されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電子機器。
- 前記ユーザに関する情報は生体情報であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電子機器。
- 前記ユーザに関する情報はユーザの移動距離、移動速度又は移動時間であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
- ユーザに関する情報を取得するユーザ情報取得手段と、
ユーザの高度を取得する高度取得手段と、を備えた電子機器が行う情報処理方法であって、
前記高度取得手段により取得された高度と、前記ユーザ情報取得手段が取得した前記ユーザに関する情報と、に基づいて、補正基準データを生成するステップと、
前記補正基準データに基づいて、運動指標を算出し、算出された前記運動指標を補間することによって、前記高度における運動指標を算出するステップと、を備えることを特徴とする情報処理方法。 - ユーザに関する情報を取得するユーザ情報取得手段と、
ユーザの高度を取得する高度取得手段と、を備えた電子機器に、
前記高度取得手段により取得された高度と、前記ユーザ情報取得手段が取得した前記ユーザに関する情報と、に基づいて、補正基準データを生成する機能と、
前記補正基準データに基づいて、運動指標を算出し、算出された前記運動指標を補間することによって、前記高度における運動指標を算出する機能と、を実現させることを特徴とする情報処理プログラム。
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