JP7120882B2 - 防曇性シート及び容器 - Google Patents
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Description
例えば、アモルファス状態のポリエチレンテレフタレート樹脂シート(A-PET)は、透明性に対する要望の強い成形体に使用され、ドリンク用途等の深絞り容器にも広く用いられている。
しかし、A-PETはある程度以上の温度になると変形が生じる恐れがあるため、より耐熱性が求められる場合には、A-PETに代えてポリプロピレンシートを用いて包装用容器等の熱成形品を作製することが行われている。また、ポリプロピレンの方がA-PETよりも比重が小さいために、最終ユーザーに廃棄された場合にゴミを削減できるという利点もある。
このような水滴が広範囲に付着すると、容器内部の視認性を低下させてしまうことになる。曇りの発生は、透明性を特長にした包装用容器の商品価値を低下させる問題を有するばかりではなく、水滴が収容物に付着してその品質を低下させる恐れを有する。
従って、該用途に使用されるポリプロピレンシート及び深絞り容器は、防曇性を発揮することが求められている。
塗布式の手法としては、例えば特許文献1に、ポリグリセリン脂肪酸エステルとショ糖脂肪酸エステルの混合物を塗布する方法が開示されている。
また、練りこみ式の手法としては、例えば特許文献2に、アルキルジアルコールアミド系添加剤を押出時にポリプロピレン樹脂に練りこんでシート化する方法が開示されている。
また、上記特許文献2に記載された手法で製作された容器も、絞り比が0.5以下の浅絞り成形では防曇性は発揮されるものの、絞り比が0.5以上の深い容器になると防曇性が低下する問題があった。
(1)少なくとも第一層と第二層とを含むポリプロピレンシートであり、前記第一層および前記第二層が防曇剤とポリプロピレンとを含み、前記防曇剤が、アルキルジエタノールアミンを40~80質量%と、グリセリン脂肪酸エステルを10~50質量%と、ポリエチレングリコールアルキル酸エステルを5~20質量%とを含み、前記防曇剤と前記ポリプロピレンとを含む個々の層が前記防曇剤を0.05~0.5質量%含有し、前記第一層における前記防曇剤の含有量(質量%)が前記第二層における前記防曇剤の含有量(質量%)よりも多く、前記ポリプロピレンシートの厚みが0.5~3mmであることを特徴とする、防曇性ポリプロピレンシート。
(2)前記第一層の厚みが0.05~1.5mmであり、前記第二層の厚みが0.25~2.7mmであり、前記第一層と前記第二層との厚み比(第一層:第二層)が1:1~1:9である、(1)に記載の防曇性ポリプロピレンシート。
(3)(1)または(2)に記載の防曇性ポリプロピレンシートを含み、絞り比が0.5以上であり、側面のヘイズ値が10%以下であることを特徴とする、防曇性ポリプロピレンカップ型容器。
(4)前記防曇性ポリプロピレンシートの前記第一層が内面となっている、(3)に記載の防曇性ポリプロピレンカップ型容器。
(5)プラグアシスト法を用いることを特徴とする、(3)または(4)に記載の防曇性ポリプロピレンカップ型容器の製造方法。
本実施形態の防曇性ポリプロピレンシートは、アルキルジエタノールアミンを40~80質量%含む防曇剤を0.05~0.5質量%含有し、厚みが0.5~3mmであり、前記防曇剤とポリプロピレンとを含む第一層を有することを特徴とする。
本実施形態の防曇性ポリプロピレンシートは、アルキルジエタノールアミンを40~80質量%含む防曇剤とポリプロピレンとを含む第一層を有する。本実施形態の防曇性ポリプロピレンシートは、当該防曇剤とポリプロピレンとを含む層を第一層の他に更に有していてもよく、また、当該防曇剤とポリプロピレンとを含む層以外の層を有していてもよい。
本実施形態の防曇剤は、アルキルジエタノールアミンを防曇剤100質量%に対して40~80質量%含む。特に好ましくは50~70質量%である。アルキルジエタノールアミンは、単独で防曇性を発揮すると共に、防曇剤のその他の成分の凝集を低減する効果がある。アルキルジエタノールアミンが40質量%以上であれば、深絞り容器形状に成形した時に防曇性を十分に発揮することができ、80質量%以下であれば、深絞り容器形状に成形した時に透明性が良好である。また、50質量%以上であれば、防曇性が更に向上し、70質量以下であれば透明性が更に良好である。
モノグリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素原子数が12~18の飽和または不飽和脂肪酸のモノグリセリンエステルが好ましい。具体的には、モノグリセリンラウレート、モノグリセリンミリステート、モノグリセリンパルミテート、モノグリセリンステアレート、モノグリセリンオレート、モノグリセリンリノレート等が挙げられる。
ジグリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素原子数が12~18の飽和または不飽和脂肪酸のジグリセリンエステルが好ましい。具体的には、ジグリセリンラウレート、ジグリセリンミリステート、ジグリセリンパルミテート、ジグリセリンステアレート、ジグリセリンオレート、ジグリセリンリノレート等が挙げられる。
トリグリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素原子数が12~18の飽和または不飽和脂肪酸のトリグリセリンエステルが好ましい。具体的には、トリグリセリンラウレート、トリグリセリンミリステート、トリグリセリンパルミテート、トリグリセリンステアレート、トリグリセリンオレート、トリグリセリンリノレート等が挙げられる。
また、防曇剤の含有量は、ポリプロピレンシートに対して、0.05~0.5質量%であり、0.05~0.4質量%であることが好ましく、0.08~0.3質量%であることがより好ましい。0.05質量%以上であれば、カップ型容器に成形した時に防曇性を十分に発揮することができ、0.5質量%以下であれば、シート状に製膜する際に、ブロッキング性が低減され、またシート厚みの偏肉が良い。
ポリプロピレン(以下、「PP」ともいう。)とは、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレンと炭素数4~8のα-オレフィンとの共重合体、プロピレンとエチレンと炭素数4~8のα-オレフィンとの共重合体を意味し、ランダム共重合体またはブロック共重合体のいずれであってもよい。
炭素数4~8のα-オレフィンの具体例としては、例えば、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
これらポリプロピレンを構成する単量体成分のうちプロピレン以外のものは、各々を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、これらのポリプロピレンは、各々を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
また、ポリプロピレンの含有量は、ポリプロピレンシートに対して、80~99.95質量%であることが好ましく、90~99.95質量%であることがより好ましく、95~99.95質量%であることが更に好ましい。80質量%以上であれば、カップ型容器に成形した時の剛性を保持することができ、99.95質量%以下であれば、防曇剤及び添加剤により、防曇性や押出時の熱安定性を得ることができる。
防曇剤とポリプロピレンとを含む層に含まれる場合、当該層における添加剤の含有量は、例えば、3質量%以下としてよい。また、ポリプロピレンシートにおける添加剤の含有量は、例えば、3質量%以下としてよい。
第一層における防曇剤の含有量(質量%)は、第二層における防曇剤の含有量(質量%)よりも高いことが好ましい。防曇剤の含有量が相対的に高い第一層を内面とするカップ型容器に成形した際に、防曇剤が容器の内側にブリードアウトすることで防曇性能を発揮しやすい。また、防曇剤の含有量が相対的に低い第二層を外面とするカップ型容器に成形した際に、容器の外側にブリードアウトする防曇剤量が少ないので、容器の外側を保持した時にべたつき感がなく、良好であると共に外面の印刷適性に優れる。
また、第一層の厚みは、0.05~1.5mmが好ましく、0.06~1mmがより好ましく、0.08~0.75mmが更に好ましい。この範囲であれば、防曇性が良好で、防曇剤の過剰のブリードアウトによるべたつきを抑制することができる。
本実施形態のポリプロピレンカップ型容器は、上記防曇性ポリプロピレンシートを含み、絞り比が0.5以上であり、側面のヘイズ値が10%以下であることを特徴とする。
また、本実施形態のポリプロピレンカップ型容器は、上記防曇性ポリプロピレンシートの上記第一層が内面となっていることが好ましい。第一層が内面となっていると、防曇剤が容器の内側にブリードアウトすることで防曇性能を発揮しやすい。
なお、カップの絞り比は、(カップ高さ)/(開口部短径)で表される。開口部短径とは、開口部の形状が円の場合は直径を表し、開口部形状が楕円の場合は短径を、開口部形状が長方形の場合は短辺を、開口部形状が正方形の場合は一辺の長さを表す。例えば、図1(a)の形状1の場合、絞り比:51/75=0.68、図1(b)の形状2の場合、絞り比:137/96=1.4となる。
なお本開示で、ヘイズ値は、JIS K7136に準拠して測定される値である。
シートの成形方法は、特に限定されないが、一例として、上記の製造方法により得られたポリプロピレンシートを、オフライン若しくはインラインにて間接加熱ヒーターを使用してポリプロピレンの軟化点まで加熱して軟化させた後に、プラグアシスト法の真空圧空法によりカップの形状に成形する。シートの成型カップ部と非成型部を切り分ける方法としては、成形時の同時打ち抜きでも、成形後に打ち抜き工程を設けてもどちらでも構わない。
ポリプロピレンシートをカップ状に深絞り成形する際は、プラグアシスト法が好適に用いられるが、プラグがカップ内面に接触するために、コート剤の防曇剤では表面を擦り取られ、防曇性が発揮されにくいが、本実施形態の練りこみ式の防曇剤では、良好な防曇性能を得ることができる。
また、防曇剤のブリードアウトを促進させるために、シート或いはカップの表面にコロナ処理やプラズマ処理を実施しても良い。
実施例・参考例・比較例で押出した800mm巾のシートについて、両巾50mmずつを除いた700mm巾の厚み分布を100mm間隔で測定した。この測定を長さ50mおきに10回実施して、500m分の厚み分布を測定した。
(評価基準)
〇(優れる):厚み分布のレンジがセンター値に対して±10%未満である
×(不良):厚み分布のレンジがセンター値に対して±10%以上である。
実施例・参考例・比較例で押出した800mm巾のシートを、500m長巻き取った。そのロールを40℃で1週間置いて、防曇剤のブリードアウトを促進させた。その後、ロールから、シートを繰り出した。
〇(優れる):ブロッキングがなく、500m分の最後までシートを繰り出すことができる。
×(不良):途中でブロッキングが発生し、500m分の最後まで繰り出すことができない。
(カップ高さ)/(開口部短径)で算出した。
実施例・参考例・比較例で得られたカップ型容器の側面において高さ方向の中央部がヘイズ値の測定中央部になるように3箇所をサンプリングして、JIS K7136に準拠して以下の測定器を用いて測定し、平均値を求めた。
測定器:NIPPON DENSHOKU社製
Haze Meter NDH4000
カップ型容器に容量の7割の80℃のお湯を入れ、空容器の口部とお湯を充填した容器の口部とが合わさるように、空容器を逆さにしてお湯を充填した容器の上に乗せた。3分後の空容器の曇り具合を評価した。
(評価基準)
◎(優れる):空容器の表面積の8割以上が曇らない
○(やや優れる):空容器の表面積の5割以上8割未満が曇らない
△(良好):空容器の表面積の2割以上5割未満が曇らない
×(不良):空容器の表面積の2割未満が曇らない
・ランダムPP(r-PP):プライムポリマー社製、E-333GV(MFR=2.4)
・ホモPP (h-PP):プライムポリマー社製、F-300SP(MFR=3.0)
スクリュー径30mm、L/D=40の同方向二軸押出機を使用して防曇剤のマスターバッチを作製した。マスターバッチのベース樹脂としてプライムポリマー社製のランダムPP(E-333GV)を使用し、マスターバッチ中の防曇剤の含有量は全て10質量%に調整した。
表1に示す組成(重量比)でA~Gの7種類の防曇剤マスターバッチを作製した。なお、防曇剤マスターバッチFは、防曇剤として特開平10-67867号公報の実施例1に記載のウンデシルジエタノールアミドを用いた。
ランダムPPと防曇剤マスターバッチAとを防曇剤の含有量が0.5質量%(マスターバッチの含有量としては5質量%)になるようにドライブレンドした樹脂を、径30mmφ、L/D35の同方向二軸押出機で温度200℃で混練し、押出した。Tダイから厚み1.3mmの800mm巾単層シートを押出し、50℃のチルロールで冷却した後に、1000m長を巻き取った。次に、そのシートを繰り出し、間接加熱のIRヒーターでシートをポリプロピレンの軟化点付近まで加熱し、真空圧空プラグアシスト法で形状1(図1(a)、絞り比:0.68)のカップ形状に成型した。シートの成型部と非成型部は成型時に同時に打ち抜くことで切り離した。
以下、各実施例・参考例・比較例の評価結果を表2に示す。
形状2(図1(b)、絞り比:1.4)のカップ形状に成型した以外は参考例1と同様にしてシート及びカップを作製した。
第一層は、ランダムPPと防曇剤マスターバッチAとを防曇剤の含有量が0.5質量%(マスターバッチの含有量としては5質量%)になるようにドライブレンドした樹脂を、径40mmφ、L/D=35の同方向二軸押出機で温度200℃で混練し、押出した。第二層は、ランダムPPのみの樹脂を径40mmφ、L/D=35の短軸押出機で温度200℃で混練し、押出した。両層をフィードポートブロック法で第一層と第二層との厚み比を第一層:第二層=1:5に調整して、Tダイから厚み1.3mmの800mm巾二層シートを押出し、50℃のチルロールで冷却した後に、1000m長を巻き取った。次に、そのシートを繰り出し、間接加熱のIRヒーターでシートを軟化点付近まで加熱し、真空圧空プラグアシスト法で形状1のカップ形状に成型した。シートの成型部と非成型部は成型時に同時に打ち抜くことで切り離した。
第二層の防曇剤の含有量を0.2質量%(マスターバッチの含有量としては2質量%)に、厚み比を第一層:第二層=1:7にしてカップ形状を形状2にした以外は実施例3と同様にしてシート及びカップを作製した。
第一層の防曇剤の含有量を0.6質量%(マスターバッチの含有量としては6質量%)に、厚み比を第一層:第二層=1:9にしてカップ形状を形状2にした以外は参考例3と同様にしてシート及びカップを作製した。
第一層はランダムPPと防曇剤マスターバッチBとを防曇剤の含有量が0.5質量%(マスターバッチの含有量としては5質量%)になるように調整し、カップ形状を形状2にした以外は参考例3と同様にしてシート及びカップを作製した。
第一層はランダムPPと防曇剤マスターバッチCとを防曇剤の含有量が0.5質量%(マスターバッチの含有量としては5質量%)になるように調整し、カップ形状を形状2にした以外は参考例3と同様にしてシート及びカップを作製した。
第一層はランダムPPと防曇剤マスターバッチDとを防曇剤の含有量が0.5質量%(マスターバッチの含有量としては5質量%)になるように調整し、カップ形状を形状2にした以外は参考例3と同様にしてシート及びカップを作製した。
第一層はランダムPPと防曇剤マスターバッチEとを防曇剤の含有量が0.5質量%(マスターバッチの含有量としては5質量%)になるように調整し、カップ形状を形状2にした以外は参考例3と同様にしてシート及びカップを作製した。
第一層はランダムPPと防曇剤マスターバッチFとを防曇剤の含有量が0.5質量%(マスターバッチの含有量としては5質量%)になるように調整し、カップ形状を形状2にした以外は参考例3と同様にしてシート及びカップを作製した。
防曇剤マスターバッチFを使用して、形状2のカップ形状にした以外は参考例1と同様にしてシート及びカップを作製した。
第二層にホモPPを使用して、形状2のカップ形状にした以外は参考例3と同様にしてシート及びカップを作製した。
第一層をランダムPPと防曇剤マスターバッチEとを防曇剤の含有量が0.6質量%(マスターバッチの含有量としては6質量%)になるように調整し、形状2のカップ形状にした以外は参考例1と同様にしてシート及びカップを作製した。
シートは厚み斑が大きく、ブロッキングが発生した。
厚み比を第一層:第二層=1:9に、第一層の防曇剤Aの含有量を0.4質量%(マスターバッチの含有量としては4質量%)に、カップ形状を形状2にした以外は参考例3と同様にしてシート及びカップを作製した。
シート厚みを0.6mmに、カップ形状を形状2にした以外は参考例3と同様にしてシート及びカップを製作した。
シート厚みを2.9mmに、カップ形状を形状2にした以外は参考例3と同様にしてシート及びカップを製作した。
防曇剤マスターバッチGを使用し、カップ形状を形状2にした以外は参考例3と同様にしてシート及びカップを製作した。
Claims (5)
- 少なくとも第一層と第二層とを含むポリプロピレンシートであり、
前記第一層および前記第二層が防曇剤とポリプロピレンとを含み、
前記防曇剤が、アルキルジエタノールアミンを40~80質量%と、グリセリン脂肪酸エステルを10~50質量%と、ポリエチレングリコールアルキル酸エステルを5~20質量%とを含み、
前記防曇剤と前記ポリプロピレンとを含む個々の層が前記防曇剤を0.05~0.5質量%含有し、
前記第一層における前記防曇剤の含有量(質量%)が前記第二層における前記防曇剤の含有量(質量%)よりも多く、
前記ポリプロピレンシートの厚みが0.5~3mmである
ことを特徴とする、防曇性ポリプロピレンシート。 - 前記第一層の厚みが0.05~1.5mmであり、
前記第二層の厚みが0.25~2.7mmであり、
前記第一層と前記第二層との厚み比(第一層:第二層)が1:1~1:9である、請求項1に記載の防曇性ポリプロピレンシート。 - 請求項1または2に記載の防曇性ポリプロピレンシートを含み、絞り比が0.5以上であり、側面のヘイズ値が10%以下であることを特徴とする、防曇性ポリプロピレンカップ型容器。
- 前記防曇性ポリプロピレンシートの前記第一層が内面となっている、請求項3に記載の防曇性ポリプロピレンカップ型容器。
- プラグアシスト法を用いることを特徴とする、請求項3または4に記載の防曇性ポリプロピレンカップ型容器の製造方法。
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