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JP7122218B2 - コンクリート構造物の製作方法 - Google Patents
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Description

本発明は、養生シートを用いたコンクリート構造物の製作方法(構築方法)に関する。
橋梁やダム等をはじめとするコンクリート構造物を構築するための施工方法として、特許文献1に記載の工法が新たに用いられるようになってきている。この工法では、コンクリート打設用の型枠を設置し、型枠の内面に予め非透水性の養生シートを固定した状態でコンクリートの打設を行う。そして、コンクリートの打設後に型枠を脱型するものの養生シートはコンクリート側に残置し、打設したコンクリートをこの養生シートでそのまま覆い、コンクリートを長期に渡って養生する。
特許第5698304号公報 特開2009-084900号公報
上記の工法では、型枠脱型時に養生シートをコンクリートに確実に残置することが必要とされるため、保持ピン等の保持部材や両面粘着テープ等を用いて養生シートをコンクリートに固定している。しかしながら、保持部材の設置や両面粘着テープの貼付け等の作業が必要となり、その分、手間がかかっていた。
本発明は、上述した課題を解決するために為されたものであり、コンクリートの打設前から使用している養生シートをより簡易にコンクリートに残置することができるコンクリート構造物の製作方法を提供することを目的とする。
本発明に係るコンクリート構造物の製作方法は、内側に空間を画定するように構成された複数の型枠を準備する工程と、筒状又は袋状の養生シートを準備する工程と、複数の型枠を積み上げると共に、当該積み上げられた型枠の内側に筒状又は袋状の養生シートを配置する工程と、養生シートの一端をベースに対して固定する工程と、一端を固定した後に養生シートの内側にコンクリートを打設する工程と、打設されたコンクリートが硬化した後、当該硬化したコンクリートを養生シートでそのまま養生する工程と、を備えている。この製作方法では、打設する工程は、養生シートの外側に複数の型枠が配置されて当該養生シートが複数の型枠によって支持された後に行われる。
このコンクリート構造物の製作方法では、養生シートの形状を筒状又は袋状として、コンクリートが硬化した際に、養生シートをそのままコンクリート構造物に被せられるようにしている。このため、コンクリートの打設前から使用している養生シートを保持部材や粘着テープ等を用いることなくコンクリートに残置させることができ、より簡易に養生シートをコンクリートに残置できる。また、この製作方法では、養生シートの外側に複数の型枠が配置されて当該養生シートが複数の型枠によって支持された後にコンクリートが打設される。このため、養生シート内に打設されたコンクリートを型枠でしっかりと保持することができる。
上記のコンクリート構造物の製作方法では、配置する工程において、筒状又は袋状の養生シートの水平方向に沿った断面積が、複数の型枠の内側に形成される空間の水平方向に沿った断面積よりも小さいことが好ましい。この場合、養生シートが打設されたコンクリートの自重により少し外側に延びる(広がる)ことが可能となり、コンクリート面に接する養生シートにシワが発生することを防止できる。その結果、養生シートによって養生されるコンクリート構造物の表面へのシワの転写を抑制できる。なお、コンクリートを打設する前の養生シートの水平方向に沿った断面積が、型枠の内側に形成される空間の水平方向に沿った断面積に対して0.0006%~0.6%ほど小さくてもよい。この場合、養生シートとしての性能を維持しつつ、ある程度伸びてシワの発生をより好適に防止することができる。
上記のコンクリート構造物の製作方法は、打設されたコンクリートが硬化した後、養生シートがコンクリートに付着した状態で複数の型枠を脱型する工程を更に備えてもよい。この場合、養生シートをコンクリートに残置することができると共に、脱型した型枠を別の現場で使用することができる。複数の型枠それぞれは、プラスチック製又はカーボン製の軽量型枠であることが好ましい。この場合、型枠の設置作業を容易に行うことができる。なお、型枠は、鋼製の型枠であってもよい。
上記のコンクリート構造物の製作方法は、ベースに対してガイドを設置する工程を更に備え、型枠に設けられた貫通孔にガイドを通して、型枠を積み上げるようにしてもよい。この場合、型枠を整列して積み上げることができ、また積み上げた後の型枠を安定させることもできる。また、上記のコンクリート構造物の製作方法では、型枠は上下方向において他の型枠と嵌め合わせ可能な構成を有し、配置する工程では、当該構成を利用して型枠を積み上げてもよい。この場合、ガイドの設置作業は不要となり、型枠の積み上げ作業全体を簡素化できる。なお、型枠が上下方向において他の型枠と嵌め合わせ可能な構成を有しつつ更に貫通孔を設けて、ガイドを用いて積み上げられるようにしてもよい。
上記のコンクリート構造物の製作方法において、コンクリートを打設する工程では、一端から逆側に向かって養生シートに所定のテンションを付与した状態でコンクリートを打設してもよい。この場合、コンクリートに接する養生シートにシワが発生することをより一層防止でき、その結果、養生シートによって養生されるコンクリート構造物の表面へのシワの転写を抑制できる。
本発明によれば、コンクリートの打設前から使用している養生シートをより簡易にコンクリートに残置する、コンクリート構造物の製作方法を提供することができる。
図1の(a)~(d)は、本発明に係るコンクリート構造物の製作方法の一例を示す図である。 図2の(a)及び(b)は、図1に示す製作方法に用いられる型枠の一例を示す図である。 図3は、図1に示す製作方法に用いられる筒状の養生シートの一例を示す斜視図である。 図4の(a)~(c)は、本発明に係るコンクリート構造物の製作方法の別の例を示す図である。 図5の(a)及び(b)は、養生シートをベースに固定する際の変形例を示す図である。 図6は、本製造方法に用いられる養生シートの変形例において、その表面の水への接触角を示す模式図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るコンクリート構造物の製作方法について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いる場合があり、重複する説明は省略する。
このコンクリート構造物の製作方法は、ガイド及び型枠を準備する工程と、筒状又は袋状の養生シートを準備する工程と、養生シートの一端をベースに対して固定する工程と、複数の型枠を積み上げると共に当該積み上げられた型枠の内側に養生シートを配置する工程と、一端を固定した後に養生シートの内側にコンクリートを打設する工程と、打設されたコンクリートが硬化した後、硬化したコンクリートを養生シートでそのまま養生する工程と、を備えている。この製作方法では、筒状又は袋状の養生シートを用いていることから、例えば角柱や円柱などの柱状コンクリートを容易に構築できる。他の形状のコンクリート構造物を構築してもよい。以下では、四角柱のコンクリート構造物を構築する場合を例にとって説明するが、円柱のコンクリート構造物に適用してもよいし、他の形状のコンクリート構造物に適用してもよい。
図1の(a)~(d)は、本発明に係るコンクリート構造物の製作方法の一例を示す図である。図1の(a)に示すように、この製作方法では、まず、打設済みのコンクリート等のベースB上において、構築予定の角柱コンクリート構造物の4隅に対応する箇所に、H鋼、アングル又はチャンネル等の軽量型枠用のガイド1をそれぞれ設置する。これにより、4つのガイド1がベースBに対して固定される。ベースBは、打設済みのコンクリート以外でもよく、例えば岩盤であってもよい。
続いて、それぞれが枠形状を呈する複数の型枠10と筒状の養生シート20とを準備する。型枠10は、図2の(a)に示すように、例えば四角形状の枠体12であり、その4隅に貫通孔14が設けられている。貫通孔14は、上述したガイド1をその中に挿入させて型枠10の位置を定めるための位置決め機構である。本製作方法に用いられる型枠は、図2の(a)に示す一体的な型枠10でもよいし、複数の枠体12a~12dをボルト等で連結することで四角形状になる型枠10a(図2の(b)参照)であってもよい。また、型枠は、その内側にコンクリートを打設するための空間を画定するように構成されたものであればよく、その内側が正方形でなく、長方形、円形、楕円形、三角形の他の多角形となる枠体の型枠であってもよい。型枠10は、製作するコンクリート構造物の形状(断面形状等)に応じて、好適な形態とすることができる。また、型枠10は、作業性等を考慮すると、プラスチック製又はカーボン製の軽量型枠を用いることが好ましいが、鋼性のものであってもよい。
養生シート20は、図3に示すように、例えば角筒形状(中空)の本体部22を含んで構成され、本体部22の下には固定用の下部タブ24と、本体部22の上には引っ掛け用の上部タブ26とが設けられている。養生シート20が袋状の場合、下方が閉じる形状であってもよい。養生シート20は、0.02mm~2.0mm程度の厚みを有する。また、コンクリートを打設する前の養生シート20の水平方向に沿った断面積が、型枠10の内側に形成される空間の水平方向に沿った断面積に対して0.0006%~0.6%ほど小さくなるような養生シート20であってもよい。なお、ここでいう養生シート20の水平方向に沿った断面積は、養生シート20の外形における断面積を意味する。
また、養生シート20は、例えば、ポリプロピレン、ナイロン、ナイロン6、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィンなどの高分子化合物から構成されるシートを用いることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニリデン、又は、ポリ塩化ビニルから構成されるシートを用いることで、より安価な養生シートを提供することができ、脱型後もコンクリート表面上に残置させることでコンクリートの養生期間を容易に長くすることができる。
複数の型枠10と筒状の養生シート20とが準備されると、次に、下方に配置する1段目の型枠10の下であってベースBの上に養生シート20の下部タブ24(一端)を配置する。そして、型枠10の貫通孔14にガイド1を通しながら型枠10を下方(ベースB)まで移動させ、1段目の型枠10とベースBとの間に下部タブ24を挟み込む。これにより、図1の(b)に示すように、養生シート20の下端がベースBに対して固定される。この際、養生シート20が自立性なく薄いシートだと当該図に示されるように、その上方が外側に広がるようつぶれるが(上方部分は省略)、自立性のある養生シートであれば、ある程度、自立させることも可能である。
続いて、養生シート20の下端のベースBに対する固定が完了すると、複数の型枠10を、最初に設置した1段目の型枠10の上に順に積み上げる作業を行う。この際、各型枠10の貫通孔14にガイド1を通すようにして各型枠10を配置する。一方、養生シート20は、型枠10の積み上げの際に、シートを伸ばしながら、型枠10の上方に引っ掛かるように取り付ける。これにより、図1の(c)に示すように、積み上げられた型枠10の内側に筒状の養生シート20が配置されることになる。なお、この際に筒状の養生シート20の水平方向に沿った断面積が、型枠10の内側に形成される空間の水平方向に沿った断面積よりも小さいことが好ましい。すなわち、型枠10の内周面と養生シート20の外周面との間に空隙が形成されることが好ましい。このような関係にしておくことにより、養生シート20の内部にコンクリートを打設した際、養生シート20が好適に延びて広がり、シワが発生しづらくなるのに加え、養生シート20と打設されたコンクリートとの密着性を向上することができる。
続いて、型枠10の積み上げ及び養生シート20の型枠10内への設置が完了すると、筒状の養生シート20の内側に所定量のコンクリートを打設する。これにより、養生シート20内にコンクリートの硬化体又は所定のコンクリート構造物Cが構築される。コンクリートを打設する際に、養生シート20の上方又は上部タブ26を上方に引っ張り、更にシワがない状態にしておいて、コンクリートを打設してもよい。この引っ張りの際、養生シート20の伸び率が0.001%以上であるとシートがたるむこともなく、好適である。その後、コンクリートの締固めが終了すると、型枠10をはめたまま、コンクリートの養生を例えば3日~28日程度行い、コンクリートの水和反応を促進させる。
続いて、打設されたコンクリートが硬化すると、その後、図1の(d)に示すように、型枠10を脱型し、当該硬化したコンクリートを養生シート20でそのまま養生する。この際、養生シート20が筒形状であることから、型枠10を脱型しても、養生シート20がコンクリートの表面に残置されたままとなる。養生シート20が袋状であっても同様に残置される。養生シート20による養生は、型枠10の脱型後28日以上養生を続けてもよいし、型枠10の脱型後91日以上養生を続けてもよい。更に、コンクリート構造物の引き渡しに至るまで(例えば脱型後1年以上)養生を続けてももちろんよい。このような長期の養生を続けることにより、コンクリート構造物Cの強度や耐久性を飛躍的に高めて、その品質を向上することができる。所定期間の養生が終了すると、養生シート20をコンクリート構造物Cから取り外し、これにより、コンクリート構造物Cが完成する。
以上、本実施形態に係るコンクリート構造物の製作方法では、養生シート20の形状を筒状又は袋状として、コンクリートが硬化した際に、養生シート20をそのままコンクリート構造物Cに被せられるようにしている。このため、コンクリートの打設前から使用している養生シート20を保持部材や粘着テープ等を用いることなくコンクリートに残置させることができるため、より簡易に養生シート20をコンクリートに残置できる。
また、本実施形態に係るコンクリート構造物の製作方法は、内側に空間を画定するように構成された複数の型枠10を準備する工程と、複数の型枠10を積み上げると共に当該積み上げられた型枠10の内側に筒状又は袋状の養生シート20を配置する工程とを備え、打設する工程は、養生シート20の外側に複数の型枠10が配置されて当該養生シート20が複数の型枠10によって支持された後に行われるようになっている。このため、養生シート20として自立しないような薄いシートを用いた場合であっても、養生シート20内に打設されたコンクリートを型枠10でしっかりと保持することができる。
また、本実施形態に係るコンクリート構造物の製作方法では、型枠を配置する工程において、筒状又は袋状の養生シート20の水平方向に沿った断面積が、複数の型枠10の内側に形成される空間の水平方向に沿った断面積よりも小さいものとすることができる。この場合、養生シート20が打設されたコンクリートの自重により少し外側に延びる(広がる)ことが可能となり、コンクリートに接する養生シート20にシワが発生することを防止できる。その結果、養生シート20によって養生されるコンクリート構造物Cの表面へのシワの転写を抑制できる。なお、コンクリートを打設する前の養生シート20の水平方向に沿った断面積が、型枠10の内側に形成される空間の水平方向に沿った断面積に対して0.0006%~0.6%ほど小さくてもよい。この場合、養生シート20としての性能を維持しつつ、ある程度伸びてシワの発生をより好適に防止することができる。
また、本実施形態に係るコンクリート構造物の製作方法は、打設されたコンクリートが硬化した後、養生シート20がコンクリートに付着した状態で複数の型枠10を脱型する工程を更に備えている。このため、養生シート20をコンクリートに残置することができると共に、脱型した型枠10を別の現場で使用することができる。複数の型枠それぞれは、プラスチック製又はカーボン製の軽量型枠であることが好ましい。この場合、型枠10の設置作業を容易に行うことができる。なお、型枠は、鋼製の型枠であってもよい。
また、本実施形態に係るコンクリート構造物の製作方法は、ベースBに対してガイド1を設置する工程を更に備え、型枠10に設けられた貫通孔14にガイド1を通して、型枠10を積み上げるようにしてもよい。この場合、型枠10を整列して積み上げることができ、また積み上げた後の型枠10を安定させることもできる。
また、本実施形態に係るコンクリート構造物の製作方法では、コンクリートを打設する工程で、一端から逆側に向かって養生シート20に所定のテンションを付与した状態でコンクリートを打設してもよい。この場合、コンクリートに接する養生シート20にシワが発生することをより一層防止でき、その結果、養生シート20によって養生されるコンクリート構造物Cの表面へのシワの転写を抑制できる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく様々な実施形態に適用することができる。例えば、上記実施形態では、ガイド1と貫通孔14を有する型枠10,10aとを用いたコンクリート構造物の製作方法について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図4に示すように、各型枠10bにホゾ構造を設け、上方に突起16を下方に穴部(溝)を設けた型枠を使用してもよい。この場合、ガイド1を設置する必要がなく、図4の(a)~(c)に示すように、各型枠10bを順に積み上げ、当該積み上げられた型枠10bの内側に筒状又は袋状の養生シート20を配置して、その中にコンクリートを打設して養生を行うことができる。この製作方法の他の構成は上述した実施形態と同様であり、その説明を省略する。この製作方法によれば、ガイド1の設置作業が不要となり、型枠10bの積み上げ作業全体を簡素化できる。なお、型枠が上下方向において他の型枠と嵌め合わせ可能な上記のホゾ構成を有しつつ更に貫通孔14を設けて、ガイド1を用いて積み上げられるようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、養生シート20の下部を固定する部材として型枠を用いたが、図5の(a)及び(b)に示すように、養生シート20の一端(下端)を固定する専用のボルト留め部材30を用いてもよい。この場合、シワシワの養生シート20を上方に引っ張る所定のテンションをかけた場合でも養生シート20が止め部から外れたりすることがより確実に防止される。なお、図5の(b)では、内部に鉄筋Sが設けられた場合を示しているが、このような場合であっても、養生シート20をよりピンと張るようにすることができる。また、上記の実施形態では、施工現場でのコンクリート構造物の製作方法の例について説明したが、プレキャスト等に本製作方法を適用してももちろんよい。
また、上記実施形態では、養生シート20として特に限定していないが、養生シート20のコンクリート側の接触面の水との接触角が50度以上であるものを採用することが好ましい。具体的には、養生シート20の接触面の水との接触角θが69度以上であることが好ましく、接触角θが80度以上であることが更に好ましく、接触角θが90度以上であることがより一層好ましい。ここで、「接触角θ」とは、図6の(a)に示されるように、液滴の接線と固体表面(養生シート20の表面)とのなす角度であり、以下の式(1)で示される。
Figure 0007122218000001

γ:固体の表面張力
γ:液体の表面張力
γSL:固体と液体の界面張力
そして、「接触角θ」は、例えば、θ/2法で測定することができる。具体的には、図6の(b)に示されるように、液滴の半径rと高さhを求める。そして、以下の式(2)、式(3)から、接触角θを求めることができる。
Figure 0007122218000002

Figure 0007122218000003
通常、セメントの当初の硬化に必要な量以上の余剰な水がコンクリートに含まれていると、打設後にコンクリートが硬化する際、ブリージング水が発生することがある。上述のように、水との接触角が50度以上の養生シート20を打設時に用いることにより、ブリージング水が発生することを効果的に抑制することができる。このようにブリージング水の発生が抑制されるのは、コンクリートの表面を覆っている養生シート20のシート面(接触面)の接触角(濡れ角とも言う)が大きいと、コンクリート内に含まれていてその表面から外に出ようとする水や当該水中に存在する空気がシート接触面においてコンクリート内部に押し戻される作用が働き、その結果、水及びその内部の空気がコンクリート内に残存したまま硬化が進むためと考えられる。そして、この養生シート20によれば、このようにしてブリージング水の発生が抑制されるため、脱型後の水和反応に必要な水をコンクリートが含有していることになり、コンクリート養生の際に外部から養生水を供給することなく又は養生水をそれほど用いることなく、所定の圧縮強度や耐久性などの品質を発現できるコンクリート構造物を製造することができる。
また、養生シート20は、シートの水蒸気透過性の小さいものを用いることが好ましく、シートの水蒸気透過性が10g/m・24h以下であることが好ましく、シートの水蒸気透過性が5g/m・24h以下であることがより一層好ましい。また、養生シート20は、シートの二酸化炭素透過性の小さいものを用いることが好ましく、シートの二酸化炭素透過性が10万cc/m・24h・atm以下であることが好ましく、シートの二酸化炭素透過性が5万cc/m・24h・atm以下であることがより一層好ましい。素材の表面を各種表面加工技術によって加工することで、水蒸気透過性又は二酸化炭素透過性を小さくしたシートを作製することができる。
10,10a,10b…型枠、12,12a~12d…枠体、14…貫通孔、20…養生シート、22…本体部、24…下部タブ、26…上部タブ、30…ボルト留め部材、B…ベース、C…コンクリート構造物。

Claims (8)

  1. 内側に空間を画定するように構成された複数の型枠を準備する工程と、
    筒状又は袋状の養生シートを準備する工程と、
    前記複数の型枠を積み上げると共に、当該積み上げられた型枠の内側に前記筒状又は袋状の養生シートを配置する工程と、
    前記養生シートの一端をベースに対して固定する工程と、
    前記一端を固定した後に前記養生シートの内側にコンクリートを打設する工程と、
    前記打設されたコンクリートが硬化した後、当該硬化したコンクリートを前記養生シートでそのまま養生する工程と、を備え、
    前記配置する工程において、前記型枠の内周面と前記養生シートの外周面との間には空隙が形成され、
    前記打設する工程は、前記養生シートの外側に前記複数の型枠が配置されて当該養生シートが前記複数の型枠によって支持された後に行われ、
    前記コンクリートを打設する前の前記養生シートの外形における水平方向に沿った断面積は、前記型枠の内側に形成される空間の水平方向に沿った断面積に対して0.0006%~0.6%ほど小さい、
    コンクリート構造物の製作方法。
  2. 打設された前記コンクリートが硬化した後、前記養生シートが前記コンクリートに付着した状態で前記複数の型枠を脱型する工程を更に備える、
    請求項1に記載のコンクリート構造物の製作方法。
  3. 前記複数の型枠は、プラスチック製又はカーボン製の軽量型枠である、
    請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の製作方法。
  4. 前記ベースに対してガイドを設置する工程を更に備え、
    前記型枠に設けられた貫通孔に前記ガイドを通して、前記型枠を積み上げる、
    請求項1~3の何れか一項に記載のコンクリート構造物の製作方法。
  5. 前記型枠は上下方向において他の型枠と嵌め合わせ可能な構成を有しており、
    前記配置する工程では、当該構成を利用して前記型枠を積み上げる、
    請求項1~4の何れか一項に記載のコンクリート構造物の製作方法。
  6. 前記コンクリートを打設する工程では、前記一端から逆側に向かって前記養生シートに所定のテンションを付与した状態で前記コンクリートを打設する、
    請求項1~5の何れか一項に記載のコンクリート構造物の製作方法。
  7. 前記養生シートは、厚み0.02mm~0.2mmの自立性を有しないシートである、
    請求項1~6の何れか一項に記載のコンクリート構造物の製作方法。
  8. 内側に空間を画定するように構成された複数の型枠を準備する工程と、
    筒状又は袋状の養生シートを準備する工程と、
    前記複数の型枠を積み上げると共に、当該積み上げられた型枠の内側に前記筒状又は袋状の養生シートを配置する工程と、
    前記養生シートの一端をベースに対して固定する工程と、
    前記一端を固定した後に前記養生シートの内側にコンクリートを打設する工程と、
    前記打設されたコンクリートが硬化した後、当該硬化したコンクリートを前記養生シートでそのまま養生する工程と、を備え、
    前記打設する工程は、前記養生シートの外側に前記複数の型枠が配置されて当該養生シートが前記複数の型枠によって支持された後に行われ、
    前記養生シートの少なくとも前記一端には、少なくとも1つのタブが設けられ、前記固定する工程では、前記複数の型枠のうちの1段目の型枠と前記ベースとの間に当該タブを挟み込むことにより、前記養生シートの前記一端が前記ベースに対して固定される、
    コンクリート構造物の製作方法。
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