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JP7128066B2 - 鉄道用制輪子 - Google Patents
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Description

本発明は、鉄道用制輪子に関する。
鉄道車両の制輪子装置は主に、車両側に取り付けられた制輪子頭と、この制輪子頭に組付けられる制輪子とから成る。制輪子は、特許文献1に開示されているように、円弧状に形成された台板と、この台板における車輪側主面に貼付される摩擦部材であるライニング、および取付部を基本として構成される。そして、台板には、振れ止め部が取り付けられる。振れ止め部は、制輪子頭の溝に遊嵌されて、台板における制動力付加方向と交差する幅方向の振れを抑制する。振れ止め部は、例えば国内においては溶接による固定が主となる。また、振れ止め部は、例えば海外においては台板への絞り加工・曲げ加工に加えて摩擦材型を用いた成型による固定が主であった。
特開2012-41994号公報
しかしながら、溶接や摩擦材型を用いた成型による固定は、熱や大荷重による部品のゆがみへの配慮といった知識や経験が必要となる。また、場合によっては大規模(特殊)な設備も必要となった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、熱や大荷重によるゆがみを生じさせずに、振れ止め部を台板に固定できる鉄道用制輪子を提供することにある。
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 車輪との対向面にライニングが成型された台板と、前記台板におけるライニング成型面の反対側面に接合された取付部と、制輪子頭の溝に遊嵌されて前記台板における制動力付加方向と交差する幅方向の振れを抑制するために前記台板に取り付けられた振れ止め部と、を備えた鉄道用制輪子であって、前記振れ止め部が、前記台板に設けられた貫通孔に前記ライニング成型面側から挿通されて前記反対側面から先端が突出する係合突起部と、前記ライニング成型面に当接して挿入位置決めされるとともに、前記貫通孔の内壁面に対してかしめられている固定基部と、を有する、ことを特徴とする鉄道用制輪子。
上記(1)の構成の鉄道用制輪子によれば、振れ止め部が、反対側面から突出する係合突起部の基端側に、固定基部を有する。振れ止め部は、係合突起部が、台板に設けられた貫通孔にライニング成型面側から挿通される。係合突起部が挿通された振れ止め部は、固定基部がライニング成型面に当接することにより、それ以上の挿入が規制される。固定基部は、ライニング成型面に当接することで、係合突起部がライニング成型面の反対側面から抜け出ることを規制する。これにより、振れ止め部は、固定基部がライニング成型面に当接して挿入方向の位置が位置決めされる。一方、振れ止め部は、位置決めされると同時に、固定基部が貫通孔の内壁面にかしめられる。固定基部は、かしめられることにより、塑性変形した一部分が貫通孔の内壁面に固着する。貫通孔に固定基部がかしめられた振れ止め部は、ライニング成型面側からの抜けも規制される。従って、振れ止め部は、台板に対し、位置決めされて、挿入方向前後の何れにも抜け止め(固定)される。かしめ加工は、比較的小さな貫通孔に挿通した小板片状の係合突起部を、塑性変形させる程度の荷重の印加で済む。このため、台板及び振れ止め部は、固定に伴う熱や大荷重によるゆがみが抑制される。
(2) 前記固定基部が、前記貫通孔に対して前記台板の制動力付加方向に広げてかしめられている、ことを特徴とする上記(1)に記載の鉄道用制輪子。
上記(2)の構成の鉄道用制輪子によれば、固定基部が、貫通孔の制動力付加方向に広げられてかしめられる。固定基部は、係合突起部と実質的に同一の小片状に形成される。貫通孔に挿通される固定基部は、制動力付加方向の両端が、制動力付加方向と交差する幅方向の側端面となる。固定基部は、この側端面が、貫通孔の内壁面にかしめられる。固定基部の側端面は、隙間なく内壁面に固着する。これにより、振れ止め部は、繰り返される制動時の衝撃によっても、がたつきなく応力が制輪子頭に伝達され、振動が生じにくくなる。
(3) 前記振れ止め部が、一対の前記係合突起部と、前記一対の係合突起部における前記固定基部の間を連結する連結部と、前記連結部の連結方向に沿って延びるかしめ用開口と、を有し、前記連結部を前記台板の制動力付加方向に広げることにより前記固定基部がかしめられている、ことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の鉄道用制輪子。
上記(3)の構成の鉄道用制輪子によれば、制動力付加方向に交差する幅方向に並んだ一対の係合突起部が、制動力付加方向に離間した一対の連結部により連結される。つまり、振れ止め部は、一対の係合突起部と、一対の連結部とが、一体で形成されている。振れ止め部は、一対の連結部が、制動力付加方向に広げられると、固定基部も制動力付加方向に塑性変形される。制動力付加方向に広げられたそれぞれの固定基部は、制動力付加方向の両側の側端面が、それぞれの貫通孔の内壁面に固着する。この振れ止め部によれは、一対の係合突起部を、一対の貫通孔に同時に位置決め固定できる。
(4) 前記振れ止め部は、細長い前記かしめ用開口が形成され、長手方向の両端部が略直角に折り曲げられた鋼板からなり、前記長手方向の両端部が前記一対の係合突起部を構成している、ことを特徴とする上記(3)に記載の鉄道用制輪子。
上記(4)の構成の鉄道用制輪子によれば、一対の連結部の間に、細長いかしめ用開口が形成される。かしめ用開口は、長手方向両端の円弧部が、一対の固定基部に至っている。振れ止め部は、一対の係合突起部が、一対の貫通孔に、同時に挿通される。係合突起部を貫通孔に挿通した振れ止め部は、一対の連結部がライニング成型面に当接する。この状態で、振れ止め部は、かしめ用開口が、一対の連結部を離間させる方向(即ち、制動力付加方向)に広げられてかしめられる。それぞれの固定基部には、かしめ用開口の円弧部が形成されている。固定基部は、この円弧部を挟んで制動力付加方向の両側が一対の脚部となる。固定基部は、円弧部が形成されていることにより、この一対の脚部が塑性変形しやすくなっている。その結果、固定基部は、円弧部が形成されていない場合に比べ、高い保持力でかしめ用開口の内壁面に固定基部が固着される。
(5) 前記一対の係合突起部は、前記貫通孔の内壁面に対して、折り曲げられたそれぞれの入隅部との間に隙間を有する、ことを特徴とする上記(4)に記載の鉄道用制輪子。
上記(5)の構成の鉄道用制輪子によれば、一対の係合突起部が、台板の幅方向に離間した一対の貫通孔に挿通される。一対の係合突起部は、連結部の両端で垂直に折り曲げられる。それぞれの係合突起部は、連結部との境が、直角に曲げられた入隅部となる。振れ止め部は、この入隅部と内壁面との間に、隙間が確保される。入隅部には、曲げ加工による微小なR部が存在する。振れ止め部は、隙間に、R部を配置することにより、貫通孔の縁とR部との干渉を回避して、連結部をライニング成型面に密着させることができる。これにより、鉄道用制輪子は、振れ止め部が、台板に対して高精度に、かつがたつきなく固定可能となる。
本発明に係る鉄道用制輪子によれば、熱や大荷重によるゆがみを生じさせずに、振れ止め部を台板に固定できる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
本発明の一実施形態に係る鉄道用制輪子と、この鉄道用制輪子を組付ける制輪子頭、かんざし及び車輪を示す正面図である。 図1に示した構成のうち制輪子頭のみを二点鎖線の輪郭で表した平面図である。 図2に示した構成のうち制輪子頭のベース部を円弧面に沿った断面で表した平面図である。 図1に示した振れ止め部の斜視図である。 図4に示した振れ止め部と取付部が組み付けられた台板の斜視図である。 図5に示した振れ止め部の斜視図である。 (a)は振れ止め部の係合突起部を断面とした台板の要部平面図、(b)は(a)のA-A断面図である。 (a)は図7に示した左側の係合突起部の貫通した貫通孔の拡大平面図、(b)は図7に示した右側の係合突起部の貫通した貫通孔の拡大平面図である。 振れ止め部が組み付けられる前の振れ止め部及び台板の分解斜視図である。 振れ止め部がかしめられる台板をライニング成型面側から見た斜視図である。 変形例に係る4つに分割された振れ止め部の一つを表す斜視図である。 変形例に係る円柱状に形成された振れ止め部の一つを表す斜視図である。
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る鉄道用制輪子17と、この鉄道用制輪子17を組付ける制輪子頭11、かんざし13及び車輪15を示す正面図である。
本実施形態に係る鉄道用制輪子17は、鉄道車両に取り付けられた制輪子頭11に組付けられることにより制輪子装置を構成する。以下、鉄道用制輪子17は、単に「制輪子17」と称す。
本実施形態に係る制輪子17は、台板19と、取付部21と、振れ止め部23と、振れ止め部23の係合突起部25と、振れ止め部23の固定基部27(図6参照)と、を主要な構成として有する。
図2は図1に示した構成のうち制輪子頭11のみを二点鎖線の輪郭で表した平面図である。
制輪子頭11は、図示しない鉄道車両に制輪子17を固定するためのベースとしての役割を担い、制輪子17はこの制輪子頭11を介して車輪15に押し付けられることとなる。
図3は図2に示した構成のうち制輪子頭11のベース部29を円弧面に沿った断面で表した平面図である。
制輪子頭11は、ベース部29と吊り部31を基本として構成される。ベース部29は、鉄道車両の車輪15に対向する部材であり、車輪15の円弧に沿った円弧状を成す面を有する。ベース部29は、制輪子17における取付部21を遊嵌するための凹部33を有する。図1に示すように、凹部33は、略コ字状(U字状)に形成され、制輪子頭11の幅方向には、溝35を成す構成とされる。凹部33の側壁には、かんざし13(コッター)と呼ばれる係合ピンを挿通するための貫通孔が設けられている。
吊り部31は、ベース部29における車輪15と対向しない面に設けられる制輪子頭固定部である。吊り部31には、鉄道車両に設けられた制輪子頭吊り(不図示)に対して制輪子頭11を回動可能に連結するための連結孔37が設けられている。
制輪子17は、台板19とライニング39、振れ止め部23および取付部21を基本として構成される。台板19は、上述した制輪子頭11におけるベース部29の円弧、すなわち鉄道車両における車輪15の円弧に沿った円弧状を成す略矩形の平板である。また、台板19には、長手方向中心部に取付部21が取り付けられる。取付部21は、制輪子頭11における凹部33の側壁に当接し、制動時に生ずるトルクを受けるトルク受け部としての役割を担う。
図4は図1に示した振れ止め部23の斜視図である。
台板19における車輪15との対向面(ライニング成型面41)には、摩擦部材であるライニング39が貼付されている。なお、ライニング39は、一般鋳鉄、リンやマンガンなどを含有する鋳鉄、合成樹脂、金属粉末等を機材にしてブロック状に焼結形成又は重合形成されている。台板19とライニング39との間には、振れ止め部23が設けられている。振れ止め部23は、制輪子17の受ける軸方向荷重を支える部品である。
図5は図4に示した振れ止め部23と取付部21が組み付けられた台板19の斜視図である。
台板19におけるライニング成型面41の反対側面43には、振れ止め部23の係合突起部25と、取付部21が設けられている。振れ止め部23は、台板19における長手方向両端部近傍に設けられる。振れ止め部23は、制輪子頭11のベース部29に設けられる溝35に遊嵌されることで、取付部21を基点とした台板19における制動力付加方向Yと交差する幅方向Zの触れを抑制することが可能となる。振れ止め部23は、台板19の表面から突き出た2枚の板(係合突起部25)が止め板の役割を果たす。
図6は図5に示した振れ止め部23の斜視図である。
振れ止め部23は、係合突起部25を有する。係合突起部25は、台板19に設けられた貫通孔45(図7参照)にライニング成型面側から挿通されて、反対側面43から先端が突出する。振れ止め部23は、制動力付加方向Yに交差する幅方向Z(図4参照)に並んだ一対の係合突起部25が、制動力付加方向Yに離間した一対の連結部47により連結される。つまり、振れ止め部23は、一対の係合突起部25と、一対の連結部47とが、平面視で四角枠状となって一体で形成されている。
振れ止め部23は、固定基部27を有する。固定基部27は、ライニング成型面41に当接して挿入位置決めされるとともに、貫通孔45の内壁面49に対してかしめられる。
制輪子17は、固定基部27が、貫通孔45に対して台板19の制動力付加方向Yに広げてかしめられる。
制輪子17は、振れ止め部23が、一対の係合突起部25と、一対の係合突起部25における固定基部27の間を連結する連結部47と、連結部47の連結方向に沿って延びるかしめ用開口51と、を有し、連結部47を台板19の制動力付加方向Yに広げることにより固定基部27がかしめられる。
振れ止め部23は、長手方向Lの両端部が、同一面側に略直角に折り曲げられた鋼板からなる。振れ止め部23は、略直角に折り曲げられた両端部が一対の係合突起部25を構成している。一対の連結部47の間には、細長いかしめ用開口51が形成される。かしめ用開口51は、長手方向両端の円弧部53が、一対の固定基部27に至っている。
図7の(a)は振れ止め部23の係合突起部25を断面とした台板19の要部平面図、図7の(b)は図7の(a)のA-A断面図である。
それぞれの係合突起部25は、連結部47との境が、直角に曲げられた入隅部55となる。振れ止め部23は、この入隅部55に、曲げ加工による微小なR部が存在する。一対の係合突起部25は、貫通孔45の内壁面49に対して、折り曲げられたそれぞれの入隅部55との間に隙間Sを有する。
図8の(a)は図7に示した左側の係合突起部25の貫通した貫通孔45の拡大平面図、図8の(b)は図7に示した右側の係合突起部25の貫通した貫通孔45の拡大平面図である。
連結部47により連結された一対の平行な係合突起部25は、それぞれの対向面側で、貫通孔45との間に隙間Sが形成される。振れ止め部23は、この入隅部55と内壁面49との間に、隙間Sが確保される。振れ止め部23は、この隙間Sに、R部を配置する。
かんざし13は、制輪子頭11におけるベース部29の円弧に沿った円弧状を成すピン本体57と、ピン本体57の一方の端部に設けられる抜け止め部59を有する。このような構成のかんざし13により、制輪子頭11と制輪子17を係合することで、制輪子17は制輪子頭11に対し、適度なガタ(遊び)を持った状態で組付けられることとなる。
次に、振れ止め部23の組立手順を説明する。
図9は振れ止め部23が組み付けられる前の振れ止め部23及び台板19の分解斜視図である。
振れ止め部23を台板19に組み付けるには、予め台板19の長手方向の両端に、制動力付加方向Yに長い一対の平行な貫通孔45をそれぞれ穿設しておく。つまり、台板19には、一対の貫通孔45が、長手方向の両端に合計二対(4つ)穿設されている。
次いで、図6に示した一対の振れ止め部23を用意する。一対の振れ止め部23は、台板19の両端の何れに取り付けられてもよい。振れ止め部23は、台板19のライニング成型面側から、一対の係合突起部25を、一対の貫通孔45に同時に挿入して仮組みされる。この際、振れ止め部23は、連結部47がライニング成型面41に当たるまで確実に押し込む。
図10は振れ止め部23がかしめられる台板19をライニング成型面側から見た斜視図である。
次いで、台板19のライニング成型面41から台板19をプレスする。プレスは、ライニング成型面41の反対側面43から突出している係合突起部25の突出先端及び台板19の反対側面43を支持し、かしめ用開口51にくさび状の治具61を挿入する。振れ止め部23は、治具61がかしめ用開口51に押し込まれることにより、一対の連結部47が離間する方向に押し広げられてかしめられる。かしめられた振れ止め部23は、固定基部27の側端面63が貫通孔45の内壁面49に固着し、台板19に固定される。
なお、振れ止め部23に施されるかしめ加工は、ライニング39との同時成型までに、振れ止め部23が抜けることを防止する効果を有する。
振れ止め部23が固定された台板19は、ライニング成型面41に摩擦部材であるライニング39が成型される。ライニング39は、振れ止め部23の連結部47を覆ってライニング39に固着される。振れ止め部23は、図4に示したように、固定基部27によるかしめ固定と、ライニング39の貼り付けとによる二重の固定構造で取付部21に固定される。これにより、台板19に振れ止め部23が取り付けられた制輪子17の製作が完了する。
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係る制輪子17では、振れ止め部23が、台板19にかしめ固定される。振れ止め部23は、台板19におけるライニング成型面41の反対側面43から突出する係合突起部25を有する。制輪子17は、この台板19から突出した係合突起部25が、車両側に取り付けられた制輪子頭11の溝35に遊嵌されて、台板19の制動力付加方向Yと交差する幅方向Zの振れが抑制される。
振れ止め部23は、反対側面43から突出する係合突起部25の基端側に、固定基部27を有する。振れ止め部23は、係合突起部25が、台板19に設けられた貫通孔45にライニング成型面側から挿通される。係合突起部25が挿通された振れ止め部23は、固定基部27がライニング成型面41に当接することにより、それ以上の挿入が規制される。固定基部27は、ライニング成型面41に当接することで、係合突起部25がライニング成型面41の反対側面43から抜け出ることを規制する。振れ止め部23は、固定基部27がライニング成型面41に当接することにより、挿入方向の位置が位置決めされる。
一方、振れ止め部23は、位置決めされると同時に、固定基部27が貫通孔45の内壁面49にかしめられる。固定基部27は、かしめられることにより、塑性変形した一部分が貫通孔45の内壁面49に固着する。貫通孔45に固定基部27がかしめられた振れ止め部23は、ライニング成型面側からの抜けも規制される。従って、振れ止め部23は、台板19に対し、位置決めされて、挿入方向の前後方向(台板19の厚み方向X)の何れにも抜け止め(固定)される。
この際のかしめ加工は、比較的小さな貫通孔45に挿通した小板片状の係合突起部25を、塑性変形させる程度の荷重の印加で済む。即ち、振れ止め部23の固定が、従来のような溶接や摩擦材型を必要とせず、小規模なプレス機と単純な治具61で可能となる。このため、台板19及び振れ止め部23は、固定に伴う熱や大荷重によるゆがみが抑制される。
台板19に対し位置決めされて抜け止めされた振れ止め部23は、ライニング成型面41に、ライニング39が成型される。振れ止め部23は、ライニング39が成型されることにより、固定基部27がライニング39によって覆われる。その結果、振れ止め部23は、ライニング成型面側からの抜け止め効果が更に高められる。
また、この制輪子17では、固定基部27が、貫通孔45の制動力付加方向Yに広げられてかしめられる。固定基部27は、係合突起部25と実質的に同一の小片状に形成される。貫通孔45に挿通される固定基部27は、制動力付加方向Yの両端が、制動力付加方向Yと交差する幅方向Zの側端面63となる。固定基部27は、この側端面63が、貫通孔45の内壁面49にかしめられる。固定基部27の側端面63は、隙間なく内壁面49に固着する。これにより、振れ止め部23は、繰り返される制動時の衝撃によっても、がたつきなく応力が制輪子頭11に伝達され、振動が生じにくくなる。
また、この制輪子17では、制動力付加方向Yに交差する幅方向Zに並んだ一対の係合突起部25が、制動力付加方向Yに離間した一対の連結部47により連結される。つまり、振れ止め部23は、一対の係合突起部25と、一対の連結部47とが、一体で形成されている。振れ止め部23は、一対の連結部47が、制動力付加方向Yに広げられると、固定基部27も制動力付加方向Yに塑性変形される。制動力付加方向Yに広げられたそれぞれの固定基部27は、制動力付加方向Yの両側の側端面63が、それぞれの貫通孔45の内壁面49に固着する。この振れ止め部23によれば、一対の係合突起部25を、一対の貫通孔45に同時に位置決め固定できる。
この制輪子17では、振れ止め部23が、短冊形の小片状に形成される。振れ止め部23は、長手方向Lの両端部が、同一面側に略直角に折り曲げられる。振れ止め部23は、連結部47により連結された両端部の係合突起部25が連結部47に対して垂直に起立したU字形状となる。
一対の連結部47の間には、細長いかしめ用開口51が形成される。かしめ用開口51は、長手方向両端の円弧部53が、一対の固定基部27に至っている。振れ止め部23は、一対の係合突起部25が、一対の貫通孔45に、同時に挿通される。係合突起部25を貫通孔45に挿通した振れ止め部23は、一対の連結部47がライニング成型面41に当接する。この状態で、振れ止め部23は、かしめ用開口51が、一対の連結部47を離間させる方向(即ち、制動力付加方向Y)に広げられてかしめられる。
それぞれの固定基部27には、かしめ用開口51の円弧部53が形成されている。固定基部27は、この円弧部53を挟んで制動力付加方向Yの両側が一対の脚部65となる。固定基部27は、円弧部53が形成されていることにより、この一対の脚部65が塑性変形しやすくなっている。その結果、固定基部27は、円弧部53が形成されていない場合に比べ、高い保持力でかしめ用開口51の内壁面49に固定基部27が固着される。
また、この制輪子17では、一対の係合突起部25が、台板19の幅方向Zに離間した一対の貫通孔45に挿通される。一対の係合突起部25は、連結部47の両端で垂直に折り曲げられる。それぞれの係合突起部25は、連結部47との境が、直角に曲げられた入隅部55となる。振れ止め部23は、この入隅部55と内壁面49との間に、隙間Sが確保される。入隅部55には、曲げ加工による微小なR部が存在する。振れ止め部23は、隙間Sに、R部を配置することにより、貫通孔45の縁とR部との干渉を回避して、連結部47をライニング成型面41に密着させることができる。
これにより、制輪子17は、振れ止め部23が、台板19に対して高精度に、かつがたつきなく固定可能となる。また、一対の係合突起部25が連結部47により連結されることにより、かしめられた一対の係合突起部25が固定強度を補完しあい、一枚の係合突起部25に比べ固定強度を高めることが可能となる。
次に、振れ止め部の変形例を説明する。
図11は変形例に係る4つに分割された振れ止め部67の一つを表す斜視図である。
この変形例に係る振れ止め部67は、上記した振れ止め部23に設けられた一対の係合突起部25が、それぞれ分割されて4つの係合突起部25となる。各係合突起部25は、小片状に形成される。振れ止め部67の係合突起部25は、上記の係合突起部25と同一形状となる。一方、振れ止め部67の固定基部69には、円弧部(かしめ用開口71)を挟んで一対の脚部65が形成される。脚部65は、側端面63から外側に張り出すことにより、振れ止め部67がライニング成型面41と反対側面43へ抜け出ることを規制する。この振れ止め部67は、係合突起部25が貫通孔45に挿通されて位置決めされた後、固定基部69のかしめ用開口71がかしめられて広げられることにより、脚部65が貫通孔45の内壁面49に固着して台板19に固定される。
この振れ止め部67を用いた制輪子によれば、振れ止め部67の固定に伴う熱や大荷重によるゆがみが抑制される。また、振れ止め部67は、プレス加工の打ち抜きのみで容易に製作できる。
図12は変形例に係る円柱状に形成された振れ止め部73の一つを表す斜視図である。
この変形例に係る振れ止め部73は、上記した一対の振れ止め部23のそれぞれに設けられた一対の係合突起部25が、それぞれ分割されて4つの係合突起部75となる。各係合突起部75は、円柱状に形成される。振れ止め部73の係合突起部75は、円柱形状で形成される。振れ止め部73の固定基部77には、直径方向に切り欠かれたスリット状のかしめ用開口79を挟んで一対の脚部65が形成される。脚部65は、側端面63から外側に張り出すことにより、振れ止め部73がライニング成型面41と反対側面43へ抜け出ることを規制する。振れ止め部73を挿通するための貫通孔81は、円形となる。この振れ止め部73は、係合突起部75が貫通孔81に挿通されて位置決めされた後、固定基部77のかしめ用開口79がかしめられて広げられることにより、脚部65が貫通孔81の内壁面49に固着して台板19に固定される。
この振れ止め部73を用いた制輪子によれば、振れ止め部73の固定に伴う熱や大荷重によるゆがみが抑制される。また、振れ止め部73は、丸棒材の切削加工のみで容易に製作できる。
従って、本実施形態に係る制輪子17によれば、熱や大荷重によるゆがみを生じさせずに、振れ止め部23を台板19に固定できる。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
ここで、上述した本発明に係る鉄道用制輪子の実施形態の特徴をそれぞれ以下に簡潔に纏めて列記する。
[1] 車輪(15)との対向面にライニング(39)が成型された台板(19)と、
前記台板におけるライニング成型面(41)の反対側面(43)に接合された取付部(21)と、
制輪子頭(11)の溝(35)に遊嵌されて前記台板における制動力付加方向(Y)と交差する幅方向(Z)の振れを抑制するために前記台板に取り付けられた振れ止め部(23)と、を備えた鉄道用制輪子であって、
前記振れ止め部が、
前記台板に設けられた貫通孔(45)に前記ライニング成型面側から挿通されて前記反対側面から先端が突出する係合突起部(25)と、
前記ライニング成型面に当接して挿入位置決めされるとともに、前記貫通孔の内壁面(49)に対してかしめられている固定基部(27)と、を有する、
ことを特徴とする鉄道用制輪子(17)。
[2] 前記固定基部(27)が、
前記貫通孔(45)に対して前記台板(19)の制動力付加方向(Y)に広げてかしめられている、
ことを特徴とする上記[1]に記載の鉄道用制輪子(17)。
[3] 前記振れ止め部(23)が、
一対の前記係合突起部(25)と、
前記一対の係合突起部における前記固定基部(27)の間を連結する連結部(47)と、
前記連結部の連結方向に沿って延びるかしめ用開口(51)と、を有し、
前記連結部を前記台板(19)の制動力付加方向(Y)に広げることにより前記固定基部(27)がかしめられている、
ことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の鉄道用制輪子(17)。
[4] 前記振れ止め部(23)は、
細長い前記かしめ用開口(51)が形成され、長手方向の両端部が略直角に折り曲げられた鋼板からなり、前記長手方向の両端部が前記一対の係合突起部(25)を構成している、
ことを特徴とする上記[3]に記載の鉄道用制輪子(17)。
[5] 前記一対の係合突起部(25)は、
前記貫通孔(45)の内壁面(49)に対して、折り曲げられたそれぞれの入隅部(55)との間に隙間(S)を有する、
ことを特徴とする上記[4]に記載の鉄道用制輪子(17)。
11…制輪子頭
15…車輪
17…制輪子(鉄道用制輪子)
19…台板
21…取付部
23…振れ止め部
25…係合突起部
27…固定基部
35…溝
39…ライニング
41…ライニング成型面
43…反対側面
45…貫通孔
47…連結部
49…内壁面
51…かしめ用開口
55…入隅部
S…隙間
Y…制動力付加方向
Z…幅方向

Claims (5)

  1. 車輪との対向面にライニングが成型された台板と、
    前記台板におけるライニング成型面の反対側面に接合された取付部と、
    制輪子頭の溝に遊嵌されて前記台板における制動力付加方向と交差する幅方向の振れを抑制するために前記台板に取り付けられた振れ止め部と、を備えた鉄道用制輪子であって、
    前記振れ止め部が、
    前記台板に設けられた貫通孔に前記ライニング成型面側から挿通されて前記反対側面から先端が突出する係合突起部と、
    前記ライニング成型面に当接して挿入位置決めされるとともに、前記貫通孔の内壁面に対してかしめられている固定基部と、を有する、
    ことを特徴とする鉄道用制輪子。
  2. 前記固定基部が、
    前記貫通孔に対して前記台板の制動力付加方向に広げてかしめられている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の鉄道用制輪子。
  3. 前記振れ止め部が、
    一対の前記係合突起部と、
    前記一対の係合突起部における前記固定基部の間を連結する連結部と、
    前記連結部の連結方向に沿って延びるかしめ用開口と、を有し、
    前記連結部を前記台板の制動力付加方向に広げることにより前記固定基部がかしめられている、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道用制輪子。
  4. 前記振れ止め部は、
    細長い前記かしめ用開口が形成され、長手方向の両端部が略直角に折り曲げられた鋼板からなり、前記長手方向の両端部が前記一対の係合突起部を構成している、
    ことを特徴とする請求項3に記載の鉄道用制輪子。
  5. 前記一対の係合突起部は、
    前記貫通孔の内壁面に対して、折り曲げられたそれぞれの入隅部との間に隙間を有する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の鉄道用制輪子。
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