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JP7129697B2 - スピードメータ検査システム - Google Patents
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JP7129697B2 - スピードメータ検査システム - Google Patents

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Description

本発明は、車両のスピードメータを検査するスピードメータ検査システムに関する。
運転手に速度を提示するスピードメータは、運転時の安全性に大きな影響を与えるため、車検の点検項目となっている。このスピードメータ検査を行う従来の検査装置の一例を図10に示す。このスピードメータ検査装置501は、車両を走行させて走行中の実際の走行速度(実速度)を検出するローラ装置510と、車両の前方に配置されてヘッドライトの点滅を検知する前照灯検知器575と、受検者(運転者)に対して走行指示及び検査結果の表示を行う運転指示装置560と、ローラ装置510の実速度と、スピードメータの指度の差に基づいてスピードメータの合否判定を行うスピードメータ検査処理器530を有する。
具体的な検査手順について説明する。受検者は、ローラ装置510のローラにタイヤの周面を当接させた状態で車両を停止させる。ちなみに、ローラ装置510は、タイヤが回転すると、ローラも供回りするので、そのローラの転動距離によって実速度を計測できる。準備が整ったら、運転指示装置560によって、受検者に対して車両を40km/hで走行させるように指示する。指示を受けた受検者は、スピードメータを視ながら車両を40km/hまで加速させて、指示値が40km/hになったと同時に、ヘッドランプを点滅(パッシング)させる。この点滅は受検者による申告合図となり、前照灯検知器575によって検知される。スピードメータ検査処理器530は、前照灯検知器575の申告合図をトリガとして、ローラ装置510によって車両の実速度を検知する。この実速度が、31.0km/h~42.5km/hの範囲内に収まっていれば、スピードメータの検査は合格となる。ここでは、ヘッドライトの点滅によって申告合図を行う場合を例示したが、専用ボタンによって受検者が申告合図を行うシステムも存在する。
なお「道路運送車両の保安基準の細則を定める告示」では「速度計の指度は自動車の走行時の速度を下回ってはならないものとする」とされている。従って、車両のスピードメータの指示値は、車両の実速度よりも常に大きくなるように設計されることが多い。
実開昭59-64359号
従来のスピードメータ検査装置501の場合、受検者が、スピードメータを目視して指示値が40km/hとなるように車両を走行させ、その瞬間に、パッシング操作を行わなければならず、受検者の負担が大きいという問題があった。また、受検者が、パッシング操作のタイミングを誤ってしまった場合は、再検査を行わなければならないという問題があった。
本発明は、斯かる実情に鑑み、受検者の負担を軽減しつつ、高精度に車両のスピードメータ検査が可能な検査システムを提供しようとするものである。
上記目的を達成する本発明は、車両のタイヤの周面に当接して供回りするローラ装置により車両の実速度(以下、ローラ車速情報)を取得し、車両の運転者に車速情報を提示するスピードメータが、検査ルールにおける基準値となる検査用スピードメータ表示速度を示している最中において、前記ローラ車速情報が、所定のスピードメータ合格条件の範囲に収まるか否かを、計算機によって実現されるスピードメータ検査処理手段によって判定するスピードメータ検査システムであって、前記スピードメータ検査処理手段は、前記車両の電子制御ユニットに接続されて、前記電子制御ユニットから出力される車速情報(以下、ECU車速情報)を取得するECU車速取得部と、前記ローラ装置に接続されて、前記ローラ車速情報を取得するローラ車速取得部と、前記スピードメータが前記検査用スピードメータ表示速度を表示するときに前記電子制御ユニットが保持する前記ECU車速情報を、検査用ECU車速情報として保存する決定速度保存部と、前記ECU車速情報が、前記検査用ECU車速情報に基づいて設定されるタイミング条件を満たす見なすか否かを判断し、前記タイミング条件を満たす場合に、検査開始信号を生成するタイミング判定部と、前記検査開始信号に基づいて取得される前記ローラ車速情報が、前記スピードメータ合格判定条件を満たすか否かを判断するスピードメータ合否判定処理部と、を備える事を特徴とするスピードメータ検査システムである。
上記スピードメータ検査システムに関連して、前記決定速度保存部には、複数の前記車両に対応させて、複数の前記検査用ECU車速情報が保存されることを特徴とする。
上記スピードメータ検査システムに関連して、前記タイミング判定部は、前記タイミング条件として、前記ECU車速情報が前記検査用ECU車速情報と一致するか否かに関する車速一致条件と、前記ECU車速情報が安定しているか否かに関する車速安定条件の双方を満たすか否かを判断することを特徴とする。
上記スピードメータ検査システムに関連して、前記スピードメータ検査処理手段は、計算機によって実現されるタイミング決定手段と、前記タイミング決定装置とは別体の計算機によって実現されるスピードメータ合否決定手段と、を有し、前記タイミング決定手段は、前記ECU車速取得部と、前記決定速度保存部と、前記タイミング判定部と、前記検査開始信号を前記スピードメータ合否決定手段に対して出力する検査開始信号出力処理部と、を有し、前記スピードメータ合否決定手段は、前記検査開始信号出力処理部から送信される前記検査開始信号が入力される検査開始信号入力処理部と、前記ローラ車速取得部と、前記スピードメータ合否判定処理部と、を有することを特徴とする。
上記スピードメータ検査システムに関連して、更に、前記車両の前照灯の点滅を検知して、前記検査開始信号と同等の申告合図信号を生成する前照灯検知装置と、前記申告合図信号を前記スピードメータ合否決定手段に伝達する状態と、前記検査開始信号を前記スピードメータ合否決定手段に伝達する状態を切り替える信号経路切替装置と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、受検者の負担を軽減しつつも、精度の高いスピードメータ検査を実現できるという優れた効果を奏し得る。
本発明の第一実施形態に係るスピードメータ検査システムの全体構成を示す正面図である。 同スピードメータ検査システムにおける車両のECU車速とスピードメータ車速を比較したグラフ図である。 (A)は同スピードメータ検査システムの運転指示装置の表示内容を例示するブロック図であり、(B)はスピードメータ検査処理器の計算機の内部構成を示すブロック図である。 同スピードメータ検査処理器の機能またはプログラム構成を示すブロック図である。 同スピードメータ検査処理器の決定速度保存部のデータ構造を示すブロック図である。 同スピードメータ検査処理器のタイミング決定処理部によるタイミング判定ルールを説明するグラフ図である。 (A)及び(B)は、同スピードメータ検査処理器において、オペレータに提示されるディスプレイのサンプル構成を示す図である。 (A)及び(B)は、本発明の第二実施形態に係るスピードメータ検査システムの全体構成を示す正面図である。 スピードメータ検査システムのスピードメータ検査処理器の機能またはプログラム構成を示すブロック図である。 従来のスピードメータ検査システムの全体構成を示す正面図である。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
<第一実施形態の全体構成>
図1は、第一実施形態のスピードメータ検査システム(以下、検査システム)1の全体構成を示す。検査システム1は、ローラ装置10と、ECU接続装置20と、スピードメータ検査処理器(手段)30と、運転指示装置60を有する。
なお、車両80は、スピードメータ82と、アクセル83と、前照灯を操作するライトスイッチ84と、タイヤ85(回転軸)の回転数を検知する車速センサ(回転数センサ)86と、車速センサ86の検知信号が通信回線を介して伝達される電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)90を有する。スピードメータ82、アクセル83、ライトスイッチ84、車速センサ86等は、すべて、電子制御ユニット90に通信回線を介して接続されて信号伝達が可能となる。この通信回線の種類は問わないが、例えば、CAN(Controller Area Network)規格に準拠した通信回線が用いられる。
<ローラ装置>
ローラ装置10は、タイヤ85の周面に転接して、タイヤ85と供回りするローラ12と、ローラ12の周面の転動距離に基づいて車両80の実際の走行速度(以下、ローラ車速情報と呼ぶ)を算出する車速計算装置(図示省略)を有する。従って、ローラ装置10は、ローラ車速情報を出力することが可能となる。なお、この車速計算装置は、後述するスピードメータ検査処理器30の機能の一部として組み込まれていてもよい。
<ECU接続装置>
ECU接続装置20は、計算機によって実現されるスキャンツール(スキャンユニット)の一種であり、電子制御ユニット90のOBD(On-board diagnostics)端子に接続され、電子制御ユニット90のマイクロコンピュータと通信し、各種センサから電子制御ユニット90に送信される車速情報(以下、ECU車速情報)のライブデータをリアルタイムで取得する。なお、OBDとは、車両80の各種センサ(車速センサ86を含む)やアクチュエータ、機器、エンジン等になんらかの異常が発生した場合、その異常データをメモリに記憶しつつ、警告ランプを点灯させる等により運転手に異常の発生を知らせる車両自己診断機能を言う。電子制御ユニット90のOBD端子は、OBDで利用され得るあらゆる情報を、リアルタイムで入出力できる端子となっており、例えば、DLC(Data link coupler)と呼ばれる接続コネクタが用意される。なお、ここではECU接続装置20が少なくともECU車速情報を電子制御ユニット90から取得する場合を例示したが、車速以外の情報を一緒に取得してもよい。また、ECU接続装置20は、後述するスピードメータ検査処理器30と一体化されていてもよい。
<電子制御ユニット>
車両80の電子制御ユニット90は、スピードメータ82を電子制御する。この場合、電子制御ユニット90は、車速センサ86からのパルス信号等から得られる(又はパルス信号から算出される)車速情報(以下、ECU車速情報)に基づいて、スピードメータ82に表示させる車速情報(以下、スピードメータ車速情報)を算出し、そのスピードメータ車速情報を、通信回線を介してスピードメータ82に送信する。スピードメータ車速情報を受信したスピードメータ82は、この速度をそのまま表示する。電子制御ユニット90で算出されるスピードメータ車速情報は、図2に示すように、ECU車速情報よりも常に大きな値となるように補正算出される。なお、図2は、約10秒間において、ECU車速情報を基準として30km/hから36km/hまで車両80を加速させたときの電子制御ユニット90の参考出力である。換言すると、ECU車速情報は、スピードメータ82の指度よりも常に小さい値となる。この補正によって、日本国における「道路運送車両の保安基準の細則を定める告示」における「速度計(スピードメータ)の指度は自動車の走行時の速度を下回ってはならないものとする」という指針を満たす。補正量(ECU車速情報に対するスピードメータ車速情報の加算量)は、ECU車速情報の数値に依存させて変化する。具体的には、低速時は補正量が小さくなるが、高速になるほど、安全性を考慮して補正量が大きくなるように設定されることが多い。また、この補正量は、車種や車両メーカによって互いに異なることが多い。本発明者らの知見によると、40km/h走行時において、おおよそ4km/h程度(3km/h~5km/h)の補正量に設定されることが多い。
<運転指示装置>
運転指示装置60は、車両80の受検者(運転手)の視界の範囲内に配置されるディスプレイや発音装置であり、ディスプレイの文字や画像情報、音声情報等によって、受検者に対して運転に関する指示を出す。例えば、ディスプレイの場合、図3(A)に示すように、検査開始時の「40km/h走行を開始して下さい」(開始指示210)、速度不足時の「速度を上げてください」(加速指示212)、速度が少し不足する時の「速度を少し上げてください」(弱加速指示214)、検査時の目標速度(以下、検査用スピードメータ表示速度)に達した時の「速度を維持してください」(定速指示216)、速度が少し早すぎる時の「速度を少し下げてください」(弱減速指示218)、速度が速すぎるときの「速度を下げてください」(減速指示220)、「スピードメータ 合格」(合格表示222)、「スピードメータ 不合格」(不合格表示224)、検査終了時の「停止してください」(終了指示224)等である。なお、運転指示装置60の表示の切り替え制御は、後述するスピードメータ検査処理器30による。
<スピードメータ検査処理器(手段)>
スピードメータ検査処理器30は、いわゆる計算機であり、ローラ装置10、ECU接続装置20、運転指示装置60と通信回線を介して接続される。図3(B)に示すように、スピードメータ検査処理器30は、CPU、RAM、ROMやハードディスク等の記憶装置、電源装置、入力インタフェース、出力インタフェース、これらを接続するバス配線などから構成される。CPUは中央演算処理装置であり、検査プログラムが実行されて様々な機能を実現する。RAMはCPUの作業領域、記憶領域として使用され、ROMや記憶装置はCPUで実行されるオペレーティングシステムやプログラムを記憶する。また、記憶装置には、各種データも蓄積される。なお、スピードメータ検査処理器30は、マイクロコンピュータ等の計算機で構成されていてもよい。
図4に、スピードメータ検査処理器30において、検査処理プログラムが実行されることで実現される機能構成を示す。この機能構成は、ローラ車速取得部310、ECU車速取得部315、タイミング判定部322と、決定ルール保存部324と、決定速度保存部326と、スピードメータ合否判定処理部332と、合否条件保存部334と、運転指示処理部340を有する。なお、オプションとして、メータ表示テスト処理部350、メータ撮像処理部355を備える。
ローラ車速取得部310は、ローラ装置10からローラ車速情報をリアルタイムで取得する。ECU車速取得部315は、ECU接続装置20を介して、電子制御ユニット90からのECU車速情報をリアルタイムで取得する。
タイミング判定部322、決定ルール保存部324及び決定速度保存部326は、ECU車速情報が、所定のタイミング条件(仮想申告合図条件)を満たすか否かを判断し、この条件を満たす場合に、検査開始信号を生成する。なお、この所定のタイミング条件(仮想申告合図条件)とは、「スピードメータ82が、現在、検査用スピードメータ表示速度(本実施形態では車検目標値の40km/h)を示しており、従来であれば受検者(運転手)がパッシングしていたであろう」条件を意味する。
具体的に決定速度保存部326は、スピードメータ82の指度が、検査用スピードメータ表示速度(本実施形態では、車検ルールとなる40km/h)を表示する時に、電子制御ユニット90が保持しているECU車速情報を「検査用ECU車速情報」として保存する。換言すると、決定速度保存部326は、電子制御ユニット90が車速センサ86の信号に基づいてスピードメータ82に40km/hを表示させる時のECU車速情報を「検査用ECU車速情報」として保存する。この「検査用ECU車速情報」は、車種(型式)、車両メーカ等によって異なることから、図5に示すように、車名、型式、メーカ等に対応させて複数の検査用ECU車速情報が保存されることが好ましい。
ちなみに、決定速度保存部326に事前登録される「検査用ECU車速情報」は、自動車メーカから開示される情報(上述の補正値)をそのまま用いてもよい。他にも、基準となる車両80(スピードメータ検査済みの車両や新車)に対して、本検査システム1又はそれに類似する装置を適用して、スピードメータ82が40km/hとなる状態で車両80を走行させながら、ECU車速情報を電子制御ユニット90から読み取ることで、その値を「検査用ECU車速情報」として採用してもよい。
決定ルール保存部324は、タイミング判定を行う際の判定ルール(判定条件)に関する情報(算定式を含む)が保存される。この判定ルールは、例えば、次の(A)~(C)の判定ルールが存在し得る。
(A):図6に示すように、車両80が走行中にECU車速取得部315でモニタリングされるECU車速情報が、段階的に上昇(加速)している状況を想定すると、ECU車速が、検査用ECU車速情報DEと一致した瞬間を判定し、そのタイミングT1で「検査開始信号」を生成する。
(B):モニタリングされるECU車速情報が、検査用ECU車速情報DEと一致したままの状態で、所定時間U(秒)維持された瞬間を判定し、そのタイミングT2で「検査開始信号」を生成する。
(C):モニタリングされるECU車速情報が検査用ECU車速情報DEと一致しており、かつ、直近の所定時間L(秒)内の平均加速度Kが、所定閾値以下となった瞬間を判定し、そのタイミングT3で「検査開始信号」を生成する。
なお、判定ルール(A)は、ECU車速が検査用ECU車速情報DEと一致しているか否か(車速一致条件)のみを利用した判定手法であり、判定ルール(B)及び(C)は、車速一致条件に対して、車両の速度が安定しているか否か(車速安定条件)を付加したものとなっている。ローラ装置10のローラ12は、加減速時のタイヤのスリップによってローラ車速情報の出力応答性が悪い場合がある。このような場合は、判定ルール(B)及び(C)のように、車速安定条件を付加することが好ましい。ここでは、判定ルール(A)~(C)を例示したが、他の判定手法であってもよい。
タイミング判定部322は、決定速度保存部326から車両80の車名、型式、メーカ等に基づいて参照される「検査用ECU車速情報DE」と、決定ルール保存部324に保存される判定ルールを参照して、ECU車速情報が、検査用ECU出力速度情報に基づいて設定されるタイミング条件を満たす見なすか否かを判断し、そのタイミング条件を満たす場合に検査開始信号を生成する。タイミング判定部322によって検査開始信号が生成されると、スピードメータ合否判定処理部332及び合否条件保存部334が起動する。
スピードメータ合否判定処理部332は、検査開始信号をトリガとしてローラ車速情報を取得し、このローラ車速情報が、スピードメータ合格判定条件を満たすか否かを判断する。合否条件保存部334には、スピードメータ合格判定条件を定義する情報が蓄積される。本実施形態では合否条件として「ローラ車速情報が、31.0km/h以上、かつ、42.5km/h以下」という情報が蓄積される。なお、スピードメータ検査の規則改正等によって、スピードメータ合格判定ルールが変更されたときは、この合否条件保存部334に保存されている情報を更新すればよい。スピードメータ合否判定処理部332によって、合格と判定される場合は「合格情報」が生成され、不合格と判定される場合は「不合格情報」が生成される。これらの情報は、必要に応じて、オペレータに対して画面表示することができる。
運転指示処理部340は、検査中に運転指示装置60を制御して、受検者(運転者)に対して各種情報を提示する。その表示内容は、図3(A)に示す通りである。ECU車速と検査用ECU車速をリアルタイムで比較し、その相対差に基づいて、表示内容を切り替えることが好ましい。
図7(A)にオペレータ用に用意されるディスプレイのサンプルを示すことで、運転指示処理部340による表示の切り替えタイミングを説明する。検査開始時Sでは「開始指示」を提示する。開始後、ECU車速が小さすぎて、検査用ECU車速情報DEの差が大きい領域Pでは「加速指示」を出す。ECU車速が小さいものの、検査用ECU車速情報DEの差が小さい領域Qでは「弱加速指示」を出す。受検者のアクセル開の操作が大きすぎて、ECU車速が検査用ECU車速情報DEを超えてしまった領域Rでは、その差異に応じて「減速指示」または「弱減速指示」を出す。ECU車速と検査用ECU車速情報DEが一致した領域Wでは「定速指示」を出してタイミングTの決定を待つ。タイミングTが決定すると、ローラ車速に基づいて合否判定を行う。検査が完了したら「終了指示」を出す。なお、検査完了後、運転指示処理部340は「合格表示」または「不合格表示」を受検者(運転者)に提示する。なお、このオペレータ側のディスプレイでは、タイミングTと、その時のECU車速とローラ車速、合否判定結果が表示されるようになっている。なお、図7(B)は、受検者が滑らかに加速した場合を例示しており、このような場合は、運転指示装置60に減速指示は提示されない。
<スピードメータ検査手順>
次に、検査システム1を用いたスピードメータ検査手順について説明する。まず、オペレータは、次に検査する車両80の車種(型式)等に基づいて、図5で示す決定速度保存部326から対応する検査用ECU車速情報を選択する。なお、車検証には、QRコード(登録商標)等のコンピュータで読み取り可能な識別情報が付されている場合が有る。この識別情報には、車両80の型式など車検証情報が保持される。従って、検査システム1において、この識別情報をリーダで読み取って車両80の型式等を自動判定し、決定速度保存部326から検査用ECU車速情報を自動選択しても良い。
次いで、受検者(運転者)は、車両80をローラ装置10上に移動させて待機する。スピードメータ検査処理器30の運転指示処理部340は、運転指示装置60によって、運転開始を受検者に対して指示する。受検者は、スピードメータ82を視ながら、40km/hを目標に車両80を走行させるが、同時に、運転指示処理部340と運転指示装置60によって、受検者に加速指示/減速指示等が提示される。受検者はこれに合わせて車両80を加減速させる。
その間、スピードメータ検査処理器30は、ECU車速取得部315によってECU車速をリアルタイムでモニタリングし、タイミング決定処理部320によって、このECU車速情報が、検査用ECU車速情報と一致するか否かを判定する。つまり、スピードメータ検査処理器30は、スピードメータ82が検査用スピードメータ表示速度となる40km/hを示しているであろうタイミングTを自動的に判定して、検査開始信号(疑似的な申告合図信号)を生成する。
その検査開始信号をトリガとして、スピードメータ合否判定処理部332では、ローラ車速取得部310によってローラ車速を取得し、合否条件となる「31.0km/h以上、かつ、42.5km/h以下」を満たすか否かを判定し、検査を終了させる。
以上、本実施形態の検査システム1によれば、受検者がローラ装置10上で車両80を走行させるのみで、スピードメータ検査処理器30が、ECU接続装置20を介してECU車速をリアルタイムでモニタリングし、このECU車速が検査用ECU車速情報に基づいて設定されるタイミング条件を満たすことで検査開始信号を自動生成する。結果、受検者がスピードメータ82を視ながら、40km/hとなった瞬間に正確にパッシング操作を行うことが不要となり、負担が大幅に軽減される。さらに、受検者によるパッシング操作のタイミングがずれるという従来の課題も無くなるので、それによる検査精度の悪化も回避できる。
また、本検査システム1では、決定速度保存部326が、車両80の車種(型式)等に対応した複数の検査用ECU車速情報を保持しているので、車検場において、様々な種類の車両80に対するスピードメータ82の検査を実施することができる。
更に本検査システム1では、タイミング判定部322が、ECU車速が検査用ECU車速情報と一致するか否か(車速一致条件)に加えて、車両の速度が安定しているか否か(車速安定条件)を判定してから、検査開始信号を生成させることもできる。従って、加減速によるタイヤのスリップの影響を受けやすいローラ装置10から得られるローラ車速情報の精度を高めることができるので、検査精度を高めることができる。
<オプション機能>
次に、上記検査システム1におけるオプション機能について説明する。スピードメータ検査処理器30はメータ表示テスト処理部350を有することが好ましい。このメータ表示テスト処理部350は、スピードメータ82がそもそも機能しているか否かを確認する機能となる。具体的にメータ表示テスト処理部350は、電子制御ユニット90に組み込まれているアクティブテストプログラムと協働して、電子制御ユニット90に対して、スピードメータ82の動作診断コマンドを送信し、所望の情報(例えば125km/h)をスピードメータ82に強制的に表示させる。コマンドに沿ってスピードメータ82に表示された場合は、基本機能の合格を意味する基本機能合格情報を生成し、表示されない場合は、基本機能の不合格を意味する基本機能不合格情報を生成する。この基本機能合格情報と、上記スピードメータ合否判定処理部332におけるスピードメータ合格情報の双方が生成された場合に限り、スピードメータ82の最終合格を判定することが好ましい。なお、メータ表示テスト処理部350を、本検査システム1に一体的に組み込まずに、別工程においてこの基本機能をチェックする場合は、基本機能合格情報/不合格情報のみを、本スピードメータ検査処理器30に入力して、最終合格を判定してもよい。
スピードメータ検査処理器30はメータ撮像処理部355を有することが好ましい。このメータ撮像処理部355は、図1に示すように、スピードメータ82の正面等に固定される撮像装置(カメラやビデオカメラ)70を制御して、スピードメータ82の表示状態を静止画又は動画によって撮像し、その静止画又は動画データを証拠として保存する。なお、この撮像タイミングは、タイミング判定部322によって検査開始信号が生成された時とする。結果、スピードメータ合否判定処理部332によってスピードメータの合否判定が行われた瞬間における、スピードメータ82に表示態様を、証拠として残すことが可能となり、事後的に検査結果を検証することが可能となる。
<第二実施形態の全体構成>
次に、図8(A)を参照して、第二実施形態のスピードメータ検査システム401について説明する。なお、ここでは第一実施形態と異なる構成のみを説明し、同一又は類似する部品又は機能については、第一実施形態と符合の下二桁を一致させることで、その他の説明を省略する。
なお、検査システム401は、その構成要素の一部として、既存の車検場に設置される従来のスピードメータ検査装置を内在している。つまり、従来の機器と、新たな機器を組み合わせて、第一実施形態の検査システム1と同様の検査を実現する。
具体的に本検査システム401は、構成要素の一部として、従来のスピードメータ検査で用いられているローラ装置510と、車両の前方に配置されてヘッドライトの点滅を検知する前照灯検知器575と、受検者(運転者)に対して走行指示を行う第二運転指示装置(従来の運転指示装置)560と、ローラ装置510の実速度と、スピードメータの指度の差に基づいてスピードメータの合否判定を行うスピードメータ合否判定装置530を有する。
検査システム401は、上記従来の構成に加えて、ECU接続装置620と、第一運転指示装置660と、タイミング決定装置700と、信号経路切替装置900を有する。タイミング決定装置700と従来のスピードメータ合否判定装置530は、互いに別体の計算機で実現されており、両者を、信号経路切替装置900を介して接続して一体化することで、第一実施形態と同等機能のスピードメータ検査処理器(手段)630が実現される。
図9に、スピードメータ検査処理器630における、タイミング決定装置(タイミング決定手段)700と従来のスピードメータ合否決定装置(スピードメータ合否決定手段)530のそれぞれの構成を示す。
タイミング決定装置700は、ECU車速取得部715、タイミング判定部722、決定ルール保存部724と、決定速度保存部726と、運転指示処理部740、検査開始信号変換処理部750、検査開始信号出力処理部760を有する。
運転指示処理部740は、第一運転指示装置660を制御することで、図3(A)で示した内容と同様に、受検者に対して運転指示を出す。しかし、第二実施形態では、タイミング決定装置700側において、スピードメータの合否判定結果が得られないので、第一運転指示装置660に合否判定結果が表示されない。その代わりとして、従来の第二運転指示装置560に、合否結果が表示される。
検査開始信号変換処理部750は、タイミング判定部722が生成した検査開始信号を、従来のスピードメータ合否判定装置530の通信プロトコルや入力形式(例えばデジタル信号/アナログ信号)に合わせて信号変換する。タイミング決定装置700の計算機と、スピードメータ合否判定装置530の計算機の相違によって、通信仕様や入出力仕様が異なる場合であっても柔軟に対応できる。なお、検査開始信号変換処理部750は、ソフトウエアの機能とし処理してもよいが、図8に示すように、ハードウエアを組み合わせることで、例えば、デジタル信号をアナログ信号に変換してもよい。
検査開始信号出力処理部760は、検査開始信号変換処理部750で変換された検査開始信号(仮想的な申告合図信号)を、信号経路切替装置900を介して、スピードメータ合否決定装置530に出力する。
従来のスピードメータ合否決定装置530は、ローラ車速取得部810と、スピードメータ合否判定処理部832と、合否条件保存部834と、検査開始信号入力処理部880を有する。検査開始信号入力処理部880は、タイミング決定装置700から信号経路切替装置900を介して送信される検査開始信号(仮想的な申告合図信号)を受信し、スピードメータ合否判定処理部832に渡す。
スピードメータ合否判定処理部832は、この検査開始信号を、従来の前照灯検知器575から送信される申告合図信号と同じものであると認識し、それをトリガとして、ローラ車速取得部810から得られるローラ車速を参照して、スピードメータの合否判定を行う。その結果は、第二運転指示装置560によって運転者に伝達される。
以上の結果、この第二実施形態の検査システム401によれば、第一実施形態の検査システムと全く同様の成果を得ることができる。
図8(B)には、信号経路切替装置900によって信号経路を切り替えて、従来のスピードメータ検査手法を実現する状態を示す。なお、点線で示す経路は、信号経路切替装置900によって通信が遮断される経路を意味する。信号経路切替装置900は、タイミング決定装置700から送信される検査開始信号を遮断し、前照灯検知器575から送信される申告合図信号を、スピードメータ合否判定装置530に入力する。この場合、受検者は、車両80を40km/hで走行させている最中に、ライトスイッチ84を操作して前照灯を点滅(パッシング)させ、それを検知した前照灯検知器575によって申告合図信号を生成できる。
例えば、検査対象となる車両80が旧式であり、電子制御ユニット90が搭載されていない場合は、タイミング決定装置700を機能させることができないものの、従来のスピードメータ検査手法に簡単に切り替えることが可能となる。
尚、本発明の検査システムは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1,401 スピードメータ検査システム
10 ローラ装置
20 ECU車速取得装置
30 スピードメータ検査処理器
60 運転指示装置
80 車両
82 スピードメータ
83 アクセル
84 ライトスイッチ
85 タイヤ
86 車速センサ
90 電子制御ユニット(ECU)

Claims (5)

  1. 車両のタイヤの周面に当接して供回りするローラ装置により車両の実速度(以下、ローラ車速情報)を取得し、車両の運転者に車速情報を提示するスピードメータが、検査ルールにおける基準値となる検査用スピードメータ表示速度を示している最中において、前記ローラ車速情報が、所定のスピードメータ合格条件の範囲に収まるか否かを、計算機によって実現されるスピードメータ検査処理手段によって判定するスピードメータ検査システムであって、
    前記スピードメータ検査処理手段は、
    前記車両の電子制御ユニットに接続されて、前記電子制御ユニットから出力される車速情報(以下、ECU車速情報)を取得するECU車速取得部と、
    前記ローラ装置に接続されて、前記ローラ車速情報を取得するローラ車速取得部と、
    前記スピードメータが前記検査用スピードメータ表示速度を表示するときに前記電子制御ユニットが保持する前記ECU車速情報を、検査用ECU車速情報として保存する決定速度保存部と、
    前記ECU車速情報が、前記検査用ECU車速情報に基づいて設定されるタイミング条件を満たす見なすか否かを判断し、前記タイミング条件を満たす場合に、検査開始信号を生成するタイミング判定部と、
    前記検査開始信号に基づいて取得される前記ローラ車速情報が、前記スピードメータ合格判定条件を満たすか否かを判断するスピードメータ合否判定処理部と、
    を備える事を特徴とするスピードメータ検査システム。
  2. 前記決定速度保存部には、複数の前記車両に対応させて、複数の前記検査用ECU車速情報が保存されることを特徴とする、
    請求項1に記載のスピードメータ検査システム。
  3. 前記タイミング判定部は、前記タイミング条件として、前記ECU車速情報が前記検査用ECU車速情報と一致するか否かに関する車速一致条件と、前記ECU車速情報が安定しているか否かに関する車速安定条件の双方を満たすか否かを判断することを特徴とする、
    請求項1又は2に記載のスピードメータ検査システム。
  4. 前記スピードメータ検査処理手段は、
    計算機によって実現されるタイミング決定手段と、
    前記タイミング決定手段とは別体の計算機によって実現されるスピードメータ合否決定手段と、を有し、
    前記タイミング決定手段は、前記ECU車速取得部と、前記決定速度保存部と、前記タイミング判定部と、前記検査開始信号を前記スピードメータ合否決定手段に対して出力する検査開始信号出力処理部と、を有し、
    前記スピードメータ合否決定手段は、前記検査開始信号出力処理部から送信される前記検査開始信号が入力される検査開始信号入力処理部と、前記ローラ車速取得部と、前記スピードメータ合否判定処理部と、を有することを特徴とする、
    請求項1ないし3のいずれかに記載のスピードメータ検査システム。
  5. 更に、前記車両の前照灯の点滅を検知して、前記検査開始信号と同等の申告合図信号を生成する前照灯検知装置と、
    前記申告合図信号を前記スピードメータ合否決定手段に伝達する状態と、前記検査開始信号を前記スピードメータ合否決定手段に伝達する状態を切り替える信号経路切替装置と、を備えることを特徴とする、
    請求項4に記載のスピードメータ検査システム。
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