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JP7137119B2 - cBN焼結体および切削工具 - Google Patents
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Description

本発明は、靭性に優れた立方晶窒化ほう素(以下、「cBN」で示す)基超高圧焼結体(以下、「cBN焼結体」という)、および、これを工具基体とする切削工具(以下、「CBN工具」という)に関する。
従来から、cBN焼結体は、靭性に優れることが知られており、鋼、鋳鉄等の鉄系被削材の切削工具材料として広く用いられている。
例えば、特許文献1には、硬質相としてのcBNを20~80体積%含有し、残部が、周期律表の4a、5a、6aの炭化物、窒化物、ほう化物等のセラミックス化合物を結合相としたcBN工具が記載されている。
また、例えば、特許文献2には、20体積%以上80体積%以下のcBN粒子と結合材とを有する複合焼結体であって、前記結合材は、周期律表第4a族元素、第5a族元素、第6a族元素の窒化物、炭化物、硼化物、酸化物、およびこれらの固溶体からなる群の中から選択された少なくとも一種と、Zr、Si、W、Co等の単体、化合物、および固溶体からなる群の中から選択された少なくとも1種と、Alの化合物とからなり、前記複合焼結体中にW及び/又はCoが含有される場合には、該W及び/又はCoの合計質量は2.0質量%未満であり、かつ前記Zr、Si等(以下、「X」とする。)のいずれか一以上を含有し、該Xはそれぞれ0.005質量%以上2.0質量%未満であり、かつX/(X+W+Co)が0.01以上1.0以下を満たし、かつAlの質量が2.0質量%以上20.0質量%以下であるcBN焼結体が記載されている。
さらに、例えば、特許文献3には、立方晶窒化硼素粒子と結合相とを含む焼結体を工具基体とする立方晶窒化硼素焼結体切削工具において、前記焼結体は、立方晶窒化硼素粒子を40容量%以上60容量%未満およびAlが下限値で2質量%、上限値でYをAl含有割合(質量%)、Xを立方晶窒化硼素粒子含有割合(容量%)としたとき、Y=-0.1X+10の関係を満足する範囲となるように含有し、前記結合相は、少なくともTi系化合物とAlと不可避不純物を含有し、前記Alのうち、直径10nm~100nmの微粒Alが結合相中に分散、生成しており、前記結合相の断面1μm×1μmの領域において、前記微粒Alが30個以上生成していることを特徴とする立方晶窒化硼素焼結体切削工具が記載されている。
特開昭53-77811号公報 特許第5189504号公報 特開2015-193072号公報
特許文献1に記載されたcBN焼結体は、結合相としてセラミックス化合物を用いているため、Co等の金属を結合相として用いた場合に比べて、強度、耐熱性、耐摩耗性の向上が認められる。しかし、このcBN焼結体は、切れ刃に高負荷が作用する断続切削加工用切削工具として用いた場合には、靱性が十分であるとはいえないため、チッピング、欠損等の異常損傷を発生し、短期間で寿命に至るという問題があった。
特許文献2に記載されたcBN焼結体は、結合相の強度と靱性を高めるためにW及び/又はCo、Si又はZrを結合相中に所定量含有させているが、例えば、Wが焼結体中に占める割合が多いと焼結体の靱性が低下、Siが多いと結合材の拡散反応が過剰に抑制され、cBN粒子と結合材および結合材同士の結合力が低下し、焼結体の靱性が低下する問題があった。また、混合時の分散性が悪いと局所的に添加物の濃度が高い部分が生じ、cBN粒子と結合材との結合力の低下により焼結体の靱性が低下し、切削工具として使用した場合、破壊の起点となることによって耐欠損性が低下するという問題があった。
特許文献3に記載されたcBN焼結体は、平均粒径5~15nmの超微粒Alを用いることで粒径100nm以下の微粒Alの均一分散化をしているが、含有させるAlが少ない場合、微粒なためクラックを偏向させる効果はあるが、Tiを主とするセラミックス結合相成分とAlのビッカース硬さは同程度のため、クラックを誘導させる効果が低減し、cBN焼結体の破壊靭性が低下する虞があった。
本発明は、前記先行技術においてcBN焼結体が十分な靱性を確保できないという課題を解決するものであって、靱性の高いcBN焼結体およびこれを工具基体とするCBN工具を提供することを目的とする。
本発明者は、cBN焼結体及びこれを工具基体とするcBN工具について前記課題を解決すべく、cBN焼結体中のAl化合物粒子の分散と靱性の向上について鋭意検討を行った。その結果、微粒のイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAl12:YAG)をcBN焼結体中に1体積%以上20体積%以下含有し、かつ、結合相中に形成されるYAGの平均粒径を200nm以下とすることにより、cBN焼結体内で生じたクラックの進展がYAl12粒子により迂回されること、すなわち、細かく迂回されることに加えて、結合相中でのクラックの細かな伝播の誘導を強くすることにより、靱性の高いcBN焼結体を得ることができること、また、このcBN焼結体を切削工具として使用すれば、刃先への負荷の大きい断続切削あたって刃先が欠損しにくいという優れた切削性能を有することを知見した。
本発明は、前記知見に基づいてなされたものであって、
「(1)立方晶窒化硼素粒子と結合相とからなるcBN焼結体において、
前記結合相には、平均粒径が10nm以上200nm以下のYAl12が、前記cBN焼結体に対する含有割合として1体積%以上20体積%以下となるように分散していることを特徴とするcBN焼結体。
(2)前記(1)に記載のcBN焼結体を工具基体とすることを特徴とする切削工具。」
である。
本発明は、焼結体の結合相中にYAl12の微粒子を分散させるため、cBN焼結体中で生じたクラックの進展を細かく迂回させ、直線的な進展を抑えて靱性を高めるとともに、結合相の材料であるTiN、TiCに比してビッカース硬さが同程度のAlではなく、ビッカース硬さが低いYAl12を使用することにより、焼結体中を進行するクラックの先端を硬さの低いYAl12へ誘導させることにより、その進展をより細かく迂回させ、より一層のcBN焼結体の靱性の向上がなされるという優れた効果を奏することができる。
本発明のcBN焼結体の焼結組織を表す模式図であり、各組織の形状や寸法は実際の組織に則したものではない。 本発明のYAl12を用いたcBN焼結体(本発明焼結体1)のXRD(X-ray Diffraction)の一例を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、数値範囲を「~」を用いて表現する場合、その範囲は上限および下限の数値を含むものである。
1.cBN焼結体中の結合相に分散させるYAl12
(1)平均粒径
焼結体中に占めるYAl12粒の平均粒径は、10nm以上200nm以下とする。YAl12の平均粒径が、200nmを超えると、結合相中のYAl12粒子を起点とするクラックの発生や進展を生じやすくなるため、cBN焼結体の靱性が低下する。したがって、結合相中に存在するYAl12の平均粒径の上限値は200nmとする。より好ましい上限値は100nmである。また、YAl12の粒径が10nm未満であればクラックの進展を細かく迂回させ、直線的な進展を抑えることが十分でないことから、YAl12の粒径の下限値は10nmとした。
(2)含有割合
焼結体の結合相中に占めるYAl12粒の含有割合は、cBN焼結体に対する含有割合として1体積%(vol%)以上20体積%以下とする。その理由は、1体積%未満であるとクラックを細かく迂回させてその進展を抑制することが十分にできずcBN焼結体の靱性を向上させるには十分な量ではなく、一方、20体積%超えるとcBN焼結体中においてYAl12粒同士が接する確率が高くなり、隣り合ったYAl12粒が焼結時に粒成長し肥大なYAl12粒となり、その肥大なYAl12を起点としたクラックの発生が生じやすくなり、cBN焼結体の靱性低下し、好ましくないからである。
2.YAl12の平均粒径と含有割合の測定方法
(1)YAl12の平均粒径
Al12の存在は、X線回折(XRD:ターゲットCu)において、YAl12の回折ピークが現れることにより確認できる。
平均粒径は、cBN焼結体の断面組織をオージェ電子分光(Auger Electron Spectrography:以下、AESという)装置を用いて、Al元素、O元素およびY元素のマッピング像を得て、Al元素、O元素およびY元素が重なる部位を画像処理によって抜き出し、当該部位をYAl12粒子と特定し、次いで、特定した各粒子に対して画像解析を行って平均粒径を求める。具体的には、結合相中のYAl12粒子を明確に判断するため、AESを用いて得た同一視野におけるAl元素、O元素およびY元素の各マッピング像は、対象元素が存在しない部位を黒、存在する部位を白とし、黒を0、白を255の256階調のモノクロにて取得し、各々のモノクロ像において各元素が存在する位置が白色となるように2値化処理する。2値化処理し得られた同一視野内におけるAl元素、O元素およびY元素のマッピング像において、3元素が存在する、すなわち3元素の各マッピング像を比較しいずれも白色となる部位をYAl12粒子と特定する。
なお、YAl12粒同士が接触していると考えられる部分を切り離すような処理、例えば、画像処理法の1つであるウォーターシェッドを用いて接触していると思われるYAl12粒同士を分離する処理を、3元素の各マッピング像を比較しいずれも白色である部分を抜き出した後の像へ行ってもよい。
2値化処理後に得られた画像内のYAl12粒にあたる部分(白の部分)を粒子解析し、求めた最大長を各粒子の直径とする。最大長を求める粒子解析としては、例えば、1つのYAl12粒子に対してフェレ径を算出することより得られる2つの長さから大きい長さの値を最大長とし、その値を各粒子の直径とする。この直径を有する理想球体と仮定して計算より求めた体積を各粒子の体積として累積体積を求め、この累積体積を基に縦軸を体積百分率[%]、横軸を直径[μm]としてグラフを描画させ、体積百分率が50%のときの直径をYAl12粒子の平均粒径とし、これを3観察領域に対して行い、その平均値をYAl12の平均粒径[μm]とした。粒子解析を行う際には、あらかじめSEMにより分かっているスケールの値を用いて、1ピクセル当たりの長さ(μm)を設定しておく。画像処理に用いる観察領域としては、5.0μm×3.0μm程度の視野領域が望ましい。
(2)含有割合
含有割合は、AESを用いて、Al元素、O元素およびY元素のマッピング像を得て、Al元素、O元素およびY元素が重なる部位を画像処理によって抜き出し、当該部位をYAl12粒子と特定し、画像解析によりYAl12粒子が占める面積を算出して、YAl12粒子の面積割合を求める。これを少なくとも3画像に対して行い、算出した各YAl12粒子の面積割合の平均値をcBN焼結体に占めるYAl12の含有割合として求める。画像処理に用いる観察領域として、5.0μm×3.0μm程度の視野領域が望ましい。
3.cBN焼結体中のcBN粒子の平均粒径と含有割合
本発明で用いるcBN粒子の平均粒径は、特に限定されるものではないが、0.2~8.0μmの範囲であることが好ましい。
これは、硬質なcBN粒子を焼結体内に含むことにより耐欠損性を高める効果に加えて、平均粒径が0.2~8.0μmのcBN粒子を焼結体内に分散させることにより、工具使用中に工具表面のcBN粒子が脱落して生じる刃先の凹凸形状を起点とする欠損、チッピングを抑制するだけでなく、工具使用中に刃先に加わる応力により生じるcBN粒子と結合相との界面から進展するクラック、あるいはcBN粒子が割れて進展するクラックの伝播を抑制することにより、優れた耐欠損性を有することができるためである。
cBN焼結体に占めるcBN粒子の含有割合は、特に限定されるものではないが、40体積%未満では、焼結体中に硬質物質が少なく、工具として使用した場合に、耐欠損性が低下することがあり、一方、78体積%を超えると、焼結体中にクラックの起点となる空隙が生成し、耐欠損性が低下することがある。そのため、本発明が奏する効果をより一層発揮するためには、cBN焼結体に占めるcBN粒子の含有割合は、40~78体積%の範囲とすることが好ましい。
cBN粒子の平均粒径と含有割合は、以下のとおりにして求めることができる。
cBN焼結体の断面組織をSEMにてcBN焼結体組織を観察し、二次電子像を得る。得られた画像内のcBN粒子の部分を画像処理にて抜き出し、画像解析より求めた各粒子の最大長を基に平均粒径を算出する。
画像内のcBN粒子の部分を画像処理にて抜き出すにあたり、cBN粒子と結合相とを明確に判断するため、画像は0を黒、255を白の256階調のモノクロで表示し、cBN粒子部分の画素値と結合相部分の画素値の比が2以上となる画素値の像を用いてcBN粒が黒となるように2値化処理を行う。
ここで、cBN粒子部分や結合相部分の画素値を求めるための領域として、0.5μm×0.5μm程度の領域内の平均値より求め、少なくとも同一画像内から異なる3個所より求めた平均の値を各々のコントラストとすることが望ましい。
なお、2値化処理後はcBN粒同士が接触していると考えられる部分を切り離すような処理、例えば、ウォーターシェッドを用いて接触していると思われるcBN粒同士を分離する。
2値化処理後に得られた画像内のcBN粒にあたる部分(黒の部分)を粒子解析し、求めた最大長を各粒子の直径とする。最大長を求める粒子解析としては、例えば、1つのcBN粒子に対してフェレ径を算出することより得られる2つの長さから大きい長さの値を最大長とし、その値を各粒子の直径とする。この直径を有する理想球体と仮定して計算より求めた体積を各粒子の体積として累積体積を求め、この累積体積を基に縦軸を体積百分率[%]、横軸を直径[μm]としてグラフを描画させ、体積百分率が50%のときの直径をcBN粒子の平均粒径とし、これを3観察領域に対して行い、その平均値をcBNの平均粒径[μm]とした。粒子解析を行う際には、あらかじめSEMにより分かっているスケールの値を用いて、1ピクセル当たりの長さ(μm)を設定しておく。画像処理に用いる観察領域として、cBN粒子の平均粒径が3μmの場合、15.0μm×15.0μm程度の視野領域が望ましい。
cBN焼結体に占めるcBN粒子の含有割合は、cBN焼結体の断面組織をSEMによって観察し、得られた二次電子像内のcBN粒子の部分を画像処理によって抜き出し、画像解析によってcBN粒子が占める面積を算出し、1画像内のcBN粒子が占める割合を求め、少なくとも3画像を処理し求めた値の平均値をcBN粒子の含有割合として求める。画像内のcBN粒子の部分を抜き出す画像処理は、cBN粒の平均粒径の2値化処理後の像を得る手順と同様に行う。画像処理に用いる観察領域として、例えば、cBN粒子の平均粒径0.3μmの場合、5.0μm×3.0μm程度の視野領域が望ましい。
4.製造方法
本発明の製造方法の一例を以下に示す。
(1)結合相を構成する成分の原料粉末の準備
結合相を構成する原料粉末として、YAl12原料と結合相の主となる原料を用意する。YAl12原料として、平均粒径3~5μmのYAl12粉末を用意する。YAl12粉末は、所望の粒径に粉砕したYAl12原料粉とするため、例えば、超硬合金で内張りされた容器内に超硬合金製ボールとアセトンと共に充填し、蓋をした後にボールミルにより粉砕を行った後、遠心分離装置を用いて分級することにより、縦軸を体積百分率、横軸を粒子径とした場合のメディアン径D50を粉砕したYAl12原料粉の平均粒径とし、その値が10~200nmのYAl12原料粉を得る。また、結合相の主となる原料としては、従来から知られている結合相形成原料粉末(TiN粉末、TiC粉末、TiCN粉末、TiAl粉末)を準備する。
(2)粉砕・混合
これらの原料粉末を、例えば、超硬合金で内張りされた容器内に超硬合金製ボールとアセトンと共に充填し、蓋をした後にボールミルにより粉砕および混合を行う。
その後、硬質相として機能させる平均粒径0.2~8.0μmのcBN粉末を焼結後のcBN粒子の含有割合が所定の体積%となるように添加して、さらに、ボールミル混合を行う。
(3)成形、焼結
得られた焼結体原料粉末を、所定圧力で成形して成形体を作製し、これを真空下、1000℃で仮焼結し、その後、超高圧焼結装置に装入して、例えば、圧力:5GPa、温度:1200~1600℃の範囲内の所定の温度で焼結することにより、本発明のcBN焼結体を作製する。
5.CBN工具
このように作製した本発明の、靭性に優れたcBN焼結体を工具基体とするcBN基超高圧焼結体製切削工具は、例えば、高硬度鋼の断続切削加工においても、耐欠損性に優れ、長期の使用にわたって優れた耐摩耗性を発揮する。
以下、本発明の実施例について記載する。
本実施形態のcBN焼結体の製造では、結合相を構成するための原料粉末として、YAl12粉末を準備し、YAl12の粒径制御のため、ボールミルにて粉砕の処理を施した後、遠心分離法を用いて分級することにより所望の粒径範囲のYAl12原料粉を用意した。
すなわち、平均粒径3μmのYAl12粉末を準備し、超硬合金で内張りされた容器内に超硬合金製ボールとアセトンと共に充填し、蓋をした後にボールミルを用いて粉砕を実施後、混合したスラリーを乾燥させた後、遠心分離装置を用いて分級することにより平均粒径が10~200nmのYAl12原料粉を得ることができる。
上記のように事前に準備したYAl12原料粉と、平均粒径が0.3μm~0.9μmのTiN粉末、TiC粉末、TiCN粉末、TiAl粉末を用意し、これら原料粉末の中から選ばれたいくつかの結合相構成用原料粉末(各原料粉末の体積%を表1に示す)と、硬質相用原料としてのcBN粉末の合量を100体積%としたときの焼結後のcBN粒子の含有割合が40~78体積%となるように配合し、湿式混合し、乾燥した。
次いで、得られた焼結体原料粉末を、成形圧1MPaで直径:50mm×厚さ:1.5mmの寸法にプレス成形し、ついでこの成形体を、圧力:1Pa以下の真空雰囲気中、1000℃の範囲内の所定温度に保持して仮焼結し、その後、超高圧焼結装置に装入して、圧力:5GPa、温度:1400℃の温度で焼結することにより、表2に示す本発明のcBN焼結体1~15(本発明焼結体1~15という)を作製した。なお、成形体に施す熱処理は、湿式混合時の溶媒を除去することが主な目的である。
また、上記作製工程は、超高圧焼結までの工程において原料粉末の酸化を防止することが好ましく、具体的には非酸化性の保護雰囲気中での取り扱いを実施することが好ましい。
本発明焼結体1のXRD図を図2に示す。
Figure 0007137119000001
Figure 0007137119000002
比較のため、本発明において規定する範囲外のYAl12平均粒径、含有割合を検討すべく、YAl12を含まないおよび含む原料をボールミルを用いて粉砕し、遠心分離装置を用いて分級し、平均粒径0.3μm~0.9μmのTiN粉末、TiCN粉末、TiAl粉末を用意し、これら原料粉末の中から選ばれたいくつかの結合相構成用原料粉末(各原料粉末の体積%を表3に示す)と、硬質相としてのcBN粉末との含量を100体積%としたときの焼結後のcBN粒子の含有割合が56~65体積%となるように配合し、湿式混合し、乾燥した。
その後、本発明焼結体1~15と同様な条件で成形体を作製し、熱処理し、この成形体を、本発明焼結体1~15と同様な条件で超高圧高温焼結することにより、表4に示す比較例のcBN焼結体(以下、比較例焼結体という)1~5を作製した。
Figure 0007137119000003
Figure 0007137119000004
次に、上記で作製した本発明品1~15、比較品1~5を、ワイヤー放電加工機で所定寸法に切断し、Co:5質量%、TaC:5質量%、WC:残りの組成およびISO規格CNGA120408のインサート形状をもったWC基超硬合金製インサート本体のろう付け部(コーナー部)に、Cu:26質量%、Ti:5質量%、Ag:残りからなる組成を有するAg合金のろう材を用いてろう付けし、上下面および外周研磨、ホーニング処理を施すことにより、ISO規格CNGA120408のインサート形状をもつ本発明のcBN基超高圧焼結体切削工具(本発明工具という)1~15、および、比較例のcBN基超高圧焼結体切削工具(比較例工具という)1~5を製造した。
次いで、本発明工具1~15と比較工具1~5に対して、以下の切削条件で切削加工を実施し、欠損に至るまでの工具寿命(回数)を測定した。
<切削条件>
被削材:浸炭焼き入れ鋼(JIS・SCM415、硬さ:HRC58~62)の長さ方向等間隔8本縦溝入り丸棒、
切削速度:200m/min、
切り込み:0.1mm、
送り:0.1mm/rev
の条件での、高硬度鋼の乾式切削加工試験を実施。
各工具の刃先がチッピングあるいは欠損に至るまでの断続回数を工具寿命とし、断続回数500回毎に刃先を観察し、刃先の欠損やチッピングの有無を確認した。
表5に、上記切削加工試験の結果を示す。
Figure 0007137119000005
表5に示される結果から、本発明工具は、比較例工具に比して、突発的な刃先の欠損、チッピングが発生することなく、工具寿命が延命化されており、靱性が向上したことが分かる。
本発明の靱性に優れたcBN焼結体は、靱性が高くCBN工具の工具基体として用いると、欠損、破損を発生することなく長期の使用にわたって、優れた耐欠損性を発揮し、工具寿命の延命化が図られるものであることから、切削加工装置の高性能化、並びに切削加工の省力化および省エネ化、低コスト化に十分満足に対応できるものである。

Claims (2)

  1. 立方晶窒化ほう素粒子と結合相からなるcBN焼結体において、
    前記結合相には、平均粒径が10nm以上200nm以下のYAl12が、前記cBN焼結体に対する含有割合として1体積%以上20体積%以下となるように分散していることを特徴とするcBN焼結体。
  2. 請求項1に記載のcBN焼結体を工具基体とすることを特徴とする切削工具。
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