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JP7137271B2 - 太陽電池の製造方法、および太陽電池モジュールの製造方法 - Google Patents
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太陽電池の製造方法、および太陽電池モジュールの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、結晶半導体基板上に薄膜を備える太陽電池製造方法に関する。また、本発明は、太陽電池モジュール製造方法に関する。
結晶シリコン基板等の結晶半導体基板を用いた太陽電池では、表面に凹凸(テクスチャ)を形成し、光反射を低減することにより、半導体基板に入射する光量を増大させている(いわゆる光閉じ込め)。例えば、単結晶シリコン基板では、アルカリを用いた異方性エッチングにより、基板表面の全面に、ピラミッド状のテクスチャを形成できる。テクスチャが形成された結晶半導体基板の表面には、半導体薄膜、透明導電膜、パッシベーション膜、反射防止膜等の薄膜が形成される(例えば特許文献1)。
結晶半導体基板を用いた太陽電池は、1つの基板の面積が小さいため、実用に際しては、複数の太陽電池を電気的に接続してモジュール化を行い、出力を高めている。太陽電池の性能向上、および太陽電池の性能を一定水準に維持するために、半導体基板上に形成される薄膜は、膜厚が一定かつ均一であることが望まれている。
国際公開第2018/003891号
太陽電池は、建物の屋根や陸上等に設置されることが一般的であるが、近年では、建物の外壁への太陽電池の設置も進んでいる。これに伴い、太陽電池モジュールには、発電効率の向上に加えて、外観の均一性や、建物との色調の調和等の意匠的な要素が重要視されるようになっている。
太陽電池は、可視光を含む近紫外から近赤外までの波長領域の太陽光を吸収するため、その外観は、黒色またはそれに近い色であるが、若干の赤みや青みを帯びた色に視認される。半導体基板上に形成される薄膜の膜厚が異なると、界面での多重反射による反射光の色調に相違が生じ、太陽電池の発電特性には実質的な影響を与えないわずかな膜厚の相違であっても、反射光の色調が異なって視認される場合がある。
太陽電池の反射光の色調の相違を低減して外観を均一化するためには、半導体基板上に形成する薄膜の膜厚を均一化することが理想的である。しかし、太陽電池の量産においては、半導体基板上に設けられる薄膜の成膜バッチ内での膜厚のバラツキや成膜バッチ間での膜厚のバラツキは不可避である。
薄膜の膜厚のバラツキ低減のために、膜厚の測定結果を製造工程へフィードバックして、膜厚の均一化を図ることが考えられる。また、薄膜の膜厚にバラツキが生じた場合でも、膜厚を正確に測定し、薄膜の膜厚が近接する基板を選択して集積すれば、1つのモジュールに含まれる複数の太陽電池の色調を統一できると考えられる。いずれの手法においても、膜厚を均一化するための前提として、半導体基板上に形成された薄膜の膜厚を正確に測定することが重要である。
薄膜の膜厚を測定するために、成膜装置内に、製品取得用の基板とは別に、ダミー基板を配置する方法が知られている。しかし、ダミー基板上に形成された薄膜の膜厚を測定する方法では、成膜装置内の場所による膜厚のバラツキ(バッチ内バラツキ)を正確に評価することはできない。
本発明の一実施形態にかかる太陽電池の製造方法では、結晶半導体基板の第一主面に凹凸を形成し、その上に少なくとも1層の薄膜を形成する。結晶半導体基板上に形成される薄膜の例として、透明導電膜および半導体薄膜等が挙げられる。
半導体基板の主面に凹凸(テクスチャ)が設けられていると、テクスチャにより光が乱反射し、反射光の方位が一定でないため、分光エリプソメトリー等の光学的な測定が困難となる。半導体基板表面の一部にテクスチャが形成されていない平坦領域を設け、テクスチャが形成されている領域と平坦領域の両方に薄膜を形成し、平坦領域上の薄膜の膜厚を測定することにより、薄膜の膜厚を正確に測定できる。
分光エリプソメトリー等の分光法により膜厚を測定するために、平坦領域の面積は10mm以上とすることが好ましい。平坦領域の大きさは、薄膜の膜厚を測定可能であれば十分である。太陽電池の変換効率を高めるために、膜厚測定箇所以外には凹凸が設けられていることが好ましい。そのため、平坦領域の面積が、第一主面の面積の5%以下が好ましい。
結晶半導体基板は、例えば、単結晶シリコン基板または多結晶シリコン基板である。半導体基板表面の凹凸は、例えばアルカリを用いた異方性エッチングにより形成される。凹凸高さは、例えば0.5~10μm程度である。
結晶半導体基板の主面の一部に平坦領域を設ける方法としては、主面の全体に凹凸を形成した後に、所定領域の凹凸を平坦化する方法、および主面の一部の領域に凹凸を形成せずに平坦領域とする方法が挙げられる。例えば、結晶半導体基板の主面の一部の領域に冶具を接触させて結晶半導体基板を固定し、この状態でウェットエッチング等により凹凸を形成すれば、冶具が接触している領域には凹凸が形成されず、この領域が平坦領域となる。結晶半導体基板の主面の一部の領域にレジストや接着テープ等を積層して表面をマスクした状態で凹凸を形成してもよい。この場合は、マスクが積層された領域が平坦領域となる。
結晶半導体基板の主面上に複数の平坦領域を設けてもよい。この場合、複数の平坦領域のそれぞれに少なくとも1層の薄膜を形成することが好ましい。それぞれの平坦領域は、面積が10mm以上であることが好ましい。この形態では、半導体基板の面内での薄膜の膜厚のバラツキを評価できる。1枚の半導体基板上に薄膜を形成後に基板を複数に分割する場合は、分割される領域ごとに平坦領域を設けてもよい。
平坦領域上の薄膜の膜厚を測定後、半導体基板を分割して、平坦領域を除去してもよい。これにより、平坦領域を含まず主面の全面に凹凸が設けられている太陽電池が得られる。
複数の太陽電池を電気的に接続することにより太陽電池モジュールが得られる。平坦領域上に形成された薄膜の膜厚を測定し、その値が所定の範囲内である太陽電池を選別し、選別された太陽電池をモジュール化してもよい。膜厚が所定範囲内にある太陽電池を選別することにより、1つのモジュールに含まれる複数の太陽電池の薄膜の膜厚バラツキが小さいため、反射光の色調が統一され、モジュールの意匠性を向上できる。
太陽電池の製造工程や、モジュール化前に、それぞれの半導体基板上に形成された薄膜の膜厚を測定し、膜厚が一定範囲内であるものを集積してモジュール化することにより、1つの太陽電池モジュールに含まれる複数の太陽電池の色調の統一が可能となる。
太陽電池を受光面からみた平面図である。 太陽電池の断面図である。 太陽電池ストリングを受光面からみた平面図である。 太陽電池モジュールの断面図である。 Aは1つの基板から複数の太陽電池を作製する例を示す平面図であり、Bはシングリング構造の積層形態を示す平面図である。
図1は、金属電極形成前の太陽電池を受光面からみた平面図である。図2は、図1のII-II線における断面図である。太陽電池100は、結晶シリコン基板の主面上にシリコン系半導体薄膜を備え、その上に透明導電膜を備える結晶シリコン系太陽電池(いわゆる「ヘテロ接合太陽電池」)である。
太陽電池100は、結晶シリコン基板1の第一主面(受光面)に、真性シリコン系薄膜11、第一導電型シリコン系薄膜21、および受光面透明導電層31を順に備え、結晶シリコン基板1の第二主面に、真性シリコン系薄膜12、第二導電型シリコン系薄膜22、および裏面透明導電層32を順に備える。
結晶シリコン基板1としては、単結晶シリコン基板または多結晶シリコン基板が用いられる。太陽電池の変換効率を高めるためには、単結晶シリコン基板が好ましく用いられる。結晶シリコン基板1の導電型は、n型およびp型のいずれでもよい。第一導電型シリコン系薄膜21と第二導電型シリコン系薄膜22とは異なる導電型を有し、一方がp型、他方がn型である。変換効率を高める観点から、結晶シリコン基板1がn型単結晶シリコン基板であり、受光面側の第一導電型シリコン系薄膜21がp型シリコン系薄膜である構成が好ましい。
結晶シリコン基板1の厚みは50~500μm程度である。結晶シリコン基板1の第一主面には、ピラミッド状のテクスチャ(凹凸構造)が形成されている。テクスチャは、結晶シリコン基板1の第一主面の略全面に形成されている。テクスチャの凹凸高さは、例えば0.5~10μmである。受光面にテクスチャが形成されていることにより、光反射が低減するため、結晶シリコン基板1に入射する光の量が増大し、太陽電池の発電効率が向上する。
結晶シリコン基板1の受光面には、テクスチャが設けられていない領域(平坦領域)101が存在する。すなわち、結晶シリコン基板1の受光面には、テクスチャが設けられている凹凸形成領域102と、テクスチャが設けられていない平坦領域101とが存在する。結晶シリコン基板1の第一主面上の薄膜(真性シリコン系薄膜11、第一導電型シリコン系薄膜21、および受光面透明導電層31)は、凹凸形成領域102と平坦領域101の両方に跨って形成されている。
凹凸形成領域102では、結晶シリコン基板1の第一主面上に設けられた薄膜(真性シリコン系薄膜11、第一導電型シリコン系薄膜21、および受光面透明導電層31)は、結晶シリコン基板1の凹凸形状を承継した表面形状を有している。平坦領域101では、結晶シリコン基板1の第一主面上に形成される薄膜11,21,31も平坦な表面形状を有する。
凹凸形成領域102に光を照射すると、テクスチャにより光が乱反射するため、光学的手法により薄膜の膜厚を測定することは困難である。一方、平坦領域101では、凹凸形成領域のような乱反射が生じないため、光学的手法により、結晶シリコン基板1上に形成された薄膜11,21,31の膜厚の正確な測定が可能である。
平坦領域101は、製品としての太陽電池100を構成する基板上に存在するため、平坦領域101上の薄膜の膜厚は、製品としての太陽電池100における薄膜の膜厚を正確に反映している。そのため、薄膜の厚みにバッチ内バラツキやバッチ間バラツキが生じた場合でも、個々の基板上に設けられた薄膜の厚みを、正確に把握することが可能となる。
薄膜の膜厚の測定には、分光エリプソメトリー、赤外分光法、ラマン散乱法、X線回折法等の分光法が適している。中でも、短時間で薄膜の膜厚を正確に測定可能であり、複数の薄膜積層体における個々の薄膜の膜厚の測定にも適用可能であることから、分光エリプソメトリーが好ましい。
平坦領域101の大きさは、上記の方法により膜厚の測定が可能であればよく、例えば面積が10mm以上であればよい。平坦領域の面積は、膜厚の測定方法や、測定スポット径等に応じて設定すればよく、30mm以上、50mm以上、または100mm以上であってもよい。平坦領域101の面積が大きいほど、分光法による測定スポットを大きくできるため、短時間(低積算回数)で高精度の膜厚測定が可能となる。
一方、平坦領域101は、凹凸形成領域102よりも光反射率が高く、凹凸領域に比べて、太陽電池の使用時(太陽光の受光時)の光利用効率が低い。そのため、太陽電池の発電効率向上の観点から、平坦領域101の面積は1500mm以下が好ましく、1000mm以下がより好ましく、500mm以下がさらに好ましい。
平坦領域101の平面視形状は特に限定されず、膜厚測定に適した形状とすればよい。平坦領域の形状としては、正方形、長方形、菱形、平行四辺形および台形等の四角形、三角形、五角形、六角形等の多角形でもよく、円形、楕円形等でもよい。
平坦領域の面積は、受光面の面積の5%以下が好ましく、4%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましい。平坦領域の面積が受光面の5%以下であれば、発電効率への影響はわずかである。また、後述のように、平坦領域上の薄膜の膜厚を測定後に、基板を分割して、平坦領域を製品としての太陽電池から除去してもよく、平坦領域を非発電領域としてもよい。
平坦領域を有する太陽電池は、結晶シリコン基板に平坦領域を設けること以外は、一般的な太陽電池と同様のプロセスにより作製できる。結晶シリコン基板に平坦領域を設ける方法としては、主面の全体に凹凸を形成した後に、所定領域の凹凸を平坦化する方法、および主面の一部の領域に凹凸を形成せずに平坦領域とする方法が挙げられる。以下、単結晶シリコン基板を用いたヘテロ接合太陽電池の製造プロセスの一例を示す。
単結晶シリコン基板は、例えばチョクラルスキー法等によって作製されたシリコンインゴットを、ワイヤーソーを用いて所定の厚みにスライスすることにより作製される。表面にピラミッド状のテクスチャを形成するためには、(100)面で切り出した単結晶シリコン基板が用いられる。
インゴットからスライスされたシリコン基板(アズスライス基板)は、異方性エッチングによるテクスチャ形成前に、必要に応じて前処理に供される。前処理は、スライスの際のソーワイヤー等に由来する金属の付着物や、スライスによるダメージ層の除去等を目的として実施される。例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ水溶液や、フッ化水素酸と硝酸の混合液等を用いて、結晶シリコン基板の表面をエッチングすることにより、前処理が行われる。また、スライス時の切り粉や研磨剤等を除去する目的で洗浄を行ってもよい。
アズスライス基板の表面には、スライス時のソーワイヤーや砥粒による加工痕(ダメージ)による微細な凹凸が形成されている場合がある。また、前処理後の基板表面にも微細な凹凸が残存している場合がある。これらの微細な凹凸(算術平均粗さRaが100nm以下)は、異方性エッチングにより形成される凹凸に比べて十分に小さく、分光エリプソメトリー等による薄膜の膜厚測定への影響が小さいため、平坦面であるとみなすことができる。
単結晶シリコン基板の表面に、異方性エッチング用添加剤を含むアルカリ溶液(異方性エッチング液)を接触させることにより、異方性エッチングが行われ、表面にピラミッド状のテクスチャが形成される。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。添加剤は、単結晶シリコンの(110)面のエッチング速度を低下させ、(100)面のエッチング速度を相対的に大きくする作用を有する。異方性エッチング用添加剤としては、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類や各種の界面活性剤が用いられる。
単結晶シリコン基板の表面にエッチング液を接触させる方法としては、浸漬法やスプレー法が挙げられる。異方性エッチングの際に、所定の領域へのエッチング液のアクセスを制限すると、エッチング液のアクセスが制限された領域には凹凸が形成されず、平坦領域となる。
結晶シリコン基板をエッチング液に浸漬して異方性エッチングを実施する場合は、複数のシリコン基板を収容したカセットをエッチング液に浸漬する方法が効率的である。シリコン基板表面にピン等の冶具を接触させることにより、シリコン基板がカセット内で固定される。一般には、結晶シリコン基板の全面に凹凸を形成するために、冶具の接触領域はできる限り小さいことが好ましい。これとは逆に、冶具の接触領域を意図的に大きくすることにより、結晶シリコン基板の表面に、面積10mm以上の平坦領域を設けることができる。
結晶シリコン基板の表面の一部の領域にマスク材を積層した状態で、エッチングを実施してもよい。マスク材で被覆された領域には凹凸が形成されないため、この領域が平坦領域となる。マスク材としては、レジストや接着テープ等を用いればよい。
エッチングにより凹凸形成後の結晶シリコン基板は、酸、オゾン、アルカリ等による後処理に供してもよい。
異方性エッチングによる凹凸形成の前に前処理が行われる場合、前処理の際にも、所定の領域(平坦領域)へのエッチング液のアクセスが制限されていてもよい。異方性エッチングによる凹凸形成後に後処理が行われる場合、後処理の際にも所定の領域へのエッチング液のアクセスが制限されていてもよい。
例えば、カセット内に結晶シリコン基板を固定し、冶具との接触面積を大きくすることにより平坦領域を設ける場合は、同一のカセット内にシリコン基板をセットした状態で、前処理、異方性エッチングおよび後処理を実施すれば、前処理および後処理の際も、冶具が接触している領域へのエッチング液等の処理液のアクセスが制限される。また、結晶シリコン基板の表面にマスク材を積層する場合は、アズスライス基板の表面にマスク材を積層した状態で、前処理、異方性エッチングおよび後処理を実施すれば、前処理および後処理の際も、マスク材が積層された領域への処理液のアクセスが制限される。これらの形態では、平坦領域は、アズスライス基板と同様の表面形状を有する。
前処理および後処理の際には、所定領域への処理液のアクセスを制限せず、異方性エッチングを実施する際に所定領域への処理液のアクセスを制限してもよい。例えば、前処理後に、冶具との接触面積が大きいカセットにシリコン基板をセットして異方性エッチングを実施すればよい。前処理後にシリコン基板の表面にマスク材を積層し、異方性エッチング後にマスク材を除去してもよい。前処理および後処理のいずれか一方で、所定領域への処理液のアクセスを制限してもよい。前処理の途中の段階から所定領域への処理液のアクセスを制限してもよい。後処理の途中の段階まで所定領域への処理液のアクセスを制限してもよい。
平坦領域を設ける箇所は特に限定されない。結晶シリコン基板1の周縁の領域は、基板の中央部に比べて、薄膜の膜厚や膜質が不均一となりやすい。また、エッジアイソレーション等を目的として基板の周縁には薄膜が形成されない場合がある。そのため、平坦領域は、シリコン基板の周縁(端面)から離れた位置に設けられていてもよい。平坦領域がシリコン基板の端面から隔てて設けられる場合、シリコン基板の端面と平坦領域との距離W(最も近い端面との距離)は、300μm以上、500μm以上、1mm以上、2mm以上、または3mm以上であり得る。距離Wは、5mm以上、8mm以上、または10mm以上であってもよい。
図1および図2では、結晶シリコン基板1の受光面の1箇所に平坦領域101が設けられているが、受光面の複数の箇所に平坦領域を設けてもよい。複数の箇所に平坦領域を設けることにより、結晶シリコン基板の面内の複数の箇所で薄膜の膜厚を正確に測定可能であるため、面内の膜厚のバラツキを評価できる。また、1枚のシリコン基板を複数に分割して太陽電池を作製する場合は、分割後の太陽電池のそれぞれに平坦領域が設けられていれば、それぞれの太陽電池の薄膜の膜厚を正確に測定できる。
図2では、結晶シリコン基板1の受光面にのみテクスチャを有する形態が図示されているが、裏面にもテクスチャが設けられてもよい。裏面には平坦領域が設けられていてもよく、裏面の全面にテクスチャが形成されていてもよい。
一部の領域が平坦領域である結晶シリコン基板上に薄膜を形成することにより、太陽電池が得られる。薄膜の形成は通常の太陽電池の製造工程と同様に実施すればよく、凹凸形成領域102および平坦領域101の両方に薄膜が形成される。薄膜は、必ずしも結晶シリコン基板1の主面の全面に形成する必要はない。例えば、基板の周縁部分をマスクで覆って成膜を実施してもよい。膜厚の測定精度を高める観点から、平坦領域101の全体に薄膜が形成されることが好ましい。
1枚の基板上に複数の平坦領域が設けられている場合は、それぞれの平坦領域の全体に薄膜が形成されることが好ましい。平坦領域ごとに製膜する薄膜の種類を変更してもよい。例えば、第1の平坦領域にはシリコン系薄膜11,21を形成し、第2の平坦領域には透明導電層31を形成すれば、全ての薄膜を形成後に、それぞれの薄膜の膜厚を個別に測定することが可能となる。
結晶シリコン基板1の表面に真性シリコン系薄膜11,12が設けられることにより、シリコン基板への不純物拡散を抑えつつ表面パッシベーションを有効に行い、太陽電池の開放電圧を向上できる。パッシベーション効果を高めるために、真性シリコン系薄膜11,12は、水素化非晶質シリコンであることが好ましい。
結晶シリコン基板1に対するパッシベーション効果を高める観点から、真性シリコン系薄膜11,12としては、真性非晶質シリコンが好ましい。真性シリコン系薄膜11,12の膜厚は、2~15nm程度である。導電型シリコン系薄膜21,22としては、非晶質シリコン系薄膜、微結晶シリコン系薄膜等が挙げられる。シリコン系薄膜として、シリコン以外に、シリコンオキサイド、シリコンカーバイド、シリコンナイトライド等のシリコン系合金を用いることもできる。これらの中でも、非晶質シリコンが好ましい。導電型シリコン系薄膜21,22の膜厚は、3~30nm程度である。
シリコン系薄膜上に設けられる透明導電層31,32としては、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン等の導電性酸化物が好ましく、中でもITO等のインジウム系複合酸化物が好ましい。透明導電層31,32の膜厚は15~200nm程度である。
これらの薄膜の成膜方法は特に限定されない。膜厚が均一な薄膜を形成しやすいことから、スパッタ法、有機金属化学気相堆積(MOCVD)法、熱CVD法、プラズマCVD法、分子線ビームエピタキシー(MBE)法、パルスレーザー堆積(PLD)法等のドライプロセスが好ましい。シリコン系薄膜の形成にはプラズマCVD法が好ましく、透明導電層の形成にはスパッタ法またはMOCVD法が好ましい。
結晶シリコン基板1上に薄膜を成膜後、平坦領域上に形成された薄膜11,21,31の膜厚を、分光エリプソメトリー等により測定する。平坦領域では光の乱反射が少ないため、分光法による正確な膜厚測定が可能である。膜厚の測定は、1層の薄膜の形成後に逐次実施してもよく、複数の薄膜を形成後に実施してもよい。また、シリコン系薄膜11,21を形成後に、これらの合計膜厚を測定し、その後、透明導電層31を形成し、透明導電層31の膜厚を測定してもよい。
結晶シリコン基板1の受光面に平坦領域101を設け、その上に薄膜を形成し、平坦領域上の薄膜の膜厚を測定することにより、膜厚の正確な評価が可能となる。薄膜の膜厚が所定範囲内である基板を選別すれば、選別された基板(すなわち、薄膜の膜厚が所定範囲内である太陽電池)は、反射光のスペクトルの差が小さい。そのため、選別された太陽電池を集積すれば、受光面から視認した際の色調が統一され、意匠性の高い太陽電池モジュールが得られる。
結晶シリコン基板1上に薄膜41を形成後、金属電極60を形成してもよい(図3参照)。受光面側の金属電極60は、所定形状にパターニングされており、電極が設けられていない部分から光を取り込むことができる。受光面の金属電極60のパターン形状は特に限定されない。受光面の金属電極60は、y方向に延在する複数のフィンガー電極61、およびフィンガー電極に直交してx方向に延在するバスバー電極62からなるグリッド状に形成される。裏面の金属電極70は、受光面の電極と同様にパターン形状を有していてもよく、全面に設けられていてもよい。
金属電極は、スパッタ法等のドライプロセス、インクジェット印刷およびスクリーン印刷等の印刷法、めっき法等のウェットプロセスにより形成できる。図3に示すように、平坦領域101に金属電極60が設けられない場合は、金属電極60を形成後に、平坦領域101上の薄膜の膜厚を測定してもよい。平坦領域に金属電極を設ける場合は、金属電極を形成する前に、平坦領域上の薄膜の膜厚を測定する。
図3は、複数の太陽電池100を配線材81を介して電気的に接続した太陽電池ストリング130を受光面からみた平面図である。図3では、太陽電池100の表面に設けられたバスバー電極62上に配線材81が接続されているため、バスバー電極は図示されていない。1つの太陽電池の受光面の電極60と、隣接する太陽電池の裏面の電極70とを、配線材81を介して電気的に接続することにより、太陽電池ストリングが形成される。太陽電池の電極60,70と、配線材81とは、はんだや導電性接着剤等を介して接続される。
x方向に沿って複数の太陽電池を接続した太陽電池ストリングを、y方向に複数並べてグリッドを形成してもよい。
図4は、2枚の保護材の間に、太陽電池ストリング(またはグリッド)を備える太陽電池モジュールの断面図である。太陽電池ストリングの受光面側(図4の上側)には、光透過性の受光面保護材91が設けられ、裏面側(図4の下側)には裏面保護材92が設けられている。太陽電池モジュール200では、保護材91,92の間に封止材95が充填されることにより、太陽電池ストリングが封止されている。
前述のように、事前に薄膜41の膜厚を測定し、その結果に基づいて選別した太陽電池を集積してストリング(またはアレイ)を形成することにより、太陽電池モジュール200に含まれるそれぞれの太陽電池100は、薄膜の膜厚バラツキが小さく、反射光の色調が統一されている。そのため、太陽電池モジュールは、外観の色調が統一され、意匠性に優れる。
図3では、平坦領域101以外の領域(すなわち凹凸形成領域102)に金属電極60を設ける形態を示したが、平坦領域101に金属電極が設けられていてもよい。平坦領域101上に配線材81を接続してもよい。平坦領域に金属電極や配線材を設けた場合、その領域は、金属電極または配線材の「影」となり、光が到達しない。すなわち、受光面に金属電極または配線材が設けられた領域は、非発電領域となる。
平坦領域101は、受光面にテクスチャが形成されていないため、凹凸形成領域に比べると反射率が高く、太陽光の利用効率が低いが、平坦領域101を非発電領域とすれば、テクスチャが形成されていなくとも、発電効率は低下しない。平坦領域101を非発電領域とする場合は、面積を確保する観点から、平坦領域上に配線材を接続することが好ましい。平坦領域上に配線材を接続する場合、平坦領域に金属電極(例えばバスバー電極)を設けてもよく、金属電極を介さずに平坦領域上に配線材を配置してもよい。
製品としての太陽電池および太陽電池モジュールには平坦領域が含まれていなくてもよい。例えば、結晶シリコン基板1の凹凸形成領域および平坦領域に薄膜を形成し、平坦領域上の薄膜の膜厚を測定後に、シリコン基板を分割して、製品となる部分(太陽電池)から、平坦領域を除去してもよい。平坦領域を除去した太陽電池を接続してモジュール化することにより、変換効率を向上できる。平坦領域を除去する前に膜厚の測定が行われるため、その測定結果に基づいて太陽電池の選別が可能である。そのため、平坦領域を含む太陽電池をモジュール化する場合と同様に、個々の太陽電池の反射光の色調が統一され、意匠性に優れる太陽電池モジュールが得られる。
平坦領域を除去すると、太陽電池の面積が減少するため、1個の太陽電池の発電量は低下する。一方、所定の面積に配置可能な太陽電池の数が増加するため、モジュールとしての発電効率は維持できる。
上記では、基板を分割して平坦領域を除去する前に、平坦領域上の薄膜の膜厚を測定する例について言及したが、基板を分割して、製品部分から平坦領域を除去した後に、膜厚の測定を実施してもよい。分割により除去された平坦領域と製品領域との対応関係をトレース可能であれば、基板を分割後に平坦領域上の薄膜の膜厚を測定し、その結果に基づいて、太陽電池の選別が可能である。
薄膜を形成後の基板を分割する形態として、平坦領域を除去する場合について言及したが、薄膜を形成後の基板を分割して、1つの基板から複数の太陽電池を得てもよい。1つの基板上に複数の平坦領域が存在する場合は、基板上に薄膜を形成後に、基板を複数に分割し、分割後のそれぞれの太陽電池に平坦領域が含まれていてもよい。
平坦領域上で基板を分割することにより、1つの基板から、それぞれが平坦領域を有する複数の太陽電池を作製することもできる。例えば、図5Aに示すように基板120の中央に平坦領域101を設け、平坦領域を通る分割線X-Xに沿って、2つの太陽電池121,122に分割すれば、分割後の2つの太陽電池121,122は、それぞれ、平坦領域101a,101bを有する。
図3,4では、配線材81を介して隣接する太陽電池を電気的に接続する例を示したが、隣接する太陽電池の表裏を重ね合わせることにより電気的接続を行ってもよい。例えば、図5Bに示すように、太陽電池121の受光面と、太陽電池122の裏面とが重なるように積層し、太陽電池121の受光面の電極62と、太陽電池122の裏面の電極(不図示)とを接続することにより、隣接する太陽電池を電気的に接続できる(いわゆる「シングリング」構造)。
この形態では、図5Aに示すように、1つの基板120を分割して2つの太陽電池121,122を作製し、太陽電池121の端部に、太陽電池122を重ね合わせている。下側に配置される太陽電池121の平坦領域101a上に、太陽電池122を重ねれば、平坦領域101aは非発電領域となる。なお、図5Bでは2つの太陽電池を重ね合わせる例を示しているが、太陽電池122の端部に、さらに別の太陽電池を重ね合わせて、3以上の太陽電池を接続してもよい。
上記の例では、結晶シリコン基板上に薄膜を備える太陽電池の例を示したが、半導体基板は、シリコン基板に限定されず、GaAs等のシリコン以外の結晶半導体基板でもよい。また、平坦領域上に設けられた薄膜の膜厚を測定する技術は、ヘテロ接合太陽電池に限定されず、結晶半導体基板上に、半導体薄膜、透明導電膜、反射防止膜、パッシベーション膜等の各種の薄膜を備える太陽電池にも適用可能である。
太陽電池は受光面と裏面の両方に電極を有する形態に限定されず、裏面にのみ電極を有するバックコンタクト型の太陽電池であってもよい。バックコンタクト太陽電池は、受光面に電極を有さないため、外観が黒色で統一されており意匠性に優れているが、その反面、反射光のわずかな色調の相違が目立ちやすい。受光面に平坦領域を設け、その上に形成されたパッシベーション膜としての半導体薄膜や反射防止膜の膜厚を測定し、膜厚が所定範囲内であるものを集積してモジュール化することにより、全面の色調が統一されたバックコンタクト型の太陽電池モジュールを形成できる。
100,121,122 太陽電池
101 平坦領域
102 凹凸形成領域
1 結晶シリコン基板
11,12 真性シリコン系薄膜
21,22 導電型シリコン系薄膜
31,32 透明導電層
60,70 金属電極
61 フィンガー電極
62,72 バスバー電極
81 配線材
91,92 保護材
95 封止材
130 太陽電池ストリング
200 太陽電池モジュール

Claims (20)

  1. 第一主面および第二主面を有する結晶半導体基板の第一主面に凹凸を形成し、前記結晶半導体基板の第一主面上に少なくとも1層の薄膜を形成する太陽電池の製造方法であって、
    前記第一主面上の一部に、凹凸が設けられていない平坦領域が10mm以上の面積で存在し、
    前記平坦領域は、前記結晶半導体基板の端面から隔てて設けられており、
    前記結晶半導体基板の第一主面上の、凹凸形成領域および平坦領域の両方に、前記薄膜を形成する、太陽電池の製造方法。
  2. 前記薄膜を形成した後、前記平坦領域上に形成された薄膜の膜厚を測定し、
    薄膜の膜厚を測定後に、前記結晶半導体基板を分割して前記平坦領域を除去することにより、前記平坦領域を含まない太陽電池を得る、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  3. 第一主面および第二主面を有する結晶半導体基板の第一主面に凹凸を形成し、前記結晶半導体基板の第一主面上に少なくとも1層の薄膜を形成する太陽電池の製造方法であって、
    前記第一主面上の一部に、凹凸が設けられていない平坦領域が10mm以上の面積で存在し、
    前記結晶半導体基板の第一主面上の、凹凸形成領域および平坦領域の両方に、前記薄膜を形成し、その後、前記平坦領域上に形成された薄膜の膜厚を測定し、
    薄膜の膜厚を測定後に、前記結晶半導体基板を分割して前記平坦領域を除去することにより、前記平坦領域を含まない太陽電池を得る、太陽電池の製造方法。
  4. 分光法により前記薄膜の膜厚を測定する、請求項2または3に記載の太陽電池の製造方法。
  5. 前記平坦領域の面積が、第一主面の面積の5%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  6. 前記結晶半導体基板が、単結晶シリコン基板または多結晶シリコン基板である、請求項1~のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  7. アルカリを用いた異方性エッチングにより、前記結晶半導体基板の第一主面に凹凸を形成する、請求項1~のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  8. 前記凹凸形成領域における凹凸高さが0.5~10μmである、請求項1~のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  9. 前記結晶半導体基板の第一主面に凹凸を形成する際に、前記結晶半導体基板の第一主面の一部の領域に冶具を接触させることにより、前記結晶半導体基板を固定し、
    前記冶具が接触している領域に凹凸が形成されないことにより、前記平坦領域が設けられる、請求項1~のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  10. 前記結晶半導体基板の第一主面の一部の領域にマスクを積層した状態で、前記結晶半導体基板の第一主面に凹凸を形成することにより、前記マスクが積層された領域を前記平坦領域とする、請求項1~いずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  11. 前記結晶半導体基板の第一主面上に複数の平坦領域を設け、複数の平坦領域のそれぞれに少なくとも1層の薄膜を形成する、請求項1~10のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  12. 前記薄膜として、少なくとも1層の透明導電膜を形成する、請求項1~11のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  13. 前記薄膜として、少なくとも1層の半導体薄膜を形成する、請求項1~12のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  14. 前記薄膜を形成した後、前記結晶半導体基板を複数に分割して、1つの結晶半導体基板から2以上の太陽電池を得る、請求項1~13のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  15. 前記薄膜を形成した後、前記平坦領域を通る分割線に沿って前記結晶半導体基板を複数に分割して、1つの結晶半導体基板から2以上の太陽電池を得る、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  16. 請求項1~15のいずれか1項に記載の方法により太陽電池を製造し、
    前記平坦領域上に形成された薄膜の膜厚を測定し、
    前記薄膜の膜厚が所定範囲内である太陽電池を選別し、
    選別された太陽電池の複数を電気的に接続してモジュール化する、太陽電池モジュールの製造方法。
  17. 前記薄膜の膜厚を測定後、モジュール化の前に、前記結晶半導体基板を分割して前記平坦領域を除去する、請求項16に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  18. 請求項1に記載の方法により太陽電池を製造し、
    前記平坦領域上に形成された薄膜の膜厚を測定し、
    前記薄膜の膜厚が所定範囲内である太陽電池を選別し、
    前記平坦領域に配線材を接続し、配線材を介して複数の太陽電池を電気的に接続してモジュール化する、太陽電池モジュールの製造方法。
  19. 複数の太陽電池が電気的に接続されている太陽電池モジュールの製造方法であって、
    第一主面および第二主面を有し、第一主面に凹凸を有し、かつ第一主面上の一部に、凹凸が設けられていない平坦領域が10mm 以上の面積で存在する結晶半導体基板を準備し、
    前記結晶半導体基板の第一主面上の、凹凸形成領域および平坦領域の両方に、少なくとも1層の薄膜を形成することにより太陽電池を製造し、
    前記平坦領域上に形成された薄膜の膜厚を測定し、
    前記薄膜の膜厚が所定範囲内である太陽電池を選別し、
    選別された太陽電池の複数を電気的に接続してモジュール化を行い、
    前記薄膜の膜厚を測定後、モジュール化の前に、前記結晶半導体基板を分割して前記平坦領域を除去する、
    太陽電池モジュールの製造方法。
  20. 請求項1または15に記載の方法により太陽電池を製造し、
    前記平坦領域上に形成された薄膜の膜厚を測定し、
    薄膜の膜厚を測定後の太陽電池の前記平坦領域が、他の太陽電池の第二主面と重なるように積層して、複数の太陽電池を電気的に接続してモジュール化する、太陽電池モジュールの製造方法。
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