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JP7143682B2 - セリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子及びその製造方法 - Google Patents
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セリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、セリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子及びその製造方法に関する。
大気中のホルムアルデヒドを酸化して無害化する技術として、二酸化マンガン粒子と酸化セリウム粒子との混合体が有効であることが報告されている(特許文献1)。
一方で、デルタ型二酸化マンガンを酸性から中性液中でセリウムイオン交換した技術が報告されている(特許文献2)。本反応はヘプタン酸化反応に適用されている。本特許文献ではマンガン成分のセリウム成分は比較的均一に分散しており、アルカリ金属含有量はマンガンモル比で0.05以下であることが必要とされている。
また、放射性金属の吸着材として、水酸化セリウム、二酸化マンガン、リン酸銀の混合体が有効との報告がある(特許文献3)。水酸化セリウムの含有量は少なくとも90wt%以上と記載されている。
特開2000-79157号公報 特開昭57-12828号公報 特開2017-116407号公報
特許文献1の二酸化マンガンと酸化セリウムの物理混合体については、触媒活性点は二酸化マンガンと酸化セリウムとの界面と考えられる。製造は簡易であることが予想されるが、二種の粒子の混合体であるため、活性点の反応面積は限定的とみなせる。セリウム成分とマンガン成分とが原子またはナノレベルで分散する方が好ましいと考えられる。
また、特許文献2のセリウムイオン交換デルタ型二酸化マンガンは、アルカリ金属を含むデルタ型二酸化マンガンを得た後に、主として酸性セリウム水溶液でイオン交換処理する必要がある。また、ナトリウムをマンガンモル比で0.05以下とするためには、複数回のイオン交換が必要であることが予想される。以上から、製造プロセスが煩雑であることが明らかである。
特許文献3はマンガン酸化物とセリウム酸化物との混合体を放射性金属吸着材に用いているが、セリウムが主体であるため、吸着材のコストが高いという問題がある。
本発明ではこれらの課題を解決するものであり、ホルムアルデヒド除去に典型的な環境浄化材料の要件であるマンガンおよびセリウムが原子またはナノレベルで分散したセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子を提供することを目的とする。
本発明者はセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子の触媒および金属イオン吸着特性、製造方法について鋭意検討した。
すなわち、酸化セリウムと二酸化マンガンとの混合体については触媒性能を示すが、酸化セリウムと二酸化マンガンとの界面反応であるため、十分な性能を持ちえなかった。このような課題に対し、マンガンとセリウムとを必須成分とし、原子またはナノレベルで高分散制御することで、優れた触媒性能を実現するに至った。また、結晶構造をデルタ型とすることで、触媒毒の可能性があるナトリウム成分を結晶層間に固定、表面存在量を抑制し、かつイオン交換能を持たせることにより、金属イオン吸着除去を可能とした。
また、セリウム含有デルタ型二酸化マンガンの製造方法については、従来公知のものはデルタ型二酸化マンガンを一旦調製した後に、酸性セリウム溶液でイオン交換する方法などが挙げられる。しかしながら、一段の反応晶析に比べ、製造プロセスが高価、複雑となる可能性が高い。さらには、本発明の製造方法によると単分散粒子が得られるため、粉体製造プロセスに極めて有利である。
以上の結果から、本発明者は本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、セリウムを金属モル比率で3%以上25%以下含有し、結晶構造がデルタ型であり、BET比表面積が50m/g以上150m/g以下であり、平均粒子径が3μm以上30μm以下であり、かつ、体積粒子径分布測定における、最大頻度を示す粒径のピーク強度に対する、累積10%および90%の粒径のピーク強度比が0.5以下となるモノモ―ダルな粒度分布を有することを特徴とするセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子、並びにその製造方法である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子は、セリウムを金属モル比率で3%以上25%以下含有する。セリウムを金属モル比率で3%以上25%以下含有する場合、優れた触媒または吸着性能を発揮する。また、デルタ型二酸化マンガン構造を維持する範囲で、マンガン、セリウム、ナトリウム以外の金属を含有することがきる。例えば、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウムなどが挙げられる。
本発明のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子の結晶構造としてはデルタ型二酸化マンガン構造が必須である。デルタ型はアルファ、ベータ、ガンマ型などのトンネル構造とは異なり、層状構造のため、イオン交換能が高く、他の結晶構造に比べ、ナトリウムを結晶層間に固定しやすい傾向がある。この場合、MnOシートの層間にナトリウムが存在し、セリウムは層間またはMnOシートの両方に存在する。セリウムを高分散させ、イオン交換能を付与し、粒子表面のナトリウム量を抑制するには、デルタ型構造が最適である。
本発明のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子は、BET比表面積が50m/g以上150m/g以下であることが必須である。BET比表面積が50m/g未満であると、ガス吸着または酸化および金属イオン吸着に不利であり、150m/gを超えると、低結晶性となりデルタ型二酸化マンガン構造が損なわれるため、金属イオン吸着性能が低下する。60m/g以上120m/g以下であることが好ましい。一般的には、触媒活性や吸着性能と比表面積とは関係性が高いため、高比表面積の方が高活性な触媒、吸着材が得られやすい。
本発明のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子は、スラリーにしてハニカムなどの構造体に塗布する場合は、平均粒子径3μm以上30μm以下が必須である。3μm以下であると、スラリーが増粘する場合や、粒子晶析後のろ過に支障をきたす場合がある。一方、30μmを超えると、スラリー調製時に粒子沈降が顕在化し、均一なスラリー調製が困難である。3μm以上10μm以下が好ましい。なお、平均粒子径とは、一次粒子が凝集した二次粒子の平均粒子径、いわゆる凝集粒子径である。
本発明のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子の粒子径分布については、体積粒子径分布測定における、最大頻度を示す粒径のピーク強度に対する、累積10%および90%の粒径のピーク強度比が0.5以下となるモノモ―ダルな粒度分布を有することが必要である。このようにモノモ―ダルな粒度分布を有することで、粒子のろ過性、流れ性が改善され、製造工程で配管の閉塞や粒子の固着を抑制することができるため、有利となる。
本発明のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子の具体的な化学組成としては、例えば、Na:Ce:Mn(モル比)=0.15:0.07:0.78、0.15:0.03:0.82、0.15:0.15:0.70、0.00:0.08:0.92、0.00:0.20:0.80等が挙げられる。
本発明のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子は、ナトリウムを結晶層間に含有することができる。セリウムとマンガンとが原子またはナノレベルで高分散したものを得るためには、本発明の製造方法に特徴的な中和反応による共沈物調製が好適である。この際、アルカリとして、苛性ソーダ水溶液が最も安価な薬剤であるが、ナトリウムなどのアルカリが性能低下につながる懸念がある。しかしながら、本発明ではアルカリ成分であるナトリウムは結晶層間に固定されるため、表面に存在する確率は低い。このため、ナトリウムを含有していても優れた触媒性能を発揮できる。また、ナトリウムの金属モル比率は10%以上25%以下が好ましく、15%以上20%以下がより好ましい。ナトリウム量増減により、イオン交換容量と触媒性能とが二律背反の関係となるため、ナトリウム量は金属モル比率で10%以上20%以下の範囲が最適といえる。
次に、本発明のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子の製造方法について説明する。
本発明のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子の製造方法は、少なくともマンガン、セリウム及び硫酸イオンを含む水溶液と、アルカリ性水溶液及び酸化剤としてペルオキソ二硫酸塩とを混合して晶析した後、ろ過、洗浄、乾燥するものである。
本発明のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子の製造方法で使用されるマンガン、セリウム及び硫酸イオンを含む水溶液は、金属塩として、マンガン、セリウムを含む硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩などを溶解させた水溶液や、硫酸、硝酸、酢酸などの無機酸にマンガン、セリウムを溶解した水溶液等を挙げることができる。好ましい金属原料として、硫酸マンガン及び硫酸セリウムを含む水溶液を例示することができる。なお、硫酸セリウムのセリウム原子価はIIIもしくはIV、またはそれらの混合物である。また、硫酸イオンの原料としては、金属硫酸塩、硫酸、硫酸アンモニウムなどを挙げることができる。
また、水溶液中のマンガン、セリウムの割合は、目的とするセリウム含有二酸化マンガンのマンガン、セリウムの割合となるようにすればよい。さらに、セリウムを金属モル比率で3%以上25%以下である場合、酸化触媒としての性能を向上させることができる。
水溶液中のマンガン、セリウムの全金属の合計濃度(金属濃度)は任意であるが、生産性をより良好にするため、0.5mol/L以上が好ましく、1.0mol/L以上がさらに好ましい。
アルカリ性水溶液は、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)などのアルカリ金属を含むものが好適である。また、金属を含有しないアルカリ性水溶液も使用でき、アンモニア水やアミンなどの非金属アルカリ性水溶液があげられる。中でも苛性ソーダ水溶液が最も好ましい。苛性ソーダの濃度としては5重量%以上20重量%以下を例示できる。
目的とするセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子を得るためには、酸化剤としてペルオキソ二硫酸塩が必須である。ペルオキソ二硫酸塩としては、例えば、ナトリウム塩(ペルオキソ二硫酸ナトリウム)、アンモニウム塩(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)を挙げることができる。ペルオキソ二硫酸塩は水溶液として金属塩水溶液や金属を含有しないアルカリ性水溶液と同様に混合することができる。その際の濃度は3重量%以上50重量%以下を例示することができる。
マンガン、セリウム及び硫酸イオンを含む水溶液、アルカリ性水溶液及び酸化剤であるペルオキソ二硫酸塩水溶液を混合することにより、本発明のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子が得られる。
晶析の際の液pHは目標とする金属組成となるように晶析できれば、特に限定するものでは無いが、より均一な粒子を得るため、液pH9.0より高く10.0未満が好ましい。
マンガン、セリウム及び硫酸イオンを含む水溶液、金属を含有しないアルカリ性水溶液及び酸化剤を混合するときの温度は、低温の10℃以上39℃以下が好ましい。10℃以上とすることで、原料の金属塩水溶液において金属塩が再析出することが防止される。また、アルカリ水溶液として用いられるアンモニアを用いる場合、沸点が低いため、液温を39℃以下とすることで蒸気圧を極力抑制し効率的に使用することが可能である。
本発明のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子の製造方法は、雰囲気制御は必要なく、通常の大気雰囲気下で行うことが可能である。
セリウム含有デルタ型セリウム含有二酸化マンガン単分散粒子が得られれば、製造はバッチ式、連続式のどちらでも可能である。バッチ式の場合、混合時間は任意である。例えば、3~48時間が挙げられ、さらには6~24時間を挙げることができる。一方、連続式の場合、デルタ型セリウム含有二酸化マンガン単分散粒子が反応容器内に滞在する平均滞在時間を1~30時間にするのが好ましく、3~20時間がより好ましい。
本発明のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子の製造方法では、セリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子が晶析した後に、ろ過、洗浄及び乾燥を行う。
ろ過では、一般的な固液分離操作を行うもので、特に制限はない。
洗浄では、セリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子に付着、吸着した不純物を除去する。洗浄方法としては、例えば、水(例えば、純水、水道水、河川水等)にセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子を添加し、これを洗浄する方法等が例示できる。
乾燥では、セリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子の水分を除去する。乾燥方法としては、例えば、セリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子を110~150℃で2~15時間で乾燥すること等が挙げられる。乾燥の雰囲気については特に制限はないが、簡便であるため大気で行なうことが好ましい。
本発明のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子の製造方法では、乾燥した後に、粉砕を行ってもよい。
粉砕では、用途に適した平均粒子径の粉末とする。所望の平均粒子径となれば粉砕条件は任意であり、例えば、湿式粉砕、乾式粉砕等の方法で粉砕することが例示できる。
本発明のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子は、これを酸化触媒として、特に環境浄化触媒として使用することができる。また、デルタ型二酸化マンガンに特徴的なイオン交換性を利用した金属吸着材としても利用可能である。さらには酸素反応に対する電極触媒としても利用可能である。
本発明のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子は、比表面積が高く、イオン交換能を有するデルタ型二酸化マンガンであるため、触媒および吸着材として優れた性能を示す。また、極めて均一な粒子径を有するため、スラリーや成型体の作製に好適である。
実施例1のマンガン系複合酸化物のXRDパターンである。 実施例1のマンガン系複合酸化物の粒度分布曲線である。 実施例1のマンガン系複合酸化物の走査型電子顕微鏡像である。 実施例2のマンガン系複合酸化物のXRDパターンである。 実施例2のマンガン系複合酸化物の粒度分布曲線である。 実施例2のマンガン系複合酸化物の走査型電子顕微鏡像である。 比較例1のマンガン酸化物のXRDパターンである。 比較例1のマンガン酸化物の粒度分布曲線である。 比較例1のマンガン酸化物の走査型電子顕微鏡像である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
<化学組成の測定>
得られた試料の組成分析は誘導結合プラズマ発光分析法(ICP法)により行った。すなわち、試料粉末と過酸化水素水とフッ化水素酸とを加圧酸溶解することで、測定溶液を調製した。一般的な誘導結合プラズマ発光分析装置(商品名:OPTIMA3000DV、PERKIN ELMER製)を用い、得られた測定溶液を測定することで、得られた試料の化学組成を分析した。
<粉末X線回折測定>
一般的なX線回折装置(商品名:Ultima4、リガク製)を使用し、得られた試料の粉末X線回折測定を行った。線源にはCuKα線(λ=1.5405Å)を用い、測定モードはステップスキャン、スキャン条件は毎秒0.04°、計測時間は0.25秒、測定範囲は2θとして10°から90°の範囲で測定した。
<BET比表面積の測定>
流動式比表面積自動測定装置(商品名:フローソーブ3-2305、Micrometrics社製)を用い、得られた試料1.0gを窒素気流中150℃、1時間前処理した後、BET1点法にて吸脱着面積を測定した後、重量で除することでBET比表面積(m/g)を求めた。
<粒度分布の測定>
試料の粒度分布は以下の様に測定した。試料0.5gを0.1N-アンモニア水50mL中に投入し、10秒間超音波照射して分散スラリーとした。分散スラリーをレーザー回折式粒子径分布測定装置(商品名:マイクロトラックHRA、HONEWELL製)に所定量投入し、レーザー回折法で体積分布の測定を行なった。得られた体積分布から、体積粒子径を求めて粒度分布を評価した。
<ホルムアルデヒド除去試験>
ホルムアルデヒド吸着材として、試料1gをテドラーバッグに封入して減圧脱気した後、6.8ppm(体積濃度)のホルムアルデヒドガスを1L注入した。室温で2時間静置後、テドラーバッグ内のガスを2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)を担持したカートリッジ(商品名:プレセップ-C DNPH、和光純薬工業製)に吸着させた。このカートリッジからDNPH-アルデヒド縮合体を溶出(溶離液=アセトニトリル)し、溶出液中のDNPH-アルデヒド縮合体を液体クロマトグラフ(商品名:Agilent 1220 Infinity LC、アジレント・テクノロジー製)で定量して残存ホルムアルデヒド濃度を算出した。
<ストロンチウム吸着量の測定>
試験研究用 人工海水試薬(商品名:マリンアートSF-1、富田製薬製)を用い、海水と同様の成分を含む被処理水溶液(以下、「模擬海水」とする。)を調製した。なお模擬海水にはストロンチウムが7ppmの濃度で含まれる。
模擬海水25mLに、吸着剤試料0.05gを添加した。これを温度25℃で24時間撹拌することにより吸着試験を行った。
試料水溶液中のストロンチウム濃度測定は誘導結合プラズマ発光分析法(ICP法)により行った。測定には一般的な誘導結合プラズマ発光分析装置(商品名:OPTIMA3000DV、PERKIN ELMER製)を用い、得られた測定溶液を測定することでストロンチウム濃度を求めた。
吸着試験を行う前の模擬海水のストロンチウム濃度をC(mg/L)、吸着試験後の模擬海水C(mg/L)、吸着剤試料の重量W(g)とし、ストロンチウム吸着量を下式により求めた。
ストロンチウム吸着量(mg/g)=(C-C)/W
実施例1
硫酸マンガン、硫酸セリウムを純水に溶解し、Mn:Ceモル比=9:1のマンガン、セリウム及び硫酸イオンを含む水溶液とした(水溶液中の全金属の合計濃度は2.0mol/L)。なお、硫酸マンガン、硫酸セリウムは、いずれも試薬特級(キシダ化学製)であった。
当該水溶液を供給速度0.5g/minで反応容器に添加した。また、酸化剤として40wt%ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液を供給速度0.45g/minで反応容器中にバブリングした。原料液供給の際、pHが9.5となるように、10重量%苛性ソーダ水溶液を断続的に添加することで混合して共沈物が晶析し、スラリーを得た。なお、この際の混合温度は20℃であった。得られたスラリーをろ過、洗浄した後、洗浄後のウェットケーキを150℃で10時間乾燥することによりマンガン系複合酸化物を得た。
得られた試料は、組成分析結果から、Na:Ce:Mn(モル比)=0.15:0.07:0.78であることが分かった。
得られた試料のXRDパターンを図1に示す。XRDピークは層状構造を有するδ-MnO型構造として指数付けできた。
また、当該マンガン系複合酸化物のBET比表面積は112m/gと十分に高いことが分かった。
得られた試料の粒度分布曲線を図2に示し、走査型電子顕微鏡像を図3に示す。平均粒子径は17.2μmで、体積粒子径分布測定における、最大頻度を示す粒径のピーク強度に対する、累積10%および90%の粒径のピーク強度比はそれぞれ0.243、0.412であった。粒度分布に関する結果を表1に示した。
Figure 0007143682000001
上記結果から、当該マンガン系複合酸化物はセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子であることが分かった。
また、ホルムアルデヒド吸着試験結果を表2に示した。当該マンガン系複合酸化物を吸着材として用いた場合、ホルムアルデヒド濃度が著しく低下したことから、良好な吸着特性を示すことが確認された。
Figure 0007143682000002
また、ストロンチウム吸着量の測定結果は、1.1mg/gであった。当該マンガン系複合酸化物を吸着材として用いた場合、海水中のストロンチウムに対し、良好な吸着特性を示すことが確認された。
実施例2
苛性ソーダの代わりに10wt%-アンモニア水を、ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液の代わりに40wt%-ペルオキソ二硫酸アンモニウムを用いた以外は実施例1と同様に合成を行い、マンガン系複合酸化物を得た。
得られた試料は、組成分析結果から、Na:Ce:Mn(モル比)=0.00:0.08:0.92であることが分かった。
得られた試料のXRDパターンを図4に示す。001および002回折ピークが実施例1と比較すると強度低下しているが、その他の回折ピークは実施例1と同様であった。X線原子散乱因子が比較的大きいセリウムが結晶層間に存在するため、00Lピーク(L=1、2)のピーク強度が低下したと考えられる。したがって、当該マンガン系複合酸化物もδ-MnO型構造であった。
また、当該マンガン系複合酸化物のBET比表面積は67.3m/gと十分に高いことが分かった。
得られた試料の粒度分布曲線を図5に示し、走査型電子顕微鏡像を図6に示す。平均粒子径は26.8μmで、体積粒子径分布測定における、最大頻度を示す粒径のピーク強度に対する、累積10%および90%の粒径のピーク強度比はそれぞれ0.394、0.413であった。粒度分布に関する結果を表1に示した。
上記結果から、当該マンガン系複合酸化物はセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子であることが分かった。
また、ホルムアルデヒド吸着試験結果を表2に示した。当該マンガン系複合酸化物を吸着材として用いた場合、ホルムアルデヒド濃度が低下したことから、良好な吸着特性を示すことが確認された。
また、ストロンチウム吸着量の測定結果は、0.46mg/gであった。当該マンガン系複合酸化物を吸着材として用いた場合、海水中のストロンチウムに対し、良好な吸着特性を示すことが確認された。
比較例1
硫酸マンガンを純水に溶解し、2.0mol/Lの硫酸マンガン水溶液を得た。なお、硫酸マンガンは、試薬特級(キシダ化学製)であった。
当該水溶液を供給速度0.5g/minで反応容器に添加した。また、酸化剤として40wt%ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液を供給速度0.45g/minで反応容器中にバブリングした。原料液供給の際、pHが9.5となるように、10重量%アンモニア水を断続的に添加することで混合してマンガン酸化物が晶析し、スラリーを得た。なお、この際の混合温度は20℃であった。得られたスラリーをろ過、洗浄した後、洗浄後のウェットケーキを150℃で10時間乾燥することによりマンガン酸化物を得た。
得られた試料のXRDパターンを図7に示す。XRDピークは層状構造を有するδ-MnO型構造として指数付けできる。
また、当該マンガン酸化物のBET比表面積は69.9m/gと十分に高いことが分かった。
得られた試料の粒度分布曲線を図8に示し、走査型電子顕微鏡像を図9に示す。平均粒子径は122μmで、体積粒子径分布測定における、最大頻度を示す粒径のピーク強度に対する、累積10%および90%の粒径のピーク強度比はそれぞれ0.391、0.380であった。粒度分布に関する結果を表1に示した。
比較例2
ホルムアルデヒド吸着材として、シリカゲル(製品名:PSQ60B、富士シリシア製)を用いたこと以外は実施例1と同様にホルムアルデヒド吸着試験を実施した結果を表2に示した。
実施例1、2及び比較例2より明らかなように、本発明のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子は既存のホルムアルデヒド吸着材と比較して高いホルムアルデヒド吸着性能を示した。
本発明のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子は、環境浄化用の吸着材、酸化触媒および電池、電解用の電極触媒として使用できる。特に、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどを含む生活臭気の浄化触媒として使用できる。

Claims (5)

  1. セリウムを金属モル比率で3%以上25%以下含有し、結晶構造がデルタ型であり、BET比表面積が50m/g以上150m/g以下であり、平均粒子径が3μm以上30μm以下であり、かつ、体積粒子径分布測定における、最大頻度を示す粒径のピーク強度に対する、累積10%および90%の粒径のピーク強度比が0.5以下となるモノモ―ダルな粒度分布を有することを特徴とするセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子。
  2. ナトリウムを結晶の層間に含み、かつ、金属モル比率が10%以上25%以下であることを特徴とする請求項1に記載のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子。
  3. マンガン、セリウム及び硫酸イオンを含む水溶液と、アルカリ性水溶液及びペルオキソ二硫酸塩とを混合して晶析した後、ろ過、洗浄、乾燥して得られることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子の製造方法。
  4. 晶析の際の液pHが9.0より高く10.0未満であることを特徴とする請求項3に記載のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子の製造方法。
  5. 晶析の際の液温度が10℃以上39℃以下であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のセリウム含有デルタ型二酸化マンガン単分散粒子の製造方法。
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