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JP7145476B2 - 複層ガラス剥離装置及び剥離方法 - Google Patents
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JP7145476B2 - 複層ガラス剥離装置及び剥離方法 - Google Patents

複層ガラス剥離装置及び剥離方法 Download PDF

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Description

本発明は、複層ガラスからガラス板を剥離する剥離装置及び剥離方法に関する。
断熱、防音、遮熱、防犯等のために、複層ガラスが用いられている。複層ガラス端部の断面構造を図3に示す。
複層ガラス2は、通常、第一のガラス板21aと第2のガラス板21bとを一次シーリング材231によりスペーサー22を介して接着し、その周囲に二次シーリング材232が充填されたものである(以下、一次シーリング材231と二次シーリング材232とを合わせて、単にシーリング材23ともいう)。第一のガラス板21aと第二のガラス板21bとの間は中空層であり、乾燥空気などが密封されている。
スペーサー22は、断面が略コ字型のアルミニウム合金からなり、その内部には乾燥剤(図示せず)が配置される。乾燥剤は、特に制限されないが、一般に、ゼオライトが用いられる。
一次シーリング材231は、中空層の乾燥度を維持するために、透湿抵抗が高いブチル系接着剤等が用いられる。二次シーリング材232は、複層ガラスが使用される地域の気候、設置場所の環境等により、シリコーン系接着剤、ポリサルファイド系接着剤、ホットメルト系接着剤、ウレタン系接着剤等が用いられるが、取扱性に優れるシリコーン系接着剤とポリサルファイド系接着剤が一般的である。
複層ガラスは、上記したような複雑な構造を有するため高価であり、これまでは主にオフィスビル、ホテル等の大型建築物に使用されていた。しかし、近年、冷暖房効率の向上による高い省エネルギー効果が評価され、一般住宅にも普及が進んでいる。
ここで、建築物が、改修、解体等されると、廃棄物としてガラスが発生する。ガラスは、破砕され、ガラスカレットとしてリサイクルされるが、ガラスカレットを再利用して製造されるガラス製品の品質低下を防ぐために、ガラスカレットには異物混入量が少ないことが求められる。例えば、板硝子協会は、板ガラス原料としての回収ガラスカレット受入品質として、有機化合物の許容量20ppm以下を規定している。複層ガラスは、スペーサー、シーリング材、乾燥剤等を有するため、そのまま破砕すると異物が混入してしまう。また、複層ガラスからガラス板のみを分離することも困難であるため、廃棄された複層ガラスの多くは、ガラスカレットとしての再利用されることなく、埋め立て処理されている。
複層ガラスをリサイクルするために、複層ガラスからガラス板を異物混入量が少ないように分離することが求められており、例えば、特許文献1には、複層ガラスに近赤外線を照射してガラス部を透過させ、接着部(シーリング材)を加熱することによって接着剤を軟化または変質させてガラスを支持部材(スペーサー)から分離させるガラス分離処理方法が提案されている。また、特許文献2には、複層ガラスの外方から封着材(シーリング材)へレーザビームを照射し、封着材の接着力を消失させて、2枚のガラスを封着材から分離する複層ガラスの分解処理方法が提案されている。
特許文献1に記載された方法は、接着部以外も加熱されるため熱エネルギーのロスが大きく、断熱ガラス、遮熱ガラス、熱線吸収ガラス等の近赤外線の透過率が低いガラス板を利用した複層ガラスを処理する場合は、さらにエネルギー消費量が増加する。また、ガラス全体を同時に加熱する必要があるため、装置が大型化する、対象とするガラスサイズが制限されるという問題がある。さらに、剥離されたガラス板には、接着剤の一部が残存しやすく、得られるガラスカレットの品質が低い、不安定であるという問題もある。
特許文献2に記載された方法は、レーザー光をスペーサーの幅方向に往復(スキャン)させながら、スペーサーの長さ方向に沿って走査するため、高速化に制限がある。また、光学系が絶えず駆動しているため、複層ガラスを走査するための駆動系や装置外からの振動があると照射位置精度が低くなり、剥離に悪影響が出る可能性がある。さらに、特許文献2では、レーザー強度の指標として「ビーム強度」(以後、一般的な用語である「ピークパワー密度」という)という単位面積あたりのレーザーパルスの高さを使用しているが、本発明者らの検討によれば、複層ガラスの剥離条件に寄与するのはピークパワー密度ではなく、単位面積あたりのエネルギー密度(フルエンス)である。そのため、ピークパワー密度によってレーザー光の照射条件を設定すると、ガラス板が剥離できない場合や、照射エネルギー量が過剰となる場合がある。照射エネルギー量が過剰となると、封着材の分解により発生するガス量が増え、このガスがレーザーの熱で引火、爆発する危険性がある。
特開2009-50801号公報 特開2008-155197号公報
本発明は、複層ガラスからガラス板を短時間で分離することができる複層ガラス剥離装置と、複層ガラスからのガラス剥離方法を提供することを課題とする。
本発明の課題を解決するための手段は以下のとおりである。
1.レーザー発振器と、少なくとも1つのレンズを備える第一の光学系とを有し、
前記第一の光学系が、前記レーザー発振器から出射される第一のレーザー光を複層ガラス内面のシーリング材に照射し、
前記第一のレーザー光が、前記複層ガラスのスペーサーの長さ方向と平行な1軸方向にのみ走査しながら照射されることを特徴とする複層ガラス剥離装置。
2.前記レーザー発振器の発振波長が、330nm以上2800nm以下であることを特徴とする1.に記載の複層ガラス剥離装置。
3.前記第一のレーザー光の複層ガラス表面におけるエネルギー密度が4J/cm以上840J/cm以下であることを特徴とする1.または2.に記載の複層ガラス剥離装置。
4.前記第一のレーザー光の前記複層ガラス表面における照射領域の、前記スペーサーの長さ方向と平行な方向の幅をd1、前記スペーサーの幅方向と平行な方向の幅をd2としたとき、d1<d2であることを特徴とする1.~3.のいずれかに記載の複層ガラス剥離装置。
5.前記第一のレーザー光の照射領域の中心が、一次シーリング材上に位置することを特徴とする1.~4.のいずれかに記載の複層ガラス剥離装置。
6.第二の光学系を有し、
前記第二の光学系が、第二のレーザー光を前記複層ガラスの中央側から、前記複層ガラスを構成するガラス板の側面に照射することを特徴とする1.~5.のいずれかに記載の複層ガラス剥離装置。
7.前記第一の光学系による照射領域と、前記第二の光学系による照射領域とが重複しないことを特徴とする1.~6.のいずれかに記載の複層ガラス剥離装置。
8.第一のレーザー光を、複層ガラスの面に対して垂直な方向から、前記複層ガラスのシーリング材に照射し、
前記第一のレーザー光が、前記複層ガラスのスペーサーの長さ方向と平行な1軸方向にのみ走査しながら照射することにより、前記シーリング材の接着力を低下させることを特徴とする複層ガラスからのガラス板剥離方法。
9.第二のレーザー光を前記複層ガラスの中央側から、前記複層ガラスの側面に照射することを特徴とする8.に記載のガラス板剥離方法。
本発明の複層ガラス剥離装置は、レーザー光を複層ガラスのスペーサーの長さ方向と平行な1軸方向にのみ走査しながら照射することにより、装置の簡素化、低コスト化、処理速度の高速化を達成することができる。レーザー光を、照射領域がスペーサーの長さ方向と平行な方向の幅をd1、スペーサーの幅方向と平行な方向の幅をd2としたとき、d1<d2である形状となるように照射することにより、エネルギー密度を高くすることができ、より高速で処理を行うことができる。複層ガラスの一次シーリング上に照射領域の中心が位置するようにレーザー光を照射することにより、分解速度がより高温である一次シーリング材を効率的に加熱することができる。ガラス板の側面に第二のレーザー光を照射することにより、ガラス板に混入する有機物量を減らすことができ、また、複層ガラスからのガラス板を容易に剥離することができる。
本発明の一実施態様である複層ガラス剥離装置によるレーザー光照射時の概略図。 本発明の一実施態様である複層ガラス剥離装置を用いて、複層ガラスにレーザー光を照射している様の斜視図。 複層ガラス端部の断面構造を示す模式図。
本発明は、レーザー発振器と、少なくとも1つのレンズを備える第一の光学系とを有し、第一の光学系からの第一のレーザー光を複層ガラス内面のシーリング材に照射するに際し、第一のレーザー光が、複層ガラスのスペーサーの長さ方向と平行な1軸方向にのみ走査しながら照射される複層ガラス剥離装置に関する。
なお、本発明の複層ガラス剥離装置は、レーザー発振器と光学系以外に、搬送装置、シールド、センサ、集塵機、排気装置、装置内部を監視するための窓もしくはカメラ等を備えることができる。
図1に、本発明の一実施態様である複層ガラス剥離装置によるレーザー光照射時の概略図を示す。また、図2に、本発明の一実施態様である複層ガラス剥離装置を用いて、複層ガラスにレーザー光を照射している際の斜視図を示す。なお、本発明の図1~3において、同一部材には同一符号を付す。
以下、本発明の複層ガラス剥離装置と、ガラス板剥離方法を、図1、2に示す一実施態様である複層ガラス剥離装置1を例に説明する。
一実施態様である複層ガラス剥離装置1は、レーザー発振器11と、レーザー発振器11から照射されたレーザー光L0を第一のレーザー光L1と第二のレーザー光L2と分岐するビームスプリッタ12と、凸レンズ131とシリンドリカルレンズ132を備え第一のレーザー光L1を導く第一の光学系13と、ミラー143と凸レンズ141とシリンドリカルレンズ142を備え第二のレーザー光L2を導く第二の光学系14とを有する。
レーザー発振器は、330nm以上2800nm以下の発振波長を有するものが好ましい。この発振波長であれば、フロートガラスに対して高い透過率を有する。複層ガラスのガラス板としては、フロートガラスのほかに、断熱ガラス、遮熱ガラス、熱線吸収ガラス、型板ガラス、網入りガラス、強化ガラス、合わせガラス、合わせ強化ガラス、防火ガラス、擦りガラス等が用いられることがある。これら様々なガラスに対して高い透過率を有するため、発振波長は、330nm以上1100nm以下がより好ましく、350nm以上650nm以下がさらに好ましく、450nm以上550nm以下が最も好ましい。具体的には、Nd:YAGレーザー(1064nm、532nm、355nm)、He-Neレーザー(633nm)、Arイオンレーザー(514.5nm、488nm)、Nd:YVOレーザー(1064nm、532nm、355nm)、半導体レーザー、ファイバーレーザー等を好適に使用することができる。
第一の光学系13は、第一のレーザー光L1を複層ガラス内面におけるシーリング材23の全幅(図1におけるW)以上の径となるように拡大するものであり、第一のレーザー光L1は、スペーサー22の長さ方向と平行な1軸方向(図2の矢印A方向)にのみ走査しながら複層ガラス内面のシーリング材23に照射される。
一実施態様である複層ガラス剥離装置において、第一の光学系13は、凸レンズ131とシリンドリカルレンズ132とを備える。凸レンズ131とシリンドリカルレンズ132は、光軸方向に別々に移動可能であり、それぞれを移動させることにより、第一のレーザー光L1の照射領域の大きさや扁平率を調整することができる。
一実施態様である複層ガラス剥離装置1において、第二の光学系14は、第二のレーザー光L2を複層ガラスの中央側から、第一のガラス板21aの側面の二次シーリング材232に照射するものである。第二のレーザー光L2は、第一のレーザー光L1の走査とともに複層ガラスのスペーサーの長さ方向と平行な1軸方向(図2の矢印A方向)にのみ走査しながら照射される。
一実施態様である複層ガラス剥離装置において、第二の光学系14は、ミラー143と凸レンズ141とシリンドリカルレンズ142を備える。凸レンズ141とシリンドリカルレンズ142は、光軸方向に別々に移動可能であり、それぞれを移動させることにより、第二のレーザー光L2の照射領域の大きさや扁平率を調整することができる。
ここで、一実施態様である複層ガラス剥離装置1において、第一のレーザー光L1と第二のレーザー光L2とは、同一のレーザー光L0から分岐している。そのため、第一のレーザー光L1と第二のレーザー光L2とは、コヒーレンス長が長く、照射領域が重複すると干渉縞が生じやすい。干渉縞が生じると、縞の暗領域で十分なレーザー光が照射されずシーリング材表面が十分に加熱されない場合があるため、第一のレーザー光L1と第二のレーザー光L2の照射領域とが重複しないことが好ましい。
本発明の複層ガラス剥離装置において、第一の光学系、第二の光学系の構成は上記一実施態様に制限されず、凸レンズ、凹レンズ、非球面レンズ、シリンドリカルレンズ、ロッドレンズ、パウエルレンズ、ミラー、プリズム、ビームスプリッタ、波長板、偏光板、回折格子等を適宜組み合わせて構成することができる。例えば、凸レンズ等で照射領域を拡大した後に、第一のレーザー光と第二のレーザー光とを分岐することができる。また、第一のレーザー光と第二のレーザー光とを、別々のレーザー発振器から照射することもできる。さらに、単一のレーザー光を、薄層ガラスの内面とガラス板の側面とに照射することもできる。
本発明の複層ガラス剥離装置は、第一のレーザー光を、複層ガラスのシーリング材に、スペーサーの長さ方向と平行な1軸方向にのみ走査しながら照射する。第一のレーザー光は、ガラスを透過して、シーリング材表面を効率的に加熱する。本発明の複層ガラス剥離装置は、シーリング材の加熱にレーザーを用いるため、局所的な加熱が可能であり、少ないエネルギー量による処理が可能である。また、第一のレーザー光は、スペーサーの幅方向にスキャンされないため、加熱処理時間を短くすることができる。さらに、本発明の複層ガラス剥離装置は、レーザー光をスペーサーの幅方向にスキャンするための駆動系が不要なため構成が簡便で振動による悪影響がない。なお、第一のレーザー光の走査は、複層ガラス剥離装置、光学系、複層ガラスの一以上を一軸方向に移動させることにより行うことができる。
本発明の複層ガラス剥離装置において、第二のレーザー光L2を複層ガラスの中央側から、ガラス板の側面に照射することができる。第二のレーザー光を複層ガラスの中央側からガラス板の側面に照射することにより、製造時にガラス板の側面に付着した余分なシーリング材を除去することができ、異物混入量が非常に少ないガラスカレットとすることができる。また、複層ガラスから少ない力でガラス板を剥離することができ、作業性を向上させることができる。
第一、及び第二のレーザー光は、複層ガラス表面に対して3J/cm以上840J/cm以下のエネルギー密度で照射することが好ましい。エネルギー密度が3J/cm未満では、シーリング材の接着力が十分に低下せず、エネルギー密度が840J/cmより大きいと、シーリング材の熱分解で大量のガスが生じ、このガスに引火して爆発する危険性が高くなる。ここで、複層ガラスには、フロートガラス、熱線吸収ガラス、Low-Eガラス、型板ガラス、網入りガラス等の様々なガラスが用いられ、ガラスによりレーザー光の透過率が異なる。そのため、ガラスの種類に応じてレーザー光の照射強度を調整することなくガラスを剥離するために、レーザー光の複層ガラス表面におけるエネルギー密度は15J/cm以上であることがより好ましく、20J/cm以上であることがさらに好ましい。
ここで、一般的なレーザー光の照射領域内におけるエネルギー密度は均一でなく、中心部が強く周縁部が弱いガウス分布に近似することが知られている。すなわち、レーザー光のエネルギー密度は、照射領域の中心部では大きく、照射領域の周縁部では小さい。また、シーリング材は、通常10mm程度の幅を有するため、シーリング材に照射されるレーザー光のエネルギー密度は、スペーサー幅方向で異なり、レーザー光の中心部が通る部分で大きく、レーザー光の周縁部が通る部分では小さくなる。そのため、シーリング材の全面において、照射されるレーザー光のエネルギー密度が4J/cm以上840J/cm以下となるように照射することが好ましい。
本発明の複層ガラス剥離装置は、第一のレーザー光の照射領域が、また、第二のレーザー光も照射する場合には第二のレーザー光の照射領域が、スペーサーの長さ方向と平行な方向(図2の矢印A方向)の幅をd1、スペーサーの幅方向と平行な方向の幅をd2としたとき、d1<d2である形状であることが好ましい。このような形状としては、例えば、楕円、直線、矩形等が挙げられる。レーザー光をこのような形状にする方法は特に制限されず、光学系に凸レンズ、凹レンズ、非球面レンズ、シリンドリカルレンズ、ロッドレンズ、パウエルレンズ、ミラー、プリズム、ビームスプリッタ、波長板、偏光板、回折格子等を組み込む方法が挙げられる。例えば、光軸方向に垂直な断面形状が円形であるレーザー光を斜め方向から照射すると照射領域は楕円となるが、このように、複層ガラスの面に対して斜め方向からレーザー光を照射することにより、d1<d2である形状とすることもできる。レーザー光の照射領域を、d1<d2である形状とすることで、照射領域端部(d2方向の端部)におけるエネルギー密度を高くすることができ、シーリング材全面に必要最小値以上のエネルギー密度のレーザー光を効率的に照射することができる。
ここで、図3に示すように、シーリング材は、ガラス中心側の一次シーリング材231としてブチル系接着剤、ガラス外側の二次シーリング材232としてシリコーン系接着剤、またはポリサルファイド系接着剤が用いられることが一般的である。ブチル系接着剤は、シリコーン系接着剤およびポリサルファイド系接着剤よりも分解温度が高いため、一次シーリング材であるブチルゴムがより強く加熱されるように、複層ガラス内面のシーリング材に照射する第一のレーザー光は、その中心が一次シーリング材上に位置することが好ましい。
なお、本発明の複層ガラス処理装置は、図1に示す一実施態様に限定されず、例えば、レーザー光を複層ガラスの両面に同時に照射する構造とすることができる。このような装置構成としては、レーザー発振器と光学系とを複層ガラスの両側に配置する、光学系にビームスプリッタ等を組み込み、一つのレーザー光を二つに分割する等の構成が挙げられる。レーザー光を複層ガラスの両面に同時に照射することにより、処理時間を短くすることができる。
「実施例1」
レーザー加工で一般的に使用される3つの波長(10.6μm(COレーザー)、1064nm(YAGレーザー)、532nm(YAGレーザーの第2高調波))のレーザー光を、一次シーリング材がブチルゴム、二次シーリング材がポリサルファイドであるタイプAのフロートガラスをガラス板とする複層ガラスのシーリング材に、 エネルギー密度3J/cmの条件で照射した。
1064nmと532nmの波長のレーザー光を照射した複層ガラスからはガラス板を剥離することができた。それに対し、10.6μmの波長のレーザー光を照射した複層ガラスからは、ガラス板を剥離することができず、また、ガラス表面に熱割れが生じた。
ガラスの下に5mJ/cm以上のエネルギー密度で照射痕が残るバーンペーパーを敷いて、ガラス越しに10.6μmの波長のレーザー光を120J/cmのエネルギー密度で照射したところ、バーンペーパーに照射痕は残らず、10.6μmの波長のレーザーは、120J/cmのエネルギー密度で照射しても、5mJ/cmすら透過しないことが確認できた。
「実施例2」
フロートガラス(厚さ:3mm)、熱線吸収ガラス(グリーン)(厚さ:5mm)、Low-Eガラス(厚さ:5mm)の、532nmと1064nmの波長のレーザー光の透過率をパワーメーター(FL250A-BB-35、株式会社オフィールジャパン)で測定した。透過率は、出力を1Wに固定したレーザーをパワーメーターに照射し、ガラスの有無による測定値から計算した。
結果を表1に示す。
Figure 0007145476000001
波長532nmのレーザー光は、いずれのガラスでも90%以上の高い透過率を示した。
それに対し、波長1064nmのレーザー光は、熱線吸収ガラスとLow-Eガラスでの透過率が40%以下と小さかった。
「実施例3」
波長1064nmのレーザー光を第一のレーザー光として、複層ガラスの面に対して垂直な方向からシーリング材に照射した。実験に使用した複層ガラスは、ガラス板がフロートガラス、一次シーリング材がブチルゴム、二次シーリング材がポリサルファイドのタイプAである。照射条件は、レーザー1発当たりの複層ガラス表面におけるエネルギー密度を74J/cm~1.7kJ/cm(ピークパワー密度は368kW/cm~1.7MW/cm)まで変化させ、シーリング材にドット形状で1列のみ照射し、照射時のシーリング材の様子を目視で観察した。
実験の結果、エネルギー密度74J/cm~840J/cmのレーザー光を照射すると、エネルギー密度が高くなるにつれて、ススや分解ガスの発生が多くなることが視認できた。エネルギー密度が1.7kJ/cmのレーザー光を照射すると、数発照射した後に発生したガスに引火したのが確認できた。
このことから、レーザー光の840J/cm以下であることが、引火、爆発を防ぐために好ましいことが確認できた。
「実施例4」
波長1064nm、532nmのレーザー光を第一のレーザー光として、様々な複層ガラスの面に対して垂直な方向から、複層ガラスのシーリング材に照射して、ガラス板の剥離を行った。
実験に使用した複層ガラスは、10cm角のサンプルであり、一次シーリング材がブチルゴム、二次シーリング材がポリサルファイドのタイプAと、一次シーリング材がブチルゴム、二次シーリング材がシリコーンのタイプBである。
1064nmのレーザー光は、エネルギー密度3.7~9.3J/cmでは、パルス幅0.5ms~1.1ms、周波数10Hz、照射間隔3mm、走査速度30mm/s、照射形状d1=6.5mm、d2=23.5mmの楕円形で、スペーサーの長さ方向と平行な1軸方向にのみ走査しながら照射した。エネルギー密度12.7J/cm以上は、レーザーの出力がレンズの耐久性能を超えたため、パルス幅0.6~0.7ms、周波数10Hz、照射間隔3mm、走査速度30mm/s、照射形状直径7.5mmの円形で、スペーサーの長さ方向に1列照射した後、スペーサーの幅方向に5mmずらして全面に照射した。
532nmのレーザー光は、エネルギー密度1~17J/cmとして、パルス幅10ns、周波数20kHz、照射間隔50μm、照射形状直径39μmの円形で、スペーサーの幅方向に50μm間隔で照射した後、スペーサーの長さ方向に50μmずらして全面に照射した。
レーザー光の照射後に、容易に剥離できたものを○、力が必要だが未処理のものと比較して容易に剥離できたものを△、剥離できなかったものを×とし、実験の結果を表2、3に示す。
Figure 0007145476000002
Figure 0007145476000003
いずれの複層ガラスでもレーザー光の複層ガラス表面におけるエネルギー密度が大きくなるほど、ガラス板を容易に剥離できることが確かめられた。532nmのレーザー光は、4J/cm以上、1064nmのレーザー光は15.0J/cmよりも大きなエネルギー密度でガラス板を剥離することができたが、これは、波長の違いによる透過率の影響である。
複層ガラスからは、アルミやゼオライトが付着することなくガラス板を剥離することができた。剥離したままの状態でのガラス板の重量を測定し、残留有機物を取り除いた後のガラス板の重量を測定し、この重量差から算出した残留有機物量は1m角のガラス換算で波長1064nmのレーザー光照射時に236ppm以下、波長532nmのレーザー光照射時に200ppm以下であった。なお、剥離したガラスには、有機物として主にシーリング材の加熱で生じたスス、接着部に残留したシーリング、ガラス板側面に付着した二次シーリング材が付着しているが、そのほとんどがガラス板側面に付着した二次シーリング材であった。
「実施例5」
上記実施例4と同様にして、波長1064nmのレーザー光を第一のレーザー光として、複層ガラス表面におけるエネルギー密度5.7J/cmで複層ガラス(タイプA、フロートガラス)にスペーサーの長さ方向と平行な1軸方向にのみ走査しながら照射した(n=10)。
さらに、前記第一のレーザー光に加え、波長1064nmのレーザー光を第二のレーザー光として複層ガラス表面におけるエネルギー密度9.7J/cm(ガラス板側面でのエネルギー密度2.8J/cm)、パルス幅0.5ms、周波数10Hz、照射間隔3mm、走査速度30mm/s、照射形状直径7.5mmの円形(光軸と垂直な断面での形状)、照射角度垂直方向から60°で、スペーサーの長さ方向と平行な1軸方向にのみ走査しながら照射した(n=10)。なお、第二のレーザー光は、斜めからの入射と、界面での屈折により、ガラス板側面での照射領域は楕円となっている。
レーザー光の照射後にガラス板を剥離し、剥離したままの状態でのガラス板の有機物量を測定し、1m角のガラスに換算した換算有機物量(換算)を算出した。結果を表4に示す。
Figure 0007145476000004
第一のレーザー光に加え、第二のレーザー光を照射することにより、有機物量が大きく減少することが確認できた。この有機物量は、レーザー光の照射後に剥離したガラス板をそのまま測定した際の値である。そのため、剥離したガラス板の周囲を拭き取りススや残留したシーリング材を取り除くことにより、有機物量を20ppm以下にできることが示唆された。さらに、第二のレーザー光を照射したサンプルの中にはガラス板を持ち上げるだけで剥離されるものも存在し、第二のレーザー光をガラス板の側面に照射することにより、ガラス板の剥離が容易となり、作業性も向上することが確認できた。
1 複層ガラス剥離装置
11 レーザー発振器
12 ビームスプリッタ
13 第一の光学系
131 凸レンズ
132 シリンドリカルレンズ
14 第二の光学系
141 凸レンズ
142 シリンドリカルレンズ
143 ミラー

L0 レーザー光
L1 第一のレーザー光
L2 第二のレーザー光

2 複層ガラス
21a 第一のガラス板
21b 第二のガラス板
22 スペーサー
23 シーリング材
231 一次シーリング材
232 二次シーリング材

Claims (5)

  1. レーザー発振器と、少なくとも1つのレンズを備える第一の光学系と、第二の光学系とを有し、
    前記第一の光学系が、前記レーザー発振器から出射される第一のレーザー光を複層ガラス内面のシーリング材に照射し、
    前記第二の光学系が、前記レーザー発振器と同一または異なるレーザー発振器から照射され、光軸と垂直な断面での形状が円形である第二のレーザー光を前記複層ガラスの中央側から、前記複層ガラスを構成するガラス板の側面の二次シーリング材に照射し、
    前記第一及び第二のレーザー光が、前記複層ガラスのスペーサーの長さ方向と平行な1軸方向にのみ走査しながら照射され、
    前記第一のレーザー光の前記複層ガラス表面における照射領域の、前記スペーサーの長さ方向と平行な方向の幅をd1、前記スペーサーの幅方向と平行な方向の幅をd2としたとき、d1<d2であり、
    前記第一の光学系による照射領域と、前記第二の光学系による照射領域とが重複しないことを特徴とする複層ガラス剥離装置。
  2. 前記レーザー発振器の発振波長が、330nm以上2800nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の複層ガラス剥離装置。
  3. 前記第一のレーザー光の複層ガラス表面におけるエネルギー密度が4J/cm以上840J/cm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の複層ガラス剥離装置。
  4. 前記第一のレーザー光の照射領域の中心が、複層ガラスのガラス板とスペーサーとの間に位置する一次シーリング材上に位置することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の複層ガラス剥離装置。
  5. 第一のレーザー光を、複層ガラスの面に対して垂直な方向から、前記複層ガラスのシーリング材に照射し、
    光軸と垂直な断面での形状が円形である第二のレーザー光を前記複層ガラスの中央側から、前記複層ガラスを構成するガラス板の側面の二次シーリング材に照射し、
    前記第一及び第二のレーザー光が、前記複層ガラスのスペーサーの長さ方向と平行な1軸方向にのみ走査しながら照射することにより、前記シーリング材及び前記二次シーリング材の接着力を低下させ、
    前記第一のレーザー光の前記複層ガラス表面における照射領域の、前記スペーサーの長さ方向と平行な方向の幅をd1、前記スペーサーの幅方向と平行な方向の幅をd2としたとき、d1<d2であり、
    前記第一の光学系による照射領域と、前記第二の光学系による照射領域とが重複しないことを特徴とする複層ガラスからのガラス板剥離方法。
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