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JP7147667B2 - 電源装置、リレーの溶着判定装置、及び、リレーの溶着判定方法 - Google Patents
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JP7147667B2 - 電源装置、リレーの溶着判定装置、及び、リレーの溶着判定方法 - Google Patents

電源装置、リレーの溶着判定装置、及び、リレーの溶着判定方法 Download PDF

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Description

本開示は、電源装置、リレーの溶着判定装置、及び、リレーの溶着判定方法に関する。
無停電電源装置は、商用電力系統の停電の際に、極めて迅速に蓄電池からインバータを経て生成された交流電力に切り替えることにより、実質的に無停電で、負荷への電力供給を維持する装置である(例えば、特許文献1参照。)。給電経路の切り替えには、一般に、リレーが用いられている。例えば、通常は商用電力系統から装置内を通すだけで負荷に給電するバイパス方式の無停電電源装置では、蓄電池から電力変換して出力する自立出力中は、商用電力系統と連系するためのリレーが開路している。この状態から商用電力系統が復電すると、リレーを閉じて元の状態に戻し、自立出力を停止させる。
国際公開番号WO2017/094142号公報
リレーは、まれに、その接点部分が溶着する場合がある。この場合、リレーを開路させるようオフの制御がなされていても、現実には接点がオンのまま、という状態になる。この状態でも、制御部はリレーを開路しているつもりであるため、商用電力系統からの給電と、自立出力の給電とが「衝突」することがある。このとき、相互の電圧に位相差があると、無停電電源装置内に過電流が流れたり、逆に、無停電電源装置から商用電力系統に電流が流れたりする好ましくない状態となる。
このような状態となることを抑制するには、例えば、補助接点付きのリレーを用いて主回路接点の開閉確認回路を設けることが考えられる。
しかしながら、補助接点及びそのための回路が必要となり、コストアップの一因となる。また、補助接点の機械的な動作確認による検出は、高速には行えない。
かかる課題に鑑み、本開示は、補助接点も専用回路も必要とせずに、迅速にリレーの溶着の有無を判定できるようにすることを目的とする。
本開示は、以下の発明を含む。但し、本発明は特許請求の範囲によって定められるものである。
(電源装置)
外部の交流電路及び負荷に接続され、前記交流電路から前記負荷へのバイパス給電、及び、自立出力による前記負荷への給電を、選択的に実行可能な電源装置であって、
前記交流電路を引き込んだ第1電路と前記負荷に繋がる第2電路との間に設けられ、開閉可能な接点を有するリレーと、
直流電源と前記第2電路との間に設けられ、直流から交流への電力変換を行う機能を有する電力変換部と、
前記第1電路の2線間の電圧を検出する第1電圧センサと、
前記第2電路の2線間の電圧を検出する第2電圧センサと、
前記電力変換部及び前記リレーを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記自立出力の給電中に、前記第1電圧センサにより前記第1電路に電圧が検出されたとき、前記第2電圧センサの検出に基づく位相を前記第1電圧センサの検出に基づく位相に合わせる同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱するか否か、に基づいて前記リレーの溶着の有無を判定する、電源装置である。
(リレーの溶着判定装置)
開閉可能なリレーの一方側の第1電路に、通常使用する第1交流電源が接続され、他方側の第2電路に、負荷及び、バックアップ用の第2交流電源が接続されている場合における、リレーの溶着判定装置であって、
前記第1電路の2線間の電圧を検出する第1電圧センサと、
前記第2電路の2線間の電圧を検出する第2電圧センサと、
前記第2交流電源及び前記リレーを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第2交流電源から前記負荷への給電中に、前記第1電圧センサにより前記第1電路に電圧が検出されたとき、前記第2電圧センサの検出に基づく位相を前記第1電圧センサの検出に基づく位相に合わせる同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱するか否か、に基づいて前記リレーの溶着の有無を判定する、リレーの溶着判定装置である。
(リレーの溶着判定方法)
開閉可能なリレーの一方側の第1電路に、通常使用する第1交流電源が接続され、他方側の第2電路に、負荷及び、バックアップ用の第2交流電源が接続されている場合における、リレーの溶着判定方法であって、
前記リレーを閉路して前記第1交流電源から前記負荷に給電している状態から前記第1交流電源が停電したとき、前記リレーを開路して前記第2交流電源から前記負荷に給電し、
前記第2交流電源から前記負荷への給電中に、前記第1電路に電圧が検出されたとき、前記第2電路の位相を前記第1電路の位相に合わせる同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱するか否か、に基づいて前記リレーの溶着の有無を判定する、リレーの溶着判定方法である。
本開示によれば、補助接点も専用回路も必要とせずに、迅速にリレーの溶着の有無を判定できる。
図1は、電源装置の回路図である。 図2は、電源装置が自立出力による給電の状態であるときの回路図である。 図3は、電源装置が溶着状態での自立出力による給電の状態であるときの回路図である。 図4Aは、Vα,Vβの波形を示すグラフである。 図4Bは、Vd,Vqの直線波形を示すグラフである。 図5は、単相交流PLLとして必要な、Vα、Vβ以降のPLLの制御ブロック図である。 図6は、自立運転開始後に制御部が実行する処理を示すフローチャートの一例である。 図7は、リレー溶着時に周波数が閾値を超えて変化する一例を示すグラフである。
[本開示の実施形態の説明]
本開示の実施形態には、その要旨として、少なくとも以下のものが含まれる。
(1)開示するのは、外部の交流電路及び負荷に接続され、前記交流電路から前記負荷へのバイパス給電、及び、自立出力による前記負荷への給電を、選択的に実行可能な電源装置であって、前記交流電路を引き込んだ第1電路と前記負荷に繋がる第2電路との間に設けられ、開閉可能な接点を有するリレーと、直流電源と前記第2電路との間に設けられ、直流から交流への電力変換を行う機能を有する電力変換部と、前記第1電路の2線間の電圧を検出する第1電圧センサと、前記第2電路の2線間の電圧を検出する第2電圧センサと、前記電力変換部及び前記リレーを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記自立出力の給電中に、前記第1電圧センサにより前記第1電路に電圧が検出されたとき、前記第2電圧センサの検出に基づく位相を前記第1電圧センサの検出に基づく位相に合わせる同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱するか否か、に基づいて前記リレーの溶着の有無を判定するものである。
上記のように構成された電源装置では、第1電路の停電により、自立出力による負荷への給電を行っているとき、第1電圧センサにより第1電路に電圧が検出されると、想定される事態は復電である。しかし、復電していないがリレーの接点が溶着しているという事態もあり得る。リレーが正常に開路していて、復電した場合は、第2電圧センサの検出に基づく位相を第1電圧センサの検出に基づく位相に合わせる同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱することはない。一方、復電していないがリレーの接点が溶着しているのであれば、同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱する。そこで、制御部は、同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱するか否か、に基づいてリレーの溶着の有無を判定することができる。このようにして、補助接点も専用回路も必要とせずに、迅速にリレーの溶着の有無を判定することができる。
(2)前記(1)の電源装置において、前記制御部は、前記第2電圧センサの検出に基づく位相を前記第1電圧センサの検出に基づく位相に近づけるための位相調整値を、前記第1電圧センサの検出する電圧の周波数に基づいて定めるようにしてもよい。
この場合、もしリレーが溶着していれば、電力変換部は、自己の出力に基づいて自己の位相調整を行うことになり、周波数のずれが拡大(発散)していく状況を作ることができる。
(3)前記(1)又は(2)の電源装置において、前記制御部は、前記所定範囲を逸脱する状態が所定時間継続することにより前記リレーが溶着したと判定するようにしてもよい。
この場合、誤判定を防止し、判定の信頼性及び安定性を高めることができる。
(4)前記(1)から(3)のいずれかの電源装置において、前記制御部は、前記自立出力による給電から前記バイパス給電への移行の可否判定の処理の中で、前記溶着の有無の判定を実行する。
この場合、溶着の有無の判定を別の処理として用意しなくても、自立出力による給電からバイパス給電への移行の可否判定の中で、実行することができる。
(5)リレーの溶着判定装置として考えることもできる。すなわち、開閉可能なリレーの一方側の第1電路に、通常使用する第1交流電源が接続され、他方側の第2電路に、負荷及び、バックアップ用の第2交流電源が接続されている場合における、リレーの溶着判定装置であって、前記第1電路の2線間の電圧を検出する第1電圧センサと、前記第2電路の2線間の電圧を検出する第2電圧センサと、前記第2交流電源及び前記リレーを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第2交流電源から前記負荷への給電中に、前記第1電圧センサにより前記第1電路に電圧が検出されたとき、前記第2電圧センサの検出に基づく位相を前記第1電圧センサの検出に基づく位相に合わせる同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱するか否か、に基づいて前記リレーの溶着の有無を判定する、リレーの溶着判定装置である。
上記のように構成された溶着判定装置では、第1交流電源の停電により、第2交流電源から負荷への給電を行っているとき、第1電圧センサにより第1電路に電圧が検出されると、想定される事態は第1交流電源の復電である。しかし、復電していないがリレーの接点が溶着しているという事態もあり得る。リレーが正常に開路していて、復電した場合は、第2電圧センサの検出に基づく位相を第1電圧センサの検出に基づく位相に合わせる同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱することはない。一方、復電していないがリレーの接点が溶着しているのであれば、同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱する。そこで、制御部は、同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱するか否か、に基づいてリレーの溶着の有無を判定することができる。このようにして、補助接点も専用回路も必要とせずに、迅速にリレーの溶着の有無を判定することができる。
(6)方法としては、開閉可能なリレーの一方側の第1電路に、通常使用する第1交流電源が接続され、他方側の第2電路に、負荷及び、バックアップ用の第2交流電源が接続されている場合における、リレーの溶着判定方法であって、前記リレーを閉路して前記第1交流電源から前記負荷に給電している状態から前記第1交流電源が停電したとき、前記リレーを開路して前記第2交流電源から前記負荷に給電し、前記第2交流電源から前記負荷への給電中に、前記第1電路に電圧が検出されたとき、前記第2電路の位相を前記第1電路の位相に合わせる同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱するか否か、に基づいて前記リレーの溶着の有無を判定する、リレーの溶着判定方法である。
上記のようなリレーの溶着判定方法では、第1交流電源の停電により、第2交流電源から負荷への給電を行っているとき、第1電路に電圧が検出されると、想定される事態は第1交流電源の復電である。しかし、復電していないがリレーの接点が溶着しているという事態もあり得る。リレーが正常に開路していて、復電した場合は、第2電路の位相を第1電路の位相に合わせる同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱することはない。一方、復電していないがリレーの接点が溶着しているのであれば、同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱する。そこで、同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱するか否か、に基づいてリレーの溶着検出を行うことができる。このようにして、補助接点も専用回路も必要とせずに、迅速にリレーの溶着の有無を判定することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
《電源装置》
以下、本開示の電源装置(リレーの溶着判定装置を含む。)の具体例について、図面を参照して説明する。
図1は、電源装置100の回路図である。電源装置100は、商用電力系統11と繋がっている交流電路である第1電路L1及び負荷13と接続されている。電気回路上では、電源装置100は、第1電路L1のうち外部の交流電路と負荷13との間に存在している。
電源装置100は、蓄電池1、電力変換部2、リレー(連系リレー)3、制御部4、及び、電圧センサ5,6を備えている。但し、蓄電池1は、電源装置100の外部に設けられていてもよい。なお、商用電力系統11と接続される電源装置100の入力端の位置には過電流保護のための遮断器(ブレーカ)が設けられるが、ここでは図示を省略している。電力変換部2は、直流電源である蓄電池1と、第1電路L1との間に設けられ、インバータ及びDC/DCコンバータ(図示略)を含む。
電力変換部2は、蓄電池1の電圧と第1電路L1の電圧との間で直流/交流の電力変換を行う。電力変換部2は双方向動作が可能であり、第1電路L1の電圧に基づいて蓄電池1を充電することができるとともに、蓄電池1を放電させて放電電力を交流電力に変換し、負荷13に供給することができる。電力変換部2は、制御部4により制御される。
リレー3は、電力変換部2と第1電路L1との間に設けられている。ここで、リレー3から商用電力系統11に至る交流電路の2線である第1電路L1に対して、電力変換部2から負荷13に至る2線を第2電路L2とする。すなわち、リレー3から見て系統側が第1電路L1である。リレー3から見て、負荷側であり、かつ、電力変換部2側が、第2電路L2である。
電圧センサ5は、第1電路L1の2線間に設けられ、2線間の電圧Vgを検出する。電圧センサ6は、第2電路L2の2線間に設けられ、負荷13に印加されている電圧Voを検出する。電圧センサ5,6の検出出力は、制御部4に送られる。制御部4は、電力変換部2のスイッチング動作及びリレー3の開閉動作を制御する。制御部4は、内部機能として、位相同期ループ(PLL:Phase Locked Loop)4pを有している。制御部4は、コンピュータを含み、コンピュータがソフトウェア(コンピュータプログラム)を実行することで、必要な制御機能を実現する。ソフトウェアは、制御部4の記憶装置(図示せず。)に格納される。
図2,図3は、図1と同様の図であるが、図1,図2,図3ではそれぞれ、リレー3の接点の状態及び電力供給の経路が異なる。図1は「バイパス給電」の状態、図2は「自立出力による給電」の状態、図3は「溶着状態での自立出力による給電」の状態を、それぞれ表している。
図1では、リレー3が閉路していて、第1電路L1からリレー3を介して負荷13に給電されている。また、このとき必要に応じて電力変換部2が交流から直流への電力変換を行い、蓄電池1を充電する。この状態は、電源装置100を素通りするように第1電路L1から負荷13に給電される、バイパス給電の状態である。商用電力系統11が正常である限り、図1の状態が維持される。
図2は、商用電力系統11が停電した状態を表している。図1のバイパス給電の状態から、電圧Vgの低下により停電発生を検出した制御部4は、リレー3を開路させ、かつ、電力変換部2を起動して蓄電池1の放電電力を交流電力に変換し、負荷13に給電する。こうして、自立出力による負荷13への給電が行われる。商用電力系統11が復電すると、電圧Vgの上昇により復電を検出した制御部4は、自立出力の位相を電圧Vgの位相に合わせる。位相が揃えば、制御部4は、リレー3を閉路し、電力変換部2のスイッチング動作を停止させる。こうして、図1のバイパス給電の状態に戻る。
次に、リレー3の溶着(接点の溶着)について考える。リレー3の溶着は、例えば、開路していたリレー3を閉路した瞬間の突入電流、負荷13に起因する過電流、接点の経年劣化等により、発生する可能性がある。仮に、バイパス給電中に溶着が発生していても、停電が発生しない限り、溶着の発生は露見しない。しかし、停電が発生するか又は電源装置100の図示しないプラグをコンセントから誤って抜いてしまった場合、自立出力による給電の状態となる。
図3は、このような場合においてリレー3が溶着している状態を表している。このとき、制御部4は、制御上では、リレー3を開路させている。しかし、事実上は、溶着によってリレー3が閉路している。自立出力の電圧は電圧センサ6のみならず、電圧センサ5によっても検出される。電圧センサ5によって第1電路L1に電圧が生じていることが検出されると、制御部4は、復電と判定する可能性があるが、ここで、復電による電圧と、溶着による電圧とを識別できれば、溶着の有無を判定できることになる。識別の鍵となるのは位相である。
《位相同期ループ》
ここで、単相交流PLLについて説明する。
交流PLLについては、単相交流電圧のゼロクロスを抽出して位相及び周波数を算出するのが一般的である。しかし、入力電圧の波形に歪みが含まれている場合や、ノイズにより測定精度が良くない場合、精度が悪くなる傾向にある。
一方、参考までに、3相交流PLLの場合、u,v,wの各相の電圧をVu,Vv,Vwとすると、これらを、以下の式(1)により、3相から2相へ直交座標変換後のα-β座標系の、電圧Vα,Vβに変換することができる。
Figure 0007147667000001
ここからさらに、位相θrを用いた以下の式(2)により、回転座標であるd-q座標系の電圧Vd,Vqに変換することができる。
Figure 0007147667000002
電圧Vd,Vqは直線波形であり、PLLが適切に行われている場合はVq=0となる。そこで、電圧Vq=0となるようにフィードバック制御を行うことで、正確な位相同期を実現することができる。
次に、単相交流の、位相同期ループ4pとして、3相交流PLLの考え方を利用した単相交流PLLについて説明する。単相交流PLLは、α-β座標系におけるVαに、単相交流の入力電圧を当てはめる。Vβは存在しないが、Vαから擬似的に作り出す。
図4Aのグラフは、Vα,Vβの波形である。これらをさらに、上記の式(2)により、d-q座標系の電圧Vd,Vqに変換することができる。
図4Bのグラフは、Vd,Vqの直線波形であり、PLLが適切に行われている場合はVq=0となる。なお、座標軸の取り方次第ではVd=0にもなり得るが、本質的にはいずれでも同じことである。
図5は、単相交流PLLとして必要な、Vα、Vβ以降のPLLの制御ブロック図である。図において、α-β座標系の電圧Vα,Vβは、d-q座標系への変換により(ブロックB1)、電圧Vd,Vqとなる。そして、電圧Vq=0となるようにフィードバック制御が行われ(ブロックB2)、周波数f及び位相調整値Δωtが決まる。このΔωtを、1ステップ前のωtに加算し(ブロックB3)、新たなωtが決まる。
なお、電圧Vβとしては、例えば、Vαの微分を利用することができる。
単相交流の周波数をf1、時間をt、Vα=sinθ、Vβ=-cosθとすると、Vβは、90度(π/4[rad])遅れたVαの波形とみなせる。
Vα=Asin(2πf1t)、Vβ=-Acos(2πf1t)とすると、
dVα/dt=2πf1・Acos(2πf1t)=-2πf1Vβ ・・・(3)
となる。
ここから、
Vβ=-1/(2πf1)×dVa/dt ・・・(4)
となり、Vαの微分を使った表現ができる。
ソフトウェアによる演算のような離散化した表現では、1サイクルのサンプリング数をN、サンプリング周波数をfs(=N・f1)、サンプリング周期をΔt(=1/fs)、Nの範囲内の任意の自然数をn(≦N)、n番目のVαから(n-1)番目のVαを引いた値をΔVαとすると、以下の式になる。
Vβ=(-1/2πf1)× (ΔVa/Δt)
=(-fs/2πf1)× ΔVa ・・・(5)
但し、ΔVa=Va(n番目)-Va(n-1番目)、である。
上記式(4)、(5)によれば、Vβの係数にf1が入っており、係数がf1の関数になっている。従って、位相変動があっても、f1の変化に追随してVβが変化する。すなわち、位相変動に対する応答性が良い。
図5におけるブロックB2の「Vq=0になるようにフィードバック制御」の詳しい内容について説明する。
フィードバック制御には比例積分制御を用いる。式(2)よりVqは、
Vq=Vα×cos(ωt)+Vβ×sin(ωt) ・・・(6)
である。このVqがフィードバック制御の出力である。
Vqの目標値は0であるので、比例項p_fbは比例ゲインをg_pとして
p_fb=g_p×(0-Vq)=-g_p×Vq ・・・(7)
となる。積分項i_fbは積分ゲインをg_i、1制御ステップ前の積分項をi_fb_beforeとすると、
i_fb=i_fb_before+g_i×Vq ・・・(8)
となる。積分項には値が無限に発散するのを防止するためにリミットを設ける。リミットの上下限値は上限値が+6~+10、下限値が-6~-10程度が適度である。
比例積分項pi_fbは
pi_fb=p_fb+i_fb ・・・(9)
となる。比例積分項にも積分項と同様のリミットを設ける。周波数算出のための周波数初期値f_initを定め、フィードバック制御から算出される周波数f_fbは
f_fb=pi_fb+f_init ・・・(10)
となる。なお、周波数初期値f_initは、例えば55Hzである。位相同期ループが50Hz及び60Hzの双方に対応しようとすると、中間のこの値が好適である。
《バイパス給電と自立出力による給電との無瞬断切り替え》
電源装置100が自立出力による給電からバイパス給電へ動作を切り替える際には、自立出力の電圧と系統電圧に電圧差が無いか、若しくはあっても極めて僅かである状態で切り替えるのが望ましい。それには電圧センサ6で測定した自立出力電圧の位相と電圧、電圧センサ5で測定した系統電圧の位相と電圧を、互いに同期(一致)させる必要がある。
位相の同期にあたっては、例えば、自立出力電圧のゼロクロスごとに、(Vgの位相-Voの位相)×係数、を自立出力電圧の位相に加算して、位相差を0へ近づけるというフィードバック制御が考えられる。また、Vgの実効値が一定電圧以上(例えば90V以上)あれば、自立出力電圧の制御ステップごとの位相調整値Δωtを、Vgの位相調整値と同じものとし、位相のステップ幅を同期させる。さらに、自立出力電圧の目標電圧は系統電圧実効値と同じ実効値の正弦波電圧とする。この考え方により、Vgの位相とVoの位相との差が0.01radのような0に近い値になれば、VgとVoの瞬時電圧の差は実質的に無いため、自立出力による給電からバイパス給電へ切り替え、負荷13への電力供給は、瞬断なく継続される。
逆にバイパス給電から自立出力による給電に切り替える際には、停電であると検出した瞬間のVgの瞬時値を自立出力電圧の開始位相として、自立運転を開始する。これにより、負荷13への電力供給を、実質的に瞬断無しと同等に継続することができる。
《フローチャートの例》
図6は、自立運転開始後に制御部4が実行する処理を示すフローチャートの一例である。図において、第1電路L1に電圧が検出されたか否かを判定する(ステップS1)。リレー3の正常時には、リレー3は開路している。従って、復電するまでは、電圧は検出されず、自立運転が継続される(ステップS10)。
復電により、ステップS1において所定値以上の電圧が検出されると、制御部4は、電圧Vg及びVoについてそれぞれ位相を求める。また、Vgの周波数を算出する(ステップS2)。ここから位相調整値(Δωt)を算出し(ステップS3)、Voの位相をVgの位相に近づける(ステップS4)。この結果、Voの周波数が上昇する(ステップS5)。次に、制御部4は、Vgの周波数が正常範囲内か否かを判定する(ステップS6)。リレー3が正常に開路していれば、Vgの周波数が正常範囲内である。次に、制御部4は、Voの位相及び電圧がそれぞれ、Vgの位相及び電圧に一致したか否かを判定する(ステップS7)。
ステップS7において、まだ一致していなければ、制御部4は、Vgの周波数が閾値を超えたか否かを判定する(ステップS11)。リレー3が正常に開路していれば、Vgの周波数が閾値を超えることは無い。従って、以後、ステップS2~S7,S11が繰り返される。そして、ステップS7において、Voの位相及び電圧がそれぞれ、Vgの位相及び電圧に一致し、同期化が完了すると、制御部4は、リレー3を閉路し(ステップS8)、自立運転を停止する(ステップS9)。リレー3が正常に開路しているときはこのような同期化の処理を経て自立運転が停止され、以後、バイパス給電の状態に戻る。
《リレー溶着時》
一方、自立運転開始後に、本来は開路しているべきリレー3が溶着していると、自立出力電圧が第2電路L2に出力されると共に、リレー3の系統側にも電圧が出ることになり、第1電路L1に電圧が検出される。制御部4は、電圧Vg及びVoについてそれぞれ位相を求める。自立運転中、制御部4は、第2電路L2における自立出力の電圧Voの位相を、第1電路L1における電圧Vgの位相へ同期化させるとともに、電圧Vgの単相交流位相同期ループによる周波数の算出を行う。
ステップS2において、制御部4は、電圧Vgから位相同期ループにより電圧周波数を算出していくが、算出する電圧周波数とは自立出力電圧の周波数である。従って、位相同期ループにより算出した周波数は、位相同期ループによる周波数の算出に使用される、ということになる。制御部4は、算出した周波数により、Voの位相調整値(Δωt)を決定する(ステップS3)。自立出力の電圧Voの位相調整値は、電圧Vgの位相調整値と同じ値とする。
制御部4は、電圧Voの位相を電圧Vgの位相に合わせるために、位相差を0にするフィードバック制御を行う。例えば、{(Vgの位相-Voの位相)×係数}を足した後の自立出力電圧の周波数は位相を進めた分だけ高くなる。すると位相同期ループで算出する周波数も同様に高くなる。その算出した周波数が目標値になり、さらに位相同期ループで周波数を算出し、その周波数から系統電圧の位相調整値の算出を行っていくと、位相同期ループのフィードバックにおける積分項i_fbが正に発散し、リミットに到達する。すると比例積分項pi_fbもリミットに到達することになる。周波数算出のための周波数初期値f_initを55Hzと定めておくと、位相同期ループで算出するVgで測定した電圧の周波数はpi_fb+55Hzとなる。リミットの上下限を例えば±6~10の値にしておくと、自立出力電圧周波数は61Hz~65Hzになり、Vgで測定する電圧の周波数も同様の周波数となる。
こうして、Voの周波数が上昇し(ステップS5)、かつ、リレー3の溶着により、Vgの周波数も上昇する。もしリレー3が正常に開路して自立運転しているのであれば、50Hzまたは60Hzの自立出力電圧を出力し、そして系統電圧は標準周波数±0.2Hz以内であって61Hz~65Hzという周波数をとることはない。従って、Vgの周波数が閾値を超えることが所定時間以上継続したら、リレー3が溶着していると判断できる。
そこで、制御部4は、Vgの周波数が正常範囲内か否かを判定する(ステップS6)。ここで、まだ正常範囲内であるとすると、制御部4は、Voの位相及び電圧がそれぞれ、Vgの位相及び電圧に一致したか否かを判定する(ステップS7)が、一致しない。
ステップS7において、まだ一致していなければ、制御部4は、Vgの周波数が閾値を超えたか否かを判定する(ステップS11)。この時点ではまだ閾値を超えないとすると、以後、ステップS2~S7,S11が繰り返される。この繰り返しにより、ステップS6でVgの周波数が正常範囲内を逸脱し、さらに、ステップS11においてVgの周波数が閾値を超える。制御部4は、閾値を超えた状態が所定時間継続したか否かを判定し(ステップS12)、所定時間継続まで、ステップS2~S6,S11,S12を繰り返す。そして、閾値を超えた状態が所定時間継続すると、制御部4は、リレー溶着と判定し(ステップS13)、警報を発令して(ステップS14)、同期化を中止する(ステップS15)。なお、同期化中止して自立運転停止(ステップS9)としてもよい。
《波形の例》
図7は、リレー溶着時に周波数が閾値を超えて変化する一例を示すグラフである。
これは、交流電路(第1電路)に、系統側の電圧としてAC101V、60Hzの交流電圧を与え、リレー溶着が発生したケースである。バイパス給電の状態から、系統側が停電し、それを検知して即座にAC101V、60Hzを自立出力して給電する自立運転に切り替わった場合の、Vg(上)とVo(下)の波形である。
標準周波数が60Hzの場合のリレー溶着検出の検出閾値は63.5Hz以上または56.5Hz以下とし、検出時限は250msとした。位相同期ループのフィードバックにおいて、周波数算出のための周波数初期値は55Hzとし、積分項のリミッタは上限+10、下限-10とした。
図7において、バイパス給電中は、商用電力系統から与えられる電圧が、電圧Vg、電圧Voとして検出されている。停電後は、自立出力の電圧が、電圧Vo,電圧Vgとして現れている。しかし自立運転時は、周波数が65Hzにまで上昇している。復電による電圧の周波数であれば、このような大きなずれは生じ得ない。従って、これは、リレー溶着が発生していると判定できる。
《開示のまとめ》
以上のように、本開示の電源装置100では、自立出力の給電中に、電圧センサ5により第1電路L1に電圧が検出されたとき、電圧センサ6の検出に基づく位相を電圧センサ5の検出に基づく位相に合わせる同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱するか否か、に基づいてリレー3の溶着の有無を判定することができる。
このような電源装置100では、第1電路L1の停電により、自立出力による負荷への給電を行っているとき、電圧センサ5により第1電路L1に電圧が検出されると、想定される事態は復電である。しかし、復電していないがリレー3の接点が溶着しているという事態もあり得る。リレー3が正常に開路していて、復電した場合は、電圧センサ6の検出に基づく位相を電圧センサ5の検出に基づく位相に合わせる同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱することはない。一方、復電していないがリレー3の接点が溶着しているのであれば、同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱する。そこで、制御部4は、同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱するか否か、に基づいてリレー3の溶着の有無を判定することができる。このようにして、補助接点も専用回路も必要とせずに、迅速にリレーの溶着の有無を判定することができる。
そして、制御部4は、電圧センサ6の検出に基づく位相を電圧センサ5の検出に基づく位相に近づけるための位相調整値を、電圧センサ5の検出する電圧の周波数に基づいて定めることができる。
この場合、もしリレー3が溶着していれば、電力変換部2は、自己の出力に基づいて自己の位相調整を行うことになり、周波数のずれが拡大(発散)していく状況を作ることができる。
さらには、周波数が所定範囲を逸脱する状態が所定時間継続することによりリレー3が溶着したと判定することが好ましい。この場合、誤判定を防止し、判定の信頼性及び安定性を高めることができる。
また、制御部4は、自立出力による給電からバイパス給電への移行の可否判定の処理の中で、溶着の有無の判定を実行することが好ましい。この場合、溶着の有無の判定を別の処理として用意しなくても、自立出力による給電からバイパス給電への移行の可否判定の中で、実行することができる。
なお、本開示の電源装置100は、リレーの溶着判定装置であるとも言える。すなわち、図1において、開閉可能なリレー3の一方側の第1電路L1に、通常使用する第1交流電源(商用電力系統11)が接続され、他方側の第2電路L2に、負荷13及び、バックアップ用の第2交流電源12が接続されている場合における、リレーの溶着判定装置である。制御部4は、第2交流電源12から負荷13への給電中に、電圧センサ5により第1電路L1に電圧が検出されたとき、電圧センサ6の検出に基づく位相を電圧センサ5の検出に基づく位相に合わせる同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱するか否か、に基づいてリレー3の溶着の有無を判定することができる。
方法の観点からは、開閉可能なリレー3の一方側の第1電路L1に、通常使用する第1交流電源(商用電力系統11)が接続され、他方側の第2電路L2に、負荷13及び、バックアップ用の第2交流電源12が接続されている場合における、リレーの溶着判定方法である。そして、リレー3を閉路して第1交流電源から負荷13に給電している状態から第1交流電源が停電したとき、リレー3を開路して第2交流電源12から負荷13に給電し、第2交流電源12から負荷13への給電中に、第1電路L1に電圧が検出されたとき、第2電路L2の位相を第1電路L1の位相に合わせる同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱するか否か、に基づいて前記リレーの溶着の有無を判定する、リレーの溶着判定方法である。
《その他》
なお、式(8)に関して述べたリミットの数値の設定理由は次の通りである。
本開示ではリレー3が溶着している状態での自立出力の電圧がリレー3の系統側に出て、系統電圧周波数算出値が50Hzまたは60Hzの標準周波数から逸脱することを検知してリレー溶着を検出するため、このリミットが前述の値より小さすぎると溶着検出が困難になる。また前述の値より大きすぎると、負荷に対して標準周波数からあまりにも逸脱した周波数の電圧を供給することになり好ましくない。
また、上記開示における溶着判定方法は、電源装置100に関して述べたが、当該方法は、電源装置に限らず、停電により自立運転を行い、リレーで切り替える他の装置にも適用することができる。
《補記》
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 蓄電池
2 電力変換部
3 リレー
4 制御部
4p 位相同期ループ
5,6 電圧センサ
11 商用電力系統(第1交流電源)
12 第2交流電源
13 負荷
100 電源装置
L1 第1電路
L2 第2電路

Claims (6)

  1. 外部の交流電路及び負荷に接続され、前記交流電路から前記負荷へのバイパス給電、及び、自立出力による前記負荷への給電を、選択的に実行可能な電源装置であって、
    前記交流電路を引き込んだ第1電路と前記負荷に繋がる第2電路との間に設けられ、開閉可能な接点を有するリレーと、
    直流電源と前記第2電路との間に設けられ、直流から交流への電力変換を行う機能を有する電力変換部と、
    前記第1電路の2線間の電圧を検出する第1電圧センサと、
    前記第2電路の2線間の電圧を検出する第2電圧センサと、
    前記電力変換部及び前記リレーを制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記自立出力の給電中に、前記第1電圧センサにより前記第1電路に電圧が検出されたとき、前記第2電圧センサの検出に基づく位相を前記第1電圧センサの検出に基づく位相に合わせる同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱するか否か、に基づいて前記リレーの溶着の有無を判定する、電源装置。
  2. 前記制御部は、前記第2電圧センサの検出に基づく位相を前記第1電圧センサの検出に基づく位相に近づけるための位相調整値を、前記第1電圧センサの検出する電圧の周波数に基づいて定める請求項1に記載の電源装置。
  3. 前記制御部は、前記所定範囲を逸脱する状態が所定時間継続することにより前記リレーが溶着したと判定する請求項1又は請求項2に記載の電源装置。
  4. 前記制御部は、前記自立出力による給電から前記バイパス給電への移行の可否判定の処理の中で、前記溶着の有無の判定を実行する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電源装置。
  5. 開閉可能なリレーの一方側の第1電路に、通常使用する第1交流電源が接続され、他方側の第2電路に、負荷及び、バックアップ用の第2交流電源が接続されている場合における、リレーの溶着判定装置であって、
    前記第1電路の2線間の電圧を検出する第1電圧センサと、
    前記第2電路の2線間の電圧を検出する第2電圧センサと、
    前記第2交流電源及び前記リレーを制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記第2交流電源から前記負荷への給電中に、前記第1電圧センサにより前記第1電路に電圧が検出されたとき、前記第2電圧センサの検出に基づく位相を前記第1電圧センサの検出に基づく位相に合わせる同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱するか否か、に基づいて前記リレーの溶着の有無を判定する、リレーの溶着判定装置。
  6. 開閉可能なリレーの一方側の第1電路に、通常使用する第1交流電源が接続され、他方側の第2電路に、負荷及び、バックアップ用の第2交流電源が接続されている場合における、リレーの溶着判定方法であって、
    前記リレーを閉路して前記第1交流電源から前記負荷に給電している状態から前記第1交流電源が停電したとき、前記リレーを開路して前記第2交流電源から前記負荷に給電し、
    前記第2交流電源から前記負荷への給電中に、前記第1電路に電圧が検出されたとき、前記第2電路の位相を前記第1電路の位相に合わせる同期化過程で周波数が所定範囲を逸脱するか否か、に基づいて前記リレーの溶着の有無を判定する、リレーの溶着判定方法。
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