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JP7147737B2 - 汚染土壌及び地下水の浄化方法 - Google Patents
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JP7147737B2 - 汚染土壌及び地下水の浄化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塩素化エチレンで汚染された土壌及び地下水を原位置バイオオーグメンテーション法によって浄化する方法に関する。
塩素化エチレン分解菌の注入により汚染土壌の浄化を促進させる方法として、特許文献1には、栄養剤を注入して地下水を嫌気雰囲気下にしたうえで、塩素化エチレン分解菌を含む培養液を直接地下水に注入した後、適当な条件(容積、濃度、pH)に設定した栄養剤を再度注入することで、簡便かつ良好なバイオオーグメンテーションを実施する方法が記載されている。しかし、特許文献1では地中温度の制御がなされておらず、必ずしも塩素化エチレン分解菌の増殖および汚染物質分解に最適な温度条件で実施されていないため、塩素化エチレンの分解に長時間を要することがある。
塩素化エチレン汚染土壌を加温して浄化を促進させる方法として、特許文献2には、汚染土壌に通電して50~70℃に加温することで土壌から塩素化エチレンを溶出させ、土着の好熱性細菌(主にクロストリジウム属細菌)の共代謝作用により汚染物質を分解させる方法が記載されている。しかし、上記の温度域で生存する好熱菌は、塩素化エチレンの中でも主にテトラクロロエチレン(PCE)及びトリクロロエチレン(TCE)しか分解できないため、分解産物であるジクロロエチレン(DCE)やクロロエチレン(CE)が残留してしまう。(なお、DCE及びCEを無害なエチレンまで完全分解する活性が報告されているのは、当該温度域では生存できないデハロコッコイデス属細菌のみである。)特許文献2の方法では、その後のガス吸引あるいは揚水工程にて残留したDCE及びCEを回収しており、設備等設置のために浄化コストが高くなる。
特許文献3には、土壌中に微生物活性化剤を注入した後、温水を注入して地中温度を35℃未満に加温することで浄化を促進させる方法が記載されている。
特許文献4には、塩素化エチレン汚染土壌を20~35℃に加温して浄化を促進させる方法が記載されている。
特開2013-139020号公報 特開2015-112556号公報 特開2015-24401号公報 特開2009-90183号公報
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上記特許文献1~4では、塩素化エチレンで汚染された土壌及び地下水を原位置バイオオーグメンテーション法により浄化する場合における、塩素化エチレン分解菌(デハロコッコイデス属細菌)の詳細な温度特性が明らかになっていない。そのため、必ずしも最適な温度条件では浄化処理が実施されていなかった。
本発明は、塩素化エチレン分解菌の菌体増殖及び塩素化エチレン分解活性に最適な温度条件で実施することにより、汚染土壌及び地下水を効率的に浄化することができる汚染土壌及び地下水の浄化方法を提供することを目的とする。
本発明の汚染土壌及び地下水の浄化方法は、塩素化エチレンで汚染された土壌及び地下水に塩素化エチレン分解菌を注入し、原位置バイオオーグメンテーション法により浄化する汚染土壌及び地下水の浄化方法において、地中温度を塩素化エチレン分解菌増殖温度に維持し、その後、地中温度を昇温させることを特徴とする。
本発明の一態様では、地中温度を15~30℃に維持して塩素化エチレン分解菌を増殖させ、その後、地中温度32~34℃に維持する。
本発明の一態様では、塩素化エチレン分解菌の塩素化エチレン分解活性を測定し、塩素化エチレン分解活性が所定以上低下した場合、地中温度を25~30℃に低下させる。
本発明者は、塩素化エチレンで汚染された土壌及び地下水の原位置バイオオーグメンテーション法に関し、塩素化エチレン分解菌(デハロコッコイデス属細菌)の温度特性について鋭意研究を重ねた結果、次の知見1)~3)を得た。
1)15~30℃特に25~30℃に地中を加温すると、塩素化エチレン分解菌の増殖速度が顕著に増大する。30℃を超えると、温度の上昇に伴って菌体増殖速度が低下する。
2)塩素化エチレン分解菌が充分に増殖した後は(目安としてDHC菌数10copies/mL以上、望ましくは10copies/mL以上)、分解菌の塩素化エチレン分解活性が最大となる32~34℃まで加温することにより、高い塩素化エチレン分解活性が維持される。32~34℃の温度では分解菌が旺盛に増殖することはないが、急速に死滅することもなく、高い塩素化エチレン分解活性が維持される。また、土壌を32~34℃に維持することにより、土壌に吸着した塩素化エチレンの溶出が促され、効率的な浄化を行うことができる。
3)34℃を超えた温度で長期間保持すると、塩素化エチレン分解活性が著しく低下するが、30℃程度に一定期間戻すことにより、塩素化エチレン分解菌の分解活性が回復する。
本発明は、かかる知見に基づくものである。
本発明によると、塩素化エチレン分解菌の詳細な温度特性データを基にプロセス全体の温度条件を設定し、土壌加温技術と組み合わせることで効率的な原位置バイオオーグメンテーションを実現することができる。
本発明方法を説明するグラフである。 実施例の結果を示すグラフである。 実施例の結果を示すグラフである。
本発明の一態様では、汚染土壌及び地下水は以下の工程(1)~(3)で浄化される。
(1)汚染土壌及び地下水に塩素化エチレン分解菌及び栄養剤を注入し、その後、図1の通り、15~30℃特に25~30℃に地中を加温し、昇温させる。なお、地中の加温を塩素化エチレン分解菌及び栄養剤の注入に先行して開始してもよい。塩素化エチレン分解菌は15~30℃特に25~30℃の範囲で旺盛に増殖し、30℃を超えると温度上昇に伴って菌体増殖速度が低下する。塩素化エチレン分解菌としては、デハロコッコイデス属細菌が好適である。
(2)塩素化エチレン分解菌が充分に増殖した後(目安としてDHC菌数10copies/mL以上、望ましくは10copies/mL以上)、32~34℃まで地中を加温して維持する。図1のように、当該温度では分解菌が旺盛に増殖することはないが、急速に死滅することもなく、高い塩素化エチレン分解活性が維持される。
また、土壌を32~34℃に維持することにより、土壌に吸着した塩素化エチレンの溶出が促され、効率的な浄化を行うことができる。なお、34℃を超える温度で浄化箇所を長期間保持すると、37℃付近に増殖至適温度をもつ水素資化性のメタン生成細菌の割合が増加し、塩素化エチレン分解反応に必要な水素が奪われて分解活性が低下する。
(3)上記工程(2)を行っていると、塩素化エチレン分解活性が著しく低下することがある。この場合には地中温度を25~30℃、例えば30℃程度に低下させて一定期間(例えば15~50日)この温度に維持し、塩素化エチレン分解菌の分解活性を回復させる。
[地中の加温方法]
地中の加温方法としては、(a)地中に電極を挿入して通電し、土壌自身の電気抵抗によって発生するジュール熱により加温する方法;(b)地中に埋設したヒーターで加温する方法;(c)加温した栄養剤あるいは温水を注入する方法;などが挙げられる。
地中を加温する方法としては、難透水層を50~70℃に加熱できる(a)の方法が好ましい。(a)の方法では、栄養剤や分解菌が浸透しにくい粘土層やシルト層等に吸着した汚染物質の溶出を促進できるため、汚染物質の残留を低減し、浄化終了後のリバウンドを防止できる。
帯水層の上部の不飽和帯(通気帯)土壌に汚染物質が残留する場合は、不飽和帯を50~70℃に加熱するとともにガス吸引を併用することにより、効率的に浄化を行うことができる。この場合も、帯水層に溶出した汚染物質を塩素化エチレン分解菌により浄化させることができる。
以下の実験例を行い、塩素化エチレン分解菌の詳細な温度特性を考察した。
[実験例1:塩素化エチレン分解菌の各温度条件におけるCE分解活性評価]
<塩素化エチレン分解菌の培養>
塩素化エチレン分解菌としてデハロコッコイデス属細菌を用いた。
人工培地(非特許文献1に記載のもの、最終液量6L)を含む10L培養槽に、予め前培養した種菌を終濃度1%になるように植菌した。次いで、クロロエチレン(CE)およびHガスをそれぞれ50mLずつ添加し、培養温度30℃、嫌気条件下にて培養を開始した。
培養槽ヘッドスペースのガス成分濃度を分析することにより培養状況をモニタリングし、CE及びH濃度がそれぞれ5mg/L以下、1mg/L以下になった場合には再度50mLのガスを添加した。菌体が充分に増殖した状態を再現するため、当該細菌の16SrDNAが10~10copies/mLになるまで培養した。
エチレン、メタン、及びH濃度は、ガスクロマトグラフィーバリア放電イオン化検出法(GC-BID)により測定した。CE濃度はガスクロマトグラフィー水素炎イオン化検出法(GC-FID)により測定した。
<分解活性評価試験>
培養槽植菌後96日目から分解活性評価試験を開始した。即ち、培養槽ヘッドスペースのガス成分濃度を定期的に分析し、CEの分解産物であるエチレンの生成速度を塩素化エチレン分解活性として評価した。分解活性評価試験開始当初の培養槽温度は、図2の通り30℃であり、分解活性評価試験開始後、2~3週間毎に2℃ずつ培養槽温度を上げた。
各温度における分解活性評価試験の前にNガスを用いて培養槽中のパージを行い、培養液中に残存するCEやエチレンを除去した。次いで、N/COガス(混合比80:20)を吹き込んでpH7.3~7.5に調整した後、再度CE及びHガスを50mLずつ添加して分解活性評価試験を開始した。
<結果・考察>
各温度条件におけるCE分解速度及びメタン生成速度の測定結果を図2および表1に示す。
Figure 0007147737000001
図2及び表1の通り、CE分解速度は34℃において最も高い値を示した。35℃を超えるとその活性は著しく低下したが、反比例するようにメタン生成速度の顕著な上昇が認められた。
分解微生物群の中には、Hを利用してメタンを生成する古細菌(メタン生成菌)が含まれている。CE分解反応に使われるHは、これらの菌によるメタン生成反応にも利用されるため、CE分解菌とメタン生成菌はHを巡る競合関係にある。一般的なメタン生成菌の増殖至適温度は37℃付近であるところから、今回の実験系においても35℃以上ではメタン生成活性が優位になり、必要なHが奪われることがCE分解速度低下の一因になっているものと推察される。
なお、非特許文献2では、デハロコッコイデス属細菌の増殖及び分解活性の至適温度は25~30℃であるとされている。しかし、非特許文献2の評価試験では培地に少量の種菌を接種した直後からの分解活性を評価するため、その分解速度は細胞増殖速度の影響を多分に受ける。つまり、増殖に必要な酵素群の至適温度が低ければ、分解活性の見かけ上の至適温度も低く見積もられる。
一方で、今回の10L培養槽試験では菌体濃度が最大になった状態から試験を開始しているため、その影響は限りなく小さく、分解速度の真の温度特性が得られることが推察される。即ち、デハロコッコイデス属細菌においては増殖至適温度が25~30℃である一方で、CE分解に関与する酵素の至適温度は34℃付近であることが示唆された。
[実験例2:実験例1の各温度での分解活性評価試験終了後の菌液を用いた30℃でのCE分解活性試験]
人工培地80mLを含むバイアル瓶に、0.6mLのCEガス及び実験例1での各培養温度試験終了後の菌液0.2mLを注入して培養を開始し、30℃で約10日間インキュベートしたのちのエチレン生成量から分解活性を算出した。CE分解活性(CE分解速度及びメタン生成速度)の測定結果を表2に示す。
Figure 0007147737000002
表2の通り、上記試験で最も高い分解活性を示した34℃培養菌液では、30℃培養菌液の場合と比較して30%程度まで活性が低下した。
上記の通り、本実験例では、CE分解速度は植菌したCE分解菌群の増殖速度に大きく依存する。即ち、34℃に晒された分解菌は増殖に必要な酵素群の活性が低下しているために再度30℃条件で培養しても直ちに増殖が進まず、見かけ上の分解活性が低下していることが示唆された。これらの結果から、デハロコッコイデス属細菌の増殖期は培養温度25~30℃に維持する必要があると考えられる。
[実験例3:30℃以下でのCE分解活性試験]
人工培地100mLを含むバイアル瓶に、0.2mLのCEガス及び30℃で培養した菌液1mLを注入して培養を開始し、15℃、20℃、25℃、30℃でインキュベートした。デハロコッコイデス属細菌の増殖に伴って生成するエチレン量を測定した結果を図3に示す。
図3の通り、エチレン生成速度は20℃以下で大きく低下したことから、活性回復時においても25℃を下回らない範囲で保持する必要があると考えられる。
[実験例4:デハロコッコイデス属細菌由来16SrDNAの定量]
実験例1の各温度での分解活性評価試験終了後の培養液を2mLサンプリングし、4℃で3時間程度静置して鉄粉を沈殿させた後、上清1mLを分取し、菌体を遠心分離し(10,000×g、10分、4℃)、DNAを抽出した。DNA抽出は、市販のDNeasy Blood & Tissue Kit(QIAGEN)を用いた。抽出したDNAを用いて、非特許文献1に記載のLight Cycler(Roche)を用いた定量PCRに従い、デハロコッコイデス属細菌由来16SrDNAを定量した。結果を表3に示す。
Figure 0007147737000003
表3の通り、35℃を超えてもデハロコッコイデス属細菌の16SrDNA数に変化は認められなかった。
また、前記図2の通り、38℃培養後の菌液を再び30℃に戻すと、約1週間経過後から最初の30℃培養時と同程度の分解活性を示すようになることから、38℃培養後でも一定数のデハロコッコイデス属細菌が生存していることが予測される。
即ち、35℃以上でのCE分解活性低下の原因はメタン生成活性の上昇に伴うHの不足や、デハロコッコイデス属細菌中のCE分解酵素の活性低下であることが示唆された。
これらの結果から、培養温度34℃以上でもデハロコッコイデス属細菌は一定数生存しており、過剰な加温により塩素化エチレン分解活性が低下しても、30℃程度に一定期間戻すことで再び高い分解活性を示すと考えられる。

Claims (1)

  1. 塩素化エチレンで汚染された土壌及び地下水に塩素化エチレン分解菌を注入し、原位置バイオオーグメンテーション法により浄化する汚染土壌及び地下水の浄化方法において、
    記塩素化エチレン分解菌がデハロコッコイデス属細菌であり、
    地中温度を15~30℃に維持して塩素化エチレン分解菌を増殖させ、その後、地中温度を32~34℃に維持し、
    地中温度を32~34℃に維持している間に該塩素化エチレン分解菌の塩素化エチレン分解活性を測定し、塩素化エチレン分解活性が所定以上低下した場合、地中温度を25~30℃に低下させることを特徴とする汚染土壌及び地下水の浄化方法。
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