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JP7150303B2 - カッターホイール及び多層基板の切断方法 - Google Patents
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本発明は複数の樹脂基板を接着剤を介して積層した多層基板の切断方法とその切断に用いるカッターホイールに関するものである。
従来内部に接着剤を有する多層基板を切断する場合には、一方の面からレーザ光を照射して所望のラインに沿って基板を切断し、更に基板を反転させて他方の面からその切断ラインに沿ってレーザ光を照射することで切断するようにしていた。このとき基板の材質毎に種類の異なるレーザ光を照射する必要があるため、レーザを照射するためのヘッドの構造が複雑になり、高価格になるという問題点がある。そこでその一部の切断工程をカッターホイールを用いて切断することが考えられる。特許文献1は従来の円盤状で外周に刃先を持つカッターホイールを示すものであり、その刃先部分に放射線状に研磨傷を有している。
特開2012-71377号公報
基板の材質毎に種類の異なるレーザ光を複数回照射する方法では、基板に対する熱影響が大きいため、基板の特性に悪影響を与える場合がある。一方、引用文献1のようなカッターホイールを転動させつつ多層基板を切断すると、樹脂基板を相互に接着していた接着剤がカッターホイールの刃先の傾斜面に残ってしまう。そのためカッターホイールの転動に伴い接着剤が多層基板の他の部分に転写されてしまい、切断の品質が低下するという問題点があった。カッターホイールの刃先に付着した接着剤を清掃することは難しく、カッターホイールに接着剤が付着しにくい切断方法が求められていた。
本発明はこのような従来の問題点に着目してなされたものであって、多層基板を切断する場合に、レーザ光照射による熱影響を抑制することを目的とする。さらに、レーザ光照射による熱影響を抑制するために、多層基板をカッターホイールを用いて切断する場合に、多層基板の層間に設けられる接着剤が外部に漏れ出し刃先に付着しないようにして切断できるようにすることを目的とする。
この課題を解決するために、本発明のカッターホイールは、外周部分に断面V字形の傾斜面を有する円板状のカッターホイールであって、前記カッターホイールは、前記V字形の傾斜面の頂角が20~50°であり、前記傾斜面はカッターホイールの中心軸と一致する同心円状の研磨痕を有し、前記傾斜面の算術表面粗さRaは、0.04μm~0.1μmとするものである。
この課題を解決するために、本発明の多層基板の切断方法は、少なくとも2層の樹脂基板が接着層を介して積層された多層基板を切断する切断方法であって、多層基板のうち最下層を下面にしてテーブル上に配置し、上面より前記最下層に達するまで前記カッターホイールを転動させて切断ラインに沿ってスリットを形成し、前記多層基板を反転させ、前記切断ラインを含むようにレーザ光を照射して前記最下層を切断することにより前記多層基板を切断するものである。
この課題を解決するために、本発明の多層基板の切断方法は、第1層、第2層および第3層の樹脂基板が接着層を介して順に積層された多層基板を切断する切断方法であって、多層基板のうち前記第3層を下面にしてテーブル上に配置し、前記多層基板の切断ラインに沿って前記第1層にレーザ光を照射して溝を形成し、前記第3層に達するまで前記カッターホイールを転動させて前記溝内で切断ラインに沿って前記第2層にスリットを形成し、前記多層基板を反転させ、前記切断ラインを含むようにレーザ光を照射して前記第3層を切断することにより前記多層基板を切断するものである
このような特徴を有する本発明によれば、切断の工程の一部でカッターホイールを用いるため、多層基板に対するレーザ光照射による熱影響を抑制することができる。また、このような特徴を有する本発明によれば、切断の工程でカッターホイールを用いるが、カッターホイールの傾斜面には同心円状の研磨痕が設けられているため、カッターホイールの転動によっても刃先に接着剤が付着しにくい。そのため接着剤が多層基板の他の部分に転写されにくく、切断品質を向上させることができるという効果が得られる。
図1は本発明の実施の形態の分断方法によって分断する多層基板の一例を示す図である。 図2は本実施の形態によるカッターホイールの側面図及び正面図である。 図3は本実施の形態によるカッターホイールの斜視図である。 図4は本実施の形態によるカッターホイールの研磨状態を示す側面図である。 図5は同心円状の研磨痕を有するカッターホイールの刃先部分を示す拡大図である。 図6は本実施の形態によるカッターホイールを用いて多層基板を切断する工程を示す図である。 図7は本実施例のカッターホイールの使用後の図である。 図8は実施例2のカッターホイールの使用後の図である。 図9は実施例3のカッターホイールの使用後の図である。
図1は本発明の実施の形態の切断方法によって分断する多層基板の一例を示す拡大断面図である。本図に示すように多層基板10は3層の樹脂層、即ち第1層11、第2層12、及び第3層13が積層されたフレキシブル多層基板とする。第1層11,第3層13はPET層、中間の第2層はポリイミド層とする。そして第1層11と第2層12の間、第2層12と第3層13との間には、夫々の層を接着するための接着層14,15が設けられている。このような多層基板10を切断する場合に、この実施の形態では第1,第3層11,13の切断にはCOレーザ、第2層12の切断にはカッターホイール20を用いる。
次に第2層12の切断に用いるカッターホイール20について説明する。この実施の形態のカッターホイール20は図2,図3に示すように円板状であって、外周部分は断面がV字形に形成され、その先端が刃先部21として構成されている。中央には貫通孔22を有し、この貫通孔22に沿ってカッターホイール20が回転自在に保持される。ここで刃先21の頂角αは例えば20~50°とし、カッターホイール20の直径Dは5~15mmとする。ここでカッターホイール20の左右の傾斜面23,24は、同心円状に研磨してV字形に形成するものとする。こうすれば傾斜面23,24に同心円状の研磨痕が残ったカッターホイール20が得られることとなる。
図4はカッターホイール20を研磨して傾斜面23,24を形成する方法を示す図である。この方法では研磨時に円板状の砥石30を用いる。砥石30は円周面に砥石が形成されている。この砥石30は砥石回転軸30aに沿って回転自在とする。カッターホイール20の貫通孔22を軸31とナット32により保持し、軸31を回転自在とする。そして図4に示すように砥石回転軸30aとカッターホイール20の回転軸32aとが1つの平面(紙面)をなし、回転軸間の角度を90°+α/2となるように設定する。次に砥石30を一定速度で砥石回転軸30aに沿って回転させつつ、磁石30の外周面にカッターホイール20を押し付け、カッターホイール20もその回転軸32aに沿って回転させ、カッターホイール20を研磨する。こうすれば、カッターホイール20の傾斜面には回転軸32aを中心として傾斜面23に同心円状の多数の研磨痕25が形成されることとなる。一方の面の研磨を終えると、他方の傾斜面24についても同様に研磨する。こうして研磨を終えると、図5に拡大図を示すようにV字形の傾斜面には稜線に平行な多数の微細な研磨痕25が形成された状態となる。尚図3では傾斜面に形成される研磨痕を誇張して示している。研磨痕25が形成された傾斜面23,24の算術表面粗さRaは、例えば0.04μm~0.1μmとする。ここで傾斜面23,24の全面に微細な研磨痕25が形成されるようにしてもよいが、使用時に樹脂に食い込む刃先21の稜線近傍部分のみに形成してもよい。
このような研磨痕を有するカッターホイール20を用いて多層基板を切断する切断工程について説明する。まず図6(a)に示すように多層基板10を第1層11を上面にしてテーブル40上に配置し、その上部にCOレーザが照射できる図示しない加工ヘッドを移動させる。テーブル40と加工ヘッドは相対的に移動自在とする。そして多層基板10の第1層11のPET層に所望の切断予定ラインに沿って矢印に示すようにCOレーザを照射し、加工ヘッドとテーブル40を相対的に移動させ切削する。こうすれば図6(a)に示すように第1層11とその下部の接着層14は切断され、溝41を形成することができる。そして図6(b)に示すようにこの溝41内に前述したカッターホイール20を挿入し、刃先21の先端部を所望の切断ラインに合わせて所定の荷重をかけ、接着層15を貫通して最下層の第3層13の内部までスリットを形成できるように押し込んでカッターホイール20を転動させる。こうすれば図6(b)に示すように溝41の下に第2層を完全に分断するスリット42を形成することができる。ここでカッターホイール20の傾斜面23,24には同心円状の研磨痕25が形成されているので、傾斜面23,24の表面に接着層15に存在する接着剤がほとんど付着することがない。さらに、研磨痕25が同心円状に形成されているため、カッターホイールの20の傾斜面23,24に接着剤がわずかに付着したとしても、研磨痕25に保持されることにより多層基板10の表面には付着しにくくなる。このためカッターホイール20を転動させても付着した接着剤が多層基板10の他の部分に転写されにくくなる。
次いで図6(c)に示すように多層基板10を反転させる。更に図6(d)に示すように切断ラインに合わせて溝41の真上からCOレーザ光を照射する。そして第3層13に一定幅の溝43を形成する。こうすれば既にスリット42が形成されているため多層基板10を分断することができる。このように第1層11及び第3層13はCOレーザ光を照射して切断するが、第2層12の切断にカッターホイール20を用いるため、多層基板10に対して異なる種類のレーザ光を照射することによる熱影響を抑制することができる。
尚この実施の形態では第1層,第3層をPET層とし、第2層をポリイミド層としているが、複数の異なった材質の樹脂基板が積層され、その間が接着剤で接着されている多層基板であればこの発明を適用することができる。
又本実施の形態では第1~第3層までの3層構造の多層基板について説明しているが、2層の樹脂基板を樹脂層で接続した多層基板についても本発明を適用することができる。この場合には図6(b)~(d)に示すようにまずカッターホイールで最下層に達するまでスリットを形成した後、反転させてレーザ光を照射することで多層基板を切断することができる。いずれの場合にも多層基板は1種類のレーザ光とカッターホイールとで切断することができる。
次に本発明の具体的な実施例について説明する。この実施例1によるカッターホイールとして同心円状の研磨痕を有し、直径Dが10mm、刃先角度αが30°のカッターホイールを用いた。また放射状の研磨痕を有し直径Dが6mmのカッターホイールを用いた場合を実施例2とし、放射状の研磨痕を有し、直径Dが10mmのカッターホイールを用いた場合を実施例3とした。そして本発明の効果を確認するために、切断する多層基板はポリイミド層(膜厚20μm)とPET層(膜厚100μm)、その間の接着層のみを有する2層の基板を用いた。まずポリイミド層を上面、PET層を下面としてテーブル上に配置し、上記3種類のカッターホイールでPET層の深さの1/2近くまで到達するように、押し込み量を0.08mmに設定した。走査速度を300mm/秒、押し付け圧力を0.2MPaとしてカッターホイールでPET層まで達するようにスリットを形成した。
次いで基板を反転させてスリットが形成されたラインに沿ってCOレーザを照射し、PET層を切断した。
本実施例1~3の切断方法においては、いずれもカッターホイールを用いてポリイミド層を切断している。これにより、PET層の切断に用いるCOレーザとは異なる種類のレーザ光を照射する場合と比較して、ポリイミド層及びPET層への熱影響を抑制し、基板の品質の低下を抑制することができる。
さらに、本実施例1のカッターホイールを用いた場合には、図7に示すようにほとんど傾斜面に接着剤が付着しておらず、カッターホイールを転動させても基板の表面に接着剤の付着が見られなかった。一方、実施例2,3のカッターホイールを用いた場合には、夫々図8,9に示すように傾斜面の基板に食い込んだ部分及びその上部には接着剤が付着した。
このようにカッターホイールの傾斜面に形成される研磨痕を同心円状とすることで、カッターホイールに接着剤が付着しにくく、基板の上面に接着剤が露出したり、他の部分に転写されてしまうということがなくなる。したがって、実施例1のカッターホイールは、接着層までカッターホイールを貫通させることで多層基板を確実に切断する場合に、切断品質をさらに向上させることができる。
本発明は中間層に接着剤層を有する多層基板をカッターホイールを用いて切断する場合に有用に使用することができる。
10 多層基板
11 第1層(PET層)
12 第2層(ポリイミド層)
13 第3層(PET層)
14,15 接着層
20 カッターホイール
21 刃先部
22 貫通孔
23,24 傾斜面
25 研磨痕
40 テーブル
41,43 溝
42 スリット

Claims (3)

  1. 外周部分に断面V字形の傾斜面を有する円板状のカッターホイールであって、
    前記カッターホイールは、前記V字形の傾斜面の頂角が20~50°であり、
    前記傾斜面はカッターホイールの中心軸と一致する同心円状の研磨痕を有し、
    前記傾斜面の算術表面粗さRaは、0.04μm~0.1μmとするカッターホイール。
  2. 請求項1記載のカッターホイールを用い、少なくとも2層の樹脂基板が接着層を介して積層された多層基板を切断する切断方法であって、
    多層基板のうち最下層を下面にしてテーブル上に配置し、
    上面より前記最下層に達するまで前記カッターホイールを転動させて切断ラインに沿ってスリットを形成し、
    前記多層基板を反転させ、
    前記切断ラインを含むようにレーザ光を照射して前記最下層を切断することにより前記多層基板を切断する多層基板の切断方法。
  3. 請求項1に記載のカッターホイールを用い、第1層、第2層および第3層の樹脂基板が接着層を介して順に積層された多層基板を切断する切断方法であって、
    多層基板のうち前記第3層を下面にしてテーブル上に配置し、
    前記多層基板の切断ラインに沿って前記第1層にレーザ光を照射して溝を形成し、
    前記第3層に達するまで前記カッターホイールを転動させて前記溝内で切断ラインに沿って前記第2層にスリットを形成し、
    前記多層基板を反転させ、
    前記切断ラインを含むようにレーザ光を照射して前記第3層を切断することにより前記多層基板を切断する多層基板の切断方法。
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