以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下において、植物栽培システムの構成の説明の便宜上、各図中に示す上下左右前後等の方向を共通に定義し適宜使用する場合がある。但し、植物栽培システムの各構成の位置関係を限定するものではない。
<1.植物栽培システムの構成>
図1乃至図4を参照しつつ、本実施形態に係る植物栽培システム1の全体構成の一例について説明する。なお図1においては、図示の煩雑を避けるためにシステム全体の構成を概略的に示すだけとし、各部の詳細な構造については簡略化して模式的に示している。
図1及び図2に示すように、植物栽培システム1は、栽培対象である植物2を植物保持具3で保持し、当該植物保持具3を所定の期間をかけてレール4に沿って移動させることにより、植物を生育させるシステムである。植物栽培システム1は、積層栽培棚5と、搬送ロボット6と、搬入コンベア7と、搬出コンベア8と、多数の植物保持具3を有する。
(1-1.積層栽培棚)
積層栽培棚5には、複数段(この例では8段)の栽培棚5aが上下方向に多段で積層するよう配置されている。なお、「上下方向」は厳密な鉛直方向である必要はなく、実質的な鉛直方向であればよい。したがって、「上下方向」には鉛直方向に対して若干傾斜した方向も含まれる。また、積層栽培棚5における栽培棚5aの積み重ね方向は、上下方向に限定されるものではなく、上下方向に対して所定の角度で傾斜した方向としてもよい。
各栽培棚5aのそれぞれには、複数のレール4が前後方向に沿って水平に延設されている。なお、本実施形態でいう「前後方向」は各栽培棚5aにおける植物2の流れ方向(搬送方向)であり、レール4の長手方向あるいは延設方向でもある。また、「水平方向」は厳密な水平方向である必要はなく、実質的に水平方向であればよい。したがって、水平方向に対して若干傾斜した方向も含まれる。複数のレール4は、各栽培棚5aにおいて左右方向に並設されており、各レール4は実質的に平行に配置されている。なお、本実施形態でいう「左右方向」は上記上下方向及び前後方向と直交する方向である。
詳細な構造については後述するが、レール4は、複数の植物保持具3を長手方向に沿って移動可能に支持する。そして、レール4においては、植物保持具3が前後方向における一方側から供給されることで、他の支持された複数の植物保持具3が前後方向における他方側に向けて押し出されてスライド移動するよう構成される。
積層栽培棚5における栽培棚5aの段数は特に限定されるものではないが、本実施形態では8段である場合を一例として説明する。以下では、説明の便宜上、積層栽培棚5の栽培棚5aの段について適宜、最下段の1段をA段、最上段の1段をB段、上から2段目~5段目をまとめてC段、上から6、7段目をまとめてD段という。すなわち、図1乃至図4に示すように、A段は1つの栽培棚5aを有し、B段は1つの栽培棚5aを有し、C段は4つの栽培棚5aを有し、D段は2つの栽培棚5aを有する。図3に示す例では、A段の栽培棚5aには比較的多数(図示する例では8つ)のレール4が設置されている。B段の栽培棚5aには、A段よりも少ない数(図示する例では6つ)のレール4が設置されている。C段の栽培棚5aのそれぞれには、B段よりもさらに少ない数(この例では4つ)のレール4が設置されている。D段の栽培棚5aのそれぞれには、C段よりもさらに少ない数(この例では3つ)のレール4が設置されている。
(1-2.搬送順序)
次に、植物栽培システム1における植物保持具3及び植物2の搬送順序の一例について説明する。搬入コンベア7は、この例では種子が播種されて発芽した状態の植物2を保持する植物保持具3(詳細は後述する)を、図示しないパレタイザからA段の後側から搬入供給する。また搬出コンベア8は、D段における各段の栽培棚5aの後側から、十分に生育した状態の植物2を保持した植物保持具3を搬出する。
図1、図3に、各栽培棚5aそれぞれにおける植物保持具3及び植物2の搬送方向を示す。なお、図1中における破線矢印が各栽培棚5aでの植物保持具3及び植物2の搬送方向を示している。また、図3中の記号101は、上記前後方向における前側から後側への植物保持具3及び植物2の搬送方向を示し、記号102は、反対に後側から前側への植物保持具3及び植物2の搬送方向を示している。図1、図3に示すように、A段では、各レール4において植物保持具3及び植物2が後側から前側へ向けて搬送される。B段では、各レール4において植物保持具3及び植物2が前側から後側へ向けて搬送される。C段では、各段とも、各レール4において植物保持具3及び植物2が後側から前側へ向けて搬送される。D段では、各段とも、各レール4において植物保持具3及び植物2が前側から後ろ側へ向けて搬送される。
積層栽培棚5の前側に位置する搬送ロボット6は、A段からB段への植物保持具3及び植物2の上昇搬送と、C段からD段への植物保持具3及び植物2の下降搬送を行う。このとき、前側の搬送ロボット6は、左右方向の振り分けを行うとともに、異なる段数にあるC段とD段の間の上下方向の振り分けも行う。また、積層栽培棚5の後側に位置する搬送ロボット6は、搬入コンベア7からA段への植物保持具3及び植物2の水平搬送と、B段からC段への植物保持具3及び植物2の下降搬送と、D段から搬出コンベア8への植物保持具3及び植物2のまとめ搬送を行う。このとき、後側の搬送ロボット6は、左右方向の振り分けを行うとともに、異なる段数にあるB段とC段の間の上下方向の振り分けも行う。
また、図4に示すように、積層栽培棚5の栽培棚5aの上方には、植物2の葉2b(後述の図9参照)に光を当てるための複数の光源15が設置されている。各光源15は、各栽培棚5aの上方にそれぞれ設けられた支持板11の下面に、左右方向に沿って延在するよう設置されている。各光源15は、前後方向に沿って所定の間隔で配置されている。なお、光源15は特に限定されるものではないが、植物の光合成を促進するため、例えばLEDや蛍光灯等が使用される。
以上の搬送経路において、A段→B段→C段→D段の順で搬送されるに従い左右方向におけるレール間隔が次第に広くなる。これにより、植物2全体の大きさが植物保持具3よりも小さい育苗段階ではレール間隔が最も狭いA段で密集して栽培し、その後にレール間隔が広くなる順のB段→C段→D段で搬送することができる。すなわち、各植物2の全体が次第に大きく生育する段階に応じて配置間隔を広くでき、当該積層栽培棚5全体の設置面積に対して植物2の栽培面積を効率的に利用できるいわゆる定植が可能となる。
<2.搬送ロボット>
次に、図5及び図6を用いて、搬送ロボット6の構成の一例について説明する。なお、図5及び図6においては積層栽培棚5の前側に配置される搬送ロボット6を斜視で示しており、X軸正の方向が右、X軸負の方向が左、Y軸正の方向が後、Y軸負の方向が前、Z軸正の方向が上、Z軸負の方向が下に対応する。また、積層栽培棚5の後側に配置される搬送ロボット6については、同じ構成のものをX軸、Y軸のそれぞれの正負方向を逆にしただけであるため、その図示を省略する。
(2-1.全体構成)
搬送ロボット6は、植物保持具3及び植物2を一のレール4の端部から取り出して搬送し、他のレール4の端部へ押し込んで供給する。図5に示すように、搬送ロボット6は、基台16と、基台16上に設置された門型の支持枠17と、支持枠17に設けられたアクチュエータ30と、ハンド21とを有する。
支持枠17は、基台16上にX軸方向に対向するようにZ軸方向に沿って設置された一対の支柱17aと、一対の支柱17aの上端にX軸方向に沿って架け渡された略水平な梁17bとを有する。
アクチュエータ30は、X軸ユニット18、Z軸ユニット19、及びY軸ユニット20を有する。X軸ユニット18は、ビーム18aと、スライダ18bと、X軸モータ18cとを有する。ビーム18aは、一対の支柱17a間にX軸方向に略水平に架設される。スライダ18bは、ビーム18aにX軸方向に沿って移動自在に支持される。X軸モータ18cは、ビーム18aの左端に取り付けられ、スライダ18bに装着された図示しないチェーン等を介してスライダ18bをX軸方向に駆動する。
Z軸ユニット19は、ビーム19aと、スライダ19bと、Z軸モータ19cとを有する。ビーム19aは、上端が梁17bにX軸方向に移動自在に支持されるとともに、スライダ18bに固定される。スライダ19bは、ビーム19aにZ軸方向に沿って移動自在に支持される。Z軸モータ19cは、ビーム19aの下端に取り付けられ、スライダ19bに装着された図示しないチェーン等を介してスライダ19bをZ軸方向に駆動する。
Y軸ユニット20は、ビーム20aと、スライダ20bと、Y軸モータ20cとを有する。スライダ20bは、スライダ19bに固定される。ビーム20aは、スライダ20bによってY軸方向に沿って移動自在に支持される。Y軸モータ20cは、ビーム20aの前端に取り付けられ、スライダ20bに装着された図示しないチェーン等を介してスライダ20bをY軸方向に駆動する。
アクチュエータ30では、X軸モータ18cによりスライダ18bがX軸方向に駆動すると、ビーム19aがX軸方向に移動し、スライダ19b及びスライダ20bを介してビーム20aがX軸方向に移動する。また、Z軸モータ19cによりスライダ19bがZ軸方向に駆動すると、スライダ19b及びスライダ20bを介してビーム20aがZ軸方向に移動する。また、Y軸モータ20cによりスライダ20bをY軸方向に駆動すると、スライダ20bを介してビーム20aがY軸方向に移動する。このようにして、アクチュエータ30は、ビーム20aをX軸、Y軸、Z軸の三軸方向に移動することができる。
ハンド21は、アクチュエータ30のビーム20aの後側の先端に取り付けられ、植物保持具3を把持する。アクチュエータ30は、ビーム20aを三軸方向に移動することにより、ハンド21を三軸方向に移動することができる。すなわち、アクチュエータ30は、ハンド21を前後方向(レール4の長手方向)に沿って移動させる。またアクチュエータ30は、前後方向と垂直且つ互いに直交する2方向、すなわち左右方向(レール4の並設方向。略水平方向でもある)と上下方向(栽培棚5aの積み重ね方向。高さ方向でもある)の2方向に沿って移動させることができる。
(2-2.ハンド)
図6に示すように、ハンド21は、ベース22と、一対のスライダ24と、一対の爪部材25と、駆動ブロック26とを有する。一対のスライダ24は、ベース22の前面下方部でX軸方向に延設された2対のレール部材23に対し、それらの延設方向に沿って摺動自在に嵌合されている。一対の爪部材25は、一対のスライダ24の下端にそれぞれ取り付けられ、X軸方向に略平行に配置されている。駆動ブロック26は、ベース22の前面上方部に設けられ、駆動機構(図示せず)を内蔵している。駆動機構は、例えばエアーコンプレッサ等の圧力源からの流体圧力でスライダ24を駆動し、一対の爪部材25をX軸方向に略平行な姿勢を保持しつつ互いに進退するように開閉させる。一対の爪部材25の先端の爪部28の内側には、植物保持具3の支持部35(後述の図7参照)を支持する溝部28aが形成されている。溝部28aは、Y軸方向から見た形状が支持部35の形状に対応した形状(この例では等脚台形状)となっている。また各溝部28aの内部において当該爪部材25の先端から所定距離の位置に、互いに対向し近接する方向で突出した一対のストッパピン28bが設けられている。なお、図示する例では各ストッパピン28bは円柱形状で形成されているが、他に多角柱形状で形成されてもよい(図示省略)。
ハンド21は、例えばレール4の端部に位置する植物保持具3を抜き出す際には、駆動機構の作動で一対の爪部材25を植物保持具3に対し閉じ、爪部材25の先端の爪部28で植物保持具3を両側から挟んで把持した後に抜き出す。また、ハンド21は、例えばレール4の端部へ植物保持具3を挿入する際には、把持した植物保持具3をアクチュエータ30の駆動により別のレール4の端部に移動させ、レール4に挿入する。そして、植物保持具3を把持したままY軸方向(前後方向)に1ピッチ分(植物保持具3の前後方向の長さ分)だけ押す。これにより、挿入した植物保持具3とレール4上に支持されている複数の植物保持具3を1ピッチ分スライドさせることができる。またこのとき、爪部28に把持された植物保持具3における押し込み方向と逆側(溝部28aの奥側、図中のY方向の後方側)の端面が各ストッパピン28bに当接することで、植物保持具3の寸法公差にバラツキがある場合でも、爪部28に対する当該植物保持具3の相対位置を規定位置に位置決めできる。これにより搬送ロボット6は、そのストッパピン28bの位置を基準として、その時点で把持している植物保持具3自体、及びその挿入先のレール4上に支持されている複数の植物保持具3の列全体の搬送方向に対する正確な位置決めが可能となる。以上の挿入操作の後、ハンド21は一対の爪部材25を開いて植物保持具3の把持を解除する。
<3.植物保持具>
次に、図7及び図8を用いて、植物保持具3の構成の一例について説明する。なお、図8(a)は、図7(a)中の矢視VIIIa-VIIIaでの左右方向直交断面を示しており、図8(b)は、図7(a)中の矢視VIIIb-VIIIbでの前後方向直交断面を示している。また、図7及び図8に示す方向は、実際に植物保持具3がレール4に支持されて使用される状態での方向を示す。
植物保持具3は、植物栽培システム1の栽培対象である植物2を1株ごとに保持する部材である。なお、ここでいう「1株」とは、単一の種子から生育される1つの個体をいう。例えば図9に示す植物2のように、複数(単一でもよい)の葉2bが1本の茎2aによって支持されることで1つの個体としてまとまっているものは1株である。また、例えば茎が分岐等により複数ある場合でもその根2cがつながることで1つの個体としてまとまっているものは1株である。
図7及び図8に示すように、植物保持具3は、左右方向、前後方向の各方向においてそれぞれ対称な形状を有する。したがって、植物保持具3はその長手方向である前後方向(つまり搬送方向)において正逆両方向で使用できる方向互換性を有した構成となっている。植物保持具3は、摺動性の高い材料(例えば樹脂。金属等でもよい)で一体成形されており、植物保持具3を支持するレール4に対してスライド可能に構成されている。植物保持具3は、その全体又は局部的な形状の部位として、主に本体部31、保持筒部32、誘導テーパ部33、及びガイド板部34を有している。
本体部31は、上方からの平面視で見て前後方向を長手方向とした略矩形形状の平板形状部であり、その上面と下面のそれぞれ四方の辺には傾斜の緩やかな(水平面に対して成す角度が小さい)面取り31aが形成されている。この本体部31のうち左右方向両側の縁部は、特に搬送ロボット6のハンド21(前述の図6参照)により把持された際に爪部材25により支持される支持部35として機能する。この例の支持部35は、上記面取り31aにより前後方向から見て等脚台形状に形成されているが、三角形や円形等、他の形状としてもよい。またこの例では、左右方向両側の支持部35がそれぞれ前後方向に間隔を空けて例えば2つ配置されているが、一繋がりとしてもよいし、3以上としてもよい。
保持筒部32は、上記本体部31の前後方向及び左右方向の中心位置で上下方向(鉛直方向)に貫通した円筒形状部であり、その上端開口部は本体部31の上面から突出せずに面一の状態(段差がなくフラットな状態)で形成され、下端開口部は本体部31の下面から下方に所定の寸法で突出するよう形成されている。この例では、保持筒部32は例えば内径が丸穴の円筒形状であるが、内径の軸直交断面が四角形等の他の多角形状である多角形筒形状としてもよい。なお、この保持筒部32の内径部における詳細な構成については、後に詳述する(後述の図10参照)。
誘導テーパ部33は、本体部31の下面から下方に突出して前後方向(搬送方向)の両端部からそれぞれ中央部へ向けて左右方向の寸法(幅方向寸法)が拡大するように形成されたテーパ形状部である。また本体部31の中央側におけるこの誘導テーパ部33の最大幅寸法は、後述するレール4の下レール溝43b(後述の図9参照)に対して適宜のはめあい公差で嵌合可能な寸法であり、上記保持筒部32の近傍までその最大幅方向寸法部36を延設している。
ガイド板部34は、本体部31の上面から上方に突出して前後方向に延設された一対の平板形状部であり、保持筒部32の上端開口部を挟んだ左右方向の2箇所に並設されている。これら一対のガイド板部34全体での幅方向寸法w1や左右方向位置は、上記誘導テーパ部33に続く最大幅方向寸法部36と略一致する。
そして、各図に示すように、誘導テーパ部33も含めた本体部31の全体は下方側が開口して中抜きされた中空構造で形成されており、このため植物保持具3全体の重量が軽量化されている。また各図に示すように、本体部31と各誘導テーパ部33は、それら前後方向の両端部がそれぞれ面一の状態で前後方向に対して直交する(つまり搬送方向を法線方向とした)平坦面37で形成されている。
なお、以上説明した植物保持具3の構成は一例であり、上記以外の構成としてもよい。例えば、上記では植物保持具3を一体成形としたが、複数の部品で構成されてもよい。
<4.レール>
次に、図9を用いて、レール4の構成の一例について説明する。なお、図9に示す方向は、レール4が栽培棚5aに設置された状態での方向を示しており、図中では前後方向におけるレール4の直交断面で示している。
図9に示すように、レール4は、レール部40と、水槽部47とを有しており、摺動性の高い材料(例えば樹脂。金属等でもよい)で一体成形されている。レール部40は、それぞれ左右方向に所定の幅を有し前後方向に延設された左右一対の上レール板41aと、これら上レール板41aの下方位置で同じくそれぞれ左右方向に所定の幅を有し前後方向に延設された左右一対の下レール板42aが設けられている。また、一対の上レール板41aで互いに対向する側の縁部には、それぞれ同じ寸法で下方に突出する上レール突起部44が形成されている。これら上レール突起部44と下レール板42aとの間の上下方向の離間寸法は、上記植物保持具3の本体部31の上下厚み寸法に対して適宜のはめあい公差で嵌合可能な寸法であり、この離間した空間に植物保持具3の本体部31が収容される。一対の上レール板41a(上レール突起部44)の間には、植物保持具3における一対のガイド板部34が収容される上レール溝43aが形成されている。一対の下レール板42aの間には、植物保持具3における誘導テーパ部33の最大幅方向寸法部36が収容される下レール溝43bが形成されている。
水槽部47は、上記一対の下レール板42aのそれぞれ下方に突出して前後方向に延設された一対の側壁部47aと、それら一対の側壁部47aの下端に渡って前後方向に延設された底壁部47bとを有し、全体が上方を開放した断面略U字状の長尺の水槽であり、内部に培養液48が貯留される。培養液48は、例えばポンプ等の適宜の流動手段(図示省略)により前後方向に流動される。なお、この水槽部47の前後方向端部における構成については、後に詳述する(後述の図12、図13参照)。
レール4に挿入された植物保持具3は、レール部40の空間46に収容される。このとき植物保持具3は、本体部31の下面が左右の下レール板42aの上面にスライド可能に接触するとともに、本体部31の上面が左右の上レール突起部44に当接する。このように上レール突起部44と下レール板42aにより植物保持具3を上下から挟み込む構成とすることで、植物保持具3の傾きや倒れを防止できる。このとき、植物保持具3の本体部31の下面(下レール板42aと接触する面)は、保持筒部32を含めた植物保持具3全体を支持する保持具支持面38として機能する。この例では、上述したように本体部31の下面が開口しているため、この保持具支持面38は下レール板42aの上面であるレール支持面45との接触面積(接触抵抗)が減少され、レール4との摺動性を向上できる。
また植物保持具3は、本体部31の上方における一対のガイド板部34と、本体部31の下方における誘導テーパ部33の最大幅方向寸法部36が、それぞれ上下のレール溝43a,43bの間に適宜のはめあい公差で嵌合するよう収容される。このため植物保持具3は、左右方向の位置ずれや水平方向の向きのぶれを抑えつつレール4の長手方向に沿った移動が可能となる。
また図示するように、植物保持具3の使用時には保持筒部32の内径部に培地50が充填され、保持筒部32は培地50に播種された種から生育した植物2の茎2aを保持する。植物2は、保持筒部32の下端開口部を介して根2cを下方に貫通させて水槽部47内の培養液48に浸しつつ、保持筒部32の上端開口部を介して葉2bをレール4の上方に膨出するよう成長させることができる。保持筒部32内に充填する培地50としては、例えば寒天等のゲル状培地を使用してもよいし、スポンジ、ウレタン、ロックウール等の固形培地を使用してもよい。
なお、植物栽培システム1では、複数の植物保持具3の間に挿入されることで植物保持具3の前後方向の間隔を規定するスペーサが使用される(特に図示せず)。スペーサは、上記植物保持具3と共通の部品で構成される。すなわち、スペーサとして、保持筒部32の内径部に培地50を充填しない空の状態の植物保持具3が使用される。したがって、レール4では、複数の植物保持具3と共に複数のスペーサも前後方向に沿って整列し、それら全体が移動可能に支持される。そして、レール4の前後方向における一方側からスペーサが供給されるごとに、すでに支持されている植物保持具3及びスペーサの全体が他方側に向けて移動する。
<5:本実施形態の特徴>
上記構成の植物栽培システム1は、播種、育苗、定植の工程を通じ、葉物野菜等の植物2を多数株まとめて大量に栽培することが可能である。その栽培工程では、栽培対象の植物2を1株ごとに植物保持具3で保持し、その植物保持具3をレール部40に沿って移動させることにより各工程段階に応じた環境に移行させて植物2を生育させる。このような植物栽培システム1では、例えば植物保持具3の本体部31に鉛直方向で貫通する穴部(この例の保持筒部32)が形成されており、その穴部の内部に充填された培地50に植物2の種子を播種した状態から生育を開始する。その種子が発芽し、幼根2eが培地50に根付いて穴部を下方へ貫通するとともに、幼芽2fが上方に生育することで最終的に植物保持具3の穴部が植物2の茎2aを外周から囲むように保持する。また上述したように、植物保持具3を支持するレール部40の下方に培養液48を貯留する水槽部47が設けられ、植物2はその培養液48に根2cを浸して吸収することで生育を促進する。
しかしながら、上述したように植物保持具3の穴部に充填されて植物2の種子が播種される培地50には乾燥しやすい材質(寒天質、スポンジ等)のものが多く、発芽前の種子や発芽後の幼根2eに十分な水分を供給し続けるためには播種期間や育苗期間の間において培地50を培養液48に接触させて吸収させる必要がある。その一方で、植物保持具3がレール部40に支持されつつ円滑に摺動して移動可能とするためには、植物保持具3の本体部31とレール部40との接触箇所に培養液48を浸す状態は回避すべきである。
これに対して本実施形態では、植物保持具3が、鉛直方向を軸方向とした内径部で植物2を保持する保持筒部32と、保持筒部32を支持する本体部31と、を有しており、保持筒部32は、その下端開口部が本体部31を支持する保持具支持面38より下方に突出している。
すなわち、本実施形態の植物保持具3は、植物2を保持する上記穴部を筒形状に形成した保持筒部32として備え、播種時にはその内径部に培地50が充填されている。そして植物保持具3全体をレール部40側のレール支持面45に接触させて支持させる本体部31側の保持具支持面38より下方側に保持筒部32の下端開口部が突出している。このように保持筒部32の下端開口部が下方に位置し、保持具支持面38が上方に位置してそれらの間に高低差が設けられており、レール部40の下方側の水槽部47における培養液48の水位をその高低差の間に維持することで、レール部40と本体部31との接触箇所に培養液48を浸すことなく、保持筒部32の下端開口部を介して内部の培地50に培養液48を浸して吸収させることができる。以下、このような構成について順次、詳細に説明する。
<6:保持筒部の詳細構成と機能>
図10は、上記図8(a)中のA部を拡大して示している。この図10において、保持筒部32は、上述したように鉛直方向を軸方向とした内径部39を有し、本体部31を上下方向に貫通した筒形状部である。その上端開口部は本体部31の上面から突出せずに面一の状態で形成され、下端開口部は本体部31の下面から下方に所定の突出寸法t1で突出するよう形成されている。
そして本実施形態の例では、円形穴として形成されている保持筒部32の内径部39がその軸方向位置によって多様な内径で開口しており、その内径に基づく構成の違いから当該保持筒部32の全体は軸方向位置の上方から下方へ向けて順に上端開口部39a、直筒部39b、小径部39c、及び下端開口部39dの4つの部位に大別できる。
上端開口部39a(他端開口部に相当)には、その軸方向範囲の全体に渡って、中央部から上端部へ向けて内径寸法が連続して拡大するテーパ状の面取り部39eが形成されている。
直筒部39bは、上記上端開口部39aの中央側の最小内径寸法をそのまま軸方向に一様な内径寸法とした円筒部で形成されている。
小径部39cは、上記直筒部39bよりも小さい内径寸法で開口している。すなわち小径部39cは、上端開口部39aの最大内径寸法よりも小さい内径寸法で開口しており、言い換えると内径部39の軸方向途中位置(上端、下端ではない位置)で上端開口部39aよりも軸直交断面積が小さい小口部として形成されている。
下端開口部39d(一端開口部に相当)は、その軸方向範囲の全体に渡って、中央部から下端部へ向けて内径寸法が段階的に拡大するよう形成されている。すなわち下端開口部39dは、小径部39cよりも大きい内径寸法で開口しており、言い換えると軸直交断面積が小径部39cより大きい。
そして、以上の上端開口部39a、直筒部39b、小径部39c、及び下端開口部39dの4つの部位がそれぞれの軸中心を一致させた同軸的な配置で形成されている。
次に図11(a)~図11(d)を参照して、内径部39における上記各部位の機能について説明する。なお、各図においては、図示の煩雑を避けるために保持筒部32だけを上記図10に相当する軸方向側断面で示しており、その他の各構成部分の図示は省略している。
図11(a)は、播種時における保持筒部32の内径部39の状態を示している。この図に示す例では、播種前の状態では保持筒部32の内径部39において上端開口部39aから下端開口部39dまでの空間全体を満たすように培地50が充填されており、その上端開口部39aにおける培地50の上表面に植物2の種子2dを載置するよう播種される。なお、図示する例では、植物2の種子2dは所定のコーティング剤で被覆されて全体が球体状に形成されたものを示しているが、何も被覆せずに露出した種子(図示省略)を用いてもよい。この状態で種子2dが培地50の水分を吸収して発芽するまでの間の期間が播種期間となる。なお、上述したようにこの例の搬入コンベア7は、種子2dが発芽した状態で植物保持具3を積層栽培棚5のA段に搬入供給するとしたが、この発芽前の播種期間の状態で植物保持具3を積層栽培棚5に搬入供給してもよい。
ここで、保持筒部32の内径部39に充填された培地50が柔軟かつ比重の高い材質であっても、内径の小さい小径部39cが軸方向途中位置で培地50を係止できるため、自重により培地50が下方に抜け落ちるのを防ぐことができる。
次に、種子2dが発芽した際には、図11(b)に示すように幼根2eが(図示する例では幼芽2fも同時に)種子2dから現れる。しかしこの発芽の初期時においては、幼根2eは必ずしも下方の培地50へ向けて直接伸びるとは限られず、図示する例のように一時的に少し上方へ向けて延びる場合がある。これに対して本実施形態の植物保持具3の保持筒部32は、上述したようにその上端開口部39aに直筒部39bよりも大きく開口したテーパ状の面取り部39eが形成されていることで、図11(c)に示すように上方に延びた幼根2eがその後に下方へ下がった際に内径部39の培地50への誘導が容易となる。これは、最終的な成長段階における当該植物2の茎2aの外周を適切に保持できるよう直筒部39bと小径部39cの内径寸法が比較的小さく規定されているところ、上端開口部39aがその開口面積を直筒部39bよりも広く形成していることで、培地50に対する幼根2eの接地可能面積を広く設定していることになる。
そして、図11(d)に示すように、培地50の養分を吸収した植物2の幼根2eが下方に延びて内径部39を貫通し、それ以降は下方側に配置された水槽部47の培養液48に接触してそこから養分を吸収することができる(上記図9参照)。この際に、植物2の根2cは下端開口部39dを介して下方側へ伸びるとともに水平方向に向けても拡大するように膨出するが、下端開口部39dの軸直交断面積が小径部39cより大きく形成されていることで、そのような植物2の根2cの自由な生育を阻害せず助長できる。なお、以上の図11(b)の発芽時から図11(d)までの生育期間が育苗期間となる。
<7:植物保持具とレールの寸法配置関係>
次に、図12及び図13を参照し、植物保持具3との間の寸法配置関係の観点で見たレール4の端部における詳細な構成について説明する。図12は、レール4の端部における左右方向直交断面、つまり植物保持具3の搬送方向に沿った鉛直断面を表す図である。そのレール4としては、例えば積層栽培棚5のA段に設けられて育苗期間(又は播種期間)の状態にある植物保持具3を支持するレール4であって、特に植物保持具3を取り出す側の搬送方向端部(上記図4中のB部参照)を想定している。また、図13(a)は図12中の矢視XIIIa-XIIIaから見た前後方向直交断面を表しており、図13(b)は図12中の矢視XIIIb-XIIIbから見た前後方向直交断面を表している。なお、図示の煩雑を避けるために植物2の図示は省略している。
これら図12、図13において、レール4の端部には水槽壁部47cと排水部51が設けられている。水槽壁部47cは、レール4の端部においてその下方側に位置する水槽部47だけに嵌合した壁面部であり、左右両側の側壁部47aと比較して高さが低く、培養液48の自由な流出を堰き止める堰部として機能する。排水部51は、上記水槽壁部47cを含めた水槽部47の端部全体を包囲し、その内部空間を排水管52に連通させた中空構造体である。
この構成において、特に図示しないポンプ等の流動手段から水槽部47内に給水された培養液48は、その水面の一部が水槽壁部47cの上辺縁部47dを乗り越えるように溢れ出した後に排水部51及び排水管52を介して外部に排水される。これにより、水槽部47内においては、上記流動手段からの給水位置(図示省略)からレール4の端部の水槽壁部47cに向かう方向で培養液48が流通し、その水位は水槽壁部47cの上辺縁部47dの高さ位置と上記流動手段からの給水速度(単位時間当たりの給水量)に依存する。
ここで、上述したように植物保持具3の内径部39に充填されて植物2の種子2dが播種される培地50には乾燥しやすい材質(寒天質、スポンジ等)のものが多く、発芽前の種子2dや発芽後の幼根2eに対して十分な水分を供給し続けるためには播種期間や育苗期間の間において培地50を培養液48に接触させて吸収させる必要がある。その一方で、植物保持具3がレール部40に支持されつつ円滑に摺動して移動可能とするためには、植物保持具3の本体部31とレール部40との接触箇所に培養液48を浸す状態は回避すべきである。またさらに、搬送ロボット6がレール部40の端部から植物保持具3を水平な搬送方向で取り外す際には、保持筒部32の下端開口部39dが水槽壁部47cの上辺縁部47dの上方を通過できるようその上辺縁部47dの高さ位置を制限しなければならない。以上の各条件を同時に満たすために、本実施形態の例の植物栽培システム1では、植物保持具3及びレール4が以下のような寸法配置関係で構成されている。
すなわち、植物保持具3における保持筒部32は、上記図10及び図13(b)に示すように、その下端開口部39dが本体部31の保持具支持面38(下レール板42aのレール支持面45と接触する植物保持具3側の面)より下方に突出寸法t1だけ突出するよう形成されている。つまり使用時の姿勢にある植物保持具3において、保持具支持面38よりも相対的に保持筒部32の下端が下方に位置してそれらの間に突出寸法t1の高低差が設けられている。そして、レール部40の下方側の水槽部47における培養液48の水位をその高低差t1の間に維持することで、レール部40と本体部31との接触箇所に培養液48を浸すことなく、保持筒部32の下端開口部39dを介して内部の培地50に培養液48を浸して吸収させることができる。
ここで、図13に示すように、植物保持具3の保持具支持面38と接触するレール4側のレール支持面45の高さ位置を基準とし、それより下方に位置する水槽壁部47cの上辺縁部47dとの間の高低差をt2とする。また、培養液48においてそれ自体の表面張力により水位が上昇可能な分の水位上昇寸法をΔtとする。
この場合、培養液48の水位は、少なくともレール支持面45の高さ位置から相対的にt2-Δtだけ下方に離間した高さ位置以上に高く維持できる。これは、水槽部47における培養液48は、その給水速度がどれだけ小さくとも給水し続けている限り、それ自体の表面張力により少なくとも水槽壁部47cの上辺縁部47dよりも所定の水位上昇寸法Δtだけ高い水位状態にできるためである。したがって、常に下端開口部39dを培養液48の水面に接触させるためには、培養液48の水位を下端開口部39dの下端位置より相対的に高くする必要があるため、
t2-Δt≦t1
→t2≦t1+Δt ・・・(式1)
となるよう上辺縁部47dの相対高さ位置(レール支持面45から下方の離間距離)を設定すればよい。このように水槽壁部47cを含めたレール4の設計寸法を設定することで、常に下端開口部39dに対する培養液48の水面との接触状態を確保できる。また給水速度については、培養液48の水位がレール支持面45より高くならないよう適宜調整すればよい。
一方、レール4全体の長手寸法を短縮化できるようレール部40の端部と水槽壁部47cが前後方向で近接して配置されている。このため上述したように、搬送ロボット6がレール部40の端部から植物保持具3を水平な搬送方向で取り外す際には、保持筒部32の下端開口部39dが水槽壁部47cの上辺縁部47dに干渉せずに通過するよう、上辺縁部47dを下端開口部39dの下端位置より相対的に低く配置する必要がある。これに対して、
t1≦t2 ・・・(式2)
となるよう上辺縁部47dの相対高さ位置(レール支持面45から下方の離間距離)を設定すればよい。
以上の(式1)、(式2)から、本実施形態における水槽壁部47cの上辺縁部47dは、上記下端開口部39dの突出寸法t1(設計値)と、培養液48においてそれ自体の表面張力により水位が上昇可能な分の水位上昇寸法Δt(培養液48の物理定数)との合計寸法(t1+Δt)以下で、かつ、上記突出寸法t1以上となる高低差t2(t1≦t2≦t1+Δt:設計値)で、レール支持面45から下方に位置するよう配置される。
なお、以上に説明した図12、図13の寸法配置関係の構成は、植物保持具3を取り出す側のレール4の端部に限られず、反対側の植物保持具3を挿入する側のレール4の端部にも適用可能である。
<8.実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の植物栽培システム1は、植物保持具3が、鉛直方向を軸方向とした内径部39で植物2を保持する保持筒部32と、保持筒部32を支持する本体部31と、を有しており、保持筒部32は、その下端開口部39dが本体部31を支持する保持具支持面38より下方に突出している。
このように保持筒部32の下端開口部39dが下方に位置し、保持具支持面38が上方に位置してそれらの間に高低差が設けられており、レール部40の下方側の水槽部47における培養液48の水位をその高低差の間に維持することで、レール部40と本体部31との接触箇所に培養液48を浸すことなく、保持筒部32の下端開口部39dを介して内部の培地50に培養液48を浸して吸収させることができる。この結果、植物保持具3の移動性能を確保しつつ植物2の生育機能を向上できる。
また、本実施形態では特に、水槽部47は、搬送方向の端部に位置する水槽壁部47cの上辺縁部47dが、植物保持具3において保持具支持面38から下方に向けた下端開口部39dの突出寸法t1と、培養液48において表面張力により水位が上昇する分の水位上昇寸法Δtとの合計寸法(t1+Δt)以下の高低差(t2≦t1+Δt1)で、レール支持面45から下方に位置するよう配置されている。
これにより、水槽部47における培養液48の水位は、その表面張力により少なくとも水槽壁部47cの上辺縁部47dよりも上記水位上昇寸法Δtだけ高い状態とすることが可能となる。したがって、その高低差を利用するよう上記寸法関係(t2≦t1+Δt1)に基づいて上辺縁部47dが配置された構成においては、保持筒部32の下端開口部39dが培養液48の水位より低い位置で常に接触した状態を維持できる。
また、本実施形態では特に、水槽部47は、搬送方向の端部に位置する水槽壁部47cの上辺縁部47dが、植物保持具3において保持具支持面38から下方に向けた下端開口部39dの突出寸法t1以上の高低差(t2≧t1)で、レール支持面45から下方に位置するよう配置されている。これにより、レール部40の端部から植物保持具3を水平な搬送方向で取り外す場合でも、保持筒部32の下端開口部39dはその搬送方向で水槽部47の端部に位置する水槽壁部47cの上辺縁部47dに干渉せず上方を通過可能となる。
また、本実施形態では特に、植物保持具3の保持筒部32は、内径部39の軸方向途中位置に上端開口部39aよりも軸直交断面積が小さい小径部39c、を有している。これにより、保持筒部32の内径部39に充填される培地50が柔軟かつ比重の高い材質であっても、小径部39cが軸方向途中位置で培地50を係止できるため、自重により培地50が下方に抜け落ちるのを防ぐことができる。
また、本実施形態では特に、植物保持具3の保持筒部32は、上端開口部39aにテーパ状の面取り部39eが形成されている。これにより、保持筒部32の上端開口部39aにおいて略直角の角部がなくなることから保持する植物2の茎2aの損傷を防ぐことができるとともに、種子2dの発芽時に幼根2eが上方に伸びてしまった場合でもその後に開口面積が大きいことから内径部39(培地50)への誘導が容易となる。
また、本実施形態では特に、植物保持具3の保持筒部32は、下端開口部39dの軸直交断面積が小径部39cより大きく形成されている。これにより、保持筒部32の内径部39において小径部39cの係止により植物2の茎2aの保持を確実にしつつ、植物2の根2cが下端開口部39dを介して下方側へ伸びる際に水平方向への拡大も容易にできる。また、植物2が十分に生育して茎2aから葉2bの部分を切断して収穫した後に、植物保持具3から根2cだけを取り外す際にも下端開口部39dの軸直交断面積が広く形成されていることでその取り外し作業が容易に行える。
また、本実施形態では特に、植物保持具3の本体部31は、保持具支持面38から下方に突出して搬送方向の端部から中央部へ向けて幅方向寸法(搬送方向と直交する左右方向)が拡大する誘導テーパ部33、を有している。これにより、左右に配置された2つの下レール板42aの間の下レール溝43bに当該植物保持具3を挿入する場合であっても、本体部31の端部に位置する誘導テーパ部33の先端が上記下レール溝43bの幅寸法より十分小さいことで挿入動作が容易となる。このため、レール部40自体の熱膨張などにより下レール溝43bの位置が変動した場合や、搬送ロボット6の動作精度が低い場合などに対しても、植物保持具3の挿入機を向上できる。
また、本実施形態では特に、植物保持具3において上記誘導テーパ部33を含む本体部31は、下方が開口した中空構造で形成されている。これにより、植物保持具3全体の重量を軽減できるとともに、本体部31の保持具支持面38の面積を縮小してレール支持面45との間の接触抵抗を低減できることから、レール部40上における植物保持具3の移動性能が向上する。
また、本実施形態では特に、植物保持具3の本体部31は、搬送方向の両端部が、搬送方向に対して直交する(搬送方向を法線方向とした)平坦面37で形成されている。これにより、レール部40上において複数の植物保持具3を密着して一列に並べた状態で一方の端部から全体を押し出すよう搬送した場合でも、隣り合う植物保持具3の間における乗り上げや位置ずれを抑えて直列の整列状態を維持したまま押し出し推力を確実に伝達できる。また、そのような整列状態における植物保持具3どうしの間の密着性が向上することで、上方に位置する光源15から下方に位置する水槽部47内部への遮光性も向上するため、水槽部47中の培養液48におけるアオコ等の発生を抑制することが出来る。
なお、本体部31における搬送方向の両端部はそれぞれ上述した平坦面37に限られず、図14に示すように互いに嵌合可能な組合せの凸形状部と凹形状部を各端部に形成してもよい。例えば図14(a)に示すように、1つの植物保持具3において搬送方向の前方側の端部に矩形の凸形状部37aを形成し、後方側の端部に矩形の凹形状部37bを形成してもよい。これにより、すでに整列した植物保持具3の列に新たな植物保持具3を押し込んで並べた場合に、押し込む側の凸形状部37aが押し込まれる側の凹形状部37bに嵌合して植物保持具3どうしがより確実に連結できる。また、例えば図14(b)に示すように、山形の凸形状部37cと凹形状部37dの組合せで形成してもよく、この場合も植物保持具3どうしの連結が確実となる。なお、搬送方向に対する凸形状部と凹形状部の位置は逆でもよく、また凸形状部と凹形状部は互いに嵌合可能であれば上記の矩形や山形以外の他の形状で形成されてもよい。
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。