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JP7154582B2 - 混合物同定支援システム - Google Patents
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JP7154582B2 - 混合物同定支援システム - Google Patents

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Description

本発明は、混合物同定支援システムに関する。
従来、未知の化合物を同定するために用いられる検索装置が知られている(例えば非特許文献1)。
非特許文献1の検索装置によれば、測定した未知の試料に含まれる化合物の質量スペクトルファイルを読み込み、当該未知の試料に含まれる化合物の質量スペクトルに類似するスペクトルを有する化合物を質量スペクトルライブラリから検索することで、当該未知の試料に含まれる可能性の高い化合物を検索することができる。
一般社団法人化学情報協会、"NIST簡易マニュアル ver.1.4"、"1-1. [例]測定した質量スペクトルと類似のスペクトルを有する化合物を検索する"、[online]、平成29年12月、一般社団法人化学情報協会、[平成30年6月29日検索]、インターネット(https://www.jaici.or.jp/wcas/pdf/NIST17.pdf)
非特許文献1の検索装置を、ユーザによる、複数の化合物が組み合わさって構成される未知の混合物の同定を支援するシステムとして用いることが考えられる。
しかしながら、非特許文献1の検索装置は、未知の試料に含まれている可能性の高い化合物を検索することができるものの、検索の結果抽出された複数の化合物の組み合わせから、さらに当該未知の試料に含まれている可能性の高い混合物を検索することまでは考慮されていない。
そのためユーザは、非特許文献1の検索装置により得られた検索結果中の複数の化合物それぞれのマススペクトルと、既知の混合物に含まれる複数の化合物のマススペクトルとを一つ一つ比較し、無数の化合物の組み合わせの中から当該未知の試料に含まれている可能性の高い混合物を検索する必要があり、ユーザに膨大な手間を生じさせる課題があった。
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、未知の試料に含まれている可能性の高い混合物の同定を効率的に支援することが可能な混合物同定支援システムを提供することにある。
第1発明による混合物同定支援システムは、
物質に含まれる、複数の化合物により構成される未知の混合物の同定を支援するシステムであって、
複数の既知の混合物のそれぞれを特定する情報である混合物特定情報と、該複数の既知の混合物のそれぞれを熱分解してGC/MSを用いて分析することにより得られたトータルイオンカレント(TIC)クロマトグラムであって、該TICクロマトグラムの各ピークにおいて検出された化合物のマススペクトルである既知化合物マススペクトルを少なくとも一つ含むTICクロマトグラムである既知混合物TICクロマトグラムとを記憶する混合物ライブラリと、
未知の混合物を含む物質を熱分解してGC/MSを用いて分析することにより得られたTICクロマトグラムであって、該TICクロマトグラムの各ピークにおいて検出された化合物のマススペクトルである未知化合物マススペクトルを少なくとも一つ含むTICクロマトグラムである未知混合物TICクロマトグラムを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記未知混合物TICクロマトグラムに含まれる各未知化合物マススペクトルと、前記混合物ライブラリに記憶されている複数の既知混合物TICクロマトグラムのそれぞれに含まれる各既知化合物マススペクトルとの近似度合いである化合物合致率を算出する推定部と、
前記化合物合致率が所定の閾値以上である各既知化合物マススペクトルが含まれる前記既知混合物TICクロマトグラムに対応する前記混合物特定情報を抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した前記混合物特定情報を含むデータを出力する出力部とを備え
前記既知混合物TICクロマトグラムは、該既知混合物TICクロマトグラムに含まれる全既知化合物マススペクトルのそれぞれが検出されたピークのピーク面積の合計値に占める各既知化合物マススペクトルが検出されたピークのピーク面積の割合を示す値である面積比率を含んでおり、
前記出力部は、前記抽出部が抽出した各既知混合物TICクロマトグラムに含まれる各既知化合物マススペクトルのうち、前記化合物合致率が所定の閾値以上であった全既知化合物マススペクトルの面積比率の合計値を含むデータを出力する
ことを特徴とする。
また、第2発明による混合物同定支援システムは、
物質に含まれる、複数の化合物により構成される未知の混合物の同定を支援するシステムであって、
複数の既知の混合物のそれぞれを特定する情報である混合物特定情報と、該複数の既知の混合物のそれぞれを熱分解してGC/MSを用いて分析することにより得られたトータルイオンカレント(TIC)クロマトグラムであって、該TICクロマトグラムの各ピークにおいて検出された化合物のマススペクトルである既知化合物マススペクトルを少なくとも一つ含むTICクロマトグラムである既知混合物TICクロマトグラムとを記憶する混合物ライブラリと、
未知の混合物を含む物質を熱分解してGC/MSを用いて分析することにより得られたTICクロマトグラムであって、該TICクロマトグラムの各ピークにおいて検出された化合物のマススペクトルである未知化合物マススペクトルを少なくとも一つ含むTICクロマトグラムである未知混合物TICクロマトグラムを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記未知混合物TICクロマトグラムに含まれる各未知化合物マススペクトルと、前記混合物ライブラリに記憶されている複数の既知混合物TICクロマトグラムのそれぞれに含まれる各既知化合物マススペクトルとの近似度合いである化合物合致率を算出する推定部と、
前記化合物合致率が所定の閾値以上である各既知化合物マススペクトルが含まれる前記既知混合物TICクロマトグラムに対応する前記混合物特定情報を抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した前記混合物特定情報を含むデータを出力する出力部とを備え、
前記出力部は、前記化合物合致率が所定の閾値以上である各既知化合物マススペクトルが示す化合物が単一の抽出された前記既知混合物TICクロマトグラムにのみ含まれている場合には、単一の抽出された前記既知混合物TICクロマトグラムにのみ含まれている
ことを示す情報を含むデータを出力する
ことを特徴とする。
そして、第3発明による混合物同定支援システムは、
物質に含まれる、複数の化合物により構成される未知の混合物の同定を支援するシステムであって、
複数の既知の混合物のそれぞれを特定する情報である混合物特定情報と、該複数の既知の混合物のそれぞれを熱分解してGC/MSを用いて分析することにより得られたトータルイオンカレント(TIC)クロマトグラムであって、該TICクロマトグラムの各ピークにおいて検出された化合物のマススペクトルである既知化合物マススペクトルを少なくとも一つ含むTICクロマトグラムである既知混合物TICクロマトグラムとを記憶する混合物ライブラリと、
未知の混合物を含む物質を熱分解してGC/MSを用いて分析することにより得られたTICクロマトグラムであって、該TICクロマトグラムの各ピークにおいて検出された化合物のマススペクトルである未知化合物マススペクトルを少なくとも一つ含むTICクロマトグラムである未知混合物TICクロマトグラムを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記未知混合物TICクロマトグラムに含まれる各未知化合物マススペクトルと、前記混合物ライブラリに記憶されている複数の既知混合物TICクロマトグラムのそれぞれに含まれる各既知化合物マススペクトルとの近似度合いである化合物合致率を算出する推定部と、
前記化合物合致率が所定の閾値以上である各既知化合物マススペクトルが含まれる前記既知混合物TICクロマトグラムに対応する前記混合物特定情報を抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した前記混合物特定情報を含むデータを出力する出力部とを備え、
前記既知混合物TICクロマトグラムは、各既知化合物マススペクトルが示す化合物が検出された時間である保持時間に関する指標情報を含んでおり、
前記未知混合物TICクロマトグラムは、各未知化合物マススペクトルが示す化合物が検出された時間である保持時間に関する指標情報を含んでおり、
前記出力部は、前記化合物合致率が所定の閾値以上である各既知化合物マススペクトルが示す化合物の保持時間に関する指標情報と、前記未知化合物マススペクトルが示す化合物の保持時間に関する指標情報との近似度合いが所定の閾値以下である場合には、該近似度合いが所定の閾値以下であることを示す情報を含むデータを出力する
ことを特徴とする。
本発明によれば、混合物同定支援システムは、複数の既知の混合物のそれぞれを特定する混合物特定情報と当該複数の既知の混合物のそれぞれを熱分解してGC/MSを用いて分析することにより得られたTICクロマトグラムの各ピークにおいて検出された化合物のマススペクトルを少なくとも一つ含む既知混合物TICクロマトグラムとを記憶する混合物ライブラリを備えている。
そして、本発明の混合物同定支援システムは、未知の混合物を含む物質を熱分解してGC/MSを用いて分析することにより得られた未知混合物TICクロマトグラムの各ピークにおいて検出された化合物のマススペクトルと、混合物ライブラリに記憶されている複数の既知混合物TICクロマトグラムそれぞれに含まれる各既知化合物マススペクトルとの近似度合いが所定の閾値以上である各既知化合物マススペクトルが含まれる既知混合物TICクロマトグラムに対応する混合物特定情報を抽出して、当該混合物特定情報を含むデータを出力する。
これにより、未知の混合物に含まれる複数の化合物それぞれのマススペクトルと、既知の混合物に含まれる複数の化合物のマススペクトルとを一つ一つ人手を介して比較する手間を生じさせずに、未知の試料に含まれている可能性の高い混合物を検索することができる。
このように、本発明の混合物同定支援システムは、未知の試料に含まれている可能性の高い混合物の同定を効率的に支援することができる。
なお混合物は、複数の化合物により構成されており、既知の混合物に含まれている化合物のマススペクトルのうち、各マススペクトルが検出されたピークのピーク面積が大きいほど当該混合物にとって特徴的な化合物を示すピークであると考えられる。
そのため、未知の混合物に含まれている化合物のマススペクトルと一致する全マススペクトルそれぞれが検出されたピークのピーク面積の合計値が大きい混合物の方が、より未知の試料に含まれている混合物である可能性が高いと考えられる。
第1発明によれば、既知混合物TICクロマトグラムは、既知混合物TICクロマトグラムに含まれる全既知化合物マススペクトルのそれぞれが検出されたピークのピーク面積の合計値に占める各既知化合物マススペクトルが検出されたピークのピーク面積の割合を示す値である面積比率を含んでいる。
そして出力部は、抽出部が抽出した各既知混合物TICクロマトグラムに含まれる各既知化合物マススペクトルのうち、化合物合致率が所定の閾値以上であった全既知化合物マススペクトルの面積比率を合計した値を含むデータを出力する。
そのためユーザは、出力部が出力するデータに含まれる、化合物合致率が所定の閾値以上であった全既知化合物マススペクトルの面積比率を合計した値を勘案して、どの既知の混合物がより未知の試料に含まれている可能性が高い混合物であるかをさらに効率的に知ることができる。
このように、本発明の混合物同定支援システムは、化合物合致率が所定の閾値以上であった全既知化合物マススペクトルの面積比率を合計した値を勘案して、未知の試料に含まれている可能性の高い混合物の同定をさらに効率的に支援することができる。
また、化合物合致率が所定の閾値以上である各既知化合物マススペクトルが示す化合物が、単一の抽出された前記既知混合物TICクロマトグラムにのみ含まれているのであれば、未知の混合物が当該既知混合物である確実性が高い。
第2発明によれば、出力部が出力するデータには、単一の抽出された前記既知混合物TICクロマトグラムにのみ含まれていることを示す情報が含まれている。そのためユーザは、出力部が出力するデータから、どの既知の混合物が未知の試料に含まれている確実性が高い混合物であるかを効率的に知ることができる。
このように、本発明の混合物同定支援システムは、未知の試料に含まれている可能性の高い混合物のうち、未知の試料に含まれている確実性の高い混合物の同定を効率的に支援することができる。
そして、既知化合物のマススペクトルと未知化合物マススペクトルの化合物合致率が高くとも、これらのマススペクトルが示す化合物が検出された時間に関する指標情報の近似度合いが低ければ、当該未知化合物が当該既知化合物である可能性は低い。
第3発明によれば、既知混合物TICクロマトグラム及び未知混合物TICクロマトグラムは、当該TICクロマトグラムに含まれる各化合物のマススペクトルが示す化合物が検出された時間に関する指標情報を含んでいる。
そして、出力部が出力するデータには、化合物合致率が所定の閾値以上である各既知化合物マススペクトルが示す化合物の保持時間に関する指標情報と、未知化合物マススペクトルが示す化合物の保持時間に関する指標情報との近似度合いが所定の閾値以下である場合には、当該近似度合いが所定の閾値以下であることを示す情報を含むデータが含まれている。
そのためユーザは、出力部が出力するデータを見ることで、化合物のマススペクトルの近似度合いだけでなく、化合物の保持時間に関する指標情報も考慮して混合物の同定を行うことができる。
このように、本発明の混合物同定支援システムは、未知の試料に含まれている可能性の高い混合物の同定を、化合物の保持時間に関する指標情報も考慮して支援することができる。
本発明による混合物同定支援システムにおいて、
前記出力部は、前記抽出部が抽出した各既知混合物TICクロマトグラムに含まれる各既知化合物マススペクトルのうち、前記化合物合致率が所定の閾値以上であった該既知化合物マススペクトルの割合を示す情報を含むデータを出力することが好ましい。
混合物は、複数の化合物により構成されているので、既知の混合物に含まれている化合物のマススペクトルのうち、未知の混合物に含まれている化合物のマススペクトルと一致するマススペクトルの割合が高い混合物の方が、より未知の試料に含まれている混合物である可能性が高いと考えられる。
本発明によれば、混合物同定支援システムは、出力部が出力するデータに、化合物合致率が所定の閾値以上であった既知化合物マススペクトルの割合を示す情報が含まれている。
そのためユーザは、出力部が出力するデータから、どの既知の混合物がより未知の試料に含まれている可能性が高い混合物であるかをより効率的に知ることができる。
このように、本発明の混合物同定支援システムは、未知の試料に含まれている可能性の高い混合物の同定をより効率的に支援することができる。
本発明による混合物同定支援システムにおいて、
前記推定部は、前記未知化合物マススペクトルに含まれるm/z値毎のピークのイオン強度と各既知化合物マススペクトルに含まれるm/z値毎のピークのイオン強度とに基づいて前記化合物合致率の算出を行うように構成され、該未知化合物マススペクトル及び各既知化合物マススペクトルに含まれるm/z値毎のピークのうち該m/z値が一定値以下のピークについて、該m/z値が一定値を超えるピークより低い重み付けをして該化合物合致率の算出を行うことが好ましい。
本発明によれば、推定部は、未知化合物マススペクトルに含まれるm/z値毎のピークのイオン強度と各既知化合物マススペクトルに含まれるm/z値毎のピークのイオン強度とに基づいて前記化合物合致率の算出を行うように構成されている。
未知の混合物に含まれる化合物のマススペクトルを得た際に、m/z値の小さなイオンも多く検出される。m/z値の大きなイオンは、当該イオンが検出される化合物がなんであるかを同定するうえで重要度の高いイオンであるが、m/z値の小さなイオンは、多数の化合物にて検出されうるものであるので、当該イオンが検出される化合物がなんであるかを同定するうえでの重要度は相対的に低い。
そのため、化合物合致率を算出する際にこれらのm/z値の小さなイオンとm/z値の大きなイオンとを同一の重み付けで取り扱った場合、化合物合致率の計算精度を下げてしまうおそれがある。
そこで、本発明の推定部は、未知化合物マススペクトル及び各既知化合物マススペクトルに含まれるm/z値毎のピークのうちm/z値が一定値以下のピークについては、m/z値が一定値を超えるピークより低い重み付けをして化合物合致率の算出を行う。
これにより、化合物合致率を算出する際にこれらのm/z値の小さなイオンとm/z値の大きなイオンとを同一の重み付けで取り扱った場合に比して、化合物合致率の計算精度を高めることができる。
このように、本発明の混合物同定支援システムは、未知の試料に含まれている可能性の高い混合物の同定を高い精度で支援することができる。
本実施形態の混合物同定支援システムの全体構成の一例を示す構成図 本実施形態の混合物ライブラリの内容の一例を示す表 本実施形態の未知混合物TICクロマトグラムの内容の一例を示す表 本実施形態の混合物同定支援システムの処理内容の一例を示すフローチャート 本実施形態の混合物同定支援システムの推定処理の内容の一例を示すフローチャート 本実施形態の混合物同定支援システムの推定処理の内容の一例を示すフローチャート 本実施形態の混合物同定支援システムが処理に用いる閾値を格納するテーブルの一例を示す表 本実施形態の混合物同定支援システムの化合物合致率の算出過程を説明するイメージ図 本実施形態の混合物同定支援システムの化合物合致率の算出過程を説明するイメージ図 本実施形態の混合物同定支援システムの出力内容の一例を示す表
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
まず、図1~3を用いて、本実施形態の混合物同定支援システムの全体構成の一例について説明する。
本実施形態の混合物同定支援システム1は、制御部10、記憶部20、出力部30、入力部40を備えたコンピュータである。
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置、メモリ、及びI/O(Input/Output)デバイスなどにより構成されている。制御部10は、一のプロセッサにより構成されてもよく、相互通信可能な複数のプロセッサにより構成されてもよい。
制御部10は、所定のプログラムを読み込んで実行することにより、後述の演算処理を実行する取得部11、推定部12、抽出部13として機能する。
取得部11は、未知の混合物を含む物質を熱分解してGC/MS(Gas Chromatograph/Mass Spectrometer)50を用いて分析することにより得られたTIC(Total Ion Current)クロマトグラムである未知混合物TICクロマトグラム22を当該GC/MS50から取得する。
混合物同定支援システム1とGC/MS50とは、例えば有線又は無線ネットワークを用いて通信可能に接続されている。当該ネットワークは例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)又はインターネット通信網である。取得部11は、GC/MS50から当該ネットワークを介して、ユーザの操作に応じて又は自動的に未知混合物TICクロマトグラム22を取得して、記憶部20に記憶させる。
あるいは、取得部11は、USBメモリやCD-ROMなどの外部記憶媒体を介して未知混合物TICクロマトグラム22を取得することとしてもよい。
あるいは、混合物同定支援システム1とGC/MS50とは、同一のコンピュータにより構成されていてもよい。この場合取得部11は、当該同一のコンピュータの記憶装置から未知混合物TICクロマトグラム22を取得する。
推定部12は、ユーザの操作に応じて又は取得部11が未知混合物TICクロマトグラム22を取得毎に自動的に、取得部11が取得した未知混合物TICクロマトグラム22に含まれる各未知化合物マススペクトルと、記憶部20の混合物ライブラリ21に記憶されている複数の既知混合物TICクロマトグラムそれぞれに含まれる各既知化合物マススペクトルとの近似度合いである化合物合致率を算出する。
抽出部13は、推定部12が算出した化合物合致率が所定の閾値以上である各既知化合物マススペクトルが含まれる既知混合物TICクロマトグラムに対応する混合物特定情報を抽出する。
記憶部20は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置により構成されており、混合物ライブラリ21、未知混合物TICクロマトグラム22、制御部10の処理結果を記憶する。
混合物ライブラリ21は、図2に示すように一つ以上の既知の混合物それぞれについて、混合物特定情報と既知混合物TICクロマトグラムとを格納している。
混合物特定情報とは、例えば当該混合物を特定するためのID及び名称である。
IDは、例えば混合物メーカーの名称及び製造ロットの記号・番号を表す識別子を含むアルファベット、数字及び記号の組み合わせで構成される。
名称は、例えば各混合物の商品名、商品名の略称、俗称、学術名などを表すアルファベット、数字及び記号の組み合わせで構成される。
なお、同名の既知の混合物を熱分解してGC/MS50を用いて分析することにより得られた既知混合物TICクロマトグラムであっても、例えば測定温度(例えば400℃で測定したか、600℃で測定したかなど)あるいは入手元(A社より入手した混合物であるか、B社より入手した混合物であるかなど)など、条件の異なる場合には、別の混合物として異なるID及び名称の一方又は両方を付与されて混合物ライブラリ21中に存在しうる。
既知混合物TICクロマトグラムとは、既知の混合物のそれぞれを熱分解してGC/MS50を用いて分析することにより得られたTICクロマトグラムである。
既知混合物TICクロマトグラムには、当該既知混合物TICクロマトグラムの各ピークにおいて検出された化合物のマススペクトルである既知化合物マススペクトルが少なくとも一つ(たとえば既知化合物マススペクトル1~既知化合物マススペクトルm)含まれている。
各既知化合物マススペクトルには、例えば当該既知化合物マススペクトルが検出された化合物の化合物名、保持指標(RI)、保持時間、面積比率、及びマススペクトルが含まれている。
例えば既知混合物TICクロマトグラムを得る際に用いたGC/MSと未知混合物TICクロマトグラムを得る際に用いたGC/MSとがそれぞれ異なる場合には、同一の化合物についてTICクロマトグラムを得たとしても、既知混合物TICクロマトグラムと未知混合物TICクロマトグラムとの間で保持時間のずれが生じることがある。
このような保持時間のずれが生じうることを考慮して、本実施例においては、各化合物の保持時間を指標化した保持指標(RI)を、保持時間に関する指標情報として用いるため、各既知化合物マススペクトルには保持指標(RI)が含まれている。
面積比率は、既知混合物TICクロマトグラムに含まれる全既知化合物マススペクトルのそれぞれが検出されたピークのピーク面積の合計値に占める各既知化合物マススペクトルが検出されたピークのピーク面積の割合を示す値である。
例えば、ある既知混合物TICクロマトグラムに含まれる既知化合物マススペクトルの数が3つであり、全既知化合物マススペクトルのそれぞれが検出されたピークのピーク面積の合計値が1000であり、各既知化合物マススペクトルが検出されたピークのピーク面積が、それぞれ250、350、400である場合、各既知化合物マススペクトルの面積比率は、それぞれ0.25、0.35、0.40となる。
また、マススペクトルには、当該マススペクトルの各ピークが検出された一つ以上のm/z値(例えばm/z値1~m/z値n)及び各ピークのイオン強度をパーセントで表した値が含まれている(例えばパーセント1~パーセントn)。各ピークのイオン強度をパーセントで表した値とは、各マススペクトルのピークのうち最もイオン強度の強いピークを基準ピークとして、基準ピークのイオン強度を100パーセントとして、その他のピークのイオン強度が基準ピークに対して何パーセントに相当するかを表した値である。
未知混合物TICクロマトグラム22は、未知の混合物を含む物質を熱分解して当該GC/MS50を用いて分析することにより得られたTICクロマトグラムである。
未知混合物TICクロマトグラム22には、図3に示すように当該未知混合物TICクロマトグラム22の各ピークにおいて検出された化合物のマススペクトルである未知化合物マススペクトルが少なくとも一つ(たとえば未知化合物マススペクトル1~未知化合物マススペクトルx)含まれている。
各未知化合物マススペクトルには、例えば当該未知化合物マススペクトルが検出された未知の化合物のRI、保持時間、及びマススペクトルが含まれている。また、マススペクトルには、当該マススペクトルの各ピークが検出された一つ以上のm/z値(例えばm/z値1~m/z値y)及び各ピークのイオン強度をパーセントで表した値が含まれている(例えばパーセント1~パーセントy)。
未知の化合物のRIには、例えば以下のような手法で得られた値が格納されている。
未知混合物TICクロマトグラム22から任意の一つ以上(例えば一つ乃至五つ。当該数量は適宜変更しうる。)の化合物の未知化合物マススペクトルを、未知混合物TICクロマトグラムに含まれる各未知の化合物のRIを決定するための基準となる化合物の未知化合物マススペクトルとして抽出する。そして、混合物ライブラリ21に含まれる既知混合物TICクロマトグラムを参照して、当該抽出した未知化合物マススペクトルが示す化合物を同定し、当該同定された化合物の既知化合物マススペクトルに含まれるRIを取得し、当該取得されたRIの値を、当該基準となる化合物のRIの値として決定する。そして当該決定された基準となる化合物のRIの値に基づいて、未知混合物TICクロマトグラム22に含まれる各未知化合物マススペクトルの未知の化合物のRIの値を決定する。
なおこのような、未知混合物TICクロマトグラム22に含まれる各未知化合物マススペクトルの未知の化合物のRI処理を、取得部11が未知混合物TICクロマトグラム22を取得する前に予め行っておくこととしてもよいし、未知混合物TICクロマトグラム22を取得する際に取得部11が実行するように構成してもよい。あるいは、推定部12が、後述する推定処理において実行するように構成してもよい。
出力部30は、混合物同定支援システム1がユーザに出力する情報を表示する部分であり、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイである。
入力部40は、ユーザによる情報の入力を受け付ける部分であり、たとえばキーボード、マウス、タッチパッド又はタッチパネルその他のポインティングデバイスである。
次に、図4~9を用いて、本実施形態の混合物同定支援システムの処理内容について説明する。
本実施例の混合物同定支援システム1は、処理を開始するとまず、未知混合物TICクロマトグラムを取得する(図4/STEP100)。
次に、混合物同定支援システム1は、推定処理を実行し(図4/STEP200)、出力部30に混合物特定情報を含むデータを出力して(図4/STEP300)処理を終了する。
(推定処理)
推定処理を開始すると、推定部12は、例えばユーザによる入力部40を用いた操作に応じて、記憶部20に記憶されている処理対象の未知混合物TICクロマトグラム22を認識し(図5A/STEP201)、当該未知混合物TICクロマトグラム22から、トータルイオン強度が所定値以上のピークである重要ピークを抽出する(図5A/STEP202)。
推定部12は、重要ピークとして抽出するべきピークのトータルイオン強度の閾値を、例えば図6に示すようなテーブルを参照して認識する。
本実施例においては、ベースラインからピークトップまでの差で表されるトータルイオン強度の最大値が例えば100であったときに、当該値が10以上である場合に重要ピークとして抽出する。
図6に示すようなテーブルに格納されている閾値は、ユーザの操作により任意に変更可能である。例えば、より小さなピークについても重要ピークとしたい場合は、当該値が5以上である場合に重要ピークとして抽出してもよい。あるいは、より大きなピークのみ重要ピークとしたい場合は、当該値が50以上あるいは70以上である場合に重要ピークとして抽出してもよい。
続いて推定部12は、記憶部20に記憶されている混合物ライブラリ21を参照して、処理対象の混合物特定情報、既知混合物TICクロマトグラムを認識する(図5A/STEP210)。なお、推定部12は、STEP210~251の処理を、混合物ライブラリ21に含まれる既知混合物TICクロマトグラム毎に行う(ループL1)。
次に推定部12は、処理対象の既知混合物TICクロマトグラムに含まれる既知化合物マススペクトルから、処理対象の既知化合物マススペクトルを認識する(図5A/STEP220)。
なお推定部12は、STEP230~235の処理を、処理対象の既知混合物TICクロマトグラムに含まれる既知化合物マススペクトル毎に行う(ループL2)。
そして推定部12は、未知混合物TICクロマトグラム22に含まれる重要ピークの未知化合物マススペクトルから、処理対象の未知化合物マススペクトルを認識する(図5A/STEP230)。なお、推定部12は、STEP230~235の処理を、未知混合物TICクロマトグラム22に含まれる未知化合物マススペクトル毎に行う(ループL3)。
そして推定部12は、処理対象の既知化合物マススペクトルと処理対象の未知化合物マススペクトルとの化合物合致率を算出する(図5A/STEP231)。
推定部12は、処理対象の既知化合物マススペクトルと処理対象の未知化合物マススペクトルとの化合物合致率は、たとえば以下のように算出する。
図7に示すように、未知化合物マススペクトルのピークが、m/z値72、88、95、100、106、120、150において検出され、各ピークのイオン強度をパーセントで表した値は60、80、100、60、50、40、50であり、既知化合物マススペクトルのピークがm/z値88、91、100、106、150において検出され各ピークのイオン強度をパーセントで表した値は60、40、100、60、40である場合について説明する。
この場合推定部12は、例えば未知化合物マススペクトル又は既知化合物マススペクトルの何れかにピークが検出されたm/z値が、72、88、91、95、100、106、120及び150の8つであるので、未知化合物マススペクトル及び既知化合物マススペクトルを、これらのm/z値のそれぞれにおけるイオン強度をパーセントで表した値を各座標に持つ8次元の2つのベクトルとして、これら2つのベクトルが成す角度のcosθの2乗を計算することにより、化合物合致率を算出する。
なお、未知化合物マススペクトル又は既知化合物マススペクトルの何れか一方のみでピークが検出されたm/z値に関しては(この例においては、m/z値72、91、95、120)、ピークが検出されなかった側の化合物マススペクトルの当該m/z値における数値を0として計算する。
また、処理対象の既知化合物マススペクトルと処理対象の未知化合物マススペクトルとが完全に一致する場合の化合物合致率は1である。
推定部12は、未知化合物マススペクトルのベクトルを
Figure 0007154582000001
とし、既知化合物マススペクトルのベクトルを
Figure 0007154582000002
とし、化合物合致率を以下の式(3)により求める。
Figure 0007154582000003
ここで、
Mは、化合物合致率である。
本実施例における未知化合物マススペクトルのベクトル
Figure 0007154582000004
であり、既知化合物マススペクトルのベクトル
Figure 0007154582000005
である。
そして、本実施例における計算結果は以下のとおりである。
M={(60×0)+(80×60)+(0×40)+(100×0)+(60×100)+(50×60)+(40×0)+(50×40)}×{(60×0)+(80×60)+(0×40)+(100×0)+(60×100)+(50×60)+(40×0)+(50×40)}/{(60×60+80×80+0×0+100×100+60×60+50×50+40×40+50×50)×(0×0+60×60+40×40+0×0+100×100+60×60+0×0+40×40)}
=249640000/(30200×20400)
=0.4052
=40.52%
なお、未知の試料には、未知TICクロマトグラムの同一の保持時間にピークが検出される複数の異なる化合物が含まれている場合がある。そして、このような未知TICクロマトグラムのマススペクトルには、複数の化合物に由来するマススペクトルが含まれていることが考えられる。
一方で、既知化合物マススペクトルは、単一の化合物のみが含まれている試料を熱分解して分析することにより得られていることが通例である。
そのため、例えば複数の未知の化合物X及びYのマススペクトルが含まれている未知化合物マススペクトルと単一の既知の化合物Aから得られた既知化合物マススペクトルとの合致度合いを計算すると、実際は未知の化合物Xは既知の化合物Aであったとしても、未知の化合物Yに由来するマススペクトルがノイズとなり、既知の化合物Aから得られた既知化合物マススペクトルとの合致度合いが低く計算されてしまう不都合を生じさせるおそれがある。
よって、混合物同定支援システムは、このような不都合を回避できるように構成されていることがより好ましい。当該不都合を回避するために、例えば推定部12は、既知化合物マススペクトル及び未知化合物マススペクトルの各ピークのイオン強度をパーセントで表した値のうち、既知化合物マススペクトルでピークが検出されたm/z値において検出されたピークに関する値のみを用いて、処理対象の既知化合物マススペクトルと処理対象の未知化合物マススペクトルとの化合物合致率を算出するように構成されていてもよい。
すなわち、図7で示した例で説明すると、既知化合物マススペクトルのピークがm/z値88、91、100、106、150において検出された各ピークのイオン強度をパーセントで表した値は60、40、100、60、40であり、既知化合物マススペクトルでピークが検出されたm/z値における未知化合物マススペクトルの各ピークのイオン強度をパーセントで表した値は80、0、60、50、50である。
なお推定部12は、既知化合物マススペクトルのみでピークが検出されたm/z値(この例においては、m/z値91)に関しては、未知化合物マススペクトルの当該m/z値における値を0として計算する。
そして、本実施例における計算結果は以下の通りである。
M={(80×60)+(0×40)+(60×100)+(50×60)+(50×40)}×{(80×60)+(0×40)+(60×100)+(50×60)+(50×40)}/{(80×80+0×0+60×60+50×50+50×50)×(60×60+40×40+100×100+60×60+40×40)}
=249640000/(15000×20400)
=0.8158
=81.58%
上述の、未知TICクロマトグラムのマススペクトルに複数の化合物に由来するマススペクトルが含まれている可能性を考慮しなかった場合の、推定部12による計算結果は40.52%であるのに対し、当該可能性を考慮した場合の計算結果は81.58%であり、化合物合致率が高く計算されている。
このように、未知TICクロマトグラムのマススペクトルに複数の化合物に由来するマススペクトルが含まれている可能性を考慮して、処理対象の既知化合物マススペクトルと処理対象の未知化合物マススペクトルとの化合物合致率を算出するように推定部12を構成することにより、未知TICクロマトグラムのマススペクトルに複数の化合物に由来するマススペクトルが含まれている場合においても、未知の試料に含まれている可能性の高い混合物の同定を効率的に支援することが可能な混合物同定支援システムを提供することができる。
あるいは推定部12は、例えば未知化合物マススペクトルのベクトルと既知化合物マススペクトルのベクトルとが成す角度のcosθを計算することにより、化合物合致率を算出してもよい。
あるいは推定部12は、例えば未知化合物マススペクトルの各ピークのイオン強度をパーセントで表した値を用いて得られる近似曲線と、既知化合物マススペクトルの各ピークのイオン強度をパーセントで表した値を用いて得られる近似曲線との近似度合いを算出することにより化合物合致率を求めることとしてもよい。
なお、未知化合物マススペクトル及び各既知化合物マススペクトルに含まれるm/z値毎のピークのうちm/z値が一定値以下のピークについて、m/z値が一定値を超えるピークより低い重み付けをして化合物合致率の算出を行うこととしてもよい。
例えば、図8に示すように、m/z値が100以下のピークについて、m/z値が100のピークについての重み付けを100%として、m/z値が100から0まで減少するにつれて、重み付けが0%まで連続的又は段階的に減少するように当該重み付けを定める。そして、m/z値が100以上のピークについては、当該重み付けを100%で一定とする。
推定部12は、低い重み付けをして化合物合致率の算出を行うべき一定値を、例えば図6に示すようなテーブルを参照して認識する。本実施例においては、m/z値については、100未満である場合に段階的に重み付けを引き下げて算出を行う。
なお、当該一定値は適宜変更することが可能である。例えば、一定値を50としてもよいし、200としてもよい。より小さな値、又はより大きな値とすることも可能である。
また、一定値以下のピークについての重み付けの定め方も適宜変更してよい。例えば、一定値以下のピークについての重み付けを0%、50%の一定値としてもよい。
これにより、化合物合致率を算出する際にこれらのm/z値の小さなイオンとm/z値の大きなイオンとを同一の重み付けで取り扱った場合に比して、化合物合致率の計算精度を高めることができる。
そして抽出部13は、このようにして得られた化合物合致率が所定の閾値以上であるか否かを判定する(図5A/STEP232)。
抽出部13は、化合物合致率の閾値を、例えば図6に示すようなテーブルを参照して認識する。本実施例においては、化合物合致率については、80%以上である場合に当該化合物合致率が閾値以上であると判定する。
なお、当該閾値は適宜変更することが可能である。例えば、より化合物合致率の高いもののみを抽出したい場合は当該閾値を90%としてもよいし、より多くの化合物を抽出の対象としたい場合は当該閾値を例えば70%、50%などとしてもよい。
抽出部13は、当該判定が否定的である場合(図5A/STEP232:No)は、図5A/STEP233~235を実行せずに、次の既知化合物マススペクトルに処理対象を移して図5A/STEP230からの処理を繰り返す。
一方当該判定が肯定的である場合(図5A/STEP232:Yes)抽出部13は、未知の物質に含まれている可能性の高い混合物の候補を示す情報である混合物候補データに混合物特定情報、化合物特定情報及び化合物合致率を書き込む(図5A/STEP233)。
続いて抽出部13は、処理対象の既知化合物マススペクトルが示す化合物のRIと、未知化合物マススペクトルが示す化合物のRIとの近似度合いが所定の閾値以下かを判定する。(図5A/STEP234)
抽出部13は、当該所定の閾値を、例えば図6に示すようなテーブルを参照して認識する。本実施例においては、保持時間に関する指標情報の近似度合いについては、RIの差が100以内が閾値である。
抽出部13は、当該判定が否定的である場合(図5A/STEP234:No)は、図5A/STEP235を実行せずに、次の既知化合物マススペクトルに処理対象を移して図5A/STEP230からの処理を繰り返す。
一方、当該判定が肯定的である場合(図5A/STEP234:Yes)抽出部13は、近似度合いが所定の閾値以下であることを示す情報を混合物候補データに追記する。(図5A/STEP235)
これによりユーザは、出力部30が出力するデータを見ることで、化合物のマススペクトルの近似度合いだけでなく、化合物の保持時間に関する指標情報であるRIも考慮して混合物の同定を行うことができる。
そして抽出部13は、未知混合物TICクロマトグラム22に含まれる未知化合物マススペクトルの全てについてこれらの処理(STEP230~235)を終えたときにはループL3を抜ける。
抽出部13は、処理対象の既知混合物TICクロマトグラムに含まれる既知化合物マススペクトルの全てについてこれらの処理(図5A/STEP220~STEP235)を終えたときにはループL2を抜ける。
そして抽出部13は、化合物合致率が所定の閾値以上であった既知化合物マススペクトルの割合を計算し、化合物合致率が所定の閾値以上であった既知化合物マススペクトルの割合を示す情報を混合物候補データに追記する。(図5B/STEP250)
これによりユーザは、出力部30が出力するデータから、どの既知の混合物がより未知の試料に含まれている可能性が高い混合物であるかをより効率的に知ることができる。
すなわち例えば抽出部13は、ある処理対象の既知混合物TICクロマトグラムに含まれる既知化合物マススペクトルの数が4であり、化合物合致率が所定の閾値以上であった既知化合物マススペクトルが3つである場合、例えば化合物合致率が所定の閾値以上であった既知化合物マススペクトルの割合は0.75と計算し、混合物候補データ中の当該処理対象の既知混合物TICクロマトグラムのうち化合物合致率が所定の閾値以上であった各既知化合物マススペクトルに関するデータに当該割合を示す情報を追記する。
そして抽出部13は、化合物合致率が所定の閾値以上であった全既知化合物マススペクトルの面積比率を合計した値を計算し、当該計算結果を混合物候補データに追記する。(図5B/STEP251)
例えば、ある既知混合物TICクロマトグラムに含まれる既知化合物マススペクトルの数が3つであり、各既知化合物マススペクトルの面積比率がそれぞれ0.25、0.35、0.40であり、化合物合致率が所定の閾値以上であった既知化合物マススペクトルが2つ目と3つ目の既知化合物マススペクトルであった場合、化合物合致率が所定の閾値以上であった全既知化合物マススペクトルの面積比率を合計した値は、0.35+0.40=0.75となる。
そして、他のある既知混合物TICクロマトグラムに含まれる既知化合物マススペクトルの数が3つであり、各既知化合物マススペクトルの面積比率がそれぞれ0.50、0.25、0.25であり、化合物合致率が所定の閾値以上であった既知化合物マススペクトルが2つ目と3つ目の既知化合物マススペクトルであった場合、化合物合致率が所定の閾値以上であった全既知化合物マススペクトルの面積比率を合計した値は、0.25+0.25=0.50となる。
この場合、これら2つの既知混合物TICクロマトグラムに関する、化合物合致率が所定の閾値以上であった既知化合物マススペクトルの割合はいずれも0.67となる。しかしながら、化合物合致率が所定の閾値以上であった全既知化合物マススペクトルの面積比率を合計した値がより大きい0.75となった混合物の方が、より未知の試料に含まれている可能性が高い混合物であると考えられる。
これによりユーザは、出力部30が出力するデータに含まれる、化合物合致率が所定の閾値以上であった全既知化合物マススペクトルの面積比率を合計した値を勘案して、どの既知の混合物がより未知の試料に含まれている可能性が高い混合物であるかをさらに効率的に知ることができる。
抽出部13は、混合物ライブラリ21に含まれる既知混合物TICクロマトグラムの全てについてこれらの処理(図5A/STEP210~図5B/STEP251)を終えたときにはループL1を抜ける。
次に抽出部13は、混合物候補データを参照して、混合物候補データに含まれる各データについて、当該化合物が単一の抽出された前記既知混合物TICクロマトグラムにのみ含まれているか否かを判定する(図5B/STEP260)。
なお抽出部13は、STEP260~261の処理を、混合物候補データ毎に行う(ループL4)。
当該判定が否定的な場合(図5B/STEP260:No)抽出部13は、STEP261を実行せずに次のデータに処理対象を移してSTEP260から処理を繰り返す。
当該判定が肯定的な場合(図5B/STEP260:Yes)抽出部13は、単一の抽出された前記既知混合物TICクロマトグラムにのみ含まれていることを示す情報を対象の混合物候補データに追記する(図5B/STEP261)。
これによりユーザは、出力部30が出力するデータから、どの既知の混合物が未知の試料に含まれている確実性が高い混合物であるかを効率的に知ることができる。
そして抽出部13は、混合物候補データの全てにこれらの処理(図5B/STEP260~261)を終えたときにはループL4を抜け、推定処理を終了する。
このようにして得られた混合物候補データは例えば図9のようになる。
混合物候補データには、例えば未知の物質に含まれている可能性の高い既知混合物のID、当該既知混合物の混合物名称、当該混合物が含まれている可能性が高いと推定する元となった既知化合物の化合物名、各既知化合物の既知化合物マススペクトルと未知化合物マススペクトルとの化合物合致率、合致マススペクトル数(合致化合物数)、総マススペクトル数(総化合物数)、マススペクトル合致割合(化合物合致割合)、合致面積比率、RI、及び備考が含まれている。あるいは、保持時間を含むこととしてもよい。
合致マススペクトル数(合致化合物数)は、各既知混合物TICクロマトグラムに含まれる各既知化合物マススペクトルのうち未知化合物マススペクトルとの化合物合致率が所定の閾値以上であった既知化合物マススペクトルの数であり、すなわち、マススペクトルが未知化合物と合致した既知化合物の数である。
総マススペクトル数(総化合物数)は、各既知混合物TICクロマトグラムに含まれる各既知化合物マススペクトルの総数であり、すなわち、既知混合物に含まれる既知化合物の総数である。マススペクトル合致割合(化合物合致割合)は、合致マススペクトル数(合致化合物数)を総マススペクトル数(総化合物数)で除した値であり、各既知混合物TICクロマトグラムに含まれる各既知化合物マススペクトルのうち、化合物合致率が所定の閾値以上であった既知化合物マススペクトルの割合を示す情報である。
合致面積比率は、抽出部13が抽出した各既知混合物TICクロマトグラムに含まれる各既知化合物マススペクトルのうち、前記化合物合致率が所定の閾値以上であった全既知化合物マススペクトルの面積比率の合計値である。
化合物合致率が所定の閾値以上であった既知化合物マススペクトルの割合又は合致面積比率は、単に数値で表す手法に加えて又は替えて、当該割合を示す円グラフや棒グラフなどの図形を用いて表示してもよい。
そして、備考欄には、「単一」の表示や「RI異なる」の表示が格納されている。
「単一」の表示は、各既知化合物マススペクトルが示す化合物が単一の抽出された前記既知混合物TICクロマトグラムにのみ含まれていることを示す情報である。
「RI異なる」の表示は、各既知化合物マススペクトルが示す化合物のRIと、未知化合物マススペクトルが示す化合物のRIとの近似度合いが所定の閾値以下であることを示す情報である。
上記述べてきたように、本発明によれば、未知の混合物に含まれる複数の化合物それぞれのマススペクトルと、既知の混合物に含まれる複数の化合物のマススペクトルとを一つ一つ人手を介して比較する手間を生じさせずに、未知の試料に含まれている可能性の高い混合物を検索することができる。
このように、本発明の混合物同定支援システムは、未知の試料に含まれている可能性の高い混合物の同定を効率的に支援することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
1…混合物同定支援システム、10…制御部、11…取得部、12…推定部、13…抽出部、20…記憶部、21…混合物ライブラリ、22…未知混合物TICクロマトグラム、30…出力部、40…入力部、50…GC/MS

Claims (5)

  1. 物質に含まれる、複数の化合物により構成される未知の混合物の同定を支援するシステムであって、
    複数の既知の混合物のそれぞれを特定する情報である混合物特定情報と、該複数の既知の混合物のそれぞれを熱分解してGC/MSを用いて分析することにより得られたTICクロマトグラムであって、該TICクロマトグラムの各ピークにおいて検出された化合物のマススペクトルである既知化合物マススペクトルを少なくとも一つ含むTICクロマトグラムである既知混合物TICクロマトグラムとを記憶する混合物ライブラリと、
    未知の混合物を含む物質を熱分解してGC/MSを用いて分析することにより得られたTICクロマトグラムであって、該TICクロマトグラムの各ピークにおいて検出された化合物のマススペクトルである未知化合物マススペクトルを少なくとも一つ含むTICクロマトグラムである未知混合物TICクロマトグラムを取得する取得部と、
    前記取得部が取得した前記未知混合物TICクロマトグラムに含まれる各未知化合物マススペクトルと、前記混合物ライブラリに記憶されている複数の既知混合物TICクロマトグラムそれぞれに含まれる各既知化合物マススペクトルとの近似度合いである化合物合致率を算出する推定部と、
    前記化合物合致率が所定の閾値以上である各既知化合物マススペクトルが含まれる前記既知混合物TICクロマトグラムに対応する前記混合物特定情報を抽出する抽出部と、
    前記抽出部が抽出した前記混合物特定情報を含むデータを出力する出力部とを備え
    前記既知混合物TICクロマトグラムは、該既知混合物TICクロマトグラムに含まれる全既知化合物マススペクトルのそれぞれが検出されたピークのピーク面積の合計値に占める各既知化合物マススペクトルが検出されたピークのピーク面積の割合を示す値である面積比率を含んでおり、
    前記出力部は、前記抽出部が抽出した各既知混合物TICクロマトグラムに含まれる各既知化合物マススペクトルのうち、前記化合物合致率が所定の閾値以上であった全既知化合物マススペクトルの面積比率の合計値を含むデータを出力する
    ことを特徴とする混合物同定支援システム。
  2. 物質に含まれる、複数の化合物により構成される未知の混合物の同定を支援するシステムであって、
    複数の既知の混合物のそれぞれを特定する情報である混合物特定情報と、該複数の既知の混合物のそれぞれを熱分解してGC/MSを用いて分析することにより得られたTICクロマトグラムであって、該TICクロマトグラムの各ピークにおいて検出された化合物のマススペクトルである既知化合物マススペクトルを少なくとも一つ含むTICクロマトグラムである既知混合物TICクロマトグラムとを記憶する混合物ライブラリと、
    未知の混合物を含む物質を熱分解してGC/MSを用いて分析することにより得られたTICクロマトグラムであって、該TICクロマトグラムの各ピークにおいて検出された化合物のマススペクトルである未知化合物マススペクトルを少なくとも一つ含むTICクロマトグラムである未知混合物TICクロマトグラムを取得する取得部と、
    前記取得部が取得した前記未知混合物TICクロマトグラムに含まれる各未知化合物マススペクトルと、前記混合物ライブラリに記憶されている複数の既知混合物TICクロマトグラムそれぞれに含まれる各既知化合物マススペクトルとの近似度合いである化合物合致率を算出する推定部と、
    前記化合物合致率が所定の閾値以上である各既知化合物マススペクトルが含まれる前記既知混合物TICクロマトグラムに対応する前記混合物特定情報を抽出する抽出部と、
    前記抽出部が抽出した前記混合物特定情報を含むデータを出力する出力部とを備え
    前記出力部は、前記化合物合致率が所定の閾値以上である各既知化合物マススペクトルが示す化合物が単一の抽出された前記既知混合物TICクロマトグラムにのみ含まれている場合には、単一の抽出された前記既知混合物TICクロマトグラムにのみ含まれている
    ことを示す情報を含むデータを出力する
    ことを特徴とする混合物同定支援システム。
  3. 物質に含まれる、複数の化合物により構成される未知の混合物の同定を支援するシステムであって、
    複数の既知の混合物のそれぞれを特定する情報である混合物特定情報と、該複数の既知の混合物のそれぞれを熱分解してGC/MSを用いて分析することにより得られたTICクロマトグラムであって、該TICクロマトグラムの各ピークにおいて検出された化合物のマススペクトルである既知化合物マススペクトルを少なくとも一つ含むTICクロマトグラムである既知混合物TICクロマトグラムとを記憶する混合物ライブラリと、
    未知の混合物を含む物質を熱分解してGC/MSを用いて分析することにより得られたTICクロマトグラムであって、該TICクロマトグラムの各ピークにおいて検出された化合物のマススペクトルである未知化合物マススペクトルを少なくとも一つ含むTICクロマトグラムである未知混合物TICクロマトグラムを取得する取得部と、
    前記取得部が取得した前記未知混合物TICクロマトグラムに含まれる各未知化合物マススペクトルと、前記混合物ライブラリに記憶されている複数の既知混合物TICクロマトグラムそれぞれに含まれる各既知化合物マススペクトルとの近似度合いである化合物合致率を算出する推定部と、
    前記化合物合致率が所定の閾値以上である各既知化合物マススペクトルが含まれる前記既知混合物TICクロマトグラムに対応する前記混合物特定情報を抽出する抽出部と、
    前記抽出部が抽出した前記混合物特定情報を含むデータを出力する出力部とを備え
    前記既知混合物TICクロマトグラムは、各既知化合物マススペクトルが示す化合物が検出された時間である保持時間に関する指標情報を含んでおり、
    前記未知混合物TICクロマトグラムは、各未知化合物マススペクトルが示す化合物が検出された時間である保持時間に関する指標情報を含んでおり、
    前記出力部は、前記化合物合致率が所定の閾値以上である各既知化合物マススペクトルが示す化合物の保持時間に関する指標情報と、前記未知化合物マススペクトルが示す化合物の保持時間に関する指標情報との近似度合いが所定の閾値以下である場合には、該近似度合いが所定の閾値以下であることを示す情報を含むデータを出力する
    ことを特徴とする混合物同定支援システム。
  4. 請求項1~3の何れかに記載の混合物同定支援システムにおいて、
    前記出力部は、前記抽出部が抽出した各既知混合物TICクロマトグラムに含まれる各既知化合物マススペクトルのうち、前記化合物合致率が所定の閾値以上であった該既知化合物マススペクトルの割合を示す情報を含むデータを出力することを特徴とする混合物同定支援システム。
  5. 請求項1~の何れかに記載の混合物同定支援システムにおいて、
    前記推定部は、前記未知化合物マススペクトルに含まれるm/z値毎のピークのイオン強度と各既知化合物マススペクトルに含まれるm/z値毎のピークのイオン強度とに基づいて前記化合物合致率の算出を行うように構成され、各既知化合物マススペクトルに含まれるm/z値毎のピークのうち該m/z値が一定値以下のピークについて、該m/z値が一定値を超えるピークより低い重み付けをして該化合物合致率の算出を行うことを特徴とする混合物同定支援システム。
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