図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
第1実施形態
送風装置101は、車両用空調装置10に適用されている。車両用空調装置10は、車室内の冷房、暖房、および/または換気を提供する。車両用空調装置10は、車室内に温度調整された空調風を送り出す。また、車両用空調装置10は、車室内の空気を車室外に排出するとともに、車室外の空気を車室内に導入して換気を行う。
図1において、車両用空調装置10は、空調ケース12を備えている。空調ケース12は、その内部に冷房用熱交換器13と暖房用熱交換器14とを備えている。冷房用熱交換器13は、送風空気から熱を奪って冷却する。暖房用熱交換器14は、送風空気に熱を与えて加熱する。冷房用熱交換器13は、暖房用熱交換器14よりも送風装置101に近い位置に配置されている。言い換えると、冷房用熱交換器13は、暖房用熱交換器14よりも空調風の流れの上流に位置している。冷房用熱交換器13と暖房用熱交換器14とにより、送風空気と熱のやり取りを行って温度を調整する。これにより、温度調整されていない送風空気を温度調整された空調風とする。
暖房用熱交換器14の上流側である前方には、エアミックスドア15が設けられている。エアミックスドア15は、平板状の板部材である。エアミックスドア15は、回転軸を中心に回動して開度を調整する板ドアである。エアミックスドア15は、閉状態において暖房用熱交換器14の前面を覆うように設けられている。言い換えると、エアミックスドア15が閉状態であるとき、空調風は暖房用熱交換器14を通過しない状態である。
空調ケース12は、ある程度の弾性を有し、強度的に優れた材料を用いた成形品である。例えばポリプロピレンのような材料が使用可能である。空調ケース12は、分割された複数のケースからなる。空調ケース12は、冷房用熱交換器13や暖房用熱交換器14などの部品を組み付けた後に、金属バネクリップ、ねじ等の締結手段により一体に結合される。
空調ケース12は、空調風の流路を形成するダクトを介してフェイス吹き出し口22と、デフロスタ吹き出し口42と、フット吹き出し口52とに接続している。各吹き出し口22、42、52は、冷房用熱交換器13および暖房用熱交換器14の下流に位置している。フェイス吹き出し口22は、乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すように配置されている。デフロスタ吹き出し口42は、フロントガラスに向けて空調風を吹き出すように配置されている。フット吹き出し口52は、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すように配置されている。
空調ケース12は、フェイス吹き出し口22の上流に位置して、フェイスドア23を備えている。フェイスドア23は、回転軸を中心に回動して開度を調整する板ドアである。フェイスドア23は、フェイス吹き出し口22から吹き出される空調風の量を調整する。すなわち、フェイス吹き出し口22から空調風を吹き出す場合には、フェイスドア23を開く。一方、フェイス吹き出し口22から空調風を吹き出さない場合には、フェイスドア23を閉じる。
空調ケース12は、デフロスタ吹き出し口42の上流に位置して、デフロスタドア43を備えている。デフロスタドア43は、回転軸を中心に回動して開度を調整する板ドアである。デフロスタドア43は、デフロスタ吹き出し口42から吹き出される空調風の量を調整する。すなわち、デフロスタ吹き出し口42から空調風を吹き出す場合には、デフロスタドア43を開く。一方、デフロスタ吹き出し口42から空調風を吹き出さない場合には、デフロスタドア43を閉じる。
空調ケース12は、フット吹き出し口52の上流に位置して、フットドア53を備えている。フットドア53は、回転軸を中心に回動して開度を調整する板ドアである。フットドア53は、フット吹き出し口52から吹き出される空調風の量を調整する。すなわち、フット吹き出し口52から空調風を吹き出す場合には、フットドア53を開く。一方、フット吹き出し口52から空調風を吹き出さない場合には、フットドア53を閉じる。
各ドア15、23、43、54は、サーボモータ等のアクチュエータによって回動駆動して開閉を制御される。すなわち、開状態と閉状態との制御を行うとともに、開状態における開放角度の調整も可能である。言い換えると、開状態における流路面積を任意に調整可能である。
車両用空調装置10は、車室内の空気である内気を吸入するための内気吸入口60と、車室外の空気である外気を吸入するための外気吸入口61とを備えている。内気吸入口60と外気吸入口61とは、車両用空調装置10において最も上流に位置している。内気吸入口60は、前方に向けて開口が設けられている。言い換えると、内気吸入口60において、空気は前から後ろに向かって流れる。外気吸入口61は、上方に向けて開口が設けられている。言い換えると、外気吸入口61において、空気は上から下に向かって流れる。
内気吸入口60と外気吸入口61との下流に位置して、吸入口ドア63を備えている。吸入口ドア63は、回転軸を中心に回動して開度を調整する板ドアである。吸入口ドア63は、内気吸入口60と外気吸入口61とのどちらか一方を開放し、残りの片方を閉塞する。言い換えると、吸入口ドア63は、内気吸入口60を開放した場合に外気吸入口61を閉塞して内気を循環可能な状態とする。一方、吸入口ドア63は、外気吸入口61を開放した場合に内気吸入口60を閉塞して外気を導入可能な状態とする。吸入口ドア63は、断面形状が扇形のドアを回動して、吸入口60、61を覆う領域を増減することで吸入口60、61の流路面積を増減させるロータリードアを用いてもよい。
吸入口ドア63の下流に位置して、送風装置101が配置されている。送風装置101は、ファン110とケーシング120とを備えている。ファン110は、モータ102に接続されて回転駆動される。ケーシング120は、ファン110の吸い込み側に吸い込み口121を備えている。ケーシング120は、ファン110の吐き出し側に吐き出し口129を備えている。
図1において、吸入口ドア63は、外気吸入口61を開放した状態である。車両用空調装置10内に導入された外気は、ファン110の動作により吸い込み口121から吸い込まれる。送風装置101の吸い込み方向は、上から下に向かう向きである。その後、吐き出し口129から送風空気が吐き出される。送風空気の吐き出し方向は、車両の前方から後方に向かう向きである。すなわち、送風装置101は、垂直方向から空気を吸い込み、水平方向に空気を吐き出す。
図2において、送風装置101は、回転軸111を中心に回転するファン110の周囲を囲むケーシング120を有している。ケーシング120は、樹脂製である。ケーシング120には、ファン110から送り出された空気が通過する空気流路であるダクト部122が形成されている。ダクト部122は、流路面積がファン110による風の流れの下流に向かって徐々に拡大する形状である。言い換えると、ケーシング120は、渦巻き状をなすスクロールケーシングである。ダクト部122において流路面積が最も大きい端部には吐き出し口129が形成されている。吐き出し口129は、ケーシング120の内部を流れる風を外部に吐き出す出口である。
ケーシング120は、巻き始め部118と巻き終わり部119とを有している。巻き始め部118は、ケーシング120の側壁の内周面の始まりの位置である。言い換えると、円弧状のノーズ部分における曲率が変わる終端部分の位置である。巻き終わり部119は、ケーシング120の側壁の内周面の終わりの位置である。巻き終わり部119から吐き出し口129までは渦巻き状ではなく、ダクト部122が直線的に延びる形状である。
ケーシング120は、ダクト部122の上面をなす上面部122aを有している。ここで、上面部122aは、送風装置101において、吸い込み口121が形成される側の面である。上面部122aの幅Waは、ファン110による風の流れの下流に向かって徐々に拡大する形状である。言い換えると、上面部122aの幅Waは、巻き始め部118から巻き終わり部119にかけて拡大する形状である。
ケーシング120は、ダクト部122の側面をなす側面部122bを有している。側面部122bは、ケーシング120において、上面部122aの外周よりも径方向の外側に設けられている。側面部122bは、ファン110の軸方向に沿って傾斜して延びている。側面部122bは、下方に位置するほど外側に拡大するように傾斜している。側面部122bの幅Wbは、ファン110による風の流れの下流に向かって進むほど減少する形状である。
幅Waと幅Wbとを足した幅は、ファン110による風の流れの下流に向かって進むほど拡大する。言い換えると、ファン110からケーシング120の側面までの距離は、ファン110による風の流れの下流に向かって徐々に拡大する。すなわち、ケーシング120の流路面積は、ファン110による風の流れの下流に向かって徐々に拡大する。
ケーシング120には、ファン110の軸方向の一端側に向けて開口した空気の吸い込み口121が形成されている。吸い込み口121は、円形状に形成されている。吸い込み口121の外側には、ベルマウス部123が設けられている。言い換えると、円環状のベルマウス部123の内側面によって吸い込み口121が形成されている。ベルマウス部123は、径方向の幅が同一な大きさで一様に設けられている。吸い込み口121は、ケーシング120の外部から内部に空気を吸い込む入口である。
ベルマウス部123よりも外側にベルマウス部123を囲むように円環状に溝部127が形成されている。溝部127は、ケーシング120がファン110を収納している内側に向かって突出するように設けられている。溝部127は、径方向の幅が一様に設けられている。
ベルマウス部123と溝部127との間に位置して吸い込みガイド部125が設けられている。吸い込みガイド部125は、ベルマウス部123の外縁において流路面積が大きい部分に対応して回転軸111を中心とした円弧状に設けられている。すなわち、巻き始め部118から巻き終わり部119までの範囲を2等分した巻き終わり部119を含む範囲に設けられている。言い換えると、吸い込みガイド部125の終端部125bは、巻き始め部118と巻き終わり部119との中間地点に設けられている。
ただし、吸い込みガイド部125の始端部125aは、巻き終わり部119から少しずれた位置に設けられている。すなわち、始端部125aから巻き始め部118までの直線距離と始端部125aから巻き終わり部119までの直線距離とが略等しくなる位置に始端部125aが設けられている。吸い込みガイド部125は、始端部125aから終端部125bまで連続して設けられる同じ厚みを有する板部材である。
図3において、ファン110は、回転軸111を中心とした内側から空気を吸い込み、回転軸111から離れる方向に吐き出す遠心式の送風機である。ファン110は、シロッコファンである。ファン110は、回転軸111の長手方向に対して平行に延びる複数のブレード112を備えている。ブレード112は、板部材の羽根である。ブレード112は、吸い込み側である上端部が山型に形成されている。ブレード112の山型の頂点よりも内側は、空気を吸い込む部分である。ブレード112の山型の頂点よりも外側は、空気を吐き出す部分である。ブレード112は、回転軸111から離間して環状に等間隔で並んで配設されている。ファン110は、回転方向にブレード112の出口側が反っており、回転方向と同じ方向に送風を行う。
ブレード112の上部は、シュラウドリング113により複数のブレード112が連結されている。ブレード112の頂点はシュラウドリング113の頂点に相当する。ブレード112の下部は、底板114により複数のブレード112が連結されている。すなわち、ファン110が回転する場合、ブレード112とシュラウドリング113と底板114とが一体となって回転する。
ケーシング120は、ダクト部122の底面をなす底面部122cを有している。底面部122cは、ファン110による風の流れの下流に向かって進むほど下方に膨出する膨出量が大きくなる形状である。上面部122aは、底面部122cと同様に、ファン110による風の流れの下流に向かって進むほど上方に膨出する膨出量が大きくなる形状である。すなわち、ファン110による風の流れの下流に向かって進むほどダクト部122の大きさが上下方向に拡大されている。言い換えると、ファン110による風の流れの下流に向かって進むほどダクト部122の流路面積が拡大されている。
側面部122bの内側面は、上から下に向かうほどファン110からの距離が大きくなる傾斜形状である。すなわち、側面部122bにおいて、吸い込み口121に近い上部においては、流路面積が小さい。一方、吸い込み口121から遠い下部においては、流路面積が大きい。側面部122bは、場所によって傾斜の形状が異なる。すなわち、巻き始め部118のようにファン110による風の流れの始点に近い部分では、断面形状がファン110を備えた内側に向かってわずかに膨らんだ曲線を描く。一方、巻き終わり部119のようにファン110による風の流れの始点から離れた部分では、断面形状が直線的な形状である。すなわち、側面部122bの断面形状は、ファン110による風の流れの下流に向かって徐々に曲線から直線に近づく形状である。
ベルマウス部123は、ファン110の上流側に位置している。ベルマウス部123は、円環形状である。ベルマウス部123は、円環状に並んだブレード112の上方投影位置に設けられている。ベルマウス部123は、ケーシング120から突出して一体に設けられている。すなわち、言い換えると、ベルマウス部123の頂点は、上面部122aよりも高い位置に突出して設けられている。
ベルマウス部123は、ファン110から離れるにつれて拡径する形状である。言い換えると、ベルマウス部123は、頂点から下端部に向かってファン110に近づくにつれて、径が滑らかに縮小するラッパ形状である。すなわち、ベルマウス部123は、最も外側に位置する部分が、最もファン110から離れた高い場所に位置する。ベルマウス部123の内側端部は、ブレード112の頂点よりも回転軸111に近い位置に設けられている。言い換えると、ベルマウス部123は、ブレード112の頂点を上方から覆うように設けられている。
ベルマウス部123と上面部122aとの間には接続壁部124が形成されている。接続壁部124は、ベルマウス部123の外側に位置してベルマウス部123と一体に設けられている。すなわち、接続壁部124は、ベルマウス部123の頂点から上面部122aまでの領域について、溝部127を介して接続している。言い換えると、ケーシング120の上面には、回転軸111に近い内側から順に、ベルマウス部123、接続壁部124、溝部127、上面部122aが連続して一体で設けられている。接続壁部124は、ベルマウス部123の外側端部である外縁からファン110を備えたケーシング120内側に向かって延びる壁面を形成している。言い換えると、接続壁部124は、ベルマウス部123の外側端部から軸方向である垂直下向きに延びる壁面をなしている。接続壁部124は、ベルマウス部123の外縁の全周にわたって連続して形成されている。
接続壁部124は、溝部127を介して上面部122aと一体に設けられている。溝部127は、上面部122aよりも下方に凹んだ形状で設けられている。溝部127は、溝部127の内側面からブレード112の端部までの距離が一定となるように設けられている。溝部127の内側面からブレード112までの距離は、互いに接触しない範囲で極力近づけることが好ましい。溝部127は、接続壁部124の外周の全周にわたって連続して形成されている。
ベルマウス部123の上端から溝部127の下端までの高さは、一定である。上面部122aの高さは、ファン110による風の流れの下流に向かって進むほど高くなるため、上面部122aから溝部127の下端までの高さは、ファン110による風の流れの下流に向かって進むほど高くなる。一方、ファン110による風の流れの始点に近い部分では、上面部122aと溝部127の下端とが略同じ高さに位置している。すなわち、上面部122aに対してごくわずかに凹んだ形状の溝となる。
溝部127と上面部122aとの間には下方突出リブ128が設けられている。下方突出リブ128は、ケーシング120の内側において、ファン110とダクト部122との間の空間に突出して設けられている。下方突出リブ128は、ダクト部122の上方領域から吸い込み口121に向かって風が逆流することを抑制する逆流防止機能を有している。
吸い込みガイド部125は、一様な高さで設けられたリブである。吸い込みガイド部125は、ベルマウス部123の直上に連続して一体成形で設けられている。言い換えると、吸い込みガイド部125は、ベルマウス部123からファン110が配置されている方向とは逆方向に突出して設けられている。言い換えると、吸い込みガイド部125は、ベルマウス部123からケーシング120の外側に向かって突出して設けられている。
吸い込みガイド部125は、ベルマウス部123の最も外側である外縁に設けられている。言い換えると、吸い込みガイド部125は、ベルマウス部123の最もブレード112から離れた位置であって、その高さが最も高い位置に設けられている。言い換えると、吸い込みガイド部125は、接続壁部124の上端部から連続して上方に突出して設けられている。接続壁部124と吸い込みガイド部125とは面一に設けられている。言い換えると、接続壁部124と吸い込みガイド部125との間に段差などの形状がない。すなわち、接続壁部124と吸い込みガイド部125とは、ひとつながりの平面形状をなしている。
吸い込みガイド部125の位置はベルマウス部123の直上であって、ブレード112の頂点よりも径方向の外側に位置していればよい。すなわち、ベルマウス部の外縁よりも少し内側に位置してもよい。あるいは、吸い込みガイド部125の一部を外縁に設け、その他の部分を外縁よりも内側に設けるなどしてもよい。
図4において、ベルマウス部123の内側先端から吸い込みガイド部125までの径方向の距離を示すベルマウス部123の径方向の幅L2は、ベルマウス部123の先端からブレード112の頂点であるシュラウドリング113の頂点までの径方向の距離L1よりも大きい。すなわち、吸い込みガイド部125は、ブレード112の頂点よりも径方向に離れた位置に設けられている。言い換えると、吸い込みガイド部125は、ブレード112の頂点よりも外側に設けられている。言い換えると、ベルマウス部123の径方向の距離における中間位置よりも外側の上流側に設けられている。
吸い込みガイド部125の高さH1は、ベルマウス部123の径方向の幅L2よりも小さい。一方、上面部122aから吸い込みガイド部125の先端までの高さH2は、ベルマウス部123の径方向の幅L2よりも大きい。吸い込みガイド部125の高さH1は、例えば6mm程度である。
以下に、ファン110による風の流れを説明する。モータ102によりファン110が回転駆動されて、回転軸111が位置するファン110の内側から空気を吸い込む。この時、吸い込み口121は、主に回転軸111と平行な方向である上から下に向かって空気を吸い込むとともに、斜め方向からも空気を吸い込む。しかしながら、上面部122aの表面に沿って径方向の内側に向かう横方向の空気の流れについては、接続壁部124や吸い込みガイド部125に衝突して横方向の流れの速度成分が低減される。
接続壁部124は、ファン110の径方向内側に向かう速度成分を大きく有する空気が吸い込み口121に流入することを妨げている。すなわち、ケーシング120の表面に沿って吸い込み口121の近くまで流れてきた横方向に流れる空気は、接続壁部124に衝突して、その風の一部を吸い込みガイド部125に向けて流す。言い換えると、接続壁部124は、軸方向の上向きに風をガイドする。接続壁部124は、このため、斜め方向の風の流れが吸い込み口121の近傍で互いにぶつかり合うことで乱流となることを抑制している。言い換えると、回転軸111と平行に近い向きで流れる空気を多く吸い込むことで、風の流れがぶつかり合うことを低減し、全体としてスムーズな風の流れになるように空気を吸い込んでいる。
さらに、吸い込みガイド部125が設けられている部分においては、吸い込みガイド部125が斜め方向の風の流入を制限している。すなわち、吸い込みガイド部125が設けられていない部分においては、ベルマウス部123の形状に沿って風が流れるため、横方向の速度成分が大きい斜め方向の風が吸い込み口121に流入可能である。一方、吸い込みガイド部125が設けられた部分においては、ファン110の軸方向と直交する方向である横方向の速度成分が大きい斜め方向の風は、吸い込みガイド部125に衝突して吸い込み口121への流入が妨げられる。このため、斜め方向の風のうち、横方向の速度成分が小さい風をより多く吸い込むこととなる。
吸い込みガイド部125は、吸い込まれた空気を吸い込み口121に近づくにつれて回転軸111に平行な向きに近づくようにガイドする整流機能を有している。すなわち、回転軸111と平行な向きに突出して設けられた平板状の吸い込みガイド部125に沿って空気が流れることで、空気の流れを回転軸111に平行に近い向きにそろえることが可能である。
吸い込みガイド部125は、吸い込まれる空気の流速を低減させる減速機能を有している。すなわち、吸い込みガイド部125がファン110に吸い込み可能な空気の量を制限することで、吸い込み口121付近における流速を低減させる。これにより、吸い込みガイド部125を設けていなければ空気が速く流れていた部分において、吸い込みガイド部125により流速を下げて、吸い込み口121の近傍全体における流速差を小さくしている。吸い込みガイド部125は、流速差を小さくすることで、風同士が互いにぶつかり合うことを抑制している。
ファン110が空気を吸い込む量は、出口側の流路面積に依存する。すなわち、ダクト部122の流路面積が大きい部分に近いベルマウス部123からは、多くの空気が流入する。すなわち、回転軸111に平行に近い方向の風だけでなく、径方向の内側に向かう速度成分を大きく持った風も流入してしまいやすい。一方、ダクト部122の流路面積が小さい部分に近い吸い込み口121では、空気の流入量が少ない。すなわち、吸い込まれる空気が初めから回転軸111に平行に近い方向にそろった状態で流入しやすい。
巻き終わり部119付近のようにダクト部122の流路面積が大きい部分には、吸い込みガイド部125が設けられている。このため、多くの空気を吸い込む必要のある部分であっても、吸い込みガイド部125により、ファン110の径方向の速度成分を大きく有する流れが流入してしまうことを制限している。それに加えて、吸い込みガイド部125が吸い込んだ空気をガイドして、回転軸111と平行に近い向きに整流している。さらに、部分的に流速を低減することで吸い込み口121付近における流速差を小さくしている。これらにより、風同士が衝突することを抑制している。
風同士が衝突するなどして乱流となると、回転するブレード112と乱流となった風とが複雑に衝突しやすい。ここで、ファン110の回転数とブレード112の枚数に応じて発生する特定周波数の音であるサイレン音と呼ばれる音は、複雑な流れである乱流と衝突することでより発生しやすくなる。したがって、風同士が衝突して乱流の状態でブレード112と接触することを抑制することで、サイレン音などの異音や熱などによる損失の発生を抑制できる。言い換えると、高効率な送風装置101を実現できる。
シロッコファンのようなブレード112のサイズが比較的小さな送風機の場合には、空気がブレード112の表面から剥離しやすく、異音などの発生による効率の低下が起きやすい。このため、吸い込み側で風が乱流になることを抑制することで、効率の低下を抑制することは、シロッコファンのようなブレード112の比較的小さなファン110に対して特に大きな効率向上効果が期待できる。ただし、ファン110は、遠心式の送風機であるシロッコファンに限られない。遠心式の送風機としては、ターボファンなどにも適用可能である。さらに、軸流式の送風機としてプロペラファンなどに適用してもよい。
さらに、ファン110の径が小さい送風機や、回転数が高い送風機の場合には、吸い込まれる風同士が衝突しやすく、異音が発生しやすい送風機である。このため、吸い込み側で風が乱流になることを抑制することよる効率向上効果が大きく期待できる。
吸い込み口121から吸い込まれた空気は、ブレード112によって回転軸111から遠ざかる方向すなわち遠心方向に送られる。ただし、ダクト部122は上方と下方とで流路面積が異なるため、流路面積のより大きな下方をより多くの空気が流れることとなる。言い換えると、ファン110の上方に位置している吸い込み口121からダクト部122の特に下方に向かって風が流れやすい。すなわち、下向きに流入してきた空気が逆方向である斜め上方向に流れるよりも、下方向に近い斜め下方向にスムーズに流れやすい。ダクト部122を流れた風は吐き出し口129から吐き出される。
上述した実施形態によると、送風装置101は、ファン110の軸方向に沿うように延びている接続壁部124と、ベルマウス部123から突出している吸い込みガイド部125とを備えている。このため、接続壁部124と吸い込みガイド部125とにより、ファン110の軸方向と直交する空気の流れを妨げることができる。したがって、吸い込み口121付近でファン110の軸方向と平行な空気の流れとファン110の軸方向と直交する空気の流れとが衝突して大きな騒音が発生することを低減できる。すなわち、送風装置101の送風効率を高めることができる。
吸い込み口121をなすベルマウス部123の外側に接続壁部124が設けられている。このため、ファン110の径方向内側に向かう風が吸い込み口121に流入しにくい。したがって、吸い込まれる風同士が強く衝突することによる流れの大きな乱れが発生しにくい。よって、サイレン音などの発生を低減し、送風装置101による送風効率を向上させることができる。さらに、異音の発生を低減することで、送風装置101の動作に伴う異音を利用者が不快に感じることを低減することができる。
接続壁部124は、ベルマウス部123の外側に全周にわたって設けられている。このため、異音の発生をより確実に低減することができる。
ベルマウス部123の直上に吸い込み空気をガイドする吸い込みガイド部125が設けられている。このため、ファン110の径方向内側に向かう方向の速度成分が大きい斜め方向の風は、吸い込み口121への吸い込みが制限される。したがって、ファン110は、下方向の風と斜め方向の風とが同じ方向あるいは似た方向にそろいやすく、風同士が衝突した場合であっても、風が乱れにくい。よって、異音などの発生を効果的に低減して送風装置101による送風効率を向上させることができる。言い換えると、少ない消費電力で多くの風を送ることができる。
さらに、上面部122aから接続壁部124までの高さと吸い込みガイド部125の高さとを合わせた高さ分の壁面を形成できる。言い換えると、接続壁部124と吸い込みガイド部125とは、径方向には同じ位置であって高さ方向には重なって設けられている。このため、吸い込みガイド部125のみで壁面を形成する場合に比べて、吸い込みガイド部125単体の高さを低くすることができる。言い換えると、異音の発生を低減しつつ、送風装置101を小型化できる。
吸い込みガイド部125は、ブレード112の頂点よりも径方向の外側に設けられている。このため、吸い込みガイド部125が吸い込み口121に近すぎるために、吸い込み量を制限しすぎてしまい、風量が低下しすぎることを防止できる。
吸い込みガイド部125は、ベルマウス部123の最も外側である外縁に設けられている。このため、ベルマウス部123によって空気をスムーズに吸い込み口121まで取り込む効果を最大限に生かすことができる。その上で、下方向の風と斜め方向の風との衝突による流れの乱れを低減できる。したがって、大きな風量を確保しつつ、ファン110での異音の発生を防止できる。
吸い込みガイド部125と接続壁部124とは連続する平面を形成している。このため、接続壁部124や吸い込みガイド部125に衝突した風が、接続壁部124および吸い込みガイド部125に沿ってスムーズに流れることができる。すなわち、接続壁部124や吸い込みガイド部125に衝突した風が複雑な方向に乱れて流れにくい。したがって、ベルマウス部123近傍における風をスムーズに流すことが可能である。
吸い込みガイド部125の高さH1は、ベルマウス部123の幅L2よりも小さい。このため、吸い込みガイド部125の高さを高くしすぎることによる吸い込み量の低下を抑えることができる。あるいは、吸い込みガイド部125の高さが高くなりすぎることによる送風装置101の大型化を防止できる。言い換えると、送風装置101を小型化できる。
ケーシング120の上面である上面部122aから吸い込みガイド部125の上端までの高さH2は、ベルマウス部123の幅L2よりも大きい。このため、ベルマウス部123の幅が大きく径方向の風を取り込みやすい場合であっても、接続壁部124と吸い込みガイド部125との高さが大きく径方向の風を妨げて遮蔽しやすい。したがって、接続壁部124と吸い込みガイド部125とにより、ファン110の径方向内側に向かう風を効果的に妨げることができる。すなわち、ファン110の回転数が増減するなどしても異音の発生を低減する効果を安定して発揮することができる。
吸い込みガイド部125は、ケーシング120の巻き終わり部119を含めてファン110の回転軸111を中心とする円弧形状に設けられている。このため、流路面積が比較的大きく、吸い込み口121に吸い込まれる風が乱流となりやすい部分である巻き終わり部119において、効果的に乱流の発生を抑制できる。したがって、騒音を低減して送風装置101の効率を高めることができる。
ダクト部122は、吸い込み口121から離れるほど空気の流路面積が拡大されるように設けられている。すなわち、ダクト部122において、吸い込み口121を有する側である上面部122aから底面部122cにかけて側面部122bが徐々に拡大する形状である。このため、吸い込み口121から下向きに吸い込んだ風を斜め下方向にスムーズに流しやすい。したがって、風の流れを乱しにくく、風量を多く確保しやすい。
ファン110はシロッコファンである。このため、吹き出し口の変更などに伴う圧損変化が大きい車両用空調装置10などにこの送風装置101を適用した場合であっても、異音の発生を抑制しつつ、安定して送風することができる。ファン110は、ターボファンでもよい。この場合、シロッコファンに比べて送風の効率が良いため、異音の発生を抑制しつつ、高効率で送風を行うことができる。
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、吸い込みガイド部225は、巻き終わり部119に対して回転軸111を挟んで反対側の位置を始点として、巻き終わり部119を超える範囲まで設けられている。さらに、吸い込みガイド部225は、流路面積が大きい部分ほど上面部122aからの高さが高くなるように設けられている。
図5において、吸い込みガイド部225の終端部225bは、巻き終わり部119とは回転軸111を挟んで反対側の位置に設けられている。言い換えると、吸い込みガイド部225は、巻き終わり部119を含むように、始端部225aから終端部225bまでの範囲で設けられている。すなわち、吸い込みガイド部225は、ベルマウス部123の外縁の半周を超える領域に設けられている。
図6において、吸い込みガイド部225は、高さが滑らかに変化するように傾斜して設けられたリブである。すなわち、吸い込みガイド部225の始端部225aは、吸い込みガイド部225の中で最も高さが高い。一方、終端部225bは、吸い込みガイド部225の中で最も高さが低い。
吸い込みガイド部225は、始端部225aから終端部225bに向かって徐々に高さが低くなるように設けられている。言い換えると、吸い込み口121近傍のダクト部122において、最も流路面積が大きい部分に配置されている始端部225aから、流路面積が小さくなるにつれて吸い込みガイド部225の高さが低くなるように設けられている。
吸い込みガイド部225が設けられている部分においては、吸い込みガイド部225が斜め方向の風の流入を制限している。さらに、流路面積が大きい部分に対応して吸い込みガイド部225の高さが高く設けられている。このため、吸い込みガイド部225の高さが高い部分ほど、径方向に大きな速度成分を有する斜め方向の風の流入が制限された状態である。言い換えると、回転軸111に平行に近い方向の風が多く流入する状態である。
吸い込みガイド部225は、吸い込まれた空気を吸い込み口121に近づくにつれて回転軸111に平行な向きに近づくようにガイドする整流機能を有している。吸い込みガイド部225の整流機能は、高さが高い部分であるほどその効果が高い。すなわち、吸い込みガイド部225の高さが高い部分ほど、吸い込みガイド部225に沿って空気が流れる距離が大きい。このため、空気の流れを回転軸111に平行に近い向きにそろえやすい。
吸い込みガイド部225は、吸い込まれる空気の流速を低減させる減速機能を有している。すなわち、吸い込みガイド部225がファン110に吸い込み可能な空気の量を制限することで、吸い込み口121付近における流速を低減させる。吸い込みガイド部225の減速機能は高さが高い部分であるほど、その効果が高い。すなわち、吸い込みガイド部225の高さが高い部分ほど、吸い込みガイド部225に流入可能な風の流れが回転軸111に平行に近い方向に限定される。このため、吸い込みガイド部225がなければ、最も流速が速くなりやすい最も流路面積が大きい部分において、最も大きな減速機能を発揮することとなる。したがって、吸い込み口121における流速差を低減可能である。よって、吸い込まれる風の乱れを低減可能である。
上述した実施形態によると、吸い込みガイド部225の終端部225bは、巻き終わり部119とは回転軸111を挟んで反対側の位置に設けられている。このため、広範囲にわたって風が乱流となることを防ぐことができる。したがって、より確実に騒音や熱による損失の発生を抑制し、送風装置101の効率を高めることができる。
吸い込みガイド部225は、始端部225aから終端部225bに向かって高さが低くなるように設けられている。このため、空気の流れが乱れやすい流路面積が大きい下流の部分では、吸い込みガイド部225による乱流発生の抑制効果を大きくして、騒音の発生をより確実に抑制できる。一方、流路面積が比較的小さい上流の部分では、乱流発生の抑制効果を小さくして風量の低下を抑制できるため、送風装置101全体の効率をバランスよく高めることができる。
第3実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、円環形状のベルマウス部123の外側の全周にわたって吸い込みガイド部325が設けられている。さらに、吸い込みガイド部325は、連続して一様な形状ではなく部分的に異なる形状で設けられている。
図7において、吸い込みガイド部325は、ベルマウス部123の外縁において全周にわたって円環状に設けられている。このため、吸い込み口121に吸い込まれる風のうち、ファン110の径方向の速度成分を持つ風は、ベルマウス部123のどの位置から流入する場合であっても吸い込みガイド部325によって制限されることとなる。したがって、風同士が衝突して乱流となることを抑制できる。よって送風装置101での騒音の発生を抑制し、ファン110の運転効率を向上させることができる。
吸い込みガイド部325は、第1ガイド部325aと第2ガイド部325bとを備えている。第1ガイド部325aは、ダクト部122において流路面積が大きい部分に設けられている。第1ガイド部325aは、連続して一様に同じ高さで設けられているリブである。一方、第2ガイド部325bは、ダクト部122において流路面積が小さい部分に設けられている。第2ガイド部325bは、凸形状が間欠的に設けられている凹凸形状のリブである。
第2ガイド部325bは、正弦波のように高さが連続的に滑らかに増減する波形であってもよい。あるいは、三角波のように直線的に高さが増減するような波形であってもよい。あるいは、不規則に高さが増減する形状であってもよい。
上述した実施形態によると、吸い込みガイド部325は、ベルマウス部123の外側の全周にわたって設けられている。このため、吸い込み口121から吸い込まれる空気の量を全体的に低減させることができる。したがって、ファン110の回転駆動に伴う騒音の発生をより確実に低減することができる。
第1ガイド部325aと第2ガイド部325bとで、異なる形状の吸い込みガイド部325を設けている。このため、吸い込みガイド部325を設ける場所ごとに異なる性能の吸い込みガイド部325を設けることができる。
他の実施形態
この明細書における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。