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JP7170601B2 - モータシミュレータ及びそのプログラム - Google Patents
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JP7170601B2 - モータシミュレータ及びそのプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、機械装置に具備されるモータを制御するモータ制御装置における制御系の検証に用いるモータシミュレータ及びそのプログラムに関する。
近年、製品開発に要する期間の削減、又は製品開発のコスト削減を目的として、モータシミュレータが利用されている。モータシミュレータは、実際の機械装置を使用することなく、モータ制御装置の特性を試験するために用いられる。つまり、モータシミュレータを使用することにより、モータ制御装置を用いて実際の機械装置を制御したときの特性の確認、及び実際の機械装置を制御したときに起こり得る問題の抽出が可能となる。
一般的に、モータ制御装置の制御系には、電源電圧の変動特性の影響を補正する処理部が含まれている。この処理部の動作をモータシミュレータで検証する場合、モータシミュレータには電源電圧の変動特性を含む電源環境を模擬する仕組みが必要である。
下記非特許文献1には、各種の電源回路が開示されると共に、それらの電源回路の動作及び動作時の波形が詳細に記載されている。
矢野昌雄、打田良平 著、「セメスター大学講義 パワーエレクトロニクス 第3版」丸善株式会社、平成15年9月20日、45-63頁
非特許文献1に開示されているように、電源回路は多種多様であり、電源回路ごとに電源環境も多種多様となる。ここで、モータ制御装置における機械装置に組み込まれたモータの制御は、モータからの電圧情報に基づいて制御される。しかしながら、モータからの電圧情報は、モータを駆動するための電源環境によって変動することがある。従って、モータ制御装置における制御系の検証に用いるモータシミュレータにおいては、電源環境を模擬するために、電源環境に合わせた様々なパラメータを入力して演算させ、電源環境ごとに合わせた電源環境モデルが必要となる。このため、電源回路が異なれば、それに対応した電源環境を模擬する電源環境モデルの変更に大幅な時間が必要とされる。従って、モータシミュレータを使用するために大幅な時間がかかり、モータ制御装置の制御系に含まれる電源電圧の変動特性の影響を補正する処理部の検証を簡易に行うことができないという課題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、モータ制御装置の制御系に含まれる電源電圧の変動特性の影響を補正する処理部の検証を簡易に行うことができるモータシミュレータを得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、交流電源から出力される交流電圧を整流して得られる直流電圧が印加されるインバータによって駆動されるモータを制御するモータ制御装置における制御系の検証に用いるモータシミュレータである。モータシミュレータは、直流電圧に基づいて母線電圧を出力する模擬電源装置部、及びモータ制御装置から出力されるスイッチング信号と母線電圧とに基づいて電圧信号を生成する模擬インバータ部を備える。また、モータシミュレータは、電圧信号に基づいてモータ制御装置に出力するモータ位相角信号及び電流信号を生成する模擬モータ部を備える。模擬電源装置部は、電源環境ごとに異なる電圧変動成分の情報を含む電圧変動情報を記憶する記憶部、及び記憶部から読み出される電圧変動情報に基づいて電圧変動成分を直流電圧に付加し、電圧変動成分が付加された電圧信号を母線電圧として出力する母線電圧演算部を備える。
本発明に係るモータシミュレータによれば、電源環境ごとに異なる電圧変動成分の情報である電圧変動情報を記憶する記憶部、記憶部から読み出される電圧変動情報に基づいて電圧変動成分を前記直流電圧に付加し、電圧変動成分が付加された電圧信号を母線電圧として出力する母線電圧演算部を備えている。従って、本発明に係るモータシミュレータを用いることで、モータ制御装置の制御系に含まれる電源電圧の変動特性の影響を補正する処理部の検証を簡易に行うことができるという効果を奏する。
実施の形態1に係るモータシミュレータの構成例を示すブロック図 実施の形態1の模擬モータ部における要部の構成例を示すブロック図 実施の形態1における模擬電源装置部の構成例を示すブロック図 実施の形態1における模擬電源装置部の動作説明に使用する第1の図 実施の形態1の記憶部に構築されるテーブルの説明に使用する図 実施の形態1における模擬電源装置部の動作説明に使用する第2の図 図1及び図3に示される模擬電源装置部の機能を実現するハードウェア構成の一例を示す図 実施の形態2における模擬電源装置部の構成例を示すブロック図 実施の形態2における模擬電源装置部の動作説明に使用する第1の図 実施の形態2の記憶部に構築されるテーブルの説明に使用する図 実施の形態2における模擬電源装置部の動作説明に使用する第2の図 実施の形態2における検証方法の幾つかの例を示す図
以下に添付図面を参照し、本発明の実施の形態に係るモータシミュレータ及びそのプログラムについて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るモータシミュレータ1の構成例を示すブロック図である。実施の形態1に係るモータシミュレータ1は、模擬インバータ部2と、模擬モータ部10と、模擬電源装置部20とを備える。図1に示されるように、モータシミュレータ1には、モータ制御装置3から出力されるスイッチング信号が入力される。モータ制御装置3は、機械装置に具備されるモータを制御する制御装置である。モータの一例は、永久磁石モータであるが、どのようなモータが用いられてもよい。モータシミュレータ1は、モータ制御装置3における制御系の検証に用いるシミュレーション装置である。
モータ制御装置3が機械装置に具備されるモータを制御する際、モータに接続される不図示のインバータには、不図示の交流電源から出力される交流電圧を整流して得られる直流電圧が印加される。インバータに印加される直流電圧は、スイッチング信号によって交流電圧に変換される。交流電圧は、モータに印加される。モータは、交流電圧によって駆動される。スイッチング信号は、インバータに具備される不図示の半導体素子の導通及び非導通を制御する制御信号である。
スイッチング信号の一例は、パルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)信号である。PWM信号は、正弦波状の相電圧制御値と三角波状の搬送波とを比較して得られる信号である。正弦波状の相電圧制御値に代えて、直流の相電圧制御値が用いられる場合もある。また、三角波状の搬送波に代えて、のこぎり波状の搬送波が用いられる場合もある。PWM信号の周波数は、PWM信号のパルス幅の変動周期により定められる。
模擬インバータ部2は、インバータを模擬する構成部である。模擬インバータ部2には、モータ制御装置3によって生成されるスイッチング信号と、後述する模擬電源装置部20から出力される母線電圧とが入力される。模擬インバータ部2は、スイッチング信号及び母線電圧に基づいて三相電圧信号を生成する。三相電圧信号は、三相の交流電圧信号、即ち互いに120°の位相角差を有する交流電圧信号である。三相電圧信号は、模擬モータ部10に入力される。三相電圧信号は、電圧信号の一例であり、電圧信号は単相電圧信号を用いることも可能である。
模擬モータ部10は、不図示のモータを模擬する構成部である。模擬モータ部10は、三相電圧信号に基づいてモータ位相角信号及び三相電流信号を生成する。モータ位相角信号は、モータの回転位相角であるモータ位相角の情報を含む信号である。三相電流信号については、後述する。模擬モータ部10が生成したモータ位相角信号及び三相電流信号は、モータ制御装置3に入力される。三相電流信号は、電流信号の一例である。電流信号は単相電流信号を用いることも可能である。
模擬電源装置部20は、インバータへの印加電圧である母線電圧を模擬する構成部である。インバータの直流側と電源装置とを接続する電気配線は、一般的に直流母線と呼ばれる。このため、インバータの直流側に印加される電圧を「母線電圧」と呼ぶ。模擬電源装置部20が生成した母線電圧は、模擬インバータ部2と、モータ制御装置3とに入力される。
次に、模擬モータ部10における模擬の内容、及び模擬モータ部10の動作について説明する。図2は、実施の形態1の模擬モータ部10における要部の構成例を示すブロック図である。
前述の通り、模擬モータ部10は、模擬インバータ部2から出力される三相電圧信号に基づいて、三相電流信号及びモータ位相角信号を生成する。三相電圧信号は、U相、V相及びW相による三相座標系の電圧値である三相電圧値V,V,Vを含む信号である。三相電流信号は、U相、V相及びW相による三相座標系の電流値である三相電流値I,I,Iを含む信号である。ここで、モータの磁極がつくる磁束の方向をd軸とし、このd軸よりもπ/2進んだ方向をq軸とする。このとき、モータの特性を規定するdq座標系の電圧方程式は、以下の(1)式で表すことができる。
Figure 0007170601000001
上記(1)式は、モータが永久磁石モータである場合の電圧方程式である。上記(1)式において、Vは電機子電圧のd軸成分値であり、Vは電機子電圧のq軸成分値である。Iは電機子電流のd軸成分値であり、Iは電機子電流のq軸成分値である。Rは電機子巻線の抵抗値である巻線抵抗である。Lはd軸のインダクタンス成分値であり、Lはq軸のインダクタンス成分値である。φは永久磁石による電機子鎖交磁束であり、ωは電気角速度であり、pは微分演算子である。模擬モータ部10から出力される三相電流信号に含まれる三相電流値I,I,Iは、上記(1)式に基づいて演算される電機子電流のd軸成分値I及びq軸成分値Iを三相座標系の電流値に変換することで得ることができる。
次に、模擬モータ部10で演算されるモータトルクについて説明する。まず、三相電流値I,I,Iと、dq座標系におけるd軸成分値I及びq軸成分値Iとの間には、以下の(2)式に示す関係がある。
Figure 0007170601000002
上記(2)式において、δは、d軸成分値I及びq軸成分値Iを有するdq座標系の電流ベクトルのd軸を基準とする進み角である。模擬モータ部10から模擬電源装置部20に出力されるモータトルクは、以下の(3)式に基づいて演算することができる。
Figure 0007170601000003
上記(3)式において、Tはモータトルクであり、単位は[Nm]である。Pは極対数である。φは永久磁石による電機子鎖交磁束であり、単位は[V/rad/s]である。
図2には、モータトルクからモータ位相角を生成する制御系として、増幅器23aと、積分器23b,23cとが示されている。
モータトルクTから角速度ωを求めるには、以下の(4)式を用いることができる。
Figure 0007170601000004
上記(4)式において、Jは慣性力であり、単位は[kgm]である。tは時間であり、単位は[s]である。角速度ωの単位は[rad/s]である。
また、角速度ωからモータ位相角θを求めるには、以下の(5)式を用いることができる。
Figure 0007170601000005
上記(5)式において、モータ位相角θの単位は[rad]である。
上記(4)式の演算を行う構成部が増幅器23a及び積分器23bである。増幅器23aにより慣性力Jの逆数のゲインを与え、その出力を積分器23bで積分することにより、角速度ωを求めることができる。また、上記(5)式の演算を行う構成部が積分器23cである。積分器23bの出力を更に積分器23cで積分することにより、モータ位相角を求めることができる。モータ位相角を含む信号は、モータ位相角信号として、モータ制御装置3に入力される。
次に、模擬電源装置部20の詳細構成及び動作について、図3から図6を参照して説明する。図3は、実施の形態1における模擬電源装置部20の構成例を示すブロック図である。模擬電源装置部20は、図3に示されるように、記憶部21と、母線電圧演算部22とを備えている。
図4は、実施の形態1における模擬電源装置部20の動作説明に使用する第1の図である。図5は、実施の形態1の記憶部21に構築されるテーブルの説明に使用する図である。図6は、実施の形態1における模擬電源装置部20の動作説明に使用する第2の図である。
記憶部21は、図4に示されるように、電源位相角θに対応した電圧変動成分のデータを格納するためのテーブル21aを有している。テーブル21aには、電源位相角θ(θ1,θ2,…,θn-1,θn)と、電源位相角θに対応する電圧変動成分(電圧1,電圧2,…,電圧n-1,電圧n)とが記憶されている。電源位相角θは、交流電源から出力される交流電圧の1周期を0°から360°の位相角で表したものである。また、以下の説明において、テーブル21aに記憶されている電圧変動成分、即ち電圧変動成分に関する複数のデータからなる集合体を「電圧変動情報」と呼ぶ。電圧変動情報には、電源環境ごとに異なる電圧変動成分の情報が含まれている。なお、本実施の形態1では、電源位相角θと電圧変動成分とを対応させて電圧変動情報としている。
図5には、テーブル21aのテーブルサイズと電源位相角θの分解能との関係が示されている。テーブル21aのテーブルサイズをXとすると、電源位相角θの分解能は360/X[deg]となる。図4には、電源環境に応じて変化する母線電圧の変動成分の一例として、電源位相角θに応じて変化する電圧変動成分の波形が示されている。図4は、電源位相角θの1周期において、2つのピーク点を有する2f特性の例を示したものである。ここで言うfは交流電源から出力される交流電圧の周波数であり、2f特性は交流電圧の周波数fの2倍に関係する特性である。
電源位相角θに対応する曲線K1の値は記憶部21に読み込まれて、テーブル21aに記憶される。なお、テーブル21aに記憶されるデータは、操作者が手動で入力してもよい。
母線電圧演算部22は、図4に示されるように、読み出し部222と、演算器224とを備える。演算器224は、加算器224aと、乗算器224bと、選択器224cとを備える。読み出し部222は、入力される角度信号である交流電源位相を受信してテーブル21aの電源位相角θと対応付け、電源位相角θに対応する電圧変動成分をテーブル21aから読み出して演算器224に出力する。
読み出し部222から出力される電圧変動成分は、加算器224aと、乗算器224bとに入力される。また、加算器224a及び乗算器224bのそれぞれには、設定された直流電圧が入力される。加算器224aからは、直流電圧に電圧変動成分が加算された加算結果が出力される。乗算器224bからは、直流電圧に電圧変動成分が乗算された乗算結果が出力される。選択器224cは、加算器224aの出力及び乗算器224bの出力のうちの何れかを選択し、母線電圧として出力する。なお、選択器224cが加算器224aの出力及び乗算器224bの出力のうちの何れを選択するのかについて、操作者が任意に設定できるように構成されていてもよい。
上記のように、母線電圧演算部22は、記憶部21から読み出される電圧変動成分を直流電圧に付加し、電圧変動成分が付加された電圧信号を母線電圧として出力する。
図6には、母線電圧演算部22における処理の流れが視覚化されて示されている。図6(a)には、母線電圧演算部22に入力される直流電圧の例が示されている。本説明において、直流電圧は300Vの一定電圧であるとする。図6(b)には、記憶部21のテーブル21aに格納された電圧変動成分が、図4で示していた電圧変動成分の波形で示されている。本説明において、電圧変動成分は、±1Vの範囲で変動する成分であるとする。
図6(c)には、時間に対してリニアに変化する電源位相角θが示されている。テーブル21aに記憶された電圧変動成分は、電源位相角θに基づいて読み出し部222で読み出される。読み出し部222で読み出されたデータによる出力は、図6(d)に示されるような、交流電圧の1周期ごとに変動を繰り返す波形となる。
加算器224aからは、図6(a)の波形と、図6(d)の波形との加算結果が出力される。図6(e)に示されるように、加算器224aの出力は、300Vの直流電圧に±1Vの電圧変動成分が加算された波形となる。
また、乗算器224bからは、図6(a)の波形と、図6(d)の波形との乗算結果が出力される。図6(f)に示されるように、乗算器224bの出力は、300Vから-300Vの範囲で変動する交流電圧の波形となる。
以上の構成とすることで、モータ制御装置の制御系に含まれる電源電圧の位相角変動特性の影響を補正する処理部の検証を簡易に行うことができる。
以上説明したように、実施の形態1によれば、模擬電源装置部は、記憶部から読み出される電圧変動成分を直流電圧に付加し、電圧変動成分が付加された電圧信号を母線電圧として出力する。つまり、模擬電源装置部の記憶部は、電源位相角と電圧変動成分とを対応させて電圧変動情報として記憶している。模擬電源装置部の母線電圧演算部は、母線電圧演算部に入力された電源位相角に対応する電圧変動情報に基づいて母線電圧を演算する。また、模擬電源装置部は、演算した母線電圧をモータ制御装置に印加する。これにより、モータ制御装置の制御系において、電源電圧の変動特性の影響を補正する処理部の検証を簡易に行うことができる。
また、実施の形態1によれば、模擬電源装置部の記憶部には、電源環境ごとに異なる電源電圧の変動特性に関する情報を記憶することができる。これにより、異なる電源環境の電源電圧の変動特性は、記憶させる情報を変更することにより、模擬することができる。これにより、電源環境ごとに合わせた複雑な電源環境モデルを作成する必要がない。従って、電源環境の変更に要する時間を含むシミュレーション時間を、従来よりも短縮することができる。
次に、実施の形態1における模擬電源装置部20の機能を実現するハードウェア構成について説明する。図1及び図3に示される模擬電源装置部20の機能の全部又は一部は、例えば、図7に示すハードウェア構成で実現され得る。図7は、図1及び図3に示される模擬電源装置部20の機能を実現するハードウェア構成の一例を示す図である。模擬電源装置部20は、演算を行うプロセッサ300、プロセッサ300によって読みとられるプログラム及びデータが記憶されるメモリ302、及び信号の入出力を行うインタフェース304を含む構成とすることができる。模擬電源装置部20の記憶部21におけるテーブル21aは、メモリ302に構築することができる。
図1及び図3に示される模擬電源装置部20が図7の構成で実現される場合には、模擬電源装置部20は、例えば、図7に示されるプロセッサ300がメモリ302に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。なお、模擬電源装置部20の機能のうちの一部を回路又は制御器で実装し、他の部分をプロセッサ300及びメモリ302を用いて実現してもよい。
プロセッサ300は、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はDSP(Digital Signal Processor)といった演算手段であってもよい。メモリ302としては、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)、BRAM(ブロックRAM)といった不揮発性又は揮発性の半導体メモリを例示することができる。
プロセッサ300は、インタフェース304を介して必要な情報を授受し、メモリ302に格納されたプログラムをプロセッサ300が実行することにより、上述した処理を行うことができる。プロセッサ300による演算結果は、メモリ302に記憶することができる。
実施の形態2.
図8は、実施の形態2における模擬電源装置部20Aの構成例を示すブロック図である。実施の形態2における模擬電源装置部20Aでは、図3に示される実施の形態1における模擬電源装置部20の構成において、記憶部21が記憶部21Aに置き替えられ、母線電圧演算部22が母線電圧演算部22Aに置き替えられている。実施の形態1の模擬電源装置部20では、母線電圧演算部22に交流電源位相が入力されていたが、これに代えて、実施の形態2の模擬電源装置部20Aでは、母線電圧演算部22Aに出力開始タイミング信号が入力されている。なお、その他の構成は図3に示される実施の形態1の構成と同一又は同等であり、同一又は同等の内容には、同一の符号及び同一の名称を付して重複する説明は省略する。
次に、実施の形態2における模擬電源装置部20Aの要部の動作について、図8に加え、図9から図12を参照して説明する。図9は、実施の形態2における模擬電源装置部20Aの動作説明に使用する第1の図である。図10は、実施の形態2の記憶部21Aに構築されるテーブルの説明に使用する図である。図11は、実施の形態2における模擬電源装置部20Aの動作説明に使用する第2の図である。図12は、実施の形態2における検証方法の幾つかの例を示す図である。
記憶部21Aは、図9に示されるように、時間tに対応した電圧変動成分のデータを格納するためのテーブル21A1を有している。テーブル21A1には、時間t(t1,t2,…,tn-1,tn)と、時間tに対応する電圧変動成分(電圧1,電圧2,…,電圧n-1,電圧n)とが記憶されている。テーブル21A1に記憶されるデータは、電圧変動情報であり、電圧変動情報は、電源環境ごとに異なる電圧変動成分の情報である。本実施の形態2では、モータシミュレータの演算周期と電圧変動成分とを対応させて電圧変動情報としている。
図10には、テーブル21A1のテーブルサイズと時間tの分解能との関係が示されている。時間tの分解能は、時間間隔と言い替えることができる。テーブル21A1のテーブルサイズをXとすると、時間tの分解能である時間間隔は、nm+1で表すことができる。ここで、nは制御周期であり、mはマスク回数である。マスク回数mは、データのサンプリング時間を決めるパラメータである。マスク回数mは、操作者が、例えば0から15の任意の整数で設定することができる。例えば、モータ制御装置3の制御周期nが2[μsec]であり、マスク回数mを15とすると、時間間隔は、2[μsec]^(15+1)=65.536[msec]となる。テーブルサイズをXとすると、テーブル全体で、0[sec]からn^(m+1)×(X-1)[sec]までの電圧変動成分のデータを記憶させることができる。
図9には、電源環境で発生する電圧変動を再現した波形の例が示されている。時間tに対応する曲線K2の値は記憶部21Aに読み込まれて、テーブル21A1に記憶される。なお、テーブル21A1に記憶されるデータは、操作者が手動で入力してもよい。
母線電圧演算部22Aにおいて、読み出し部222には、出力の開始を指示する出力開始タイミング信号が入力される。読み出し部222は、出力開始タイミング信号を開始点として、時間tによって変化する電圧変動成分をテーブル21A1から順次読み出して演算器224に出力する。以降の演算器224の動作は実施の形態1と同様であり、ここでの説明は省略する。
図11には、母線電圧演算部22Aにおける処理の流れが視覚化されて示されている。図11(a)には、母線電圧演算部22Aに入力される直流電圧の例が示されている。本説明において、直流電圧は300Vの一定電圧であるとする。図11(b)には、記憶部21Aのテーブル21A1に格納された電圧変動成分が、図9で示していた電圧変動成分の波形で示されている。本説明において、電圧変動成分の電圧値は正側が+1V、負側が-1Vであるとする。
図11(c)には、出力開始タイミング信号が示されている。テーブル21A1に記憶された電圧変動成分は、出力開始タイミング信号をトリガにして読み出し部222で読み出される。読み出し部222で読み出されたデータによる出力は、図11(d)に示されるように、出力開始タイミング信号を開始点とする電圧変動成分の波形となる。
加算器224aからは、図11(a)の波形と、図11(d)の波形との加算結果が出力される。乗算器224bからは、図11(a)の波形と、図11(d)の波形との乗算結果が出力される。図11(e)に示されるように、加算器224aの出力は、300Vの直流電圧に図11(d)に示される電圧変動成分が付加された波形となる。また、図11(f)に示されるように、乗算器224bの出力は、図11(d)に示される電圧変動成分が電圧軸方向に拡大された波形となる。
図12には、実施の形態2における検証方法に関する3つの例が示されている。何れの検証方法も、出力開始タイミング信号をトリガにして、テーブル21A1に記憶された電圧変動成分を読み出して、モータ制御装置3を動作させるところまでは同じである。それぞれの差異について説明すると、図12(a)は、モータ制御装置3を動作させた後に、電圧変動成分の最終値、即ち最後に読み出された電圧変動成分を0クリアする検証方法である。図12(b)は、モータ制御装置3を動作させた後に、電圧変動成分の最終値、即ち最後に読み出された電圧変動成分を出力したままにする検証方法である。なお、本稿の波形例の場合、図12(a)及び図12(b)に示されるように、母線電圧の波形に相違点は生じないが、テーブル21A1の最後に記憶されている電圧変動成分が0ではない場合、母線電圧の波形は異なるものになる。
図12(c)は、モータ制御装置3を動作させた後に、最初のデータに戻って、同じ一連の電圧変動成分を周期的に連続して出力する検証方法である。図12(a)、図12(b)及び図12(c)のうちの何れの検証方法を用いるのかは、操作者によって選択可能である。図12(a)、図12(b)及び図12(c)のうちの少なくとも1つの検証方法を用いることにより、電源環境における電圧変動によって起こり得る問題の抽出が可能となる。これにより、モータ制御装置3を用いて実際の機械装置を制御したときの制御系の挙動を評価することができる。
以上説明したように、実施の形態2によれば、模擬電源装置部の記憶部は、モータシミュレータの演算周期を表す時間tと電圧変動成分とを対応させて電圧変動情報として記憶している。模擬電源装置部の母線電圧演算部は、母線電圧演算部に入力された演算周期を表す時間tに対応する電圧変動成分に基づいて母線電圧を演算する。これにより、モータ制御装置の制御系に含まれる電源電圧の時間周期特性を影響を補正する処理部の検証を簡易に行うことができる。更に、本実施の形態2においても、電源環境ごとに合わせた複雑な電源環境モデルを作成する必要がない。従って、電源環境の変更に要する時間を含むシミュレーション時間を、従来よりも短縮することができる。
なお、実施の形態1から2に係るモータシミュレータの機能をコンピュータにて実行させるための命令群で構成されるプログラムを作成して、記憶媒体に保持してもよい。記憶媒体に保持されたプログラムは、コンピュータのメモリ内に読み出され、若しくは展開されることで、上述した実施の形態1から2に係るモータシミュレータの機能を実行することができる。
また、以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 モータシミュレータ、2 模擬インバータ部、3 モータ制御装置、10 模擬モータ部、20,20A 模擬電源装置部、21,21A 記憶部、21a,21A1 テーブル、22,22A 母線電圧演算部、23a 増幅器、23b,23c 積分器、222 読み出し部、224 演算器、224a 加算器、224b 乗算器、224c 選択器、300 プロセッサ、302 メモリ、304 インタフェース。

Claims (5)

  1. 交流電源から出力される交流電圧を整流して得られる直流電圧が印加されるインバータによって駆動されるモータを制御するモータ制御装置における制御系の検証に用いるモータシミュレータであって、
    前記直流電圧に基づいて母線電圧を出力する模擬電源装置部と、
    前記モータ制御装置から出力されるスイッチング信号と前記母線電圧とに基づいて電圧信号を生成する模擬インバータ部と、
    前記電圧信号に基づいて前記モータ制御装置に出力するモータ位相角信号及び電流信号を生成する模擬モータ部と、
    を備え、
    前記模擬電源装置部は、
    電源環境ごとに異なり、前記交流電圧の位相角である電源位相角に対応付けられた電圧変動成分の情報を含む電圧変動情報を記憶する記憶部と、
    前記記憶部から読み出される前記電圧変動情報に基づいて前記電圧変動成分を前記直流電圧に付加し、前記電圧変動成分が付加された電圧信号を前記母線電圧として出力する母線電圧演算部と、
    を備えたことを特徴とするモータシミュレータ。
  2. 交流電源から出力される交流電圧を整流して得られる直流電圧が印加されるインバータによって駆動されるモータを制御するモータ制御装置における制御系の検証に用いるモータシミュレータであって、
    前記直流電圧に基づいて母線電圧を出力する模擬電源装置部と、
    前記モータ制御装置から出力されるスイッチング信号と前記母線電圧とに基づいて電圧信号を生成する模擬インバータ部と、
    前記電圧信号に基づいて前記モータ制御装置に出力するモータ位相角信号及び電流信号を生成する模擬モータ部と、
    を備え、
    前記模擬電源装置部は、
    電源環境ごとに異なり、前記モータシミュレータの演算周期に対応付けられた電圧変動成分の情報を含む電圧変動情報を記憶する記憶部と、
    前記記憶部から読み出される前記電圧変動情報に基づいて前記電圧変動成分を前記直流電圧に付加し、前記電圧変動成分が付加された電圧信号を前記母線電圧として出力する母線電圧演算部と、
    備えたことを特徴とするモータシミュレータ。
  3. 交流電源から出力される交流電圧を整流して得られる直流電圧が印加されるインバータによって駆動されるモータを制御するモータ制御装置における制御系の検証に用いるモータシミュレータであって、
    前記直流電圧に基づいて母線電圧を出力する模擬電源装置部と、
    前記モータ制御装置から出力されるスイッチング信号と前記母線電圧とに基づいて電圧信号を生成する模擬インバータ部と、
    前記電圧信号に基づいて前記モータ制御装置に出力するモータ位相角信号及び電流信号を生成する模擬モータ部と、
    を備え、
    前記模擬電源装置部は、
    電源環境ごとに異なる電圧変動成分の情報を含む電圧変動情報を記憶する記憶部と、
    前記記憶部から読み出される前記電圧変動情報に基づいて前記電圧変動成分を前記直流電圧に付加し、前記電圧変動成分が付加された電圧信号を前記母線電圧として出力する母線電圧演算部と、
    を備え、
    前記母線電圧演算部は、
    前記電圧変動成分と前記直流電圧との乗算値を演算する乗算器と、
    前記電圧変動成分と前記直流電圧との加算値を演算する加算器と、
    を備えたことを特徴とするモータシミュレータ。
  4. 交流電源から出力される交流電圧を整流して得られる直流電圧が印加されるインバータによって駆動されるモータを制御するモータ制御装置における制御系の検証に用いるモータシミュレータとしてコンピュータを動作させるモータシミュレータのプログラムであって、
    前記コンピュータを、
    前記直流電圧に基づいて母線電圧を出力する模擬電源装置部、
    前記モータ制御装置から出力されるスイッチング信号と前記母線電圧とに基づいて電圧信号を生成する模擬インバータ部、及び
    前記電圧信号に基づいて前記モータ制御装置に出力するモータ位相角信号及び電流信号を生成する模擬モータ部、
    として機能させ、
    前記模擬電源装置部を、
    電源環境ごとに異なり、前記交流電圧の位相角である電源位相角に対応付けられた電圧変動成分の情報を含む電圧変動情報を記憶する記憶部、及び
    前記記憶部から読み出される前記電圧変動情報に基づいて前記電圧変動成分を前記直流電圧に付加し、前記電圧変動成分が付加された電圧信号を前記母線電圧として出力する母線電圧演算部、
    として機能させる
    モータシミュレータのプログラム。
  5. 交流電源から出力される交流電圧を整流して得られる直流電圧が印加されるインバータによって駆動されるモータを制御するモータ制御装置における制御系の検証に用いるモータシミュレータとしてコンピュータを動作させるモータシミュレータのプログラムであって、
    前記コンピュータを、
    前記直流電圧に基づいて母線電圧を出力する模擬電源装置部、
    前記モータ制御装置から出力されるスイッチング信号と前記母線電圧とに基づいて電圧信号を生成する模擬インバータ部、及び
    前記電圧信号に基づいて前記モータ制御装置に出力するモータ位相角信号及び電流信号を生成する模擬モータ部、
    として機能させ、
    前記模擬電源装置部を、
    電源環境ごとに異なり、前記モータシミュレータの演算周期に対応付けられた電圧変動成分の情報を含む電圧変動情報を記憶する記憶部、及び
    前記記憶部から読み出される前記電圧変動情報に基づいて前記電圧変動成分を前記直流電圧に付加し、前記電圧変動成分が付加された電圧信号を前記母線電圧として出力する母線電圧演算部、
    として機能させる
    モータシミュレータのプログラム。
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