以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
(実施の形態)
<レーザ処理装置の全体構成について>
本実施の形態におけるレーザ処理装置1の全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施の形態におけるレーザ処理装置1の模式的な構成を示す断面図である。
図1に示されるように、本実施の形態におけるレーザ処理装置1は、レーザ光発生部21と、光減衰器22と、光学系モジュール23と、密閉筐体24と、処理室25とを備えている。
レーザ光発生部(レーザ発振器)21は、レーザ光(例えばエキシマレーザ光)を出力するレーザ発振器(レーザ光源)から構成されており、レーザ光発生部21の出力先には、レーザ光の出力を調整するための光減衰器(アッテネータ)22が配置されている。光減衰器22は、レーザ光の透過率を調整することにより、レーザ光の出力を調整する機能を有している。
光減衰器22で出力調整されたレーザ光の進行先には、光学系モジュール23が配置されている。光学系モジュール23は、反射ミラー23aとレンズ(図示せず)などから構成されており、光減衰器22から光学系モジュール23に入力されたレーザ光をラインビーム状のレーザ光に成形する機能を有している。光学系モジュール23の出力部には、レーザ光に対して透光性を有するシールウィンドウ23bが設けられている。光学系モジュール23で成形されたレーザ光は、シールウィンドウ23bを介して、光学系モジュール23から出力される。
光学系モジュール23から出力されるレーザ光の進行先(ここでは光学系モジュール23の下側)には、密閉筐体24が設けられている。密閉筐体24の内部は、密閉空間となっており、この密閉空間をレーザ光が進行するようになっている。密閉筐体24の出力部には、レーザ光に対して透光性を有するシールウィンドウ24aが設けられている。
密閉筐体24から出力されるレーザ光の進行先(ここでは密閉筐体24の下側)には、処理室25が配置されている。処理室25には、密閉筐体24の出力部に設けられているシールウィンドウ24aと接続するシールボックス26が取り付けられている。シールボックス26には、例えば、窒素ガスに代表される不活性ガスが供給されるようになっている。また、図1に示されるように、シールボックス26の上側は、密閉筐体24に設けられたシールウィンドウ24aによって封止されている一方、シールボックス26の下側には、開口部(ガス噴出口)27が設けられている。このため、シールボックス26に供給された不活性ガス(例えば窒素ガス)は、開口部27からシールボックス26の下側に(すなわちステージ2に向かって)噴出されることになる。
処理室25内において、シールボックス26の下方には、ステージ2が配置されている。ステージ2は、上面(表面)およびそれとは反対側の裏面(下面)を有し、その上面(表面)からガス(気体)を噴出させることで基板3を浮上搬送可能なステージである。すなわち、ステージ2は、基板3を浮上させて搬送するためのステージである。ステージ2の上面上には、例えばガラスまたは石英から形成されている基板3が配置され得るが、この基板3は、ステージ2の上面(より特定的にはステージ2を構成する複数の上部構造体5の上面)から吹き出すガスによって、ステージ2上を浮上しながら、水平方向(具体的にはX方向)に搬送されるようになっている。
基板3の表面(上面)には、非晶質(アモルファス)の半導体膜が形成されており、より特定的にはアモルファスシリコン膜3aが形成されている。シールボックス26に設けられた開口部27から噴出(排出)された不活性ガス(例えば窒素ガス)は、基板3の表面に形成されたアモルファスシリコン膜3aに吹き付けられるようになっている。
基板3上に形成されている非晶質の半導体膜(ここではアモルファスシリコン膜3a)は、後述するように、レーザ処理装置1を用いたレーザ処理(レーザアニール処理)によって、多結晶の半導体膜(ここでは多結晶シリコン膜)に変質(変化)する。以下では、基板3の表面に形成されている非晶質の半導体膜がアモルファスシリコン膜3aであるものとして説明する。非晶質の半導体膜(アモルファスシリコン膜3a)が形成された基板3を、被処理体とみなすこともできる。
ステージ2は、定盤(ベース部材)4と、複数の上部構造体(基板浮上用構造体、ステージ部材、基板浮上用ステージ部材、浮上用ユニット)5とを有している。複数の上部構造体5の上面が、ステージ2の上面を構成している。このため、複数の上部構造体5は、互いに積み重ねられているのではなく、水平方向に並んで配置されており、それら複数の上部構造体5が、ステージ2の上部を構成している。
ステージ2が有する複数の上部構造体5のうちの少なくとも一部は、定盤4上に並んで配置されている。具体的には、ステージ2が有する複数の上部構造体5のうちの後述する上部構造体5a,5bは、定盤4上に並んで配置されている。
図1には、ステージ2が有する複数の上部構造体5のうち、上部構造体5a,5b以外の上部構造体5cは、定盤4上に配置されてはおらず、定盤4とは別の部材(支持部材61)によって支持されている場合が示されている。他の形態として、上部構造体5a,5bだけでなく、上部構造体5a,5b以外の上部構造体5cも、共通の定盤4上に配置されている場合もあり得る。
いずれにしても、ステージ2が有する複数の上部構造体5のうち、少なくとも上部構造体5a,5bは、定盤4上に配置され、その定盤4によって支持されている。定盤4は、例えば石材により形成することができ、グラナイトにより形成すれば特に好適である。上部構造体5cを支持する部材(支持部材61)は、例えば金属材料(アルミニウムまたはアルミニウム合金など)により形成することができる。
各々の上部構造体5は、その上面(表面)から気体を噴出することができるように構成されている。すなわち、上部構造体5の上面(表面)からガス(気体)を噴出し、噴出するガスによって基板3を浮上させることができる。このため、上部構造体5は、その上面(表面)からガスを噴出して基板3を浮上させるように機能する構造体(部材)、すなわち、基板浮上用の構造体である。
具体的には、上部構造体5の上面(表面)には、複数(多数)の微細な孔が存在し、その微細な孔からガスを噴出することができる。基板3がステージ2上を浮上しながら移動する際には、上部構造体5の上面(表面)が基板3の下面と対向し、上部構造体5の上面(表面)の複数(多数)の微細な孔から噴出するガス(以下、基板浮上用ガスと称する場合もある)が、基板3の下面に当たって、基板3を浮上させるように作用する。
次に、レーザ処理装置1の動作について、図1および図2を参照しながら説明する。図2は、レーザ処理装置1の動作を説明するための平面図であり、レーザ処理装置1のステージ2と、ステージ2上を浮上しながら搬送される基板3とが示されている。
図1において、レーザ光発生部(レーザ発振器)21から出力されたレーザ光(レーザビーム)20は、光減衰器22で光出力が調整された後、光学系モジュール23に入力する。光学系モジュール23に入力したレーザ光20は、光学系モジュール23の内部に設けられたレンズ系によって、ラインビーム形状(長方形状)に成形される。ラインビーム形状に成形されたレーザ光20は、例えば、光学系モジュール23の内部に配置されている反射ミラー23aで反射された後、シールウィンドウ23bから密閉筐体24に入射する。密閉筐体24に入射したレーザ光20は、密閉筐体24の内部空間を進行した後、シールウィンドウ24aから、処理室25に設けられたシールボックス26に入射する。そして、シールボックス26に入射したレーザ光20は、シールボックス26に設けられている開口部27を通過してステージ2に向かって進行する。ここで、シールボックス26の開口部27を通過してステージ2(基板3)に向かって進行するレーザ光20を、符号20aを付してレーザ光20aと称することとする。レーザ光20aは、ステージ2上を浮上しながら移動している基板3(より特定的には基板3上のアモルファスシリコン膜3a)に照射される。アモルファスシリコン膜3aにおけるレーザ光照射領域は、局所的に加熱され、多結晶シリコン膜(ポリシリコン膜)に変化(変質)する。
レーザ光20aは、Y方向を長軸方向(長手方向)とするラインビーム形状に成形されている。図2および後述の図23において、レーザ光20aが照射され得る領域(平面領域)を、符号20bを付してレーザ光照射領域20bとして示してある。レーザ光照射領域20bは、長軸(長辺)と短軸(短辺)とを有する長方形状であり、長軸(長辺)は短軸(短辺)よりも大きく、長軸(長辺)方向はY方向であり、短軸(短辺)方向はX方向である。すなわち、基板3(アモルファスシリコン膜3a)の表面上、あるいは、ステージ2の表面(上面)上での、レーザ光20aの平面形状は、長軸(長辺)と短軸(短辺)とを有する長方形状であり、その長軸(長辺)の方向はY方向であり、短軸(短辺)の方向はX方向である。レーザ光照射領域20bの長辺の長さ(Y方向の長さ)は、例えば、基板3のY方向の長さと同程度とすることができる。一方、レーザ光照射領域20bの短辺の長さ(X方向の長さ)は、基板3のX方向の長さよりもかなり小さい。
ここで、X方向およびY方向は、互いに交差する方向であり、好ましくは、互いに直交する方向である。また、X方向およびY方向は、ステージ2の上面に略平行であり、従って、ステージ2上を浮上しながら移動する基板3の上面に略平行である。
基板3に対するレーザ処理を行う際には、ステージ2自体は移動せず、固定されたステージ2上を基板3が浮上しながらX方向に搬送される(移動する)。すなわち、図2の(a)の状態から、図2の(b)の状態、図2の(c)の状態に、順に移行する。図2の(a)は、基板3の移動開始前、図2の(b)は、基板3の移動中、図2の(c)は、基板3の移動終了時に、それぞれ対応している。ステージ2上に配置された基板3は、ステージ2の上面(すなわちステージ2を構成する複数の上部構造体5の上面)から噴出するガスによって、ステージ2から浮上することができる。そして、基板搬送用のロボットアーム(図示せず)などで基板3をつかんでX方向に移動させることで、ステージ2上に浮上する基板3をX方向へ移動させることができる。
基板3に対するレーザ処理を行う際には、ステージ2自体は移動せず、また、レーザ光20の照射位置も移動しない。このため、ステージ2に対するレーザ光20aの照射位置は、固定されている。すなわち、ステージ2から見たときのレーザ光照射領域20bは固定されている。しかしながら、基板3がステージ2上を浮上しながらX方向に移動することで、基板3(アモルファスシリコン膜3a)におけるレーザ光20aの照射位置(照射領域)は、基板3の移動とともに移動することになる。すなわち、位置が固定されたステージ2およびレーザ光20aに対して、基板3が移動することで、基板3(アモルファスシリコン膜3a)におけるレーザ光20aの照射位置(照射領域)が、基板3の移動とともに移動することになる。これにより、アモルファスシリコン膜3aにおけるレーザ光照射領域を走査することができ、アモルファスシリコン膜3a全体にレーザ光20aの照射処理を施すことができる。なお、レーザ光20は、連続的なレーザ光、あるいは、所定の周波数のパルス状のレーザ光とすることができる。
また、シールボックス26には、不活性ガス(例えば窒素ガス)が供給されており、シールボックス26の下部に設けられた開口部27からその不活性ガスが噴出(排出、排気)される。そして、シールボックス26に設けられた開口部27から噴出された不活性ガスは、ステージ2上を浮上しながらX方向に移動している基板3(より特定的には基板3上のアモルファスシリコン膜3a)の上面に吹き付けられる。
シールボックス26の開口部27から基板3上のアモルファスシリコン膜3aに対して不活性ガスを吹き付けるのは、レーザ光を照射してアモルファスシリコン膜3aを多結晶シリコン膜に変化させる際に、不要な反応が発生しないようにするため(例えば多結晶シリコン膜の表面に酸化シリコン膜が生成されないようにするため)である。すなわち、シールボックス26の開口部27から噴出された不活性ガスの雰囲気中でアモルファスシリコン膜3aにレーザ光を照射してアモルファスシリコン膜3aを多結晶シリコン膜に変化させるためである。
つまり、ステージ2上に基板3を浮上させてX方向に移動させながら、基板3の表面に形成されているアモルファスシリコン膜3aに対して、不活性ガス(例えば窒素ガス)を吹き付けつつ、ラインビーム形状に成形されたレーザ光20aが照射される。その結果、基板3上に形成されているアモルファスシリコン膜3aが局所的に加熱されることになり、それによって、アモルファスシリコン膜3aのレーザ光照射領域を多結晶シリコン膜に変化させながら、アモルファスシリコン膜3aにおけるレーザ光照射領域を走査することができる。このようにして、アモルファスシリコン膜3a全体に対してレーザ処理(レーザアニール処理)を施し、アモルファスシリコン膜3a全体を多結晶シリコン膜に変化させることができる。つまり、基板3上に形成されている非晶質の半導体膜(ここではアモルファスシリコン膜3a)を、多結晶の半導体膜(ここでは多結晶シリコン膜)に変質(変化)させることができる。
<レーザ処理装置の詳細構成について>
次に、本実施の形態におけるレーザ処理装置1のステージ2の詳細構成について、図3~図10を参照して説明する。
図3および図4は、本実施の形態のレーザ処理装置1の要部平面図であり、図5~図7は、本実施の形態のレーザ処理装置1の要部断面図である。また、図8は、本実施の形態のレーザ処理装置1のステージ2が有する上部構造体5aの斜視図であり、図9および図10は、上部構造体5aの断面図である。
図3は、本実施の形態のレーザ処理装置1が有するステージ2の一部の上面図が示されているが、図3に示されている平面領域は、上記図2の(b)の領域29にほぼ対応している。なお、図3においては、レーザ光照射領域20bをハッチングを付して示してある。図4は、図3と同じ平面領域であるが、定盤4を透視して上部構造体5a,5bを見た下面透視図が示されている。図5は、図3および図4に示されるA1-A1線の位置での断面図にほぼ対応し、図6は、図3および図4に示されるA2-A2線の位置での断面図にほぼ対応し、図7は、図3および図4に示されるA3-A3線の位置での断面図にほぼ対応している。なお、図3および図4に示されるA4-A4線の位置での断面図は、図7において符号5aを符号5bに置換したものと実質的に同じである。また、図3および図4に示されるA5-A5線の位置での断面図は、図6において符号5aを符号5bに置換したものと実質的に同じである。図9および図10は、図5に相当する断面位置での上部構造体5aの断面図である。但し、図8および図9は、上部構造体5aに冷却機構8が取り付けられている状態が示されているが、図10は、上部構造体5aから冷却機構8を取り外した状態を示してある。上部構造体5bの斜視図および断面図は図8~図10と実質的に同じである。また、図3では、上部構造体5a,5bの各下面の凹部18の位置(従って凹部18内に収容された冷却機構8の位置)を、点線で示してある。また、図5の断面図にはレーザ光20aを示してあるが、図6および図7の断面図では、アモルファスシリコン膜3aの上面全体にレーザ光20aが照射されているため、レーザ光20aの図示は省略している。
上述のように、本実施の形態のレーザ処理装置1のステージ2は、定盤4と複数の上部構造体5とを有している。ステージ2の上面(表面)は、複数の上部構造体5により構成されており、すなわち、複数の上部構造体5の上面(表面)がステージ2の上面を構成している。ステージ2が有する複数の上部構造体5のそれぞれは、上面(表面)からガスを噴出し、噴出するガスにより基板3を浮上させるように機能することができる。すなわち、後述の上部構造体5a,5bを含む複数の上部構造体5の上面側から基板3に対し気体(基板浮上用ガス)が噴出して、基板3を浮上させる。
ステージ2を構成する複数の上部構造体5は、平面視においてレーザ光照射領域20bを間に挟んでX方向に隣り合う上部構造体5a,5bを含んでいる(図2および図3参照)。上部構造体5aと上部構造体5bとは、X方向において互いに離間し、かつ対向するように配置されている。従って、上部構造体5aと上部構造体5bとは、X方向に所定の間隔を空けて配置されている。上部構造体5aの側面(上部構造体5bに対向する側面)と、上部構造体5bの側面(上部構造体5aに対向する側面)とは、X方向に対向し、かつ、X方向において所定の間隔で離間している。
上部構造体5a,5bは、定盤4の上面上に配置(搭載)されており、上部構造体5a,5bの各下面が定盤4の上面に対向するとともに、その定盤4の上面に接している。上部構造体5a,5bは、それぞれネジなどにより定盤4に保持または固定されている。
例えば、図7に示されるように、定盤4を貫通するネジ穴部16aと、上部構造体5aの下面側から上部構造体5aの厚さの途中まで到達するネジ穴部16bとを、互いに整合する位置に設けておく。そして、定盤4の下面側から定盤4のネジ穴部16aと上部構造体5aのネジ穴部16bとにネジ(ボルト)17を挿入することにより、上部構造体5aを定盤4に固定または保持することができる。また、このネジ17を抜く(外す)ことにより、上部構造体5aを定盤4から取り外すことができる。同様の手法により、上部構造体5bを定盤4に固定または保持することができ、また、上部構造体5bを定盤4から取り外すことができる。
上部構造体5a,5bのそれぞれは、互いに反対側に位置する主面である上面および下面を有している。上部構造体5a,5bのそれぞれの下面は、定盤4に面する(対向する、接する)主面であり、上部構造体5a,5bのそれぞれの上面は、基板浮上用ガスを噴出する主面である。上部構造体5aの上面は、上部構造体5aを構成する表面側部材6の上面(表面)により形成され、上部構造体5aの下面は、上部構造体5aを構成するベース部7の下面により形成されている。また、上部構造体5bの上面は、上部構造体5bを構成する表面側部材6の上面(表面)により形成され、上部構造体5bの下面は、上部構造体5bを構成するベース部7の下面により形成されている。上部構造体5a,5bのそれぞれの上面は、ステージ2の上面(表面)の一部を構成している。上部構造体5aの上面と下面とは互いに平行である。また、上部構造体5bの上面と下面とは互いに平行である。
上部構造体5a,5bのそれぞれの下面には、すなわち、上部構造体5aを構成するベース部7の下面と上部構造体5bを構成するベース部7の下面とには、冷却機構8を収容するための凹部(溝部、窪み部)18が設けられており、その凹部18内に冷却機構(冷却用部材、冷却ユニット)8が配置(収容)されている(図4、図5、図6、図8~図10参照)。
冷却機構8は、ステージ2を冷却するための部材(冷却用部材)である。上部構造体5aの下面の凹部18内に配置された冷却機構8は、主として上部構造体5aを冷却するように機能し、上部構造体5bの下面の凹部18内に配置された冷却機構8は、主として上部構造体5bを冷却するように機能する。
下面の凹部18内に冷却機構8を収容した上部構造体5a,5bは、定盤4の上面上に配置(搭載)されており、上部構造体5a,5bのそれぞれは、定盤4に接している。そして、冷却機構8と定盤4との間には空間(隙間)19が存在する(図5および図6参照)。このため、冷却機構8は定盤4に接していない。すなわち、上部構造体5a,5bの各下面(凹部18以外の領域)は、定盤4の上面に接しているが、上部構造体5a,5bの各下面の凹部18内に配置された冷却機構8の下面は、定盤4の上面とは接していない。上部構造体5aの凹部18内に配置された冷却機構8の下面は、上部構造体5aの下面から突出しておらず、上部構造体5aの下面よりも高い位置にある。また、上部構造体5bの凹部18内に配置された冷却機構8の下面は、上部構造体5bの下面から突出しておらず、上部構造体5bの下面よりも高い位置にある。ここで、上部構造体5a,5bの上面に近い側(従って浮上する基板3に近い側)が高い側であり、定盤4に近い側が低い側である。
具体的には、凹部18内に配置された冷却機構8の下面は、定盤4の上面に対向しているが、その冷却機構8の下面と定盤4の上面との間には所定の隙間(空間)が空いており、冷却機構8の下面と定盤4の上面とは所定の間隔を空けて離間している。冷却機構8の厚さT2は、その冷却機構8を収容する凹部18の深さT1よりも小さい(T2<T1)。なお、厚さT2と深さT1は、図10に示してある。凹部18内に配置された冷却機構8の下面とその凹部18が設けられた上部構造体5aの下面との高さ位置の差D1は、例えば0.5~1mm程度とすることができる(図9参照)。なお、差D1は、凹部18の深さT1と冷却機構8の厚さT2との差と実質的に一致しており、D1=T1-T2と表すことができる。また、定盤4の上面が平坦面の場合は、冷却機構8の下面と定盤4の上面との間の距離(間隔)は、差D1と実質的に同じである。
また、上部構造体5aの凹部18に収容された冷却機構8は、上部構造体5aに接していることが好ましい。また、上部構造体5bの凹部18に収容された冷却機構8は、上部構造体5bに接触していることが好ましい。具体的には、上部構造体5aの凹部18内に配置された冷却機構8の上面および両側面の合計3つの面のうちの1つ以上は、上部構造体5a(の凹部18の内面)と接している。同様に、上部構造体5bの凹部18内に配置された冷却機構8の上面および両側面の合計3つの面のうちの1つ以上は、上部構造体5b(の凹部18の内面)と接している。
上部構造体5aの凹部18内に配置された冷却機構8は、例えばネジ(後述の図26および図29のネジ71に対応)などを用いて上部構造体5aに取り付けられて固定されている。同様に、上部構造体5bの凹部18内に配置された冷却機構8は、例えばネジなどを用いて上部構造体5bに取り付けられて固定されている。冷却機構8は、定盤4とは接していないが、上部構造体5a,5bのそれぞれに冷却機構8が取り付けられ、その上部構造体5a,5bが定盤4の上面上に配置されてネジ17などで定盤4に固定されているため、定盤4と上部構造体5a,5bと冷却機構8とは、互いに位置が固定されている。
冷却機構8は、取り外し可能である。別の見方をすると、冷却機構8は、上部構造体5a,5bに対して着脱可能である。このため、冷却機構8は、上部構造体5aへの取り付けと、上部構造体5aからの取り外しとが可能であり、また、上部構造体5bへの取り付けと、上部構造体5bからの取り外しとが可能である(図9および図10参照)。このため、上部構造体5a,5bの各下面の凹部18内に冷却機構8を取り付けた後に、その上部構造体5a,5bを定盤4上に配置して固定することができる。また、定盤4から上部構造体5a,5bを取り外した後に、その上部構造体5a,5bから冷却機構8を取り外すことができる。
冷却機構8は、水冷方式(液冷方式)の冷却機構である。このため、冷却機構8は、冷却用の液体(冷却液)を流すための流路(通路、配管)9を含んでいる。流路9は、冷却機構8内に設けられている。冷却機構8は、上部構造体5a,5bの各下面の凹部18内に配置されているため、冷却機構8の流路9も、上部構造体5a,5bの各下面の凹部18内に配置されている。
冷却機構8は、熱伝導率が高い材料からなることが好ましく、具体的には金属材料からなることが好ましい。このため、冷却機構8は、好ましくは、冷却液を流すための流路9を有する金属部材である。流路9を流れる冷却液による腐食や変質ができるだけ生じないようにする観点で、冷却機構8の材料として、ステンレス鋼(SUS)を好適に用いることができる。
冷却機構8は、例えば、直方体状の外形形状を有している。このため、冷却機構8は、直方体状の金属部材を加工することにより形成することができる。例えば、直方体状の金属部材に対して穴あけと穴埋めとを施すことにより、流路9を有する冷却機構8を作製することができる。流路9の断面形状(流路9の延在方向に略垂直な断面形状)は、例えば円形状とすることができる。流路9は、冷却液を流すことができる空間(冷却液用の通路)である。
図3~図10の場合は、上部構造体5a,5bの各下面において、凹部18はY方向に沿って形成されており、従って、凹部18内に配置された冷却機構8もY方向に延在し、冷却機構8内の流路9もY方向に延在している。
定盤4の上面と、その定盤4の上面上に配置された上部構造体5a,5bの各下面とは、X方向およびY方向に略平行である。上部構造体5aの下面の凹部18は、その上部構造体5aの下面に略平行(従ってX方向およびY方向に略平行)な底面と、その底面に略垂直な側面(内壁)とを有している。上部構造体5bの下面の凹部18は、その上部構造体5bの下面に略平行(従ってX方向およびY方向に略平行)な底面と、その底面に略垂直な側面(内壁)とを有している。凹部18がY方向に延在している場合は、凹部18の側面は、Y方向およびZ方向に略平行である。ここで、Z方向は、上下方向であり、従って、Z方向は、X方向およびY方向の両者に直交する方向である。
冷却機構8が有する流路9は、冷却機構8内を冷却機構8の延在方向(ここではY方向)に沿って延在する流路部9aと、冷却機構8の下面に設けられた開口部9b,9cとを有している。流路部9aの両端部は、冷却機構8内で終端しており、一方が開口部9bに連結され、他方が開口部9cに連結されている。冷却機構8の下面において、冷却機構8の延在方向における一方の端部の近傍に開口部9bが設けられ、他方の端部の近傍に開口部9cが設けられている。
流路部9aは、冷却機構8の断面(冷却機構8の延在方向に略垂直な断面)において、中央付近に設けられている。冷却機構8の下面に設けられた開口部9bは、連結部(継手)14aを介して、冷却機構8外に設けられている冷却液供給用の配管15aに接続され、また、冷却機構8の下面に設けられた開口部9cは、連結部(継手)14bを介して、冷却機構8外に設けられている冷却液排出用の配管15bに接続されている。配管15aは、定盤4に設けられた開口部4aを通るように配置することができ、配管15bは、定盤4に設けられた開口部4bを通るように配置することができる。冷却液供給用の配管15aから冷却機構8に供給された冷却液は、開口部9b、流路部9aおよび開口部9cを順に流れ、冷却機構8から冷却液排出用の配管15bに排出される。
また、図3~図5および図8~図10の場合は、上部構造体5a,5bの各下面において、冷却機構8が収容された凹部18が3つ設けられている場合が示されているが、その数は3つに限定されない。但し、冷却機構8が収容された凹部18は、上部構造体5a,5bの各下面において、少なくとも一つ設けられており、複数設けられていることがより好ましい。
次に、上部構造体5a,5bの構造について更に説明する。上部構造体5aの構造と上部構造体5bの構造とは、基本的には同様であるので、ここでは、上部構造体5aの構造について説明するが、上部構造体5aの構造についての説明は、上部構造体5bの構造にも適用することができる。
上部構造体5aは、表面側部材6とベース部(台座部)7とを有しており、ベース部7上に表面側部材6が配置されて支持されている。すなわち、上部構造体5aの上面側に、表面側部材6が配置されている。上部構造体5aの下面、すなわち上部構造体5aを構成するベース部7の下面に、上述した凹部18が形成されている。
表面側部材6は、好ましくは多孔質体(多孔質材料)からなる。多孔質体は、多数の微細な気孔(すなわち細孔)を有している。多孔質体からなる表面側部材6から基板3に対し気体(基板浮上用ガス)が噴出する。
使用する多孔質体としては、多孔質カーボン、多孔質セラミックスまたは多孔質金属などを例示できる。それらのうち、多孔質カーボンを好適に用いることができ、従って、表面側部材6として使用する多孔質体は、好ましくは、炭素を主成分とすることができる。
また、表面側部材6は、板状の部材とすることができる。このため、多孔質板(多孔質体からなる板状の部材)を表面側部材6として好適に用いることができ、その場合、基板浮上用ガスが、多孔質板が有する多数の細孔を通って、多孔質板の上面から噴出することができる。この場合、多孔質板の細孔が、上部構造体5aの上面の上述した「微細な孔」に対応する。
ベース部7は、金属材料により形成することができ、好ましくは、アルミニウムまたはアルミニウム合金により形成することができる。ベース部7は、例えば、板状の部材(金属板)を加工したものを用いることができる。また、定盤4は、平坦な上面を有しており、凹部18に冷却機構8を収容した上部構造体5a,5bが、定盤4の上面上に配置されている。上部構造体5a,5bのそれぞれの外形形状は、例えば、略直方体とすることができる。上部構造体5aは、上面から基板浮上用ガスを噴出するための構造を含んでおり、具体的には以下のような構造を含んでいる。
図5~図7に示されるように、上部構造体5aは、ベース部7および表面側部材6に加えて、更に、ベース部7と表面側部材6との間に配置された中間板10を有している。中間板10は、ベース部7よりも薄い板状の部材とすることができ、例えば、金属材料(アルミニウムまたはアルミニウム合金など)により形成することができる。上部構造体5aにおいて、ベース部7上に接着層(接着材)11bを介して中間板10が接着されて固定され、また、ベース部7上に接着層(接着材)11aを介して表面側部材6が接着されて固定されている。上部構造体5aにおいて、表面側部材6と中間板10との間には、空間(加圧空間)12aが設けられ、ベース部7と中間板10との間には、空間(減圧空間)12bが設けられている。空間12aは、中間板10と表面側部材6と接着層11aとによって囲まれおり、また、空間12bは、ベース部7と中間板10と接着層11bとによって囲まれている。
中間板10には、複数(多数)の貫通孔13bが設けられており、また、表面側部材6にも、中間板10の貫通孔13bと整合する位置に、複数(多数)の貫通孔13aが設けられている。表面側部材6の下面における各貫通孔13a周囲と、中間板10の上面における各貫通孔13bの周囲とは、環状の接着層11cを介して接着されている。このため、表面側部材6の各貫通孔13aと中間板10の各貫通孔13bとは、環状の接着層11c内の空間を介してつながっている。このため、多孔質体からなる表面側部材6は、多孔質体自身が有する細孔に加えて、機械的に形成した複数(多数)の貫通孔13aも更に有している。加工性を考慮すると、好ましくは、貫通孔13a(直径)は、多孔質体の細孔(直径)よりも大きい。
空間12aには、ベース部7に設けられた貫通孔(図示せず)などを介して加圧ガスが導入され、空間12aに導入された加圧ガスが、表面側部材6の複数の微細な孔(多孔質体を構成する細孔)を通って表面側部材6の上面から噴出し、噴出するガスによって基板3を浮上させるようになっている。この表面側部材6の上面から噴出するガスを、図5~図7では上向きの矢印として模式的に示してある。表面側部材6の上面から噴出するガスは、例えば、窒素ガスに代表される不活性ガスを用いることができる。そして、空間12bは、ベース部7に設けられた貫通孔(図示せず)などを介して減圧され、それによって、表面側部材6上のガスを、表面側部材6の貫通孔13aと、環状の接着層11c内の空間と、中間板10の貫通孔13bとを介して、空間12bに吸引するようになっている。図5~図7では、表面側部材6の上面(貫通孔13a)から吸引するガスを、下向きの矢印で模式的に示してある。
このため、表面側部材6の微細な孔(ここでは多孔質体を構成する細孔)からガスを噴出して基板3を浮上させつつ、表面側部材6の貫通孔13aから表面側部材6上のガスを吸引して基板3を吸引している。このため、表面側部材6からのガスの噴出とガスの吸引とを調整することにより、浮上する基板3の高さ位置を高精度で制御することができる。
なお、ここでは、一例として、上部構造体5a,5bの上面からガス(基板浮上用ガス)の噴出とガスの吸引とを行うための構造を、中間板10、接着層11a,11b,11c、空間12a,12bおよび貫通孔13a,13bなどを用いて形成した場合について説明したが、これに限定されるものではない。上部構造体5a,5bは、その上面からガス(基板浮上用ガス)の噴出とガスの吸引とを行うための構造を有していればよい。
X方向に隣り合う上部構造体5aと上部構造体5bとの間には、他の上部構造体5は配置されていないため、上部構造体5aの構造と上部構造体5bとの間の領域では、基板3を浮上させるためのガス(基板浮上用ガス)は噴出されない。
レーザ光20aは、基板3(より特定的には基板3上に形成されているアモルファスシリコン膜3a)に照射されるが、もしも基板3およびアモルファスシリコン膜3aが無ければ、レーザ光20aは、上部構造体5aと上部構造体5bとの間の領域(隙間)に照射される。すなわち、レーザ光20aは、上部構造体5aと上部構造体5bとの間の領域(隙間)に向かって進行している。このため、基板3(アモルファスシリコン膜3a)におけるレーザ光照射領域20b(レーザ光20aが照射される領域)は、上部構造体5aと上部構造体5bとの間の領域(隙間)の上方に位置しており、平面視において、上部構造体5aと上部構造体5bとの間の領域(隙間)と重なっている。このため、上部構造体5aと上部構造体5bとの間の隙間と、レーザ光20aの焦点位置とは、平面視において重なっている。
基板3(アモルファスシリコン膜3a)に対するレーザ処理を行う際には、冷却機構8の流路9には、液体(冷却液)が流されている。すなわち、流路9の中を液体(冷却液)を流動させることにより、ステージ2を冷却している。つまり、冷却機構8の流路9に冷却液を流しつつ、ステージ2上を浮上しながら水平方向(X方向)に移動する基板3(より特定的には基板3上に形成されているアモルファスシリコン膜3a)に対してレーザ光20aを照射する。冷却機構8の流路9を流れる(流動する)液体は、ステージ2を冷却する機能を有している。特に、上部構造体5aの凹部18内に配置された冷却機構8の流路9を流れる(流動する)液体は、その上部構造体5aを冷却する機能を有し、また、上部構造体5bの凹部18内に配置された冷却機構8の流路9を流れる(流動する)液体は、その上部構造体5bを冷却する機能を有している。流路9を流れる液体(冷却液)としては、例えば水を好適に用いることができる。
<検討の経緯>
図11は、本発明者が検討した第1検討例のレーザ処理装置101の模式的な構成を示す断面図であり、上記図1に相当するものである。
図11に示される第1検討例のレーザ処理装置101においては、上記基板3に相当する基板103は、ステージ102上にそのステージ102と接するように配置されており、ステージ102を移動させることによってステージ102と一緒に基板103も移動させながら、その基板103にレーザ光20を照射する。すなわち、第1検討例のレーザ処理装置101においては、基板103は、ステージ102上を浮上して移動するのではなく、ステージ102上に配置されて固定されており、ステージ102と基板103とが一緒に移動する。ステージ102と一緒に基板103が移動することにより、基板103上に形成されているアモルファスシリコン膜103aにおけるレーザ光照射領域を走査することができ、アモルファスシリコン膜103a全体を多結晶シリコン膜に変化させることができる。
しかしながら、第1検討例のレーザ処理装置101においては、ステージ102と基板103とを一緒に移動させる必要があるため、ある基板103に対するレーザ処理を行った後には、レーザ処理の終了位置まで移動しているステージ102を、初期位置まで戻す必要がある。そして、その後に、ステージ102上に次の基板103を配置してから、ステージ102と基板103とを一緒に移動させながらその基板103に対するレーザ処理を行う必要がある。この場合、レーザ処理が済んだ基板103をステージ102から降ろしてから、ステージ102を初期位置まで戻す動作が必要になることから、複数の基板103にレーザ処理を施す際には、1枚の基板103あたりの処理時間が長くなり、スループットが低くなってしまう。
そこで、本発明者は、レーザ処理装置のステージ上に基板を浮上させながらその基板を水平方向に移動させ、移動する基板に対してレーザ光を照射することを検討している。この場合、ステージを移動させる必要がないため、複数の基板にレーザ処理を施す際には、1枚の基板あたりの処理時間を短くすることができ、スループットを向上させることができる。
しかしながら、レーザ処理装置のステージ上に基板を浮上させながらその基板を水平方向に移動させ、移動する基板に対してレーザ光を照射する場合には、次のような課題が発生する虞があることが、本発明者の検討により分かった。これについて、図12および図13を参照して説明する。図12および図13は、本発明者が検討した第2検討例のレーザ処理装置の要部断面図であり、上記図5に相当する断面の一部が示されている。
第2検討例のレーザ処理装置(図12および図13)が、本実施の形態のレーザ処理装置1と相違しているのは、本実施の形態のレーザ処理装置1のステージ2(図1、図5~図7参照)が上記冷却機構8を有しているのに対して、第2検討例のレーザ処理装置のステージ202(図12および図13)は、上記冷却機構8に相当するものを有していないことである。すなわち、第2検討例のレーザ処理装置のステージ202においては、上部構造体5a,5bに相当する上部構造体205a,205bが、定盤4に相当する定盤204の上面上に配置されているが、上部構造体205a,205bの各下面には、上記凹部18に相当するものは形成されておらず、上部構造体205a,205bの各下面は全体が定盤204の上面に接している。なお、上部構造体205a,205bのそれぞれは、上記表面側部材6に相当する表面側部材206と、上記ベース部7に相当するベース部207とを有している。
図12に示される第2検討例のレーザ処理装置においては、固定されたステージ202上を、基板3が浮上しながら水平方向に移動し、移動する基板3に対してレーザ光20aが照射される。これにより、基板3上に形成されているアモルファスシリコン膜3aにおけるレーザ光照射領域を走査することができ、アモルファスシリコン膜3a全体を多結晶シリコン膜に変化させることができる。
しかしながら、図12に示される第2検討例のレーザ処理装置においては、基板3は移動させるがステージ202は固定されていることに伴い、ステージ202から見た基板3におけるレーザ光照射位置が固定されてしまい、ステージ202が局所的に加熱されてしまう。
すなわち、図12において、基板3およびその上のアモルファスシリコン膜3aは、レーザ光20aが照射されている領域とその近傍が局所的に加熱され、従って、符号28を付した点線で囲まれた領域(以下、基板加熱領域28と称する)が局所的に加熱され、かなり高い温度になる。ステージ202上に浮上した基板3を水平方向に移動させながらレーザ光を照射するため、基板3およびその上のアモルファスシリコン膜3aにおいて、基板加熱領域28は、基板3の移動とともに移動する。しかしながら、ステージ202は固定されているため、ステージ202から見ると基板加熱領域28の位置は移動せずに固定されている。このため、基板3に対するレーザ処理を行っている間、ステージ202における基板加熱領域28の近傍に位置する領域は固定されていることになる。
従って、基板3に対するレーザ処理を行っている間、ステージ202において、基板加熱領域28の近傍に位置する領域では、基板加熱領域28から伝わる熱で継続的に加熱されることになるため、基板加熱領域28から伝わる熱が蓄積されてしまい、ステージ202(より特定的にはステージ202を構成する上部構造体205a,205b)の温度が上昇してしまう。これにより、ステージ202(上部構造体205a,205b)に熱歪(熱に起因した歪)が発生し、ステージ202(上部構造体205a,205b)が変形してしまう虞がある。図13には、ステージ202(上部構造体205a,205b)が熱歪により変形した状態の一例が模式的に示されている。
ステージ202(上部構造体205a,205b)が変形してしまうと、ステージ202上に浮上する基板3の高さ位置が変動してしまうため、基板3に対するレーザ処理の条件の変動を招く虞がある。すなわち、基板3はステージ202上を浮上しながら移動するため、ステージ202が変形してしまうと、ステージ202上に浮上する基板3の高さ位置が変わってしまうが、基板3の高さ位置が変わると、その基板3に照射されるレーザ光の焦点位置と基板3との間の距離も変わってしまうため、基板3に対するレーザ処理の条件が変動してしまう。
例えば、ステージ202が熱歪によって変形する前(図12の状態)は、ステージ202上に浮上する基板3の高さ位置がレーザ光20aの焦点位置と一致していたとしても、ステージ202が熱歪により変形してしまうと(図13の状態)、ステージ202上に浮上する基板3の高さ位置が、レーザ光20aの焦点位置からずれてしまう。これは、ステージ202が熱歪によって変形する前と後とで、基板3に対するレーザ処理の条件が変動したことにつながる。
ステージ202が熱歪によって変形する前と後とで、基板3に対するレーザ処理の条件が変動してしまうと、レーザ処理によって基板3上に形成されたアモルファスシリコン膜3aを多結晶シリコン膜に変えた場合の、その多結晶シリコン膜の特性の変動につながる虞がある。例えば、多結晶シリコン膜の結晶化状態が変動する虞がある。このため、1つの基板3に形成されている多結晶シリコン膜の特性の変動や、複数の基板3に形成されている多結晶シリコン膜同士の特性の変動を抑制するためには、基板3に対するレーザ処理の条件お変動を抑制または防止することが望まれる。
<主要な特徴と効果について>
次に、本実施の形態のレーザ処理装置の主要な特徴と効果について説明する
本実施の形態では、レーザ処理装置1のステージ2は、冷却機構8を有している。このため、ステージ2上に浮上しながら移動する基板3(アモルファスシリコン膜3a)にレーザ光を照射した際に、ステージ2を冷却することができる。従って、基板加熱領域28からの熱伝導に起因してステージ2が熱歪により変形してしまうのを抑制または防止することができる。すなわち、冷却機構8の流路9を冷却液が流れることで、上部構造体5a,5bを冷却することができるため、基板加熱領域28からの熱伝導に起因して上部構造体5a,5bが熱歪により変形してしまうのを抑制または防止することができる。
ステージ2(上部構造体5a,5b)が熱歪によって変形してしまうのを抑制または防止できることで、ステージ2上を浮上しながら移動する基板3の高さ位置が変動するのを抑制または防止することができるため、基板3(アモルファスシリコン膜3a)に対するレーザ処理の条件が変動してしまうのを抑制または防止することができる。これにより、レーザ処理によって基板3上に形成されたアモルファスシリコン膜3aを多結晶シリコン膜に変えた場合の、その多結晶シリコン膜の特性の変動を抑制または防止することができる。例えば、1つの基板3に形成されている多結晶シリコン膜の特性の変動や、複数の基板3に形成されている多結晶シリコン膜同士の特性の変動を抑制または防止することができる。
また、本実施の形態では、レーザ処理装置1のステージ2は、冷却機構8を有しているが、水冷方式(液冷方式)の冷却機構を採用している。なお、冷却液(冷却用の液体)を用いて冷却する冷却機構を水冷方式の冷却機構と称し、冷却液として水を用いる場合だけでなく、水以外の冷却液を用いる場合も、水冷方式の冷却機構に含むものとする。但し、冷却機構8の流路9を流れる冷却液として水を用いた場合は、レーザ処理装置の構造を簡略化することができ、また、レーザ処理に伴うコストの低減などの点で有利である。
水冷方式は、冷却効率が高い。レーザ処理装置1のステージ2が有する冷却機構8として水冷方式を用いたことで、ステージ2を効率的に冷却することができるため、基板加熱領域28からの熱伝導に起因してステージ2が熱歪によって変形してしまうのを効率的に抑制または防止することができる。
ところで、冷却機構8によってステージ2(上部構造体5a,5b)の変形を防止するのは、ステージ2上に浮上する基板3の高さ位置が変動するのを防ぐためである。本実施の形態では、レーザ処理装置1のステージ2上に基板3を浮上させながらその基板3を水平方向に移動させ、移動する基板3に対してレーザ光20aを照射する手法を採用しているため、レーザ光照射領域20bにおける基板3の高さ位置を所定の高さ位置に制御し、基板3に対するレーザ処理の条件が変動するのを防ぐことが要求される。これに対処するために、本実施の形態では、ステージ2に冷却機構8を設けているが、単に冷却機構8を設けるだけでなく、冷却機構8の配置位置などについて工夫することによっても、レーザ光照射領域20bにおける基板3の高さ位置が変動するのを防ぎ、基板3に対するレーザ処理の条件の変動を防いでいる。
本実施の形態では、レーザ処理装置1のステージ2は、定盤4および定盤4上の上部構造体5a,5bを含み、上部構造体5a,5bのそれぞれの下面は凹部18を有し、凹部18内に冷却機構8が設けられている。これにより、ステージ2に冷却機構8を内蔵させても、冷却機構8に影響されることなく、ステージ2の上面を構成する上部構造体5a,5bの上面を、所定の高さ位置と角度に設定できるため、レーザ光照射領域20bにおける基板3の高さ位置の変動を抑制または防止することができ、基板3に対するレーザ処理の条件が変動するのを抑制または防止することができる。これについて、以下に説明する。
レーザ処理装置において、もしも上部構造体5aに取り付けている冷却機構8に不具合が生じた場合には、冷却機構8が取り付けられている上部構造体5aを定盤4から取り外してから、冷却機構8を上部構造体5aから取り外す。それから、取り外された冷却機構8の修理を行った後に、その冷却機構8を上部構造体5aに再度取り付けてから、冷却機構8が取り付けられている上部構造体5aを定盤4上に配置して固定する。上部構造体5bに取り付けている冷却機構8に不具合が生じた場合も、同様である。
しかしながら、上部構造体5aから冷却機構8を取り外した後に、その冷却機構8を上部構造体5aに再度取り付けた場合には、上部構造体5aに対する冷却機構8の取り付け状態(固定状態)がある程度変わってしまう可能性がある。例えば、上部構造体5aから冷却機構8を取り外す前は、冷却機構8の下面と上部構造体5aの上面とが互いに平行であったとしても、冷却機構8を上部構造体5aから取り外してから上部構造体5aに再度取り付けた後では、冷却機構8の下面が、上部構造体5aの上面に対して多少傾斜した状態になる可能性がある。また、冷却機構8の下面の位置(上部構造体5aの上面から冷却機構8の下面までの距離)が多少変わる可能性もある。本実施の形態では、上部構造体5aの下面の凹部18内に冷却機構8を設けているため、上部構造体5aに対する冷却機構8の取り付け状態(固定状態)が多少変わったとしても、例えば冷却機構8の下面の位置や角度が多少変わったとしても、定盤4上に上部構造体5aを配置して固定したときの上部構造体5aの上面の位置や角度には影響を与えずに済む。上部構造体5bについても同様である。
本実施の形態とは異なり、上部構造体のそれぞれの下面に凹部18を形成せず、上部構造体の平坦な下面に板状の冷却機構を取り付け、その板状の冷却機構を介して上部構造体を定盤の上面上に配置する場合を仮定する。この場合、上部構造体の平坦な下面が板状の冷却機構と接し、その板状の冷却機構の下面が定盤の上面と接することになる。この場合、上部構造体の上面および下面だけでなく、板状の冷却機構の上面および下面も精度よく形成する必要があるため、レーザ処理装置の製造コストの増加を招いてしまう。また、この場合、上部構造体と冷却機構とを締結してから上部構造体の上面を研磨するのであれば、冷却機構の下面と上部構造体の上面の精度を高くすればよく、上部構造体の下面と冷却機構の上面の精度は高くなくともよくなるが、上部構造体から冷却機構を取り外してから再度取り付けると、上部構造体に対する冷却機構の取り付け状態が変わることで、不具合が生じる虞がある。すなわち、この場合、冷却機構を取り外してから再度取り付けると、上部構造体に対する冷却機構の取り付け状態(固定状態)が多少変わってしまう可能性があることから、上部構造体の上面の位置や角度が変わる可能性がある。例えば、冷却機構を取り外す前は、板状の冷却機構の下面と上部構造体の上面とが互いに平行であったとしても、冷却機構を上部構造体から取り外してから上部構造体に再度取り付けた後では、板状の冷却機構の下面が上部構造体の上面に対して多少傾斜した状態になり得る。この状態で冷却機構が取り付けられている上部構造体を定盤上に配置すると、上部構造体の上面の位置や角度が変わる虞がある。すなわち、板状の冷却機構の下面と上部構造体の上面とが互いに平行であれば、定盤の上面上に冷却機構を介して配置された上部構造体の上面は、定盤の上面と平行になり得るが、板状の冷却機構の下面が上部構造体の上面に対して傾斜していると、定盤の上面上に冷却機構を介して配置された上部構造体の上面は、定盤の上面に対して傾斜してしまう。
それに対して、本実施の形態では、上部構造体5a,5bの下面の凹部18内に冷却機構8を設けているため、凹部18内の冷却機構8と定盤4の上面との間に空間(隙間)19を存在させることができ、凹部18内の冷却機構8が定盤4と接しないようにすることができる。このため、冷却機構8の取り外しおよび再取り付けなどに伴い、上部構造体5a,5bの凹部18内に収容されている冷却機構8の位置や角度が多少変わったとしても、上部構造体5a,5bと定盤4との位置関係には影響は生じずに済み、従って、定盤4上に配置された上部構造体5a,5bの上面の位置や角度には影響が生じずに済む。
例えば、上部構造体5a,5bのそれぞれにおいて、上面と下面とを互いに平行にしておけば、冷却機構8ではなく上部構造体5a,5bの各下面が定盤4の上面に接することで、上部構造体5a,5bの各下面が定盤4の上面と平行になるため、定盤4上に配置された上部構造体5a,5bのそれぞれの上面を、定盤4の上面と平行にすることができる。すなわち、冷却機構8の取り外しおよび再取り付けなどを行うことで、上部構造体5a,5bに対する冷却機構8の取り付け状態が多少変わったとしても、定盤4上に配置された上部構造体5a,5bのそれぞれの上面を、定盤4の上面と常に平行にすることができる。また、冷却機構8ではなく上部構造体5a,5bの各下面が定盤4の上面に接することで、定盤4の上面を基準とした上部構造体5a,5bのそれぞれの上面の高さ位置は、上部構造体5a,5bのそれぞれの厚さ(Z方向の寸法)によって規定される。このため、冷却機構8の取り外しおよび再取り付けなどを行うことで、上部構造体5a,5bに対する冷却機構8の取り付け状態が多少変わったとしても、定盤4の上面を基準とした上部構造体5a,5bのそれぞれの上面の高さ位置を、上部構造体5a,5bのそれぞれの厚さと一致させることができる。
従って、本実施の形態では、冷却機構8に影響されることなく、ステージ2の上面を構成する上部構造体5a,5bの上面を、所定の高さ位置と角度に設定できるため、レーザ光照射領域20bにおける基板3の高さ位置の変動を抑制または防止することができ、基板3に対するレーザ処理の条件が変動するのを抑制または防止することができる。
また、上部構造体5a,5bから冷却機構8を取り外すことができず、冷却機構8を上部構造体5a,5bと一体化することも考えられる。しかしながら、この場合には、基板3を浮上させる機能を有する上部構造体5a,5b自体に、冷却液が流れる流路を設ける必要が生じるため、上部構造体5a,5bを作製しにくくなる。また、冷却機構8に不具合が生じた場合には、上部構造体5a,5b全体を修理する必要が生じるため、修理作業を行いにくくなる。
それに対して、本実施の形態では、冷却機構8は、取り外し可能とされている。すなわち、冷却機構8は、上部構造体5a,5bへの取り付けと、上部構造体5a,5bからの取り外しとが可能である。これにより、基板3を浮上させる機能を有する上部構造体5a,5bと、冷却液が流れる流路を有する冷却機構8とを、別々の部材として作製することができるため、基板3を浮上させるための複雑な構造を有する上部構造体5a,5bを作製しやすくなる。また、冷却機構8に適した材料と、上部構造体5a,5bに適した材料とを、それぞれ選択することができる。また、冷却機構8に不具合が生じた場合には、上部構造体5a,5bから冷却機構8を取り外してから、冷却機構8に対する修理を行うことができるため、修理作業を行いやすくなる。
また、定盤4の上面は、定盤4上に配置された上部構造体5a,5bの上面の高さ位置および角度を規定するための基準面として機能することができる。このため、定盤4の上面は、平坦化されていることが好ましく、従って研磨処理が施されていることが好ましく、鏡面研磨処理が施されていれば、より好ましい。
定盤4は、好ましくは石材により形成することができ、グラナイトを主成分とすることがより好ましい。これにより、定盤4の上面を研磨(鏡面研磨)しやすくなり、定盤4の上面の平坦性を高めやすくなる。
上部構造体5a,5bのそれぞれにおいて、上面と下面とは互いに平行であることが好ましい。これにより、定盤4上に配置された上部構造体5a,5bの上面を、基準面である定盤4の上面と平行にすることができる。従って、レーザ光照射領域20bにおける基板3の高さ位置を所定の高さに制御しやすくなる。レーザ光照射領域20bにおける基板3の高さ位置を所定の高さに制御しやすくなれば、基板3(アモルファスシリコン膜3a)に対するレーザ処理の条件を所定の条件に制御しやすくなる。
また、上部構造体5a,5bの上面および下面は、平坦化されていることが好ましく、従って研磨処理が施されていることが好ましく、鏡面研磨処理が施されていれば、より好ましい。これにより、上部構造体5a,5bのそれぞれにおいて、上面と下面の平行度を高めることができ、レーザ光照射領域20bにおける基板3の高さ位置を所定の高さに制御しやすくなる。
また、冷却機構8の上面と下面とは、平坦化処理されていることは要求されず、従って、研磨処理が施されていなくともよい。なぜなら、冷却機構8は定盤4とは接触せず、上部構造体5a,5bに対する冷却機構8の取り付け状態が多少変わったとしても、定盤4上に配置された上部構造体5a,5bの上面の位置や角度には影響は生じないからである。このため、冷却機構8の表面(上面、下面および両側面)には研磨処理を施さなくともよく、また、上部構造体5a,5bに比べて冷却機構8は、加工精度(寸法精度)が相対的に低くてもよい。冷却機構8の加工精度にかかわらず、上部構造体5a,5bの上面、下面および厚さの加工精度を高めておけば、定盤4上に配置された上部構造体5a,5bの上面を、所定の高さ位置と角度に精度よく設定することができる。このため、冷却機構8を加工しやすくなり、冷却機構8を作製しやすくなる。また、レーザ処理装置の製造コストを抑制することができる。なお、冷却機構8の加工精度としては、冷却機構8を凹部18内に収容して凹部18の内面に接触させることができる程度の加工精度は確保することが好ましい。
また、定盤4上に配置された上部構造体5aの上面と上部構造体5bの上面とは、互いに同じ高さ位置にあることが好ましい。すなわち、定盤4上に配置された上部構造体5aの上面と上部構造体5bの上面とは、同一平面上に位置していることが好ましい。これにより、レーザ光照射領域20bにおける基板3の高さ位置を所定の高さに制御しやすくなる。上部構造体5aの厚さと上部構造体5bの厚さとは互いに同じであることが好ましい。
また、上部構造体5a,5bは、アルミニウムを主成分とすることが好ましい。具体的には、上部構造体5a,5bを構成するベース部7は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなることが好ましい。これにより、上部構造体5a,5bの強度を確保しながら、上部構造体5a,5bの重さを軽くすることができる。上部構造体5a,5bを軽くすることで、ステージ2を軽量化することができるため、レーザ処理装置1を製造しやすくなり、製造コストを低減することができる。また、レーザ処理装置1の運搬が容易になる。
また、凹部18および冷却機構8の断面形状(延在方向に略垂直な断面形状)は、長方形でなくともよく、種々の断面形状を採用することができる。しかしながら、凹部18および冷却機構8の断面形状が長方形であれば、凹部18および冷却機構8を加工しやすくなり、上部構造体5a,5bおよび冷却機構8を作製しやすくなる。また、上部構造体5a,5bの凹部18内に冷却機構8を取り付けやすくなり、上部構造体5a,5bと冷却機構8との間の熱伝導も生じやすくなる。
また、他の形態として、上部構造体5aと上部構造体5bとが互いに接して一体化している構成も可能である。しかしながら、この場合は、基板3(アモルファスシリコン膜3a)におけるレーザ光照射領域の直下にも、ステージの上部構造体が存在することになるため、基板加熱領域28から上部構造体に熱が伝わりやすくなってしまう。このため、基板3(アモルファスシリコン膜3a)におけるレーザ光照射領域の直下に存在する上部構造体(特に表面側部材6)が、基板加熱領域28からの熱伝導に起因して変形しやすくなることが懸念される。
それに対して、本実施の形態では、上部構造体5aと上部構造体5bとを所定の間隔で離間させ、レーザ光20aの焦点位置が、平面視において、上部構造体5aと上部構造体5bとの間の隙間(領域)に重なるようにしている。別の見方をすると、基板3(アモルファスシリコン膜3a)におけるレーザ光照射領域が、平面視において、上部構造体5aと上部構造体5bとの間の隙間(領域)に重なるようにしている。これにより、レーザ処理を行っている間に、基板加熱領域28から上部構造体5a,5b(特に上部構造体5a,5bの表面側部材6)に熱が伝わりにくくすることができる。すなわち、基板3(アモルファスシリコン膜3a)におけるレーザ光照射領域の直下には、上部構造体(5a,5b)が存在しなくなるため、基板加熱領域28から上部構造体(5a,5b)に熱が伝わりにくくなり、上部構造体(5a,5b)を構成する表面側部材6が、基板加熱領域28からの熱伝導に起因して変形するリスクを低減することができる。これにより、ステージ2上を浮上しながら移動する基板3の高さ位置が変動するリスクを低減することができる。X方向に隣り合う上部構造体5aと上部構造体5bとの間の間隔(X方向の間隔)は、例えば5~10mm程度とすることができる。
また、ステージ2が有する複数の上部構造体5は、上部構造体5a,5bと、それ以外の上部構造体5cとを含んでいる。図2の場合は、X方向に隣り合う上部構造体5a,5bをX方向に挟むように、上部構造体5cが配置されており、上部構造体5cと上部構造体5aとがX方向に隣り合い、上部構造体5aと上部構造体5bとがX方向に隣り合い、上部構造体5bと上部構造体5cとがX方向に隣り合っている。
本実施の形態では、上部構造体5a,5bの各下面には、冷却機構8を収容する凹部18を設けている。しかしながら、上部構造体5cの下面には、冷却機構8を収容する凹部18は設けなくともよい。なぜなら、上部構造体5a,5bは、平面視においてレーザ光照射領域20bから近い位置にあるが、上部構造体5cは、平面視においてレーザ光照射領域20bからある程度離れているからである。
すなわち、本実施の形態とは異なり、冷却機構8を全く設けない場合(上記図12および図13の第2検討例に対応)には、基板加熱領域28から上部構造体5a,5bに熱が伝わり、伝わった熱の蓄積に起因して上部構造体5a,5bが熱歪により変形する虞がある。しかしながら、上部構造体5a,5bに比べて上部構造体5cは基板加熱領域28から離れているため、基板加熱領域28から上部構造体5cへは熱が伝わりにくく、それゆえ、上部構造体5a,5bに比べて上部構造体5cは、熱歪による変形の可能性はかなり小さい。このため、レーザ処理を行う際に、上部構造体5a,5bを冷却機構8で冷却することは重要であるが、上部構造体5cは、冷却機構で冷却しなくとも、不具合は生じにくい。このため、本実施の形態では、上部構造体5a,5bの各下面には、冷却機構8を収容する凹部18を設けるが、上部構造体5cの下面には、冷却機構8を収容する凹部18は設けない構造を採用している。これにより、ステージ2が熱歪によって変形してしまうのを効率的に抑制または防止することができるとともに、ステージ2の構造をより単純にできるので、ステージ2を作製しやすくなる。
また、上部構造体5a,5b,5cのそれぞれは、上面からガスを噴出し、噴出するガスによって基板3を浮上させるように作用する。但し、上部構造体5cのガスを噴出する機構は、上部構造体5a,5bと相違する場合もあり得る。例えば、上述したように、上部構造体5a,5bについては、上部構造体5a,5bを構成する表面側部材6の微細な孔(多孔質体を構成する細孔)からガスを噴出して基板3を浮上させつつ、表面側部材6の貫通孔13aから表面側部材6上のガスを吸引して基板3を吸引している。すなわち、上部構造体5a,5bでは、上面からのガスの噴出とガスの吸引との両方を行い、そのバランスを調整している。それに対して、上部構造体5cについては、上部構造体5cを構成する表面側部材(表面側部材6に相当するもの)に設けられた複数の貫通孔からガスを噴出するが、表面側部材上のガスを吸引する機構は上部構造体5cには設けていない。このため、上部構造体5cを構成する表面側部材は、多孔質体でなくともよく、例えば複数(多数)の貫通孔を形成した金属板を用いることができる。
ステージ2上に浮上する基板3の高さ位置を制御しやすいのは、上面からガスの噴出を行うがガスの吸引は行わない上部構造体5cではなく、上面からガスの噴出とガスの吸引との両方を行うことができる上部構造体5a,5bである。一方、ステージ2上に浮上する基板3の高さ位置を正確に制御することが望まれるのは、レーザ光照射領域20bに近い領域である。このため、レーザ光照射領域20bに近い上部構造体5a,5bについては、上面からガスの噴出とガスの吸引との両方を行うことができるようにすることで、レーザ光20aが照射される位置での基板3の高さ位置をより的確に制御して、レーザ処理条件を制御しやすくする。一方、レーザ光20aが照射される位置から遠い上部構造体5cについては、上面からガスの噴出を行うがガスの吸引は行わないようにすることで、上部構造体5cの構造を単純にすることができる。これにより、上部構造体5cを準備しやすくなるため、レーザ処理装置の製造コストを低減できる。
上部構造体5a,5bの上方における基板3の浮上量(基板3の下面からその下の上部構造体の上面までの距離)は、例えば10~50μmの範囲内の所定の値に制御することができる。上部構造体5cの上方における基板3の浮上量は、上部構造体5a,5bの上方における基板3の浮上量より大きくすることもでき、例えば50~500μm程度とすることができる。
また、ステージ2上に浮上する基板3の高さ位置を正確に制御することが望まれるのは、レーザ光照射領域20bに近い領域であるため、レーザ光照射領域20bに近い上部構造体5a,5bについては、上面の高さ位置や角度を高精度に制御する必要がある。このため、上部構造体5a,5bは、定盤4上に配置される。一方、レーザ光照射領域20bから遠い上部構造体5cについては、上面の高さ位置や角度を高精度に制御する必要性は相対的に小さいため、上部構造体5cは定盤4上に配置しなくともよい。上部構造体5cを定盤4上に配置しない場合は、定盤4の平面積を小さくできるので、定盤4を準備しやすくなり、レーザ処理装置の製造コストを低減することができる。
<表示装置の一例>
本実施の形態のレーザ処理装置1は、例えば、表示装置の製造工程に好適に用いることができる。
図14は、液晶表示装置としての大画面テレビジョンを示す外観図であり、図15は、液晶表示装置としてのモバイル通信機器を示す外観図である。図14に示される大画面テレビジョン31および図14に示されるモバイル通信機器としてのスマートフォン32は、それぞれ、本実施の形態における表示装置の一例である。
このように本実施の形態における表示装置としては、いろいろなサイズの表示装置が対象となっている。また、本実施の形態における表示装置は、液晶表示装置に限定されるものではなく、例えば、有機EL表示装置も対象となっている。
<表示装置の製造工程>
次に、本実施の形態における表示装置の製造工程の概要について、液晶表示装置の製造工程を例に挙げて、図16を参照しながら簡単に説明する。図16は、本実施の形態における表示装置を製造する製造工程の流れを示すフローチャートである。
まず、TFTガラス基板とカラーフィルタガラス基板のそれぞれを形成する。
具体的には、ガラス基板を用意し、このガラス基板に薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を形成することで、TFTガラス基板(TFTが形成されたガラス基板)を得る(図16のステップS1)。薄膜トランジスタ形成工程は、上記レーザ処理装置1を用いたレーザ処理も含んでおり、このガラス基板が上記基板3および後述の基板50に対応する。
続いて、TFTガラス基板の表面に配向膜を塗布した後(図16のステップS2)、ラビング処理を施す(図16のステップS3)。その後、TFTガラス基板の表面にシール剤を塗布する(図16のステップS4)。
一方、他のガラス基板を用意し、このガラス基板にカラーフィルタを形成することにより、カラーフィルタガラス基板(カラーフィルタが形成されたガラス基板)を得る(図16のステップS5)。
続いて、カラーフィルタガラス基板の表面に配向膜を塗布した後(図16のステップS6)、ラビング処理を施す(図16のステップS7)。その後、カラーフィルタガラス基板の表面にスペーサを塗布する(図16のステップS8)。
次に、TFTガラス基板とカラーフィルタガラス基板とを貼り合せた後(図16のステップS9)、スクライブ(分断)処理を施す(図16のステップS10)。これにより、貼り合せたTFTガラス基板とカラーフィルタガラス基板は、個々の液晶表示装置のサイズに切断される。
その後、シール剤とスペーサによって確保されているTFTガラス基板とカラーフィルタガラス基板との間の隙間に液晶を注入した後(図16のステップS11)、その隙間を封止する(図16のステップS12)。
続いて、貼り合せたTFTガラス基板とカラーフィルタガラス基板を挟むように一対の偏光板を貼り付ける(図16のステップS13)。このようにして液晶ディスプレイパネルを製造することができる。そして、液晶ディスプレイパネルに対して、駆動回路を圧着した後(図16のステップS14)、さらに、バックライトを着装する(図16のステップS15)。このようにして、液晶表示装置が完成する(図17のステップS16)。
<表示装置の詳細な構成>
続いて、本実施の形態における表示装置の詳細な構成について説明する。図17は、本実施の形態における表示装置の構成例を示す図である。
図17に示される構成例では、表示装置は、複数の画素40がマトリクス状(行列状)に配置された画素部(画素領域)41と、走査線駆動回路42と、信号線駆動回路43とを有している。画素40は、走査線駆動回路42と電気的に接続された配線44(走査線)によって供給される走査信号によって、行ごとに選択状態か非選択状態かが決定される。また、走査信号によって選択されている画素40は、信号線駆動回路43と電気的に接続された配線45(信号線)によって、画像信号(映像信号)が供給される。
図18は、図17に示す画素の構成例を示す図である。図18に示されるように、画素40には、画素を制御するスイッチング素子として機能する薄膜トランジスタ46と、表示部として機能する液晶素子47とが設けられている。例えば、液晶素子47は、一対の電極(画素電極と対向電極)の間に液晶材料を挟んだ構造を有している。
薄膜トランジスタ46においては、ゲート電極が配線44(走査線)と電気的に接続され、ソース電極およびドレイン電極のいずれか一方が、配線45A(信号線)と電気的に接続され、他方が液晶素子47の画素電極と電気的に接続されている。
<薄膜トランジスタのデバイス構造>
続いて、薄膜トランジスタ46のデバイス構造について説明する。図19は、薄膜トランジスタのデバイス構造を示す断面図である。
図19に示される薄膜トランジスタ46は、トップゲート型構造を有している。薄膜トランジスタ46は、絶縁表面を有する基板50(例えばガラス基板)上に形成されたチャネル膜51を有している。チャネル膜51は、多結晶の半導体膜である多結晶シリコン膜からなる。そして、基板50上に、チャネル膜51を覆うように、ゲート絶縁膜52が形成されており、ゲート絶縁膜52上にゲート電極53が形成されている。ゲート絶縁膜52上に、ゲート電極53を覆うように、層間絶縁膜54が形成されており、層間絶縁膜54上に、ソース電極55aおよびドレイン電極55bが形成されている。ソース電極55aおよびドレイン電極55bのそれぞれは、層間絶縁膜54およびゲート絶縁膜52に設けられたスルーホールを通じて、チャネル膜51と接している。層間絶縁膜54、ソース電極55aおよびドレイン電極55bを覆うように、保護膜56が形成されている。以上のようにして、薄膜トランジスタ46が形成されている。
また、ここでは、薄膜トランジスタ46がトップゲート型構造を有する場合について説明したが、他の形態として、薄膜トランジスタ46は、ボトムゲート型構造を有していてもよい。
<薄膜トランジスタの製造工程>
次に、薄膜トランジスタ(46)の製造工程について説明する。図20は、薄膜トランジスタの製造工程の流れを示すフローチャートである。
まず、例えば、ガラスからなる基板であるガラス基板(上記基板3,50に対応)上にチャネル膜(51)を形成する(図20のステップS21)。次に、ガラス基板(3,50)上に、チャネル膜(51)を覆うように、ゲート絶縁膜(52)を形成する(図20のステップS22)。次に、ゲート絶縁膜(52)上にゲート電極(53)を形成する(図20のステップS23)。ゲート電極(53)の形成後、チャネル膜(51)にソース・ドレイン用の不純物を注入することもできる。次に、層間絶縁膜(54)を形成する(図20のステップS24)。次に、層間絶縁膜(54)およびゲート絶縁膜(52)にスルーホールを形成してから、ソース電極(55a)およびドレイン電極(55b)を形成する(図20のステップS25)。次に、保護膜(56)を形成する(図20のステップS26)。以上のようにして、薄膜トランジスタを製造することができる。
<チャネル膜の形成工程>
ここで、チャネル膜(51)の形成工程の詳細について説明する。図21は、チャネル膜の形成工程の流れを説明するフローチャートである。
まず、ガラス基板(3,50)上にアモルファスシリコン膜を形成する(図21のステップS31)。その後、アモルファスシリコン膜に対してレーザ光(20a)を照射して、レーザアニール処理を施す(図21のステップS32)。これにより、アモルファスシリコン膜は加熱され、その結果、アモルファスシリコン膜から多結晶シリコン膜が形成される(図21のステップS33)。すなわち、アモルファスシリコン膜が多結晶シリコン膜に変化(変質)する。以上のようにして、多結晶シリコン膜からなるチャネル膜(51)を形成することができる。また、レーザアニール処理の後、多結晶シリコン膜からなるチャネル膜(51)は、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術などを用いて所定の形状にパターニングすることもできる。
チャネル膜は、電子の通り道となる機能を有することから、チャネル膜の特性が薄膜トランジスタの性能を左右することになる。アモルファスシリコンに比べて多結晶シリコンは、移動度が高いため、チャネル膜を多結晶シリコン膜で構成することより、薄膜トランジスタの性能を高めることができる。このため、本実施の形態では、チャネル膜を多結晶シリコン膜から構成している。具体的には、上述したように、アモルファスシリコン膜を形成した後、アモルファスシリコン膜に対してレーザアニール処理を施すことにより、アモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜に変化させている。従って、チャネル膜を多結晶シリコン膜から構成するためには、レーザアニール処理(加熱処理)が必要であり、このレーザアニール処理を実施するためには、レーザ処理装置が必要となる。本実施の形態では、このレーザアニール処理を実施するために、上述したレーザ処理装置1を用いることができる。
本実施の形態のレーザ処理装置1を用いた場合、ステージ2上に基板3を浮上させながらその基板3を水平方向に移動(搬送)させ、移動する基板3(より特定的には基板3上のアモルファスシリコン膜3a)に対してレーザ光20aを照射することで、基板3上に形成されているアモルファスシリコン膜3aを多結晶シリコン膜に変化させる。この多結晶シリコン膜が、上述したチャネル膜(51)に対応している。ステージ2を移動させる必要がないため、複数の基板にレーザ処理を施す際に、1枚の基板あたりの処理時間を短くすることができ、スループットを向上させることができる。
更に、本実施の形態のレーザ処理装置では、ステージ2に冷却機構8を設けたことと、上述のように冷却機構8の配置などについても工夫したことにより、ステージ2上を浮上しながら移動する基板3の高さ位置が変動するのを抑制または防止することができる。このため、基板3(アモルファスシリコン膜3a)に対するレーザ処理の条件が変動してしまうのを抑制または防止することができる。これにより、レーザ処理によって基板3上に形成されたアモルファスシリコン膜3aを多結晶シリコン膜に変えた場合の、その多結晶シリコン膜の特性の変動を抑制または防止することができる。このため、多結晶シリコン膜からなるチャネル膜(51)の特性が変動するのを抑制または防止することができ、それゆえ、薄膜トランジスタ(46)の特性が変動するのを抑制または防止できる。従って、薄膜トランジスタ(46)を有する表示装置の性能や信頼性を向上させることができる。
<変形例>
次に、本実施の形態のレーザ処理装置1の各種変形例について説明する。
まず、本実施の形態のレーザ処理装置1の第1変形例について、図22~図25を参照して説明する。図22は、第1変形例のレーザ処理装置1のステージ2を示す平面図であり、図23は、第1変形例のレーザ処理装置1の要部平面図であり、図24および図25は、第1変形例のレーザ処理装置1の要部断面図である。図22には、上記図2の(a)に相当する平面図が示されている。図23は、図22の一部を拡大して示した部分拡大平面図(部分拡大上面図)であり、上記図3に相当している。上記図3と同様に、図23においても、上部構造体5a,5bの各下面の凹部18の位置(従って凹部18内に収容された冷却機構8の位置)を、点線で示してある。図24は、図23に示されるB1-B1線の位置での断面図にほぼ対応し、図25は、図23に示されるB2-B2線の位置での断面図にほぼ対応している。図23に示されるB3-B3線の位置での断面図は、図25において符号5aを符号5bに置換したものと実質的に同じである。また、図23に示されるB4-B4線の位置での断面図は、図24において符号5aを符号5bに置換したものと実質的に同じである。また、図23に示されるB5-B5線、B6-B6線、B7-B7線およびB8-B8線の位置での各断面図は、いずれも上記図5とほぼ同様であるので、ここでは繰り返しの図示は省略する。なお、図24および図25では、上述した中間板10、接着層11a,11b,11c、空間12a,12bおよび貫通孔13a,13bについては、図示を省略している。
上記図2の場合は、上部構造体5a,5b,5cのそれぞれのY方向の寸法は、基板3のY方向の寸法と同程度かそれよりも大きく、X方向に隣り合う一対の上部構造体5a,5b上を、基板3が浮上しながらX方向に移動し、その移動する基板3(より特定的には基板3上のアモルファスシリコン膜3a)にレーザ光20aを照射していた。そして、X方向に隣り合う上部構造体5a,5bの各下面には、冷却機構8を収容する凹部18が設けられていた。
それに対して、図22~図25(第1変形例)の場合は、上部構造体5a,5b,5cのそれぞれのY方向の寸法は、基板3のY方向の寸法よりも小さい。そして、X方向に隣り合う一対の上部構造体5a,5bが、Y方向に複数並んで配置されている。つまり、図22~図25の場合は、X方向に隣り合う上部構造体5aと上部構造体5bとを1組とし、それがY方向に複数組並んでいる。上部構造体5a同士はY方向に並び、また、上部構造体5b同士もY方向に並んでいる。なお、図22~図25の場合は、Y方向に4組並んでいる場合が示されているが、Y方向に並ぶ組数は、4組には限定されない。また、図22の場合は、上部構造体5a,5bだけでなく、上部構造体5a,5b以外の上部構造体5cのY方向の寸法も、基板3のY方向の寸法よりも小さいため、上部構造体5cもY方向に複数並んでいる。
Y方向に隣り合う上部構造体5aは、互いに接しており、また、Y方向に隣り合う上部構造体5bは、互いに接している。Y方向に並ぶ複数の上部構造体5aと、Y方向に並ぶ複数の上部構造体5bとは、共通の定盤4の上面上に配置されて固定されている。レーザ光照射領域20b(レーザ光20aの焦点位置)は、平面視において、Y方向に並ぶ複数の上部構造体5aと、Y方向に並ぶ複数の上部構造体5bとの間の領域(隙間)と重なっている。
上部構造体5aがY方向に複数並んでいることに伴い、上部構造体5aの下面の凹部18内に配置された冷却機構8が、Y方向に複数並んだ状態になっている。また、上部構造体5bがY方向に複数並んでいることに伴い、上部構造体5bの下面の凹部18内に配置された冷却機構8が、Y方向に複数並んだ状態になっている。
上部構造体5a,5b,5cのそれぞれの構造は、図22~図25の場合も、上記図3~図10などを参照して説明したものと基本的には同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
図22~図25(第1変形例)の場合は、個々の上部構造体5a,5b,5cの寸法(平面積)を小さくすることができるため、上部構造体5a,5b,5cを準備しやすくなり、ステージ2を組立やすくなる。このため、レーザ処理装置を製造しやすくなる。
なお、図22~図25の場合、Y方向に並ぶ複数の冷却機構8の流路9同士は、直列に接続することができる。この場合、例えば、Y方向に隣り合う冷却機構8同士の一方の開口部9bと他方の開口部9cとを、配管(定盤4の開口部を通る配管)を介して接続することができる。これにより、ステージ2複数の冷却機構8の流路9に冷却液を流しやすくなる。
次に、上部構造体5a,5bの下面の凹部18内へ冷却機構8を取り付ける手法の例について、図26~図29を参照して説明する。
図26は、第2変形例のレーザ処理装置の要部平面図であり、図27~図29は、第2変形例のレーザ処理装置の要部断面図である。図26は、第2変形例のレーザ処理装置における上部構造体5aの下面を示す平面図である。図27は、図26に示されるC1-C1線の位置での断面図にほぼ対応し、図28は、図26に示されるC2-C2線の位置での断面図にほぼ対応し、図29は、図26に示されるC3-C3線の位置での断面図にほぼ対応する。なお、図26~図29およびそれに関連した以下の説明は、上部構造体5aを上部構造体5bに置き換えることで、上部構造体5bについても適用することができる。
図26~図29に示されるように、上部構造体5aの下面の凹部18内に冷却機構8が配置されている。冷却機構8は、ネジなどにより上部構造体5aに保持または固定されている。
例えば、図29に示されるように、冷却機構8の両端部近傍に、冷却機構8を貫通するネジ穴部72aを設けておく。また、凹部18の底面側からベース部7の厚さの途中まで到達するネジ穴部72bを、凹部18の底面においてネジ穴部72aに整合する位置に設けておく。そして、凹部18内に配置された冷却機構8の下面側から冷却機構8のネジ穴部72aとベース部7のネジ穴部72bとにネジ(ボルト)71を挿入することにより、冷却機構8をベース部7(上部構造体5a)に固定または保持することができる。冷却機構8を上部構造体5aから取り外す際には、このネジ71を抜けばよい。また、ネジ71によって冷却機構8を固定することにより、冷却機構8を凹部18の底面に的確に接触させることができる。
なお、上部構造体5aを定盤4上に配置した状態で、冷却機構8だけでなく、ネジ71も定盤4に接触しないようにする。これにより、定盤4上に配置された上部構造体5aの上面の位置や角度に、ネジ71が影響してしまうのを防止できる。例えば、冷却機構8の下面において、ネジ穴部72aを内包するように凹部72cを形成しておき、凹部72cにネジ71の頭部を収容させる。これにより、冷却機構8の下面からネジ71の頭部が突出することを防ぐことができるため、冷却機構8だけでなく、ネジ71についても、定盤4に接触するのを的確に防止することができる。
また、冷却機構8による上部構造体5aの冷却効率を高めるためには、冷却機構8と上部構造体5aとの接触面積を大きくすることが有効である。このため、凹部18の底面だけでなく、凹部18の側面にも、冷却機構8が接触することが好ましい。しかしながら、凹部18の幅を、冷却機構8の幅と完全に一致させようとすると、凹部18内に冷却機構8を挿入しにくくなる。ここで、凹部18の幅は、上記図10に幅W1として示してあり、冷却機構8の幅は、上記図10に幅W2として示してあり、それぞれ延在方向に略垂直な方向の幅(寸法)に対応している。
このため、寸法マージンを確保し、冷却機構8の幅(W2)を凹部18の幅(W1)よりも若干小さくしておき、凹部18内に冷却機構8を挿入しやすくしておくことが好ましい。マージン(W1-W2の設計値)は、例えば0.1~0.5mm程度に設定することができる。しかしながら、この場合、凹部18内に冷却機構8を配置したときに、凹部18の両側面のどちらにも冷却機構8が接触しなくなる可能性がある。凹部18の両側面のどちらにも冷却機構8が接触しない場合は、冷却機構8による上部構造体5aの冷却効率の低下が懸念される。
そこで、図26~図29(第2変形例)の場合は、偏心ボルト73により冷却機構8を凹部18の内壁(側面)に押し付けている。これにより、凹部18の両側面のうちの一方に冷却機構8を確実に接触させることができる。冷却機構8と上部構造体5aとの接触面積を大きくすることができるため、冷却機構8による上部構造体5aの冷却効率を高めることができる。
具体的には、上部構造体5a(ベース部7)の下面において、凹部18に隣接する位置(図26および図27の場合はX方向に隣接する位置)に、ネジ穴部74を設けておく。そして、ネジ穴部74に偏心ボルト(偏芯ボルト)73を挿入する。偏心ボルト73は、頭部73aとネジ部73bとを有し、頭部73aとネジ部73bとは偏心している(中心軸がずれている)。偏心ボルト73のネジ部73bがネジ穴部74に挿入され、偏心ボルト73の頭部73aが、凹部18内の冷却機構8の一方の側面に接触してその側面を押す。これにより、冷却機構8の他方の側面(偏心ボルト73の頭部73aが接触している側面とは反対側の側面)が、凹部18の内壁(側面)に押しつけられる。これにより、凹部18の両側面のうちの一方に冷却機構8を確実に接触させることができる。凹部18の底面だけでなく、凹部18の両側面のうちの少なくとも一方にも冷却機構8を確実に接触させることができるため、冷却機構8と上部構造体5aとの間で熱が伝導しやすくなり、冷却機構8による上部構造体5aの冷却効率を高めることができる。
また、上部構造体5aを定盤4上に配置した状態で、偏心ボルト73も定盤4に接触しないようにする。これにより、定盤4上に配置された上部構造体5aの上面の位置や角度に、偏心ボルト73が影響してしまうのを防止できる。例えば、上部構造体5aの下面において、ネジ穴部74を内包するように凹部75を形成しておく。凹部75は、平面視において、凹部18と繋がっているが、凹部75の深さは、凹部18の深さよりも浅い。また、凹部75の深さは、偏心ボルト73の頭部73aの厚さよりも大きい。これにより、ネジ穴部74に偏心ボルト73のネジ部73bをネジ穴部74に挿入した際に、凹部75に偏心ボルト73の頭部73aを収容することができる。冷却機構8の下面から偏心ボルト73の頭部73aが突出することを防ぐことができるため、冷却機構8だけでなく、偏心ボルト73についても、定盤4に接触するのを的確に防止することができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。