以下、図面を参照し、本発明の車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
<第1実施形態>
[全体構成]
図1は、実施形態に係る車両制御装置を利用した車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、ファインダ14と、物体認識装置16と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、ナビゲーション装置50と、MPU(Map Positioning Unit)60と、運転操作子80と、自動運転制御装置(Automated Driving Control Device)100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される車両(以下、自車両M)の任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置12は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
ファインダ14は、LIDAR(Light Detection and Ranging)である。ファインダ14は、自車両Mの周辺に光を照射し、散乱光を測定する。ファインダ14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。ファインダ14は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。物体認識装置16は、認識結果を自動運転制御装置100に出力する。物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14の検出結果をそのまま自動運転制御装置100に出力してよい。車両システム1から物体認識装置16が省略されてもよい。
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi-Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)などを利用して、自車両Mの周辺に存在する他車両と通信し、或いは無線基地局を介して各種サーバ装置と通信する。
HMI30は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。
車両センサ40は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備える。ナビゲーション装置50は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に第1地図情報54を保持している。GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両Mの位置を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キーなどを含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。地図上経路は、MPU60に出力される。ナビゲーション装置50は、地図上経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。ナビゲーション装置50は、例えば、乗員の保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから地図上経路と同等の経路を取得してもよい。
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61を含み、HDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された地図上経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに推奨車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。推奨車線決定部61は、地図上経路に分岐箇所が存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な経路を走行できるように、推奨車線を決定する。
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。また、第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報などが含まれてよい。第2地図情報62は、通信装置20が他装置と通信することにより、随時、アップデートされてよい。
運転操作子80は、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングホイール、異形ステア、ジョイスティックその他の操作子を含む。運転操作子80には、操作量あるいは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、自動運転制御装置100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一部または全部に出力される。
自動運転制御装置100は、例えば、第1制御部120と、第2制御部190とを備える。第1制御部120と第2制御部190は、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め自動運転制御装置100のHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装置に装着されることで自動運転制御装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
図2は、第1実施形態に係る自動運転制御装置100の第1制御部120および第2制御部190の機能構成図である。第1制御部120は、例えば、認識部130と、行動計画生成部180とを備える。第1制御部120は、例えば、AI(Artificial Intelligence;人工知能)による機能と、予め与えられたモデルによる機能とを並行して実現する。例えば、「交差点を認識する」機能は、ディープラーニング等による交差点の認識と、予め与えられた条件(パターンマッチング可能な信号、道路標示などがある)に基づく認識とが並行して実行され、双方に対してスコア付けして総合的に評価することで実現されてよい。これによって、自動運転の信頼性が担保される。
認識部130は、例えば、物体認識部131と、地図マッチング132と、第1基準範囲設定部133と、第2基準範囲設定部134と、ターゲット車両特定部140とを備える。
物体認識部131は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14から物体認識装置16を介して入力された情報に基づいて、自車両Mの周辺にある物体の位置、および速度、加速度等の状態を認識する。認識部130は、複数の車両が自車両Mの前方に存在する場合、車両ごとに車間距離などを認識する。物体の位置は、例えば、自車両Mの代表点(重心や駆動軸中心など)を原点とした絶対座標系(以下、車両座標系)の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心や前端部の車幅方向に関する中央部、後端部の車幅方向に関する中央部、コーナー、側端部等の代表点で表されてもよいし、領域で表されてもよい。必要に応じて、複数個所の位置が認識されてもよい。物体認識部131は、物体の認識に関する信頼度を、認識した物体のそれぞれに対応付けて出力してもよい。物体の認識に関する信頼度は、例えば、カメラ10の画像から得られるエッジの分布の分散、レーダ装置12が検出した反射波の強度、ファインダ14の検出した光の強度の分布の分散、物体が認識されたことの継続性などに基づいて、物体認識部131が算出する。以下の説明において、物体に対応付けられた信頼度を物体信頼度と称する場合がある。物体信頼度は、例えば、高、中、低のように量子化された情報(ランク情報)として出力される。
地図マッチング部132は、ナビゲーション装置50により特定される自車両Mの位置、カメラ10により撮像された画像、車両センサ40に含まれる方位センサの出力などを2地図情報62と照合し、自車両Mが地図におけるどの道路、どの車線を走行しているかを認識する。更に、地図マッチング部132は、上記した各種情報に基づいて、車線の幅方向に関して、自車両Mの代表点がどの位置にあるのか(以下、横位置)を認識する。横位置は、車線の左右のいずれかの道路区画線からのオフセット量として導出されてもよいし、車線中央からのオフセット量として導出されてもよい。地図マッチング部132は、上記した各種情報に基づいて、車線の延在方向に対して、その時点の自車両Mの進行方向が何度傾いているか(以下、ヨー角)を認識する。地図マッチング部132は、ナビゲーション装置50により特定される自車両Mの位置、カメラ10により撮像された画像、車両センサ40に含まれる方位センサの出力などを地図情報62と照合した結果、十分な信頼度で整合しない場合には、マッチング失敗を示す情報を第1基準範囲設定部133に出力する。「照合できない場合」には、ナビゲーション装置50により特定される自車両Mの位置に相当する地図が無い場合も含まれる。
第1基準範囲設定部133、第2基準範囲設定部134、および推定走路設定部135は、自車両Mがこれから走行するであろう範囲、すなわち、制御の上で特に他車両を監視すべき範囲を設定するための基準情報を、それぞれ異なる手法で設定する。基準情報は、例えば、自車両Mの前方を走行し、自車両Mが制御に用いるターゲット車両を特定するために用いられる。ターゲット車両とは、例えば、一定の車間距離を空けて追従走行する対象となる車両であり、これに限らず、前方監視において最も監視度合いを高くする車両などであってもよい。基準情報は、例えば、第1基準範囲AR1ref、第2基準範囲AR2ref、および推定走路ETJの三つを含む。それぞれの基準情報は、例えば、車両座標系上の範囲として仮想的に設定される。
第1基準範囲設定部133は、地図マッチング部132の認識結果に基づいて、第1基準範囲AR1refを設定する。図3は、第1基準範囲AR1refの設定手法について説明するための図である。第1基準範囲設定部133は、地図マッチング部132の認識結果から得られる、自車両Mの位置を基準とした車線の占める範囲を、車両座標系に当てはめることで、第1基準範囲AR1refを設定する。車両座標系は、自車両Mの代表点Mrを原点とし、車両の幅方向中心軸の方向をX軸、幅方向をY軸とした座標系である。第1基準範囲設定部133は、マッチング失敗を示す情報を地図マッチング部132から取得した場合、第1基準範囲AR1refを設定しない。これによって、自動運転制御装置100は、ターゲット車両の車線に対する相対位置を誤認することを抑制することができる。
第2基準範囲設定部134は、カメラ10により撮像された画像IMを解析することで、第2基準範囲AR2refを設定する。図4は、第2基準範囲AR2refの設定手法について説明するための図である。第2基準範囲設定部134は、画像IMにおいて隣接画素との輝度差が大きいエッジ点を抽出し、エッジ点を連ねて画像平面における道路区画線CL1c、CL2cを認識する。そして、第2基準範囲設定部134は、道路区画線CL1c、CL2cの各点の位置を車両座標系に変換することで道路区画線CL1、CL2を仮想的に設定し、道路区画線CL1、CL2で区画される範囲を、第2基準範囲AR2refに設定する。第2基準範囲設定部134は、ファインダ14の検出結果を更に加味して第2基準範囲AR2refを設定してもよい。また、第2基準範囲設定部134は、設定した第2基準範囲AR2refの信頼度を出力してもよい。第2基準範囲設定部134は、例えば、エッジ点の分散度合いや直線状に並ぶ数などに基づいて第2基準範囲AR2refの信頼度を算出し、行動計画生成部180に出力する。
推定走路設定部135は、車両センサ40に含まれる車速センサにより出力される速度V、およびヨーレートセンサにより出力されるヨーレートYrに基づいて、推定走路ETJを設定する。図5は、推定走路ETJの設定手法について説明するための図である。例えば、推定走路設定部135は、速度VをヨーレートYrで除算することで推定曲率半径Rを算出し、推定曲率半径Rで円軌道を描いて自車両Mが走行することを前提とした円弧軌道を推定走路として設定する。
第1基準範囲AR1ref、第2基準範囲AR2ref、および推定走路ETJのそれぞれには、探索範囲の基準とする上で、長所と短所が存在する。第1基準範囲AR1refは、遠方まで精度よく設定することができるが、地図が存在することが前提なため、新しく出来た道路に対応できない場合があるし、地図が存在する場合でも地図マッチング部132の認識結果が誤っていた場合、範囲が誤ったものとなる場合がある。図6は、第1基準範囲AR1refが不適切となる場面を例示した図である。図示する場面において、自車両Mは、現実には直進する車線L1を走行しているのであるが、地図マッチング部132は、右方向に分岐する車線L2を自車両Mが走行していると誤認している。この場合、第1基準範囲AR1refは右側にカーブする形状で作られるため、本来であれば分岐地点よりも遠方側については直進方向を監視をすべきところ、右側に向けて監視することになってしまう。
第2基準範囲AR2refは、カメラ10の画像IMを解析した結果に基づくものであるため、地図が存在しない場所でも設定可能であるが、画像解析における誤差が生じる場合がある。また、推定走路ETJは、設定時点のヨーレートYrに基づいて設定されるため、地図が存在しなかったり、荒天で画像解析の精度が低下する場合でもある程度の精度で設定可能であるが、自車両Mの前方にカーブの開始地点や終了地点がある場合、それらの地点よりも遠方側について適切に設定するのが困難である。
こうした事情に鑑み、実施形態の自動運転制御装置100では、認識部130と行動計画生成部180が協働して適切な範囲で探索範囲を設定して周辺監視を行い、ターゲット車両を適切に特定することができる。詳しくは、後述する。
基準範囲使用可否判定部136は、第1基準範囲AR1refを使用することの可否を判定すると共に、第2基準範囲AR2refを使用することの可否を判定する。図7は、基準範囲使用可否判定部136の処理について説明するための図である。基準範囲使用可否判定部136は、(1)第1基準範囲AR1refの幅方向に関する中心軸に沿うベクトルV1と、自車両Mの位置から推定走路ETJにおける所定距離(例えば10[m])先の到達点ETJ1までのベクトルVjとのなす角度θ1jが閾値(例えば3度程度)以上であることと、(2)第1基準範囲AR1refの始点位置における幅方向に関する中心点C1と、推定走路ETJの始点(すなわち自車両Mの代表点Mrの位置)との乖離ΔY1jが閾値(例えば0.5[m]程度)以上であることとのうち少なくとも一方が満たされる場合、第1基準範囲AR1refが使用不可であることを示す使用不可フラグを、ターゲット車両特定部140に出力する。同様に、図示を省略するが、基準範囲使用可否判定部136は、(1)第2基準範囲AR2refの幅方向に関する中心軸に沿うベクトルV2と、自車両Mの位置から推定走路ETJにおける所定距離(例えば10[m])先の到達点ETJ1までのベクトルVjとのなす角度θ2jが閾値(例えば3度程度)以上であることと、(2)第2基準範囲AR2refの始点位置における幅方向に関する中心点C2と、推定走路ETJの始点(すなわち自車両Mの代表点Mrの位置)との乖離ΔY2jが閾値(例えば0.5[m]程度)以上であることとのうち少なくとも一方が満たされる場合、第2基準範囲AR2refが使用不可であることを示す使用不可フラグを、ターゲット車両特定部140に出力する。基準範囲使用可否判定部136は、第1基準範囲AR1refが設定されているか、第2基準範囲AR2refが設定されているかに応じて、上記いずれかの処理を行う。
ターゲット車両特定部140は、第1ターゲット車両特定部142と、第2ターゲット車両特定部144と、調停部146とを備える。ターゲット車両特定部140は、行動計画生成部180が制御の基準とするターゲット車両を特定する。例えば、行動計画生成部180の追従走行制御部182が、ターゲット車両との車間距離を原則として設定距離に維持し、ターゲット車両と横位置を合わせて走行する、いわゆる追従走行を実行する。設定距離は、渋滞時などにおいて可変であってもよい。これに限らず、ターゲット車両は、自車両Mの前方に存在する主な監視対象として扱われてもよい。ターゲット車両特定部140の詳細については後述する。
行動計画生成部180は、原則的には推奨車線決定部61により決定された推奨車線を走行し、更に、自車両Mの周辺状況に対応できるように、自車両Mが自動的に(Automatedly)将来走行する目標軌道を生成する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、自車両Mの到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。軌道点は、道なり距離で所定の走行距離(例えば数[m]程度)ごとの自車両Mの到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度および目標加速度が、目標軌道の一部として生成される。また、軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における自車両Mの到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度の情報は軌道点の間隔で表現される。
行動計画生成部180は、目標軌道を生成するにあたり、自動運転のイベントを設定してよい。自動運転のイベントには、定速走行イベント、追従走行制御部182により実行される追従走行イベント、車線変更イベント、分岐イベント、合流イベント、テイクオーバーイベントなどがある。行動計画生成部180は、起動させたイベントに応じた目標軌道を生成する。
第2制御部190は、行動計画生成部180によって生成された目標軌道を、予定の時刻通りに自車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220を制御する。
第2制御部190は、例えば、取得部192と、速度制御部194と、操舵制御部196とを備える。取得部192は、行動計画生成部180により生成された目標軌道(軌道点)の情報を取得し、メモリ(不図示)に記憶させる。速度制御部194は、メモリに記憶された目標軌道に付随する速度要素に基づいて、走行駆動力出力装置200またはブレーキ装置210を制御する。操舵制御部196は、メモリに記憶された目標軌道の曲がり具合に応じて、ステアリング装置220を制御する。速度制御部194および操舵制御部196の処理は、例えば、フィードフォワード制御とフィードバック制御との組み合わせにより実現される。一例として、操舵制御部196は、自車両Mの前方の道路の曲率に応じたフィードフォワード制御と、目標軌道からの乖離に基づくフィードバック制御とを組み合わせて実行する。
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するECU(Electronic Control Unit)とを備える。ECUは、第2制御部190から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、第2制御部190から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子80に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、第2制御部190から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、第2制御部190から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
[ターゲット車両の特定]
以下、ターゲット車両の特定について説明する。図8は、ターゲット車両特定部140の機能について説明するための図である。第1ターゲット車両特定部142と第2ターゲット車両特定部144は、例えばターゲット車両に基づく走行イベントが起動している間、並行して動作する。
第1ターゲット車両特定部142には、物体(以下、他車両)の位置等の情報、第1基準範囲AR1ref、第2基準範囲AR2ref、使用不可フラグ、および前回の処理サイクルで第1ターゲット車両特定部142が出力した第1ターゲット車両情報のフィードバックが入力される。第1ターゲット車両特定部142は、これらの情報に基づいて、第1ターゲット車両情報を出力する。第1ターゲット車両情報は、ターゲット車両特定部140に位置等が入力される他車両のうち一つを特定する情報である。
第2ターゲット車両特定部144には、他車両の位置等の情報、推定走路ETJ、使用不可フラグ、および前回の処理サイクルで第2ターゲット車両特定部144が出力した第2ターゲット車両情報のフィードバックが入力される。第2ターゲット車両特定部144は、これらの情報に基づいて、第2ターゲット車両情報を出力する。第2ターゲット車両情報は、ターゲット車両特定部140に位置等が入力される他車両のうち一つを特定する情報である。
調停部146には、第1ターゲット車両情報と、第2ターゲット車両情報と、前回割込みターゲット車両情報と、使用可否フラグとが入力される。調停部146は、第1ターゲット車両情報と第2ターゲット車両情報とのうちいずれかを選択し、選択した方の情報を追従走行制御部158に出力する。
(参照範囲の設定)
第1ターゲット車両特定部142、および第2ターゲット車両特定部144のそれぞれは、独自に参照範囲を設定し、参照範囲内でターゲット車両を特定する。参照範囲には、初期探索範囲とトラッキング範囲がある。初期探索範囲は、繰り返しターゲット車両を特定する処理を行う中で、今回の処理サイクルで初めて認識された他車両(ターゲット車両の候補)に対して適用する範囲である。トラッキング範囲は、前回以前の処理サイクルで認識されていた車両に対して適用する範囲である。初期探索範囲には、第1初期探索範囲、第2初期探索範囲、および第3初期探索範囲があり、トラッキング範囲には、第1トラッキング範囲、第2トラッキング範囲、および第3トラッキング範囲がある。第1初期探索範囲または第1トラッキング範囲が「第1参照範囲」の一例であり、第2初期探索範囲または第2トラッキング範囲が「第2参照範囲」の一例であり、第3初期探索範囲または第3トラッキング範囲が「第3参照範囲」の一例である。
第1ターゲット車両特定部142は、第1基準範囲AR1refに基づいて第1初期探索範囲AR1-1と第1トラッキング範囲AR1-2を設定することと、第2基準範囲AR2refに基づいて第2初期探索範囲AR2-1と第2トラッキング範囲AR2-2を設定することのうち一方を行う。第1ターゲット車両特定部142は、第1基準範囲AR1refが入力され、且つ使用不可フラグが入力されていない場合(以下、この場合を「「地図あり」の場合と称する)、第1初期探索範囲AR1-1と第1トラッキング範囲AR1-2を設定する。一方、第1ターゲット車両特定部142は、第1基準範囲AR1refが入力されていない場合、或いは第1基準範囲AR1refは入力されたが使用不可フラグが入力された場合(以下、この場合を「地図なし」の場合と称する)、第2基準範囲AR2refに基づいて第2初期探索範囲AR2-1と第2トラッキング範囲AR2-2を設定する。以下、第1基準範囲AR1refは入力されたが使用不可フラグが入力された場合のことを、「第1基準範囲使用不可の場合」と称することがある。
図9は、第1ターゲット車両特定部142が設定する第1初期探索範囲AR1-1と第1トラッキング範囲AR1-2を例示した図である。以下、「-」に続く数字は、初期探索範囲であるかトラッキング範囲であるかを示すものとする。第1ターゲット車両特定部142は、第1初期探索範囲AR1-1を、自車両Mから距離X1aまでの間は、第1基準範囲AR1refと同じ範囲に、距離X1aから距離X1までの間は、自車両Mから遠くなるのに連れて幅が狭くなるように設定する。第1ターゲット車両特定部142は、第1トラッキング範囲AR1-2を、自車両Mから距離X1までの間、第1基準範囲AR1refを幅方向に関してトラッキングマージンTMY分だけ左右の両側に拡張した範囲に設定する。なお、図では、第1基準範囲AR1refがX1よりも遠方まで存在するように表現しているが、X1は第1基準範囲AR1refの終端部までの距離と一致してもよい。
図10は、第1ターゲット車両特定部142が設定する第2初期探索範囲AR2-1と第2トラッキング範囲AR2-2を例示した図である。第1ターゲット車両特定部142は、第2初期探索範囲AR2-1を、自車両Mから距離X2aまでの間は、第2基準範囲AR2refと同じ範囲に、距離X2aから距離X2までの間は、自車両Mから遠くなるのに連れて幅が狭くなるように設定する。第1ターゲット車両特定部142は、第2トラッキング範囲AR2-2を、自車両Mから距離X2までの間、第2基準範囲AR2refを幅方向に関してトラッキングマージンTMY分だけ左右の両側に拡張した範囲に設定する。
図11は、「地図あり」の場合に第2ターゲット車両特定部144が設定する第3初期探索範囲AR3-1mと第3トラッキング範囲AR3-2mを例示した図である。符号における末尾の「m」は「地図あり」を示している。第2ターゲット車両特定部144は、推定走路ETJを中心とした幅Y1を有し、自車両Mとの距離がX3までの範囲を、第3初期探索範囲AR3-1mとして設定する。X3は、推定曲率半径Rと速度Vの関数であり、X1よりも小さい値が上限値として設定されている(例外あり;後述)。第2ターゲット車両特定部144は、推定走路ETJを中心とした幅Y3を有し、自車両Mとの距離が、X3にトラッキングマージンTMXを加えた距離までの範囲を、第3トラッキング範囲AR3-2mとして設定する。Y1<Y3である。Y1は、自車両Mの車幅に近い値に設定される。この結果、第3初期探索範囲AR3-1mは、自車両Mの進行予定軌跡に相当する範囲に設定される。
図12は、「地図なし」の場合に第2ターゲット車両特定部144が設定する第3初期探索範囲AR3-1cと第3トラッキング範囲AR3-2cを例示した図である。符号における末尾の「c」は「カメラ」を示している。第2ターゲット車両特定部144は、推定走路ETJを中心とした幅Y2を有し、自車両Mとの距離がX4までの範囲を、第3初期探索範囲AR3-1cとして設定する。X4は、推定曲率半径Rと速度Vの関数であり、X1よりも小さい値が上限値として設定されている(例外あり;後述)。X4を求めるための関数は、入力値が同じであればX3を求める関数よりも大きい値を導出する関数である。第2ターゲット車両特定部144は、推定走路ETJを中心とした幅Y4を有し、自車両Mとの距離が、X4にトラッキングマージンTMXを加えた距離までの範囲を、第3トラッキング範囲AR3-2cとして設定する。Y2<Y4である。Y4は、車線幅よりも大きくなるように(例えば、車線幅をトラッキングマージンTMY分だけ左右に拡張した幅と同程度になるように)設定された値である。なお、第2ターゲット車両特定部144が使用不可フラグに基づいて「地図あり」であるか「地図なし」であるかを判別し、参照範囲(後述)の長さや幅を切り替えるものとしているが、係る機能の一部または全部は推定走路設定部135が備えてもよい。例えば、推定走路設定部135が使用不可フラグを参照し、推定走路ETJの長さを切り替えてもよい。
図13は、各種制御パラメータの設定規則をまとめた図である。まず、各参照範囲の長さについて述べる。参照範囲とは、少なくとも、第1初期探索範囲AR1-1、第1トラッキング範囲AR1-2、第2初期探索範囲AR2-1、第2トラッキング範囲AR2-2、第3初期探索範囲AR3-1m、第3トラッキング範囲AR3-2m、第3初期探索範囲AR3-1c、および第3トラッキング範囲AR3-2cを含む概念である。
前述したように、第1初期探索範囲AR1-1および第1トラッキング範囲AR1-2の長さはX1[m]、第2初期探索範囲AR2-1および第2トラッキング範囲AR2-2の長さはX2[m]に設定される。X1とX2は共に自車両Mの速度に応じて設定される値であり、速度が大きいほど大きくなる値である。X1とX2は、X1>X2となるように設定される。X1とX2には、下限値が設けられてもよい。
「地図あり」の場合の第3初期探索範囲AR3-1mの長さはX3であり、第3トラッキング範囲AR3-2mの長さはX3にトラッキングマージンTMXを加えたものである。X3は、推定曲率半径Rと速度Vの関数であり、推定曲率半径Rが大きいほど長くなり、速度Vが大きいほど長くなる。但し、X3は、X1>(X3+TMX)となるように設定される。X3には、下限値が設けられてもよい。
「地図なし」の場合の第3初期探索範囲AR3-1cの長さはX4であり、第3トラッキング範囲AR3-2cの長さはX4にトラッキングマージンTMXを加えたものである。X4は、推定曲率半径Rと速度Vの関数であり、推定曲率半径Rが大きいほど長くなり、速度Vが大きいほど長くなる。また、入力される推定曲率半径Rと速度Vが同じであれば、X4はX3よりも大きくなる。但し、X4は、X1>(X4+TMX)となるように設定される。X4には、下限値が設けられてもよい。
図14は、自車両Mの速度VMに応じて設定されるX1、X2、X3、X4の一例を示すグラフである。X3およびX4は、速度VMの他に、推定曲率半径Rが大きいほど大きくなるように設定されるが、本図では、一例として推定曲率半径R=∞、すなわち自車両Mが直進路を走行しているものとする。X3、X4は、推定曲率半径R=∞である場合に最も長く設定される。この場合であっても、X1は、X2、X3+TMX,、X4+TMXのどれよりも大きくなる。自車両Mの速度VMが大きくなるのに応じてX1、X2、X3、X4が大きくなるようにこれらを設定することで、遠方側の認識が不要な低速走行時には監視範囲を近傍側に絞ることができ、誤検知が生じる機会を低減することができる。
以上のように、ターゲット車両特定部140は、地図情報(例えば第2地図情報62)に基づいて参照範囲を設定する場合、地図情報に基づかずに参照範囲を設定する場合に比して、より遠方まで参照範囲を設定する。「地図情報に基づいて参照範囲を設定する」とは、例えば、「地図情報に基づいて設定された第1基準範囲AR1refに基づいて参照範囲を設定する」ことを意味する。係る処理によって、ターゲット車両特定部140は、比較的誤差の小さい地図情報を用いて参照範囲を設定する場合は遠方まで監視を行い、比較的誤差が大きいカメラ画像やヨーレートを用いて参照範囲を設定する場合は遠方の監視を制限するため、ターゲット車両の早期発見と誤検知の抑制を実現することができる。
次に、各参照範囲の幅について説明する。第1初期探索範囲AR1-1の幅は地図上の車線幅に、第1トラッキング範囲AR1-2の幅は地図上の車線幅にトラッキングマージンを加えた幅に設定される。第2初期探索範囲AR2-1の幅はカメラ画像から変換した車線幅に、第2トラッキング範囲AR2-2の幅はカメラ画像から変換した車線幅にトラッキングマージンを加えた幅に設定される。
「地図あり」の場合の第3初期探索範囲AR3-1mの幅はY1に、第3トラッキング範囲AR3-2mの幅はY3に設定される。Y1<Y3である。「地図なし」の場合の第3初期探索範囲AR3-1cの幅はY2に、第3トラッキング範囲AR3-2cの幅はY4に設定される。Y2<Y4である。また、Y3<Y4であり、Y4は一般的な車線幅よりも大きい値に設定される。
このように、第2ターゲット車両特定部144は、第1ターゲット車両特定部142が地図情報(例えば第2地図情報62)に基づかずに第2参照範囲を設定する場合、第1ターゲット車両特定部142が地図情報に基づいて第1参照範囲を設定する場合に比して、第3参照範囲の幅を大きくする。これによって、精度が高い地図に基づいてターゲット車両が特定できている場合には第3参照範囲における特定結果が制御に与える影響を小さくし、精度がより低いカメラ画像に基づいてターゲット車両を特定しようとしている場合には第3参照範囲における特定結果が制御に与える影響を大きくする、という相補的な関係でターゲット車両を特定することができる。
(並行動作)
以下、係る設定の下で行われる相補的な監視制御について説明する。図15は、「地図あり」の場合におけるターゲット車両特定部140の動作について説明するための図である。第1ターゲット車両特定部142と第2ターゲット車両特定部144は並行して動作する。すなわち、第1ターゲット車両特定部142が第1初期探索範囲AR1-1または第1トラッキング範囲AR1-2で第1ターゲット車両を特定し、または、第2初期探索範囲AR2-1または第2トラッキング範囲AR2-2で第1ターゲット車両を特定する動作と、第2ターゲット車両特定部144が第3初期探索範囲AR3-1mまたは第3トラッキング範囲AR3-2mで第2ターゲット車両を特定する動作とが並行して行われる。
第1ターゲット車両特定部142は、第1初期探索範囲AR1-1内において前回以前の処理サイクルで認識されていない他車両を探索し、第1トラッキング範囲AR1-2内において前回以前の処理サイクルで認識されていた他車両を追跡する。そして、第1初期探索範囲AR1-1内において新たに発見された他車両と第1トラッキング範囲AR1-2内において捕捉された他車両とのうち、道路の長手方向に関して自車両Mに近い他車両を、第1ターゲット車両として特定する。図中、車両mA1は、第1初期探索範囲AR1-1内において新たに発見された他車両である。この次の処理サイクルにおいて、第1初期探索範囲AR1-1よりも広い第1トラッキング範囲AR1-2内で車両mA1が追跡される。このように、ターゲット車両特定部140は、まず狭い範囲で車両の初期探索を行い、一度発見した車両については、より広範囲で追跡することで、誤検知による制御の不都合を抑制すると共に、ターゲット車両のふらつきなどにも柔軟に対応することができる。
並行して、第2ターゲット車両特定部144は、第3初期探索範囲AR3-1m内において前回以前の処理サイクルで認識されていない他車両を探索し、第3トラッキング範囲AR3-2m内において前回以前の処理サイクルで認識されていた他車両を捕捉する。そして、第3初期探索範囲AR3-1m内において新たに発見された他車両と第3トラッキング範囲AR3-2m内において捕捉された他車両とのうち、道路の長手方向に関して自車両Mに近い他車両を、第2ターゲット車両として特定する。図15の例では、車両mAが第3初期探索範囲AR3-1m内に入ってきていないため、第2ターゲット車両特定部144は、車両mAを第2ターゲット車両として特定しない。
図16は、「地図なし」の場合におけるターゲット車両特定部140の動作について説明するための図である。第1ターゲット車両特定部142は、第2初期探索範囲AR2-1内において前回以前の処理サイクルで認識されていない他車両を探索し、第2トラッキング範囲AR2-2内において前回以前の処理サイクルで認識されていた他車両を追跡する。そして、第2初期探索範囲AR2-1内において新たに発見された車両と第2トラッキング範囲AR2-2内において捕捉された他車両とのうち、道路の長手方向に関して自車両Mに近い他車両を、第1ターゲット車両として特定する。この動作に関して「地図あり」の場合と同様であるが、地図情報に基づく車線情報の方がカメラ画像に基づく車線情報よりも信頼性が高いことから、X2はX1よりも小さく設定される。図中、車両mA2は、第2初期探索範囲AR2-1内において新たに発見された他車両である。この次の処理サイクルにおいて、第2初期探索範囲AR2-1よりも広い第2トラッキング範囲AR2-2内で車両mA2が追跡される。
並行して、第2ターゲット車両特定部144は、第3初期探索範囲AR3-1c内において前回以前の処理サイクルで認識されていない他車両を探索し、第3トラッキング範囲AR3-2c内において前回以前の処理サイクルで認識されていた他車両を捕捉する。そして、第3初期探索範囲AR3-1c内において新たに発見された他車両と第3トラッキング範囲AR3-2c内において捕捉された他車両とのうち、道路の長手方向に関して自車両Mに近い他車両を、第2ターゲット車両として特定する。この動作に関して「地図あり」の場合と同様であるが、第2初期探索範囲AR2-1と第2トラッキング範囲AR2-2がそれぞれ第1初期探索範囲AR1-1と第1トラッキング範囲AR1-2よりも小さいのを補うために、「地図なし」の場合の第3初期探索範囲AR3-1cと第3トラッキング範囲AR3-2cはそれぞれ、「地図あり」の場合の第3初期探索範囲AR3-1cと第3トラッキング範囲AR3-2cよりも、速度VMや推定曲率半径Rなどの条件が同じであれば大きくなるように設定される。これによって、第1ターゲット車両特定部142と第2ターゲット車両特定部144は、相補的な関係でターゲット車両の特定精度を高めることができる。図15の例では、車両mA2が第3初期探索範囲AR3-1c内に入ってきているため、第2ターゲット車両特定部144は、車両mA2を第2ターゲット車両として特定することになる。
(調停)
以上説明したように、第1ターゲット車両特定部142と第2ターゲット車両特定部144は並行して動作し、第1ターゲット車両特定部142は第1ターゲット車両情報を、第2ターゲット車両特定部144は第2ターゲット車両情報を、それぞれ出力する。第1ターゲット車両情報と第2ターゲット車両情報は、特定されたターゲット車両の識別情報(物体ID)、位置、および速度を含む。物体IDは、ターゲット車両特定部140に入力される物体の位置等の情報のラベルとなる情報である。第1ターゲット車両情報と第2ターゲット車両情報が一致していれば、ターゲット車両特定部140は、一致するそれらの情報をターゲット車両情報として出力する。一致しない場合、調停部146が以下の処理を行って、いずれかのターゲット車両情報を選択する。
調停部146は、「地図あり」の場合、第1ターゲット車両情報と第2ターゲット車両情報とが異なる場合に、所定の条件下で第1ターゲット車両情報を優先する第1調停フローを実行し、第1調停フローでターゲット車両が確定しなかった場合に第3調停フローによってターゲット車両を確定する。調停部146は、「地図なし」の場合、第1ターゲット車両情報と第2ターゲット車両情報とが異なる場合に、一方のみ存在する場合にターゲット車両を確定する第2調停フローを実行し、第2調停フローでターゲット車両が確定しなかった場合に第3調停フローによってターゲット車両を確定する。
図17は、第1調停フローの一例を示すフローチャートである。図17および図19、または図18および図19のフローチャートの処理は、例えば、第1ターゲット車両特定部142および第2ターゲット車両特定部144と同期した周期で繰り返し実行される。「地図あり」の場合は図17および図19のフローチャートの処理が実行され、「地図なし」の場合は図18および図19のフローチャートの処理が実行される。図中、必要に応じてターゲット車両を「Tgt車両」と略記している。
まず、調停部146は、基準範囲使用可否判定部136から使用不可フラグが入力されているか否かを判定する(ステップS100)。使用不可フラグが入力されている場合、調停部146は、第2ターゲット車両情報をターゲット車両情報として決定し、行動計画生成部180に出力する(ステップS110)。
使用不可フラグが入力されていない場合、調停部146は、第1ターゲット車両情報と第2ターゲット車両情報とが同一であるか否かを判定する(ステップS102)。第1ターゲット車両情報と第2ターゲット車両情報とが同一である場合、調停部146は、第1ターゲット車両情報をターゲット車両情報として決定し、行動計画生成部180に出力する(ステップS108)。
第1ターゲット車両情報と第2ターゲット車両情報とが同一でない場合、調停部146は、第1ターゲット車両の位置が、第3初期探索範囲または第3トラッキング範囲の長さよりも遠方にあるか否かを判定する(ステップS104)。第1ターゲット車両の位置が、第3初期探索範囲または第3トラッキング範囲の長さよりも遠方にある場合、調停部146は、第1ターゲット車両情報をターゲット車両情報として決定し、行動計画生成部180に出力する(ステップS108)。
第1ターゲット車両の位置が、第3初期探索範囲または第3トラッキング範囲の長さよりも遠方にない場合、調停部146は、第1ターゲット車両が、前回の処理サイクルで初めて第1ターゲット車両に選択された車両(前回割込みターゲット)であるか否かを判定する(ステップS106)。第1ターゲット車両が前回割込みターゲットである場合、調停部146は、第1ターゲット車両情報をターゲット車両情報として決定し、行動計画生成部180に出力する(ステップS108)。第1ターゲット車両が前回割込みターゲットでない場合、第3調停フローに進む。
図18は、第2調停フローの一例を示すフローチャートである。まず、調停部146は、基準範囲使用可否判定部136から使用不可フラグが入力されているか否かを判定する(ステップS120)。使用不可フラグが入力されている場合、調停部146は、第2ターゲット車両情報をターゲット車両情報として決定し、行動計画生成部180に出力する(ステップS130)。
使用不可フラグが入力されていない場合、調停部146は、第1ターゲット車両情報と第2ターゲット車両情報とが同一であるか否かを判定する(ステップS122)。第1ターゲット車両情報と第2ターゲット車両情報とが同一である場合、調停部146は、第1ターゲット車両情報をターゲット車両情報として決定し、行動計画生成部180に出力する(ステップS128)。
第1ターゲット車両情報と第2ターゲット車両情報とが同一でない場合、調停部146は、第1ターゲット車両のみ存在する(特定され、情報が出力されている)か否かを判定する(ステップS124)。第1ターゲット車両のみ存在する場合、調停部146は、第1ターゲット車両情報をターゲット車両情報として決定し、行動計画生成部180に出力する(ステップS128)。
第1ターゲット車両のみ存在するのではない場合、調停部146は、第2ターゲット車両のみ存在する(特定され、情報が出力されている)か否かを判定する(ステップS126)。第2ターゲット車両のみ存在する場合、調停部146は、第2ターゲット車両情報をターゲット車両情報として決定し、行動計画生成部180に出力する(ステップS130)。第2ターゲット車両のみ存在するのではない場合、第3調停フローに進む。
図17のフローチャートの処理と図18のフローチャートの処理を比較すると、「地図あり」の場合の図17のフローチャートの処理では、第1ターゲット車両と第2ターゲット車両とが一致しない場合において、所定条件下で、すなわち、第1ターゲット車両の位置が、第3初期探索範囲または第3トラッキング範囲の長さよりも遠方にある場合(ステップS104)、および第1ターゲット車両が、前回の処理サイクルで初めて第1ターゲット車両に選択された車両(前回割込みターゲット)である場合(ステップS106)には、第3調停フローに移行せずに第1ターゲット車両をターゲット車両として確定する。
「地図なし」の場合の図18のフローチャートの処理では、このような手順が設けられておらず、第3調停フローに移行することになっている。従って、第1ターゲット車両と第2ターゲット車両とが一致しない場合において、「地図あり」の場合は「地図なし」の場合に比して、第1ターゲット車両を選択するまでの手順を簡略化している。これによって、調停部146は、「地図あり」の場合に「地図なし」の場合に比して第1ターゲット車両を選択しやすくしている。前述したように、地図情報に基づく第1基準範囲AR1refの方が推定走路ETJよりも遠方側に関して高精度であるので、このように手順を定めることで、より迅速にターゲット車両を特定することができる。
図19は、第3調停フローの一例を示すフローチャートである。まず、調停部146は、第1ターゲット車両がn1回(n1サイクル)以上連続して同一の車両であるか否かを判定する(ステップS140)。第1ターゲット車両がn1回以上連続して同一の車両である場合、調停部146は、第1車間距離に第1ターゲット車両との車間距離を設定する(ステップS142)。第1ターゲット車両がn1回以上連続して同一の車両でない場合、調停部146は、第1車間距離に車間距離MAX値1を設定する(ステップS144)。
次に、調停部146は、第2ターゲット車両がn2回(n2サイクル)以上連続して同一の車両であるか否かを判定する(ステップS146)。第2ターゲット車両がn2回以上連続して同一の車両である場合、調停部146は、第2車間距離に第2ターゲット車両との車間距離を設定する(ステップS148)。第2ターゲット車両がn2回以上連続して同一の車両でない場合、調停部146は、第2車間距離に車間距離MAX値2を設定する(ステップS144)。
閾値であるn1とn2は、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。例えば、数~数十程度の値がn1とn2のそれぞれに予め設定される。車間距離MAX値1と車間距離MAX値2は、参照範囲内で認識される車両との車間距離と比較すると十分に大きい値である。車間距離MAX値1と車間距離MAX値2は、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
次に、調停部146は、第1車間距離と第2車間距離のうちどちらが小さいかを判定する(ステップS142)。第1車間距離の方が小さい場合、調停部146は、第1ターゲット車両情報をターゲット車両情報として決定し、行動計画生成部180に出力する(ステップS144)。第2車間距離の方が小さい場合、調停部146は、第2ターゲット車両情報をターゲット車両情報として決定し、行動計画生成部180に出力する(ステップS146)。
調停部146は、第2基準範囲設定部134により出力された、第2基準範囲AR2refの信頼度を取得し、信頼度が基準よりも低い場合には、「地図なし」の場合において第2ターゲット車両を選択しやすいように処理の内容を変更してもよい。例えば、閾値であるn2をより小さい値に変更したり、n1をより大きい値に変更したり、車間距離MAX値2をより小さい値に変更したり、車間距離MAX値1をより大きい値に変更したりすることで、第2ターゲット車両を選択しやすいようにすることができる。
(直進時延長)
第2ターゲット車両特定部144は、「地図なし」の場合において、ヨーレートが継続してゼロ近辺の所定値以下、すなわち旋回度合いが基準以内の状態で、自車両Mが継続して直進している場合、例外的に、参照範囲の長さを拡張し、速度VMによっては第1ターゲット車両特定部142よりも長くしてよい。以下、係る動作を直進時延長と称する。図20は、直進時延長が行われる様子の一例を示す図である。この場合、参照範囲である第3初期探索範囲AR3-1cと第3トラッキング範囲AR3-2cの長さは、例えば、自車両Mの速度VMに所定時間Txtを乗算して求められる。但し、第2ターゲット車両特定部144は、拡張した参照範囲(図中、AR3-1cxtまたはAR3-2cxt)で特定する第2ターゲット車両を、自車両Mとの相対速度が基準よりも大きい車両に限定する。これによって、早期に着目すべき車両の監視を速やかに開始すると共に、遠方を同じような速度で走行している監視の必要性が低い車両について監視の度合いを緩めることができ、誤検知が生じる機会を限定的にすることができる。
以上説明した第1実施形態によれば、ターゲット車両の早期発見と誤検知の抑制を実現することができる。
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について説明する。図21は、第2実施形態に係る自動運転制御装置100Aの第1制御部120および第2制御部190の機能構成図である。第2実施形態の自動運転制御装置100Aは、第1実施形態と比較すると、認識部130が割込み車両特定部150を更に備え、追従走行制御部182が、ターゲット車両だけでなく割込み車両の位置も考慮して制御を行う点で相違する。以下、係る相違点を中心に説明する。
割込み車両特定部150は、自車両Mがいる走行車線の側方(道路幅方向)から走行車線に割込みを行おうとしており、将来のターゲット車両となり得る他車両を、割込み車両と特定する。割込み車両特定部150は、第1割込み車両特定部160と、第2割込み車両特定部170とを備える。例えば、第1割込み車両特定部160は、自車両Mの速度に依らず動作し、第2割込み車両特定部170は、自車両Mの速度が所定速度Vth(例えば20[km/h]程度)未満の場合、すなわち渋滞時などの低速走行時に動作する。従って、自車両Mの速度が所定速度Vth未満の場合、第1割込み特定部160と第2割込み特定部170の双方が動作が動作し、自車両Mの速度が所定速度Vth以上の場合、第1割込み特定部160が動作すると共に第2割込み車両特定部170が動作を停止する。
[第1割込み車両特定部]
第1割込み車両特定部160は、例えば、割込み車両候補抽出部161と、横位置認識部162と、閾値決定部163と、第1判定部164と、第1制御遷移比率導出部165とを備える。第1割込み車両特定部160は、予備判定(第1段階の判定)と、本判定(第2段階の判定)とを行う。予備判定で割込み車両と判定されたものを予備割込み車両、本判定で割込み車両と判定されたものを割込み車両と称する。
割込み車両候補抽出部161は、走行車線の側方に延在する側方参照範囲にいる他車両を、予備割込み車両または割込み車両の候補となる車両(割込み車両候補)として抽出する。図22は、第1実施形態で説明した参照範囲(前方参照範囲)ARfと、側方参照範囲ARsとを例示した図である。第1実施形態で説明したように、前方参照範囲ARfには種々の種類があるが、ここでは区別していない。側方参照範囲ARsは、自車両Mが走行する車線L1に隣接する範囲に設定される。以下、走行車線のことを車線L1と称する。隣接する範囲には、車線L1に隣接し且つ走行方向が車線L1と同じ車線(図では車線L2)のみが含まれてもよいし、路肩部分が含まれてもよい。割込み車両候補抽出部161は、自車両Mの前端部から前方側に向けて、前方参照範囲ARfよりも短い長さで側方参照範囲ARsを設定する。但し、前方参照範囲ARfの設定条件によっては、側方参照範囲ARsの方が長くなることがあってもよい。
図23は、側方参照範囲の設定規則と、割込み車両候補として抽出する際の規則とについて説明するための図である。「地図あり」の場合、割込み車両候補抽出部161は、側方参照範囲ARsの長さ、幅ともに固定長に設定する。例えば、長さが100[m]程度、幅は1コンマ数[m]程度に設定される。「地図なし」の場合、割込み車両候補抽出部161は、側方参照範囲ARsの長さを、カメラ10によって認識された道路区画線の長さに設定する。側方参照範囲ARsの幅は固定長である。
割込み車両候補抽出部161は、割込み元の範囲(図22の例では車線L2に相当する範囲)における車線の有無と、物体認識部131により出力された物体信頼度とに基づいて、他車両を割込み車両候補として抽出するか否かを決定する。「割込み元の範囲に車線が無い」とは、当該範囲が路肩などの空間になっていることを意味する。例えば、割込み車両候補抽出部161は、「地図あり」の場合、物体信頼度に拘わらず、割込み元の範囲に車線がある場合にのみ、当該範囲に存在する他車両を割込み車両候補として抽出する。「地図なし」の場合、割込み元の範囲に車線がなくても、物体信頼度が高または中の場合には、当該範囲に存在する他車両を割込み車両候補として抽出する。
なお、第2実施形態において、基準範囲使用可否判定部136により出力される使用不可フラグは、第1割込み車両特定部160に入力されてよい。これを受けて、割込み車両候補抽出部161は、「地図あり」、「地図なし」の双方の場合において、使用不可フラグが入力された場合には割込み車両候補を抽出しないようにしてもよい。
横位置認識部162は、割り込み車両候補として抽出された車両の横位置を認識する。図22に戻り、他車両mBは割込み車両候補であり、EYは横位置認識部162が認識する横位置である。横位置EYは、自車両Mが走行する車線L1と、側方参照範囲ARsを含む車線L2とを区画する道路区画線SLと、割り込み車両候補の代表点mrとの距離である。代表点mrは、例えば、割り込み車両候補の後端部の車幅方向に関する中央部、重心などである。横位置認識部162は、横位置EYを周期的に繰り返し認識し、メモリに格納する。以下、横位置認識部162が、観測時点(今回の処理サイクル)において認識した横位置をEY0、1サイクル前に認識した横位置をEY1、…、nサイクル前に認識した横位置をEYnと称する(nは0または自然数)。なお、横位置EYを求める基準位置は、道路区画線SLではなく、車線L2の中心など、静止している任意の物標であってよい。また、横位置EYを求める基準位置は、自車両Mの任意の箇所であってもよい。
第1割込み車両特定部160は、所定期間における、側方参照範囲ARsにいる割込み車両候補の道路幅方向に関して車線L1に向かう横移動量が閾値を超えた場合に、割込み車両候補を予備割込み車両または割込み車両と特定する。この際において、第1判定部164は、観測時点から過去への遡り量が異なる複数の所定期間についてそれぞれ横移動量が閾値を超えたか否かを判定する。前述した「何サイクル前であるか」は、「観測期間から過去への遡り量」の一例である。そして、EY0、EY1、…EYnは、「観測時点から過去への遡り量が異なる複数の所定期間についての、側方参照範囲ARsにいる割込み車両候補の道路幅方向に関して車線L1に向かう横移動量」の一例である。
図24は、横位置EYの変化量であるiEYnについて説明するための図である。図中、mB(0)は、観測時点において認識された割込み車両候補であり、mB(2)は、観測時点よりも2サイクル前の処理サイクルにおいて認識された割込み車両候補であり、mB(3)は、観測時点よりも3サイクル前の処理サイクルにおいて認識された割込み車両候補であり、mB(n)は、観測時点よりもnサイクル前の処理サイクルにおいて認識された割込み車両候補である。そして、EY0は観測時点において認識された割込み車両候補mB(0)の横位置であり、EY2は観測時点よりも2サイクル前の処理サイクルにおいて認識された割込み車両候補mB(2)の横位置であり、EY3は観測時点よりも3サイクル前の処理サイクルにおいて認識された割込み車両候補mB(3)の横位置であり、EYnは観測時点よりもnサイクル前の処理サイクルにおいて認識されたにおいて認識された割込み車両候補mB(n)の横位置である。横位置EYの変化量であるiEYnは、式(1)で定義される。
iEYn=EYn-EY0 …(1)
横位置認識部162は、例えば、n=2、3、5のそれぞれについてiEYnを計算する。すなわち、iEY2、iEY3、およびiEY5を計算する。この数字の選び方はあくまで一例であり、自然数の中から任意の二以上の自然数が選択されてよいが、以降の説明では2、3、5が選択されているものとする。
閾値決定部163は、n=2、3、5のそれぞれについて閾値を決定する。更に、閾値決定部163は、予備判定(第1段階の判定)用の閾値α(第1の閾値の一例)と、本判定(第2段階の判定)用の閾値β(第2の閾値の一例)とをそれぞれ設定する。予備判定用と本判定用とに対応して、n=2、3、5のそれぞれについて閾値αおよびβを設定するため、6種類の閾値を設定することになる。以下、予備判定用であり且つn=2に対応した閾値をα2、予備判定用であり且つn=3に対応した閾値をα3、予備判定用であり且つn=5に対応した閾値をα5、本判定用であり且つn=2に対応した閾値をβ2、本判定用であり且つn=3に対応した閾値をβ3、本判定用であり且つn=5に対応した閾値をβ5と定義する。
第1判定部164は、第1段階の特定処理として、n=2、3、5のそれぞれについて、iEYnが閾値αn以上であるかを判定する。複数の判定結果のうち所定数k以上が「横移動量iEYnが閾値αnよりも大きい」ことを示す場合、第1判定部164は、当該割込み車両候補を予備割込み車両として特定する。また、第1判定部164は、第2段階の特定処理として、n=2、3、5のそれぞれについて、iEYnが閾値βn以上であるかを判定する。複数の判定結果のうち所定数k以上が「横移動量iEYnが閾値βnよりも大きい」ことを示す場合、当該割込み車両候補を割込み車両として特定する。所定数kは、例えば1であるが、2以上であってもよい。
予備割込み車両として特定された他車両に対して、追従走行制御部182は、例えば弱めの制動を行うように軌道点を生成する。また、割り込み車両として特定された他車両に対して、追従走行制御部182は、例えば予備割込み車両に対するよりも強めの制動を行うように目標速度を決定して第2制御部190に出力する。詳しくは、後述する。
閾値決定部163は、閾値決定マップ167を用いて閾値α、βを決定する。図25は、閾値決定マップ167の内容の一例を示す図である。図示するように、閾値決定マップ167は、横位置EY0に対応する閾値α、βを決定するための特性ラインLα、Lβを規定した情報である。閾値決定部163は、特性ラインLα、Lβにおいて今回の処理サイクルにおいて観測された横位置EY0に対応する値を取得し、それぞれ閾値α、βとする。閾値決定マップ167は、n=2、3、5のそれぞれについて予め作成されており、閾値決定部163は、n=2、3、5のそれぞれについて上記のように閾値α、βを取得する。
図26は、n=2、3、5のそれぞれに対応した閾値決定マップ167の内容の一例を示す図である。図では、n=2に対応した閾値決定マップ167#2と、n=3に対応した閾値決定マップ167#3と、n=5に対応した閾値決定マップ167#5との内容の一例を示している。なお、これらのマップは、プログラムに埋め込まれた関数に置換されてもよく、同様の結果が得られるのであれば任意の電子的な手法が採用されてよい。
閾値決定マップ167は、全体として以下のような傾向を示している。
(1)特性ラインLα、Lβ共に、右肩上がりである。従って、閾値決定部163は、割込み車両候補が道路幅方向に関して車線L1に近い位置を走行している場合、すなわちEY0が小さい場合、EY0が大きい場合に比して、小さい閾値に決定する。この結果、割込み車両候補が道路幅方向に関して車線L1に近い位置を走行している場合、車線L1から遠い位置を走行している場合に比して、小さい横位置の変化量であっても予備割込み車両または割込み車両と特定しやすくなる。これによって、自車線寄りに走行している他車両について、横位置の変化に迅速に対応することができる。また、自車線から遠い位置を走行している他車両については、大きな横位置の変化があった場合にのみ予備割込み車両または割込み車両と特定するため、不要な制御が発生する機会を低減することができる。
(2)特性ラインLα、Lβ共に、nが大きくなるほど上方向にシフトしている。従って、閾値決定部163は、過去への遡り量が大きい所定期間についての閾値(nが大きい場合の閾値)を、過去への遡り量が小さい所定期間についての閾値(nが小さい場合の閾値)に比して大きくする。これによって、他車両に急速な横位置の変化があった場合(nが小さいiEYnが上昇した場合)、迅速に予備割込み車両または割込み車両と特定することができる。また、緩やかな横位置の変化については、ある程度の継続性が無ければ予備割込み車両または割込み車両と特定しないことになるため、不要な制御が発生する機会を低減することができる。
(3)特性ラインLαとLβは、nが小さい場合、EY0が小さい側で乖離している。この結果、割込み車両候補が道路幅方向に関して車線L1に近い位置を走行している場合、迅速に予備割込み車両として特定されることになる。この結果、自車両Mに近い車両の挙動に対して迅速に対応することができる。
(4)特性ラインLαとLβは、nが大きい場合、EY0が大きい側で乖離している。この結果、割込み車両候補が道路幅方向に関して車線L1から遠い位置を走行している場合、横位置の変化量が大きくなければ割込み車両として特定されないことになる。この結果、自車両Mから遠い車両に対して不要な制御が頻発するのを抑制することができる。
図27および図28は、想定される割込み走行パターンに対応したiEYnの推移を示す図である。図中、tは観測時点を示し、t-1、t-2、…は1回前、2回前、…の処理サイクルを示している。図27は、例えば自車両Mの後方から側方参照範囲ARsに進入した他車両であって、側方参照範囲ARsへの進入時点で既に車線L1に近い位置を走行している他車両のiEYnの推移を示している。このような他車両の場合、iEY2が最も感度良く反応し、観測時点tで閾値α以上となっているが、iEY3は閾値α未満、閾値β以上の水準に留まり、iEY5は未だ閾値β未満である。
図28は、例えば車線L2における車線L1から遠い位置から持続的に車線L1に近づいてくる他車両のiEYnの推移を示している。このような他車両の場合、iEY5が最も感度良く反応し、観測時点tで閾値α以上となっているが、iEY2、iEY3ともに閾値α未満、閾値β以上の水準に留まっている。
このように、過去への遡り量が異なる所定期間についてそれぞれ横位置の変化量を求め、それぞれ異なる閾値と比較することで、動きのパターンがそれぞれ異なる他車両に対して、適切に割込み車両と特定することができる。
第1制御遷移比率導出部165は、追従走行制御部182に与える制御遷移比率ξを導出する。追従走行制御部182は、前走車両と予備割込み車両または割込み車両が存在する場合、前走車両に対する制動力と、予備割込み車両または割込み車両に対する制動力とを制御遷移比率ξで混合して出力するように目標速度を決定する。
図29は、第1制御遷移比率導出部165が制御遷移比率ξを導出する規則の一例を示す図である。図中、EYMAXは側方参照範囲の幅に対応する距離である。図示するように、制御遷移比率ξは0から1の間で設定される値である。第1制御遷移比率導出部165は、予備割込み車両または割込み車両が車線L1に近づくのに応じて(EY0がゼロに近づくのに応じて)制御遷移比率ξを大きくする。第1制御遷移比率導出部165は、例えば、EY0をシグモイド関数に入力することで制御遷移比率ξを導出する(式(2)参照)。式中、κはシグモイドゲイン、λはシグモイド関数補正数値、μはシグモイド関数X座標オフセットである。
Rσ=1/{1+e^{-κ×(λ×EYN-μ)}
EYN=(EYMAX-EY0)/EYMAX …(2)
追従走行制御部182は、前走車両、割込み車両、予備割込み車両のそれぞれについて、例えば、車間距離を設定距離に維持するための目標速度を導出する。以下、前走車両mA、割込み車両mB、予備割込み車両mCと表記する。
追従走行制御部182は、例えば、前走車両mAについては式(3)に従って目標速度V#1を、割込み車両mBについては式(4)に従って目標速度V#2を、予備割込み車両mCについては式(5)に従って目標速度V#3を導出する。式中、Vsetは上限速度であり、xsetは設定距離であり、VFB1、VFB2はフィードバック制御を表す関数である。xmAは自車両Mの前端部と前走車両mAの後端部との道路長手方向に関する距離(いわゆる車間距離)であり、xmBは自車両Mの前端部と割込み車両mBの後端部との道路長手方向に関する距離であり、xmCは自車両Mの前端部と予備割込み車両mCの後端部との道路長手方向に関する距離である。VFB1を計算する場合のフィードバックゲイン(特に比例項と積分項のゲイン)は、VFB2を計算する場合よりも大きく設定されている。このため、車間距離が設定距離xsetよりも小さい同じ距離であるとしたら、前走車両mAおよび割込み車両mBに対する減速度は、予備割込み車両mCに対する減速度よりも大きくなる。
V#1=MAX{Vset,VFB1(xmA→xset)} …(3)
V#2=MAX{Vset,VFB1(xmB→xset)} …(4)
V#3=MAX{Vset,VFB2(xmC→xset)} …(5)
そして、追従走行制御部182は、それぞれの目標速度を制御遷移比率で混合して自車両Mの目標速度V#を導出する。追従走行制御部182は、前走車両と割込み車両が存在する場合の目標速度V#を、式(6)に従って求め、前走車両と予備割込み車両が存在する場合の目標速度V#を、式(7)に従って求める。これによって、制御遷移比率ξに従う比率で自車両Mの速度制御が行われる。なお、目標速度V#が現在の速度VMに比して大幅に小さい場合に備えて、減速度に対して上限ガードを設けるようにしてよい。
V#=(1-ξ)×V#1+ξ×V#2 …(6)
V#=(1-ξ)×V#1+ξ×V#3 …(7)
なお、フィードバックゲインを異ならせることで予備割込み車両に対して比較的弱めの制動を行うのは、あくまで一例である。追従走行制御部182は、前走車両、割込み車両、予備割込み車両のそれぞれについて、例えば、車間距離を設定距離に維持するための目標減速度を求め、目標減速度を制御遷移比率ξで混合してもよい。
図30は、第1割込み車両特定部160により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、例えば、周期的に繰り返し実行される。
まず、割込み車両候補抽出部161が側方参照範囲ARsを設定し(ステップS200)、側方参照範囲ARs内で割込み車両候補を抽出する(ステップS202)。割込み車両候補抽出部161は、一台以上の割込み候補車両が抽出できたか否かを判定する(ステップS204)。抽出できなかった場合、本フローチャートの1サイクルの処理が終了する。
一台以上の割込み車両候補が抽出できた場合、横位置認識部162が、割り込み車両候補の横位置EY0および横位置の変化量iEYnを算出する(ステップS206)。次に、閾値決定部163が、横位置EY0に基づいて閾値αn、βnを決定する(ステップS208)。
次に、第1判定部164が、着目するnの全てについて(前述の例ではn=2、3、5について)横位置の変化量iEYnを閾値αnと比較する(ステップS210)。第1判定部164は、k回以上の判定において横位置の変化量iEYnが閾値αn以上となったか否かを判定する(ステップS212)。前述したように、kは1でもよいし、2以上でもよい。k回以上の判定において横位置の変化量iEYnが閾値αn以上とならなかった場合、本フローチャートの1サイクルの処理が終了する。
k回以上の判定において横位置の変化量iEYnが閾値αn以上となった場合、第1判定部164は、更に、着目するnの全てについて横位置の変化量iEYnを閾値βnと比較する(ステップS214)。第1判定部164は、k回以上の判定において横位置の変化量iEYnが閾値βn以上となったか否かを判定する(ステップS216)。
k回以上の判定において横位置の変化量iEYnが閾値βn以上となった場合、第1判定部164は、当該割込み車両候補を割込み車両と特定する(ステップS218)。k回以上の判定において横位置の変化量iEYnが閾値βn以上とならなかった場合、第1判定部164は、当該割込み車両候補を予備割込み車両と特定する(ステップS220)。そして、第1制御遷移比例導出部165が、制御遷移比率ξを導出する(ステップS222)。
以上説明した第2実施形態の第1割込み車両特定部160によれば、より適切に割込み車両を特定することができる。
[第1割込み車両特定部160に関する変形例]
上記では、閾値α、βは専ら他車両の横位置に応じて設定されるものとしたが、閾値α、βのうち少なくとも一方は、他車両の種別または属性に基づいて決定されてもよい。種別とは、二輪、四輪、特殊自動車などをいい、属性とは、軽自動車、乗用車、大型車、トラックなどをいう。この場合、物体認識部131は、他車両のサイズやナンバープレートに記載された内容に基づいて、他車両の種別や属性を認識し、第1割込み車両特定部160に伝える。閾値決定部163は、例えば、接近されることにより自車両Mの乗員が感じる圧迫感の大きい特殊自動車、大型車について、それ以外の車両に比して閾値を小さくする。また、閾値決定部163は、例えば、挙動が四輪車両に比して機敏な二輪車について四輪車両に比して閾値を小さくする。
また、閾値α、βのうち少なくとも一方は、自車両Mの走行環境、走行状態、または制御状態に基づいて決定されてもよい。走行環境とは、道路の曲率半径や勾配、μなどである。走行状態とは、例えば、自車両Mの速度を含む。制御状態とは、例えば、自動運転を実行しているのか、運転支援を実行しているのかといった状態をいう。閾値決定部163は、例えば、曲率半径が小さい場合、勾配や速度が大きい場合に、そうでない場合に比して閾値を小さくする。また、閾値決定部163は、自動運転を実行している場合に、そうでない場合に比して閾値を小さくする。更に、側方参照範囲の設定範囲も、自車両Mの走行環境、走行状態、または制御状態に基づいて変更されてもよい。
[第2割込み車両特定部]
図21に示すように、第2割込み車両特定部170は、例えば、割込み車両候補抽出部171と、車両姿勢認識部172と、予備動作判定部173と、禁止範囲進入判定部174と、第2制御遷移比率導出部175とを備える。第2割込み車両特定部170は、第1割込み車両特定部160と同様に、予備判定(第1段階の判定)と、本判定(第2段階の判定)とを行う。予備判定で割込み車両と判定されたものを予備割込み車両、本判定で割込み車両と判定されたものを割込み車両と称する。予備判定と本判定は並行して実行され、予備割込み車両と特定されることなく割込み車両と特定される車両があってもよい。
割込み車両候補抽出部171は、割込み車両候補抽出部161と同様に、側方参照範囲に存在する他車両を、予備割込み車両または割込み車両の候補となる車両(割込み車両候補)として抽出する。割込み車両候補抽出部171が設定する側方参照範囲は、割込み車両候補抽出部161と同様が設定するものと同様であってもよいし、異なってもよい。
車両姿勢認識部172は、割込み車両候補の車体の向きが基準方向に対してなす角度を認識する。基準方向は、例えば、自車両Mがいる車線L1の延在方向である。車線の延在方向とは、例えば、車線の中心線であるが、左右いずれかの道路区画線の延在方向であってもよい。
図31は、車両姿勢認識部172の処理の内容について説明するための図である。図中、CLは車線L1の中心線であり、車両mBは割込み車両候補である。車両姿勢認識部172は、カメラ10、レーダ装置12、ファインダ14などの車載センサ、および物体認識装置16の出力に基づいて車両mBの車体の向きを認識する。例えば、車両姿勢認識部172は、カメラ10、レーダ装置12、ファインダ14などの車載センサ、および物体認識装置16の出力に基づいて、車両mBの重心mBgの位置と、前端部中央mBfの位置とを認識し、重心mBgから前端部中央mBfに向かうベクトルVgfの方向を、車両mBの車体の向きとして認識する。重心mBgは「第1点」の一例であり、重心の他に、中心軸上の任意の箇所であってよい。前端部中央mBfは、「第1点」よりも前方かつ車両mBの外縁部にある「第2点」の一例である。ベクトルVgfの方向は、「第1点」と「第2点」を結ぶ方向の一例である。
上記に代えて、車両姿勢認識部172は、車両mBの側面mBssの延在方向を車両mBの車体の向きとして認識してもよいし、車両mBの背面mBrsの延在方向に水平面内で直行する方向を車両mBの車体の向きとして認識してもよい。側面mBssの延在方向や背面mBrsの延在方向を認識する際に、車両姿勢認識部172は、通常の車両では側面や背面が丸みを帯びていることから、何らかの変換式で側面の延在方向を定義したり、背面の場合は対称の位置にある箇所同士を結ぶ直線を延在方向として認識したりしてもよい。また、車両姿勢認識部172は、単に曲面あるいは曲線を平面や直線に近似してもよい。車両姿勢認識部172は、認識した車体の向きと車線の中心線CLとのなす角度φを予備動作判定部173に出力する。
予備動作判定部173は、車両姿勢認識部172により認識された角度φに基づいて、割込み車両候補が予備割込み車両であるか否かを判定する。例えば、予備動作判定部173は、処理サイクル間の角度φの変化量Δφが閾値Thφ以上である状態が、mサイクル以上(「所定期間以上」の一例)継続した場合に、割込み車両候補を呼び割込み車両として特定する。図32は、予備割込み車両として特定される車両の挙動の一例を示す図である。図中、mB(0)は、観測時点において認識された割込み車両候補であり、mB(1)は、観測時点よりも1サイクル前の処理サイクルにおいて認識された割込み車両候補であり、mB(m)は、観測時点よりもmサイクル前の処理サイクルにおいて認識された割込み車両候補である。低速走行時においてこのような挙動を示す割込み車両候補は、横位置の変化量が大きくないため、第1割込み車両特定部160によって予備割込み車両、または割込み車両と特定されない可能性が高い。しかしながら、低速走行時において車線L1側に徐々に回頭している車両は、車線L1に進入したいことをアピールしている可能性が高いため、予備動作判定部173では、このような挙動をしている割込み車両候補を呼び割込み車両として特定する。なお、一度、予備割込み車両として特定した割込み車両候補について、予備動作判定部173は、角度φの変化量Δφが減少し始めるまで、予備割込み車両として扱ってよい。車線L1に回頭した状態で停止してしまった場合、Δφはゼロになるので、この状態で予備割込み車両として扱うのを停止するのは不適切と考えられるからである。
禁止範囲進入判定部174は、自車両Mの前方に禁止範囲を設定し、禁止範囲に割込み車両候補が進入した場合に、当該割込み車両候補を割込み車両として特定する。図33は、禁止範囲BAの設定規則について説明するための図である。
禁止範囲進入判定部174は、禁止範囲BAを、例えば自車両Mのいる車線L1の占める範囲を基準に設定する。例えば、禁止範囲BAは、車線L1を区画する道路区画線SLl、SLrのうち、側方参照範囲が設定されている車線L2とは反対側の道路区画線SLlを一端とし、道路区画線SLrを跨いで車線L2内まで至るように設定される。従って、禁止範囲BAの幅Y5は、一般的な車線の幅よりも大きく、且つ一般的な車線幅の2倍未満の値に予め設定されている。車線L1の右側に側方参照範囲があり、且つ車線L2が存在しない場合(車線L2に相当する範囲が路肩になっている場合)、禁止範囲進入判定部174は、禁止範囲BAの幅を車線L1の幅に相当する幅に縮小してよい。
禁止範囲進入判定部174は、禁止範囲BAの長さX5を、原則的には、十数[m]程度の固定長と、車線L1において自車両Mの直前にいる前走車両mAの後端部mArから、前走車両mAの走行分ΔXmAだけ前方にシフトした位置までの長さとのうちいずれか短い方に設定する。図32では、後者の長さにX5が設定されている。禁止範囲進入判定部174は、自車両Mの走行環境に基づいて禁止範囲BAの長さを設定してもよい。走行環境は、自車両Mの速度VMを含む。また、禁止範囲進入判定部174は、割込み車両候補の車長が長いほど、禁止範囲BAの長さX5を長く設定してもよい。トレーラーなどの前後に長い車両が割り込んで来る場合、その車両の後端部が車線L1に収まる位置は、前端部よりもかなり後方になるからである。
禁止範囲進入判定部174は、禁止範囲BAに車体の一部でも進入した割込み車両候補を、割込み車両として特定する。
第2制御遷移比率導出部175は、追従走行制御部182に与える制御遷移比率ηを導出する。追従走行制御部182は、前走車両と予備割込み車両または割込み車両が存在する場合、前走車両に対する制動力と、予備割込み車両または割込み車両に対する制動力とを制御遷移比率ηで混合して出力するように目標速度を決定する。
図34は、第2制御遷移比率導出部175が制御遷移比率ηを導出する規則の一例を示す図である。図中、tは時間である。図示するように、制御遷移比率ηは0から1の間で設定される値である。第2制御遷移比率導出部175は、予備割込み車両と特定した時点からの経過時間、或いは割込み車両と特定した時点からの経過時間に応じて、制御遷移比率ηを導出する。図示の例では、第2制御遷移比率導出部175は、予備割込み車両と特定した時点から制御遷移比率ηを0から徐々に増加させ、制御遷移比率ηが、予備割込み車両についての最大値η1MAXに至ると、制御遷移比率ηを最大値η1MAXに固定する。次いで、第2制御遷移比率導出部175は、当該車両が割込み車両と特定された時点から再度、制御遷移比率ηを最大値η1MAXから徐々に増加させ、制御遷移比率ηが1に至ると、制御遷移比率ηを1に固定する。なお、こうした処理の途中で予備割込み車両または割込み車両でなくなった場合、第2制御遷移比率導出部175は、一定の余裕時間が経過するのを待って経過時間をリセットしてよい。図34では制御遷移比率ηが経過時間に対して直線状に増加しているが、これに限らず、ステップ状または曲線状に制御遷移比率ηを増加させてよい。
追従走行制御部182は、前走車両、割込み車両、予備割込み車両のそれぞれについて、例えば、車間距離を設定距離に維持するための目標速度を導出する。これについては、第1割込み車両特定部160のところで説明した内容を、制御遷移比率ξを制御遷移比率ηに読み替えて援用する。
更に、第2割込み車両特定部170により割込み車両と特定された車両が存在し、且つ自車両Mが停止している場合、追従走行制御部182は、導出した目標速度に拘わらず、自車両Mを停止状態に維持する(発進させない)ようにしてよい。これによって、周辺車両に優しい自動運転を実現することができる。
なお、第1割込み車両特定部160と第2割込み車両特定部170の双方が、同じ他車両を予備割込み車両または割込み車両と特定するケースも考えられる。この場合、追従走行制御部182は、例えば、第1割込み車両特定部160と第2割込み車両特定部170の双方の結果に基づいてそれぞれ導出される目標速度のうち小さい方を採用し、或いは双方の結果に基づいて導出される制動力のうち大きい方を採用すればよい。
図35は、第2割込み車両特定部170により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、例えば、自車両Mの速度VMが所定速度Vth未満である間、周期的に繰り返し実行される。
まず、割込み車両候補抽出部171が側方参照範囲を設定し(ステップS300)、側方参照範囲内で割込み車両候補を抽出する(ステップS302)。割込み車両候補抽出部171は、一台以上の割込み候補車両が抽出できたか否かを判定する(ステップS304)。抽出できなかった場合、本フローチャートの1サイクルの処理が終了する。
一台以上の割込み車両候補が抽出できた場合、禁止範囲進入判定部174がステップS306、S308の処理を行い、並行して予備動作判定部173がステップS310~S314の処理を行う。
禁止範囲進入判定部174は、割込み車両候補が禁止範囲BAに進入したか否かを判定する(ステップS306)。割込み車両候補が禁止範囲BAに進入した場合、禁止範囲進入判定部174は、当該割込み車両候補を割込み車両と特定する(ステップS308)。
一方、予備動作判定部173は、割込み車両候補について前述した角度φを認識し(ステップS310)、角度φの変化量Δφを導出し(ステップS312)、変化量Δφが閾値Thφ以上の状態がmサイクル以上継続したか否かを判定する(ステップS314)。変化量Δφが閾値Thφ以上の状態がmサイクル以上継続した場合、予備動作判定部173は、当該割込み車両候補を予備割込み車両と特定する(ステップS316)。
そして、第2制御遷移比例導出部175が、制御遷移比率ηを導出する(ステップS318)。
以上説明した第2実施形態の第2割込み車両特定部170によれば、低速時において、より適切に割込み車両を特定することができる。
<第2実施形態の変形例>
車両姿勢認識部172は、上記説明した角度φを認識するのに代えて、割込み車両候補の第1基準点と第2基準点の横位置の差分を認識してもよい。第1基準点は、例えば、前端部中央であり、第2基準点は、重心、後輪軸中心、後端部中央などである。第1基準点と第2基準点は、車体の前後方向の軸線上にあればよく、例えば、第1基準点が左側面の前端部、第2基準点が左側面の後端部という組み合わせでもよいし、第1基準点が右側面の前端部、第2基準点が右側面の後端部という組み合わせでもよい。図36は、変形例に係る車両姿勢認識部172の処理について説明するための図である。本図では、第1基準点RP1は割込み車両候補である他車両mBの前端部中央であり、第2基準点RP2は他車両mBの重心であることを例示している。車両姿勢認識部172は、第1基準点RP1と第2基準点RP2との道路幅方向に関する距離を、横位置の差分ΔYとして認識する。道路幅方向の距離を算出する際に、車両姿勢認識部172は、道路区画線に直交する方向を道路幅方向としてもよいし、車線L1またはL2の中央線に直交する方向を道路幅方向としてもよい。この場合、予備動作判定部は、例えば、横位置の差分ΔYの変化量ΔΔYが閾値ThΔY以上である状態がmサイクル以上継続した場合に、当該割込み車両候補を予備割込み車両と特定する。こうすることによって、割込み車両候補の車長を反映した細かな制御を実現することができる。角度φを認識する手法では、角度φの変化が同じであれば大型車と小型車の違いがあっても同じタイミングで予備割込み車両と特定されるが、本変形例の手法では大型車の方が予備割込み車両と特定されるタイミングが早くなるからである。
また、上記説明では、割込み元の範囲と自車両Mが走行する走路との間に道路区画線が存在しない場合について言及していないが、その場合、道路区画線に相当する位置に仮想線を設定して、上記と同様の処理を行ってもよい。
また、上記説明では、車両制御装置が自動運転制御装置に適用されることを前提としたが、車両制御装置は、いわゆるACC(Adaptive Cruise Control)、すなわち車間距離制御や定速走行制御を主に行う運転支援装置などに適用されてもよい。
[ハードウェア構成]
図37は、実施形態の自動運転制御装置100または100Aのハードウェア構成の一例を示す図である。図示するように、自動運転制御装置100または100Aは、通信コントローラ100-1、CPU100-2、ワーキングメモリとして使用されるRAM(Random Access Memory)100-3、ブートプログラムなどを格納するROM(Read Only Memory)100-4、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置100-5、ドライブ装置100-6などが、内部バスあるいは専用通信線によって相互に接続された構成となっている。通信コントローラ100-1は、自動運転制御装置100以外の構成要素との通信を行う。記憶装置100-5には、CPU100-2が実行するプログラム100-5aが格納されている。このプログラムは、DMA(Direct Memory Access)コントローラ(不図示)などによってRAM100-3に展開されて、CPU100-2によって実行される。これによって、認識部130、行動計画生成部180、および第2制御部190のうち一部または全部が実現される。
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサは、前記記憶装置から前記プログラムを読み出して実行することにより、
車両の周辺状況を認識し、
前記認識の結果に基づいて、前記車両がいる走行車線の側方から前記走行車線に割込みを行おうとしている割込み車両を特定し、
前記特定された割込み車両の位置に基づいて、前記車両の加減速と操舵との少なくとも一方を制御し、
前記割込み車両を特定する際に、所定期間における、前記走行車線の側方にいる他車両の道路幅方向に関して前記走行車線に向かう横移動量が閾値を超えた場合に当該他車両を割込み車両と特定し、
前記他車両が相対的に前記走行車線に近い位置を走行している場合、前記走行車線から遠い位置を走行している場合に比して前記閾値を小さくする、
ように構成されている、車両制御装置。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。