JP7199708B2 - コア-シェル型熱伝導性ビーズ、その製造方法、樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Description
前記コア部を覆い、表面に露出したシェル層と、を有し、
球状を呈するコア-シェル型熱伝導性ビーズであって、
前記シェル層は、
硬化性ポリマーの硬化物からなり電気絶縁性を有する樹脂部と、
前記樹脂部よりも熱伝導率が高く、形状異方性及び電気絶縁性を有し、前記樹脂部に保持された充填材と、を含み、
前記充填材の長径方向が前記コア部の表面に沿うように前記充填材が配向している、コア-シェル型熱伝導性ビーズにある。
前記コア部と、前記コア部の表面を覆い、長径方向が前記コア部の表面に沿うように配向した前記充填材と未硬化の前記硬化性ポリマーとを含む未硬化シェル層とを備え、球状を呈する未硬化ビーズを作製するビーズ作製工程と、
前記未硬化シェル層中の前記硬化性ポリマーを硬化させる硬化工程と、を有し、
前記ビーズ作製工程は、
前記充填材と前記硬化性ポリマーとの混合物を作製する混合工程と、
自転公転型ミキサー内で前記コア部と前記混合物とを攪拌することにより、前記コア部の表面に前記未硬化シェル層を形成する被覆工程と、を有している、コア-シェル型熱伝導性ビーズの製造方法にある。
前記熱伝導性ビーズは、コア部と、コア部を覆うシェル層とを有している。
コア部には、金、銀、銅等の金属や、黒鉛、炭素繊維、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどの導電性炭素材料等の、電気伝導性を有する物質が含まれている。即ち、コア部は、電気伝導性を有する物質のみから構成されていてもよいし、電気伝導性を有する物質と、電気伝導性を有しない物質とを含んでいてもよい。
コア部の表面は、電気絶縁性のシェル層により覆われている。シェル層の厚みは、1μm以上20μm以下であることが好ましい。この場合には、コア部の表面にシェル層をむらなく形成し、電気絶縁性をより確実に付与することができる。更に、シェル層の厚みを前記特定の範囲とすることにより、電気絶縁性を確保しつつ充填材の使用量を低減することができる。これにより、熱伝導性ビーズの材料コストをより容易に低減することができる。
樹脂部に用いられる硬化性ポリマーは、未硬化の状態において流動性を有し、硬化後に電気絶縁性を有する固体となる特性を有している。ここで、樹脂部が「電気絶縁性を有する」とは、樹脂部の体積抵抗率が1010Ω・m以上であることをいう。硬化性ポリマーは、加熱によって硬化する熱硬化性ポリマー、光照射によって硬化する光硬化性ポリマー、湿気によって硬化する湿気硬化性ポリマーのいずれであってもよい。硬化性ポリマーとしては、具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、オキサジン樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアジン樹脂等を使用することができる。また、硬化性ポリマーとしては、これらのポリマーのうち1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
シェル層内の充填材は、電気絶縁性及び形状異方性を有するとともに、樹脂部よりも高い熱伝導率を有している。ここで、充填材が「電気絶縁性を有する」とは、充填材の体積抵抗率が1010Ω・m以上であることをいう。
シェル層内の充填材は、長径方向がコア部の表面に沿うように配向している。例えば充填材が薄片状である場合、前記シェル層内に存在する充填材は、その厚み方向が熱伝導性ビーズの径方向に沿うとともに、その板面が前記シェル層の表面を向くように配向している。また、例えば充填材が棒状である場合、前記シェル層内に存在する充填材は、前記熱伝導性ビーズの周方向に延在している。
前記シェル層内には、前述した作用効果を損なわない範囲で、難燃剤、安定化剤、可塑剤、界面活性剤、帯電防止剤等の添加剤が含まれていてもよい。
前記熱伝導性ビーズは、球状を呈している。ここで、前述した「球状」とは、真球、楕円球及びこれらの形状の表面に凹凸を付与した形状等を含む概念である。熱伝導性ビーズが球状であるか否かは、以下の方法によって算出される扁平率の平均値によって判断することができる。
扁平率=(Lb-Sb)/Lb ・・・(1)
表面凹凸度=P2/4πS ・・・(2)
Db=(4S/π)1/2 ・・・(3)
前記熱伝導性ビーズの製造方法は、
前記コア部と、前記コア部の表面を覆い、長径方向が前記コア部の表面に沿うように配向した前記充填材と未硬化の前記硬化性ポリマーとを含む未硬化シェル層とを備え、球状を呈する未硬化ビーズを作製するビーズ作製工程と、
前記未硬化シェル層中の前記硬化性ポリマーを硬化させる硬化工程と、を有している。
自転公転型ミキサー内で前記コア部と前記混合物とを攪拌することにより、前記コア部の表面に前記未硬化シェル層を形成する被覆工程と、を備えている。
前記硬化性ビーズと、樹脂からなる樹脂マトリクスと、を混合することにより、樹脂組成物を得ることができる。樹脂マトリクスは、どのような樹脂から構成されていてもよい。例えば、樹脂マトリクスは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、オキサジン樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂であってもよいし、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂であってもよい。また、樹脂マトリクスとしては、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂のうち1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂組成物を成形することにより、等方的な熱伝導性を有する成形体を得ることができる。前記樹脂組成物の成形方法は特に限定されることはなく、圧縮成形、真空圧縮成形、移送成形、射出成形、押出成形、キャスト成形などの公知の成形方法から、樹脂マトリクスの種類や所望する成形体の形状等に応じて適宜選択することができる。
前記熱伝導性ビーズ及びその製造方法の実施例を、図1~図5を参照しつつ説明する。本例のコア-シェル型熱伝導性ビーズ1は、図1に示すように、電気伝導性を有する物質を含むコア部2と、コア部2を覆い、表面に露出したシェル層3と、を有しており、図3に示すように球状を呈している。図1に示すように、シェル層3には、硬化性ポリマーの硬化物からなり電気絶縁性を有する樹脂部31と、樹脂部31よりも熱伝導率が高く、形状異方性及び電気絶縁性を有し、樹脂部31に保持された充填材32と、が含まれている。また、シェル層3内の充填材32は、その長径方向がコア部2の表面21に沿うように配向している。
一次粒子として、日本黒鉛商事株式会社製「UP-20」(平均長径3.37μm、平均短径0.28μm)を使用した。また、バインダとして、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用した。バインダには、具体的には、ビスフェノールA骨格を有する主剤(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)827」と、硬化剤としての4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)と、硬化促進剤としての2-エチルー4-メチルイミダゾール(東京化成工業株式会社製)とが含まれている。
次に、前述の方法により得られたコア部2の表面21に未硬化シェル層を形成するビーズ作製工程を実施した。本例のビーズ作製工程は、充填材32と硬化性ポリマーとの混合物であるシェル混合物を作製する混合工程と、図4に示す自転公転型ミキサー4内でコア部2とシェル混合物とを攪拌することにより、コア部2の表面21に未硬化シェル層を形成する被覆工程と、を有している。
光学顕微鏡により熱伝導性ビーズ1を観察して光学顕微鏡像を取得した。画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF2015」)を用い、図3に示す、光学顕微鏡像中の熱伝導性ビーズ1の長径Lb[μm]、短径Sb[μm]、周囲長P[μm]及び投影面積S[μm2]を算出した。そして、個々の熱伝導性ビーズ1について、下記式(1)~式(3)に基づいて扁平率、表面凹凸度及び直径Dbの値を算出した。
扁平率=(Lb-Sb)/Lb ・・・(1)
表面凹凸度=P2/4πS ・・・(2)
Db=(4S/π)1/2 ・・・(3)
熱伝導性ビーズ1を切断した後、断面を研磨して重心を通る断面を露出させた。この断面における熱伝導性ビーズ1の表面を含む領域を光学顕微鏡で観察し、無作為に選択した10箇所においてシェル層3の厚みを測定した。そして、これらの平均値をシェル層3の厚みとした。本例のシェル層3の厚みは表1に示す通りであった。
熱伝導性ビーズ1を切断した後、断面を研磨して重心を通る断面を露出させた。この断面を走査型電子顕微鏡で観察し、図5に示す電子顕微鏡像を取得した。図には示さないが、シェル層3をより高倍率で観察したところ、シェル層3内の充填材32は、充填材32の厚み方向が熱伝導性ビーズ1の径方向に沿い、かつ、充填材32の長径方向が熱伝導性ビーズ1の表面11に沿うように配向していた。
本例では、図6を参照しつつ熱伝導性ビーズ1を含む成形体5の例を説明する。なお、本例以降の例において用いる符号のうち、既出の例において用いた符号と同一のものは、特に説明のない限り既出の例における構成要素等と同様の構成要素等を示す。
試験体T1の樹脂マトリクス51には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の硬化物511と、この硬化物511中に分散した充填材512とが含まれている。試験体T1の樹脂マトリクス51における硬化物511は、具体的には、ビスフェノールA骨格を有する主剤(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)827」、硬化剤としての4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)及び硬化促進剤としての2-エチルー4-メチルイミダゾール(東京化成工業株式会社製)との混合物を硬化させてなるビスフェノールA型エポキシ樹脂である。また、試験体T1における充填材512は、具体的には、六方晶型窒化ホウ素(デンカ株式会社製GPグレード)である。
未硬化の樹脂マトリクス3質量部に対して3質量部の実施例1の熱伝導性ビーズ1を混合した以外は、試験体T1と同様の条件で成形体5を作製した。この成形体5を試験体T2とした。試験体T2における、コア部とシェル層と樹脂マトリクスとの質量比率は、表2に示す通りであった。また、試験体T2中に含まれる六方晶型窒化ホウ素と黒鉛との質量比率は、六方晶型窒化ホウ素:黒鉛=33:67であった。
実施例1の熱伝導性ビーズ1に替えて、実施例1と同様の方法により作製したコア部2を用い、未硬化の樹脂マトリクス1質量部に対して1質量部のコア部2を混合した以外は、試験体T1と同様の条件で成形体を作製した。この成形体を試験体T3とした。即ち、試験体T3における樹脂マトリクス51中には、電気伝導性を有するコア部2が分散している。また、コア部2の表面21には電気絶縁性のシェル層3が設けられていない。
実施例1の熱伝導性ビーズ1に替えて、実施例1と同様の方法により作製したコア部2を用い、未硬化の樹脂マトリクス2質量部に対して1質量部のコア部2を混合した以外は、試験体T2と同様の条件で成形体を作製した。この成形体を試験体T4とした。
熱物性測定装置(株式会社ベテル製「サーモウェーブアナライザTA35」)を用いて、試験体の厚さ方向及び厚さ方向に直角な方向(つまり、試験体の円形の表面に沿う方向)の熱拡散率λ[m2・s-1]を測定した。また、示差走査熱量計(株式会社日立ハイテクサイエンス製「DSC7000」)を用いて試験体の定圧比熱Cp[J・K-1・kg-1]を測定した。更に、アルキメデス法により試験体の密度ρ[kg・m-3]を測定した。なお、これらの測定は、いずれも25±2℃の環境中で行った。
α=λ×Cp×ρ ・・・(4)
2 コア部
21 表面
3 シェル層
31 樹脂部
32 充填材
Claims (9)
- 電気伝導性を有する物質を含むコア部と、
前記コア部を覆い、表面に露出したシェル層と、を有し、
球状を呈しており、
前記シェル層は、
硬化性ポリマーの硬化物からなり電気絶縁性を有する樹脂部と、
前記樹脂部よりも熱伝導率が高く、形状異方性及び電気絶縁性を有し、前記樹脂部に保持された充填材と、を含み、
前記充填材の長径方向が前記コア部の表面に沿うように前記充填材が配向している、コア-シェル型熱伝導性ビーズの製造方法であって、
前記コア部と、前記コア部の表面を覆い、長径方向が前記コア部の表面に沿うように配向した前記充填材と未硬化の前記硬化性ポリマーとを含む未硬化シェル層とを備え、球状を呈する未硬化ビーズを作製するビーズ作製工程と、
前記未硬化シェル層中の前記硬化性ポリマーを硬化させる硬化工程と、を有し、
前記ビーズ作製工程は、
前記充填材と前記硬化性ポリマーとの混合物を作製する混合工程と、
自転公転型ミキサー内で前記コア部と前記混合物とを攪拌することにより、前記コア部の表面に前記未硬化シェル層を形成する被覆工程と、を有している、コア-シェル型熱伝導性ビーズの製造方法。 - 電気伝導性を有する物質を含むコア部と、
前記コア部を覆い、表面に露出したシェル層と、を有し、
球状を呈するコア-シェル型熱伝導性ビーズであって、
前記コア部は、電気伝導性を有する複数の粒子と、これらの粒子を保持するバインダとを含む複合粒子であり、
前記シェル層は、
硬化性ポリマーの硬化物からなり電気絶縁性を有する樹脂部と、
前記樹脂部よりも熱伝導率が高く、形状異方性及び電気絶縁性を有し、前記樹脂部に保持された充填材と、を含み、
前記充填材の長径方向が前記コア部の表面に沿うように前記充填材が配向しており、
前記充填材の長径Lf[μm]と、前記コア-シェル型熱伝導性ビーズの直径Db[μm]との比D b /L f の値が10以上1000以下である、コア-シェル型熱伝導性ビーズ。 - 前記シェル層の厚みの平均値は1μm以上20μm以下である、請求項2に記載のコア-シェル型熱伝導性ビーズ。
- 前記シェル層中の前記充填材の含有量は30体積%以上95体積%以下である、請求項2または3に記載のコア-シェル型熱伝導性ビーズ。
- 前記充填材は六方晶型窒化ホウ素から構成されている、請求項2~4のいずれか1項に記載のコア-シェル型熱伝導性ビーズ。
- 樹脂からなる樹脂マトリクスと、
前記樹脂マトリクス中に分散した請求項2~5のいずれか1項に記載のコア-シェル型熱伝導性ビーズと、を含む、樹脂組成物。 - 前記コア-シェル型熱伝導性ビーズの含有量が30体積%以上95体積%以下である、請求項6に記載の樹脂組成物。
- 樹脂からなる樹脂マトリクスと、
前記樹脂マトリクス中に分散したコア-シェル型熱伝導性ビーズと、を含む樹脂組成物の成形体であって、
熱伝導率が最大となる方向における熱伝導率の値λA[W/m・K]と、熱伝導率が最小となる方向における熱伝導率の値λB[W/m・K]との比である熱伝導率異方性λA/λBの値が1.5以下であり、
体積抵抗率が1×10 14 Ω・m以上であり、
前記コア-シェル型熱伝導性ビーズは、電気伝導性を有する物質を含むコア部と、
前記コア部を覆い、表面に露出したシェル層と、を有し、
球状を呈しており、
前記シェル層は、
硬化性ポリマーの硬化物からなり電気絶縁性を有する樹脂部と、
前記樹脂部よりも熱伝導率が高く、形状異方性及び電気絶縁性を有し、前記樹脂部に保持された充填材と、を含み、
前記充填材の長径方向が前記コア部の表面に沿うように前記充填材が配向している、成形体。 - 熱伝導率が最小となる方向における熱伝導率の値λB[W/m・K]の値が7W/m・K以上である、請求項8に記載の成形体。
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