JP7202820B2 - マイクロ流路チップ - Google Patents
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Description
特許文献1には、測定対象液体(検体)を、引圧により目的の場所に移動させる機能を有するマイクロ流路チップが開示されている。それによれば、検体を引圧により強制吸引して分析部に移動させるため、少量の検体であっても、その粘性等に関係なく短時間で分析部に導入して分析を行うことができ、その結果、例えば、試薬を使用して分析を行う場合、検体と試薬との反応時間や量を一定化することができる、とされている。同文献にはまた、バイパス流路や吸引流路の液抵抗に差を設けることにより、選択的に液体を輸送する工夫も記載されている。
しかし、特許文献1に開示の検体分析用具では、検体を分析部に滞留させるべく引圧発生室の引圧を維持し続けながら、チップをインキュベーター中に保管することは困難である。
逆に、チップをインキュベーター中に保管するために引圧発生室の引圧を解除すると、検体が引圧発生室中にまで引き込まれる結果、反応液がコンタミネーションを起こす危険がある。特に、検体と複数種の試薬との反応を単一のマイクロ流路チップ上で、複数の反応を同時に行ういわゆるマルチ分析の場合にはその不利益が顕著に現れる。すなわち、特許文献1においてマルチ分析用の検体分析用具の場合、流路は、一箇所の吸引部から、吸引流路で分岐し、引圧発生室で再合流する構造となる。マルチ分析では分析部にそれぞれ別々の試薬を配置することになるが、この構造では、試薬の成分が引圧発生室を経由して吸引流路を行き来(合流)してしまい、コンタミネーションを引き起こす可能性が高い。これはバイパス流路が配置されていても同様であり、反応後の吸引流路内の液体とバイパス流路内の液体とが引圧発生室で混合してしまい、分析結果の信頼性に悪影響を及ぼす可能性がある。
以上に鑑み、本発明は、マルチ分析を1つのマイクロ流路チップで実施する際に、各反応液がコンタミネーションを起こさない新たな構造を提供することを目的とする。
[1] 試験液導入口と、
少なくとも1つの前記試験液導入口に対し、試験液と反応する薬剤が配置される複数の反応部と、
前記試験液導入口と前記複数の反応部の各々とを連結する第一流路と、
前記複数の反応部の各々から前記薬剤と前記試験液とが反応した反応液を吸引する1つの吸引部と、
前記複数の反応部の各々と前記吸引部とを連結し、前記第一流路よりも流路幅が狭く、前記反応液を観察する観察領域を有する第二流路と
を有するマイクロ流路チップ。
[2] 前記第二流路は、前記吸引部との連結部又はその近傍に、前記反応液の合流防止機構を有する[1]に記載のマイクロ流路チップ。
[3] 前記合流防止機構は、
前記反応液の流動方向に略直交する壁面を有する絞り部入口と
前記吸引部に向かって前記第二流路の幅が漸増する絞り部出口と、
を有する[2]に記載のマイクロ流路チップ。
[4] 前記第二流路の観察領域は、複数の該第二流路の一部を同時に観察できる大きさを有する[1]に記載のマイクロ流路チップ。
[5] 前記第一流路は、前記反応部近傍に、前記試験液の逆流防止機構を有し、
前記液逆流防止機構は、前記試験液導入口から前記反応部に向かって前記第一流路幅が漸減する構造を有する[1]に記載のマイクロ流路チップ。
[6] 前記第二流路は、前記観察領域と前記吸引部との間に、屈曲部と直線部とから構成される非観察領域を有する[1]乃至[4]のいずれか一項に記載のマイクロ流路チップ。
[7] 前記非観察領域は渦巻き状に形成され、その略中央部又は末端に前記吸引部を有する[6]に記載のマイクロ流路チップ。
以下、図1~図3を用いて詳細に説明する。
例示のマルチ分析用マイクロ流路チップは、試験液導入口13、薬剤導入口14及び吸引部18が表面に開口して形成された基板を有し、薬剤導入口14の底面に設けられた薬剤保持部(反応部)15と試験液導入口との間を連通させるためのマイクロメートル(μm)レベルの微細な連通流路(第一流路16)、及び反応部15と吸引部18との間を連通させるためのマイクロメートル(μm)レベルの微細な連通流路(第二流路19)が基板の内部に形成されている。薬剤保持部15に配置された薬剤に、試験液導入口13から導入された試験液を、第一流路16を介して送液することにより、薬剤と試験液とを接触させる。これにより、薬剤と試験液とを反応させて反応液を得る。この反応液を吸引部18に導く第二流路19の途中には観察領域21が設けられ、試験液の感受性評価等を行うことができる。
少なくとも1つの前記試験液導入口に対し、試験液と反応する薬剤が配置される複数の反応部と、
前記試験液導入口と前記複数の反応部の各々とを連結する第一流路と、
前記複数の反応部の各々から前記薬剤と前記試験液とが反応した反応液を吸引する1つの吸引部と、
前記複数の反応部の各々と前記吸引部とを連結し、前記第一流路よりも流路幅が狭く、前記反応液を観察する観察領域を有する第二流路と、
を有するマイクロ流路チップが構成される。
次に、マイクロ流路チップを作製する手順を、図を参照して説明する。
図1に示されるように、第一基板11の背面11bに試験液導入口13、薬剤導入口14、及び吸引部18を形成する貫通孔、第一流路16、第二流路19等が形成され、その背面11bに第二基板12が貼りあわされ、マイクロ流路チップ10が作製される。
上記したとおり、第一基板11の素材は特に限定されないが、透明素材であることが好ましく、ゴム弾性を有することが好ましく、気体透過性を有するシリコーンゴムが好ましく、ポリジメチルシロキサンが特に好ましい。第一基板11としてゴム弾性を有する素材を使用すると、第一基板11を第二基板12上に載置するだけで密着し、接着剤等を使用することなく、第一基板11と第二基板12の積層を行うことができる。
第二基板12はマイクロ流路チップに慣用されている基板を用いればよいが、以下ガラス基板を例として説明する。
上述したように作製された第一基板11の背面11bに第二基板12を接合することにより、図1に示されるように、マイクロ流路チップ10が作製される。
次いで、試験液の感受性評価試験にマイクロ流路チップが使用される場合には、図3に示す薬剤保持部(反応部)15、すなわち薬剤導入口14の底部に露出した第二基板12の内面に、感受性評価試験により比較評価が行われる反応物である薬剤が供給される。
空気中の水分や酸素に触れると劣化する薬剤もあるので、薬剤保持部15に薬剤が供給されたマイクロ流路チップ10の表面11aに、薬剤導入口14を閉じるための封止フィルム(図示せず)を貼り付けてもよい。これにより、薬剤保持部15に薬剤が配置された薬剤導入口14は封止フィルムにより閉じられ、マイクロ流路チップ10と封止フィルムとからなる市場流通用のマイクロ流路チップを作製することができる。薬剤導入口14が封止フィルムにより閉じられるので、薬剤保持部15に固定された薬剤が薬剤保持部15から剥離しても、薬剤が薬剤導入口14から外部に飛散することが防止される。封止フィルムは、薬剤導入口のみを覆ってもよく、薬剤導入口を含む一定の面積の領域の全体を覆ってもよく、試験液導入口13までも含めて基板の全体を覆ってもよい。封止フィルムとして気体透過性を有する材料を使用すると、薬剤導入口14の内部の水分や酸素が、封止フィルムを透過して、マイクロ流路チップ本体を包装する包装体中に配置された乾燥剤(図示せず)により吸着されるので、薬剤の劣化を防止することができる。また、封止フィルムは、第一基板11と同種の材料により形成され、透明であることが好ましい。
次に、マイクロ流路チップの使用方法を、感受性評価試験を例に説明する。
[感受性評価試験手順]
本発明に係るマルチ分析用のマイクロ流路チップにおいては、試験液が複数の薬剤と個別に反応し、それらを比較評価することができる。図2は、導入口13から4本に分岐したブロックを3つ配置した12種の薬剤を配置可能な流路形状例である。この時、試験液の導入口13を1つにし、その液体の流路を分岐させることで、異なる薬剤に対する試験液の感受性評価を同時に行うことができる。
マイクロ流路チップを試験液の感受性評価試験に使用する場合には、予め薬剤を薬剤導入口14から薬剤導入口14の底面、すなわち薬剤保持部(反応部)15に供給、配置しておく。
反応部15に薬剤が配置された状態で、図3(A)に示されるように、試験液導入口13から試験液3を供給する。試験液3は、例えば、所定の細菌を含んだ培養液からなり、試験液導入口13に挿入されるマイクロシリンジ等により第一流路16内に供給される。導入された試験液3は、分岐部17にて複数の第一流路16に分岐し、反応部15の各々へと導入される。試験液3が第一流路16を流れると、第一流路16内の空気は、薬剤導入口14から外部に排出され、薬剤導入口14は排気口としての機能を有している。目的量の導入を行った後に、試験液3と混合を起こさないバッファ液又は空気を導入口13から後追いで導入する。これにより、既に試験液導入口13から第一流路16内に導入された試験液3は、分岐部17を経て4本の微細な第一流路16に分岐し、それぞれの第一流路16内を流れて、反応部15の各々に収容される。試験液導入口13のサイズに比して第一流路16は、相当に微細な部分を有しており、マイクロ流路チップのマイクロ流路チップ10を傾斜させて試験液3を自重で第一流路16内に流動させることは難しいが、バッファ液又は空気によって、試験液3を第一流路16内に押し込むことにより、確実に試験液を薬剤に接触させることができる。また、複数の第一流路16を有するマルチ分析用のマイクロ流路チップでは、それぞれの第一流路16に試験液3が均等に分岐されるので、この点においても、バッファ液又は空気供給による送液は有用である。
この逆流現象を防止するために、図4に示すように、液体逆流防止機構22を設けることが好ましい。その場合、液体逆流防止機構22は、試験液導入口13と反応部15との間の第一流路16内であって、分岐部17より反応部15側に設置する。この液体逆流防止機構22の具体的な方法としては、図4のように前後の流路よりも断面積を細くした狭窄部を設けると言ったような物理的な遮断や、流動する試験液(水系)に対し、その流動を妨げる撥水部を流路内部表面に設けると言ったような、液体と固体の表面エネルギー差を用いた化学的な遮断を採ることもできる。
また、図9のように、省スペースを狙い、第二流路19を渦巻き状に配置し、吸引部18を渦巻きの略中央部又は末端に配置した構造とすることもできる。
そして、図2に示すマイクロ流路チップ10には、合計12箇所の薬剤保持部15が設けられているので、各流路における3つの薬剤保持部15に薬剤効果が相違する薬剤をそれぞれ配置すれば、同時に9種類の薬剤に対する試験液の感受性評価試験を行うことができる。
或いは、各流路に存在する3つの薬剤保持部15に、それぞれ同じ薬効の3種類の薬剤を配置して感受性評価試験を行うと、試験液に対する3種類の薬剤効果のバラツキを評価することができる。
或いは、合計12箇所の薬剤保持部15の全てに、薬剤効果が相違する薬剤を供給すれば、12種類の薬剤に対する試験液の感受性評価試験を行うことができる。
5 反応液
10 マイクロ流路チップ
11 第一基板
11a 表面
11b 背面
12 第二基板
13 試験液導入口
14 薬剤導入口
15 薬剤保持部(反応部)
16 第一流路
17 分岐部
18 吸引部
19 第二流路
20 チップ本体
21 観察領域
22 試験液の逆流防止機構
23 反応液の合流防止機構
24 非観察領域
31a 絞り部入口
31b 絞り部
31c 絞り部出口
Claims (6)
- 試験液導入口と、
少なくとも1つの前記試験液導入口に対し、試験液と反応する薬剤が配置される複数の反応部と、
前記試験液導入口と前記複数の反応部の各々とを連結する第一流路と、
前記複数の反応部の各々から前記薬剤と前記試験液とが反応した反応液を吸引する1つの吸引部と、
前記複数の反応部の各々と前記吸引部とを連結し、前記第一流路よりも流路幅が狭く、前記反応液を観察する観察領域を有する第二流路と
を有し、
前記第二流路は、前記吸引部との連結部又はその近傍に、前記反応液の合流防止機構を有するマイクロ流路チップ。 - 前記合流防止機構は、
前記反応液の流動方向に略直交する壁面を有する絞り部入口と
前記吸引部に向かって前記第二流路の幅が漸増する絞り部出口と、
を有する
請求項1に記載のマイクロ流路チップ。 - 前記第二流路の観察領域は、複数の該第二流路の一部を同時に観察できる大きさを有する
請求項1に記載のマイクロ流路チップ。 - 前記第一流路は、前記反応部近傍に、前記試験液の逆流防止機構を有し、
前記液逆流防止機構は、前記試験液導入口から前記反応部に向かって前記第一流路幅が漸減する構造を有する
請求項1に記載のマイクロ流路チップ。 - 前記第二流路は、前記観察領域と前記吸引部との間に、屈曲部と直線部とから構成される非観察領域を有する
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のマイクロ流路チップ。 - 前記非観察領域は渦巻き状に形成され、その略中央部又は末端に前記吸引部を有する
請求項5に記載のマイクロ流路チップ。
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