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JP7206543B2 - 残留変形修正装置 - Google Patents
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本発明は、免震装置の残留変形を解消する装置に関する。
従来、下部基礎に設けられたジャッキでコーン状部材を押し上げ、コーン状部材の尖り部を上部躯体に設けられた受け部材の円錐状凹部に押し入れて、地震時に上部建物に生じた残留変位を解消する定位置復帰装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002-38764号公報
このような定位置復帰装置を用いて上部建物を定位置に復帰することで、免震装置に生じた残留変形を解消することも可能であるが、コーン状部及び受け部材の位置関係を正確に定めて予め設置しておく必要がある。
このため、コーン状部及び受け部材の位置関係がずれていると、免震装置に生じた残留変形を解消することができないという問題があった。
本発明は、免震装置に生じた残留変形を解消することを可能とする残留変形修正装置を提供することを目的とする。
態様1は、下部構造体の上面に設けられた下部台座と上部構造体の下面に設けられた上部台座との間に取り付けられた免震装置に用いられ、前記下部構造体の上面に載置され前記下部台座を反力受け部とする枠体と、前記枠体から起立した楔受け部材と、前記上部台座の側面と前記楔受け部材の間に嵌められた楔部材と、前記楔部材を上方へ押し上げるジャッキと、を有する残留変形修正装置である。
すなわち、下部構造体の上面に枠体を載置し、下部台座を反力受け部とする。枠体から起立した楔受け部材と上部台座の側面との間に楔部材を配置し、楔部材をジャッキで押し上げる。これにより、免震装置で支持された上部構造体を定位置へ押し戻すことによって、免震装置に生じた残留変形を解消することができる。
態様2は、前記枠体は、前記下部構造体にアンカーで固定されている態様1に記載の残留変形修正装置である。
すなわち、反力が大きい場合、下部構造体に打設した後施工アンカーに枠体を固定することで、反力を下部構造体に直接的に伝達することができる。
本態様によれば、免震装置に生じた残留変形を解消することが可能となる。
本実施形態に係る残留変形修正装置を示す側面図である。 図1のA-A線に沿った断面図である。 図1の要部を示す拡大図である。 枠体の接合部分を示す説明図である。
以下、本実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態に係る残留変形修正装置10を示す図であり、残留変形修正装置10は、建物12を定位置へ移動させ、建物12を支持する免震装置14に生じた残留変形を解消する装置である。
(建物)
すなわち、建物12の上部躯体を構成する上部構造体16には、フーチング18が設けられており、フーチング18の側面18Aからは、基礎梁20が延びている。フーチング18の下面18Bには、上部台座22が設けられている。
ここで、本実施形態では、フーチング18の下面18Bに上部台座22が設けられている場合について説明するが、これに限定されるものではない。例えば、フーチング18の一部が上部台座22を構成してもよい。
建物12の基礎躯体を構成する下部構造体24の上面24Aには、図2にも示すように、平面視で矩形状の下部台座26が設けられており、下部台座26は、図1に示したように、上部台座22と対向する位置に配置されている。
(免震装置)
免震装置14は、下部構造体24に設けられた下部台座26と上部構造体16に設けられた上部台座22との間に取り付けられている。
この免震装置14は、下部フランジ14Aと、下部フランジ14A上に積層された免震ゴム14Bと、免震ゴム14Bの上部に設けられた上部フランジ14Cとを備えている。免震装置14の下部フランジ14Aは、下部構造体24の下部台座26に固定されており、上部フランジ14Cは、上部構造体16の上部台座22に固定されている。
(残留変形修正装置)
残留変形修正装置10は、下部構造体24の上面24Aに載置され下部台座26を反力受け部とする枠体30と、枠体30から上部台座22の側面22Aに向かって斜めに起立した楔受け部材32とを備えている。また、残留変形修正装置10は、上部台座22の側面22Aと楔受け部材32との間に嵌められた楔部材34と、楔部材34を上方へ押し上げるジャッキ36とを備えている。
[枠体]
枠体30は、図2に示したように、第一部材38と、第一部材38の一端部より延出した第二部材40と、第一部材38の他端部より延出した第三部材42とを備えており、枠体30は、下部台座26を取り囲むようにコ字状に形成されている。
枠体30の第一部材38は、下部台座26の一方X1側の一側面26Aと対向して配置されており、枠体30の第一部材38の端部より延出した第二部材40及び第三部材42は、下部台座26より他方X2側へ延出している。第二部材40の先端部と第三部材42の先端部とは、第一連結部材44で連結されている。
この枠体30には、図1に示したように、アンカー46が設けられており、アンカー46は、下部構造体24に打設されている。これにより、枠体30は、下部構造体24にアンカー46で固定されている。なお、枠体30と下部台座26との強度が十分に大きい場合アンカー46は不要である。
第一連結部材44の両端部には、矩形筒状の楔受け部材32が斜めに立設されている。楔受け部材32の下部は、第一連結部材44に固定され、各楔受け部材32の上端部は、フーチング18の側面18Aに達している。
ここで、本実施形態では、楔受け部材32を矩形筒状の部材で構成する場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。例えば、楔受け部材32を、H形鋼やI形鋼で構成してもよい。
各楔受け部材32の一方X1側の側面は、上方へ向かうに従って免震装置14の上部台座22側へ傾斜した傾斜面32Aを構成しており、傾斜面32Aは、図3に示すように、鉛直線48に対して、キャンバー角θを成している。
図2に示したように、枠体30の第二部材40と第三部材42とは、第一連結部材44より一方X1側の部位が、第二連結部材50で連結されており、第二連結部材50の両端部には、ジャッキ36が配置されている。このジャッキ36と第二連結部材50とは切り離されており、ジャッキ36の一方X1及び他方X2側への移動が許容される。
これにより、後述するジャッキ36のロッド36Bに楔部材34が固定されている場合であっても、楔部材34の移動に応じてジャッキ36の移動を許容できる。
枠体30の第一部材38、第二部材40、第三部材42、第一連結部材44、及び第二連結部材50は、一例としてH形鋼で構成されている。
図4は、第一部材38、第二部材40、第三部材42、第一連結部材44、及び第二連結部材50の接合部54を示す拡大図である。接合部54では、突き合わされたH形鋼のウエブ52A及びフランジ52Bに沿って接合板56が配置されており、接合板56は、ハイテンションボルト58によって各H形鋼のウエブ52A及びフランジ52Bに締結されている。
なお、本実施形態では、接合板56をハイテンションボルト58で締結する場合について説明するが、これに限定されるものではない。例えば、接合板56を普通のボルトで締結しても良い。
第一部材38の一部を構成するH形鋼と第二部材40の一部を構成するH形鋼とは溶接で接合されており、L字状のフレームが形成されている。第一部材38の一部を構成するH形鋼と第三部材42の一部を構成するH形鋼とは溶接で接合されており、L字状のフレームが形成されている。
第二部材40の一部を構成するH形鋼と第一連結部材44の一部を構成するH形鋼及び第二連結部材50の一部を構成するH形鋼とは溶接で接合されており、F字状のフレームが形成されている。第一連結部材44の第二部材40側の端部には、楔受け部材32が溶接で接合されている。
第三部材42の一部を構成するH形鋼と第一連結部材44の一部を構成するH形鋼及び第二連結部材50の一部を構成するH形鋼とは溶接で接合されており、F字状のフレームが形成されている。第一連結部材44の第三部材42側の端部には、楔受け部材32が溶接で接合されている。
このように、枠体30の第一部材38、第二部材40、第三部材42、第一連結部材44、及び第二連結部材50が複数のL字状又はF字状のフレームで構成されている。このため、上部構造体16と下部構造体24との間への搬入が容易となり、下部台座26の周囲に配置することができる。
[ジャッキ]
ジャッキ36は、図1に示したように、第二連結部材50上に配置されたジャッキ本体36Aと、ジャッキ本体36Aより後退可能に延出したロッド36Bとを備えている。ジャッキ本体36Aより延出したロッド36Bの先端には、楔部材34が支持されており、楔部材34は、上部台座22の側面22Aと楔受け部材32の傾斜面32Aとの間に配置されている。
このジャッキ36のロッド36Bと楔部材34とは切り離されており、楔部材34の一方X1及び他方X2側への移動を許容する。
[楔部材]
楔部材34は、図3に示したように、ジャッキ36で支持される底面34Aと、上部台座22の側面22Aに対向する一側面34Bと、楔受け部材32の傾斜面32Aに対向する他側面34Cとを有する。
楔部材34の一側面34Bは、底面34Aに対して略直交方向に延在しており、楔部材34の他側面34Cは、底面34Aに対して傾斜している。これにより、楔部材34の厚み寸法は、先端へ向かうに従って薄くなっており、楔部材34の一側面34Bと他側面34Cとが成す角度αは、前述したキャンバー角θと略同角度に設定されている。
<残留変形の修正>
次に、免震装置14に生じた残留変形を修正する手順について説明する。
図1及び図2に示したように、一例として地震の発生により免震装置14が他方X2側へ変形した際には、その変形方向と逆側の一方X1側に第一部材38を配置して枠体30を組み立てる。第二連結部材50の両端部にジャッキ36をセットする。
そして、ジャッキ36のロッド36B上に楔部材34をセットして、楔部材34を上部台座22の側面22Aと楔受け部材32の傾斜面32Aとの間に配置する。このとき、図3に示したように、楔部材34の一側面34Bを上部構造体16の上部台座22側に配置するとともに、傾斜した他側面34Cを楔受け部材32側に配置する。
次に、残留変形修正装置10のジャッキ36によって楔部材34を押し上げ、楔部材34を上部台座22の側面22Aと楔受け部材32の傾斜面32Aとの間に挿入する。
このとき、楔受け部材32には、楔部材34から他方X2側へ向けた力が加えられる。しかし、楔受け部材32を支持する枠体30に作用する反力Rは、下部台座26が受け、他方X2側への移動が抑制される。
また、本実施形態では、枠体30が下部構造体24に打設されたアンカー46によって固定されており、枠体30の他方X2側への移動がさらに抑制される。
これにより、楔受け部材32の他方X2側への移動が抑制されるので、楔部材34には、楔受け部材32の傾斜面32Aに沿って移動する際に一方X1側へ向けた横力Hが作用する。この横力Hによって、楔部材34は、上部台座22を一方X1側へ押し戻し、免震装置14の免震ゴム14Bに生じた残留変形を解消する。
このとき、楔部材34の一側面34Bと他側面34Cとが成す角度αは、楔受け部材32の傾斜面32Aのキャンバー角θと略同角度に設定されている。このため、楔部材34の一側面34Bと上部台座22の側面22A、及び楔部材34の他側面34Cと楔受け部材32の傾斜面32Aが全面で接触するため局部的な応力が発生しない。
また、楔部材34が上部台座22を一方X1側へ押し戻す横力Hは、ジャッキ36からのジャッキ力Pで押し上げられた楔部材34が楔受け部材32から受ける反力によって生ずる。このため、小さなジャッキ力Pで大きな横力Hを発揮することができる。
また、この横力Hは、楔部材34の角度α及び楔受け部材32のキャンバー角θによって調整することが可能である。
(作用・効果)
以上の構成に係る本実施形態の作用を説明する。
下部構造体24の上面24Aに枠体30を載置し、下部台座26を反力受け部とする。枠体30に起立した楔受け部材32と上部台座22の側面22Aとの間に楔部材34を配置し、楔部材34をジャッキ36で押し上げる。これにより、免震装置14で支持された上部構造体16を定位置へ押し戻すことによって、免震装置14に生じた残留変形を解消することができる。
したがって、定位置復帰装置を備えない場合であっても、免震装置14に生じた残留変形を解消することが可能となる。
また、本実施形態では、免震装置14の下部台座26を抱きかかえるように枠体30を配置した。このため、楔部材34から受ける水平反力を効率的に下部台座26に伝達することができる。
さらに、反力の大きさは、楔部材34の角度α及び楔受け部材32のキャンバー角θで調整することができる。このため、既存躯体の耐力やジャッキ台数、必要な横力Hに合わせた計画が可能となる。
加えて、楔部材34及び楔受け部材32の楔効果によって、小型のジャッキ36を用いても、大きな横力Hを得ることができる。
また、枠体30は、ハイテンションボルト58で接合される複数の鋼材で構成されており、小分けして上部構造体16の下部空間へ搬入することができる。これにより、設置場所の自由度を高めることができる。
そして、楔部材34が受ける反力が大きい場合、下部構造体24に打設したアンカー46に枠体30を固定することで、その反力を下部構造体24に伝達することができる。
なお、本実施形態では、楔受け部材32を傾斜した場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、上部台座22の側面22Aを斜めに形成すれば、楔受け部材32を直立させてもよい。
10 残留変形修正装置
14 免震装置
16 上部構造体
22 上部台座
22A 側面
24 下部構造体
24A 上面
26 下部台座
26A 一側面
30 枠体
32 楔受け部材
32A 傾斜面
34 楔部材
36 ジャッキ
46 アンカー

Claims (2)

  1. 下部構造体の上面に設けられた下部台座と上部構造体の下面に設けられた上部台座との間に取り付けられた免震装置に用いられ、
    前記下部構造体の上面に載置され前記下部台座を反力受け部とする枠体と、
    前記枠体から起立した楔受け部材と、
    前記上部台座の側面と前記楔受け部材の間に嵌められた楔部材と、
    前記楔部材を上方へ押し上げるジャッキと、
    を有する残留変形修正装置。
  2. 前記枠体は、前記下部構造体にアンカーで固定されている請求項1に記載の残留変形修正装置。
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