JP7207982B2 - 鉄骨梁および鉄骨梁の設計方法 - Google Patents
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Description
このように、鉄骨梁における必要箇所のみ補強することで、鉄骨梁全体の必要塑性変形能力を確保しながら、架構全体の鋼材量を削減することができる(例えば、特許文献1および2参照)。
そして、貫通孔および第2補強部材が設置される第2補強部材設置範囲は、第1補強部材省略範囲に含まれおり、第1補強部材が設けられていない。このため、ウェブに所望のサイズの貫通孔を設けても、第1補強部材と第2補強部材とを干渉しないように設けることができ、ウェブの座屈を防止できるとともに、貫通孔によるウェブの耐力低下を防止することができる。
図1に示すように、本実施形態による鉄骨梁1は、H型鋼で、上フランジ2、下フランジ3およびウェブ4を有している。図1では、鉄骨梁1の長さ方向の一方の端部近傍11(鉄骨梁1における長さ方向の一方の端部1aから中央に向かった所定の範囲)を示している。
ウェブ4の長さ方向の端部近傍41におけるスチフナ5が設けられていない範囲を、スチフナ省略範囲42(第1補強部材省略範囲)とする。
貫通孔43は、円形状に形成されている。
ウェブ4には、貫通孔43の周囲に貫通孔補強部材6(第2補強部材)が設けられている。貫通孔補強部材6は、貫通孔43を設けることによる鉄骨梁1の耐力低下を防止するために設けられている。
平板部61は、板面が貫通孔43よりも大きい鋼板で、中央に貫通孔43と同じ径の円形の孔部63が形成されている。
筒状部62は、孔部63と同じ径の円筒状の鋼管で、一方の端部62aが平板部61の孔部63の縁部63aと接続され、他方の端部62bが平板部61から突出した位置に配置されている。
貫通孔補強部材6は、スチフナ省略範囲42に設けられていて、スチフナ5と干渉していない。
ウェブ4の長さ方向における貫通孔補強部材6が設けられている範囲を、貫通孔補強部材設置範囲44(第2補強部材設置範囲)とする。貫通孔補強部材設置範囲44は、スチフナ省略範囲42よりも小さく、スチフナ省略範囲42の内部に設けられている。
なお、図2(a)では、スチフナ補剛範囲45全体にわたってスチフナ5が設けられているが、スチフナ補剛範囲45にスチフナ省略範囲42(図1参照)が含まれている。
なお、貫通孔補強部材6の形態が上記以外の場合は、それぞれの指針に従って貫通孔設置可能範囲46を設定する。
解析ケースは、以下に示すNo.1-No.3の3ケースとする。
No.1:貫通孔が形成されておらずスチフナ5のみが設けられた鉄骨梁1A(図3参照)
No.2:貫通孔43が形成されて貫通孔補強部材6が設けられるとともに、スチフナ5が貫通孔補強部材設置範囲44に及ぶように設けられた鉄骨梁1B(図4参照)
No.3:本実施形態の鉄骨梁1C(図1参照)
ここで、図中の荷重および変形は、梁断面の全塑性耐力およびその時の変形の計算値で無次元化して示した。また、終局状態の変形および応力コンター(von MisesStress)を図7に示す。図7(a)は、No.1の鉄骨梁1Aの終局状態の変形および応力コンターを示し、図7(b)は、No.2の鉄骨梁1Bの終局状態の変形および応力コンターを示し、図7(c)は、No.3の鉄骨梁1Cの終局状態の変形および応力コンターを示している。
図6に示すように、荷重変形関係は、No.1の鉄骨梁とNo.2の鉄骨梁とは、同等の耐力および塑性変形能力を有していることが分かる。また、図7から分かるように、No.3の鉄骨梁では、スチフナ省略範囲42においても、貫通孔補強部材6が十分にウェブ4の座屈を拘束していることが分かる。
以上より、本実施形態による鉄骨梁1(No.3)の有効性を確認できた。
本実施形態による鉄骨梁の設計フローでは、上記の鉄骨梁1のFEM解析(座屈固有値解析)による確認に加え、以下の条件を満足することを確認する。図8に鉄骨梁1の設計フローを示す。
ステップ1(S-1)で算定された設計用のモーメント(M)およびせん断力(Q)から鉄骨梁1の断面を設定する(ステップ2(S-2))。
続いて、スチフナ補剛の設計(スチフナ5を設置する補剛区間、スチフナ5の間隔、およびスチフナ5の寸法の設定)を行う(ステップ3(S-3))。スチフナ補剛の設計に不具合が生じる場合は、ステップ2(S-2)に戻り、鉄骨梁1の断面を再度設定する。
ステップ5(S-5)で設計された貫通孔43の形状に基づいて、貫通孔補強部材6の設計を行う(ステップ6(S-6))。
ステップ7(S-7)でスチフナ5と、貫通孔補強部材6とが干渉しないと判断された場合は、従来の工法に基づいたスチフナおよび貫通孔補強部材を有する鉄骨梁となる(本実施形態による鉄骨梁を適用しない)。
ステップ7(S-7)でスチフナ5と貫通孔補強部材6とが干渉すると判断された場合は、スチフナ5を省略可能な範囲(スチフナ省略範囲42)を設定する(ステップ8(S-8))。
座屈検定は、日本建築学会:鋼構造設計規準に示された検定方法による。なお、貫通孔補強部材6が設けられている部分drについては、従来の鉄骨梁の貫通孔補強としての設計を満足していれば、梁ウェブプレートとしての座屈検定は必要ない。
ステップ10(S-10)により、鉄骨梁の有効性を確認できれば、スチフナ5を省略可能となり(ステップ11(S-11))、スチフナ5および貫通孔補強部材6の設計が完了する。
ステップ8(S-8)でスチフナ省略範囲42を再度設定し、ステップ9(S-9)で、座屈検定による基準を満たし、ステップ10(S-10)で、鉄骨梁の有効性を確認できればスチフナ5を省略可能となり(ステップ11(S-11))、スチフナ5および貫通孔補強部材6の設計が完了する。
ステップ9(S-9)で、座屈検定による基準を満たせない場合、または、ステップ10(S-10)で、鉄骨梁の有効性を確認できない場合は、スチフナ5の省略が不可となる。
上述した本実施形態による鉄骨梁1および鉄骨梁の設計方法では、ウェブ4のスチフナ省略範囲42の座屈耐力は、スチフナ省略範囲42において貫通孔43が形成されておらず、スチフナ5が設けられていると仮定した場合の座屈耐力よりも大きく設定されている。これにより、ウェブ4におけるスチフナ省略範囲42は、スチフナ5が省略されていても、座屈が防止される。
そして、貫通孔43および貫通孔補強部材6が設置される貫通孔補強部材設置範囲44は、スチフナ省略範囲42に含まれおり、スチフナ5が設けられていない。このため、ウェブ4に所望のサイズの貫通孔43を設けても、スチフナ5と貫通孔補強部材6とを干渉しないように設けることができ、ウェブ4の座屈を防止できるとともに、貫通孔43によるウェブ4の耐力低下を防止することができる。
例えば、上記の実施形態では、貫通孔補強部材6の長さ方向の一方側のみにスチフナ5が設けられているが、長さ方向の両側にスチフナ5が設けられていてもよい。スチフナ省略範囲42は、貫通孔補強部材設置範囲44と同じ範囲でもよいし、貫通孔補強部材設置範囲44よりも大きい範囲であってもよい。
これに対し、図10に示すように、スチフナ補剛範囲45は、鉄骨梁1の塑性ヒンジ形成位置(拡幅ハンチの端部1b)から鉄骨梁1の長さ方向の中央に、梁せい寸法の1.0倍の寸法分、向かった位置までの範囲としてもよい。例えば、梁せい寸法が1200mmの場合、スチフナ補剛範囲45は、拡幅ハンチの端部1bから鉄骨梁1の長さ方向の中央に1200mm向かった位置までの範囲となる。
4 ウェブ
5 スチフナ(第1補強部材)
6 貫通孔補強部材(第2補強部材)
41 端部近傍
42 スチフナ省略範囲(第1補強部材省略範囲)
43 貫通孔
44 貫通孔補強部材設置範囲(第2補強部材設置範囲)
Claims (2)
- ウェブの長さ方向の端部近傍に、前記ウェブを厚さ方向に貫通する貫通孔が形成された鉄骨梁において、
前記ウェブの長さ方向の端部近傍において前記ウェブに接合され、前記ウェブの座屈を防止する第1補強部材と、
前記貫通孔の周囲に設けられ、前記貫通孔による前記ウェブの耐力低下を防止する第2補強部材と、を有し、
前記第1補強部材は、前記ウェブの前記長さ方向における少なくとも前記第2補強部材が設けられている第2補強部材設置範囲には設けられておらず、
前記ウェブの長さ方向の端部近傍における前記第1補強部材が設けられていない第1補強部材省略範囲の座屈耐力は、前記第1補強部材省略範囲において前記貫通孔が形成されておらず、前記第1補強部材が設けられていると仮定した場合の座屈耐力よりも大きく設定されていることを特徴とする鉄骨梁。 - ウェブの長さ方向の端部近傍に設けられ、前記ウェブを厚さ方向に貫通する貫通孔と、
前記ウェブの長さ方向の端部近傍において前記ウェブに接合され、前記ウェブの座屈を防止する第1補強部材と、
前記貫通孔の周囲に設けられ、前記貫通孔による前記ウェブの耐力低下を防止する第2補強部材と、を有する鉄骨梁の設計方法において、
前記第1補強部材は、前記ウェブの前記長さ方向における少なくとも前記第2補強部材が設けられている第2補強部材設置範囲には設けず、
前記ウェブの長さ方向の端部近傍における前記第1補強部材が設けられていない第1補強部材省略範囲の座屈耐力を、前記第1補強部材省略範囲において前記貫通孔が形成されておらず、前記第1補強部材が設けられていると仮定した場合の座屈耐力よりも大きくなるように設計することを特徴とする鉄骨梁の設計方法。
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