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JP7208272B2 - 制御装置およびその利用 - Google Patents
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JP7208272B2 - 制御装置およびその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、制御装置およびその利用に関する。
特開2016-225206号公報には、使用中の二次電池における電解液の塩濃度に基づいて、該二次電池の劣化状態を推定する方法が開示されている。同公報に記載の方法では、まず、使用中の二次電池の温度の変化やSOC(state of charge)の変化に基づいて電極体の体積膨張率を算出し、さらに電解液の塩濃度を算出する。そして、このような塩濃度の算出値から、二次電池の内部抵抗の増加量を算出している。そして、算出された内部抵抗の増加量をもとに、二次電池の充放電を制御することが提案されている。
一方、特許第6447029号公報には、電池ケースを備える二次電池の、電池ケース内でのガス発生に起因した劣化状態を、該二次電池の膨らみ量として推定する方法が開示されている。同公報に記載の方法では、推定対象たる二次電池の温度、SOC等に基づいて、該二次電池の膨らみ量を算出する。そして、算出された膨らみ量をもとに、二次電池の通電を停止させること等が提案されている。
特開2016-225206号公報 特許第6447029号公報
ところで、本発明者は、電極体および電解液が電池ケース内に収容された構成の非水電解液二次電池について、使用中の劣化状態をより高い精度で推定したいと考えている。
ここで開示される制御装置は、正極シートと負極シートとがセパレータを介して重ねられた電極体と、電解液とが電池ケースに収容された非水電解液二次電池の劣化状態を推定する制御装置である。この制御装置は、非水電解液二次電池の初期状態における電極体への電解液の含浸状態に基づいて選定された、非水電解液二次電池の劣化を推定するための劣化推定マップを記憶している。この制御装置は、劣化推定マップに基づいて、非水電解液二次電池の劣化状態を推定するように構成されている。かかる構成の制御装置によれば、推定対象となる非水電解液二次電池の初期状態における電極体への電解液の含浸状態に基づいて劣化推定マップを選択された劣化推定マップを使用するように構成されているため、非水電解液二次電池の劣化状態をより高い精度で推定することができる。
劣化推定マップには、非水電解液二次電池の温度とSOCと劣化係数との関係が記録されていてもよい。かかる構成によると、非水電解液二次電池の劣化状態をより高い精度で推定することができる。
制御装置は、劣化推定マップに基づいて導き出される非水電解液二次電池の劣化状態に基づいて、非水電解液二次電池の充放電の制御値を決定する制御マップをさらに記憶していてもよい。ここで、制御装置は、劣化推定マップに基づいて推定された劣化状態と制御マップとに基づいて非水電解液二次電池の充放電を制御するように構成されていてもよい。かかる構成によると、非水電解液二次電池の充放電をよりよく制御することができる。
制御装置は、複数の劣化推定マップが予め記憶されていてもよい。ここで、制御装置は、制御対象となる非水電解液二次電池の初期状態における電極体への電解液の含浸状態に基づいて、複数の劣化推定マップのうち当該制御対象となる非水電解液二次電池に適した劣化推定マップが選定されるように構成されていてもよい。かかる構成によると、非水電解液二次電池の劣化状態をより高い精度で推定することができる。
他の形態として、制御装置は、基準となる劣化推定マップと、基準となる劣化推定マップを補正する複数の補正マップとが予め記憶されていてもよい。ここで、制御装置は、制御対象となる非水電解液二次電池の初期状態における電極体への電解液の含浸状態に基づいて、複数の補正マップのうち基準となる劣化推定マップを補正するための補正マップが選定されるように構成されていてもよい。かかる構成によると、制御の対象となる非水電解液二次電池の劣化状態を推定するために、劣化推定マップをより最適化しやすくなる。
劣化推定マップは、さらに非水電解液二次電池の初期状態における内圧に基づいて選定されてもよい。本発明者の検討により、非水電解液二次電池の内圧は、該電池の劣化に寄与し得ることがわかっている。そのため、かかる構成によると、非水電解液二次電池の劣化状態をさらに高い精度で推定することができる。
ここで開示される二次電池システムは、正極活物質層を含む正極シートと負極活物質層を含む負極シートとがセパレータを介して重ねられた電極体と、電解液と、前記電極体および前記電解液を収容する電池ケースと、を備える二次電池、二次電池の充電と放電とを行う充放電手段、および、上記制御装置を備える。当該二次電池システムでは、非水電解液二次電池の劣化状態をより高い精度で推定することができる。そのため、非水電解液二次電池の充放電を、該電池の劣化状態に応じてより適切に制御することができる。
一実施形態に係る制御装置のブロック図である。 非水電解液二次電池の構成を模式的に表す断面図である。 含浸初期の電極体を示す画像である。 含浸中期の電極体を示す画像である。 含浸末期の電極体を示す画像である。 劣化推定マップMP1の一例を示すマトリクス図である。 電解液の注液から封止までの時間と内圧の相関関係を示すグラフである。 試験例1における抵抗増加率の時間推移を示すグラフの一例である。 試験例2における抵抗増加率の時間推移を示すグラフの一例である。 一実施形態に係る制御装置を用いた制御方法を説明するフロー図である。
以下、本発明の一実施形態を説明する。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、図面における寸法関係(長さ、幅、厚み等)は実際の寸法関係を反映するものではない。なお、本明細書において、「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池(即ち、化学電池)の他、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(即ち、物理電池)を包含する。
本明細書において数値範囲を示す「A~B」の表記は、A以上B以下を意味し、Aを上回るものでBを下回るものを包含する。
図1は、一実施形態に係る制御装置のブロック図である。図1に示されるように、二次電池システム1は、二次電池100、充放電手段200、および制御装置300を備える。二次電池100は、電極体、電解液(非水電解液)、および電池ケースを備える、いわゆる非水電解液二次電池である。二次電池100の種類は、少なくとも上記構成を有していれば特に限定されないが、例えばリチウムイオン二次電池である。
図2は、非水電解液二次電池の構成を模式的に表す断面図である。図2に示されるように、二次電池100(以下、「非水電解液二次電池100」ともいう。)は、一対の矩形幅広面を有する扁平形状の捲回電極体20(以下、単に「電極体20」ともいう。)と非水電解液(図示せず)とが扁平な角形の電池ケース(即ち外装容器)30に収容されることにより構築されている。電池ケース30には、外部接続用の正極端子42および負極端子44と、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁36とが設けられている。正負極端子42,44はそれぞれ正負極集電板42a,44aと電気的に接続されている。
電極体20は、正極シート50と、負極シート60とが、2枚の長尺状のセパレータシート70を介して重ね合わされて長手方向に捲回された形態を有する。正極シート50は、長尺状の正極集電体52の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って正極活物質層54が形成された構成を有する。負極シート60は、長尺状の負極集電体62の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って負極活物質層64が形成されている構成を有する。正極活物質層非形成部分52a(すなわち、正極活物質層54が形成されずに正極集電体52が露出した部分)および負極活物質層非形成部分62a(すなわち、負極活物質層64が形成されずに負極集電体62が露出した部分)は、電極体20の捲回軸方向(すなわち、上記長手方向に直交するシート幅方向)の両端から外方にはみ出すように形成されている。正極活物質層非形成部分52aおよび負極活物質層非形成部分62aには、それぞれ正極集電板42aおよび負極集電板44aが接合されている。なお、電池ケースおよび電極体の構成材料等については、この種の二次電池に使用されるものを特に制限なく使用することができ、本発明を特徴づけるものではないため、ここでの詳細な記載を省略する。
充放電手段200は、非水電解液二次電池100の充電と放電とを行うように構成されている。充放電手段200は、非水電解液二次電池100の充放電を行うことができればよく、この種の二次電池の充放電のために用いられるものを、特に制限なく使用することができる。充放電手段200の構成そのものは、本発明を特徴づけるものではないため、ここでの詳細な記載を省略する。
制御装置300は、非水電解液二次電池100の劣化状態を推定し、かつ、充放電を制御するように構成されている。制御装置300は、処理プログラムを実行するCPUと、該処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、入出力ポートおよび通信ポートと、各種センサとを備えている。制御装置300の各構成および処理は、コンピュータによって具現化されるデータを予め定められた形式で記憶するデータベース、データ構造、予め定められたプログラムに従って所定の演算処理を行う処理モジュール等として、または、それらの一部として具現化され得る。また、制御装置300の処理は、このような外部のコンピュータと協働で行われてもよい。例えば、制御装置300に記憶される情報または一部の情報を、外部のコンピュータが記憶してもよいし、制御装置300が実行する処理または処理の一部を、外部のコンピュータが実行してもよい。
制御装置300は、非水電解液二次電池100の劣化状態を推定し、かつ、充放電を制御するための機能ブロックとして、検知部、電池情報取得部、マップ情報記憶部、劣化状態推定部、記憶部、および制御部を有する。
検知部は、非水電解液二次電池100の電流値(Ib)、電圧値(Vb)、および温度(Tb)を検知できるように構成されており、第1検知部301、第2検知部302、および第3検知部303を備え得る。第1検知部301は、非水電解液二次電池100と直列に接続される電流計(図示なし)と接続されており、電流値(Ib)を検知することができる。第2検知部302は、非水電解液二次電池100と並列に接続される電圧計(図示なし)と接続されており、電圧値(Vb)を検知することができる。第3検知部303は、温度センサ(図示なし)と接続されており、温度(Tb)を検知することができる。
SOC取得部304は、非水電解液二次電池100のSOCを取得するように構成されている。SOCは、例えば、満充電の状態を100%とした充電率で表される。例えば、非水電解液二次電池100の、初期状態からの充電電気量、放電電気量を監視することによって、現状のSOCを把握する。SOC取得部は、第1検知部301で検知された電流値(Ib)を常時記録して、初期状態からの充電電気量と放電電気量を算出できるように構成されている。
マップ情報記憶部305は、少なくとも、非水電解液二次電池100の劣化を推定するための劣化推定マップMP1を記憶している。劣化推定マップMP1は、非水電解液二次電池100の初期状態における電極体20への電解液の含浸状態に基づいて選定されている。マップ情報記憶部305は、複数の劣化推定マップMP1を備えることができる。この場合、複数の劣化推定マップMP1の中から、初期状態における電極体20への電解液の含浸状態に対応するものが選定されるように構成されることが好ましい。なお、「初期状態」とは、電池組立体を製造し、該電池組立体に初期充電およびエージング処理を行った後(即ち、使用可能状態の非水電解液二次電池を構築した後)であって、電池パックに搭載する前の状態をいう。
上記初期状態にある非水電解液二次電池100の電極体20への電解液の含浸状態は、非水電解液二次電池100に向かって超音波を出力した超音波の減衰率を算出することによって、推定することができる。かかる超音波減衰率を算出する方法は、公知であり、特に限定するものではないが、例えば、特開2015-197968号公報に記載されているような超音波出力部と超音波受信部とを備える含浸検査装置を用いる方法が採用され得る。
以下、非水電解液二次電池100の電極体への電解液の含浸状態を推定する方法の一例を説明するが、かかる推定方法に限定解釈されることを意図したものではない。電極体20の幅広面を挟み込むように、非水電解液二次電池100を超音波出力部と超音波受信部とで挟み込み、超音波出力部から超音波を出力する。出力された超音波は、非水電解液二次電池100を透過し、超音波受信部に受信される。ここで、電極体に電解液が含浸すると、電極体内の気泡が外部に放出される。超音波は、気泡にあたると反射するため、減衰する。電極体への電解液が含浸するほど、電極体内の気泡は減少するため、超音波受信部が受信する超音波は減衰していく。出力された超音波に対する受信された超音波の割合を計算することで、超音波減衰率を算出することができる。そして、単位時間当たりの超音波減衰率の変化量をモニタリングし、その変化量が閾値(例えばゼロ)以下となった時に、含浸が完了したと判断することができる。
上記のとおり、超音波減衰率の変化量が閾値以下となり、電極体への電解液の含浸が完了したことを確認した状態で、出力された超音波の強度It、受信された超音波の強度Irから、
下記式(1):
電解液の含浸率(%)=Ir/It×100 (1)
を用いることによって、電解液の含浸率を算出することができる。
電極体への電解液の含浸状態は、含浸初期、含浸中期、および含浸末期に分けることができる。例えば、含浸初期は、電極体への電解液の含浸率が30%未満である状態をいう。含浸中期は、電極体への電解液の含浸率が30%以上70%未満である状態をいう。含浸末期は、電極体への電解液の含浸率が70%以上である状態をいう。なお、図3は、含浸初期の電極体を示す画像である。図4は、含浸中期の電極体を示す画像である。図5は、含浸末期の電極体を示す画像である。
図6は、劣化推定マップMP1の一例を示すマトリクス図である。劣化推定マップMP1には、例えば非水電界二次電池の温度とSOCと劣化係数との関係が記載されている。この場合、劣化推定マップMP1は、縦軸に電池温度、横軸にSOCが設定されたマトリックスで構成されており、マトリックスに、非水電解液二次電池100の劣化状態を推定するための劣化係数が記録されているとよい。例えば、車両に搭載された状態で使用される非水電解液二次電池を想定すると、車両での実使用では、非水電解液二次電池は、SOC10%~90%程度の予め定められた充電状態で使用される。また、車両での実使用では、非水電解液二次電池は、-40℃~60℃程度の温度環境下に置かれ得る。かかる車両での実使用を10年程度あるいは25年程度続けた場合の抵抗増加率を予測して、上記劣化係数を定めるとよい。
劣化係数は、例えば、予め定められた条件で試験用二次電池を用いた試験を実施することによって、取得することができる。かかる試験は、試験用二次電池について、車両での実使用を10年程度あるいは25年程度続けた場合の抵抗増加率を予測できるように設定され得る。ここで、当該試験で用いる試験用二次電池の初期状態における抵抗値をR0、試験において予め定められた期間Tの通電をした後の該試験用二次電池の抵抗値R1とすると、上記劣化係数は、例えば、単位時間当たりの抵抗増加率であり、
下記式(2):
劣化係数=(R1/R0-1)/√T (2)
により算出され得る。なお、上記試験の諸条件は、後述の試験例を参照されたい。
以下、試験用二次電池を用いた試験の方法(即ち、劣化推定マップMP1の作成方法)の一例について、本発明者らの検討結果とともに説明する。
<試験例1:非水電解液二次電池の劣化に対する内圧の影響>
試験例1では、内圧が正圧になるように調整された評価用二次電池と、内圧が負圧になるように調整された評価用二次電池とを用意して通電試験を行い、抵抗増加率の時間推移を評価した。
<1.評価用二次電池の作製>
まず、評価用二次電池を用意した。
正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、正極活物質:AB:PVDF=94:3:3の質量比でN-メチルピロリドン(NMP)中でプラネタリミキサを用いて混合し、正極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを厚み15μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥した。その後、これをプレスすることにより正極シートを作製した。また、負極活物質としての天然黒鉛(C)と、バインダとしてのスチレンブタジエンラバー(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、C:SBR:CMC=98:1:1の質量比においてイオン交換水中で混合して、負極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、厚み10μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥した。その後、これをプレスすることにより負極シートを作製した。また、2枚のセパレータシート(厚さ20μmのPP/PE/PPの三層構造の多孔質ポリオレフィンシートに耐熱層を形成させたセパレータシート)を用意した。
作製した正極シートと負極シートと用意した2枚のセパレータシートとを重ね合わせ、捲回して捲回電極体を作製した。作製した捲回電極体の正極シートと負極シートにそれぞれ電極端子を溶接して取り付けた。これを、注液口を有する電池ケースに収容した。続いて、電池ケースの注液口から非水電解液を注入し、当該注液口を気密に封止した。ここで、電解液の注液から注液孔の封止までのタイミングを異ならせることによって、内圧が相互に異なる評価用二次電池(以下、「サンプル電池」ともいう。)を作製した。
なお、非水電解液には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート(EMC)とを30:40:30の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.2Mの濃度で溶解させたものを用いた。なお、電解液には、添加剤としてP1を0.08MとLiBOB(リチウムビスオキサレートボラート)を0.023Mの濃度で含ませた。
<2.内圧の測定>
上記サンプル電池の内圧を測定した。図7は、電解液の注液から封止までの時間と内圧の相関関係を示すグラフである。図7中、点線は大気圧を示している。即ち、該点線よりも高い内圧が正圧を示しており、該点線よりも低い内圧が負圧を示している。また、内圧は、上記サンプル電池の側面に圧力センサを取り付け、該圧力センサで検知された電圧を内圧に変換することによって測定した。
<3.初期抵抗の測定>
次いで、サンプル電池の初期抵抗を取得した。サンプル電池を初期充電した後、60℃の恒温槽にて24時間保存した。サンプル電池に対して、130Aの電流値で10秒間の放電を行い、放電開始から10秒後の電圧値を測定し、初期抵抗を算出した。初期抵抗は、1つのサンプル電池を25℃、-10℃、-30℃、および-40℃の温度環境下において、各温度に対してサンプル電池のSOCを10%、20%、30%、および60%に調整し、上記の放電を行うことによって得られた。なお、電池内圧および電極体への電解液の含浸状態については言及しないが、以下の試験例において、サンプル電池の抵抗値を取得する場合は、上記サンプル電池の初期抵抗を取得する手順を用いて行った。以下の試験例においては、上記のようにして得られたそれぞれの抵抗値に対する抵抗増加率を取得した。
<4.通電試験>
上記のように調整したサンプル電池の中から、内圧が正圧であるものと負圧であるものとをそれぞれ選んだ。これらのサンプル電池のSOCを60%に調整して、40℃の試験温度環境下に置いて、予め定められたサイクルパターンにて、サンプル電池のサイクル試験(即ち、通電)を行った。20サイクルに1回、サンプル電池の抵抗値を測定した。測定条件は、上記初期抵抗の測定と同様の手順であるが、測定時の温度を25℃、SOCを56%とした。そして、非水電解液二次電池を10年間、もしくは25年間通常使用した場合に相当するまでのサイクル数まで通電および抵抗値の取得を行った。得られた抵抗値から、上記式(2)を用いて抵抗増加率(即ち、劣化係数の一例)を算出した。図8は、試験例1における抵抗増加率の時間推移を示すグラフの一例である。試験例1では、内圧が負圧に調整されたサンプル電池は2つ用意されており、両サンプル電池の試験結果も図8に示されている。
図8に示されるように、時間経過とともに、サンプル電池の抵抗増加率は増加した。また、内圧が負圧となるように調整されたサンプル電池の単位時間当たりの抵抗増加率の増加度合いは、内圧が正圧となるように調整されたサンプル電池のそれよりも大きくなることが確認された。
<試験例2:電極体への電解液の含浸状態の影響>
試験例2では、内圧が負圧になるように調整されたサンプル電池であって、電極体への電解液の含浸状態が異なるように調整されたサンプル電池を用意して通電試験を行い、抵抗増加率の時間推移を評価した。本試験例では、電極体への電解液の含浸率が30%未満になるように調整されたサンプル電池(即ち、含浸初期のサンプル電池)、電極体への電解液の含浸率が30%以上70%未満になるように調整されたサンプル電池(即ち、含浸中期のサンプル電池)、および、電極体への電解液の含浸率が70%以上になるように調整されたサンプル電池(即ち、含浸末期のサンプル電池)、をそれぞれ用意した。電解液の含浸状態(含浸率)を所望の状態に調整するために、SOCが60%に調整されたサンプル電池を25℃の温度条件に所定の期間静置した。電解液の含浸率は、上述のとおり超音波測定により得た。これらのサンプル電池を使用したこと以外は上記試験例1の手順と同様にして、これらのサンプル電池の抵抗増加率の時間推移を得た。図9は、試験例2における抵抗増加率の時間推移を示すグラフの一例である。
図9に示されるように、時間経過とともに、サンプル電池の抵抗増加率は増加した。抵抗増加率の増加度合いは、電極体への電解液の含浸率が進行度合いと相関することが確認された。即ち、含浸末期となるように調整されたサンプル電池における経時的な抵抗増加率の増加度合いが最も大きく、含浸初期となるように調整されたサンプル電池における経時的な抵抗増加率の増加度合いが最も小さいことが確認された。
上記試験例1に示されるとおり、サンプル電池の単位時間当たりの抵抗増加率の増加度合いは、内圧の影響を受けている。そのため、マップ情報記憶部305に記憶される劣化推定マップMP1は、非水電解液二次電池100の初期状態における内圧に基づいて選定されてもよい。
マップ情報記憶部305は、劣化推定マップMP1の他、該劣化推定マップに基づいて導き出される非水電解液二次電池100の劣化状態に基づいて、非水電解液二次電池100の充放電の制御値を決定する制御マップMP2をさらに記憶してもよい。制御マップMP2は、一例として、上記温度(Tb)と上記劣化状態とに基づいて、最大入力電流値および/または最大出力電流値を規定するものであり得る。この場合、制御マップMP2は、縦軸に電池温度またはSOC、横軸に非水電解液二次電池100の劣化量D(詳しくは後述)が設定されたマトリックスで構成されるとよく、マトリックスに、非水電解液二次電池100の充放電の制御値が記録されているとよい。
劣化状態推定部306は、マップ情報記憶部305に記憶された劣化推定マップMP1を参照し、非水電解液二次電池100の劣化状態を推定するように構成されている。この際、劣化状態推定部306は、検知部310で検知された非水電解液二次電池100の温度(Tb)、およびSOC取得部304で得られた非水電解液二次電池100のSOCを参照する。さらに、劣化状態推定部306は、図示されないタイマーが取得する時間情報に基づいて、所定期間内における非水電解液二次電池100の劣化量Dを算出するように構成されている。
初期情報記憶部307は、非水電解液二次電池100の初期状態の状態を記憶している。例えば、電極体への電解液の含浸状態、必要に応じて非水電解液二次電池100の内圧を記憶するように構成されている。
制御部308は、マップ情報記憶部305、劣化状態推定部306、および初期情報記憶部307と連携して、充放電手段200による、非水電解液二次電池100の充放電を制御するように構成されている。以下、適宜図1,10を参照しつつ、ここで開示される制御装置を用いて非水電解液二次電池の充放電を制御する方法を説明する。図10は、一実施形態に係る制御装置を用いた制御方法を説明するフロー図である。
制御部308による二次電池100の制御方法は、図10に示されるように、劣化推定マップMP1を選択すること(ステップS1)、制御の対象となる非水電解液二次電池100の基本情報を取得すること(ステップS2,3)、劣化推定マップMP1および上記基本情報に基づいて非水電解液二次電池100の劣化状態を推定すること(ステップS4)、および推定された非水電解液二次電池100の劣化状態に基づく充放電制御を行うこと(ステップS5)、を包含する。ステップS1では、非水電解液二次電池100の初期状態における電極体への電解液の含浸状態に基づいて、参照される劣化推定マップMP1を選定する。例えば、初期情報記憶部307に予め入力された、上記初期状態における電極体への電解液の含浸率に基づいて、複数の劣化推定マップMP1のうち制御対象となる非水電解液二次電池100に適した劣化推定マップMP1が選定される。
ステップS2では、予め定められたサンプリング期間内において、第1検知部は、非水電解液二次電池100を流れる電流値(Ib)を検知し、第2検知部は、非水電解液二次電池100にかかる電圧値(Vb)を検知し、第3検知部は、非水電解液二次電池100の温度(Tb)を検知する。上記サンプリング期間は、特に限定するものではないが、数分~数時間、数秒~十数秒、あるいは数ミリ秒~数百ミリ秒に設定することができる。当該サンプリング期間に検知された情報は、制御装置300のメモリに一時的に記憶される。
ステップS3において、SOC取得部304は、ステップS2で検知された情報に基づいて、非水電解液二次電池100のSOCを取得する。取得されたSOCの情報は、制御装置300のメモリに一時的に記憶される。なお、ステップS2およびステップS3では、上記サンプリング期間のなかで、ある温度(Tb)に対応するSOCと、これらの持続時間tが取得される。温度(Tb)および/またはSOCの変化に応じて、温度(Tb1,2,3,・・・n)、SOC1,2,3,・・・n、および持続時間t1,2,3,・・・nが取得される(nは、1以上の整数。以下同じ)。
ステップS4において、劣化状態推定部306は、マップ情報記憶部305に記憶された劣化推定マップMP1を参照して、非水電解液二次電池100の劣化状態を推定する。一例として、劣化状態推定部306は、ステップS2およびステップS3で取得された温度(Tb)およびSOCに対応する劣化係数に、当該温度(Tb)および当該SOCが持続された期間tを乗じて、当該期間内の劣化量dを算出する。そして、劣化量dを積算することによって、上記サンプリング期間内における非水電解液二次電池100の劣化量Dを算出する。
ステップS5において、劣化量Dに基づく非水電解液二次電池100の充放電制御を行う。一例として、マップ情報記憶部305に記憶された制御マップMP2を参照して、非水電解液二次電池100の充放電手段200による充放電を制御する。具体的には、制御マップ2を参照して、上記サンプリング期間内において最も持続時間が長い温度(Tb)またはSOC、および算出された劣化量Dの情報から、非水電解液二次電池100の充放電の制御値を得ることができる。制御部308は、当該制御値に基づいて非水電解液二次電池100の充放電を制御し得る。
ここで開示される制御装置は、正極シートと負極シートとがセパレータを介して重ねられた電極体と、電解液とが電池ケースに収容された非水電解液二次電池の劣化状態を推定する制御装置である。当該制御装置は、非水電解液二次電池の初期状態における電極体への電解液の含浸状態に基づいて選定された、非水電解液二次電池の劣化を推定するための劣化推定マップを記憶している。この劣化推定マップに基づいて、非水電解液二次電池の劣化状態を推定するように構成されている。このような制御装置を用いると、電極体および電解液が電池ケース内に収容された構成の非水電解液二次電池について、使用中の劣化状態をより高い精度で推定することができる。
以上、本発明の一実施形態を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記実施形態では、マップ情報記憶部に複数の劣化推定マップを記憶させておき、初期状態における非水電解液二次電池の電極体への電解液の含浸状態に対応するように使用する劣化推定マップを選定する構成であるが、これに限定されない。マップ情報記憶部に、基準となる劣化推定マップを記憶させておき、初期状態における非水電解液二次電池の電極体への電解液の含浸状態に対応するように適宜補正してもよい。例えば、マップ情報記憶部に、基準となる劣化推定マップを補正するための補正マップを記憶させることができる。補正マップには、補正係数(劣化係数補正)が記載されているとよい。例えば、劣化係数マップのそれぞれの温度およびSOCで補正係数を算出し、補正マップに記録することができる。ここで、補正係数は、例えば、以下の式(3):
補正係数=劣化傾き(負圧)/劣化傾き(正圧) (3)
に基づいて得ることができる。上記劣化傾き(負圧)は、以下の式(4):
劣化傾き(負圧)=(R1(負圧)/R0(負圧)-1)/√T(R1測定時)(4)
に基づいて得ることができる。上記劣化傾き(正圧)は、以下の式(5):
劣化傾き(正圧)=(R1(正圧)/R0(正圧)-1)/√T(R1測定時)(5)
に基づいて得ることができる。
また、例えば、許容される最大劣化量Dmaxを予め定めておき、上記のとおり算出された劣化量Dが最大劣化量Dmax以上となったときに、充放電制御が行われるように構成してもよい。この場合、制御装置のメモリに最大劣化量Dmaxをあらかじめ記憶させておき、劣化量Dが最大劣化量Dmax以上となったときに、制御の対象となる非水電解液二次電池の充放電の制御値が得られるように構成された制御マップを参照するとよい。かかる制御マップの一例として、上記実施形態の制御マップMP2の横軸に最大劣化量Dmaxを記録した制御マップMP3が挙げられる。制御マップMP3を使用した制御方法は、劣化量Dが最大劣化量Dmax以上となったときに、参照されることを除いて、上記実施形態における、制御マップMP2を使用した制御方法と同様である。なお、劣化量Dが最大劣化量Dmax未満の場合は、非水電解液二次電池の充放電は制御されず、図10のステップS2に戻る。
1 二次電池システム
100 非水電解液二次電池
200 充放電手段
300 制御装置
301 第1検知部
302 第2検知部
303 第3検知部
304 SOC取得部
305 マップ情報記憶部
306 劣化状態推定部
307 初期情報記憶部
308 制御部

Claims (7)

  1. 正極シートと負極シートとがセパレータを介して重ねられた電極体と、電解液とが電池ケースに収容された非水電解液二次電池の劣化状態を推定する制御装置であって、
    前記非水電解液二次電池の初期状態における前記電極体への前記電解液の含浸状態に基づいて選定された、前記非水電解液二次電池の劣化を推定するための劣化推定マップを記憶しており、
    前記劣化推定マップに基づいて、前記非水電解液二次電池の劣化状態を推定するように構成された、制御装置。
  2. 前記劣化推定マップには、前記非水電解液二次電池の温度とSOCと劣化係数との関係が記録されている、請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記劣化推定マップに基づいて導き出される前記非水電解液二次電池の劣化状態に基づいて、前記非水電解液二次電池の充放電の制御値を決定する制御マップをさらに記憶しており、
    前記劣化推定マップに基づいて推定された劣化状態と前記制御マップとに基づいて前記非水電解液二次電池の充放電を制御するように構成された、請求項1または2に記載の制御装置。
  4. 前記制御装置は、
    複数の劣化推定マップが予め記憶されており、
    制御対象となる非水電解液二次電池の前記初期状態における前記電極体への前記電解液の含浸状態に基づいて、前記複数の劣化推定マップのうち当該制御対象となる非水電解液二次電池に適した前記劣化推定マップが選定されるように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載された制御装置。
  5. 前記制御装置は、
    基準となる劣化推定マップと、
    前記基準となる劣化推定マップを補正する複数の補正マップと
    が予め記憶されており、
    制御対象となる非水電解液二次電池の前記初期状態における前記電極体への前記電解液の含浸状態に基づいて、前記複数の補正マップのうち前記基準となる劣化推定マップを補正するための補正マップが選定されるように構成されている、請求項1から3のいずれかに記載の制御装置。
  6. 前記劣化推定マップは、さらに前記非水電解液二次電池の前記初期状態における内圧に基づいて選定されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
  7. 正極活物質層を含む正極シートと負極活物質層を含む負極シートとがセパレータを介して重ねられた電極体と、電解液と、前記電極体および前記電解液を収容する電池ケースと、を備える非水電解液二次電池、
    前記非水電解液二次電池の充電と放電とを行う充放電手段、および、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置、
    を備える、二次電池システム。
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