JP7208544B2 - モールドパウダー及び中炭素鋼の製造方法 - Google Patents
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本実施形態のモールドパウダーは、SiO2とCaOを主成分として含み、CaOのSiO2に対する質量比(CaO/SiO2)が1.1以上2.5以下であり、K2Oの含有量は1.0~10.0質量%であり、Na2OとLi2Oの含有量の合計は1.0~18.0質量%であり、F、MgO、Al2O3及びトータルカーボンの含有量はそれぞれ3.0~15.0質量%、0.5~3.0質量%、0.5~10.0質量%及び1.0~20.0質量%であり、1300℃における粘度が0.04~0.7Pa・sであり、結晶化温度が1080~1280℃であり、初晶種がカスピダイン(Cuspidine:3CaO・2SiO2・CaF2)である。
モールドパウダーはSiO2とCaOを主成分として含有する。CaOのSiO2に対する質量比(CaO/SiO2)は好ましくは1.1以上2.5以下であり、より好ましくは1.2以上2.1以下である。質量比(CaO/SiO2)が1.1未満だとスラグフィルム中の結晶量が少なく、十分な緩冷却効果が得られない。一方、質量比(CaO/SiO2)が2.5を超えるとスラグの粘度が大きく低下し、スラグの液滴が離脱して溶鋼中に巻き込まれ、鋳片の欠陥になりやすい。さらに、カスピダインが減少し、カスピダイン以外の結晶が増加するため、十分な緩冷却効果が得られない。
K2Oの含有量は1.0~10.0質量%であり、好ましくは1.5~6.0質量%である。K2Oは同じアルカリ金属酸化物であるLi2O、Na2Oと同様に粘度、結晶化温度、表面張力を低下させる効果を有するが、粘度、結晶化温度の低下効果は最も小さく、表面張力の低下効果は最も大きい。即ち、K2Oは粘度、結晶化温度を大きく変化させずに表面張力だけを大きく低下させる。したがって、K2Oの含有量が上記の範囲であれば、表面張力の低下によってスラグの凝固シェルとモールドの間への流入を促進し、凝固シェルとモールドの間の潤滑を保持することができる。さらに、スラグの粘度、結晶化温度は大きく変化しないため、緩冷却を高い水準で維持でき、鋳片表面の割れを抑制することができる。K2Oの含有量が1質量%未満だと表面張力の低下効果が得られず、スラグの流入を促進できないため、凝固シェルとモールドの間の潤滑を保持できず、歩留まりが悪化しやすい。一方、K2Oの含有量が10.0質量%を超えるとスラグの粘度が大きく低下し、スラグの巻き込み欠陥になりやすい。さらに、カスピダインが減少するため、十分な緩冷却効果が得られない。
Na2OとLi2Oの含有量の合計は1.0~18.0質量%であり、好ましくは3.0~14.0質量%である。Na2OやLi2Oはスラグの表面張力を低下させる効果を有するが、その効果はK2Oより小さい。スラグの表面張力を十分低下させるためにNa2OやLi2Oを過剰に添加すると、スラグの結晶化が阻害され、十分な緩冷却効果が得られなかったり、スラグの粘度が大きく低下し、スラグの巻き込み欠陥になりやすい。Na2OとLi2Oの含有量の合計が1.0質量%未満だとスラグの凝固温度が高くなり、凝固シェルとモールドの間の潤滑を損ねる。一方、Na2OとLi2Oの含有量の合計が18.0質量%を超えるとスラグの粘度が大きく低下し、スラグの巻き込み欠陥や浸漬ノズルの溶損が増大する。
Fの含有量は3.0~15.0質量%であり、好ましくは5.0~14.0質量%である。Fの含有量が3.0質量%未満だと緩冷却効果を与えるスラグフィルム中のカスピダインの析出が不足し、カスピダイン以外の結晶が増大する。一方、Fの含有量が15.0質量%を超えるとスラグの粘度が大きく低下し、スラグの巻き込み欠陥や浸漬ノズルの溶損が増大する。
MgOの含有量は0.5~3.0質量%であり、好ましくは0.8~2.5質量%である。MgO含有量が3.0質量%を超えるとカスピダインの析出が著しく低下し、緩冷却効果が得られない。
Al2O3の含有量は0.5~10.0質量%であり、好ましくは1.0~6.0質量%である。Al2O3の含有量が10.0質量%を超えるとカスピダインが析出し難くなり、高融点結晶であるゲーレナイトの析出が増大し、溶融性状の不良や不均一抜熱が生じる。
トータルカーボンの含有量は1.0~20.0質量%であり、より好ましくは2.0~12.0質量%である。トータルカーボンの含有量が1.0質量%未満だと滓化速度が過剰に大きくなり、モールド内のスラグの溶融層が過剰に厚くなるため、スラグベアが生成したり、スラグが湯面センサーに付着し、破損することもある。一方、トータルカーボンの含有量が20質量%を超えると滓化速度が小さくなり、スラグの溶融層の厚みが不足し、溶鋼表面の保温不足、凝固シェルとモールドの間の潤滑不足、溶鋼への未溶融モールドパウダーの巻き込み等の操業異常が生じる。
1300℃におけるスラグの粘度は0.04~0.7Pa・sであり、好ましくは0.04~0.50Pa・sである。1300℃におけるスラグの粘度が0.04Pa・s未満だとスラグの巻き込み欠陥が増大し、1.0Pa・sを超えるとスラグの流入が減少し、潤滑不足となる。
モールドパウダーの結晶化温度は1080~1280℃であり、好ましくは1100~1220℃である。スラグの結晶化温度が1080℃未満だと凝固シェルの緩冷却効果が不十分で鋳片表面に割れが生じやすくなる。一方、スラグの結晶化温度が1280℃を超えると結晶層が過剰に厚くなるため、スラグの流入が減少し、凝固シェルが破断し、ブレークアウトが生じやすくなる。
初晶種はカスピダイン(Cuspidine:3CaO・2SiO2・CaF2)であることが必要である。カスピダイン以外の結晶が初晶種であると、緩冷却効果が得られない。
1300℃におけるスラグの表面張力は190~300mN/mであり、好ましくは210~280mN/mである。スラグの表面張力が300mN/mを超えるとスラグの凝固シェルとモールドの間への流入が少なく、潤滑不足や不均一抜熱、緩冷却不足等が生じる。さらに、結晶化が促進されず緩冷却が不足し、鋳片割れが生じやすい。表面張力は低いほど好ましいが、190mN/m未満だと、粘度、結晶化温度等、他の特性が中炭素鋼を鋳造するのに不適となる。
本実施形態のモールドパウダーの原料はCaO-SiO2基材原料、シリカ原料、K2O原料、フラックス原料、炭素原料、及び/又はその他の原料で構成される。CaO-SiO2基材原料としては、例えば、合成珪酸カルシウム、ウォラストナイト、リンスラグ、高炉スラグ、ダイカルシウムシリケート、炭酸カルシウム、石灰石、生石灰、ポルトランドセメント等のセメント類等が挙げられる。シリカ原料としては、例えば、パーライト、フライアッシュ、珪砂、長石、珪石、珪藻土、ガラス粉、シリカフューム、シリカフラワー等が挙げられる。K2O原料としては、例えば、炭酸カリウム、硝酸カリウム、カリウム長石、炭酸水素カリウム、カリウム氷晶石、フッ化カリウム、又はこれらを含む合成原料等が挙げられる。フラックス原料は、軟化点、粘度及び/又は結晶化温度を調整する役割を有し、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、氷晶石、蛍石、フッ化マグネシウム等の弗化物、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、ホウ酸、ホウ砂、コレマナイト等が挙げられる。炭素原料は、溶融速度を調整する役割を有し、例えば、コークス、グラファイト、カーボンブラック等が挙げられる。その他の原料としては、マグネシア、アルミナ等が挙げられる。モールドパウダーの形態は特に限定されず、例えば、粉末、押し出し成形顆粒、中空スプレー顆粒、撹拌造粒等が挙げられる。
本実施形態の中炭素鋼の製造方法は、中炭素鋼を連続鋳造する工程を有し、中炭素鋼はカーボン濃度が0.08~0.25質量%であり、前記工程において本実施形態のモールドパウダーを用いる。
モールドパウダー(スラグ)及び連続鋳造の結果について、以下の項目の評価を行った。
モールドパウダー(スラグ)の粘度を、球引き上げ法により測定した。即ち、1300℃のスラグ中に直径10mmの白金球を吊り下げ、0.85cm/sの速さで白金球を引き上げたときの荷重から粘度を求めた。
モールドパウダーの結晶化温度を、示差熱法により測定した。即ち、約150gのモールドパウダーを昇温して溶融した後、4℃/minで降温させながらモールドパウダー(スラグ)の温度を測定し、発熱を開始したときの温度を結晶化温度とした。
モールドパウダー(スラグ)の初晶種を、X線回折法により同定した。
モールドパウダー(スラグ)の表面張力を、リング法により測定した。即ち、1300℃のスラグ中に直径10mmの白金リングを浸漬し、0.85cm/sの速さで白金リングを引き上げ、白金リングがスラグ液面から離れて液滴が切断する瞬間に示す最大荷重から表面張力を求めた。
鋳片表面割れ種類を、鋳片表面の目視観察により調査した。
鋳片熱延後に発生した鋳片割れを、割れによる格落ち率により評価した。即ち、格落ち率が2%未満の場合「優:◎」、2~5%の場合「良:○」、5~10%の場合「可:△」、10%以上の場合「不可:×」と評価した。
操業安定性(拘束発生の有無)を、連続鋳造の操業に問題がなかった場合「問題なし:○」、潤滑不足による鋳片拘束が発生した場合「問題有り:×」と評価した。
Claims (7)
- SiO2とCaOを主成分として含み、
CaOのSiO2に対する質量比(CaO/SiO2)が1.1以上2.5以下であり、
K2Oの含有量は2.0~10.0質量%であり、
Na2OとLi2Oの含有量の合計は1.0~18.0質量%であり、
F、MgO、Al2O3及びトータルカーボンの含有量はそれぞれ3.0~15.0質量%、0.5~3.0質量%、0.5~10.0質量%及び1.0~6.2質量%であり、
1300℃における粘度が0.04~0.7Pa・sであり、
結晶化温度が1080~1280℃であり、
初晶種がカスピダイン(Cuspidine:3CaO・2SiO2・CaF2)であることを特徴とするモールドパウダー。 - SiO2とCaOを主成分として含み、
CaOのSiO2に対する質量比(CaO/SiO2)が1.1以上1.31以下であり、
K2Oの含有量は2.0~10.0質量%であり、
Na2OとLi2Oの含有量の合計は1.0~18.0質量%であり、
F、MgO、Al2O3及びトータルカーボンの含有量はそれぞれ3.0~15.0質量%、0.5~3.0質量%、0.5~10.0質量%及び1.0~20.0質量%であり、
1300℃における粘度が0.04~0.7Pa・sであり、
結晶化温度が1080~1280℃であり、
初晶種がカスピダイン(Cuspidine:3CaO・2SiO2・CaF2)であることを特徴とするモールドパウダー。 - SiO2とCaOを主成分として含み、
CaOのSiO2に対する質量比(CaO/SiO2)が1.1以上2.5以下であり、
K2Oの含有量は8.0~10.0質量%であり、
Na2OとLi2Oの含有量の合計は1.0~18.0質量%であり、
F、MgO、Al2O3及びトータルカーボンの含有量はそれぞれ3.0~15.0質量%、0.5~3.0質量%、0.5~10.0質量%及び1.0~20.0質量%であり、
1300℃における粘度が0.04~0.7Pa・sであり、
結晶化温度が1080~1280℃であり、
初晶種がカスピダイン(Cuspidine:3CaO・2SiO2・CaF2)であることを特徴とするモールドパウダー。 - SiO2とCaOを主成分として含み、
CaOのSiO2に対する質量比(CaO/SiO2)が1.1以上2.5以下であり、
K2Oの含有量は1.0~10.0質量%であり、
Na2OとLi2Oの含有量の合計は1.0~18.0質量%であり、
F、MgO、Al2O3及びトータルカーボンの含有量はそれぞれ3.0~4.5又は11.5~15.0質量%、0.5~3.0質量%、0.5~10.0質量%及び1.0~20.0質量%であり、
1300℃における粘度が0.04~0.7Pa・sであり、
結晶化温度が1080~1280℃であり、
初晶種がカスピダイン(Cuspidine:3CaO・2SiO2・CaF2)であることを特徴とするモールドパウダー。 - SiO2とCaOを主成分として含み、
CaOのSiO2に対する質量比(CaO/SiO2)が1.1以上2.5以下であり、
K2Oの含有量は2.0~10.0質量%であり、
Na2OとLi2Oの含有量の合計は1.0~18.0質量%であり、
F、MgO、Al2O3及びトータルカーボンの含有量はそれぞれ3.0~15.0質量%、0.5~3.0質量%、5.2~10.0質量%及び1.0~20.0質量%であり、
1300℃における粘度が0.04~0.7Pa・sであり、
結晶化温度が1080~1280℃であり、
初晶種がカスピダイン(Cuspidine:3CaO・2SiO2・CaF2)であることを特徴とするモールドパウダー。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のモールドパウダーにおいて、
1300℃における表面張力が190~300mN/mであることを特徴とするモールドパウダー。 - 中炭素鋼を連続鋳造する工程を有し、
前記中炭素鋼はカーボン濃度が0.08~0.25質量%であり、
前記工程において、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のモールドパウダーを用いることを特徴とする中炭素鋼の製造方法。
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