JP7213751B2 - コンクリート構造物の補強防食構造及び補強防食方法 - Google Patents
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Description
一方、コンクリートの劣化が塩害による場合等では、補修又は補強を行っても、その後に再び劣化が進行するおそれがある。このため塩害等による鉄筋の腐食を抑えるために、電極をコンクリート構造物に取り付け、鉄筋との間に電圧を印加する電気防食を施すことが行われている。
特許文献1に記載されているコンクリート構造物の補強及び防食方法は、繊維強化樹脂を格子状に形成したFRP格子材と網状の電気防食電極とを重ね合わせた補強・防食材を用いるものである。この補強・防食材をコンクリート構造物の表面に締結具を用いて固定し、セメントモルタルで被覆するものとしている。
また、特許文献2に記載のコンクリート構造物の補強防食施工方法は、構造物を補強する高強度の合成樹脂繊維で形成された補強部と、導電性を有する金属を含み、電極として機能する電極部と、を連続するシートに織った補強防食シートを用いるものである。この補強防食シートをコンクリート構造物の表面に固着するものとなっている。
特許文献1に記載されるように補強材と電気防食電極とを重ね合わせた補強・防食材を用いる方法では、補強・防食材を締結具又はセメントモルタルでコンクリート構造物に固着することになる。つまり、鉄筋と電気防食電極との間の防食電流を維持するためには、電気防食電極はモルタル又はセメントペーストを介してコンクリート構造物に付着させる必要がある。しかし、補強材はモルタル等による被覆ではコンクリート構造物への付着強度が不足することがあり、付着強度が不足するときには多数の締結具が必要になる。このため、補強・防食材を固定するための作業量が多くなってしまう。
一方、特許文献2に記載されているように、補強部と電極部とに領域を分けたシートをコンクリート構造物に貼り付ける方法では、電極部をセメントモルタルによってコンクリート構造物に密着させ、補強部は合成樹脂接着剤を用いて強固に貼り付けることができる。しかし、電極部が当接される部分を除外して合成樹脂接着剤をコンクリート構造物に塗布するために、電極部が当接される部分のマスキングが繰り返し必要となり、作業性が良好ではない。
前記陽極部材と前記鉄筋との間に直流電圧が印加されており、 前記補強繊維シートは、帯状となった前記陽極部材の軸線方向に連続してコンクリート構造物を補強する補強繊維が、前記陽極部材に重ねられる領域では、前記陽極部材の側方となる領域より粗に織られたものであるコンクリート構造物の補強防食構造を提供する。
一方、補強繊維シートの補強繊維が構造物に作用する引張力を負担するときに、補強繊維とコンクリート構造物の表面との間で、補強繊維の軸線方向にずれようとする力つまりせん断力が作用する。補強繊維は陽極部材の上に重ね合わされる部分では粗に織られている。これにより、コンクリート構造物の表面からモルタル層又はセメントペースト層及び陽極部材を介して補強繊維に伝達される上記せん断力は低減され、陽極部材の剥離が抑制される。
図1は、本発明の補強防食構造を適用することができるコンクリート構造物の一例であって、コンクリートからなる橋桁を示す概略側面図である。また、図2は図1に示す橋桁の概略断面図及びこの橋桁に本発明の補強防食構造を施した状態を示す底面図である。
この橋桁1は、2つの橋台2,3間に架け渡されており、断面形状は図2に示すように中空孔を有する版桁となっている。この実施の形態の補強防食構造は、上記橋桁1の底面に陽極部材11を貼り付け、さらに陽極部材11に重ねて補強繊維シート12を貼り付けるものである。そして、電源装置13から上記陽極部材11と橋桁に埋め込まれた鉄筋14との間に電圧を印加し、陽極部材11と鉄筋14との間に生じる微弱電流によって鉄筋の酸化を抑制する。また、この橋桁1は既に鉄筋14の腐食が生じて補強が必要となっており、陽極部材11に重ねて貼り付けた補強繊維シート12が橋桁1の下縁付近に作用する引張力の一部を負担し、橋桁1の曲げ強度を増大するものとなっている。
テープ状となった陽極部材11は、幅が5mm~100mm程度のものを用いるのが望ましく、10mm~60mmとするのがより望ましい。また厚さは、貼り付ける表面に多少の凹凸があっても容易に密着させることができる程度に柔軟に変形が可能な厚さとするのが望ましい。
なお、橋桁1の底面は、劣化が生じているときには、劣化している部分をはつり取り、モルタル又はコンクリートで修復しておく。
なお、上記補強繊維シート12では、陽極部材11と重ね合わされる中央部分Aで、補強繊維からなる縦糸の間隔を粗にしているが、陽極部材11と重ね合わされる部分で縦糸の間隔を同一又は粗くし、縦糸を構成するアラミド繊維の数が両側の部分で用いる糸より少ない細い糸を用いるものであってもよい。
なお、上記補強シート12を貼り付けるときに、合成樹脂接着剤が塗布されない部分Cを設けるのに代えて、陽極部材11が重ね合わされる領域の全域にも合成樹脂接着剤を塗布し、塗布後に透気孔を設けるものであってもよい。透気孔は、例えば流動性がなくなる程度まで合成樹脂接着剤が硬化した後に針等の先端が尖った部材を突き入れて形成することができる。
補強繊維シート12には、図4に示すように両側縁に沿って補剛部材16を仮に貼り付けておく。この補剛部材16は、補強繊維シート12の軸線方向に連続するものであって補強繊維シート12の面に沿った方向の曲げに対して曲げ剛性を有するものである。そして、板バネからなる弾性支持金具17を弾性的に湾曲させた状態で上記補剛部材16に両端部を接続し、弾性支持金具17の弾性反発力を2つの補剛部材16が互いに離隔する方向に作用させる。このような弾性支持金具17を補強繊維シート12の軸線方向に所定の間隔で取り付ける。弾性支持金具17を取り付ける間隔は、補剛部材16に大きな変形が生じることなく、補強繊維シート12に一様に近い状態で張力が幅方向に導入されるように設定することができる。
なお、補強繊維シート12の上に塗布され、紫外線を遮蔽する塗料は、陽極部材11の表面付近で発生する気体を解放するために透気性を有するものを用いるか、又は補強繊維シートを貼り付けるときに合成樹脂接着剤を塗布しなかった部分Cには上記塗料も塗布しないものとするのが望ましい。
例えば、上記実施の形態ではコンクリートの橋桁の補強及び防食を行うものであるが、補強及び防食の対象となるコンクリート構造物は橋桁に限定されず、橋脚、橋台、カルバート、桟橋、その他の電気防食が必要となる様々なコンクリート構造物について適用することができる。
陽極部材は、寸法、厚さ、材質等を、陽極部材として機能する範囲で適宜に選定することができるものである。また、補強繊維シートは、補強繊維としてアラミド繊維を使用し、横方向繊維にナイロン繊維を用いているが、これらに限定されるものではなく、他の繊維を用いるものであっても良い。縦糸は、例えば炭素繊維、鉱物繊維等を用いることができる。
この弾性支持金具18は、棒状の支持部材19と、この支持部材19に装着されて該支持部材19の軸線方向に移動が可能となった2つの可動アーム20と、それぞれの可動アーム20を互いに離隔する方向に力を付与するコイルばね21と、を有するものである。2つの可動アーム20をそれぞれ補強繊維シート12の両側縁付近に取り付けられた補剛部材16に係止し、コイルばね21の弾性反発力によって補強繊維シート12に幅方向の引張力を作用させるものとなっている。
11:陽極部材, 12:補強繊維シート, 12a:補強繊維, 12b:横方向繊維, 13:電源装置, 14:鉄筋, 15:セメントペースト層, 16:補剛部材, 17:弾性支持金具, 18:弾性支持金具, 19:支持部材, 20:可動アーム, 21:コイルばね
Claims (6)
- コンクリート構造物の補強と、該コンクリート構造物に使用されている鉄筋の電気防食とを行う補強防食構造であって、
該コンクリート構造物の表面に塗布されたモルタル層又はセメントペースト層の上に、帯状の陽極部材が貼り付けられ、
2方向に連続する繊維を織った補強繊維シートが、合成樹脂接着剤で前記陽極部材を覆うように該コンクリート構造物の表面に貼り付けられ、
前記陽極部材と前記鉄筋との間に直流電圧が印加されており、
前記補強繊維シートは、帯状となった前記陽極部材の軸線方向に連続してコンクリート構造物を補強する補強繊維が、前記陽極部材に重ねられる領域では、前記陽極部材の側方となる領域より粗に織られたものであることを特徴とするコンクリート構造物の補強防食構造。 - 前記補強繊維シートは、前記陽極部材の軸線を横切る方向に連続する横方向繊維が、前記補強繊維より引張力に対する弾性係数の小さいものであり、
前記補強繊維シートは、前記陽極部材を横切る方向に引張力が導入された状態で貼り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物の補強防食構造。 - 前記陽極部材に前記補強繊維シートが重ねられる領域では、該補強繊維シートと該陽極部材との間に前記合成樹脂接着剤が塗布されない部分が設けられているか、又は塗布された前記合成樹脂接着剤の層に複数の透気孔が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンクリート構造物の補強防食構造。
- コンクリート構造物の補強と、該コンクリート構造物に使用されている鉄筋の電気防食とを行う方法であって、
該コンクリート構造物の表面にモルタル又はセメントペーストを塗布し、形成されたモルタル層又はセメントペースト層の上に帯状の陽極部材を貼り付ける工程と、
2方向に連続する繊維を用いて織った補強繊維シートを、前記陽極部材を覆うように合成樹脂接着剤で該コンクリート構造物の表面に貼り付ける工程と、を有し、
前記補強繊維シートは、
帯状となった前記陽極部材の軸線方向に連続する補強繊維が、前記陽極部材に重ねられる領域では、前記陽極部材の側方となる領域より粗に織られたものを用い、
前記陽極部材と前記鉄筋との間に直流電圧を印加することを特徴とするコンクリート構造物の補強防食方法。 - 前記補強繊維シートは、
前記陽極部材の軸線を横切る方向に連続する横方向繊維の引張力に対する弾性係数が、前記補強繊維より小さいものを用い、
前記陽極部材の軸線を横切る方向に引張力を導入した状態で該コンクリート構造物に貼り付けることを特徴とする請求項4に記載のコンクリート構造物の補強防食方法。 - 前記補強繊維シートは、前記陽極部材より幅の広い帯状のものを用い、
該補強繊維シートの両側縁部に沿って棒状又は板状の補剛部材を取り付け、
変形した弾性部材の反発力によって両側縁部の前記補剛部材に互いに離隔する方向の力を付与して前記補強繊維シートに引張力を導入することを特徴とする請求項5に記載のコンクリート構造物の補強防食方法。
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