以下、図面を参照しながら各実施形態について説明する。解説済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付して重複する説明を省略し未解説の要素について主に述べる。
図1は、一実施形態に係るX線診断装置1の構成例を示すブロック図である。X線診断装置1は、X線高電圧装置2と、X線管3、X線検出器4、支持器5、および天板6を有する寝台と、計測器7と、画像発生回路8と、通信インタフェース9と、インタフェース10と、制御回路11と、記憶回路12と、ディスプレイ13とを備える。尚、計測器7は、必要に応じて取り外し可能である。
X線診断装置1は、例えば、血管造影検査などで用いられる循環器用X線透視診断装置などに相当する。また、X線診断装置1は、例えば、消化管造影検査などで用いられるX線透視診断装置などでもよい。
X線高電圧装置2は、X線制御回路21と、処理回路22と、記憶回路23とを備える。X線高電圧装置2は、X線管3に印加する管電流と、X線管3に印加する管電圧とを発生する。X線高電圧装置2は、X線制御回路21による制御のもとで、X線撮影およびX線透視にそれぞれ適した管電流をX線管3に印加し、X線撮影およびX線透視にそれぞれ適した管電圧をX線管3に印加する。尚、X線高電圧装置2は、支持器5の姿勢に関する情報を、支持器5から直接、或いは制御回路11などを介して取得してもよい。
X線制御回路21は、X線管3の制御に関するプロセッサである。X線制御回路21は、インタフェース10からX線照射条件を受け取る。X線制御回路21は、X線照射条件に基づいてX線管3を制御する。尚、X線照射条件は、例えばX線照射ごとの管電圧の値、管電流の値、および照射時間などを示す。
また、X線制御回路21は、支持器5の姿勢を表す情報に基づいて、X線管3の駆動部を制御してもよい。具体的には、X線制御回路21は、記憶回路23に記憶されたデータベースから、支持器5の姿勢に対応する陽極回転制御データを読み出す。そして、X線制御回路21は、陽極回転制御データに基づいてX線管3の回転陽極を駆動する(回転させる)駆動部への入力信号を制御する。尚、データベースには、Cアーム角度、陽極回転制御データ(回転周波数および電圧波形)、動作音データ、および騒音判定が対応付けられて格納されている。また、本実施形態では、「支持器5の姿勢」は、Cアームの角度(Cアーム角度)によって規定されるものとするがこれに限らない。
処理回路22は、ハードウェア資源として、プロセッサおよびメモリを備える。処理回路22は、操作者によりインタフェース10を介して入力された開始指示に応じて、記憶回路23に記憶された制御プログラムを読み出す。処理回路22は、読み出した制御プログラムに従って、X線管3を支持する支持器5の姿勢に起因する騒音を低減するための各機能を実行する。
処理回路22の各機能は、例えば、姿勢設定機能22a、収集機能22b、判定機能22c、更新機能22d、パラメータ設定機能22e、および取得機能22fなどがある。尚、姿勢設定機能22a、収集機能22b、判定機能22c、更新機能22d、およびパラメータ設定機能22eは、X線管3を支持する支持器5の姿勢に起因する騒音を低減するためのデータベースを構築する際に実行され、取得機能22fは、X線診断装置1の実運用時に実行される。
姿勢設定機能22aは、支持器5の姿勢を設定する。具体的には、姿勢設定機能22aは、データベースに格納されたCアーム角度を読み出し、読み出したCアーム角度の情報をX線制御回路21へと出力する。或いは、姿勢設定機能22aは、読み出したCアーム角度の情報を制御回路11へと出力する。
収集機能22bは、X線管3の陽極ブースト時の動作音を収集する。具体的には、収集機能22bは、例えば、X線制御回路21によるブースト開始の指示に基づいて動作音データの収集を開始し、X線管3をブーストしている期間(ブースト期間)において動作音データを収集する。収集機能22bは、収集した動作音データを姿勢設定機能22aで設定した角度と対応させてデータベースに記憶する。尚、収集機能22bは、動作音データに代わって振動データを取得してもよい。
本明細書における「ブースト」は、X線管3の回転陽極の回転周波数を、所望の回転周波数まで上げることを意味する。また、「ブースト期間」は、回転陽極の回転周波数を設定した時点から、回転陽極の回転周波数が安定するまでの期間を意味する。具体的には、「ブースト期間」は、例えば、回転陽極の回転周波数を、ゼロから60Hz(或いは、50Hz)まで上げる期間、ゼロから180Hz(或いは、150Hz)まで上げる期間、および60Hz(或いは、50Hz)から180Hz(或いは、150Hz)まで上げる期間に相当する。
判定機能22cは、収集機能22bで収集した動作音データが閾値を越えているか否かを判定することによって判定結果を出力する。具体的には、判定機能22cは、例えば、動作音データが閾値を越えている場合は「NG」の判定結果を出力し、動作音データが閾値を越えていない場合は「OK」の判定結果を出力する。尚、収集機能22bの判定方法は、これに限らず、ある閾値を一定期間超えている場合に「NG」の判定結果を出力するようにしてもよい。また、収集機能22bは、動作音データに代わって振動データを判定するようにしてよい。
更新機能22dは、判定機能22cによって判定された判定結果に基づいて、記憶回路23のデータベースを更新する。具体的には、更新機能22dは、例えば、「NG」の判定結果の場合には、データベースにおける騒音判定の欄に「NG」を入力し、「OK」の判定結果の場合には、データベースにおける騒音判定の欄に「OK」を入力する。
パラメータ設定機能22eは、陽極ブースト時のパラメータを設定する。具体的には、パラメータ設定機能22eは、デフォルトで設定されている回転周波数とは異なる回転周波数をパラメータとしてX線制御回路21に設定する。パラメータ設定機能22eで設定される回転周波数は、騒音が発生しない回転周波数のうち、デフォルトで設定されている回転周波数に近いものが望ましい。尚、パラメータは、電圧波形でもよく、回転周波数および電圧波形の両方でもよい。
取得機能22fは、支持器5の姿勢を取得する。取得機能22fは、例えば、支持器5の姿勢を表す情報を、X線制御回路21を介して、または制御回路11などを介して取得してもよい。
なお、処理回路22は、データベースに格納されている全ての姿勢で騒音を測定したか否かを判定してもよく、記憶回路23のデータベースを参照し、騒音判定に「NG」があるか否かを判定してもよい。
記憶回路23は、X線管3を支持する支持器5の姿勢に起因する騒音を低減するための制御プログラムを記憶している。また、記憶回路23は、X線管3の陽極回転を制御するためのデータベースを記憶している。
X線管3は、X線高電圧装置2から印加された管電流と、X線高電圧装置2から印加された管電圧とに基づいてX線を発生する。X線管3によって発生されたX線は、被検体Pに照射される。本実施形態におけるX線管3は、回転陽極型のX線管に相当する。
また、X線管3の回転陽極は、X線制御回路21が受け取ったパラメータに基づいて駆動する。具体的には、X線管3の回転陽極は、パラメータのうちの回転周波数に基づいて、回転が制御される。X線管3の回転陽極を駆動する(回転させる)ための回転周波数は、例えば、X線透視では60Hz(或いは、50Hz)が用いられ、X線撮影では180Hz(或いは、150Hz)が用いられる。しかしながら、回転周波数の値はこれらに限定されない。
また、X線管の回転陽極は、パラメータのうちの電圧波形に基づいて、回転が制御されてもよい。電圧波形は、通常は、電圧の立ち上がりを急峻にする(即ち、矩形波に近づける)ことでトルクを上げることができる。しかしながら、矩形波は、トルクが上げる分だけ、音が出やすくなる(即ち、騒音が発生しやすくなる)という傾向がある。そのため、騒音を低減したい場合は、電圧波形は、電圧の立ち上がりを緩やかに(例えば、サイン波に)すればよい。
図2において、X線管3を含むX線管装置の構成の一部が例示される。X線管装置は、固定子31および回転子32を有する駆動部と、ターゲット33と、フィラメント34とを備える。尚、X線管3は、通常、回転子32と、ターゲット33と、フィラメント34とによって構成されるが、説明の便宜上、固定子31も含む構成とする。即ち、本実施形態における「X線管」は、X線管装置の構成のうちのX線管以外の構成も含んでもよい。
固定子31は、X線高電圧装置2から図示しない回路を介して、駆動電力の供給を受ける。固定子31は、駆動電力の供給を受けて、回転磁界を発生させ、回転子32を回転させる。即ち、固定子31は、回転子32とともに誘導電動機(交流モータ)を構成する。
回転子32は、回転軸RA上にターゲット33を支持している。回転子32は、固定子31が発生させる回転磁界によって、回転軸RA回りに回転する。即ち、回転子32は、自身が回転することによってターゲット33を回転させる。
ターゲット33は、回転子32の回転軸RA上に支持される。ターゲット33は、回転子32が回転することによって、回転軸RA回りに回転する。
フィラメント34は、X線高電圧装置2から図示しない回路を介して、フィラメント電流の供給を受ける。フィラメント34は、フィラメント電流の供給を受けて加熱されることによって、熱電子を放出する。
X線検出器4は、X線管3から発生され、被検体Pを透過したX線を検出する。X線検出器4は、例えば、X線を検出することができるフラットパネルディテクタ(Flat Panel Detector:FPD)を備える。FPDは、複数の半導体検出素子を有する。半導体検出素子には、間接変換形と直接変換形とがある。間接変換形とは、入射X線を蛍光体などのシンチレータによって光に変換し、変換された光を電気信号に変換する形式である。直接変換形とは、入射X線を直接的に電気信号に変換する形式である。尚、X線検出器4として、イメージインテンシファイア(Imageintensifier)が用いられてもよい。
X線の入射に伴って複数の半導体検出素子で発生された電気信号は、図示しないアナログディジタル変換器(Analog to Digital converter:A/D変換器)に出力される。A/D変換器は、電気信号をディジタルデータに変換する。A/D変換器は、ディジタルデータを、画像発生回路8に出力する。
支持器5は、互いに対向配置されたX線管3およびX線検出器4を傾斜可能に支持する。具体的には、支持器5は、Cアームに相当する。尚、支持器5として、Cアームの代わりに、Ωアームが用いられてもよい。また、支持器5は、CアームおよびΩアームによる構造に限定されず、例えば、X線管3およびX線検出器4をそれぞれ独立に支持する2つのアーム(例えばロボットアームなど)による構造を有していてもよい。また、支持器5は、オーバーチューブ方式(over tube system)、およびアンダーチューブ方式(under tube system)などに限定されず任意の形態に適用可能である。
図3において、Cアーム装置の外観が例示される。図3は、X線管3とX線検出器4とがその端部に取り付けられたCアームを支持器5とするCアーム装置を示している。支持器5は、支持器ホルダ51を介してスタンド52に支持される。支持器ホルダ51の側面には、支持器5が矢印aの方向に対してスライド自在に取り付けられている。支持器ホルダ51は、スタンド52に対して矢印bの方向に回動自在に取り付けられている。X線検出器4は、X線管3とX線検出器4とを結ぶ撮影軸方向に(矢印eの方向に)スライド自在に取り付けられている。
図示しない床面に配置された床旋回アーム53の一方の端部は、床面に対して垂直な回動軸z1を中心に(矢印cの方向に)回動自在に取り付けられる。床旋回アーム53の他方の端部は、スタンド52が床面に対して垂直な回動軸z2を中心に(矢印dの方向に)回動自在に取り付けられている。
図4Aにおいて、Cアーム装置の基準位置の一例が示される。図4Aは、図3のCアーム装置を側面から見た図に相当する。また、図4Aは、図3のスタンド52を矢印cの方向に90度回転させ、図3の支持器ホルダ51を矢印bの方向に180度回転させた状態に相当する。従って、図4Aは、X線管3がX線検出器4の上方となるようにCアームを回転させている状態となっている。このとき、X線管3とX線検出器4とを結ぶ撮影軸L1は、床面に垂直となっている。
図4Bにおいて、Cアーム装置の支持器5を矢印aの一方向にスライドさせた一例が示される。具体的には、図4Bは、図4Aの状態のCアーム装置を基準として、X線管3が支持器ホルダ51へ近づく方向に支持器5をスライドさせている。スライド後のX線管3とX線検出器4とを結ぶ撮影軸L2は、撮影軸L1に対して角度-θだけ傾けられている。
図4Cにおいて、Cアーム装置の支持器5を矢印aの他方向にスライドさせた一例が示される。具体的には、図4Cは、図4Aの状態のCアーム装置を基準として、X線管3が支持器ホルダ51から離れる方向に支持器5をスライドさせている。スライド後のX線管3とX線検出器4とを結ぶ撮影軸L3は、撮影軸L1に対して角度θだけ傾けられている。
本実施形態では、支持器5を矢印a方向にスライドさせた場合の姿勢について述べる。そこで、Cアームの角度を、例えば、角度A~Gの7段階とする。具体的には、角度Aを-θ、角度Dをゼロ、および角度Gをθとし、角度B,Cは、-θからゼロの間の角度とし、角度E,Fは、ゼロからθの間の角度とする。
図示しない寝台は、被検体Pが載置される天板6(臥位テーブルとも言う)を有する。天板6には、被検体Pが載置される。
図示しない駆動装置は、例えば、制御回路11の制御によって、支持器5と寝台とをそれぞれ駆動する。X線透視時およびX線撮影時においては、X線管3とX線検出器4との間に、天板6に載置された被検体Pが配置される。また、駆動装置は、例えば、制御回路11の制御によって、X線管3および支持器5を駆動する。また、駆動装置は、制御回路11の制御のもとで、X線管3に対してX線検出器4を回転させてもよい。尚、駆動装置は、X線制御回路21の制御によって、X線管3および支持器5を駆動してもよい。
計測器7は、例えば騒音計に相当する。計測器7は、例えば、X線制御回路21の制御によって、X線管3の陽極ブースト時に発生する動作音を計測する。計測された動作音のデータ(動作音データ)は、例えば、時間と録音レベル(dB)とが対応付けられたものである。計測器7は、動作音データを記憶回路23へと記憶する。尚、計測器7は、振動計(或いは、加速度計)でもよく、X線管3の陽極ブースト時に発生する振動を計測してもよい。即ち、計測器7は、動作音に直接的に、または間接的に関係する事象を計測可能であればその形態を問わない。
画像発生回路8は、X線検出器4からA/D変換器を介して出力されたディジタルデータに基づいてX線画像を発生する。画像発生回路8は、発生したX線画像を記憶回路12および外部記憶装置(図示せず)などに出力する。
通信インタフェース9は、例えば、ネットワークおよび図示しない外部記憶装置に関する回路である。X線診断装置1によって得られたX線画像などは、通信インタフェース9およびネットワークを介して他の装置に転送可能である。
インタフェース10は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。インタフェース10は、制御回路11に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し制御回路11へと出力する。インタフェース10は、例えば、マウス等のポインティングデバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスに相当する。尚、インタフェース10は、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品に限定されない。例えば、X線診断装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、受け取った電気信号を種々の回路へ出力するような場合もインタフェース10の例に含まれる。インタフェース10は、入力インタフェースと呼んでもよい。
制御回路11は、X線診断装置1における各部、各回路、および駆動装置などを制御するプロセッサである。制御回路11は、インタフェース10から送られてくる操作者の指示などの情報を、図示しないメモリに一時的に記憶する。制御回路11は、メモリに記憶された操作者の指示などに従って、X線撮影およびX線透視を実行するために、X線検出器4および駆動装置などを制御する。また、制御回路11は、画像発生回路8におけるX線画像発生処理などを制御する。尚、制御回路11は、X線制御回路21の代わりに、インタフェース10からX線照射条件を受け取り、X線高電圧装置2を制御してもよく、処理回路22の各機能を実行してもよい。
記憶回路12は、画像発生回路8で発生された種々のX線画像、X線診断装置1のシステム制御プログラム、制御回路11において実行される診断プロトコル、インタフェース10から送られてくる操作者の指示、X線撮影に関する撮影条件およびX線透視に関する透視条件などの各種データ群、エラー情報、およびネットワークを介して送られてくる種々のデータなどを記憶する。
記憶回路12は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの電気的情報を記録するメモリと、そのメモリに付随するメモリコントローラやメモリインタフェースなどの周辺回路から構成される。メモリとしては、HDDに限らず、SSD(ソリッドステートドライブ)、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD、DVD、Blu-ray(登録商標)など)、および半導体メモリなどが適宜、使用可能となっている。
ディスプレイ13は、制御回路11による制御のもとで、例えば画像発生回路8によって発生されたX線画像を表示する。ディスプレイ13は、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイ、モニタ等の表示デバイスである。
(データベース構築の動作)
次に、以上のように構成されたX線診断装置1の動作について、図5のフローチャートおよび図6のデータベースを用いて説明する。以下の説明は、主に、X線管3を支持する支持器5の姿勢に起因する騒音を低減するためのデータベースを構築する動作について述べる。尚、図6のデータベースは、Cアーム角度、陽極回転制御データ(回転周波数および電圧波形)、動作音データ、および騒音判定が対応付けられて格納されている。
始めに、X線診断装置1を運用する前の据え付け作業時(或いは、点検時)に計測器7が取り付けられる。X線診断装置1は、操作者の指示により、X線管3に関する動作音を測定するためのプログラムが選択されると、プログラムの実行を開始することにより、ステップST11を開始する。
ステップST11において、姿勢設定機能22aは、支持器5を所望した姿勢に設定する。本実施形態では、姿勢は、例えば、図4A~Cに示すように、Cアームを一方向にスライドさせる場合を想定する。具体的には、姿勢設定機能22aは、Cアームの角度を所定の値に設定する。尚、姿勢は、上記に限定されず、Cアーム装置が取り得るどのような姿勢でもよい。
Cアームの角度が所定の値に設定された後、処理回路22は、X線管3の陽極を高速回転(陽極ブースト)させるようにX線制御回路21に指示する。陽極ブーストさせるパラメータは、例えば回転周波数および電圧波形である。
ステップST12において、収集機能22bは、X線管3の陽極ブースト時の動作音を収集する。具体的には、収集機能22bは、例えば、X線制御回路21によるブースト開始の指示に基づいて動作音データの収集を開始し、X線管3をブーストしている期間において動作音データを収集する。収集機能22bは、収集した動作音データをステップST11で設定した角度と対応させて記憶回路23に記憶する。
ステップST13では、判定機能22cは、ステップST12で収集した動作音データが閾値を越えているか否かを判定する。動作音データが閾値を越えていない場合には、処理はステップST14へと進み、そうでなければ、処理はステップST15へと進む。
ステップST14において、更新機能22dは、記憶回路23のデータベースにおける騒音判定の欄に「OK」を入力する。
ステップST15において、更新機能22dは、記憶回路23のデータベースにおける騒音判定の欄に「NG」を入力する。
ステップST16では、処理回路22は、全ての姿勢で動作音を測定したか否かを判定する。全ての姿勢で動作音を測定している場合には、処理はステップST17へと進む。そうでなければ、姿勢設定機能22aが異なる姿勢に支持器5を設定し、処理はステップST12へと戻る。
ステップST17では、処理回路22は、記憶回路23のデータベースを参照し、騒音判定に「NG」があるか否かを判定する。騒音判定に「NG」がある場合には、処理はステップST18へと進み、そうでなければ処理は終了する。
以上のステップST11からステップST15までの流れを、図6のデータベースを用いて説明する。姿勢設定機能22aは、支持器5をCアーム角度Bに設定する。その後、処理回路22は、Cアーム角度Bに対応する回転周波数f_1および電圧波形v_1をX線制御回路21に指示する。収集機能22bは、Cアーム角度B、回転周波数f_1、および電圧波形v_1の状態で陽極ブーストさせた際の動作音データS_Bを収集する。判定機能22cは、動作音データS_Bが閾値を越えたと判定し、更新機能22dは、騒音判定「NG」を入力する。尚、Cアーム角度Gの場合、騒音判定「NG」が入力されるまでの動作は同様である。
図7において、図5のステップST18における再測定処理のフローチャートが例示される。
ステップST21において、姿勢設定機能22aは、支持器5を指定した姿勢に設定する。具体的には、姿勢設定機能22aは、Cアームの角度を、記憶回路23のデータベースにおいて騒音判定に「NG」が入力されている角度に設定する。
ステップST22において、パラメータ設定機能22eは、陽極ブースト時のパラメータを設定する。具体的には、パラメータ設定機能22eは、デフォルトで設定されている回転周波数とは異なる回転周波数をパラメータとしてX線制御回路21に設定する。
ステップST23において、収集機能22bは、X線管3の陽極ブースト時の動作音を収集する。収集機能22bは、収集した動作音データをステップST21で設定した角度に対応させて記憶回路23に記憶する。
ステップST24では、判定機能22cは、ステップST23で収集した動作音データが閾値を超えているか否かを判定する。動作音データが閾値を超えていない場合には、処理はステップST25へと進む。そうでなければ、パラメータ設定機能22eが陽極ブースト時のパラメータを異なる値に設定し、処理はステップST23へと戻る。
ステップST25において、更新機能22dは、記憶回路23のデータベースにおける騒音判定に「OK」を入力する。
ステップST26では、処理回路22は、記憶回路23のデータベースにおける騒音判定に「NG」があるか否かを判定する。騒音判定に「NG」がある場合には、姿勢設定機能22aが支持器5を異なる姿勢に設定し、処理はステップST22へと戻る。そうでなければ、処理は終了する。
以上のステップST21からステップST25までの流れを、図8のデータベースを用いて説明する。ステップST21に処理が進む時点において、騒音判定「NG」が入力されている場合、Cアーム角度は「B」および「G」である(図6参照)。始めに、姿勢設定機能22aは、支持器5をCアーム角度Bに設定する。その後、パラメータ設定機能22eは、Cアーム角度Bに対応する回転周波数をf_1からf_2に変更してX線制御回路21に変更を指示する。収集機能22bは、Cアーム角度B、回転周波数f_2、および電圧波形v_1の状態で陽極ブーストさせた際の動作音データS_B’を収集する。判定機能22cは、動作音データS_B’が閾値未満であると判定し、更新機能22dは、騒音判定「OK」を入力する。
次に、姿勢設定機能22aは、支持器5をCアーム角度Gに設定する。その後、パラメータ設定機能22eは、Cアーム角度Gに対応する回転周波数をf_1からf_3に変更してX線制御回路21に変更を指示する。収集機能22bは、Cアーム角度G、回転周波数f_3、および電圧波形v_1の状態で陽極ブーストさせた際の動作音データS_G’を収集する(図示せず)。判定機能22cは、動作音データS_G’が閾値を越えたと判定する。処理は戻り、パラメータ設定機能22eは、Cアーム角度Gに対応する電圧波形をv_1からv_2に変更してX線制御回路21に指示する。収集機能22bは、Cアーム角度G、回転周波数f_3、および電圧波形v_2の状態で陽極ブーストさせた際の動作音データS_G’’を収集する。判定機能22cは、動作音データS_G’’が閾値未満であると判定し、更新機能22dは、騒音判定「OK」を入力する。
なお、本実施形態では、ステップST15をステップST18の再測定処理に置き換えてもよい。この場合には、ステップST26の処理が省略され、ステップST25の処理の後にステップST16の処理へ進み、更に、ステップST17の処理が省略され、ステップST16の処理がYESの場合に処理を終了する。
(実運用時の動作)
次に、前述の図5および図7の処理によって構築されたデータベースを用いたX線診断装置1の動作について、図9のフローチャートを用いて説明する。以下の説明は、主に、実運用時のX線診断装置1の動作について述べる。
始めに、寝台の天板6の上に被検体Pが載置される。X線診断装置1は、操作者の操作により、予め設定された検査種別および検査名が選択され、選択された検査種別および検査名に対応付けられた撮影条件(X線条件)を設定する。その後、X線診断装置1は、操作者の操作により、支持器5の姿勢が設定され、さらなる操作者の操作でインタフェース10の撮影スイッチ(或いは、照射スイッチ)をONにすることにより、X線撮影(X線透視)を開始し、ステップST31を開始する。
ステップST31において、取得機能22fは、支持器5の姿勢を取得する。
ステップST32において、X線制御回路21は、記憶回路23に記憶されたデータベースから、ステップST31で取得した姿勢に対応する陽極回転制御データを読み出す。
ステップST33において、X線制御回路21は、ステップST31で読み出した陽極回転制御データに基づいてX線管3を制御する。
具体例として、取得機能22fで取得した支持器5の姿勢が、図8のCアーム角度Gに一致する場合には、X線制御回路21は、陽極回転制御データとして、回転周波数f_3および電圧波形v_2を読み出す。そして、X線制御回路21は、回転周波数f_3および電圧波形v_2に基づいてX線管3の回転陽極を駆動する駆動部への入力信号を制御する。
(他の装置構成例)
図10において、X線管3を支持する支持器5が、天板6を有する寝台と一体化しているX線診断装置1の外観が例示される。図10は、典型的には、消化管造影検査などで用いられるX線透視診断装置に相当する。図10では、X線管3の実効焦点を通り、天板6の下方に配置されたX線検出器4(図示せず)の検出面に垂直な方向をZ軸とし、Z軸に垂直であって天板6の長辺に沿った方向をY軸とし、Z軸とY軸に平行な方向(天板6の短辺方向)をX軸と規定する。
X線管3は、支持器5の一端に支持される。支持器5は、一端でX線管3を支持し、他端が寝台に支持される。寝台は、支持器5を支持する。支持器5は、支点Oを通過するX軸方向の回転軸R回りに回転する。このとき、「支持器5の姿勢」は、天板6を含めた支持器5が回転軸R回りに回転する角度によって規定される。支持器5の角度は、例えば、天板6が床面と平行の状態をゼロ度とし、これを基準として天板6の傾きに応じて決まるものとする。
以上説明したように一実施形態によれば、X線診断装置は、X線管を傾斜可能に支持する支持器の姿勢を表す情報を取得し、取得した姿勢を表す情報に基づいて、X線管の回転陽極を回転させる駆動部を制御する。従って、このX線診断装置は、支持器の姿勢に応じて回転陽極を制御することによって、騒音の発生を未然に防ぐことができるため、回転陽極型のX線管を支持する支持器の姿勢によらず騒音を低減することができる。
また、検査および治療中の騒音を低減できるため、X線診断装置の操作者にとっては、騒音に起因したストレスを減少でき、患者にとっては、騒音に起因した不安感を減少できる。
また、一実施形態によれば、X線診断装置は、支持器の姿勢に対応付けられた回転周波数に基づいて、駆動部を制御することができるため、回転陽極の回転周波数と支持器の共振周波数との一致を防ぎ、共振による騒音の発生を防ぐことができる。
また、一実施形態によれば、X線診断装置は、支持器の姿勢に対応付けられた回転周波数および電圧波形に基づいて、駆動部を制御することができるため、回転陽極の回転周波数と支持器の共振周波数との一致を防ぎ、共振による騒音の発生を防ぐことができ、且つ電圧波形に起因する騒音も低減することができる。
また、一実施形態によれば、X線診断装置は、支持器の姿勢と、駆動部の制御に関するパラメータとを対応付けて記憶することができるため、回転陽極型のX線管を支持する支持器の姿勢によらず騒音を低減することができる。
また、一実施形態によれば、X線診断装置は、X線管を傾斜可能に支持する支持器の姿勢を設定し、設定された姿勢を、駆動部を制御するパラメータと対応付けて記憶する。また、このX線診断装置は、設定された姿勢において、X線管の陽極ブースト時に発生する音を収集し、収集結果が閾値を越えているかを示す情報を、設定された姿勢と対応付けて記憶する。また、このX線診断装置は、動作音が閾値を越えているか否かに基づいて、記憶されたパラメータを変更し、姿勢と、変更されたパラメータとを対応付けて記憶する。従って、このX線診断装置は、支持器の姿勢に応じて回転陽極を制御するためのパラメータを設定することによって、騒音の発生を未然に防ぐことができるため、回転陽極型のX線管を支持する支持器の姿勢によらず騒音を低減することができる。また、保守点検などで定期的にデータを再収集してデータベース(制御テーブル)を更新することにより、経時変化による共振ポイントの変化にも追従して、騒音を低減することができる。
また、一実施形態によれば、X線診断装置は、パラメータとして、回転周波数を含むため、回転陽極の回転周波数と支持器の共振周波数との一致を避けられ、共振による騒音の発生を防ぐことができる。
また、一実施形態によれば、X線診断装置は、パラメータとして、回転周波数および電圧波形を含むため、回転陽極の回転周波数と支持器の共振周波数との一致を避けられ、共振による騒音の発生を防ぐことができ、且つ電圧波形に起因する騒音も低減することができる。
また、一実施形態によれば、上記の内容がX線高電圧装置によって実現されてもよい。例えば、回転陽極を有するX線管と、回転陽極を駆動する駆動部と、X線管を傾斜可能に支持する支持器とを有するX線診断装置のためのX線高電圧装置は、支持器の姿勢を表す情報を取得し、取得した姿勢を表す情報に基づいて、駆動部を制御する。従って、このX線高電圧装置は、支持器の姿勢に応じて回転陽極を制御することによって、騒音の発生を未然に防ぐことができるため、回転陽極型のX線管を支持する支持器の姿勢によらず騒音を低減することができる。
(他の実施形態)
前述の一実施形態では、X線診断装置は、姿勢に対応付けられた情報に基づいて、X線管の駆動部を制御していた。他方、他の実施形態では、X線診断装置は、リアルタイムの動作音を収集し、収集した動作音の音量が閾値を越えている場合に、X線管の駆動部を制御する動作が追加される。これにより、X線診断装置は、例えば、支持器を傾けている動作の途中、即ち姿勢の経時変化によって発生しうる騒音を低減することができる。
他の実施形態では、パラメータ設定機能22eは、判定機能22cによって出力された判定結果に基づいて、X線制御回路21の設定を変更する。具体的には、パラメータ設定機能22eは、判定結果に基づいて、X線制御回路21に設定されているパラメータを再設定する。パラメータ設定機能22eは、「NG」(No Good)の判定結果の場合にはパラメータを変更し、「OK」の判定結果の場合にはパラメータを変更しない。
X線制御回路21は、変更されたパラメータに基づいて、X線管3の駆動部を制御する。尚、パラメータ設定機能22eは、パラメータが再設定された際に、データベースの陽極回転制御データの値を書き換えてもよい。
図11は、他の実施形態における動作を説明するためのフローチャートである。以下の説明は、主に、実運用時のX線診断装置1の動作について述べる。尚、ステップST41を開始するまでの準備は、ステップST31を開始するまでの準備と同様であるため、説明を省略する。また、ステップST41からステップST43までの動作は、ステップST31からステップST33までの動作と同様であるため、説明を省略する。
(ステップST44)
収集機能22bは、X線管3の動作音を収集する。
(ステップST45)
判定機能22cは、ステップST44で収集した動作音データが閾値を越えている否かを判定する。動作音データが閾値を越えている場合には、処理はステップST46へと進む。そうでなければ、処理は終了する。
(ステップST46)
パラメータ設定機能22eは、X線制御回路21に設定されているパラメータを再設定する。
(ステップST47)
X線制御回路21は、ステップST46で再設定したパラメータに基づいてX線管3を制御する。ステップST47の動作の後は、再度ステップST44に戻る。つまり、パラメータ再設定後の動作音を判定し、動作音が閾値を下回るまでステップST44からステップST47の処理を繰り返し行う。一方、ステップST45において動作音が閾値を下回った場合に処理は終了する。
(変形例)
前述の他の実施形態では、X線診断装置は、動作音を自動で判定することによってX線管の駆動部を制御していた。他方、変形例では、X線診断装置は、操作者の指示を受け付けることによってパラメータの再設定を行うようにしてもよい。これにより、X線診断装置は、例えば、個別の操作者(或いは、被検体)の感覚に応じてパラメータの再設定ができる。
変形例では、取得機能22fは、インタフェース10を介した操作者の指示を取得する。操作者の指示は、例えば、パラメータの変更に関する情報に相当する。操作者は、例えば、騒音が発生していると知覚した場合に、インタフェース10によりX線制御回路21のパラメータを変更させる指示を行う。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Comlex Programmable Logic Device:CPLD)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
プロセッサは、記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで、各種機能を実現する。尚、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成してもよい。この場合、プロセッサは、回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで、各種機能を実現する。
なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その各種機能を実現するようにしてもよい。更に、複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
一実施形態における取得機能22f、X線制御回路21、および記憶回路12は、特許請求の範囲における取得部、制御部、および記憶部の一例である。一実施形態における姿勢設定機能22a、収集機能22b、判定機能22c、およびパラメータ設定機能22e、は、特許請求の範囲における姿勢設定部、収集部、判定部、およびパラメータ設定部の一例である。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、回転陽極型のX線管を支持する支持器の姿勢によらず騒音を低減することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。