〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図1~図9を参照しながら詳細に説明する。
(学習モデル生成装置4の構成)
まず、昇降機設備の所在地情報と、災害情報とを入力データとして、その昇降機設備の運転状況を出力する学習モデル451を生成するための機械学習を行う学習モデル生成装置4の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る学習モデル生成装置4の概略構成の一例を示すブロック図である。ここで、昇降機設備とは、典型的には乗客コンベア、エレベータ等である。
学習モデル生成装置4は、制御部40および記憶部45を備えていてもよい。制御部40は、例えばCPU(Central Processing Unit)であってもよい。制御部40は、学習モデル生成装置4が備える各機能の処理を実行するように制御する。記憶部45は、制御部40によって読み出される各種コンピュータプログラム、制御部40が実行する各種処理において利用されるデータ等が格納されている記憶装置である。
本明細書では、学習モデル451を生成するための教師データを生成可能な学習モデル生成装置4を例に挙げて説明するが、これに限定されない。例えば、学習モデル生成装置4は、他の装置によって予め生成された教師データ(図示せず)を記憶部45に格納しており、これを用いて学習モデル451を生成する構成であってもよい。この構成を採用した場合、記憶部45に格納されている教師データを学習部42が読み出して用いればよい。それゆえ、学習モデル生成装置4において、後述の教師データ生成部41は必須の構成ではない。
制御部40は、教師データ生成部41および学習部42を備えている。
学習部42は、教師データを用いて機械学習を行うことにより、注目昇降機設備の所在地情報と、災害情報とを入力データとして、注目昇降機設備の運転状況を出力する学習モデル451を生成する。教師データは、昇降機設備の所在地を示す所在地情報と、所在地における災害の程度を含む災害情報と、災害が発生したときの昇降機設備の運転状況を示す運転状況情報とを含んでいる。ここで、注目昇降機設備とは、災害が発生したときに、学習モデルにその運行状況を推定させる対象となる昇降機設備を意図している。
災害の程度は、(1)昇降機設備の所在地における震度、または、(2)震源地のマグニチュード、震源地の深さ、および、震源地からの距離から算出される、昇降機設備の所在地における揺れの大きさであってもよい。
教師データ生成部41は、学習モデル451を生成するための教師データを生成する。例えば、教師データ生成部41は、昇降機設備の所在地における災害の程度を含む災害情報の生成のために、災害記録データベース6aから取得した、過去に発生した災害についての災害記録を用いてもよい。災害記録データベース6aは、例えば、気象庁によって管理されているデータベースであってもよい。また、教師データ生成部41は、昇降機設備設置情報データベース6bから昇降機設備を設置した建物の所在地(すなわち、昇降機設備の所在地)を示す所在地情報を取得してもよい。昇降機設備設置情報データベース6bは、例えば、昇降機設備の設置を請け負う事業所によって管理されているデータベースであってもよい。また、教師データ生成部41は、運転状況情報データベース6cから、過去の災害が発生したときの昇降機設備の運転状況を示す運転状況情報を取得してもよい。運転状況情報データベース6cは、例えば、昇降機設備の管理および点検を請け負う事業所によって管理されているデータベースであってもよい。
以下、災害情報、所在地情報、および運転状況情報について、具体例を挙げて説明する。
[災害情報]
まず、災害情報について、図3および図4を参照しつつ、図2を用いて説明する。図2は、災害記録データベース6aに記憶されているデータの例を示す図である。ここでは、地震を例に挙げて説明するが、これに限定されない。災害は、例えば、豪雨、台風、津波、火山活動等であってもよい。これらは、昇降機設備への電力供給が停止したり、昇降機設備が緊急停止したりする可能性が生じる災害となり得る。災害記録データベース6aには、各災害について、発生日時、震央地名、最大震度、震源地および震源の深さ、各地の震度61、および、揺れの特性62に関するデータが対応付けて記録されている。なお、図2に示すように、災害の各々に固有の識別番号である災害IDが付与されていてもよい。災害IDは、各災害に付与された呼称(ニックネーム)であってもよい。例えば、災害が台風である場合、台風毎に固有の呼称が付与され得る。
ここでは、図2において、「EQ2003**」という災害IDが付与されている地震(以下、地震EQ2003**と記す)を例に挙げて、より具体的に説明する。地震EQ2003**は、「2020年3月25日」に「Z県沖」で発生した地震である。地震EQ2003**の最大震度は「4」であり、地震の規模を示すマグニチュードは「6.2」である。地震EQ2003**の震源地は「北緯zz度、東経zzz度」であり、震源の深さは「40km」である。
各地の震度61は、地震EQ2003**が発生したときに各地の観測地点で観測された震度情報であってもよく、図3に示すように、各地で観測された震度と、観測地点である市区町村とが対応付けられていてもよい。図3によれば、「Z県**市」および「Z県A市」等で最大震度4が観測され、「Z県D市」および「Z県B市」では震度3が観測されている。
揺れの特性62は、地震EQ2003**において観測された揺れの方向、加速度、および揺れの周期を示す情報を含んでいてもよい。揺れの特性62には、図4に示すように、地震EQ2003**が発生したときに観測された揺れの加速度を、南北成分、東西成分、上下成分のそれぞれについて記録されている。図4に示す例では、揺れの特性62に、南北成分「**Gal」、東西成分「**Gal」、上下成分「**Gal」に基づいて算出された、揺れの合成最大加速度「(**Gal)」も記録されている。揺れの特性62は、観測された揺れの大きさ(振幅)および揺れの周期等を含んでいてもよい。図4に示す例では、揺れの特性62に、揺れの周期が「0.8sec」であったことが記録されている。なお、揺れの特性62は、揺れを観測した各地域における揺れの特性が、地域ごとに記録されていてもよい。
昇降機設備の中には、揺れの大きさ、および揺れの加速度を検知する揺れセンサが設けられている場合があり得る。そこで、教師データ生成部41は、昇降機設備に設けられた揺れセンサによって検知された揺れの大きさおよび揺れの加速度を、そのまま災害の程度として用いてもよい。一方、このようなセンサが設けられていない昇降機設備の場合、教師データ生成部41は、災害記録と、後述する所在地情報とに基づいて、災害の程度を算出してもよい。
[所在地情報]
次に、所在地情報について、図6を参照しつつ、図5を用いて説明する。図5は、昇降機設備設置情報データベース6bに記憶されているデータの例を示す図である。昇降機設備設置情報データベース6bには、昇降機設備が設置されている建物の所在地が、設置された昇降機設備の各々に対応付けて記録されている。なお、図5に示すように、設置された昇降機設備の各々に固有の識別番号である昇降機設備IDが付与されていてもよい。図5によれば、昇降機設備IDが「EV001」である昇降機設備(以下、昇降機設備EV001と記す)は、「Z県**市A町1丁目*番地*号」の「Bビル」に設置されている。昇降機設備IDが「EV026」である昇降機設備(以下、昇降機設備EV026と記す)は、「Z県D市2丁目*番*号」の「Lハイツ」に設置されている。
図6は、過去に発生した地震の震源地と、昇降機設備との位置関係を示すイメージ図である。図6には、地震EQ2003**(図2参照)の震源地(図中、「X」で示す)と、「XX海」に面した「Z県**市」、「Z県**市」の内陸側の「Z県D市」および「Z県F市」と、が示されている。また、図6には、昇降機設備EV001、および昇降機設備EV026の所在地が示されている。なお、図6には、主要な道路も図示されている。図6において、地震EQ2003**における震源地から昇降機設備EV001までの距離は、地震EQ2003**における震源地から昇降機設備EV026までの距離よりも短い。震源地に近い「Z県**市」では震度「4」を観測し、「Z県D市」では震度「3」を観測している(図3参照)。
教師データ生成部41は、災害情報に含まれる各地の震度に基づいて特定される、各昇降機設備の所在地における震度を、災害の程度として用いてもよい。あるいは、教師データ生成部41は、(1)災害情報に含まれる震源地の位置、地震の規模を示すマグニチュード、および震源地の深さと、(2)各昇降機設備の所在地と震源地との距離とから算出した、各昇降機設備の所在地における揺れの大きさを災害の程度として用いてもよい。
[運転状況情報]
続いて、運転状況情報について、図8を参照しながら、図7を用いて説明する。図7は、運転状況情報データベース6cに記憶されているデータの例を示す図である。運転状況情報データベース6cには、過去に発生した災害毎に、昇降機設備の運転状況が記録されている。
地震EQ2003**が発生したときの運転状況63を例に挙げて、図8を用いて説明する。図8は、運転状況63のデータ構造の例を示す図である。地震EQ2003**は、図2に示すように、「2020年3月25日」に「Z県沖」で発生した地震である。運転状況63には、EQ2003**が発生したときの各昇降機設備の運転状況が記録されている。ここで、運転状況63は、少なくとも正常運転および停止を含んでいてもよい。なお、運転状況63には、各昇降機設備に対して行われた作業(例えば、復旧作業)の実績が記録されていてもよい。例えば、図8には、昇降機設備EV001は、地震EQ2003**が発生したとき停止したこと、2020年3月27日に復旧作業が行われたことが記録されている。また、図8には、昇降機設備EV026は、地震EQ2003**が発生したとき停止しておらず、正常運転していたこと、復旧作業は行われず、点検のみ行われたことが記録されている。
昇降機設備には、運転状況を遠隔監視できる監視対象設備と、運転状況を遠隔監視できない監視対象外設備とが存在する。監視対象設備の運転状況は、所在地に実際に行って運転状況を確認する必要が無い。一方、監視対象外設備の場合、該施設のオーナーまたは利用者から電話などの通話手段を介して運転状況に関する連絡(コールバック)をオペレータが受け付けたり、事業所の作業員が所在地に実際に行って運転状況および被害状況を確認したりする必要がある。
(学習モデル451を生成する処理)
次に、学習モデル451を生成する処理について、図9を用いて説明する。図9は、学習モデル生成装置4による学習モデル451の生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、教師データ生成部41は、災害記録、昇降機設備の所在地を示す所在地情報、および災害が発生したときの昇降機設備の運転状況を示す運転状況情報を取得する(ステップS41)。
続いて、教師データ生成部41は、所在地情報と、昇降機設備の所在地における災害の程度を含む災害情報と、運転状況情報とを含む教師データを生成する(ステップS42)。
次に、学習部42は、災害情報および所在地情報を学習モデル候補に入力する。ここで、学習モデル候補とは、機械学習が完了していない学習モデルを意図している。所定の機械学習が完了した場合、学習モデル候補は学習モデル451(学習済みモデル)として、記憶部45に格納される。ここで、学習モデル451を生成するための機械学習アルゴリズムとしては、これに限定されるものではないが、例えば、ニューラルネットワークが用いられ得る。
学習部42は、入力された災害情報および所在地情報に対応する昇降機設備の運転状況を学習モデル候補が推定した推定結果と、入力された災害情報および所在地情報に対応付けられている昇降機設備の運転状況情報とを比較して、誤差を算出する(ステップS44)。学習部42は、ステップS44において算出した誤差が最小となるように、学習モデル候補を更新する(ステップS45)。
学習モデル候補の更新は、学習モデル候補が推定した推定結果と、運転状況情報との誤差が最小となるように、以下を行うことを含み得る。
・ノード間の重み、ハイパーパラメータ等を更新して学習モデル候補を更新する
・新たな学習モデル候補を生成する
学習モデル候補の更新には、誤差逆伝播法等が適用されてもよい。
学習部42は、所定の機械学習が完了すると、その時点の学習モデル候補を学習モデル451として記憶部45に格納する。
学習モデル生成装置4は、昇降機設備の所在地を示す所在地情報と、所在地における災害の程度を含む災害情報と、過去に災害が発生したときの昇降機設備の運転状況を示す運転状況情報とを含む教師データを用いた機械学習によって学習モデル451を生成する。このように生成された学習モデル451は、災害が新たに発生した場合、昇降機設備の所在地情報と、発生した災害の災害情報とを入力されたことに応じて、その昇降機設備の運転状況の推定結果を出力することができる。学習モデル451は、災害が発生したときの各昇降機設備の運転状況を、過去に災害が発生したときの各昇降機設備の運転状況に基づいて推定する運転状況推定装置5に適用することができる。運転状況推定装置5については、後に説明する(図14参照)。
〔実施形態2〕
災害が発生したときの昇降機設備の運転状況を、さらに精度良く推定することが可能な学習モデル451aを生成することが可能な、学習モデル生成装置4aについて、図10~図13を用いて説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
(学習モデル生成装置4aの構成)
昇降機設備の所在地情報と、災害情報とを入力データとして、その昇降機設備の運転状況を出力する学習モデル451aを生成するための機械学習を行う学習モデル生成装置4aの構成について、図10を用いて説明する。図10は、本発明の実施形態2に係る学習モデル生成装置4aの概略構成の一例を示すブロック図である。
学習モデル生成装置4aは、制御部40aおよび記憶部45を備えていてもよい。制御部40aは、例えばCPUであってもよい。制御部40aは、学習モデル生成装置4aが備える各機能の処理を実行するように制御する。記憶部45は、制御部40aによって読み出される各種コンピュータプログラム、制御部40aが実行する各種処理において利用されるデータ等が格納されている記憶装置である。
制御部40aは、教師データ生成部41aおよび学習部42aを備えている。
学習部42aは、教師データを用いて機械学習を行うことにより、注目昇降機設備の所在地情報と、災害情報とを入力データとして、注目昇降機設備の運転状況を出力する学習モデル451aを生成する。教師データは、所在地情報と、災害情報と、運転状況情報とに加え、さらに設備情報、建物情報、および周辺運転状況情報のうちの少なくともいずれか1つを含んでいてもよい。
ここで、設備情報は、昇降機設備の型式および仕様の少なくとも一方を示す情報である。建物情報は、昇降機設備が設けられた建物の竣工日および耐震仕様の少なくとも一方を示す情報である。周辺運転状況情報は、昇降機設備から所定範囲内に位置し、運転状況を遠隔監視できる昇降機設備である周辺設備の、災害が発生したときの運転状況を示す情報である。
図10には、所在地情報、災害情報、運転状況情報、設備情報、建物情報、および周辺運転状況情報を含む教師データを生成可能な学習モデル生成装置4aを示している。教師データ生成部41aは、学習モデル451aを生成するための教師データを生成する。例えば、教師データ生成部41aは、昇降機設備設置情報データベース6bから昇降機設備を設置した建物の所在地(すなわち、昇降機設備の所在地)を示す所在地情報、設備情報、および建物情報を取得してもよい。また、教師データ生成部41は、運転状況情報データベース6cから、運転状況情報および周辺運転状況情報を取得してもよい。
昇降機設備には、災害発生時に緊急停止する管制運転機能を備えている昇降機設備と、管制運転機能を備えていない昇降機設備とがある。そこで、学習モデル451を生成するために用いる教師データは、昇降機設備の型式および仕様の少なくとも一方を示す設備情報をさらに含んでいてもよい。
建物が満たすべき耐震基準は見直され、変更されることがある。耐震基準の変更前に竣工した建物は旧耐震基準を満たす建物であり、耐震基準の変更後に竣工した建物は新耐震基準を満たす建物である。このように、建物の竣工日が判れば、その建物に適用されている耐震基準が旧耐震基準か新耐震基準かが判断可能である。耐震仕様には、免震構造および耐震構造が含まれる。住宅の耐震仕様としては、耐震等級1~3が適用され得る。旧耐震基準が適用された建物であっても、耐震補強工事を施すことによって新耐震基準を満たしている場合もある。そこで、学習モデル451を生成するために用いる教師データは、昇降機設備が設けられた建物の竣工日および耐震仕様の少なくとも一方を示す建物情報を含んでいてもよい。
また、災害発生時に、その災害が昇降機設備の運転状況にどの程度の影響を及ぼすのかは、各建物の構造種別にも影響される。構造種別としては、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨造(S造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)等が挙げられる。構造種別が異なる建物では、地震時の揺れの大きさに差が生じる。そこで、学習モデル451を生成するために用いる教師データに使用する建物情報は、昇降機設備が設けられた建物の構造種別を含んでいてもよい。
前述したように、昇降機設備には、運転状況を遠隔監視できる昇降機設備である監視対象設備と、運転状況を遠隔監視できない昇降機設備である監視対象外設備とが存在する。そこで、学習モデル451aを生成するために学習モデル生成装置4aが用いる教師データは、昇降機設備から所定範囲内に位置し、運転状況を遠隔監視できる昇降機設備である周辺設備の、災害が発生したときの運転状況を示す周辺運転状況情報を含んでいてもよい。
監視対象外設備の運転状況は建物のオーナーまたは利用者から連絡を受けたり、現場で実際に確認したりするまで分からない。しかし、災害が発生したときの被災状況および運転状況は、互いに近い位置に所在する周辺施設の被害状況および運転状況が参考になる。監視対象設備の運転状況は常時から遠隔監視されているため、地震などが発生したときの運転状況も事業所に通知される。そこで、該監視対象外設備の周辺設備の運転状況も考慮すれば、監視対象外設備の運転状況の推定の確からしさを向上させることが可能である。
以下、設備情報、および建物情報、および周辺運転状況情報について、具体例を挙げて説明する。
[設備情報、および建物情報]
まず、設備情報および建物情報について、図11を用いて説明する。図11は、昇降機設備設置情報データベース6bに記憶されているデータの例を示す図である。昇降機設備設置情報データベース6bには、昇降機設備が設置されている建物の所在地に加えて、設備情報および建物情報が、昇降機設備の各々に対応付けて記録されている。なお、各昇降機設備が、遠隔監視できる監視対象設備か、遠隔監視できない監視対象外設備かを示す情報を含んでいてもよい。
図11によれば、昇降機設備EV001は、「1979年**月**日」に竣工した「鉄筋コンクリート造(RC造)」の建物に設置されている。この建物は、旧耐震基準に準拠している。昇降機設備EV001の型式は「A03」であり、その仕様は「管制運転機能」を備えている。昇降機設備EV002は、「1979年**月**日」に竣工した「鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造)」の建物に設置されている。この建物は、旧耐震基準に準拠している。昇降機設備EV002の型式は「C05」であり、その仕様は「管制運転機能」を備えている。昇降機設備EV010は、「2015年**月**日」に竣工した「鉄筋コンクリート造(RC造)」の建物に設置されている。この建物は、新耐震基準に準拠している。昇降機設備EV010の型式は「D01」であり、その仕様は「管制運転機能」を備えている。昇降機設備EV026は、「2018年**月**日」に竣工した「鉄骨造(S造)」の建物に設置されている。この建物は、新耐震基準に準拠している。昇降機設備EV026の型式は「P12」であり、その仕様は「管制運転機能」を備えてない。
[周辺運転状況情報]
図11によれば、昇降機設備EV002および昇降機設備EV010は監視対象設備であり、昇降機設備EV001および昇降機設備EV026は監視対象外設備である。周辺運転状況情報について、これらの昇降機設備の位置関係を用いて説明する。図12は、過去に発生した地震の震源地と、昇降機設備EV001、EV002、EV010、およびEV026との位置関係を示すイメージ図である。昇降機設備EV001および昇降機設備EV002の所在地はいずれもZ県**市である。昇降機設備EV010の所在地はZ県F市であり、昇降機設備EV026の所在地はZ県D市である。監視対象設備は黒丸で示し、監視対象外設備は白抜き丸で示されている。
図12に示すように、昇降機設備EV002は、昇降機設備EV001から所定範囲内(図中、破線の円で示す)に位置している。また、昇降機設備EV002は監視対象設備であるため、昇降機設備EV002は昇降機設備EV001の周辺設備である。同様に、昇降機設備EV010は、昇降機設備EV026から所定範囲内(図中、破線の円で示す)に位置している。また、昇降機設備EV010は監視対象設備であるため、昇降機設備EV010は昇降機設備EV026の周辺設備である。
教師データ生成部41aは、運転状況情報データベース6cから、運転状況情報および周辺運転状況情報を取得してもよい。図13は、運転状況情報データベース6cに記憶されているデータの例を示す図である。昇降機設備EV002および昇降機設備EV010の運転状況はそれぞれ、昇降機設備EV001および昇降機設備EV026の周辺運転状況情報である。
〔実施形態3〕
上述した実施形態に係る学習モデル生成装置4、4aによって生成された学習モデル451、451aを採用すれば、昇降機設備の運転状況を推定可能な運転状況推定装置5を実現することが可能である。以下では、運転状況推定装置5について、図14~21を用いて説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
(運転状況推定装置5の構成)
まず、学習モデル451、451aを用いて、注目昇降機設備の所在地情報と、災害情報とを入力データとして、注目昇降機設備の運転状況を推定する運転状況推定装置5の構成について、図14を用いて説明する。図14は、本発明の実施形態3に係る運転状況推定装置5の概略構成の一例を示すブロック図である。ここでは、学習モデル451aを適用した運転状況推定装置5を例に挙げて説明する。なお、以下の説明における学習モデル451aを学習モデル451に代えても運転状況推定装置5の各機能を実現できる。
運転状況推定装置5は、制御部50および記憶部54を備えていてもよい。制御部50は、例えばCPUであってもよい。制御部50は、運転状況推定装置5が備える各機能の処理を実行するように制御する。記憶部54は、制御部50によって読み出される各種コンピュータプログラム、制御部50が実行する各種処理において利用されるデータ等が格納されている記憶装置である。
本明細書では、入力データを生成する機能を備える運転状況推定装置5を例に挙げて説明するが、これに限定されない。例えば、運転状況推定装置5は、他の装置によって予め生成された入力データを取得し、これを学習モデル451aに入力する構成であってもよい。この構成を採用した場合、記憶部45に格納されている教師データを学習部42が読み出して用いればよい。それゆえ、運転状況推定装置5において、後述の入力データ生成部51は必須の構成ではない。
制御部50は、入力データ生成部51、推定部52、および出力制御部53を備えている。
入力データ生成部51は、学習モデル451aに入力する入力データを生成する。例えば、入力データ生成部51は、注目昇降機設備の所在地における災害の程度を含む災害情報の生成のために、災害発生情報配信装置6dから、発生した災害についての災害発生情報を用いてもよい。災害発生情報配信装置6dは、発生した災害に関する情報を迅速に配信する装置であってもよい。災害発生情報は、例えば、気象庁が配信する緊急速報に含まれる情報であってもよい。また、入力データ生成部51は、昇降機設備遠隔監視装置6eから、注目昇降機設備から所定範囲内に所在する周辺設備の運転状況を示す周辺運転状況情報を取得してもよい。昇降機設備遠隔監視装置6eは、例えば、監視対象設備の管理を請け負う事業所によって管理されている装置であってもよい。また、入力データ生成部51は、昇降機設備設置情報データベース6bから、注目昇降機設備の所在地情報、建物情報、および設備情報を取得してもよい。
推定部52は、注目昇降機設備の運転状況の確率を推定する。推定部52は、学習モデル451aに入力データを入力し、注目昇降機設備の運転状況の推定結果である出力データを出力する。
出力制御部53は、推定部52からの出力データを外部の装置に出力する。例えば、出力制御部53は、推定部52が出力した推定結果を表示装置9に表示させる。ここで、表示装置9は、運転状況推定装置5と有線あるいは無線で通信可能に接続されたディスプレイであってもよい。一例において、運転状況推定装置5はパーソナルコンピュータおよびタブレット端末であってもよく、この場合、表示装置9は、パーソナルコンピュータおよびタブレット端末が備えるディスプレイであってもよい。また、出力制御部53は、推定部52が出力した推定結果を運転状況推定装置5の記憶部54または他の記憶装置に記憶させてもよい。
[災害発生情報]
以下、災害発生情報について、図16および図17を参照しつつ、図15を用いて説明する。図15は、災害発生情報配信装置6dから配信される災害発生情報のデータ構造の例を示す図である。災害発生情報配信装置6dから配信される情報には、発生した災害について、発生日時、震央地名、最大震度、震源地および震源の深さ、災害ID,各地の震度、および、揺れの特性に関するデータが含まれ得る。
図15は、「EQ2106**」という災害IDが付与された地震(以下、地震EQ2106**と記す)についての災害発生情報である。地震EQ2106**は、「2021年6月**日」に「Z県沖」で発生した地震である。地震EQ2106**の最大震度は「4」であり、地震の規模を示すマグニチュードは「3.8」である。地震EQ2106**の震源地は「北緯nn度、東経mmm度」であり、震源の深さは「30km」である。
各地の震度61aは、地震EQ2106**が発生したときに各地の観測地点で観測された震度情報であり、図16に示すように、各地で観測された震度と、観測地点である市区町村とが対応付けられていてもよい。図16によれば、「Z県**市」および「Z県A市」等で最大震度4が観測され、「Z県F市」および「Z県B市」などでは震度3が観測されたことが示されている。
揺れの特性62aは、地震EQ2106**において観測された揺れの方向、加速度、および揺れの周期を示す情報を含んでいてもよい。揺れの特性62aには、図17に示すように、地震EQ2106**が発生したときに観測された揺れの加速度が、南北成分、東西成分、上下成分のそれぞれについて示されている。揺れの特性62aは、観測された揺れの大きさ(振幅)および揺れの周期等を含んでいてもよい。図17に示す例では、揺れの特性62aに、揺れの周期「1.2sec」が計測されたことが示されている。なお、揺れの特性62aは、揺れを観測した各地域における揺れの特性が、地域ごとに配信されていてもよい。
次に、注目昇降機設備の所在地情報、建物情報及び設備情報について、図19を参照しつつ、図18を用いて説明する。図18は、注目昇降機設備の所在地情報、建物情報、および設備情報の例を示す図である。
図19は、地震EQ2106**の震源地と、昇降機設備との位置関係を示すイメージ図である。図19には、地震EQ2106**(図15参照)の震源地(図中、「X」で示す)が示されている。また、図19には、昇降機設備EV001、昇降機設備EV002、昇降機設備EV010、昇降機設備EV026、および昇降機設備EV050の所在地が示されている。なお、図19には、主要な道路も図示されている。
入力データ生成部51は、災害発生情報に含まれる各地の震度に基づいて特定される、各昇降機設備の所在地における震度を、災害の程度として用いてもよい。あるいは、教師データ生成部41は、(1)災害情報に含まれる震源地の位置、地震の規模を示すマグニチュード、および震源地の深さと、(2)各昇降機設備の所在地と震源地との距離とから算出した、各昇降機設備の所在地における揺れの大きさを災害の程度として用いてもよい。
入力データは、注目昇降機設備から所定範囲内に位置する周辺設備を遠隔監視して得られる、災害が発生したときの運転状況を含んでいてもよい。図19において、昇降機設備EV002は、昇降機設備EV001の周辺設備であり、昇降機設備EV010は、昇降機設備EV026および昇降機設備EV050の周辺設備である。また、入力データは、注目昇降機設備(監視対象外設備)の設備情報、および注目昇降機設備(監視対象外設備)の建物情報の少なくともいずれかをさらに含んでいてもよい。これらの情報を、所在地情報、災害情報、運転状況情報と共に学習モデル451aに入力することによって、運転状況推定装置5は、より信頼性の高い推定結果を出力することができる。
(運転状況推定装置5が実行する処理)
次に、運転状況推定装置5が実行する処理について、図21を参照しつつ、図20を用いて説明する。図20は、運転状況推定装置5による、注目昇降機設備の運転状況を推定する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、入力データ生成部51は、災害発生情報、周辺運転状況情報、注目昇降機設備の所在地情報、建物情報、および設備情報を取得する(ステップS51)。
続いて、入力データ生成部51は、災害情報、および注目昇降機設備の所在地情報を含む入力データを生成する(ステップS52)。
一方、推定部52は、記憶部54から学習モデル451aを読み込む(ステップS53)。続いて、推定部52は、ステップS52で生成された入力データを学習モデル451aに入力し、注目昇降機設備の運転状況を推定する(ステップS54:推定工程)。
推定部52は、推定結果を出力する(ステップS55)。図21は、運転状況推定装置5から出力される推定結果の一例を示す図である。推定結果は、注目昇降機設備の運転状況の確率であってもよい。例えば、運転状況推定装置5は、各昇降機設備の運転状況を、図21に示すように停止している確率として、または、正常運転している確率として出力してもよい。図21によれば、災害(例えば地震EQ2106**)が発生したときに、昇降機設備EV001が停止している確率は「80%」であり、昇降機設備EV026が停止している確率は「15%」である。推定結果として出力された運転状況に関する確率は、復旧作業のために出向する必要性を判断する上で参考となる。例えば、停止している確率が80%である昇降機設備EV001の復旧作業のための出向は、停止している確率が15%である昇降機設備EV026の復旧作業のための出向よりも優先すべきである。推定部52から出力された推定結果は、出力制御部53を介して、表示装置9に出力されてもよいし、後述する運転状況表示システム100に出力されてもよい。
ここでは、学習モデル451aを採用した運転状況推定装置5を例に挙げて説明したが、運転状況推定装置5は、学習モデル451を採用してもよい。この場合、運転状況推定装置5は、注目昇降機設備の所在地情報と、災害情報とを学習モデル451に入力として、注目昇降機設備の運転状況を推定すればよい。
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
<保守システムの概要>
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。図22は、保守システム1000の概要を示すブロック図である。保守システム1000は、復旧作業を要する事象が発生した、所在地が異なる複数の復旧対象に対する復旧作業を支援するためのシステムである。本実施形態では、復旧対象とは、典型的には乗客コンベア、エレベータ等の昇降機設備である。また、復旧作業を要する事象とは、一例として、昇降機設備の停止または故障である。
保守システム1000は、少なくとも、運転状況表示システム100を含む。運転状況表示システム100は、インターネットなどの通信ネットワークを介して、例えば、フロントエンドシステム1、被害情報提供システム200、地図情報提供システム300、事業所装置2、および、端末装置3(情報端末)などの他の装置と通信可能に接続されている。
(各システムおよび各装置について)
保守システム1000において、運転状況表示システム100は、復旧対象の運転状況を関係各位に提示する機能を担う。運転状況表示システム100は、上述の提示する機能を実現するためのハードウェアおよびソフトウェアの構成群からなる。本開示の運転状況表示システム100は、ハードウェアおよびソフトウェアの構成群を備えた1台の情報処理装置によって構成されてもよいし、複数台の情報処理装置によって構成されてもよい。情報処理装置の構成例については、図33を参照して、後述する。
運転状況表示システム100が運転状況を提示する先は、例えば、復旧作業を行う事業所のすべてを管掌する保守会社に勤務するオペレータが操作するフロントエンドシステム1(表示部)であってもよい。あるいは、運転状況の提示先は、上述の事業所に勤務するオペレータによって操作される事業所装置2(表示部)であってもよい。あるいは、運転状況の提示先は、いずれかの事業所に所属する作業グループであって、複数の復旧対象に復旧作業を行う作業グループ(以下、単に「グループ」と称する)の作業員によって操作される端末装置3(表示部)であってもよい。上述の作業員は、例えば、グループのグループリーダGLであってもよい。
フロントエンドシステム1は、上述のとおり、保守会社に勤務するオペレータによって操作される1つ以上の情報処理装置で構成されたシステムである。本実施形態では、フロントエンドシステム1は、少なくとも運転状況表示システム100と通信可能に接続される。フロントエンドシステム1は、入出力装置として、オペレータが、運転状況表示システム100に情報を入力するのを支援したり、運転状況表示システム100から出力された情報を取得して、オペレータに提示したりする。フロントエンドシステム1と運転状況表示システム100との間は、任意の通信ネットワークで接続される。通信ネットワークは、LAN(Local Area Network)であってもよいし、インターネットなどを含む広域ネットワークであってもよい。
事業所装置2は、上述のとおり、1つの事業所に勤務するオペレータによって操作される装置である。本実施形態では、事業所装置2は、運転状況表示システム100および端末装置3と、任意の通信ネットワークを介して通信可能に接続されていてもよい。
端末装置3は、グループのグループリーダによって操作される装置である。端末装置3は、例えば、スマートフォン、タブレットPCなどの携帯端末が想定される。本実施形態では、端末装置3は、運転状況表示システム100と、任意の通信ネットワークを介して通信可能に接続されていてもよい。端末装置3は、事業所装置2と通信可能に接続されていてもよい。
被害情報提供システム200は、保守会社が保守を請け負っている昇降機設備を監視し、各昇降機設備の情報を収集し、運転状況表示システム100に提供する。具体的には、地震等の災害が発生した場合、被害情報提供システム200は、被災した昇降機設備の情報を収集する。そして、同時に多数の昇降機設備に停止または故障等の事象が発生している場合、被害情報提供システム200は、被災地域の昇降機設備について、運転状況を示す運転状況情報を生成する。運転状況は、少なくとも正常運転および停止を含んでいてもよい。つまり、ここで生成される運転状況情報は、図13に示す運転状況情報と同様に、被災地域に所在する昇降機設備毎に、運転状況が「停止」であるか「正常運転」であるかを少なくとも示す情報である。運転状況情報は、被害情報提供システム200から、通信ネットワークを介して、運転状況表示システム100に送信される。
一例として、本実施形態では、被害情報提供システム200は、遠隔監視対象である昇降機設備の各々と直接通信して、これらの昇降機設備の運転状況を自動収集する。以下では、遠隔監視対象である昇降機設備を監視対象設備と称する。被害情報提供システム200によって自動収集された監視対象設備の運転状況は、運転状況表示システム100に提供される。
また、本実施形態では、被害情報提供システム200には、コールバックセンターが設けられていてもよい。コールバックセンターは、遠隔監視対象外である昇降機設備の通報手段、もしくは、昇降機設備のオーナーまたは利用者の電話などの通話手段を介して、当該昇降機設備の運転状況の連絡(コールバック)を受け付ける。以下では、遠隔監視対象外である昇降機設備を監視対象外設備と称する。
オーナーまたは利用者からのコールバックは、監視対象外設備の故障または停止などの復旧作業を要する事象が発生したことに伴って、復旧作業を要請するために発せられると考えられる。被害情報提供システム200において、コールバックを受け付けたオペレータは、通報を受けた監視対象外設備について、オーナーまたは利用者などの通報主から聞いた運転状況を被害情報提供システム200に手動で入力し、登録する。このようにして被害情報提供システム200に手動入力された監視対象外設備の運転状況は、運転状況表示システム100に提供される。
地図情報提供システム300は、地図情報を運転状況表示システム100に提供する。地図情報提供システム300は、地図情報を、フロントエンドシステム1、事業所装置2および端末装置3に提供してもよい。地図情報提供システム300は、必要に応じて、各地の道路交通状況をリアルタイムに把握し、渋滞または通行止めなどの情報を付加した地図情報を各装置に提供してもよい。また、地図情報提供システム300は、クライアントから、出発地および目的地を受け付けて、出発地から目的地までの移動可能経路、移動距離、および、移動時間などを提供してもよい。ここでは、クライアントとは、運転状況表示システム100、フロントエンドシステム1、事業所装置2および端末装置3などである。
地図情報提供システム300によって提供される地図情報は、例えば、復旧対象である昇降機設備の所在地を含む地域を表す地図を示す情報であってもよい。運転状況表示システム100は、このような地図情報を地図情報提供システム300から取得することにより、昇降機設備の所在地を含む地域を表す地図上に昇降機設備の運転状況を重畳表示させた表示画面を生成することができる。
<運転状況表示システム100の構成>
図22には、運転状況表示システム100の要部構成を示すブロック図が併せて示されている。運転状況表示システム100は、対象設備状況取得部10と、対象外設備状況取得部11と、運転状況推定装置5と、表示制御部12とを少なくとも備えている。図22には、運転状況推定装置5の推定部52(対象外設備状況推定部)のみを代表的に示しているが、運転状況推定装置5は、図14に示す運転状況推定装置5の各部を備えていてもよい。
対象設備状況取得部10は、所在地が異なる複数の昇降機設備のうち運転状況を遠隔監視できる昇降機設備である監視対象設備の運転状況を取得する。本実施形態では、一例として、対象設備状況取得部10は、監視対象設備の運転状況を被害情報提供システム200から取得する。他の例では、対象設備状況取得部10は、監視対象設備の各々と通信して、各監視対象設備の運転状況を直接取得してもよい。
対象外設備状況取得部11は、昇降機設備のうち運転状況を遠隔監視できない昇降機設備である監視対象外設備の運転状況を取得する。本実施形態では、一例として、対象外設備状況取得部11は、監視対象外設備の運転状況を被害情報提供システム200から取得する。他の例では、コールバックセンターのオペレータは、コールバックを受け付けた監視対象外設備の運転状況を、運転状況表示システム100が内蔵する記憶装置に登録してもよい。この場合、対象外設備状況取得部11は、当該記憶装置から、監視対象外設備の運転状況を読み出してもよい。
運転状況推定装置5の推定部52(対象外設備状況推定部)は、監視対象外設備の運転状況を推定する。本実施形態の運転状況推定装置5としては、例えば、実施形態3において説明された図14に示す運転状況推定装置5が採用されてもよい。推定部52は、上述の監視対象設備の運転状況に基づいて、監視対象外設備の運転状況を推定してもよい。具体的には、入力データ生成部51は、監視対象設備の運転状況を用いて、学習モデル451aに入力する入力データを生成する。推定部52は、生成された入力データを学習モデル451aに入力し、出力データを得ることによって、監視対象外設備の運転状況を推定する。出力データは、実施形態1~3で説明された推定結果であって、該推定結果は、監視対象外設備ごとに推定された運転状況を示す情報であってもよい。図21に示すように、推定結果は、監視対象外設備ごとに推定された停止確率を示す情報であってもよい。出力制御部53は、推定された監視対象外設備の運転状況を表示制御部12に出力する。以下では、監視対象外設備の推定された運転状況を、被害情報提供システム200から取得された実際に把握されている運転状況と区別して、推定運転状況と称する。
表示制御部12は、昇降機設備の所在地を含む地域を表す地図上に昇降機設備の運転状況を重畳表示させた表示画面を表示部に表示させる。運転状況は、少なくとも正常運転および停止を含む。そこで、表示制御部12は、具体的には、
(1)自動収集された運転状況であって、対象設備状況取得部10によって取得された運転状況が正常運転である場合と、
(2)自動収集された運転状況であって、対象設備状況取得部10によって取得された運転状況が停止である場合と、
(3)手動入力された運転状況であって、対象外設備状況取得部11によって取得された運転状況が停止である場合と、
(4)運転状況推定装置5によって推定された推定運転状況が停止である場合とを、区別可能な表示態様で表示させる。
上述の構成によれば、災害発生当初から運転状況が把握される監視対象設備だけでなく、監視対象外設備の運転状況も反映された表示画面が提示される。これにより、オペレータは、災害発生当初から復旧対象の全体像を把握することが可能となる。より具体的には、表示画面を視認したオペレータは、監視対象設備の復旧作業の要否を判別し、復旧作業が必要な監視対象外設備の存在を確認し、加えて、復旧作業が必要である可能性が高い監視対象外設備の存在を確認することができる。
このようにして、災害発生当初から復旧対象の全体像を把握することは、災害発生直後の早い段階から、復旧対象設備を効率的に巡回することが可能な出向計画を精度よく立案することを可能にし、結果として、完全復旧までの時間を短縮することにつながる。
<設備DB31>
本実施形態では、運転状況表示システム100は、記憶装置を備えていてもよく、当該記憶装置には、設備データベース31(以下、設備DB31)が記憶されていてもよい。
設備DB31は、保守会社が保守を請け負っている昇降機設備の運転状況を管理するためのデータベースである。例えば、設備DB31は、対象設備状況取得部10によって取得された監視対象設備の運転状況と、対象外設備状況取得部11によって取得された監視対象外設備の運転状況と、運転状況推定装置5によって推定された推定運転状況とを記憶する。
図23は、設備DB31のデータ構造の一例を示す図である。設備DB31は、一例として、設備ID、所在地、復旧優先度、設備種別、運転状況、停止確率、復旧必要性ランク、および、復旧完了フラグの各項目を含んで構成されていてもよい。
設備IDは、昇降機設備を一意に識別するための識別情報である。1つの昇降機設備に対して一意の識別情報が付与される。本実施形態では、1つの昇降機設備は、該1つの昇降機設備が何基の昇降機(カゴ数)で構成されていても、1つの設備として扱われる。設備IDとしては、実施形態1~3で採用された昇降機設備IDがそのまま採用されてもよい。
所在地は、昇降機設備の所在地を示す情報であり、地名、番地、建物名などが含まれる。所在地は、昇降機設備が敷設されている建物の緯度経度情報で表されていてもよい。
復旧優先度は、昇降機設備に設定されている復旧の優先度を示す情報である。本実施形態では、一例として、利用者の閉じ込めが発生している昇降機設備の復旧優先度は、最も高く(例えば、優先度S)に設定される。そして、閉じ込めが発生していない昇降機設備については、事前に定められた復旧優先度がそのまま採用されてもよい。復旧対象に対して事前に設定される復旧優先度は、例えば、優先度Sを除いて、優先度A~Cの3段階あってもよい。各復旧対象には、復旧優先度が高い順に、A、B、および、Cのいずれかが事前に設定されている。
例えば、昇降機設備が敷設されている建物の機能的な性質に応じて復旧優先度が定められていてもよい。例えば、社会において、特に災害発生時に重要な役割を果たす施設で稼動する昇降機設備に対して高い復旧優先度(優先度A)が設定されてもよい。重要な役割を果たす施設は、一例として、総合病院などの医療機関、テレビ局などの報道機関、および、市・区役所などの行政機関などが想定され得る。あるいは、昇降機設備が敷設されている建物の管理者と保守会社との間で締結された保守契約のランクなどにしたがって復旧優先度が設定されてもよい。
昇降機設備に対して事前に設定されている復旧優先度は、運転状況表示システム100の記憶装置に設備DB31とは別に予め記憶されていてもよく、この場合、設備DB31において、「復旧優先度」のカラムは省略されてもよい。
設備種別は、昇降機設備の種別を示す情報である。本実施形態では、昇降機設備の種別としては3種類が定義されており、昇降機設備は、当該昇降機設備の運転状況が把握される経緯に応じて、3つのうちのいずれかの種別に分類される。
1つ目の種別は、「監視対象」であり、監視対象設備は、この種別に分類される。監視対象設備は、通信ネットワークを介して被害情報提供システム200と通信可能に接続されており、監視対象設備の運転状況は、通信ネットワークを介して、被害情報提供システム200において自動的に収集される。
2つ目の種別は、「監視対象外_CB」である。運転状況が自動的に収集されない監視対象外設備であって、被害情報提供システム200においてコールバックが受け付けられたことにより、停止の運転状況が判明している設備は、この種別に分類される。
3つ目の種別は、「監視対象外_推定」である。運転状況が自動的に収集されない監視対象外設備であって、コールバックも発生していないために、運転状況が不明である設備は、この種別に分類される。運転状況が不明である監視対象外設備は、運転状況推定装置5における運転状況推定の処理の対象となり、運転状況推定装置5によって推定された推定運転状況が、当該設備の運転状況として暫定的に採用される。
運転状況は、昇降機設備の運転状況を示す情報である。本実施形態では、一例として、運転状況には、少なくとも、昇降機設備が正常に運転していることを意味する「正常運転」と、昇降機設備が故障などに起因して運転を停止していることを意味する「停止」とが含まれる。さらに、運転状況は、閉じ込め有無の情報を含んでいてもよい。本実施形態では、一例として、昇降機設備の利用者がカゴ内に閉じ込められて出られない状態になっていることを意味する「閉じ込め有」が、運転状況に含まれ得る。図23に示す例では、運転状況「停止」は、昇降機設備が単に運転を停止していることを意味し、運転状況「停止+閉じ込め有」は、昇降機設備が運転を停止していることに加えて、昇降機設備のいずれかのカゴ内に利用者が閉じ込められていることを意味する。
なお、種別が「監視対象外_推定」の監視対象外設備の運転状況は不明である。したがって、この種別に該当する監視対象外設備の運転状況の項目には、「不明」に対応する値が格納されていてもよいし、あるいは当該項目は空値であってもよい。
運転状況推定装置5の推定部52は、監視対象外設備の運転状況の確率を出力するものであり、停止確率は、推定部52によって推定された監視対象外設備の運転状況のうち「停止」である確率を示す。運転状況推定装置5による推定の対象となるのは、種別が「監視対象外_推定」の監視対象外設備である。したがって、運転状況が判明している昇降機設備については、当該停止確率の項目は空値であってもよい。
復旧必要性ランクは、運転状況が推定された監視対象外設備の、復旧作業の必要性の高さを表す。復旧必要性ランクは、運転状況推定装置5によって推定された運転状況の確率の値に対応付けて定められる。本実施形態では、停止確率が高い設備ほど、高い復旧必要性ランクが対応付けられ、復旧作業の必要性が高い設備として取り扱われる。本実施形態では、一例として、ランクの高低は、星の数で表され、星の数が多いほど復旧必要性ランクが高いことを示す。例えば、停止確率90%以上には、復旧必要性ランク「星3つ」が、停止確率80%以上には、復旧必要性ランク「星2つ」が、停止確率70%以上には、復旧必要性ランク「星1つ」が、対応付けられてもよい。本実施形態では、一例として、70%未満の低い停止確率には、復旧必要性ランクを対応付けずに一律「ランク外」としてもよい。
復旧必要性ランクが対応付けられる停止確率が算出されるのは、種別が「監視対象外_推定」の監視対象外設備である。したがって、運転状況が自動収集またはコールバックによって判明している昇降機設備については、当該復旧必要性ランクの項目は空値であってもよい。
復旧完了フラグは、昇降機設備に対する復旧作業が完了したか否かを示す情報である。復旧作業が完了していない昇降機設備には、復旧作業が完了していないことを示す値(図には「未完了」と表記)が対応付けられる。復旧作業が完了した昇降機設備には、復旧作業が完了したことを示す値が対応付けられる。
復旧完了フラグは、停止と判明しているまたは停止している可能性を捨てきれない昇降機設備について設けられる。したがって、自動収集された運転状況に基づいて正常運転していることが確認されている昇降機設備、すなわち、復旧作業が必要ない昇降機設備については、当該復旧完了フラグの項目は空値であってもよい。
表示制御部12は、設備DB31を参照することにより、地図上に昇降機設備の運転状況を重畳表示させた表示画面を生成することができる。具体的には、表示制御部12は、各昇降機設備のアイコンを、(1)運転状況が正常運転である場合と、(2)自動収集された運転状況が停止である場合と、(3)手動入力された運転状況が停止である場合と、(4)推定された運転状況が停止である場合とを、区別可能な表示態様にて、地図上に重畳表示させることができる。
<表示画面>
図24~図26は、表示制御部12によって生成される表示画面700の一例を示す図である。地震などの災害が発生した場合、表示制御部12は、表示画面700の生成を開始する。災害発生直後は、昇降機設備の運転状況が把握されていない。そこで、まず、表示制御部12は、設備種別および運転状況の区別なく、災害発生地域の地図上に、昇降機設備のアイコンを各々の所在地に基づいて重畳表示させてもよい。例えば、図24に示すとおり、表示制御部12は、災害発生地域の地図上に、当該地域内に所在する昇降機設備のアイコンを、一律白色で表示させてもよい。
なお、図24~図26に示す表示画面700において、アイコン内には、本発明の説明を容易にする目的で数字が示されている。この3桁の数字は、図23に示す設備DB31に登録されている昇降機設備の設備IDの数字の部分を示す。以下の説明で、「(3桁の数字)」のアイコンというとき、当該数字を含む設備IDが対応付けられた昇降機設備のアイコンであることを意味する。このように、図24~図26においてアイコンの3桁の数字は、本発明の説明のために付されたものであり、図24~図26は、表示制御部12が、表示画面700において、設備IDが可視化されたアイコンを重畳表示させることを必ずしも意味しない。
図24の表示画面700が表示された後、例えば、災害発生から10分程度以内に、対象設備状況取得部10によって、監視対象設備の運転状況が被害情報提供システム200から取得されてもよい。対象設備状況取得部10は、監視対象設備について取得した運転状況を設備DB31に登録する。設備DB31が更新されたことに伴って、表示制御部12は、運転状況が登録された監視対象設備に対応するアイコンの表示態様を変更する。
例えば、表示制御部12は、設備DB31より、運転状況が「停止」と判明した監視対象設備のアイコンを第1の色で表示させる。第1の色は、例えば、赤色であってもよい。例えば、表示制御部12は、設備DB31より、運転状況が「正常運転」と判明した監視対象設備のアイコンを、第1の色とは別の第2の色で表示させる。第2の色は、例えば、青色であってもよい。
表示制御部12は、停止に加えて閉じ込めが発生していると判明した監視対象設備のアイコンを、「停止」のアイコンと区別可能にさらに別の表示態様にて表示させてもよい。例えば、表示制御部12は、運転状況が「停止+閉じ込め有」の監視対象設備のアイコンを、点滅させてもよい。
例えば、図25に示すとおり、表示制御部12は、運転状況が「停止+閉じ込め有」である監視対象設備の、「002」のアイコン、および、「124」のアイコンを、第1の色(赤色)で点滅表示させてもよい。表示制御部12は、運転状況が「停止」である監視対象設備の、「125」のアイコンを、第1の色(赤色)で表示させてもよい。表示制御部12は、運転状況が「正常運転」である監視対象設備の、「005」のアイコン、および、「123」のアイコンを、第2の色(青色)で表示させてもよい。
図25に示す表示画面700によれば、表示画面700を視認したオペレータは、復旧作業を要する異常な監視対象設備と、正常運転中で復旧作業が必要ない監視対象設備とを、その位置とともに一目で確認することができる。さらに、利用者の閉じ込めが発生している緊急の復旧作業を要する監視対象設備を他の監視対象設備と区別して認識することができる。
図25の表示画面700が表示された後、さらなる時間の経過に伴い、監視対象外設備からのコールバックが受け付けられるなどして、監視対象外設備についても徐々に運転状況が判明してくると考えられる。対象外設備状況取得部11は、監視対象外設備の運転状況を、被害情報提供システム200から取得してもよい。監視対象外設備の運転状況は、コールバックが受け付けられる度に、被害情報提供システム200から対象外設備状況取得部11へ提供されてもよい。あるいは、監視対象外設備の運転状況は、被害情報提供システム200から自発的に、または、対象外設備状況取得部11からのリクエストに応じて、被害情報提供システム200から対象外設備状況取得部11へ定期的に提供されてもよい。対象外設備状況取得部11は、監視対象外設備について取得した運転状況を設備DB31に登録する。設備DB31が更新されたことに伴って、表示制御部12は、運転状況が登録された監視対象外設備に対応するアイコンの表示態様を変更する。
例えば、表示制御部12は、設備DB31より、運転状況が「停止」と判明した監視対象外設備のアイコンを、第1の色および第2の色とは別の第3の色で表示させる。第3の色は、例えば、黄色であってもよい。さらに、表示制御部12は、停止に加えて閉じ込めが発生していると通報された監視対象外設備のアイコンを、「停止」のアイコンと区別可能にさらに別の表示態様にて表示させてもよい。例えば、表示制御部12は、運転状況が「停止+閉じ込め有」の監視対象外設備のアイコンを、点滅させてもよい。
例えば、図26に示すとおり、表示制御部12は、運転状況が「停止+閉じ込め有」である監視対象外設備の、「004」のアイコンを、第3の色(黄色)で点滅表示させてもよい。表示制御部12は、運転状況が「停止」である監視対象外設備の、「003」のアイコンを、第3の色(黄色)で表示させてもよい。
災害発生地域において、監視対象設備および監視対象外設備の運転状況が徐々に判明してくると、コールバックを受けていないために運転状況が不明な監視対象外設備について、運転状況を推定することが可能となる。運転状況推定装置5は、運転状況が不明な監視対象外設備について、同じ地域に所在する昇降機設備について判明している運転状況に基づいて、運転状況を推定してもよい。具体的には、入力データ生成部51は、監視対象設備またはコールバックが受け付けられた監視対象外設備の運転状況を用いて、学習モデル451aに入力する入力データを生成する。推定部52は、生成された入力データを学習モデル451aに入力し、出力データを得ることによって、監視対象外設備の運転状況を推定する。推定部52は、監視対象外設備の停止確率を推定してもよい。出力制御部53は、運転状況が不明な監視対象外設備につき、推定部52によって推定された推定運転状況、具体的には、停止確率を設備DB31に登録する。出力制御部53は、必要に応じて、停止確率の値に対応付けられた復旧必要性ランクを併せて設備DB31に登録してもよい。設備DB31が更新されたことに伴って、表示制御部12は、推定運転状況が登録された監視対象外設備に対応するアイコンの表示態様を変更する。
例えば、表示制御部12は、設備DB31より、推定運転状況が得られた監視対象外設備のアイコンを、第1の色、第2の色および第3の色とは別の第4の色で表示させる。第4の色は、例えば、マゼンタであってもよい。一例として、表示制御部12は、停止確率が所定閾値以上の監視対象外設備のアイコンを第4の色で表示させ、停止確率が所定閾値未満の監視対象外設備のアイコンを当初の白色のまま維持してもよい。所定閾値は、例えば、「70%」であってもよい。
図26に示すとおり、表示制御部12は、停止確率が70%以上と推定された監視対象外設備の、「001」のアイコン、「126」のアイコン、および、「127」のアイコンを、第4の色(マゼンタ)で表示させてもよい。また、表示制御部12は、停止確率が70%未満と推定された監視対象外設備の、「121」のアイコン、および、「122」のアイコンを、白色のまま表示させてもよい。
図26に示す表示画面700によれば、表示画面700を視認したオペレータは、復旧作業を要する異常な設備と、復旧作業が必要ない正常な設備とを、その位置とともに一目で確認することができる。さらに、表示画面700によれば、設備種別ごとに異なる表示態様にてアイコンが表示される。そのため、オペレータは、復旧作業を要する異常な設備を、さらに、監視対象設備と、コールバックが受け付けられた監視対象外設備と、所定以上の確度で以って停止と推定されている監視対象外設備と、区別することができる。
こうして、災害発生当初から運転状況が把握される監視対象設備だけでなく、監視対象外設備の運転状況も反映された表示画面が提示されるので、災害発生当初から復旧対象の全体像を把握することが可能となる。災害発生当初から復旧対象の全体像を把握することは、災害発生直後の早い段階から、復旧対象設備を効率的に巡回することが可能な出向計画を精度よく立案することを可能にし、結果として、完全復旧までの時間を短縮することにつながる。
より具体的には、例えば、表示制御部12は、図25および図26に示すとおり、上述の表示態様を、色で区別可能な態様としてもよい。これにより、色の違いだけで、各昇降機設備の復旧作業の要否、運転状況、設備種別などを、オペレータに容易に判別させることができる。
<表示態様の変形例>
(復旧作業完了の可視化)
運転状況表示システム100は、被害情報提供システム200を介して、または、端末装置3から直接、復旧作業を要する昇降機設備の復旧作業が完了した旨の復旧完了通知を受信してもよい。復旧完了通知の受信に伴い、運転状況表示システム100は、設備DB31において、復旧作業が完了した昇降機設備の復旧完了フラグを、「未完了」から「完了」に更新してもよい。
表示制御部12は、設備DB31において、昇降機設備の復旧完了フラグが「未完了」から「完了」に更新されたことに伴い、当該昇降機設備のアイコンを、正常運転を意味する第2の色(青色)に変更してもよい。これにより、オペレータは、表示画面700を視認して、復旧作業が完了した昇降機設備とそうでない昇降機設備とを区別することができる。そして、復旧作業が完了していない昇降機設備とその位置をリアルタイムに把握し、出向計画の再考などに役立てることができる。
なお、表示制御部12は、復旧作業によって正常運転に復帰した昇降機設備のアイコンを、第1の色から第4の色までのいずれとも異なる別の色にて表示してもよい。これにより、復旧作業によって正常運転に復帰した昇降機設備を、災害発生当初から故障することなく正常運転を続けている昇降機設備と区別して表すことが可能となる。
(みなし正常運転の可視化)
対象外設備状況取得部11は、設備種別が「監視対象外_推定」である監視対象外設備であって、停止確率が所定閾値未満の監視対象外設備について、コールバックの有無を監視してもよい。そして、当該監視対象外設備について、コールバックが受け付けられることなく災害発生時刻から所定時間(例えば、12時間)以上経過した場合には、対象外設備状況取得部11は、当該監視対象外設備の運転状況を「不明」から「正常運転」に変更してもよい。また、対象外設備状況取得部11は、当該監視対象外設備の復旧完了フラグを空値にするか、または、「未完了」から「完了」に更新してもよい。
表示制御部12は、設備DB31において、監視対象外設備の運転状況が「不明」から「正常運転」に変更されたことに伴い、当該昇降機設備のアイコンを、白色から正常運転を意味する第2の色(青色)に変更してもよい。災害発生時刻から12時間もの時間が経過してもコールバックが発生していないということは、その昇降機設備が問題なく稼動しているとみなすことができる。こうして、設備DB31において、長期に亘って運転状況が不明なまま放置される昇降機設備を無くし、当該昇降機設備のアイコンを「正常運転」の表示態様にて表示させることにより、復旧完了までの道筋をオペレータに明確に示すことが可能となる。
なお、表示制御部12は、時間の経過に基づいて正常運転とみなされた昇降機設備のアイコンを、第1の色から第4の色までのいずれとも異なる別の色にて表示してもよい。これにより、時間の経過に基づいて正常運転とみなされた、すなわち、「みなし正常運転」の昇降機設備を、遠隔監視または作業員からの報告などによって「正常運転」であることが実際に確認されている昇降機設備と区別して表すことが可能となる。
(停止確率の可視化)
運転状況推定装置5の推定部52は、監視対象外設備の運転状況の確率を出力するものである。推定部52は、監視対象外設備の運転状況が「停止」である場合の停止確率を出力してもよい。表示制御部12は、推定された運転状況が停止である場合の表示態様を、停止確率の値に応じた態様としてもよい。これにより、オペレータは、アイコンを見るだけで、推定により復旧対象と認定された監視対象外設備であることを識別できるだけでなく、当該監視対象外設備の停止確率までも把握することが可能となる。
図27は、監視対象外設備の運転状況の確率を可視化するアイコンの一例を示す図である。例えば図示のように、表示制御部12は、推定された運転状況が停止である場合の表示態様を、停止確率の値に対応づけられた彩度で表示させる態様としてもよい。
上述の実施形態では、推定運転状況が得られた監視対象外設備のアイコンを、第4の色(例えば、マゼンタ)で表示させることとしている。そこで、一例として、停止確率が最も高い範囲(例えば、99%以上)に、高彩度(最も鮮やかな第4の色)を対応付け、停止確率が最も低い範囲(例えば、1%未満)に、低彩度(無彩色)を対応付ける。表示制御部12は、上述の高彩度から低彩度までの間の彩度にて表現される第4の色のうち、監視対象外設備について推定された停止確率の値に対応する彩度の第4の色にて、当該監視対象外設備のアイコンを表示させる。
これにより、オペレータは、アイコンの色の彩度によって、一目で監視対象外設備の停止確率を把握することが可能となる。例えば、色味(色相)の違いを、運転状況および設備種別の違いを表現することに使用するケースでは、停止確率をさらに色味の違いで表現することが難しい。本発明は、同一の運転状況および設備種別について同じ色味(色相)を採用しつつ、その彩度の違いによってさらに停止確率の違いを表現することができるという点で、上述のケースにおいて、とりわけ優れた効果を奏する。また、文字や記号を使用することなく停止確率を表現できるので、アイコンに付加する文字や記号を他の情報を表現することに使用することができる。これにより、より多くの情報を視認性よく表すことが可能なアイコンを提示することができる。
なお、運転状況が推定された監視対象外設備の一部のアイコンには第4の色を着色しない場合が想定される。具体的には、上述したとおり、停止確率が所定閾値(例えば、70%)以上の監視対象外設備のアイコンに第4の色を着色し、停止確率が所定閾値未満の監視対象外設備のアイコンには第4の色を着色しない(つまり、白色のままとする)場合が想定される。この場合には、71%未満~70%以上の範囲を停止確率が最も低い範囲とし、当該範囲に、低彩度(無彩色)を対応付けてもよい。そして、停止確率が100%~70%の範囲の監視対象外設備について、アイコンの第4の色における彩度の調整なされてもよい。
他の例では、表示制御部12は、推定された運転状況が停止である場合の表示態様を、停止確率の値に対応づけられた明度で表示させる態様としてもよい。例えば、表示制御部12は、監視対象外設備の停止確率が高いほど明るい第4の色にて、停止確率が低いほど暗い第4の色にてアイコンを表示させてもよい。これにより、オペレータは、アイコンの色の明度によって、一目で監視対象外設備の停止確率を把握することが可能となる。例えば、色味(色相)の違いを、運転状況および設備種別の違いを表現することに使用するケースでは、停止確率をさらに色味の違いで表現することが難しい。本発明は、同一の運転状況および設備種別について同じ色味(色相)を採用しつつ、その明度の違いによってさらに停止確率の違いを表現することができるという点で、上述のケースにおいて、とりわけ優れた効果を奏する。
他の例では、表示制御部12は、推定された運転状況が停止である場合の表示態様を、停止確率の値に対応づけられた濃度または透過率で表示させる態様としてもよい。例えば、表示制御部12は、監視対象外設備の停止確率が高いほど、第4の色を濃くまたは第4の色の透過率を低くして、アイコンを表示させてもよい。これにより、オペレータは、アイコンの色の濃淡によって、一目で監視対象外設備の停止確率を把握することが可能となる。例えば、色味(色相)の違いを、運転状況および設備種別の違いを表現することに使用するケースでは、停止確率をさらに色味の違いで表現することが難しい。本発明は、同一の運転状況および設備種別について同じ色味(色相)を採用しつつ、その色の濃淡によってさらに停止確率の違いを表現することができるという点で、上述のケースにおいて、とりわけ優れた効果を奏する。
また、上述の各構成によれば、文字や記号を使用することなく停止確率を表現できるので、アイコンに付加する文字や記号を他の情報を表現することに使用することができる。これにより、より多くの情報を視認性よく表すことが可能なアイコンを提示することができる。
図28は、監視対象外設備の運転状況の確率を可視化するアイコンの一例を示す図である。例えば図示のように、表示制御部12は、推定された運転状況が停止である場合の表示態様を、停止確率の値を表示させる態様としてもよい。同図は、第4の色に着色された監視対象外設備のアイコンに、当該監視対象外設備について推定された停止確率(例えば、93%)を表示させた例のいくつかを示している。
これにより、オペレータは、第4の色に着色されたアイコンに付随する停止確率の値の表示によって、一目で監視対象外設備の停止確率を把握することが可能となる。
図29および図30は、監視対象外設備の運転状況の確率を可視化するアイコンの一例を示す図である。例えば図示のように、表示制御部12は、推定された運転状況が停止である場合の表示態様を、停止確率の値に対応付けられた復旧必要性ランク(ランク)を表示させる態様としてもよい。図29には、第4の色に着色された監視対象外設備のアイコン内に、当該監視対象外設備について推定された停止確率に対応付けられた復旧必要性ランクを表す星印を重畳表示させる例が示されている。図30には、第4の色に着色された監視対象外設備のメインアイコンに、当該監視対象外設備について推定された停止確率に対応付けられた復旧必要性ランクを表す星印のサブアイコン(バッジ)を付随させる例が示されている。図29および図30に示すとおり、第4の色に着色された監視対象外設備のアイコンには、当該監視対象外設備の復旧必要性ランクが高いほど、多くの星印が付加されて表示される。
これにより、オペレータは、第4の色に着色されたアイコンに付加される星印の数によって、一目で監視対象外設備の復旧必要性ランクを判別し、当該監視対象外設備の停止確率を把握することが可能となる。
他の例では、表示制御部12は、推定された運転状況が停止である場合の表示態様を、復旧必要性ランクに対応づけられた形状で表示させる態様としてもよい。例えば、表示制御部12は、停止確率が90%以上であって、復旧必要性ランクが星3つの監視対象外設備のアイコンを五角形で表示してもよい。表示制御部12は、停止確率が80%以上であって、復旧必要性ランクが星2つの監視対象外設備のアイコンを四角形で表示してもよい。表示制御部12は、停止確率が70%以上であって、復旧必要性ランクが星1つの監視対象外設備のアイコンを三角形で表示してもよい。これにより、オペレータは、第4の色に着色されたアイコンの形状の違いによって、一目で監視対象外設備の復旧必要性ランクを判別し、当該監視対象外設備の停止確率を把握することが可能となる。
図31は、運転状況が推定された監視対象外設備のアイコンの表示例を示す図である。推定された運転状況が停止である場合の表示態様を、停止確率の値に応じた態様とする例において、表示制御部12は、アイコンにおける着色領域の割合を、停止確率の値に応じた割合としてもよい。例えば図示のように、表示制御部12は、停止確率の値を示す円グラフをアイコンとして採用してもよい。例えば、同図の左端のアイコンは、停止確率が93%と推定された監視対象外設備のアイコンを示しており、アイコンの約93%が第4の色に着色されている。これにより、オペレータは、アイコンに占める第4の色に着色された領域の割合によって、一目で監視対象外設備の停止確率を把握することが可能となる。
<処理フロー>
図32は、運転状況表示システム100が実行する運転状況表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。運転状況表示処理は、概して、運転状況表示システム100を構成する1または複数の情報処理装置が、以下の工程を含む、運転状況表示システム100の制御方法を実行することにより、実現される。
制御方法は、1または複数の情報処理装置により実行される制御方法であって、所在地が異なる複数の昇降機設備のうち運転状況を遠隔監視できる昇降機設備である監視対象設備から自動収集された運転状況を、対象設備状況取得部10が取得する対象設備状況取得工程(ステップS104)と、昇降機設備のうち運転状況を遠隔監視できない昇降機設備である監視対象外設備の運転状況であって手動入力された運転状況を、対象外設備状況取得部11が取得する対象外設備状況取得工程(ステップS111)と、監視対象外設備の運転状況を、運転状況推定装置5の推定部52が推定する対象外設備状況推定工程(ステップS107)と、昇降機設備の所在地を含む地域を表す地図上に昇降機設備の運転状況を重畳表示させた表示画面を、表示制御部12が表示部に表示させる表示制御工程(ステップS105、ステップS112、ステップS108)とを含む。運転状況は、少なくとも正常運転および停止を含む。表示制御工程において表示制御部12は、運転状況が正常運転である場合と、自動収集された運転状況が停止である場合と、手動入力された運転状況が停止である場合と、推定された運転状況が停止である場合とを、区別可能な表示態様で表示させる。
さらに、表示制御部12は、上述の表示制御工程(ステップS105、ステップS112、ステップS108)において、運転状況が、対象設備状況取得部10により取得される毎(ステップS104)、対象外設備状況取得部11により取得される毎(ステップS111)、および、運転状況推定装置5の推定部52により推定される毎(ステップS107)に、表示画面700を更新してもよい。
運転状況表示処理の流れの一例をより具体的に説明すると以下のとおりである。
ステップS101では、運転状況表示システム100は、保守会社が昇降機設備の保守を管掌する地域において災害が発生したことを検知する。運転状況表示システム100は、例えば、災害発生情報配信装置6d(図14)または被害情報提供システム200などから災害が発生したことを知らせる情報を受信することにより、災害の発生を検知してもよい。運転状況表示システム100は、災害の発生を検知すると、ステップS101のYESからステップS102に処理を進める。
ステップS102では、表示制御部12は、災害発生地域の地図上に、保守会社が保守を請け負う昇降機設備のアイコンを重畳表示させた表示画面700を生成する。保守会社が保守を請け負う昇降機設備の所在地は、予め運転状況表示システム100において把握されており、表示制御部12は、昇降機設備の所在地に対応する地図上の位置に、当該昇降機設備のアイコンを重畳させることができる。災害発生直後は、各昇降機設備の運転状況は設備DB31において把握されていないと考えられる。そのため、表示制御部12は、ここでは、図24に示すとおり、運転状況が反映されていない白色のアイコンが重畳された表示画面700を生成してもよい。なお、災害発生地域の地図情報は、例えば、地図情報提供システム300などから提供されてもよい。ここで、表示制御部12は、運転状況が反映されていない図24に示す表示画面700を、フロントエンドシステム1、事業所装置2または端末装置3に提供して、それぞれの表示部に表示させてもよいし、内部に保持するだけでもよい。
ステップS103では、対象設備状況取得部10は、運転状況表示システム100が監視対象設備の運転状況を取得できる状態にあるか否かを判断する。対象設備状況取得部10は、被害情報提供システム200から送信された監視対象設備の運転状況が運転状況表示システム100において受信されたことに基づいて、運転状況を取得可能と判断してもよい。あるいは、対象設備状況取得部10は、災害発生時刻から所定時間(例えば、5分など)が経過し、被害情報提供システム200に対して運転状況をリクエストするタイミングが到来したことに基づいて、運転状況を取得可能と判断してもよい。対象設備状況取得部10は、運転状況を取得可能と判断すると、ステップS103のYESからステップS104に処理を進める。対象設備状況取得部10が運転状況を取得できる状態にない場合、ステップS103のNOからステップS110に処理が進められる。
ステップS104では、対象設備状況取得部10は、被害情報提供システム200から提供された、監視対象設備の運転状況を取得する。取得された各監視対象設備の運転状況は、設備DB31に登録されてもよい。
ステップS105では、表示制御部12は、取得された監視対象設備の運転状況を当該監視対象設備のアイコンの表示態様に反映させる。例えば、監視対象設備の運転状況が「停止」を示す場合、表示制御部12は、当該監視対象設備のアイコンの色を「停止」を意味する第1の色に変更してもよい(例えば、図25の「002」、「124」および「125」のアイコン)。また、監視対象設備の運転状況に、閉じ込め有が含まれている場合、表示制御部12は、当該監視対象設備のアイコンに点滅のアニメーションを付加して、当該アイコンを点滅表示させてもよい(「002」および「124」のアイコン)。また、例えば、監視対象設備の運転状況が「正常運転」を示す場合、表示制御部12は、当該監視対象設備のアイコンの色を「正常運転」を意味する第2の色に変更してもよい(「005」および「123」のアイコン)。
監視対象外設備の運転状況がコールバックセンターで把握されるよりも早く、監視対象設備の運転状況が即時に自動収集されると考えられる。よって、この時点では、監視対象外設備の運転状況は設備DB31において把握されていない可能性が高い。そのため、表示制御部12は、ここでは、図25に示すとおり、監視対象設備の運転状況だけを監視対象設備にアイコンに反映し、監視対象外設備のアイコンについては、運転状況が不明であるとして白色を維持してもよい。
ステップS106では、運転状況推定装置5は、運転状況表示システム100において把握される復旧対象の数が増えたか否かを判断する。例えば、ステップS104にて、対象設備状況取得部10が、ある1つの監視対象設備について「停止」が示された運転状況を新規に取得したとする。この場合、運転状況推定装置5は、復旧作業を要する監視対象設備、すなわち、復旧対象が1つ増加したと判断する。復旧対象が増えた場合、運転状況推定装置5は、ステップS106のYESからステップS107に処理を進める。
一方、復旧対象が増えていないということは、設備DB31に新規の復旧対象が追加されていないということであって、監視対象外設備の推定のために考慮すべき新しい情報がないことを意味する。したがって、復旧対象が増えていない場合、運転状況推定装置5は、監視対象外設備の運転状況を推定する処理を省略してもよい。すなわち、処理は、ステップS106のNOからステップS109に進められる。
ステップS107では、運転状況推定装置5は、運転状況が不明な監視対象外設備の運転状況を推定する。推定部52は、遠隔監視またはコールバックなどによって把握されている、災害発生地域の昇降機設備の運転状況を利用して、それらの昇降機設備の周辺に所在する運転状況が不明な監視対象外設備の運転状況を推定してもよい。出力制御部53は、推定によって得られた推定運転状況、具体的には、停止確率を設備DB31に登録してもよい。
ステップS108では、表示制御部12は、監視対象外設備の推定運転状況を、当該監視対象外設備のアイコンの表示態様に反映させる。本実施形態では、表示制御部12は、監視対象外設備について推定された停止確率を、当該監視対象外設備のアイコンの表示態様に反映させてもよい。例えば、停止確率が70%以上の監視対象外設備について、アイコンの色を「停止と推定される」ことを意味する第4の色に変更してもよい。例えば、図26に示すとおり、表示制御部12は、停止確率が70%以上と推定された監視対象外設備のアイコン(「001」、「126」および「127」のアイコン)を第4の色に変更する。表示制御部12は、停止確率が70%未満と推定された監視対象外設備のアイコン(「121」および「122」のアイコン)については、復旧作業の必要性が低いとして白色を維持してもよい。
ステップS109では、運転状況表示システム100は、被害情報提供システム200と通信し、被害情報提供システム200を介して、保守会社が請け負うすべての昇降機設備が正常運転に復帰したか否かを監視してもよい。運転状況表示システム100は、被害情報提供システム200からの通知により、全昇降機設備の復旧作業が完了したこと、すなわち、完全復旧を確認すると、ステップS109のYESに進み、一連の運転状況表示処理を終了してもよい。運転状況表示システム100は、完全復旧が確認されないうちは、ステップS109のNOからステップS103に戻り、被害情報提供システム200から提供される最新の運転状況を待機する。
ステップS110では、対象外設備状況取得部11は、運転状況表示システム100が監視対象外設備の運転状況を取得できる状態にあるか否かを判断する。対象外設備状況取得部11は、被害情報提供システム200から送信された監視対象外設備の運転状況が運転状況表示システム100において受信されたことに基づいて、運転状況を取得可能と判断してもよい。あるいは、対象外設備状況取得部11は、災害発生時刻から所定時間(例えば、15分など)経過し、被害情報提供システム200に対して運転状況をリクエストするタイミングが到来したことに基づいて、運転状況を取得可能と判断してもよい。
監視対象外設備における利用者またはオーナーからのコールバックは、監視対象設備について運転状況が即時に自動収集される状況とは異なり、ばらばらのタイミングで随時受け付けられると想定される。そこで、被害情報提供システム200は、コールバックが受け付けられる度に、そのコールバックによって判明した監視対象外設備の運転状況を運転状況表示システム100に逐一送信してもよい。そして、対象外設備状況取得部11は、上述の運転状況が受信される度に、運転状況を取得可能と判断してもよい。
対象外設備状況取得部11は、運転状況を取得可能と判断すると、ステップS110のYESからステップS111に処理を進める。対象外設備状況取得部11が運転状況を取得できる状態にない場合、ステップS110のNOからステップS113に処理が進められる。
ステップS111では、対象外設備状況取得部11は、被害情報提供システム200から提供された、監視対象外設備の運転状況を取得する。取得された監視対象外設備の運転状況は、設備DB31に登録されてもよい。
ステップS112では、表示制御部12は、取得された監視対象外設備の運転状況を当該監視対象外設備のアイコンの表示態様に反映させる。例えば、監視対象外設備の運転状況が「停止」を示す場合、表示制御部12は、当該監視対象外設備のアイコンの色を「停止」を意味する第3の色に変更してもよい。ここで、本実施形態では、表示制御部12は、監視対象設備の「停止」に対応して採用した第1の色と異なる第3の色を採用する(例えば、図26の「003」および「004」のアイコン)。これにより、アイコンの色を見れば、監視対象設備における「停止」であるのか、コールバックが受け付けられた監視対象外設備における「停止」であるのかを、識別することが可能となる。また、監視対象外設備の運転状況に、閉じ込め有が含まれている場合、表示制御部12は、当該監視対象外設備のアイコンに点滅のアニメーションを付加して、当該アイコンを点滅表示させてもよい(「004」のアイコン)。
ステップS113では、対象外設備状況取得部11は、災害発生時刻から所定時間(例えば、12時間)が経過したか否かを判断する。運転状況が被害情報提供システム200から提供されなくても(ステップS103でNOかつステップS110でNO)、災害発生時刻から12時間以上経っていなければ、今後コールバックが発生する可能性がある。そこで、災害発生時刻から12時間が経過しないうちは、運転状況表示システム100は、ステップS113のNOからステップS103に戻り、被害情報提供システム200から提供される最新の運転状況を待機する。
一方、監視対象外設備について、コールバックが受け付けられることなく災害発生時刻から12時間以上経過した場合には(ステップS110でNOかつステップS113でYES)、当該監視対象外設備は、正常運転を続けているとみなすことができる。そこで、災害発生時刻から12時間が経過した場合、対象外設備状況取得部11は、ステップS113のYESからステップS114に処理を進める。ここで、対象外設備状況取得部11は、コールバックがなかった監視対象外設備の運転状況について、「不明」から「正常運転」に変更して、設備DB31を更新してもよい。
ステップS114では、表示制御部12は、正常運転とみなされた監視対象外設備のアイコンの表示態様を変更する。例えば、表示制御部12は、当該監視対象外設備のアイコンの色を「正常運転」を意味する第2の色に変更してもよい。あるいは、表示制御部12は、「みなし正常運転」を意味する第2の色とは別の色に変更してもよい。
上述の方法によれば、災害発生当初から運転状況が把握される監視対象設備だけでなく、監視対象外設備の運転状況も反映された表示画面が提示されるので、災害発生当初から復旧対象の全体像を把握することが可能となる。
また、上述の方法によれば、運転状況表示システム100の各部は、(1)運転状況の取得、(2)取得された運転状況を反映した表示、(3)取得された運転状況を踏まえた、監視対象外設備の運転状況の推定、および、(4)推定運転状況を反映した表示、の一連の処理を、完全復旧まで繰り返すことができる。具体的には、表示制御部12は、上述の表示制御工程(ステップS105、ステップS112、ステップS108)において、運転状況が、対象設備状況取得部10により取得される毎(ステップS104)、対象外設備状況取得部11により取得される毎(ステップS111)、および、運転状況推定装置5の推定部52により推定される毎(ステップS107)に、表示画面700を逐一更新することができる。このようにして得られた表示画面700は、災害発生当初から現在時刻まで刻々と変化する復旧対象の全体像をリアルタイムで常に正確に把握することを可能にする。
<効果>
本発明の運転状況表示システム100によれば、遠隔監視対象外であるため電話等による連絡を受けるまで運転状況が把握できない設備については、運転状況を推定することによって推定運転状況を得ることができる。そして、遠隔監視によりリアルタイムに運転状況を把握できるもの設備と、遠隔監視対象外であるためすぐに運転状況が把握できない設備と併せて、それらの状況を示した表示画面を災害発生の初期段階からオペレータに提示することができる。
災害発生当初から復旧対象の全体像を把握することは、災害発生直後の早い段階から、復旧対象設備を効率的に巡回することが可能な出向計画を精度よく立案することを可能にし、結果として、完全復旧までの時間を短縮することにつながる。
以上のとおり、本発明の運転状況表示システム100は、エレベータなどの生活の基盤となる設備に対して、災害からの早期復旧に優れた効果をもたらすシステムである。したがって、本発明の運転状況表示システム100は、減災または防災の性能に優れた質の高いインフラの整備に貢献することができ、延いては、持続可能な開発目標(SDGs)、例えば、目標11(住み続けられるまちづくりを)の達成に貢献できる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
図33は、学習モデル生成装置4、学習モデル生成装置4a、運転状況推定装置5、ならびに、保守システム1000に含まれる各装置または各システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
学習モデル生成装置4、学習モデル生成装置4a、運転状況推定装置5、運転状況表示システム100を実現する1または複数の情報処理装置の機能は、当該情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。このプログラムは、上述の情報処理装置の各制御ブロックとして、コンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。上述の各制御ブロックとは、特に、制御部40の各部、制御部40aの各部、制御部50の各部、対象設備状況取得部10、対象外設備状況取得部11、および、表示制御部12である。
この場合、情報処理装置は、上述のプログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ911)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ912)とを有するコンピュータ910を備えている。メモリ912は、上述のプログラムとして例えばプログラム921を記憶している。上述の制御装置と記憶装置とによりプログラムを実行することにより、上述の各実施形態で説明した各機能が実現される。
上述のプログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体(例えば、記録媒体931)に記録されていてもよい。この記録媒体は、上述の情報処理装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上述のプログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して情報処理装置に供給されてもよい。
また、上述の各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上述の各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上述の各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
また、上述の各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。