JP7234755B2 - 複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置、方法及びプログラム、並びに複層鋳片の連続鋳造プロセスの制御方法 - Google Patents
複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置、方法及びプログラム、並びに複層鋳片の連続鋳造プロセスの制御方法 Download PDFInfo
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Description
複層鋳片の連続鋳造プロセスでは、表層の溶融金属(溶鋼)と内層の溶鋼とを上下に分離する境界の位置(以下、境界層レベルと呼ぶ)を静磁場帯に留めるために、表層用の浸漬ノズルによる溶鋼供給流量及び内層用の浸漬ノズルによる溶鋼供給流量を適切に制御する必要がある。
特許文献3のように流量計があれば、比較的容易に流量を知ることができるが、流量計の設置に伴うコストが発生するだけでなく、流量計不調時には流量を知ることができなくなるおそれがある。
各ノズルにおける流量が正確にわからない場合には、各ノズルにおける開度と流量との関係である流量特性を正確に知ることができれば、開度の値から流量を求めることができる。
しかしながら、各ノズルの流量特性は、溶鋼の成分の相違等により鋳造の都度ばらつきが生じ、また、鋳造中にも地金付着等ノズル詰まり等が原因で変化するため、適時、流量と開度との関係を求める必要がある。
また、特許文献2には、タンディッシュ内の溶鋼重量の計測結果を利用してノズルより注入される溶鋼流量を算出することが開示されているが、2つのタンディッシュ(表層用のタンディッシュ及び内層用のタンディッシュ)を別々の設備として備えることを前提とするものであり、適用可能な連続鋳造設備が限られてしまう。
[1] 開度変更操作に応じて溶融金属供給流量を制御する流量制御機構をそれぞれ有する表層ノズル及び内層ノズルから鋳型内に溶融金属を注入し、表層の組成と内層の組成とが異なる複層鋳片を製造する連続鋳造プロセスにおいて、前記表層ノズルにおける流量制御機構の開度と流量との関係である流量特性、及び前記内層ノズルにおける流量制御機構の開度と流量との関係である流量特性を推定する複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置であって、
前記鋳型内の湯面の位置である湯面レベルを測定する湯面レベル計を用いて、前記表層ノズル及び前記内層ノズルのうちいずれか一方のノズルの流量制御機構の開度をフィードバック制御することにより湯面レベルを一定に保つとともに、他方のノズルの流量制御機構の開度を一定保持する一定開度制御中に、
前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を設定して、この一定開度に変更する開度変更手段と、
前記表層ノズル及び前記内層ノズルを流れる合計流量の計算値である流量計算値を演算する流量計算値演算手段と、
前記開度変更手段で設定した前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度と、前記流量計算値演算手段で演算した前記流量計算値と、前記開度変更手段で前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度に変更した後に収集した前記一方のノズルの流量制御機構の開度の収束値データとを用いて、前記表層ノズルの流量特性に係る未知数と、前記内層ノズルの流量特性に係る未知数とを変数とした質量又は体積の収支式を作成する収支式作成手段と、
前記開度変更手段で設定する前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を変えて、前記流量計算値演算手段による前記流量計算値の演算及び前記収支式作成手段による前記収支式の作成を複数回繰り返すことにより構成された連立方程式を求解して、前記表層ノズルの流量特性に係る未知数及び前記内層ノズルの流量特性に係る未知数を求める求解手段とを備えたことを特徴とする複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
[2] 前記流量計算値演算手段は、鋳造速度に基づいて、前記流量計算値を演算することを特徴とする[1]に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
[3] 前記流量計算値演算手段は、前記表層ノズル及び前記内層ノズルに溶融金属を供給するタンディッシュの重量測定値に基づいて、前記流量計算値を演算することを特徴とする[1]に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
[4] 前記タンディッシュの重量測定値に基づいて前記流量計算値を演算するときに時間平均化を行うことを特徴とする[3]に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
[5] 前記開度変更手段で設定する前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度、並びに、前記流量計算値演算手段による前記流量計算値の演算及び前記収支式作成手段による前記収支式の作成を複数回繰り返した際の繰り返し回数のうちの少なくともいずれか一方を可変値として、鋳造中の所定の条件に応じて値を変えることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
[6] 前記開度変更手段は、前記流量計算値演算手段による前記流量計算値の演算及び前記収支式作成手段による前記収支式の作成を複数回繰り返した際の繰り返し計算の各回で、前記表層ノズルの流量特性に係る未知数及び前記内層ノズルの流量特性に係る未知数の分散共分散行列のトレースを含む評価関数を用いた最適化問題を設定して求解することにより、前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を設定することを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
[7] 前記評価関数は、前記一方のノズルの流量制御機構の開度操作量及び前記他方のノズルの流量制御機構の開度操作量に関するペナルティ項を含むことを特徴とする[6]に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
[8] 前記開度変更手段は、前記繰り返し計算における次回を対象として、前記最適化問題を設定して求解することを特徴とする[6]又は[7]に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
[9] 前記開度変更手段は、前記繰り返し計算における次回を含む複数回を対象として、前記最適化問題を設定して求解することを特徴とする[6]又は[7]に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
[10] 前記最適化問題は、前記表層ノズル及び前記内層ノズルを流れる合計流量に関する流量制約を含むことを特徴とする[6]乃至[8]のいずれか一つに記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
[11] 前記最適化問題は、前記一方のノズルの流量制御機構の開度操作量及び前記他方のノズルの流量制御機構の開度操作量の上下限制約を含むことを特徴とする[6]乃至[9]のいずれか一つに記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
[12] 前記開度変更手段は、前記最適化問題を1変数の最適化問題に変換して求解することを特徴とする[8]に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
[13] 前記流量計算値演算手段による前記流量計算値の演算及び前記収支式作成手段による前記収支式の作成を複数回繰り返した際の繰り返し計算の回数が予め定められた回数に到達する前に、所定の条件を満たすとき、前記繰り返し計算を打ち切ることを特徴とする[1]乃至[12]のいずれか一つに記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
[14] 開度変更操作に応じて溶融金属供給流量を制御する流量制御機構をそれぞれ有する表層ノズル及び内層ノズルから鋳型内に溶融金属を注入し、表層の組成と内層の組成とが異なる複層鋳片を製造する連続鋳造プロセスにおいて、前記表層ノズルにおける流量制御機構の開度と流量との関係である流量特性、及び前記内層ノズルにおける流量制御機構の開度と流量との関係である流量特性を推定する複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定方法であって、
前記鋳型内の湯面の位置である湯面レベルを測定する湯面レベル計を用いて、前記表層ノズル及び前記内層ノズルのうちいずれか一方のノズルの流量制御機構の開度をフィードバック制御することにより湯面レベルを一定に保つとともに、他方のノズルの流量制御機構の開度を一定保持する一定開度制御中に、
前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を設定して、この一定開度に変更する第1のステップと、
前記表層ノズル及び前記内層ノズルを流れる合計流量の計算値である流量計算値を演算する第2のステップと、
前記第1のステップで設定した前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度と、前記第2のステップで演算した前記流量計算値と、前記第1のステップで前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を変更した後に収集した前記一方のノズルの流量制御機構の開度の収束値データとを用いて、前記表層ノズルの流量特性に係る未知数と、前記内層ノズルの流量特性に係る未知数とを変数とした質量又は体積の収支式を作成する第3のステップと、
前記第1のステップで設定する前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を変えて、前記第2のステップ及び前記第3のステップを行うことを複数回繰り返すことにより構成された連立方程式を求解して、前記表層ノズルの流量特性に係る未知数及び前記内層ノズルの流量特性に係る未知数を求める第4のステップとを有することを特徴とする複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定方法。
[15] 開度変更操作に応じて溶融金属供給流量を制御する流量制御機構をそれぞれ有する表層ノズル及び内層ノズルから鋳型内に溶融金属を注入し、表層の組成と内層の組成とが異なる複層鋳片を製造する連続鋳造プロセスにおいて、前記表層ノズルにおける流量制御機構の開度と流量との関係である流量特性、及び前記内層ノズルにおける流量制御機構の開度と流量との関係である流量特性を推定するためのプログラムであって、
前記鋳型内の湯面の位置である湯面レベルを測定する湯面レベル計を用いて、前記表層ノズル及び前記内層ノズルのうちいずれか一方のノズルの流量制御機構の開度をフィードバック制御することにより湯面レベルを一定に保つとともに、他方のノズルの流量制御機構開度を一定保持する一定開度制御中に、
前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を設定して、この一定開度に変更する第1の処理と、
前記表層ノズル及び前記内層ノズルを流れる合計流量の計算値である流量計算値を演算する第2の処理と、
前記第1の処理で設定した前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度と、前記第2の処理で演算した前記流量計算値と、前記第1の処理で前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を変更した後に収集した前記一方のノズルの流量制御機構の開度の収束値データとを用いて、前記表層ノズルの流量特性に係る未知数と、前記内層ノズルの流量特性に係る未知数とを変数とした質量又は体積の収支式を作成する第3の処理と、
前記第1の処理で設定する前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を変えて、前記第2の処理及び前記第3の処理を行うことを複数回繰り返すことにより構成された連立方程式を求解して、前記表層ノズルの流量特性に係る未知数及び前記内層ノズルの流量特性に係る未知数を求める第4の処理とをコンピュータに実行させるためのプログラム。
[16] [1]乃至[13]のいずれか一つに記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置により求めた前記他方のノズルの流量特性に係る未知数を用いて、フィードバック及び一定開度制御における前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を補正することを特徴とする複層鋳片の連続鋳造プロセスの制御方法。
[第1の実施形態]
図1を参照して、複層鋳片の連続鋳造プロセスの概要を説明する。図1(a)は連続鋳造設備の全体構成を示す図であり、(b)は鋳型4内の複層鋳片の横断面図である。
吐出位置を鋳造方向に異ならせた2本の浸漬ノズル(本願において、表層ノズル1及び内層ノズル2と呼ぶ)を備える。表層ノズル1及び内層ノズル2には、一のタンディッシュ3から溶鋼が供給される。より詳細には、タンディッシュ3は2つの室に区画されており、各室から組成の異なる溶鋼がそれぞれ表層ノズル1、内層ノズル2を介して鋳型4内に注入される。重量計5により、タンディッシュ3の重量が測定可能である。
鋳型4内の湯面8の上方には例えば渦流式の湯面レベル計10が設置され、湯面レベルが測定される。
これを実現する流量特性の推定手法は、次のような観点に立つものである。湯面レベル計10を用いて、表層ストッパー11の開度を制御して湯面レベルを一定に保つフィードバック制御中では、内層ストッパー12の開度を一定保持する制御操作を行えば、表層ノズル1、内層ノズル2の流量特性がどのようなものであっても、それらの流量特性に応じて表層ストッパー11の開度は一定値に収束する。この性質を利用して、内層ストッパー12の一定開度の設定値をステップ状(段階的)に複数回変更し、変更する度に収束する表層ストッパー11の開度(以下、「収束値データ」と称する)を収集することで、表層ノズル1と内層ノズル2におけるそれぞれの流量特性を表す関係式に含まれる未知のパラメータ(以下では「未知数Δ1、Δ2」と称する)を変数とした連立方程式を構成することができ、各未知数を逆算することができる。
なお、本実施形態では、表層ストッパー11を使って湯面レベルを一定に保つとともに、内層ストッパー12の開度を一定保持するものとしたが、その逆、すなわち内層ストッパー12を使って湯面レベルを一定に保つとともに、表層ストッパー11の開度を一定保持する場合も同様である。
制御部101は、湯面レベル計10を用いて、表層ストッパー11の開度を制御することにより湯面レベルを一定に保つとともに、内層ストッパー12の開度を一定保持する。
流量計算値演算部103は、鋳造速度Vcに基づいて、表層ノズル1及び内層ノズル2を流れる合計流量の計算値である流量計算値を演算する。例えば、流量計算値は、定常制御中においては、鋳片引抜量AVcを求めることで代用できる。ここで、鋳片引抜量AVcは、開度変更部102により内層ストッパー12の開度が変更される前後の鋳造速度Vcに、鋳型断面積Aを乗じて得られる。
収支式作成部104は、表層ノズル1及び内層ノズル2を流れる合計流量が鋳片引抜量AVcに等しくなるという体積収支式を作成する。例えば、収支式作成部104は、開度変更部102で設定した内層ストッパー12の一定開度と、流量計算値演算部103で演算した流量計算値(鋳片引抜量AVc)と、開度変更部102で内層ストッパー12の一定開度に変更した後に収集した表層ストッパー11の開度の収束値データとを用いて、表層ノズル1の流量特性に係る未知数Δ1と、内層ノズル2の流量特性に係る未知数Δ2とを変数とした方程式を作成する。
まず、説明に使用する記号を記載する。
Q1(t):時刻tにおける表層流量
Q2(t):時刻tにおける内層流量
u1(t):時刻tにおける表層ストッパーの開度
u2(t):時刻tにおける内層ストッパーの開度
y1(t):時刻tにおける湯面レベル
y2(t):時刻tにおける境界層レベル
y10:定常湯面レベル目標値
y20:境界層レベル目標値
W:鋳型幅
D:鋳型厚
A:鋳型断面積
A2(t):時刻tにおける内層断面積
d(t):時刻tにおける表層厚
d0:表層厚目標値
A10:表層断面積目標値
A20:内層断面積目標値
Q10:表層流量目標値
Q20:内層流量目標値
τ:湯面レベル位置から境界層レベル位置まで引き抜かれるまでのむだ時間
τact:ストッパー操作応答遅れと湯落ちによるむだ時間
ρ1:表層溶鋼密度
ρ2:内層溶鋼密度
α1nominal:表層流量特性公称値
α2nominal:内層流量特性公称値
Δ1:表層流量特性乗法誤差
Δ2:内層流量特性乗法誤差
TDW(t):時刻tにおけるタンディッシュ3の重量測定値
Vc:鋳造速度
Ks:凝固定数
このモデルでは、表層流量Q1(t)、内層流量Q2(t)の変動に応じて、湯面レベルy1、境界層レベルy2は式(1)~(5)に従って変動する。
式(2)は、境界層レベルy2が、内層流量と内層断面積、鋳造速度に応じて変動することを意味する。
ここで、内層断面積A2(t)は、式(3)に従って変動し、表層厚d(t)は、式(4)で表される。式(3)は、複層鋳片の内層部の幅が「W-2d(t)」、内層部の厚みが「D-2d(t)」で表され、これらを乗じて内層断面積A2(t)が求まることを意味している。式(4)は、表層厚d(t)が、τ(1/2)に比例して変化することを意味している(Ksは凝固定数)。
ただし、τは、湯面レベル位置から境界層レベル位置まで引き抜かれるまでのむだ時間であり、式(5)を満たす。式(5)は、時刻t-τにおける湯面レベル位置の溶鋼が、引き抜かれる過程を経て、時刻tにおいて境界層レベル位置に到達することを意味する。
なお、境界層レベルy2が定常目標値より上昇すれば表層厚dは減少するが、表層厚dが減少すれば式(3)により内層断面積A2(t)は増加し、このとき内層流量Q2が一定であれば式(2)により境界層レベルy2は下降し、はじめの上昇を打ち消すメカニズムを有することがわかる。このように、湯面レベルy1、境界層レベルy2の変動に伴い、表層厚d(t)、境界層レベルy2(t)が「自己修復」する機能を有することがこのプロセスの特徴である。
この流量制御の実現にあたり、本実施形態では、流量計を用いることなく、鋳造中に各ノズル1、2の流量特性を推定し、この流量特性に基づいて流量目標値を実現するよう内層ストッパー12の一定開度を逆算することにより、表層流量、内層流量をそれぞれの流量目標値Q10、Q20に一定保持する。
図3のフローチャートは、例えば湯上げ制御から定常制御移行直後の鋳造初期時点、又は鋳造中定周期毎に実行される。すなわち、図3のフローチャートは、制御部101の制御下、湯面レベル計10を用いて、表層ストッパー11の開度をフィードバック制御することにより湯面レベルを一定に保つとともに、内層ストッパー12の開度を一定保持する一定開度制御中に実行される。
このフィードバック及び一定開度制御において、内層ストッパー12の一定開度は、内層流量を内層流量目標値Q20に一定保持するように設定されるが、内層ノズル2の流量特性が正確でないと、内層流量が内層流量目標値Q20と一致せず、それに伴って、表層流量が表層流量目標値Q10と一致しない状態になる。
ステップS3で、コントローラ100は、現時点の繰り返し計算の回数kが回数Kに達したか否かを判定し、回数Kに達していなければ(NO)、処理をステップS4に進め、回数Kに達していれば(YES)、処理をステップS10に進める。
ステップS5で、コントローラ100の開度変更部102は、内層ストッパー12の開度を、ステップS4において設定した一定開度u2,setにステップ状に変更する。図4(a)に、各ストッパー11、12の開度の時系列の例を示す。図4(a)の例では、タイミングT1、T2、T3、T4で、内層ストッパー12の一定開度u2,setを設定してステップ状に変更している。なお、図4(a)に示すように、内層ストッパー12の一定開度が大きくなると、湯面レベルを一定に保つべく表層ストッパー11の開度が小さくなり、内層ストッパー12の一定開度が小さくなると、湯面レベルを一定に保つべく表層ストッパー11の開度が大きくなる。そして、図4(c)、(d)に示すように、ストッパー11、12の開度の変化に応じて表層流量及び内層流量が変化する。
なお、各回kにおいて、例えば一定期間でステップS4~S8の処理を実行するようになっている。以下では、k回目の区間を「区間k」として説明することもある。
これにより、ステップS4において設定する内層ストッパー12の一定開度u2,setを変えて、ステップS5~S8をK回繰り返すことになる。図4(a)の例では、K=4回として、内層ストッパー12の一定開度u2,setを4回変えている。
この手法は、フィードバック制御中にプロセス同定のために付加的な開度操作を行い、未知の特性を求めるものであるが、通常用いられる手法のように、ばらつきが大きい過渡応答のデータを利用してプロセス特性を求めると、推定結果の精度が悪いものとなるが、本実施形態では定常状態のデータを利用するので、推定結果の精度を確保することができる。
また、本実施形態では、流量計を用いずに、各ノズル1、2の流量特性を推定することができ、これにより各ノズル1、2の流量を推定することができるので、流量計の設置に伴うコストが生じない。なお、流量計が設定されている連続鋳造設備において、流量計不調時に本発明の手法に切り替えるような形態としてもよい。また、表層用のタンディッシュ及び内層用のタンディッシュを備えることを前提とする等の限定がなく、広く適用可能である。
第1の実施形態では、鋳造速度Vcに基づいて流量計算値を演算する例を延べた。それに対して、第2の実施形態では、タンディッシュ3の重量測定値TDW(t)に基づいて流量計算値を演算する例を述べる。なお、以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態との共通点についてはその詳細な説明を省略する。
ステップS7で、コントローラ100の流量計算値演算部103は、タンディッシュ3の重量測定値TDW(t)に基づいて、表層ノズル1及び内層ノズル2を流れる合計流量の計算値である流量計算値を演算する。タンディッシュ3の重量測定値TDW(t)の時間変化量は、単位時間あたりにノズル1、2を流れる合計流量と略一致するものとみなすことができる。
そこで、式(21)のように、安定した定常応答が得られる期間(時刻t=Tstart,Tstart+1,・・・,T)において、ΔTDW(t)を時間平均化したΔTDW ̄を流量計算値として演算する。
本実施形態では、測定値(タンディッシュ3の重量測定値TDW(t))に基づいて流量計算値を演算するようにしたので、連続鋳造プロセスの実際の状態をより反映させた流量計算値を演算することができる。
以下、変形例を説明する。
鋳造中に、流量特性の変化を監視するようにしてもよい。例えば鋳造中に、式(24)により、一定期間の区間k毎に流量実績値と流量計算値との誤差error(k)を計算する。Δ1 (old)は前回区間までにおける表層流量特性乗法誤差、Δ2 (old)は前回区間までにおける内層流量特性乗法誤差である。
鋳造中に、式(24)のerror(k)が所定の閾値から外れた場合、流量特性が変化したとみなし、上述した実施形態のように流量特性の推定を実行すればよい。なお、ここではタンディッシュの重量測定値に基づいて流量計算値を演算する場合の定式化を示すが、鋳造速度に基づいて流量計算値を演算する場合も同様である。
このように繰り返し計算の回数K、及び内層ストッパー12の一定開度u2,setを可変値として、鋳造中の所定の条件に応じて値を変えることにより、回数Kや一定開度u2,setを効率的に変えることができる。
図4に、本発明を適用した連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定、そして連続鋳造プロセスの制御のシミュレーションの結果を示す。図4(c)に、時間と、表層流量(実績、目標値)との関係の例を示す。また、図4(d)に、時間と、内層流量(実績、目標値)との関係の例を示す。
シミュレーションにおいては、試験連鋳機のような小スループットのスラブ連鋳機を対象とし、鋳型幅W=800mm、鋳型厚D=100mm、鋳造速度Vc=0.7m/mとした。
また、第2の実施形態で説明したように、タンディッシュ3の重量測定値に基づいて流量計算値を演算する。
シミュレーション上、表層流量特性乗法誤差Δ1=0.8、内層流量特性乗法誤差Δ2=0.7に設定した。
K=4回として流量特性を推定し、フィードバック及び一定開度制御における内層ストッパー12の一定開度を補正した。
K=2回、3回、4回のそれぞれの時点で式(23)を解くことで、Δ1=0.7703、Δ2=0.7489、Δ1=0.784、Δ2=0.732、Δ1=0.782、Δ2=0.713が順次得られた。このように変更回数を増やす毎に、流量特性の誤差の推定精度が良くなり、4回程度の繰り返し計算で十分な効果が得られた。
上述した第1、2の実施形態の変形例でも触れたが、繰り返し計算の回数Kや、内層ストッパー12の一定開度u2,setを可変値として、鋳造中の状態に応じて値を変えるようにしてもよい。
第3の実施形態では、式(19)や式(23)の連立方程式を精度良く求解するために、内層ストッパー12の一定開度u2,setを可変値とする例を説明する。
なお、コントローラ100の基本的な機能構成及び処理動作は第1、2の実施形態と同様であり、以下では、第1、2の実施形態との共通点の説明は省略し、第1、2の実施形態との相違点を中心に説明する。
(1)評価関数
本実施形態では、式(25)の評価関数Jを最小化する一定開度u2,set (k+1)を求める。評価関数Jは、区間k+1における、表層ノズル1の流量特性に係る未知数の推定値Δ1 (k+1)^、内層ノズル2の流量特性に係る未知数の推定値Δ2 (k+1)^の分散共分散行列P(u2,set (k+1))のトレース(行列の対角成分の総和)である。分散共分散行列P(u2,set (k+1))のトレースは未知数Δ1、Δ2それぞれの真値との誤差のばらつきの和を表すものとなり、それを最小化することにより、各回での未知数Δ1、Δ2の真値との隔たりを小さくすることができる。なお、Δ1 (k+1)^の表記は、Δ1 (k+1)の上に^が付されているものとし、他の文字の場合も同様である。
なお、回数Kについては、固定値としてその回数だけ繰り返し計算するようにしてもよいし、上述した第1、2の実施形態の変形例でも触れたが、区間毎に、式(24)のerror(k)を計算し、回数Kに到達する前に、error(k)が所定の閾値を下回れば、繰り返し計算を打ち切るようにしてもよい。
式(25)式の評価関数trace(P(u2,set (k+1)))の定式化と、その最小化を具体的に述べる。以下では、P(u2,set (k+1))をSk+1と表記する。
式(19)や式(23)のような線形回帰モデルのパラメータ(回帰係数)推定値の分散共分散行列については、例えば非特許文献2に記載されている計算式により評価することができる。
区間kまでで得られた開度のデータから線形回帰モデルのパラメータ(回帰係数)推定値を求める場合、そのパラメータ推定値の分散共分散行列Skは、式(27)のように表される。ここで、Φkは区間kまでで得られた開度のデータから構成されたデザイン行列であり、αは回帰係数の事前分布の精度パラメータ、βは観測値の事前分布の精度パラメータである。
φk+1の要素であるu1 (k+1) ̄とu2,set (k+1)は独立に選ぶことはできず、式(34)のように、表層ノズル1及び内層ノズル2を流れる合計流量に関する流量制約を満たすものでなければならない。なお、合計流量Qnominalは、鋳片引抜量AVcとして与えればよい。
最適化問題求解部102bは、式(36)で表される最適化問題を求解する。
(a)非線形最適化アルゴリズムの利用
式(36)で表される最適化問題は、最適化の標準的なソルバーで解くことができる。また、式(36)で表される最適化問題は、線形制約の下での、正の凸関数を分子と分母に持つ分数計画問題であり、このような問題は、いわゆるDinkelbachの方法(非特許文献3を参照)により求解することもできる。
u1 (k+1) ̄とu2,set (k+1)に関する式(35)の流量制約により、u1 (k+1) ̄は、式(37)のようにu2,set (k+1)だけで表すことができる。
本実施形態では、内層ストッパー12の一定開度u2,setを最適化計算により求めることにより、式(19)や式(23)の連立方程式を精度良く求解することができる。
以下、変形例を説明する。
ここまでは、各ノズル1、2の流量特性を直線近似できるものと仮定した場合を説明したが、各ノズル1、2におけるストッパーの開度が0、流量が0となるような多項式を仮定することができる。
以下では、式(39)のように、各ノズル1、2の流量特性として二次関数を仮定する場合の定式化について説明するが、三次以上の多項式関数であっても同様に定式化することができる。
第4の実施形態では、第3の実施形態と同様に、内層ストッパー12の一定開度u2,setを可変値とする例を説明する。
以下では、第3の実施形態との共通点の説明は省略し、第3の実施形態との相違点を中心に説明する。
第3の実施形態では、繰り返し計算における次回のみを対象とするのに対して、第4の実施形態では、繰り返し計算における複数回の関連性を反映させるべく、次回を含む複数回分を対象として、最適化問題を設定して求解する。
本実施形態では、式(49)の評価関数Jを最小化する一定開度u2,set (k+1),u2,set (k+2)を求める。評価関数Jは、区間k+1,k+2における、表層ノズル1の流量特性に係る未知数の推定値Δ1 (k+1)^、Δ1 (k+2)^、内層ノズル2の流量特性に係る未知数の推定値Δ2 (k+1)^、Δ2 (k+2)^の分散共分散行列P(u2,set (k+1),u2,set (k+2))のトレースを最小化するものである。
次の区間k+1,k+2で、u1 (k+1) ̄、u2,set (k+1)、u1 (k+2) ̄、u2,set (k+2)がそれぞれ得られた場合には、Φk+2、φk+1 T、φk+2 Tは式(51)のように表される。ここに、Φk+2は区間k+2までで得られた開度データにより構成されたデザイン行列であり、φk+1 T、φk+2 Tはデザイン行列Φk+2のk+1行目を取り出して得られる行ベクトル、k+2行目を取り出して得られる行ベクトルをそれぞれ表す。
本実施形態では、繰り返し計算における複数回の関連性を反映させて、内層ストッパー12の一定開度u2,setを最適化計算により求めることができる。
表1及び図6に、表層流量特性乗法誤差Δ1及び内層流量特性乗法誤差Δ2を同定した結果を示す。図6は、比較法、及び提案手法1、2における流量特性乗法誤差のばらつき(真値との誤差σ)を示す。
シミュレーションにおいては、試験連鋳機のような小スループットのスラブ連鋳機を対象とし、鋳型幅W=800mm、鋳型厚D=100mm、鋳造速度Vc=0.7m/mとした。
シミュレーション上、表層流量特性乗法誤差Δ1=0.75、内層流量特性乗法誤差Δ2=1.25に設定した。
流量計算値は、真の流量から5%程度のノイズを重畳させた。
内層ストッパー12の一定開度を2mm、7mm、12mmと段階的に変化させた場合(比較法)と、1回目の一定開度を2mmとした上で、2回目、3回目の一定開度を第3の実施形態による提案手法1、第4の実施形態による提案手法2により決定した場合とで結果を比較した。
1000回モンテカルロシミュレーションを行い、流量特性乗法誤差の平均値とばらつきを評価した。
一方、提案手法1、2では、いずれも2回目終了時点でΔ1、Δ2のばらつきが小さく、精度の良い解が得られており、3回目終了時点の解とほぼ同等の推定精度が得られている。
提案手法1と比較し、複数区間の同時最適化を行う提案手法2ではさらにばらつきの小さい解が得られている。
また、本発明は、本発明の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、このシステム或いは装置のコンピュータがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。
Claims (16)
- 開度変更操作に応じて溶融金属供給流量を制御する流量制御機構をそれぞれ有する表層ノズル及び内層ノズルから鋳型内に溶融金属を注入し、表層の組成と内層の組成とが異なる複層鋳片を製造する連続鋳造プロセスにおいて、前記表層ノズルにおける流量制御機構の開度と流量との関係である流量特性、及び前記内層ノズルにおける流量制御機構の開度と流量との関係である流量特性を推定する複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置であって、
前記鋳型内の湯面の位置である湯面レベルを測定する湯面レベル計を用いて、前記表層ノズル及び前記内層ノズルのうちいずれか一方のノズルの流量制御機構の開度をフィードバック制御することにより湯面レベルを一定に保つとともに、他方のノズルの流量制御機構の開度を一定保持する一定開度制御中に、
前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を設定して、この一定開度に変更する開度変更手段と、
前記表層ノズル及び前記内層ノズルを流れる合計流量の計算値である流量計算値を演算する流量計算値演算手段と、
前記開度変更手段で設定した前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度と、前記流量計算値演算手段で演算した前記流量計算値と、前記開度変更手段で前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度に変更した後に収集した前記一方のノズルの流量制御機構の開度の収束値データとを用いて、前記表層ノズルの流量特性に係る未知数と、前記内層ノズルの流量特性に係る未知数とを変数とした質量又は体積の収支式を作成する収支式作成手段と、
前記開度変更手段で設定する前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を変えて、前記流量計算値演算手段による前記流量計算値の演算及び前記収支式作成手段による前記収支式の作成を複数回繰り返すことにより構成された連立方程式を求解して、前記表層ノズルの流量特性に係る未知数及び前記内層ノズルの流量特性に係る未知数を求める求解手段とを備えたことを特徴とする複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。 - 前記流量計算値演算手段は、鋳造速度に基づいて、前記流量計算値を演算することを特徴とする請求項1に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
- 前記流量計算値演算手段は、前記表層ノズル及び前記内層ノズルに溶融金属を供給するタンディッシュの重量測定値に基づいて、前記流量計算値を演算することを特徴とする請求項1に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
- 前記タンディッシュの重量測定値に基づいて前記流量計算値を演算するときに時間平均化を行うことを特徴とする請求項3に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
- 前記開度変更手段で設定する前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度、並びに、前記流量計算値演算手段による前記流量計算値の演算及び前記収支式作成手段による前記収支式の作成を複数回繰り返した際の繰り返し回数のうちの少なくともいずれか一方を可変値として、鋳造中の所定の条件に応じて値を変えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
- 前記開度変更手段は、前記流量計算値演算手段による前記流量計算値の演算及び前記収支式作成手段による前記収支式の作成を複数回繰り返した際の繰り返し計算の各回で、前記表層ノズルの流量特性に係る未知数及び前記内層ノズルの流量特性に係る未知数の分散共分散行列のトレースを含む評価関数を用いた最適化問題を設定して求解することにより、前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
- 前記評価関数は、前記一方のノズルの流量制御機構の開度操作量及び前記他方のノズルの流量制御機構の開度操作量に関するペナルティ項を含むことを特徴とする請求項6に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
- 前記開度変更手段は、前記繰り返し計算における次回を対象として、前記最適化問題を設定して求解することを特徴とする請求項6又は7に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
- 前記開度変更手段は、前記繰り返し計算における次回を含む複数回を対象として、前記最適化問題を設定して求解することを特徴とする請求項6又は7に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
- 前記最適化問題は、前記表層ノズル及び前記内層ノズルを流れる合計流量に関する流量制約を含むことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
- 前記最適化問題は、前記一方のノズルの流量制御機構の開度操作量及び前記他方のノズルの流量制御機構の開度操作量の上下限制約を含むことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
- 前記開度変更手段は、前記最適化問題を1変数の最適化問題に変換して求解することを特徴とする請求項8に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
- 前記流量計算値演算手段による前記流量計算値の演算及び前記収支式作成手段による前記収支式の作成を複数回繰り返した際の繰り返し計算の回数が予め定められた回数に到達する前に、所定の条件を満たすとき、前記繰り返し計算を打ち切ることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置。
- 開度変更操作に応じて溶融金属供給流量を制御する流量制御機構をそれぞれ有する表層ノズル及び内層ノズルから鋳型内に溶融金属を注入し、表層の組成と内層の組成とが異なる複層鋳片を製造する連続鋳造プロセスにおいて、前記表層ノズルにおける流量制御機構の開度と流量との関係である流量特性、及び前記内層ノズルにおける流量制御機構の開度と流量との関係である流量特性を推定する複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定方法であって、
前記鋳型内の湯面の位置である湯面レベルを測定する湯面レベル計を用いて、前記表層ノズル及び前記内層ノズルのうちいずれか一方のノズルの流量制御機構の開度をフィードバック制御することにより湯面レベルを一定に保つとともに、他方のノズルの流量制御機構の開度を一定保持する一定開度制御中に、
前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を設定して、この一定開度に変更する第1のステップと、
前記表層ノズル及び前記内層ノズルを流れる合計流量の計算値である流量計算値を演算する第2のステップと、
前記第1のステップで設定した前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度と、前記第2のステップで演算した前記流量計算値と、前記第1のステップで前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を変更した後に収集した前記一方のノズルの流量制御機構の開度の収束値データとを用いて、前記表層ノズルの流量特性に係る未知数と、前記内層ノズルの流量特性に係る未知数とを変数とした質量又は体積の収支式を作成する第3のステップと、
前記第1のステップで設定する前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を変えて、前記第2のステップ及び前記第3のステップを行うことを複数回繰り返すことにより構成された連立方程式を求解して、前記表層ノズルの流量特性に係る未知数及び前記内層ノズルの流量特性に係る未知数を求める第4のステップとを有することを特徴とする複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定方法。 - 開度変更操作に応じて溶融金属供給流量を制御する流量制御機構をそれぞれ有する表層ノズル及び内層ノズルから鋳型内に溶融金属を注入し、表層の組成と内層の組成とが異なる複層鋳片を製造する連続鋳造プロセスにおいて、前記表層ノズルにおける流量制御機構の開度と流量との関係である流量特性、及び前記内層ノズルにおける流量制御機構の開度と流量との関係である流量特性を推定するためのプログラムであって、
前記鋳型内の湯面の位置である湯面レベルを測定する湯面レベル計を用いて、前記表層ノズル及び前記内層ノズルのうちいずれか一方のノズルの流量制御機構の開度をフィードバック制御することにより湯面レベルを一定に保つとともに、他方のノズルの流量制御機構開度を一定保持する一定開度制御中に、
前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を設定して、この一定開度に変更する第1の処理と、
前記表層ノズル及び前記内層ノズルを流れる合計流量の計算値である流量計算値を演算する第2の処理と、
前記第1の処理で設定した前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度と、前記第2の処理で演算した前記流量計算値と、前記第1の処理で前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を変更した後に収集した前記一方のノズルの流量制御機構の開度の収束値データとを用いて、前記表層ノズルの流量特性に係る未知数と、前記内層ノズルの流量特性に係る未知数とを変数とした質量又は体積の収支式を作成する第3の処理と、
前記第1の処理で設定する前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を変えて、前記第2の処理及び前記第3の処理を行うことを複数回繰り返すことにより構成された連立方程式を求解して、前記表層ノズルの流量特性に係る未知数及び前記内層ノズルの流量特性に係る未知数を求める第4の処理とをコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の複層鋳片の連続鋳造プロセスにおける流量特性の推定装置により求めた前記他方のノズルの流量特性に係る未知数を用いて、フィードバック及び一定開度制御における前記他方のノズルの流量制御機構の一定開度を補正することを特徴とする複層鋳片の連続鋳造プロセスの制御方法。
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