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JP7247754B2 - ルテニウム酸鉛粉の製造方法及び厚膜抵抗ペーストの製造方法 - Google Patents
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JP7247754B2 - ルテニウム酸鉛粉の製造方法及び厚膜抵抗ペーストの製造方法 - Google Patents

ルテニウム酸鉛粉の製造方法及び厚膜抵抗ペーストの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ルテニウム酸鉛粉の製造方法及びルテニウム酸鉛粉を含有する厚膜抵抗ペーストの製造方法に関し、更に詳しくは、ルテニウムと鉛の水和物または水酸化物の混合物を焙焼してルテニウム酸鉛粉を製造する方法及びルテニウム酸鉛粉を含有する厚膜抵抗ペーストの製造方法に関する。
厚膜抵抗ペーストは導電粉、ガラス粉およびそれらを印刷に適したペースト状にするための有機ビヒクルから実質構成される。この厚膜抵抗ペーストを任意のパターンで印刷し、高温でガラスを焼結させることで、例えば、厚膜チップ抵抗器を構成する抵抗体として使用されている。ルテニウム酸鉛粉は、ガラス粉との混合比率を変化させることで緩やかに抵抗値を変化させることができるため、厚膜抵抗体の導電粉として広く用いられている。
ルテニウム酸鉛粉の製造方法としては、例えば、次の特許文献1、2に、金属ルテニウムをアルカリ条件下で酸化処理し、あるいは、金属ルテニウムをアルカリ溶融して得られる固体のルテニウム酸塩を水で溶解して得たルテニウム酸塩の水溶液に鉛イオンを添加し、pHを調整し、アルコール等の還元剤を用いて還元することで、ルテニウムと鉛の水和物または水酸化物の混合粉の共沈物を得、さらに、析出した混合粉を乾燥し、高温で焙焼することでルテニウム酸鉛微粉を得る等の方法が開示されている。
近年、厚膜チップ抵抗器のような電子素子の小型化が進み、厚膜抵抗体の厚さを薄くすると同時に、電気的特性の向上が求められ、電子素子当たりの抵抗値のばらつきを小さくすることが求められている。
電子素子の小型化に対応し、かつ電気的特性の良好な厚膜抵抗体を形成するためには、導電粉として用いるルテニウム酸鉛粉等を微細化し、かつ、粗大粒子を極力少なくすることが必要である。
その理由は、粗大粒子は、導電粉とガラス粉とで構成される厚膜抵抗体内の導電部の分布構造を不均一にし、上述の抵抗値のばらつきが大きくなるなど、電気的特性に悪影響を与えることによる。
このため、導電粉として用いられるルテニウム酸鉛粉には、抵抗値、抵抗温度係数、等の電気的特性に影響を与えない大きさに、粒径が制御されていることが望まれている。
しかしながら、特許文献1、2に開示されている従来の製造方法を用いた場合、製造条件の差異や残留した不純物量によってさまざまな粒径のルテニウム酸鉛粉が生成して、1μmを超える粗大粒子が多く形成され、導電粉とガラス粉とで構成される厚膜抵抗体内の抵抗値のばらつきを低く抑えることができず、電気的特性を向上させることが困難となる場合がある。
このような粗大粒子の形成を抑制する方法として、例えば、次の特許文献3には、鉛イオンを添加したルテニウム酸塩の水溶液に硫黄を添加し、その水溶液を還元して得られたルテニウムと鉛の水和物または水酸化物の共沈物である混合粉を焙焼する方法が開示されている。
特開平02-302327号公報 特開平08-119637号公報 特開2013-1623号公報
しかしながら、特許文献3に記載の製造方法を用いた場合、焙焼後の上記混合粉に不純物として硫黄が残留してしまう虞がある。
より小型化、微細化の進む電子部品においては、従来問題とならなかった微量の硫黄分も不具合発生の原因となり得る。そこで、不純物としての硫黄の残留を極力なくすため、洗浄工程の追加などが必要となる。このような洗浄工程の追加は、製造時間が長時間化すること等により生産性低下と製造コストの増加を招いてしまい、また、洗浄だけでは焙焼粉内部に残留する硫黄分の除去は困難であるため、好ましくない。
本発明は、上述の問題を鑑みてなされたものであり、硫黄を添加することなく、生成するルテニウム酸鉛粉の粒径を制御し、特に1μmを超える粗大粒子の形成を抑制し、粒径の揃ったルテニウム酸鉛粉を簡便に製造することができ、全体の製造時間の長時間化を抑えることのできる、ルテニウム酸鉛粉の製造方法及びルテニウム酸鉛粉を含有する厚膜抵抗ペーストの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、生成する際のルテニウム酸鉛粉の粒径に対する各種条件の影響を鋭意調査した結果、ルテニウムと鉛の水和物または水酸化物の共沈物である混合粉の焙焼条件が、粗大粒子の形成に対して最も影響が強いことを見出した。
すなわち、通常、上記混合粉の焙焼は、所定の温度に熱せられた焙焼炉に投入して行うか、室温状態の焙焼炉に投入した後、所定の温度にまで昇温して行うが、このような従来の焙焼方法によって製造したルテニウム酸鉛粉は、粒径が十分には制御されておらず、粒度分布が広く、粒径が1μmを超える粗大粒子が多数形成されてしまう場合がある。
本発明者らは、このような粒度分布が広く、粒径が1μmを超える粗大粒子が多数形成される原因を鋭意調査した。その結果、その原因は焼成処理に用いる原料粉の粒径の大きさや、焙焼炉内の温度分布のばらつきなどに起因し、原料粉の粒子に過度の熱量が加わった際に短時間で急激に粒成長が起き、粗大化しやすいことを見出した。すなわち、粒径が微細な原料粉である混合粉を、粒径が所定の大きさに成長するように焼成する場合、焙焼炉の加熱温度の調整に加えて、加熱前の混合粉の粒径の大きさの制御が重要であり、粒径が微細な混合粉を用いて焼成した場合、過度の熱量が加わった粒子が必要以上に成長して粒径が粗大化してしまうことを見出した。
ルテニウム酸鉛粉の粗大粒子の形成を抑制するためには、低温で混合粉に与える供給熱量を少なくして焙焼することが効果的である。
しかしながら、低温での焙焼は、粗大粒子の形成を抑制できる一方、形成される粒子の成長が非常に遅く生産効率が悪い上、焙焼温度によっては長時間かけても十分な大きさの粒子を得ることができない場合がある。そのため、低温での焙焼では、粗大粒子は形成されないものの、近年の電子素子の小型化に対応した厚膜抵抗ペーストに要求される粒径に比べてさらに小さな、微細すぎる粒子しか得られない場合が生じ得る。
このため、低温での焙焼では、小型化した電子素子における一般的な厚膜抵抗ペースト等の製品に適用可能な粒径の酸化ルテニウム粉を生産性良く得るのは困難である。
また、供給熱量を少なくするためには、混合粉を高温で短時間にて焙焼する方法も考えられるが、その場合は温度の制御がより重要になる。
すなわち、ルテニウム酸鉛粉の粒径を所望の大きさに制御するためには、焙焼する混合粉全体をばらつきの小さい均一な温度で一斉に処理する必要がある。しかしながら、量産のために、焙焼炉内で一度に焙焼する混合粉の処理量が多くなると、焙焼炉内を均一な温度に制御することは困難である。
ルテニウム酸鉛粉を、粗大粒子を形成させない条件で製造するためには、炉内における、温度分布において最高温度となる箇所で、所望の粒径に形成する焙焼条件で、原料粉である水酸化ルテニウム粉を焙焼する必要がある。
しかし、この場合、炉内の最高温度となる箇所と、最高温度よりも低い温度となる箇所との間でルテニウム酸鉛粉の粒子の生成タイミングに差を生じ、最高温度よりも低い温度となる箇所で生成されるルテニウム酸鉛粉の粒子がより小さな粒径となってしまい、厚膜抵抗ペースト等の製品に要求される粒径に満たない微細すぎる粒子を含んだばらつきの大きな粒度分布となってしまう虞がある。
その結果、1μm以上を超える粗大粒子の形成は抑制できるものの、微細すぎる粒子を含んだ、広い粒度分布を有するルテニウム酸鉛粉となり、そのようなルテニウム酸鉛粉を用いた厚膜抵抗ペーストは、分散性等に劣り、電気特性のばらつきを生じてしまう虞があり好ましくない。
このような問題を解決するため、本発明者らは、更に鋭意検討を重ねた。その結果、ルテニウムと鉛の水和物または水酸化物の共沈物である混合粉を、低温を一定時間保持した状態で焙焼して得られるルテニウム酸鉛粉が、ばらつきが抑えられた、小さな粒径の微細粉となり得ることを見出した。
また、本発明者らは、その微細なルテニウム酸鉛粉を、さらに温度を上げて、一定時間その温度を保持した状態で焙焼すると、新たなルテニウム酸鉛粉の生成が抑制された状態で、既に生成されている微細なルテニウム酸鉛粉が成長し、焙焼温度に応じた一定の粒径のルテニウム酸鉛粉となることを見出した。
また、本発明者らは、焙焼処理時の条件を鋭意検討した結果、焙焼処理を行う対象となる粉の粒径に応じて、焙焼温度や焙焼時間を適切な条件に設定する焙焼処理を、段階的に行うことでルテニウム酸鉛粉の成長挙動を制御することが可能となり、粗大粒子の形成を抑制し、ルテニウム酸鉛粉の粒径を任意に、かつ、ばらつきを小さく制御できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第一の態様は、ルテニウムと鉛の水和物または水酸化物との混合粉を焙焼し、ルテニウム酸鉛粉を得る焙焼工程を有するルテニウム酸鉛粉の製造方法であって、前記焙焼工程は、前記混合粉を、所定の焙焼温度を一定時間保持して焙焼する第1回目の焙焼処理と、第1回目の焙焼処理温度よりも高い所定の焙焼温度を一定時間保持して焙焼する焙焼処理を1回以上繰り返して行う、複数回の焙焼工程からなり、第1回目の焙焼処理の焙焼温度が500℃以上575℃以下の所定温度であり、最終の焙焼温度が600℃以上750℃以下であることを特徴とするルテニウム酸鉛粉の製造方法である。
また、本発明のルテニウム酸鉛粉の製造方法においては、前記焙焼工程における、第1回目の焙焼処理の次の焙焼処理が最終の焙焼処理であることが好ましい。
また、本発明の第二の態様は、上記本発明のルテニウム酸鉛粉の製造方法において、平均粒径が35nm以上65nm以下のルテニウム酸鉛粉を形成することを特徴とするルテニウム酸鉛粉の製造方法である。
本発明の第三の態様は、上記本発明のルテニウム酸鉛粉の製造方法により形成されたルテニウム酸鉛粉を含有することを特徴とする厚膜抵抗ペーストの製造方法である。
本発明によれば、粗大粒子の形成を抑制するために硫黄を含んでしまうか、若しくは粒度分布が広く、微細粒子や粗大粒子を含有してしまう従来のルテニウム酸鉛粉とは異なり、硫黄の含有が無く、かつ、粒径を制御し、特に電気特性悪化の要因となる1μmを超える粗大粒子の形成を極力低減させ、粒径の揃ったルテニウム酸鉛粉の製造方法及びルテニウム酸鉛粉を含有する厚膜抵抗ペーストの製造方法が得られる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されるものではなく、本発明の範囲内で、下記実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
(初期焙焼工程)
本発明のルテニウム酸鉛粉の製造方法では、ルテニウムと鉛の水和物または水酸化物の混合粉を用いる。混合粉の製造方法は特に限定されない。例えば、金属ルテニウムをアルカリ条件下で酸化処理して得たルテニウム酸塩の水溶液に鉛イオンを添加し、pHを調整し、アルコール等の還元剤により還元することで、共沈物として混合粉を得ることができる。なお、ルテニウム酸塩の水溶液は、金属ルテニウムをアルカリ溶融して得た固体のルテニウム酸塩を水で溶解して得ることもできる。
得られたルテニウムと鉛を含有する混合粉を、初期焙焼することによって、近年の電子素子の小型化に伴い、厚膜抵抗ペースト等の製品に要求される粒径よりも小さく、ばらつきが抑えられた、微細な粒径のルテニウム酸鉛粉を得る。初期焙焼処理(第1回目の焙焼処理)における焙焼温度は、その後に行う焙焼回数と最終的に得る粒径に応じて、500℃以上575℃以下の範囲内の所定の温度に任意に設定する。初期焙焼処理における焙焼温度が500℃未満であると、混合粉に含まれる水酸化ルテニウムが酸化ルテニウムへと変化してしまい、酸化ルテニウムが多量に生成してしまう場合があるので好ましくない。また、初期焙焼処理における焙焼温度が575℃よりも高いと、生成する初期のルテニウム酸鉛粉が微細な粒径のままには留まらず、粗大粒子へと成長する場合があるので好ましくない。
初期焙焼処理における焙焼時間は特に限定されないが、生成される初期のルテニウム酸鉛粉の粒径が揃うまで、初期焙焼処理における焙焼温度を一定時間保持し続けて焙焼するのが好ましい。本発明の製造方法の初期焙焼処理によって生成されるルテニウム酸鉛粉の到達粒径は、焙焼温度を十分な焙焼時間保持して焙焼処理する場合は、初期焙焼処理における焙焼温度の影響を受ける。必要以上に焙焼時間を長くしても、本発明の初期焙焼処理における焙焼温度範囲内では、殆どのルテニウム酸鉛粉がその焙焼条件(焙焼温度、焙焼時間)に応じた粒径に成長し、焙焼条件に応じた粒径を超える粒径には成長しない。そのため、生成されるルテニウム酸鉛粉の粒径のばらつきを低減させるためには、初期焙焼処理においては、上述のように500℃以上575℃以下の範囲内の所定温度を粒成長が飽和するまでの十分な焙焼時間保持するのが好ましい。このように、初期焙焼処理における焙焼温度と焙焼時間を定めることによって、生成されるルテニウム酸鉛粉の初期粒径を制御することができるため、製造する最終的なルテニウム酸鉛粉の最終粒径の目標値と、その後の焙焼温度と焙焼時間、及び焙焼処理回数に応じて、それに適した初期粒径にするための初期焙焼処理における焙焼条件である焙焼温度と焙焼時間を設定する。
また、初期焙焼処理の際には、混合粉を、予め500℃以上575℃以下の範囲内の所定の焙焼温度に加熱した炉内に投入し、その後その焙焼温度を所定時間保持するのが一般的であるが、室温などの500℃未満の温度の炉内に混合粉を投入した後、所定の初期焙焼温度に昇温してもよい。その場合、初期焙焼処理における所定の焙焼温度に到達するまで所定の昇温速度で昇温した後、設定した初期焙焼処理における所定の焙焼温度を一定時間保持するのが好ましい。しかし、混合粉を300℃以上500℃未満の温度で昇温している時間が長いと、水酸化ルテニウム粉が鉛と反応してルテニウム酸鉛粉になる前に酸化ルテニウム粉を多く生成してしまう場合があるので、昇温速度は10℃/分以上にするのが好ましい。また、好ましくは、生成されるルテニウム酸鉛粉の粒径のばらつきが抑え易くなるように、昇温速度は10℃/分以上30℃/分以下にするのがよい。
(最終焙焼工程)
初期焙焼工程で得られたルテニウム酸鉛粉を更に少なくとも1回、焙焼温度を上げて、その焙焼温度で一定時間焙焼する焙焼工程により、所定の粒径のルテニウム酸鉛粉を得ることができる。本発明では、この初期焙焼工程の後に、前回の焙焼工程の焙焼温度よりも高い所定の焙焼温度を一定時間保持して焙焼する焙焼工程のうち、最後の焙焼工程を最終焙焼工程、初期焙焼工程と最終焙焼工程との間の焙焼工程を中間焙焼工程と称することとする。
最終焙焼工程の焙焼温度は、形成を所望する、ルテニウム酸鉛粉の粒径に応じて任意に設定することができるが、ルテニウム酸鉛粉を用いた、小型化の進む電子素子用の厚膜抵抗ペースト用として好適に用いられる粒径(平均粒径が45nm程度)とするために、最終焙焼工程の焙焼温度は600℃以上750℃以下の範囲内の所定の温度に任意に設定する。
ルテニウム酸鉛粉の粒成長を遅くし、粒径を精密に制御するには、焙焼温度が低い方が好ましい。しかし、最終焙焼工程における焙焼温度が600℃未満であると、ルテニウム酸鉛粉の粒成長が非常に遅く、所定の粒径に成長させるのに時間がかかりすぎるので好ましくない。ルテニウム酸鉛粉の粒成長を早くするには焙焼温度を高くするのが好ましい。しかし、最終焙焼工程における焙焼温度が750℃を超えると粒成長の速度が速くなり過ぎ、粒径の制御が難しくなるので好ましくない。最終焙焼工程に用いるルテニウム酸鉛粉は、初期焙焼工程あるいは更に各中間焙焼工程において、例えば一旦室温まで冷却して炉内から取り出し、その後に所定の焙焼温度に加熱した焙焼炉に投入しても良いし、初期焙焼工程あるいは更には各中間焙焼工程から一度も冷却することなく、それぞれの焙焼処理工程間の温度を所定の昇温速度で昇温することによって、段階的に焙焼温度を上げた焙焼工程を連続して行い、そのまま最終焙焼工程に移行するようにしてもよい。
なお、それぞれの焙焼工程間の昇温速度は、遅ければ遅いほど、生成されるルテニウム酸鉛粉の粒径にばらつきが生じ難くなるので好ましい。但し、昇温速度を遅くし過ぎると、ルテニウム酸鉛粉を製造する全体の処理時間が長くなり過ぎて、生産性が低下したり、低温領域では酸化ルテニウム粉が混在してしまったりする場合がある。このため、ルテニウム酸鉛粉の生産性と、生成されるルテニウム酸鉛粉の粒径のばらつき制御や酸化ルテニウム粉の混在抑制のため、昇温速度は、例えば、10℃/分以上30℃/分以下とするのが好ましい。
その他、本発明のルテニウム酸鉛粉の製造方法においては、生成されるルテニウム酸鉛粉の粒径のばらつき制御のため、各焙焼工程で用いる焙焼炉内の、熱処理時の炉内温度分布の指標である、炉内最高温度と炉内最低温度の差が10℃以内であることが好ましい。
以下、本発明をさらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(評価試験1:初期焙焼工程の焙焼温度による粗大粒子抑制効果)
150℃で乾燥させた、ルテニウムと鉛の水和物または水酸化物の混合粉5gをアルミナるつぼに入れ、最終焙焼工程の焙焼温度を700℃、焙焼時間を120分とした以外は表1に示す所定の焙焼条件で三段階の焙焼処理を行い、ルテニウム酸鉛粉を得た(試料1-2~試料1-7)。なお、各指定の焙焼温度における、炉内最高温度と炉内最低温度の差は9℃以下であった。また、各指定の焙焼温度にまで昇温する際の昇温速度は30℃/分とした。
また、比較のために、初期焙焼処理や段階的に焙焼温度を上げる焙焼処理を行わない従来の焙焼処理方法として、700℃の焙焼温度での焙焼処理のみを行って製造したルテニウム酸鉛粉も得た(試料1-1)。各試料の焙焼処理における焙焼条件(焙焼温度、焙焼時間)を表1に示す。
なお、本実施例(試料1-3~試料1-6)及び比較例(試料1-1、試料1-2、試料1-7)においては、形成するルテニウム酸鉛粉の平均粒径(の目標値)が47nm程度になる焙焼温度、焙焼時間の組合せを焙焼条件とした。
<粗大粒子評価>
夫々の焙焼条件で焙焼処理することにより製造したルテニウム酸鉛粉を0.3g採取し、100mLビーカーに入れ、更に純水100mLを加えた。このビーカーに超音波を照射し、ルテニウム酸鉛粉を純水中に分散させた。その後、ビーカーを静置することでルテニウム酸鉛粉の粗大粒子をビーカー底に沈降させた。10分間静置した後、ビーカー内の上澄みを除去することでルテニウム酸鉛粉の微細な粒子を効率的に除去し、更にフィルターでろ過することにより、ルテニウム酸鉛粉の粗大粒子を効率的に採取した。本評価においては、粒径が1μmを超えるルテニウム酸鉛粉を粗大粒子として計測し、計測した粗大粒子数をルテニウム酸鉛粉における粒径のばらつきを示す評価値として用いた。
このような計測値をルテニウム酸鉛粉における粒径のばらつきを示す評価値として用いたのは、ルテニウム酸鉛粉中に存在する個々の粒子が非常に小さく、全ての粒子について粒径を測定して、標準偏差を算出することが非常に困難であり、当該技術分野においてルテニウム酸鉛粉の粒径のばらつきを示す基準が確立されていないことによる。
詳しくは、採取したルテニウム酸鉛粉の粒子を、走査型電子顕微鏡にて倍率2000倍で観察し、64μm×48μmの視野内に存在する粒径が1μmを超える粗大粒子数を20視野計数し、その総数を各試料のルテニウム酸鉛粉における粒径が1μmを超える粗大粒子数(の評価値)とした。この方法により計測した、各試料のルテニウム酸鉛粉における粒径が1μmを超える粗大粒子数(の評価値)を表1に示す。
なお、粗大粒子の採取に関しては、必要に応じて、上述の上澄みを除去する操作をした後に再び純水を追加し超音波処理を加える操作を複数回繰り返してもよい。このような操作をすることで、粒径が1μmを超える粗大粒子数の計測の妨げとなる微細な粒子をより確実に除去することができる。
<ルテニウム酸鉛粉の平均粒径の算出>
製造した各試料のルテニウム酸鉛粉の平均粒径を、BET法により測定した比表面積から算出した。算出した各試料の平均粒径を表1に示す。
Figure 0007247754000001
表1に示すように、初期焙焼処理や段階的に焙焼温度を上げた中間焙焼処理を行わず、焙焼処理1回のみの従来の製法で製造した試料1-1は、平均粒径は48.5nmと目標値に近い平均粒径が得られてはいるものの、粒径が1μmを超える粗大粒子数(の評価値)が931個と非常に多く粒径がばらつき、小型化の進む微小製品用の厚膜抵抗ペーストには適さないことが認められる結果となった。
また、本発明の範囲外である初期焙焼温度の低い試料1-2は、初期焙焼でルテニウム酸鉛粉を形成するには焙焼温度が低すぎて、酸化ルテニウム粉が優先的に形成されてしまい、中間焙焼からルテニウム酸鉛粉が形成されるものの、ルテニウム酸鉛粉の形成タイミングがずれてしまい、粒径のばらつきが大きく、粒径が1μmを超える粗大粒子数(の評価値)が621個と多く、微小製品用の厚膜抵抗ペーストには適さないことが認められる結果となった。
これに対し、本発明の範囲内である試料1-3~試料1-6は、目標値に近い平均粒径が得られ、かつ粒径が1μmを超える粗大粒子数(の評価値)も161個以下と、従来品である試料1-1に比べて非常に少なくなり、粒径のばらつきが小さく抑えられているのが認められる結果となった。
初期焙焼温度を本発明の範囲よりも更に高くして、本発明の範囲外とした試料1-7は、粒径が1μmを超える粗大粒子数(の評価値)が621個と非常に多く、小型化の進む微小製品用の厚膜抵抗ペーストには適さないことが認められる結果となった。これは、初期焙焼温度が高すぎるため、初期焙焼時に形成されるルテニウム酸鉛粉が粒径及びばらつきの大きな粉となってしまい、その後の中間焙焼や最終焙焼では十分にばらつきを抑えることができなかったためと考えられる。
(評価試験2:最終焙焼工程の焙焼温度による粒子径への影響)
150℃で乾燥させた、ルテニウムと鉛の水和物または水酸化物の混合粉5gをアルミナるつぼに入れ、525℃で120分間初期焙焼し、その後所定の温度でそれぞれ120分間焙焼を行う三段階の焙焼処理とした以外は、評価試験1と同じ装置及び条件で行い、ルテニウム酸鉛粉を得た(試料2-1~試料2-3)。各試料の焙焼処理における焙焼条件(焙焼温度、焙焼時間)を表2に示す。また、粗大粒子数の計測及びルテニウム酸鉛粉の平均粒径の算出を評価試験1と同様に行った。各試料のルテニウム酸鉛粉における粒径が1μmを超える粗大粒子数(の評価値)及び平均粒径を表2に示す。
Figure 0007247754000002
表2に示すように、本評価試験における焙焼条件下では、粒径が1μmを超える粗大粒子の形成を抑制したルテニウム酸鉛粉を得ることができることが認められる結果となった。
そして、本評価試験における条件下では、中間焙焼温度や最終焙焼温度が低いほど形成されるルテニウム酸鉛粉の平均粒径が小さく、かつ、粒径が1μmを超える粗大粒子数(の評価値)が少なくなる傾向にあることや、中間焙焼温度や最終焙焼温度が高いほど形成されるルテニウム酸鉛粉の平均粒径が大きく、かつ、粒径が1μmを超える粗大粒子数(の評価値)が多くなる傾向にあることが認められる結果となった。
(評価試験3:最終焙焼工程の処理時間による粒子径への影響)
150℃で乾燥させた、ルテニウムと鉛の水和物または水酸化物の混合粉5gをアルミナるつぼに入れ、525℃で60分間の初期焙焼、600℃で60分間の中間焙焼、700℃で所定の時間による最終焙焼を表3に示した焙焼条件の組合せとし、それ以外は、評価試験1と同じ装置及び条件で行い、ルテニウム酸鉛粉を得た(試料3-1~試料3-5)。
各試料の焙焼処理における焙焼条件(焙焼温度、焙焼時間)を表3に示す。また、粗大粒子数の計測及びルテニウム酸鉛粉の平均粒径の算出を評価試験1と同様に行った。各試料のルテニウム酸鉛粉における粒径が1μmを超える粗大粒子数(の評価値)及び平均粒径を表3に示す。
Figure 0007247754000003
表3に示すように、中間焙焼処理を行い、最終焙焼時間が30分と短い試料3-1は、粒径が1μmを超える粗大粒子数(の評価値)が減少し、かつ、平均粒径が小さいことから、粒径のばらつきが小さいまま、粒成長が抑えられていることが認められる結果となった。また、中間焙焼処理を行い、最終焙焼時間が150分と長い試料3-2は、中間焙焼処理を行わず、最終焙焼時間が120分である試料3-4とほぼ変わらない粒径が1μmを超える粗大粒子数(の評価値)と平均粒径を示しており、試料3-2の焙焼条件下での焙焼処理では、最終焙焼時間が120分以上で、粒成長が殆ど起きなくなることが認められる結果となった。また、試料3-1から中間焙焼を除いた二段階焙焼の試料3-3は、初期焙焼から最終焙焼までの温度差が大きく、最終焙焼の粒径のばらつきが大きくなり、試料3-1とほぼ同じ平均粒径でありながら、粒径が1μmを超える粗大粒子数(の評価値)が多くなったことが認められる結果となった。中間焙焼を除いた二段階焙焼を行い、最終焙焼時間を120分とした試料3-4は、粒径のばらつきによる粒径が1μmを超える粗大粒子数(の評価値)は試料3-3とほぼ同程度ながら、粒子の成長により、平均粒径が大きくなったことが認められる結果となった。試料3-1の初期焙焼を除いた条件に相当する試料3-5は、初期焙焼で形成されるルテニウム酸鉛粉の粒径のばらつきが大きくなり過ぎ、かつ、最終焙焼までの温度差が小さいため、平均粒径はあまり大きくならないものの、粒径が1μmを超える粗大粒子数(の評価値)が非常に多くなることが認められる結果となった。
これらの試験結果から、500℃以上575℃以下の比較的低温の焙焼温度で初期焙焼処理を行うことで、初期に形成される微細なルテニウム酸鉛粉の粒径のばらつきを抑えることができ、その後、段階的に焙焼温度を上げた焙焼処理を施し、その最終焙焼温度を600℃以上750℃以下とすることで、粒径が1μmを超える粗大粒子の形成を抑制しながら、粒径を、小型化の進む電子素子用の厚膜抵抗ペーストに適した平均粒径となるように成長させた、粒径のばらつきの小さいルテニウム酸鉛粉を容易に得ることが可能であることが分かった。
本発明は、小型化の進む、厚膜抵抗ペーストを用いた電子素子を製造することが求められている分野に有用である。

Claims (4)

  1. ルテニウムと鉛の水和物または水酸化物との混合粉を焙焼し、ルテニウム酸鉛粉を得る焙焼工程を有するルテニウム酸鉛粉の製造方法であって、
    前記焙焼工程は、前記混合粉を、所定の焙焼温度を一定時間保持して焙焼する第1回目の焙焼処理と、第1回目の焙焼処理温度よりも高い所定の焙焼温度を一定時間保持して焙焼する焙焼処理を1回以上繰り返して行う、複数回の焙焼工程からなり、
    第1回目の焙焼処理の焙焼温度が500℃以上575℃以下の所定温度であり、
    最終の焙焼温度が600℃以上750℃以下の所定温度であることを特徴とするルテニウム酸鉛粉の製造方法。
  2. 前記焙焼工程における、第1回目の焙焼処理の次の焙焼処理が最終の焙焼処理であることを特徴とする請求項1に記載のルテニウム酸鉛粉の製造方法。
  3. 均粒径が35nm以上65nm以下のルテニウム酸鉛粉を形成することを特徴とする請求項1または2に記載のルテニウム酸鉛粉の製造方法
  4. 請求項3に記載のルテニウム酸鉛粉の製造方法により形成されたルテニウム酸鉛粉を含有することを特徴とする厚膜抵抗ペーストの製造方法
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