JP7252728B2 - 樹脂フィルム及び金属張積層体 - Google Patents
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Description
本実施の形態の樹脂フィルムは、単層又は複数層のポリイミド層を有し、少なくとも1層のポリイミド層(A)が、特定の酸無水物残基及び特定のジアミン残基を含むものである。なお、本発明において、酸無水物残基とは、テトラカルボン酸二無水物から誘導された4価の基のことを表し、ジアミン残基とは、ジアミン化合物から誘導された2価の基のことを表す。
ポリイミド層(A)を構成するポリイミドは、酸無水物残基として、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、「PMDA残基」ともいう。)を有する。PMDA残基は、剛直骨格を有するため、他の一般的な酸無水物成分に比べて、イミド化後のポリイミド中の分子の面内配向性の制御が可能であり、熱膨張係数(CTE)の上昇抑制とガラス転移温度(Tg)の向上効果がある。
ポリイミド層(A)や、任意のポリイミド層を構成するポリイミドは、上記酸無水物及びジアミンを溶媒中で反応させ、前駆体樹脂を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、酸無水物成分とジアミン成分をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0~100℃の範囲内の温度で30分~24時間撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5~30重量%の範囲内、好ましくは10~20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチル-2-ピロリドン、2-ブタノン、ジメチルスホキシド、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。また、このような有機溶剤の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応によって得られるポリアミド酸溶液(ポリイミド前駆体溶液)の濃度が5~30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。
本実施の形態の樹脂フィルムは、絶縁樹脂からなるフィルム(シート)であってもよく、銅箔、ガラス板、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルムなどの樹脂シート等の基材に積層された状態の絶縁樹脂のフィルムであってもよい。
本実施の形態の樹脂フィルムは、必要に応じて、ポリイミド層(A)中又は任意のポリイミド層中に無機フィラーを含有してもよい。具体的には、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
本実施の形態の樹脂フィルムの形成方法については特に限定されないが、例えば、[1]支持基材に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥した後、イミド化して樹脂フィルムを製造する方法(以下、キャスト法)、[2]支持基材に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥した後、ポリアミド酸のゲルフィルムを支持基材から剥がし、イミド化して樹脂フィルムを製造する方法などが挙げられる。また、本実施の形態で製造される樹脂フィルムが、複数層のポリイミド層からなる場合、その製造方法の態様としては、例えば、[3]支持基材に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥することを複数回繰り返した後、イミド化を行う方法(以下、逐次塗工法)、[4]支持基材に、多層押出により、同時にポリアミド酸の積層構造体を塗布・乾燥した後、イミド化を行う方法(以下、多層押出法)などが挙げられる。ポリイミド溶液(又はポリアミド酸溶液)を基材上に塗布する方法としては特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。多層のポリイミド層の形成に際しては、ポリイミド溶液(又はポリアミド酸溶液)を基材に塗布、乾燥する操作を繰り返す方法が好ましい。
(1a)支持基材にポリアミド酸の溶液を塗布し、乾燥させる工程と、
(1b)支持基材上でポリアミド酸を熱処理してイミド化することによりポリイミド層を形成する工程と、
(1c)支持基材とポリイミド層とを分離することにより樹脂フィルムを得る工程と、
を含むことができる。
(2a)支持基材にポリアミド酸の溶液を塗布し、乾燥させる工程と、
(2b)支持基材とポリアミド酸のゲルフィルムとを分離する工程と、
(2c)ポリアミド酸のゲルフィルムを熱処理してイミド化することにより樹脂フィルムを得る工程と、
を含むことができる。
本実施の形態の金属張積層体は、絶縁樹脂層と、この絶縁樹脂層の少なくとも片側の面に積層された金属層と、を有する。この場合、絶縁樹脂層の少なくとも1層が、ポリイミド層(A)を含む樹脂フィルムによって形成されていればよい。
構成2;M1/P1/P2
構成3;M1/P1/P2/M2
構成4;M1/P2/P1
構成5;M1/P2/P1/P2
構成6;M1/P2/P1/P2/M2
構成7;M1/P1/P2/P1
構成8;M1/P1/P2/P1/P2/M2
本実施の形態の金属張積層体における金属層の材質としては、特に制限はないが、例えば、銅、ステンレス、鉄、ニッケル、ベリリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、銀、金、スズ、ジルコニウム、タンタル、チタン、鉛、マグネシウム、マンガン及びこれらの合金等が挙げられる。この中でも、銅、鉄又はニッケルの金属元素が好ましく、これらの金属元素を含有する銅、銅合金、ステンレス又はインバーが特に好ましい。
E型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV-II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%~90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(東ソー株式会社製、HLC-8220GPCを使用)により測定した。標準物質としてポリスチレンを用い、展開溶媒にN,N‐ジメチルアセトアミドを用いた。なお、ポリアミド酸をイミド化して得られるポリイミド樹脂の重量平均分子量も、ポリアミド酸の状態で測定されるものと略等しいため、ポリアミド酸の重量平均分子量をもってポリイミド樹脂の重量平均分子量と見做すことができる。
ポリイミドフィルム(3mm×15mm)を、熱機械分析(TMA)装置にて5.0gの荷重を加えながら20℃/minの昇温速度で室温から260℃まで昇温した後、5℃/minの降温速度で260℃から30℃まで降温する温度条件で引張り試験を行った。降温時の温度に対するポリイミドフィルムの伸び量から熱膨張係数を測定した。
ポリイミドフィルム(63.5mm×50mm)を準備し、このポリイミドフィルムに長さ12.7mmの切り込みを入れ、軽荷重引き裂き試験機(東洋精機社製)を用いて測定した。
TPE-R :1,3‐ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼン
m-TB:2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル
BAPP:2,2‐ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン
PMDA :ピロメリット酸二無水物
DMAc:N,N‐ジメチルアセトアミド
ポリアミド酸a~hを合成するため、窒素気流下で、500mlのセパラブルフラスコの中に、表1で示した固形分濃度となるように溶剤のDMAcを加え、表1に示したジアミン成分及び酸無水物成分を攪拌しながら溶解させた。その後、溶液を室温で4時間攪拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸a~hの黄~茶褐色の粘稠な溶液を調製した。
銅箔1(電解銅箔、厚み;12μm)の光沢面に、ポリアミド酸a、e、g、hの溶液を、それぞれアプリケータを用いて塗布し、50~130℃で1~60分間乾燥した後、更に130℃~360℃の温度範囲で段階的な熱処理を行い、銅箔上にポリイミド層a、e、g、hを形成し、金属張積層体1~5を調製した。
銅箔1の光沢面に、熱処理後の厚みが約1μmとなるようにポリアミド酸dの溶液を均一に塗布し、50~130℃で1~60分間乾燥して溶媒を除去した。その上に、熱処理後の厚みが約5μmとなるようにポリアミド酸aの溶液を均一に塗布し、50~130℃で1~60分間乾燥して溶媒を除去した。更に、その上に、熱処理後の厚みが約1μmとなるようにポリアミド酸dの溶液を均一に塗布し、50~130℃で1~60分間乾燥して溶媒を除去した。その後、130℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、銅箔上に、ポリイミド層d/ポリイミド層a/ポリイミド層dからなる絶縁樹脂層6を形成し、金属張積層体6を調製した。
銅箔1の光沢面に、ポリアミド酸b、c、fの溶液を、それぞれアプリケータを用いて塗布し、50~130℃で1~60分間乾燥した後、更に130℃~360℃の温度範囲で段階的な熱処理を行い、銅箔上にポリイミド層b、c、fを形成し、金属張積層7~10を調製した。
さらに、実施例1と2を比較すると絶縁樹脂層の厚みを薄くすることで、低CTE化が可能となることを示している。このため、本発明において、絶縁樹脂層は20μmを下回る厚みとすることが好ましい。
また、実施例1と2の比較及び参考例3と4の比較から、本発明において、特に絶縁層の厚みが薄い場合、引き裂き伝播抵抗に対する分子量の影響は少なく、樹脂組成が支配的であることがわかる。よって本発明では特に分子量の制限は無いが、例えば10,000~400,000の範囲内であればよいと考えられる。
Claims (6)
- 単層又は複数層のポリイミド層を有する樹脂フィルムであって、
厚みが3~12μmの範囲内で、引き裂き伝播抵抗が7mN以上であり、
前記ポリイミド層の少なくとも1層を構成するポリイミド層(A)が、テトラカルボン酸二無水物成分から誘導される酸無水物残基と、ジアミン成分から誘導されるジアミン残基と、を有するポリイミドで構成され、
前記酸無水物残基が、前記酸無水物残基の合計100モル部に対して、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導されるPMDA残基を80~100モル部の範囲内で含有し、
前記ジアミン残基が、前記ジアミン残基の合計100モル部に対して、下記式(1)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を48~52モル部の範囲内で含有するとともに、下記式(2)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基を48~52モル部の範囲内で含有することを特徴とする樹脂フィルム。
[式(1)及び(2)において、Rは独立に、ハロゲン原子、又は炭素数1~6のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基若しくはアルコキシ基、又はアルケニル基、又は炭素数1~6の1価の炭化水素基若しくはアルコキシ基で置換されてもよいフェニル基若しくはフェノキシ基を示し、Zは独立に-O-、-S-、-CH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-CO-、-COO-、-SO2-、-NH-又は-NHCO-から選ばれる2価の基を示し、n1は独立に0~4の整数、n2は0~2の整数を示す。] - 前記ポリイミド層(A)の合計の厚みが、全体の厚みに対して50%以上である請求項1に記載の樹脂フィルム。
- 線膨張係数(CTE)が30ppm/K以下である請求項1又は2に記載の樹脂フィルム。
- 引き裂き伝播抵抗が8mN以上である請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂フィルム。
- 絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層の少なくとも片面の面に積層された金属層と、を備えた金属張積層体であって、
前記絶縁樹脂層が、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂フィルムを含むことを特徴とする金属張積層体。 - 前記金属層が銅、鉄又はニッケルの少なくとも1つの金属元素を含有することを特徴する請求項5に記載の金属張積層体。
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