JP7253165B2 - 直播栽培用の植物種子のコーティング処理法、直播栽培用のコーティング処理済み植物種子および植物種子の直播栽培方法 - Google Patents
直播栽培用の植物種子のコーティング処理法、直播栽培用のコーティング処理済み植物種子および植物種子の直播栽培方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7253165B2 JP7253165B2 JP2019004473A JP2019004473A JP7253165B2 JP 7253165 B2 JP7253165 B2 JP 7253165B2 JP 2019004473 A JP2019004473 A JP 2019004473A JP 2019004473 A JP2019004473 A JP 2019004473A JP 7253165 B2 JP7253165 B2 JP 7253165B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- seeds
- plant seeds
- sowing
- iron
- coated
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A01—AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
- A01C—PLANTING; SOWING; FERTILISING
- A01C1/00—Apparatus, or methods of use thereof, for testing or treating seed, roots, or the like, prior to sowing or planting
- A01C1/06—Coating or dressing seed
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A01—AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
- A01C—PLANTING; SOWING; FERTILISING
- A01C14/00—Methods or apparatus for planting not provided for in other groups of this subclass
Landscapes
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Soil Sciences (AREA)
- Environmental Sciences (AREA)
- Pretreatment Of Seeds And Plants (AREA)
Description
(1)本発明の直播栽培用の植物種子のコーティング処理法は、乾燥状態の植物種子を催芽処理することなく、該植物種子の表面をコーティング材により被覆することを特徴とする。
(4)また、本発明の直播栽培用の植物種子のコーティング処理法では、前記植物種子がイネ科穀類、野菜類および花き類からなる群より選択される少なくとも一種の植物の種子であることが好ましく考慮される。
(6)また、本発明の直播栽培用のコーティング処理済み植物種子では、前記コーティング材が、少なくとも、前記植物種子の乾燥重の0.5~1.9倍量の鉄粉および該鉄粉重の0.1~0.15倍量の焼石膏を含んでおり、前記コーティング材の層の表面に付着した、前記鉄粉重の0.025~0.075倍量の焼石膏により前記鉄粉が酸化していることを特徴とする請求項5に記載の直播栽培用のコーティング処理済み植物種子。
また、本明細書中において、「出芽率」の用語は、植物種子の全播種数に対し植物の芽が土から出てきた割合を示す数値を意味しており、「発芽率」の用語は、土の有無にかかわらず、植物種子の全播種数に対し植物種子から芽が発芽した割合を示す数値を意味している。そのため、植物種子本来の発芽率を評価することを目的とした発芽試験の結果や、一旦圃場に播種した植物種子を掘り取り、屋内の実験室にて発芽試験を行った場合には、「発芽率」の用語を使用している。
具体例としては、例えば、植物種子10kgに対し、鉄粉5kg、焼石膏(仕上げ石膏含む)0.75kg程度とすることが好ましく例示される。鉄粉と焼石膏との配合割合が上記範囲内であれば、得られるコーティング処理済みの植物種子は、機械的衝撃に強く、しかも雪融け後まで植物種子への水分供給を妨げる働きを発揮し、雑菌の侵入予防が可能である。
乾燥済みの植物種子を種子消毒する。本発明においては、植物種子に吸水させることを避けねばならないので、例えば、植物種子の表面に、使用濃度に調製した消毒剤を直接塗布し、直ちに乾燥させる方法等が例示される。消毒剤としては、種子消毒に通常使用されている薬剤であれば、特に制限されることなく使用することができる。
工程(1)で脱水機にかけて表面のみが僅かに湿り気を帯びた植物種子と、コーティング材を造粒機に投入し、少量の水をスプレーする。その際、コーティング材の投入量は、調製した全量の1/3程度とすることが好ましい。植物種子の表面にコーティング材が付着したことを確認した後、コーティング材を追加し、再度少量の水をスプレーして、コーティング材により形成されたコーティング層が後述の所期の厚みに達するまで植物種子の表面にコーティング材を付着させる作業を繰り返す。
コーティング材として鉄を含むものを用いた場合、水と鉄の酸化反応により高熱を発する。そこで、蓄熱による高熱を避けるため、工程(2)によって得られた植物種子については、塊状にして放置したり、すぐに袋詰めなどせずに、底の広い箱の中などに薄く広げて置くことが望ましい。このような底の広い箱としては、例えば、水稲の育苗用苗箱などを好適に用いることができる。また、苗箱などを積み重ねる際には、箱間に角材を挟んだり、育苗棚や苗運搬用のコンテナなどを用いて、箱間に空気の通り道を確保し、熱がこもらないようにして冷却・乾燥することが考慮される。植物種子を、塊状にして放置する、すぐに袋詰めする、あるいは苗箱などに広げた後に箱間に隙間なく積み重ねた場合には、蓄熱により、種子の温度が100℃に達することがある。このような場合、植物種子は死滅してしまうので、一時的に50℃程度の熱に植物種子がさらされることは許容されるものの、作業全体を通じて植物種子の温度が40℃以下となるように温度管理することが望ましい。
(実施例1)
(1)種子の準備工程
2016年に収穫し、脱穀した籾摺り前の岩手県・滝沢産ひとめぼれの乾燥種籾を1~2秒程度水に浸漬した後、水から引き上げ、ただちに脱水機で脱水した。
乾燥種籾10kgに対し、市販の農業用鉄粉(DOWA IPクリエイション株式会社、岡山)5kgと焼石膏(睦化学工業、三重)0.5kgの割合でよく混合し、鉄粉混合物を調製した。この鉄粉混合物を全体の1/3程度はかりとり、工程(1)で脱水機にかけて表面のみが僅かに湿り気を帯びた種籾とともに、ベビーミキサー(光洋機械産業株式会社、大阪)に投入し、霧吹きを用いて少量の水をスプレーした。種籾の表面に鉄粉混合物が付着したことを確認した後、鉄粉混合物を追加し、再度霧吹きを用いて少量の水をスプレーし、種籾の表面に鉄粉混合物を付着させる作業を繰り返した。
工程(2)によって得られた、鉄粉混合物で被覆された種籾を水稲の育苗用苗箱に広げ、複数個の苗箱の箱間に角材を挟んで空気の通り道を確保した上で積み重ね、熱がこもらないようにして一晩冷却・乾燥した。なお、必要に応じて、間隔を空けて積み重ねた苗箱の箱間に、送風機などを用いて送風した。
寒冷地における初冬播きとコーティング処理が種籾の発芽率に及ぼす影響を明らかにするため、工程(3)によって得られた鉄コーティング処理済みの種籾を岩手県滝沢市にある岩手大学附属滝沢農場の実験用水田(39°46′N、141°7′E)にて栽培した。
なお、後述の抜き取り種子の発芽試験により越冬中の種子の生存率を調査するため、鉄コーティング処理済みの種籾の播種は、ポリエチレン製の水切りネット(ネットタイプ水切りネット、(株)DCMホールディングス)に種子30粒を入れ、前記溝に播種し、無肥料培土で2~3cm覆土した。
栽培試験期間における気象データのうち、地温については、試験区内において、種子と同一の深さ2~5cmの地点に温度センサー(TR52S、T&D Corporation製)を設置し、30分間隔で記録し、日平均地温を算出した。日平均気温および日降雪量データは、気象庁ホームページより取得した。積雪日数および積算降雪量は、各試験地の播種日から積雪・降雪終了日までを対象として算出した。積雪日数は、積雪を観測した日数の合計とした。岩手大学附属滝沢農場の気象データについては、最寄りの市町村の観測所である、盛岡気象台(岩手県)のデータを用いた。
図2(a)に示したように、2016年11月25日から2017年6月13日の間の岩手県滝沢市の圃場における最低気温は、-6.8℃(2017年1月14日)であり、最低地温は、0℃であった。また、2016年11月25日から2017年6月13日の間の岩手県滝沢市の圃場における最深降雪量は、24cm(2017年2月20日)であった。
(実施例2)
2017年に収穫し、脱穀した籾摺り前の岩手県・滝沢産「ひとめぼれ」の乾燥種籾を用いたこと以外は、実施例1と同様にして鉄コーティング処理済みの種籾を製造し、岩手県滝沢市の圃場に播種し、すべての条件を実施例と同様にして栽培を行った。
2017年の初冬播きについては、2017年12月6日に播種し、培土で覆土した。2018年6月20日以降に湛水条件とした。
図2(b)に示したように、2017年12月6日から2018年6月20日の間の岩手県滝沢市の圃場における最低気温は、-7.2℃(2018年1月24日)であり、最低地温は、0℃付近であった。また、2017年12月6日から2018年6月20日の間の岩手県滝沢市の圃場における最深降雪量は、47cm(2018年2月14日)であった。
(実施例3)
乾燥種籾として、青森県・弘前産「まっしぐら」を用いたこと以外は、実施例2と同様にして鉄コーティング処理済みの種籾を製造し、岩手県滝沢市の圃場に播種し、すべての条件を実施例と同様にして栽培を行った。
(実施例4)
乾燥種籾として、岩手県・滝沢産「あきたこまち」を用いたこと以外は、実施例2と同様にして鉄コーティング処理済みの種籾を製造し、岩手県滝沢市の圃場に播種し、すべての条件を実施例と同様にして栽培を行った。
(実施例5)
乾燥種籾として、岩手県・滝沢産「萌えみのり」を用いたこと以外は、実施例2と同様にして鉄コーティング処理済みの種籾を製造し、岩手県滝沢市の圃場に播種し、すべての条件を実施例と同様にして栽培を行った。
2016年に収穫し、脱穀した籾摺り前の岩手県・滝沢産「ひとめぼれ」の乾燥種籾に鉄コーティング処理を施さなかったこと以外は、すべての条件を実施例1と同様にして栽培を行った。
(比較例2)
鉄コーティング処理の代わりに、カルパー処理を施したこと以外は、すべての条件を実施例1と同様にして栽培を行った。
なお、カルパー処理は、以下の工程にしたがっておこなった。すなわち、鉄コーティング処理における種子の準備工程と同様、乾燥種籾を1~2秒程度水に浸漬した後、水から引き上げ、ただちに脱水機で脱水した。脱水した種籾10kgに対し、同量のカルパー粉粒剤((株)三井化学アグロ製)を秤量し、脱水した種籾とともにベビーミキサーに投入し、霧吹きを用いて少量の水をスプレーし、種籾の表面をカルパー粉粒剤によりコーティングした。
(比較例3)
鉄コーティング処理の代わりに、デンプン資材であるイナゲル処理を施したこと以外は、すべての条件を実施例1と同様にして栽培を行った。
なお、イナゲル処理は、以下の工程にしたがっておこなった。すなわち、鉄コーティング処理における種子の準備工程と同様、乾燥種籾を1~2秒程度水に浸漬した後、水から引き上げ、ただちに脱水機で脱水した。脱水した種籾10kgに対し、その2.3倍量のイナゲル(イナゲル アラビアガムA顆粒、(株)伊那食品工業製)を秤量し、30%(w/w)溶液となるよう蒸留水に溶解させた。脱水した種籾をビニル袋に入れ、霧吹きを用いて前記イナゲル水溶液をスプレーし、種籾の表面をイナゲル水溶液によりコーティングした後、風乾した。
(比較例4)
2016年に収穫し、脱穀した籾摺り前の青森県・弘前産「まっしぐら」の乾燥種籾に、鉄コーティング処理を施さなかったこと以外は、すべての条件を実施例1と同様にして栽培を行った。
(比較例5)
2017収穫し、脱穀した籾摺り前の岩手県・滝沢産「ひとめぼれ」の乾燥種籾に鉄コーティング処理を施さなかったこと以外は、すべての条件を実施例2と同様にして栽培を行った。
(比較例6)
2017年に収穫し、脱穀した籾摺り前の青森県・弘前産「まっしぐら」の乾燥種籾に、鉄コーティング処理を施さなかったこと以外は、すべての条件を実施例2と同様にして栽培を行った。
(比較例7)
2017収穫し、脱穀した籾摺り前の岩手県・滝沢産「あきたこまち」の乾燥種籾に鉄コーティング処理を施さなかったこと以外は、すべての条件を実施例2と同様にして栽培を行った。
(比較例8)
2017収穫し、脱穀した籾摺り前の岩手県・滝沢産「萌えみのり」の乾燥種籾に鉄コーティング処理を施さなかったこと以外は、すべての条件を実施例2と同様にして栽培を行った。
実施例および比較例の種子について、以下の方法により、出芽率の調査、および掘り取り種子の発芽試験を行った。
(6)出芽率の調査
2016/17シーズンにおける出芽率の調査は、出芽の推移を比較するために5月19日~6月9日の期間に計7回行った。2017/18シーズンにおける出芽率の調査は、初冬播き栽培で5月25日~6月28日の期間に計7回行った。出芽率は、播種した種子数に対する出芽した種子の比率とした。出芽始めと出芽揃いは、出芽率がそれぞれ20%と80%に達した日とし、出芽日数は出芽始めと出芽揃いの期間とした。
(7)掘り取り種子の発芽試験
播種後約1カ月おきに種子を掘り取って発芽試験を最大5時期に行った。掘り取った種子は、水切りネットから取り出して付着した土を取り除き、湿った濾紙を敷いたシャーレ内に入れ、25℃・暗条件となる恒温器(IC402、ヤマト科学株式会社)に置床した。置床後4日目、7日目、14日目に発芽率を調査した。発芽能力は、25℃に設定した恒温機で培養した全種子数に対する発芽した種子数の比率とした。また、発芽勢の指標として、横軸を置床後の日数、縦軸を発芽率とする関係から、発芽率が最終的な発芽率の50%に達するまでの日数をD50として線形回帰式により求めた。D50が小さいほど発芽勢が強く、大きいほど発芽勢が弱いことを示す。
(8)統計解析
出芽率の調査結果および掘り取り種子の発芽試験の結果について、それぞれ以下の方法により統計解析を行った。すなわち、出芽率に対するコーティング処理の効果については、統計解析ソフト(Excel統計 Bellcurve for Excel 2.15)を用いて、t検定を行った。また、多地点掘り取り調査における発芽率とD50に対するコーティング処理の影響については、前記統計解析ソフトを用いて、Fisherの最小有意差法による統計解析を行った。
図3のグラフに示したように、鉄コーティング処理を施さなかった比較例1の出芽率は約2%であり、実用に耐え得るレベルに達していなかった。一方、実施例1の鉄コーティング処理済みの「ひとめぼれ」種籾では出芽率が約25%と、比較例1に比べて10倍以上に向上することが確認された。
さらにまた、「ひとめぼれ」以外の水稲品種における鉄コーティング処理の結果、「あきたこまち」では、実施例4と比較例7との対比から最低でも出芽率が4倍に向上することが確認された。「まっしぐら」では、実施例3と比較例6との対比から最大で出芽率が約20倍に向上することが確認された。
なお、岩手県において慣行法である春播き栽培での無処理種子の出芽率は「ひとめぼれ」は57~77%、「まっしぐら」で59~67%、「あきたこまち」で71%、「萌えみのり」で61%程度あり、栽培試験に用いた種籾自体の出芽率には何ら問題がないことが確認された。
なお、2016/17シーズンにおいて、青森県で初冬播き栽培を行ったところ、鉄コーティング処理を施さなかった種子の出芽率は、岩手県での初冬播き栽培の結果よりも高かったが、鉄コーティング処理区では、さらに出芽率が高かった。したがって、栽培地点や年次の気象条件等の環境要因により植物種子そのものの出芽率は変動するものの、本発明の鉄コーティング処理により、環境要因とは無関係に出芽率を高められることが確認された。
まず、無処理の比較例1についてみると、図4(a)に示したように、2016/17シーズンでは、播種後1カ月で発芽率が40%以下に低下し、その後、積雪下では比較的安定していたものの、融雪後にさらに低下し、播種後4カ月目で12%まで低下した。積雪の早かった2017/18シーズンにおいて、無処理の比較例7では、図4(c)に示したように、播種後1カ月目でも74%と高い発芽率を示した。しかしながら、播種後2カ月目以降に急激に発芽率が低下し、播種後5カ月目には6%まで低下した。このような発芽率の低下は、図4(a)の実施例1および図4(c)の実施例3に示したように、鉄コーティング処理を施すことで、両シーズンともに初期の低下が軽減され、播種後5カ月目以降も30%以上の発芽率を維持していた。
一方、発芽勢の指標としてのD50は、図4(b)(d)に示したように、2016/17シーズンでは2日程度であり、2017/18シーズンは2~6日と変動があるものの、鉄のコーティングによる影響はみられなかった。
2017/18シーズンにおいては、国内5地点において、鉄コーティング処理済みの植物種子の直播栽培試験を行い、その結果を比較した。
具体的には、岩手県滝沢市のほか、北海道札幌市(北海道大学農学部、43.1°N、141.3°E)、青森県黒石市(青森県産業技術センター農林総合研究所、40.7°N、140.6°E)、秋田県大仙市(東北農業研究センター大仙拠点、39.5°N、140.5°E)、三重県津市(三重大学生物資源学部FSC附帯農場、34.7°N、136.5°E)にて栽培試験を行った。
(実施例6)
乾燥種籾として、2017年に収穫し、脱穀した籾摺り前の岩手県・滝沢産「あきたこまち」を用いたこと以外は、実施例2と同様にして鉄コーティング処理済みの種籾を製造し、北海道札幌市の圃場に播種し、すべての条件を実施例2と同様にして初冬播き栽培を行った。なお、札幌市においては2017年11月28日を播種日とした。
(実施例7)
乾燥種籾として、2017年に収穫し、脱穀した籾摺り前の岩手県・滝沢産「あきたこまち」を用いたこと以外は、実施例2と同様にして鉄コーティング処理済みの種籾を製造し、青森県黒石市の圃場に播種し、すべての条件を実施例2と同様にして初冬播き栽培を行った。なお、黒石市においては2017年11月30日を播種日とした。
(実施例8)
乾燥種籾として、2017年に収穫し、脱穀した籾摺り前の岩手県・滝沢産「あきたこまち」を用いたこと以外は、実施例2と同様にして鉄コーティング処理済みの種籾を製造し、秋田県大仙市の圃場に播種し、すべての条件を実施例2と同様にして初冬播き栽培を行った。なお、大仙市においては2017年12月1日を播種日とした。
(実施例9)
乾燥種籾として、2017年に収穫し、脱穀した籾摺り前の岩手県・滝沢産「あきたこまち」を用いたこと以外は、実施例2と同様にして鉄コーティング処理済みの種籾を製造し、三重県津市の圃場に播種し、すべての条件を実施例2と同様にして初冬播き栽培を行った。なお、津市においては2017年11月28日を播種日とした。
(1)気象データの測定
栽培試験期間における気象データのうち、地温については、試験区内において、種子と同一の深さ2~5cmの地点に温度センサーを設置し、30分間隔で記録し、日平均地温を算出した。日平均気温および日降雪量データは、気象庁ホームページより取得した。積雪日数および積算降雪量は、各試験地の播種日から積雪・降雪終了日までを対象として算出した。積雪日数は、積雪を観測した日数の合計とした。各試験地のデータ取得地は、試験地が所在する市町村の観測所または最寄りの市町村の観測所である、札幌気象台(北海道)、弘前アメダス(青森県)、角館アメダス(秋田県)、津気象台(三重県)のデータを用いた。結果を図5に示す。
(2)掘り取り種子の発芽試験
北海道、青森県、秋田県および三重県では、2時期(播種後1カ月目と4カ月目)に初冬播きした種籾を掘り取り、掘り取った種籾は各地点から冷蔵便で岩手大学の実験室に輸送・保管後(4℃・暗条件)、全地点の種子について同時に発芽試験を行った。結果を図6に示す。
(3)統計解析
多地点掘り取り調査における発芽率とD50に対するコーティング処理と栽培地点の影響については、前記統計解析ソフトを用いて、Fisherの最小有意差法による統計解析を行った。
図5(a)(b)(c)(d)(e)は、それぞれ2017/18シーズンにおける岩手県、青森県、北海道、秋田県および三重県の気温、地温および降雪量を示したグラフである。
播種から出芽までの気象の気温、地温および降雪量の推移をみると、図5(a)に示したように、積雪がある岩手県においては、播種時期である11月下旬~12月上旬の地温は、10~12℃であったが、その後、1月には、ほぼ直線的に0℃まで低下し、積雪下では0℃付近で安定した。融雪後に地温は上昇した。
種子の環境に直接影響する地温の点からみると、(1)播種から積雪までの期間、(2)安定した積雪期間、(3)融雪後から出芽までの期間の3つの期間に分けることができる。期間(1)および(3)については、地温の変動は気温から多くを説明できたが、積雪期間中の期間(2)については、気温が大きく変動したこととは対照的に地温は安定していた。この傾向は、図5(a)(b)(c)(d)に示したように、積雪のある北海道、青森県、秋田県で共通していた。
期間(2)の日数については、地域により異なり、積雪期間が長い北海道、秋田県、青森県が岩手県より長かった。なお、積雪日数は、北海道119日間、青森県109日間、岩手県86日間、秋田県117日間であった。また、積算積雪量は、北海道403cm、青森県484cm、岩手県205cm、秋田県649cmであった。一方、図5(e)に示したように、積雪のない三重県では、上記の4道県のような寒冷地において地温の変動の小さかった期間(2)に相当する12~2月にも地温に大きな変動がみられた。
播種後4カ月目には、図6(c)に示したように、いずれの地点も発芽率が低下したが地域間差がみられた。青森県の実施例である実施例7の発芽率は、約55%と極めて高い水準を維持していたが、秋田県の実施例である実施例8の発芽率は約25%程度であった。一方、未処理の種子については、青森県の比較例の種子の発芽率が22%と最も高く、他の地点における比較例の発芽率は、2~12%まで低下していることが確認された。
Claims (3)
- 初冬播きにおけるイネ科穀類の種子の出芽率を向上させる直播栽培方法であって、
乾燥状態のイネ科穀類の種子を、催芽処理することなく、かつ、表面を、鉄粉、鉄粉と焼石膏の混合物のうちのいずれかを含むコーティング材により被覆したコーティング処理済み植物種子を、
収穫前年の晩秋から初冬の期間に圃場に播種することを特徴とする植物種子の直播栽培方法。 - 前記コーティング材は、鉄粉と焼石膏の混合物を含み、
少なくとも、前記植物種子の乾燥重の0.5~1.9倍量の鉄粉を含み、かつ該鉄粉重の0.1~0.15倍量の焼石膏を含む前記コーティング材により前記植物種子の表面を被覆し、前記鉄粉重の0.025~0.075倍量の焼石膏により前記コーティング材の層の表面をさらに被覆し、前記鉄粉を酸化させることを特徴とする請求項1に記載の直播栽培方法。 - 前記圃場への播種の後、土壌表面を圧縮し、前記植物種子を前記土壌表面下に埋没させることを特徴とする請求項1または2に記載の直播栽培方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| CN201910106616.XA CN110121980A (zh) | 2018-02-02 | 2019-02-02 | 直播栽培用的植物种子的涂布处理方法和涂布处理后的植物种子、植物种子的直播栽培方法 |
Applications Claiming Priority (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2018017215 | 2018-02-02 | ||
| JP2018017215 | 2018-02-02 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2019129822A JP2019129822A (ja) | 2019-08-08 |
| JP7253165B2 true JP7253165B2 (ja) | 2023-04-06 |
Family
ID=67546929
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2019004473A Active JP7253165B2 (ja) | 2018-02-02 | 2019-01-15 | 直播栽培用の植物種子のコーティング処理法、直播栽培用のコーティング処理済み植物種子および植物種子の直播栽培方法 |
Country Status (2)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP7253165B2 (ja) |
| CN (1) | CN110121980A (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2019136031A (ja) * | 2018-02-05 | 2019-08-22 | 国立大学法人東京農工大学 | 種子の保存方法 |
Citations (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2005192458A (ja) | 2004-01-06 | 2005-07-21 | National Agriculture & Bio-Oriented Research Organization | 鉄粉被覆稲種子の製造法 |
| JP2017184738A (ja) | 2016-04-05 | 2017-10-12 | 日本曹達株式会社 | コート種子 |
| JP2017197529A (ja) | 2016-04-20 | 2017-11-02 | 三井化学アグロ株式会社 | 鉄コーティング種子製剤、その製造方法および植物病害防除方法 |
Family Cites Families (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0821A (ja) * | 1994-06-17 | 1996-01-09 | Hokkaido Togyo Kk | 種子の発芽遅延処理方法及びその構造 |
| JP2006232690A (ja) * | 2005-02-23 | 2006-09-07 | National Agriculture & Food Research Organization | イネ細菌性病害の防除方法 |
| WO2013014811A1 (ja) * | 2011-07-27 | 2013-01-31 | Jfeスチール株式会社 | 種子被覆用鉄粉及び鉄粉被覆種子 |
| JP5717110B2 (ja) * | 2013-05-13 | 2015-05-13 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 | 単粒化した鉄粉被覆稲種子の製造方法 |
| CN105660719A (zh) * | 2016-01-11 | 2016-06-15 | 中国水稻研究所 | 一种促进直播稻种子发芽成苗的放氧种衣剂及包衣方法 |
-
2019
- 2019-01-15 JP JP2019004473A patent/JP7253165B2/ja active Active
- 2019-02-02 CN CN201910106616.XA patent/CN110121980A/zh active Pending
Patent Citations (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2005192458A (ja) | 2004-01-06 | 2005-07-21 | National Agriculture & Bio-Oriented Research Organization | 鉄粉被覆稲種子の製造法 |
| JP2017184738A (ja) | 2016-04-05 | 2017-10-12 | 日本曹達株式会社 | コート種子 |
| JP2017197529A (ja) | 2016-04-20 | 2017-11-02 | 三井化学アグロ株式会社 | 鉄コーティング種子製剤、その製造方法および植物病害防除方法 |
Non-Patent Citations (4)
| Title |
|---|
| 下野 裕之,外4名,寒冷地における水稲の初冬播き栽培が生育・収量に及ぼす影響,日本作物学会紀事,日本,2022年01月26日,第81巻,第1号,p.93-98 |
| 独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター,鉄コーティング湛水直播マニュアル2010,日本,[online],2010年03月,[2022年6月15日検索],インターネット<URL:https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/iron_coating_seed.pdf> |
| 田邊 詩歩,外2名,鉄コーティング種子を活用した乾田直播栽培法の開発,岡山大農センター報告,日本,2013年,第35巻,p.9-17 |
| 社団法人 北海道米麦改良協会,春まき小麦「初冬まき栽培」のポイント 雪腐病対策の徹底で良質小麦の安定確収を 第32回(平成23年度)北海道麦作共励会の参加者・集団を募集中,北海道米麦改良,2011年10月,第77号,p.1-7 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2019129822A (ja) | 2019-08-08 |
| CN110121980A (zh) | 2019-08-16 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| CN104885836B (zh) | 杂交水稻单本密植机插栽培方法 | |
| CN103039313A (zh) | 一种水稻无公害高产栽培的方法 | |
| CN105766260A (zh) | 半夏高产栽培方法 | |
| CN107047045A (zh) | 一种黄淮海南部地区小麦玉米周年增产培育方法 | |
| CN104115638A (zh) | 一种早熟甘蓝的栽培方法 | |
| CN110959450A (zh) | 一种花椒的种植方法 | |
| CN104920158A (zh) | 格木扦插插穗大田培育方法 | |
| CN108575589A (zh) | 一种日光温室中实现四茬农作物水肥药一体化轮作连续栽培方法 | |
| JP7253165B2 (ja) | 直播栽培用の植物種子のコーティング処理法、直播栽培用のコーティング処理済み植物種子および植物種子の直播栽培方法 | |
| CN113854090B (zh) | 一种提高甘蔗宿根性的育苗方法 | |
| JP4950953B2 (ja) | 化学物質による発芽生育阻害を軽減除去した作物栽培方法 | |
| CN111837849A (zh) | 一种五彩水稻种植方法 | |
| CN107197662A (zh) | 一种冰草属植物种子的生产方法 | |
| CN114208574A (zh) | 一种品质青花椒树培育方法 | |
| CN102301875A (zh) | 一种解决藠头连作死苗的脱菌灭虫方法 | |
| CN115176658A (zh) | 一种提高炸片品质的加工型马铃薯种植、储藏技术 | |
| CN108353736A (zh) | 一种防治大棚秋番茄茎基腐病的栽培方法 | |
| JPH0578187A (ja) | 植物の生育活力促進兼土壌培養剤 | |
| JP2007252206A (ja) | 雑草抑制ノシバ | |
| CN113180052A (zh) | 一种水稻种子处理组合物及其应用 | |
| CN113040008A (zh) | 一种普通大棚“唐菖蒲- 菠菜”高效栽培方法 | |
| CN111788983A (zh) | 一种茶树种子繁殖方法 | |
| CN110999772A (zh) | 马铃薯脱毒扦插苗种植方法 | |
| CN118680011B (zh) | 一种抑制农田害虫鼠妇的野花组合及其种植与管理方法 | |
| CN115589914B (zh) | 一种山地夏播马铃薯栽培方法 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20211020 |
|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20211126 |
|
| A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220613 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220621 |
|
| A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20220822 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20221019 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230124 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230220 |
|
| TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230307 |
|
| A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230315 |
|
| R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7253165 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
| R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |