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JP7262292B2 - 情報提供方法、圧力損失推定算出装置、圧力損失推定プログラム、及びコンピュータの非一時的可読記録媒体 - Google Patents
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JP7262292B2 - 情報提供方法、圧力損失推定算出装置、圧力損失推定プログラム、及びコンピュータの非一時的可読記録媒体 - Google Patents

情報提供方法、圧力損失推定算出装置、圧力損失推定プログラム、及びコンピュータの非一時的可読記録媒体 Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 ・第48回石油・石油化学討論会(創立60周年記念東京大会)講演要旨、第129頁、発行日:平成30年10月17日 ・第48回石油・石油化学討論会(創立60周年記念東京大会)、開催日平成30年10月17日 ・第44回精製パネル討論会、開催日:平成31年2月22日
本発明は、情報提供方法、圧力損失推定算出装置、圧力損失推定プログラム、及びコンピュータの非一時的可読記録媒体に関する。
従来から、固体触媒を充填した反応器に、気体及び/又は液体の反応物を流通させる反応方法は、固定床流通式反応として知られている。固定床流通式反応の反応器において、反応物を含む流体の流れは、固体触媒層からの抵抗により損失する。この損失を圧力の次元で表して圧力損失という。
通常、固定床流通式反応に用いられる反応器にはその材質、構造等により、耐圧の上限値が定まっており、前記上限値に達しないように、反応器内の圧力を常にモニタリングする必要がある。そして、反応器内の圧力が、反応器の耐圧の上限値に達する前に反応を停止しなくてはならない。特に圧力損失が急上昇した場合などは、緊急に反応を停止しなければならないこともあり、その場合、操業計画等に大きな悪影響を与えることになる。そのため、安定的な操業の観点から、精度の高い圧力損失推定値を提供する方法に対するニーズは高い。
流体中に不純物が含まれていると、不純物が固体触媒層へ堆積することがある。また、流体が炭素元素を有する化合物を含む場合には、反応器内でコークが生成し、コークが固体触媒層へ堆積することもある。不純物、コーク等が固体触媒層に堆積すると、固体触媒層の空隙が徐々に閉塞する。このことが、固定床流通式反応における圧力損失の上昇の要因の1つであると考えられている。
流体が気体又は液体の1相の場合の圧力損失を計算するための式の一つとしては、Ergun式等がよく知られている。Ergun式は層流域から乱流域までを含めた適用範囲の広い式であり、古くからよく用いられている(非特許文献1)。また、Ergun式を流体が気体及び液体の2相系に拡大した場合の圧力損失を計算する式も数多く提案されており、そのような式の一つとしてErgun・Larkins式が知られている(非特許文献2)。
Ergun, S., Chem. Eng. Prog., 48-2 (1952), 89-94. R. P. LARKINS et al., "Two-Phase Concurrent Flow in Packed Beds", A. I. Ch. E. Journal, (1961) Vol. 7, No. 2, 231-239.
Ergun式、Ergun・Larkins式等はともに、反応器内の固体触媒層の空隙率、流体の密度、流体の粘度、流体の線速度等の必要なパラメータを式に代入することにより圧力損失推定値を算出する式である。
しかしながら、上記パラメータをユーザプラントの反応器から経時的に取得、又は推定することは困難であるため、Ergun式、Ergun・Larkins式等により、圧力損失推定値を示す情報を経時的に取得し、提供することは実質的に不可能である。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、固定床流通式反応におけるユーザプラントの反応器内の圧力損失推定値を示す情報をユーザ端末に提供する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の態様を有する。
[1] 情報処理装置が、ユーザ端末から、固体触媒層が形成されたユーザプラントの反応器に気体若しくは液体の1相の流体、又は気体及び液体の2相の流体を流通させる固定床流通式反応に関して、空隙率推定情報と、プラント属性情報とを、ネットワークを介して受信するステップと、
情報処理装置が、受信した前記空隙率推定情報に基づき、固体触媒層空隙率算出関数1により、前記ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率を算出する空隙率算出ステップと、
情報処理装置が、前記空隙率と、前記プラント属性情報とに基づき、圧力損失推定算出関数により、前記ユーザプラントの反応器内の圧力損失推定値を算出する圧力損失算出ステップと、
情報処理装置が、算出された前記圧力損失推定値を示す情報を前記ユーザ端末へ送信するステップとを含む、情報提供方法。
[2] 前記空隙率推定情報は、一定期間に前記ユーザプラントの反応器に流入した前記流体中の不純物総量を示す情報と、前記ユーザプラントの反応器から流出した前記流体中の不純物総量を示す情報とを含む、[1]に記載の方法。
[3] 前記プラント属性情報は、前記流体の性状に関する情報、前記固体触媒の充填構成に関する情報、及び前記固体触媒の種類に関する情報からなる群から選択される少なくとも一種の情報を含む、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記固体触媒層空隙率算出関数1及び前記圧力損失推定算出関数は、情報処理装置が、反応初期において前記反応器内の圧力損失の実測値と、前記空隙率推定情報及び前記プラント属性情報に基づき算出したチューニングパラメータを使用する、[1]~[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5] 前記空隙率推定情報は、前記固体触媒層の反応温度Tt(x)を示す情報を含み、前記Tt(x)とコーキングの閾値Tの関係がTt(x)>Tを満たすときには、前記空隙率算出ステップにおいて、前記固体触媒層空隙率算出関数1に代えて、固体触媒層空隙率算出関数2により、前記ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率を算出する、[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] 前記固体触媒層空隙率算出関数2は、情報処理装置が、前記Tt(x)と前記Tの関係がTt(x)>Tを満たした後の初期において、前記反応器内の圧力損失の実測値と、前記空隙率推定情報及び前記プラント属性情報に基づき算出したチューニングパラメータを使用する、[5]に記載の方法。
[7] 前記固定床流通式反応が重質炭化水素油の水素化処理反応又は軽質炭化水素油の水素化処理反応である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8] プロセッサと、コンピュータ可読命令を記憶する記憶手段とを有し、
前記コンピュータ可読命令が前記プロセッサで実行されると、ユーザ端末から、固体触媒層が形成されたユーザプラントの反応器に気体若しくは液体の1相の流体、又は気体及び液体の2相の流体を流通させる固定床流通式反応に関して、空隙率推定情報と、プラント属性情報とを、ネットワークを介して受信し、
受信した空隙率推定情報に基づき、固体触媒層空隙率算出関数1により、前記ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率を算出し、
前記空隙率と、前記プラント属性情報とに基づき、圧力損失推定算出関数により、前記ユーザプラントの反応器内の圧力損失推定値を算出し、
算出された前記圧力損失推定値を示す情報を前記ユーザ端末へ送信する、圧力損失推定算出装置。
[9] 前記空隙率推定情報は、一定期間に前記ユーザプラントの反応器に流入した前記流体中の不純物総量を示す情報と、前記ユーザプラントの反応器から流出した前記流体中の不純物総量を示す情報を含む、[8]に記載の圧力損失推定算出装置。
[10] 前記プラント属性情報は、前記流体の性状に関する情報、前記固体触媒の充填構成に関する情報、及び前記固体触媒の種類に関する情報からなる群から選択される少なくとも一種の情報を含む、[8]又は[9]に記載の圧力損失推定算出装置。
[11] 前記固体触媒層空隙率算出関数1及び前記圧力損失推定算出関数は、反応初期において前記反応器内の圧力損失の実測値と、前記空隙率推定情報及び前記プラント属性情報に基づき算出したチューニングパラメータを使用する、[8]~[10]のいずれか一項に記載の圧力損失推定算出装置。
[12] 前記空隙率推定情報は、前記固体触媒層の反応温度Tt(x)を示す情報を含み、前記Tt(x)とコーキングの閾値Tの関係がTt(x)>Tを満たすときには、前記空隙率の算出において、前記固体触媒層空隙率算出関数1に代えて、固体触媒層空隙率算出関数2により、前記ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率を算出する、[8]~[11]のいずれか一項に記載の圧力損失推定算出装置。
[13] 前記固体触媒層空隙率算出関数2は、前記Tt(x)と前記Tの関係がTt(x)>Tを満たした後の初期において、前記反応器内の圧力損失の実測値と、前記空隙率推定情報及び前記プラント属性情報に基づき算出したチューニングパラメータを使用する、[12]に記載の圧力損失推定算出装置。
[14] 前記固定床流通式反応が重質炭化水素油の水素化処理反応又は軽質炭化水素油の水素化処理反応である、[8]~[13]のいずれか一項に記載の圧力損失推定算出装置。
[15] コンピュータを、[8]~[14]のいずれか一項に記載の圧力損失推定算出装置として機能させるための圧力損失推定プログラム。
[16] [15]に記載のプログラムを記憶したコンピュータの非一時的可読記録媒体。
本発明によると、固定床流通式反応におけるユーザプラントの反応器内の圧力損失推定値を示す情報をユーザ端末に提供する方法を提供することができる。
本実施形態の情報提供方法のフローを示す図である。 情報提供システム100のシステム構成例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の記載は本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されず、その要旨の範囲内で変形して実施することができる。
≪ユーザプラントの反応器内の圧力損失推定値を示す情報を提供する方法≫
本実施形態のユーザプラントの反応器内の圧力損失推定値を示す情報を提供する方法は、情報処理装置が、ユーザ端末から、固体触媒層が形成されたユーザプラントの反応器に気体若しくは液体の1相の流体、又は気体及び液体の2相の流体を流通させる固定床流通式反応に関して、空隙率推定情報と、プラント属性情報とを、ネットワークを介して受信するステップ(図1のS1B及びS1A)と、情報処理装置が、受信した前記空隙率推定情報に基づき、固体触媒層空隙率算出関数により、前記ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率を算出する空隙率算出ステップ(図1のS1B-1)と、情報処理装置が、前記空隙率と、前記プラント属性情報とに基づき、圧力損失推定算出関数により、前記ユーザプラントの反応器内の圧力損失推定値を算出する圧力損失算出ステップ(図1のS2)と、情報処理装置が、算出された前記圧力損失推定値を示す情報を前記ユーザ端末へ送信するステップ(図1のS3)とを含む。
以下、空隙率算出ステップと圧力損失算出ステップについて詳細に説明を行う。
<空隙率算出ステップの第1実施形態>
本実施形態の空隙率算出ステップは、ユーザ端末から受信した空隙率推定情報に基づき、固体触媒層空隙率算出関数1により、ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率を算出するステップである。
本実施形態における固体触媒層空隙率算出関数1は、固体触媒層へ堆積した不純物が固体触媒層の空隙率を減少させることを前提とする。このような固体触媒層空隙率算出関数1としては、例えば下記式(1)が挙げられる。
Figure 0007262292000001
前記式(1)中、εは任意の反応経過時tにおける反応器内の固体触媒層の空隙率、εx-1は前記反応経過時tより前の別の任意の反応経過時tx-1における反応器内の固体触媒層の空隙率、SINは前記反応経過時tx-1から前記反応経過時tまでの一定期間に反応器に流入した流体中の不純物総量、SOUTは前記反応経過時tx-1から前記反応経過時tまでの一定期間に反応器から流出した流体中の不純物総量であり、αはチューニングパラメータ(定数)である。
すなわち、固体触媒層空隙率算出関数1として、前記式(1)を使用する場合、前記空隙率推定情報は、SIN、SOUTに関する情報を含むことが好ましい。εx-1及びαは、空隙率推定情報として、ユーザ端末から受信してもよいし、情報処理装置により算出してもよい。εx-1及びαの算出方法については後述する。
(SIN、SOUT
前記式(1)においては、前記反応経過時tx-1から前記反応経過時tまでの一定期間(t-tx-1)に反応器に流入した流体中の不純物総量SIN、及び反応器から流出した流体中の不純物総量SOUTの差である(SIN-SOUT)を計算することにより、(SIN-SOUT)量の不純物が固体触媒層に堆積し、反応器内の固体触媒層の空隙率を減少させるものと考える。
本明細書において「不純物」とは、例えば、反応器入り口においては目的としている化学反応の反応物以外の物質、反応器出口においては前記反応器入り口における「不純物」由来の物質を意味する。また、窒素ガス等、一般に化学反応において不活性でかつ、固体触媒層の空隙率を減少させないと考えられる物質に関しては測定する必要はない。目的とする化学反応に応じて、固体触媒層に堆積する不純物を適宜選定し、前記不純物に関する情報を受信すればよい。
IN及びSOUTは、ユーザプラントにおいて取得され、本実施形態の情報処理装置が空隙率推定情報として、ネットワークを介して受信するが、ユーザプラントにおける取得の方法は、特に限定されず、本分野において公知の手法により取得することができる。
以下、ユーザプラントにおけるSIN及びSOUTの取得方法の一例を説明する。前記SINは、前記反応経過時tx-1から前記反応経過時tまでの一定期間(t-tx-1)における、前記反応器に流入する直前の流体中の不純物濃度(単位は例えばppm)を測定し、前記一定期間に反応器に流入した流体の総量(単位は例えばkg)との積を計算することにより得ることができる。また、前記SOUTは、前記反応経過時tx-1から前記反応経過時tまでの一定期間(t-tx-1)における、前記反応器から流出した直後の流体中の不純物濃度(単位は例えばppm)を測定し、前記一定期間に反応器から流出した流体の総量(単位は例えばkg)との積を計算することにより得ることができる。
流体中の不純物濃度の測定方法は、不純物、及び流体の種類によって本分野で公知の方法を採用することができ、例えば、誘導結合プラズマ質量分析計ICP-MS、ICP-OES、ICP-AES、液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー等の各種クロマトグラフィー、蛍光X線分析等が例として挙げられる。反応器に流入した流体中及び反応器から流出した流体中の不純物濃度は、前記一定期間中、リアルタイムで取得してもよく、定期的、不定期的に取得してもよい。定期的、不定期的に取得する場合、前記一定期間中、1回以上取得すればよく、2回以上取得した場合は、それらの平均値を使用することができる。また、不純物濃度の取得は、人の手及び機械により行ってもよいし、機械のみ(自動化)により行ってもよいが、可能であれば機械のみによって行うことが好ましい。後述のその他のパラメータの取得及び制御に関しても同様である。
前記反応経過時tx-1から前記反応経過時tまでの一定期間(t-tx-1)に反応器に流入した流体の総量、及び反応器から流出した流体の総量は、流量計、原料タンク及び生成物タンクの液面レベル変化等により得ることができる。また、前記反応経過時tx-1から前記反応経過時tまでの一定期間(t-tx-1)に反応器に流入した流体の総量、及び反応器から流出した流体の総量はマスフローコントローラー、コントロールバルブ、ポンプ、コンプレッサー等で制御を行い所期の量とすることもできる。
(εx-1
前記式(1)中の反応経過時tx-1における反応器内の固体触媒層の空隙率εx-1は、例えば反応経過時tx-1よりさらに前の別の任意の反応経過時tx-2における反応器内の固体触媒層の空隙率εx-2、及び前記反応経過時tx-2から前記反応経過時tx-1までの一定期間に反応器に流入した流体中の不純物総量SIN、及び前記反応器から流出した流体中の不純物総量SOUTを前記式(1)に代入することにより算出することができる。すなわち、反応開始時の反応器内の固体触媒層の空隙率であるεが既知であれば、その後は、上記式(1)を繰り返し適用することにより、反応器内の固体触媒層の空隙率εの経時変化を取得することができる。
εは、ユーザプラントにおいて取得され、本実施形態の情報処理装置が、反応開始までにネットワークを介して受信するが、ユーザプラントにおける取得の方法は、特に限定されず、本分野において公知の手法により取得することができる。
以下、ユーザプラントにおけるεの取得方法の一例を説明する。反応開始時の反応器内の固体触媒層の空隙率εは、例えば、固体触媒層の充填密度BD(単位は例えば、kg/m)、充填されている固体触媒の真密度ρcat(単位は例えば、kg/m)、及び充填されている固体触媒の細孔容積PV(単位は例えばm/kg)をそれぞれ測定し、ε=1-(BD×(1/ρcat+PV))を計算することにより取得することができる。
固体触媒層の充填密度BDは、固体触媒層の充填容積Vcat(単位は例えば、m)、及び固体触媒の充填重量Wcat(単位は例えば、kg)より、BD=Wcat/Vcatを計算することにより取得することができる。
固体触媒層の充填容積Vcatは、固体触媒層の層高(単位は例えば、m)と反応器(例えば、円柱状の管型反応器)の断面積(単位は例えば、m)を乗じることによって得ることができる。固体触媒層の層高の測定方法については後述する。
固体触媒の真密度ρcatは、本分野において公知の方法により測定することができ、例えばピクノメーター法による測定により取得することができる。ピクノメーター法は、アルキメデスの原理に基づく測定方法であり、測定手段として液相法と気相法がある。
固体触媒の細孔容積PVは、水銀圧入法、ガス(窒素ガス等)吸着法により取得することができる。
反応器内に複数の異なる固体触媒層が形成されている場合は、本実施形態の空隙率算出ステップにおいて、下記式(1-A)で表される固体空隙率算出関数1により、ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率を算出してもよい(εx(n)算出方法(1))。
Figure 0007262292000002
前記式(1―A)中、nは2以上の整数であり、異なる固体触媒層の数を表す。εx(n)は前記反応経過時tにおける反応器入り口側から第n層目の固体触媒層の空隙率、εx-1(n)は、前記反応経過時tx-1における反応器入り口側から第n層目の固体触媒層の空隙率、α(n)は反応器入り口側から第n層目の固体触媒層のチューニングパラメータ、R(n)は反応器入り口側から第n層目の固体触媒層の固体触媒層比率であり、R(1)~R(n)の和は1となる。SIN及びSOUTは上記と同様である。
固体触媒層比率R(n)は、前記反応経過時tx-1から前記反応経過時tまでの一定期間(t-tx-1)に前記反応器に流入した流体中の不純物総量SIN、及び前記反応器から流出した流体中の不純物総量SOUTの差である(SIN-SOUT)のうち、前記複数の異なる固体触媒層それぞれにどれだけの量が堆積したかを按分するための係数である。
反応器内に複数の異なる固体触媒層が形成されている場合、本実施形態の空隙率算出ステップにおいて、下記式(1-B)で表される固体空隙率算出関数1により、ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率を算出してもよい(εx(n)算出方法(2))。
Figure 0007262292000003
前記式(1-B)中、nは2以上の整数であり異なる固体触媒層の数を表す。εx(n)は前記反応経過時tにおける反応器入り口側から第n層目の固体触媒層の空隙率、εx-1(n)は、前記反応経過時tx-1における反応器入り口側から第n層目の固体触媒層の空隙率、αconstはチューニングパラメータであり、SIN及びSOUTは上記と同様である。εx(n)算出方法(2)においては、n層の固体触媒層の空隙率をそれぞれ算出する上で、同じαconstを使用し、かつ前記固体触媒層比率を使用しないため、εx(n)算出方法(1)よりも簡便に固体触媒層の空隙率を取得することができる。
<空隙率算出ステップの第2実施形態>
本実施形態の空隙率算出ステップは、空隙率推定情報が前記固体触媒層の反応温度Tt(x)を示す情報を含み、前記Tt(x)とコーキングの閾値Tの関係がTt(x)>Tを満たすときには、前記空隙率算出ステップにおいて、前記固体触媒層空隙率算出関数1に代えて、固体触媒層空隙率算出関数2により、ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率を算出するステップである。
本実施形態における固体触媒層空隙率算出関数2においては、固体触媒層へ堆積した不純物及び反応において生成したコークが固体触媒層の空隙率を減少させるものと考える。このような固体触媒層空隙率算出関数2としては、例えば下記式(1-1)が挙げられる。
Figure 0007262292000004
前記式(1-1)中、Tt(x)は反応経過時tにおける固体触媒層の反応温度、Tはコーキングの閾値(定数)、Rは気体定数、β、γはチューニングパラメータ(定数)である。ε、εx-1、α、SIN、SOUTは、前記式(1)と同様である。
固体触媒層空隙率算出関数2として、前記式(1-1)を使用する場合、前記空隙率推定情報は、SIN、SOUT、Tt(x)に関する情報を含むことが好ましい。Tに関しては予め後述の方法で取得し、情報処理装置に設定されていることが好ましい。また、εx-1、α、β、γは空隙率推定情報として、ユーザ端末から受信してもよいし、情報処理装置により算出してもよい。εx-1の算出方法は、上述の通りである。α、β、γの取得方法については後述する。
(Tt(x)
反応経過時tにおける固体触媒層の反応温度Tt(x)は、ユーザプラントにおいて取得され、本実施形態の情報処理装置が空隙率推定情報として、ネットワークを介して受信するが、ユーザプラントにおける取得の方法は、特に限定されず、本分野において公知の手法により取得することができる。
反応経過時tにおける反応温度Tt(x)としては、例えば固体触媒層の最高温度(ホットスポット温度)、固体触媒層の重量平均温度(WABT)、反応器の入口温度、反応器の出口温度、反応器の入口温度と反応器の出口温度の平均温度等が挙げられ、中でも固体触媒層の最高温度を採用することが好ましい。上述の温度は、例えば反応器内の温度計等により取得することができる。
(T
前記式(1-1)において、コーキングの閾値Tとは、コークが生成し、当該コークが固体触媒層への堆積を始める温度である。コーキングの閾値は、固体触媒の種類、反応物を含む流体の種類、及び前記固体触媒に対する前記流体の液空間速度(LHSV)及び/又はガス空間速度(GHSV)の組み合わせが決まると一義的に決定される。すなわち、上記組み合わせが決まると、Tは一定の値となる。以下にコーキングの閾値Tを取得する方法を説明するが、当該方法は例示であり、Tを取得する方法はこれに限定されるものではない。
(Tの取得方法1)
上述した通り、コーキングの閾値Tとは、コークが生成し、当該コークが固体触媒層への堆積を始める温度である。したがって、固体触媒を経時的に抜出すことが可能な反応の場合は、抜出した固体触媒を元素分析等により分析し、固体触媒中の炭素濃度が、一定値以上となったときの反応温度をTとすることができる。前記一定の値とは、例えば0.05質量%以上が挙げられる。固体触媒の抜出及び元素分析は反応温度5~20℃おきに行うことが好ましく、5~10℃おきに行うことより好ましい。反応温度は上記で説明した通りであり、固体触媒層の最高温度を採用することが好ましい。
本方法においては、コーキングの閾値Tはユーザプラント(実機)で反応を行いながら取得してもよく、実機よりも小さなスケールのラボ、ベンチスケールにおいて、予め取得してもよい。ラボ、ベンチスケールで予めコーキングの閾値Tを取得する場合、上述したように、固体触媒の種類、反応物を含む流体の種類、及び前記固体触媒に対する前記流体のLHSV及び/又はGHSVを実機での反応条件と同じにすればよい。
実機においては、経時的に触媒を抜出すことが困難であることが多いため、コーキングの閾値Tの取得方法1においては、ラボ、ベンチスケールで予めコーキングの閾値Tを取得することが好ましい。
(Tの取得方法2)
上述した通り、コークが生成し始めると当該コークが固体触媒層への堆積を始め、固体触媒層の空隙が徐々に閉塞され、圧力損失が上昇する。また、固定床流通式反応において、固体触媒は種々の要因により活性が経時的に低下するため、反応器全体としての活性を一定に保つために反応温度を経時的に上昇させながら反応を行う。
気体及び液体の2相の流体を流通させる固定床流通式反応である重質炭化水素油の水素化処理反応において、反応器内の圧力損失の実測値を反応温度に対してプロットすると、コークが固体触媒層へ堆積していない反応開始~反応中期において、y=ax+bで表される直線関係(直線1)が得られる。前記直線1において、yは反応器内の圧力損失の実測値、xは反応温度、aは傾き、bは切片である。反応温度は上記で説明した通りであり、固体触媒層の最高温度を採用することが好ましい。
コークが固体触媒層へ堆積し始めた反応中期~反応後期において、反応器内の圧力損失の実測値を反応温度に対してプロットすると、当該プロットは前記直線1から大きく上方に外れる。
そして、コークが固体触媒層へ堆積し始めた反応中期~反応後期において、反応器内の圧力損失の実測値を反応温度に対してプロットすると、y=ax+bで表される新たな直線関係(直線2)が得られる。前記直線2において、yは反応器内の圧力損失の実測値、xは反応温度、aは傾きでありa>aを満たし、bは切片でありb<bを満たす。
すなわち、気体及び液体の2相の流体を流通させる固定床流通式反応である重質炭化水素油の水素化処理反応においては、反応器内の圧力損失の実測値を反応温度に対してプロットしたときに、コークの固体触媒層への堆積開始前後において前記プロットが前記直線1から前記直線2に移行し、前記直線1と前記直線2の交点(直線1から直線2への変曲点)における反応温度をTとすることができる。
上記変曲点の取得方法について具体的に説明を行う。反応開始から、反応器内の圧力損失の実測値と反応温度を経時的に取得し、プロットを行い、前記直線1をexcel等の計算ソフトにより求める。例えば反応開始からM点において上記プロットを行い、y=ax+bで表される直線1を求める。Mは正の整数であり、例えば5~350である。続いて、M+1点目における反応温度を直線1の式のxに代入し、y(M+1)を求める。得られたy(M+1)とM+1点目における反応器内の圧力損失の実測値ΔP(M+1)との比率であるΔP(M+1)/y(M+1)を算出する。
前記ΔP(M+1)/y(M+1)が0.8~1.2の時は、前記直線1上のプロットとして判断し、当該プロットも加えて直線1のa、bを計算し直す。M+2点目以降においても同様に計算値と反応器内の圧力損失の実測値との比率を算出することを繰り返し、当該比率が0.8~1.2の範囲内の場合は、上述したM+1点目と同様に処理を行う。
前記比率が1.2超となったときには、コークが生成し、当該コークが固体触媒層への堆積を始め、反応器内の圧力損失の実測値の反応温度に対するプロットが前記直線1から直線2に移行したと判断することができる。前記比率が1.2超となった点以降のN点において、反応器内の圧力損失の実測値と反応温度を経時的に取得し、プロットを行い、y=ax+bで表される直線2をexcel等で求める。Nは正の整数であり、例えば5~350である。
そして、前記直線1と前記直線2の交点を求め、交点におけるxとしてコーキングの閾値Tを取得することができる。
本方法においては、コーキングの閾値Tはユーザプラント(実機)で反応を行いながら取得してもよく、実機よりも小さなスケールのラボ、ベンチスケールにおいて、予め取得してもよい。ラボ、ベンチスケールで予めコーキングの閾値Tの取得する場合、上述したように、固体触媒の種類、反応物を含む流体の種類、及び前記固体触媒に対する前記流体のLHSV及び/又はGHSVを実機での反応条件と同じにすればよい。
コーキングの閾値Tの取得方法2は、固体触媒を抜出す必要がないため、反応を停止する必要がない点でコーキングの閾値Tの取得方法1よりも好ましい。
反応器内に複数の異なる固体触媒層が形成されている場合は、本実施形態の空隙率算出ステップにおいて、前記式(1-1)中の[εx-1-α(SIN-SOUT)]の部分を上述の式(1-A)、式(1-B)のように触媒層ごとに算出し、各触媒層の空隙率を算出してもよい。
<圧力損失算出ステップ>
本実施形態の圧力損失算出ステップは、前記空隙率算出ステップにより算出された空隙率と、ユーザ端末から受信したプラント属性情報に基づき、圧力損失推定算出関数により、ユーザプラントの反応器内の圧力損失推定値を算出するステップである。圧力損失推定算出関数は、圧力損失計算関数と、反応器ごとの補正関数から構成される。具体的には、プラント属性情報に基づき、圧力損失計算関数により、圧力損失計算値を算出し、得られた圧力損失計算値に基づき、反応器ごとの補正関数により、圧力損失推定値を算出する。
以下、圧力損失計算関数と、反応器ごとの補正関数について例を挙げながら、詳細に説明を行う。
<圧力損失計算関数>
圧力損失計算関数としては、反応器内の固体触媒層の空隙率及びプラント属性情報のいずれか一方又は両方の情報に基づき、圧力損失計算値を算出可能な本分野において公知の式を使用することができる。流体が気体又は液体の1相の場合の圧力損失計算関数としてはErgun式、Blake・Kozeny式、Burke・Plummer式、Kozeny・Carman式、Fanning式等が例として挙げられ、流体が気体及び液体の2相の場合の反応器内の圧力損失計算関数としてはErgun・Larkins式、Lockhart・Martinelli式等が例として挙げられるがこれらに限定されない。
プラント属性情報とは、前記圧力損失計算関数により、圧力損失計算値を算出する上で必要な固体触媒層の空隙率以外のパラメータであり、流体の性状に関する情報、前記固体触媒の充填構成に関する情報、及び固体触媒の種類に関する情報が例として挙げられる。
(流体の性状)
流体の性状に関する情報としては、流体の粘度に関する情報、流体の線速度に関する情報、流体の密度に関する情報が例として挙げられる。
(固体触媒の充填構成)
プラント属性情報としての固体触媒の充填構成に関する情報としては、充填されている固体触媒層数に関する情報、及び前記固体触媒層それぞれの層高に関する情報が例として挙げられる。
(固体触媒の種類)
プラント属性情報としての固体触媒の種類に関する情報としては、固体触媒の組成に関する情報、固体触媒の形状に関する情報が例として挙げられる。
以下、流体が気体又は液体の1相の場合の反応器内の圧力損失計算関数としてErgun式を、流体が気体及び液体の2相の場合の反応器内の圧力損失計算関数としてErgun・Larkins式を説明するが、本発明はこれらの式に限定されるものではない。
<Ergun式>
固定床流通式反応において、流体が気体又は液体の1相の場合の反応器内の圧力損失計算値は、下記式(2)で表わされるErgun式により算出することができる。本実施形態においてはErgun式により求められる反応器内の圧力損失計算値をΔP1calと表記する。
Figure 0007262292000005
前記式(2)中、a、b、mはErgun式における定数、εは反応器内の固体触媒層の空隙率、μは流体の粘度[kg/ms]、uは流体の線速度[m/s]、ρは流体の密度[kg/m]、dpは固体触媒を球と仮定した場合の球径[m]、Hは固体触媒の層高[m]である。
前記式(2)中のa、b、mは定数であり、経験的に求められている値である。固体触媒が球状の場合a=150、b=1.75、m=3.0とすると、精度よく圧力損失計算値を算出することができる。固体触媒が球状でない場合、a=180、b=1.80、m=3.6とすると、精度よく圧力損失計算値を算出することができる。
本実施形態においては、前記式(2)のεとして、前記空隙率算出ステップにより算出された空隙率を使用する。
μは反応温度における流体の粘度[kg/ms]であり、ρは反応温度における流体の密度[kg/m]であり、uは反応温度における流体の線速度[m/s]であり、これらの情報は、前記流体の性状に関する情報に含まれる。
μ、ρ、及びuは、ユーザプラントにおいて取得され、本実施形態の情報処理装置が流体の性状に関する情報として、ネットワークを介して受信するが、ユーザプラントにおける取得の方法は、特に限定されず、本分野において公知の手法により取得することができる。
dpは固体触媒を球と仮定した場合の球径[m]であり、この情報は、前記固体触媒の種類に関する情報に含まれる。
dpはユーザプラントにおいて取得され、本実施形態の情報処置装置が固体触媒の種類に関する情報として、ネットワークを介して受信するが、ユーザプラントにおける取得の方法は、特に限定されず、本分野において公知の手法により取得することができる。
以下、ユーザプラントにおけるdpの取得方法の一例を説明する。固定床流通式反応に用いられる固体触媒の形状は、その用途に応じて選択されるものであるが、リング形状、円柱形状、タブレット形状、ハニカム形状、三つ葉型、四つ葉型、さらには球状の触媒の形状がよく使用されている。
本実施形態においては、充填されている固体触媒が球状であれば、その球径をdpとすることができる。一方、固体触媒が球状でない場合は、固体触媒を球と仮定した場合の球径を求めることができ、当該径をdpとすることができる。既知文献(Ind.Eng.Chem.Des.Dev.1986,25,1034-1036)に記載のように、例えば円柱であれば式(3-1)、三つ葉型であれば式(3-2)、四つ葉型であれば式(3-3)で求めることができる。
Figure 0007262292000006
前記式(3-1)~(3-3)中、Lは固体触媒の平均長径[m]、Dは固体触媒の平均短径[m]である。固体触媒の平均長径及び平均短径は、例えば50個以上の固体触媒の長径及び短径を測定し、その平均値を採用することができる。
本実施形態において情報処理装置は、固体触媒のdpを反応開始前にネットワークを介して受信することが好ましく、触媒の抜出し、再充填等の作業をユーザプラントで行わない限り、反応中のdpは一定の値とすることができる。
Hは固体触媒層の層高[m]であり、この情報は、固体触媒の充填構成に関する情報に含まれる。
Hはユーザプラントにおいて取得され、本実施形態の情報処置装置が固体触媒の充填構成に関する情報として、ネットワークを介して受信するが、ユーザプラントにおける取得の方法は、特に限定されず、本分野において公知の手法により取得することができる。
以下、ユーザプラントにおけるHの取得方法の一例を説明する。前記Hは、例えば反応前に反応器に固体触媒を充填するときに検尺により測定することができる。
本実施形態において情報処理装置は、固体触媒の層高を反応開始前にネットワークを介して受信することが好ましく、触媒の抜出し、再充填等の作業をユーザプラントで行わない限り、反応中のHは一定の値とすることができる。
以上のパラメータを前記式(2)に代入することにより、圧力損失計算値ΔP1calを算出することができる。
<Ergun・Larkins式>
固定床流通式反応において、流体が気体及び液体の2相の場合の反応器内の圧力損失計算値は、下記式(4)~(9)で構成されるErgun・Larkins式により算出することができる。本実施形態においてはErgun・Larkins式により求められる反応器内の圧力損失計算値をΔP2calと表記する。
Figure 0007262292000007
前記式(4)中、δは液体のΔPcal/H、δは気体のΔPcal/H、δLGは気液のΔPcal/Hであり、χ=(δ/δ1/2であり、0.05<χ<30である。)
Figure 0007262292000008
前記式(5)中、Rは液ホールドアップである。
Figure 0007262292000009
前記式(6)中、ρは気液平均密度、ρは液体の密度、ρは気体の密度、Rは上記と同様である。
Figure 0007262292000010
Ergun・Larkins式による反応器内の圧力損失計算値ΔP2calの算出について以下に説明する。
まず、δ及びδを前記Ergun式により、下記の通り算出する(下記式(8)、下記式(9))。
Figure 0007262292000011
前記式(8)中、a、b、mはErgun式における定数、εは反応器内の固体触媒層の空隙率、μは液体の粘度[kg/ms]、uは液体の線速度[m/s]、ρは液体の密度[kg/m]、dpは固体触媒を球と仮定した場合の球径[m]、Hは触媒の層高[m]である。これらの値に関しては、Ergun式で説明した通りである。
本実施形態においては、前記式(8)中のεとして、前記空隙率算出ステップにより算出された空隙率を使用する。
Figure 0007262292000012
前記式(9)中、a、b、mはErgun式における定数、εは反応器内の固体触媒層の空隙率、μは気体の粘度[kg/ms]、uは気体の線速度[m/s]、ρは気体の密度[kg/m]、dpは固体触媒を球と仮定した場合の球径[m]、Hは触媒の層高[m]である。これらの値に関しては、Ergun式で説明した通りである。
本実施形態においては、前記式(9)中のεとして、前記空隙率算出ステップにより算出された空隙率を使用する。
得られたδ及びδよりχ=(δ/δ1/2を算出する。引き続いて、δ、δ、χを用いて前記式(4)からδLGを、前記式(5)からRを算出する。続いて、得られたRを用いて前記式(6)からρを算出する。得られたδLG及びρを用いて前記式(7)より圧力損失計算値ΔP2calを算出することができる。
≪反応器ごとの補正関数≫
反応器ごとの補正関数とは、固体触媒層による圧力損失以外の各反応器の構造等に由来する圧力損失を補正するための関数である。
反応器ごとの補正関数としては、例えば下記式(10)が挙げられる。
Figure 0007262292000013
前記式(10)中、ΔPsimは圧力損失推定値であり、ΔPcalは圧力損失計算値であり、σはチューニングパラメータ(定数)である。σは、プラント属性情報として、ユーザ端末から受信してもよいし、情報処理装置により算出してもよい。σの算出方法については後述する。
σは反応器ごとに異なる値であり、固体触媒層による圧力損失以外の反応器の構造等に起因する圧力損失を表す。すなわち、多管式反応器で反応を行う場合、σはそれぞれの反応管ごとに取得することが好ましい。上述の圧力損失計算関数によって得られた圧力損失計算値ΔPcalを前記式(10)に代入することにより、圧力損失推定値ΔPsimを算出することができる。
反応器内に複数の異なる固体触媒層が形成されている場合は、各固体触媒層における圧力損失計算値ΔPcal(n)を上述の方法によりそれぞれ算出し、それらを合計することにより、全固体触媒層の圧力損失計算値ΔPcalを取得することができる。そして、得られたΔPcalを前記式(10)に代入することにより、反応器内に複数の異なる固体触媒層が形成されている場合の反応器内の圧力損失推定値ΔPsimを求めることができる。
本実施形態の圧力損失算出ステップによって算出されるΔPsimは、反応器内の圧力損失の実測値をΔPとした時に、ΔP/ΔPsimが平均で0.50以上1.50以下となることが好ましく、0.80以上1.20以下となることがより好ましい。ΔP/ΔPsimの平均は例えば15点以上のΔP/ΔPsimを測定することによって得ることができる。
空隙率算出ステップにおいて、固体触媒層空隙率算出関数1のみを使用する場合(すなわち、固体触媒層空隙率算出関数2を使用しない場合)において、所定期間におけるΔP/ΔPsimの平均値が前記範囲を外れるときには、チューニングパラメータαを再設定することが好ましい。所定期間におけるΔP/ΔPsimの平均値が前記範囲を外れる場合は、圧力損失の上昇の要因が、流体中の不純物の固体触媒層への堆積のみではなく、その他の要因によっても起こっていることを示唆するものである。チューニングパラメータαの再設定方法に関しては、後述する。
<チューニングパラメータの算出1>
以下、前記式(1)におけるチューニングパラメータα、及び前記式(10)におけるチューニングパラメータσの算出方法について説明する。これらのチューニングパラメータは、反応初期において、ユーザプラントの反応器内の圧力損失の実測値と、空隙率推定情報及びプラント属性情報に基づき算出することができる。
(チューニングパラメータα、σの算出1)
反応器内に単一の固体触媒層が形成されている場合、前記式(1)におけるチューニングパラメータα及び前記式(10)におけるチューニングパラメータσは、例えば以下の方法により設定することができる(α、σの設定方法1)。
反応初期の任意の反応経過時tにおける反応器内の圧力損失推定値ΔPsimを空隙率推定情報、プラント属性情報に基づき、前記式(1)、圧力損失計算関数、及び前記式(10)により算出する。このとき、α、σが定まっていないため、ΔPsimはα及びσの関数となる。
前記反応経過時tにおける圧力損失の実測値ΔPと前記ΔPsimとの関係が、ΔP=ΔPsimとなるようにα、σの値を設定することができる。
本明細書において「反応初期」とは、例えば、反応開始時から流入した流体の総容積(Vflow)と固体触媒層の充填容積(Vcat)との比であるVflow/Vcatが100以下となるような反応経過時を意味する。
反応器内に複数の異なる固体触媒層が形成されており、各固体触媒層の空隙率εx(n)を前記εx(n)算出方法(2)により算出する場合、前記式(1-B)におけるチューニングパラメータαconst及び前記式(10)におけるチューニングパラメータσは、例えば以下の方法により設定することができる(αconst、σの設定方法1)。
反応初期の任意の反応経過時tにおける反応器内の各固体触媒層の圧力損失計算値ΔPcal(n)を空隙率推定情報、プラント属性情報に基づき、前記式(1-B)、圧力損失計算関数により算出する(nは2以上の整数であり異なる固体触媒層の数を表す。以下同様である)。このとき、ΔPcal(n)はαconstの関数となる。続いて、各固体触媒層の圧力損失計算値ΔPcal(n)を合計することにより全固体触媒層の圧力損失計算値ΔPcalをαconstの関数として得る。得られた全固体触媒層の圧力損失計算値ΔPcalを前記式(10)に代入し、全固体触媒層の圧力損失推定値ΔPsimを算出する。このとき、αconst、σが定まっていないため、ΔPsimはαconst及びσの関数となる。
前記反応経過時tにおける圧力損失の実測値ΔPと前記ΔPsimとの関係が、ΔP=ΔPsimとなるようにαconst、σの値を設定することができる。
前記圧力損失推定値ΔPsimと前記圧力損失の実測値ΔPとの比較は複数の反応経過時において行い、チューニングパラメータα(αconst)及びσを決定することが好ましい。例えば、前記ΔPsimと前記ΔPを任意の15点以上の反応経過時において取得し、それぞれの平均値であるΔPsim(ave)、ΔP(ave)の比率ΔP(ave)/ΔPsim(ave)の値が1に最も近づくようにα(αconst)、σを設定することができる。
(チューニングパラメータα、σの算出2)
反応器内に単一の固体触媒層が形成されている場合、チューニングパラメータα、σは以下の方法により設定してもよい(α、σの設定方法2)。
反応初期の任意の反応経過時tintにおける反応器内の圧力損失推定値ΔPsimをプラント属性情報に基づき、圧力損失計算関数、及び前記式(10)より算出する。この際、反応器内の固体触媒層の空隙率として、上述した反応開始時の反応器内の固体触媒層の空隙率εを使用する。この場合、ΔPsimはσの関数となる。
反応経過時tintにおける圧力損失の実測値ΔPと前記ΔPsimとの関係がΔP=ΔPsimとなるようにσの値を設定することができる。
上述の反応経過時tintにおける反応器内の固体触媒層の空隙率をεとして前記反応初期tintよりも後の任意の反応経過時tにおける反応器内の圧力損失推定値ΔPsimを空隙率推定情報、プラント属性情報に基づき、前記式(1)、圧力損失計算関数、及び前記式(10)より算出する。このとき、σはすでに定まっているため、ΔPsimはαの関数となる。
前記反応経過時tにおける圧力損失の実測値ΔPと前記ΔPsimとの関係が、ΔP=ΔPsimとなるようにαの値を設定することができる。
反応開始初期においては、固体触媒層に不純物はほとんど堆積していないことから、反応器内の固体触媒層の空隙率としてεを近似的に使用することにより、σとαを段階的に、かつ一義的に決定することができる。
反応器内に複数の異なる固体触媒層が形成されており、各固体触媒層の空隙率εx(n)を前記εx(n)算出方法(2)により算出する場合、前記式(1-B)におけるチューニングパラメータαconst及び前記式(10)におけるチューニングパラメータσは、以下の方法により設定してもよい(αconst、σの設定方法2)。
反応初期の任意の反応経過時tintにおける反応器内の各固体触媒層の圧力損失計算値ΔPcal(n)をプラント属性情報に基づき、圧力損失計算関数により算出する。この際、反応器内の各固体触媒層の空隙率として、上述した反応開始時の反応器内の各固体触媒層の空隙率ε0(n)を使用する。続いて、各固体触媒層の圧力損失計算値ΔPcal(n)を合計することにより全固体触媒層の圧力損失計算値ΔPcalを得る。得られた全固体触媒層の圧力損失計算値ΔPcalを前記式(10)に代入し、全固体触媒層の圧力損失推定値ΔPsimを算出する。この場合、ΔPsimはσの関数となる。
反応経過時tintにおける圧力損失の実測値ΔPと前記ΔPsimとの関係がΔP=ΔPsimとなるようにσの値を設定することができる。
反応経過時tintにおける反応器内の各固体触媒層の空隙率をε0(n)として前記反応初期tintよりも後の任意の反応経過時tにおける反応器内の各固体触媒層の圧力損失計算値ΔPcal(n)を空隙率推定情報、プラント属性情報に基づき、前記式(1-B)、圧力損失計算関数により算出する。このとき、ΔPcal(n)はαconstの関数となる。続いて、各固体触媒層の圧力損失計算値ΔPcal(n)を合計することにより全固体触媒層の圧力損失計算値ΔPcalをαconstの関数として得る。得られた全固体触媒層の圧力損失計算値ΔPcalを前記式(10)に代入し、全固体触媒層の圧力損失推定値ΔPsimを算出する。このとき、σはすでに定まっているため、ΔPsimはαconstの関数となる。
前記反応経過時tにおける圧力損失の実測値ΔPと前記ΔPsimとの関係が、ΔP=ΔPsimとなるようにαconstの値を設定することができる。
なお、反応器を複数備える多管式反応器で反応行う場合は、反応器ごとにチューニングパラメータα(αconst)及びσを算出することが好ましい。
(チューニングパラメータαの再設定)
空隙率算出ステップにおいて、固体触媒層空隙率算出関数1のみを使用する場合(すなわち、固体触媒層空隙率算出関数2を使用しない場合)における、チューニングパラメータαの再設定は以下のように行うことができる。
所定期間におけるΔP/ΔPsimの平均値が前記特定の範囲を外れた後の任意の反応経過時tにおける反応器内の圧力損失推定値ΔPsimを空隙率推定情報、プラント属性情報に基づき、前記式(1)、圧力損失計算関数、及び前記式(10)より算出する。このとき、前記反応経過時tにおける圧力損失の実測値ΔPと前記ΔPsimとの関係が、ΔP=ΔPsimとなるようにαの値を再設定すればよい。
反応器内に複数の異なる固体触媒層が形成されており、各固体触媒層の空隙率εx(n)を前記εx(n)算出方法(2)により算出する場合、所定期間におけるΔP/ΔPsimの平均値が前記範囲を外れたときの、チューニングパラメータαconstの再設定は以下のように行うことが好ましい。
所定期間におけるΔP/ΔPsimの平均値が前記特定の範囲を外れた後の任意の反応経過時tにおける反応器内の各固体触媒層の圧力損失計算値ΔPcal(n)を空隙率推定情報、プラント属性情報に基づき、前記式(1-B)、圧力損失計算関数により算出する。続いて、各固体触媒層の圧力損失計算値ΔPcal(n)を合計することにより全固体触媒層の圧力損失計算値ΔPcalを得る。得られた全固体触媒層の圧力損失計算値ΔPcalを前記式(10)に代入し、全固体触媒層の圧力損失推定値ΔPsimを算出する。このとき、前記反応経過時tにおける圧力損失の実測値ΔPと前記ΔPsimとの関係が、ΔP=ΔPsimとなるようにαconstの値を再設定すればよい。
所定期間におけるΔP/ΔPsimの平均値が前記範囲を外れた後における前記圧力損失推定値ΔPsimと前記圧力損失の実測値ΔPとの比較は複数の反応経過時において行い、チューニングパラメータα(αconst)を再決定することが好ましい。例えば、所定期間におけるΔP/ΔPsimの平均値が前記範囲を外れた後における前記ΔPsimと前記ΔPを任意の15点以上の反応経過時において取得し、それぞれの平均値であるΔPsim(ave)、ΔP(ave)の比率ΔP(ave)/ΔPsim(ave)の値が1に最も近づくようにα(αconst)を再設定することができる。
<チューニングパラメータの算出2>
以下、前記式(1-1)におけるチューニングパラメータβ、γの算出方法について説明する。なお、前記式(1-1)におけるチューニングパラメータαは、<チューニングパラメータの算出1>で算出したチューニングパラメータαをそのまま使用することができる。また、前記式(10)におけるチューニングパラメータσは、<チューニングパラメータの算出1>で算出したチューニングパラメータσをそのまま使用することができる。
チューニングパラメータはβ、γは、ユーザプラントの反応器内の圧力損失の実測値と、空隙率推定情報及びプラント属性情報に基づき算出することができる。
(チューニングパラメータβ、γの算出1)
反応温度Tt(x)とコーキングの閾値Tの関係が、Tt(x)>Tを初めて満たした後の初期の任意の反応経過tにおける反応器内の圧力損失推定値ΔPsimを空隙率推定情報、プラント属性情報に基づき、前記式(1-1)、圧力損失計算関数、及び前記式(10)により算出する。このとき、β、γが定まっていないため、ΔPsimはβ、γの関数となる。
前記反応経過時tにおける圧力損失の実測値ΔPと前記ΔPsimとの関係が、ΔP=ΔPsimとなるようにβ、γの値を設定することができる。
本明細書において「Tt(x)>Tを初めて満たした後の初期」とは、例えば、Tt(x)>Tを初めて満たした時から、15点の反応経過時までの期間を意味する。例えば、一日おきに圧力損失推定値を算出する場合、「Tt(x)>Tを初めて満たした後の初期」は、Tt(x)>Tを初めて満たした時から15日間となる。但し、本明細書においては、圧力損失推定値を算出する間隔は上記の一日に限定されず、任意の期間とすることができる。
前記圧力損失推定値ΔPsimと前記圧力損失の実測値ΔPとの比較は、反応温度Tt(x)とコーキングの閾値Tの関係が、Tt(x)>Tを初めて満たした後の初期の反応経過時t以降の複数反応経過時において行い、チューニングパラメータβ及びγを決定することが好ましい。例えば、前記ΔPsimと前記ΔPを任意の15点以上の反応経過時において取得し、それぞれの平均値であるΔPsim(ave)、ΔP(ave)の比率ΔP(ave)/ΔPsim(ave)の値が1に最も近づくようにβ、γを設定することができる。
(チューニングパラメータβ、γの設定方法2)
反応温度Tt(x)とコーキングの閾値Tの関係が、Tt(x)>Tを初めて満たした後の初期の任意の反応経過tにおける反応器内の圧力損失推定値ΔPsimを空隙率推定情報、プラント属性情報に基づき、前記式(1-1)、圧力損失計算関数、及び前記式(10)により算出する。このとき、βとして仮の値を設定する。βの仮の値としては0超10以下が例として挙げられ、1であってもよい。
βとして仮の値を使用したことにより、上述の方法によって算出されたΔPsimはγの関数となる。
前記反応経過時tにおける圧力損失の実測値ΔPと前記ΔPsimとの関係が、ΔP=ΔPsimとなるようにγの値を設定することができる。
このようにして得られたβ、γを使用し、前記反応経過時tより後の別の任意の反応経過時tx+1における反応器内の圧力損失推定値ΔPsimを空隙率推定情報、プラント属性情報に基づき、前記式(1-1)、圧力損失計算関数、及び前記式(10)より算出する。
前記反応経過時tx+1における圧力損失の実測値ΔPと前記ΔPsimとの比率であるΔP/ΔPsimが0.5~1.5の範囲を外れるときは、βの仮の値を変更して、再度上述の方法で(反応経過時tにおける圧力損失の実測値ΔPと前記ΔPsimとの関係が、ΔP=ΔPsimとなるように)γの値を設定する。
一方、ΔP/ΔPsimが0.5~1.5の範囲内であるときは、当該βとγを使用し、前記反応経過時tx+1より後の別の任意の反応経過時tx+2における反応器内の圧力損失推定値ΔPsimを上記と同様に算出する。
前記反応経過時tx+2における圧力損失の実測値ΔPと前記ΔPsimとの比率であるΔP/ΔPsimが0.5~1.5の範囲を外れるときは、上述と同様にβの仮の値を変更して、再度上述の方法でγの値を設定する。
一方、ΔP/ΔPsimが0.5~1.5の範囲内であるときは、当該βとγを使用し、前記反応経過時tx+2より後の別の任意の反応経過時tx+3における反応器内の圧力損失推定値ΔPsimを上記と同様に算出し、上述の操作を繰り返す。
上述の操作を繰り返し、前記反応経過時t以降の15点全てにおいてΔP/ΔPsimが0.5~1.5の範囲内となった場合、β、γを確定することができる。
≪情報提供方法の適用反応≫
本発明の情報提供方法は、流体中の不純物が固体触媒層に堆積することにより、固体触媒層の空隙率が減少する反応に適用することができる。また、さらに反応中コークが生成し、当該コークが固体触媒層に堆積することにより、固体触媒層の空隙率が減少する反応に適用することができる。このような反応として、重質炭化水素油の水素化処理反応、軽質炭化水素油の水素化処理反応が挙げられるが本発明はこれらに限定されない。以下、重質炭化水素油の水素化処理反応への本発明の情報提供方法の適用例について詳細に説明する。
<重質炭化水素油の水素化処理反応>
重質炭化水素油の水素化処理反応は、液体である重質炭化水素油と、気体である水素を反応器に流通させることにより反応を行う流体が液体と気体の2相の固定床流通式反応である。重質炭化水素油中には、金属不純物が含まれており、これらの金属不純物が固体触媒層に堆積することにより圧力損失が経時的に上昇する。重質炭化水素油に含まれる金属不純物に含まれる金属元素としては、Ni、V、Fe、Na、Zn、Al、Ba、Ca、Mg、P、Pb、Mo、Cr、Cd、As、Se、Si等が代表的な例として挙げられる。また、重質炭化水素油の水素化処理反応では、固体触媒の活性の低下に伴い、経時的に反応温度を上げる必要があり、反応温度が一定の値以上となると、コークが発生し、当該コークが固体触媒層への堆積を始め、固定触媒層の空隙を閉塞することが知られている。
まず、ユーザプラントの空隙率推定情報と、プラント属性情報とを、ネットワークを介して受信し、前記空隙率推定情報に基づき、固体触媒層空隙率算出関数1又は固体触媒層空隙率算出関数2により固体触媒層の空隙率を算出する。
任意の反応経過時tより前の別の任意の反応経過時tx-1から前記反応経過時tまでの一定期間(t-tx-1)に反応器に流入した重質炭化水素油中の金属不純物総量SIN、及び反応器から流出した重質炭化水素油中の金属不純物総量SOUTを空隙率推定情報としてユーザ端末より受信する。
ユーザプラントにおけるSIN及びSOUTの取得は以下のように行うことができる。
INは、前記反応経過時tx-1から前記反応経過時tまでの一定期間(t-tx-1)における、反応器に流入する直前の重質炭化水素油中の金属不純物濃度(単位は例えばppm)を測定し、その間に反応器に流入した重質炭化水素油の量(単位は例えばkg)との積を計算することにより得ることができる。また、前記SOUTは、前記反応経過時tx-1から前記反応経過時tまでの一定期間(t-tx-1)における、反応器から流出した直後の重質炭化水素油中の金属不純物濃度(単位は例えばppm)を測定し、その間に反応器から流出した重質炭化水素油の量(単位は例えばkg)との積を計算することにより得ることができる。なお、本実施形態においては、SIN、SOUTは金属化合物換算量でもよく、金属換算量でもよいが、金属換算量とすることが好ましい。
ユーザプラントにおける金属不純物濃度の測定方法としては、例えばICP-MSが挙げられる。反応器に流入した重質炭化水素油の量、及び反応器から流出した重質炭化水素油の量は、例えば流量計により取得することができる。
なお、重質炭化水素油の水素化処理反応に使用される水素には、固体触媒層に堆積する不純物は通常含まれていないため、前記SIN及び前記SOUTを算出するうえで、水素中の不純物濃度を測定する必要はない。
受信したSIN及びSOUTを前記式(1)に代入して、前記反応時間tにおける反応器内の固体触媒層の空隙率εを得ることができる。なお、反応開始時の反応器内の固体触媒層の空隙率εは上述の方法で求めることができ、εx-1は、εから前記式(1)を繰り返し適用することにより取得することができる。
本実施形態においては、さらに前記反応経過時tにおける反応温度Tt(x)を空隙率推定情報としてユーザ端末より受信し、前記Tt(x)とコーキングの閾値Tの関係が、Tt(x)>Tを満たすときには、空隙率算出ステップにおいて、前記式(1)に代えて、前記式(1-1)に前記SIN、前記SOUT、前記T、及び前記Tt(x)を代入して、前記反応経過時tにおける前記反応器内の固体触媒層の空隙率εを得ることが好ましい。
以上のようにして得られた固体触媒層の空隙率及びユーザ端末から受信したプラント属性情報とに基づき、圧力損失推定算出関数により、ユーザプラントの反応器内の圧力損失推定値を算出する。
本実施形態におけるプラント属性情報は、流体の性状に関する情報、固体触媒の充填構成に関する情報、固体触媒の種類に関する情報を含むことが好ましい。
本実施形態における流体の性状に関する情報としては、重質炭化水素油の粘度μ、密度ρ、線速度u、及び水素の粘度μ、密度ρ、線速度uが挙げられる。
ユーザプラントの反応温度における重質炭化水素油の粘度μ[kg/ms]は、例えばJIS K 2283「原油及び石油製品-動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」より得られた結果とJIS K2249「原油及び石油製品-密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」により得られた15℃換算の密度を乗じて、温度換算することにより取得することができる。
ユーザプラントの反応温度における重質炭化水素油の密度ρ[kg/m]は、例えばJIS K2249「原油及び石油製品-密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」により得られた15℃換算の密度を温度で補正することにより取得することができる。
ユーザプラントの重質炭化水素油の線速度u[m/s]は、重質炭化水素油の流量[m/s]を反応器(例えば、円柱状の管型反応器)の断面積[m]で除することにより求めることができる。重質炭化水素油の流量は、例えば流量計により取得することができる。
ユーザプラントの反応温度における水素の粘度μ[kg/ms]は、例えばガスクロマトグラフィーで得られた組成分析結果をプロセスシミュレーターに導入し、算出した結果により求めることができる。
ユーザプラントの反応温度における水素の密度ρ[kg/m]は、例えばガスクロマトグラフィーで得られた組成分析結果の組成に相当する密度を温度で補正することにより求めることができる。
ユーザプラントの水素の線速度u[m/s]は、水素の流量[m/s]を反応器(例えば、円柱状の管型反応器)の断面積[m]で除することにより求めることができる。水素の流量は、例えばガスメーターにより取得することができる。
本実施形態における固体触媒の充填構成に関する情報としては、固体触媒層の層高H[m]が挙げられ、ユーザプラントにおける取得方法は上述の通りである。
本実施形態における固体触媒の種類に関する情報としては、固体触媒を球と仮定した場合の球径dp[m]が挙げられ、ユーザプラントにおける取得方法は上述の通りである。
圧力損失計算関数として、Ergun・Larkins式を使用する場合、前記式(1)又は前記式(1-1)により算出したε、及びμ、ρ、uを前記式(8)に代入し、δを算出する。また、前記式(1)又は前記式(1-1)により算出したε、及びμ、ρ、uを前記式(9)に代入し、δを算出する。
得られたδ及びδよりχ=(δ/δ1/2を算出する。引き続いて、δ、δ、χを用いて前記式(4)からδLGを、前記式(5)からRを算出する。続いて、得られたRを用いて前記式(6)からρを算出する。そして、得られたδLG及びρを用いて前記式(7)より圧力損失計算値ΔP2calを算出する。そして、得られたΔP2calを反応器ごとの補正関数である前記式(10)のΔPcalに代入することにより、重質炭化水素油の水素化処理方法における前記反応経過時tの前記反応器内の圧力損失推定値ΔPsim(ΔP2sim)を求めることができる。
≪情報提供方法の利用方法≫
本発明の情報提供方法により提供される本発明のユーザプラントの反応器内の圧力損失推定値を示す情報の利用方法としては、例えば、(1)反応運転中の圧力損失の異常上昇の確認、(2)反応を終了すべき時期の推定、(3)運転計画に対して運転期間終了までの圧力損失の推移の推定、(4)運転期間に対して許容圧力損失以下となる運転条件の推定等が例として挙げられる。
(反応運転中の圧力損失の異常上昇の確認)
本発明の前記式(1)により算出された固体触媒層の空隙率εを使用し、圧力損失の推定方法により得られた圧力損失推定値ΔPsimと、実測値ΔPが大きく異なる場合(特にΔP/ΔPsim>1.5の場合)、圧力損失の上昇が流体中の不純物の固体触媒層への堆積だけではなく、それ以外の要因によっても圧力損失の上昇が起きていることが示唆される。例えば、コークが生成し、当該コークが固体触媒層への堆積を始め、固体触媒層の空隙が徐々に閉塞されることにより、圧力損失が上昇することがある。この場合、チューニングパラメータαを再設定することにより、再度圧力損失の経時変化を推定することができる。チューニングパラメータαの再設定方法は上述した通りである。また、前記式(1-1)により算出された固体触媒層の空隙率εを使用し、上述の方法によって圧力損失推定値ΔPsimを求めてもよい。前記式(1-1)を使用する方法では、チューニングパラメータαを変更する必要がないため、上述のチューニングパラメータαを再設定する方法よりも好ましい。
(反応を終了すべき時期の推定)
本発明の情報提供方法により得られた圧力損失推定値を反応時間に対してプロットし、これらのプロットをつないだ圧力損失の推定曲線を作成することにより、反応器に設定されている許容圧力損失に達する反応時間を推定することができ、当該時間を参考に反応を終了すべき時期を決定することができる。また、将来の想定する運転条件、不純物の堆積量等の予測値を上述の式に代入することにより、将来の圧力損失推定値を反応時間にプロットすることによっても反応器に設定されている許容圧力損失に達する反応時間を推定することができ、当該時間を参考に反応を終了すべき時期を決定することができる。
(運転計画に対して運転期間終了までの圧力損失の推移の推定)
本発明の情報提供方法から得られた圧力損失推定値と将来の運転条件から運転終了期間までの圧力損失を推定し、これらの運転条件で許容圧力損失以下になることを確認することができる。
(運転期間に対して許容圧力損失以下となる運転条件の推定)
本発明の情報提供方法から得られた圧力損失推定値と運転期間終了まで許容圧力損失以下となる原料種、運転条件を推定することができる。
具体的には、前記圧力損失推定算出関数に、所期の圧力損失推定値を入力し、前記固体触媒層空隙率算出関数及び前記圧力損失推定算出関数が成り立つための、空隙率推定情報並びにプラント属性情報の組み合わせを推定することができる。そして、推定した空隙率推定情報並びにプラント属性情報に基づき反応条件を変更することで、所期の圧力損失を達成することができる。空隙率推定情報に基づく反応条件の変更としては、不純物量の異なる流体に変更を行うことが例として挙げられる。プラント属性情報に基づく反応条件の変更としては、密度、粘度の異なる流体に変更を行うこと、流体の線速度を変更することが挙げられる。これらの中でもプラント属性情報に基づく反応条件を変更することが好ましく、流体の線速度を変更することがより好ましい。
≪圧力損失推定算出装置≫
本発明の別の実施形態は、プロセッサと、コンピュータ可読命令を記憶する記憶手段とを有し、前記コンピュータ可読命令が前記プロセッサで実行されると、ユーザ端末から、固体触媒層が形成されたユーザプラントの反応器に気体若しくは液体の1相の流体、又は気体及び液体の2相の流体を流通させる固定床流通式反応に関して、空隙率推定情報と、プラント属性情報とを、ネットワークを介して受信し、受信した空隙率推定情報に基づき、固体触媒層空隙率算出関数により、前記ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率を算出し、前記空隙率と、前記プラント属性情報とに基づき、圧力損失推定算出関数により、前記ユーザプラントの反応器内の圧力損失推定値を算出し、算出された前記圧力損失推定値を示す情報を前記ユーザ端末へ送信する、圧力損失推定算出装置(以下、単に「推定装置」ともいう。)である。
本実施形態の推定装置を備える情報提供システム100について説明する。図2は、情報提供システム100のシステム構成例を示す図である。情報提供システム100は、1台又は複数台の制御装置30と、監視制御装置40と、推定装置50と、端末装置60と、を備える。監視制御装置40と端末装置60とは、はユーザ端末の具体例である。
制御装置30と監視制御装置40とは通信可能に接続されている。監視制御装置40と推定装置50と、端末装置60とはネットワーク70を介して通信可能に接続されている。ネットワーク70は、無線通信のネットワークで構成されてもよいし、有線通信のネットワークで構成されてもよいし、無線通信のネットワークと有線通信のネットワークとを組み合わせて構成されてもよい。ネットワーク70は広域の通信網であってもよいし、構内の通信網であってもよいし、1本のケーブルであってもよい。すなわち、ネットワーク70は、データを送信可能な通信路であれば、どのように構成されてもよい。
制御装置30は、Programmable Logic Controller(PLC)やシングルボードコンピューターやパーソナルコンピューター等の情報処理装置を用いて構成される。制御装置30は、制御対象の機器の状態を示す状態値(電圧値、回転数など)や、監視対象の物体に関する物理量(上述の空隙率推定情報及びプラント属性情報、圧力損失の実測値等)などの値を取得する。制御装置30は、取得された各値を監視制御装置40に送信する。
空隙率推定情報及びプラント属性情報の詳細は、上述した通りである。
また、制御装置30は、予め制御装置30に接続されたアクチュエーター等の機器の動作を制御する。制御装置30は、例えば推定装置50による推定結果(圧力損失推定値)や、取得された状態値や物理量等に基づいて、予め定義された条件にしたがって機器の動作を制御する。例えば、圧力損失推定値が所定の閾値を超えた場合、制御装置30は、特定の機器の動作を停止するように構成されてもよい。
監視制御装置40は、パーソナルコンピューターやサーバー装置や専用装置等の情報処理装置を用いて構成される。監視制御装置40は、各制御装置30から状態値や物理量を取得すると、取得された状態値や物理量を記憶装置に日時の情報と対応付けて記憶装置に記録する。監視制御装置40は、取得された状態値や物理量のうち予め定められている値を、ネットワーク70を介して推定装置50に送信する。送信される値には、例えば反応経過時間、上述の空隙率推定情報及びプラント属性情報、圧力損失の実測値が含まれる。監視制御装置40は、推定装置50からネットワーク70を介して情報を受信する。受信される情報には、例えば圧力損失推定値が含まれる。監視制御装置40は、受信された情報を、制御装置30に送信する。
監視制御装置40は、入力装置及び出力装置を備えてもよい。入力装置は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力装置は、マイク及び音声認識装置を用いて構成されてもよい。この場合、入力装置はユーザによって発話された文言を音声認識し、認識結果の文字列情報を監視制御装置40に入力する。入力装置は、ユーザの指示を監視制御装置40に入力可能な構成であればどのように構成されてもよい。出力装置は、例えば画像や文字を画面に出力する装置を用いて構成されても良い。例えば、出力装置は、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescent)ディスプレイ等を用いて構成できる。また、出力装置は、画像や文字をシートに印刷(印字)する装置を用いて構成されても良い。例えば、出力装置は、インクジェットプリンタやレーザープリンタ等を用いて構成できる。また、出力装置は、文字を音声に変換して出力する装置を用いて構成されても良い。この場合、出力装置は、音声合成装置及び音声出力装置(スピーカー)を用いて構成できる。出力装置は、LED(Light Emitting Diode)等の発光装置を用いて構成されてもよい。この場合、出力装置は出力対象の情報に対して予め対応付けられた態様で発光装置を発光させてもよいし、出力対象の情報に対して予め対応付けられた位置の発光装置を発光させてもよい。
監視制御装置40は、ユーザが入力装置を操作することによって得られる値を取得する。例えば、出力装置は、入力装置を介して入力された各値や、各制御装置30から取得された各値や、推定装置50による推定結果の値などを出力する。監視制御装置40は、例えば推定結果の値が所定の条件(例えば閾値を超えた等の条件)を満たした場合に、そのことを示す情報を出力装置に出力させてもよい。
推定装置50は、空隙率推定情報と、プラント属性情報とを、ネットワークを介して受信し、受信した空隙率推定情報に基づき、固体触媒層空隙率算出関数1により、ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率を算出し、前記空隙率と、前記プラント属性情報とに基づき、圧力損失推定算出関数により、前記ユーザプラントの反応器内の圧力損失推定値を算出し、算出された前記圧力損失推定値を示す情報を前記ユーザ端末へ送信する。
固体触媒層空隙率算出関数1、圧力損失推定算出関数の詳細は上述した通りである。
推定装置50は、反応初期において、ネットワークを介して受信した反応器内の圧力損失の実測値と、空隙率推定情報及びプラント属性情報に基づき、チューニングパラメータを算出する。固体触媒層空隙率算出関数1として前記式(1)を使用し、圧力損失推定算出関数における反応器ごとの補正関数として前記式(10)を使用する場合、前記式(1)のチューニングパラメータαと、前記式(10)のチューニングパラメータσを算出する。そして、算出されたパラメータを使用して、上述の方法で圧力損失推定値を算出する。
前記空隙率推定情報に固体触媒層の反応温度Tt(x)を示す情報が含まれる場合、推定装置50は、Tt(x)と予め設定されたコーキングの閾値Tとを比較して、Tt(x)>Tを満たすときには、前記固体触媒層空隙率算出関数1に代えて、固体触媒層空隙率算出関数2により、ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率を算出してもよい。固体触媒層空隙率算出関数2の詳細は上述した通りである。
推定装置50は、Tt(x)とTの関係がTt(x)>Tを満たした後の初期において、ネットワークを介して受信した反応器内の圧力損失の実測値と、空隙率推定情報及びプラント属性情報に基づき、チューニングパラメータを算出する。固体触媒層空隙率算出関数2として前記式(1-1)を使用する場合、前記式(1-1)のチューニングパラメータβ、γを算出する。そして、算出されたパラメータを使用して、上述の方法で圧力損失推定値を算出する。
推定装置50は、パーソナルコンピューターやサーバー装置や専用装置等の情報処理装置を用いて構成される。推定装置50は、1台又は複数台の情報処理装置を用いて構成されてもよい。例えば、推定装置50は、クラスタマシンとして構築されてもよいし、クラウドとして構築されてもよいし、どのような態様で構築されてもよい。推定装置50は、通信部51及び演算部15を備える。なお、推定装置50が備える演算部15は、圧力損失推定値を取得する構成の具体例であり、他の構成が推定装置50に設けられてもよい。すなわち、推定装置50は、空隙率推定情報と、プラント属性情報とを、ネットワークを介して受信し、受信した空隙率推定情報に基づき、固体触媒層空隙率算出関数1又は2により、ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率を算出し、前記空隙率と、前記プラント属性情報とに基づき、圧力損失推定算出関数により、前記ユーザプラントの反応器内の圧力損失推定値を算出し、算出された前記圧力損失推定値を示す情報を前記ユーザ端末へ送信することができる装置であれば、どのような装置として構成されてもよい。通信部51は、ネットワークインターフェースを用いて構成される。通信部51は、監視制御装置40から送信されるデータを、ネットワーク70を介して受信する。通信部51は、受信された値を演算部15に出力する。また、通信部51は、演算部15の演算結果(例えば、圧力損失推定値)を所定の装置に送信する。所定の装置とは、例えば監視制御装置40である。演算部15は、上述した演算部15と同等の装置である。
端末装置60は、パーソナルコンピューター、スマートフォン、タブレット等の通信可能な情報処理装置である。端末装置60は、上述した状態値や物理量がユーザによって入力されると、入力された状態値や物理量の値を、ネットワーク70を介して推定装置50に送信する。端末装置60は、推定装置50による推定結果の値を受信すると、受信された値を出力する。端末装置60は、例えば推定結果の値が所定の条件(例えば閾値を超えた等の条件)を満たした場合に、そのことを示す情報を表示又は音声出力してもよい。
本実施形態の情報提供システムの適用反応としては、上述の情報提供方法の適用反応で説明した反応と同様の反応が挙げられる。
また、本実施形態においては、コンピュータを圧力損失推定算出装置として機能させるための圧力損失推定プログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータの非一時的可読記録媒体が提供される。コンピュータの非一時的可読記録媒体としては、例えば、磁気テープ(デジタルデータストレージ(DSS)など)、磁気ディスク(ハードディスクドライブ(HDD)、フレキシブルディスク(FD)など)、光ディスク(コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、ブルーレイディスク(BD)など)、光磁気ディスク(MO)、フラッシュメモリ(SSD(Solid State Drive)、メモリーカード、USBメモリなど)が挙げられる。
15…演算部、30…制御装置、40…監視制御装置、50…推定装置、51…通信部、60…端末装置、70…ネットワーク、100…情報提供システム100

Claims (12)

  1. 情報処理装置が、ユーザ端末から、固体触媒層が形成されたユーザプラントの反応器に気体若しくは液体の1相の流体、又は気体及び液体の2相の流体を流通させる固定床流通式反応に関して、空隙率推定情報と、プラント属性情報とを、ネットワークを介して受信するステップと、
    情報処理装置が、受信した前記空隙率推定情報に基づき、固体触媒層空隙率算出関数1により、前記ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率を算出する空隙率算出ステップと、
    情報処理装置が、前記空隙率と、前記プラント属性情報とに基づき、圧力損失推定算出関数により、前記ユーザプラントの任意の反応経過時t 反応器内の圧力損失推定値を算出する圧力損失算出ステップと、
    情報処理装置が、算出された前記ユーザプラントの任意の反応経過時t の反応器内の圧力損失推定値を示す情報を前記ユーザ端末へ送信するステップとを含む、情報提供方法であって、
    前記流体は、前記固体触媒層に堆積し得る不純物を含み、
    前記空隙率推定情報は、前記反応経過時t より前の別の任意の反応経過時t x-1 から前記反応経過時t の間(t -t x-1 )に前記反応器に流入した流体中の不純物総量S IN 、及び前記反応器から流出した流体中の不純物総量S OUT とを含み、
    前記固体触媒層空隙率算出関数1は下記式(1)で表され、
    前記圧力損失推定算出関数は、圧力損失計算関数及び反応器ごとの補正関数から構成され、
    前記圧力損失計算関数は、前記流体が気体又は液体の1相の場合、Ergun式、Blake・Kozeny式、Burke・Plummer式、Kozeny・Carman式、又はFanning式であり、前記流体が気体及び液体の2相の場合、Ergun・Larkins式又はLockhart・Martinelli式であり、
    前記反応器ごとの補正関数は、下記式(10)で表され、
    前記空隙率算出ステップは、受信した前記S IN 及び前記S OUT を前記式(1)に代入して、前記反応経過時t における前記ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率を算出する空隙率算出ステップであり、
    圧力損失算出ステップは、前記空隙率と、受信した前記プラント属性情報を前記圧力損失計算関数に代入し、前記反応経過時t における前記ユーザプラントの反応器内の圧力損失計算値を算出するステップと、前記圧力損失計算値を前記式(10)に代入して、前記反応経過時t における前記ユーザプラントの反応器内の圧力損失推定値を算出するステップと、を含む圧力損失算出ステップであり、
    前記式(1)及び(10)中のチューニングパラメータα及びσは、情報処理装置が、反応初期において前記反応器内の圧力損失の実測値と、前記空隙率推定情報及び前記プラント属性情報に基づき算出したチューニングパラメータである、情報提供方法。
    Figure 0007262292000014
    (前記式(1)中、ε は前記反応経過時t における反応器内の固体触媒層の空隙率、ε x-1 は前記反応経過時t x-1 における反応器内の固体触媒層の空隙率、S IN は前記反応経過時t x-1 から前記反応経過時t までの一定期間に反応器に流入した流体中の不純物総量、S OUT は前記反応経過時t x-1 から前記反応経過時t までの一定期間に反応器から流出した流体中の不純物総量であり、αは定数のチューニングパラメータである)
    Figure 0007262292000015
    (前記式(10)中、ΔP sim は圧力損失推定値であり、ΔP cal は圧力損失計算値であり、σは定数のチューニングパラメータである。)
  2. 前記プラント属性情報は、前記流体の性状に関する情報、前記固体触媒の充填構成に関する情報、及び前記固体触媒の種類に関する情報からなる群から選択される少なくとも一種の情報を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記流体は、コークを生成し得る成分を含み、前記空隙率推定情報は、前記固体触媒層の反応温度Tt(x)を示す情報を含み、前記Tt(x)コークが生成し、当該コークが固体触媒層への堆積を始める温度であるコーキングの閾値Tの関係がTt(x)>Tを満たすときには、前記空隙率算出ステップにおいて、前記固体触媒層空隙率算出関数1に代えて、固体触媒層空隙率算出関数2により、前記ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率を算出
    前記固体触媒層空隙率算出関数2は下記式(1-1)で表され、
    前記空隙率算出ステップは、受信した前記T t(x) 、前記S IN 、及び前記S OUT を前記式(1-1)に代入して、前記反応経過時t における前記ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率を算出する空隙率算出ステップである、請求項1又は2に記載の方法。
    Figure 0007262292000016
    (前記式(1-1)中、T t(x) は前記反応経過時t における固体触媒層の反応温度、T はコーキングの閾値、Rは気体定数、β、γは定数であるチューニングパラメータであり、ε 、ε x-1 、α、S IN 、S OUT は、前記式(1)と同様である。)
  4. 前記固体触媒層空隙率算出関数2は、情報処理装置が、前記Tt(x)と前記Tの関係がTt(x)>Tを満たした後の初期において、前記反応器内の圧力損失の実測値と、前記空隙率推定情報及び前記プラント属性情報に基づき算出したチューニングパラメータを使用する、請求項に記載の方法。
  5. 前記固定床流通式反応が重質炭化水素油の水素化処理反応又は軽質炭化水素油の水素化処理反応である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  6. ユーザ端末から、固体触媒層が形成されたユーザプラントの反応器に気体若しくは液体の1相の流体、又は気体及び液体の2相の流体を流通させる固定床流通式反応に関して、空隙率推定情報と、プラント属性情報とを、ネットワークを介して受信する通信部と
    受信した空隙率推定情報に基づき、固体触媒層空隙率算出関数1により、前記ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率を算出し、
    前記空隙率と、前記プラント属性情報とに基づき、圧力損失推定算出関数により、前記ユーザプラントの任意の反応経過時t 反応器内の圧力損失推定値を算出する演算部と、を備え
    前記通信部は、算出された前記ユーザプラントの任意の反応経過時t の反応器内の圧力損失推定値を示す情報を前記ユーザ端末へ送信する、圧力損失推定算出装置であって、
    前記流体は、前記固体触媒層に堆積し得る不純物を含み、
    前記空隙率推定情報は、前記反応経過時t より前の別の任意の反応経過時t x-1 から前記反応経過時t の間(t -t x-1 )に前記反応器に流入した流体中の不純物総量S IN 、及び前記反応器から流出した流体中の不純物総量S OUT とを含み、
    前記固体触媒層空隙率算出関数1は下記式(1)で表され、
    前記圧力損失推定算出関数は、圧力損失計算関数及び反応器ごとの補正関数から構成され、
    前記圧力損失計算関数は、前記流体が気体又は液体の1相の場合、Ergun式、Blake・Kozeny式、Burke・Plummer式、Kozeny・Carman式、又はFanning式であり、前記流体が気体及び液体の2相の場合、Ergun・Larkins式又はLockhart・Martinelli式であり、
    前記反応器ごとの補正関数は、下記式(10)で表され、
    前記ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率の算出は、受信した前記S IN 及び前記S OUT を前記式(1)に代入することにより行い、
    前記ユーザプラントの反応器内の圧力損失推定値の算出は、前記空隙率と、受信した前記プラント属性情報を前記圧力損失計算関数に代入し、前記反応経過時t における前記ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の圧力損失計算値を算出し、前記圧力損失計算値を前記式(10)に代入することにより行い、
    前記式(1)及び(10)中のチューニングパラメータα及びσは、情報処理装置が、反応初期において前記反応器内の圧力損失の実測値と、前記空隙率推定情報及び前記プラント属性情報に基づき算出したチューニングパラメータである、圧力損失推定算出装置
    Figure 0007262292000017
    (前記式(1)中、ε は前記反応経過時t における反応器内の固体触媒層の空隙率、ε x-1 は前記反応経過時t x-1 における反応器内の固体触媒層の空隙率、S IN は前記反応経過時t x-1 から前記反応経過時t までの一定期間に反応器に流入した流体中の不純物総量、S OUT は前記反応経過時t x-1 から前記反応経過時t までの一定期間に反応器から流出した流体中の不純物総量であり、αは定数のチューニングパラメータである)
    Figure 0007262292000018
    (前記式(10)中、ΔP sim は圧力損失推定値であり、ΔP cal は圧力損失計算値であり、σは定数のチューニングパラメータである。)
  7. 前記プラント属性情報は、前記流体の性状に関する情報、前記固体触媒の充填構成に関する情報、及び前記固体触媒の種類に関する情報からなる群から選択される少なくとも一種の情報を含む、請求項に記載の圧力損失推定算出装置。
  8. 前記流体は、コークを生成し得る成分を含み、前記空隙率推定情報は、前記固体触媒層の反応温度Tt(x)を示す情報を含み、前記Tt(x)コークが生成し、当該コークが固体触媒層への堆積を始める温度であるコーキングの閾値Tの関係がTt(x)>Tを満たすときには、前記空隙率の算出において、前記固体触媒層空隙率算出関数1に代えて、固体触媒層空隙率算出関数2により、前記ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率を算出
    前記固体触媒層空隙率算出関数2は下記式(1-1)で表され、
    前記ユーザプラントの反応器内の固体触媒層の空隙率の算出は、受信した前記T t(x) 、前記S IN 、及び前記S OUT を前記式(1-1)に代入することにより行う、請求項6又は7に記載の圧力損失推定算出装置。
    Figure 0007262292000019
    (前記式(1-1)中、T t(x) は前記反応経過時t における固体触媒層の反応温度、T はコーキングの閾値、Rは気体定数、β、γは定数であるチューニングパラメータであり、ε 、ε x-1 、α、S IN 、S OUT は、前記式(1)と同様である。)
  9. 前記固体触媒層空隙率算出関数2は、前記Tt(x)と前記Tの関係がTt(x)>Tを満たした後の初期において、前記反応器内の圧力損失の実測値と、前記空隙率推定情報及び前記プラント属性情報に基づき算出したチューニングパラメータを使用する、請求項に記載の圧力損失推定算出装置。
  10. 前記固定床流通式反応が重質炭化水素油の水素化処理反応又は軽質炭化水素油の水素化処理反応である、請求項6~9のいずれか一項に記載の圧力損失推定算出装置。
  11. コンピュータを、請求項6~10のいずれか一項に記載の圧力損失推定算出装置として機能させるための圧力損失推定プログラム。
  12. 請求項11に記載のプログラムを記憶したコンピュータの非一時的可読記録媒体。
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