一般的に、火力発電プラントなどの発電プラントは、ボイラーと、ボイラーから供給される蒸気を用いて回転駆動される高圧タービン、中圧タービンおよび低圧タービンと、を備えている。高圧タービン、中圧タービンおよび低圧タービンには発電機が連結されており、各タービンで得られた回転駆動力によって発電機が駆動されて発電が行われる。低圧タービンから排出された蒸気は、タービン排気として復水器に供給され、復水器において凝縮されて復水が生成される。生成された復水は、ボイラーに供給されて加熱され、蒸気が生成される。
高圧タービンの入口側には、ボイラーから供給される主蒸気の流量を制御する蒸気加減弁が設けられている。この蒸気加減弁によって主蒸気の流量が調整され、タービン回転数制御や発電機負荷制御が行われている。蒸気加減弁は、例えば4つの弁(第1弁~第4弁)によって構成されており、各弁の出口は、高圧タービンの入口ノズルを4分割した部分にそれぞれ連結されている。このようにして、蒸気加減弁の各弁を通過した主蒸気は、入口ノズルの対応する部分に供給される。この間、蒸気加減弁の各弁の開度を調整することにより、高圧タービンの調速運転が行われる。
一般に、高圧タービンの調速運転の方式としては、2つの調速方式が挙げられる。一つは絞り調速方式(スロットルガバニング)であり、もう一つはノズル調速方式(ノズルガバニング)である。どちらの方式も利点と不利点とがある。例えば、絞り調速方式では、各弁を一様な開度とする運用が行われるため、高圧タービンの入口ノズルに均等に主蒸気を供給することができ、入口ノズルに温度差が生じて熱応力が発生することを抑制できる。また、タービン翼に対する蒸気の噴射が局所的になることを抑制し、タービン翼に振動応力(曲げの繰り返し応力)が発生することを抑制できる。しかしながら、絞り調速方式では、部分負荷運転時に主蒸気の流れの絞りによる圧力損失が発生してプラント効率が低下し得る。一方、ノズル調速方式では、各弁を順次開いていくという運用が行われるため、流れの圧力損失によるプラント効率の低下を抑制できる。しかしながら、ノズル調速方式では、入口ノズルに部分的に主蒸気が供給されるため、入口ノズルに温度差が生じて熱応力が発生し得るとともにタービン翼に対して蒸気が局所的に噴射されてタービン翼に振動応力が発生し得る。このような利点と不利点とを加味しながら、高圧タービンと発電機に要求される負荷制御や運転条件に合わせていずれかの調速方式が選択される。
図6に、ノズル調速方式での蒸気加減弁の開閉特性(リフトカーブ)を示す。図6の横軸は、高圧タービンの要求流量に応じた蒸気加減弁の流量指令値(タービン負荷)を示しており、縦軸は、蒸気加減弁の開度指令値が示されている。リフトカーブは、高圧タービンに供給すべき主蒸気の流量と高圧タービンの熱応力とを考慮して定められており、開度指令値は、このリフトカーブから流量指令値に対する値として求めることができる。このようにして、流量指令値に対して図6に示すリフトカーブLa、Lbに従った開度指令値が各弁に与えられて、蒸気加減弁が運用されるようになっている。
図6に示す例では、タービン起動時などのような負荷上昇時には、低負荷から定格負荷の90%程度までの間、第1弁から第3弁をリフトカーブLaに従って同時に開き、互いに同一の開度で増大させていく。負荷が90%を超えた後、第4弁を開き、引き続き各弁の開度を増大させていく。第4弁の開度は、第1弁から第3弁のリフトカーブLaとは異なるリフトカーブLbに従って増大していく。
図6に示すように、各弁を開くタイミングを2つに分けて蒸気加減弁を運用することは、2アドミッションと呼ばれている。また、各弁を開くタイミングを3つに分けて蒸気加減弁を運用することは、3アドミッションと呼ばれる。
図7に、3アドミッションを採用したノズル調速方式での蒸気加減弁の開閉特性を示す。以下に、3アドミッションの開閉特性について説明する。
図7に示す例では、タービン起動時などのような負荷上昇時には、低負荷から定格負荷の60%程度までの間、第1弁および第2弁をリフトカーブLcに従って同時に開き、互いに同一の開度で増大させていく。負荷が60%を超えた後、第3弁を開き、負荷が90%程度までの間、引き続き各弁の開度を増大させていく。第3弁の開度は、第1弁および第2弁のリフトカーブLcとは異なるリフトカーブLdに従って増大していく。負荷が90%を超えた後、第4弁を開き、引き続き各弁の開度を増大させていく。第4弁の開度は、第1弁および第2弁のリフトカーブLcとは異なるとともに、第3弁のリフトカーブLdとも異なるリフトカーブLeに従って増大していく。
ここで、2アドミッションの利点はタービン起動時に、高圧タービンの入口ノズルの多くの領域に蒸気を流入させることができる。このため、入口ノズルに温度差により発生し得る熱応力を低減することができるとともに、蒸気の局所的な噴射によりタービン翼に発生し得る振動応力を低減することができる。不利点としては、蒸気加減弁を構成する4つの弁の全てが絞り運用となるため、蒸気流れの圧力損失が発生してプラント効率が低下し得る。
3アドミッションの利点は、定格負荷運転中、先行して開く2つの弁を全開とすることができるため、蒸気流れの圧力損失によるプラント効率低下を抑制できる。不利点としては、入口ノズルのうち蒸気が流入する領域が狭まるため、入口ノズルに温度差により発生し得る熱応力が増大し得るとともに蒸気の局所的な噴射によりタービン翼に発生し得る振動応力が増大し得る。
このような利点と不利点とを考慮しながら、2アドミッションと3アドミッションは、適宜選択される。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態における蒸気加減弁システム、発電プラントおよび蒸気加減弁の運転方法について説明する。
図1~図5を用いて、本実施の形態における蒸気加減弁システム、発電プラントおよび蒸気加減弁の運転方法について説明する。ここではまず、図1を用いて、発電プラントの一例としての火力発電プラントについて説明する。
図1に示すように、火力発電プラント1は、ボイラー2と、蒸気タービン部3と、復水器4と、を備えている。
ボイラー2は、復水器4から供給された復水を加熱して蒸気を発生させる蒸気発生器5と、後述する高圧タービン7で膨張仕事を終えた主蒸気S1を過熱する再熱器6と、を有している。ボイラー2は、供給される燃料を、空気を混合させて燃焼させて燃焼ガスを生成し、生成された燃焼ガスの熱で、蒸気発生器5において復水から蒸気を発生させるとともに、再熱器6において蒸気を過熱している。
蒸気タービン部3は、高圧タービン7と、中圧タービン8と、低圧タービン9と、を有している。高圧タービン7、中圧タービン8および低圧タービン9の各タービン翼(動翼)が設けられた各タービンロータ(図示せず)は、互いに連結されている。
蒸気発生器5において発生した蒸気は、主蒸気S1として、主蒸気系10を介して高圧タービン7に供給される。高圧タービン7は、蒸気発生器5から供給される主蒸気S1を用いて回転駆動される。すなわち、高圧タービン7に供給された主蒸気S1はタービン翼に対して膨張仕事を行い、高圧タービン7は回転駆動力を得る。膨張仕事を終えた主蒸気S1は、逆止弁11を有する低温再熱系12を通って再熱器6に供給される。
再熱器6において過熱された蒸気は、再熱蒸気S2として、再熱蒸気系13を介して中圧タービン8に供給される。中圧タービン8に供給された再熱蒸気S2はタービン翼に対して膨張仕事を行い、中圧タービン8は回転駆動力を得る。膨張仕事を終えた再熱蒸気S2は、低圧タービン9に供給されてタービン翼に対して更に膨張仕事を行い、その後、タービン排気として復水器4に供給される。
復水器4に供給されたタービン排気は、凝縮されて復水となる。復水器4とボイラー2の蒸気発生器5は、復水給水系14によって連結されており、この復水給水系14が、給水ポンプ15を有している。このことにより、復水器4内の復水は、給水ポンプ15によって加圧されてボイラー2の蒸気発生器5に供給される。
このようにして、高圧タービン7、中圧タービン8および低圧タービン9は回転駆動力を得て、発電機16(図2参照)が駆動されて、発電が行われる。
上述した主蒸気系10は、主蒸気止め弁20と、主蒸気止め弁20の下流側に設けられた蒸気加減弁21と、を有している。このうち、主蒸気止め弁20は、主に負荷遮断時などの非常時に主蒸気S1の流れを止めるための弁であり、蒸気加減弁21は、主に高圧タービン7に供給される主蒸気S1の流量を調整(制御)するための弁である。
再熱蒸気系13は、再熱蒸気止め弁22と、再熱蒸気止め弁22の下流側に設けられた再熱蒸気加減弁23(インターセプト弁)と、を有している。このうち、再熱蒸気止め弁22は、主に非常時に再熱蒸気S2の流れを止めるための弁であり、再熱蒸気加減弁23は、主に中圧タービン8に供給される再熱蒸気S2の流量を調整(制御)するための弁である。
本実施の形態における蒸気加減弁システム100は、蒸気タービン部3(例えば、高圧タービン7)に供給される蒸気の流量を、蒸気タービン部3のタービン負荷に応じた流量指令値に基づいて制御するシステムである。このような蒸気加減弁システム100は、上述した主蒸気系10の蒸気加減弁21と、蒸気加減弁21を制御する蒸気加減弁制御装置30と、を備えている。流量指令値は、図1に示す火力発電プラント1のプラント制御装置(図示せず)から蒸気加減弁制御装置30に与えられる。以下に、この蒸気加減弁制御装置30によって制御される蒸気加減弁21についてより詳細に説明する。
図2に示すように、本実施の形態による蒸気加減弁21は、大開度弁と、第1小開度弁と、第2小開度弁と、を有している。このうち、大開度弁は、第1大開度弁と、第2大開度弁と、を含んでいる。以下に述べる本実施の形態においては、第1大開度弁を第1弁21aとし、第2大開度弁を第2弁21bとし、第1小開度弁を第3弁21cとし、第2小開度弁(後行弁とも称する)を第4弁21dとする。これらの第1弁21a、第2弁21b、第3弁21cおよび第4弁21dが、本実施の形態による蒸気加減弁制御装置30によって制御される。
図2に示すように、各弁21a~21dの出口は、4分割された高圧タービン7の入口ノズル7aにそれぞれ連結されている。このことにより、各弁21a~21dを通過した主蒸気S1は、入口ノズル7aの対応する部分に供給される。このようにして入口ノズル7aに主蒸気S1が供給されて、高圧タービン7において主蒸気S1が膨張仕事を行い、高圧タービン7が回転駆動力を得るように構成されている。
図3に、蒸気加減弁21の構造の一例を模式的に示す。図3では、第1弁21a~第4弁21dが一体的に形成されており、一体の弁ケーシング40に収容されている例が示されているが、これに限られることはない。各弁21a~21dは、別々に構成されて、別々の弁ケーシングに収容されていてもよい。
第1弁21aは、弁体41aと、全閉時(0%開度時)に弁体41aが当接する弁着座部42aと、弁体41aが連結された弁棒43aと、を含んでいる。弁棒43aは、弁ケーシング40に設けられた弁棒貫通部44aを貫通して、弁ケーシング40の内部から外部に延びている。弁棒貫通部44aは、例えば、弁ケーシング40に設けられた弁蓋45aによって構成することができる。弁蓋45aは、弁棒43aが貫通する貫通孔46aを有しており、弁棒43aは、弁ケーシング40の内部から貫通孔46aを通って外部に延びている。貫通孔46aには弁棒43aをスムーズに移動させるためのブッシュ(図示せず)が挿入されている。
第1弁21aは、全開時(100%開度時)に弁体41aが当接するバックシート47aを更に含んでいる。バックシート47aは、弁棒43aの移動方向(図3における上下方向)において弁着座部42aとは反対側に設けられている。ここでは、弁蓋45aに、バックシート47aが設けられている例が示されている。すなわち、本実施の形態による弁体41aは、上述した弁着座部42aに当接する第1弁体部48aと、バックシート47aに当接する第2弁体部49bと、を含んでいる。弁棒43aの移動方向において、第1弁体部48aは、弁着座部42aの側に配置され、第2弁体部49aは、バックシート47aの側に配置されている。
弁棒43aの外端は、図示しない油圧駆動装置に連結されている。上述した蒸気加減弁制御装置30からの流量指令値を受けて油圧駆動装置が駆動されて、第1弁体部48aが弁着座部42aに当接する位置(全閉位置)と、第2弁体部49aがバックシート47aに当接する位置(全開位置)との間で、弁体41aが移動するように構成されている。第1弁体部48aが弁着座部42aに当接している間、高圧タービン7への主蒸気S1の流れが遮断される。第2弁体部49aがバックシート47aに当接している間、弁棒貫通部44aにおいて弁棒43aの周囲に形成された隙間から外部への蒸気の漏れ流れが遮断される。
第2弁21b、第3弁21cおよび第4弁21dも、第1弁21aと同様に構成されている。すなわち、第2弁21b、第3弁21cおよび第4弁21dも、第1弁体部48b~48dおよび第2弁体部49b~49dを含む弁体41b~41dと、弁着座部42b~42dと、弁棒43b~43dと、弁棒貫通部44b~44dと、を含んでいる。弁棒貫通部44b~44dは、貫通孔46b~46dを有する弁蓋45b~45dによって構成されている。第2弁21b、第3弁21cおよび第4弁21dは、バックシート47b~47dを更に含んでいる。そして、弁21b~21dも、蒸気加減弁制御装置30からの流量指令値を受けて油圧駆動装置が駆動されて、第1弁体部48b~48dが弁着座部42b~42dに当接する位置(全閉位置)と、第2弁体部49b~49dがバックシート47b~47dに当接する位置(全開位置)との間で、弁体41b~41dが移動するように構成されている。
蒸気加減弁21の第1弁21a~第4弁21dの開度は、図4に示すような開閉特性に従って調整される。より具体的には、第1弁21aの開度および第2弁21bの開度は、流量指令値に応じて第1リフトカーブL1(第1開閉特性)に従って調整される。第3弁21cの開度は、流量指令値に応じて第2リフトカーブL2(第2開閉特性)に従って調整され、第4弁21dの開度は、流量指令値に応じて第3リフトカーブL3(第3開閉特性)に従って調整される。なお、第4弁21dは、流量指令値が後述する第3流量指令値Q3よりも小さい間、閉じている。また、各リフトカーブL1~L3は、流量指令値の増大に伴って加減弁開度指令値が100%となると、その後の開度指令値が100%に維持されるように、設定されている。ここで、100%開度は、各弁21a~21dの最大開度(全開状態)を意味している。
第2リフトカーブL2は、流量指令値が第1流量指令値Q1よりも小さい場合に第1リフトカーブL1の開度と同一の開度を有するとともに、流量指令値が第1流量指令値Q1以上である場合に、第1リフトカーブL1の開度よりも小さい開度を有している。すなわち、第2リフトカーブL2は、流量指令値が第1流量指令値Q1となる点で、第1リフトカーブL1から分岐するような特性を有している。第3リフトカーブL3は、流量指令値が第3流量指令値Q3以上である場合に、第4弁21dを、第2リフトカーブL2の開度よりも小さい開度で開くような特性を有している。このように、本実施の形態による蒸気加減弁21は、流量指令値が第1流量指令値Q1未満である場合、2アドミッションで運用され、第1流量指令値Q1以上である場合、あたかも3アドミッションのように運用される。なお、定格負荷運転時の流量指令値を定格流量指令値Qrとすると、上述した第2流量指令値Q2は、定格流量指令値Qrよりも小さく、上述した第3流量指令値Q3は、定格流量指令値Qrよりも小さくなっている。
本実施の形態においては、図4に示すように、流量指令値が、第1流量指令値Q1よりも大きくかつ第3流量指令値Q3よりも小さい第2流量指令値Q2以上である場合、第1弁21aの開度および第2弁21bの開度は、100%開度となる。すなわち、蒸気加減弁21の定格負荷運転時だけでなく、部分負荷運転時においても、第1弁21aおよび第2弁21bは全開になっている。
次に、上述のような開閉特性を有する蒸気加減弁21を制御する蒸気加減弁制御装置30の構成について、図5を用いて説明する。
図5に示すように、蒸気加減弁制御装置30は、第1リフトカーブL1に従って第1弁21aおよび第2弁21bに開度指令を与える第1開度指令部31と、第2リフトカーブL2に従って第3弁21cに開度指令を与える第2開度指令部32と、第3リフトカーブL3に従って第4弁21dに開度指令を与える第3開度指令部33と、を備えている。
第1開度指令部31は、流量指令値を変換して第1弁21aに与えるための開度指令値を作成する第1変換関数発生器34と、流量指令値を変換して第2弁21bに与えるための開度指令値を作成する第2変換関数発生器35と、を有している。
第1変換関数発生器34には、図4に示す第1リフトカーブL1が予め記憶されている。第1リフトカーブL1は、蒸気加減弁制御装置30に与えられた流量指令値と、第1弁21aおよび第2弁21bの開度指令値との関係を示している。蒸気加減弁制御装置30に流量指令値が与えられると、第1変換関数発生器34は、この流量指令値に対応する開度指令値を第1リフトカーブL1から求める。
第2変換関数発生器35は、第1変換関数発生器34と同様に構成されている。すなわち、第2変換関数発生器35には、図5に示す第1リフトカーブL1が予め記憶されており、この第1リフトカーブL1から開度指令値を求める。
第1開度指令部31は、流量指令値が第2流量指令値Q2以上である場合に、第1弁21aおよび第2弁21bに100%開度指令(全開指令)を与えるように構成されている。この場合、第1弁21aの弁体41aがバックシート47aに当接するとともに、第2弁21bの弁体41bがバックシート47bに当接する。
上述のようにして作成された開度指令値は、第1弁21aおよび第2弁21bにそれぞれ与えられる。より具体的には、流量指令値が第2流量指令値Q2よりも小さい場合には、第1弁21aに第1変換関数発生器34で作成された開度指令値が与えられ、第2弁21bに第2変換関数発生器35で作成された開度指令値が与えられる。第1弁21aの弁体41a(図3参照)は、与えられた開度指令値に基づいて駆動され、第1弁21aの開度が、開度指令値で示す開度となるように調整される。第2弁21bも同様にして、第2弁21bの開度が、開度指令値で示す開度となる。流量指令値が第2流量指令値Q2以上である場合には、第1弁21aおよび第2弁21bに、100%開度指令値がそれぞれ与えられ、第1弁21aの開度および第2弁21bの開度が、それぞれ100%開度となる。
第2開度指令部32は、流量指令値を変換して第3弁21cに与えるための開度指令値を作成する第3変換関数発生器36を有している。第3変換関数発生器36には、図4に示す第2リフトカーブL2が予め記憶されている。第2リフトカーブL2は、蒸気加減弁制御装置30に与えられた流量指令値と、第3弁21cの開度指令値との関係を示している。蒸気加減弁制御装置30に流量指令値が与えられると、第3変換関数発生器36は、この流量指令値に対応する開度指令値を第2リフトカーブL2から求める。
第3開度指令部33は、流量指令値が第3流量指令値Q3以上である場合に、流量指令値を変換して第4弁21dに与えるための開度指令値を作成する第4変換関数発生器37を有している。第4変換関数発生器37には、図4に示す第3リフトカーブL3が予め記憶されている。第3リフトカーブL3は、蒸気加減弁制御装置30に与えられた流量指令値と、第4弁21dの開度指令値との関係を示している。蒸気加減弁制御装置30に流量指令値が与えられると、第4変換関数発生器37は、この流量指令値に対応する開度指令値を第3リフトカーブL3から求める。また、第3開度指令部33は、流量指令値が第3流量指令値Q3よりも小さい場合に第4弁21dに全閉指令値を与える。この場合、第4弁21dは閉じられる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち蒸気加減弁の運転方法について説明する。
まず、準備工程として、弁体41a~41dと、バックシート47a~47dと、を有する弁21a~21bを準備する。
準備工程に続いて、負荷上昇工程として、蒸気加減弁21を開いて、タービンの負荷を上昇させる。
負荷上昇工程として、タービン起動時などのような負荷上昇時における蒸気加減弁21の第1弁21a~第4弁21dの開度の推移について説明する。この場合、蒸気加減弁21に与えられる流量指令値は増大していく。
まず、図4に示すように、第1弁21a、第2弁21bおよび第3弁21cが同時に開く。そして、流量指令値の増大に伴って、流量指令値が第1流量指令値Q1となるまで、第1弁21aの開度および第2弁21bの開度は、第1リフトカーブL1に従って増大していく。同様にして、第3弁21cの開度は、流量指令値が第1流量指令値Q1となるまで、第2リフトカーブL2に従って増大していく。この間、第3弁21cの開度は、第1弁21aの開度および第2弁21bの開度と同一となるように増大していく。このことにより、蒸気加減弁21を通過する主蒸気S1の流量を確保している。一方、この間、第4弁21dは閉じている。また、この間の蒸気加減弁21を通過する蒸気の流量は、絞り調速、すなわち、第1弁21aの開度、第2弁21bの開度および第3弁21cの開度の調整によって調整される。
続いて、流量指令値が第1流量指令値Q1となると、第3弁21cの開度は、第1弁21aの開度および第2弁21bの開度よりも小さくなる。そして、第3弁21cの開度が第1弁21aの開度および第2弁21bの開度よりも小さい関係を維持しながら、第1弁21aの開度および第2弁21bの開度は、第1リフトカーブL1に従って増大していき、第3弁21cの開度は第2リフトカーブL2に従って増大していく。この間、第1弁21aの開度および第2弁21bの開度は、同一となっている。一方、この間、第4弁21dは、依然として閉じている。また、この間の蒸気加減弁21を通過する蒸気の流量は、絞り調速、すなわち、第1弁21aの開度、第2弁21bの開度および第3弁21cの開度の調整によって調整される。なお、図4に示すように、流量指令値が第1流量指令値Q1になった後、第3弁21cの開度は、所望の流量指令値になるまでは一定に維持されて、その後に増大させるようにしてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、流量指令値が第1流量指令値Q1になった後、第3弁21cの開度は、増大し続けるようにしてもよい。
次に、流量指令値が第2流量指令値Q2となると、第1弁21aおよび第2弁21bに100%開度指令が与えられる。このことにより、第1弁21aの開度および第2弁21bの開度は、100%開度となる(全開する)。そして、流量指令値が第2流量指令値Q2以上となっている間、第1弁21aの開度および第2弁21bの開度は、100%開度に維持される。この間の蒸気加減弁21を通過する蒸気の流量は、絞り調速、すなわち、第3弁21cの開度の調整によって調整される。
第1弁21aおよび第2弁21bの開度が100%開度となると、各弁21a、21bの弁体41a、41bの第2弁体部49a、49bがバックシート47a、47bに当接する。このことにより、弁棒貫通部44a、44bの隙間から、蒸気が外部に漏れることが防止できる。
ここで、蒸気加減弁21の各弁21a~21dには、蒸気の通過可能な流量が大きめに設計された弁が用いられることが一般的である。このことから、定格負荷運転時においても、各弁21a~21dをいずれも全開させないように運用していた。このため、各弁21a~21dの弁棒貫通部44a~44bの隙間からの蒸気の漏れの対策が困難になっていた。
これに対して本実施の形態では、定格負荷運転時および部分負荷運転時に、第1弁21aおよび第2弁21bが、全開になっている。このため、弁体41a、41bが当接可能なバックシート47a、47bを設けることにより、弁棒貫通部44a、44bの隙間からの蒸気の漏れ流れを遮断することが可能になっている。
続いて、流量指令値が第3流量指令値Q3となると、第4弁21dが開く。このことにより、本実施の形態による蒸気加減弁21は2アドミッションで運用され、ノズル調速が行われる。そして、流量指令値の増大に伴って、第4弁21dの開度は、第3弁21cの開度よりも小さい関係を維持しながら、第3弁21cの開度および第4弁21dの開度が第3リフトカーブL3に従って増大していく。この間、上述したように、第1弁21aの開度および第2弁21bの開度は、100%開度に維持される。このことにより、第1弁21aおよび第2弁21bを通過する主蒸気S1の絞りによる圧力損失が低減され得る。また、この間の蒸気加減弁21を通過する主蒸気S1の流量は、絞り調速、すなわち、第3弁21cの開度および第4弁21dの開度の調整によって調整されるが、第4弁21dの開度が第3弁21cの開度よりも小さいため、第3弁21cの開度よりも第4弁21dの開度の影響を受ける傾向にある。
その後、流量指令値が定格負荷に相当する定格流量指令値Qrに達し、蒸気加減弁21の全体としての開度が定格開度となる。この場合、蒸気加減弁21の定格負荷運転が行われる。この際、第1弁21aの開度および第2弁21bの開度は100%開度となっているため、第1弁21aおよび第2弁21bを通過する主蒸気S1の絞りによる圧力損失が低減され得るとともに、上述したように弁棒貫通部44a、44bの隙間からの蒸気の漏れが低減され得る。第3弁21cは、100%開度よりもやや小さい開度となっているが、第4弁21dよりも大きな開度を有しており、第3弁21cを通過する主蒸気S1の絞りによる圧力損失も低減され得る。
タービン停止時などのような負荷降下時、例えば定格負荷運転を行っていた蒸気加減弁21の負荷を降下させる際には、蒸気加減弁21の第1弁21a~第4弁21dの開度の推移は、上述した負荷上昇時における第1弁21a~第4弁21dの開度の推移を逆から辿ることになるため、ここでは詳細な説明は省略する。
このように本実施の形態によれば、流量指令値が第1流量指令値Q1よりも小さい場合に、第1弁21aおよび第2弁21bの第1リフトカーブL1と同一の第2リフトカーブL2で、第3弁21cが開く。このことにより、高圧タービン7の入口ノズル7aの多くの領域(本実施の形態では、4つの領域のうちの3つの領域)に、蒸気を流入させることができる。このため、タービン起動時のうち温度差が生じやすい蒸気流入開始時に、入口ノズル7aに温度差により発生し得る熱応力を低減することができる。また、タービン起動時のうちタービン翼に対する蒸気の噴射が局所的になりやすい蒸気流入開始時に、タービン翼に発生し得る振動応力を低減することができる。
また、本実施の形態によれば、流量指令値が、第2流量指令値Q2以上である場合に、第1弁21aの開度および第2弁21bの開度を100%開度とすることができ、第1弁21aおよび第2弁21bを通過する主蒸気S1の絞りによる圧力損失を低減することができる。このため、蒸気加減弁21を通過する蒸気の圧力損失を低減することができる。特に、定格負荷運転中および部分負荷運転中のいずれにおいても蒸気加減弁21を通過する蒸気の圧力損失を低減することができる。火力発電プラント1のプラント効率を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、流量指令値が、第1流量指令値Q1よりも大きくかつ第3流量指令値Q3よりも小さい第2流量指令値Q2以上である場合に、第1弁21aおよび第2弁21bに100%開度指令が与えられる。このことにより、第1弁21aおよび第2弁21bの弁体41a、41bの第2弁体部49a、49bを、バックシート47a、47bにそれぞれ当接させることができる。このため、弁棒貫通部44a、44bの隙間から蒸気が漏洩することを防止でき、プラント効率を向上させることができる。特に、定格負荷運転時中および部分負荷運転中のいずれにおいても蒸気の漏洩を防止することができ、プラント効率を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、第3弁21cが、100%開度時に弁体41cの第2弁体部49cが当接するバックシート47cを含んでいる。このことにより、蒸気加減弁21が過負荷運転時(定格流量指令値Qrよりも大きい流量指令値での運転時)に、第3弁21cの開度を100%開度としたときに、第3弁21cの弁棒貫通部44cの隙間から蒸気が漏洩することを防止できる。このため、過負荷運転時においても、プラント効率をより一層向上させることができる。
さらに、本実施の形態によれば、第4弁21dが、100%開度時に弁体41dの第2弁体部49dが当接するバックシート47dを含んでいる。このことにより、蒸気加減弁21が過負荷運転時(上述した第3弁21cの全開運転時流量指令値よりも更に大きい流量指令値での運転時)に、第4弁21dの開度を100%開度としたときに、第4弁21dの弁棒貫通部44dの隙間から蒸気が漏洩することを防止できる。このため、過負荷運転時においても、プラント効率をより一層向上させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、第1開度指令部31が第1変換関数発生器34と第2変換関数発生器35とを有し、第1弁21aおよび第2弁21bに別々に開度指令が与えられる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1弁21aおよび第2弁21bに開度指令を与えることができれば、第1開度指令部31は、いずれか一方の変換関数発生器から第1弁21aおよび第2弁21bに開度指令を与えるようにしてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、第3リフトカーブL3に従う第4弁21dを有し、2アドミッションで運用される蒸気加減弁21を例にとって説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、第4弁21dが、第3リフトカーブL3に従うことなく、タービン起動時に第3弁21cと同様の第2リフトカーブL2に従って開くように運用してもよい。このような運用は、1アドミッションと呼ばれる。この場合、高圧タービン7の入口ノズル7aの全ての領域に、蒸気を流入させることができる。このため、タービン起動時のうち温度差が生じやすい蒸気流入開始時に、入口ノズル7aに温度差により発生し得る熱応力をより一層低減することができる。また、タービン起動時のうちタービン翼に対する蒸気の噴射が局所的になりやすい蒸気流入開始時に、タービン翼に発生し得る振動応力を低減することができる。なお、この形態では、第4弁21dが、負荷上昇時に、第3弁21cの開度と同一の開度となるように、蒸気加減弁制御装置30の第3開度指令部33を、第2リフトカーブL2に従って第4弁21dに開度指令を与えるように構成してもよい。あるいは、第3変換関数発生器36から第3弁21cおよび第4弁21dに開度指令を与えるようにしてもよい。
また、上述した本実施の形態による蒸気加減弁21に、変圧運転を適用してもよい。ここで、変圧運転とは、部分負荷運転時に蒸気発生器5から発生する主蒸気S1の圧力をタービン負荷に見合うように減圧させてプラント熱効率の低下を改善させるための運転である。変圧運転を適用する場合、例えば、流量指令値が第1流量指令値Q1と第2流量指令値Q2との間の範囲のうち所望の範囲(例えば、負荷30%~90%の範囲)において、変圧運転が行われることが好適である。
さらに、上述した本実施の形態においては、発電プラントの一例として火力発電プラント1を例にとって説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、発電プラントは、例えば原子力発電プラントであってもよく、蒸気タービンが設置される任意の発電プラントに本実施の形態を適用することが可能である。
以上述べた実施の形態によれば、タービンに発生する熱応力およびタービン翼に発生する振動応力を低減することができるとともに、蒸気の圧力損失の低減および蒸気漏れの低減によりプラント効率を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。