従来、上記ファブリックから形成された樹脂製トレーは、例えば、ファブリックを所定の展開図形状に裁断した後、その一部を折って熱処理することにより、立体的に形成されている。ファブリックは、高耐熱性繊維を芯材として含み、この両面にフッ素樹脂層を備えており、フッ素樹脂層として、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)などを含むものが使用されているため、トレーの耐熱性は高く、食品に対する離型性も高い。しかしながら、ファブリックの一部を折って立体的なトレーを形成すると、トレーの少なくとも一部においてファブリックが重なる部分が生じてしまい、例えば、その部分の周囲に継ぎ目が形成される。継ぎ目が形成されると、食品を載せるためのトレーとして使用した場合に、継ぎ目に食品が入り込む可能性がある。トレーの継ぎ目に入り込んだ食品を完全に洗浄するのは難しい。
本発明者らは、高耐熱性繊維を芯材として含み、この両面にフッ素樹脂層を備えたファブリックに対して、これがトレー形状となるように絞り加工を施すことにより、継ぎ目の無い立体的なトレーを形成することに成功した。
即ち、実施形態に係るトレーは、底面部と、底面部から、高さ方向に沿って延設された側面部とを備える。底面部及び側面部は、一重膜構造のファブリックからなる。ファブリックは、織布と、織布の両面上に形成されたフッ素樹脂層とを含む。
本明細書において、「一重膜構造」とは、ファブリックが2枚以上に積層されておらず、且つ、ファブリック同士が継ぎ合わされていないことを意味する。実施形態に係るトレーの底面部及び側面部は一重膜構造のファブリックからなるため、トレーには継ぎ目が存在しない。言い換えると、トレーの底面部及び側面部において、ファブリックが積層された部分が存在しない。
また、トレーを構成しているファブリックは、織布と、織布の両面上に形成されたフッ素樹脂層とを含む。即ち、フッ素樹脂層がトレーの内面及び外面に存在しているため、トレーの耐熱性及び離型性は優れている。
実施形態に係るトレーは、継ぎ目を有していないため、食品が継ぎ目に入り込むことを抑制することができる。それ故、トレーを再利用する場合でも衛生的である。更に、トレーの内面にフッ素樹脂層が存在しているため、食品を載せてオーブン等で加熱した場合に、トレーの表面に食品がこびりつきにくい。実施形態に係るトレーは、この点でも衛生的に優れている。
フッ素樹脂層は、第1フッ素樹脂層と第2フッ素樹脂層とを含んでいても良い。つまり、ファブリックが、織布と、織布上に形成された第1フッ素樹脂層と、第1フッ素樹脂層上に形成された第2フッ素樹脂層とを含んでいても良い。第2フッ素樹脂層は、第1フッ素樹脂層と比較して、高い耐浸透性を有し得る。第2フッ素樹脂層を含むファブリックの水蒸気透過率は25g/m2・day・mm以下であり得る。この値は、JIS K 7129-1の試験条件1(透過セルの温度:40℃、高湿度チャンバの湿度:100%、低湿度チャンバの湿度:10%)で得られた測定値を、ファブリックの厚さ(mm)で除することで得られる。
ファブリックが、織布と、織布上に形成された第1フッ素樹脂層と、第1フッ素樹脂層上に形成された第2フッ素樹脂層とを含む場合、ファブリックに対して絞り加工を施す際に、得られるトレーには割れが生じ難い。これは、以下の理由によると考えられる。まず、織布を形成しているたて糸とよこ糸との隙間(織布内とも呼ぶ)、及び、これら糸の表面上などに第1フッ素樹脂層が存在しているため、第1フッ素樹脂層は織布に対して十分な剥離強度で融着している。加えて、第1フッ素樹脂層上には、第2フッ素樹脂層が形成されており、これら層はいずれもフッ素樹脂を主に含む層であるため、互いに相溶し、高温下においても密着性が高い。それ故、ファブリックが絞り加工に供された場合に、織布と第1フッ素樹脂層とが剥離しにくく、また、第1フッ素樹脂層と第2フッ素樹脂層とが剥離しにくい。従って、ファブリックは、加えられた圧力に応じて、織布及び各フッ素樹脂層が互いから剥離すること無しに比較的柔軟に伸張することができる。その結果、加工後に得られるトレーの表面及び内部における割れを少なくすることができる。
以下、実施形態に係るトレーについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、実施形態に係るトレーの一例を示す斜視図である。図2は、図1に示すトレーを示す平面図である。図3は、図1に示すトレーを示す断面図である。図4は、図3のA部を拡大して示す拡大断面図である。
トレー10は、外縁110を有する底面部11と、底面部11の外縁110から、高さ方向に沿って延設された側壁12a、12b、12c及び12dとを備えている。本明細書においては、4つの側壁12a、12b、12c及び12dをまとめて側面部12と呼ぶことがある。底面部11及び側面部12は、例えば、底付きの筒形状を構成することができる。
底面部11の外縁110の形状は特に限定されない。底面部11の外縁110の形状は、例えば、円形であってもよく、楕円形であってもよく、3以上の角を有する多角形であってもよい。底面部11の外縁110の形状が3以上の角を有する多角形である場合、側面部の壁面(側壁)の数は、底面部11の外縁110が有する角の数と同一である。つまり、底面部11の外縁110の形状が3以上の角を有する多角形である場合、側面部全体は、3以上の角の数に応じた複数の側壁からなる。図1では、底面部11の外縁110が矩形である場合を一例として示している。この場合、トレーは、底付きの角筒形状であり、側壁の数は4である。
図1~図3に示すように、側面部12の上端121は開口している。トレー10は、図1~図3に示すように、側面部12の上端121から伸びるフランジ部13を更に備えていてもよい。フランジ部13は省略することができる。トレー10がフランジ部13を備えている場合、フランジ部13の端部がファブリックの端部である。一方、トレー10がフランジ部13を備えていない場合、図示していないが、例えば、側面部12の上端121がファブリックの端部である。ファブリックの端部は、例えば、織布及びフッ素樹脂層が切断された露出部であり、織布とフッ素樹脂層との間にはごくわずかな隙間が存在している可能性がある。このわずかな隙間に、食品が入り込んだり、食品が含む水分が染み込んだりする可能性がある。トレー10がフランジ部13を備えている場合には、ファブリックの端部に、食品及び食品が含む水分が染み込む可能性を低くすることができる。また、トレー10がフランジ部13を備えていると、加熱後のトレー10を持ち運ぶ際にフランジ部13を掴むことができるため、容易に持ち運ぶことができる。
図4は、他の例に係るトレー10を示す断面図である。フランジ部13は、下方突出部130を有していてもよい。下方突出部130は、フランジ部13の縁部において、トレー10の高さ方向に沿って、例えば、底面部11の面内方向と垂直な方向に沿って伸びている。下方突出部130は、フランジ部13の縁部の全周に亘って設けられ得る。フランジ部13が下方突出部130を有していると、例えば、トレー10を、オーブン等を使用した加熱調理に供しても、トレー10全体が変形しにくいため好ましい。
図5は、図3のA部を拡大して示す拡大断面図である。この図5を含めて、図1~5においてトレーを構成しているファブリックは、織布3と、織布3の両面上に形成されたフッ素樹脂層6とを含む。図1~5においては、フッ素樹脂層6が、織布上に形成された第1フッ素樹脂層4と、第1フッ素樹脂層上に形成された第2フッ素樹脂層5との2層を含む。
底面部11及び側面部12は、一重膜構造のファブリックからなる。言い換えると、底面部11及び側面部12は、一続きのファブリックから形成されており、ファブリックが重なっている部分を備えていない。図1~図5では、底面部11及び側面部12に加えて、フランジ部13も一重膜構造のファブリックからなる場合を示している。即ち、底面部11、側面部12及びフランジ部13は、一続きのファブリックからなる。ファブリックを構成する織布、及び、フッ素樹脂層の詳細は後述する。
底面部11は、側面部12に囲まれた空間に面する内面と、この内面の反対側に存在する外面とを有する。側面部12は、側面部12自体と向かい合っている内面と、この内面の反対側に存在する外面とを有する。例えば、図1~4では、側壁12aは、対向する側壁12cと向かい合っている内面と、この内面の反対側に存在する外面とを有する。側壁12b、12c及び12dも、同様に、内面及び外面を有する。フランジ部13は、側面部12の内面から伸びる内面、及び、この内面の反対側に存在する外面を有する。
底面部11の内面及び側面部12の内面は、トレー10の内面14を構成する。底面部11の外面及び側面部12の外面は、トレーの外面15を構成する。トレー10の内面14及び外面15には継ぎ目が存在しない。底面部11の内面、側面部12の内面、及び、フランジ部13の内面がトレー10の内面14を構成していてもよい。底面部11の外面、側面部12の外面、及び、フランジ部13の外面がトレー10の外面15を構成していてもよい。
底面部11から延設された側面部12が沿う「高さ方向」は、底面部11の内面に対して直交する方向(90°)であってもよく、直交する方向から傾斜した方向であってもよい。この高さ方向は、底面部11の内面に対して直交する方向から、例えば1°~89°の範囲内の方向に傾斜した方向であり得る。底面部11から延設された側面部12が沿う高さ方向は、トレー10の使用形態に応じて適宜変更することができる。
底面部11の内面と、側面部12の内面とで規定される曲率半径は、1.5mm以上であり得る。この曲率半径を、第1曲率半径とも呼ぶ。第1曲率半径は、例えば、図3に示す断面図において、符号R1で示される破線矢印の先端の位置における曲面の曲率半径である。第1曲率半径の上限値は特に限定されないが、例えば7mm以下である。第1曲率半径は、好ましくは2mm~3.5mmの範囲内にある。第1曲率半径が過度に小さいと、底面部11の内面及び側面部12の内面の境界付近に付着した食品を洗浄しにくくなる可能性がある。また、絞り加工によりトレー10を製造した場合に、ファブリックの割れ及びしわが生じ易くなるため好ましくない。
図1~5に示すように、底面部11の外縁110の形状が3以上の角を有する場合、トレー10はその角の数に応じた複数の側壁を備えている。隣り合う2つの側壁について、一方の側壁の内面と、他方の側壁の内面とで規定される曲率半径は、5mm以上である。この曲率半径を、第2曲率半径とも呼ぶ。第2曲率半径は、例えば、図2に示す平面図において、符号R2で示される破線矢印の先端の位置における曲面の曲率半径である。第2曲率半径の上限値は特に限定されないが、例えば30mm以下である。第2曲率半径は、好ましくは7mm~20mmの範囲内にある。第2曲率半径が過度に小さいと、トレー内面の角部に付着した食品を洗浄しにくくなる可能性がある。また、絞り加工によりトレー10を製造した場合に、ファブリックの割れ及びしわが生じ易くなるため好ましくない。
一つの態様においては、底面部11の外縁110に面した位置における第2曲率半径は、底面部11から高さ方向に向けて離れた位置における第2曲率半径と比較して小さい。例えば、2つの側壁間において規定される第2曲率半径は、これら側壁が延びる高さ方向に沿って連続的に大きくなっている。この場合、例えば、底面部11の外縁110近傍における第2曲率半径は、側面部12の上端121近傍における第2曲率半径と比較して小さい。底面部11の外縁110近傍における第2曲率半径は、例えば7mm~30mmの範囲内にあり、好ましくは7mm~20mmの範囲内にある。側面部12の上端121近傍における第2曲率半径は、例えば8mm~33mmの範囲内にあり、好ましくは8mm~23mmの範囲内にある。なお、底面部11の外縁110近傍とは、後述するように、トレーの深さH(図3も参照)を底面部11の内面から、側面部12の上端121までの高さの距離と定義した場合に、0%より大きく10%以下の高さの位置を指す。一方、側面部12の上端121近傍とは、トレーの深さHに基づいて、90%以上100%未満の高さの位置を指す。
第1曲率半径及び第2曲率半径は、いずれも、CNC(Computer Numerical Control)画像測定機又は輪郭形状測定機を用いて測定することができる。CNC画像測定機としては、例えば、株式会社ニコン製 NEXIV VMZ-R4540、及び、これと等価な機能を有する測定機を使用することができる。輪郭形状測定機としては、例えば、株式会社東京精密製 CONTOURECORD 1700SD3、及び、これと等価な機能を有する測定機を使用することができる。
底面部11及び側面部12は一続きのファブリックからなるため、これらの厚みは、互いに近い値をとる。ファブリックの厚みT(図3に示す)は、例えば0.1mm~1mmの範囲内にある。底面部11の厚みは、例えば0.1mm~1mmの範囲内にある。側面部12の厚みは、例えば0.1mm~1.5mmの範囲内にある。底面部11の厚みと側面部12の厚みとは、互いに異なっていても良い。ファブリックの厚みTは、好ましくは0.15mm~0.5mmの範囲内にある。ファブリックの厚みTがこの範囲内にあると、ファブリックからなるトレーが十分な機械的強度を持つと共に、絞り加工の際にファブリックを伸張させやすいという利点がある。ファブリックの厚みTが過度に小さいと、曲面周辺にシワが寄りやすくなるため好ましくない。
トレー10が備える各部位の寸法は、特に限定されない。トレー10が備える各部位の寸法の一例として、図2及び図3には、符号L1、符号L2、符号W1、符号W2及び符号Hを示す。図2において、符号L1は、底面部11の長辺方向の長さを表す。符号L2は、互いに向かい合う、側壁12bの上端から側壁12dの上端までの長さを表す。符号W1は、底面部11の短辺方向の長さを表す。符号W2は、互いに向かい合う、側壁12aの上端から側壁12cの上端までの長さを表す。図3において、トレー10の深さHは、底面部11の表面から、側面部12の上端までの高さの距離で表される。
ファブリックが含む織布の織組織は、例えば、平織り又は綾織りであり得る。織布は、高耐熱性繊維であることが好ましい。織布は、例えば、ガラス繊維、アルミナ繊維及びシリカ繊維からなる群より選択される少なくとも1つであり得る。これらの中でも、食品衛生的な観点、固さと強度のバランスの観点及びコストが安いという観点から、織布としてガラス繊維を使用するのが好ましい。
ガラス繊維の仕様は特に限定されないが、例えば以下に示す仕様であってよい。織布の単位面積当たりの質量は、例えば75g/m2~800g/m2の範囲内にある。織布の糸密度は、例えば10本/25mm~65本/25mmの範囲内にある。織布の縦方向の糸密度と、横方向の糸密度とは異なっていてもよい。織布の厚みは、例えば0.07mm~0.7mmの範囲内にある。糸1本のTEX番手は、例えば22g/1000m~540g/1000mの範囲内にある。
フッ素樹脂層は、織布の両面上に形成されている。フッ素樹脂層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、及び、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)からなる群より選択される少なくとも1種を含む。フッ素樹脂層は、耐熱性、耐薬品性及び機械的強度の観点からPTFEを含むことが好ましい。フッ素樹脂層は、第1フッ素樹脂層及び第2フッ素樹脂層を含むことができる。第1フッ素樹脂層は省略することができる。
第1フッ素樹脂層は、例えば織布の両面上に形成されている。織布上に形成された第1フッ素樹脂層は、織布を形成しているたて糸とよこ糸との隙間、及び、これら糸の表面上に存在し得る。織布と第2フッ素樹脂層との間に第1フッ素樹脂層が存在していることにより、織布と第1フッ素樹脂層との接着性、及び、第1フッ素樹脂層と第2フッ素樹脂層との接着性を高めることができる。それ故、フッ素樹脂層が、第1フッ素樹脂層及び第2フッ素樹脂層を含んでいると、製造されるトレーにおける割れを少なくすることができる。第1フッ素樹脂層は、無機系顔料又はカーボンブラック等を含有することにより着色していても良い。
第1フッ素樹脂層の厚みは、例えば2μm~30μmの範囲内にあり、好ましくは10μm~25μmの範囲内にある。第1フッ素樹脂層の厚みが過度に小さいと、織布と第2フッ素樹脂層との接着性を十分に高めることができず、ファブリックを絞り加工に供した際に、割れ及び層間の剥離などを生じ易くなる可能性がある。第1フッ素樹脂層の厚みが過度に大きいと、トレーを加熱調理に使用する際に、絞り加工により生じた残留応力が解放されてトレーが変形し易くなる傾向がある。
織布上に積層される第1フッ素樹脂層の表面形状は、織布の形状に影響される。第1フッ素樹脂層の厚みは、織布の形状に起因した表面の凹凸が平坦になる程度であることが好ましい。これを満たす第1フッ素樹脂層の厚みは、例えば10μm~25μm程度である。第1フッ素樹脂層の表面が平坦に近いと、第1フッ素樹脂層と第2フッ素樹脂層との接着性に優れるため好ましい。
第1フッ素樹脂層は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、及び、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)からなる群より選択される少なくとも1種を含む。第1フッ素樹脂層は、PTFEを主に含むことが好ましい。第1フッ素樹脂層は、フッ素樹脂を1種のみ含んでいても良く、2種以上のフッ素樹脂を含んでいても良い。第1フッ素樹脂層がフッ素樹脂としてPTFEを含むことにより、耐熱性、耐薬品性及び機械的強度に優れた第1フッ素樹脂層を得ることができる。第1フッ素樹脂層は、上記のように、着色剤を含んでいても良い。着色剤としては、例えば、無機系顔料及びカーボンブラックからなる群から選ばれる少なくとも1つを使用することができる。
第1フッ素樹脂層は、例えば、含浸コーティングにより織布上に形成することができる。含浸コーティングの詳細は後述する。
第2フッ素樹脂層は、第1フッ素樹脂層上に形成されている。第2フッ素樹脂層は、例えば、織布の両面上に形成された第1フッ素樹脂層の両面上に形成されている。第2フッ素樹脂層は、例えば、フッ素樹脂からなるフィルムである。第2フッ素樹脂層は、第1フッ素樹脂層と比較して高い耐浸透性を有する。第2フッ素樹脂層を含むファブリックの水蒸気透過率は、例えば25g/m2・day・mm以下である。第2フッ素樹脂層は、以下の3種類の作製方法のうちのいずれか1種類の作製方法により作製された膜からなりうる。即ち、第2フッ素樹脂層は、ペレットから加熱溶融させた状態で平ら状に押し出すことで得られる膜か、パウダーから円筒状に圧縮成型し、その後薄く切削して得られる膜からなりうる。或いは、第2フッ素樹脂層は、パウダーを液体に分散させた分散液を、織布又は第1フッ素樹脂層上に塗布して焼成した後、焼成後の膜に対して圧縮の外力を加えることで樹脂分子間にあるミクロ的な空隙を減らし耐浸透性を向上させた膜であってもよい。第2フッ素樹脂層は光透過性であってもよく、光透過性でなくてもよい。第2フッ素樹脂層が光透過性であると、第1フッ素樹脂層が着色している場合に、トレーの使用者が第1フッ素樹脂層の色を認識することができる。
第2フッ素樹脂層の厚みは、例えば8μm~150μmの範囲内にあり、好ましくは15μm~80μmの範囲内にある。第2フッ素樹脂層の厚みが過度に小さいと、絞り加工によりトレー10を製造した場合に、小さい曲率半径で曲げられた箇所の割れが生じやすくなったり、割れに至らなくてもトレー内面の一重膜構造として充分な耐浸透性を達成できなくなったりする可能性があるため好ましくない。第2フッ素樹脂の厚みが過度に大きいと、トレーを加熱調理に使用する際に、絞り加工により生じた残留応力が解放されてトレーが変形し易くなる傾向がある。
第2フッ素樹脂層は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、及び、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)からなる群より選択される少なくとも1種を含む。第2フッ素樹脂層は、PTFEを主に含むことが好ましい。第2フッ素樹脂層は、フッ素樹脂を1種のみ含んでいても良く、2種以上のフッ素樹脂を含んでいても良い。第2フッ素樹脂層がフッ素樹脂として主にPTFEを含むことにより、耐熱性、耐薬品性及び機械的強度に優れた第2フッ素樹脂層を得ることができる。第2フッ素樹脂層がPTFEを含む場合、第2フッ素樹脂層の重量に占めるPTFEの重量の割合は、例えば、70%~100%の範囲内にあり、好ましくは95%~100%の範囲内にある。
続いて、図面を参照しながら、実施形態に係るトレーの製造方法の一例を説明する。ここでは、フッ素樹脂層が第1フッ素樹脂層及び第2フッ素樹脂層を含む場合を説明する。
<ファブリックの製造>
まず、織布上に第1フッ素樹脂層が形成された積層体を形成する。図6は、織布としてのガラスクロスに、PTFEを含浸コーティングする装置及び製造ラインの一例を概略的に示す断面図である。
図中の符号30は、基材であるガラスクロス31を送り出す、送出しロールを示す。送出しロール30の下流側には、PTFE樹脂粒子の水性分散液32を満たした含浸槽33が配置されている。送出しロール30に巻かれたガラスクロス31は、ロール34aを経て含浸槽33の水性分散液32内に配置されたロール34b側に送られ、ガラスクロス31に水性分散液32が塗布される。含浸槽33の上方側には一対のドクターロール35が配置され、余分の水性分散液32が掻きとられる。ドクターロール35の上方側には、熱処理温度が夫々異なるように区切られた加熱炉7が配置されている。この加熱炉7は、下側から順に乾燥部7a,加熱処理部7b,焼成部7cの3つのブロックに区切られ、乾燥部7aから焼成部7cに向かって温度が順次高い状態の温度分布をもつように制御されている。加熱炉7の下流には、ロール34c、34d及び34eと、巻取りロール9が配置されている。
上述の構成を有する装置を用いて、以下の手順で織布上に第1フッ素樹脂層を形成する。
まず、送出しロール30に巻かれたガラスクロス31を、含浸槽33のPTFE樹脂粒子水性分散液32内に配置されたロール34b側に送り、ガラスクロス31に水性分散液32を塗布する。次に、一対のドクターロール35によりガラスクロス31の表面に塗布された余分の水性分散液32を掻きとる。続いて、PTFE樹脂が塗布されたガラスクロス31を加熱炉7の乾燥部7aに送り、塗布されたPTFE樹脂を100℃以下の温度で乾燥して水性分散液32中の水分を蒸発させる。次に、ガラスクロス31を加熱処理部7bに送り、例えば305℃でゆっくり加熱処理して水性分散液32中の界面活性剤、添加剤、バインダー等を除去する。
続く焼成部7cでは、焼成を行ってもよく、行わなくてもよい。焼成部7cでの焼成を行う場合、その焼成温度はPTFE樹脂の融点以上の温度とする。焼成部7cを通過した積層体8は、ロール34c、34d及び34eを経て、巻取りロール9に巻き取られる。こうして、織布上に第1フッ素樹脂層が形成された積層体が得られる。
ここで、「乾燥」とは、塗布されたPTFE樹脂水性分散液中の水分を100℃以下の温度で蒸発させる工程であることが好ましい。また、「加熱処理」とは、塗布されたPTFE樹脂粒子水性分散液中の界面活性剤、添加剤、バインダー等のPTFE樹脂以外の成分を所定の温度範囲で処理して除去する工程であることが好ましい。加熱処理の温度範囲は305℃以上340℃未満であることが好ましい。
次に、得られた積層体が備える第1フッ素樹脂層上に、第2フッ素樹脂層を積層させる。第1フッ素樹脂層を省略する場合には、織布上に第2フッ素樹脂層を積層させてもよい。但し、織布及び第1フッ素樹脂層のみからなるファブリックを用いて、後述する絞り加工を実施すると、ファブリックが裂けやすいため好ましくない。
第2フッ素樹脂層を積層させる方法の一例として、第1フッ素樹脂層上にPTFEフィルムを熱ラミネートする方法が挙げられる。即ち、ここでは、第2フッ素樹脂層としてPTFEフィルムを使用する。PTFEフィルムは、例えば、懸濁重合で得られたふっ素樹脂モールディングパウダーを50MPaで円筒状に圧縮成型し、350~420℃で焼成した後、切削加工することで得ることができる。第2フッ素樹脂層としては、PTFEフィルムのみならず、PFAフィルム又はFEPフィルムを使用することもできる。
熱ラミネートは、例えば、以下の方法で実施することができる。
まず、上記で作製した積層体及びPTFEフィルムを、所望の寸法に切断する。次いで、これらをロールラミネーターを使用して貼り合わせる。この貼り合わせは、ロール温度を360℃~420℃の範囲内、線圧を20N/cm~60N/cmの範囲内、且つ、ロールスピードを1m/min~4m/minの範囲内という条件で行う。このような条件でラミネートを行うことにより、第1フッ素樹脂層と第2フッ素樹脂層が全面にわたって充分に密着するため、その後に続くトレー製造時の加熱によって剥離することを抑制することができる。
ロール温度は、上述したように、例えば360℃~420℃であり、好ましくは380℃~400℃である。ロール温度が360℃より低いと融着不良を起こす可能性があり、420℃超では、PTFEが分解するため好ましくない。
線圧は、上述したように、例えば20N/cm~60N/cmであり、好ましくは30N/cm~40N/cmである。線圧が20N/cmより低いと融着不良を起こす可能性がある。
ロールスピードは、上述したように、例えば0.5m/min~4m/minである。ロールスピードが0.5m/minより低いと生産効率が悪く、4m/minより高いと融着不良が発生する可能性がある。
<トレーの製造>
図7~10を参照しながら、上述の方法で作製したファブリックを利用して、図1に示すトレーを製造する方法の一例を説明する。トレーは、1枚のファブリックを絞り加工に供することにより、立体的な形状に加工したものである。それ故、トレーは、一重膜構造のファブリックからなる。なお、図7~10は、トレーの製造方法の各工程について、ファブリック及び金型などの断面図を示している。
まず、図7に示すように、ファブリック100を凹状金型20上に配置する。ファブリック100の形状は特に限定されないが、例えば、正方形、矩形又は円形のファブリックを使用する。凹状金型20は、凹部200と、平坦部201とを有している。凹状金型20が有する凹部200の形状及び寸法は、目的とするトレーの形状に応じて変更することが好ましい。凹状金型20が有する凹部200の形状は、例えば、立方体、直方体又は円柱形状である。
次に、図8に示すように、凹状金型20の平坦部201と、ファブリック100の外周部分とを固定する。この固定は、固定用治具22a及び22bなどを用いて行う。治具による固定が緩いと、後述する絞り工程においてファブリック100が治具から抜ける可能性がある。それ故、ファブリック100を凹状金型20の平坦部201に強く固定することが好ましい。
続いて、図9に示すように、凸部210を有する凸状金型21を準備する。凸状金型21が有する凸部210の形状は、凹状金型20が有する凹部200の形状と同一であることが好ましい。また、凸状金型21が有する凸部210の寸法は、凹状金型20が有する凹部200の寸法よりも小さいことが好ましい。凸部210が有する縁部211の曲率半径は、目的とするトレーの第1曲率半径と同一であることが好ましい。つまり、凸部210が有する縁部211の曲率半径を適宜変更することにより、製造されるトレーの第1曲率半径を制御することができる。
次いで、凸状金型21を260℃~390℃まで加熱する。なお、凸状金型21の温度は、ファブリック100を構成しているフッ素樹脂の融点、及び、ファブリック100の厚み等に応じて適宜変更することができる。その後、絞り工程として、凸状金型21の温度を維持したまま、ファブリック100を介して凸部210が凹状金型20の凹部200に入り込むように、凸状金型21をファブリック100に対して徐々に押し当てる。こうすると、ファブリック100は、凸部210の形状に沿うように徐々に伸張する。ファブリック100を徐々に伸張することにより、製造されるトレー10における割れ及びシワの発生を抑制することができる。製造されるトレーの割れ及びシワが少ないと、食品が割れ及びシワに入り込むのを防ぐことができるため好ましい。
図10に示すように、凸状金型21の凸部210の全面が、ファブリック100を介して凹状金型20の凹部200に接触したら、凸状金型21の加熱を停止する。この状態で、凸状金型21、凹状金型20及びファブリック100を室温まで冷却すると、伸張したファブリック100の形状が固定されて、図1に示すトレー10が得られる。
実施形態に係るトレーは、オーブンでの加熱調理用に好適に用いられる。実施形態に係るトレーは、耐熱性に優れているため、例えば200℃~280℃の範囲内の温度の加熱調理を繰り返し行ったとしても、トレーが変形しにくい。トレーは、クッキング用トレー又はクッキング用シートとして使用することができる。実施形態に係るトレーを、金属製トレーに載せて加熱調理に供することもできる。或いは、遠赤外線を熱源として利用した調理の際に、金属製の鍋の代わりに簡易的な鍋として、実施形態に係るトレーを用いることができる。実施形態に係るトレーは、耐熱性及び離型性に優れると共に、継ぎ目が無いため、食品が継ぎ目に入り込むのを抑制することができる。
[実施例]
以下に実施例を説明するが、実施形態は、以下に記載される実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
織布として、ガラスクロスを準備した。このガラスクロスは、単位面積当たりの質量が195g/m2であり、縦方向の糸密度が40本/25mmであり、横方向の糸密度が30本/25mmであり、縦糸及び横糸のTEX番手はいずれも、68g/1000mであった。
ガラスクロスを所定の大きさに裁断し、図6を参照しながら説明した含浸コーティングを複数回繰り返した。塗布液としては、PTFE樹脂粒子及びカーボンブラックが分散した水性分散液を使用した。この水性分散液におけるPTFE樹脂の固形分濃度は、58wt%であった。含浸コーティングを繰り返すことにより、ガラスクロス上に第1フッ素樹脂層が形成された積層体を得た。この積層体は、ガラスクロスの両面上に第1フッ素樹脂層を有しており、積層体の厚みは、約240μmであった。
次に、厚みが約25μmのPTFEフィルム(中興化成工業株式会社製)を、第1フッ素樹脂層の両面上に積層し、ロール温度400℃、線圧30N/cm、ロールスピード0.5m/minの条件で熱ラミネートを行った。その結果、第1フッ素樹脂層の両面上に第2フッ素樹脂層が形成されたファブリックが得られた。第1フッ素樹脂層が着色剤としてカーボンブラックを含んでいるため、このファブリックは黒色に着色されていた。
得られたファブリックに対して、図7~10を参照しながら説明した方法で絞り加工を施して、図1~3に示す形状を有するトレーを製造した。但し、製造したトレーのフランジ部は、その全周に亘って図4において説明した下方突出部を有していた。このトレーは、底面部と、底面部から、高さ方向に沿って延設された側面部とを備えた一重膜構造のファブリックからなっていた。このトレーは、側面部の上端から伸びるフランジ部を更に備えていた。
製造したトレーについて、図2及び図3を参照しながら各部位の寸法を説明する。底面部の長辺方向の長さL1は255mmであった。互いに向かい合う、短辺側側壁の上端から、もう一方の短辺側側壁の上端までの長さL2は、261mmであった。底面部の短辺方向の長さW1は217mmであった。互いに向かい合う、長辺側側壁の上端から、もう一方の長辺側側壁の上端までの長さW2は、223mmであった。ファブリックの厚みTは、0.29mmであった。トレーの深さHは、10mmであった。
輪郭形状測定機(株式会社東京精密製 CONTOURECORD 1700SD3)を用いて、底面部の内面と側面部の内面とで規定される第1曲率半径を測定したところ、2.5mmであった。また、CNC画像測定機(株式会社ニコン製 NEXIV VMZ-R4540)を用いて、隣り合う2つの側壁の内面で規定される第2曲率半径を測定した。底面部11の外縁110近傍における第2曲率半径は、7.2mmであった。なお、側面部12の上端121近傍において、隣り合う2つの側壁の内面で規定される曲率半径は、8.1mmであった。
実施例1に係るトレーは、継ぎ目及び割れ(裂け)を有していなかった。このトレーに食品を載せて、280℃の設定温度で60分間に亘り、調理用オーブンを用いて加熱調理を行った。280℃という高温の加熱調理後においてもトレーからの食品の離型性は良好であり、トレーはほぼ変形しなかった。即ち、実施例1に係るトレーは耐熱性及び離型性に優れると共に、継ぎ目を有していなかった。
(実施例2)
以下に説明するように、トレーにおける各部位の寸法(図2も参照のこと)を異ならせると共に、下方突出部の形成を省略したことを除いて、実施例1と同様の方法で実施例2に係るトレーを作製した。
この実施例2に係るトレーにおいて、底面部の長辺方向の長さL1は265mmであった。互いに向かい合う、短辺側側壁の上端から、もう一方の短辺側側壁の上端までの長さL2は、269mmであった。底面部の短辺方向の長さW1は227mmであった。互いに向かい合う、長辺側側壁の上端から、もう一方の長辺側側壁の上端までの長さW2は、231mmであった。ファブリックの厚みTは、0.29mmであった。トレーの深さHは、10mmであった。
このトレーについて、輪郭形状測定機(株式会社東京精密製 CONTOURECORD 1700SD3)を用いて、底面部の内面と側面部の内面とで規定される第1曲率半径を測定したところ、3.5mmであった。また、CNC画像測定機(株式会社ニコン製 NEXIV VMZ-R4540)を用いて、隣り合う2つの側壁の内面で規定される第2曲率半径を測定した。底面部11の外縁110近傍における第2曲率半径は、9.5mmであった。なお、側面部12の上端121近傍において、隣り合う2つの側壁の内面で規定される曲率半径は、12.5mmであった。
実施例2に係るトレーは、継ぎ目及び割れを有していなかった。このトレーに食品を載せて、280℃の設定温度で60分間に亘り、調理用オーブンを用いて加熱調理を行った。280℃という高温の加熱調理後においてもトレーからの食品の離型性は良好であり、トレーはほぼ変形しなかった。即ち、実施例2に係るトレーは耐熱性及び離型性に優れると共に、継ぎ目を有していなかった。
(実施例3)
第2フッ素樹脂層を省略したことを除いて、実施例1と同様の方法で実施例3に係るトレーを作製した。
実施例3に係るトレーは、継ぎ目を有していなかったが、絞り加工により引き延ばされたトレー内面のエッジ部分の一部において、微小な裂けが生じた。但し、このトレーに食品を載せて、280℃の設定温度で60分間に亘り、調理用オーブンを用いて加熱調理を行ってもトレーはほぼ変形しなかった。また、加熱調理後においてもトレーからの食品の離型性は良好であった。即ち、実施例3に係るトレーは耐熱性及び離型性に優れると共に、継ぎ目を有していなかった。
(比較例1)
まず、実施例1と同様の方法で、第1フッ素樹脂層の両面上に第2フッ素樹脂層が形成されたファブリックを得た。このファブリックを折りたたんで熱処理することにより、ファブリックが二重に積層された部分を含む、上面が開口した直方体形状を有するトレーを作製した。
このトレーについて、輪郭形状測定機(株式会社東京精密製 CONTOURECORD 1700SD3)を用いて、底面部の内面と側面部の内面とで規定される第1曲率半径を測定したところ、2.0mmであった。また、CNC画像測定機(株式会社ニコン製 NEXIV VMZ-R4540)を用いて、隣り合う2つの側壁の内面で規定される第2曲率半径を測定した。底面部11の外縁110近傍における第2曲率半径は、0.1mmであった。なお、側面部12の上端121近傍において、隣り合う2つの側壁の内面で規定される曲率半径は、1.0mmであった。
比較例1に係るトレーに食品を載せて、280℃の設定温度で60分間に亘り、調理用オーブンを用いて加熱調理を行った。280℃という高温の加熱調理後においてもトレーからの食品の離型性は良好であり、トレーはほぼ変形しなかった。しかしながら、比較例1に係るトレーは、ファブリックが積層されている部分を有していた。つまり、比較例1に係るトレーは一重膜構造ではなく、継ぎ目を有していた。このようなトレーに食品を載せて、加熱調理を繰り返し行った場合、例えば食品が継ぎ目及び/又は角部に入り込む可能性が高い。そして、食品が継ぎ目及び/又は角部に入り込んだ場合、これを洗浄するのが困難であると考えられるため好ましくない。
(比較例2)
第1曲率半径を0.5mmとし、側面部12の上端121近傍において、隣り合う2つの側壁の内面で規定される曲率半径を1.0mmとしたことを除いて、比較例1と同様の方法で比較例2に係るトレーを作製した。
比較例2に係るトレーに食品を載せて、280℃の設定温度で60分間に亘り、調理用オーブンを用いて加熱調理を行った。280℃という高温の加熱調理後においてもトレーからの食品の離型性は良好であり、トレーはほぼ変形しなかった。しかしながら、比較例2に係るトレーは、ファブリックが積層されている部分を有していた。つまり、比較例2に係るトレーは一重膜構造ではなく、継ぎ目を有していた。このようなトレーに食品を載せて、加熱調理を繰り返し行った場合、例えば食品が継ぎ目及び/又は角部に入り込む可能性が高い。そして、食品が継ぎ目及び/又は角部に入り込んだ場合、これを洗浄するのが困難であると考えられるため好ましくない。
なお、上述したように、実施例1及び2で製造したトレーも、実施例3で製造したトレーも、実用的なトレーとして使用することは可能であった。しかしながら、裂けが生じなかったという点で、実施例1及び2で製造したトレーは、実施例3で製造したトレーと比較して優れていた。つまり、フッ素樹脂層は、織布の両面上に形成された第1フッ素樹脂層のみならず、トレー両面の第1フッ素樹脂層上に形成された第2フッ素樹脂層を含んでいることが好ましい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載した発明を付記する。
[1] 底面部と、前記底面部から、高さ方向に沿って延設された側面部とを備えたトレーであって、
前記底面部及び前記側面部は、一重膜構造のファブリックからなり、
前記ファブリックは、織布と、前記織布の両面上に形成されたフッ素樹脂層とを含むトレー。
[2] 前記ファブリックの水蒸気透過率は25g/m
2
・day・mm以下である[1]に記載のトレー。
[3] 前記底面部の内面と前記側面部の内面とで規定される第1曲率半径は、1.5mm以上である[1]又は[2]に記載のトレー。
[4] 前記底面部が有する外縁は、3以上の角を有する多角形であり、
前記側面部は、前記3以上の角の数に応じた複数の側壁を備えており、
隣り合う2つの前記側壁について、一方の前記側壁の内面と、他方の前記側壁とで規定される第2曲率半径は、5mm以上である[1]~[3]の何れか1項に記載のトレー。
[5] 前記フッ素樹脂層は、前記織布上に形成された第1フッ素樹脂層と、前記第1フッ素樹脂層上に形成された第2フッ素樹脂層とを含み、
前記第1フッ素樹脂層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、及び、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)からなる群より選択される少なくとも1種を含む[1]~[4]の何れか1項に記載のトレー。
[6] 前記第2フッ素樹脂層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、及び、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)からなる群より選択される少なくとも1種を含む[5]に記載のトレー。
[7] 前記織布は、ガラス繊維、アルミナ繊維及びシリカ繊維からなる群より選択される少なくとも1つである[1]~[6]の何れか1項に記載のトレー。
[8] 前記ファブリックは、0.1mm~1mmの厚みを有する[1]~[7]の何れか1項に記載のトレー。
[9] 前記ファブリックが二枚以上重なっている部分を備えていない[1]~[8]の何れか1項に記載のトレー。
[10] オーブンでの加熱調理用に使用される[1]~[9]の何れか1項に記載のトレー。