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JP7287166B2 - バルブ制御装置および真空バルブ - Google Patents
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Description

本発明は、バルブ制御装置および真空バルブに関する。
CVD装置等の真空処理装置では、プロセスチャンバと真空ポンプとの間に調圧用の真空バルブを設け(例えば、特許文献1参照)、真空バルブの開度を制御してチャンバ圧力を所定圧力に自動調整するようにしている。特許文献1に記載の真空バルブでは、圧力目標値近傍までオープン制御による粗調整を行い、さらにクローズ制御に切り替えて圧力目標値まで微調整にて追い込むようにしている。
特開2018-106718号公報
ところで、特許文献1に記載の発明では、オープン制御中に開度が固定状態となった際に、予測圧Ppが圧力目標値Psを越える(Pp>Ps)か越えない(Pp≦Ps)かの判定をしている。しかし、予測圧Ppが圧力目標値Psを越えないことの判定については、予測圧Ppが上昇傾向にある段階では、予測圧Ppが圧力目標値Psを越えないことを見極めるのは難しい。その結果、調圧時間が必要以上に長くなるという問題があった。
本発明の第1の態様によるバルブ制御装置は、真空チャンバに装着される真空バルブの開度を、オープン制御により制御するバルブ制御装置において、オープン制御の開度設定値を出力する開度設定部と、前記開度設定値が一定値となる固定期間内の所定期間において、前記一定値の場合の圧力平衡値がバルブ制御の圧力目標値を越えないことを判定する第1の判定部と、前記第1の判定部の判定結果に基づいて前記開度を制御する開度制御部と、を備える。
本発明の第2の態様による真空バルブは、弁体と、前記弁体を駆動する弁体駆動部と、前記弁体駆動部を制御して前記弁体の開度を制御する前記バルブ制御装置と、を備える。
本発明によれば、調圧時間の短縮化を図ることができる。
図1は、真空処理装置に装着された真空バルブの概略構成を示すブロック図である。 図2は、真空バルブおよびバルブ制御装置の機能ブロック図である。 図3は、オープン制御における調圧ロジックを説明する図である。 図4は、オープン制御による点(θr、Pr)の軌跡の一例を示したものである。 図5は、圧力計測値Prと予測圧Ppとの関係を説明する図であって、Pe(θr)>Psの場合を示す。 図6は、圧力計測値Prと予測圧Ppとの関係を説明する図であって、Pe(θr)<Psの場合を示す。 図7は、「越える」および「全く越えない」場合の予測圧Ppによる判定条件と、その時の開度関係および圧力関係を示す図である。 図8は、開度θと実効排気速度Seとの関係の一例を示す図である。 図9は、開度設定θ1を値θ1_fixに固定した場合の圧力(圧力計測値Prおよび予測圧Pp)、指標信号β、開度設定θ1の推移を示す図である。 図10は、「越える」および「全く越えない」場合の指標信号βによる判定条件と、その時の開度関係および圧力関係を示す図である。 図11は、予測圧Ppおよび指標信号βを併用した場合の、制御処理の一例を示すフローチャートである。 図12は、アップケースにおける圧力計測値Pr、指標信号β、開度設定θ1,θ2の推移を示す図である。 図13は、比較例を示す図である。 図14は、変形例1を説明するためのフローチャートである。 図15は、変形例1におけるアップケースを説明する図である。 図16は、変形例2を説明するためのフローチャートである。 図17は、変形例3を説明するためのフローチャートである。
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は、真空処理装置に装着された真空バルブの概略構成を示すブロック図である。真空バルブは、弁体12が設けられたバルブ本体1と、弁体駆動を制御するバルブ制御装置2とから構成される。バルブ本体1は、真空チャンバ3と真空ポンプ4との間に装着されている。真空チャンバ3には、流量コントローラ32を介してプロセスガス等のガスが導入される。流量コントローラ32は真空チャンバ3に導入されるガスの流量Qinを制御する装置であり、真空チャンバ3が設けられている真空処理装置のメインコントローラ(不図示)により制御される。真空チャンバ3内の圧力(チャンバ圧力)は真空計31によって計測され、その圧力計測値Prはバルブ制御装置2に入力される。
バルブ本体1には、弁体12を開閉駆動するモータ13が設けられている。弁体12は、モータ13により開閉駆動される。モータ13には、弁体12の開閉角度を検出するためのエンコーダ130が設けられている。エンコーダ130の検出信号は、弁体12の開度信号θr(以下では、開度計測値θrと称することにする)としてバルブ制御装置2に入力される。
バルブ本体1を制御するバルブ制御装置2は、調圧制御器21、モータ駆動部22および記憶部23を備えている。バルブ制御装置2には、上述した圧力計測値Prおよび開度計測値θrに加えて、上述した真空処理装置のメインコントローラから真空チャンバ3の圧力目標値Psが入力される。記憶部23には、バルブ制御に必要なパラメータ(例えば、後述する実効排気速度SeやプラントゲインGp等に関するデータ)が記憶される。モータ駆動部22はモータ駆動用のインバータ回路とそれを制御するモータ制御部と備え、エンコーダ130からの開度計測値θrが入力される。調圧制御器21には、真空計31で計測されたチャンバ圧力Prが入力されると共に、上述した真空処理装置のメインコントローラから真空チャンバ3の目標圧力Psが入力される。
バルブ制御装置2は、例えば、CPU,メモリ(ROM,RAM)および周辺回路等を有するマイコン等の演算処理装置を備え、ROMに記憶されているソフトウェアプログラムにより、調圧制御器21およびモータ駆動部22のモータ制御部の機能を実現する。記憶部23はマイコンのメモリにより構成される。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のデジタル演算器とその周辺回路により構成しても良い。
図2は、バルブ本体1およびバルブ制御装置2の機能ブロック図である。調圧制御器21は、推定演算部210、フィードフォワード制御器220およびフィードバック制御器230を備えている。エンコーダ130で検出された開度計測値θrは、モータ駆動部22および推定演算部210に入力される。
本実施の形態においても、上述した特許文献1の発明と同様に、圧力目標値近傍までオープン制御による粗調整を行い、さらにクローズ制御に切り替えて圧力目標値まで微調整にて追い込む。調圧制御器21において、推定演算部210およびフィードフォワード制御器220がオープン制御部に相当し、偏差ε(=Pr-Ps)を生成する減算器およびフィードバック制御器230がクローズ制御部に相当する。
オープン制御部の推定演算部210には、圧力計測値Pr、圧力目標値Psおよび開度計測値θrが入力される。推定演算部210は、圧力計測値Pr、圧力目標値Psおよび開度計測値θrに基づいて、目標開度推定値θse、予測圧Pp、および圧力計測値Prの変化傾向を表す指標信号βを演算する。一般に、弁体開度を一定の値に固定しても、チャンバ圧力がその弁体開度に対応する圧力平衡値に到達するまでにはある程度の時間を要する。そして、予測圧Ppは、圧力計測値Prが計測された時点からt秒経過後の圧力推定値である。なお、予測圧Ppの推定方法については前述した特開2018-106718号公報に詳述されており、ここでは説明を省略する。また、目標開度推定値θse、指標信号βの演算方法については後述する。
オープン制御部のフィードフォワード制御器220は、目標開度推定値θse、指標信号βに基づいて開度設定θ1を出力する。また、クローズ制御部のフィードバック制御器230は、偏差ε=Pr-Psに基づいて開度設定θ2を出力する。出力された開度設定θ1と開度設定θ2とは加算されて、その加算結果が開度設定θsetとしてモータ駆動部22に入力される。モータ駆動部22は、開度設定θsetとエンコーダ130から入力された開度計測値θrとに基づいてモータ13を駆動する。
後述するように、本実施の形態では、オープン制御中における予測圧Ppを用いた判定と、開度設定θ1が固定されたときの圧力平衡値に関する指標信号βを用いた判定とを併用する。予測圧Ppを用いた判定は、図3に示す調圧ロジックに従って行われる。以下では、先ず図3の予測圧Ppによる調圧ロジックを説明し、その後、指標信号βの設定方法および指標信号βによる判定方法について説明する。
図3に示す座標系は、点(θse、Ps)を原点とする座標系θ-Pである。目標開度推定値θseは、圧力目標値Psにおける弁体12の開度を推定演算したものである。このような座標系θ-Pにおいて、点(θr、Pr)が第1~4象限のいずれにあるか、および、予測圧Ppと圧力目標値Psとの大小関係に基づいて、開度θを開方向および閉方向のいずれに制御するかを決定する。
開度変更前の点(θr、Pr)が第2象限および第4象限にある場合には、開度θを開度目標推定値θseの方向に調整する。その結果、圧力計測値Prが圧力目標値Psの方向に変化する。すなわち、第2象限の場合は圧力が減少し、第4象限の場合には圧力が上昇する。制御開始の起点は第2または第4象限のいずれかであり、起点の圧力Psttから圧力が上昇するアップケースの場合は第4象限、起点の圧力Psttから圧力が降下するダウンケースの場合は第2象限となる。
一方、開度変更前の点(θr、Pr)が第1象限および第3象限にある場合には、予測圧Ppと圧力目標値Psとの大小関係に応じて開度調整の方向を設定する。第1象限では、Pp>Psのように予測圧Ppが圧力目標値Psよりも大きい場合には、開度を大きくする方向(右向きの矢印で示す方向)に開度調整を行うか、あるいは円50で示すように開度値をそのまま維持する。逆に、Pp≦Psである場合には、開度を小さくする方向(左向きの矢印で示す方向)に開度調整を行う。第3象限では、Pp>Psの場合には開度を大きくする方向(右向きの矢印で示す方向)に開度調整を行う。逆に、Pp≦Psである場合には、開度を小さくする方向(左向きの矢印で示す方向)に開度調整を行うか、あるいは円50で示すように開度値をそのまま維持する。
図4は、制御開始の起点の座標(θr、Pr)が点A1,B1のように第4象限にある場合の、オープン制御による点(θr、Pr)の軌跡の一例を示したものである。起点が点A1の例では、オープン制御による開度変更により目標開度推定値θseの近傍の点A2へ移動する。圧力計測値Prが目標開度推定値θseの近傍になったならば、クローズ制御が行われる。
起点が点B1の例では、オープン制御による開度変更によりの第3象限の点B2に移動する。ここでは、点B2に移動した時に推定演算される予測圧PpがPp≦Psであって、弁体12の開度は点B2の位置の開度に維持される。開度を維持している間においても圧力計測値Prおよび推定演算される予測圧Ppは上昇を続け、点(θr、Pr)の位置は上方に移動する。そして、点B3まで移動した時点で予測圧PpがPp>Psとなり、開度が大きくなる方向へ変更される。その結果、開度変更により目標開度推定値θseの近傍の点B4へ移動する。圧力計測値Prが目標開度推定値θseの近傍になったならば、クローズ制御が行われる。
オープン制御によって最終的に開度計測値θrが目標開度推定値θseになると、図2のフィードフォワード制御器220から出力される開度設定θ1はその値に固定されたまま、オープン制御からクローズ制御へと切り替わる。クローズ制御へと切り替わると図2の減算点には圧力目標値Psが入力され、フィードバック制御器230は偏差ε=Pr-Psに基づいて開度設定θ2を出力する。通常、フィードバック制御器230は、比例ゲイン、積分ゲイン(所謂PIゲイン)で構成される。モータ駆動部22は、開度設定θset=θ1(固定)+θ2に基づいて開度を制御する。開度計測値θrは、弁体12が高速で動いていない限りθr=θ1+θ2となる。
なお、クローズ制御開始までは、減算点には圧力目標値Psの代わりに圧力計測値Prが入力されるように構成されている。そのため、オープン制御の際には圧力偏差ε=0がフィードバック制御器230に入力されることになり、開度設定θ2=0がフィードバック制御器230から出力される。
ところで、図3のロジックにおける予測圧Ppは、前述したように現在からt秒経過後(例えば、t=0.4秒のように制御サイクルよりも長い時間)のチャンバ圧力の推定値である。図4に示したB1→B2→B3→B4の制御例では、B3の時点で予測圧Ppが圧力目標値Psを越え(すなわち、Pp>Ps)、弁体開度が目標開度推定値θse方向へ変更されて点B4へと移動している。
図5は圧力計測値Prと予測圧Ppとの関係を示す図であり、横軸は時間を表し、縦軸は圧力を表している。ラインL1,L2は、弁体開度を点B2における開度計測値θrに固定した場合の圧力計測値Prおよび予測圧Ppの時間的な推移を示したものである。予測圧Ppは圧力計測値Prを計測した時点からt秒経過後の予測圧力なので、ラインL2は圧力計測値PrのラインL1よりも上側にズレている。点B2の時点では、予測圧Ppは圧力目標値Psに対してPp<Psとなっている。
しかし、時間の経過とともに圧力計測値Prが平衡状態の圧力方向に上昇すると、それに伴って予測圧Ppも上昇し、点B3の時点で予測圧Ppが圧力目標値Psを越える。開度計測値θrに固定した状態でさらに時間が経過すると圧力計測値Prも圧力目標値Psを越え、さらに十分な時間が経過すると、圧力計測値Prは、開度計測値θrにおける圧力平衡値(平衡状態の圧力値)Pe(θr) に収束する。平衡状態においては予測圧PpもPe(θr) に収束する。
このことから、開度計測値θrは圧力目標値Psに対応する開度よりも小さく、弁体開度を大きくする方向へ再調整する必要がある。予測圧Ppを用いることで、実際の圧力計測値Prが圧力目標値Psを越える前の時点、すなわち、予測圧PpがPp>PsとなったタイミングB3において、再調整必要と判断することが可能である。
一方、図4に示したA1→A2の制御例では、予測圧Ppは圧力目標値Psを越えない。この場合、予測圧Ppが圧力目標値Psを越えないことをどの時点で判断すれば良いのか、あいまいとなる。例えば、予測圧Ppの圧力上昇速度がほぼゼロとなった時点であれば、予測圧Ppが圧力目標値Psを越えないことを判定可能であるが、圧力上昇速度がほぼゼロとなるのを見極めるためには長い時間を要する。そのため、調圧時間が必要以上に長くなるという問題がある。ところで、A1→A2のような制御例は目標開度推定値θseの演算誤差が小さい場合は稀なケースである。しかし、目標開度推定値θseの演算誤差が大きく、その結果、真の目標開度θsより大きい方向へ乖離している場合には、しばしば見られるケースである。特にガス種(分子量)およびガス流量が大きく異なるケース同士では差異が大きくなることがわかっている。
一般に目標開度推定値θseの演算誤差は避けられず、圧力目標値Psに対する真の目標開度θsよりも大きい方へと乖離していた場合、図6に示すように圧力計測値Prの圧力平衡値(平衡状態の圧力値)Pe(θr)はPe(θr)<Psとなる。この場合、圧力平衡値Pe(θr)は圧力目標値Psに対して図示下方に乖離しており、予測圧Ppは圧力目標値Psを全く越えないことになる。
図4では、圧力目標値Psが調圧開始時の圧力Psttよりも高いアップケースの場合を示したが、圧力目標値Psが調圧開始時の圧力Psttよりも低いダウンケースの場合においても、予測圧Ppが圧力目標値Psを越える場合と、全く越えない場合とが生じる。ダウンケースの場合はPs<Psttであるので、予測圧Ppが圧力目標値Psを「越える」とはPp<Psとなる場合であって、「全く越えない」とはPp>Psとなる場合である。そして、予測圧Ppが圧力目標値Psを全く越えない場合には、上述したように予測圧Ppが圧力目標値Psを全く越えないことの判断があいまいとなり、調圧時間が必要以上に長くなるという問題が生じる。
上述した「越える」、「全く越えない」場合の予測圧Ppによる判定条件と、その時の開度関係および圧力関係をまとめると、図7のようになる。図7における開度θ1_1は、オープン制御期間の予測判定されたタイミングにおける開度設定θ1であり、Pe(θ1_1)は開度θ1_1における圧力平衡値である。なお、予測判定タイミングは開度θが一定に固定されたタイミングに設定される。また、目標開度推定値θseは真の目標開度θsと誤差を有することを前提に関係を記した。
アップケース(Pstt<Pr)において、予測圧Ppが圧力目標値Psを「越える(Pp>Ps)」状況では、点(θr=θ1_1、Pr)は図4の点B2のように第3象限にあり、θ1_1≦θseのように設定される開度θ1_1はθ1_1<θsとなっている。すなわち、θ1_1≦θse<θsであって、圧力関係はPstt<Pr<Ps<Pe(θse)≦Pe(θ1_1)となっている。
アップケース(Pstt<Pr)において、予測圧Ppが圧力目標値Psを「全く越えない(Pp<Ps)」状況では、点(θr=θ1_1、Pr)は図4の点A2のように第4象限にあり、θ1_1≧θseのように設定される開度θ1_1はθ1_1>θsとなっている。すなわち、θ1_1≧θse>θsであって、圧力関係はPstt<Pr<Pe(θ1_1)≦Pe(θse)<Psとなっている。
ダウンケース(Pstt>Pr)において、予測圧Ppが圧力目標値Psを「越える(Pp<Ps)」状況では、θ1_1≧θseのように設定される開度θ1_1はθ1_1>θsとなっている。すなわち、θ1_1≧θse>θsであって、圧力関係はPe(θ1_1)≦Pe(θse)<Ps<Pr<Psttとなっている。
ダウンケース(Pstt>Pr)において、予測圧Ppが圧力目標値Psを「全く越えない(Pp>Ps)」状況では、θ1_1≦θseのように設定される開度θ1_1はθ1_1<θsとなっている。すなわち、θ1_1≦θse<θsであって、圧力関係はPs<Pe(θse)≦Pe(θ1_1)<Pr<Psttとなっている。
(指標信号βの導入)
本実施の形態では、指標信号βは次式(1)で定義される。真空チャンバ3の圧力計測値Prについては、次式(2)で表される排気の式が成立しており、指標信号βの分子(dPr/dt)は排気の式に基づく量である。
β=(dPr/dt)/(Ps-Pr) …(1)
V×(dPr/dt)+Se×Pr=Qin …(2)
式(2)において、右辺のQinは真空チャンバ3への導入ガス流量である。式(2)の左辺において、Vは真空チャンバ3の容積、dPr/dtは圧力計測値Prの時間微分、Seは真空チャンバ3の排気に関する真空排気系の実効排気速度である。実効排気速度Seは、チャンバ構造および弁体12の開度θrにより決まるコンダクタンスと、真空ポンプ4の排気速度とで決まる量である。弁体12の開度θと実効排気速度Seとの関係は、一般的に図8に示すような単調増加の関係にある。
通常、真空バルブを真空チャンバ3に装着して使用する際には、実効排気速度Seに関する初期校正操作、すなわち弁体制御に関する初期校正操作が行われる。一般に、適用するプロセス条件の代表的なガス、あるいは平均的なガス条件(ガス種、ガス流量)にした状態にて、真空チャンバ3の容積、弁体の感度等に応じて制御器のゲイン校正が行われる。平均的な条件としては、例えば、混合ガスの平均分子量を求め、取扱が比較的容易なガス種で代用されることが多い。
真空バルブが装着される真空チャンバ3における半導体プロセスは、真空チャンバ3へ導入されるガス種、ガス流量Qin、圧力目標値Psの種々の条件が所定時間ごとに変更される多数の調圧イベントから構成される。各調圧イベントでは、開始直後に流量コントローラ32(図1参照)にてガス流量が所定流量値に収束され、並行して、弁体開度を調整して実効排気速度Seを制御することでチャンバ圧力(圧力計測値Pr)が圧力目標値Psへ収束される。
一般に、流量コントローラ32による流量制御収束完了タイミングは、真空バルブによる圧力制御収束完了タイミングより早い。さらに、本実施の形態におけるオープン制御時の予測判定タイミングにおいても、流量値はほぼ収束していると考えて良い。すなわち、ガス流量Qinは一定の流量値Qin0に収束し、Qin=Qin0=一定値となっていると考えられる。
予測判定タイミングは開度が一定に固定されたタイミングに設定されるが、その固定されたタイミングの開度をθ1_fixと表すことにする。以下では、開度θ1_fixに対応する実効排気速度Se(θ1_fix)をSe_fixと表し、圧力目標値Psにおける開度θsに対応する実効排気速度Se(θs)をSe0と表すことにする。このとき、上述の流量値Qin0は次式(3)で表される。Pe(θ1_fix)は開度θ1_fixにおける圧力平衡値である。
Qin0=Se0×Ps=Se_fix×Pe(θ1_fix) …(3)
式(3)より圧力平衡値Pe(θ1_fix)は次式(4)で表される。また、開度をθ1_fixに固定したときの排気の式は次式(5)のように表される。
Pe(θ1_fix)=(Se0/Se_fix)×Ps …(4)
V×(dPr/dt)+Se_fix×Pr=Qin0 …(5)
式(4)、(5)から、上述した指標信号βを与える式(1)の分子および分母は次式(6)、(7)のように変形できる。
分子=(dPr/dt)
=(Se0×Ps-Se_fix×Pr)/V
=(Se_fix/V)×{(Se0/Se_fix)×Ps-Pr} …(6)
分母=(Ps-Pr)
={(Se0/Se_fix)×Ps-Pr}-{(Se0/Se_fix)×Ps-Ps} …(7)
よって、指標信号βは次式(8)のように表される。式(8)において、圧力計測値Prのみが時間変化する量であり、Pr→Psのように時間変化する。その他の量は、時間不変の量(一定値)である。
β=(Se_fix/V)/[1-{(Se0/Se_fix)×Ps-Ps}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pr}]
…(8)
(指標信号βを用いた判定方法)
以下では、式(8)で与えられる指標信号βを用いて、図7に示した4つの場合の判定方法について説明する。ここで、開度θと実効排気速度Seとの関係が、図8に示したような単調増加の関係にあることを適用すると、例えば、θ1_fix>θsならばSe_fix>Se0であるといえる。以下の説明では、図8の関係を適用して説明する。まず、予測圧Ppを用いた場合に問題となる「全く越えない」場合について説明し、その後、「越える」場合について説明する。
[1.アップケースで「全く越えない」場合]
圧力上昇中の圧力計測値Prは、図7で説明したようにPstt<Pr<Pe(θ1_1)≦Pe(θse)<Psの関係を満たしている。前述したように、θ1_1は一括りにθ1_fixと表すことにしたので、Pr<Pe(θ1_fix)<Psの関係と式(4)とから、次式(9)の関係が得られる。
Pr<(Se0/Se_fix)×Ps<Ps …(9)
ここで、次式(10)のF(Pr)を用いると、式(8)の右辺分母は1+F(Pr)と表される。
F(Pr)=-{(Se0/Se_fix) ×Ps-Ps}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pr}
…(10)
式(9)から、{(Se0/Se_fix) ×Ps-Ps}<0、{(Se0/Se_fix)×Ps-Pr}>0が成り立ち、F(Pr)>0であることがわかる。そのため、F(Pr)(すなわち、式(8)の右辺分母)は正の値となり、圧力計測値Prが時間変化しても、指標信号β=(dPr/dt)/(Ps-Pr)は常に正であることがわかる。
制御開始の起点の圧力Psttから圧力が上昇するアップケースの場合、圧力計測値PrはPr>Psttであるので、{(Se0/Se_fix)×Ps-Pstt}>{(Se0/Se_fix)×Ps-Pr}>0の関係から次式(11)が成り立つ。
{(Se0/Se_fix)×Ps-Pr}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pstt}<1 …(11)
式(10)のF(Pr)に式(11)の左辺を乗算したものとF(Pr)との大小関係は、次式(12)のようになる。
F(Pr)>-{(Se0/Se_fix)×Ps-Ps}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pstt}
…(12)
式(8)の右辺分母は1+F(Pr)であって正の値なので、次式(13)が成り立つ。
(右辺分母)>1-{(Se0/Se_fix)×Ps-Ps}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pstt}
1/(右辺分母)<1/[1-{(Se0/Se_fix)×Ps-Ps}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pstt}]
…(13)
式(8)の(Se_fix/V)は正の値なので、式(13)の関係から、指標信号βは次式(14)を満足する。
β<(Se_fix/V)/[1-{(Se0/Se_fix)×Ps-Ps}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pstt}]
…(14)
アップケースにおいては、指標信号βの式(8)における圧力計測値Prは起点の圧力Psttから上昇する。前述したように、式(8)の右辺分母=1+F(Pr)に含まれるF(Pr)は正の値で、Prが小さいほど小さい。そのため、式(8)の右辺分母=1+F(Pr)もPrが小さいほど小さくなり、式(8)で表される指標信号βは、圧力計測値Prの上昇開始時における圧力Psttの時に最も大きくなる。さらに、式(14)から分かるように、Pr=Pstt時における指標信号βの値(すなわち、指標信号βの最大値)は、Psttの値が小さいほど大きくなり、式(14)の右辺においてPstt=0としたときの値Se0/Vが指標信号βの上限値となる。
一方、圧力計測値Prが起点の圧力Psttより上昇を開始し、(Se0/Se_fix)×Psへほぼ到達する状態では、式(10)で表されるF(Pr)は、F(Pr) →+∞となる。F(Pr)を用いると指標信号βはβ=(Se_fix/V)/[1+F(Pr)]と表されるので、指標信号βはβ→+0のように+0に収束する。以上のように、アップケースで「全く越えない」場合には、指標信号βはSe0/Vを上限としてゼロ値へ単調減少することがわかる。
図9は、開度設定θ1を値θ1_fixに固定した場合の圧力(圧力計測値Prおよび予測圧Pp)、指標信号β、開度設定θ1の推移を示す図である。開度設定θ1がθ1_fixに固定された後も圧力計測値Prおよび予測圧Ppは上昇を続け、十分長い時間が継続すると、いずれも開度θ1_fixにおける圧力平衡値Pe(θ1_fix)に収束する。算出される指標信号βは、Se0/Vを上限としてゼロ値へ単調減少している。よって、指標信号βが単調減少していることを検出することで、開度設定θ1=θ1_fixは「全く越えない」状況であると判定することができる。
[2.ダウンケースで「全く越えない」場合]
次に、ダウンケースで「全く越えない」場合、すなわち、圧力計測値Prが起点の圧力Psttから(Se0/Se_fix)×Psに向かっての応答過程について検討する。以下に説明するように、この場合も、アップケースで「全く越えない」場合と同様に、(Se_fix/V)を上限としてゼロ値へ単調減少することがわかる。
圧力降下中の圧力計測値Prは、Ps<Pe(θ1_1)≦Pe(θse)<Pr<Psttの関係を満たしている。前述したように、θ1_1は一括りにθ1_fixと表すことにしたので、上記圧力の関係におけるPs<Pe(θ1_1)<Prと、式(4)のPe(θ1_fix)=(Se0/Se_fix)×Psとから、次式(15)の関係が得られる。
Ps<(Se0/Se_fix)×Ps<Pr …(15)
式(15)から、{(Se0/Se_fix)×Ps-Pr}<0、{(Se0/Se_fix)×Ps-Ps}>0なので、上述した式(10)で表されるF(Pr)はF(Pr)>0となる。よって、式(8)の右辺分母は正の値となり、圧力計測値Prが時間変化しても、指標信号βは常に正となる。
制御開始の起点の圧力Psttから圧力が降下するダウンケースの場合、圧力計測値PrはPr<Psttであるので、-{(Se0/Se_fix)×Ps-Pstt}>-{(Se0/Se_fix)×Ps-Pr}>0の関係から上述した式(11)が同様に成り立つ。
{(Se0/Se_fix)×Ps-Pr}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pstt}<1 …(11)
式(10)のF(Pr)に式(11)の左辺を乗算したものとF(Pr)との大小関係については、上述した式(12)が同様に成り立つ。
F(Pr)>-{(Se0/Se_fix)×Ps-Ps}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pstt}
…(12)
よって、上述したアップケースで「全く越えない」場合と同様に式(13),(14)が成り立つ。
1/(右辺分母)<1/[1-{(Se0/Se_fix)×Ps-Ps}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pstt}]
…(13)
β<(Se_fix/V)/[1-{(Se0/Se_fix)×Ps-Ps}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pstt}]
…(14)
ダウンケースにおいては、指標信号βの式(8)における圧力計測値Prは、起点の圧力Psttから開度θ1_fixに対応する(Se0/Se_fix)×Ps(>Ps)へ向けて降下する。ダウンケースでは、式(8)の{(Se0/Se_fix)×Ps-Pr}はマイナスとなり、その絶対値は圧力計測値Prが(Se0/Se_fix)×Psに近づくほど小さくなる。すなわち、式(8)の右辺分母は圧力計測値Prが(Se0/Se_fix)×Psに近づくほど大きくなり、逆に、指標信号βは小さくなる。言い換えると、指標信号βは、圧力計測値Prの降下開始時における圧力Psttの時に最も大きくなる。そのため、ダウンケースの場合も、式(14)の右辺においてPstt=0としたときの値Se0/Vが指標信号βの上限値となる。
一方、圧力計測値Prが起点の圧力Psttより降下を開始し、(Se0/Se_fix)×Psへほぼ到達する状態では、式(10)で表されるF(Pr)は、F(Pr) →+∞となる。F(Pr)を用いると指標信号βはβ=(Se_fix/V)/[1+F(Pr)]と表されるので、指標信号βはβ→+0のように+0に収束する。結局、ダウンケースで「全く越えない」場合も、指標信号βは、Se0/Vを上限としてゼロ値へ単調減少することがわかる。
[3.アップケースで「越える」場合]
アップケースで「越える」場合には、図7に示したように、Pstt<Pr<Ps<Pe(θse)≦Pe(θ1_1)の関係を満たしている。Pr<Ps<Pe(θ1_1)なので、Pe(θ1_1)=Pe(θ1_fix)=(Se0/Se_fix)×Psであることを考慮すると、式(8)において、{(Se0/Se_fix) ×Ps-Pr}>0、{(Se0/Se_fix)×Ps-Ps}>0となる。Pr<Psであるから、次式(16)が成り立つ。
0<{(Se0/Se_fix)×Ps-Ps}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pr}=-F(Pr)<1
…(16)
式(16)の右側の大小関係から、式(8)に右辺分母=1+F(Pr)は正の値となり、指標信号βは常に正の値となる。アップケースの場合には、上述したように式(11)が成り立つ。
{(Se0/Se_fix)×Ps-Pr}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pstt}<1 …(11)
式(11)の両辺に負の値であるF(Pr)を乗算すると、次式(17)が得られる。
-{(Se0/Se_fix) ×Ps-Ps}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pstt}>F(Pr)
…(17)
式(17)は式(18)のように式変形される。
1-{(Se0/Se_fix) ×Ps-Ps}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pstt}>1+F(Pr)
1/[1-{(Se0/Se_fix) ×Ps-Ps}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pstt}]
<1/{1+F(Pr)} …(18)
式(18)の両辺に正の値である(Se_fix/V)を掛けると次式(19)が得られる。
(Se_fix/V)/[1-{(Se0/Se_fix)×Ps-Ps}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pstt}]<β
…(19)
アップケースにおいては、指標信号βの式(8)における圧力計測値Prは起点の圧力Psttから上昇する。式(8)の右辺分母における{(Se0/Se_fix)×Ps-Ps}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pr}は式(16)に示すように0から1までの値を取り、Prが小さいほど、すなわちPrが (Se0/Se_fix)×Psから遠ざかるほど、小さな値となる。そのため、Prが小さいほど式(8)の右辺分母は大きくなり、逆に指標信号βは小さくなる。よって、指標信号βは、圧力計測値Prの上昇開始時における圧力Psttの時に最も小さくなる。さらに、式(19)から分かるように、Pr=Pstt時における指標信号βの値(すなわち、指標信号βの最小値)は、Psttの値が小さいほど小さくなり、式(19)の右辺においてPstt=0としたときの値Se0/Vが指標信号βの下限値となる。
また、圧力計測値Prが起点の圧力Psttより上昇を開始し、Psへほぼ到達する状態では、式(8)の右辺分母は(右辺分母)→+0のように正の値でゼロに近づくので、そのとき指標信号βはβ→+∞となる。すなわち、アップケースで「越える」場合には、指標信号βは、Se0/Vを下限として単調増加することがわかる。
[4.ダウンケースで「越える」場合]
ダウンケースで「越える」場合には、図7に示したように、Pe(θ1_1)≦Pe(θse)<Ps<Pr<Psttの関係を満たしている。Pe(θ1_1)<Ps<Prなので、式(8)において、{(Se0/Se_fix) ×Ps-Pr}<0、{(Se0/Se_fix)×Ps-Ps}<0となる。Ps<Prであるから、上述した式(16)が成り立ち、式(8)の右辺分母は正の値となり、指標信号βは常に正の値となる。
0<{(Se0/Se_fix)×Ps-Ps}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pr}=-F(Pr)<1
…(16)
ダウンケースで「越える」場合にも、ダウンケースで「全く越えない」場合と同様に式(11)が成り立つ。
{(Se0/Se_fix)×Ps-Pr}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pstt}<1 …(11)
式(11)に対して、アップケースで「越える」場合と同様に、式(17)~(19)が得られる。
ダウンケースにおいては、指標信号βの式(8)における圧力計測値Prは起点の圧力Psttから降下する。式(8)の右辺分母における{(Se0/Se_fix)×Ps-Ps}/{(Se0/Se_fix)×Ps-Pr}は、式(16)に示すように0から1までの値を取り、Prが小さいほど、すなわちPrが (Se0/Se_fix)×Psに近づくほど、大きな値となる。そのため、Prが (Se0/Se_fix)×Psに近づくほど式(8)の右辺分母は小さくなり、逆に指標信号βは大きくなる。よって、指標信号βは、圧力計測値Prが (Se0/Se_fix)×Psから最も遠い圧力Psttの時に最も小さい。さらに、式(19)から分かるように、Pr=Pstt時における指標信号βの値(すなわち、指標信号βの最小値)は、Psttの値が小さいほど小さくなり、式(19)の右辺においてPstt=0としたときの値Se0/Vが指標信号βの下限値となる。
また、圧力計測値Prが起点の圧力Psttより降下を開始し、Psへほぼ到達する状態では、式(8)の右辺分母は(右辺分母)→+0のように正の値でゼロに近づくので、そのとき指標信号βはβ→+∞となる。すなわち、ダウンケースで「越える」場合には、指標信号βは、Se0/Vを下限として単調増加することがわかる。
上述した、アップケースおよびダウンケースにおいて「越える」場合と「全く越えない」場合との結果をまとめると、図10のようになる。
(指標信号βの生成タイミング)
図2の推定演算部210における指標信号βの生成タイミングの一例について説明する。推定演算部210には、圧力目標値Ps、圧力計測値Prおよび開度計測値θrが入力される。推定演算部210は、適当な制御周期Δt(例えば10ms)間の圧力計測値Prの差分ΔPrからΔPr/Δtを算出することで、式(1)の圧力微分量(dPr/dt)を取得し、その圧力微分量と入力された圧力目標値Psおよび圧力計測値Prとに基づいて指標信号βを算出する。
このように、指標信号βは圧力目標値Psおよび圧力計測値Pr以外のパラメータを用いていないので、真空チャンバ3に導入される気体のガス種およびガス流量が未知であっても適用できる。言い換えれば、ガス種およびガス流量が未知であっても信頼性の高い指標信号βを求めることができる。
指標信号βの生成タイミングとしては、オープン制御の開度設定θ1が固定された状態、すなわちθ1_fixとなった状態において、指標信号βが時間経過に対して単調に増加するか単調に減少するかを判定すれば良い。例えば、制御周期10msとした場合、100ms~400msの期間において10回~40回算出するように、指標信号βを10ms毎に複数回算出する。そして、複数回算出された指標信号βに対して、連続して増加(前回値<今回値)の傾向が見られた場合には「越える」と判定し、連続して減少(前回値>今回値)の傾向が見られた場合には「全く越えない」と判定する。
(予測圧Ppおよび指標信号βに基づく制御処理)
図11は、予測圧Ppおよび指標信号βを併用した場合の、調圧制御器21で行われる制御処理の一例を示すフローチャートである。図11では、予測圧Ppおよび指標信号βによる判定処理、および、判定後の開度制御処理について示した。また、図12は、アップケースにおける圧力計測値Pr、指標信号β、開度設定θ1の推移を示す図である。以下に説明する予測圧Ppおよび指標信号βを併用した判定では、予測圧Ppにより「越える」場合を判定し、指標信号βにより「全く越えない」場合を判定する。
圧力目標値Psが調圧制御器21に入力されると、圧力目標値Psに基づいて目標開度推定値θseが推定演算部210で算出され、それに基づいてフィードフォワード制御器220から開度設定θ1_fixが出力される。開度設定θ1_fixはモータ駆動部22に入力され、弁体開度が開度設定θ1_fixの値となるように弁体12が駆動される。
図11のステップS10では、開度計測値θrが、フィードフォワード制御器220から出力された開度設定θ1_fixの値になったか否かを判定する。ステップS10でθr=θ1_fixと判定されると、ステップS20へ進む。ステップS20では、推定演算部210において指標信号βの演算が行われる。ステップS30では、後述するステップS70でβ(前回)>β(今回)と判定された回数を示すmを、m=0に設定する。
ステップS40では、予測圧Ppを算出する。ステップS50では、予測圧Ppが圧力目標値Psを越えるか否かを判定する。Pp>Psと判定されると、ステップS100へ進んで開度変更処理を実行する。ステップS100の開度変更処理については後述する。一方、Pp>Psでないと判定されるとステップS60へ進む。ステップS60では、指標信号βを算出する。
ステップS70では、予測圧Ppが圧力目標値Psを「全く越えない」か否かを判定する。具体的には、ステップS20で算出された指標信号β(前回)とステップS60で算出された指標信号β(今回)とを比較し、β(前回)>β(今回)か否かを判定する。図10に示したように、アップケースの場合もダウンケースの場合も「全く越えない」場合には指標信号βは単調減少し、指標信号βは判定条件「β(前回)>β(今回)」を満足する。ステップS70でβ(前回)>β(今回)と判定されるとステップS80へ進み、β(前回)>β(今回)でないと判定されるとステップS30へ戻る。
例えば、図12に示すアップケースの場合、θ1=θse(=θ1_fix)に固定された状態の時刻t1を含む所定期間において指標信号β(前回)および指標信号β(今回)が算出される。算出された指標信号β(前回)および指標信号β(今回)は、β(前回)>β(今回)を満足している。そのため、ステップS70においてyesと判定されてステップS80へ進む。
ステップS80では、mの値を+1だけ増加させる。ステップS90では、β(前回)>β(今回)と判定された回数mが上限値Nに達したか否かを判定し、達した場合(m=N)にはステップS100へ進む。達していない場合(m<N)にはステップS40へ戻り、m=NとなるまでステップS40からステップS90までの処理を繰り返し実行する。上限値Nは自然数である。上述した指標信号βの生成タイミングにおける例ではN=10~40であるが、これに限定されず例えば最小の1であっても良い。
すなわち、固定された開度θ1_fixが、予測圧Ppが圧力目標値Psを「全く越えない」状況における開度設定である場合には、ステップS40からステップS90までの処理が繰り返し実行され、ステップS90でm=Nと判定された時点(図12の時刻t2)でステップS100の開度変更処理が実行される。一方、固定された開度θ1_fixが、予測圧Ppが圧力目標値Psを「越える」状況の開度設定である場合には、ステップS30からステップS80までの処理が繰り返し実行され、最終的にはステップS50でPp>Psと判定されてステップS100の開度変更処理が実行される。
(開度変更処理)
開度変更処理では、図2の推定演算部210で開度目標推定値(ここでは、その値をθse2と表す)を再度計算し、フィードフォワード制御器220から出力される開度設定θ1をθ1=θse2に設定する。例えば、アップケースで「全く越えない」場合の図12では、時刻t2に開度設定θ1がθse2に変更され、それまでラインL1で示すように変化していた圧力計測値Prの圧力応答は、ラインL2で示すような圧力応答に変化する。また、ステップS50で「越える」と判定されてステップS100に進んだ場合には、図12に示すような圧力応答等の図示は省略するが、再計算で得られる開度目標推定値θse2はθse2>θseとなる。
ステップS110では、オープン制御からクローズ制御への移行条件を満足するか否かを判定し、条件を満足した場合にはオープン制御を終了してクローズ制御に移行する。移行条件としては、例えば、PrとPsとの差分がPsの大きさの5%以下のように、圧力計測値Prが圧力目標値Psに十分近づいている場合や、指標信号βが単調減少から単調増加に転じた場合などが考えられる。
図12の時刻t3においてオープン制御からクローズ制御に切り替わると、フィードフォワード制御器220からは一定の開度設定θse2が出力され、フィードバック制御器230からは開度設定θ2が出力される。クローズ制御開始後、圧力計測値Prの圧力応答はラインL3のように変化し、時刻t4には圧力計測値Prが圧力目標値Psへほぼ収束する。
なお、開度θsは、圧力平衡値が圧力目標値Psとなる開度であるが、この開度θsに対して開度設定θ1(=θse)がθ1≒θsであった場合、「越える」および「全く越えない」のどちらにも判定されない場合がある。そのような場合には、例えば、開度設定θ1に固定した後に指標信号βの算出がN_timeout回行われた時点で、すなわち、算出周期Δt(例えば、上述した10ms)とした場合に時間N_timeout×Δtが経過した時点で、オープン制御からクローズ制御に移行すれば良い。ただし、N_timeout>Nである。
図13は比較例を示す図であり、「全く越えない」場合に予測圧Ppを判定の指標として用いる場合を示したものである。予測圧Ppを用いて、固定された開度が最終的にPp<Psとなる開度であることの判定は、予測圧Ppが圧力平衡値に十分収束するまで(図13では時刻t11)確定しない。そのため、その間に圧力計測値Prの応答が失速し、時刻t11にクローズ制御に移行してからの、圧力計測値Prを圧力目標値Psに近づけるための調圧時間が長くなってしまう。
一方、指標信号βを用いた場合、図12の時刻t2のように圧力計測値Prが上昇過程にある早期において、「全く越えない」ことを判定することができる。そのため、開度設定θ1をθseに固定してから圧力計測値Prを圧力目標値Psに収束させるまでの時間を、予測圧Ppを用いる場合に比べて短縮することができる。なお、図12では予測圧Ppの図示を省略したが、時刻t2においては予測圧Ppも上昇過程にある。
(開度目標推定値θseの演算方法)
開度目標推定値θseの演算方法の一例について説明する。ここでは、開度θと圧力Pとの相関関係であるプラントゲインGpを使用して開度目標推定値θseを求める演算方法について説明する。プラントゲインGpは次式(20)で定義される。なお、|(ΔP/Δθ)|は、(ΔP/Δθ)の絶対値を示している。
Gp=|(ΔP/Δθ)|/P …(20)
式(20)から分かるように、開度θを入力とし真空チャンバ3の圧力Pを出力とした場合、開度変化に対する圧力変化つまり(ΔP/Δθ)を圧力Pで規格化した量((ΔP/Δθ)/P)は、プラントである真空チャンバ3内の希薄ガスの圧力応答の静的なゲイン特性を表している。プラントゲインGp(θ)は、例えば、開度θとプラントゲインGpとの関係を表すデータテーブル(θ,Gp)として、図1の記憶部23に記憶されている。
平衡状態である調圧状態を(θ,P)のように表すと、開度変更前の調圧状態は(θse,Pr)、目標とする調圧状態は(θse2,Ps)のように表される。式(20)の定義式を用いると、開度変化Δθと圧力変化ΔPとの関係は、式(21)のように表される。
ΔP=-P×Gp(θ)×Δθ …(21)
調圧状態は(θse,Pr)と調圧状態(θse2,Ps)との関係は次式(22)、(23)で表せる。
θse2=θse+∫dθ (積分範囲はθseからθse2まで) …(22)
Ps=Pr+∫dP (積分範囲はPrからPsまで) …(23)
式(22)、(23)の積分は、実際には調圧状態(θse,Pr)から調圧状態(θse2,Ps)までの各準静的状態における開度の増分Δθと圧力の増分ΔPをそれぞれ加算したものとして表されるので、θse2およびPsは次式(24)、(25)のように表すことができる。なお、式(24)におけるΔθ_n(θ_n)は、開度θ_nにおける開度増分Δθ_nであることを表しており、例えば、Δθ_1(θ_1)は開度θseから開度θ_1に変化した場合の開度増分である。同様に、ΔP_n(p_n)は、圧力P_nにおける圧力増分を表している。
θse2=θse+ΣΔθ_n(θ_n) …(24)
Ps=Pr+ΣΔP_n(P_n) …(25)
式(24)のΔθ_n(θ_n)に関しては、式(26)のように各開度θ_nに従って増分Δθ_n(θ_n)を与えれば良い。式(25)のΔP_n(P_n)に関しては、開度θと圧力Pとの相関関係を用いて開度θ_nにおける増分Δθ_n(θ_n)に対応する圧力P_nにおける増分ΔP_n(P_n)を与えれば良い。相関関係としてプラントゲインGpを用いる場合には、圧力P_nにおける増分ΔP_n=ΔP_n(P_n)は、上述の式(21)を適用して次式(27)のように表される。なお、式(27)において、Δθ_n=Δθ_n(θ_n)であり、Gp_n=Gp(θ_n)である。
Δθ_n=Δθ_n(θ_n) …(26)
ΔP_n=ΔP_n(P_n)=-P_n×Gp_n×Δθ_n …(27)
式(26),(27)を式(24),(25)に代入して累積演算すれば、調圧状態(θse2,Ps)における開度値θse2、圧力目標値Psへおおよそ到達できる。また、式(24),(25)を変形して下記のように表せば、逐次演算することができる。
θ_n+1 = θ_n+Δθ_n …(28)
P_n+1 = P_n+ΔP_n …(29)
式(26),(28)から開度θが累積演算され、式(27),(29)から圧力Pが逐次累積演算される。そして、圧力の累積演算値である式(25)の右辺の値「P0+ΣΔP_n(P_n)」が次ぎの圧力値(ここでは圧力目標値Ps)に達したならば(あるいは越えたならば)、演算を終了する。この圧力目標値Psに達したときの累積演算された開度が、目標開度推定値θse2に相当する。なお、本方法の適用はたとえ準静的状態と言えない状態でも実用的な近似値が得られるため目標開度推定値を求めるに有用である。
(変形例1)
図14は、上述した実施の形態の変形例1を説明するためのフローチャートである。上述した実施の形態では、「全く越えない」場合においても開度変更処理で開度変更を1回だけ行い、その後、クローズ制御に移行している。しかしながら、演算誤差により目標開度推定値θseと圧力目標値Psとが乖離して、1回の開度変更では圧力計測値Prを圧力目標値Psの近傍に持って行けない場合が生じる。そこで、図14のフローチャートで示す制御処理では、図11に示したフローチャートにステップS200を追加し、指標信号βに基づく開度変更を予め決めた上限回数まで行うようにした。
図15に示すアップケースでは、指標信号βによる判定を2回行い、開度設定θ1をθse2、θse3に変更している。この場合、1回目の判定後に算出された目標開度推定値θse2は目標開度θsよりも大きく、変更後も指標信号βは単調減少している。2回目の判定後に算出された目標開度推定値θse3は目標開度θsより小さくなり、変更後の指標信号βは単調増加に転じている。そのため、図14のステップS110で移行条件(βが単調減少→単調増加)を満足すると判定されて、オープン制御からクローズ制御へ移行している。例えば、ステップS200の上限回数が2回で、図15においてθse3>θsであった場合には、ステップS110でyesと判定される前にステップS200でyesと判定されて、オープン制御からクローズ制御へ移行することになる。
(変形例2)
予測圧Ppと指標信号βとを併用する図11のフローチャートでは、ステップS50のように、「越える」の判定には予測圧Ppを用いた。しかし、「越える」の場合も指標信号βを用いて判定するようにしても良い。指標信号βで「越える」を判定する場合には、図10からもわかるように、指標信号βが単調増加している場合に「越える」と判定する。その場合、図11のフローチャートは、変形例2では、例えば図16のように変更される。
図16のステップS10において開度計測値θrの値が開度設定θ1_fixになったと判定され、ステップS20にて指標信号βを算出したならば、ステップS300においてm1=0、m2=0と設定する。続くステップS310にて指標信号βを算出したならば、ステップS320において予測圧Ppが圧力目標値Psを「全く越えない」か否かの判定、すなわちβ(前回)>β(今回)か否かの判定を行う。ステップS320においてβ(前回)>β(今回)と判定されると、ステップS330へ進んでm1=m1+1とm1を1だけ増加させる。ステップS340では、β(前回)>β(今回)と判定された回数を表すm1が上限値N1に達したか否かを判定し、達した場合(m1=N1)にはステップS100へ進み、達していない場合(m1<N1)にはステップS310へ戻る。
一方、ステップS320において「β(前回)>β(今回)」でないと判定された場合には、ステップS322へ進んでm1=0と設定した後、ステップS324において「越える」か否か、すなわち「β(前回)<β(今回)」か否かの判定を行う。ステップS324において「β(前回)<β(今回)」と判定された場合には、ステップS326へ進んでm2=m2+1とm2を1だけ増加させた後に、ステップS328へ進む。一方、ステップS324で「β(前回)<β(今回)」でないと判定された場合には、ステップS325へ進んでm2=0と設定した後に、ステップS310へ戻る。ステップS328では、β(前回)<β(今回)と判定された回数を表すm2が上限値N2に達したか否かを判定し、達した場合(m2=N2)にはステップS100へ進み、達していない場合(m2<N2)にはステップS310へ戻る。
上述したように、ステップS310からステップS340までの処理が繰り返されて「β(前回)>β(今回)」と判定された回数が上限値N1になった場合、または、ステップS310からステップS328までの処理が繰り返されて「β(前回)<β(今回)」と判定された回数が上限値N2になった場合には、ステップS100において開度変更処理が行われる。そして、ステップS110においてオープン制御からクローズ制御への移行条件を満足するか否かを判定し、条件を満足した場合にはオープン制御を終了してクローズ制御に移行する。
前述したように、予測圧Ppは圧力計測値Prが計測された時点からt秒経過後の圧力推定値であり、基準ガスに基づく実効排気速度Seや、流量Qinの推定値に依存する。基準ガスのガス種は、一般的には実際に流れているガスのガス種と異なる場合がほとんどなので、予測圧Ppの誤差が大きくなることがある。
一方、指標信号βの定義式(1)からも分かるように、指標信号βは圧力目標値Psおよび実際に計測される圧力計測値Prに基づいて算出され、指標信号βには実際のガス種やガス流量が反映されている。そのため、予測圧Ppを用いた「越える」の判定に比べて、判定の信頼性向上を図ることができる。
(変形例3)
上述した実施の形態や変形例1,2では、「越える」および「全く越えない」場合の両方が発生する場合を例に説明した。ただし、オープン制御における開度変更量が、図4の第4象限から第3象限へと変化するほど大きくない場合には、図17に示すような「全く越えない」ケースにのみ対応するフローチャートを採用しても良い。図17に示すフローチャートは、図14に示すフローチャートから、ステップS40およびステップS50の処理を削除したものである。ステップS30からステップS90までの処理がN回繰り返されて「全く越えない」と判定されると、ステップS100の開度変更処理を行う。
なお、図14のフローチャートの場合と同様に、1回の開度変更では圧力計測値Prを圧力目標値Psの近傍に持って行けない場合を考慮して、ステップS200のように指標信号βに基づく開度変更を予め決めた上限回数まで行うようにした。また、開度設定θ1(=θse)がθ1≒θsであって「全く越えない」と判定されない場合に、開度設定θ1に固定した後に指標信号βの算出がN_timeout回行われた時点で、オープン制御からクローズ制御に移行するようにする。
(変形例4)
上述した第1の実施の形態では、予測圧Ppに代わる指標信号として式(1)で定義される指標信号β(=(dPr/dt)/(Ps-Pr))を導入した。しかし、予測圧Ppに代わる指標信号としては、式(1)で定義されるものに限らず下記のような種々の類似信号が適用可能である。
・無次元量に規格化された指標信号β1
真空チャンバ3の容積Vと、実効排気速度Seと開度計測値θrとの相関を表すデータセットSe_r(θr)とから、次式(30)で定義される指標信号β1を導入する。無次元量に規格化することで、ガス流量値などの条件が変更された場合でも、判定閾値の汎用性をさらに良好にできる。
β1=(V/Se_r(θr))×[(dPr/dt)/(Ps-Pr)] …(30)
・確実に正の値となる指標信号β2
原則、アップケース、ダウンケースにかかわらず「(dPr/dt)/(Ps-Pr)」は正値となる範囲で判定される。しかし、突発的な流量変化などの外乱に備え、式(31),(32)のように分母、分子ともに絶対値化した信号とすることで、確実に正値となる指標信号β2が得られる。
β2=|dPr/dt|/|Ps-Pr| …(31)
または、
β2=(V/Se_r(θr))×|dPr/dt|/|Ps-Pr| …(32)
上述した複数の例示的な実施の形態および変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
[1]一態様に係るバルブ制御装置は、真空チャンバに装着される真空バルブの開度を、オープン制御により制御するバルブ制御装置において、オープン制御の開度設定値を出力する開度設定部と、前記開度設定値が一定値となる固定期間内の所定期間において、前記一定値の場合の圧力平衡値がバルブ制御の圧力目標値を越えないことを判定する第1の判定部と、前記第1の判定部の判定結果に基づいて前記開度を制御する開度制御部と、を備える。
例えば、図17に示すように、開度設定値θ1が一定値θ1_fixとなっている期間の時刻t1を含む所定期間において、算出された指標信号β(前回)および指標信号β(今回)に基づいて圧力平衡値Pe(θ1_fix)が圧力目標値Psを越えないことが判定される。そのため、予測圧Ppや圧力計測値Prが圧力目標値Psを越えない圧力平衡値に収束するのを待つことなく早期に越えないことを判定することができ、その判定結果に基づいてさらなる開度制御を行うことで、調圧時間の短縮を図ることができる。
[2]上記[1]に記載のバルブ制御装置において、前記圧力平衡値が前記圧力目標値を越えること、または、前記一定値に基づく予測時間経過後の前記真空チャンバの予測圧力が前記圧力目標値を越えることを判定する第2の判定部をさらに備え、前記開度制御部は、前記第1および第2の判定部の判定結果に基づいて前記開度を制御する。
例えば、図12に示すように、開度設定値θ1が一定値θ1_fixとなっている期間の時刻t1を含む所定期間において、算出された指標信号β(前回)および指標信号β(今回)に基づいて圧力平衡値Pe(θ1_fix)が圧力目標値Psを越えないことが判定される。また、図16のステップS324のように、上述した所定期間において、指標信号β(前回)および指標信号β(今回)に基づいて圧力平衡値Pe(θ1_fix)が圧力目標値Psを越えることを判定するか、または、図11のステップS50のように予測圧PpがPp>Psとなったときに予測圧Ppが圧力目標値Psを越えることを判定する。
そのため、予測圧Ppや圧力計測値Prが圧力目標値Psを越えない圧力平衡値に収束するのを待つことなく早期に越えないことおよび越えないことを判定することができ、その判定結果に基づいてさらなる開度制御を行うことで、調圧時間の短縮を図ることができる。
[3]上記[2]に記載のバルブ制御装置において、前記第1の判定部は、圧力計測値の時間変化率と圧力計測値および前記圧力目標値の差分値との比に基づいて、前記圧力平衡値が前記圧力目標値を越えないことを判定し、前記第2の判定部は、前記比に基づいて前記圧力平衡値が前記圧力目標値を越えることを判定する。
式(1)で定義される指標信号βは、圧力計測値Prの時間変化率(dPr/dt)と圧力計測値Prおよび圧力目標値Psの差分値(Ps-Pr)との比になっている。そのような量とすることで、前記比(すなわち、指標信号β)は、「越える」場合には単調増加し、「全く越えない」場合には単調減少する。よって、上述した固定期間内の所定期間に前記比が単調増加か単調減少かを調べることで、前記所定期間において圧力計測値Prが圧力目標値Psに収束していなくても、越える越えないを判定することができる。
なお、式(1)では(dPr/dt)/(Ps-Pr)と定義したが、分母と分子を逆にした指標信号であっても、越える場合が単調減少で越えない場合が単調増加となるので、単調増加か単調減少かを調べることで越える越えないを判定することができる。
[4]上記[3]に記載のバルブ制御装置において、前記比は、圧力計測値をPr、前記圧力目標値をPs、圧力計測値の時間微分を(dPr/dt)としたとき、「(dPr/dt)/(Ps-Pr)」のように設定される。このように前記比を設定することで、上述した固定期間内の所定期間に前記比が単調増加か単調減少かを調べることで、越える越えないを判定することができる。
[5]上記[2]から[4]までのいずれかに記載のバルブ制御装置において、前記開度設定値と、前記開度設定値における圧力計測値とに基づいて、圧力目標値に対応する目標開度推定値を推定する推定部を備え、前記開度制御部は、前記第1および第2の判定部の判定結果に基づいて前記開度を前記目標開度推定値へ制御する。
例えば、図11に示す処理のように、ステップS50でPp>Psと判定された場合、または、ステップS70,S90のように「β(前回)>β(今回)」の判定がN回続いた場合に、開度設定θ1を推定演算部210で推定演算された目標開度推定値θseに設定して、弁体12の開度を目標開度推定値θseへ制御する。その結果、圧力計測値Prを圧力目標値Psへより近づけることができる。
[6]一態様に係る真空バルブは、弁体と、前記弁体を駆動する弁体駆動部と、前記弁体駆動部を制御して前記弁体の開度を制御する上記[1]から[5]までのいずれかに記載のバルブ制御装置と、を備える。それにより、真空バルブによる調圧時間をより短縮することができる。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
1…バルブ本体、2…バルブ制御装置、3…真空チャンバ、4…真空ポンプ、12…弁体、13…モータ、21…調圧制御器、22…モータ駆動部、23…記憶部、210…推定演算部、220…フィードフォワード制御器、230…フィードバック制御器、Pp…予測圧、Pr…圧力計測値、Ps…圧力目標値、θ1,θ2,θset…開度設定、θr…開度計測値、θse…目標開度推定値、β,β1,β2…指標信号

Claims (5)

  1. 真空チャンバに装着される真空バルブの開度を、オープン制御により制御するバルブ制御装置において、
    オープン制御の開度設定値を出力する開度設定部と、
    前記開度設定値が一定値となる固定期間内の所定期間において、前記一定値の場合の圧力平衡値がバルブ制御の圧力目標値を越えないことを判定する第1の判定部と、
    前記第1の判定部の判定結果に基づいて前記開度を制御する開度制御部と、を備え、
    前記第1の判定部は、圧力計測値の時間変化率と圧力計測値および前記圧力目標値の差分値との比に基づいて、前記圧力平衡値が前記圧力目標値を越えないことを判定する、バルブ制御装置。
  2. 請求項1に記載のバルブ制御装置において、
    前記圧力平衡値が前記圧力目標値を越えること、または、前記一定値に基づく予測時間経過後の前記真空チャンバの予測圧力が前記圧力目標値を越えることを判定する第2の判定部をさらに備え、
    前記開度制御部は、前記第1および第2の判定部の判定結果に基づいて前記開度を制御し、
    前記第2の判定部は、前記比に基づいて前記圧力平衡値が前記圧力目標値を越えることを判定する、バルブ制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載のバルブ制御装置において、
    前記比は、圧力計測値をPr、前記圧力目標値をPs、圧力計測値の時間微分を(dPr/dt)としたとき、「(dPr/dt)/(Ps-Pr)」のように設定される、バルブ制御装置。
  4. 請求項に記載のバルブ制御装置において、
    前記開度設定値と、前記開度設定値における圧力計測値とに基づいて、圧力目標値に対応する目標開度推定値を推定する推定部を備え、
    前記開度制御部は、前記第1および第2の判定部の判定結果に基づいて前記開度を前記目標開度推定値へ制御する、バルブ制御装置。
  5. 弁体と、
    前記弁体を駆動する弁体駆動部と、
    前記弁体駆動部を制御して前記弁体の開度を制御する請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のバルブ制御装置と、を備える真空バルブ。
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