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JP7296758B2 - 付着油の除去方法 - Google Patents
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JP7296758B2 - 付着油の除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、付着油の除去方法に関する。
製造業、設備保守、廃棄物処理(ポリ塩化ビフェニル:PCB等)などの作業では、例えば、油で汚染されていると製品性能に影響を与えてしまう、製品の補修ができない、あるいは油自体が汚染物であることがあるため、油を除去しなければならない場合がある。これらのような場合に用いることができる油の除去方法としては、例えば、溶媒で油を拭き取る方法(例えば、非特許文献1参照)、エネルギーを照射して油を蒸発させる方法などが挙げられる。
しかしながら、溶媒で油を拭き取る方法では、溶媒自体が危険物として指定されているものが多いため、法令に則った保管及び管理は、手間がかかってしまうことや、拭き取り作業は、人力で行われるため、確実に拭き取られているのか否かについて確認が必要になるという問題がある。
エネルギーを照射して油を蒸発させる方法では、蒸発する油の量が少量であるため、油膜の厚さが100μm以上の油を十分に除去できないことや、蒸発した油にPCBなどの有機塩素化合物が含まれている場合、熱分解によりダイオキシンなどの有害物質が発生するという問題がある。
ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理施設における作業従事者の安全衛生管理について 平成16年2月 ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業検討委員会
本発明は、基体上に付着している付着油を簡便な方法により、確実に除去することができる付着油の除去方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下のとおりである。即ち、本発明の付着油の除去方法は、油が付着した基体に対し、前記油には、実質的に吸収されずに透過可能であって、前記基体により反射される波長のレーザー光を照射し、走査することにより、前記油を前記基体上で移動させることを含む。
本発明によると、基体上に付着している付着油を簡便な方法により、確実に除去することができる付着油の除去方法を提供することができる。
図1は、本発明の付着油の除去方法を示す概略説明図である。 図2Aは、本発明の付着油の除去方法の一例を示す概略図である。 図2Bは、本発明の付着油の除去方法の他の一例を示す概略図である。 図2Cは、本発明の付着油の除去方法の他の一例を示す概略図である。 図3Aは、実施例1における、レーザー光を照射前の油付着鋼板を示す図である。 図3Bは、実施例1における、レーザー光を照射しながら、走査している工程を示す図である。 図3Cは、実施例1における、レーザー光を照射後の油付着鋼板を示す図である。 図4は、実施例1における、油付着鋼板のレーザー光の照射部に付着していた付着油の除去率を示す図である。 図5は、実施例2における、油付着鋼板のレーザー光の照射部に付着していたPCBの除去率を示す図である。
(付着油の除去方法)
本発明の付着油の除去方法は、油が付着した基体に対し、前記油には、実質的に吸収されずに透過可能であって、前記基体により反射される波長のレーザー光を照射し、走査することにより、前記油を前記基体上で移動させること(以下、レーザー光照射工程と称することがある)を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
本発明者らは、油が付着している基体に対して、油には、実質的に吸収されずに透過可能であって、基体により反射される波長のレーザー光を照射することによって、基体上にレーザーアブレーションによる衝撃波を発生させることができ、この衝撃波によって基体上の油を移動させることができることを知見した。衝撃波により油を移動させることで、レーザー光の照射部は、実質的に油が除去される。実質的に油が除去されるとは、レーザー光の照射部の油の量が、検出装置では検出することができないレベルまで取り除けていることを意味する。
また、本発明の付着油の除去方法は、基体に対してレーザー光を照射し、基体上の油を移動させることによって、油を任意の箇所に効率良く集めることができ、その後まとめて油を除去することができる。
また、本発明の付着油の除去方法は、基体の温度上昇が生じない程度のレーザー光の強度であっても、実質的に油を除去することができる。
<レーザー光照射工程>
前記レーザー光照射工程は、油が付着した基体に対し、油には、実質的に吸収されずに透過可能であって、基体により反射される波長のレーザー光を照射し、走査することにより、油を基体上で移動させる工程である。
-油-
前記油としては、炭化水素系の油であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉱油、合成油、生物由来の油などが挙げられる。
前記鉱油としては、例えば、絶縁油、軽油、重油などが挙げられる。
前記合成油としては、例えば、シリコーン油、エステル油、フッ素油、フェニルエーテル油、ポリグリコール油などが挙げられる。
前記生物由来の油としては、例えば、植物油、バイオ燃料などが挙げられる。
前記油の油膜の厚さとしては、10μm以上1,000μm以下が好ましい。前記油膜の厚さの測定方法としては、例えば、蛍光法、偏光法、拭き取り法などが挙げられる。
前記油としては、実質的にPCBを含有している油でもよい。なお、実質的にPCBを含有している油とは、PCBの濃度が、環境省の低濃度PCB廃棄物 収集・ガイドラインで定められている0.5ppm以上である油を示す。
-基体-
前記基体としては、特に制限はなく、その材質、形状などは、目的に応じて適宜選択することができる。
前記基体の材質としては、レーザー光の照射によりレーザーアブレーションが生じるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、樹脂、セラミックス、ガラス等の無機材料、木材、セメントなどが挙げられる。これらの中でも、油が非含浸であり、硬質かつ平滑な材料であって、効率よくレーザーアブレーションを発生させることができる点から、無機材料が好ましい。
前記金属としては、例えば、鉄、銅、ステンレス鋼、チタン、白金、金、銀、ニッケル、クロム、パラジウム、アルミニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリオキシエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ガラスエポキシ、ポリアミド、ポリイミド、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)共重合体、シリコーンゴム、フッ化樹脂、繊維強化プラスチック(FRP)、テフロン(登録商標)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記セラミックスとしては、例えば、金属酸化物、金属窒化物、炭化物、ホウ化物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ガラスとしては、例えば、青板ガラス、白板ガラス、石英ガラスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記基体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平面状、曲面状などが挙げられる。
本発明の付着油の除去方法の対象物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記基体に油が付着したものが挙げられるが、具体的には、貯油タンク、配管、変圧器、コンテナ、タンカー、自動車、航空機、船舶等の部品、半導体、油を取扱う施設の床や壁などが挙げられる。
-レーザー光-
前記レーザー光は、油には、実質的に吸収されずに透過可能であって、基体により反射される波長のレーザー光である。レーザー光は、油には、実質的に吸収されないため、基体表面上にレーザーアブレーションによる衝撃波を発生させ、この衝撃波によって基体上の油を移動させることができる。また、レーザー光は、基体により反射されるため、基体の温度が上がらず、油又は油に含まれる有害物質の蒸発を抑えることができる。
前記レーザー光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固体レーザー、気体レーザー、半導体レーザーなどが挙げられる。また、前記レーザーとしては、パルス発振、連続発振などが挙げられる。
前記固体レーザーとしては、例えば、YAGレーザー、YVOレーザー、チタンサファイアレーザー、ファイバーレーザーなどが挙げられる。これらの中でも、レーザー光の照射範囲や強度の制御が容易な点から、ファイバーレーザーが好ましい。
前記気体レーザーとしては、例えば、アルゴンレーザー、ヘリウムネオンレーザー、炭酸ガスレーザーなどが挙げられる。
前記レーザー光の波長としては、200nm以上3,000nm以下が好ましく、500nm以上1,300nm以下がより好ましく、500nm以上1,100nm以下が更に好ましい。前記波長が200nm以上3,000nm以下であると、レーザー光が油に吸収されず透過され、基体表面にレーザーアブレーションを発生させ、この衝撃波によって基体上の油を移動させることができ、また、レーザー光が基体により反射され、基体の温度が上がらず、油又は油に含まれる有害物質の蒸発を抑えることができる。
前記レーザー光の照射の強度としては、10W以上2,000W以下が好ましく、10W以上1,000W以下がより好ましく、10W以上100W以下が更に好ましい。前記強度が10W以上であると、基体上におけるレーザー光の照射部の付着油を確実に移動させることができる。前記強度が2,000W以下であると、付着油の蒸発を防ぐことができ、また、レーザー光の照射による基体へのダメージを抑えることができる。
前記レーザー光の走査の速度としては、0.5mm/s以上50mm/s以下が好ましい。前記速度が0.5mm/s以上であると、前記基体上にレーザー光が照射されている時間が短くなるため、基体の温度上昇を抑え、付着油の蒸発を防止することができ、前記速度が50mm/s以下であると、レーザー光の照射部の付着油を確実に移動させることができる。
前記レーザー光の形状としては、基体の材質、形状によって適宜選択することができ、例えば、線状、円状などが挙げられる。レーザー光の形状は、レーザー装置の射出口の形状を変更することによって、変えることができる。
前記線状としては、直線状、曲線状、折線状などが挙げられる。前記レーザー光は、前記基体に対して、線状に照射されることで、線状長さ以下の最大長さとなるように油による油溜りを前記基体上に形成する。
前記線状長さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、
50mm以上200mm以下が好ましい。前記線状長さが、50mm以上であると、一回のレーザー光の走査で、広範囲の付着油を移動させることができる。前記線状長さが、200mm以下であると、レーザー光の走査において小回りが効くため、レーザー光の走査が容易となる。
前記レーザー光を線状に照射する場合のレーザー光の走査は、基体の一端側から他端側に向けての走査であることが好ましい。これにより、基体上の任意の部分に油が集約された油溜りを形成することができるため、基体上に広範囲に付着していた油を油溜りとしてまとめて取り除くことができる。
前記円状としては、例えば、真円状、楕円状などが挙げられる。
レーザー光を円状に照射する場合のレーザー光の走査は、円状の直径を小さくするレーザー光の走査、円状の直径を大きくするレーザー光の走査などが挙げられる。これらの中でも、基体上において、油溜りを一点に集約することができる点から、円状の直径を小さくするレーザー光の走査が好ましい。
前記レーザー光を照射後の基体の温度としては、70℃以下が好ましい。前記温度が、70℃以下であると、基体上の油又は前記油に含まれているPCB(蒸発温度:150℃)などの有害物質の蒸発を防ぐことができ、またレーザー光の照射時の火災の発生などを防止することができる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、付着油を除去する除去工程などが挙げられる。
前記除去工程としては、例えば、有機溶媒を含む脱脂綿、ウェスなどにより付着油を拭取る方法、吸引器で吸引する方法などが挙げられる。
前記有機溶媒としては、例えば、ヘキサンなどが挙げられる。
前記除去工程で除去された油は、PCBを含まない場合は、一般的な油と同じ廃棄基準に則って廃棄され、PCBを含む場合は、環境省の低濃度PCB廃棄物 収集・運搬ガイドラインに則って廃棄される。
図1は、本発明の付着油の除去方法のレーザー光照射工程の概略図を示すものである。
図1に示すように、油110が付着している基体100に対して、レーザー光120を照射しながら、レーザー光の走査方向130にレーザー光120を走査させる。このとき、基体100上において、レーザー光120が照射された部分にレーザーアブレーション140による衝撃波が発生する。衝撃波によって、基体100と油110との親和力が低下し、レーザーアブレーション140の発生位置から、レーザー光の走査方向130に油110を移動させることができる。その後もレーザー光120を走査することで、基体100の端の部分に油溜り150を形成することができる。形成された油溜り150は、除去工程によって取り除かれる。
図2Aから2Cは、本発明の付着油の除去方法の一例を示す概略図である。以下、図2Aから2Cを用いて本発明の実施形態を説明する。
図2Aに示すように、形状が直線状であるレーザー光120を、基体100の一端側から他端側に向けて走査することによって、基体100の他端側に、レーザー光120の線状長さと同じ最大長さである油溜り150を形成することができる。基体100上の他端側に集約された油溜り150を取り除くことで、基体上に広範囲に付着していた油をまとめて取り除くことができる。
また、基体100の表面上に凹みを有する場合は、レーザー光120は、前記凹みに向けて走査することが好ましい。これにより、油溜り150として集約された油が、再び基体100上に広がることを防ぐことができ、油溜り150を取り除くことが容易となる。
図2B及び図2Cに示すように、形状が曲線状又は折線状であるレーザー光120を、基体100の一端側から他端側に向けて、走査することによって、基体100の他端側に、レーザー光の線状長さ以下の最大長さである油溜り150を形成することができる。油溜りの最大長さは、レーザー光の線状長さ以下であるため、レーザー光の形状が直線状の場合よりも、油溜り150を集約することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
-油付着ステンレス鋼板の作製-
鋼板(ステンレス鋼、50mm×50mm、厚さ7mm)に鉱油(バーレルトランスM、松村石油株式会社製)0.5mLを滴下した後に余分な油分をウェスで除去し、油付着鋼板を作製した。作製した油付着鋼板の油膜の厚さを拭き取り分析(ヘキサンを含む脱脂綿で油を拭き取り、高分解能ガスクロマトグラフィー/水素炎イオン化検出器(GC-FID)を用いて測定を行う)によって、解析したところ10μmであった。
-レーザー光の照射-
作製した油付着鋼板に対して、ファイバーレーザー装置(レーザークリーナー、株式会社光響製)から、強度100W、波長1,060nm、線状長さ60mmでレーザー光を照射させながら、速度10mm/sでレーザー光を走査した。
油付着鋼板の一端側から他端側までのレーザー光の走査を1回として、合計5回行い、5回のレーザー走査の終了後、他端側に集められた油溜りを、ヘキサンを含むウェスで拭き取った。
<付着油の除去率の測定>
実施例1において、各走査後に、油付着鋼板のレーザー光の照射部を、ヘキサンを含むウェスで拭き取り、拭き取ったウェスから、ヘキサンを用いて油の抽出を行った。その後、高分解能ガスクロマトグラフィー/水素炎イオン化検出器(GC-FID、装置名:GC-4000、GLサイエンス株式会社製)を用いて、各走査(1~5回)後の油付着鋼板のレーザー光の照射部における油の量を測定した。
付着油の除去率を、下記式(1)を用いて評価した。結果を表1及び図4に示す。
付着油の除去率(%)={(0回走査後の付着油の量)-(n回走査後の付着油の量)}/(0回走査後の付着油の量)×100・・・式(1)
ただし、nは1から5である。
<油付着鋼板の最高温度の測定>
実施例1において、各走査後に、温度計を用いて、油付着鋼板上の最高温度を測定した。結果を表1に示す。
<空気中の油量の測定>
各走査中に、捕集カラム(商品名Autoprep PCB @ Gas、昭和電工株式会社製)を装着したローボリウムエアサンプラー(商品名:LV-40BW、柴田科学株式会社製)を用いて、レーザーアブレーション発生部周辺の空気を30L/minの吸引力で吸引し、捕集カラム内に回収した。回収した空気に含まれる物質をアセトンとヘキサンの混合溶液(アセトン:ヘキサン=1:1)で抽出を行った後、窒素存在下で濃縮し、高分解能ガスクロマトグラフィー/水素炎イオン化検出器(GC-FID)を用いて油量の測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007296758000001
表1の結果より、実施例1では、1回のレーザー光の走査で油の量が、0.001mg/cm以下となり、除去率が99.9%であった。このことから、1回のレーザー光の走査のみで、基体上に付着している油を実質的に除去できることが確認された。
また、実施例1では、1回のレーザー光の走査で油付着鋼板の最高温度は、21.8℃であり、5回のレーザー光の走査で油付着鋼板の最高温度は、44.0℃であった。このことから、レーザー光の照射により、油付着鋼板の温度上昇も生じないことが確認された。
また、実施例1では、各走査における、レーザーアブレーション発生部周辺の空気に含まれる油の量は、0.1mg以下であった。このことから、油付着鋼板上の油は、レーザーの熱によって蒸発していないことが確認された。
(実施例2)
実施例1の油付着鋼板の作製において、鉱油を下記PCB含有油に変更した以外は、実施例1と同様にして、付着油の除去を行った。
-PCB含有油の調製例-
鉱油(バーレルトランスM、松村石油株式会社製)に、PCB(カネクロール500、
ジーエルサイエンス株式会社製)を添加し、PCB濃度が5ppmのPCB含有油を調製した。
<PCBの除去率の測定>
実施例2において、各走査後に油付着鋼板のレーザー光の照射部を、ヘキサンを含むウェスで拭き取り、拭き取ったウェスから、ヘキサンを用いて油の抽出を行った。その後、抽出したPCBを含むヘキサンを前処理し、高分解能ガスクロマトグラフィー/電子捕獲型検出器(GC-ECD、装置名:7890A GC system、アレジレント・テクノロジー株式会社製)を用いて、油付着鋼板のレーザー光の照射部における各走査後のPCBの量を測定した。
PCBの除去率を、下記式(2)を用いて評価した。結果を表2及び図5に示す。
PCBの除去率(%)={(0回走査後のPCBの量)-(n回走査後のPCBの量)}/(0回走査後のPCBの量)×100・・・式(2)
ただし、nは1から3である。
<空気中のPCB量及びダイオキシン量の測定>
各走査中に、捕集カラム(商品名Autoprep PCB @ Gas、昭和電工株式会社製)を装着したローボリウムエアサンプラー(商品名:LV-40BW、柴田科学株式会社製)を用いて、レーザーアブレーション発生部周辺の空気を吸引し、捕集カラム内に回収した。回収した空気に含まれる物質をアセトンとヘキサンの混合溶液(アセトン:ヘキサン=1:1)で抽出を行った後、窒素存在下で濃縮した。その後、ダイオキシン類に係る大気環境調査マニュアル(平成20年3月改訂、環境省 水・大気環境局 総務課ダイオキシン対策室 大気環境課)、及び排出ガス中のPOPs(ポリ塩素化ビフェニル、ヘキサクロロベンゼン、ペンタクロロベンゼン)測定方法マニュアル(平成23年3月、環境省 水・大気環境局 大気環境課)に基づく精製処理を行い、高分解能ガスクロマトグラフィー/高分解能質量分析計を用いてPCB量及びダイオキシン量の測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 0007296758000002
表2の結果より、実施例2は、1回のレーザー光の走査でPCB量が0.03μg/cm以下となり、除去率が99.8%であった。また、2回のレーザー光の走査でPCB量が、0.01μg/cm以下となり、除去率が99.9%であった。このことから、2回のレーザー光の走査のみで、基体上に付着しているPCB含有油を実質的に除去できることが確認された。
また、実施例2では、1回のレーザー光の走査で油付着鋼板の最高温度は、14.7℃であり、3回のレーザー光の走査で油付着鋼板の最高温度は、32.9℃であった。このことから、レーザー光の照射により、油付着鋼板の温度上昇も生じないことが確認された。したがって、PCBの蒸発温度は、150℃であるため、レーザー光の照射によるPCBの蒸発は起こらないと考えられる。
また、実施例2では、各走査における、レーザーアブレーション発生部周辺の空気に含まれるPCB量は、10pg以下であり、ダイオキシン量は、1pg以下であった。このことから、油付着鋼板上の油に含まれるPCBがレーザーによって蒸発していないこと、及びダイオキシンが発生していないことが確認された。
本発明の態様としては、例えば、以下の通りである。
<1> 油が付着した基体に対し、前記油には、実質的に吸収されずに透過可能であって、前記基体により反射される波長のレーザー光を照射し、走査することにより、前記油を前記基体上で移動させることを含むことを特徴とする付着油の除去方法である。
<2> 前記油がPCB含有油である、前記<1>に記載の付着油の除去方法である。
<3> 前記基体が無機材料で形成された、前記<1>から<2>のいずれかに記載の付着油の除去方法である。
<4> 前記レーザー光の波長が500nm以上1,100nm以下である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の付着油の除去方法である。
<5> 前記レーザー光の照射の強度が、10W以上1,000W以下である、前記<1>から<4>のいずれかに記載の付着油の除去方法である。
<6> 前記レーザー光を前記基体に対して線状に照射することにより、前記レーザー光の前記基体上における線状長さ以下の最大長さとなるように前記油による油溜りを前記基体上に形成させる、前記<1>から<5>のいずれかに記載の付着油の除去方法である。
<7> 前記レーザー光を前記基体に対して線状に照射する際の線状形状が、直線状、曲線状、及び折線状の少なくともいずれかである、前記<6>に記載の付着油の除去方法である。
<8> 前記レーザー光の前記基体上における走査が、前記基体の一端側から他端側に向けての走査である、前記<1>から<7>のいずれかに記載の付着油の除去方法である。
前記<1>から<8>のいずれかに記載の付着油の除去方法によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
100 基体
110 油
120 レーザー光
130 レーザー光の走査方向
140 レーザーアブレーション
150 油溜り

Claims (8)

  1. 油が付着した基体に対し、前記油には、実質的に吸収されずに透過可能であって、前記基体により反射される波長のレーザー光を照射し、走査することにより、前記油を前記基体上で移動させることを含み、
    前記レーザー光の照射の強度が、100W以下であることを特徴とする付着油の除去方法。
  2. 前記油がPCB含有油である、請求項1に記載の付着油の除去方法。
  3. 前記基体が無機材料で形成された、請求項1から2のいずれかに記載の付着油の除去方法。
  4. 前記レーザー光の波長が500nm以上1,100nm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の付着油の除去方法。
  5. 前記レーザー光の照射の強度が、10W以上100W以下である、請求項1から4のいずれかに記載の付着油の除去方法。
  6. 前記レーザー光を前記基体に対して線状に照射することにより、前記レーザー光の前記基体上における線状長さ以下の最大長さとなるように前記油による油溜りを前記基体上に形成させる、請求項1から5のいずれかに記載の付着油の除去方法。
  7. 前記レーザー光を前記基体に対して線状に照射する際の線状形状が、直線状、曲線状、及び折線状の少なくともいずれかである、請求項6に記載の付着油の除去方法。
  8. 前記レーザー光の前記基体上における走査が、前記基体の一端側から他端側に向けての走査である、請求項1から7のいずれかに記載の付着油の除去方法。
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