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JP7297538B2 - 光偏向器及び製造方法 - Google Patents
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JP7297538B2 - 光偏向器及び製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、MEMSの光偏向器及びその製造方法に関する。
圧電方式のMEMSの光偏向器が知られている(例:特許文献1)。
特許文献1の光偏向器では、ミラー部とトーションバーとの結合部の破損を防止するために、ミラー部とトーションバーとの間の結合縁は、内側にへこむR部で形成されている。
特開2017-151476号公報
圧電方式の一般的なMEMSの光偏向器は、基板としてSOI(Silicon on Insulator)ウェハが使用される。一般的なSOIウェハは、主面の面指数が(100)又は(110)になっている。
一方、トーションバーの軸線の回りのミラー部の往復回動の周波数を高くするとき、トーションバーのねじり方向の剛性を高くすることが好ましい。そのため、トーションバーの軸方向の結晶方位を<100>に合わせて、光偏向器が製造される。
しかしながら、トーションバーの軸方向の結晶方位を<100>にしたとき、R部の湾曲線上に、法線方向がシリコン単結晶の劈開方向である<110>になる箇所が生じる。劈開方向は、亀裂が発生及び拡大し易い方向であるので、該箇所が亀裂して、トーションバーが破損し易くなる。
本発明の目的は、トーションバーの結合縁部に設けられたR部の劈開を抑制することができる光偏向器及びその製造方法を提供することである。
本発明の光偏向器は、
所定の回転軸線の回りに往復回動可能であるミラー部と、
前記ミラー部の前記回転軸線に沿って前記ミラー部の両側から延在している1対のトーションバーと、
前記ミラー部及び前記1対のトーションバーを包囲する枠部と、
各トーションバーと前記枠部との間に介在して、各トーションバーを前記回転軸線の回りにねじり振動させて、前記ミラー部を前記回転軸線の回りに往復回動させる複数の圧電式アクチュエータと、
各トーションバーと前記ミラー部との結合縁部に、内側にへこむ円柱曲面で形成された第1R部と、
前記ミラー部に臨む側の各圧電アクチュエータと各トーションバーとの間の結合縁部に、内側にへこむ円柱曲面で形成された第2R部と、
を備える光偏向器であって、
前記ミラー部、前記トーションバー及び前記圧電式アクチュエータの基板層は、共通のシリコン単結晶層から成り、
前記シリコン単結晶層の主面の面指数は、(100)及び(110)の一方であり、
前記トーションバーの軸方向は、前記シリコン単結晶層の結晶方位の<100>であり、
前記第1R部及び前記第2R部のうちの少なくとも一方の所定部分は、前記円柱曲面に対する凹凸が600nm以下となるように、形成されている。
本発明によれば、第1R部及び第2R部のうちの少なくとも一方の所定部分が、凹凸が円柱曲面に対して600nm以内にされる。これにより、少なくとも一方の劈開を抑制することができる。
好ましくは、本発明の光偏向器において、前記所定部分の両端は、前記円柱曲面を3等分割したときの中央の分割部分の両端の外側に設定されている。
トーションバーの軸方向は、シリコン単結晶層の結晶方位の<100>であるので、第1R部及び第2R部における劈開方向は、円柱曲面を3等分割したときの中央の分割部分内に存在する。この構成によれば、第1R部及び第2R部の少なくとも一方において劈開方向を含む範囲の劈開の抑制を保証することができる。
好ましくは、本発明の光偏向器において、
前記少なくとも一方を、前記主面に対して平行な平面で切ったときの輪郭線をうねり曲線とし、
前記うねり曲線に対して最小二乗法による平均線が設定され、
前記うねり曲線で隣接する山頂と山頂との間の区間が周期とされ、
前記うねり曲線上の各位置における前記平均線からの距離がうねり量とされ、
前記所定部分に含まれる全部の周期について、各周期の最大うねり量と最小うねり量との差分が600nm以下である。
この構成によれば、所定部分のうねり量を抑制して、第1R部及び第2R部の劈開を抑制することができる。
好ましくは、本発明の光偏向器において、前記平面は、前記少なくとも一方の表面である。
第1R部及び第2R部の表面は、光偏向器の表面から浅い場所に存在する。この構成よれば、第1R部及び第2R部の輪郭線を検出し易くすることができる。
好ましくは、本発明の光偏向器において、前記少なくとも一方は、前記第2R部である。
トーションバーは、回転軸線の回りのねじり力を圧電アクチュエータから受けて、ミラー部に伝達する。したがって、光偏向器の作動中は、第1R部より第2R部の方が強いねじり力がかかる。
この構成によれば、第2R部より第1R部を優先して、凹凸を抑制することにより、トーションバーの寿命を伸ばすことができる。
本発明の製造方法は、
主面の面指数が(100)及び(110)の一方であるシリコン単結晶の活性層を含む基板の表面を、膜厚が5μm以上で10μm以下であるフォトレジスト膜で被覆する被覆工程と、
前記光偏向器の前記ミラー部、前記トーションバー、前記圧電アクチュエータ、前記第1R部及び前記第2R部の輪郭を含む輪郭パターンを含むフォトマスクを介して前記被覆工程の後の前記基板の表面側を露光する露光工程と、
前記基板の表面側をエッチングして前記活性層に、前記光偏向器の前記ミラー部、前記トーションバー、前記圧電アクチュエータ、前記第1R部及び前記第2R部の輪郭を形成する輪郭形成工程と、
を有する。
本発明の製造方法によれば、第1R部及び第2R部の湾曲面のうねり量が600nm以内に保証して、トーションバーの結合部のR部の劈開を抑制することができる。
MEMSの光偏向器の正面図である。 光偏向器の製造に使用するSOIウェハの正面図である。 光偏向器の製造に使用する別のSOIウェハの正面図である。 トーションバーを含む範囲の拡大図である。 シミュレーションによるトーションバーの表面応力の分布イメージである。 シミュレーションによるトーションバーの断面応力の分布メージである。 R部のうねり量に対する対策の施されていない光偏向器における破壊を観察した顕微鏡観察図である。 図6の破断面を所定方向から観察したである。 R部の湾曲面に表面粗さについてのJIS規格を適用したときのうねり量の説明図である。 R部のうねり量とH限界振れ角との関係を示すグラフである。 光偏向器の製造方法の工程図である。 図10の製造方法で製造された光偏向器の横断面図である。 膜厚が規定の10μmより大きいレジスト膜層の断面と該レジスト膜層でR部を形成したときのうねり量とを観察したSEM観察像である。 膜厚が規定の10μm以内のレジスト膜層の断面と該レジスト膜層でR部を形成したときのうねり量とを観察したSEM観察像である。
以下に、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。以下の説明において、実質的に同一又は等価な要素及び部分については、共通の参照符号を使用している。また、構造が同一で、配置位置のみが異なる要素又は部分については、数字が同一で、添字のアルファベットのみが異なる参照符号を使用している。さらに、数字が同一で、添字のアルファベットのみが異なる参照符号の要素又は部分について、個々に区別しないときは、添字のアルファベットを省略して、数字のみの符号で総称する。
[MEMS光偏向器]
図1は、MEMSの光偏向器10の正面図(表側から見た図)である。光偏向器10は、主要な要素として、ミラー部11、トーションバー12a,12b、内側圧電アクチュエータ13a,13b、可動枠部14、外側圧電アクチュエータ15a,15b及び固定枠部16を備えている。
以下、説明の便宜上、X軸、Y軸及びZ軸から成る3軸座標系を定義する。X軸及びY軸は、光偏向器10の正面視で横方向及び縦方向とする。Z軸は、光偏向器10の厚み方向とする。Oは、円形のミラー部11の中心である。
ミラー部11は、中心Oにおいて直交する回転軸線22x,22yの回りに往復回動可能になっている。回転軸線22x,22yは、ミラー部11が真正面を向いたとき、それぞれX軸及びY軸に平行になる。
1対のトーションバー12a,12bは、ミラー部11の両側から回転軸線22yに沿って延び出ている。1対の内側圧電アクチュエータ13a,13bは、X軸方向に相互に結合して、全体で縦長の楕円輪を形状を有している。該楕円輪は、ミラー部11及びトーションバー12を包囲している。
可動枠部14は、1対の内側圧電アクチュエータ13a,13bが形成する楕円輪より大きい楕円輪の形状を有している。該楕円輪は、1対の内側圧電アクチュエータ13a,13bの楕円輪を包囲している。各内側圧電アクチュエータ13は、中心Oを通るX軸方向の直線上において可動枠部14の内周に結合している。
各外側圧電アクチュエータ15は、可動枠部14と固定枠部16との間に介在する。各外側圧電アクチュエータ15は、縦方向をY軸に揃えた複数のカンチレバー19を備えている。X軸方向に隣り同士のカンチレバー19は、Y軸方向の一方及び他方のいずれかの端部において相互に結合している。X軸方向のカンチレバー19の配列順で、結合箇所は、Y軸方向の一方と他方とを交互に入れ替わる。こうして、各外側圧電アクチュエータ15における複数のカンチレバー19の全体は、ミアンダパターンの結合体を構成する。
外側圧電アクチュエータ15は、不図示の駆動電圧供給部からの駆動電圧により駆動され、可動枠部14を、中心Oを通るX軸方向の回転軸線(≠回転軸線22x)の回りに非共振周波数で往復回動させる。これにより、ミラー部11は、回転軸線22xの回りに非共振周波数で往復回動する。
内側圧電アクチュエータ13は、不図示の駆動電圧供給部からの別の駆動電圧により駆動され、トーションバー12を回転軸線22yの回りに共振周波数でねじれ振動させる。これにより、ミラー部11は、回転軸線22yの回りに共振周波数で往復回動する。
[SOIウェハ]
図2A及び図2Bは、光偏向器10の製造に使用するSOIウェハ25a,25bの正面図である。各SOIウェハ25の正面は、各SOIウェハ25の表面側の主面になっている。
図2A及び図2Bに図示してある座標軸は、SOIウェハ25のシリコン単結晶から形成される活性層28d(図11)内の方位を示している。オリフラ26は、SOIウェハ25の活性層28d(シリコン単結晶層)の結晶方位を示す。
各SOIウェハ25からは、複数の光偏向器10が切り出される。図2A及び図2Bにおいて、光偏向器10の外形が矩形の波線で示されている。該矩形の長辺及び短辺は、図1の光偏向器10の正面図の固定枠部16の横辺(長辺)及び縦辺(短辺)に対応している。
オリフラ26aは、<100>の方向にある。したがって、SOIウェハ25aの主面の面指数は、(100)である。一方、オリフラ26bは、<110>の方向にある。したがって、支持層28bの主面の面指数は、(110)である。
後述の図11で説明するように、光偏向器10の基板層は、SOIウェハ25の活性層28dから構成される。図2の波線の矩形は、各光偏向器10の外形を示している。したがって、トーションバー12の軸方向(=延在方向)は、SOIウェハ25a,25b共に、<100>となる。これは、回転軸線22yの回りのミラー部11の共振周波数を高くするには、トーションバー12の軸方向を<100>に合わせることが有利だからである。トーションバー12の軸方向を<100>に合わせると、トーションバー12のねじり剛性が高くなる。
したがって、SOIウェハ25aでは、トーションバー12の軸方向は、オリフラ26aに対して直交する方向となる。また、SOIウェハ25bでは、トーションバー12の軸方向は、オリフラ26bに対して45°の方向になる。
[R部]
図3は、図2においてトーションバー12を含む範囲の拡大図である。該中心部には、可動枠部14と、可動枠部14が内側に包囲するミラー部11、トーションバー12及び内側圧電アクチュエータ13とが含まれる。図3には、X軸-Y軸-Z軸の3軸座標系と、結晶方位の方向とが示されている。X軸及びY軸は、<100>に一致する。X軸及びY軸に対して45°の方向は、<110>に一致する。
各トーションバー12は、中心O側においてミラー部11の周縁部に結合し、中心Oとは反対側において可動枠部14に結合している。各内側圧電アクチュエータ13は、半楕円輪の形状の両端部においてトーションバー12a,12bのそれぞれに結合し、該形状の外周の中央部において可動枠部14の内周に結合している。
各トーションバー12が、ミラー部11、内側圧電アクチュエータ13、及び可動枠部14に結合する結合縁部は、強度を高めるために、R部31が形成される。R部31は、内側にへこむ湾曲面で形成されている。
詳細には、R部31aa,31baは、各トーションバー12とミラー部11との結合縁部を構成する。R部31ab,31bbは、各トーションバー12と内側圧電アクチュエータ13とのミラー部11側の結合縁部を構成する。R部31ac,31bcは、各トーションバー12と内側圧電アクチュエータ13との可動枠部14側の結合縁部を構成する。R部31ad,31bdは、各トーションバー12と可動枠部14の内周側との結合縁部を構成する。
R部31は、角部(コーナ部)の補強のために、形成されているものの、この光偏向器10では、問題点が生じる。すなわち、図2A及び図2Bで前述したように、トーションバー12の軸方向を活性層28dの<100>に合わせるために、トーションバー12の各結合縁部に形成されたR部31の湾曲面は、<110>の劈開方向を向く面素、換言すれば、法線が<110>の方向になる面素を含むことになる。この結果、該湾曲面には、該面素の箇所から劈開が進み易くなる。
図4は、シミュレーションによるトーションバー12の表面応力の分布イメージである。図5は、シミュレーションによるトーションバー12の断面応力の分布イメージである。白っぽい領域ほど、応力が高いことを意味している。
図4及び図5から、R部31aa,31ba,31ab,31bb(図3)に対応する部分の応力が、他の部分に比してひときわ高くなっていることが分かる。
図6は、R部31の後述のうねり量に対する対策の施されていない光偏向器10におけるトーションバー12の破壊を観察した顕微鏡観察図である。図7は、図6の破断面37を所定方向から観察したSEM観察像である。
図6では、R部31の破壊のため、トーションバー12bがミラー部11と内側圧電アクチュエータ13との間で破損している。図7では、破断面37と共にその近傍の表面35(正面側の面)と湾曲面36(湾曲曲面)とが映し出されている。
[うねり量]
図8は、R部31に表面粗さについてのJIS規格を適用したときのうねり量についての説明図である。JIS規格とは、具体的には、「JIS B 0601-1994」であるが、それに準ずる基準を含むものとする。
「JIS B 0601-1994」では、表面粗さについて、測定断面曲線、断面曲線、基準長さ、粗さ曲線、山、谷、山頂、谷底、及び平均線が定義されている。図8の各語句は、それらの定義に準拠している。
測定断面曲線は、R部31の湾曲面をX-Y平面に平行な所定の断面(例:Z軸の厚みの中心を通る断面)で切ったときの輪郭線である。ここで輪郭線の両端は、R部31の輪郭が<100>に平行になった位置とした。該測定断面曲線は、基準長さの方向(図8の横軸)に3等分割される。基準長さの方向への各分割区分の長さをLとする。
ここで、上述のJIS規格とは、別途、「うねり曲線」、「周期」及び「うねり量」を定義する。
うねり曲線とは、R部31をSOIウェハ25の主面に対して平行な平面で切ったときの輪郭線を言うものとする。前述のJIS規格では、測定断面曲線に対して最小二乗法による平均線が設定される。次のうねり量の計算では、うねり曲線に対して最小二乗法による平均線が設定される。そして、うねり曲線上の各位置における該平均線からの距離をうねり量と定義する。
周期とは、図8において、粗さ曲線をうねり曲線に置き換えたとき、山頂と山頂との間の区間を言うものとする。また、上記平面とは、R部31の表面である。R部31の表面は、光偏向器の10の表面から浅い位置にあり、R部31の輪郭線を測定し易い。
図8において、Ta,Baは、R部31の全体の周期のうち、最大うねり量と最小うねり量との差分が最大となる周期における最大うねり量及び最小うねり量を示している。Tb,Bbは、3等分割における中央の区分に含まれる周期のうち、最大うねり量と最小うねり量との差分が最大となる周期における最大うねり量及び最小うねり量を示している。Tb-Bbの差分≦Ta-Baの差分の関係がある。
図9は、R部31のうねり量とH限界振れ角との関係のグラフである。ここで、「H限界振れ角」とは、トーションバー12が破断したときの回転軸線22yの回りのミラー部11の最大振れ角である。トーションバー12の破断を防止するためには、光偏向器10は、回転軸線22yの回りのミラー部11の振れ角をH限界振れ角未満にして、使用されなければならない。
なお、ミラー部11の振れ角には、回転軸線22yの回りの振れ角と、回転軸線22xの回りの振れ角との2種類がある。両者を区別するときは、回転軸線22yの回りの振れ角は、「H振れ角」と言い、回転軸線22xの回りの振れ角は、「V振れ角」と言うことにする。ミラー部11が真正面を向いたとき、H振れ角及びV振れ角は、共に0°と定義する。またこの各々の振れ角は、機械的振れ角である。
図9において、縦軸の各数値は、H限界振れ角の相対値を意味する。H限界振れ角=1.0は、光偏向器10を車載製品として使用するときにH限界振れ角についての最大許容値を意味する。光偏向器10を実際に製品として販売するときは、20%下のH限界振れ角=0.8以上を保証する必要がある。そのためには、R部31の湾曲面のうねり量は、600nm以内に設定すればよいことが、図9から分かる。
[劈開の抑制]
光偏向器10において、R部31の劈開を抑制する構造について説明する。R部31(特に、R部31aa,31baとR部31ab,31bbとの内の少なくとも一方)の所定部分に含まれる全部の周期について、各周期の最大うねり量と最小うねり量との差分が600nm以下にされる。これにより、R部31が、結晶方位の<110>の方向に法線を向ける部位を有していても、該部位からの劈開を有効に防止することができる。なお、少なくとも一方は、典型的には、R部31ab,31bbである。
上記の対策を換言すると、各R部31は、各要素間の結合縁部として内側にへこむ円柱曲面で形成されている。R部31の所定部分は、円柱曲面に対する凹凸が600nm以下となるように、形成されている。
所定部分の両端(例:図8の抽出長さの両端に相当)は、円柱曲面を3等分割したときの中央の分割部分の両端の外側に設定されている。中央の分割部分は、図8の粗さ曲線において、基準長さの方向(横軸方向)に3つある曲線部分のうち、中央の曲線部分に相当する。
円柱曲面とは、円柱の理想の側面(凹凸0の側面)を含む。さらに、円柱の理想の側面に対し、所定の第1閾値以内の凹凸で収まる側面や、所定の第1閾値以内の凹凸で収まりかつ側面の任意方向の単位長さ当たりの隆起量又は沈降量が第2閾値以内となる曲面も包含するとする。
所定部分の両端を中央の分割部分の両端の外側に設定した理由は、次のとおりである。すなわち、トーションバー12の軸方向は、シリコン単結晶層の結晶方位の<100>であるので、R部31における劈開方向は、円柱曲面を3等分割したときの中央の分割部分内に存在するからである。
[製造方法]
図10は、R部31のうねり量が600nm以内にする光偏向器10の製造方法の工程図であり、特にSOI加工工程に関しての一例である。
STEP1では、SOIウェハ25(図2AのSOIウェハ25a又は図2BのSOIウェハ25b)が用意される。
次のSTEP2では、SOIウェハ25の表面40に素子形成層42が形成される。素子形成層42は、具体的には、図11の電極層42a、圧電膜層42b及び電極層42cである。
STEP3は、被覆工程に相当する。STEP3では、表面40付きのSOIウェハ25に対し、ノズル43から感光剤44を滴下しつつ、スピン回転45の操作を行う。これにより、感光剤44は、素子形成層42の表面に均一に広がる。
従来の感光剤の塗布工程では、感光剤としてAZ4620(粘度:400cSt)が使用される。また、スピン回転45は、1000rpm~2000rpmである。これより素子形成層42の表面に形成されるレジスト膜層の膜厚は、10μmより大きくなっていた。スピン回転45の回転速度を上げて、レジスト膜層48の膜厚を薄くしようとすると、今度は、膜厚ムラが増大する。
これに対し、STEP3では、感光剤44としてAZ6130使用(粘度:70cSt)が使用される。また、スピン回転45は、500rpm~1000rpmである。これより、STEP4では、膜厚が均一化されたレジスト膜層48が、素子形成層42の表面側に形成される。これにより、レジスト膜層48の膜厚は、5μm以上でかつ10μm以下になる。
なお、膜厚が5μm未満であると、MEMSの凹凸の段差分構造をカバーできなくなる。また、膜厚が10μmを上回ると、素子形成層42の表面に均一に感光剤44を塗布することができず、R部31の湾曲面のうねり量が、600nm以内であることを満足できなくなる。
STEP5では、フォトマスク50がレジスト膜層48付きのSOIウェハ25に被覆される。フォトマスク50は、1つのSOIウェハ25から製造する光偏向器10の個数及び配置に応じたパターン52を有している。
STEP5では、本発明の露光工程として、さらに、フォトマスク50の表面側から紫外光51が照射される。レジスト膜層48のうち、フォトマスク50のパターン52の領域は、紫外光51により露光される。
図11は、STEP5の後、さらに、エッチング工程を経て製造された光偏向器10の横断面図である。SOIウェハ25は、裏面側から表面側に、SiO層28a、支持層28b、SiO2層28c、活性層28d及びSiO層28eを積層して有している。素子形成層42は、SOIウェハ25側から順番に電極層42a、圧電膜層42b及び電極層42cを積層して有している。
ミラー部11は、SiO2層28eの表面を被覆する金属層54を有している。金属層54の表面は、不図示の光源からミラー部11に入射する光に対する反射面となる。活性層28dは、ミラー部11、内側圧電アクチュエータ13及び外側圧電アクチュエータ15の共通の基板層を形成している。
図12Aは、レジスト膜層48の膜厚を規定の10μmを超えているレジスト膜層48の断面及び該膜厚で製造したR部31の湾曲曲面のうねり量とを観察したSEM観察像である。図12Bは、レジスト膜層48の膜厚を規定の10μm以内になっているレジスト膜層48の断面及び該膜厚で製造したR部31の湾曲曲面のうねり量を観察したSEM観察像である。
図12Aと図12BのTEM観察像の対比から、レジスト膜層48の膜厚を規定の10μm未満にすると、該膜厚で製造したR部31の湾曲曲面を所望の600nm以内に抑えられることが理解できる。
[変形例及び補足]
実施形態の光偏向器10は、2軸式、すなわちミラー部からの走査光が二次元で走査する光偏向器になっている。本発明の光偏向器は、1軸式、すなわちミラー部からの走査光が一次元で走査する光偏向器であってもよい。
実施形態の光偏向器10は、Y軸方向に圧電式アクチュエータとしての内側圧電アクチュエータ13との結合部を超えて、可動枠部14(可動枠)の内周に達して、該内周に結合している。本発明の光偏向器では、トーションバーは、支持部としての可動枠部14には、結合していなくてもよい。
実施形態では、フォトレジスト膜としてのレジスト膜層48としての感光剤44は、AZ6130使用(粘度:70cSt)が採用されている。本発明のフォトレジスト膜を形成する感光剤は、5μm以上で10μm以下である均一な膜厚のフォトレジスト膜で露光工程前の基板の表面側を被覆することができるのであれば、感光剤の種類は問わない。
実施形態のR部31aa,31baは、本発明の第1R部に対応する。R部31ab,31bbは、本発明の第2R部に対応する。実施形態では、図10のSTEP4で説明したように、SOI25の表面40の全体が5μm以上でかつ10μm以下の膜厚のレジスト膜層48で被覆される。このため、R部31aa,31ba,31ab,31bbだけでなく、その他のR部31ac,31bc,31ad,31bd、さらには、ミアンダパターンで結合しているカンチレバー19の連結部のR部のうねり量も、600nm以内にされている。本発明では、うねり量を600nm以内にされるR部は、R部31ab,31bbのみでも可とする。
実施形態では、図10のSTEP4で説明したように、SOI25の表面40の全体が5μm以上でかつ10μm以下の膜厚のレジスト膜層48で被覆される。このため、R部の粗さ曲線の抽出長さの範囲に含まれる各周期に限定することなく、R部の粗さ曲線の全長に含まれる各周期の最大うねり量と最小うねり量との差分を600nm以下にすることもできる。
10・・・光偏向器、11・・・ミラー部、12・・・トーションバー、13・・・内側圧電アクチュエータ、14・・・可動枠部、22x,22y・・・回転軸線、25・・・SOIウェハ、28d・・・活性層、31・・・R部、36・・・湾曲面、40・・・表面、42・・・素子形成層、44・・感光剤、45・・・スピン回転、48・・・レジスト膜層、52・・・パターン。

Claims (8)

  1. 所定の回転軸線の回りに往復回動可能であるミラー部と、
    前記ミラー部の前記回転軸線に沿って前記ミラー部の両側から延在している1対のトーションバーと、
    前記ミラー部及び前記1対のトーションバーを包囲する枠部と、
    各トーションバーと前記枠部との間に介在して、各トーションバーを前記回転軸線の回りにねじり振動させて、前記ミラー部を前記回転軸線の回りに往復回動させる複数の圧電式アクチュエータと、
    各トーションバーと前記ミラー部との結合縁部に、内側にへこむ円柱曲面で形成された第1R部と、
    前記ミラー部に臨む側の各圧電アクチュエータと各トーションバーとの間の結合縁部に、内側にへこむ円柱曲面で形成された第2R部と、
    備え、
    前記ミラー部、前記トーションバー及び前記圧電式アクチュエータの基板層は、共通のシリコン単結晶層から成り、
    前記シリコン単結晶層の主面の面指数は、(100)及び(110)の一方であり、
    前記トーションバーの軸方向は、前記シリコン単結晶層の結晶方位の<100>であり、
    前記第1R部及び前記第2R部のうちの少なくとも一方の所定部分は、前記円柱曲面に対する凹凸が600nm以下となるように、形成され
    前記所定部分の両端は、前記円柱曲面を3等分割したときの中央の分割部分の両端の外側に設定されていることを特徴とする光偏向器。
  2. 請求項に記載の光偏向器において、
    前記少なくとも一方を、前記主面に対して平行な平面で切ったときの輪郭線をうねり曲線とし、
    前記うねり曲線に対して最小二乗法による平均線が設定され、
    前記うねり曲線で隣接する山頂と山頂との間の区間が周期とされ、
    前記うねり曲線上の各位置における前記平均線からの距離がうねり量とされ、
    前記所定部分に含まれる全部の周期について、各周期の最大うねり量と最小うねり量との差分が600nm以下であることを特徴とする光偏向器。
  3. 請求項に記載の光偏向器において、
    前記平面は、前記少なくとも一方の表面であることを特徴とする光偏向器。
  4. 請求項に記載の光偏向器において、
    前記少なくとも一方は、前記第2R部であることを特徴とする光偏向器。
  5. 光偏向器の製造方法であって
    前記光偏向器が、
    所定の回転軸線の回りに往復回動可能であるミラー部と、
    前記ミラー部の前記回転軸線に沿って前記ミラー部の両側から延在している1対のトーションバーと、
    前記ミラー部及び前記1対のトーションバーを包囲する枠部と、
    各トーションバーと前記枠部との間に介在して、各トーションバーを前記回転軸線の回りにねじり振動させて、前記ミラー部を前記回転軸線の回りに往復回動させる複数の圧電式アクチュエータと、
    各トーションバーと前記ミラー部との結合縁部に、内側にへこむ円柱曲面で形成された第1R部と、
    前記ミラー部に臨む側の各圧電アクチュエータと各トーションバーとの間の結合縁部に、内側にへこむ円柱曲面で形成された第2R部と、
    を備え、
    前記ミラー部、前記トーションバー及び前記圧電式アクチュエータの基板層は、共通のシリコン単結晶層から成り、
    前記シリコン単結晶層の主面の面指数は、(100)及び(110)の一方であり、
    前記トーションバーの軸方向は、前記シリコン単結晶層の結晶方位の<100>であり、
    前記第1R部及び前記第2R部のうちの少なくとも一方の所定部分は、前記円柱曲面に対する凹凸が600nm以下となるように、形成され、
    前記所定部分の両端は、前記円柱曲面を3等分割したときの中央の分割部分の両端の外側に設定され、
    前記製造方法が、
    主面の面指数が(100)及び(110)の一方であるシリコン単結晶の活性層を含む基板の表面を、膜厚が5μm以上で10μm以下であるフォトレジスト膜で被覆する被覆工程と、
    前記光偏向器の前記ミラー部、前記トーションバー、前記圧電アクチュエータ、前記第1R部及び前記第2R部の輪郭を含む輪郭パターンを含むフォトマスクを介して前記被覆工程の後の前記基板の表面側を露光する露光工程と、
    前記基板の表面側をエッチングして前記活性層に、前記光偏向器の前記ミラー部、前記トーションバー、前記圧電アクチュエータ、前記第1R部及び前記第2R部の輪郭を形成する輪郭形成工程と、
    を有することを特徴とする製造方法。
  6. 請求項5に記載の製造方法において、
    前記光偏向器は、
    前記少なくとも一方を、前記主面に対して平行な平面で切ったときの輪郭線をうねり曲線とし、
    前記うねり曲線に対して最小二乗法による平均線が設定され、
    前記うねり曲線で隣接する山頂と山頂との間の区間が周期とされ、
    前記うねり曲線上の各位置における前記平均線からの距離がうねり量とされ、
    前記所定部分に含まれる全部の周期について、各周期の最大うねり量と最小うねり量との差分が600nm以下であることを特徴とする製造方法。
  7. 請求項6に記載の製造方法において、
    前記光偏向器の前記平面は、前記少なくとも一方の表面であることを特徴とする製造方法。
  8. 請求項5に記載の製造方法において、
    前記第1R部及び前記第2R部のうちの前記少なくとも一方は、前記第2R部であることを特徴とする製造方法。
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