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JP7303987B2 - セパレータ一体型電極の製造方法 - Google Patents
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JP7303987B2 - セパレータ一体型電極の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セパレータ一体型電極の製造方法に関する。
リチウム二次電池等の二次電池は、典型的には、正極、負極、および当該正極と当該負極とを絶縁するセパレータを有する電極体を備える。セパレータには、電解液が透過可能なように、樹脂製の多孔質体が用いられている。セパレータを構成する樹脂は、性能面等から、非水溶性高分子であること望まれている。
セパレータの製造方法として特許文献1には、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のゲルポリマーを溶媒に溶解させたゲルポリマー溶液に、非溶媒を一部添加して相分離させ、この相分離が起こった溶液を基材上に塗布した後、乾燥する方法が記載されている。また、特許文献1には、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のゲルポリマーを溶媒に溶解させたゲルポリマー溶液を、基材上に塗布し、これをゲルポリマーの非溶媒に浸漬させて相分離させた後、乾燥する方法が記載されている。また、特許文献1には、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のゲルポリマーを溶媒に溶解させたゲルポリマー溶液を、基材上に塗布し、これにゲルポリマーの非溶媒を噴射しながら乾燥して相分離させる方法が記載されている。
特開2019-79822号公報
一方で、電極上にセパレータ層が設けられたセパレータ一体型電極が知られている。セパレータ一体型電極は、電極体の製造が容易になるという利点を有している。このセパレータ一体型電極自体も製造も容易であることが望まれている。
これに対し、上記従来技術の製造方法は、相分離が起こった溶液を電極上に均一に塗布するのが困難である、電極の非溶媒への浸漬および電極への非溶媒の噴射は、非溶媒による電極への悪影響が生じるおそれがある等の問題を有している。そのため、上記従来技術の製造方法は、セパレータ一体型電極自体の製造に適用するのが困難であり、実際に特許文献1でも、基材としてセパレータ用の多孔質基材を用いている。また、電極を非溶媒へ浸漬することは工程数の増加につながり、電極への非溶媒の噴射は制御が難しく、製造の容易さの面においても不十分である。
そこで本発明の目的は、非水溶性高分子を用いて容易にセパレータ一体型電極を製造可能な方法を提供することにある。
ここに開示されるセパレータ一体型電極の製造方法は、非水溶性高分子の良溶媒および前記非水溶性高分子の貧溶媒を含有する混合溶媒に、前記非水溶性高分子が溶解した塗工液を調製する工程と、前記塗工液を、電極上に塗工する工程と、前記電極上に塗工した塗工液から、前記混合溶媒を気化させて除去する工程と、を包含する。前記貧溶媒の沸点は、前記良溶媒の沸点よりも高い。前記混合溶媒を気化させて除去することによって、空孔を形成して多孔質セパレータ層を形成する。
このような構成によれば、非水溶性高分子を用いて容易にセパレータ一体型電極を製造可能な方法が提供される。
実施例1で得られたセパレータ一体型電極の断面SEM写真である。 実施例2で得られたセパレータ一体型電極の断面SEM写真である。 実施例3で得られたセパレータ一体型電極の断面SEM写真である。 実施例4で得られたセパレータ一体型電極の断面SEM写真である。
本発明のセパレータ一体型電極の製造方法は、非水溶性高分子の良溶媒および当該非水溶性高分子の貧溶媒を含有する混合溶媒に、当該非水溶性高分子が溶解した塗工液を調製する工程(以下、「塗工液調製工程」ともいう)と、当該塗工液を、電極上に塗工する工程(以下、「塗工液塗工工程」ともいう)と、当該電極上に塗工した塗工液から、当該混合溶媒を気化させて除去する工程(以下、「混合溶媒除去工程」ともいう)と、を包含する。ここで、当該貧溶媒の沸点は、当該良溶媒の沸点よりも高い。混合溶媒除去工程において、当該混合溶媒を気化させて除去することによって、空孔を形成して多孔質セパレータ層を形成する。
まず、塗工液調製工程について説明する。本発明において「非水溶性高分子の良溶媒」とは、非水溶性高分子に対し、25℃において1質量%以上の溶解性を示す溶媒のことをいう。良溶媒は、非水溶性高分子に対し、25℃において、2.5質量%以上の溶解性を示すことが好ましく、5質量%以上の溶解性を示すことがより好ましく、7.5質量%以上の溶解性を示すことがさらに好ましく、10質量%以上の溶解性を示すことが最も好ましい。なお、本発明に使用される良溶媒の種類は、非水溶性高分子の種類に応じて適宜選択される。良溶媒は、単独の溶媒であってもよく、2種以上の溶媒が混合された混合溶媒であってもよい。
本発明において「非水溶性高分子の貧溶媒」とは、非水溶性高分子に対し、25℃において1質量%未満の溶解性を示す溶媒のことをいう。貧溶媒は、非水溶性高分子に対し、25℃において、0.5質量%以下の溶解性を示すことが好ましく、0.2質量%以下の溶解性を示すことがより好ましく、0.1質量%以下の溶解性を示すことがさらに好ましく、0.05質量%以下の溶解性を示すことが最も好ましい。本発明に使用される貧溶媒の種類は、非水溶性高分子の種類に応じて適宜選択される。貧溶媒は、単独の溶媒であってもよく、2種以上の溶媒が混合された混合溶媒であってもよい。
特定の高分子化合物に対し、特定の溶媒が良溶媒であるか貧溶媒であるかの判断には、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)を利用することができる。例えば、当該高分子化合物のHSPの分散項、分極項、および水素結合項をそれぞれδD1、δP1、δH1とし、当該溶媒のHSPの分散項、分極項、および水素結合項をそれぞれδD2、δP2、δH2とした場合に、下記式で表される高分子化合物と溶媒とのHSPの距離Ra(MPa1/2)の値が小さいほど、高分子化合物の溶解度が高くなる傾向にある。
Ra=4(δD1-δD2+(δP1-δP2+(δH1-δH2
また、上記特定の高分子化合物の相互作用半径をRとした場合に、Ra/Rの比が1未満だと可溶、Ra/Rの比が0だと部分的に可溶、およびRa/Rの比が1を超えると不溶であると予測される。
あるいは、サンプル瓶等の中で特定の高分子化合物と特定の溶媒とを混合する試験を行うことにより、当該溶媒が、当該高分子化合物に対して良溶媒であるか貧溶媒であるかを容易に判別することができる。
上記良溶媒と上記貧溶媒とは、混合され、均一な溶媒として使用される。したがって、上記良溶媒および上記貧溶媒は互いに相溶性を有する。本発明においては、使用される貧溶媒の沸点は、使用される良溶媒の沸点よりも高い。空孔率が比較的高く、均質な多孔質体が得られ易いことから、貧溶媒の沸点は、良溶媒の沸点よりも10℃以上高いことが好ましく、90℃以上高いことがより好ましい。貧溶媒の沸点は、乾燥速度の観点から、300℃未満であることが好ましい。
本発明において「非水溶性高分子」とは、25℃における水に対する溶解度が1質量%未満である高分子のことをいう。非水溶性高分子の25℃における水に対する溶解度は、0.5質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。
塗工液調製工程で用いられる「非水溶性高分子」は、セパレータ層を構成する非水溶性高分子と同じ高分子である。非水溶性高分子としては、良溶媒と貧溶媒とが存在するものが使用される。使用される非水溶性高分子の種類は、良溶媒と貧溶媒とが存在するものである限り特に制限はない。非水溶性高分子の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;エチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースプロピオネート等の非水溶性セルロース誘導体;ポリ塩化ビニル、エチレン-塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エチレン-ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。水溶性高分子を修飾して非水溶化したポリマー等も使用可能である。なかでも、非水溶性高分子の多孔質体の有用性およびその製造方法の有用性の観点から、非水溶性高分子は、脂肪族高分子化合物(すなわち、芳香環を有しない高分子化合物)であることが好ましい。空孔率が比較的高く、均質な多孔質体が得られ易いことから、非水溶性高分子は、付加重合型の高分子化合物(すなわち、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーの当該エチレン性不飽和二重結合の重合によって生成する高分子化合物;例、ビニル系重合体、ビニリデン系重合体)であることが好ましい。セパレータに特に適した特性を有していることから、非水溶性高分子は、より好ましくは、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、またはエチレン-ビニルアルコール共重合体であり、最も好ましくは、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体である。フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体を用いてセパレータ一体型電極を形成した場合には、電極に対するセパレータ層の接着性が高くなり、電極体を作製する際の積層操作や捲回操作の実施が容易になるという利点を有する。
非水溶性高分子の平均重合度は、特に限定はないが、好ましくは70以上500,000以下であり、より好ましくは100以上200,000以下である。なお、非水溶性高分子の平均重合度は、公知方法(例、NMR測定)等により求めることができる。
以下、特定の非水溶性高分子を例に挙げて、好適な良溶媒および好適な貧溶媒について具体的に説明する。以下の非水溶性高分子に対して、以下説明する良溶媒と貧溶媒を使用することにより、本発明の製造方法を有利に実施することができる。なお、以下に挙げる良溶媒は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。以下に挙げる貧溶媒は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
1.非水溶性高分子がフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体である場合
フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF-HFP)は、モノマー単位として、フッ化ビニリデン単位およびヘキサフルオロプロピレン単位を含有する共重合体である。これらの単位の共重合割合は特に制限はなく、セパレータの特性に応じて適宜決定すればよい。フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体は、公知方法に従い合成して入手することができ、市販品(例、アルケマ社製Kynar FLEX 2850-00、2800-00、2800-20、2750-01、2500-20、3120-50、2851-00、2801-00、2821-00、2751-00、2501-00等)としても入手可能である。
PVDF-HFPの好適な良溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等の含窒素極性溶媒(特に含窒素非プロトン性極性溶媒);DMSO等の含硫黄極性溶媒(特に含硫黄非プロトン性極性溶媒)などが挙げられる。気化による除去が容易であることから、良溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、またはテトラヒドロフランが好ましく、アセトンがより好ましい。
ポリフッ化ビニリデンの好適な貧溶媒としては、水;1-ヘキサノール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン等のアルコール類などが挙げられる。環境に対する負荷の低さ、入手の容易さ、取り扱いの容易さ等の観点から、貧溶媒としては、水が好ましい。
2.非水溶性高分子がエチレン-ビニルアルコール共重合体である場合
エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)は、モノマー単位として、エチレン単位およびビニルアルコール単位を含有する共重合体である。EVOH中のエチレン単位の含有量は、特に制限はないが、好ましくは10モル%以上であり、より好ましくは15モル%以上であり、さらに好ましくは20モル%以上であり、特に好ましくは25モル%以上である。また、EVOH中のエチレン単位の含有量は、好ましくは60モル%以下であり、より好ましくは50モル%以下であり、さらに好ましくは45モル%以下である。EVOHのけん化度は、特に制限はないが、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上であり、さらに好ましくは95モル%以上である。けん化度の上限は、けん化に関する技術的限界により定まり、例えば、99.99モル%である。なお、EVOHのエチレン単位の含有量およびけん化度は、公知方法(例、H-NMR測定等)により求めることができる。
また、EVOHは、通常、エチレンとビニルエステルとの共重合体を、アルカリ触媒等を用いてけん化して製造される。そのため、EVOHは、ビニルエステル単位を含有し得る。当該単位のビニルエステルは、典型的には酢酸ビニルであり、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等であってよい。EVOHは、本発明の効果を顕著に損なわない範囲で、エチレン単位、ビニルアルコール単位、およびビニルエステル単位以外の他のモノマー単位を含有していてもよい。
EVOHの好適な良溶媒としては、水とアルコールとの混合溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。混合溶媒に用いられるアルコールとしては、プロピルアルコールが好ましい。プロピルアルコールは、n-プロピルアルコールおよびイソプロピルアルコールのいずれであってもよい。したがって、特に好適な良溶媒は、水とプロピルアルコールとの混合溶媒、またはDMSOである。
EVOHの好適な貧溶媒としては、水、アルコール、γ-ブチロラクトン等の環状エステル類;炭酸プロピレン等の環状カーボネート類;スルホラン等の環状スルホン類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、2-エトキシエタノール等のエーテル基含有モノオール類、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等のジオール類などが挙げられる。なかでも、環状エステル類、環状カーボネート類、環状スルホン類、またはエーテル基含有モノオール類が好ましく、γ-ブチロラクトン、炭酸プロピレン、スルホラン、またはエーテル基含有モノオール類がより好ましく、γ-ブチロラクトン、またはスルホランがさらに好ましい。貧溶媒の溶解パラメータ(ヒルデブラント(Hildebrand)のSP値)δが、EVOHの溶解パラメータδよりも1.6MPa1/2以上大きいことが好ましい。
なお、EVOHでは、水およびアルコールは、EVOHの貧溶媒であるが、水とアルコール(特にプロピルアルコール)との混合溶媒は良溶媒である。ここで、水とアルコールとの混合溶媒は、水が減量された良溶媒の、水とアルコールとの混合溶媒と、これよりも沸点が高い貧溶媒の水との混合溶媒みなすことができるため、EVOHの溶液の調製に、水とアルコールとの混合溶媒を単独で用いることができる。よって、本発明において、特定の非水溶性高分子に対し、2種類以上の貧溶媒を混合した溶媒が良溶媒になる場合には、溶液調製のための非水溶性高分子の良溶媒および非水溶性高分子の貧溶媒を含有する混合溶媒として、この2種以上の貧溶媒の混合溶媒を単独で用いることができる。
3.非水溶性高分子が酢酸セルロースである場合
酢酸セルロースの好適な良溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等の含窒素極性溶媒(特に含窒素非プロトン性極性溶媒);蟻酸メチル、酢酸メチル等のエステル類;アセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等の環状エーテル類;メチルグリコール、メチルグリコールアセテート等のグリコール誘導体;塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;炭酸プロピレン等の環状カーボネート類;DMSO等の含硫黄極性溶媒(特に含硫黄非プロトン性極性溶媒)などが挙げられる。なかでも、含硫黄非プロトン性極性溶媒が好ましく、DMSOがより好ましい。
酢酸セルロースの好適な貧溶媒としては、1-ヘキサノール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等のアルコール類が挙げられる。アルコール類としては、炭素数4~6の1価または2価のアルコール類が好ましい。
4.非水溶性高分子がポリフッ化ビニリデンである場合
ポリフッ化ビニリデンの好適な良溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等の含窒素極性溶媒(特に含窒素非プロトン性極性溶媒);DMSO等の含硫黄極性溶媒(特に含硫黄非プロトン性極性溶媒)などが挙げられる。なかでも、含窒素非プロトン性極性溶媒が好ましく、N,N-ジメチルホルムアミドがより好ましい。
ポリフッ化ビニリデンの好適な貧溶媒としては、1-ヘキサノール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等の環状エーテル類等が挙げられる。なかでも、アルコール類が好ましく、炭素数3~6の2価または3価のアルコール類がより好ましい。
非水溶性高分子、良溶媒、および貧溶媒の使用量は、使用するこれらの種類に応じて適宜選択するとよい。非水溶性高分子の混合量は、良溶媒100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上である。また、非水溶性高分子の混合量は、良溶媒100質量部に対して、40質量部以下、より好ましくは上35質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。貧溶媒の混合量は、良溶媒100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上である。また、貧溶媒の混合量は、良溶媒100質量部に対して、好ましくは400質量部以下、より好ましく200質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下である。これらの量を変化させることで、得られる多孔質体の孔の状態(例、空孔率、空孔径など)を制御することができる。
塗工液は、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、非水溶性高分子および混合溶媒以外の成分をさらに含有していてもよい。
塗工液の調製方法には特に制限はない。非水溶性高分子を良溶媒に溶解させて、そこに貧溶媒を添加して均一に混合してもよい、。非水溶性高分子を、良溶媒と貧溶媒との混合溶媒に添加して、非水溶性高分子を溶解させてもよい。塗工液の調製には、公知の撹拌装置、混合装置等を用いることができる。塗工液の調製の際には、超音波照射、加熱等を行ってもよい。加熱温度としては、例えば40℃以上100℃以下である。加熱により非水溶性高分子を溶解させた後、良溶媒と貧溶媒とが分離しない範囲で冷却してよい。また、この冷却は、非水溶性高分子が析出しない範囲で行うことが好ましい。析出した非水溶性高分子が不純物となり得るためである。
次に、塗工液塗工工程について説明する。当該塗工液塗工工程において用いられる電極としては、公知の電池の電極を何ら制限なく用いることができる。
一例として、電極が、リチウム二次電池の電極である場合について説明する。リチウム二次電池の電極は、典型的には、シート状の集電体と、当該集電体上に設けられた活物質層とを備える。
電極が正極である場合には、正極は、典型的には、シート状の正極集電体と、当該正極集電体上に設けられた正極活物質層とを備える。正極活物質層は、正極集電体の片面もしくは両面上に設けられ、好ましくは正極集電体の両面上に設けられる。
正極集電体としては、例えばアルミニウム箔等を用いることができる。
正極活物質層は、正極活物質を含有する。正極活物質としては、例えばリチウム遷移金属酸化物(例、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNiO、LiCoO、LiFeO、LiMn、LiNi0.5Mn1.5等)、リチウム遷移金属リン酸化合物(例、LiFePO等)等が挙げられる。
正極活物質層は、活物質以外の成分、例えば導電材やバインダ等を含み得る。
導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等のカーボンブラックやその他(例、グラファイト等)の炭素材料を好適に使用し得る。
バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)等を使用し得る。
電極が負極である場合には、負極は、典型的には、シート状の正極集電体と、当該負極集電体上に設けられた負極活物質層とを備える。負極活物質層は、負極集電体の片面もしくは両面上に設けられ、好ましくは負極集電体の両面上に設けられる。
負極集電体としては、例えば銅箔等を用いることができる。
負極活物質層は、負極活物質を含有する。負極活物質としては、例えば黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料を使用し得る。黒鉛は、天然黒鉛であっても人造黒鉛であってもよく、黒鉛が非晶質な炭素材料で被覆された形態の非晶質炭素被覆黒鉛であってもよい。
負極活物質層は、活物質以外の成分、例えばバインダや増粘剤等を含み得る。
バインダとしては、例えばスチレンブタジエンラバー(SBR)等を使用し得る。
増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。
電極は、正極および負極のいずれであってもよい。リチウム二次電池においては、負極活物質層の方が正極活物質層よりも大きな面積を有することから、セパレータ層は負極活物質層上に設けることが好ましい。よって、当該塗工液塗工工程で用いられる電極は、負極であることが好ましい。
当該塗工液塗工工程においては、上記調整した塗工液を電極上に塗工する。上記説明したリチウム二次電池の電極の例では、当該塗工液を、電極の活物質層上に塗工する。
塗工方法については、特に制限はない。塗工液の塗工は、例えば、ダイコーター、スリットコーター、コンマコーター、グラビアコーター、バーコーター等の公知の塗工装置を用いて行うことができる。
塗工量は、所望のセパレータ層の厚さおよび塗工液の固形分濃度に応じて適宜決定すればよい。
なお、塗工液塗工工程で塗工される塗工液は、非水溶性高分子の溶液であり、塗工液においては、相分離は起こっていない。そのため、比濁計を用いて測定される塗工液の濁度は、通常、50NTU以下である。
次に、混合溶媒除去工程について説明する。当該混合溶媒除去工程においては、良溶媒および貧溶媒を気化(特に、揮発)させて除去する。この混合溶媒除去工程において、非水溶性高分子の多孔質状の骨格が形成される。この混合溶媒除去工程では、混合溶媒を除去する操作によって、具体的には貧溶媒の気化によって、空孔を形成して、多孔質のセパレータ層を形成する。典型的には、例えば、非水溶性高分子と、貧溶媒が高濃度化した混合溶媒とを相分離させることによって、空孔を形成する。具体的には、貧溶媒は、良溶媒よりも沸点が高いため、当該工程では、貧溶媒よりも良溶媒が優先的に気化する。良溶媒が減少していくと、混合溶媒中の貧溶媒の濃度が増加する。非水溶性高分子の貧溶媒に対する溶解度が、良溶媒に対する溶解度よりも小さいため、非水溶性高分子と、貧溶媒が高濃度化した混合溶媒とが相分離して、非水溶性高分子の多孔質状の骨格が形成される。この相分離は、スピノーダル分解であってよい。最終的には、良溶媒が除去されて非水溶性高分子が析出し、高沸点の貧溶媒が気化により除去されて空孔が生成する。このようにして、非水溶性高分子の多孔質体であるセパレータ層が形成される。なお、非水溶性高分子と、貧溶媒が高濃度化した混合溶媒とを相分離させるには、良溶媒の種類と使用量および貧溶媒の種類と使用量を適切に選択するとよい。
良溶媒および貧溶媒の混合溶媒を気化させる方法は、例えば、加熱による方法、減圧下に置く方法、減圧下で加熱する方法、風乾による方法などが挙げられる。これらの方法は公知の乾燥方法と同様にして実施することができる。操作の実施の容易さの観点から、加熱による方法が好ましい。加熱温度は、特に制限はなく、溶媒の種類や加熱時間に応じて適宜決定すればよい。加熱温度は、混合溶媒が沸騰せず、かつ非水溶性高分子および貧溶媒が分解しない温度であることが好ましい。加熱温度は、例えば25℃以上、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは70℃以上である。また、加熱温度は、例えば180℃以下、好ましくは140℃以下、より好ましくは125℃以下である。揮発性が高い溶媒を用いる場合には、加熱温度は30℃以上60℃以下程度であってよい。加熱時間は、溶媒の種類や加熱温度に応じて適宜決定すればよい。良溶媒および貧溶媒を気化させる間は、塗工液が塗布された電極を静置することが好ましい。
以上のようにして、セパレータ一体型電極を得ることができる。セパレータ層は、一つの主面から、それと対向する主面まで孔が連通した三次元ネットワーク状の多孔構造を有する。本発明の製造方法によれば、平均孔径が、例えば0.5μm以上(特に0.9μm以上、さらには1.4μm以上)5μm以下(特に4.2μm以下、さらには3.8μm以下)のセパレータ層を得ることができる。なお、平均孔径は、セパレータ層の断面電子顕微鏡写真を撮影し、100個以上の孔の径の平均値として求めることができる。孔の断面が非球状である場合には、孔の最大径と最小径との平均を孔径としてよい。また、本発明の製造方法によれば、空孔度が、例えば25%以上(特に40%以上、さらには50%以上)80%未満(特に75%以下、さらには65%以下)のセパレータ層を得ることができる。なお、空孔度は、公知方法に従い、真密度と見かけ密度を用いて算出することができる。
本発明においては、塗工液調製工程、塗工液塗工工程、および混合溶媒気化工程で行われる操作が非常に容易である。したがって、本発明によれば、非水溶性高分子を用いて容易にセパレータ一体型電極を製造することができる。
以上のようにして製造されたセパレータ一体型電極は、公知方法に従い、各種の電池に用いることができる。
電池として好適には、リチウム二次電池であり、当該リチウム二次電池は、パソコン、携帯端末等のポータブル電源や、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両駆動用電源などに好適に用いることができる。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
実施例1
サンプル瓶に、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(アルケマ社製「Kynar-FLEX 2821-00」、グレード:パウダータイプ、以下「PVDF-HFP」と記す)2gを秤量した。これに、良溶媒としてアセトン10gと、貧溶媒として水1gとを添加した。サンプル瓶を40℃~50℃に加熱し、PVDF-HFPがこれらの溶媒に完全に溶解するまで撹拌して、塗工液を得た。
負極活物質としての黒鉛(C)(日立化成社製「SMG-TH5」)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)(JSR社製「TRD 104B」)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)(日本製紙社製「MAC800LC」)とを、C:SBR:CMC=98:1:1の質量比でイオン交換水と混合して、負極ペーストを調製した。この負極ペーストを、長尺状の銅箔の両面に帯状に塗布して乾燥した後、プレスした。このようにして、銅箔上に負極活物質層が形成された負極シートを得た。負極活物質層の片面あたりの厚さは、66μmであり、片面あたりの目付量は3.30mg/cmであった。
塗工液を25℃に冷却した後、負極シートの負極活物質層上にキャスティングにより塗布した。このとき、塗布厚みは100μm~200μmであった。
これを、40℃に設定した乾燥炉に入れて、良溶媒および貧溶媒を気化させることにより、セパレータ一体型電極を得た。
得られたセパレータ一体型電極の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、電極上に多孔質のセパレータ層が形成されていることが確認できた。そのSEM写真を図1に示す。
このセパレータ一体型電極のセパレータ層部分をφ25mmで打ち抜き、その重量および膜厚を測定し、使用したPVDF-HFPの真密度を用いて空孔度を算出した。その結果、セパレータ層の空孔度は58.9%であった。
実施例2
PVDF-HFPの量を2.5gに変更した以外は実施例1と同様にして、セパレータ一体型電極を得た。得られたセパレータ一体型電極の断面をSEMで観察したところ、電極上に多孔質のセパレータ層が形成されていることが確認できた。そのSEM写真を図2に示す。実施例1と同様にして空孔度を求めたところ、セパレータ層の空孔度は51.5%であった。
実施例3
サンプル瓶に、エチレン-ビニルアルコール共重合体(クラレ社製「エバール L171B」:エチレン含有率27モル%、以下「EVOH」と記す)1gを秤量した。これに、良溶媒として水とn-プロピルアルコール(nPA)とを体積比7:3で含有する混合溶媒5mLと、貧溶媒としてγ-ブチロラクトン(GBL)1mLとを添加した。サンプル瓶を70℃~80℃に加熱し、EVOHがこれらの溶媒に完全に溶解するまで撹拌して、塗工液を得た。
実施例1と同様にして負極シートを得た。
塗工液を25℃に冷却した後、負極シートの負極活物質層上にキャスティングにより塗布した。このとき、塗布厚みは100μm~200μmであった。
これを、120℃に設定した乾燥炉に入れて、良溶媒および貧溶媒を気化させることにより、セパレータ一体型電極を得た。
得られたセパレータ一体型電極の断面をSEMで観察したところ、電極上に多孔質のセパレータ層が形成されていることが確認できた。そのSEM写真を図3に示す。
実施例1と同様にして空孔度を求めたところ、セパレータ層の空孔度は58.2%であった。
実施例4
良溶媒として水とn-プロピルアルコール(nPA)とを体積比5:5で含有する混合溶媒5mLと、貧溶媒としてγ-ブチロラクトン(GBL)2mLとを用いた以外は、実施例3と同様にして、セパレータ一体型電極を得た。得られたセパレータ一体型電極の断面をSEMで観察したところ、電極上に多孔質のセパレータ層が形成されていることが確認できた。そのSEM写真を図4に示す。実施例1と同様にして空孔度を求めたところ、セパレータ層の空孔度は61.2%であった。
実施例5
EVOH1gを、良溶媒と貧溶媒との混合溶媒として、水とn-プロピルアルコール(nPA)とを体積比5:5で含有する混合溶媒5mLに溶解させた以外は、実施例3と同様にして、セパレータ一体型電極を得た。実施例1と同様にして空孔度を求めたところ、セパレータ層の空孔度は29.6%であった。
実施例6
EVOH1gを、良溶媒と貧溶媒との混合溶媒として、水とn-プロピルアルコール(nPA)とを体積比7:3で含有する混合溶媒5mLに溶解させた以外は、実施例3と同様にして、セパレータ一体型電極を得た。実施例1と同様にして空孔度を求めたところ、セパレータ層の空孔度は33.0%であった。
実施例7
良溶媒としてジメチルスルホキシド(DMSO)5mLと、貧溶媒としてγ-ブチロラクトン(GBL)2.5mLとを用いた以外は、実施例3と同様にして、セパレータ一体型電極を得た。実施例1と同様にして空孔度を求めたところ、セパレータ層の空孔度は52.7%であった。
実施例8
良溶媒としてジメチルスルホキシド(DMSO)4mLと、貧溶媒として炭酸プロピレン(PC)2.5mLとを用いた以外は、実施例3と同様にして、セパレータ一体型電極を得た。実施例1と同様にして空孔度を求めたところ、セパレータ層の空孔度は46.7%であった。
以上の結果より、本発明によれば、非水溶性高分子を用いて、容易にセパレータ一体型電極を製造できることがわかる。

Claims (3)

  1. 非水溶性高分子の良溶媒および前記非水溶性高分子の貧溶媒を含有する混合溶媒に、前記非水溶性高分子が溶解した塗工液を調製する工程と、
    前記塗工液を、電極上に塗工する工程と、
    前記電極上に塗工した塗工液から、前記混合溶媒を気化させて除去する工程と、
    を包含し、
    前記貧溶媒の沸点が、前記良溶媒の沸点よりも高く、
    前記非水溶性高分子が、エチレン-ビニルアルコール共重合体であり、
    前記良溶媒が、水とプロピルアルコールとの混合溶媒、またはジメチルスルホキシドであり、
    前記貧溶媒が、γ-ブチロラクトン、炭酸プロピレン、スルホラン、またはエーテル基含有モノオール類であり、
    前記混合溶媒を気化させて除去することによって、空孔を形成して多孔質セパレータ層を形成する、
    セパレータ一体型電極の製造方法。
  2. 前記貧溶媒が、γ-ブチロラクトン、またはスルホランである、請求項1に記載のセパレータ一体型電極の製造方法。
  3. 前記貧溶媒が、γ-ブチロラクトンである、請求項に記載のセパレータ一体型電極の製造方法。
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