本発明の実施形態に係るコンタクトについて、各図面を使用して以下に説明する。以下の説明における上下、左右、および前後の各方向(互いに直交する方向)は、図1等に示すとおりである。コンタクトXは、二つの接続対象(便宜的に、第1接続対象および第2接続対象とする。)を電気的に接続する役割を果たす。
図1は、本実施形態に係るコンタクトXの斜め上側から見た斜視図であり、図2は、コンタクトXの斜め下側から見た斜視図である。図3はコンタクトXの前方視による構成図であり、図4はコンタクトXの上方視による構成図であり、図5はコンタクトXの後方視による構成図である。
図6は、コンタクトXを上下に二分する平面で切断した場合の、下側部分の構成図である。図7は、コンタクトXを上下に二分する平面で切断した場合の、上側部分の構成図である。図8は、コンタクトXを左右に二分する平面で切断した場合の、左側部分の構成図である。図9は、図3に示すA-A断面の矢視図である。なお図1~図9は、第1要素100が後方へ押される前の状態(以下、「初期状態」と称することがある。)のコンタクトXを示している。
図10は、コンタクトXの製造に用いられる、折り曲げ等の加工前の金属板材の概略的な外観図である。また図11は、当該金属板材におけるコンタクトXを形成する部分(板材Xa)の外観図である。
コンタクトXは、上述した導電性の板材Xaを折り曲げ加工することにより、第1要素100、第2要素200、および板バネ部300(上側板バネ部300aと下側板バネ部300b)が一体的に形成されたコンタクトである。第1要素100は、斜面部110、延伸部113、およびガイド部114を有する。第2要素200は、上壁部210、下壁部220、右壁部230、左壁部240、右上側折り曲げ片部251、左上側折り曲げ片部252、右下側折り曲げ片部261、および左下側折り曲げ片部262を有する。
本実施形態では、導電性を有する弾性材質の板材として金属板材(例えばステンレス(SUS301など)を材質とする板材)が採用されている。第1要素100、第2要素200、および板バネ部300を一連の金属板材により一体的に形成することにより、コンタクトXの製造工程においてこれら各部同士の接着は不要となり、接着不良等が回避されるとともに、コンタクトXを効率良く形成することができる。
コンタクトXは、携帯型通信端末等へ搭載され得るように非常に小型化されており、左右方向の寸法は2mm程度、初期状態での前後方向の寸法は2.6mm程度、上下方向の寸法は1.5mm程度となっており、板材の厚みは0.06mm程度となっている。
第2要素200が有する上壁部210、下壁部220、右壁部230、および左壁部240は、一体的に見て、板バネ部300を保護するハウジングH(側方を囲む壁)として機能する。ハウジングHは、前方視で板バネ部300の全周を囲む略筒状に形成されている。なお初期状態において、ハウジングHの開口と第1要素の前端との前後方向の距離(図8に示す距離L)は、1.0mm程度である。
上記の各壁部の名称は、板バネ部300から見てどの方向に配置されているかを概ね表している。即ち、上壁部210は上側の壁となるよう配置されており、下壁部220は下側の壁となるよう配置されており、右壁部230は右側の壁となるよう配置されており、左壁部240は左側の壁となるよう配置されている。なお第2要素200に関して、「側方」は前後方向と直交する方向であり、「内側」は側方のうちハウジングHの内部に近づく側であり、「外側」は側方のうちハウジングHの内部から離れる側である。
上壁部210は、内側上壁部211と、内側上壁部211の外側(上側)に配置された外側上壁部212が重なって形成されている。内側上壁部211は、右壁部230の上側の縁から延出した部分が、当該縁において左側へ直角に折り曲げられた形態となっている。外側上壁部212は、左壁部240の上側の縁から延出した部分が、当該縁において右側へ直角に折り曲げられた形態となっている。
下壁部220は、内側下壁部221と、内側下壁部221の外側(下側)に配置された外側下壁部222が重なって形成されている。内側下壁部221は、右壁部230の下側の縁から延出した部分が、当該縁において左側へ直角に折り曲げられた形態となっている。外側下壁部222は、左壁部240の下側の縁から延出した部分が、当該縁において右側へ直角に折り曲げられた形態となっている。
また、内側上壁部211の前側の縁には、右寄りの位置に窪み部211xが設けられ、左寄りの位置に窪み部211yが設けられている。一方、内側下壁部221の前側の縁には、右寄りの位置に窪み部221xが設けられ、左寄りの位置に窪み部221yが設けられている。
右上側折り曲げ片部251は、外側上壁部212の前側の縁の右寄り位置から延出した部分が、当該縁において下側(内側)へ直角に折り曲げられた形態となっている。右上側折り曲げ片部251は、窪み部211xに嵌るように折り曲げられている。右上側折り曲げ片部251における窪み部211xよりも下側(内側)へ突出した突出部分は、窪み部211xの幅(左右方向寸法)よりも幅広に形成された幅広部となっている。
左上側折り曲げ片部252は、外側上壁部212の前側の縁の左寄り位置から延出した部分が、当該縁において下側(内側)へ直角に折り曲げられた形態となっている。左上側折り曲げ片部252は、窪み部211yに嵌るように折り曲げられている。左上側折り曲げ片部252における窪み部211yよりも下側(内側)へ突出した突出部分は、窪み部211yの幅(左右方向寸法)よりも幅広に形成された幅広部となっている。
なお図4に示すように、上壁部210の前縁における中央寄り領域には、その左右両側部分よりも後方に窪んだ干渉防止窪み部210sが設けられている。詳しくは後述するが、干渉防止窪み部210sを設けたことにより、第1折り曲げ部111と上壁部210の干渉を防止することが可能となっている。(図13(e)を参照)。
右上側折り曲げ片部251の幅広部の左寄り部分、および、左上側折り曲げ片部252の幅広部の右寄り部分(図3にαで示す箇所)は、内側上壁部211の内面(下側の面)に対向して近接あるいは接触している。そのためこれらの幅広部が内側上壁部211の内面に接触することにより(つまり、当該幅広部が当該内面に引っ掛ることにより)、内側上壁部211と外側上壁部212の主に上下方向の位置ずれ(特に、外側上壁部212が外向きへ開くような変形)が抑制される。
右下側折り曲げ片部261は、外側下壁部222の前側の縁の右寄り位置から延出した部分が、当該縁において上側(内側)へ直角に折り曲げられた形態となっている。右下側折り曲げ片部261は、窪み部221xに嵌るように折り曲げられている。右下側折り曲げ片部261における窪み部221xよりも上側(内側)へ突出した突出部分は、窪み部221xの幅(左右方向寸法)よりも幅広に形成された幅広部となっている。
左下側折り曲げ片部262は、外側下壁部222の前側の縁の左寄り位置から延出した部分が、当該縁において上側(内側)へ直角に折り曲げられた形態となっている。左下側折り曲げ片部262は、窪み部221yに嵌るように折り曲げられている。左下側折り曲げ片部262における窪み部221yよりも上側(内側)へ突出した突出部分は、窪み部221yの幅(左右方向寸法)よりも幅広に形成された幅広部となっている。
右下側折り曲げ片部261の幅広部の右寄り部分、および、左下側折り曲げ片部262の幅広部の右寄り部分(図3にβで示す箇所)は、内側下壁部221の内面(上側の面)に対向して近接あるいは接触している。そのためこれらの幅広部が内側下壁部221の内面に接触することにより(つまり、当該幅広部が当該内面に引っ掛ることにより)、内側下壁部221と外側下壁部222の主に上下方向の位置ずれ(特に、外側下壁部222が外向きへ開くような変形)が抑制される。
内側上壁部211の左端(折り曲げられた箇所と反対側の端部)には凹部211a(図11を参照)が設けられており、外側上壁部212の当該凹部211aに対応する位置には、下側に向けて(つまり凹部211aに向けて)切り曲げられている凹部対応切り曲げ部212bが設けられている。凹部対応切り曲げ部212bは、前辺、後辺、および右辺が外側上壁部212から切り離され、左辺が折り曲げられている略矩形状の部分である。
凹部対応切り曲げ部212bは凹部211aに嵌っており、凹部対応切り曲げ部212bの前縁は凹部211aの前縁に対向して近接あるいは接触し、凹部対応切り曲げ部212bの後縁は凹部211aの後縁に対向して近接あるいは接触し、凹部対応切り曲げ部212bの右縁は凹部211aの右縁に対向して近接あるいは接触している。そのため、凹部対応切り曲げ部212bと凹部211aが接触することにより、内側上壁部211と外側上壁部212の位置ずれが抑制される。
外側上壁部212の右端(折り曲げられた箇所と反対側の端部)には凹部212aが設けられており、内側上壁部211の当該凹部212aに対応する位置には、上側に向けて(つまり凹部212aに向けて)切り曲げられている凹部対応切り曲げ部211bが設けられている。凹部対応切り曲げ部211bは、前辺、後辺、および左辺が内側上壁部211から切り離され、右辺が折り曲げられている略矩形状の部分である。
凹部対応切り曲げ部211bは、凹部212aに嵌っており、凹部対応切り曲げ部211bの前縁は凹部212aの前縁に対向して近接あるいは接触し、凹部対応切り曲げ部211bの後縁は凹部212aの後縁に対向して近接あるいは接触し、凹部対応切り曲げ部211bの左縁は凹部211aの左縁に対向して近接あるいは接触している。そのため、凹部対応切り曲げ部211bと凹部212aが接触することにより、内側上壁部211と外側上壁部212の位置ずれが抑制される。
内側下壁部221の左端(折り曲げられた箇所と反対側の端部)には凹部221a(図11を参照)が設けられており、外側下壁部222の当該凹部221aに対応する位置には、上側に向けて(つまり凹部221aに向けて)切り曲げられている凹部対応切り曲げ部222bが設けられている。凹部対応切り曲げ部222bは、前辺、後辺、および右辺が外側下壁部222から切り離され、左辺が折り曲げられている略矩形状の部分である。
凹部対応切り曲げ部222bは、凹部221aに嵌っており、凹部対応切り曲げ部222bの前縁は凹部221aの前縁に対向して近接あるいは接触し、凹部対応切り曲げ部222bの後縁は凹部221aの後縁に対向して近接あるいは接触し、凹部対応切り曲げ部212bの右縁は凹部221aの右縁に対向して近接あるいは接触している。そのため、凹部対応切り曲げ部222bと凹部221aが接触することにより、内側下壁部221と外側下壁部222の位置ずれが抑制される。
外側下壁部222の右端(折り曲げられた箇所と反対側の端部)には凹部222aが設けられており、内側下壁部221の当該凹部222aに対応する位置には、下側に向けて(つまり凹部222aに向けて)切り曲げられている凹部対応切り曲げ部221bが設けられている。凹部対応切り曲げ部221bは、前辺、後辺、および左辺が内側下壁部221から切り離され、右辺が折り曲げられている略矩形状の部分である。
凹部対応切り曲げ部221bは、凹部222aに嵌っており、凹部対応切り曲げ部221bの前縁は凹部222aの前縁に対向して近接あるいは接触し、凹部対応切り曲げ部221bの後縁は凹部222aの後縁に対向して近接あるいは接触し、凹部対応切り曲げ部221bの左縁は凹部221aの左縁に対向して近接あるいは接触している。そのため、凹部対応切り曲げ部221bと凹部222aが接触することにより、内側下壁部221と外側下壁部222の位置ずれが抑制される。
内側上壁部211の後端部の左右方向略中央部には、上側(外側)に向けて切り曲げられている外向き切り曲げ部211cが設けられている。外向き切り曲げ部211cは、前辺および右辺が内側上壁部211から切り離され、左辺が折り曲げられている略矩形状の部分である。一方、外側上壁部212の後端部の左右方向略中央部には、下側(内側)に向けて切り曲げられている内向き切り曲げ部212cが設けられている。内向き切り曲げ部212cは、前辺および左辺が外側上壁部212から切り離され、右辺が折り曲げられている略矩形状の部分である。
なお、内側上壁部211には、内向き切り曲げ部212cとの上下方向の干渉を防ぐ孔が設けられ、外側上壁部212には、外向き切り曲げ部211cとの上下方向の干渉を防ぐ孔が設けられている。また、外向き切り曲げ部211cの右端部は、内向き切り曲げ部212cの左端部を上側へ僅かに乗り越えた状態となっている(図5を参照)。そのためこれらの切り曲げ部211c,212cが接することにより、外側上壁部212と内側上壁部211の間における左右方向への位置ずれが抑制されるとともに、上下方向への位置ずれも効果的に抑制される。
内側下壁部221の後端部の左右方向略中央部には、下側(外側)に向けて切り曲げられている外向き切り曲げ部221cが設けられている。外向き切り曲げ部221cは、前辺および右辺が内側下壁部221から切り離され、左辺が折り曲げられている略矩形状の部分である。一方、外側下壁部222の後端部の左右方向略中央部には、上側(内側)に向けて切り曲げられている内向き切り曲げ部222cが設けられている。内向き切り曲げ部222cは、前辺および左辺が外側下壁部222から切り離され、右辺が折り曲げられている略矩形状の部分である。
なお、内側下壁部221には、内向き切り曲げ部222cとの上下方向の干渉を防ぐ孔が設けられ、外側下壁部222には、外向き切り曲げ部221cとの上下方向の干渉を防ぐ孔が設けられている。また、外向き切り曲げ部221cの右端部は、内向き切り曲げ部222cの左端部を下側へ僅かに乗り越えた状態となっている(図5を参照)。そのためこれらの切り曲げ部221c,222cが接することにより、外側下壁部222と内側下壁部221の間における左右方向への位置ずれが抑制されるとともに、上下方向への位置ずれも効果的に抑制される。
内側上壁部211の前側寄りの左右方向略中央部には、上側(外側)に向けて切り曲げられている外向き切り曲げ部211dが設けられている。外向き切り曲げ部211dは、前辺、後辺、および右辺が内側上壁部211から切り離され、左辺が折り曲げられている略矩形状の部分である。一方、外側上壁部212の前側寄りの左右方向略中央部には、下側(内側)に向けて切り曲げられている内向き切り曲げ部212dが設けられている。内向き切り曲げ部212dは、前辺、後辺、および左辺が外側上壁部212から切り離され、右辺が折り曲げられている略矩形状の部分である。
なお、内側上壁部211には、内向き切り曲げ部212dとの上下方向の干渉を防ぐ孔が設けられ、外側上壁部212には、外向き切り曲げ部211dとの上下方向の干渉を防ぐ孔が設けられている。また、外向き切り曲げ部211dの右端部は、内向き切り曲げ部212dの左端部を上側へ僅かに乗り越えた状態となっている。そのためこれらの切り曲げ部211d,212dが接することにより、外側上壁部212と内側上壁部211の間における左右方向への位置ずれが抑制されるとともに、上下方向への位置ずれも効果的に抑制される。
内側下壁部221の前側寄りの左右方向略中央部には、下側(外側)に向けて切り曲げられている外向き切り曲げ部221dが設けられている。外向き切り曲げ部221dは、前辺、後辺、および右辺が内側下壁部221から切り離され、左辺が折り曲げられている略矩形状の部分である。一方、外側下壁部222の前側寄りの左右方向略中央部には、上側(内側)に向けて切り曲げられている内向き切り曲げ部222dが設けられている。内向き切り曲げ部222dは、前辺、後辺、および左辺が外側下壁部222から切り離され、右辺が折り曲げられている略矩形状の部分である。
なお、内側下壁部221には、内向き切り曲げ部222dとの上下方向の干渉を防ぐ孔が設けられ、外側下壁部222には、外向き切り曲げ部221dとの上下方向の干渉を防ぐ孔が設けられている。また、外向き切り曲げ部221dの右端部は、内向き切り曲げ部222dの左端部を下側へ僅かに乗り越えた状態となっている。そのためこれらの切り曲げ部221d,222dが接することにより、外側下壁部222と内側下壁部221の間における左右方向への位置ずれが抑制されるとともに、上下方向への位置ずれも効果的に抑制される。
第1要素100が有するガイド部114は、ハウジングH内において斜面部110を前後へ可動に支持する役割を果たし、下側構成部115、中間構成部116、および上側構成部117を有する。下側構成部115は、下壁部220の上面と対向する平面部を有し、当該平面部の前側は斜面部110の下端部に連接している。また、当該平面部の後端の左側および右側それぞれの位置から後方へ突出した部分に、下壁部220の上面(ハウジングH内の下面と見ることもできる)に摺接する下側摺接部115aが設けられている。下側摺接部115aは、下壁部220の上面に対して前後方向へ摺動可能である。左右それぞれの下側摺接部115aは、左右に伸びる下方への凸部が形成されるようにプレス加工が施された部分であり、当該加工が施され分だけ下側構成部115の平面部よりも下方に位置する。
中間構成部116は、下側構成部115における斜面部110が連接した箇所の左側および右側それぞれから、前後方向と直交する平面が上方へ伸びるように設けられている。図3に示すように前方から見て、左側の中間構成部116の右縁は、斜面部110および延伸部113の左縁よりも左側に位置しており、右側の中間構成部116の左縁は、斜面部110および延伸部113の右縁よりも右側に位置している。
また、左右それぞれの中間構成部116の上端から後方へ突出するように、左右それぞれの上側構成部117が設けられている。上側構成部117は、上下に伸びる中間構成部116を介して下側構成部115に連結している。左右の上側構成部117それぞれには、上壁部210の下面(ハウジングH内の上面と見ることもできる)に摺接する上側摺接部117aが設けられている。上側摺接部117aは、上壁部210の下面に対して前後方向へ摺動可能である。左右それぞれの上側摺接部117aは、左右に伸びる上方への凸部が形成されるようにプレス加工が施された部分である。
斜面部110は、前後方向に対して傾斜して伸びる平面状(幅方向が左右方向に一致する)に形成されている。斜面部110の傾斜角度θは、図8に示すように、本実施形態の例では前後方向に対して約35度に設定されているが、用途等に応じた他の角度(例えば30度~45度の範囲内の任意の角度)に設定しても良い。
延伸部113は、斜面部110の上端から伸びる帯状(幅方向が左右方向に一致する)に形成されており、先端には引掛け部113aが設けられている。延伸部113は、第1折り曲げ部111から第2折り曲げ部112までの部分は、斜面部110が伸びる長さの約1/3の長さだけ、斜面部110と概ね平行に伸びている。更に延伸部113は、第2折り曲げ部112から引掛け部113aまで概ね真直ぐ伸びている。第1折り曲げ部111では、斜面部110の上端部において後方へ約180度の折り曲げがなされた部分である。
引掛け部113aは、上壁部210の下面と対向する平面状に形成されており、前方から見て、延伸部113の他の部分よりも左右両方向に突出している。引掛け部113aの右端部は右上側折り曲げ片部251の後側に配置され、引掛け部113aの左端部は左上側折り曲げ片部252の後側に配置されている。これにより引掛け部113aは、折り曲げ片部251,252の後側に引っ掛り、ハウジングH内からの前方への逸脱は回避される。なお既に説明したとおり、各折り曲げ片部251,252は、延伸部113が後側に引っ掛るとともに、内側上壁部211の内面に引っ掛るようになっている。
板バネ部300は、上側板バネ部300aと下側板バネ部300bからなる。下側板バネ部300bは、各箇所で曲げられた帯状(幅方向が上下方向に一致する)となっており、左壁部240の後端の下寄り位置から延出して、左右に蛇行しながら前方へ伸びて左側の中間構成部116の左端の下寄り位置に連接している。すなわち下側板バネ部300bは、左壁部240の後端から伸びており、ハウジングHの内側において、幅方向に見て蛇行するように形成されている。より具体的に説明すると、後側板バネ部300bは幅方向に見て、左壁部240の下端から斜め前右方向に伸び、右壁部230の近傍でターンして斜め前左方向に伸び、左壁部240の近傍で左側の中間構成部116の左端に連接している。
上側板バネ部300aは、各箇所で曲げられた帯状(幅方向が上下方向に一致する)となっており、右壁部230の後端の上寄り位置から延出して、左右に蛇行しながら前方へ伸びて右側の中間構成部116の右端の上寄り位置に連接している。すなわち上側板バネ部300aは、右壁部230の後端から伸びており、ハウジングHの内側において、幅方向に見て蛇行するように形成されている。より具体的に説明すると、上側板バネ部300aは幅方向に見て、右壁部230の後端から斜め前左方向に伸び、左壁部240の近傍でターンして斜め前右方向に伸び、右壁部230の近傍で右側の中間構成部116の右端に連接している。
第1要素100は、板バネ部300によって前方に付勢される。また、第1要素100は、右側の中間構成部116の上端近傍が右上側折り曲げ片部251に当たり、左側の中間構成部116の上端近傍が左上側折り曲げ片部252に当たり、右側の中間構成部116の下端近傍が右下側折り曲げ片部261に当たり、左側の中間構成部116の下端近傍が左下側折り曲げ片部262に当たることにより、ガイド部114の前方への可動範囲が規制される。
初期状態では板バネ部300の弾性力により、各折り曲げ片部251,252,261,262は、ガイド部114から前方へ僅かな荷重(初期荷重)を受けている。そのため初期状態でのプリロードにより、ガイド部114は各折り曲げ片部251,252,261,262に密着し、ガイド部114の位置は安定している。なお初期状態において、このような初期荷重が生じないようにしても良い。
上壁部210の右端近傍の中央寄り位置には、右壁部240の上端から突出した部分の左方への折り曲げによって、補助上壁部213が設けられている。補助上壁部213は、外側上壁部212と同一平面上に位置するように形成されている。これにより、コンタクトXを上側の接続対象に接続する際(図12(a)を参照)、当該平面上に位置するこれら全体(外側上壁部212と補助上壁部213)を上側の接続対象の平面にはんだ付けし、強固に固定することが可能である。
下壁部220の右端近傍の中央寄り位置には、右壁部240の下端から突出した部分の左方への折り曲げによって、補助下壁部223が設けられている。補助下壁部223は、外側下壁部222と同一平面上に位置するように形成されている。これにより、コンタクトXを下側の接続対象に接続する際(図12(b)を参照)、当該平面上に位置するこれら全体(外側下壁部222と補助下壁部223)を下側の接続対象の平面にはんだ付けし、強固に固定することが可能である。
図12はコンタクトXの使用形態を概略的に示しており、図12(a)は、コンタクトXの上側に第2接続対象Y2を接続した場合の使用形態を示し、図12(b)は、コンタクトXの下側に第2接続対象Y2を接続した場合の使用形態を示している。図12(a)に示すコンタクトXは、外側上壁部212と補助上壁部213が接続対象Y2の水平面にはんだ付けされており、図12(b)に示すコンタクトXは、外側下壁部222と補助下壁部223が接続対象Y2の平面にはんだ付けされている。なお、上記のはんだ付けを行うにあたり、エンボステープ(梱包資材)に収容されているコンタクトXを取出す際には、上壁部210の中央領域を吸着ノズルに吸着させて取出すようにすれば良い。
図12(a)および(b)の何れの場合においても、点線矢印で示すように第1接続対象Y1を斜面部110の下方位置から上方へ相対的に移動させると、斜面部110が第1接続対象Y1によって上方へ押される。これにより、第2接続対象Y2は斜面部110を滑るようにして上方へ進み、これと同時に、斜面部110は後方へ押されて後退する。
このようにコンタクトXは、上方へ斜面部110が第2接続対象Y2に押されたときに、第2接続対象Y2を斜面部110で滑らせながら、第1要素100が板バネ部300による付勢に抗して後方へ移動するように形成されている。そのまま斜面部110を超えるように第1接続対象Y1が上方へ移動させ、第1要素100の前端に相当する接触部(第1折り曲げ部111の近傍)が第1接続対象Y1の垂直な後面に接触した状態とする。これにより、第1接続対象Y1と第2接続対象Y2を安定して電気的に接続させることができる。
なお、コンタクトXの具体的な使用例としては、上下の筐体パーツを合わせて形成されるスマートフォン等の薄型の電子機器において、一方の筐体パーツの内部に設けられた基板(水平面を有する第2接続対象Y2)と、他方の筐体パーツの側面(垂直面を有する第1接続対象Y1)を接続する例等が挙げられる。この場合、上下の筐体パーツを上下方向に近づけて合わせる工程において、第1接続対象Y1が斜面部110を押すことになる。
第1接続対象Y1が斜面部110を上方へ押し始めると、第1接続対象Y1を斜面部110で滑らせながら、第1要素100が板バネ部300の付勢に抗して後方へ移動する。またこれと同時に、引掛け部113aはハウジングH内で後退自在となっているため、第1接続対象Y1により押される力を利用して、第1要素は斜面部110の傾斜角度θが大きくなるように弾性変形可能である。
このように、板バネ部300が縮むことによる第1要素100の後退、および、第1要素100での弾性変形による傾斜角度θの変化により、第1接続対象Y1とコンタクトXの前後方向距離にある程度ばらつきがあっても、コンタクトXを適切に使用することが可能である。このようにコンタクトXは、第1接続対象Y1との前後方向の位置関係についての許容範囲を広くし、ワーキングエリアが広くなるように配慮されている。
図13は、第1接続対象Y1との前後方向の距離が異なる各ケースにおけるコンタクトXの状態を概略的に示している。図13(a)~(e)の各々は当該距離が異なっており、第1要素100の前端の後方への移動量が0.15mmであるケース、0.4mmであるケース、0.6mmであるケース、0.8mmであるケース、および1.0mmであるケースのそれぞれを示している。なお図13(e)では、第1要素100の第1折り曲げ部111近傍が透けて見えるように表示している。
図13(a)~(e)の何れのケースにおいても、コンタクトXは、第1接続対象Y1と第2接続対象Y2を安定して電気的に接続させることが可能である。また、コンタクトXと第1接続対象Y1との接触力は、最も小さい図13(a)のケースで約0.2N、最も大きい図13(e)のケースで約1.3Nとなっており、何れも適正範囲内に収まっている。このようにコンタクトXでは、少なくとも0.85mm(=1.0mm-0.15mm)程度のワーキングエリアが確保されている。
図13(e)のケースでは、第1折り曲げ部111が干渉防止窪み210sに嵌ることにより、第1折り曲げ部111と上壁部210の干渉は防止される。このように干渉防止窪み210sを設けたことにより、その分、上壁部210との干渉を防ぎつつ斜面部110を長くすることができ、コンタクトXと第1接続対象Y1の前後方向の位置関係の許容範囲を広くする点で有利となっている。なお図13(e)のケースでは、ハウジングHの開口と第1要素100の前端との距離Lは、ほぼゼロとなっている。
また本実施形態では、第1接続対象Y1に押された際に、傾斜角度θが大きくなるように弾性変形することで第1要素100自体の前後方向寸法が小さくなり、その分だけ板バネ部300に要求される縮み量を減らすことができるため、コンタクトXの前後方向寸法の小型化等で有利である。更に傾斜角度θが大きくなるように弾性変形可能としたことにより、仮に第1接続対象Y1が斜面部110の表面を滑り難くなっていても、滑り易くなるように第1要素100が弾性変形して、第1接続対象Y1が斜面部110の表面に引っ掛る等の不具合は回避される。
また図4等に示されるように、斜面部110の左右両側の縁は、前方へ見て内側へ向かうように傾斜している。すなわち、斜面部110の左側の縁は、前方へ見て右側へ向かうように傾斜しており、右側の縁は、前方へ見て左側へ向かうように傾斜している。これにより、斜面部110に対して左右方向へ異物等が当たっても、この異物等を当該傾斜の方向へ受け流して、コンタクトXの意図しない変形や破損等を極力抑えることが可能である。なお斜面部110の左右方向の寸法は、後端部(下端部と見ることもできる)において0.88mm程度となっており、前端部(上端部と見ることもできる)において0.5mm程度となっている。
また、斜面部110が第1接続対象Y1に押された際、上側摺接部117aが上壁部210の下面をスライドして後退するとともに、下側摺接部115aが下壁部220の上面をスライドして後退するようにして、第1要素100が真直ぐ後方へ移動する。なお図8に示すように、下側摺接部115aは、上側摺接部117aよりも距離Dだけ後方に配置されている。そのため、斜面部110が第1接続対象Y1に押されて生じる回転方向の力(図8に破線矢印で示す方向へ第1要素100を回転させようとする力)を、これらの摺接部115a,117aによって効果的に受け止めることができ、第1要素100の回転方向の動きを抑えることが可能である。また、第1要素100を真直ぐ後方へ移動させることにより板バネ部300の縮む方向も真直ぐとなり、板バネ部300の座屈を極力防ぐことが可能である。
更にコンタクトXは、接続する接続対象同士の間の電気経路の長さが短くなるように配慮されている。より具体的に説明すると、図12(a)に示すようにして接続対象同士が接続されるケースでは、第1接続対象Y1は、斜面部110、右側の中間構成部116、上側摺接部117a、および補助上壁部213を順に介する経路を通って、第2接続対象Y2に電気的に接続される。一方で図12(b)に示すようにして接続対象同士が接続されるケースでは、第1接続対象Y1は、斜面部110、下側摺接部115a、および補助下壁部223を順に介する経路を通って、第2接続対象Y2に電気的に接続される。これら何れのケースにおいても、例えば板バネ部300を介する経路のみを通って接続対象同士が接続される場合に比べ、上記の電気経路の長さは大幅に短くなり、良好な高周波特性等を得ることが可能である。
以上に説明したとおりコンタクトXは、第1接続対象Y1と第2接続対象Y2を電気的に接続するコンタクトであって、第1接続対象Y1に接続される第1要素100と、第2接続対象Y2に接続される第2要素200と、第1要素100と第2要素200のそれぞれに連接し、第1要素100を前方へ付勢するバネ部300と、を有するように導電性板材が折り曲げられて形成されている。更にコンタクトXにおいて、第1要素は、前後方向に対して傾斜した斜面部110を有し、前後方向と略直交する方向へ斜面部110が第1接続対象Y1に押されたときに、第1接続対象Y1を斜面部100で滑らせながら、第1要素100がバネ部300の付勢に抗して後方へ移動するように形成されている。
そのためコンタクトXによれば、折曲式付勢型でありながら、接触部(第1要素100の前端)の突出方向とは略直交する方向へ第1接続対象Y1を移動させても、接続対象同士を適切に接続することが可能となっている。
コンタクトXにおいて、斜面部110は、第2要素200に形成されたハウジングHの開口から前方へ突出しており、バネ部300はハウジングH内に収容されている。そのためコンタクトXは、ハウジングHによってバネ部300を十分に保護することが可能である。
コンタクトXは、斜面部110が斜め下方を向いており、斜面部110が第1接続対象Y1により上方へ押されて使用されるものであって、第1要素100は、バネ部300に連接するとともに斜面部110の下端部を支持するガイド部114を備えている。このガイド部114は、斜面部110の下端部に連接するとともに、ハウジングH内の下面に摺接する下側摺接部115aを有した下側構成部115と、上下に伸びる中間構成部116を介して下側構成部115に連結するとともに、ハウジングH内の上面に摺接する上側摺接部117aを有した上側構成部117と、を備える。そのためコンタクトXは、斜面部110がガイド部114によって支持されるようにしつつ、ハウジングH内でガイド部114を安定的に摺動させることが可能である。
コンタクトXでは、二つの中間構成部116が左右に位置をずらして配置され、上下に位置をずらして配置された二つのバネ部(上側板バネ部300aと下側板バネ部300b)のうち、下側板バネ部300bが左側の中間構成部116から伸び、上側板バネ部300aが右側の中間構成部116から伸びるように形成されている。更に当該二つのバネ部は、前後に伸びる軸(図5に示す軸Z)を基準として180度回転対称となっている。そのためバネ部300の特性の偏り等が抑えられ、第1要素100を前後方向へ真直ぐに動かし易くなっている。
第2要素200は、板バネ部300の上方(側方の一例)において内側上壁部211(内側側壁部の一例)と外側上壁部212(外側側壁部の一例)が重なって形成された上壁部210(重複側壁部の一例)、および、板バネ部300の下方(側方の一例)において内側下壁部221(内側側壁部の一例)と外側下壁部222(外側側壁部の一例)が重なって形成された下壁部220(重複側壁部の一例)を有する。このようにコンタクトXは、二枚の板材(内側側壁部と外側側壁部)を重ねて形成された重複側壁部を有するため高剛性となっており、強度が非常に高く、板バネ部300をより確実に保護することが可能である。
更に第2要素200は、外側上壁部212から内側へ折り曲げられて形成されている右上側折り曲げ片部251と左上側折り曲げ片部252、および、外側下壁部222から内側へ折り曲げられて形成されている右下側折り曲げ片部261と左下側折り曲げ片部262を有する。右上側折り曲げ片部251と左上側折り曲げ片部252は、第1要素100の前方への可動範囲を規制するとともに、内側上壁部211の内面に引っ掛り、外側上壁部212と内側上壁部211の位置ずれを抑制する。右下側折り曲げ片部261と左下側折り曲げ片部262は、第1要素100の前方への可動範囲を規制するとともに、内側下壁部221の内面に引っ掛り、外側下壁部222と内側下壁部221の位置ずれを抑制する。
このようにコンタクトXでは、第1要素100の可動範囲の制限と板材同士(内側側壁部と外側側壁部)の位置ずれ抑制が、折り曲げ片部を設けることで簡易に実現される。そのためコンタクトXは、比較的簡素な構成でありながら高性能となっており、製造工程の簡素化においても有利となっている。
またコンタクトXにおける第1要素100の前端部(第1折り曲げ部111の近傍)においては、例えば予めプレス加工を施すことにより、R形状(丸みを持たせた形状)を採用しても良い。図14はこのようなR形状を持たせた例のコンタクトX1の斜視図を示し、図15はコンタクトX1の前方視点の外観図を示し、図16はコンタクトX1の下方視点の外観図を示している。第1要素100の前端部にR形状を持たせることにより、例えば第1接続対象Y1の後面が少し傾いていても、第1要素100と第1接続対象Y1の接触状態を適切に維持し易くすることが可能となる。
本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。