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JP7306917B2 - ガス発生器、及びガス発生器の製造方法 - Google Patents
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JP7306917B2 - ガス発生器、及びガス発生器の製造方法 - Google Patents

ガス発生器、及びガス発生器の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガス発生器、及びガス発生器の製造方法に関する。
従来、金属製のハウジング内に形成された燃焼室内にガス発生剤を充填し、点火器によってガス発生剤を燃焼させることで燃焼ガスを発生させ、当該燃焼ガスをハウジングに設けられたガス排出孔から外部へ放出するガス発生器が広く知られている(例えば、特許文献1、2等を参照)。この種のガス発生器は、エアバッグ用ガス発生器として広く用いられている。エアバッグ用ガス発生器は、自動車等に装備されたエアバッグ装置に組み込まれ、車両衝突時に瞬時にエアバッグを膨張、展開させるためのガスを発生させるための機器である。
ガス発生器における点火器としては、主に着火電流によって作動する電気式点火器が広く用いられている。電気式点火器は、通常、樹脂部材を介して金属製カラーと一体に接合されることで点火器組立体を形成し、当該点火器組立体がハウジングに取り付けられる。
ところで、ガス発生器は、その性能安定化の観点から、燃焼室内に充填されたガス発生剤を乾燥状態に維持するために外部からの湿気の侵入を抑制することが要求される。そのため、点火器組立体は、ハウジングに形成されたハウジング開口部から点火器の導電ピンを外部に露出しつつも、燃焼室を封止するようにハウジングに取り付けることが好ましい。このような観点から、ハウジングに金属製カラーを溶接することによって燃焼室を封止しつつハウジングに点火器組立体を固定する手法が多く採用されている。この場合、点火器組立体は、ガス発生器の燃焼室を封止する封止用部品として捉えることができる。
特開2010-143270号公報 特開2010-70073号公報
しかしながら、従来においては、ガス発生器を製造する過程でハウジング部品に対して点火器組立体の金属製カラーを溶接する際、その溶接熱によって点火器組立体の樹脂部材が溶融したり、変形する虞があった。これに起因して、ガス発生器におけるハウジングの密閉性が低くなり、ガス発生器における性能が不安定になる虞があった。
本願開示の技術は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属製のハウジング内の収容空間にガス発生源が収容されるガス発生器において、ハウジングの密閉性が低くなることを抑制可能な技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本願開示の技術は、以下の構成を採用した。すなわち、本願開示のガス発生器は、金属製のハウジングと、前記ハウジング内の収容空間に収容されたガス発生源と、前記ハウジングと共に前記収容空間を画定する封止用部品であって、前記ハウジングに溶接された金属部材、及び、前記収容空間を封止するように前記金属部材と一体に形成された樹脂部材、を含む封止用部品と、を備え、前記封止用部品は、前記金属部材と前記ハウジングとが溶接された溶接部と前記樹脂部材との間に介在し、前記金属
部材よりも熱伝導率が低い熱伝導抑制部を有する。
上記構成を採用するガス発生器においては、ガス発生源が収容された収容空間をハウジングと共に画定する封止用部品に含まれる金属部材がハウジングに溶接されると共に、当該金属部材と一体に形成された樹脂部材が収容空間を封止している。更に、ガス発生器における封止用部品は、金属部材とハウジングとが溶接された溶接部と樹脂部材との間に介在する、金属部材よりも熱伝導率が低い熱伝導抑制部を有している。このように、金属部材よりも熱伝導率が低い熱伝導抑制部を溶接部と樹脂部材との間に介在させることで、ガス発生器の製造時に溶接部が形成される過程で、その溶接熱が樹脂部材に伝わり難くなり、樹脂部材が溶融したり、変形することを抑制できる。その結果、ガス発生器におけるハウジングの密閉性が向上し、ハウジングの外部から内部への湿気の侵入を抑制することが可能となる。
ここで、前記封止用部品は、点火薬が収容された着火部 と、前記点火薬を着火するた
めの着火電流が供給される導電部と、を含み、前記導電部を介して供給された着火電流により前記点火薬を燃焼し、その燃焼生成物を前記着火部の開裂面から放出するように構成された点火器を、更に有し、前記金属部材は、前記点火器を保持する金属製カラーとして形成されており、前記樹脂部材は、前記着火部の開裂面を前記収容空間の内側に露出させると共に前記導電部を当該収容空間の外側に露出させた状態で前記収容空間を封止するように、前記点火器と前記金属製カラーとを一体に接合してもよい。このような態様によれば、金属製カラーをハウジングに溶接する際に、点火器を金属製カラーに一体に接合する樹脂部材に溶接熱が伝わり難くなり、樹脂部材が溶融したり、変形することを抑制できる。よって、ガス発生器におけるハウジングの密閉度(密封度)が低くなることを抑制し、ガス発生器における性能の安定化に資することができる。
ここで、前記熱伝導抑制部は、前記溶接部と前記樹脂部材との間に空気層を介在させる中空部として形成されていてもよい。溶接部と樹脂部材との間に形成された中空部は、空気層の断熱作用によって、溶接部の熱を樹脂部材に対して好適に伝わり難くすることができる。また、溶接部と樹脂部材との間に空気層を介在させた中空部を配置するだけで熱伝導抑制部を形成することができるため、ガス発生器を製造するコスト、工数を減らすことができる。但し、上記金属部材よりも熱伝導率が低い、空気以外の材料、部材等を溶接部と樹脂部材との間に介在させることで熱伝導抑制部を形成することは何ら阻害されない。
また、前記金属部材は、前記ハウジングに形成されたハウジング開口部の縁部に沿って配置された金属製筒状部を含み、前記金属製筒状部は、軸方向一端側に位置する環状端面の少なくとも一部が外部に露出するようにハウジング内部に受け入れられると共に、前記金属製筒状部における環状端面側の外周部が前記ハウジング開口部の縁部と全周に亘って環状に溶接された前記溶接部を形成してもよい。このように、金属製筒状部における環状端面側の外周部がハウジング開口部の縁部と全周に亘って環状に溶接されることで、ガス発生器におけるハウジングの密閉性(密封性)をより一層高めることができる。なお、金属製筒状部の環状端面は、その一部のみが外部に露出してもいてもよいし、環状端面の全体が外部に露出していてもよい。
上記のような態様において、前記樹脂部材は、前記金属製筒状部の内周側に沿って延在する筒状の樹脂製筒状部を有し、前記中空部は、前記金属製筒状部の環状端面側に開口し、前記樹脂製筒状部の外周を囲むように前記金属製筒状部の軸方向に沿って延在すると共に内部に空気層が形成された開口溝であってもよい。このように、樹脂部材における樹脂製筒状部の外周を囲むように配置された金属製筒状部の環状端面側に、樹脂製筒状部の外周を囲む開口溝を設けることで、金属製筒状部における外周部とハウジング開口部の縁部との境界部に環状に形成された溶接部から、金属製筒状部の内周側に沿って延在する樹脂
製筒状部に溶接熱の影響が及ぶことを好適に低減できる。また、熱伝導抑制部としての中空部を金属製筒状部の環状端面側に開口する開口溝によって形成することで、封止用部品に熱伝導抑制部を容易に形成することができる。なお、金属製筒状部の環状端面側に開口する開口溝は、金属製筒状部と樹脂製筒状部との境界部に配設されてもよいし、金属製筒状部における径方向中間領域に形成されてもよい。
また、前記開口溝は、前記金属製筒状部の全周に亘って延在していてもよい。これによれば、金属製筒状部における外周部とハウジング開口部の縁部との境界部に環状に形成された溶接部から、金属製筒状部の内周側に沿って延在する樹脂製筒状部に対して溶接熱の影響が及ぶことをより一層好適に抑制できる。
あるいは、前記開口溝は、前記金属製筒状部の周方向に沿って不連続に複数配置されていてもよい。このように、金属製筒状部の周方向に沿って開口溝を不連続に複数配置しても、樹脂製筒状部に対して溶接熱の影響が及ぶことを低減できる。なお、上記のように金属製筒状部の周方向に沿って開口溝を不連続に複数配置する場合、環状に形成された前記溶接部における溶接開始位置と溶接終了位置との間に形成される溶接重複領域の内側領域に、少なくとも形成されていることが好ましい。溶接重複領域は、金属製筒状部における外周部とハウジング開口部の縁部との境界部を全周溶接することで環状の溶接部を形成する際、溶接部のビード(溶接金属)が溶接開始位置と溶接終了位置との間でラップする領域(例えば、1周目に形成されたビードと2周目に形成されたビードが重なり合う領域)を意味する。言い換えると、溶接重複領域は、環状に形成された溶接部の溶接線が重複する領域である。なお、溶接線とは、ビードを一つの線として表すときの仮想線である。
上記のように、環状に形成された溶接部における溶接重複領域は、溶接部の形成時により多くの溶接熱が発生すると考えられる。そこで、このような溶接重複領域の内側領域に熱伝導抑制部として形成される開口溝の位置を対応付けることで、樹脂製筒状部に対して溶接熱の影響が及ぶことを好適に抑制できる。
また、本願開示のガス発生器において、前記開口溝の深さは前記溶接部における溶け込み深さ以上の寸法を有していてもよい。溶接部における溶け込み深さは、溶接部を形成する金属製筒状部側の金属及びハウジング側の金属が相互に溶け込んでいる溶け込み領域の、金属製筒状部の環状端面からの深さ寸法と定義することができる。溶接部における溶け込み領域は、溶接部の形成時により多くの溶接熱が発生すると考えられる。そこで、金属製筒状部の軸方向に沿って形成される開口溝の深さを、溶接部における溶け込み深さ以上の寸法に設定することで、熱伝導抑制部としての開口溝を少なくとも溶け込み領域が形成される深さまで形成することができる。これにより、樹脂製筒状部に対して溶接熱の影響が及ぶことを好適に抑制できる。
また、前記封止用部品は、点火薬が収容された着火部と、前記点火薬を着火するための着火電流が供給される導電部と、を含み、前記導電部を介して供給された着火電流により前記点火薬を燃焼し、その燃焼生成物を前記着火部の開裂面から放出するように構成された点火器を、更に含み、前記金属部材は、前記点火器を保持する金属製カラーとして形成されており、前記樹脂部材は、前記着火部の開裂面を前記収容空間の内側に露出させると共に前記導電部を当該収容空間の外側に露出させた状態で前記収容空間を封止するように、前記点火器と前記金属製カラーとを一体に接合している場合に、前記樹脂製筒状部の内周面は、前記導電部に接続されるコネクターを挿入可能なコネクター挿入空間の側面を形成すると共に、前記コネクターに設けられた係合部を係止する係止部を有し、前記開口溝は、少なくとも前記係止部に対応する深さまで、前記金属製筒状部の軸方向に沿って延在していてもよい。
上記のように樹脂製筒状部の内周面によってコネクター挿入空間の側面を形成すると共にコネクターに設けられた係合部を係止するための係止部を樹脂製筒状部の内周面に形成する場合、溶接部の形成時に樹脂製筒状部における係止部に溶融や変形等が生じると、コネクターの係合部を係止することができなくなる虞がある。これに対して、熱伝導抑制部としての開口溝を、少なくとも係止部に対応する深さまで、金属製筒状部の軸方向に沿って延在させることで、樹脂製筒状部における係止部に対してより一層溶接熱の影響が及び難くなり、係止部の寸法精度を十分に担保することができる。
ここで、本願開示に係る技術を、ガス発生器の製造方法として特定することもできる。すなわち、本願開示に係るガス発生器の製造方法は、金属製のハウジングと、前記ハウジング内の収容空間に収容されたガス発生源と、前記ハウジングと共に前記収容空間を画定する封止用部品であって、前記ハウジングに溶接された金属部材及び前記収容空間を封止するように前記金属部材と一体に形成された樹脂部材を含む封止用部品と、を備えるガス発生器の製造方法であって、前記金属部材を溶接すべき溶接箇所を含み且つ前記ハウジングの一部を構成するハウジング部品又は当該ハウジング部品を有する前記ハウジング と
、前記封止用部品と、を用意する準備工程と、前記ハウジング部品における前記溶接箇所と前記樹脂部材との間に前記金属部材よりも熱伝導率が低い熱伝導抑制部を介在させた状態で、前記溶接箇所に前記金属部材を溶接する溶接工程と、を有する。
上記の準備工程では、金属部材を溶接すべき溶接箇所を含み且つハウジングの一部を構成するハウジング部品又は当該ハウジング部品を有するハウジングの何れかと、封止用部品が用意される。例えば、ハウジングが2個のハウジング部品(例えば、上部シェル及び下部シェル等)を組み合わせて形成される場合、準備工程においては、金属部材を溶接すべき溶接箇所を含むハウジング部品(例えば下部シェル)、若しくは当該ハウジング部品を含むハウジング全体の何れと、封止用部品を用意すればよい。
そして、本願開示に係るガス発生器の製造方法においては、溶接工程において、ハウジング部品における溶接箇所と樹脂部材との間に金属部材よりも熱伝導率が低い熱伝導抑制部を介在させた状態で、溶接箇所に金属部材を溶接する。これによれば、ハウジング部品における溶接箇所に金属部材を溶接する際に発生する溶接熱が樹脂部材に伝わり難くなり、樹脂部材が溶融したり、変形することを抑制できる。その結果、ガス発生器における密封性が向上し、ハウジングの外部から内部への湿気の侵入を抑制することが可能となる。
また、本願開示に係るガス発生器の製造方法において、前記封止用部品は、点火薬が収容された着火部と、前記点火薬を着火するための着火電流が供給される導電部と、を含み、前記導電部を介して供給された着火電流により前記点火薬を燃焼し、その燃焼生成物を前記着火部の開裂面から放出するように構成された点火器を、含み、前記金属部材は、前記点火器を保持する金属製カラーとして形成されており、前記樹脂部材は、前記着火部の開裂面を前記収容空間の内側に露出させると共に前記導電部を当該収容空間の外側に露出させた状態で前記収容空間を封止するように、前記点火器と前記金属製カラーとを一体に接合していてもよい。このような態様のガス発生器を本願開示の製造方法によって製造することで、金属部材としての金属製カラーをハウジング部品の溶接箇所に溶接する際に、点火器を金属製カラーに一体に接合する樹脂部材に溶接熱が伝わり難くなり、樹脂部材が溶融したり、変形することを抑制できる。その結果、ガス発生器におけるハウジングの密閉度(密封度)が低くなることを抑制し、安定した性能を有するガス発生器を製造することができる。
ここで、前記熱伝導抑制部は、前記溶接箇所と前記樹脂部材との間に空気層を介在させる中空部として形成されていてもよい。ハウジング部品の溶接箇所と樹脂部材との間に形成された中空部は、空気層の断熱作用によって、ハウジング部品の溶接箇所に対する金属
部材の溶接時に発生する溶接熱を樹脂部材に対して好適に伝わり難くすることができる。また、ハウジング部品の溶接箇所と樹脂部材に空気層を介在させた中空部を配置するだけで熱伝導抑制部を形成することができるため、ガス発生器を製造するコスト、工数を減らすことができる。
また、前記金属部材は、前記ハウジング部品に形成されたハウジング開口部の縁部に沿って配置される金属製筒状部を含み、前記樹脂部材は、前記金属製筒状部の内周側に沿って延在する筒状の樹脂製筒状部を有し、前記中空部は、前記金属製筒状部の環状端面側に開口し、前記樹脂製筒状部の外周を囲むように前記金属製筒状部の軸方向に沿って延在すると共に内部に空気層が形成された開口溝であってもよい。ガス発生器がこのような態様の場合に、ガス発生器の製造方法は、前記溶接工程において、前記樹脂製筒状部の前記環状端面の少なくとも一部が前記ハウジング部品に形成されたハウジング開口部から外部に露出するように前記金属部材を前記ハウジング部品の内側に配置した状態で、前記樹脂製筒状部における環状端面側の外周部と前記ハウジング開口部の縁部とを全周に亘って環状に溶接してもよい。このように、溶接工程において、金属製筒状部における環状端面側の外周部をハウジング開口部の縁部の全周に亘って環状に溶接することで、ハウジングの密閉度(密封度)をより一層高めたガス発生器を製造することができる。
本願開示に係る技術によれば、金属製のハウジング内の収容空間にガス発生源が収容されるガス発生器において、ハウジングの密閉性が低くなることを抑制可能な技術を提供できる。
図1は、実施形態1に係るガス発生器の軸方向断面図である。 図2は、実施形態1に係るガス発生器における点火器組立体の詳細構造を示す縦断面図である。 図3は、図2における矢視A方向から眺めたガス発生器の部分底面図である。 図4は、実施形態1におけるガス発生器の製造方法の手順を説明する図である。 図5は、ガス発生器の製造方法に係る準備工程を説明する図である。 図6は、ガス発生器の製造方法に係る溶接工程を説明する図である。 図7は、ガス発生器の製造方法に係る内筒取付工程を説明する図である。 図8は、溶接部の形成過程で生成された溶接熱の伝熱経路を説明する図である。 図9は、シミュレーション結果を説明する図である。 図10は、実施形態1の変形例1に係る点火器組立体を示す縦断面図である。 図11は、実施形態1の変形例2に係る開口溝の平面構造を説明する図である。 図12は、実施形態2に係るガス発生器における点火器組立体の詳細構造を示す縦断面図である。 図13は、実施形態3に係るガス発生器における点火器組立体の詳細構造を示す縦断面図である。
以下に、図面を参照して本願開示に係るガス発生器及びその製造方法の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、本願開示に係るガス発生器及びその製造方法は実施形態に限定されるものではない。
<実施形態1>
図1は、実施形態に係るガス発生器100の軸方向断面図である。ガス発生器100は、例えばエアバッグ用に使用されるエアバッグ用ガス発生器である。ガス発生器100は、金属製のハウジング1の内部に形成された収容空間に、当該ガス発生器100を構成する各種部品を収容している。ガス発生器100は、内筒カップ部材4、点火器組立体5、フィルタ6、クッション材10等を有し、これらがハウジング1内に形成された収容空間に配置されている。また、ガス発生器100は、点火器組立体5における点火器13を作動させることによって、ハウジング1内における燃焼室11に充填されたガス発生剤7を燃焼させ、その燃焼生成物である燃焼ガスをハウジング1に設けられたガス放出口12を通じて外部に放出することでエアバッグ(図示せず)を膨張させるように構成されている。以下、ガス発生器100の各構成について説明する。
ガス発生器100のハウジング1は、それぞれが有底略円筒状に形成された金属製の上部シェル2及び下部シェル3からなり、これらが互いの開口端同士を向き合わせた状態で接合されることによって軸方向の両端が閉塞した短尺円筒状に形成されている。図1に示すCL1は、ガス発生器100の中心軸である。ここで、ハウジング1の中心軸CL1方向に沿う方向をガス発生器100の上下方向と定義し、上部シェル2側(即ち、図1における上側)をガス発生器100の上側とし、下部シェル3側(即ち、図1における下側)をガス発生器100の下側とする。
上部シェル2は、筒状の上側周壁部21と該上側周壁部21の上端側を閉塞する天板部22と、上側周壁部21の下端部に鍔状に形成されたフランジ部23を有している。天板部22は、平面視で概ね円形状を有している。上側周壁部21は、天板部22の周縁から概ね垂設されることで筒状の周壁を形成している。上側周壁部21の上端側には天板部22が接続されると共に、上側周壁部21の下端部は開放端となっている。また、上側周壁部21の下端部からフランジ部23が径方向外側に延在している。
下部シェル3は、筒状の下側周壁部31と、当該下側周壁部31の下端側を閉塞する底板部32と、下側周壁部31の上端部に鍔状に形成されたフランジ部33を有している。底板部32は、平面視で概ね円形状を有している。下側周壁部31は、底板部32の周縁から概ね垂設されることで、筒状の周壁を形成している。下側周壁部31の下端側には底板部32が接続されると共に、下側周壁部31の上端側は開放端となっている。また、下側周壁部31の上端部からフランジ部33が径方向外側に延在している。
上部シェル2及び下部シェル3は、お互いのフランジ部23,33同士を重ね合わせた状態で例えばレーザ溶接等によって一体に接合されることで、ハウジング1を形成している。上部シェル2及び下部シェル3は、互いに組み合わされることでハウジング1を形成するハウジング部品ということができ、例えば、ステンレス鋼板をプレス加工することで成形することができる。
ここで、上部シェル2の上側周壁部21には、ガス放出口12が周方向に並んで複数形成されている。ガス放出口12は、上部シェル2における上側周壁部21の内部側からシールテープ19によって閉塞されている。シールテープ19としては、例えば片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等を利用することができる。
ハウジング1内に形成された収容空間における中央には、ハウジング1と同心円状となるように内筒カップ部材4が配置されている。内筒カップ部材4は、円筒壁部41と、当該円筒壁部41の上端を閉塞するように設けられた頂壁部42とからなるカップ状部材であり、例えばステンレス鋼板をプレス加工することで成形することができる。また、内筒
カップ部材4の円筒壁部41には、連通孔43が設けられている。連通孔43は、一定の開口面積となるように1つの連通孔として形成されてもよいし、複数の連通孔として形成されていてもよい。
内筒カップ部材4における連通孔43は、シールテープ44によって閉塞されている。シールテープ44としては、例えば片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等を利用することができる。なお、図1に示す例では、内筒カップ部材4の連通孔43が、円筒壁部41の外側からシールテープ44によって閉塞されている。また、本実施形態においては燃焼室11内のガス発生剤7に均等に着火するように、6つの連通孔43が、円筒壁部41の径方向に形成されている。内筒カップ部材4の連通孔43を4個以上配設することで、ガス発生剤7が着火する際に着火斑が生じ難くなる。但し、連通孔43の数、位置、及び大きさは適宜変更することができる。
図1に示すように、内筒カップ部材4は、頂壁部42が上部シェル2における天板部22に対向し、円筒壁部41の下端部41Aが下部シェル3における底板部32の内面32Aに当接した状態でハウジング1内に配置されている。内筒カップ部材4の内側空間には点火器組立体5が配設されると共に、内筒カップ部材4の内側空間における点火器組立体5の上部には伝火室9が形成されており、この伝火室9に伝火薬8が収容されている。伝火薬8としては、着火性に優れ、ガス発生剤7よりも燃焼温度の高いガス発生剤を使用することが好ましい。伝火薬8としては、例えばニトログアニジン(34重量%)、硝酸ストロンチウム(56重量%)からなる公知のものを用いることができる。あるいは、伝火薬8としては公知の黒色火薬(ボロン硝石)等を使用してもよい。また、伝火薬8の形態は特に限定されず、粉状であってもよいし、バインダー等によって適宜の形状に成形されていてもよい。
ハウジング1内に設けられたフィルタ6は円筒形状を有し、ハウジング1と同心円状に配置されている。フィルタ6は、例えば、ステンレス鋼製平編の金網を半径方向に重ね、半径方向及び軸方向に圧縮することで形成することができる。フィルタ6の内側には内筒カップ部材4が配置されており、フィルタ6と内筒カップ部材4との間に形成された環状空間によって燃焼室11が形成されている。環状に形成された燃焼室11に充填されるガス発生剤7としては、比較的燃焼温度の低いガス発生剤を使用できる。ガス発生剤7としては、例えば、硝酸グアニジン(41重量%)、塩基性硝酸銅(49重量%)及びバインダーや添加物からなる公知のものを用いることができる。また、ガス発生剤7は、例えば顆粒状、ペレット状、円柱状、ディスク状等、種々の形状を採用できる。
図1に示すように、フィルタ6は、上部シェル2における上側周壁部21及び下部シェル3における下側周壁部31に跨るようにしてハウジング1の収容空間における上下方向に延在している。フィルタ6は、その上端面が上部シェル2における天板部22の内面22Aに当接し、その下端面が下部シェル3における底板部32の内面32Aに当接するようにハウジング1内に配置されていてもよい。また、図1に示すように、フィルタ6の外周面と上側周壁部21とは離間しており、フィルタ6の外周面と上側周壁部21との間に環状の隙間16が形成されている。フィルタ6は、燃焼室11に充填されたガス発生剤7が燃焼することで生成された燃焼ガスが通過する際に、燃焼ガスの熱を奪い取ることで当該燃焼ガスを冷却する。また、フィルタ6は、燃焼ガスの冷却機能に加え、燃焼ガスに含まれる燃焼残渣を捕集することで当該燃焼ガスを濾過する機能を有する。
更に、ハウジング1内には、上部シェル2における天板部22の内面22Aに沿うようにクッション材10が配設されている。クッション材10は、ガス発生剤7の振動を抑制し、ガス発生剤7が粉砕されることを抑制するための緩衝材である。クッション材10は、例えばセラミックスファイバの成形体や発泡シリコン等によって形成してもよい。
図2は、実施形態1に係るガス発生器100における点火器組立体5の詳細構造を示す縦断面図である。点火器組立体5は、点火器13、金属製カラー14、点火器13及び金属製カラー14を一体に接合する樹脂接合部材15を含んで構成されている。
点火器13は、点火薬(図示せず)が収容された点火器カップ131、及び一対の導電ピン132を有する電気式の点火器である。一対の導電ピン132には、点火器カップ131に収容された点火薬を着火するための着火電流が供給されるようになっている。また、一対の導電ピン132の基端側は、電気的絶縁状態に保持された状態で点火器カップ131の内部に挿入されており、一対の導電ピン132の基端同士を連結するように図示しないブリッジワイヤ(抵抗体)が連架されている。ブリッジワイヤは、例えばニクロム線等であってもよい。また、点火薬としては、ZPP(ジルコニウム・過塩素酸カリウム)、ZWPP(ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム)、THPP(水素化チタン・過塩素
酸カリウム)、鉛トリシネート等を採用してもよい。なお、点火薬は、ブリッジワイヤに接触した状態で点火器カップ131内に収容されている。
点火器13を作動させる際、一対の導電ピン132に供給される着火電流によってブリッジワイヤが発熱する。その結果、点火器カップ131内の点火薬が着火、燃焼し、燃焼生成物(例えば、火炎)が生成される。そして、点火器カップ131内における点火薬の燃焼に伴って点火器カップ131内の圧力が上昇し、点火器カップ131の開裂面131Aが開裂し、点火器カップ131の開裂箇所から燃焼生成物が放出される。本実施形態においては、点火器13における点火器カップ131の上部に伝火室9が設けられている。そのため、伝火室9に収容された伝火薬8が、点火器カップ131の開裂箇所から放出された点火薬の燃焼生成物に晒されることとなる。すなわち、点火器カップ131の開裂箇所から火炎が放出されることで、伝火室9内の伝火薬8に着火され、当該伝火薬8が燃焼する。
伝火室9内における伝火薬8が燃焼することで生成された高温の火炎は、連通孔43を閉塞するシールテープ44を破り、連通孔43から燃焼室11に噴出する。その結果、燃焼室11に充填されているガス発生剤7が着火、燃焼し、燃焼ガスが生成される。ガス発生剤7の燃焼によって生成された燃焼ガスは、フィルタ6を通過する際に冷却されると共に燃焼残渣が捕集される。そして、フィルタ6を通過した燃焼ガスは、環状の隙間16を通り、シールテープ19を破ってガス放出口12からハウジング1の外部に放出される。本実施形態においては、点火薬を収容する点火器カップ131が本願開示に係る着火部に相当し、点火薬を着火するための着火電流が供給される一対の導電ピン132が本願開示に係る導電部に相当する。
次に、点火器組立体5の金属製カラー14について説明する。金属製カラー14は、樹脂接合部材15を介して点火器13を保持する金属部材であり、略円筒形状を有する金属製筒状部141を有している。図2に示すCL2は、金属製カラー14の中心軸であり、金属製カラー14はハウジング1と同軸に配置されている。
金属製カラー14は、ハウジング1の下部シェル3における底板部32の中央部に形成された円形のハウジング開口部321の内径と等しい外径を有している。金属製カラー14は、金属製筒状部141をハウジング開口部321に挿通させた状態で固定されている。すなわち、金属製カラー14における金属製筒状部141は、ハウジング1に形成されたハウジング開口部321の縁部に沿って配置されている。そして、金属製カラー14における金属製筒状部141は、当該金属製筒状部141における軸方向一端側、具体的には下端側に位置する環状端面141Aがハウジング1の外部に露出するように、ハウジング1内部に受け入れられると共に、金属製筒状部141における環状端面141A側の外
周部141Bが、ハウジング開口部321の縁部322に対して溶接されている。
図3は、図2における矢視A方向から眺めたガス発生器100の部分底面図である。ここで、図2及び図3に示す符号17は、下部シェル3におけるハウジング開口部321の縁部322に金属製カラー14における金属製筒状部141の外周部141Bを溶接することで形成された溶接部である。図3においては、便宜上、溶接部17にハッチングを施している。
本実施形態においては、ハウジング開口部321の縁部322に対して、金属製筒状部141の外周部141Bを全周に亘って溶接することで、環状の溶接部17がハウジング開口部321の縁部322と金属製筒状部141の外周部141Bとの境界位置に形成されている。また、金属製カラー14における金属製筒状部141の外径は、内筒カップ部材4における円筒壁部41との内径より若干大きな寸法に形成されている。内筒カップ部材4は、円筒壁部41を金属製カラー14における金属製筒状部141の外周部に嵌入されることで、内筒カップ部材4が金属製カラー14の金属製筒状部141の外周を覆うように固定されている。
次に、点火器組立体5の樹脂接合部材15について説明する。樹脂接合部材15は、点火器13及び金属製カラー14と一体に形成された樹脂部材であり、ハウジング1内の収容空間を封止するように点火器13及び金属製カラー14を接合している。樹脂接合部材15は、主として点火器13を支持する上部領域151と、上部領域151の下方に位置すると共に金属製カラー14の内側に配置される下部領域152を含んで構成されている。樹脂接合部材15の下部領域152は、金属製カラー14における金属製筒状部141の内周側に沿って延在する円筒状の樹脂製筒状部153を有している。
樹脂接合部材15における樹脂製筒状部153の内側には、一対の導電ピン132に接続される外部装置のコネクター(図示せず)を挿入可能なコネクター挿入空間154が形成されており、樹脂製筒状部153の内周面153Aはコネクター挿入空間154の側面を形成している。更に、樹脂製筒状部153の下端側には係止部155が形成されており、外部装置のコネクターに設けられた係合部を係止部155によって係止することができるように構成されている。また、点火器13における一対の導電ピン132の先端側は、樹脂接合部材15を貫通してコネクター挿入空間154内に配置されることで、ハウジング1の外部に露出している。
なお、樹脂接合部材15の樹脂材料は、点火器13及び金属製カラー14間に射出成形することが好ましく、このように成形することで両者間に湿気が通過するような間隙が発生することを回避し、ハウジング1の収容空間における密閉性を向上することができる。例えば、射出成形金型内にそれぞれ配置した点火器13及び金属製カラー14の周りに、加熱溶融させた樹脂材料を射出注入して、点火器13及び金属製カラー14と樹脂材料を一体化することで、点火器組立体5を形成することができる。樹脂接合部材15の樹脂材料としては、硬化後において耐熱性や耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料を好適に利用することができる。このような樹脂材料としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が例示される。
以上のように、点火器組立体5の樹脂接合部材15は、点火器13における点火器カップ131の開裂面131Aをハウジング1の収容空間の内側に露出させると共に、一対の導電ピン132をハウジング1の収容空間の外側(すなわち、ハウジング1の外部)に露出させた状態でハウジング1の収容空間を封止するように、点火器13と金属製カラー1
4とを一体に接合している。つまり、点火器13、金属製カラー14、及びこれらを一体に接合する樹脂接合部材15によって形成される点火器組立体5は、金属製カラー14の金属製筒状部141における環状端面141A側の外周部141Bをハウジング開口部321の縁部322に溶接することでハウジング1の収容空間を封止すると共に、ハウジング1と共に収容空間を画定する封止用部品ということができる。このように、ハウジング1(下部シェル3)に開口するハウジング開口部321の縁部322に金属製カラー14を溶接することによってハウジング1の収容空間が封止されるため、外部からの湿気の侵入を好適に抑制することができる。その結果、燃焼室11内に充填されたガス発生剤7を乾燥状態に維持することができ、安定した性能を有するガス発生器100を提供することができる。
ところで、本実施形態におけるガス発生器100は、点火器組立体5における金属製カラー14を下部シェル3に溶接して固定するため、溶接熱に対する対策を講じないと、点火器組立体5を下部シェル3に組み付ける際に点火器組立体5の樹脂接合部材15が溶接熱によって溶融したり、変形することが懸念される。これに対して、本実施形態におけるガス発生器100の点火器組立体5は、図2及び図3に示すように、金属製カラー14と下部シェル3との溶接箇所に形成された溶接部17と樹脂接合部材15との間に介在する熱伝導抑制部を有している。この熱伝導抑制部は、金属製カラー14よりも低い熱伝導率を有している。また、点火器組立体5における熱伝導抑制部は、溶接部17と樹脂接合部材15の間に空気層を介在させた中空部として形成されていてもよい。
点火器組立体5における熱伝導抑制部の一態様を説明すると、図2及び図3に示す例では、金属製カラー14の金属製筒状部141には、当該金属製筒状部141の環状端面141A側に開口する開口溝18が設けられている。この開口溝18は、金属製カラー14における環状端面141Aを起点とし、金属製筒状部141の軸方向(中心軸CL2)に沿って所定の深さまで延在している。また、開口溝18は、樹脂接合部材15における樹脂製筒状部153の外周を囲むように、金属製筒状部141の周方向に沿って全周に亘って延在する環状溝として形成されている(図3を参照)。図2に示すように、開口溝18は、金属製筒状部141における径方向中間領域に開口している。
上記のように形成された開口溝18は、当該開口溝18内に空気層を介在させた中空部として形成されており、金属製カラー14よりも低い熱伝導率を有している。これによれば、ガス発生器100の製造時に溶接部17が形成される過程で、溶接熱を樹脂接合部材15に伝わり難くすることができる。これにより、樹脂接合部材15が溶接熱の影響で溶融したり、変形することを抑制することが可能となる。その結果、ガス発生器100のハウジング1の密閉性が向上し、ハウジング1の外部から内部への湿気の侵入を好適に抑制できる。
図4は、実施形態1におけるガス発生器100の製造方法の手順を説明する図である。ここでは、ガス発生器100の製造過程において、ハウジング1の下部シェル3に点火器組立体5の金属製カラー14を溶接することで点火器組立体5を下部シェル3に固定する手順を主に説明する。まず、ステップS101の準備工程では、金属製カラー14を溶接すべき溶接箇所を含み且つハウジング1の一部を構成するハウジング部品又は当該ハウジング部品を有するハウジング1と、封止用部品としての点火器組立体5を用意する。点火器組立体5は、予め点火器13が金属製カラー14に対して樹脂接合部材15を介して一体に固定された状態にしておく。
図5は、ガス発生器100の製造方法に係る準備工程を説明する図であり、金属製カラー14を溶接すべき溶接箇所を含むハウジング部品としての下部シェル3と、点火器組立体5を用意した状態を示している。なお、上記した金属製カラー14を溶接すべき溶接箇
所とは、下部シェル3のうち、金属製カラー14が溶接される特定の部位を指し、下部シェル3におけるハウジング開口部321の縁部322が溶接箇所に該当することになる。
次に、ステップS102の溶接工程において、下部シェル3(ハウジング部品)におけるハウジング開口部321の縁部322(溶接箇所)と点火器組立体5における樹脂接合部材15との間に金属製カラー14よりも熱伝導率が低い熱伝導抑制部を介在させた状態で、ハウジング開口部321の縁部322に対し、金属製カラー14における金属製筒状部141の環状端面141A側の外周部141Bを溶接する。なお、図5に示したように、準備工程で用意される点火器組立体5は、金属製カラー14に予め開口溝18が熱伝導抑制部として形成されている。従って、図6に示すように、金属製筒状部141における環状端面141A側をハウジング開口部321に挿通させると共に、下部シェル3に対する点火器組立体5の相対位置関係(回転方向の位置)を規定されている通りに調整した後、下部シェル3におけるハウジング開口部321の縁部322に対して金属製筒状部141の外周部141Bを全周に亘って溶接する。これにより、図2及び図3に示したように、下部シェル3におけるハウジング開口部321の縁部322と金属製カラー14における金属製筒状部141の外周部141Bとの境界部に、円環状の溶接部17が形成されると共に下部シェル3に点火器組立体5が一体に固定される。なお、下部シェル3に対する金属製カラー14の溶接は、レーザ溶接、電子ビーム溶接等を採用することができる。
その後、ステップS103の内筒取付工程において、図7に示すように、内筒カップ部材4の内側空間に伝火薬8を充填した状態で、下部シェル3に固定された点火器組立体5に内筒カップ部材4を取り付ける。ここでは、例えば、内筒カップ部材4の頂壁部42を下方に向けた状態で所定量の伝火薬8を充填し、点火器組立体5の点火器13(点火器カップ131)を伝火薬8に対向させた状態で、内筒カップ部材4の円筒壁部41を金属製カラー14における金属製筒状部141に嵌入する。これにより、下部シェル3に溶接された状態の点火器組立体5に対して、伝火室9に規定量の伝火薬8が充填された状態で内筒カップ部材4が固定される。
次に、ステップS104のガス発生剤充填工程では、底板部32の外面が下向き姿勢となるように下部シェル3を配置し、底板部32の内面32A上の規定位置にフィルタ6を載置した後、フィルタ6と内筒カップ部材4との間に形成された環状空間(燃焼室11)に所定量のガス発生剤7を充填する。
次に、ステップS105のハウジング接合工程では、下部シェル3に対して上部シェル2を上方から被せ、フランジ部23,33同士を重ね合わせた状態で例えばレーザ溶接によって上部シェル2及び下部シェル3を一体に接合する。これにより、図1に示したガス発生器100が完成する。
以上のように、本実施形態に係るガス発生器100及びその製造方法においては、溶接工程において、下部シェル3(ハウジング部品)におけるハウジング開口部321の縁部322(溶接箇所)と点火器組立体5における樹脂接合部材15との間に金属製カラー14よりも熱伝導率が低い熱伝導抑制部を介在させた状態で、ハウジング開口部321の縁部322に対し、金属製カラー14における金属製筒状部141の環状端面141A側の外周部141Bを溶接するようにした。これによれば、溶接部17の形成過程で生成される溶接熱が樹脂接合部材15(特に樹脂製筒状部153)に伝熱することを、金属製カラー14の金属製筒状部141に形成されている開口溝18(熱伝導抑制部、中空部)によって抑制することができる。なお、上述した溶接工程においては、開口溝18に対して、空気よりも断熱効果の高い断熱部材を挿入した状態で下部シェル3に対して金属製カラー14の溶接を行うようにしてもよい。これによれば、溶接部17の形成過程で生成される溶接熱を、樹脂接合部材15に対してより一層伝わり難くすることができる。
図8は、開口溝18を形成した場合の溶接部17の形成過程で生成された溶接熱の伝熱経路を説明する図である。図8において、溶接熱の伝熱経路を破線矢印にて模式的に示している。図8に示すように開口溝18は、樹脂接合部材15(特に、金属製筒状部141の内周側に配置されている樹脂製筒状部153)に対する溶接熱の伝熱経路を迂回させ、その伝熱経路長を長く確保させる。その結果、溶接部17を形成する際に発生する溶接熱を樹脂接合部材15に伝わり難くすることができ、樹脂接合部材15が溶接熱の影響で溶融したり、変形することを抑制できる。これにより、ガス発生器100のハウジング1の密閉性が向上し、ハウジング1の外部から内部への湿気の侵入を好適に抑制できる。その結果、ガス発生器100における性能の安定化とともに、樹脂製筒状部153の変形防止によるコネクター挿入空間154の確保に資することができる。
更に、本実施形態におけるガス発生器100及びその製造方法によれば、下部シェル3に金属製カラー14を溶接することで点火器組立体5を取り付ける際に、樹脂接合部材15(特に、金属製筒状部141の内周側に配置されている樹脂製筒状部153)に対する溶接熱の影響が及びにくいため、溶接条件を過剰に厳格に管理する必要がないという利点がある。そのため、ガス発生器100を生産する際のタクトタイム、サイクルタイム等を短縮することができる。
なお、図8に示した符号D1は、金属製カラー14の金属製筒状部141に形成されている開口溝18(熱伝導抑制部、中空部)の深さ寸法(以下、「開口溝深さ」という)である。開口溝18の開口溝深さD1は、環状端面141Aからの距離で表され、開口溝深さD1が大きいほど、樹脂接合部材15(特に、金属製筒状部141の内周側に配置されている樹脂製筒状部153)に対する溶接熱の伝熱経路長を伸長させることができ、溶接熱を樹脂接合部材15に対してより一層伝わり難くすることが可能となる。
本実施形態においては、開口溝18の開口溝深さD1が、溶接部17における溶け込み深さ以上の寸法に設定することが望ましい。ここで、溶接部17における溶け込み深さは、溶接部17を形成する金属製カラー14の金属製筒状部141側の金属材料、及び、下部シェル3側の金属が相互に溶け込んでいる溶け込み領域の、金属製筒状部141の環状端面141Aからの深さ寸法と定義することができる。溶接部17における溶け込み領域は、溶接部17の形成時により多くの溶接熱が発生すると考えられる。そこで、本実施形態では、金属製筒状部141の軸方向に沿って形成される開口溝18の深さを、溶接部17における溶け込み深さ以上の寸法に設定することとした。これにより、熱伝導抑制部としての開口溝18を少なくとも溶け込み領域が形成される深さまで形成することができる。その結果、樹脂製筒状部153に対して、溶接熱の影響が及ぶことをより一層好適に抑制できる。
更に、開口溝18の深さ寸法D1を、少なくとも樹脂製筒状部153の下端側に形成された係止部155に対応する環状端面141Aからの深さ以上に設定し、係止部155の外周側を覆うように開口溝18を金属製筒状部141の軸方向に沿って延在させることが望ましい。これにより、樹脂接合部材15における樹脂製筒状部153の係止部155に対して、より一層溶接熱の影響が及び難くなり、係止部155の寸法精度を十分に担保することができる。その結果、樹脂接合部材15におけるコネクター挿入空間154にコネクターを挿入した際に、コネクターにおける係合部を係止部155によってしっかり係止できなかったり、コネクターにガタツキが生じるような事態を好適に回避できる。
なお、上記したガス発生器100の製造方法においては、図4で説明した溶接工程の際に、下部シェル3(ハウジング部品)における溶接箇所と点火器組立体5における樹脂接合部材15との間に金属製カラー14よりも熱伝導率が低い熱伝導抑制部が介在されてい
ればよく、その後工程において点火器組立体5から熱伝導抑制部が取り除かれてもよい。すなわち、点火器組立体5における熱伝導抑制部(上記の例では、開口溝18)は、溶接工程を行う際に存在している限りにおいて、ガス発生器100の製造完了時に熱伝導抑制部が存在していなくてもよい。
例えば、溶接工程の後、ガス発生器100の製造が完了するまでのタイミングで、開口溝18に適宜の代替材を埋め込む等してもよい。なお、代替材の種類、材料等は特に限定されない。また、代替材の熱伝導率についても特に限定されず、代替材が、金属製カラー14よりも低い熱伝導率を有する必要は無い。例えば、溶接工程の後、金属製カラー14と同じ金属材料を用いて開口溝18を埋めてもよいし、樹脂接合部材15と同じ樹脂材料を用いて開口溝18を埋めてもよい。
また、本実施形態に係るガス発生器100において、金属製カラー14は、下部シェル3に形成されたハウジング開口部321の縁部322に沿って配置された金属製筒状部141を含み、当該金属製筒状部141は、軸方向一端側に位置する環状端面141Aが外部に露出するようにハウジング1内部に受け入れられると共に、金属製筒状部141における環状端面141A側の外周部141Bがハウジング開口部321の縁部322と全周に亘って環状に溶接された状態で溶接部17を形成する。このように、金属製筒状部141における外周部141Bの全周に亘って溶接することで、ガス発生器100におけるハウジング1の密閉性をより一層高めることができる。なお、本実施形態において、金属製カラー14における金属製筒状部141の環状端面141Aは、その一部のみがハウジング1の外部に露出してもいてもよい(例えば、環状端面141Aと底板部32が面一であってもよい)し、その全体がハウジング1の外部に露出していてもよい。
更に、本実施形態に係るガス発生器100においては、金属製カラー14と下部シェル3との溶接箇所に形成された溶接部17と樹脂接合部材15との間に設けられた熱伝導抑制部を、空気層を有する中空部としての開口溝18によって形成することとした。これによれば、開口溝18の内部に形成される空気層の断熱作用によって、溶接部17の熱を点火器組立体5における樹脂接合部材15に対して好適に伝わり難くすることができる。また、溶接部17と樹脂接合部材15との間に空気層を介在させた中空部を配置するだけで熱伝導抑制部を形成することができるため、ガス発生器100を製造するコスト、工数を減らすことができる。
また、本実施形態に係るガス発生器100においては、金属製カラー14における金属製筒状部141の全周に亘って開口溝18を延在させるようにした。そのため、金属製カラー14の金属製筒状部141における外周部141Bと下部シェル3に形成されたハウジング開口部321の縁部322との境界部に環状に形成された溶接部17から、金属製筒状部141の内周側に沿って延在する樹脂製筒状部153に対して溶接熱の影響が及ぶことをより一層好適に抑制できる。
更に、ガス発生器100における樹脂接合部材15は、金属製筒状部141の内周側に沿って延在する筒状の樹脂製筒状部153を有し、開口溝18(熱伝導抑制部、中空部)を、金属製筒状部141の環状端面141A側に開口させると共に、樹脂製筒状部153の外周を囲むように金属製筒状部141の軸方向に沿って延在させている。このように、熱伝導抑制部としての中空部を金属製カラー14における金属製筒状部141の環状端面141A側に開口する開口溝によって形成することで、点火器組立体5に熱伝導抑制部を容易に形成することができる。例えば、金属製カラー14における金属製筒状部141に切削加工等を施しておくことで、開口溝18を容易に形成することができる。但し、本実施形態において、点火器組立体5における熱伝導抑制部は、金属製筒状部141の環状端面141A側に開口する開口溝として形成されていなくてもよく、種々の形態が採用でき
る。例えば、金属製カラー14における金属製筒状部141を複層構造として形成し、その内部に断熱層(中空層)を熱伝導抑制部として配設してもよい。
ここで、図9は、ハウジング1(下部シェル3)に対して金属製カラー14の金属製筒状部141を溶接することで溶接部17を形成するときの金属製筒状部141の温度をシミュレーションにより算出した結果を示す図である。上段は、比較例として、金属製カラー14の金属製筒状部141に熱伝導抑制部(開口溝18)を形成しない場合のシミュレーション結果を示す。また、中段には、実施例1として、金属製カラー14の金属製筒状部141に熱伝導抑制部として、開口溝深さD1が小さな(浅い)開口溝18を配置した場合のシミュレーション結果を示す。下段には、実施例2として、金属製カラー14の金属製筒状部141に熱伝導抑制部として、開口溝深さD1が実施例1よりも大きな(深い)開口溝18を配置した場合のシミュレーション結果を示す。なお、図9中に示す「樹脂境界位置」とは、金属製カラー14の金属製筒状部141のうち、樹脂接合部材15における樹脂製筒状部153と接する境界位置を示すものである。なお、上記シミュレーションにおいて、溶接時間や溶接エネルギー、使用する金属の材質や寸法、溶接環境温度や条件はいずれも同じである。
図9に示すように、比較例に比べて、実施例1及び2においては、金属製筒状部141が樹脂接合部材15における樹脂製筒状部153と接する樹脂境界位置(内周面)の温度をより低温に維持できることがわかる。具体的には、比較例は、金属製筒状部141の樹脂境界位置において、環状端面141A側の領域が温度(1)よりも高い温度(2)まで上昇する。これに対し、実施例1及び2の何れも、樹脂境界位置の全範囲が温度(2)よりも低温の温度(1)に維持されている。また、実施例1よりも開口溝深さD1が大きい実施例2の方が、樹脂境界位置からより遠い領域に至るまで低温状態を確保できることがわかる。これは、開口溝18の開口溝深さD1を大きくすることで、開口溝18を迂回して伝導する溶接熱の伝熱経路長を実施例1に比べて長く確保でき、開口溝18よりも樹脂境界位置側の領域への熱伝導が抑制されたことに拠るものと考えられる。以上のように、溶接部17と樹脂接合部材15との間に熱伝導抑制部としての開口溝18を介在させることによる効果をシミュレーションによって確認することができた。
なお、本実施形態におけるガス発生器100の製造方法において、図4で説明した溶接工程では、下部シェル3に点火器組立体5の金属製カラー14を溶接する際、金属製筒状部141に予め形成しておいた開口溝18を中空に維持した状態で金属製筒状部141を下部シェル3におけるハウジング開口部321の縁部322に溶接する例を説明したが、これには限定されない。例えば、溶接工程において下部シェル3に対する金属製カラー14の溶接開始前に熱伝導抑制部材を開口溝18に挿入しておき、熱伝導抑制部材を開口溝18に挿入した状態で金属製カラー14の溶接作業を行うと共に、溶接終了後に開口溝18から熱伝導抑制部材を取り除いてもよい。このような熱伝導抑制部材としては、ガス発生器100を構成する部品ではなく、ガス発生器100を製造するために別途用意される製造用部材であってもよい。
また、上述した熱伝導抑制部材は、空気よりも低い熱伝導率を有していることが好ましい。そのような熱伝導抑制部材を開口溝18に挿設した状態で金属製カラー14を溶接することにより、開口溝18を中空に維持した状態で溶接する場合に比べて、溶接熱が樹脂接合部材15に対してより一段と伝わり難くなる。上記熱伝導抑制部材としては、例えば、熱伝導率が極めて小さな硬質ウレタンフォーム等といった発泡プラスチック系断熱材を好適に用いることができる。
また、上記とは別の一態様として、下部シェル3に対する金属製カラー14の溶接開始前に、金属製カラー14よりも熱伝導率が高い熱吸収部を含む熱伝導抑制部材を開口溝1
8に挿入し、当該熱伝導抑制部材を開口溝18に挿入した状態で金属製カラー14を溶接してもよい。この態様においては、金属製カラー14の溶接時に発生する溶接熱を、熱伝導抑制部材の熱吸収部によって積極的に吸収(蓄熱)する。そして、金属製カラー14の溶接完了後、熱伝導抑制部材の熱吸収部で吸収した熱が、金属製筒状部141における熱伝導抑制部材よりも内側に配置された内側領域に熱的影響が伝わらないうちに、速やかに開口溝18から熱伝導抑制部材を取り除くようにするとよい。本態様における熱伝導抑制部材は、溶接工程時に熱を蓄積することで自身よりも内側領域への伝熱を抑制するための吸熱部材として機能する、ガス発生器100を製造するために用意される製造用部材として形成することができる。また、当該熱伝導抑制部材の好ましい態様として、熱伝導抑制部材は開口溝18に挿入される複層筒状部を有し、当該複層筒状部は径方向外周側に配置されると共に金属製カラー14よりも高い熱伝導率を有する吸熱層と、当該吸熱層の径方向内周側に配置されると共に金属製カラー14よりも低い熱伝導率を有する断熱層と、を含む態様が挙げられる。このような熱伝導抑制部材によれば、金属製カラー14の溶接時に発生する溶接熱を複層筒状部における吸熱層において吸熱しつつ、吸熱層の熱が開口溝18よりも内側、すなわち樹脂接合部材15側に伝熱することを断熱層によって好適に抑制できる。これにより、金属製カラー14を溶接する際に発生した溶接熱が樹脂接合部材15に伝わることを好適に抑制できる。
次に、本実施形態におけるガス発生器100の変形例について説明する。本実施形態に係るガス発生器100において、金属製カラー14と下部シェル3との溶接箇所に形成された溶接部17と樹脂接合部材15との間に設けられる熱伝導抑制部は、空気層を有する中空部に限られない。例えば、金属製カラー14よりも熱伝導率が低い適宜の材料、部材等(以下、「熱伝導抑制材」という)を熱伝導抑制部として配置してもよい。
図10は、実施形態1の変形例1に係る点火器組立体5Aを示す縦断面図である。変形例1に係る点火器組立体5Aは、金属製カラー14の金属製筒状部141に開口する開口溝18の内部に、金属製カラー14よりも熱伝導率が低い熱伝導抑制材181が配置されている。熱伝導抑制材181は、金属製カラー14よりも熱伝導率が低い適宜の材料等を用いて形成することができる。例えば、セラミックファイバー、シリカウール、グラスウール、ロックウール等といった適宜の断熱材によって熱伝導抑制材181を形成してもよい。なお、図10には、金属製カラー14の金属製筒状部141に開口する開口溝18に熱伝導抑制材181を挿設する態様を示しているが、金属製カラー14の金属製筒状部141に埋没するように熱伝導抑制材181が設けられていてもよい。
また、上記実施形態における点火器組立体5および5Aは、金属製カラー14における金属製筒状部141の全周に亘って開口溝18を延在させているが、これには限定されない。例えば、点火器組立体5の開口溝18は、金属製カラー14における金属製筒状部141の周方向に沿って不連続に複数配置されていてもよい。このような態様によっても、金属製カラー14における金属製筒状部141を下部シェル3に溶接する際に、金属製筒状部141の内周側に沿って延在する樹脂製筒状部153に対して溶接熱の影響が及ぶことを低減できる。
図11は、実施形態1の変形例2に係る点火器組立体5Bに設けられた開口溝18の平面構造を説明する図である。図11は、ガス発生器100における下部シェル3の底面側から点火器組立体5Bの周辺を眺めた状態を模式的に示している。図11に示す例では、円弧形状を有する複数の開口溝18が、金属製カラー14における金属製筒状部141の周方向に沿って不連続に複数配置されている。図11においては、便宜上、開口溝18が形成されている領域に斜めハッチングを施している。
ここで、図11に示す符号Psは、金属製カラー14と下部シェル3との溶接箇所に環
状に形成される溶接部17の溶接開始位置であり、符号Peは溶接部17の溶接終了位置である。よって、溶接部17を形成する際の溶接は、溶接開始位置Psを起点として溶接終了位置Peに至るまで360°以上になされている。また、図11に示す符号Rwは、溶接部17のうち、溶接開始位置Psと溶接終了位置Peとの間に形成される溶接重複領域である。図11において、便宜上、溶接部17における溶接重複領域Rwにドット柄のハッチングを施し、溶接部17における他の領域はハッチングを施していない。
また、図11に示す一点鎖線は、ガス発生器100の製造時において溶接部17を形成する際に、溶接開始位置Psから溶接終了位置Peに至るまでの溶接線Lwである。溶接線Lwは、溶接によって形成されるビードを一つの線として表すときの仮想線である。なお、図11においては、溶接開始位置Psから溶接終了位置Peに至るまで、図面上時計回りに溶接する場合を例に説明する。また、溶接開始位置Ps及び溶接終了位置Peは、溶接線Lwの始点及び終点ということもできる。また、溶接重複領域Rwは、溶接線Lwが重複する領域として捉えることができ、溶接部17を環状に形成する際に1周目に形成されたビードと2周目に形成されたビードが重なり合う領域ということもできる。
図11に示すように、変形例2に係る点火器組立体5Bにおいては、金属製カラー14と下部シェル3との溶接箇所に環状に形成される溶接部17の溶接開始位置Psと溶接終了位置Peとの間に形成される溶接重複領域Rwの内側領域に、少なくとも開口溝18を配置するようにした。ここで、溶接部17における溶接重複領域Rwは、溶接工程時により多くの溶接熱が発生する箇所と言える。そこで、本変形例においては、溶接重複領域Rwの内側領域に熱伝導抑制部として形成される開口溝18の位置を対応付けることで、樹脂接合部材15における樹脂製筒状部153に対して溶接熱の影響が及ぶことを好適に抑制できる。
<実施形態2>
次に、実施形態2に係るガス発生器について説明する。実施形態2に係るガス発生器100は、点火器組立体5Cが実施形態1に係る点火器組立体5と相違し、その他の構造は実施形態1に係るガス発生器100と同様である。以下、実施形態2に係る点火器組立体5Cについて、点火器組立体5との相違点を中心に説明する。
図12は、実施形態2に係るガス発生器100における点火器組立体5Cの詳細構造を示す縦断面図である。点火器組立体5Cは、金属製カラー14と下部シェル3との溶接箇所に形成された溶接部17と樹脂接合部材15との間に介在する熱伝導抑制部としての開口溝18の配置態様が実施形態1に係る点火器組立体5と相違している。
図12から明らかなように、点火器組立体5Cにおいては、開口溝18が、金属製カラー14における金属製筒状部141と樹脂接合部材15における樹脂製筒状部153との境界位置に配設されている。また、実施形態2における開口溝18は、実施形態1と同様、金属製筒状部141の環状端面141A側に開口し、金属製筒状部141の軸方向(中心軸CL2)に沿って所定の深さまで延在している。また、図12に示すように、実施形態2においては、金属製カラー14における金属製筒状部141の内周側を一部切り欠く態様で開口溝18が形成されている。点火器組立体5Cにおける開口溝18は、金属製カラー14における金属製筒状部141と樹脂接合部材15における樹脂製筒状部153との境界位置において、金属製筒状部141の周方向に沿って円環状に形成されている。
実施形態2に係るガス発生器100においても、点火器組立体5Cにおける開口溝18(熱伝導抑制部、中空部)が、金属製カラー14と下部シェル3との溶接箇所に形成された溶接部17と樹脂接合部材15との間に介在しているため、実施形態1に係るガス発生器100と同様の効果を奏する。すなわち、実施形態2に係るガス発生器100の製造時
に溶接部17が形成される過程で、溶接熱を樹脂接合部材15に伝わり難くすることがで、樹脂接合部材15が溶接熱の影響で溶融したり、変形することを抑制できる。その結果、ハウジング1の密閉性が向上し、ハウジング1の外部から内部への湿気の侵入を好適に抑制できる。従って、ハウジング1の燃焼室11内に充填されたガス発生剤7を乾燥状態に維持することができ、ガス発生器100の性能安定化に資することができる。
更に、実施形態2に係る点火器組立体5Cによれば、上記のように開口溝18が、金属製カラー14における金属製筒状部141と樹脂接合部材15における樹脂製筒状部153との境界位置に配設されているため、開口溝18の外周側に配置される金属製筒状部141と、内周側に配置される樹脂製筒状部153を離間させた状態で配置される。これによれば、樹脂接合部材15における樹脂製筒状部153の下端側に設けられた係止部155を自由端とすることができる。これにより、樹脂製筒状部153の係止部155がその弾性によって撓み易くなり、樹脂接合部材15におけるコネクター挿入空間154にコネクターを挿入し易くなる。その結果、ガス発生器100の使い勝手を向上させることができる。なお、実施形態2に係るガス発生器100の製造方法については、準備工程において点火器組立体5の代わりに点火器組立体5Cを用意する以外は、図4で説明した手順を適用できる。
<実施形態3>
次に、実施形態3に係るガス発生器100について説明する。実施形態3に係るガス発生器100は、点火器組立体5Dが実施形態2に係る点火器組立体5Cと相違する。以下、実施形態3に係る点火器組立体5Dについて、上述までの実施形態との相違点を中心に説明する。
図13は、実施形態3に係るガス発生器100における点火器組立体5Dの詳細構造を示す縦断面図である。図13に示すように、実施形態3に係る点火器組立体5Dにおいても、開口溝18が、金属製カラー14における金属製筒状部141と樹脂接合部材15における樹脂製筒状部153との境界位置に配設されている。また、実施形態3においては、樹脂接合部材15における樹脂製筒状部153の外周側を一部切り欠く態様で開口溝18が形成されている。また、点火器組立体5Dにおける開口溝18は、金属製カラー14における金属製筒状部141と樹脂接合部材15における樹脂製筒状部153との境界位置において、金属製筒状部141の周方向に沿って円環状に形成されている。本実施形態においても、実施形態2で説明したガス発生器100と同様の効果を奏する。また、実施形態3に係るガス発生器100の製造方法についても、準備工程において、点火器組立体5の代わりに点火器組立体5Dを用意する以外は、図4で説明した手順を適用できる。
以上、本願開示に係るガス発生器及びその製造方法の実施形態及び変形例について説明したが、本願開示に係るガス発生器及びその製造方法は上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、上述した各実施形態及び変形例は、可能な限り組み合わせることができる。例えば、上述した各実施形態及び変形例においては、単一の燃焼室(点火器組立体)を備えた所謂シングルタイプのガス発生器を例に説明したが、本願開示に係る技術は、2つの燃焼室(点火器組立体)を備えた所謂デュアルタイプのガス発生器及びその製造方法に適用することも可能である。
また、上述した各実施形態及び変形例においては、ガス発生器100のハウジング1と共にその収容空間を画定する点火器組立体5に熱伝導抑制部を設ける例を説明したが、これには限られない。ガス発生器100のハウジング1と共にその収容空間を画定する封止用部品であって、ハウジング1に溶接された金属部材、及び、ハウジング1の収容空間を封止するように金属部材と一体に形成された樹脂部材を含む封止用部品であれば、点火器
組立体5以外の部材に本願開示に係る熱伝導抑制部を適用することができ、ハウジング1に対する金属部材の溶接時に溶接熱が樹脂部材に及ぶことを好適に抑制できる。
1・・・ハウジング
2・・・上部シェル
3・・・下部シェル
4・・・内筒カップ部材
5・・・点火器組立体
7・・・ガス発生剤
8・・・伝火薬
9・・・伝火室
11・・・燃焼室
13・・・点火器
14・・・金属製カラー
15・・・樹脂接合部材
17・・・溶接部
18・・・開口溝
100・・・ガス発生器
141・・・金属製筒状部
153・・・樹脂製筒状部
154・・・コネクター挿入空間
155・・・係止部

Claims (12)

  1. 金属製のハウジングと、
    前記ハウジング内の収容空間に収容されたガス発生源と、
    前記ハウジングと共に前記収容空間を画定する封止用部品であって、前記ハウジングに溶接された金属部材、及び、前記収容空間を封止するように前記金属部材と一体に形成された樹脂部材、を含む封止用部品と、
    を備え、
    前記封止用部品は、前記金属部材と前記ハウジングとが溶接された溶接部と前記樹脂部材との間に介在し、前記金属部材よりも熱伝導率が低い熱伝導抑制部を有する、
    ガス発生器。
  2. 前記封止用部品は、
    点火薬が収容された着火部と、前記点火薬を着火するための着火電流が供給される導電部と、を含み、前記導電部を介して供給された着火電流により前記点火薬を燃焼し、その燃焼生成物を前記着火部の開裂面から放出するように構成された点火器を、
    更に有し、
    前記金属部材は、前記点火器を保持する金属製カラーとして形成されており、
    前記樹脂部材は、前記着火部の開裂面を前記収容空間の内側に露出させると共に前記導電部を当該収容空間の外側に露出させた状態で前記収容空間を封止するように、前記点火器と前記金属製カラーとを一体に接合している、
    請求項1に記載のガス発生器。
  3. 前記熱伝導抑制部は、前記溶接部と前記樹脂部材との間に空気層を介在させる中空部として形成されている、
    請求項1又は2に記載のガス発生器。
  4. 前記金属部材は、前記ハウジングに形成されたハウジング開口部の縁部に沿って配置された金属製筒状部を含み、
    前記金属製筒状部は、軸方向一端側に位置する環状端面の少なくとも一部が外部に露出するように前記ハウジングの内部に受け入れられると共に、前記金属製筒状部における環状端面側の外周部が前記ハウジング開口部の縁部と全周に亘って環状に溶接された前記溶
    接部を形成しており、
    前記樹脂部材は、前記金属製筒状部の内周側に沿って延在する筒状の樹脂製筒状部を有し、
    前記中空部は、前記金属製筒状部の環状端面側に開口し、前記樹脂製筒状部の外周を囲むように前記金属製筒状部の軸方向に沿って延在すると共に内部に空気層が形成された開口溝である、
    請求項3に記載のガス発生器。
  5. 前記開口溝は、前記金属製筒状部の全周に亘って延在している、請求項4に記載のガス発生器。
  6. 前記開口溝は、前記金属製筒状部の周方向に沿って不連続に複数配置されており、且つ、環状に形成された前記溶接部における溶接開始位置と溶接終了位置との間に形成される溶接重複領域の内側領域に、少なくとも形成されている、
    請求項4に記載のガス発生器。
  7. 前記開口溝の深さは前記溶接部における溶け込み深さ以上の寸法を有している、請求項4から6の何れか一項に記載のガス発生器。
  8. 前記封止用部品は、
    点火薬が収容された着火部と、前記点火薬を着火するための着火電流が供給される導電部と、を含み、前記導電部を介して供給された着火電流により前記点火薬を燃焼し、その燃焼生成物を前記着火部の開裂面から放出するように構成された点火器を、
    更に含み、
    前記金属部材は、前記点火器を保持する金属製カラーとして形成されており、
    前記樹脂部材は、前記着火部の開裂面を前記収容空間の内側に露出させると共に前記導電部を当該収容空間の外側に露出させた状態で前記収容空間を封止するように、前記点火器と前記金属製カラーとを一体に接合しており、
    前記樹脂製筒状部の内周面は、前記導電部に接続されるコネクターを挿入可能なコネクター挿入空間の側面を形成すると共に、前記コネクターに設けられた係合部を係止する係止部を有し、
    前記開口溝は、少なくとも前記係止部に対応する深さまで、前記金属製筒状部の軸方向に沿って延在している、
    請求項4から7の何れか一項に記載のガス発生器。
  9. 金属製のハウジングと、前記ハウジング内の収容空間に収容されたガス発生源と、前記ハウジングと共に前記収容空間を画定する封止用部品であって、前記ハウジングに溶接された金属部材及び前記収容空間を封止するように前記金属部材と一体に形成された樹脂部材を含む封止用部品と、を備えるガス発生器の製造方法であって、
    前記金属部材を溶接すべき溶接箇所を含み且つ前記ハウジングの一部を構成するハウジング部品又は当該ハウジング部品を有する前記ハウジングと、前記封止用部品と、を用意する準備工程と、
    前記ハウジング部品における前記溶接箇所と前記樹脂部材との間に前記金属部材よりも熱伝導率が低い熱伝導抑制部を介在させた状態で、前記溶接箇所に前記金属部材を溶接する溶接工程と、
    を有する、
    ガス発生器の製造方法。
  10. 前記封止用部品は、
    点火薬が収容された着火部と、前記点火薬を着火するための着火電流が供給される導電
    部と、を含み、前記導電部を介して供給された着火電流により前記点火薬を燃焼し、その燃焼生成物を前記着火部の開裂面から放出するように構成された点火器を、含み、
    前記金属部材は、前記点火器を保持する金属製カラーとして形成されており、
    前記樹脂部材は、前記着火部の開裂面を前記収容空間の内側に露出させると共に前記導電部を当該収容空間の外側に露出させた状態で前記収容空間を封止するように、前記点火器と前記金属製カラーとを一体に接合している、
    請求項9に記載のガス発生器の製造方法。
  11. 前記熱伝導抑制部は、前記溶接箇所と前記樹脂部材との間に空気層を介在させる中空部として形成されている、
    請求項9又は10に記載のガス発生器の製造方法。
  12. 前記金属部材は、前記ハウジング部品に形成されたハウジング開口部の縁部に沿って配置される金属製筒状部を含み、
    前記樹脂部材は、前記金属製筒状部の内周側に沿って延在する筒状の樹脂製筒状部を有し、
    前記中空部は、前記金属製筒状部の軸方向一端側に位置する環状端面側に開口し、前記樹脂製筒状部の外周を囲むように前記金属製筒状部の軸方向に沿って延在すると共に内部に空気層が形成された開口溝であり、
    ガス発生器の製造方法は、
    前記溶接工程において、前記金属製筒状部の前記環状端面の少なくとも一部が前記ハウジング部品に形成されたハウジング開口部から外部に露出するように前記金属部材を前記ハウジング部品の内側に配置した状態で、前記金属製筒状部における環状端面側の外周部と前記ハウジング開口部の縁部とを全周に亘って環状に溶接する、
    請求項11に記載のガス発生器の製造方法。
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