以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、冷蔵庫1は、前面が開口した矩形箱状の本体2内に、冷蔵温度帯の冷蔵室3や野菜室4、冷凍温度帯の製氷室5、小冷凍室6および大冷凍室7等、前面に開口している複数の貯蔵室を備えている。冷蔵室3は、いわゆるフレンチ式の左扉3aおよび右扉3bによって開閉されるものであり、左扉3aおよび右扉3bには透明な樹脂で形成されたドアポケット8がそれぞれ複数設けられている。
これら左扉3aおよび右扉3bは、各扉に設けられている図示しない静電センサに触れることにより、本体2の上面側に設けられている開扉装置9が動作して開放される。また、野菜室4、製氷室5、小冷凍室6および大冷凍室7は、それぞれ引き出し式の扉4a、扉5a、扉6aおよび扉7aによって開閉される。各扉によって開閉される各貯蔵室の前面の開口、前面開口に相当する。なお、冷蔵庫1の構成は一例であり、貯蔵室の数や配置、および、後述するにおいセンサ11の数や配置はこれに限定されない。
冷蔵室3内には、棚板3cが複数配置されており、最下段側にはチルド室3dが設けられている。この冷蔵室3の背面は、背面ダクトカバー10によって形成されており、本実施形態では、背面ダクトカバー10の左端側の図示しないダクトの近傍に、においセンサ11が設けられている。
この冷蔵庫1は、図2に示すように、制御部12によって制御されている。制御部12は、半導体メモリ等で構成されている記憶部13に記憶しているプログラムを実行し、温度センサ14、湿度センサ15で検出した貯蔵室の温湿度に基づいて、ファン16や図示しない冷凍サイクルを運転することにより、各貯蔵室を冷却する。また、制御部12は、各扉の開閉状態を検出する開閉センサ17、例えば左扉3aに設けられている操作パネル18、冷凍サイクルを構成するエバポレータ等の冷却機19等にも接続されている。
また、制御部12は、詳細については後述するが、冷蔵庫1の運転状態を取得する取得部12aを備えているとともに、においセンサ11で検出したにおいの吸着パターン(Pa)と記憶部13に記憶されている判定用吸着パターン(Pb)とを比較して食材の種類や状態を判定する判定部としても機能する。
ここで、においセンサ11の詳細について説明する。においセンサ11は、図3に示すように、基材20に複数のセンサ素子21が実装された構成となっている。各センサ素子21は、それぞれセンサ本体部22の表面に、におい物質を吸着する物質吸着膜23が設けられている。なお、においセンサ11は、物質吸着膜23を振動させる励振電極を備える構成とすることもできる。
基材20は、例えば、シリコン基板、水晶結晶からなる基板、プリント配線基板、セラミック基板、樹脂基板などで構成することができる。物質吸着膜23は、例えば、π電子共役高分子からなる薄膜である。π電子共役高分子膜は、ドーパントとして無機酸、有機酸、イオン性液体のうち少なくとも1種類を含むものとすることができる。
センサ本体部22は、物質吸着膜23の表面に吸着した物質による物理的、化学的、または、電気的特性の変化を測定することにより、物質吸着膜23に対する物質の吸着状況を測定する。つまり、センサ本体部22は、においの吸着状況を電気信号として変換するいわゆるトランスデューサとして機能する。
これら物理的、化学的、または電気的な特性を示す要素としては、例えば、水晶振動子センサ、表面弾性波センサ、電界効果トランジスタセンサ、電荷結合素子センサ、MOS電界効果トランジスタセンサ、金属酸化物半導体センサ、有機導電性ポリマーセンサ、電気化学的センサなどが考えられる。ただし、センサ本体部22を構成する要素は、これらのセンサ類に限定されるものではなく、例えば測定対象にしたい物質の種類などに応じて種々の要素を適宜用いることができる。
また、センサ本体部22は、測定対象となる物質の種類等に応じて異なる構造を採用することができる。例えば、センサ本体部22は、水晶振動子を用いる場合には通常の電極を両面に設けた構造とすることができるし、振動の状態を示す値いわゆるQ値を高くとることが可能な片面電極のみを分離電極とした構造とすること等ができる。
物質吸着膜23として用いられるπ電子共役高分子は、例えば、ポリピロールおよびその誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリアセチレンおよびその誘導体、ポリアズレンおよびその誘導体など、いわゆるπ電子共役高分子を骨格とする高分子を用いることができる。通常、このようなπ電子共役高分子は、酸化状態で骨格高分子自体がカチオンとなり、ドーパントとしてアニオンを含むことによって導電性を発現する。ただし、物質吸着膜23はこれらの高分子に限られるものではなく、例えば測定対象にしたい物質の種類などに応じて適宜選択することが可能であり、例えばドーパントを含まない中性のπ電子共役高分子を用いた構成とすることもできる。
このとき、ドーパントを含み、導電性を有するπ電子共役高分子を用いる場合には、ドーパントとして様々な物質を用いることが可能である。使用可能なドーパントとしては、例えば、塩素イオン、塩素酸化物イオン、臭素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、ホウ酸イオンなどの無機イオン、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、カルボン酸などの有機酸アニオン、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸などの高分子酸アニオンなどが考えられる。
また、上述したような直接的なアニオンの結合体の他に、中性のπ電子共役高分子に、例えば食塩などのような塩、イオン性液体のような陽イオンおよび陰イオンの両方を含むイオン性化合物を共存させることで、化学平衡的にドーピングを行うこともできる。使用可能なイオン性液体としては、例えば、陽イオンではピリジン系、脂環族アミン系、脂肪族アミン系のイオン性液体などが考えられる。
また、これに組み合わせる陰イオンの種類を選択することにより、多様な構造を合成することができる。陽イオンとしては、例えば、イミダゾリウム塩類、ピリジニウム塩類などのアンモニウム系イオン、ホスホニウム系イオン、無機系イオンなどが考えられる。また、陰イオンとしては、例えば、臭化物イオン、トリフラートなどのハロゲン系イオン、テトラフェニルボレートなどのホウ素系イオン、ヘキサフルオロホスフェートなどのリン系イオンなどが考えられる。
π電子共役高分子に含むドーパントの含有量は、例えばドーパントを形成する繰り返し単位2つあたり1分子のドーパントが入る状態を1とすると、0.01~5の範囲、好ましくは、0.1~2の範囲に調整することが望ましい。これは、ドーパントの含有量がこの範囲の最低値以下であると膜の特性が消失し、含有量が最大値以上であると高分子自体の吸着特性の効果が消失し、望ましい吸着特性を有する膜を形成することが困難となるためである。また、低分子量物質であるドーパントが優勢な膜となってしまい、膜の耐久性が大幅に低下してしまうおそれがあることから、ドーパントの含有量を上記した範囲内に調整することにより、におい物質の検出感度を好適に維持することが可能になる。
また、物質吸着膜23の厚さは、吸着対象となる物質の特性に応じて適宜選択することができる。具体的には、物質吸着膜23の厚さは、例えば、10nm~10μmの範囲に調整するとよく、より好ましくは、50nm~800μmの範囲に調整するとよい。これは、膜厚が10nm以下になると十分な検出感度を得ることができず、また、膜厚が10μm以上になるとセンサ素子21により測定することができる重量の上限を超えてしまうためである。
また、物質吸着膜23は、例えば、溶媒原液を種々の溶媒により希釈した後、これにドーパント成分を溶解させることにより膜液を調整し、これを、例えばマイクロディスペンサなどによりセンサ素子21の表面に滴下することにより形成することができる。ただし、物質吸着膜23の製造方法は、これに限られるものではなく、種々の方法により製造することができる。
このようなセンサ素子21によれば、物質吸着膜23に吸着されるにおい物質の種類に応じてセンサ本体部22の振動が異なるようになる。そのため、においセンサ11は、このセンサ本体部22の振動の変化に基づき、物質吸着膜23に吸着されているにおい物質の種類を特定することが可能となっている。
そして、においセンサ11は、センサ素子21が基材20上にアレイ状に複数設けられている。そのため、各センサ素子21の表面に設けられている物質吸着膜23の構成を異ならせることにより、様々な特性を有するにおい物質を吸着することが可能になる。この場合、物質吸着膜23の構成を調整することにより、1つのセンサ素子21によって1種類のにおい物質を検出可能に構成することもできるし、1つのセンサ素子21によって複数種類のにおい物質を検出可能に構成することもできる。
また、1つのにおいセンサ11に搭載するセンサ素子21の組み合わせ、換言すれば、物質吸着膜23の組み合わせは、例えば測定対象にしたいにおい物質の種類などに応じて適宜変更することが可能である。つまり、1つのにおいセンサ11において、検出対象となるにおいの種類を増やすことができる。
さて、このような構成のにおいセンサ11では、におい物質が有する特性、例えば、におい物質の分子構造などによって、物質吸着膜23に対する吸着パターンが異なることになる。そのため、物質吸着膜23に吸着されるにおい物質の種類に応じて、異なる吸着パターン(Pa)が得られることになる。換言すると、においセンサ11は、複数のセンサ素子21つまりは複数の物質吸着膜23に対するにおい物質の吸着パターンの相違に基づいて、そのにおい物質の種類を特定することが可能になる。
例えば、本実施形態のにおいセンサ11の場合、例えば図4に示すように、野菜A、野菜B、果実A、果実B、牛乳、食肉A、食肉B、腐敗あるいは熟成等、冷蔵庫1に収納される食材およびその貯蔵状態に応じて異なる吸着パターン(Pa)となるようにセンサ素子21が構成されている。なお、図4に示す各種の吸着パターン(Pa)は一例であり、その数やパターンはこれに限定されない。例えば複数のにおいセンサ11を設け、それぞれのセンサ素子21を異なる構成とすれば、さらに多くの食材に対応することができる。
そして、記憶部13には、図5に示すように、食材の種類とその食材に対応するにおいの詳細な吸着パターン(Pb1、Pb2等。以下、Pbxと称する)とが、吸着パターン(Pb。図2参照)として記憶されている。具体的には、吸着パターン(Pb)には、野菜や食肉あるいは果実等の食材の種類、熟成や腐敗等の食材の状態に応じて想定される各種の吸着パターン(Pbx)が予めデータベース化されている。このとき、例えば野菜であればキャベツ、白菜、ニンジン等、食肉であれば牛肉、豚肉のようにさらに細分化された吸着パターン(Pbx)が登録されている。
次に、上記した冷蔵庫1の作用について説明する。
冷蔵庫1に貯蔵されている食材の品質管理を行うための1つの手法として、気体分子を検出するセンサを搭載することが考えられる。しかし、冷蔵庫1には様々な食材が貯蔵されることから、発生するにおいも様々であると考えられる。そのため、単ににおいを検出するだけでは、においを発生させている食材の種類や貯蔵状態を判断することが困難である。
また、冷蔵庫1は、貯蔵室が所定の温度範囲で冷却されるように制御されることから、例えばファンを駆動したり扉が開閉されたりする等、その運転状態が必ずしも一定なものではない。そのため、品質管理を行うためには、比較可能な条件でにおいを検出することが重要になる。
そこで、本実施形態では、複数種類の検出パターンでにおいを検出するにおいセンサ11を用い、そのにおいセンサ11にてにおいを検出する条件ここではにおいを検出するタイミングを制御している。以下、説明の簡略化のために、冷蔵庫1を主体として、においを検出する代表的な条件を3つの態様に分けて説明する。ただし、これらの態様は、互いに矛盾しない範囲で組み合わせたりステップを省略したり拡張したりすることができる。
<第1の態様:温度、湿度に応じてにおいを検出>
第1の態様では、主として温度と湿度に応じてにおいを検出する態様について説明する。冷蔵庫1は、図6に示すように、においの検出に適した温度であるかを判定する(S1)。つまり、冷蔵庫1は、冷蔵庫1の運転状態として貯蔵室の庫内状態を取得するものであって、ここでは温度センサ14にて検出した貯蔵室の温度を貯蔵室の庫内状態として取得し、取得した庫内状態に応じてにおいを検出する。
この場合、冷蔵庫1は、温度センサ14の測定値が所定の温度規定値、例えば-4℃よりも高い庫内状態にあるとき、においを検出する構成とすることができる。また、冷蔵庫1は、温度センサ14の測定値が所定の温度規定値よりも低い庫内状態にあるとき、においを検出する構成とすることができる。勿論、温度規定値よりも高いい場合および低い場合の双方において、においを検出する構成とすることもできる。
また、冷蔵庫1は、検出に適した湿度であるかを判定する(S2)。つまり、冷蔵庫1は、冷蔵庫1の運転状態として貯蔵室の庫内状態を取得するものであって、ここでは湿度センサ15にて検出した貯蔵室の湿度を貯蔵室の庫内状態として取得し、取得した庫内状態に応じてにおいを検出する。この場合、冷蔵庫1は、湿度センサ15の測定値が所定の湿度規定値よりも高い庫内状態にあるとき、においを検出する構成とすることができる。
また、冷蔵庫1は、湿度センサ15の測定値が所定の湿度規定値よりも低い庫内状態にあるとき、においを検出する構成とすることができる。勿論、湿度規定値よりも高い場合および低い場合の双方において、においを検出する構成とすることもできる。
そして、冷蔵庫1は、検出に適した温度である場合(S1:YES)、または、検出に適した湿度である場合(S2:YES)、においセンサ11を起動して(S3)、においを検出する(S4)。そして、冷蔵庫1は、においの検出結果つまりはにおい物質が付着した態様をパターン化した吸着パターン(Pa)を取得し(S5)、判定要求着パターン(Pb)と比較することにより(S7)、においを評価する(S8)。においの評価は、例えば熟成して食べ頃になっている、腐敗している可能性があるといった項目が考えられる。
においを評価すると、冷蔵庫1は、評価結果をユーザに提示する(S9)。この場合、冷蔵庫1は、操作パネル18に例えば液晶ディスプレイが設けられていれば「食べ頃」といった文字を表示したり、庫内情報を示す例えば「腐敗ランプ」が設けられていればそれを点灯させたりすることにより、食材の状態をユーザに提示する。つまり、操作パネル18は、ユーザに食材の状態を提示する提示部として機能する。なお、これらの提示態様は一例であり、ユーザが認識できる態様であれば、例えば通信部を設けてユーザの携帯端末に通知する等の構成とすることもできる。なお、図6に示す処理は、適宜繰り返されている。
このように、冷蔵庫1は、冷蔵庫1の運転状態、つまり本態様では貯蔵室の庫内状態特には温度と湿度との状態に応じてにおいを検出している。そして、本態様によれば、次のような効果を得ることができる。
においセンサ11によるにおい物質の検出精度は、においセンサ11に対する外部環境によって変動すると考えられる。この場合、本実施形態のようににおいセンサ11を冷蔵庫1に設けた場合には、外部環境は冷蔵庫1の運転状態によって変動すると考えられる。そのため、冷蔵庫1は運転状態を取得し、その運転状態に応じてにおいを検出する。
このように冷蔵庫1の運転状態とにおいを検出するタイミングとを連動させることにより、最適なタイミングでにおいを検出することが可能になる。また、においの検出に最適な運転状態に冷蔵庫1を制御することも可能になる。したがって、においの検出精度を高めることができ、においを検出することにより貯蔵されている食材の種類や状態を判断することができる。
また、同じ条件で検出した検出結果であれば、経時的な変化を判断する基準にすることが可能になる。そのため、食材をある程度の期間貯蔵する冷蔵庫1において、食材の品質の変化を判断できるようになり、食材の品質管理をより好適に行うことができる。
また、冷蔵庫1は、貯蔵室の庫内状態を、主として温度および湿度が予め設定された範囲となるように制御している。そのため、貯蔵室の庫内状態として温度を検出し、温度に応じてにおいを検出することにより、つまりは、においセンサ11と温度センサ14とを連係させてにおいを検出することにより、冷蔵庫1においてにおいの検出に適したタイミングでにおいを検出することが可能となり、検出精度を向上させることができる。
また、冷蔵庫1は、温度センサ14の測定値が所定の温度規定値よりも高い庫内状態にある場合、においを検出する。温度が高い場合、気体に含まれる分子は、活発に運動してにおいセンサ11から脱離しやすくなる。そのため、庫内の温度が温度基準値よりも高い場合には、においセンサ11の検出面に付着する水分子が少なくなり、疎水性の分子が相対的に付着しやすくなる。これにより、疎水性の分子の検出精度を向上させることができる。また分子が脱離しやすいため、この条件において連続的ににおいを検出すれば、においの変化を正確に検出することができる。
具体的には、冷蔵室3の下段ににおいセンサ11と温度センサ14とを配置するようにすれば、例えば扉が開放されてリンゴが庫内に収納された場合、扉の開放によって外気が流入し、また、常温の食材が収納されたことで庫内の温度が上昇することになる。そして、温度の上昇が温度センサ14で検出され、それに連動してにおいの検出が行うことができる。この場合、温度が上昇したことによりにおいセンサ11の検出面の水分子が脱離し、安息香酸エチルやベンジルアルコール類のような疎水性物質が吸着しやすくなり、それらのにおい分子の検出精度が向上する。また、検出後に温度が高い状態になることにより吸着したにおい物質の脱離が促され、次回の検出時のノイズとなることが抑制できる。この場合、温度を上昇させるためにヒーターをにおいセンサ11の近傍に配置する構成とすることもできる。
一方、温度が低い場合、分子の運動は停滞してにおいセンサ11から脱離しにくくなる。そのためにおいセンサ11の検出面には水分子が多くなり、相対的に親水性の分子の検出精度を向上させることができる。また分子が脱離しにくいため、検出時間を比較的長くすることが可能になり、検出ノイズを抑制してより正確な検出結果を得ることができる。
具体的には、冷蔵室3の下段ににおいセンサ11と温度センサ14を配置し、例えばリンゴが庫内に収納されたのち、冷蔵庫1の運転制御により庫内温度が通常よりも低下したことを温度センサ14で検出し、それと連携してにおいを検出する。温度が低下したことにより検出面の水分子が増え、アンモニアのような親水性物質が吸着しやすくなり、それらのにおい物質の検出精度が向上する。また、分子は検出面への吸着と脱離とを繰り返すため、短い時間の検出では検出結果の振れ幅が大きくなるが、温度が低下すると脱離が抑制されて検出面上の分子の交換が安定化する。そのため、検出面の吸着状態に変化がない状態で長時間に渡って検出することが可能となり、におい物質の濃度などの検出精度を向上させることができる。
また、同じ温度で検出したにおいを比較することにより食材の貯蔵状態の変化を判断すること等が可能となり、食材の品質管理を行う上で有用なデータを得ることができる。これらにより、各種のにおいをより詳細に検出することができる。
また、冷蔵庫1は、貯蔵室の庫内状態として貯蔵室の湿度を検出し、検出した湿度に応じてにおいセンサ11によりにおいを検出する。つまり、冷蔵庫1は、においセンサ11と湿度センサ15とを連係させてにおいを検出するタイミングを調整する。これにより、例えば同じ条件でにおいを検出することが可能となり、食材を管理する上で有用なデータを得ることができるとともに、においの検出精度を向上させることができる。また、同じ湿度で検出したにおいを比較することにより食材の貯蔵状態の変化を判断すること等が可能となり、食材の品質管理を行う上で有用なデータを得ることができる。
また、湿度が高い場合、空気中には水分子が多くなることから、においセンサ11の検出面の多くが水分子で覆われると考えられる。そのため、湿度が湿度基準値より高い条件でにおいを検出することにより、疎水性の分子の検出が抑制されて親水性の分子の検出精度を相対的に向上させることができる。
具体的には、野菜室4の上部ににおいセンサ11と湿度センサ15を配置し、リンゴが庫内に収納されたのち、冷蔵庫1の運転制御、例えば除霜運転により庫内湿度が通常よりも上昇したことを湿度センサ15が検知したとき、それと連動してにおいを検出する。湿度が上昇したことにより、空気中に水分子が増え、それに応じてにおいセンサ11の検出面に付着する水分子が増えることになる。そのため、例えばアンモニアのような親水性物質が吸着しやすくなり、それらのにおい分子の検出精度が向上する。
一方、湿度が低い場合、空気中には水分子が少なくなり、においセンサ11の検出面に付着する水分子も少なくなると考えられる。そのため、湿度が湿度基準値より低い条件でにおいを検出することにより、親水性分子の検出を抑制して疎水性の分子の検出精度を向上させることができる。これらにより、各種のにおいをより詳細に検出することができる。
具体的には、野菜室4の上部ににおいセンサ11と湿度センサ15を配置し、リンゴが庫内に収納されると、扉が開放されたことで外気が庫内に流入し、庫内湿度が通常よりも低下すると想定される。そして、湿度基準値よりも低くなったことを湿度センサ15が検出したとき、それと連動してにおいを検出する。湿度が低下したことにより、空気中の水分子が減り、それに応じて検出面の水分子が減ることから、安息香酸エチルやベンジルアルコール類のような疎水性物質が吸着しやすくなり、それらのにおい分子の検出精度が向上する。
<第2の態様:扉の開閉状態に応じてにおいを検出>
第2の態様では、主として扉の開閉状態に応じてにおいを検出する態様について説明する。なお、本態様ではにおいセンサ11が冷蔵室3に設けていることから冷蔵室3の左扉3aおよび右扉3bの開閉状態に応じてにおいを検出する例を説明するが、においセンサ11を他の貯蔵室にも設けた構成であれば、対応する貯蔵室の扉の開閉状態に応じてにおいを検出することができる。
冷蔵庫1は、通常では扉が閉鎖されて庫内が密閉された状態になっているが、ユーザが例えば食材を出し入れするときなどに冷蔵庫1を使用する際には、扉が開放状態となる。そして、扉が開放されれば、貯蔵室内の空気が換気され、通常では検出できないにおい、つまりは、冷蔵庫1の外部のにおいを検出することができる。
そこで、冷蔵庫1は、図7に示すように、においの検出に適した開閉状態であるかを判定する(T1)。つまり、冷蔵庫1は、運転状態としてユーザによる冷蔵庫1の使用状態を取得し、冷蔵庫1の使用状態として扉の開閉状態を取得するものであって、扉の開閉状態に応じてにおいを検出する。具体的には、冷蔵庫1は、扉が開放状態にある場合、および、扉が閉鎖状態にある場合のそれぞれにおいを検出する。ただし、扉が開放状態にある場合または扉が閉鎖状態にある場合のいずれかでにおいを検出する構成とすることもできる。
そして、冷蔵庫1は、検出に適した開閉状態である場合には(T1:YES)、第1の態様と同様に、においセンサ11を起動し(T2)、においを検出し(T3)、検出パターン(Pa)を取得して(T4)、判定用吸着パターン(Pb)と比較し(T5)、においを評価して(T6)、その評価結果をユーザに提示する(T7)。なお、図7に示す処理は、適宜繰り返されている。
このように、本態様では、冷蔵庫1は、ユーザによる使用状態を把握し、適切な時ににおいの検出を行うことで、においの検出精度を向上させている。具体的には、冷蔵庫1には開閉センサ17が設けられており、扉の開閉状態を検出することができる。そのため、扉の開閉状態とにおいセンサ11によるにおいの検出とを連携させることにより、扉が開放状態にあるときには通常では検出できないにおいを検出できるようになるとともに、扉が閉鎖状態にあるときには密閉された状態でのにおい、つまりは、庫内の通常のにおいを検出することができる。
具体的には、冷蔵庫1は、扉が開放状態にあるとき、においを検出することができる。例えば扉部分ににおいセンサ11を設置した場合、ユーザが扉を開放するとにおいセンサ11と外気が接触して、キッチンのような冷蔵庫1が設置されている場所のにおいを検出する。これにより、例えば調理中の料理の種類を推定することができるとともに、例えばプロパンガスや高濃度二酸化炭素等、通常では無い物質のにおいを検出してユーザに注意を促すこと等が可能になる。
あるいは、野菜室4の扉部分ににおいセンサ11を設置した場合、ユーザが例えばダイコンを収納するときは野菜室4を開き、ダイコンを手に持って扉の上方を通過して収納すると考えられる。このタイミングでにおいを検出することで、手に持ったダイコン単体のにおい例えばイソチオシアネート類が検出され、ダイコンが収納されたこと、つまりは、貯蔵状態が変化したことを把握できる。
あるいは、チルド室3dの扉部分ににおいセンサ11を設置し、ユーザが魚をチルド室3dから取り出すときに扉を開き、魚を手にもち扉の下方を通過して取り出す際ににおいを検出することで、手に持った魚単体のにおい例えばアミン類が検出され、魚が取り出されたことを把握することができる。このように、においセンサ11を扉付近に設ければ、ユーザによって出し入れされる食材のにおいを検出することが可能となり、1つの食材のにおいに限定して検出することができる。
また、ユーザによって冷蔵庫1のドアが閉められた場合には、冷蔵庫1内の食材の貯蔵状態が変化したと考えられるため、扉を閉鎖したときのにおいを検出することにより、貯蔵状態が変化した瞬間のにおいを検出することができる。そして、その時点でのにおいを基準にすることにより、時間の経過に伴って食材の貯蔵状態が変化することにより生じるにおいを特定でき、食材の品質管理を好適に行うことができるとともに、においデータの判別の精度を向上させることができる。
具体的には、冷蔵室3の下段ににおいセンサ11を設置し、ユーザがキャベツを入れて扉を閉鎖した際ににおいを検出することで、例えば例えばイソチオシアネート類が検出されればキャベツが入れられたことを把握できる。同様に、食材が取り出された瞬間のにおいを検出することにより、取り出された食材を把握すなわちすなわちすることができる。このとき、食材が入れられた日時を記録しておくことにより、ユーザへの賞味期限や消費期限の提示や残り期間の推定精度を向上させることもできる。
<第3の態様:冷却状態に応じてにおいを検出>
第3の態様では、主として冷却状態に応じてにおいを検出する態様について説明する。
冷蔵庫1は予め設定されたプログラムに従って冷却状態を制御している。その制御には、冷気を循環させるファン16や冷凍サイクルを構成する冷却機19等が用いられている。そして、例えばファン16が駆動されていれば貯蔵室内に空気の流れが発生する一方、ファン16が駆動されていなければ貯蔵室内には空気の流れが発生しない。このため、においセンサ11によりにおいを検出する際の庫内の状況は、冷却状態に応じて変化すると考えられる。また、冷蔵庫1の冷却状態によって、貯蔵室内の温度が変化すると考えられる。
そこで、冷蔵庫1は、図8に示すように、においの検出に適したファン16の駆動状態である(U1)、においの検出に適した冷却機19の運転状態であるか(U2)、および、においの検出に適した温度推移状態であるか(U3)を判定する。
そして、冷蔵庫1は、においの検出に適したファン16の駆動状態である場合(U1:YES)、においの検出に適した冷却機19の運転状態である場合(U2:YES)、および、においの検出に適した温度推移状態である場合(U3:YES)には、第1の態様と同様に、においセンサ11を起動し(U4)、においを検出し(U5)、検出パターン(Pa)を取得して(U6)、判定用吸着パターン(Pb)と比較し(U7)、においを評価して(U8)、その評価結果をユーザに提示する(U9)。なお、図8に示す処理は、適宜繰り返されている。
このように、本態様では、冷蔵庫1は、冷蔵庫1の冷却状態に応じてにおいの検出を行うことにより、つまりは、貯蔵室の冷却状態と、においセンサによるにおいの検出とを連係させることにより、最適な冷却状態でのにおいの検出と、経時的な変化を比較可能とする同じ条件でのにおいの検出とを両立させている。
具体的には、冷蔵庫1は、運転状態として貯蔵室の冷却状態を取得し、冷却状態を把握するためにファン16の駆動状態を取得し、ファンの駆動状態に応じてにおいを検出する。上記した構成のにおいセンサ11は、検出精度が空気の流れに影響されるため、ファン16の駆動状他に応じて適切なタイミングで検出を行うことにより、空気の流れの影響を抑制してにおい物質を正確に検出することが可能となり、においの検出精度を向上させることができる。一方、検出した後にファンを作動させることにより、検出面をリフレッシュすることができ、次回の検出を好適に行うことができる。
また、冷蔵庫1は、ファン16の動作中ににおいを検出することができる。ファン16の動作中には、検出面に接触している分子が空気の流れによって積極的に入れ替わると考えられる。そのため、ファン16の動作中ににおいを検出することにより、つまりは、分子の交換が積極的に行われている状態でにおいを検出することにより、空気中に僅かに含まれる分子が偶々検出面に接触して大部分の空気の状態とは異なる検出結果が得られるおそれを抑制することができる。
具体的には、冷蔵庫1は、冷蔵室3の上段奥のダクト手前ににおいセンサ11を設置し、ファン16の動作中つまりは庫内に空気の流れが発生しているときに、例えばリンゴのにおいを検出する。このとき、ファン16の動作中ににおいの検出を連続で複数回行うことにより、空気の流れによって検出面のリフレッシュが常に起きているため、におい物質が残留していない状態で連続して検出を行うことができる。そして、検出面の吸着状態が変化しない範囲の比較的短時間で複数回の検出を行うことにより、1回の検出時に発生する検出ノイズの影響を少なくして検出精度を向上させることができる。また、空気の流れ手によって検出面からの水分子の脱離が促され、安息香酸エチルやベンジルアルコール類のような疎水性物質が吸着しやすくなり、それらのにおい分子の検出精度が向上する。
また、冷蔵庫1は、ファン16の停止中ににおいを検出することができる。ファン16によって気体が攪拌されると、においセンサ11の検出状態が不安定になるおそれがあるが、ファン16が作動していない状態でにおいを検出する、あるいは、においを検出する際にはファン16を停止させることで、安定した状態でにおいを検出することができる。この場合、ファン16をある程度の期間回転させて分子が交換した後にファン16を停止してにおいを検出することで、検出精度をさらに向上させることができる。
具体的には、冷蔵庫1は、冷蔵室3の上段奥のダクト手前ににおいセンサ11を設置し、ファン16の停止中つまりは庫内に空気の流れが生じていない無風状態のときに、例えばリンゴのにおいを検出する。空気の流れがあると、検出面への分子の着脱が激しく、一回の検出結果が安定しないことが想定される。そのため、ファン16の停止中ににおいを検出することで、安定した検出結果を得ることができる。空気の流れが無いことによって検出面の水分子が増え、アンモニアのような親水性物質が吸着しやすくなり、それらのにおい物質の検出精度を向上させることができる。
また、冷蔵庫1は、冷却機19の動作中ににおいを検出することができる。冷蔵庫1には冷却機19が設けられており、それにより空気を冷却している。このとき、冷却機19は動作時に水分が付着して霜となることから、局所的に湿度が低下する。そして、冷却機19の動作中に温度と湿度が下がると、分子の動きが抑制され、においセンサ11の検出に付着する水分子が少なくなる。そのため、水分子による検出への影響を抑制した状態でにおいを検出することができ、安定した検出結果を得ることができる。
具体的には、冷蔵庫1は、冷蔵室3の下段奥ににおいセンサ11を設置し、冷却機19の動作中にタマネギのにおいを検出する。冷却機19の動作中には冷却機19本体の温度が下がることによって庫内の温度が低下する。それと同時に、冷却機19に霜が付着するため庫内空気の湿度が下がり、空気中の水分子が減少する。そして、温度が低くなることにより分子の動きが抑制されるため、検出結果が安定するようになるとともに、検出面の吸着状態が変化しないまま比較的長い時間検出することができる。また温度が低いことにより検知面の水分子が離れにくくなり、例えばチオプロパナールS-オキシドのような
親水性のにおい分子の検出効率が向上するものの、においを検出する前にファン16を駆動させて検出面から水分子を除去しておくことにより、空気中には水分子が少ない状態であることから、疎水性の例えばバニリンのような分子を検出しやすくなる。
また、冷蔵庫1は、冷却機19の停止中ににおいを検出することができる。冷却機19の停止中には温度と湿度が徐々に上昇し、分子が活発に動くとともに、空気中の水分子も増加する。空気中に特定のにおい物質が多量に含まれている場合、においセンサ11の検出面がにおい物質で飽和してしまうおそれがあるものの、冷却機19の停止中ににおいを検出すれば、分子の脱離が活発になることから、検出面が特定のにおい物質により飽和することを抑制できる。また、検出面に水分子が増えることから、例えば少量の親水性のにおい物質をも検出することができる。
具体的には、冷蔵庫1は、冷蔵室3の下段奥ににおいセンサ11を設置し、冷却機19の停止中にグレープのにおいを検出する。冷却機19の停止中は冷却機19に冷媒が供給されないため、冷却機19の温度が上昇し、それに伴って貯蔵室の温度も上昇する。このとき、付着していた霜が溶けるため、空気中に水分子が増えることになる。そして、温度が高くなったことにより検出面に付着した分子は活発に運動し、連続的な検出が可能になる。また、湿度が高いことにより検知面に水が多くなり、例えばエチルアセテートのような親水性気体分子の検出がしやすくなる。
このように冷却機19の冷却状態と連携させてにおいを検出することにより、検出精度を向上させることができる。この場合、冷却機19の運転が終了した直後ににおいを検出することで、上記したように水分子の影響を排除した状態で検出することもできる。なお、冷却機19として振動の発生源となり得るコンプレッサの駆動状態も含めることで、振動の影響を受け易いにおいセンサ11の検出精度を向上させることができる。
また、冷蔵庫1は、貯蔵室の温度が所定の上限値と下限値との間となるように冷却状態を制御する際の制御状態に応じてにおいを検出することができる。冷蔵庫1は予め設定された温度範囲があり、貯蔵室の温度がその範囲内、つまりは、上限値と下限値との間となるように制御されている。ただし、実際の冷蔵庫1では、例えば扉を開放した場合や調理した熱い食品を入れたときなと、その温度範囲を逸脱することも想定される。つまり、貯蔵室の温度は、冷蔵庫1の利用状態や運転状態等の変化を示す指標となる。そこで、制御状態とにおいの検出とを連係させることにより、様々な状態でのにおいを検出することができる。
この場合、冷蔵庫1は、貯蔵室の温度が所定の上限値よりも高い場合ににおいを検出することができる。貯蔵室の温度が上限値よりも高くなった場合、上記したように分子が活発化するため検出面での入れ替わりも活発になって様々なにおい物質を検出できるとともに、親水性分子をより検出しやすくなる。
具体的には、冷蔵庫1は、冷蔵室3の下段ににおいセンサ11と温度センサ14を配置する。加熱された料理が庫内に収納された場合、庫内の温度は顕著に上昇する。そのため、冷蔵庫1に設定されている通常の温度範囲の上限値よりも温度が高くなった場合ににおいを検出する。この場合、温度が通常以上に上昇したことにより検出面からの水分子の脱離がさらに促され、安息香酸エチルやベンジルアルコール類のような疎水性物質が吸着しやすくなり、それらのにおい分子の検出精度が顕著に向上する。また加熱された料理等はにおいの放出が比較的激しいと考えられることから、庫内に他の食材が貯蔵されていてもその料理のにおいをピンポイントで検出することが可能になる。またにおいを検出した後のまだ温度が高い状態でファン16を回転させる等のリフレッシュ操作を行うことで、吸着したにおい物質を効率的に脱離させる事ができる。
また、冷蔵庫1は、貯蔵室の温度が所定の上限値と下限値との範囲内にある場合ににおいを検出することができる。冷蔵庫1は一定の温度を維持するように制御しているため、貯蔵室の温度が所定の温度範囲内になるときに複数回においを検出すれば安定した検出結果を得ることができる。そのため、同一条件下での検出回数を増やすことができ、検出結果をより信頼性のあるものとすることができる。具体的には、冷蔵室3の下段ににおいセンサ11と温度センサ14を配置し、例えば牛乳を冷蔵庫1内に収納し、温度が一定の時ににおいの検出を行うことで、長期的に安定した検出結果であって貯蔵状態の判定に用いることができる同条件での検出結果を得ることができる。
以上説明したように、冷蔵庫1は、食材を貯蔵する貯蔵室を備え、においを検出するにおいセンサ11と、冷蔵庫1の運転状態を取得する取得部12aと、取得部12aで取得した運転状態に応じてにおいセンサ11によりにおいを検出する制御部12と、を備える。これにより、外部環境によって変動するおそれがあるにおいセンサ11にてにおい物質を検出する際、冷蔵庫1の運転状態と、においセンサ11による検出タイミングとを連動させることにより、においの検出に最適な状態でにおいを検出することができる。したがって、においを検出することにより貯蔵されている食材の種類や貯蔵状態を正しく判断することができる。
各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。