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JP7312947B2 - コンクリート組成物及びコンクリート構造体の製造方法 - Google Patents
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JP7312947B2 - コンクリート組成物及びコンクリート構造体の製造方法 - Google Patents

コンクリート組成物及びコンクリート構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、多葉状の繊維断面を有する補強繊維を含むコンクリート組成物及びコンクリート構造体の製造方法に関する。
普通ポルトランドセメントなどの各種セメントに細骨材(砂)、粗骨材(砂利)、混和剤を加えたコンクリート組成物は容易に高強度の構造体が得られるため、高層ビルといった各種高層建築物、橋脚の土台やダム構造物、トンネル内壁といった大型コンクリート構造物、コンクリート製枕木や消波ブロックといった小型コンクリート構造物まで幅広い分野で使用されている。これらの各種コンクリート構造物では、構造物の靱性向上、ひび割れの伝播抑制を目的として各種合成繊維や金属繊維で補強された繊維強化コンクリート(FRC:Fiber Reinforced Concrete)にして使用されていることが多くなっている。
例えば、特許文献1には、繊維径が4~15デニール、長さが3mm以上10mm以下の合成繊維を0.5~3vol%含む繊維補強セメント組成物が提案されている。特許文献2には、繊維径1000~9000デニールと、繊維長さ5~60mmをもつ波形ポリプロピレン短繊維を配合した繊維混入高流動性コンクリートが提案されている。特許文献3には、断面略四角形の対向する2面に繊維の長手方向に沿って付形した凹部と、該略四角形の突起部の先端側に繊維の長手方向に沿って付形した凹部とを備えており、繊度が3000~3500dtexの補強繊維を含む中流動コンクリートが提案されている。
特開2005-8486号公報 特開2001-192253号公報 特開2011-32129号公報 特許第5686889号公報 特開2018-203557号公報
一方、コンクリートの剥落やひび割れを防止するため、異形断面を有する繊維が好適に使用されている(特許文献4、特許文献5を参照)。これらの文献に記載されている異形断面繊維は、その断面形状に起因して、同じ繊度の丸断面繊維と比較して繊維表面の表面積が大きくなる。コンクリート組成物に添加する補強繊維の表面積が増加すると、水を添加した未硬化のコンクリート組成物(すなわち流動性を有するコンクリート組成物)において、補強繊維の表面と接触しているセメント粒子や各種骨材が増えるため、コンクリート組成物全体が拘束されるようになり、コンクリート組成物の流動性が低下しやすくなる。
特に、コンクリートの補強繊維として、異形断面を有する繊維であって、より単繊維繊度が小さい繊維(例えば4de未満)を用いた場合、補強繊維の表面積の増加が著しく、それに伴ってコンクリート組成物の流動性が低下し、作業性(ワーカビリティ)や型枠への充填性が低下しやすくなる。そして、この傾向は補強繊維の単繊維繊度が小さくなるほど顕著であった。
本発明は、上記問題を解決するため、単繊維繊度が小さく、多葉状の繊維断面を有する補強繊維を含み、かつ一定の流動性を有するコンクリート組成物及びコンクリート構造体の製造方法を提供する。
本発明は、セメント、水、細骨材、粗骨材、補強繊維、フライアッシュ、増粘剤、及び減水剤を含み、スランプ値が12cm以上30cm以下であり、前記補強繊維は、3つ以上の凸部を有する多葉状の断面形状を有し、単繊維繊度が0.5dtex以上4.2dtex以下であり、かつ繊維長が2mm以上20mm以下であり、前記補強繊維を0.3体積%以上2.0体積%以下含むコンクリート組成物に関する。
本発明は、また、前記のコンクリート組成物を硬化してコンクリート構造体を得るコンクリート構造体の製造方法に関する。
本発明によれば、単繊維繊度が小さく、多葉状の繊維断面を有する補強繊維を含み、かつ一定の流動性を有するコンクリート組成物を提供することができる。また、本発明の製造方法によれば、良好な初期圧縮強度を有するコンクリート構造体を得ることができる。
図1は、本発明で用いる一例の補強繊維の繊維断面の模式図である。 図2は、本発明で用いる一例の補強繊維の繊維断面の模式図である。 図3は、補強繊維の繊維断面における凸部の各寸法を説明する模式図である。
本発明者らは、前記課題を解決するため、鋭意検討した。その結果、単繊維繊度が小さく、多葉状の繊維断面を有する補強繊維を含むコンクリート組成物に、フライアッシュ、増粘剤及び減水剤を含ませることで、流動性を改善し得ることを見出した。具体的には、補強繊維として、3つ以上の凸部を有する多葉状の断面形状を有し、単繊維繊度が0.5dtex以上4.2dtex以下であり、かつ繊維長が2mm以上20mm以下である繊維を用いるとともに、コンクリート組成物にセメント、水、細骨材、粗骨材、補強繊維、フライアッシュ、増粘剤、及び減水剤を含ませ、補強繊維の含有量を0.3体積%以上2.0体積%以下にすることで、スランプ値が12cm以上30cm以下の中程度の流動性を有するコンクリート組成物が得られることを見出した。
セメントは、特に限定されず、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメントなど、各種セメントを使用することができる。
フライアッシュは、特に限定されず、セメントの混和材として用いられるものを適宜用いることができる。コンクリート組成物の混和材として使用するフライアッシュについては、JIS A 6201に規格が定められている。この規格では、強熱減量の値、45μmふるい残分などの違いから、コンクリート組成物の混和材として使用するのに好ましいフライアッシュが、フライアッシュI種からフライアッシIV種まで分類されている。JIS A 6201に定められているフライアッシュI種からフライアッシIV種であれば、コンクリートの流動性を改善するのに好ましく使用できる。より好ましいフライアッシュは、JIS A 6201に定められているフライアッシュI種やフライアッシII種である。
コンクリート組成物におけるフライアッシュの含有量は、特に限定されないが、コンクリート組成物の流動性を高める観点から、セメント100質量部に対して10質量部以上であることが好ましく、13質量部以上であることがより好ましい。また、前記フライアッシュの含有量は、特に限定されないが、コンクリート構造体の初期圧縮強度を高める観点から、セメント100質量部に対して40質量部以下であることが好ましく、35質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることがさらに好ましい。
増粘剤は、特に限定されず、セメント向けの増粘剤を適宜用いることができる。具体的には、セルロース誘導体系増粘剤、アクリル系増粘剤、多糖類系増粘剤等を好適に用いることができる。コンクリート組成物の流動性を向上させる観点から、多糖類系増粘剤であることが好ましく、天然多糖類系増粘剤であることがより好ましく、天然高分子多糖類系増粘剤であることがさらに好ましい。増粘剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
コンクリート組成物における増粘剤の含有量は、特に限定されないが、コンクリート組成物の流動性及びコンクリート構造体の初期圧縮強度を良好にする観点から、セメント100質量部に対して0.01質量部以上0.10質量部以下であることが好ましく、0.02質量部以上0.08質量部以下であることがより好ましい。
減水剤は、特に限定されず、例えば、高性能AE減水剤を用いることができる。高性能AE減水剤としては、例えば、ナフタリンスルホン酸塩系、ポリカルボン酸系、メラミンスルホン酸系、アミノスルホン酸系などが挙げられ、ポリカルボン酸系減水剤が好ましい。減水剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
コンクリート組成物における減水剤の含有量は、特に限定されないが、コンクリート組成物の流動性及びコンクリート構造体の初期圧縮強度を良好にする観点から、セメント100質量部に対して0.5質量部以上5質量部以下であることが好ましく、1.0質量部以上4.5質量部以下であることがより好ましく、1.5質量部以上4質量部以下であることがさらに好ましい。
骨材は、特に限定されず、例えば、珪砂、川砂、海砂、浜砂、砕石などが挙げられるほか、高炉スラグ、フェロニッケルスラグ、銅スラグ及び電気炉酸化スラグといった各種スラグなどを使用することができる。骨材の中からコンクリート組成物の用途に応じて骨材の粒子径を選択して、適宜細骨材又は粗骨材として使用することができる。細骨材又は粗骨材は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
コンクリート組成物における水の含有量は、施工性の観点から、コンクリート組成物1mあたりの水量である単位水量として250kg/m以上400kg/m以下であることが好ましく、260kg/m以上380kg/m以下であることがより好ましい。
補強繊維は、3つ以上の凸部を有する多葉状の断面形状を有する。凸部の数は、3個以上16個以下であることが好ましく、より好ましくは3個以上8個以下であり、さらに好ましくは3個以上5個以下である。具体的には、多葉状としては、例えば、3個の凸部を有する三葉状、4個の凸部を有する四葉状、8個の凸部を有する八葉状などが挙げられる。補強繊維の断面形状が3つ以上の凸部を有する多葉状であることで、セメント材料と接触する表面積を増加できるとともに、セメント材料が入り込むスペースを確保できる。また、多葉状の断面形状は、凸部が繊維の中心付近から放射状に形成されていることが好ましい。凸部が放射状に形成されることで、セメント材料が隣り合う凸部間に入り込み易くなる。凸部が放射状に形成されている多葉状の断面形状としては、例えば、図1に示されている四葉状、図2に示されている八葉状などが挙げられる。なお、繊維断面には、繊維の長手方向に垂直な面となるように切断した繊維断面と、繊維の長手方向に平行な面になるように切断した繊維断面の二種類がある。本発明においては、特に記載がなければ繊維断面とは、当該繊維の長手方向に対し、垂直な面となるように切断した切断面(横断面)を指し、断面形状とは当該繊維の長手方向に対し、垂直な面となるように切断した切断面の形状を指す。
補強繊維は、繊維断面に存在する少なくとも一つの凸部において、先端部分が略曲線状であり、繊維の中心に向かう根元部分の幅が先端部分の最大幅に比べて小さくなっていることが好ましい。より好ましくは、繊維断面に存在する全ての凸部において、先端部分が略曲線状であり、繊維の中心に向かう根元部分の幅が先端部分の最大幅に比べて小さくなっている。かかる形状を有することにより、根元から変形し易く、セメント材料が隣り合う凸部間の凹部に入り込み易くなる。凸部の先端部分の最大幅は、図3に示しているように、凸部の2つの根元を結ぶ線の中点uから凸部の先端(頂点t)までを結ぶ線を引き、その線から凸部の外形に向けて垂線を引いたときの最大長さWtをいい、繊維断面における凸部の根元部分の幅は、図3に示しているように、凸部の2つの根元を結ぶ線の長さWbをいう。凸部において、先端部分の最大幅Wtと、根元部分の幅Wbとの比(Wt/Wb)は、好ましくは1.0以上5.0以下であり、より好ましくは1.1以上4.0以下であり、さらに好ましくは1.2以上3.0以下であり、特に好ましくは以上2.4以下であり、最も好ましくは1.4以上2.0以下である。Wt/Wbが上記範囲を満たすと、補強効果が高い傾向にある。凸部の先端部分の最大幅Wt及び凸部の根元部分の幅Wbは、繊維束の繊維断面を電子顕微鏡などで拡大して、任意の繊維10本の値を平均して求めることができる。
凸部における先端部分の最大幅Wtは、3μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以上15μm以下であり、さらに好ましくは6μm以上12μm以下である。上記範囲内にあると、隣り合う凸部間に形成される凹部にセメント粒子や粒子径の小さな骨材が入り込みやく、補強効果が高まる。
凸部における根元部分の幅Wbは、2μm以上15μm以下であることが好ましく、より好ましくは3.5μm以上10μm以下であり、さらに好ましくは4μm以上7.5μm以下である。凸部の根元部分の幅Wbが前記範囲内にあると、隣り合う凸部間に形成される凹部にセメント粒子や粒子径の小さい骨材が入り込みやすくなり、補強効果が高まる。また、根元部分の幅Wbが前記範囲内にあると、セメント、粗骨材、細骨材、補強繊維、水等を混合する際、混合により発生する剪断力によって、補強繊維の凸部のうち一部の凸部が、根元付近から剥離、フィブリル化、又は分離し易くなる傾向にある。
凸部の長さは、図3に示されているように、凸部の2つの根元を結ぶ線の中点uから凸部の先端(頂点t)までを結ぶ線の長さLをいう。凸部の長さLは、3μm以上30μm以下であることが好ましく、より好ましくは4μm以上20μm以下であり、さらにより好ましくは5μm以上18μm以下である。凸部の長さLが3μm以上であると、凸部が根元から変形しやすくなる。凸部の長さLが30μm以下であると、凸部間に形成された凹部でのセメント材料の結合ないし係止が良好になる。凸部の長さLは、繊維束の繊維断面を電子顕微鏡等で拡大して、任意の繊維10本の値を平均して求めることができる。
凸部の長さLと、凸部の根元部分の幅Wbとの比(L/Wb)は1.0以上4.0以下であることが好ましく、より好ましくは1.1以上3.0以下であり、さらに好ましくは1.2以上2.8以下であり、特に好ましくは1.2以上2.6以下である。L/Wbが前記範囲を満たすと、凸部が根元から変形しやすく、補強効果が高い傾向にある。
凸部は、繊維の長さ方向(繊維側面)に対して、連続、不連続のいずれであってもよいが、製造工程性を考慮すると、凸部は繊維側面において連続して存在していることが好ましい。
補強繊維の繊維断面において、凸部は、根元部分の一部が剥離するか、又は根元部分からフィブリル化していることが好ましい。このように根元部分が剥離又はフィブリル化すると、セメント材料との接触面積が増加し、セメント材料との結合性ないし係止性が高くなる傾向にある。
補強繊維は、単繊維繊度が0.5dtex以上4.2dtex以下であり、かつ繊維長が2mm以上20mm以下である。補強繊維は、単繊維繊度が0.8dtex以上4.0dtex以下であることが好ましく、1.0dtex以上3.9dtex以下であることがより好ましい。補強繊維は、繊維長が2mm以上18mm以下であることが好ましく、3mm以上15mm以下であることがより好ましく、3mm以上10mm以下であることが特に好ましい。単繊維繊度及び繊維長が前記範囲であると、セメント材料などのコンクリート組成物に含まれる材料とのなじみが良好になり、ひび割れ防止効果などの補強効果が向上する。
補強繊維を構成する熱可塑性樹脂は特に限定されず、繊維の製造において通常用いられている熱可塑性樹脂から、任意に選択してよい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン-1、ポリメチルペンテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体及びエチレン-アクリル酸メチル共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂;ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル樹脂;ナイロン6及びナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリオキシメチレン(ポリアセタール)樹脂;ポリケトン樹脂;ポリスチレン樹脂;ビニロン樹脂;ならびにアクリル系樹脂からなる群から、1又は複数の樹脂を選択して使用してよい。
耐熱性及び汎用性の観点から、補強繊維は、ポリオレフィン系樹脂を50質量%以上含む合成繊維であることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂を60質量%以上含む合成繊維であることがより好ましく、ポリオレフィン系樹脂を75質量%以上含む合成繊維であることがさらに好ましく、ポリオレフィン系樹脂を85質量%以上含む合成繊維であることがさらにより好ましく、実質的にポリオレフィン系樹脂からなることが特に好ましい。ポリオレフィン系樹脂は、耐アルカリ性の観点から、ポリプロピレン及びポリメチルペンテンからなる群から選ばれる一つ以上であることが好ましい。
補強繊維は、前記熱可塑性樹脂の2以上の成分からなる複合繊維であってよい。具体的には、同心芯鞘型複合繊維、偏心芯鞘型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維、分割型複合繊維及び海島型複合繊維のいずれであってもよい。例えば、芯鞘型複合繊維の場合、外形が多葉状であり、芯成分は円形又は異形のいずれであってもよい。芯成分が異形の場合、外形と略相似形であることが好ましい。2以上の成分としては、前述した熱可塑性樹脂を複数選択するとよいが、いずれの成分も、例えば鞘成分と芯成分のいずれも、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましく、ポリプロピレン及びポリメチルペンテンからなる群から選ばれる一つ以上であることがより好ましい。
ポリプロピレンとしては、特に限定されないが、立体規則性の点で高強度繊維が得られるということから、アイソタクチックペンタッド分率(IPF:モル%)が、好ましくは90%以上、より好ましくは93%以上、さらに好ましくは94%以上のポリプロピレン樹脂を用いることができる。なおIPFは、n-ヘプタン不溶分成分について「マクロモレキュラーズ」(Macromoleculer,Vol.6,925(1973)及びMacromoleculer,Vol.8,687(1975))に準じて測定するとよい。
ポリプロピレンとしては、特に限定されないが、Q値(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量の比、すなわちMw/Mn)が6未満であることが、高い延伸性を有するので、高強度の繊維が得られ、好ましい。より好ましいQ値は、5未満であり、さらに好ましくは4以下である。Q値の下限は特に限定されないが、Q値は2以上であることが好ましく、2.5以上であることがより好ましく、3以上であることが特に好ましい。なお、Q値は補強繊維を測定用の試料として、クロス分別装置(CFC)とフーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析(FT-IR)を用い、測定溶媒としてオルトジクロルベンゼン(ODCB)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)から数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwと併せて重量平均分子量/数平均分子量の比(Mw/Mn:Q値)として測定できる。
補強繊維は、繊維表面が親水化されていてもよい。これにより、セメント材料との親和性が良好になる。親水化処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、フッ素ガス処理(例えば、フッ素ガスと酸素ガスを含む混合ガスや、フッ素ガスと亜硫酸ガスを含む混合ガスを用いた処理が挙げられる。)、オゾン処理(例えば、オゾン水溶液による処理や、オゾンガス処理などが挙げられる。)、スルホン化処理(無水硫酸ガスを用いたスルホン化処理の他、発煙硫酸を用いたスルホン化処理、亜硫酸ガスを用いたスルホン化処理、熱濃硫酸を用いたスルホン化処理などが挙げられる。)などが挙げられるが、コロナ放電処理やプラズマ処理が好ましい。補強繊維表面への極性基の導入をコロナ放電処理にて実施する場合、処理の条件は特に限定されないが、コロナ放電処理における1回当たりの放電量を10W/m/分以上にすることが好ましく、総放電量を10W/m/分以上5000W/m/分以下とすることが好ましく、総放電量を12W/m/分以上4000W/m/分以下にすることがより好ましい。補強繊維表面への極性基の導入をプラズマ処理にて実施する場合、その処理条件は特に限定されないが、常圧プラズマ処理であることが好ましく、常圧プラズマ処理を、電圧20kV以上250kV以下、周波数500pps以上3000pps以下で処理すればよい。常圧プラズマ処理であると、低電圧で処理できるので、繊維の劣化が少なく都合がよい。
補強繊維は、熱可塑性樹脂に無機物粒子を混合する方法、熱可塑性樹脂に親水化剤等を混合する方法、熱可塑性樹脂に極性基を有する変性ポリオレフィンを混合する方法、繊維表面に界面活性剤等を付着する方法等により、セメント材料との親和性を向上させてもよい。
熱可塑性樹脂に混合される無機物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、及びカリウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素の酸化物、炭酸塩又は硫酸塩等が挙げられる。これらの無機物は、セメント材料との親和性を考慮すると、繊維表面に露出していることが好ましく、芯鞘型複合繊維の場合は、鞘成分を構成する熱可塑性樹脂に混合するとよい。無機物粒子の配合量は、鞘成分100質量%に対し、0.1質量%以上40質量%以下の範囲が好ましく、より好ましくは1質量%以上20質量%以下の範囲である。無機物粒子は、平均粒子径が0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。より好ましくは、0.2μm以上5μm以下であり、さらに好ましくは、0.3μm以上2μm以下である。無機物粒子の平均粒子径が0.1μm以上であると、繊維表面に凸部が形成されて、硬化体から繊維が抜けにくくなる効果をより顕著に得ることができる。無機物粒子の平均粒子径が10μm以下であると、繊維の紡糸工程で糸切れが発生することを抑制することができ、また、得られた繊維は、無機物粒子が繊維表面から脱落しにくい。無機物粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置(商品名:SALD-2000、島津製作所社製)で測定することができる。
親水化剤としては、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホン基などの親水基を有する化合物であればよく特に限定されないが、例えば、脂肪酸グリセライド(モノグリセリン脂肪酸エステル)、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルコキシ化アルキルフェノール、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、及び脂肪酸ジエタノールアミド等が挙げられる。親水化剤や極性基を有する変性ポリオレフィン等は、繊維強度を大きく阻害しない範囲で混合することができる。
上述した熱可塑性樹脂に無機物粒子、親水化剤、極性基を有する変性ポリオレフィン等を混合して複合繊維とする場合、複合繊維の鞘成分の熱可塑性樹脂に混合することが好ましく、芯成分/鞘成分の複合比は、2/8~9/1であることが好ましい。より好ましい複合比は、7/3~9/1である。この場合、芯成分の樹脂は、鞘成分と同じ種類の樹脂を用いると、繊維強度の低下が少なく、セメント材料との親和性が向上し、好ましい。
界面活性剤としては、親水性を向上させる目的で使用される通常のもので差し支えなく、例えば、オクチルアルキルホスフェート、デシルアルキルホスフェート、ラウリルアルキルホスフェート、トリデシルアルキルホスフェート、ミリスチルアルキルホスフェート、セチルアルキルホスフェート、ステアリルアルキルホスフェートなどのアルキルホスフェート及びこれらのナトリウム又はカリウム等の金属塩等のリン酸エステル系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩を用いてもよい。
補強繊維は、JIS L 1015に従って測定される単繊維強度が、3.3cN/dtex以上であることが好ましく、4.0cN/dtex以上であることがより好ましい。かかる範囲であると、コンクリート構造体の曲げ強度が向上する。また、セメント材料との攪拌時にファイバーボール(繊維塊)が形成されにくい。単繊維強度の上限は特に限定されないが、製造コストを低減する観点から、単繊維強度が10cN/dtex以下であることが好ましい。
補強繊維は、JIS L 1015に従って測定される単繊維伸度が10%以上60%以下であることが好ましく、15%以上50%以下であることがより好ましく、20%以上40%以下であることがさらに好ましい。かかる範囲であると、コンクリート構造体の衝撃強度が向上する。また、コンクリート構造体にクラックが発生しにくい。
補強繊維は、例えば、以下の手順で製造することができる。まず、前記熱可塑性樹脂を1種又は2種以上用いて、所定の形状になるような単一型又は複合型ノズルを用いて、樹脂が溶融する温度、例えば、ポリプロピレンであれば紡糸温度200℃以上350℃以下で溶融紡糸し、引取速度100m/min以上1500m/min以下で引き取り、紡糸フィラメントを得ることができる。また、上記において、必要に応じ、前記熱可塑性樹脂、好ましくは鞘成分となる熱可塑性樹脂に無機物粒子等を混合する。
次いで、紡糸フィラメントは、必要に応じて延伸される。延伸温度は熱可塑性樹脂の種類によって適宜設定される。例えば、熱可塑性樹脂がポリプロピレンである場合、延伸温度は80℃以上160℃以下、延伸倍率1.5倍以上8倍以下の条件で延伸することが好ましい。より好ましい延伸温度は、110℃以上155℃以下である。より好ましい延伸倍率は、3倍以上6倍以下である。延伸方法は、特に限定されず、高温の熱水などの高温の液体で加熱しながら延伸を行う湿式延伸、高温の気体中又は高温の金属ロールなどで加熱しながら延伸を行う乾式延伸、100℃以上の水蒸気を常圧若しくは加圧状態にして繊維を加熱しながら延伸を行う水蒸気延伸などの公知の方法で延伸処理を行うことができる。延伸工程は、1段階延伸、又は複数の段階に分けて行う、いわゆる多段延伸処理のいずれで行ってもよい。
得られた延伸フィラメントには、必要に応じて界面活性剤等の繊維処理剤を付与する。繊維処理剤の付与方法は、浸漬法、スプレー法、コーティング法のいずれでもよい。延伸後のフィラメントは、繊維処理剤を付与する前に、セメント材料との親和性をさらに高めるために、フッ素ガス処理、プラズマ放電処理及びコロナ放電処理から選ばれる少なくとも一つの親水化処理により親水化されていてもよい。繊維処理剤を付与した後、必要に応じて捲縮付与処理が施され、所定の繊維長に切断する。
補強繊維としては、例えば、ダイワボウポリテック株式会社製の「マーキュリー(登録商標)C」等のポリプロピレン単一繊維等を用いてもよい。
コンクリート組成物は、補強繊維を0.3体積%以上2.0体積%以下含み、0.4体積%以上1.5体積%以下含むことが好ましい。ここで、補強繊維の含有量は、コンクリート組成物において、補強繊維を除くその他の成分の合計体積を100体積%とした場合の体積%(vol%)である。補強繊維によるコンクリート構造体の微細ひび割れの促進しつつ、施工性も良好になる。
コンクリート組成物は、スランプ値が12cm以上30cm以下であり、好ましくは15cm以上28cm以下であり、より好ましくは17cm以上26cm以下であり、さらに好ましくは18.5cm以上25cm以下である。スランプ値が上述した範囲であると、中程度の流動性有することで、施工性が良好であるとともに、材料分離の発生も抑制される。コンクリート組成物のスランプ値は、JIS A 1101(2005)「コンクリートのスランプ試験方法」に準じて測定する。
コンクリート組成物は、特に限定されないが、スランプフロー値が25cm以上50cm以下であり、好ましくは26cm以上48cm以下であり、より好ましくは27cm以上45cm以下である。施工性が良好であるとともに、材料分離の発生も抑制される。コンクリート組成物のスランプフロー値は、JIS A 1150(2007)「コンクリートのスランプフロー試験方法」に準じて測定する。
コンクリート組成物の空気量は、特に限定されないが、コンクリート組成物が十分に水和反応することで得られるコンクリート構造体の耐荷重および美観の観点から、6.5%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましく、5.5%以下であることがさらに好ましい。コンクリート組成物の空気量の下限も特に限定されないが、コンクリート組成物の作業性(ワーカビリティ)の向上、氷点下以下の低温で発生しうる凍結融解に対する抵抗性を高めるという観点から、空気量が2%以上であることが好ましく、2.5%以上であることがより好ましい。コンクリート組成物の空気量は、JIS A 1128(2005)「フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法―空気室圧力方法」に準じて測定する。
コンクリート組成物において、水とセメントの質量比、いわゆる水セメント比(水/セメント(W/C)とも記す。)は、特に限定されないが、コンクリート組成物のワーカビリティや流動性、また、得られるコンクリート構造体の圧縮強度といった機械的強度の維持といった観点から、0.25以上0.65以下であってもよく、0.3以上0.5以下であってもよい。
コンクリート組成物において、水と結合材(セメント及びフライアッシュ。なお、フライアッシュと併用してシリカフュームを加える場合はシリカフュームも含む。)の質量比、いわゆる水/結合材比は特に限定されないが、コンクリート組成物のワーカビリティや流動性、また、得られるコンクリート構造体の材齢28日の圧縮強度及び長期材齢の圧縮強度の観点から、0.25以上0.6以下であってもよく、0.3以上0.55以下であってもよい。
コンクリート組成物は、セメント、水、細骨材、粗骨材、補強繊維、フライアッシュ、増粘剤、及び減水剤を撹拌することで得ることができる。撹拌は、例えば、パン型ミキサー、オムニミキサー等の撹拌機を用いて行うことができる。材料間の混和性を高めるとともに、補強繊維の分散性を高める観点から、まず、セメント、細骨材、フライアッシュ及び増粘剤を撹拌混合し、次いで、水及び減水剤を添加して撹拌混合し、次いで、粗骨材を添加して撹拌混合し、最後に補強繊維を添加して撹拌混合してもよい。
コンクリート組成物を硬化することでコンクリート構造体を得ることができる。具体的には、所定形状の型枠にコンクリート組成物を充填し、コンクリート組成物を打設した後は、コンクリート表面が乾燥しないよう十分に水分を与える。水分を与える方法としては公知の方法、例えば湛水養生、散水養生、湿布養生、湿砂養生、噴霧養生といった方法で水分を補給し、コンクリート表面に給水しながら養生することができる他、型枠から脱型した後、水中で養生する水中養生といった方法で養生できる。また、養生を行う環境は気温が5℃以上35℃以下の空気中で行うこともできるし、水中養生の場合は、水温を5℃以上35℃以下に調整した水中で養生することもできる。空気中で養生を行う場合、コンクリート組成物表面の乾燥を防ぐためできるだけ相対湿度が高い雰囲気下で養生する。養生期間は養生方法によって変化するが、前記養生方法で、コンクリートの表面が乾燥しないよう十分に水分を与え、コンクリートの表面を湿潤状態に保った状態で養生したのであれば、気温20~30℃、湿度95%以上の状態で28日以上養生すれば、十分に水和反応が進んだコンクリート構造体を得ることができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(材料)
セメント:普通ポルトランドセメント、宇部三菱セメント株式会社製
フライアッシュ:株式会社関電パワーテック製(JIS A 6201に準じたフライアッシュII種)
シリカフューム:宇部三菱セメント株式会社製
細骨材:川砂、大阪府淀川産、JIS A 1102(2014)「骨材のふるい分け試験方法」 6.4に準じた粗粒率2.85
粗骨材:砕石(東京都青梅産、JIS A 1102(2014)「骨材のふるい分け試験方法」 6.4に準じた粗粒率8.21)
減水剤:ポリカルボン酸系減水剤、フローリック株式会社製「VP900M」
増粘剤:天然高分子多糖類系増粘剤、CP Kelco社製「KELCO-VIS DG」
補強繊維1:ダイワボウポリテック株式会社製、マーキュリー(登録商標)C、ポリプロピレン(プロピレン単独重合体)からなる単一繊維、繊維断面は4つの凸部を有する4葉状、凸部の先端部分における最大幅Wtは7.0μm、根元部分の幅Wbは4.0μm、Wt/Wbは1.75、凸部の長さLは9.2μm、L/Wbは2.3、単繊維繊度1.3dtex、繊維長6mm、ポリオキシエチレンアルキルホスフェート油剤約2.0質量%付着
補強繊維2:ダイワボウポリテック株式会社製、マーキュリー(登録商標)C、ポリプロピレン(プロピレン単独重合体)からなる単一繊維、繊維断面は4つの凸部を有する4葉状、凸部の先端部分における最大幅Wtは7.0μm、根元部分の幅Wbは4.0μm、Wt/Wbは1.75、凸部の長さLは9.2μm、L/Wbは2.3、単繊維繊度1.3dtex、繊維長3mm、ポリオキシエチレンアルキルホスフェート油剤約2.0質量%付着
補強繊維3:ダイワボウポリテック株式会社製、マーキュリー(登録商標)C、ポリプロピレン(プロピレン単独重合体)からなる単一繊維、繊維断面は4つの凸部を有する4葉状、凸部の先端部分における最大幅Wtは12.2μm、根元部分の幅Wbは6.9μm、Wt/Wbは1.77、凸部の長さLは15.8μm、L/Wbは2.29、単繊維繊度3.8dtex、繊維長6mm、ポリオキシエチレンアルキルホスフェート油剤約2.0質量%付着
補強繊維4:ダイワボウポリテック株式会社製、マーキュリー(登録商標)C、ポリプロピレン(プロピレン単独重合体)からなる単一繊維、繊維断面は4つの凸部を有する4葉状、凸部の先端部分における最大幅Wtは24.3μm、根元部分の幅Wbは13.6μm、Wt/Wbは1.79、凸部の長さLは31.3μm、L/Wbは2.30、単繊維繊度15dtex、繊維長6mm、ポリオキシエチレンアルキルホスフェート油剤約2.0質量%付着
補強繊維5:ダイワボウポリテック株式会社製、PZ、ポリプロピレン(プロピレン単独重合体)からなる単一繊維、繊維断面は円形、単繊維繊度3.3dtex、繊維長5mm、ポリオキシエチレンアルキルホスフェート油剤約2.0質量%付着
(補強繊維の単繊維繊度)
JIS L 1015に準じて測定した。
(コンクリート組成物のスランプ値、スランプフロー値及び空気量)
コンクリート組成物を所定の組成になるよう練り混ぜた後、空気量をJIS A 1128(2005)「フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法―空気室圧力方法」に準じて測定した。測定には、株式会社マルイ製ワシントン型エアメータを使用した。また、所定の組成になるよう練り混ぜたコンクリート組成物について、スランプ値をJIS A 1101(2005)「コンクリートのスランプ試験方法」に準じて測定した。また、コンクリート組成物のスランプフロー値はJIS A 1150(2007)「コンクリートのスランプフロー試験方法」に準じて測定した。
(コンクリート組成物における材料分離)
コンクリート組成物における材料分離の発生(ブリーディング)の有無を目視で観察して判断した。
(コンクリート構造体の圧縮強度)
コンクリート組成物を円柱状の型枠(直径100mm、高さ200mm)に充填し、振動を与えて脱気した後、温度20℃、相対湿度50%にて1日養生した。その後、供試体
を脱型し、温度20℃の水中で27日間養生した後、JIS A 1108に準じて圧縮強度を測定した。
(実施例1~7)
容量10Lのオムニミキサーを用いて、まず、表1に示す配合量の細骨材(S)、セメント(C)、フライアッシュ(FA)及び増粘剤を約250rpmで45秒間撹拌した。次いで、表1に示す配合量の水及び減水剤を添加して250rpmでさらに60秒間撹拌した後、表1に示す配合量の粗骨材(G)を添加し250rpmでさらに60秒間撹拌した。次いで、表1に示す配合量(体積%)の補強繊維を添加して250rpmでさらに60秒間撹拌し、コンクリート組成物を得た。
なお、減水剤は予め水に添加した状態で用いた。補強繊維の配合量は、補強繊維を添加する前の混合物の体積を100vol%としたときの繊維の体積%(vol%)である。以下同様である。
(比較例1)
容量10Lのオムニミキサーを用いて、まず、表2に示す配合量の細骨材(S)及びセメント(C)を約250rpmで45秒間撹拌した。次いで、表2に示す配合量の水を添加して250rpmでさらに60秒間撹拌した後、表2に示す配合量の粗骨材(G)を添加し250rpmでさらに60秒間撹拌した。次いで、表2に示す配合量の補強繊維を添加して250rpmでさらに60秒間撹拌し、コンクリート組成物を得た。
(比較例2)
容量10Lのオムニミキサーを用いて、まず、表2に示す配合量の細骨材(S)及びセメント(C)を約250rpmで45秒間撹拌した。次いで、表2に示す配合量の水及び減水剤を添加して250rpmでさらに60秒間撹拌した後、表2に示す配合量の粗骨材(G)を添加し250rpmでさらに60秒間撹拌した。次いで、表2に示す配合量(体積%)の補強繊維を添加して250rpmでさらに60秒間撹拌し、コンクリート組成物を得た。
(比較例3)
容量10Lのオムニミキサーを用いて、まず、表2に示す配合量の細骨材(S)、セメント(C)及び増粘剤を約250rpmで45秒間撹拌した。次いで、表2に示す配合量の水及び減水剤を添加して250rpmでさらに60秒間撹拌した後、表2に示す配合量の粗骨材(G)を添加し250rpmでさらに60秒間撹拌した。次いで、表2に示す配合量(体積%)の補強繊維を添加して250rpmでさらに60秒間撹拌し、コンクリート組成物を得た。
(比較例4)
容量10Lのオムニミキサーを用いて、まず、表2に示す配合量の細骨材(S)、セメント(C)、シリカフューム(SF)及び増粘剤を約250rpmで45秒間撹拌した。次いで、表2に示す配合量の水及び減水剤を添加して250rpmでさらに60秒間撹拌した後、表2に示す配合量の粗骨材(G)を添加し250rpmでさらに60秒間撹拌した。次いで、表2に示す配合量(体積%)の補強繊維を添加して250rpmでさらに60秒間撹拌し、コンクリート組成物を得た。
(比較例5)
容量10Lのオムニミキサーを用いて、まず、表2に示す配合量の細骨材(S)、セメント(C)、フライアッシュ(FA)及び増粘剤を約250rpmで45秒間撹拌した。次いで、表2に示す配合量の水及び減水剤を添加して250rpmでさらに60秒間撹拌した後、表2に示す配合量の粗骨材(G)を添加し250rpmでさらに60秒間撹拌した。次いで、表2に示す配合量(体積%)の補強繊維を添加して250rpmでさらに60秒間撹拌し、コンクリート組成物を得た。
(参考例1~2)
容量10Lのオムニミキサーを用いて、まず、表2に示す配合量の細骨材(S)、セメント(C)及び増粘剤を約250rpmで45秒間撹拌した。次いで、表2に示す配合量の水及び減水剤を添加して250rpmでさらに60秒間撹拌した後、表2に示す配合量の粗骨材(G)を添加し250rpmでさらに60秒間撹拌した。次いで、表2に示す配合量(体積%)の補強繊維を添加して250rpmでさらに60秒間撹拌し、コンクリート組成物を得た。
表1から分かるように、実施例のコンクリート組成物は、一定の流動性を有し、材料分離も発生せず、作業性が良好であるとともに、該コンクリート組成物を硬化した構造体の初期圧縮強度も良好であった。
一方、表2から分かるように、フライアッシュ、減水剤及び増粘剤を含まない比較例1、フライアッシュ及び増粘剤を含まない比較例2、フライアッシュを含まない比較例3、及びフライアッシュを含まず、シリカヒュームを含む比較例4のコンクリート組成物は、スランプ値が12cm未満であり、流動性が悪いため、作業性が悪かった。また、比較例1及び2のコンクリート組成物では、材料分離も発生していたため、供試体が粗になり圧縮強度が低下した。フライアッシュ、減水剤及び増粘剤を含んでいるが、スランプ値が12cm未満である比較例5のコンクリート組成物は、流動性が悪いため、作業性が悪かった。
参考例2から分かるように、円形の繊維断面を有する繊維の場合、単繊維繊度が小さくても、コンクリート組成物の流動性が格段に低下することはなかった。これに対し、比較例3~4及び参考例1から分かるように、多葉状の繊維断面を有する繊維の場合、繊度が細いとコンクリート組成物の流動性が格段に低下する。単繊維繊度が小さい多葉状の繊維断面を有する繊維は、表面積が大きく、凹凸があることから、セメント材料が流れるのを阻害することや、凹凸部分に水を保持することで混錬水が見かけ上減少すること等に起因して流動性が格段に低下すると推測される。そこで、実施例では、混和剤としてフライアッシュを選択して用い、かつ減水剤及び増粘剤と併用することで、スランプ値を12cm以上になるように調整して、流動性を向上させた。
本発明のコンクリート組成物は、鉄道高架橋や道路橋における橋梁床版、トンネル内部を構成するトンネル覆工コンクリート等に好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. セメント、水、細骨材、粗骨材、補強繊維、フライアッシュ、増粘剤、及び減水剤を含み、
    スランプ値が12cm以上30cm以下であり、
    前記補強繊維は、3つ以上の凸部を有する多葉状の断面形状を有し、単繊維繊度が0.5dtex以上4.2dtex以下であり、かつ繊維長が2mm以上20mm以下であり、
    前記補強繊維を0.3体積%以上2.0体積%以下含む、コンクリート組成物。
  2. 前記フライアッシュの含有量は、前記セメント100質量部に対して10質量部以上40質量部以下である、請求項1に記載のコンクリート組成物。
  3. 前記水の含有量は、コンクリート組成物1mあたりの水量である単位水量として250kg/m以上400kg/m以下である、請求項1又は2に記載のコンクリート組成物。
  4. 前記補強繊維はポリオレフィン樹脂を50質量%以上含む合成繊維であり、
    前記合成繊維の繊維断面において、凸部の根元部分の一部が剥離するか、又は根元部分からフィブリル化している、請求項1~3のいずれか1項に記載のコンクリート組成物。
  5. 前記補強繊維の凸部の長さLが3μm以上50μm以下であり、
    凸部の先端部分における最大幅Wtと、根元部分の幅Wbとの比(Wt/Wb)が1.0以上5.0以下であり、
    凸部が、繊維の長さ方向に連続して存在している、請求項1~4のいずれか1項に記載のコンクリート組成物。
  6. 前記減水剤の含有量は、セメント100質量部に対して0.5質量部以上5質量部以下であり、
    前記増粘剤の含有量は、セメント100質量部に対して0.01質量部以上0.10質量部以下であり、
    空気量が6.0%以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のコンクリート組成物。
  7. 前記増粘剤が多糖類系の増粘剤である、請求項1~6のいずれか1項に記載のコンクリート組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載のコンクリート組成物を硬化してコンクリート構造体を得るコンクリート構造体の製造方法。
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