態様の説明
I.定義
本明細書の趣旨での「アクセプターヒトフレームワーク」は、下で定義するヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来する、軽鎖可変ドメイン (VL) フレームワークまたは重鎖可変ドメイン (VH) フレームワークのアミノ酸配列を含む、フレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに「由来する」アクセプターヒトフレームワークは、それらの同じアミノ酸配列を含んでもよいし、またはアミノ酸配列の変更を含んでいてもよい。いくつかの態様において、アミノ酸の変更の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下である。いくつかの態様において、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と、配列が同一である。
「アフィニティ」は、分子(例えば、抗体)の結合部位1個と、分子の結合パートナー(例えば、抗原)との間の、非共有結合的な相互作用の合計の強度のことをいう。別段示さない限り、本明細書で用いられる「結合アフィニティ」は、ある結合対のメンバー(例えば、抗体と抗原)の間の1:1相互作用を反映する、固有の結合アフィニティのことをいう。分子XのそのパートナーYに対するアフィニティは、一般的に、解離定数 (Kd) により表すことができる。アフィニティは、本明細書に記載のものを含む、当該技術分野において知られた通常の方法によって測定され得る。結合アフィニティを測定するための具体的な実例となるおよび例示的な態様については、下で述べる。
「アフィニティ成熟」抗体は、改変を備えていない親抗体と比較して、1つまたは複数の超可変領域 (hypervariable region: HVR) 中に抗体の抗原に対するアフィニティの改善をもたらす1つまたは複数の改変を伴う、抗体のことをいう。
用語「抗TGF-β1抗体」または「TGF-β1に結合する抗体」は、充分なアフィニティでTGF-β1と結合することのできる抗体であって、その結果その抗体がTGF-β1を標的化したときに診断剤および/または治療剤として有用であるような、抗体のことをいう。一態様において、「TGF-β1に結合する抗体」は、TGF-β1に特異的に結合する抗体である。一態様において、無関係な非TGF-β1タンパク質への抗TGF-β1抗体の結合の程度は、(例えば、放射免疫測定法 (radioimmunoassay: RIA) により)測定したとき、抗体のTGF-β1への結合の約10%未満である。特定の態様において、TGF-β1に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、または≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数 (Kd) を有する。特定の態様において、抗TGF-β1抗体は、異なる種からのTGF-β1間で保存されているTGF-β1のエピトープに結合する。
本明細書で用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、所望の抗原結合活性を示す限りは、これらに限定されるものではないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)および抗体断片を含む、種々の抗体構造を包含する。用語「抗体」はまた、免疫グロブリンの可変重鎖および/または可変軽鎖構造を含む任意の抗原結合分子を包含する。
「抗体断片」は、完全抗体が結合する抗原に結合する当該完全抗体の一部分を含む、当該完全抗体以外の分子のことをいう。抗体断片の例は、これらに限定されるものではないが、Fv、Fab、Fab'、Fab’-SH、F(ab')2;ダイアボディ;線状抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);および、抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」は、競合アッセイにおいてその参照抗体が自身の抗原へする結合を50%以上阻止する抗体のことをいい、また逆にいえば、参照抗体は、競合アッセイにおいて前述の抗体が自身の抗原へする結合を50%以上阻止する。例示的な競合アッセイが、本明細書で提供される。
用語「キメラ」抗体は、重鎖および/または軽鎖の一部分が特定の供給源または種に由来する一方で、重鎖および/または軽鎖の残りの部分が異なった供給源または種に由来する抗体のことをいう。
抗体の「クラス」は、抗体の重鎖に備わる定常ドメインまたは定常領域のタイプのことをいう。抗体には5つの主要なクラスがある:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMである。そして、このうちいくつかはさらにサブクラス(アイソタイプ)に分けられてもよい。例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2である。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインを、それぞれ、α、δ、ε、γ、およびμと呼ぶ。
本明細書でいう用語「細胞傷害剤」は、細胞の機能を阻害するまたは妨げる、および/または細胞の死または破壊の原因となる物質のことをいう。細胞傷害剤は、これらに限定されるものではないが、放射性同位体(例えば、211At、131I、125I、90Y、186Re、188Re、153Sm、212Bi、32P、212PbおよびLuの放射性同位体);化学療法剤または化学療法薬(例えば、メトトレキサート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド類(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン、または他のインターカレート剤);増殖阻害剤;核酸分解酵素などの酵素およびその断片;抗生物質;例えば、低分子毒素または細菌、真菌、植物、または動物起源の酵素的に活性な毒素(その断片および/または変異体を含む)などの、毒素;および、以下に開示される、種々の抗腫瘍剤または抗がん剤を含む。
「エフェクター機能」は、抗体のFc領域に起因する、抗体のアイソタイプによって異なる生物学的活性のことをいう。抗体のエフェクター機能の例には次のものが含まれる:C1q結合および補体依存性細胞傷害(complement dependent cytotoxicity:CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞介在性細胞傷害(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity: ADCC);貪食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御;および、B細胞活性化。
ある剤(例えば、薬学的製剤)の「有効量」は、所望の治療的または予防的結果を達成するために有効である、必要な用量におけるおよび必要な期間にわたっての、量のことをいう。
本明細書で用語「Fc領域」は、少なくとも定常領域の一部分を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために用いられる。この用語は、天然型配列のFc領域および変異体Fc領域を含む。一態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域はCys226から、またはPro230から、重鎖のカルボキシル末端まで延びる。ただし、Fc領域のC末端のリジン (Lys447) またはグリシン‐リジン(Gly446-Lys447)は、存在していてもしていなくてもよい。本明細書では別段特定しない限り、Fc領域または定常領域中のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD 1991 に記載の、EUナンバリングシステム(EUインデックスとも呼ばれる)にしたがう。
「フレームワーク」または「FR」は、超可変領域 (HVR) 残基以外の、可変ドメイン残基のことをいう。可変ドメインのFRは、通常4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、およびFR4からなる。それに応じて、HVRおよびFRの配列は、通常次の順序でVH(またはVL)に現れる:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。
用語「全長抗体」、「完全抗体」、および「全部抗体」は、本明細書では相互に交換可能に用いられ、天然型抗体構造に実質的に類似した構造を有する、または本明細書で定義するFc領域を含む重鎖を有する抗体のことをいう。
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養物」は、相互に交換可能に用いられ、外来核酸を導入された細胞(そのような細胞の子孫を含む)のことをいう。宿主細胞は「形質転換体」および「形質転換細胞」を含み、これには初代の形質転換細胞および継代数によらずその細胞に由来する子孫を含む。子孫は、親細胞と核酸の内容において完全に同一でなくてもよく、変異を含んでいてもよい。オリジナルの形質転換細胞がスクリーニングされたまたは選択された際に用いられたものと同じ機能または生物学的活性を有する変異体子孫も、本明細書では含まれる。
「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞によって産生された抗体またはヒト抗体レパートリーもしくは他のヒト抗体コード配列を用いる非ヒト供給源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を備える抗体である。このヒト抗体の定義は、非ヒトの抗原結合残基を含むヒト化抗体を、明確に除外するものである。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択群において最も共通して生じるアミノ酸残基を示すフレームワークである。通常、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。通常、配列のサブグループは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, NIH Publication 91-3242, Bethesda MD (1991), vols. 1-3におけるサブグループである。一態様において、VLについて、サブグループは上記のKabatらによるサブグループκIである。一態様において、VHについて、サブグループは上記のKabatらによるサブグループIIIである。
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVRからのアミノ酸残基およびヒトFRからのアミノ酸残基を含む、キメラ抗体のことをいう。ある態様では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、当該可変領域においては、すべてのもしくは実質的にすべてのHVR(例えばCDR)は非ヒト抗体のものに対応し、かつ、すべてのもしくは実質的にすべてのFRはヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含んでもよい。抗体(例えば、非ヒト抗体)の「ヒト化された形態」は、ヒト化を経た抗体のことをいう。
本明細書で用いられる用語「超可変領域」または「HVR」は、配列において超可変であり(「相補性決定領域」または「CDR」(complementarity determining region))、および/または構造的に定まったループ(「超可変ループ」)を形成し、および/または抗原接触残基(「抗原接触」)を含む、抗体の可変ドメインの各領域のことをいう。通常、抗体は6つのHVRを含む:VHに3つ(H1、H2、H3)、およびVLに3つ(L1、L2、L3)である。本明細書での例示的なHVRは、以下のものを含む:
(a) アミノ酸残基26-32 (L1)、50-52 (L2)、91-96 (L3)、26-32 (H1)、53-55 (H2)、および96-101 (H3)のところで生じる超可変ループ (Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987));
(b) アミノ酸残基24-34 (L1)、50-56 (L2)、89-97 (L3)、31-35b (H1)、50-65 (H2)、 および95-102 (H3)のところで生じるCDR (Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991));
(c) アミノ酸残基27c-36 (L1)、46-55 (L2)、89-96 (L3)、30-35b (H1)、47-58 (H2)、および93-101 (H3) のところで生じる抗原接触 (MacCallum et al. J. Mol. Biol. 262: 732-745 (1996));ならびに、
(d) HVRアミノ酸残基46-56 (L2)、47-56 (L2)、48-56 (L2)、49-56 (L2)、26-35 (H1)、26-35b (H1)、49-65 (H2)、93-102 (H3)、および94-102 (H3)を含む、(a)、(b)、および/または(c)の組合せ。
別段示さない限り、HVR残基および可変ドメイン中の他の残基(例えば、FR残基)は、本明細書では上記のKabatらにしたがって番号付けされる。
「イムノコンジュゲート」は、1つまたは複数の異種の分子にコンジュゲートされた抗体である(異種の分子は、これに限定されるものではないが、細胞傷害剤を含む)。
「個体」または「被験体」は哺乳動物である。哺乳動物は、これらに限定されるものではないが、飼育動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウマ)、霊長類(例えば、ヒト、およびサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、ならびに、げっ歯類(例えば、マウスおよびラット)を含む。特定の態様では、個体または被験体は、ヒトである。
「単離された」抗体は、そのもともとの環境の成分から分離されたものである。いくつかの態様において、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点分離法 (isoelectric focusing: IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフ(例えば、イオン交換または逆相HPLC)で測定して、95%または99%を超える純度まで精製される。抗体の純度の評価のための方法の総説として、例えば、Flatman et al., J. Chromatogr. B 848:79-87 (2007) を参照のこと。
「単離された」核酸は、そのもともとの環境の成分から分離された核酸分子のことをいう。単離された核酸は、その核酸分子を通常含む細胞の中に含まれた核酸分子を含むが、その核酸分子は染色体外に存在しているかまたは本来の染色体上の位置とは異なる染色体上の位置に存在している。
「抗TGF-β1抗体をコードする単離された核酸」は、抗体の重鎖および軽鎖(またはその断片)をコードする1つまたは複数の核酸分子のことをいい、1つのベクターまたは別々のベクターに乗っている核酸分子、および、宿主細胞中の1つまたは複数の位置に存在している核酸分子を含む。
本明細書でいう用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体のことをいう。すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、生じ得る変異抗体(例えば、自然に生じる変異を含む変異抗体、またはモノクローナル抗体調製物の製造中に発生する変異抗体。そのような変異体は通常若干量存在している。)を除いて、同一でありおよび/または同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。したがって、修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体の集団から得られるものである、という抗体の特徴を示し、何らかの特定の方法による抗体の製造を求めるものと解釈されるべきではない。例えば、本発明にしたがって用いられるモノクローナル抗体は、これらに限定されるものではないが、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部を含んだトランスジェニック動物を利用する方法を含む、様々な手法によって作成されてよく、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法および他の例示的な方法は、本明細書に記載されている。
「裸抗体」は、異種の部分(例えば、細胞傷害部分)または放射性標識にコンジュゲートされていない抗体のことをいう。裸抗体は、薬学的製剤中に存在していてもよい。
「天然型抗体」は、天然に生じる様々な構造を伴う免疫グロブリン分子のことをいう。例えば、天然型IgG抗体は、ジスルフィド結合している2つの同一の軽鎖と2つの同一の重鎖から構成される約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端に向かって、各重鎖は、可変重鎖ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域 (VH) を有し、それに3つの定常ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)が続く。同様に、N末端からC末端に向かって、各軽鎖は、可変軽鎖ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域 (VL) を有し、それに定常軽鎖 (CL) ドメインが続く。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる、2つのタイプの1つに帰属させられてよい。
用語「添付文書」は、治療用品の商用パッケージに通常含まれ、そのような治療用品の使用に関する、適応症、用法、用量、投与方法、併用療法、禁忌、および/または警告についての情報を含む使用説明書のことをいうために用いられる。
参照ポリペプチド配列に対する「パーセント (%) アミノ酸配列同一性」は、最大のパーセント配列同一性を得るように配列を整列させてかつ必要ならギャップを導入した後の、かつ、いかなる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとしたときの、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の、百分率比として定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決める目的のアラインメントは、当該技術分野における技術の範囲内にある種々の方法、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、Megalign (DNASTAR) ソフトウェア、またはGENETYX(登録商標)(株式会社ゼネティックス)などの、公に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用することにより達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列のアラインメントをとるための適切なパラメーターを決定することができる。
ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、ジェネンテック社の著作であり、そのソースコードは米国著作権庁 (U.S. Copyright Office, Wasington D.C., 20559) に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムは、ジェネンテック社 (Genentech, Inc., South San Francisco, California) から公に入手可能であるし、ソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN-2プログラムは、Digital UNIX V4.0Dを含むUNIXオペレーティングシステム上での使用のためにコンパイルされる。すべての配列比較パラメーターは、ALIGN-2プログラムによって設定され、変動しない。アミノ酸配列比較にALIGN-2が用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Aの、所与のアミノ酸配列Bへの、またはそれとの、またはそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、またはそれとの、またはそれに対する、ある%アミノ酸配列同一性を有するまたは含む所与のアミノ酸配列A、ということもできる)は、次のように計算される:分率X/Yの100倍。ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2によって、当該プログラムのAおよびBのアラインメントにおいて同一である一致としてスコアされたアミノ酸残基の数であり、YはB中のアミノ酸残基の全数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBへの%アミノ酸配列同一性は、BのAへの%アミノ酸配列同一性と等しくないことが、理解されるであろう。別段特に明示しない限り、本明細書で用いられるすべての%アミノ酸配列同一性値は、直前の段落で述べたとおりALIGN-2コンピュータプログラムを用いて得られるものである。
用語「薬学的製剤」は、その中に含まれた有効成分の生物学的活性が効果を発揮し得るような形態にある調製物であって、かつ製剤が投与される被験体に許容できない程度に毒性のある追加の要素を含んでいない、調製物のことをいう。
「薬学的に許容される担体」は、被験体に対して無毒な、薬学的製剤中の有効成分以外の成分のことをいう。薬学的に許容される担体は、これらに限定されるものではないが、緩衝液、賦形剤、安定化剤、または保存剤を含む。
「TGF-β1」という用語は、本明細書で使用される場合、それ以外のことが示されていない限り、哺乳動物、例えば霊長類(例えばヒト)ならびにげっ歯類(例えばマウスおよびラット)を含む任意の脊椎動物源由来の任意の天然TGF-β1を表す。この用語は、「全長」のプロセシングを受けていないTGF-β1および細胞内でのプロセシングにより生じる任意の形態のTGF-β1を包含する。この用語はまた、TGF-β1の天然に存在するバリアント、例えばスプライスバリアントまたは対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトTGF-β1プレプロタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号:1(NCBI RefSeq: NP_000651.3)に示され、例示的なヒトTGF-β1をコードする核酸配列は、配列番号:2(NCBI RefSeq: NM_000660.6)に示される。例示的なマウスTGF-β1プレプロタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号:3(NCBI RefSeq: NP_035707.1)に示され、例示的なマウスTGF-β1をコードする核酸配列は、配列番号:4(NCBI RefSeq: NM_011577.2)に示される。「TGF-β1」という用語は、潜在型TGF-β1および成熟TGF-β1の両方を包含する。
「潜在型TGF-β1」という用語は、本明細書で使用される場合、潜在型TGF-β1複合体(「細胞表面潜在型TGF-β1」、LLCもしくはSLC(以下参照))を形成するおよび/またはその受容体に結合することができない任意のTGF-β1を表す。形質転換成長因子β1(TGF-β1)はTGF-βのメンバーであり、これはTGF-βスーパーファミリーのメンバーである。TGF-βスーパーファミリーの他のメンバーと同様、TGF-βは、その潜在関連ペプチド(LAP)および潜在型TGF-β結合タンパク質(LTBP)と相互作用して潜在型大複合体(LLC)と呼ばれるより大きな複合体を形成するホモ二量体を形成する前駆体タンパク質として合成される。例示的な潜在型ヒトTGF-β1(TGF-βホモ二量体およびそのLAP)のアミノ酸配列は、配列番号:1のアミノ酸30~390である。例示的なマウス潜在型TGF-β1(TGF-βホモ二量体およびそのLAP)のアミノ酸配列は、配列番号:3のアミノ酸30~390である。
TGF-βホモ二量体およびそのLAPから形成される複合体は、潜在型小複合体(SLC)と呼ばれる。この潜在型複合体は、TGF-βを、その受容体に結合することができない不活性な形態で維持する。SLCは、さらなるタンパク質である潜在型TGF-β結合タンパク質(LTBP)に共有結合により連結され、潜在型大複合体(LLC)を形成し得る。LTBP-1、LTBP-2、LTBP-3、およびLTBP-4の4つの異なるLTBPアイソフォームが知られている。LTBP-1、LTBP-3、およびLTBP-4は、SLCに結合することが報告されている(例えば、Rifkin et al., J Biol Chem. 2005 Mar 4;280(9):7409-12を参照のこと)。SLCはまた、他のさらなるタンパク質、例えば反復優位糖タンパク質A(GARP)またはロイシンリッチ反復含有タンパク質33(LRRC33)にも共有結合により連結され得る。GARPおよびLRRCは、膜貫通ドメインを有し、細胞表面上のLAPに結合する(例えば、Wang et al., Mol Biol Cell. 2012 Mar;23(6):1129-39を参照のこと)。LLCに関して、LLCは、LTBPのN末端を通じて細胞外マトリクス(ECM)に共有結合により結合することが報告されている(例えば、Saharinen et al., Cytokine Growth Factor Rev. 1999 Jun;10(2):99-117.を参照のこと)。いくつかの態様において、細胞表面上のECMに結合した潜在型TGF-β1は、「細胞表面潜在型TGF-β1」と称される。
「活性TGF-β1」、「成熟TGF-β1」、または「活性成熟TGF-β1」という用語は、本明細書で使用される場合、潜在型TGF-β1複合体(LLCまたはSLC)を形成せずかつその受容体に結合することができる任意のTGF-β1ホモ二量体を表す。TGF-β1活性化プロセスは、ECMからのLLCの放出、その後の活性TGF-βをその受容体に放出するLAPのさらなるタンパク質分解を伴う。プラスミン(PLN)、プレカリクレイン(PLK)、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)2、MMP9、MMP13、MMP14、トロンビン、トリプターゼおよびカルパインを含む広範囲のプロテアーゼが、潜在型TGF-βを切断し、活性TGF-βを放出することが知られている。本発明との関係で、これらのプロテアーゼは、集合的に、「(潜在型)TGF-β切断プロテアーゼ」または「(潜在型)TGF-β1切断プロテアーゼ」と称され得る。プロテアーゼに加えて、トロンボスポンジン1(TSP-1)、ニューロピリン-1(Nrp1)、ADAMSTS1およびF-スポンジンが、潜在型TGF-βを活性化する。あるいは、機械的伸展により、インテグリンが、LAP内に存在するRGDモチーフへの結合によりTGF-βを活性化し、その潜在型複合体からの成熟TGF-βの放出を誘導し得る。
本明細書で用いられる「治療」(および、その文法上の派生語、例えば「治療する」、「治療すること」など)は、治療される個体の自然経過を改変することを企図した臨床的介入を意味し、予防のためにも、臨床的病態の経過の間にも実施され得る。治療の望ましい効果は、これらに限定されるものではないが、疾患の発生または再発の防止、症状の軽減、疾患による任意の直接的または間接的な病理的影響の減弱、転移の防止、疾患の進行速度の低減、疾患状態の回復または緩和、および寛解または改善された予後を含む。いくつかの態様において、本発明の抗体は、疾患の発症を遅らせる、または疾患の進行を遅くするために用いられる。
用語「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体を抗原へと結合させることに関与する、抗体の重鎖または軽鎖のドメインのことをいう。天然型抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれVHおよびVL)は、通常、各ドメインが4つの保存されたフレームワーク領域 (FR) および3つの超可変領域 (HVR) を含む、類似の構造を有する。(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007) 参照。)1つのVHまたはVLドメインで、抗原結合特異性を与えるに充分であろう。さらに、ある特定の抗原に結合する抗体は、当該抗原に結合する抗体からのVHまたはVLドメインを使ってそれぞれVLまたはVHドメインの相補的ライブラリをスクリーニングして、単離されてもよい。例えばPortolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993); Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991) 参照。
本明細書で用いられる用語「ベクター」は、それが連結されたもう1つの核酸を増やすことができる、核酸分子のことをいう。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、および、それが導入された宿主細胞のゲノム中に組み入れられるベクターを含む。あるベクターは、自身が動作的に連結された核酸の、発現をもたらすことができる。そのようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」とも称される。
II.組成物および方法
1つの局面において、本発明は、一部、抗TGF-β1抗体およびその使用に基づく。特定の態様において、TGF-β1に結合する抗体が提供される。本発明の抗体は、例えば、線維症、好ましくは心筋線維症、肺線維症、肝線維症、腎線維症、皮膚線維症、眼線維症、および骨髄線維症の診断または治療に有用である。本発明の抗体はまた、例えば、癌の診断または治療に有用である。いくつかの態様において、本発明の抗体は、免疫チェックポイント阻害剤、例えばCTLA-4、PD-1、PD-L1、PD-L2、CD160、CD57、CD244、LAG-3、CD272、KLRG1、CD26、CD39、CD73、CD305、TIGIT、TIM-3、またはVISTAの阻害剤と組み合わせて使用され得る。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、例えば、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、抗CD160抗体、抗CD57抗体、抗CD244抗体、抗LAG-3抗体、抗CD272抗体、抗KLRG1抗体、抗CD26抗体、抗CD39抗体、抗CD73抗体、抗CD305抗体、抗TIGIT抗体、抗TIM-3抗体、または抗VISTA抗体である。好ましくは、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体である。いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブまたはセミプリマブである。いくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブまたはデュルバルマブ、好ましくはアテゾリズマブである。いくつかの態様において、本発明の抗TGF-β抗体および免疫チェックポイント阻害剤を含む併用療法は、抗TGF-β抗体単独療法または免疫チェックポイント阻害剤単独療法と比較して、相加的または相乗的効果、例えば、相加的または相乗的抗腫瘍効果を有する。
A. 例示的な抗TGF-β1抗体
1つの局面において、本発明は、TGF-β1に結合する単離された抗体を提供する。特定の態様において、抗TGF-β1抗体は、潜在型TGF-β1に結合する。さらなる態様において、抗TGF-β1抗体は、潜在型TGF-β1の潜在関連タンパク質(LAP)領域に結合する。LAP領域の例は、ヒトTGF-β1プレプロタンパク質(配列番号:1)のアミノ酸30~278を含む。LAPは、上記のように、潜在型TGF-β1の一成分である。いくつかの態様において、抗TGF-β1抗体は、10-8 nM以下、10-9 nM以下、または10-10 nM以下の親和性または結合活性で潜在型TGF-β1に結合する。
1つの局面において、抗TGF-β1抗体は、LLCを形成する潜在型TGF-β1、および/またはGARPもしくはLRRC33と複合体を形成する潜在型TGF-β1に結合する。特定の態様において、抗TGF-β1抗体は、細胞表面上の細胞外マトリクス(ECM)に結合した潜在型TGF-β1である、細胞表面潜在型TGF-β1に結合する。別の局面において、抗TGF-β1抗体は、潜在型TGF-β1に結合し、ここで潜在型TGF-β1のLAP領域はLTBPに連結されておらず、潜在型小複合体(SLC)を形成している。特定の態様において、SLCは、可溶性形態で存在する。いくつかの態様において、抗TGF-β1抗体は、10-8 nM以下、10-9 nM以下、または10-10 nM以下の親和性または結合活性で潜在型TGF-β1(細胞表面潜在型TGF-β1、LLCまたはSLC)に結合する。
1つの局面において、抗TGF-β1抗体は、潜在型TGF-β1の活性化を阻害する。潜在型TGF-β1の「活性化」という用語は、本明細書で使用される場合、潜在型TGF-β1の一成分であるLAPから成熟TGF-β1が放出される任意のプロセスを表す。潜在型TGF-β1の活性化は、例えば、当技術分野で公知のまたは本明細書に記載される様々な技術を用いる成熟TGF-β1の測定および/または成熟TGF-β1活性の測定によって検出され得る。いくつかの態様において、抗TGF-β1抗体は、潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1の放出を阻害する。上記のように、成熟TGF-β1は、プロテアーゼ、インテグリンおよび他の非プロテアーゼ活性化因子等の活性化因子により潜在型TGF-β1から放出されることが報告されている。潜在型TGF-β1を活性化するプロテアーゼの非限定的な例は、プラスミン(PLN)、プレカリクレイン(PLK)、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)2およびMMP9を含む。いくつかの態様において、抗TGF-β1抗体は、潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1のプロテアーゼ媒介および/またはインテグリン媒介放出を阻害する。上記のように、プロテアーゼは、潜在型TGF-β1のLAP領域を切断し、成熟TGF-β1を放出させる。いくつかの態様において、PLNおよび/またはPLKによる切断部位は、LAPポリペプチドのアミノ酸56~59からなるフラグメント内に位置する。
1つの局面において、抗TGF-β1抗体は、潜在型TGF-β1のLAP部分のプロテアーゼ媒介切断を阻害することなく、潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1のプロテアーゼ媒介放出を阻害する。いくつかの態様において、抗TGF-β1抗体は、潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1のプロテアーゼ媒介放出を阻害し、抗TGF-β1抗体が潜在型TGF-β1のLAP領域に結合している間にプロテアーゼがLAP領域を切断できるようにする。いくつかの態様において、抗TGF-β1抗体は、潜在型TGF-β1に対する、特にPLNおよび/またはPLKによる切断部位に対するプロテアーゼのアクセスをブロックしない。他の態様において、抗TGF-β1抗体は、潜在型TGF-β1のLAP部分のプロテアーゼ切断部位、特にPLNおよび/またはPLKによる切断部位に結合しない。
いくつかの態様において、潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1のプロテアーゼ媒介放出を阻害する抗TGF-β1抗体は、(i)1つまたは複数のプロテアーゼにより媒介されるLAP領域の切断を阻害するが、(ii)他のプロテアーゼにより媒介されるLAP領域の切断を阻害しない抗体である。例えば、抗TGF-β1抗体は、(1-i)潜在型TGF-β1のLAP部分のMMP2および/またはMMP9媒介切断を阻害することにより成熟TGF-β1のMMP2および/またはMMP9媒介放出を阻害し、(1-ii)潜在型TGF-β1のLAP部分のPLNおよび/またはPLK媒介切断を阻害することなく成熟TGF-β1のPLNおよび/またはPLK媒介放出を阻害する。あるいは、抗TGF-β1抗体は、(2-i)潜在型TGF-β1のLAP部分のPLNおよび/またはPLK媒介切断を阻害することにより成熟TGF-β1のPLNおよび/またはPLK媒介放出を阻害し、(2-ii)潜在型TGF-β1のLAP部分のMMP2および/またはMMP9媒介切断を阻害することなく成熟TGF-β1のMMP2および/またはMMP9媒介放出を阻害する。あるいは、抗TGF-β1抗体は、(3-i)潜在型TGF-β1のLAP部分のPLNおよび/またはPLK媒介切断を阻害することなく成熟TGF-β1のPLNおよび/またはPLK媒介放出を阻害し、(3-ii)潜在型TGF-β1のLAP部分のMMP2および/またはMMP9媒介切断を阻害することなく成熟TGF-β1のMMP2および/またはMMP9媒介放出を阻害する。
いくつかの態様において、「潜在型TGF-β1の活性化を阻害する」抗体は、TGF-β1の活性化の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%もしくは40%またはそれ以上の減少をもたらす抗体を含む。他の態様において、「潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1のプロテアーゼ媒介放出を阻害する」抗体は、潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1のプロテアーゼ媒介放出の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%もしくは40%またはそれ以上の減少をもたらす抗体を含む。さらなる態様において、「潜在型TGF-β1のLAP領域のプロテアーゼ媒介切断を阻害することなく」潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1のプロテアーゼ媒介放出を阻害する抗体は、潜在型TGF-β1のLAP領域のプロテアーゼ媒介切断の50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下の減少をもたらす抗体を含む。
いくつかの態様において、抗TGF-β1抗体は、潜在型TGF-β1のLAP領域のプロテアーゼ媒介切断を阻害することなく、潜在型TGF-β1のLAP領域の構造を安定化する。本明細書で使用される場合、抗TGF-β1抗体がLAP領域の構造を「安定化」するとき、抗TGF-β1抗体によって結合されたLAP領域は、成熟TGF-β1を放出することができない特定の構造で維持された。さらなる態様において、抗TGF-β1抗体によって安定化される潜在型TGF-β1は、インテグリンによって活性化され得る。特定の態様において、抗TGF-β1抗体によって安定化されているLAP領域は、プロテアーゼによって切断されたものまたは切断されていないもののいずれかである。いくつかの態様において、抗TGF-β1抗体は、潜在型TGF-β1のLAP領域の構造を安定化し、抗TGF-β1抗体が潜在型TGF-β1のLAP領域に結合している間にプロテアーゼがLAP領域を切断することを可能にする。いくつかの態様において、抗TGF-β1抗体は、潜在型TGF-β1に対する、特にPLNおよび/またはPLKによる切断部位に対するプロテアーゼのアクセスをブロックすることなく、潜在型TGF-β1のLAP領域の構造を安定化する。他の態様において、抗TGF-β1抗体は、潜在型TGF-β1に対する、特にMMP2および/またはMMP9による切断部位に対するプロテアーゼのアクセスをブロックすることなく、潜在型TGF-β1のLAP領域の構造を安定化する。
1つの局面において、抗TGF-β1抗体は、成熟TGF-β1に結合しない。いくつかの態様において、抗TGF-β1抗体は、成熟TGF-β1よりも高い親和性または結合活性で潜在型TGF-β1に結合する。特定の態様において、本発明の抗体は、成熟TGF-β1に対するよりも少なくとも2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、400、1000、10000倍またはそれ以上高い親和性または結合活性で潜在型TGF-β1に結合する。
1つの局面において、抗TGF-β1抗体は、インテグリン媒介TGF-β1活性化、すなわち、潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1のインテグリン媒介放出を阻害しないまたは部分的に阻害する。いくつかの態様において、「インテグリン媒介TGF-β1活性化を阻害しないまたは部分的に阻害する」抗体は、インテグリン媒介TGF-β1活性化、すなわち、潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1のインテグリン媒介放出の50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下の減少をもたらす抗体を含む。
いくつかの態様において、本発明の抗TGF-β1抗体は:
潜在型TGF-β1に結合する;
SLCを形成する潜在型TGF-β1に結合する;
LLCを形成する潜在型TGF-β1に結合する;
GARPまたはLRRC33と複合体を形成する潜在型TGF-β1に結合する;
細胞表面潜在型TGF-β1に結合する;
潜在型TGF-β1のLAP領域に結合する;
LAPに結合する;
10-8 nM以下、10-9 nM以下、または10-10 nM以下の親和性または結合活性で潜在型TGF-β1に結合する;
潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1のプロテアーゼ媒介放出を阻害する;
潜在型TGF-β1のLAP領域のプロテアーゼ媒介切断を阻害しない;および/または
潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1のインテグリン媒介放出を阻害しないまたは部分的に阻害する。
さらなる態様において、本発明の抗TGF-β1抗体は:
モノクローナル抗体;
ヒト抗体、ヒト化抗体、もしくはキメラ抗体;
全長のIgG抗体;および/または
抗体フラグメント
である。
1つの局面において、本発明は、(a)配列番号:5のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:9のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号:10のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを含む抗TGF-β1抗体を提供する。
1つの局面において、本発明は、(a)配列番号:11のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)SEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:13のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:14のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:15のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号:16のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを含む抗TGF-β1抗体を提供する。
1つの局面において、本発明は、(a)配列番号:17のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:18のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:19のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:21のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号:22のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを含む抗TGF-β1抗体を提供する。
上記態様の任意のものにおいて、抗TGF-β1抗体はヒト化される。一態様において、抗TGF-β1抗体は、上記態様の任意のもののHVRを含み、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークをさらに含む。
別の局面において、上述の態様の任意のものにおけるVH、および上述の態様の任意のものにおけるVLを含む、抗TGF-β1抗体が提供される。一態様において、抗体はそれぞれ配列番号:23および配列番号:24中のVHおよびVL配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。翻訳後修飾は、重鎖又は軽鎖N末端のグルタミン又はグルタミン酸のピログルタミル化によるピログルタミン酸への修飾を含むが、これに限定されない。
別の局面において、上述の態様の任意のものにおけるVH、および上述の態様の任意のものにおけるVLを含む、抗TGF-β1抗体が提供される。一態様において、抗体はそれぞれ配列番号:25および配列番号:26中のVHおよびVL配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。翻訳後修飾は、重鎖又は軽鎖N末端のグルタミン又はグルタミン酸のピログルタミル化によるピログルタミン酸への修飾を含むが、これに限定されない。
別の局面において、上述の態様の任意のものにおけるVH、および上述の態様の任意のものにおけるVLを含む、抗TGF-β1抗体が提供される。一態様において、抗体はそれぞれ配列番号:27および配列番号:28中のVHおよびVL配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。翻訳後修飾は、重鎖又は軽鎖N末端のグルタミン又はグルタミン酸のピログルタミル化によるピログルタミン酸への修飾を含むが、これに限定されない。
さらなる局面において、本発明は、本明細書に提供される抗TGF-β1抗体と同じエピトープに結合する抗体を提供する。例えば、特定の態様において、
(1)(a)配列番号:5のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:9のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号:10のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗TGF-β1抗体;
(2)(a)配列番号:11のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:13のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:14のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:15のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号:16のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗TGF-β1抗体;
(3)(a)配列番号:17のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:18のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:19のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:21のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号:22のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗TGF-β1抗体
と同じエピトープに結合する抗体が提供される。
さらなる局面において、本発明は、ヒト、サル、マウス、および/またはラットのTGF-β1に結合する抗体を提供する。特定の態様において、本発明は、ヒトおよびマウスのTGF-β1に結合する抗体を提供する。特定の態様において、本発明は、ヒトおよびマウスのSLCを形成する潜在型TGF-β1に結合する抗体を提供する。特定の態様において、本発明は、ヒトおよびマウスのLLCを形成する潜在型TGF-β1に結合する抗体を提供する。特定の態様において、本発明は、ヒトおよびマウスのLLCを形成する潜在型TGF-β1に結合する抗体を提供する。特定の態様において、本発明は、ヒトおよびマウスのGARPまたはLRRC33との複合体を形成する潜在型TGF-β1に結合する抗体を提供する。特定の態様において、本発明は、ヒトおよびマウスの細胞表面潜在型TGF-β1に結合する抗体を提供する。
さらなる局面において、本発明は、本明細書に提供される抗TGF-β1抗体の任意の1つと同じエピトープに結合する抗体を提供する。エピトープは、ヒト、サル、マウス、および/またはラットのTGF-β1上に存在し得る。例えば、特定の態様において、本発明は、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体を提供し、ここで参照抗体は、
(1)(a)配列番号:5のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:9のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号:10のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗TGF-β1抗体;
(2)(a)配列番号:11のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:13のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:14のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:15のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号:16のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗TGF-β1抗体;
(3)(a)配列番号:17のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:18のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:19のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:21のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号:22のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗TGF-β1抗体
である。
さらなる局面において、本発明は、ヒト、サル、マウス、および/またはラットのTGF-β1に結合する本明細書に提供される抗TGF-β1抗体と競合する抗体を提供する。例えば、特定の態様において、ヒト、サル、マウス、および/またはラットのTGF-β1との結合に関して、
(1)(a)配列番号:5のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:9のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号:10のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗TGF-β1抗体;
(2)(a)配列番号:11のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:13のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:14のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:15のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号:16のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗TGF-β1抗体;
(3)(a)配列番号:17のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:18のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:19のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:21のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号:22のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗TGF-β1抗体
と競合する抗体が提供される。
本発明のさらなる局面において、上記態様の任意のものにしたがう抗TGF-β1抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。一態様において、抗TGF-β1抗体は、抗体フラグメント、例えばFv、Fab、Fab'、scFv、ダイアボディまたはF(ab')2フラグメントである。別の態様において、抗体は、全長抗体、例えばインタクトなIgG1、IgG2、IgG3もしくはIgG4抗体または本明細書で定義される他の抗体クラスもしくはアイソタイプである。さらなる局面において、抗TGF-β1抗体はまた、免疫グロブリンの可変重鎖および/または可変軽鎖構造を含む任意の抗原結合分子を含む。
さらなる局面において、上述の態様の任意のものによる抗TGF-β1抗体は、単独または組み合わせで、以下の項目1~7に記載の任意の特徴を取り込んでもよい。
1.抗体のアフィニティ
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nMまたは≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数 (Kd) を有する。
一態様において、Kdは、放射性標識抗原結合測定法 (radiolabeled antigen binding assay: RIA) によって測定される。一態様において、RIAは、目的の抗体のFabバージョンおよびその抗原を用いて実施される。例えば、抗原に対するFabの溶液中結合アフィニティは、非標識抗原の漸増量系列の存在下で最小濃度の (125I) 標識抗原によりFabを平衡化させ、次いで結合した抗原を抗Fab抗体でコーティングされたプレートにより捕捉することによって測定される。(例えば、Chen et al., J. Mol. Biol. 293:865-881(1999) を参照のこと)。測定条件を構築するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート (Thermo Scientific) を50mM炭酸ナトリウム (pH9.6) 中5μg/mlの捕捉用抗Fab抗体 (Cappel Labs) で一晩コーティングし、その後に室温(およそ23℃)で2~5時間、PBS中2% (w/v) ウシ血清アルブミンでブロックする。非吸着プレート (Nunc #269620) において、100 pMまたは26 pMの [125I]-抗原を、(例えば、Presta et al., Cancer Res. 57:4593-4599 (1997) における抗VEGF抗体、Fab-12の評価と同じように)目的のFabの段階希釈物と混合する。次いで、目的のFabを一晩インキュベートするが、このインキュベーションは、平衡が確実に達成されるよう、より長時間(例えば、約65時間)継続され得る。その後、混合物を、室温でのインキュベーション(例えば、1時間)のために捕捉プレートに移す。次いで溶液を除去し、プレートをPBS中0.1%のポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μl/ウェルのシンチラント(MICROSCINT-20(商標)、Packard)を添加し、TOPCOUNT(商標)ガンマカウンター (Packard) においてプレートを10分間カウントする。最大結合の20%以下を与える各Fabの濃度を、競合結合アッセイにおいて使用するために選択する。
別の態様によれば、Kdは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを用いて測定される。例えば、BIACORE(登録商標)-2000またはBIACORE(登録商標)-3000 (BIAcore, Inc., Piscataway, NJ) を用いる測定法が、およそ10反応単位 (response unit: RU) の抗原が固定されたCM5チップを用いて25℃で実施される。一態様において、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ (CM5、BIACORE, Inc.) は、供給元の指示にしたがいN-エチル-N’- (3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドヒドロクロリド (EDC) およびN-ヒドロキシスクシンイミド (NHS) を用いて活性化される。抗原は、およそ10反応単位 (RU) のタンパク質の結合を達成するよう、5μl/分の流速で注入される前に、10mM酢酸ナトリウム、pH4.8を用いて5μg/ml(およそ0.2μM)に希釈される。抗原の注入後、未反応基をブロックするために1Mエタノールアミンが注入される。キネティクスの測定のために、25℃、およそ25μl/分の流速で、0.05%ポリソルベート20(TWEEN-20(商標))界面活性剤含有PBS (PBST) 中のFabの2倍段階希釈物 (0.78nM~500nM) が注入される。結合速度 (kaまたはkon) および解離速度 (kdまたはkoff) は、単純な1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)評価ソフトウェアバージョン3.2)を用いて、結合および解離のセンサーグラムを同時にフィッティングすることによって計算される。平衡解離定数 (Kd) は、koff/kon比として計算される。例えば、Chen et al., J. Mol. Biol. 293:865-881 (1999) を参照のこと。上記の表面プラズモン共鳴アッセイによってオン速度が106M-1s-1を超える場合、オン速度は、分光計(例えばストップフロー式分光光度計 (Aviv Instruments) または撹拌キュベットを用いる8000シリーズのSLM-AMINCO(商標)分光光度計 (ThermoSpectronic))において測定される、漸増濃度の抗原の存在下でのPBS、pH7.2中20nMの抗抗原抗体(Fab形態)の25℃での蛍光発光強度(励起=295nm;発光=340nm、バンドパス16nm)の増加または減少を測定する蛍光消光技術を用いることによって決定され得る。特定の態様において、TGF-β1に対する抗体は、1マイクロM以下、100 nM以下、10 nM以下、1 nM以下、0.1 nM以下、0.01 nM以下または0.001 nM以下のKd、および5 x 10-2 s-1以下、1 x 10-2 s-1以下、5 x 10-3 s-1以下、1 x 10-3 s-1以下、5 x 10-4 s-1以下、1 x 10-4 s-1以下、5 x 10-5 s-1以下、1 x 10-5 s-1以下、5 x 10-6 s-1以下、1 x 10-6 s-1以下、5 x 10-7 s-1以下または1 x 10-7 s-1以下のkoffを有する。
2.抗体結合活性
TGF-β1に対する抗体の「結合活性」は、ある分子(例えば抗体)とその結合パートナー(例えば抗原)の結合部位の間の非共有結合相互作用の総和の強さを表す。それ以外のことが示されていない限り、本明細書で使用される場合、「結合活性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体および抗原)の間の1:1の相互作用に厳密に限定されないが、結合対のメンバー(例えば、抗体および抗原)の間の相互作用のアビディティーに影響され得る。そのパートナーYに対する分子Xの結合活性は、通常、その解離定数(Kd)によって表され得る。結合活性は、本明細書に記載されるものを含む当技術分野で公知の一般的方法によって測定され得る。「親和性」という用語は、「結合活性」と言い換え可能に使用され得る。
TGF-β1に対する抗体の「結合活性」は、抗体のKdにより表され得る。特定の態様において、本明細書に提供される抗体は、1マイクロM以下、100 nM以下、10 nM以下、1 nM以下、0.1 nM以下、0.01 nM以下、または0.001 nM以下の解離定数(Kd)(例えば、10-8 M以下、例えば、10-8 M~10-13 M、例えば、10-9 M~10-13 M)を有する。一態様において、Kdは、上記のように放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。別の態様にしたがい、Kdは、上記のようにBIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを用いて測定される。結合活性(Kd)は、1:1結合モデルを用いて結合速度定数(kaまたはkon)および解離速度定数(kdまたはkoff)から決定され得る。測定プロセスが、例えば1つの分子のバイオセンサ上のコーティングに関連する人工物により、対象の分子の固有の結合活性に一定の影響を及ぼすことは、当業者に明らかである。また、1つの分子が他の分子に対する2つ以上の認識部位を含んでいる場合、測定されるKdは、2つの分子による相互作用の結合力により影響され得る。特定の態様において、TGF-β1に対する抗体は、1マイクロM以下、100 nM以下、10 nM以下、1 nM以下、0.1 nM以下、0.01 nM以下または0.001 nM以下のKd、および5 x 10-2 s-1以下、1 x 10-2 s-1以下、5 x 10-3 s-1以下、1 x 10-3 s-1以下、5 x 10-4 s-1以下、1 x 10-4 s-1以下、5 x 10-5 s-1以下、1 x 10-5 s-1以下、5 x 10-6 s-1以下、1 x 10-6 s-1以下、5 x 10-7 s-1以下、または1 x 10-7 s-1以下のkoffを有する。
3.抗体断片
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、抗体断片である。抗体断片は、これらに限定されるものではないが、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、および scFv断片、ならびに、後述する他の断片を含む。特定の抗体断片についての総説として、Hudson et al. Nat. Med. 9:129-134 (2003) を参照のこと。scFv断片の総説として、例えば、Pluckthun, in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., (Springer-Verlag, New York), pp.269-315 (1994);加えて、WO93/16185;ならびに米国特許第5,571,894号および第5,587,458号を参照のこと。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含みインビボ (in vivo) における半減期の長くなったFabおよびF(ab')2断片についての論説として、米国特許第5,869,046号を参照のこと。
ダイアボディは、二価または二重特異的であってよい、抗原結合部位を2つ伴う抗体断片である。例えば、EP404,097号; WO1993/01161; Hudson et al., Nat. Med. 9:129-134 (2003); Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993) 参照。トリアボディ (triabody) やテトラボディ (tetrabody) も、Hudson et al., Nat. Med. 9:129-134 (2003) に記載されている。
シングルドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインのすべてもしくは一部分、または軽鎖可変ドメインのすべてもしくは一部分を含む、抗体断片である。特定の態様において、シングルドメイン抗体は、ヒトシングルドメイン抗体である(Domantis, Inc., Waltham, MA;例えば、米国特許第6,248,516号B1参照)。
抗体断片は、これらに限定されるものではないが、本明細書に記載の、完全抗体のタンパク質分解的消化、組み換え宿主細胞(例えば、大腸菌 (E. coli) またはファージ)による産生を含む、種々の手法により作ることができる。
本発明はまた、例えばミニボディ(低分子量抗体)およびスキャホールドタンパク質を含むがこれらに限定されない、TGF-β1に結合する抗原結合分子に関する。本発明において、安定的な三次元構造を有し、少なくとも抗原に結合することができるペプチドである限り、任意のスキャホールドタンパク質が許容され得る。そのようなペプチドは、例えば、抗体可変領域のフラグメント、フィブロネクチン、プロテインAドメイン、LDL受容体Aドメイン、リポカリンならびにNygren et al. (Current Opinion in Structural Biology, (1997) 7:463-469; Journal of Immunol Methods, (2004) 290:3-28)、Binz et al. (Nature Biotech. (2005) 23:1257-1266)およびHosse et al. (Protein Science, (2006) 15:14-27)に記載される他の分子を含む。本明細書の文脈において、そのような抗体を参照する場合、例えば、「抗TGF-β1抗体」は、「抗TGF-β1抗原結合分子」で置き換えられるはずである。
4.キメラおよびヒト化抗体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、キメラ抗体である。特定のキメラ抗体が、例えば、米国特許第4,816,567号;および、Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984) に記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、またはサルなどの非ヒト霊長類に由来する可変領域)およびヒト定常領域を含む。さらなる例において、キメラ抗体は、親抗体のものからクラスまたはサブクラスが変更された「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片も含む。
特定の態様において、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、親非ヒト抗体の特異性およびアフィニティを維持したままでヒトへの免疫原性を減少させるために、ヒト化される。通常、ヒト化抗体は1つまたは複数の可変ドメインを含み、当該可変ドメイン中、HVR(例えばCDR(またはその部分))は非ヒト抗体に由来し、FR(またはその部分)はヒト抗体配列に由来する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト定常領域の少なくとも一部分を含む。いくつかの態様において、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体の特異性またはアフィニティを回復または改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基の由来となった抗体)からの対応する残基で置換されている。
ヒト化抗体およびその作製方法は、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)において総説されており、また、例えば、Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988); Queen et al., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 86:10029-10033 (1989); 米国特許第5,821,337号、第7,527,791号、第6,982,321号、および第7,087,409号;Kashmiri et al., Methods 36:25-34 (2005)(特異性決定領域 (specificity determining region: SDR) グラフティングを記載);Padlan, Mol. Immunol. 28:489-498 (1991) (リサーフェイシングを記載); Dall’Acqua et al., Methods 36:43-60 (2005) (FRシャッフリングを記載);ならびに、Osbourn et al., Methods 36:61-68 (2005) およびKlimka et al., Br. J. Cancer, 83:252-260 (2000) (FRシャッフリングのための「ガイドセレクション」アプローチを記載) において、さらに記載されている。
ヒト化に使われ得るヒトフレームワーク領域は、これらに限定されるものではないが:「ベストフィット」法(Sims et al. J. Immunol. 151:2296 (1993) 参照)を用いて選択されたフレームワーク領域;軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(Carter et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992) および Presta et al. J. Immunol., 151:2623 (1993) 参照);ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域またはヒト生殖細胞系フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008) 参照);および、FRライブラリのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(Baca et al., J. Biol. Chem. 272:10678-10684 (1997) および Rosok et al., J. Biol. Chem. 271:22611-22618 (1996) 参照)を含む。
5.ヒト抗体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野において知られる種々の手法によって製造され得る。ヒト抗体は、van Dijk and van de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol. 5: 368-74 (2001) および Lonberg, Curr. Opin. Immunol. 20:450-459 (2008) に、概説されている。
ヒト抗体は、抗原チャレンジ(負荷)に応答して完全ヒト抗体またはヒト可変領域を伴う完全抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物へ免疫原を投与することにより、調製されてもよい。そのような動物は、典型的にはヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部もしくは一部分を含み、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部もしくは一部分は、内因性の免疫グロブリン遺伝子座を置き換えるか、または、染色体外にもしくは当該動物の染色体内にランダムに取り込まれた状態で存在する。そのようなトランスジェニックマウスにおいて、内因性の免疫グロブリン遺伝子座は、通常不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得る方法の総説として、Lonberg, Nat. Biotech. 23:1117-1125 (2005) を参照のこと。また、例えば、XENOMOUSE(商標)技術を記載した米国特許第6,075,181号および第6,150,584号;HUMAB(登録商標)技術を記載した米国特許第5,770,429号;K-M MOUSE(登録商標)技術を記載した米国特許第7,041,870号;ならびに、VELOCIMOUSE(登録商標)技術を記載した米国特許出願公開第2007/0061900号を、併せて参照のこと。このような動物によって生成された完全抗体からのヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせるなどして、さらに修飾されてもよい。
ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づいた方法でも作ることができる。ヒトモノクローナル抗体の製造のための、ヒトミエローマおよびマウス‐ヒトヘテロミエローマ細胞株は、既に記述されている。(例えば、Kozbor J. Immunol., 133: 3001 (1984);Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp.51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987);およびBoerner et al., J. Immunol., 147: 86 (1991) 参照。)ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体も、Li et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:3557-3562 (2006) に述べられている。追加的な方法としては、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の製造を記載)、および、Ni, Xiandai Mianyixue, 26(4):265-268 (2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマを記載)に記載されたものを含む。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)も、Vollmers and Brandlein, Histology and Histopathology, 20(3):927-937 (2005) およびVollmers and Brandlein, Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology, 27(3):185-91 (2005)に記載されている。
ヒト抗体は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリから選択されたFvクローン可変ドメイン配列を単離することでも生成できる。このような可変ドメイン配列は、次に所望のヒト定常ドメインと組み合わせることができる。抗体ライブラリからヒト抗体を選択する手法を、以下に述べる。
6.ライブラリ由来抗体
本発明の抗体は、所望の1つまたは複数の活性を伴う抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって単離してもよい。例えば、ファージディスプレイライブラリの生成や、所望の結合特性を備える抗体についてそのようなライブラリをスクリーニングするための、様々な方法が当該技術分野において知られている。そのような方法は、Hoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O'Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, 2001) において総説されており、さらに例えば、McCafferty et al., Nature 348:552-554;Clackson et al., Nature 352: 624-628 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol. 222: 581-597 (1992); Marks and Bradbury, in Methods in Molecular Biology 248:161-175 (Lo, ed., Human Press, Totowa, NJ, 2003); Sidhu et al., J. Mol. Biol. 338(2): 299-310 (2004); Lee et al., J. Mol. Biol. 340(5): 1073-1093 (2004); Fellouse, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(34):12467-12472 (2004);およびLee et al., J. Immunol. Methods 284(1-2): 119-132(2004) に記載されている。
特定のファージディスプレイ法において、VHおよびVL遺伝子のレパートリーは、ポリメラーゼ連鎖反応 (polymerase chain reaction: PCR) により別々にクローニングされ、無作為にファージライブラリ中で再結合され、当該ファージライブラリは、Winter et al., Ann. Rev. Immunol., 12: 433-455 (1994) に述べられているようにして、抗原結合ファージについてスクリーニングされ得る。ファージは、典型的には、単鎖Fv (scFv) 断片としてまたはFab断片としてのいずれかで、抗体断片を提示する。免疫化された供給源からのライブラリは、ハイブリドーマを構築することを要さずに、免疫源に対する高アフィニティ抗体を提供する。あるいは、Griffiths et al., EMBO J, 12: 725-734 (1993) に記載されるように、ナイーブレパートリーを(例えば、ヒトから)クローニングして、免疫化することなしに、広範な非自己および自己抗原への抗体の単一の供給源を提供することもできる。最後に、ナイーブライブラリは、Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227: 381-388 (1992) に記載されるように、幹細胞から再編成前のV-遺伝子セグメントをクローニングし、超可変CDR3領域をコードしかつインビトロ (in vitro) で再構成を達成するための無作為配列を含んだPCRプライマーを用いることにより、合成的に作ることもできる。ヒト抗体ファージライブラリを記載した特許文献は、例えば:米国特許第5,750,373号、ならびに、米国特許出願公開第2005/0079574号、2005/0119455号、第2005/0266000号、第2007/0117126号、第2007/0160598号、第2007/0237764号、第2007/0292936号、および第2009/0002360号を含む。
ヒト抗体ライブラリから単離された抗体または抗体断片は、本明細書ではヒト抗体またはヒト抗体断片と見なす。
7.多重特異性抗体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に結合特異性を有する、モノクローナル抗体である。特定の態様において、結合特異性の1つは、TGF-β1に対するものであり、もう1つは他の任意の抗原へのものである。特定の態様において、二重特異性抗体は、TGF-β1の異なった2つのエピトープに結合してもよい。二重特異性抗体は、TGF-β1を発現する細胞に細胞傷害剤を局在化するために使用されてもよい。二重特異性抗体は、全長抗体としてまたは抗体断片として調製され得る。
多重特異性抗体を作製するための手法は、これらに限定されるものではないが、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖ペアの組み換え共発現(Milstein and Cuello, Nature 305: 537 (1983)、WO93/08829、およびTraunecker et al., EMBO J. 10: 3655 (1991) 参照)、およびknob-in-hole技術(例えば、米国特許第5,731,168号参照)を含む。多重特異性抗体は、Fcヘテロ二量体分子を作製するために静電ステアリング効果 (electrostatic steering effects) を操作すること (WO2009/089004A1);2つ以上の抗体または断片を架橋すること(米国特許第4,676,980号およびBrennan et al., Science, 229: 81 (1985)参照);ロイシンジッパーを用いて2つの特異性を有する抗体を作成すること(Kostelny et al., J. Immunol., 148(5):1547-1553 (1992) 参照);「ダイアボディ」技術を用いて二重特異性抗体断片を作製すること(Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993) 参照);および、単鎖Fv (scFv) 二量体を用いること(Gruber et al., J. Immunol., 152:5368 (1994) 参照);および、例えばTutt et al. J. Immunol. 147: 60 (1991) に記載されるように三重特異性抗体を調製すること、によって作製してもよい。
「オクトパス抗体」を含む、3つ以上の機能的抗原結合部位を伴う改変抗体も、本明細書では含まれる(例えば、米国特許出願公開第2006/0025576号A1参照)。
本明細書で抗体または断片は、TGF-β1と別の異なる抗原とに結合する1つの抗原結合部位を含む、「デュアルアクティングFab」または「DAF」も含む(例えば、米国特許出願公開第2008/0069820号参照)。
8.抗体変異体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体のアミノ酸配列変異体も、考慮の内である。例えば、抗体の結合アフィニティおよび/または他の生物学的特性を改善することが、望ましいこともある。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入すること、または、ペプチド合成によって、調製されてもよい。そのような修飾は、例えば、抗体のアミノ酸配列からの欠失、および/または抗体のアミノ酸配列中への挿入、および/または抗体のアミノ酸配列中の残基の置換を含む。最終構築物が所望の特徴(例えば、抗原結合性)を備えることを前提に、欠失、挿入、および置換の任意の組合せが、最終構築物に至るために行われ得る。
上記のように、TGF-βは、ミオスタチンならびに別個のTGF-βアイソフォーム、例えばTGF-β1、TGF-β2、およびTGF-β3を含むサイトカインのTGF-βスーパーファミリーのメンバーである。したがって、本発明はまた、TGF-β2もしくはTGF-β3、またはTGF-βスーパーファミリーのメンバー、例えばミオスタチンに結合する抗体に関する。本明細書の文脈において、そのような抗体を参照する場合、例えば、「抗TGF-β1抗体」は、「抗ミオスタチン抗体」、「抗TGF-β2抗体」、「抗TGF-β3抗体」、「TGF-βスーパーファミリーのメンバーに対する抗体」で置き換えられるはずである。
a)置換、挿入、および欠失変異体
特定の態様において、1つまたは複数のアミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。置換的変異導入の目的部位は、HVRおよびFRを含む。保存的置換を、表1の「好ましい置換」の見出しの下に示す。より実質的な変更を、表1の「例示的な置換」の見出しの下に提供するとともに、アミノ酸側鎖のクラスに言及しつつ下で詳述する。アミノ酸置換は目的の抗体に導入されてもよく、産物は、例えば、保持/改善された抗原結合性、減少した免疫原性、または改善したADCCまたはCDCなどの、所望の活性についてスクリーニングされてもよい。
アミノ酸は、共通の側鎖特性によって群に分けることができる:
(1) 疎水性:ノルロイシン、メチオニン (Met)、アラニン (Ala)、バリン (Val)、ロイシン (Leu)、イソロイシン (Ile);
(2) 中性の親水性:システイン (Cys)、セリン (Ser)、トレオニン (Thr)、アスパラギン (Asn)、グルタミン (Gln);
(3) 酸性:アスパラギン酸 (Asp)、グルタミン酸 (Glu);
(4) 塩基性:ヒスチジン (His)、リジン (Lys)、アルギニン (Arg);
(5) 鎖配向に影響する残基:グリシン (Gly)、プロリン (Pro);
(6) 芳香族性:トリプトファン (Trp)、チロシン (Tyr)、フェニルアラニン (Phe)。
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを、別のクラスのものに交換することをいう。
置換変異体の1つのタイプは、親抗体(例えば、ヒト化またはヒト抗体)の1つまたは複数の超可変領域残基の置換を含む。通常、その結果として生じ、さらなる研究のために選ばれた変異体は、親抗体と比較して特定の生物学的特性における修飾(例えば、改善)(例えば、増加したアフィニティ、減少した免疫原性)を有する、および/または親抗体の特定の生物学的特性を実質的に保持しているであろう。例示的な置換変異体は、アフィニティ成熟抗体であり、これは、例えばファージディスプレイベースのアフィニティ成熟技術(例えば本明細書に記載されるもの)を用いて適宜作製され得る。簡潔に説明すると、1つまたは複数のHVR残基を変異させ、そして変異抗体をファージ上に提示させ、特定の生物学的活性(例えば、結合アフィニティ)に関してスクリーニングを行う。
改変(例えば、置換)は、例えば抗体のアフィニティを改善するために、HVRにおいて行われ得る。そのような改変は、HVRの「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセスの間に高頻度で変異が起こるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury, Methods Mol. Biol. 207:179-196 (2008) を参照のこと)および/または抗原に接触する残基において行われ得、得られた変異VHまたはVLが結合アフィニティに関して試験され得る。二次ライブラリからの構築および再選択によるアフィニティ成熟が、例えば、Hoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O’Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, (2001)) に記載されている。アフィニティ成熟のいくつかの態様において、多様性は、任意の様々な方法(例えば、エラープローンPCR、チェーンシャッフリングまたはオリゴヌクレオチド指向変異導入)によって成熟のために選択された可変遺伝子に導入される。次いで、二次ライブラリが作製される。次いで、このライブラリは、所望のアフィニティを有する任意の抗体変異体を同定するためにスクリーニングされる。多様性を導入する別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4~6残基)を無作為化するHVR指向アプローチを含む。抗原結合に関与するHVR残基は、例えばアラニンスキャニング変異導入またはモデリングを用いて、具体的に特定され得る。特に、CDR-H3およびCDR-L3がしばしば標的化される。
特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、そのような改変が抗原に結合する抗体の能力を実質的に減少させない限り、1つまたは複数のHVR内で行われ得る。例えば、結合アフィニティを実質的に減少させない保存的改変(例えば、本明細書で提供されるような保存的置換)が、HVRにおいて行われ得る。そのような改変は、例えば、HVRの抗原接触残基の外側であり得る。上記の変異VHおよびVL配列の特定の態様において、各HVRは改変されていないか、わずか1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む。
変異導入のために標的化され得る抗体の残基または領域を同定するのに有用な方法は、Cunningham and Wells (1989) Science, 244:1081-1085によって記載される、「アラニンスキャニング変異導入」と呼ばれるものである。この方法において、一残基または一群の標的残基(例えば、荷電残基、例えばアルギニン、アスパラギン酸、ヒスチジン、リジン、およびグルタミン酸)が同定され、中性または負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニンもしくはポリアラニン)で置き換えられ、抗体と抗原の相互作用が影響を受けるかどうかが決定される。この初期置換に対して機能的感受性を示したアミノ酸位置に、さらなる置換が導入され得る。あるいはまたは加えて、抗体と抗原の間の接触点を同定するために、抗原抗体複合体の結晶構造を解析してもよい。そのような接触残基および近隣の残基を、置換候補として標的化してもよく、または置換候補から除外してもよい。変異体は、それらが所望の特性を含むかどうかを決定するためにスクリーニングされ得る。
アミノ酸配列の挿入は、配列内部への単一または複数のアミノ酸残基の挿入と同様、アミノ末端および/またはカルボキシル末端における1残基から100残基以上を含むポリペプチドの長さの範囲での融合も含む。末端の挿入の例は、N末端にメチオニル残基を伴う抗体を含む。抗体分子の他の挿入変異体は、抗体のN-またはC-末端に、酵素(例えば、ADEPTのための)または抗体の血漿半減期を増加させるポリペプチドを融合させたものを含む。
b)グリコシル化変異体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、抗体がグリコシル化される程度を増加させるまたは減少させるように改変されている。抗体へのグリコシル化部位の追加または削除は、1つまたは複数のグリコシル化部位を作り出すまたは取り除くようにアミノ酸配列を改変することにより、簡便に達成可能である。
抗体がFc領域を含む場合、そこに付加される炭水化物が改変されてもよい。哺乳動物細胞によって産生される天然型抗体は、典型的には、枝分かれした二分岐のオリゴ糖を含み、当該オリゴ糖は通常Fc領域のCH2ドメインのAsn297にN-リンケージによって付加されている。例えば、Wright et al. TIBTECH 15:26-32 (1997) 参照。オリゴ糖は、例えば、マンノース、N‐アセチルグルコサミン (GlcNAc)、ガラクトース、およびシアル酸などの種々の炭水化物、また、二分岐のオリゴ糖構造の「幹」中のGlcNAcに付加されたフコースを含む。いくつかの態様において、本発明の抗体中のオリゴ糖の修飾は、特定の改善された特性を伴う抗体変異体を作り出すために行われてもよい。
一態様において、Fc領域に(直接的または間接的に)付加されたフコースを欠く炭水化物構造体を有する抗体変異体が提供される。例えば、そのような抗体におけるフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%または20%~40%であり得る。フコースの量は、例えばWO2008/077546に記載されるようにMALDI-TOF質量分析によって測定される、Asn297に付加されたすべての糖構造体(例えば、複合、ハイブリッド、および高マンノース構造体)の和に対する、Asn297における糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297は、Fc領域の297位のあたりに位置するアスパラギン残基を表す(Fc領域残基のEUナンバリング)。しかし、複数の抗体間のわずかな配列の多様性に起因して、Asn297は、297位の±3アミノ酸上流または下流、すなわち294位~300位の間に位置することもあり得る。そのようなフコシル化変異体は、改善されたADCC機能を有し得る。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号 (Presta, L.) ;第2004/0093621号 (Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd) を参照のこと。「脱フコシル化」または「フコース欠損」抗体変異体に関する刊行物の例は、US2003/0157108; WO2000/61739; WO2001/29246; US2003/0115614; US2002/0164328; US2004/0093621; US2004/0132140; US2004/0110704; US2004/0110282; US2004/0109865; WO2003/085119; WO2003/084570; WO2005/035586; WO2005/035778; WO2005/053742; WO2002/031140; Okazaki et al. J. Mol. Biol. 336:1239-1249 (2004); Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004) を含む。脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の例は、タンパク質のフコシル化を欠くLec13 CHO細胞(Ripka et al. Arch. Biochem. Biophys. 249:533-545 (1986);米国特許出願公開第US2003/0157108号A1、Presta, L;およびWO2004/056312A1、Adams et al.、特に実施例11)およびノックアウト細胞株、例えばアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子FUT8ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004);Kanda, Y. et al., Biotechnol. Bioeng., 94(4):680-688 (2006);およびWO2003/085107を参照のこと)を含む。
例えば抗体のFc領域に付加された二分枝型オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている、二分されたオリゴ糖を有する抗体変異体がさらに提供される。そのような抗体変異体は、減少したフコシル化および/または改善されたADCC機能を有し得る。そのような抗体変異体の例は、例えば、WO2003/011878 (Jean-Mairet et al.) ;米国特許第6,602,684号 (Umana et al.);およびUS2005/0123546 (Umana et al.) に記載されている。Fc領域に付加されたオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体変異体も提供される。そのような抗体変異体は、改善されたCDC機能を有し得る。そのような抗体変異体は、例えば、WO1997/30087 (Patel et al.);WO1998/58964 (Raju, S.); およびWO1999/22764 (Raju, S.) に記載されている。
c)Fc領域変異体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体のFc領域に1つまたは複数のアミノ酸修飾を導入して、それによりFc領域変異体を生成してもよい。Fc領域変異体は、1つまたは複数のアミノ酸ポジションのところでアミノ酸修飾(例えば、置換)を含む、ヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のFc領域)を含んでもよい。
特定の態様において、すべてではないがいくつかのエフェクター機能を備える抗体変異体も、本発明の考慮の内であり、当該エフェクター機能は、抗体を、そのインビボでの半減期が重要であるが、特定のエフェクター機能(補体およびADCCなど)は不要または有害である場合の適用に望ましい候補とするものである。CDCおよび/またはADCC活性の減少/欠乏を確認するために、インビトロおよび/またはインビボの細胞傷害測定を行うことができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合測定は、抗体がFcγR結合性を欠く(よってADCC活性を欠く蓋然性が高い)一方でFcRn結合能を維持することを確かめるために行われ得る。ADCCを媒介するプライマリ細胞であるNK細胞はFcγRIIIのみを発現するが、一方単球はFcγRI、FcγRII、FcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcRの発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457-492 (1991) の第464頁のTable 3にまとめられている。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロ測定法(アッセイ)の非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、 Hellstrom, I. et al. Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 83:7059-7063 (1986) 参照)および Hellstrom, I et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 82:1499-1502 (1985);米国特許第5,821,337号(Bruggemann, M. et al., J. Exp. Med. 166:1351-1361 (1987) 参照)に記載されている。あるいは、非放射性の測定法を用いてもよい(例えば、ACT1(商標)non-radioactive cytotoxicity assay for flow cytometry (CellTechnology, Inc. Mountain View, CA);および、CytoTox 96(登録商標)non-radioactive cytotoxicity assays 法 (Promega, Madison, WI) 参照)。このような測定法に有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞 (peripheral blood mononuclear cell: PBMC) およびナチュラルキラー (natural killer: NK) 細胞を含む。あるいはまたは加えて、目的の分子のADCC活性は、例えば、Clynes et al. Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 95:652-656 (1998) に記載されるような動物モデルにおいて、インビボで評価されてもよい。また、抗体がC1qに結合できないこと、よってCDC活性を欠くことを確認するために、C1q結合測定を行ってもよい。例えば、WO2006/029879 および WO2005/100402のC1qおよびC3c結合ELISAを参照のこと。また、補体活性化を評価するために、CDC測定を行ってもよい(例えば、Gazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202:163 (1996);Cragg, M.S. et al., Blood 101:1045-1052 (2003);およびCragg, M.S. and M.J. Glennie, Blood 103:2738-2743 (2004) 参照)。さらに、FcRn結合性およびインビボでのクリアランス/半減期の決定も、当該技術分野において知られた方法を用いて行い得る(例えばPetkova, S.B. et al., Int'l. Immunol. 18(12):1759-1769 (2006) 参照)。
減少したエフェクター機能を伴う抗体は、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、および329の1つまたは複数の置換を伴うものを含む(米国特許第6,737,056号)。このようなFc変異体は、残基265および297のアラニンへの置換を伴ういわゆる「DANA」Fc変異体(米国特許第7,332,581号)を含む、アミノ酸ポジション265、269、270、297、および327の2つ以上の置換を伴うFc変異体を含む。
FcRsへの増加または減少した結合性を伴う特定の抗体変異体が、記述されている。(米国特許第6,737,056号;WO2004/056312、およびShields et al., J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001) を参照のこと。)
特定の態様において、抗体変異体は、ADCCを改善する1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、Fc領域のポジション298、333、および/または334(EUナンバリングでの残基)のところでの置換)を伴うFc領域を含む。
いくつかの態様において、例えば米国特許第6,194,551号、WO99/51642、およびIdusogie et al. J. Immunol. 164: 4178-4184 (2000) に記載されるように、改変された(つまり、増加したか減少したかのいずれかである)C1q結合性および/または補体依存性細胞傷害 (CDC) をもたらす改変が、Fc領域においてなされる。
増加した半減期、および新生児型Fc受容体(FcRn:母体のIgG類を胎児に移行させる役割を負う(Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976) and Kim et al., J. Immunol. 24:249 (1994)))に対する増加した結合性を伴う抗体が、米国特許出願公開第2005/0014934号A1(Hinton et al.) に記載されている。これらの抗体は、Fc領域のFcRnへの結合性を増加する1つまたは複数の置換をその中に伴うFc領域を含む。このようなFc変異体は、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、または434の1つまたは複数のところでの置換(例えば、Fc領域残基434の置換(米国特許第7,371,826号))を伴うものを含む。
Fc領域変異体の他の例については、Duncan & Winter, Nature 322:738-40 (1988);米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;およびWO94/29351も参照のこと。
d)システイン改変抗体変異体
特定の態様において、抗体の1つまたは複数の残基がシステイン残基で置換された、システイン改変抗体(例えば、「thioMAbs」)を作り出すことが望ましいだろう。特定の態様において、置換を受ける残基は、抗体の、アクセス可能な部位に生じる。それらの残基をシステインで置換することによって、反応性のチオール基が抗体のアクセス可能な部位に配置され、当該反応性のチオール基は、当該抗体を他の部分(薬剤部分またはリンカー‐薬剤部分など)にコンジュゲートして本明細書でさらに詳述するようにイムノコンジュゲートを作り出すのに使用されてもよい。特定の態様において、以下の残基の任意の1つまたは複数が、システインに置換されてよい:軽鎖のV205(Kabatナンバリング);重鎖のA118(EUナンバリング);および重鎖Fc領域のS400(EUナンバリング)。システイン改変抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されるようにして生成されてもよい。
e)抗体誘導体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、当該技術分野において知られておりかつ容易に入手可能な追加の非タンパク質部分を含むように、さらに修飾されてもよい。抗体の誘導体化に好適な部分は、これに限定されるものではないが、水溶性ポリマーを含む。水溶性ポリマーの非限定的な例は、これらに限定されるものではないが、ポリエチレングリコール (PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ1,3ジオキソラン、ポリ1,3,6,トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれでも)、および、デキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール類(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコール、および、これらの混合物を含む。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、その水に対する安定性のために、製造において有利であるだろう。ポリマーは、いかなる分子量でもよく、枝分かれしていてもしていなくてもよい。抗体に付加されるポリマーの数には幅があってよく、1つ以上のポリマーが付加されるならそれらは同じ分子であってもよいし、異なる分子であってもよい。一般的に、誘導体化に使用されるポリマーの数および/またはタイプは、これらに限定されるものではないが、改善されるべき抗体の特定の特性または機能、抗体誘導体が規定の条件下での療法に使用されるか否か、などへの考慮に基づいて、決定することができる。
別の態様において、抗体と、放射線に曝露することにより選択的に熱せられ得る非タンパク質部分との、コンジュゲートが提供される。一態様において、非タンパク質部分は、カーボンナノチューブである(Kam et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102: 11600-11605 (2005))。放射線はいかなる波長でもよく、またこれらに限定されるものではないが、通常の細胞には害を与えないが抗体‐非タンパク質部分に近接した細胞を死滅させる温度まで非タンパク質部分を熱するような波長を含む。
B.組み換えの方法および構成
例えば、米国特許第4,816,567号に記載されるとおり、抗体は組み換えの方法や構成を用いて製造することができる。一態様において、本明細書に記載の抗TGF-β1抗体をコードする、単離された核酸が提供される。そのような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列および/またはVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖および/または重鎖)をコードしてもよい。さらなる態様において、このような核酸を含む1つまたは複数のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。さらなる態様において、このような核酸を含む宿主細胞が提供される。このような態様の1つでは、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列および抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または、(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第一のベクターと抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第二のベクターを含む(例えば、形質転換されている)。一態様において、宿主細胞は、真核性である(例えば、チャイニーズハムスター卵巣 (CHO) 細胞)またはリンパ系の細胞(例えば、Y0、NS0、Sp2/0細胞))。一態様において、抗TGF-β1抗体の発現に好適な条件下で、上述のとおり当該抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を培養すること、および任意で、当該抗体を宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から回収することを含む、抗TGF-β1抗体を作製する方法が提供される。
抗TGF-β1抗体の組み換え製造のために、(例えば、上述したものなどの)抗体をコードする核酸を単離し、さらなるクローニングおよび/または宿主細胞中での発現のために、1つまたは複数のベクターに挿入する。そのような核酸は、従来の手順を用いて容易に単離および配列決定されるだろう(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることで)。
抗体をコードするベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞は、本明細書に記載の原核細胞または真核細胞を含む。例えば、抗体は、特にグリコシル化およびFcエフェクター機能が必要とされない場合は、細菌で製造してもよい。細菌での抗体断片およびポリペプチドの発現に関して、例えば、米国特許第5,648,237号、第5,789,199号、および第5,840,523号を参照のこと。(加えて、大腸菌における抗体断片の発現について記載したCharlton, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ, 2003), pp.245-254も参照のこと。)発現後、抗体は細菌細胞ペーストから可溶性フラクション中に単離されてもよく、またさらに精製することができる。
原核生物に加え、部分的なまたは完全なヒトのグリコシル化パターンを伴う抗体の産生をもたらす、グリコシル化経路が「ヒト化」されている菌類および酵母の株を含む、糸状菌または酵母などの真核性の微生物は、抗体コードベクターの好適なクローニングまたは発現宿主である。Gerngross, Nat. Biotech. 22:1409-1414 (2004)および Li et al., Nat. Biotech. 24:210-215 (2006) を参照のこと。
多細胞生物(無脊椎生物および脊椎生物)に由来するものもまた、グリコシル化された抗体の発現のために好適な宿主細胞である。無脊椎生物細胞の例は、植物および昆虫細胞を含む。昆虫細胞との接合、特にSpodoptera frugiperda細胞の形質転換に用いられる、数多くのバキュロウイルス株が同定されている。
植物細胞培養物も、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、第6,040,498号、第6,420,548号、第7,125,978号、および第6,417,429号(トランスジェニック植物で抗体を産生するための、PLANTIBODIES(商標)技術を記載)を参照のこと。
脊椎動物細胞もまた宿主として使用できる。例えば、浮遊状態で増殖するように適応された哺乳動物細胞株は、有用であろう。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40で形質転換されたサル腎CV1株 (COS-7);ヒト胎児性腎株(Graham et al., J. Gen Virol. 36:59 (1977) などに記載の293または293細胞);仔ハムスター腎細胞 (BHK);マウスセルトリ細胞(Mather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980) などに記載のTM4細胞);サル腎細胞 (CV1);アフリカミドリザル腎細胞 (VERO-76);ヒト子宮頸部癌細胞 (HELA);イヌ腎細胞 (MDCK);Buffalo系ラット肝細胞 (BRL 3A);ヒト肺細胞 (W138);ヒト肝細胞 (Hep G2);マウス乳癌 (MMT 060562);TRI細胞(例えば、Mather et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982) に記載);MRC5細胞;および、FS4細胞などである。他の有用な哺乳動物宿主細胞株は、DHFR- CHO細胞 (Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980)) を含むチャイニーズハムスター卵巣 (CHO) 細胞;およびY0、NS0、およびSp2/0などの骨髄腫細胞株を含む。抗体産生に好適な特定の哺乳動物宿主細胞株の総説として、例えば、Yazaki and Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ), pp. 255-268 (2003) を参照のこと。
C.測定法(アッセイ)
本明細書で提供される抗TGF-β1抗体は、当該技術分野において知られている種々の測定法によって、同定され、スクリーニングされ、または物理的/化学的特性および/または生物学的活性について明らかにされてもよい。
1.結合アッセイおよび他のアッセイ
1つの局面において、本発明の抗体は、例えば、公知の方法、例えばELISA、ウェスタンブロット、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE(登録商標)または同様の技術(例えば、KinExaもしくはOCTET(登録商標)))等により、その抗原結合活性について試験される。
別の局面において、TGF-β1に対する結合に関して本明細書に記載される任意の抗TGF-β1抗体、好ましくはTBA0946、TBA0947またはTBA1172と競合する抗体を同定するために、競合アッセイが使用され得る。特定の態様において、そのような競合抗体は、本明細書に記載される任意の抗TGF-β1抗体、好ましくはTBA0946、TBA0947またはTBA1172により結合されるのと同じエピトープ(例えば、直鎖状または立体エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための例示的な方法の詳細は、Methods in Molecular Biology vol. 66 (Humana Press, Totowa, NJ)におけるMorris (1996) 「Epitope Mapping Protocols」に提供されている。エピトープをマッピングする方法は、X線結晶学およびアラニンスキャン変異誘発法を含むが、これらに限定されない。
特定の態様において、そのような競合抗体が過剰に存在する場合、それは、TGF-β1に対する参照抗体の結合を、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%またはそれ以上ブロックする(減少させる)。いくつかの例において、結合は、少なくとも80%、85%、90%、95%、またはそれ以上阻害される。特定の態様において、そのような競合抗体は、本明細書に記載される抗TGF-β1抗体により結合されるのと同じエピトープ(例えば、直鎖状または立体エピトープ)に結合する。さらなる局面において、参照抗体は、TBA0946、TBA0947またはTBA1172である。
例示的な競合アッセイにおいては、固定されたTGF-β1が、TGF-β1に結合する第1の標識抗体(参照抗体)(例えば、TBA0946、TBA0947またはTBA1172)およびTGF-β1に対する結合に関して第1の抗体と競合するその能力について試験される第2の非標識抗体を含む溶液中でインキュベートされる。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在し得る。対照として、固定されたTGF-β1は、第1の標識抗体を含むが第2の非標識抗体を含まない溶液中でインキュベートされる。TGF-β1に対する第1の抗体の結合を許容する条件下でのインキュベート後、過剰な未結合抗体が除去され、固定されたTGF-β1に結合した標識の量が測定される。試験サンプルにおいて、固定されたTGF-β1に結合した標識の量が対照サンプルよりも実質的に減少している場合、それは、第2の抗体が、TGF-β1に対する結合に関して第1の抗体と競合することを示している。Harlow and Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual ch.14 (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY)を参照のこと。
特定の態様において、細胞表面潜在型TGF-β1に対する抗TGF-β1抗体の結合は、公知の方法、例えばELISA、ウェスタンブロット、BIAcore等によって試験され得る。例えば、潜在型TGF-β1を発現する細胞は、PEもしくはAPCに直接的にコンジュゲートされた抗TGF-β1抗体、またはコンジュゲートされていない抗TGF-β1抗体とその後のPEもしくはAPCコンジュゲート二次抗体のいずれかと接触させることができ、細胞表面潜在型TGF-β1の染色が検出され得る。例えば、Oida et al., PLoS One. 2010 Nov 24;5(11):e15523; Su et al, Hum Mol Genet. 2015 Jul 15;24(14):4024-36を参照のこと。
2.活性アッセイ
1つの局面において、生物学的活性を有する抗TGF-β1抗体を同定するためのアッセイが提供される。生物学的活性は、例えば、TGF-β1の活性化を阻害すること、潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1の放出を阻害すること、潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1のプロテアーゼ媒介放出を阻害すること、潜在型TGF-β1のLAP領域のプロテアーゼ媒介切断を阻害することなく潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1のプロテアーゼ媒介放出を阻害すること、潜在型TGF-β1に対するプロテアーゼのアクセスをブロックすることなく潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1のプロテアーゼ媒介放出を阻害すること、プロテアーゼが潜在型TGF-β1のLAP領域を切断するのを可能にしつつ潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1のプロテアーゼ媒介放出を阻害すること、インテグリン媒介TGF-β1活性化を阻害することなくまたは部分的に阻害しつつ潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1のプロテアーゼ媒介放出を阻害すること等を含む。インビボおよび/またはインビトロでそのような生物学的活性を有する抗体もまた提供される。
特定の態様において、本発明の抗体は、そのような生物学的活性について試験される。
いくつかの態様において、試験抗体が潜在型TGF-β1の活性化を阻害する、すなわち、潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1の放出を阻害するかどうかは、潜在型TGF-β1の活性化因子(例えば、プロテアーゼ、インテグリン、他の非プロテアーゼ活性化因子等)を試験抗体の存在下または非存在下で潜在型TGF-β1と接触させた後に、当技術分野で公知の方法、例えば電気泳動、クロマトグラフィー、免疫ブロット分析、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)または質量分析を用いて成熟TGF-β1を検出することによって決定される。潜在型TGF-β1の活性化、すなわち、潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1の放出は、活性化因子の非存在下でも起こる(潜在型TGF-β1の自然発生的活性化)ことも公知である。いくつかの態様において、試験抗体が潜在型TGF-β1の自然発生的活性化を阻害するかどうかは、潜在型TGF-β1を試験抗体と共にまたは試験抗体なしでインキュベートした後に、上記の方法を用いて成熟TGF-β1を検出することによって決定される。いくつかの態様において、試験抗体の非存在下で検出される量と比較して試験抗体の存在下で(試験抗体と接触させた後に)成熟TGF-β1の量の減少が検出される場合、その試験抗体は、潜在型TGF-β1の活性化を阻害することができる抗体であると同定される。一例において、成熟TGF-β1の量は、減少または増加のいずれも、成熟TGF-β1の濃度(例えば、g/ml、mg/ml、マイクログラム/ml、ng/mlまたはpg/ml等)に換算して測定され得る。別の例において、成熟TGF-βの量は、減少または増加のいずれも、成熟TGF-βに直接的または間接的に結合された標識の光学密度(O.D.)(例えば、mmまたはnmの波長等)に換算して測定され得る。
特定の態様において、TGF-β1活性化の阻害は、同様の条件下での陰性対照と比較して、そのアッセイにおける成熟TGF-β1の量の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%,30%、35%、もしくは40%、またはそれ以上の減少を含む。いくつかの態様において、それは、少なくとも45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%、またはそれ以上のTGF-β1活性化の阻害、すなわち、成熟TGF-β1の放出の阻害を表す。
いくつかの態様において、試験抗体が潜在型TGF-β1の活性化を阻害する、すなわち、潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1の放出を阻害するかどうかは、成熟TGF-β1活性、例えば、TGF-β1受容体に結合する活性またはTGF-β1受容体を発現する細胞においてシグナル伝達を媒介する活性等を検出することによっても決定される。いくつかの態様において、TGF-β1受容体に対するTGF-β1の結合は、受容体結合アッセイを用いて検出され得る。いくつかの態様において、TGF-β1シグナル伝達を媒介する活性は、TGF-β1/Smad経路の活性化を検出することによって決定され得る。そのようなアッセイにおいて有用な細胞は、内因性TGF-β1受容体を発現するものまたはTGF-β1受容体遺伝子を用いた細胞のトランスフェクションにより生成されたものであり得る。例えば、本明細書に記載される実施例において使用されたHEK-Blue(商標)TGF-β細胞またはTGF-β1受容体をコードする導入遺伝子を発現するよう一過的または安定的に遺伝子改変されたものが使用され得る。TGF-β1媒介シグナル伝達は、シグナル伝達経路において任意のレベルで、例えば、Smadポリペプチドのリン酸化を試験することにより、受容体遺伝子を含むTGF-β1により調節される遺伝子の発現を試験することにより、またはTGF-β1依存的細胞の増殖を測定することにより、検出され得る。
いくつかの態様において、TGF-β1シグナル伝達を媒介する活性はまた、Smadポリペプチドのリン酸化を試験することによりTGF-β1/Smad経路の活性化を検出することによっても決定することができる(例えば、Fukasawa et. al., Kidney International. 65(1):63-74 (2004)およびGanapathy et al., Molecular Cancer 26;9:122 (2010)を参照のこと)。他の態様において、TGF-β1シグナル伝達を媒介する活性はBAE細胞の「傷ついた」単層培養物において細胞遊走を阻害するTGF-βの能力を試験する、細胞増殖を阻害するTGF-βの能力を試験する、プラスミノゲン活性化因子(PA)活性を抑制するTGF-βの能力を試験する、プラスミノゲン活性化因子阻害因子1(PAI-1)を上方調節するTGF-βの能力を試験する等によって決定することができる(Mazzieri et. al., Methods in Molecular Biology 142:13-27(2000)を参照のこと)。
TGF-β1活性化の阻害はまた、実施例に記載し例示する方法を用いて、検出および/または測定することができる。これらまたは他の適切なタイプのアッセイを用いることで、試験抗体は、TGF-β1の活性化を阻害できるものに関してスクリーニングされ得る。特定の態様において、TGF-β1活性化の阻害は、同様の条件下での陰性対照と比較して、そのアッセイにおけるTGF-β1活性化の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%、またはそれ以上の減少を含む。いくつかの態様において、それは、少なくとも45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%もしくは95%またはそれ以上のTGF-β1活性化の阻害を表す。特定の態様において、TGF-β1活性化の阻害は、同様の条件下での陰性対照と比較して、そのアッセイで検出される成熟TGF-β1の量の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%、またはそれ以上の減少を含む。いくつかの態様において、それは、少なくとも45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%、またはそれ以上の成熟TGF-β1の量の減少を表す。
いくつかの態様において、試験抗体が潜在型TGF-β1のLAP部分の切断を阻害するかどうかは、試験抗体の存在下または非存在下でプロテアーゼを潜在型TGF-β1と接触させた後に、当技術分野で公知の様々な方法、例えば電気泳動、クロマトグラフィー、免疫ブロット分析、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)または質量分析を用いて、潜在型TGF-β1の切断産物および/または非切断潜在型TGF-β1を検出することによって決定される。例えば、タンパク質タグ(例えば、FLAGタグ等)が潜在型TGF-β1のLAP領域のN末端に付加される場合、プロテアーゼ媒介切断が起こったときに、タンパク質タグが付加された部分が切り落とされる。したがって、潜在型TGF-β1の切断産物は、タンパク質タグを有さない潜在型TGF-β1(もしくは潜在型TGF-β1のLAP領域)を検出することによって検出され得、および/または非切断潜在型TGF-β1は、タンパク質タグを有する潜在型TGF-β1を検出することによって検出され得る。
別の例として、タンパク質タグ(例えば、FLAGタグ等)が潜在型TGF-β1のLAP領域のN末端に付加され、かつプロテアーゼによる切断部位の場所が潜在型TGF-β1のLAP領域のN末端付近でない場合、プロテアーゼ媒介切断が起こったときに、タンパク質タグを有するLAP領域が短縮される。したがって、潜在型TGF-β1の切断産物は、タンパク質タグを有する短縮されたLAP領域を有する潜在型TGF-β1(または潜在型TGF-β1の短縮されたLAP領域)を検出することによって検出することができる。
いくつかの態様において、試験抗体の非存在下で検出される量と比較して試験抗体の存在下で(または試験抗体との接触後に)潜在型TGF-β1の切断産物の量の減少が検出される場合、その試験抗体は、潜在型TGF-β1の切断を阻害することができる抗体であると同定される。逆に、試験抗体の非存在下で検出される量と比較して試験抗体の存在下で(または試験抗体との接触後に)潜在型TGF-β1の切断産物の量が有意に減少しない場合、その試験抗体は、潜在型TGF-β1の切断を阻害しない抗体であると同定される。いくつかの態様において、試験抗体の非存在下で検出される量と比較して試験抗体の存在下で(または試験抗体との接触後に)非切断潜在型TGF-β1の量の増加が検出される場合、その試験抗体は、潜在型TGF-β1の切断を阻害することができる抗体であると同定される。逆に、試験抗体の非存在下で検出される量と比較して試験抗体の存在下で(または試験抗体との接触後に)非切断潜在型TGF-β1の量が有意に増加しない場合、その試験抗体は、潜在型TGF-β1の切断を阻害しない抗体であると同定される。特定の態様において、試験抗体が潜在型TGF-β1へのプロテアーゼのアクセスをブロックするかどうかは、プロテアーゼと潜在型TGF-β1の間のタンパク質相互作用の検出のための方法、例えばELISAまたは表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE(登録商標)もしくは同様の技術(例えば、KinExaもしくはOCTET(登録商標)))によって決定される。試験抗体の非存在下で検出される相互作用と比較して試験抗体の存在下で(または試験抗体との接触後に)プロテアーゼと潜在型TGF-β1の間の相互作用の減少が検出される場合、その試験抗体は、潜在型TGF-β1へのプロテアーゼのアクセスをブロックすることができる抗体であると同定される。
特定の態様において、潜在型TGF-β1の切断の非阻害は、同様の条件下での陰性対照と比較して、そのアッセイにおける潜在型TGF-β1の切断産物の量の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%、またはそれ以上の増加を含む。いくつかの態様において、潜在型TGF-β1の切断の非阻害は、同様の条件下での陰性対照と比較して、そのアッセイにおける非切断潜在型TGF-β1の量の少なくとも50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下の増加を含む。
3.スクリーニング方法
1つの局面において、本発明の抗体をスクリーニングするための方法は、本明細書に記載されかつ当技術分野で公知の様々な方法を含む。例えば、抗TGF-β1抗体をスクリーニングするための方法は、以下の工程を含む:
(a)潜在型TGF-β1およびプロテアーゼを含む生物学的サンプルを試験抗体と接触させる工程、
(b)(i)試験抗体が潜在型TGF-β1のLAP領域の切断を阻害するかどうか、および(ii)試験抗体が潜在型TGF-β1の活性化を阻害するかどうかを検出する工程、ならびに
(c)潜在型TGF-β1のLAP部分のプロテアーゼ媒介切断を阻害することなく潜在型TGF-β1の活性化を阻害する試験抗体を選択する工程。
あるいは、上記の工程(b)および(c)ではなく、抗TGF-β1抗体をスクリーニングするための方法は、例えば、以下の工程(b)および(c)を含む:
(b)(i)非切断潜在型TGF-β1の量および(ii)成熟TGF-β1の量を測定する工程、ならびに
(c)試験抗体が非存在の場合と比較して非切断潜在型TGF-β1の量が有意に増加せず、成熟TGF-β1の量が減少する場合、潜在型TGF-β1のLAP領域のプロテアーゼ媒介切断を阻害することなく潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1のプロテアーゼ媒介放出を阻害する前記試験抗体を選択する工程。
あるいは、上記の工程(b)および(c)ではなく、抗TGF-β1抗体をスクリーニングするための方法は、例えば、以下の工程(b)および(c)を含む:
(b)(i)潜在型TGF-β1の切断産物の量および(ii)成熟TGF-β1活性のレベルを測定する工程、ならびに
(c)試験抗体が非存在の場合と比較して切断産物の量が有意に減少せず、成熟TGF-β1活性のレベルが減少する場合、潜在型TGF-β1のLAP領域のプロテアーゼ媒介切断を阻害することなく潜在型TGF-β1のプロテアーゼ媒介活性化を阻害する前記試験抗体を選択する工程。
さらに、本発明は、抗TGF-β1抗体を製造するための方法を提供し、本方法は、例えば、上記の工程(a)~(c)に加えて、以下の工程(d)および(e)を含む:
(d)工程(c)において選択された抗TGF-β1抗体のアミノ酸配列情報を入手する工程、および
(e)該抗TGF-β1抗体をコードする遺伝子を宿主細胞に導入する工程。
この文脈において、例えば「非切断潜在型TGF-β1の量が有意に増加しない」および「(潜在型TGF-β1の)切断産物の量が有意に減少しない」というフレーズにおける「有意に増加/減少しない」という用語は、その増加/減少のレベル/程度がゼロであり得る、またはゼロではないかもしれないがほぼゼロである、または技術的に無視できるもしくは当業者によって現実的/実質的にゼロであるとみなされるのに十分なほど極めて低いものであり得ることを意味する。例えば、免疫ブロット分析において、研究者が非切断潜在型TGF-β1に関していかなる有意なシグナル/バンド(または比較的高いまたは強いシグナル)も検出または観察できない場合、その非切断潜在型TGF-β1の量は「有意に増加しない」、または(潜在型TGF-β1の)切断産物の量は「有意に減少しない」とみなされる。加えて、「有意に増加/減少しない」という用語は、「実質的に増加/減少しない」という用語と言い換え可能に使用される。
いくつかの態様において、試験抗体が潜在型TGF-β1のLAP領域の切断を阻害するかどうか、および試験抗体が潜在型TGF-β1の活性化を阻害するかどうかは、本明細書に記載されかつ当技術分野で公知の様々なアッセイによって決定することができる。
D.イムノコンジュゲート
本発明はまた、1つまたは複数の細胞傷害剤(例えば化学療法剤または化学療法薬、増殖阻害剤、毒素(例えば細菌、真菌、植物もしくは動物起源のタンパク質毒素、酵素的に活性な毒素、もしくは
それらの断片)または放射性同位体)にコンジュゲートされた本明細書の抗TGF-β1抗体を含むイムノコンジュゲートを提供する。
一態様において、イムノコンジュゲートは、抗体が、これらに限定されるものではないが以下を含む1つまたは複数の薬剤にコンジュゲートされた、抗体-薬剤コンジュゲート (antibody-drug conjugate: ADC) である:メイタンシノイド(米国特許第5,208,020号、第5,416,064号、および欧州特許第0,425,235号B1参照);例えばモノメチルオーリスタチン薬剤部分DEおよびDF(MMAEおよびMMAF)(米国特許第5,635,483号および第5,780,588号および第7,498,298号参照)などのオーリスタチン;ドラスタチン;カリケアマイシンまたはその誘導体(米国特許第5,712,374号、第5,714,586号、第5,739,116号、第5,767,285号、第5,770,701号、第5,770,710号、第5,773,001号、および第5,877,296号;Hinman et al., Cancer Res. 53:3336-3342 (1993);ならびにLode et al., Cancer Res. 58:2925-2928 (1998) 参照);ダウノマイシンまたはドキソルビシンなどのアントラサイクリン(Kratz et al., Current Med. Chem. 13:477-523 (2006);Jeffrey et al., Bioorganic & Med. Chem. Letters 16:358-362 (2006);Torgov et al., Bioconj. Chem. 16:717-721 (2005);Nagy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:829-834 (2000);Dubowchik et al., Bioorg. & Med. Chem. Letters 12:1529-1532 (2002);King et al., J. Med. Chem. 45:4336-4343 (2002);および米国特許第6,630,579号参照);メトトレキサート;ビンデシン;ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセル、およびオルタタキセルなどのタキサン;トリコテセン;ならびにCC1065。
別の態様において、イムノコンジュゲートは、これらに限定されるものではないが以下を含む酵素的に活性な毒素またはその断片にコンジュゲートされた、本明細書に記載の抗体を含む:ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa) 由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、シナアブラギリ (Aleurites fordii) タンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ (Phytolacca americana) タンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP-S)、ツルレイシ (momordica charantia) 阻害剤、クルシン (curcin)、クロチン、サボンソウ (saponaria officinalis) 阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン (mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、ならびにトリコテセン。
別の態様において、イムノコンジュゲートは、放射性コンジュゲートを形成するために放射性原子にコンジュゲートされた本明細書に記載の抗体を含む。様々な放射性同位体が放射性コンジュゲートの製造に利用可能である。例は、211At、131I、125I、90Y、186Re、188Re、153Sm、212Bi、32P、212PbおよびLuの放射性同位体を含む。放射性コンジュゲートを検出のために使用する場合、放射性コンジュゲートは、シンチグラフィー検査用の放射性原子(例えばTc-99mもしくは123I)、または、核磁気共鳴 (NMR) イメージング(磁気共鳴イメージング、MRIとしても知られる)用のスピン標識(例えばここでもヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン、または鉄)を含み得る。
抗体および細胞傷害剤のコンジュゲートは、様々な二官能性タンパク質連結剤を用いて作製され得る。例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート (SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート (SMCC)、イミノチオラン (IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、アジプイミド酸ジメチルHCl)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン2,6-ジイソシアネート)、およびビス活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)である。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al., Science 238:1098 (1987) に記載されるようにして調製され得る。炭素-14標識された1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸 (MX-DTPA) は、抗体への放射性核種のコンジュゲーションのための例示的なキレート剤である。WO94/11026を参照のこと。リンカーは、細胞内での細胞傷害薬の放出を促進する「切断可能なリンカー」であり得る。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光不安定性リンカー、ジメチルリンカー、またはジスルフィド含有リンカー(Chari et al., Cancer Res. 52:127-131 (1992);米国特許第5,208,020号)が使用され得る。
本明細書のイムノコンジュゲートまたはADCは、(例えば、Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL., U.S.Aから)市販されているBMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、およびスルホ-SMPB、ならびにSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート)を含むがこれらに限定されない架橋試薬を用いて調製されるコンジュゲートを明示的に考慮するが、これらに限定されない。
E.診断および検出のための方法および組成物
特定の態様において、本明細書に提供される抗TGF-β1抗体はいずれも、生物学的サンプルにおいてTGF-β1、例えば潜在型TGF-β1の存在を検出するのに有用である。「検出」という用語は、本明細書で使用される場合、定量的または定性的検出/測定を包含する。特定の態様において、生物学的サンプルは、細胞または組織、例えば血清、全血、血漿、生検サンプル、組織サンプル、細胞懸濁物、唾液、痰、口腔液、脳脊髄液、羊水、腹水、母乳、初乳、乳腺分泌物、リンパ液、尿、汗、涙液、胃液、滑液、腹腔液、眼球液、および粘液を含む。
一態様において、診断または検出方法において使用するための抗TGF-β1抗体が提供される。さらなる局面において、生物学的サンプルにおいてTGF-β1、例えば潜在型TGF-β1の存在を検出する方法が提供される。例えば、潜在型TGF-β1の存在を検出する方法は、
(a)生物学的サンプルと本明細書に記載される本発明の抗TGF-β1抗体を、抗TGF-β1抗体が潜在型TGF-β1に結合するのを許容する条件下で接触させる工程、および
(b)抗TGF-β1抗体と潜在型TGF-β1の間で複合体が形成されるかどうかを検出する工程
を含む。
そのような方法は、インビトロまたはインビボ法であり得る。一態様において、抗TGF-β1抗体は、例えば、TGF-β1、例えば潜在型TGF-β1が患者の選択のためのバイオマーカーとなる場合、抗TGF-β1抗体を用いる治療に適した対象を選択するために使用される。すなわち、抗TGF-β1抗体は、TGF-β1を標的とする上で診断剤として有用である。
より具体的には、抗TGF-β1抗体は、線維症、好ましくは心筋線維症、肺線維症、肝線維症、腎線維症、皮膚線維症、眼筋線維症、および骨髄線維症の診断に有用である。本発明の抗TGF-β1抗体はまた、癌の診断に有用である。
いくつかの態様において、本発明は、生物学的サンプルにおいてプロテアーゼにより媒介される潜在型TGF-β1のLAP領域の切断を阻害することなく潜在型TGF-β1からの成熟TGF-β1の放出を阻害する方法であって、潜在型TGF-β1を含む生物学的サンプルと本発明の抗TGF-β1抗体を、抗体が潜在型TGF-β1に結合するのを許容する条件下で接触させる工程を含む方法を提供する。
特定の態様において、例えば検出/診断目的のために、標識された抗TGF-β1抗体が提供される。標識は、直接的に検出される標識または部分(例えば、蛍光標識、発色標識、高電子密度標識、化学発光標識、および放射性標識)ならびに、例えば酵素反応または分子間相互作用を通じて間接的に検出される部分(例えば酵素またはリガンド)を含むが、これらに限定されない。例示的な標識は、これらに限定されるものではないが、以下を含む:放射性同位体32P、14C、125I、3Hおよび131I、希土類キレートなどの発蛍光団またはフルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)などのルシフェラーゼ、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ (horseradish peroxidase: HRP)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、単糖オキシダーゼ(例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼおよびグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)、ウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼなどの複素環オキシダーゼ、過酸化水素を用いて色素前駆体を酸化する酵素(例えばHRP、ラクトペルオキシダーゼ、またはミクロペルオキシダーゼ)と連結されたもの、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定なフリーラジカル類、ならびにこれらに類するもの。
F.薬学的製剤
本明細書に記載の抗TGF-β1抗体の薬学的製剤は、所望の純度を有する抗体を、1つまたは複数の任意の薬学的に許容される担体 (Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)) と混合することによって、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、調製される。薬学的に許容される担体は、概して、用いられる際の用量および濃度ではレシピエントに対して非毒性であり、これらに限定されるものではないが、以下のものを含む:リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む、抗酸化剤;保存料(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む、単糖、二糖、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、ソルビトールなどの、砂糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン類;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);および/またはポリエチレングリコール (PEG) などの非イオン系表面活性剤。本明細書の例示的な薬学的に許容される担体は、さらに、可溶性中性活性型ヒアルロニダーゼ糖タンパク質 (sHASEGP)(例えば、rHuPH20 (HYLENEX(登録商標)、Baxter International, Inc.) などのヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質)などの間質性薬剤分散剤を含む。特定の例示的sHASEGPおよびその使用方法は(rHuPH20を含む)、米国特許出願公開第2005/0260186号および第2006/0104968号に記載されている。一局面において、sHASEGPは、コンドロイチナーゼなどの1つまたは複数の追加的なグリコサミノグリカナーゼと組み合わせられる。
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水溶液抗体製剤は、米国特許第6,171,586号およびWO2006/044908に記載のものを含み、後者の製剤はヒスチジン-アセテート緩衝液を含んでいる。
本明細書の配合物はまた、治療される特定の適応症に対して必要される2つ以上の活性成分、好ましくは相互に悪影響を及ぼさない補完的活性を有するものを含み得る。例えば、免疫チェックポイント阻害剤、例えばCTLA-4、PD-1、PD-L1、PD-L2、CD160、CD57、CD244、LAG-3、CD272、KLRG1、CD26、CD39、CD73、CD305、TIGIT、TIM-3、またはVISTAの阻害剤をさらに提供することが望ましい場合がある。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、例えば、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、抗CD160抗体、抗CD57抗体、抗CD244抗体、抗LAG-3抗体、抗CD272抗体、抗KLRG1抗体、抗CD26抗体、抗CD39抗体、抗CD73抗体、抗CD305抗体、抗TIGIT抗体、抗TIM-3抗体、または抗VISTA抗体である。好ましくは、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体である。いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、またはセミプリマブである。いくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、またはデュルバルマブ、好ましくはアテゾリズマブである。そのような活性成分は、意図される目的に対して効果的な量で組み合わせて適切に存在する。
有効成分は、例えば液滴形成(コアセルベーション)手法によってまたは界面重合によって調製されたマイクロカプセル(それぞれ、例えば、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセル、およびポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル)に取り込まれてもよいし、コロイド状薬剤送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン小球体、マイクロエマルション、ナノ粒子、およびナノカプセル)に取り込まれてもよいし、マクロエマルションに取り込まれてもよい。このような手法は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980) に開示されている。
徐放性製剤を調製してもよい。徐放性製剤の好適な例は、抗体を含んだ固体疎水性ポリマーの半透過性マトリクスを含み、当該マトリクスは例えばフィルムまたはマイクロカプセルなどの造形品の形態である。
生体内 (in vivo) 投与のために使用される製剤は、通常無菌である。無菌状態は、例えば滅菌ろ過膜を通して濾過することなどにより、容易に達成される。
G.治療方法および組成物
本明細書に提供される抗TGF-β1抗体のいずれも、治療方法において使用され得る。1つの局面において、医薬として使用するための抗TGF-β1抗体が提供される。さらなる局面において、癌または線維症(例えば、肝線維症、腎線維症、もしくは肺線維症)等を治療するのに使用するための抗TGF-β1抗体が提供される。特定の態様において、治療方法において使用するための抗TGF-β1抗体が提供される。特定の態様において、本発明は、個体に有効量の抗TGF-β1抗体を投与する工程を含む癌または線維症(例えば、肝線維症、腎線維症、もしくは肺線維症)等を有する個体を治療する方法において使用するための抗TGF-β1抗体を提供する。そのような一態様において、この方法は、例えば以下に記載されるような少なくとも1つの追加治療剤を有効量で個体に投与する工程をさらに含む。さらなる態様において、本発明は、潜在型TGF-β1のプロテアーゼ媒介活性化を阻害するのに使用するための抗TGF-β1抗体を提供する。特定の態様において、本発明は、潜在型TGF-β1のプロテアーゼ媒介活性化を阻害するよう個体に有効量の抗TGF-β1抗体を投与する工程を含む、個体における潜在型TGF-β1のプロテアーゼ媒介活性化を阻害する方法において使用するための抗TGF-β1抗体を提供する。上述の態様の任意のものにおける「個体」は、好ましくはヒトである。
さらなる局面において、本発明は、医薬の製造または調製における抗TGF-β1抗体の使用を提供する。一態様において、医薬は、癌または線維症(例えば、肝線維症、腎線維症、もしくは肺線維症)等を治療するためのものである。さらなる態様において、医薬は、癌または線維症(例えば、肝線維症、腎線維症、もしくは肺線維症)等を有する個体に有効量の医薬を投与する工程を含む、癌または線維症(例えば、肝線維症、腎線維症、もしくは肺線維症)等を治療する方法において使用するためのものである。そのような一態様において、この方法は、例えば以下に記載されるような少なくとも1つの追加治療剤を有効量で個体に投与する工程をさらに含む。さらなる態様において、医薬は、潜在型TGF-β1のプロテアーゼ媒介活性化を阻害するためのものである。さらなる態様において、医薬は、潜在型TGF-β1のプロテアーゼ媒介活性化を阻害するよう個体に有効量の医薬を投与する工程を含む、個体における潜在型TGF-β1のプロテアーゼ媒介活性化を阻害する方法において使用するためのものである。上述の態様の任意のものにおける「個体」は、好ましくはヒトである。
さらなる局面において、本発明は、癌または線維症(例えば、肝線維症、腎線維症、もしくは肺線維症)等を治療するための方法を提供する。一態様において、この方法は、そのような癌または線維症(例えば、肝線維症、腎線維症、もしくは肺線維症)等を有する個体に有効量の抗TGF-β1抗体を投与する工程を含む。そのような一態様において、この方法は、例えば以下に記載されるような少なくとも1つの追加治療剤を有効量で個体に投与する工程をさらに含む。上述の態様の任意のものにおける「個体」は、ヒトであり得る。
さらなる局面において、本発明は、個体における潜在型TGF-β1のプロテアーゼ媒介活性化を阻害するための方法を提供する。一態様において、この方法は、潜在型TGF-β1のプロテアーゼ媒介活性化を阻害するよう個体に有効量の抗TGF-β1抗体を投与する工程を含む。一態様において、「個体」はヒトである。
さらなる局面において、本発明は、本明細書で提供される抗TGF-β1抗体の任意のものを含む、薬学的製剤を提供する(例えば上述の治療的方法の任意のものにおける使用のための)。一態様において、薬学的製剤は、本明細書で提供される抗TGF-β1抗体の任意のものと、薬学的に許容される担体とを含む。別の態様において、薬学的製剤は、本明細書で提供される抗TGF-β1抗体の任意のものと、少なくとも1つの(例えば後述するような)追加治療剤とを含む。
本発明の抗体は、療法において、単独または他の剤との組み合わせのどちらでも使用され得る。例えば、本発明の抗体は、少なくとも1つの追加の治療剤と同時投与されてもよい。特定の態様において、追加治療剤は、免疫チェックポイント阻害剤、例えばCTLA-4、PD-1、PD-L1、PD-L2、CD160、CD57、CD244、LAG-3、CD272、KLRG1、CD26、CD39、CD73、CD305、TIGIT、TIM-3、またはVISTAの阻害剤である。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、例えば、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、抗CD160抗体、抗CD57抗体、抗CD244抗体、抗LAG-3抗体、抗CD272抗体、抗KLRG1抗体、抗CD26抗体、抗CD39抗体、抗CD73抗体、抗CD305抗体、抗TIGIT抗体、抗TIM-3抗体、または抗VISTA抗体である。好ましくは、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体である。いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブまたはセミプリマブである。いくつかの態様において、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブまたはデュルバルマブ、好ましくはアテゾリズマブである。いくつかの態様において、本発明の抗TGF-β抗体および免疫チェックポイント阻害剤を含む併用療法は、抗TGFβ抗体単独療法または免疫チェックポイント阻害剤単独療法と比較して、相加的または相乗的効果、例えば相加的または相乗的抗腫瘍効果を有する。
上述したような併用療法は、併用投与(2つ以上の治療剤が、同じまたは別々の製剤に含まれる)、および個別投与を包含し、個別投与の場合、本発明の抗体の投与が追加治療剤の投与に先立って、と同時に、および/または、続いて、行われ得る。一態様において、抗TGF-β1抗体の投与および追加治療剤の投与は、互いに、約1か月以内、または約1、2、または3週間以内、または約1、2、3、4、5、または6日以内に行われる。本発明の抗体は、放射線療法と組み合わせて使用されることもできる。
本発明の抗体(および、任意の追加治療剤)は、非経口投与、肺内投与、および経鼻投与、また局所的処置のために望まれる場合は病巣内投与を含む、任意の好適な手段によって投与され得る。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与を含む。投薬は、投与が短期か長期かに一部応じて、例えば、静脈内注射または皮下注射などの注射によるなど、任意の好適な経路によってなされ得る。これらに限定されるものではないが、単回投与または種々の時点にわたる反復投与、ボーラス投与、および、パルス注入を含む、種々の投薬スケジュールが本明細書の考慮の内である。
本発明の抗体は、優良医療規範 (good medical practice) に一致したやり方で、製剤化され、投薬され、また投与される。この観点から考慮されるべきファクターは、治療されているその特定の障害、治療されているその特定の哺乳動物、個々の患者の臨床症状、障害の原因、剤を送達する部位、投与方法、投与のスケジュール、および医療従事者に公知の他のファクターを含む。抗体は、必ずしもそうでなくてもよいが、任意で、問題の障害を予防するまたは治療するために現に使用されている1つまたは複数の剤とともに、製剤化される。そのような他の剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害または治療のタイプ、および上で論じた他のファクターに依存する。これらは通常、本明細書で述べたのと同じ用量および投与経路で、または本明細書で述べた用量の約1から99%で、または経験的/臨床的に適切と判断される任意の用量および任意の経路で、使用される。
疾患の予防または治療のために、本発明の抗体の適切な用量(単独で用いられるときまたは1つまたは複数の他の追加治療剤とともに用いられるとき)は、治療される疾患のタイプ、抗体のタイプ、疾患の重症度および経過、抗体が予防的目的で投与されるのか治療的目的で投与されるのか、薬歴、患者の臨床歴および抗体に対する応答、ならびに、主治医の裁量に依存するだろう。抗体は、患者に対して、1回で、または一連の処置にわたって、好適に投与される。疾患のタイプおよび重症度に応じて、例えば、1回または複数回の別々の投与によるにしても連続注入によるにしても、約1μg/kgから15 mg/kg(例えば、0.1mg/kg~10mg/kg)の抗体が、患者に対する投与のための最初の候補用量とされ得る。1つの典型的な1日用量は、上述したファクターに依存して、約1μg/kgから100mg/kg以上まで、幅があってもよい。数日またはより長くにわたる繰り返しの投与の場合、状況に応じて、治療は通常疾患症状の所望の抑制が起きるまで維持される。抗体の1つの例示的な用量は、約0.05mg/kg から約 10mg/kgの範囲内である。よって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、もしくは 10mg/kgの1つまたは複数の用量(またはこれらの任意の組み合わせ)が、患者に投与されてもよい。このような用量は、断続的に、例えば1週間毎にまたは3週間毎に(例えば、患者が約2から約20、または例えば約6用量の抗体を受けるように)、投与されてもよい。高い初回負荷用量の後に、1回または複数回の低用量が投与されてもよい。しかし、他の投薬レジメンも有用であり得る。この療法の経過は、従来の手法および測定法によって、容易にモニタリングされる。
H.製品
本発明の別の局面において、上述の障害の治療、予防、および/または診断に有用な器材を含んだ製品が、提供される。製品は、容器、および当該容器上のラベルまたは当該容器に付属する添付文書を含む。好ましい容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグなどが含まれる。容器類は、ガラスやプラスチックなどの、様々な材料から形成されていてよい。容器は組成物を単体で保持してもよいし、症状の治療、予防、および/または診断のために有効な別の組成物と組み合わせて保持してもよく、また、無菌的なアクセスポートを有していてもよい(例えば、容器は、皮下注射針によって突き通すことのできるストッパーを有する静脈内投与用溶液バッグまたはバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも1つの有効成分は、本発明の抗体である。ラベルまたは添付文書は、組成物が選ばれた症状を治療するために使用されるものであることを示す。さらに製品は、(a)第一の容器であって、その中に収められた本発明の抗体を含む組成物を伴う、第一の容器;および、(b)第二の容器であって、その中に収められたさらなる細胞傷害剤またはそれ以外で治療的な剤を含む組成物を伴う、第二の容器を含んでもよい。本発明のこの態様における製品は、さらに、組成物が特定の症状を治療するために使用され得ることを示す、添付文書を含んでもよい。あるいはまたは加えて、製品はさらに、注射用制菌水 (BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、およびデキストロース溶液などの、薬学的に許容される緩衝液を含む、第二の(または第三の)容器を含んでもよい。他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、およびシリンジなどの、他の商業的観点またはユーザの立場から望ましい器材をさらに含んでもよい。
上述の製品のいずれについても、抗TGF-β1抗体の代わりにまたはそれに追加して、本発明のイムノコンジュゲートを含んでもよいことが、理解されよう。
実施例1:ヒトまたはマウス潜在型TGF-β1およびマウス潜在関連ペプチド(LAP)の発現および精製
発現および精製に使用した配列は、ヒト潜在型TGF-β1(配列番号:29、30)およびマウス潜在型TGF-β1(配列番号:31、32)であり、両方ともラット血清アルブミン由来のシグナル配列(配列番号:33)、C33S変異、およびLAPのN末端にFlagタグを有する。
Flagタグ付きヒト潜在型TGF-β1(本明細書中以降、「組み換えヒト潜在型TGF-β1」と呼ばれる)またはflagタグ付きマウス潜在型TGF-β1(本明細書中以降、「組み換えマウス潜在型TGF-β1」と呼ばれる)を、FreeStyle293-FまたはExpi293F細胞株(Thermo Fisher Scientific)を用いて一過的に発現させた。ヒトまたはマウス潜在型TGF-β1を発現する馴化培地を、抗Flag M2親和性樹脂(Sigma)を充填したカラムにアプライし、潜在型TGF-β1を、Flagペプチド(Sigma)を用いて溶出させた。ヒトまたはマウス潜在型TGF-β1を含む画分を収集し、その後に1x PBSで平衡化したSuperdex 200ゲルろ過カラム(GE healthcare)に供した。その後、ヒトまたはマウス組み換え潜在型TGF-β1を含む画分をプールし、-80℃で保管した。
実施例2:ヒト/マウス種交差性抗潜在型TGF-β1抗体の同定
ヒトおよびマウスの両潜在型TGF-β1に結合する特異的抗体を、以下のように調製、選択およびアッセイした:
最初に、12~16週齢のNZWウサギを、ヒトおよびマウス組み換え潜在型TGF-β1タンパク質(100マイクログラム/用量/ウサギ)を用いて皮内的に免疫化した。最初の免疫化から2週間後に、マウスおよびヒト組み換え潜在型TGF-β1タンパク質(50マイクログラム/用量/ウサギ)の間で交互に、4回のさらなる投与を毎週行った。最後の免疫化から1週間後に、免疫化したウサギから脾臓および血液を収集した。B細胞選別のために、組み換えヒト潜在型TGF-β1タンパク質を、NHS-PEG4-ビオチン(PIERCE、カタログ番号21329)を用いてインビトロで標識した。WO2016098357に記載されるように、抗原特異的B細胞を、標識された抗原で染色し、FCM細胞ソーター(FACS aria III, BD)を用いて選別し、プレーティングして培養した。7~12日間の培養後、B細胞培養上清をさらなる分析のために収集し、細胞ペレットを凍結保存した。
Octet RED96システム(Pall ForteBio)を用いて結合体スクリーニングを行った。1408のB細胞上清のバッチ1を、組み換えマウス潜在型TGF-β1への結合についてスクリーニングし、組み換えマウス潜在型TGF-β1への結合性を示した149株をクローニングのために選択した(TBA0888~TBA1036)。5338個のB細胞上清のバッチ2を、ヒトおよびマウス組み換え潜在型TGF-β1への結合についてスクリーニングし、ヒトおよびマウスのいずれかまたは両方の組み換え潜在型TGF-β1上清への結合を示した162株の細胞をクローニングのために選択した(TBA1037~TBA1198)。
抗体遺伝子のクローニングのために、ZR-96 Quick-RNAキット(ZYMO RESEARCH、カタログ番号R1053)を用いて対応するB細胞ペレットからRNAを精製した。それらの抗体重鎖可変領域のDNAを、逆転写PCRにより増幅し、F1332m重鎖定常領域(配列番号:34)と組み合わせた。それらの抗体軽鎖可変領域のDNAを、逆転写PCRにより増幅し、hkOMC軽鎖定常領域(配列番号:35)と組み合わせた。組み換え抗体を、製造元の指示(Life technologies)にしたがいFreeStyle293-F細胞において一過的に発現させ、AssayMAP BravoプラットフォームをプロテインAカートリッジ(Agilent)と共に用いて精製した。
実施例3:抗潜在型TGF-β1抗体の生成のための抗体スクリーニング
成熟TGF-β1を検出するELISA(Human TGF-beta 1 Quantikine ELISA Kit、R&D systems)を用いて、プラスミン媒介TGF-β1活性化を評価した。マウス組み換え潜在型TGF-β1を、抗潜在型TGF-β1抗体の存在下または非存在下、37℃で1時間、ヒトプラスミン(Calbiochem)と共にインキュベートした。混合物中の成熟TGF-β1の量を、上記のELISAによって分析した。この検出は、製造元の手順にしたがい行った。プラスミン媒介TGF-β1活性化に対する阻害活性を有する抗潜在型TGF-β1抗体を選出した(例えば、TBA0946、TBA0947、TBA1172、TBA1122、TBA1006およびTBA0898)。TBA0946のH鎖およびL鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:36および37に示される。TBA0947のH鎖およびL鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:38および39に示され、TBA1172のH鎖およびL鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:40および41に示される。さらに、TBA0946、TBA0947およびTBA1127の可変領域(VR)およびCDR(HVR)のアミノ酸配列を、以下に示す。
実施例4:組み換え抗体の発現および精製
FreeStyle293-FまたはExpi293F細胞株(Thermo Fisher Scientific)を用いて、組み換え抗体を一過的に発現させた。抗体を発現する馴化培地からの精製は、プロテインAまたはプロテインGを用いる従来法を用いて行った。必要に応じて、ゲルろ過をさらに行った。
実施例5:抗潜在型TGF-β1抗体の特徴づけ
1. 抗潜在型TGF-β1抗体は細胞表面潜在型TGF-β1に結合した
細胞表面潜在型TGF-β1に対する抗潜在型TGF-β1抗体(TBA0946、TBA0947またはTBA1172)の結合を、Ba/F3細胞またはヒトTGF-β1トランスフェクトFreeStyle(商標)293-F細胞(ThermoFisher)を用いてFACSにより試験した。10マイクログラム/mLの抗潜在型TGF-β1抗体を、各細胞株と共に、摂氏4度(℃)で30分間インキュベートし、FACS緩衝液(PBS中2%FBS、2mM EDTA)で洗浄した。抗KLH抗体(IC17)を、陰性対照抗体として使用した。ついで、ヤギF(ab')2抗ヒトIgG,マウスads-PE(Southern Biotech、カタログ2043-09)またはヤギF(ab')2抗マウスIgG(H+L),ヒトAds-PE(Southern Biotech、カタログ1032-09)を添加し、4℃で30分間インキュベートし、FACS緩衝液で洗浄した。データ取得は、FACS Verse(Beckton Dickinson)を用いて行い、その後にFlowJoソフトウェア(Tree Star)およびGraphPad Prismソフトウェア(GraphPad)を用いて分析した。図1に示すように、TBA0946、TBA0947およびTBA1172は、Ba/F3細胞上に発現されるマウス細胞表面潜在型TGF-β1に結合した。TBA0947およびTBA1172は、FreeStyle(商標)293-F細胞上に発現されるヒト細胞表面潜在型TGF-β1に結合した。
2. 抗潜在型TGF-β1抗体は自然発生的マウス潜在型TGF-β1活性化を阻害した
組み換えマウス潜在型TGF-β1を、抗潜在型TGF-β1抗体(TBA0946、TBA0947またはTBA1172)の存在下または非存在下、37℃で1時間インキュベートした。マウス潜在型TGF-β1の自然発生的活性化を、製造元の手順にしたがい成熟TGF-β1 ELISA(Human TGF-beta 1 Quantikine ELISA Kit, R&D systems)により分析した。図2に示すように、TGF-β1の自然発生的活性化は、抗潜在型TGF-β1抗体によって抑制された。
3. 抗潜在型TGF-β1抗体はプラスミン媒介マウス潜在型TGF-β1活性化を阻害した
組み換えマウス潜在型TGF-β1を、抗潜在型TGF-β1抗体(TBA0946、TBA0947またはTBA1172)の存在下または非存在下、37℃で1時間、プラスミン(Calbiochem)と共にインキュベートした。プラスミン媒介マウス潜在型TGF-β1活性化および抗体媒介阻害を、製造元の手順にしたがい成熟TGF-β1 ELISA(Human TGF-beta 1 Quantikine ELISA Kit, R&D systems)により分析した。図3に示すように、プラスミン媒介TGF-β1活性化は、抗潜在型TGF-β1抗体によって抑制された。
4. 抗潜在型TGF-β1抗体はプラスミン媒介ヒト潜在型TGF-β1活性化を阻害した
組み換えヒト潜在型TGF-β1を、抗潜在型TGF-β1抗体(TBA0946、TBA0947またはTBA1172)の存在下または非存在下、37℃で1時間、プラスミン(Calbiochem)と共にインキュベートした。プラスミン媒介TGF-β1活性化および抗体媒介阻害を、製造元の手順にしたがい成熟TGF-β1 ELISA(Human TGF-beta 1 Quantikine ELISA Kit, R&D systems)により分析した。図4に示すように、プラスミン媒介ヒト潜在型TGF-β1活性化は、抗潜在型TGF-β1抗体によって抑制された。
5. 抗潜在型TGF-β1抗体はMMP2およびMMP9媒介マウス潜在型TGF-β1活性化を阻害した
組み換えマウス潜在型TGF-β1を、抗潜在型TGF-β1抗体の存在下または非存在下、37℃で2時間、活性化されたMMP2またはMMP9(R&D Systems)と共にインキュベートした。MMP2またはMMP9媒介マウス潜在型TGF-β1活性化および抗体媒介阻害を、製造元の手順にしたがい成熟TGF-β1 ELISA(Human TGF-beta 1 Quantikine ELISA Kit, R&D systems)により分析した。抗KLH抗体(IC17)を陰性対照として使用した。MMP阻害剤の一つであるGM6001(TOCRIS)を陽性対照として使用した。図5に示すように、MMP2およびMMP9媒介マウス潜在型TGF-β1活性化は、抗潜在型TGF-β1抗体によって抑制された。
6. 抗潜在型TGF-β1抗体はプラスミン媒介潜在型TGF-β1プロペプチド切断を妨げることなく成熟TGF-β1放出を阻害した
組み換えマウス潜在型TGF-β1を、抗潜在型TGF-β1抗体(TBA0946、TBA0947またはTBA1172)の存在下または非存在下、37℃で1時間、ヒトプラスミン(Calbiochem)と共にインキュベートした。抗KLH抗体(IC17)を陰性対照として使用した。セリンプロテアーゼ阻害剤の一つであるメシル酸カモスタット(TOCRIS)を陽性対照として使用した。4x SDS-PAGEサンプル緩衝液(Wako)と混合し、サンプルを95℃で5分間加熱し、その後にSDSゲル電気泳動に供した。タンパク質を、Trans-Blot(登録商標)Turbo(商標)Transfer System(Bio-rad)により膜に転写した。プロペプチドを、マウス抗FLAG,M2-HRP抗体(Sigma-Aldrich)を用いて検出した。膜をECL基質と共にインキュベートし、画像をImageQuant LAS 4000(GE Healthcare)により撮影した。図6に示すように、プラスミンによるプロペプチド切断は、TBA0946、TBA0947およびTBA1172により阻害されなかった。
7. 抗潜在型TGF-β1抗体はマウスPBMCにおいてインテグリン媒介潜在型TGF-β1活性化を部分的に阻害したかまたは阻害しなかった
インテグリン媒介潜在型TGF-β1活性化を検出するため、マウスPBMCおよびHEK-Blue(商標)TGF-β細胞共培養アッセイを行った。マウスPBMCを、Histopaque-1083密度勾配培地(Sigma-Aldrich)を用いることによってマウス血液から単離した。Smad3/4結合エレメント(SBE)誘導性SEAPレポーター遺伝子を発現するHEK-Blue(商標)TGF-β細胞(Invitrogen)は、Smad3/4の活性化をモニタリングすることにより生物学的に活性なTGF-β1の検出を可能にする。活性TGF-β1は、細胞上清へのSEAPの産生を刺激する。分泌されたSEAPの量は、QUANTI-Blue(商標)試薬(Invitrogen)を用いることによって評価される。
HEK-Blue(商標)TGF-β細胞を、10%ウシ胎仔血清、50 U/mLストレプトマイシン、50マイクログラム/mLペニシリン、100マイクログラム/mLノルモシン、30マイクログラム/mLのブラストサイジン、200マイクログラム/mLのHygroGold、および100マイクログラム/mLのゼオシンを補充したDMEM培地(Gibco)中で維持した。機能アッセイの間、細胞用培地をアッセイ培地(10% FBSを含むRPMI1640)に交換し、96ウェルプレートに播種した。ついで、抗潜在型TGF-β1抗体(TBA0946、TBA0947またはTBA1172)およびマウスPBMCをウェルにアプライし、HEK-Blue(商標)TGF-β細胞と共に一晩インキュベートした。ついで、細胞上清をQUANTI-Blue(商標)と混合し、比色プレートリーダーにおいて620 nmでの光学密度を測定した。陰性対照抗体IC17はTGF-β1活性に影響しなかったのに対して、抗成熟TGF-β抗体GC1008はTGF-β1活性化を阻害した。インテグリン媒介TGF-β1活性化を抑制するデコイペプチドであるRGDペプチド(GRRGDLATIH、GenScript)は、マウスPBMCにおいてTGF-β1活性化を強く阻害した。さらに、RGE対照ペプチド(GRRGELATIH、GenScript)は、その活性化をわずかに抑制したのみであった。これらの結果は、マウスPBMCにおけるTGF-β1活性化がインテグリン媒介活性化に大きく依存していることを示唆した。図7に示すように、TBA0946は、マウスPBMCにおいてインテグリン媒介TGF-β1活性化を全く阻害しなかった。しかし、TBA0947およびTBA1172は、マウスPBMCにおいてインテグリン媒介TGF-β1活性化を部分的に阻害した。
8. 抗潜在型TGF-β1抗体の結合活性評価のためのBiacore分析
pH 7.4におけるヒト潜在型TGF-β1に結合する抗潜在型TGF-β1抗体の結合活性を、Biacore 8K機器(GE Healthcare)を用いて37℃で決定した。アミンカップリングキット(GE Healthcare)を用いてCM4センサチップのすべてのフローセルに抗ヒトFc(GE Healthcare)を固定した。抗体を抗Fcセンサ表面に捕捉し、ついで組み換えヒト潜在型TGF-β1をフローセルに注入した。すべての抗体および分析物を、20 mM ACES、150 mM NaCl、1.2 mM CaCl2、0.05% Tween 20、0.005% NaN3を含むACES pH 7.4中で調製した。センサ表面を、サイクル毎に3M MgCl2で再生した。Biacore 8K Evaluationソフトウェア、バージョン1.1.1.7442(GE Healthcare)を用いてデータを処理し、1:1結合モデルにフィッティングすることによって結合活性を決定した。ヒト潜在型TGF-β1に結合する抗潜在型TGF-β1抗体の結合活性を、表4に示す。
9. 抗潜在型TGF-β1抗体は成熟TGF-β1に結合しなかった
マウス成熟TGF-β1を、精製された組み換えマウス潜在型TGF-β1から精製した。組み換えマウス潜在型TGF-β1を、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)の添加により酸性化し、Vydac 214TP C4逆相カラム(Grace, Deerfield, IL, USA)にアプライし、TFA/CH3CN勾配を用いて溶出させた。成熟TGF-β1を含む画分をプールし、乾燥させ、-80℃で保管した。再構成のために、成熟TGF-β1を4 mM HClに溶解させた。
384ウェルプレートを、4℃で一晩、マウス成熟TGF-β1でコーティングした。TBS-Tによる4回の洗浄後、プレートを、室温で2時間、ブロッキング緩衝液(1x TBS/tween20 + 0.5%BSA + 1x Block ace)でブロックした。TBS-Tによる4回の洗浄後、抗体溶液をプレートに添加し、室温で2時間インキュベートした。TBS-Tによる4回の洗浄後、希釈した二次抗体(ヤギ抗ヒトIgG-HRP Santa Cruzカタログsc-2453)をプレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。TBS-Tによる4回の洗浄後、TMB溶液をプレートに添加し、室温で15分間インキュベートし、その後に反応を停止させるために1N硫酸を添加した。吸光度を450 nm/570 nmで測定した。図8に示すように、抗潜在型TGF-β1抗体は、マウス成熟TGF-β1に結合しなかった。
実施例6:インビボ有効性アッセイ
1. UUO誘導マウス腎線維症モデルにおける抗潜在型TGF-β1抗体のインビボ有効性
モノクローナル抗体TBA946、TBA947およびTBS1172のインビボ有効性を、進行性腎線維症を誘導する片側尿管閉塞(UUO)マウスモデルにおいて評価した。
7週齢の指定病原体フリーC57BL/6Jオスマウスを、日本チャールス・リバー株式会社(神奈川、日本)から購入し、処置開始前に1週間順応させた。動物は、20~26℃、12:12時間の明/暗周期で維持し、市販の標準食(#CE-2;日本クレア株式会社、静岡、日本)および水道水を自由に与えた。
イソフラン麻酔条件下でUUO手術を行った。腹部の左側を剃毛し、皮膚上に縦切開部を形成した。第2の切開部を腹膜上に形成し、皮膚も引き寄せて、腎臓を露出させた。鉗子を用いて、腎臓を表面に出し、左尿管を、腎臓下で2箇所、手術用のシルクを用いて締め付けた。結紮した腎臓を、慎重にその正確な解剖学的位置に戻し、その後に腹膜および皮膚を縫合した。動物の苦痛を和らげるために鎮痛剤を添加した。疑似手術群では、腹膜および皮膚を切開および縫合したのみであった。
すべてのモノクローナル抗体を、手術措置の前に1回、静脈内注射により投与した。疑似手術群には、ビヒクルを投与した。抗体は50 mg/kgで投与した。抗成熟TGF-β抗体GC1008(米国特許第8,383,780号に記載される)を陽性対照として使用し(50 mg/kg)、抗KLH抗体IC17をこの研究における陰性対照として使用した(50 mg/kg)。7日目に、この動物を体重測定し、イソフラン麻酔下での全採血により屠殺した。心臓腔または下大静脈から血液サンプルを収集し、アッセイを行うまで-80℃で維持した。腎臓を素早く摘出および秤量した。分子分析のために、腎臓組織の一部を液体窒素中またはドライアイス上で瞬間凍結させた。
RNeasy Mini Kit(Qiagen、東京、日本)を用いて肝臓組織から総RNAを抽出し、Transcriptor Universal cDNA Master(Roche Applied Science、東京、日本)を用いてcDNAを合成した。遺伝子発現を、LightCycler 480 System(Roche Applied Science)を用いて測定した。遺伝子用プライマーおよびTaq-ManプローブをApplied Biosystemsから購入した。マウスミトコンドリアリボソームタンパク質L19(MRPL19)を、各サンプルの内因性参照として使用した。相対mRNA発現値を、ダブルデルタCt分析を用いて計算した。この実験の結果を、図9および10に示す。腎線維症に対する抗体の阻害活性を、腎臓におけるコラーゲン1型α1およびプラスミノゲン活性化因子阻害因子1 mRNAにより評価した。UU0マウスは、コラーゲンmRNAレベルの有意な増加を示し、すべての抗体(GC1008、TBS946、TBA947およびTBA1172)が減少を示した。
組織への細胞外マトリクス沈着を評価するため、コラーゲンに含まれるアミノ酸の一つである腎臓内のヒドロキシプロリン含量を測定した。水分を含む腎臓組織を110℃で3時間乾燥させ、秤量した。ついで、6N HCl(100マイクロL/1mg乾燥組織)を乾燥させた組織に添加し、一晩煮沸した。フィルターによってサンプルをきれいにし、10マイクロLの各サンプルを96ウェルプレートに置いた。サンプルを有するプレートを室温で一晩乾燥させ、ヒドロキシプロリンアッセイキット(BioVision)を用いてヒドロキシプロリンを測定した。この実験の結果を図11に示す。ヒドロキシプロリン含量の有意な増加が、疾患誘導された腎臓において観察され、すべての抗体(GC1008、TBS946、TBA947およびTBA1172)が腎線維症を阻害した。
データは、平均+/-標準誤差(SEM)で表されている。統計分析は、分散分析(ANOVA)およびスチューデントt検定を用いて行った。P値が<0.05または0.01のとき、差が有意であるとみなした。
2. ブレオマイシン誘導マウス肺線維症モデルにおける抗潜在型TGF-β1抗体のインビボ有効性
モノクローナル抗体TBS1172のインビボ有効性を、進行性肺線維症を誘導するブレオマイシン(BLM)マウスモデルにおいて評価した。
6週齢の指定病原体フリーC57BL/6Jオスマウスを、日本チャールス・リバー株式会社(神奈川、日本)から購入し、処置開始前に1週間順応させた。動物は、20~26℃、12:12時間の明/暗周期で維持し、市販の標準食(#CE-2;日本クレア株式会社、静岡、日本)および水道水を自由に与えた。
イソフラン麻酔条件下でBLMの気管内注入を行った。すべてのモノクローナル抗体を、BLM注入後7日目および14日目に、静脈内注射により投与した。抗体は50 mg/kgで投与した。抗成熟TGF-β抗体GC1008(米国特許第8,383,780号に記載される)を陽性対照として使用し(50 mg/kg)、抗KLH抗体IC17をこの研究における陰性対照として使用した(50 mg/kg)。21日目に、この動物を体重測定し、イソフラン麻酔下での全採血により屠殺した。心臓腔または下大静脈から血液サンプルを収集し、アッセイを行うまで-80℃で維持した。肺を素早く摘出および秤量した。分子分析のために、肺組織の一部を液体窒素中またはドライアイス上で瞬間凍結させた。
総RNAを肺組織から抽出し、これは(実施例6-1で詳述されている)以前の方法を用いて行った。マウスミトコンドリアリボソームタンパク質L19(MRPL19)を、各サンプルの内因性参照として使用した。相対mRNA発現値を、ダブルデルタCt分析を用いて計算した。この実験の結果を、図12、13および14に示す。肺線維症に対する抗体阻害活性を、肺におけるコラーゲン1型α1、プラスミノゲン活性化因子阻害因子1およびケモカインリガンド2 mRNAにより評価した。BLM投与マウスは、コラーゲン1型α1およびプラスミノゲン活性化因子1 mRNAレベルの有意な増加を示し、TBA1172およびGC1008は減少を示した。GC1008は、肺におけるケモカインリガンド2 mRNAを劇的に増加させたが、TBA1172は増加させなかった。
組織への細胞外マトリクス沈着を評価するため、コラーゲンに含まれるアミノ酸の一つである肺内のヒドロキシプロリン含量を測定した。水分を含む肺組織を凍結乾燥させ、秤量した。ついで、6N HCl(50マイクロL/1mg乾燥組織)を乾燥させた組織に添加し、110℃で一晩煮沸した。フィルターによってサンプルをきれいにし、ヒドロキシプロリンの各サンプル濃度を質量分析によって測定した。この実験の結果を図15に示す。ヒドロキシプロリン含量の有意な増加が、疾患誘導された肺において観察された。TBA1172は肺線維症を阻害する傾向を示した。
データは、平均+/-標準誤差(SEM)で表されている。統計分析は、分散分析(ANOVA)およびスチューデントt検定を用いて行った。P値が<0.05または0.01のとき、差が有意であるとみなした。
参考実施例1:マウス潜在関連ペプチド(LAP)の発現および精製
N末端Flagタグ付加マウスLAP(配列番号:42、43)(本明細書中以降、「組み換えマウス潜在関連タンパク質(LAP)」と呼ばれる)の発現および精製を、実施例1に記載されるヒトまたはマウス組み換え潜在型TGF-β1と全く同じ方法で行った。
参考実施例2:抗潜在型TGF-β1抗体の同定
本発明の抗体を、以下のようにして調製、選択およびアッセイした:
12~16週齢のNZWウサギを、N末端FLAGタグを有するマウス組み換え潜在型TGF-β1またはN末端FLAGタグを有するマウス組み換えTGF-β1潜在関連タンパク質(50~100マイクログラム/用量/ウサギ)を用いて皮内的に免疫化した。この投与を、2ヶ月の期間にわたって4回繰り返した。最後の免疫化から1週間後に、免疫化したウサギから脾臓および血液を収集した。ヒト組み換え潜在型TGF-β1を、NHS-PEG4-ビオチン(PIERCE、カタログ番号21329)を用いて標識し、抗原特異的B細胞を標識抗原を用いて染色し、FCM細胞ソーター(FACS aria III, BD)を用いて選別し、25,000細胞/ウェルのEL4細胞(European Collection of Cell Cultures)および20倍希釈したウサギT細胞馴化培地と共に1細胞/ウェルの密度で96ウェルプレートにプレーティングし、7~12日間培養した。事前に、EL4細胞をマイトマイシンC(Sigma, カタログ番号M4287)で2時間処理し、3回洗浄した。ウサギT細胞馴化培地は、フィトヘマグルチニン-M(Roche, カタログ番号1 1082132-001)、ホルボール12-ミリスタート13-アセタート(Sigma, カタログP1585)および2%FBSを含むRPMI-1640中でウサギ胸腺を培養することによって調製した。培養後、B細胞培養上清をさらなる分析のために収集し、ペレットを凍結保存した。
ELISAアッセイを用いて、B細胞培養上清中の抗体の特異性を試験した。ヒトまたはマウス組み換え潜在型TGF-β1を、室温で1時間、PBS中16 nMで、384ウェルMAXISorp(Nunc, カタログ番号164688)上にコーティングした。ついでプレートを、5倍希釈したBlocking One(ナカライテスク, カタログ番号03953-95)でブロックした。このプレートを、0.05% Tween-20(TBS-T)を含むTris緩衝生理食塩水で洗浄し、B細胞培養上清をELISAプレートに添加し、1時間インキュベートし、TBS-Tで洗浄した。結合を、ヤギ抗ウサギIgGセイヨウワサビペルオキシダーゼ(BETHYL, カタログ番号A120-111P)およびその後のABTS(KPL, カタログ番号50-66-06)の添加により検出した。
合計8,560個のB細胞株を、マウスおよび/またはヒト潜在型TGF-β1に対する結合特異性に関してスクリーニングし、188株を選択し、TBS001~188と命名した。RNAを、ZR-96 Quick-RNAキット(ZYMO RESEARCH, カタログ番号R1053)を用いることにより対応する細胞ペレットから精製した。それらの抗体重鎖可変領域のDNAを、逆転写PCRにより増幅し、mF18またはF1332m重鎖定常領域と組み合わせた(配列番号:44、36)。それらの抗体軽鎖可変領域のDNAを、逆転写PCRにより増幅し、mk1またはhkOMC軽鎖定常領域と組み合わせた(配列番号:45、37)。クローニングした抗体を、FreeStyle(商標)293-F細胞(Invitrogen)において発現させ、機能的活性を評価するために培養上清から精製した。
参考実施例3:抗潜在型TGF-β1抗体の生成のための抗体スクリーニング
成熟TGF-β1を検出するELISA(Human TGF-beta 1 Quantikine ELISA Kit, R&D systems)を用いて、プレカリクレインおよびプラスミン媒介TGF-β1活性化を評価した。マウス組み換え潜在型TGF-β1を、抗潜在型TGF-β1抗体の存在下または非存在下、37℃で1時間、ヒトプレカリクレイン(Enzyme Research Laboratories)またはプラスミン(Calbiochem)と共にインキュベートした。混合物中の成熟TGF-β1の量を、上記のELISAによって分析した。混合物中の成熟TGF-β1の量を、上記のELISAによって分析した。この検出は、製造元の手順にしたがい行った。プレカリクレインおよびプラスミン媒介TGF-β1活性化に対する阻害活性を有する抗潜在型TGF-β1抗体を選出した(例えば、TBS139、TBS182、TBA865およびTBA873)。TBS139のH鎖およびL鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:46および47に示され、TBS182のH鎖およびL鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:48および49に示され、TBA865のH鎖およびL鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:50および51に示され、TBA873のH鎖およびL鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:52および53に示される。さらに、TBS139および TBS182の可変領域(VR)およびCDR(HVR)のアミノ酸配列を、以下に示す。
参考実施例4:組み換え抗体の発現および精製
FreeStyle293-FまたはExpi293F細胞株(Thermo Fisher Scientific)を用いて、組み換え抗体を一過的に発現させた。抗体を発現する馴化培地からの精製は、プロテインAまたはプロテインGを用いる従来法を用いて行った。必要に応じて、ゲルろ過をさらに行った。
参考実施例5:抗潜在型TGF-β1抗体の特徴づけ
1. 抗潜在型TGF-β1抗体はプレカリクレインおよびプラスミン媒介TGF-β1活性化を阻害した
マウス組み換え潜在型TGF-β1を、抗潜在型TGF-β1抗体(TBS139、TBS182、TBA865またはTBA873)の存在下または非存在下、37℃で1時間、ヒトプレカリクレイン(Enzyme Research Laboratories)またはプラスミン(Calbiochem)と共にインキュベートした。プレカリクレインおよびプラスミン媒介TGF-β1活性化ならびに抗体媒介阻害を、製造元の手順にしたがい成熟TGF-β1 ELISA(Human TGF-beta 1 Quantikine ELISA Kit, R&D systems)によって分析した。図16に示すように、プレカリクレインおよびプラスミン媒介TGF-β1活性化は、抗潜在型TGF-β1抗体(TBS139、TBS182、TBA865およびTBA873)によって抑制された。
2. 抗潜在型TGF-β1抗体は自然発生的TGF-β1活性化を阻害した
マウス組み換え潜在型TGF-β1を、37℃で1時間、抗潜在型TGF-β1抗体(TBS139、TBS182、TBA865またはTBA873)と共にまたはそれなしでインキュベートした。TGF-β1の自然発生的活性化は、製造元の手順にしたがい成熟TGF-β1 ELISA(Human TGF-beta 1 Quantikine ELISA Kit, R&D systems)によって分析した。図17に示すように、TGF-β1の自然発生的活性化は、抗潜在型TGF-β1抗体(TBS139、TBS182、TBA865およびTBA873)によって抑制された。
3. 抗潜在型TGF-β1抗体はプレカリクレインおよびプラスミン媒介TGF-β1プロペプチド切断を阻害した
マウス組み換え潜在型TGF-β1を、抗潜在型TGF-β1抗体(TBS139、TBS182、TBA865またはTBA873)の存在下または非存在下、37℃で1時間、ヒトプラスミン(Calbiochem)と共にインキュベートした。抗KLH抗体(IC17)を陰性対照として使用した。セリンプロテアーゼ阻害剤の一つであるメシル酸カモスタット(TOCRIS)を陽性対照として使用した。4x SDS-PAGEサンプル緩衝液(Wako)と混合し、サンプルを95℃で5分間加熱し、その後にSDSゲル電気泳動に供した。タンパク質を、Trans-Blot(登録商標)Turbo(商標)Transfer System(Bio-rad)により膜に転写した。プロペプチドをM2抗FLAG抗体(Sigma-Aldrich)を用いて検出し、これを次に抗マウスIgG-HRP(Santa Cruz)によって検出した。膜をECL基質と共にインキュベートし、画像をImageQuant LAS 4000(GE Healthcare)により撮影した。図18に示すように、非切断潜在型TGF-β1(すなわち、FLAGタグを有するLAP領域)は、TBA865およびTBA873の存在下で検出されたが、TBS139およびTBS182の存在下では検出されず、これによりプラスミンによるプロペプチドの切断がTBA865およびTBA873によってのみ阻害され、TBS139およびTBS182によっては阻害されないことが示された。
4. 抗潜在型TGF-β1抗体はマウスPBMCにおいてインテグリン媒介TGF-β1活性化を部分的に阻害するかまたは阻害しなかった
インテグリン媒介潜在型TGF-β1活性化を検出するため、マウスPBMCおよびHEK-Blue(商標)TGF-β細胞共培養アッセイを行った。マウスPBMCを、Histopaque-1083密度勾配培地(Sigma-Aldrich)を用いることによってマウス血液から単離した。Smad3/4結合エレメント(SBE)誘導性SEAPレポーター遺伝子を発現するHEK-Blue(商標)TGF-β細胞(Invitrogen)は、Smad3/4の活性化をモニタリングすることにより生物学的に活性なTGF-β1の検出を可能にする。活性TGF-β1は、細胞上清へのSEAPの産生を刺激する。分泌されたSEAPの量は、QUANTI-Blue(商標)試薬(Invitrogen)を用いることによって評価される。
HEK-Blue(商標)TGF-β細胞を、10%ウシ胎仔血清、50 U/mLストレプトマイシン、50マイクログラム/mLペニシリン、100マイクログラム/mLノルモシン(商標)、30マイクログラム/mLのブラストサイジン、200マイクログラム/mLのHygroGold(商標)および100マイクログラム/mLのゼオシン(商標)を補充したDMEM培地(Gibco)中で維持した。機能アッセイの間、細胞用培地をアッセイ培地(10% FBSを含むRPMI1640)に交換し、96ウェルプレートに播種した。ついで、抗潜在型TGF-β1抗体(TBS139、TBS182、TBA865またはTBA873)およびマウスPBMCをウェルにアプライし、HEK-Blue(商標)TGF-β細胞と共に一晩インキュベートした。ついで、細胞上清をQUANTI-Bue(商標)と混合し、比色プレートリーダーにおいて620 nmでの光学密度を測定した。マウスPBMCにおけるTGF-β1活性化は、インテグリン媒介活性化に大きく依存することが証明された。図19に示すように、陰性対照抗体IC17はTGF-β1活性に影響しなかったのに対して、抗成熟TGF-β抗体GC1008(図19において「GC」で示されている)はTGF-β1活性化を阻害した。メシル酸カモスタットプロテアーゼ阻害剤はTGF-β1活性を全く抑制しなかった。他方、インテグリン媒介TGF-β1活性化を抑制するデコイペプチドであるRGDペプチド(GRRGDLATIH、GenScript)は、マウスPBMCにおいてTGF-β1活性化を強く阻害した。さらに、RGE対照ペプチド(GRRGELATIH、GenScript)は、活性化をわずかに抑制したのみであった。これらの結果は、マウスPBMCにおけるTGF-β1活性化がインテグリン媒介活性化に大きく依存することを示唆した。
図19に示すように、TBA865およびTBA873は、マウスPBMCにおいてインテグリン媒介TGF-β1活性化を全く阻害しなかった。しかし、TBS139およびTBS182は、マウスPBMCにおいてインテグリン媒介TGF-β1活性化を部分的に阻害した。
5. 抗潜在型TGF-β1抗体の結合親和性評価のためのBiacore分析
pH 7.4においてヒトまたはマウス潜在型TGF-β1に結合する抗潜在型TGF-β1抗体の親和性を、Biacore T200機器(GE Healthcare)を用いて37℃で決定した。アミンカップリングキット(GE Healthcare)を用いてCM4センサチップのすべてのフローセルに抗ヒトFc(GE Healthcare)を固定した。すべての抗体および分析物を、20 mM ACES、150 mM NaCl、1.2 mM CaCl2、0.05% Tween 20、0.005% NaN3を含むACES pH 7.4中で調製した。各抗体を、抗ヒトFcによってセンサ表面に捕捉した。抗体捕捉レベルは、300応答ユニット(RU)に設定した。TBA865およびTBA873については、組み換えヒトまたはマウス潜在型TGF-β1を、2倍連続希釈により調製された12.5 nM~200 nMで注射し、その後に解離させた。TBS139およびTBS182については、組み換えヒトまたはマウス潜在型TGF-β1を、2倍連続希釈により調製された3.125~50 nMで注射し、その後に解離させた。センサ表面を、サイクル毎に3M MgCl2で再生した。Biacore T200 Evaluationソフトウェア、バージョン2.0(GE Healthcare)を用いてデータを処理し、1:1結合モデルにフィッティングすることによって結合親和性を決定した。
ヒトまたはマウス潜在型TGF-β1に結合する抗潜在型TGF-β1抗体の親和性を、以下の表7に示す。
6. Biacoreインタンデムブロッキングアッセイ
Biacoreインタンデムブロッキングアッセイを行い、TBA865、TBA873、TBS139およびTBS182の結合エピトープを特徴づけた。このアッセイは、20 mM ACES、150 mM NaCl、1.2 mM CaCl2、0.05% Tween 20、0.005% NaN3を含むACES pH 7.4緩衝液中、25℃で、Biacore T200機器(GE Healthcare)において行った。アミンカップリングキット(GE Healthcare)を用いてCM5センサチップのフローセル1および2にモノクローナル抗FLAG(登録商標)M2抗体(Sigma)を固定した。N末端FLAGタグを有するマウス組み換え潜在型TGF-β1を、フローセル2において、およそ200応答ユニット(RU)で捕捉した。フローセル1は、参照フローセルとして使用した。ついで、飽和濃度の500 nMのTBS139またはTBS182を5分間注入し、その後に競合mAbとして500 nM TBA865またはTBA873の同一注入を行った。TBS139またはTBS182 mAbの同一注入を、自己ブロッキングの参照として使用した。センサ表面を、サイクル毎に100 mM Gly-HCl pH 2.4、0.5M NaClで再生させた。TBS139またはTBS182の同一注入で観察されたものよりも大きい結合応答は、異なるエピトープに対する結合を示し、同一注入で観察されたものよりも小さいまたは同等の結合応答は、同じかまたは重複もしくは隣接するエピトープに対する結合を示す。このアッセイの結果を、図20に示す。
参考実施例6:インビボ有効性アッセイ
1. CDAHFD誘導NASH/肝線維症マウスモデルにおける抗潜在型TGF-β1抗体のインビボ有効性
モノクローナル抗体TBS139およびTBS182のインビボ有効性を、NASH/肝線維症モデルにおいて評価した。すべての実験動物の管理および取り扱いを、Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care Internationalによって認定されている中外製薬株式会社の実験動物の管理および使用に関するガイドラインにおける推奨にしたがい行った。
5週齢の指定病原体フリーC57BL/6Jオスマウスを、日本SLC株式会社(静岡、日本)から購入し、処置開始前に1週間順応させた。動物は、20~26℃、12:12時間の明/暗周期で収容し、市販の標準食(#CE-2;日本クレア株式会社、静岡、日本)および水道水を自由に与えた。試験食であるコリン欠乏、Lアミノ酸含有、高脂肪食(CDAHFD; #A06071302)は、Research Diets(New Brunswick, NJ, USA)から購入した。試験中、10群にCDAHFDを与え(n=8)、正常対照群としての1群にCE-2を与えた。
モノクローナル抗体を、2週間の間、週に1回、静脈内注射により様々な用量(2、10、50 mg/kg)で与えた。この研究において、抗成熟TGF-β抗体GC1008(米国特許第8383780号に記載される)を陽性対照として10 mg/kgで使用し、抗KLH抗体IC17を陰性対照として100 mg/kgで使用した。14日目に、この動物を体重測定し、イソフラン麻酔下での全採血により屠殺した。心臓腔または下大静脈から血液サンプルを収集し、アッセイを行うまで-80℃で維持した。肝臓を素早く摘出および秤量した。分子分析のために、肝臓組織の一部を液体窒素中またはドライアイス上で瞬間凍結させた。
RNeasy Mini Kit(Qiagen、東京、日本)を用いて肝臓組織から総RNAを抽出し、Transcriptor Universal cDNA Master(Roche Applied Science、東京、日本)を用いてcDNAを合成した。遺伝子発現を、LightCycler 480 System(Roche Applied Science)を用いて測定した。遺伝子用プライマーおよびTaq-ManプローブをApplied Biosystemsから購入した。マウスグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)を、各サンプルの内因性参照として使用した。相対mRNA発現値を、ダブルデルタCt分析を用いて計算した。
この実験の結果を、図21に示す。これらの抗体について、肝線維症に対する阻害活性を、肝臓におけるコラーゲン1型α1 mRNAの発現レベルにより評価した。CDAHFDは、そのマウスにおけるコラーゲンmRNAレベルを有意に増加させ、3つすべての抗体(GC1008、TBS139およびTBS182)がそのレベルを減少させた。
データは、平均+/-標準誤差(SEM)で表されている。統計分析は、分散分析(ANOVA)およびスチューデントt検定を用いて行った。<0.05、<0.01または<0.001のP値を、有意とみなした。
2. UUO誘導腎線維症マウスモデルにおける抗潜在型TGF-β1抗体のインビボ有効性
モノクローナル抗体TBS139およびTBS182のインビボ有効性を、片側尿管閉塞(UUO)により進行性腎線維症を誘導したマウスモデルにおいて評価した。
7週齢の指定病原体フリーC57BL/6Jオスマウスは、日本チャールス・リバー株式会社(神奈川、日本)から購入し、処置開始前に1週間順応させた。動物は、20~26℃、12:12時間の明/暗周期で収容し、市販の標準食(#CE-2;日本クレア株式会社、静岡、日本)および水道水を自由に与えた。
イソフラン麻酔条件下でUUO手術を行った。腹部の左側を剃毛し、皮膚上に縦切開部を形成した。第2の切開部を、腹膜上に形成し、その後に腎臓が露出するよう引き寄せた。鉗子を用いて腎臓を表面に出し、左尿管を、腎臓下で2箇所、手術用のシルクを用いて締め付けた。結紮した腎臓を、慎重にその正確な解剖学的位置に戻し、その後に腹膜および皮膚を縫合した。動物の苦痛を和らげるために鎮痛剤を添加した。疑似手術群では、腹膜および皮膚を切開および縫合したのみであった。
すべてのモノクローナル抗体を、手術措置の前に1回、静脈内注射により投与した。疑似手術群には、ビヒクルを投与した。TBS139およびTBS182の両方とも、様々な用量(10、30、100 mg/kg)で投与した。この研究において、抗成熟TGF-β抗体GC1008(米国特許第8383780号に記載される)を陽性対照として50 mg/kgで使用し、抗KLH抗体IC17を陰性対照として100 mg/kgで使用した。7日目に、この動物を体重測定し、イソフラン麻酔下での全採血により屠殺した。心臓腔または下大静脈から血液サンプルを収集し、アッセイを行うまで-80℃で維持した。腎臓を素早く摘出および秤量した。分子分析のために、腎臓組織の一部を液体窒素中またはドライアイス上で瞬間凍結させた。
参考実施例6-1で説明した方法により腎臓組織から総RNAを抽出した。マウスミトコンドリアリボソームタンパク質L19(MRPL19)を、各サンプルの内因性参照として使用し、相対mRNA発現値を、ダブルデルタCt分析を用いて計算した。この実験の結果を、図22に示す。これらの抗体について、腎線維症に対する阻害活性を、腎臓におけるコラーゲン1型α1 mRNAの発現レベルにより評価した。UU0は、そのマウスにおけるコラーゲンmRNAレベルを有意に増加させ、3つすべての抗体(GC1008、TBS139およびTBS182)がそのレベルを減少させた。
組織への細胞外マトリクス沈着を評価するため、コラーゲンに含まれるアミノ酸の一つであるヒドロキシプロリンの腎臓内含量を測定した。水分を含む腎臓組織を110℃で3時間乾燥させ、秤量した。ついで、6N HCl(100 uL/1mg乾燥組織)を乾燥させた組織に添加し、110℃で3時間煮沸した。フィルターによってサンプルをきれいにし、10マイクロリットルの各サンプルを96ウェルプレートに分注した。サンプルを有するプレートを室温で一晩乾燥させ、ヒドロキシプロリンアッセイキット(BioVision)を用いてヒドロキシプロリンを測定した。この実験の結果を図23に示す。ヒドロキシプロリン含量の有意な増加が、疾患誘導された腎臓において観察され、すべての抗体(GC1008、TBS139およびTBS182)が腎線維症を阻害した。
データは、平均+/-標準誤差(SEM)で表されている。統計分析は、分散分析(ANOVA)およびスチューデントt検定を用いて行った。<0.05、<0.01または<0.001のP値を、有意とみなした。
3. BLM誘導肺線維症マウスモデルにおける抗潜在型TGF-β1抗体のインビボ有効性
モノクローナル抗体TBS139およびTBS182のインビボ有効性を、肺組織内での白血球の浸潤、線維芽細胞の増殖およびコラーゲンの増加により特徴づけられるブレオマイシン(BLM)誘導肺線維症マウスモデルにおいて評価した。すべての実験動物の管理および取り扱いを、Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care Internationalによって認定されている中外製薬株式会社の実験動物の管理および使用に関するガイドラインにおける推奨にしたがい行った
7週齢の指定病原体フリーC57BL/6Jオスマウスを、日本チャールス・リバー株式会社(神奈川、日本)から購入し、処置開始前に1週間順応させた。動物は、20~26℃、12:12時間の明/暗周期で収容し、市販の標準食(#CE-2;日本クレア株式会社、静岡、日本)および水道水を自由に与えた。
イソフラン麻酔下、1.5 mg/kgの用量で、BLM(日本化薬株式会社、東京、日本)の気管内注入を行った。非疾患対照として、生理食塩水を気管内投与した。すべてのモノクローナル抗体を、BLMチャレンジ前に一度、静脈内注射により投与した。TBS139およびTBS182の両方とも、2つの用量レベル(10および50 mg/kg)で投与した。この研究において、抗成熟TGF-β抗体GC1008(米国特許第8383780号に記載される)を陽性対照として使用し、抗KLH抗体IC17を陰性対照として使用した(両方とも50 mg/kg)。7日目に、この動物を体重測定し、イソフラン麻酔下での全採血により屠殺した。心臓腔または下大静脈から血液サンプルを収集し、アッセイを行うまで-80℃で収容した。肺を素早く摘出および秤量した。分子分析のために、肺組織の一部を液体窒素中またはドライアイス上で瞬間凍結させた。
参考実施例6-1で説明した方法により肺組織からの総RNA抽出を行った。マウスグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)を、各サンプルの内因性参照として使用した。相対mRNA発現値を、ダブルデルタCt分析を用いて計算した。この実験の結果を、図24および25に示す。これらの抗体について、肺線維症に対する阻害活性を、肺におけるセルピン1(PAI-1)mRNAの発現レベルから評価した。BLMは、PAI-1 mRNAレベルを有意に増加させ、すべての抗体(GC1008、TBS139およびTBS182)がそのレベルを減少させた。炎症応答は、肺におけるCCL2(MCP-1)mRNA発現レベルを測定することによって評価した。GC1008は、炎症応答を劇的に増加させたが、TBS139およびTBS182は疾患の進行を有意に増加させなかった。
データは、平均+/-標準誤差(SEM)で表されている。統計分析は、分散分析(ANOVA)およびスチューデントt検定を用いて行った。<0.05、<0.01または<0.001のP値を、有意とみなした。
参考実施例7:毒性アッセイ
抗潜在型TGF-β1中和抗体の潜在的毒性を正常マウス毒性試験において確認し、抗成熟TGF-β抗体のそれと比較した。
GC1008(抗成熟TGF-β抗体)、TBS139およびTBS182(抗潜在型TGF-β1抗体)を、各々50 mg/kgの用量レベルで、5週間の間、2日毎に断続的に、6週齢メスBALB/cマウスに静脈内投与した(表8を参照のこと)。対照群は、ビヒクル(150 mmol/L NaClを含有する20 mmol/Lヒスチジン-HCl緩衝液、pH 6.0)単独を与えられた。投与期間の間、臨床観察を少なくとも1日2回行った。1週間の間、体重を3日毎に(すなわち、1、4および7日目に)測定した。37日目に、すべての動物から血液化学、血液学、および免疫表現型検査の評価のための血液サンプルを収集した。投与期間の最後に、すべての動物において肉眼での剖検および組織病理学的試験を行った。
a)20 mMヒスチジン-HCl 150 mM NaCl、pH 6.0
GC1008群において、3匹の動物が、それぞれ27、28および35日目に死んでいるのが見つかり、低体重および摂餌量が記録された。組織病理学的に、試験物質に関連する炎症的変化、増殖的変化、および細胞外マトリクスに対する影響が観察された。主な所見は、以下のようなものであった:心臓の大動脈根/弁における炎症的変化(4匹の動物)、肺(9匹の動物)、食道(2匹の動物)および胃(1匹の動物)における炎症的変化、舌における嚢胞様変化(4匹の動物)、歯における異形成的変化(12匹の動物)、肝臓における肝細胞変化(3匹の動物)、皮膚/皮下における毛包の変化(4匹の動物)、ならびに骨における低骨形成(大腿骨/胸骨、12匹の動物)。死んだ動物は、計画的に屠殺した動物よりも、特に心臓において、重度の変化を示した。死因は、心臓の病巣に関連する循環障害、例えば大動脈根/弁における出血/フィブリノイド滲出とみなされた。ALP(アルカリホスファターゼ)の減少が観察され、これは骨の所見、例えば低骨形成的変化に関連するものと考えられた。
TBS139およびTBS182群において、死亡、全身状態、体重、および摂餌量の変化は観察されなかった。他方、TBS139/TBS182において、試験物質に関連する変化が、以下のように組織病理学的に観察された:炎症細胞の浸潤および出血/フィブリノイド滲出(1匹の動物)、TBS182群のみ、心臓の大動脈根/弁における間葉系細胞(2匹の動物)、TBS139群(4匹の動物)およびTBS182群(7匹の動物)の肺における炎症細胞の増加、TBS139群(1匹の動物)およびTBS182群(2匹の動物)の食道の粘膜下組織における炎症細胞の浸潤、TBS182のみ、食道における上皮の過形成(1匹の動物)。上記変化は、GC1008群のそれらと同様であったが、これらの所見の重篤度および頻度はGC1008群のおけるそれよりも顕著に低かった。GC1008群で観察された、舌、胃、歯、肝臓、皮膚/皮下、および骨における試験物質に関連する変化は、TBS139またはTBS182群においては記録されなかった。
毒性学的に関連する試験物質に関する変化は、すべての群における血液学および免疫表現型タイピングにおいて観察されなかった。
結論として、試験物質に関連する死、低体重、および摂餌量が、GC1008群において記録された。加えて、炎症的変化、増殖的変化、および細胞外マトリクスに対する影響が、組織病理学的に、心臓、肺、食道、舌、胃、歯、皮膚/皮下、肝臓、および骨(大腿骨/胸骨)において観察された。心臓の病巣は、以前の研究と同様に死因であるとみなされた。TBS139およびTBS182群においては、死亡、体重変化、および摂餌量の変化は記録されなかった。組織病理学的に、GC1008群と同様の変化が、TBS139群の肺および食道において観察されたが、心臓における変化は観察されず、TBS182群においては、心臓、肺、および食道における変化が観察された。しかし、TBS139およびTBS182群におけるこれらの所見の重篤度および頻度は、GC1008群と比較して顕著に低かった。
3つの試験物質に関する主な所見を以下にまとめる。
a: 3匹の死んだ動物を含む
参考実施例8:抗ヒト潜在型TGF-β1抗体の同定
細胞表面TGF-β1に結合するさらなる抗ヒト潜在型TGF-β1抗体を、以下のように調製、選択およびアッセイした:
最初に、12~16週齢のNZWウサギを、ヒトおよびマウス組み換え潜在型TGF-β1タンパク質(100マイクログラム/用量/ウサギ)を用いて皮内的に免疫化した。最初の免疫化から2週間後に、マウスおよびヒト組み換え潜在型TGF-β1タンパク質(50マイクログラム/用量/ウサギ)の間で交互に、4回のさらなる投与を毎週行った。最後の免疫化から1週間後に、免疫化したウサギから脾臓および血液を収集した。抗原特異的なB細胞を、実施例2に記載されるようにして染色、選別およびプレーティングした。培養後、B細胞培養上清をさらなる分析のために収集し、細胞ペレットを凍結保存した。
合計3587個のB細胞上清を、BioTechniques 2003, 35:1014-1021に記載されるように、ヒトまたはマウス潜在型TGF-β1を過剰発現するFS293細胞を用いた細胞ベースのELISAスクリーニングに供した。
細胞表面ヒト潜在型TGF-β1に結合するとともに、細胞表面マウス潜在型TGF-β1にも結合するまたは結合しない合計94個のB細胞株を、抗体遺伝子のクローニングおよびその後の分析のために選択した。これらの94株からの抗潜在型TGF-β1抗体を、参考実施例2に記載したようにクローニングした。それらの抗体重鎖可変領域のDNAを、逆転写PCRにより増幅し、F1332m重鎖定常領域(配列番号:36)と組み換えた。それらの抗体軽鎖可変領域のDNAを、逆転写PCRにより増幅し、hkOMC軽鎖定常領域(配列番号:37)と組み換えた。組み換え抗体を、製造元の指示(Life technologies)にしたがいFreeStyle(商標)293-F細胞において一過的に発現させ、AssayMAP BravoプラットフォームをプロテインAカートリッジ(Agilent)と共に用いて精製した(TBA1235~TBA1328)。
参考実施例9:抗潜在型TGF-β1抗体の生成のための抗体スクリーニング
成熟TGF-β1を検出するELISA(Human TGF-beta 1 Quantikine ELISA Kit, R&D systems)を用いて、プラスミン媒介TGF-β1活性化を評価した。ヒト組み換え潜在型TGF-β1を、抗潜在型TGF-β1抗体の存在下または非存在下、37℃で1時間、ヒトプラスミン(Calbiochem)と共にインキュベートした。混合物中の成熟TGF-β1の量を、上記のELISAによって分析した。この検出は、製造元の手順にしたがい行った。プラスミン媒介TGF-β1活性化に対する阻害活性を有する抗潜在型TGF-β1抗体を選出した(例えば、TBA1277、TBA1300およびTBA1314)。TBA1277のH鎖およびL鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:70および71に示され、TBA1300のH鎖およびL鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:72および73に示され、TBA1314のH鎖およびL鎖のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:74および75に示される。さらに、TBA1277、TBA1300およびTBA1314の可変領域(VR)およびCDR(HVR)のアミノ酸配列を、以下に示す。
参考実施例10:抗潜在型TGF-β1抗体の特徴づけ
1. MMP2およびMMP9媒介マウス潜在型TGF-β1活性化に対する抗潜在型TGF-β1抗体の阻害
マウス組み換え潜在型TGF-β1を、抗潜在型TGF-β1抗体の存在下または非存在下、37℃で2時間、活性化マウスMMP2またはマウスMMP9(R&D Systems)と共にインキュベートした。MMP2またはMMP9媒介マウス潜在型TGF-β1活性化および抗体媒介阻害を、製造元の手順にしたがい成熟TGF-β1 ELISA(Human TGF-beta 1 Quantikine ELISA Kit, R&D systems)により分析した。
図26に示すように、MMP2およびMMP9媒介マウス潜在型TGF-β1活性化は、抗潜在型TGF-β1抗体(TBS139、TBS182、TBA865およびTBA873)によって抑制された。
2. 抗潜在型TGF-β1抗体はプレカリクレインおよびプラスミン媒介ヒト潜在型TGF-β1活性化を阻害した
ヒト組み換え潜在型TGF-β1を、抗潜在型TGF-β1抗体(TBA1277、TBA1300またはTBA1314)の存在下または非存在下、37℃で1時間、ヒトプレカリクレイン(Enzyme Research Laboratories)またはプラスミン(Calbiochem)と共にインキュベートした。プレカリクレインおよびプラスミン媒介TGF-β1活性化ならびに抗体媒介阻害を、製造元の手順にしたがい成熟TGF-β1 ELISA(Human TGF-beta 1 Quantikine ELISA Kit, R&D systems)によって分析した。
図27に示すように、プレカリクレインおよびプラスミン媒介TGF-β1活性化は、抗潜在型TGF-β1抗体(TBA1277、TBA1300またはTBA1314)によって抑制された。
3. 抗潜在型TGF-β1抗体によるプラスミン媒介TGF-β1プロペプチド切断の阻害
ヒト組み換え潜在型TGF-β1を、抗潜在型TGF-β1抗体(TBA1277、TBA1300、TBA1314またはTBA873)の存在下または非存在下、37℃で1時間、ヒトプラスミン(Calbiochem)と共にインキュベートした。抗KLH抗体(IC17)を陰性対照として使用した。セリンプロテアーゼ阻害剤の一つであるメシル酸カモスタット(TOCRIS)を陽性対照として使用した。4x SDS-PAGEサンプル緩衝液(Wako)と混合し、サンプルを95℃で5分間加熱し、その後にSDSゲル電気泳動に供した。タンパク質を、Trans-Blot(登録商標)Turbo(商標)Transfer System(Bio-rad)により膜に転写した。プロペプチドを、マウス抗FLAG、M2-HRP抗体(Sigma-Aldrich)を用いて検出した。膜をECL基質と共にインキュベートし、画像をImageQuant LAS4000(GE Healthcare)により撮影した。
図28に示すように、非切断潜在型TGF-β1(すなわち、FLAGタグを有するLAP領域)は、TBA873の存在下で検出されたが、TBA1277、TBA1300およびTBA1314の存在下では検出されず、これによりプラスミンによるプロペプチドの切断がTBA873によってのみ阻害され、TBA1277、TBA1300およびTBA1314によっては阻害されないことが示された。
4.潜在型TGF-β1大複合体に対する抗潜在型TGF-β1抗体の結合
細胞表面潜在型TGF-β1に対する抗潜在型TGF-β1抗体の結合を、どちらもLLCを形成する潜在型TGF-β1を内因的に発現するBa/F3細胞およびFreeStyle(商標)293-F細胞(ThermoFisher)を用いてFACSにより試験した。抗潜在型TGF-β1抗体を、各細胞株と共に、4℃で30分間インキュベートし、FACS緩衝液(PBS中2%FBS、2mM EDTA)で洗浄した。抗KLH抗体(IC17)を、陰性対照抗体として使用した。ついで、ヤギF(ab')2抗ヒトIgG、マウスads-PE(Sourthern Biotech、カタログ2043-09)またはヤギF(ab')2抗マウスIgG(H+L)、ヒトAds-PE(Southern Biotech、カタログ1032-09)を添加し、4℃で30分間インキュベートし、FACS緩衝液で洗浄した。データ取得は、FACS Verse(Beckton Dickinson)を用いて行い、その後にFlowJoソフトウェア(Tree Star)およびGraphPad Prismソフトウェア(GraphPad)を用いて分析した。
図29に示すように、TBS139およびTBS182はBa/F3細胞に結合した。TBA1277、TBA1300およびTBA1314はFreeStyle(商標)293-F細胞に結合した。
5. 抗潜在型TGF-β1抗体によるMMP2およびMMP9媒介TGF-β1プロペプチド切断の阻害
マウス組み換え潜在型TGF-β1を、抗潜在型TGF-β1抗体(TBS139、TBS182、TBA865またはTBA873)の存在下または非存在下、37℃で24時間、マウスMMP2またはマウスMMP9(R&D Systems)と共にインキュベートした。抗KLH抗体(IC17)を陰性対照として使用した。MMP阻害剤の一つであるGM6001(TOCRIS)を陽性対照として使用した。4x SDS-PAGEサンプル緩衝液(Wako)と混合し、サンプルを95℃で5分間加熱し、その後にSDSゲル電気泳動に供した。タンパク質を、Trans-Blot(登録商標)Turbo(商標)Transfer System(Bio-rad)により膜に転写した。プロペプチドを、マウス抗FLAG、M2-HRP抗体(Sigma-Aldrich)を用いて検出した。膜をECL基質と共にインキュベートし、画像をImageQuant LAS4000(GE Healthcare)により撮影した。
図30に示すように、非切断潜在型TGF-β1と比較してそのバンドが画像のより低い部分に現れている切断された潜在型TGF-β1(すなわち、潜在型TGF-β1の短縮されたLAP領域)が、TBA865またはTBA873の存在下で検出され、これによりMMP2(図30A)およびMMP9(図30B)によるプロペプチド切断はTBS139およびTBS182によってのみ阻害され、TBA865およびTBA873によっては阻害されないことが示された。
6. 抗潜在型TGF-β1抗体によるMMP2およびMMP9媒介ヒト潜在型TGF-β1活性化に対する阻害
ヒト組み換え潜在型TGF-β1を、抗潜在型TGF-β1抗体の存在下または非存在下、37℃で2時間、活性化されたマウスMMP2またはマウスMMP9(R&D Systems)と共にインキュベートした。MMP2およびMMP9媒介ヒト潜在型TGF-β1活性化および抗体媒介阻害を、製造元の手順にしたがい成熟TGF-β1 ELISA(Human TGF-beta 1 Quantikine ELISA Kit, R&D systems)により分析した。
図31に示すように、MMP2およびMMP9媒介マウス潜在型TGF-β1活性化は、抗潜在型TGF-β1抗体(TBA865、TBA873、TBA1300およびTBA1277)によって抑制された。
7. 抗潜在型TGF-β1抗体の結合親和性評価のためのBiacore分析
pH 7.4においてヒト潜在型TGF-β1に結合する抗潜在型TGF-β1抗体の親和性を、Biacore T200機器(GE Healthcare)を用いて37℃で決定した。アミンカップリングキット(GE Healthcare)を用いてCM4センサチップのすべてのフローセルに抗ヒトFc(GE Healthcare)を固定した。すべての抗体および分析物を、20 mM ACES、150 mM NaCl、1.2 mM CaCl2、0.05% Tween 20、0.005% NaN3を含むACES pH 7.4中で調製した。各抗体を、抗ヒトFcによってセンサ表面に捕捉した。抗体捕捉レベルは、300応答ユニット(RU)に設定した。組み換えヒト潜在型TGF-β1を、2倍連続希釈により調製された12.5 nM~200 nMの濃度で注射し、その後に解離させた。センサ表面を、サイクル毎に3M MgCl2で再生した。Biacore T200 Evaluationソフトウェア、バージョン2.0(GE Healthcare)を用いてデータを処理し、1:1結合モデルにフィッティングすることによって結合親和性を決定した。
ヒト潜在型TGF-β1に結合する抗潜在型TGF-β1抗体の親和性を、表12に示す。
*<IE-05の遅いオフレート、KDは個別に決定することができない。
上記の発明は、明確な理解のために図示および実施例によりいくらか詳細に記載されているが、詳細な説明および実施例は本発明の範囲を限定するものとみなされるべきでない。本明細書で引用されているすべての特許および科学文献の開示は、参照によりそれらの全体が明示的に組み入れられる。