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JP7320469B2 - 放射性セシウムの除去方法及び放射性セシウムの除去装置 - Google Patents
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JP7320469B2 - 放射性セシウムの除去方法及び放射性セシウムの除去装置 - Google Patents

放射性セシウムの除去方法及び放射性セシウムの除去装置 Download PDF

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Description

本発明は、放射性汚染物の減容化に資する処理方法及び処理装置に関する。
東日本大震災に伴う原子力発電所の事故により、例えば、福島県内だけでも2200万mもの処理が必要な放射性物質汚染土壌が存在し、除染作業によって膨大に発生するそれら放射性物質汚染土壌及び放射性物質汚染廃棄物(以下、「除染土壌等」という。)について減容化技術の開発が進められている。特に、除染土壌等と塩素源を同時に加熱して放射性セシウムを煤塵に回収する、いわゆる塩化揮発法に基づく処理技術は、有効な減容化技術の一つである(特許文献1~3参照)。
一方、例えば、特許文献4には、焼却処理等によって焼却灰等の煤塵として回収された放射性セシウムは、その煤塵を水洗することによって液相中に溶出し、適当なキレート剤等による重金属類の回収処置等を施した後に、排水は系外に放流可能であることが記載されている。
特開2013-122440号公報 特開2017-062143号公報 特開2017-150955号公報 特開2014-117684号公報
しかしながら、例えば、東日本大震災に伴う除染土壌等を塩化揮発法により処理した場合、回収される煤塵の放射線量は100万Bq/kgを超え、その煤塵の水洗処理により生じる水洗残渣の放射線量も20万Bq/kg以上もの高い値を示す場合があった。したがって、8000Bq/kg以下とされる埋め立て基準値を満足することができないため、かかる水洗残渣の埋め立て処分は困難であった。
よって、本発明の目的は、除染土壌等の減容化処理で生じる煤塵の水洗残渣について、上記のような埋め立て処分の困難性の問題を解決できるようにした、処理方法及び処理装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、その第1の観点では、
放射性セシウム汚染物から放射性セシウムを除去する放射性セシウムの除去方法であって、
前記放射性セシウム汚染物とカルシウム源とマグネシウム源と塩素源とを一緒に加熱して放射性セシウムを揮発させるための加熱工程と、
前記加熱工程で生じた燃焼排ガスを冷却した後に固気分離して放射性セシウムを含有する煤塵を回収するための固気分離工程と、
前記煤塵に水を加えてスラリー化し、該スラリー液相中に放射性セシウムを溶出させるための水洗工程と、
前記水洗工程を経たスラリーを固液分離して水洗残渣と排水に分離するための固液分離工程と、
前記水洗残渣を前記加熱工程における前記放射性セシウム汚染物として循環させるための循環工程と、を備えることを特徴とする放射性セシウムの除去方法を提供するものである。
本発明の放射性セシウムの除去方法によれば、カルシウム源とマグネシウム源と塩素源とを一緒に加熱して放射性セシウムを揮発させるので、例えば、受け入れの放射線量が1万Bq/kg以上であっても、その加熱工程後に残る焼結物は放射線量が100Bq/kg以下となり、特別な配慮を必要としないで利活用することができる。また、加熱工程で生じた燃焼排ガスを冷却した後に固気分離して放射性セシウムを含有する煤塵を回収するので、放射性物質を含む気体が系外に排出されることがない。また、回収した煤塵は水洗したうえ、水洗残渣と排水に分離するので、その排水については、既往の放射性セシウム回収処置等を施すことが可能である。一方、水洗残渣にも相当量の放射性セシウムが残存する場合があるが、加熱工程に循環させることによって、系外に排出することがない。
本発明の放射性セシウムの除去方法においては、前記加熱工程に供される、前記放射性セシウム汚染物と前記カルシウム源と前記マグネシウム源と前記塩素源とを含む調合物中の、下記式で表わされる質量比R1が1.0~1.9であることが好ましい。
R1=(CaO(質量%)+1.39×MgO(質量%))/(SiO(質量%))
なお、質量比R1におけるMgOの係数1.39は、MgO(質量%)をCaO(質量%)当量に換算するためのものである。
これによれば、加熱工程で被加熱物が熔融して生ずる液相(溶融相)の生成量を有効に抑制することができ、放射性セシウムの塩化揮発が生じやすい環境にすることができる。
また、本発明の放射性セシウムの除去方法においては、前記循環工程において循環させる前記水洗残渣の含水率が25質量%以上であることが好ましい。
これによれば、加熱工程における雰囲気を水蒸気に富むものにできるため、ナトリウムやカリウムの塩化揮発を抑制した中で、放射性セシウムを優先的に塩化揮発させることができる。
また、本発明の塩素含有粉体の水洗方法においては、前記水洗工程における前記スラリーのpHが8~11であることが好ましい。
これによれば、固液分離工程において分離回収される放射性セシウムが溶解した排水への重金属類の溶解が抑制されるので、排水についての重金属類の処理に起因した煩雑さを回避できる。
上記目的を達成するために、本発明は、その第2の観点では、
放射性セシウム汚染物から放射性セシウムを除去する放射性セシウムの除去装置であって、
前記放射性セシウム汚染物とカルシウム源とマグネシウム源と塩素源とを一緒に加熱して放射性セシウムを揮発させるための加熱装置と、
前記加熱装置からの燃焼排ガスを冷却した後に固気分離して放射性セシウムを含有する煤塵を回収するための固気分離装置と、
前記固気分離装置で回収された前記煤塵に水を加えてスラリー化し、該スラリーの液相中に放射性セシウムを溶出させるための水洗装置と、
前記水洗装置から排出されたスラリーを固液分離して水洗残渣と排水に分離するための固液分離装置と、
前記固液分離装置で分離された前記水洗残渣を前記加熱装置で加熱する前記放射性セシウム汚染物として循環させるための循環装置と、を備えていることを特徴とする放射性セシウムの除去装置を提供するものである。
本発明が提供する除去装置の構成によれば、上記した放射性セシウムの除去方法を好適に実施し得る。
本発明の放射性セシウムの除去装置においては、前記固気分離装置で分離された排ガスを、前記水洗装置に送気するための送気管を、更に備えていることが好ましい。
これによれば、加熱装置から生じる排ガスに含まれるCOによりスラリーを酸性側に変化させるのに有効に利用することができる。あるいは排ガスの熱量でスラリーを加温するのに有効に利用することができ、あるいは排ガスで散気することによりスラリーを攪拌するのに有効に利用することができる。それら目的は複数の目的を相互に兼ねていてもよい。
また、本発明の放射性セシウムの除去装置においては、前記水洗装置には、該装置で水洗される前記スラリーのpHを測定するためのpH計と、該装置で水洗される前記スラリーにpH調整剤を添加するためのpH調整剤添加装置とが付設され、前記pH計の測定結果に基づいて前記pH調整剤添加装置による前記pH調整剤の添加量を自動的に制御するための制御装置、を更に備えていることが好ましい。
これによれば、スラリーのpH調整を、より安定して行うことができる。
また、本発明の放射性セシウムの除去装置においては、前記水洗装置には、該装置で水洗される前記スラリーのpHを測定するためのpH計と、該装置で水洗される前記スラリーにpH調整剤を添加するためのpH調整剤添加装置とが付設され、前記送気管には流量調整バルブが付設され、前記pH計の測定結果に基づいて前記pH調整剤添加装置による前記pH調整剤の添加量及び/又は前記流量調整バルブによる前記排ガスの送気量を自動的に制御するための制御装置、を更に備えていることが好ましい。
これによれば、スラリーのpH調整を、より安定して行うことができる。
本発明に係る放射性セシウムの除去方法の一実施形態を説明するフローチャートである。 図1に示す放射性セシウムの除去方法を実施するための処理装置の一実施形態の構成図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る放射性セシウムの除去方法について説明する。なお、本説明に用いる図の、実線の矢印は水洗残渣等の固体又は液体の流れを、点線の矢印は燃焼排ガス等の気体の流れを、一点鎖線は制御信号等の信号の経路をそれぞれ示している。また、以下の説明においては、カルシウム源とマグネシウム源をあわせて「カルマグ源」と称する場合がある。
本発明の放射性セシウムの除去方法は、除染土壌等M2、カルマグ源CM1、及び塩素源Cl1を一緒に加熱して、除染土壌等M2が含有する放射性セシウムを塩化揮発させるための加熱工程と、加熱工程で生じた燃焼排ガスG1を冷却した後に固気分離して放射性セシウム含有煤塵M3を回収するための固気分離工程と、固気分離工程で回収された放射性セシウム含有煤塵M3を水で水洗しつつ、そのスラリーS1を得るための水洗工程と、水洗工程で得られたスラリーS1を水洗残渣M4と放射性セシウムが溶解した排水W3に分離するための固液分離工程と、固液分離工程で分離回収された水洗残渣M4を加熱工程に送って、供された除染土壌等M1と共に上記除染土壌等M2となって加熱するように循環させるための循環工程を備える。上記水洗工程では、必要に応じて任意にpH調整剤A1を添加してスラリーのpHを調整しつつ水洗してもよい。
よって、加熱工程は、供された除染土壌等M1と循環させた水洗残渣M4とからなる除染土壌等M2、カルマグ源CM1、及び塩素源Cl1を一緒に加熱して、除染土壌等M1と水洗残渣M4が含有する放射性セシウムに塩化揮発を生じさせる工程である。
本発明において、除去対象物である放射性セシウムとは、セシウムの放射性同位体である半減期が約2年のセシウム134及び、半減期が約30年のセシウム137であって、具体的には、例えば東日本大震災に伴う原子力発電所の事故によって外部の環境中にヨウ化セシウム等の形態で放射性ヨウ素と共に放出され、上空から地表面に降下した放射性物質である。
ヨウ化セシウムは揮発し難い性質を有し、さらに、地表面に降下した放射性セシウムは土壌に含まれる粘土鉱物中にインターカレーションし易いために、地表面に降下したヨウ化セシウムは土壌から離れにくくなる。
除染土壌等M1は、具体的には、放射性物質汚染土壌、放射性物質汚染廃棄物等であって、例えば、土壌、下水汚泥、下水汚泥乾粉、下水スラグ、浄水汚泥、都市ごみ焼却灰、ごみ溶融スラグ、貝殻、草木、建設汚泥、がれき等であって放射性セシウムを含むものである。これらは単独でも2種以上が混合されていてもよい。
除染土壌等M2中に含まれて加熱工程に処する除染土壌等M1の処理量は、共に除染土壌等M2中に含まれる水洗残渣M4の全量を加熱処理することを前提に、加熱装置の処理能力の範囲内において、後述するように(酸化カルシウム及び酸化マグネシウム)と二酸化珪素との質量比R1が所定の範囲内となるよう調整したり、あるいは後述するように塩素と(セシウム及びカリウム)とのモル比R2が所定の範囲内となるよう調整したりして、塩素源やカルマグ源の添加量と共に調整すればよい。なお、一方で、除染土壌等M1や水洗残渣M4は、カルマグ源としての側面を有している。よって、上記質量比やモル比は、除染土壌等M1や水洗残渣M4から持ち込まれる成分も含めて勘案した値となる。
塩素源Cl1は、放射性セシウムの塩化揮発を生じさせる目的で用いられるもので、塩化カルシウム(CaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)等の塩化物が好適に用いられる。なかでも、放射性セシウムの塩化揮発を促進する観点からは、塩化カルシウムが好ましい。
塩素源Cl1の添加量は、加熱工程に処される除染土壌等M2、カルマグ源CM1、及び塩素源Cl1の全量における、塩素(Cl)含有量と、(セシウム(Cs)及びカリウム(K))の含有量とのモル比R2((Cl(mol))/(Cs(mol)+K(mol)))が好ましくは0.5~1.3、より好ましくは0.5~1.1になる量である。該モル比R2が1.3以下であれば、カリウムやナトリウムよりも放射性セシウムの塩化揮発が優先的に生ずる。
カルマグ源CM1は、放射性セシウムの塩化揮発を優先的に生じさせる目的に用いられるもので、例えば、炭酸カルシウム、石灰石、生石灰、消石灰、石灰石、ドロマイト、高炉スラグ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、蛇紋岩、フェロニッケル合金スラグ等が挙げられる。
カルマグ源CM1の混合量は、加熱工程に処される除染土壌等M2、カルマグ源CM1、及び塩素源Cl1の全量中の、(酸化カルシウム(CaO)及び酸化マグネシウム(MgO))と、二酸化珪素(SiO)との質量比R1((CaO(質量%)+1.39×MgO(質量%))/(SiO(質量%)))が好ましくは1.0~1.9、より好ましくは1.2~1.9になる量である。該質量比R1が1.0未満であれば、焼成温度の上昇と共に液相が生じやすくなって、放射性セシウムの塩化揮発量が少なくなる。また、該質量比R1が1.9を超えると、カリウムやナトリウムの塩化揮発量が増加して、後述する固気分離工程で分離回収される放射性セシウム含有煤塵M3の量が増加してしまう。
一方、後述する水洗工程で分離回収される水洗残渣M4は、その残渣中に残存している放射性セシウムを除去するために加熱工程に循環される。水洗残渣M4は、一方で、カルマグ源及び水分源としての側面も有している。
水洗残渣M4のカルマグ源としての側面とは、後述する固気分離工程で分離回収される放射性セシウム含有煤塵M3に含有される二酸化珪素が少ないことに由来するものであって、通常、水洗残渣M4に係る前記質量比R1は5.0以上である。
水洗残渣M4の水分源としての側面とは、加熱工程における雰囲気の水蒸気分圧が高いほど、カリウムやナトリウムの塩化揮発量が少なく、且つ、放射性セシウムの塩化揮発量が多いという好ましい環境になることに由来するものであって、通常、水洗残渣M4の水分含有量は25質量%以上である。
加熱工程に処される除染土壌等M2、カルマグ源CM1、及び塩素源Cl1の大きさは、5mm以下であることが好ましい。ここで、これら加熱工程に処される物の大きさとは、それらが通過する篩い目の大きさの最小値を指す。
加熱工程における加熱温度は、1200℃~1350℃が好ましく、1200℃~1300℃がより好ましい。この温度範囲内で加熱することによって、除染土壌等M2に含まれる放射性セシウムを効率的に塩化揮発させることができる。加熱温度が1200℃未満では放射性セシウムの塩化揮発量が少なくなり、1350℃を超えるとカリウムやナトリウムの塩化揮発量が増加して、後述する固気分離工程で分離回収される放射性セシウム含有煤塵M3の量が増加してしまう。
加熱工程における加熱時間は、15分間以上が好ましく、30分間以上がより好ましい。加熱時間の上限は特に限定されないが、好ましくは180分間以下、より好ましくは120分間以下である。加熱時間が180分間を超えるとカリウムやナトリウムの塩化揮発量が増加して、後述する固気分離工程で分離回収される放射性セシウム含有煤塵M3の量が増加してしまう。
加熱工程における雰囲気は、酸化雰囲気でも還元雰囲気でも構わないが、適度に水分を含むのが好ましい。これは、上述のとおり、雰囲気の水蒸気分圧が高いほど、カリウムやナトリウムの塩化揮発量を少なくしつつ放射性セシウムの塩化揮発量を多くすることができるからである。なお、雰囲気の水蒸気分圧が低い場合には、放射性セシウムの塩化揮発量は、雰囲気の水蒸気が高い場合よりも多くなる一方で、カリウムやナトリウムの塩化揮発量も多くなってしまう。実際の加熱工程における雰囲気の水蒸気分圧は、上述のセシウム及びカリウムとのモル比R2、加熱温度、加熱時間、及び水洗残渣M4の含水量を調整するなかで、適宜最適な条件を見つけることができる。
加熱工程によって得られる焼結物M5は、100Bq/kg以下の十分に安全な程度の放射線量であって、通常のスラグ等に係る汎用的な用途、具体的にはセメント混合材、骨材又は土工資材として使用することができる。
加熱工程で塩化揮発された放射性セシウムは、燃焼排ガスG1に含有されて、排ガス流路に送られる。
次ぐ固気分離工程において、燃焼排ガスG1中の放射性セシウムは冷却されて固体(放射性塩化セシウム)になった後、その他の煤塵と合わさって放射性セシウム含有煤塵M3として分離回収される。
次ぐ水洗工程において、放射性セシウム含有煤塵M3は、水W1と攪拌されてスラリーS1をつくる。かかるスラリーS1における放射性セシウム含有煤塵M3と水W1との質量比(W1/M3)は、4~10が好ましく、4~8がより好ましく、4~6が特に好ましい。質量比(W1/M3)が4よりも小さい場合、放射性セシウム含有煤塵M3からの放射性セシウムの溶出が不十分となる場合がある。また、質量比(W1/M3)が10よりも大きい場合、続く固液分離工程において分離回収する排水W3が多くなる。
水洗工程におけるスラリーS1のpHは、好ましくは8~11、より好ましくは8~10.5、特に好ましくは8.5~10.5である。スラリーS1のpHを8~11にすることで、スラリーS1の液相中に溶解している放射性セシウム以外の重金属類の濃度を減少させることができるため、続く固液分離工程において分離回収される排水W3の重金属類に係る処理工程を軽減することができる。
pH調整なしでのスラリーS1のpHは、酸性側である場合、水洗工程でスラリーS1に添加するpH調整剤A1としては、アルカリ化剤、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)の水溶液を使用すればよい。
また、スラリーS1のpH調整において、酸性化剤が必要な場合、希硫酸や塩酸などの汎用の酸性化剤に加えて、固気分離工程で大気解放される排ガスG2を用いることもできる。これは、加熱工程におけるカルマグ源CM1として石灰石(炭酸カルシウム)やドロマイト(CaMg(CO)を用いた場合、燃焼排ガスG1及び排ガスG2には多量の二酸化炭素が含有されていることによる。すなわち、排ガスG2をスラリーS1内に散気することで、排ガスG2中の二酸化炭素が溶解してスラリーS1を酸性側に変化させることが可能である。
スラリーS1の撹拌時間は、放射性セシウム含有煤塵M3から放射性セシウムを十分に溶出させる観点からは15分以上とすることが好ましく、20分以上がより好ましい。
水洗工程におけるスラリーS1の温度は、高い程、放射性セシウム含有煤塵M3からの放射性セシウムの溶出量が多くなるが、処理に係るコストの観点からは、5℃~50℃とすることが好ましく、15℃~50℃がより好ましい。その場合、スラリーS1を加温する方法として、排ガスG2をスラリーS1内に散気して排ガスG2の顕熱を用いる方法がある。
次いで、固液分離工程において、水洗工程から供給されたスラリーS1を、水洗残渣M4(固相)と排水W3(液相)とに分離する。
固液分離工程で分離回収された水洗残渣M4の含水率は、25質量%~80質量%とすることが好ましい。含水率が多すぎる場合、液相に溶出した放射性セシウムがその液相とともに水洗残渣M4中に残留する傾向となる。一方、適度に含水していることにより、加熱工程に、上述した適度な水蒸気分圧を提供するための水分を供給することができる。一方、放射性セシウムの分離回収を確実にするためには、固液分離工程で分離回収された水洗残差M4を更に水W2で洗浄してもよい。
固液分離工程で分離回収された水洗残渣M4の全ては、循環工程によって加熱工程に送られる。なお、水洗残渣M4は、場合によっては必要に応じて系外に抜き取ってもよい。
次に、本発明の放射性セシウムの除去装置を説明する。図2には、図1に示す放射性セシウムの除去方法の実施形態を実行する際の処理装置の一実施形態を表わす全体構成図を示す。
この実施形態に係る放射性セシウムの処理装置1は、除染土壌等M2、カルマグ源CM1、及び塩素源Cl1を加熱して放射性セシウムを塩化揮発させるための加熱装置2と、加熱装置2からの燃焼排ガスG1を固気分離して放射性セシウム含有煤塵M3を回収するための固気分離装置3と、固気分離装置3で回収された放射性セシウム含有煤塵M3中の放射性セシウムを液相に溶出させるための水洗装置4と、水洗装置4から排出されたスラリーS1を固液分離するための固液分離装置5と、固液分離装置5で分離回収された水洗残渣M4を加熱装置2に輸送するための輸送装置6を備える。なお、この実施形態に係る処理装置1では、輸送装置6が水洗残渣M4を加熱装置2に循環させて再度加熱するようにしており、本発明における循環装置を構成している。
よって、加熱装置2では、供された除染土壌等M1と循環された水洗残渣M4とからなる除染土壌等M2、カルマグ源CM1、及び塩素源Cl1は一緒に加熱されることによって、除染土壌等M1と水洗残渣M4が含有する放射性セシウムに塩化揮発を生じさせる。
加熱装置2における放射性セシウムの塩化揮発を効率的に生じさせるために、除染土壌等M2、カルマグ源CM1、及び塩素源Cl1は十分に混合された状態で加熱されることが望ましく、そのため、図1に示す実施形態では、加熱装置2として内燃式ロータリーキルンを用いている。焼成室が回転運動するロータリーキルンであれば、除染土壌等M2、カルマグ源CM1、及び塩素源Cl1との混合を物理的に且つ連続的に行いながら、加熱処理を行うことが可能である。
なお、加熱装置2は、除染土壌等M2、カルマグ源CM1、及び塩素源Cl1を1200℃~1350℃で加熱できるものであれば特に限定されず、固定炉、ストーカ炉、ロータリーキルン、流動床炉、竪型炉、多段炉等の加熱炉が使用できる。なかでも、上記の物理的撹拌が行えるという観点からは、ロータリーキルンが好ましい。
さらに、内燃式のロータリーキルンであれば、例えば、塩素源Cl1由来のダイオキシン類等が生成してもバーナの火炎で直接的に燃焼して無害化できるという観点から、より好ましい。
加熱装置2からは、揮発した放射性セシウムが燃焼排ガスG1に含有されて、固気分離装置3に送られる。例えば、固気分離装置3がバグフィルタである場合には、ろ布表面において燃焼排ガスG1に含有される放射性セシウム成分と塩素成分を由来とする放射性塩化セシウムが生成し、その他煤塵と合わさって放射性セシウム含有煤塵M3(固体)が形成される。
固気分離装置3では、放射性セシウムが回収された後の排ガスG2が系外に排出され、上記放射性セシウム含有煤塵M3は、周囲環境へ該放射性セシウム含有煤塵M3の粉塵が生じないように周囲が囲われているベルトコンベア、チェーンコンベア、パイプコンベア等の煤塵用輸送装置(不図示)によって、水洗装置4に輸送される。
ここで、排ガスG2は、上述したとおり水洗工程のpH調整や加温に用いることができる。図2の実施形態では、排ガスG2の送気管の途中に分岐管7を設けて、排ガスG2を水洗装置4の槽内に送って散気できるようになっている。さらに、分岐管7にはガス流量調整装置71が付設されて、水洗装置4に送られる排ガスG2のガス量が制御可能になっている。
水洗装置4では、放射性セシウム含有煤塵M3と水W1を混合撹拌してスラリーS1を生成する処理、及び、そのスラリーS1中の放射性セシウム含有煤塵M3から放射性セシウムを液相内に溶出させる処理が行われる。
水洗装置4には、放射性セシウム含有煤塵M3を水洗装置4に供給するための粉体供給装置41、水W1を水洗装置4に供給するための液体供給装置42及び、pH調整剤A1を水洗装置4に供給するための液体供給装置43が付設されている。さらに、放射性セシウム含有煤塵M3と水W1の混合、及び、その混合によって生成したスラリーS1の攪拌のためにスラリー攪拌装置44が付設されている。図2の実施形態では、スラリー攪拌装置44として撹拌翼が使用されている。
また、水洗装置4には、スラリーS1のpHを連続的に測定するためのpH計45が付設されている。そして、pH計45の測定結果が、制御装置10に随時送信されるようになっている。
この実施形態では、制御装置10が、pH計45の測定結果に基づいて、pH調整剤A1の供給量及び/又は排ガスG2の送気量を自動的に制御するようにしている。具体的には制御装置10からの信号に基づいて、液体供給装置43の排出バルブの開度や、分岐管7のガス流量調整装置71が自動的に制御される。
pH計45としては、公知の測定機器を用いればよく、特に、高濃度懸濁液用の測定機器を用いることが好ましい。
固液分離装置5には、スラリー用渦巻きポンプ、ピストンポンプ、及び、モーノポンプ等の通常のスラリー液用輸送装置(不図示)によって、水洗装置4から排出されたスラリーS1が輸送される。固液分離装置5としては、フィルタープレス、加圧葉状ろ過装置、スクリュープレス、ベルトプレス等の通常のろ過装置を用いればよい。
固液分離装置5は、輸送されたスラリーS1を、溶出させた放射性セシウムを含む排水W3(液相)と、放射性セシウムを溶出させた後の放射性セシウム含有煤塵M3を含む水洗残渣M4(固相)とに分離する。なお、図2の実施形態では、溶出した放射性セシウムの回収を確実にするために、固液分離装置5に水洗残渣M4の洗浄をするための水洗浄装置51を設けて、水W2で水洗残渣M4を洗浄できるようになっている。
この洗浄における水洗残渣M4と水W2との質量比(W2/M4)は、洗浄排水の発生量を抑制する観点から、4~10が好ましく、4~7がより好ましく、4~5が特に好ましい。なお、発生した洗浄排水は、排水W3の一部となって必要な処理を施される。
固液分離装置5で分離回収された排水W3は、既往の方法で溶解している放射性セシウムの濃縮処理等をすればよい。
固液分離装置5で分離回収された水洗残渣M4には、埋め立て処分できない程度の放射性セシウムが残存している場合がほとんどである。
そのため、輸送装置6は、固液分離装置5で分離回収された水洗残渣M4の全量を、加熱装置2に輸送する。なお、上述したように、水洗残渣M4は、場合によっては必要に応じて系外に抜き取ってもよい。輸送装置6としては、周囲環境へ該水洗残渣M4による放射線汚染が生じないように、例えば、周囲が囲われているベルトコンベア、スクリューコンベア、パイプコンベア等のケーキ輸送装置を用いればよい。
加熱装置2に輸送された水洗残渣M4は、除染土壌等M1と一緒にされて除染土壌等M2となった後、カルマグ源CM1及び塩素源Cl1と共に加熱処理される。
最後に、本発明の放射性セシウムの除去方法の試験について説明する。試験は、放射性セシウム含有煤塵M3の代わりに、セメントキルンの燃焼排ガスをキルン窯尻部から抽気して得られたセメントキルンダストを用いて、水洗工程、固液分離工程でのセシウムの挙動及び、固液分離工程で分離される排水W3中の重金属類の濃度を評価した。
放射性セシウム含有煤塵M3の代替としたセメントキルンダストの化学組成を表1に示す。セメントキルンダストの化学組成はJIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」に準拠して測定した。なお、セシウムについては、酸で全溶解した試料のICP質量分析法(使用装置:Agilent Technologies製Agilent 7900 ICP-MS(商品名))を用いた。
セメントキルンダスト(M3)を、20℃の水(W1)と混合して、質量比がM3:W1=1:6のスラリーを作成した後、20℃の環境下で30分間撹拌してスラリーS1を作成した。スラリーS1のpHは6.5であった。
また、セメントキルンダスト(M3)、20℃の水(W1)及び20℃の水酸化ナトリウム水溶液(A1)を、M3:(W1+A1)=1:6で混合して、20℃の環境下で30分間撹拌してpHが9.5のスラリーS2を作成した。
撹拌後の両スラリーを、それぞれブフナーロート(吸引ろ過器)で固液分離して水洗残渣(M4)及び排水(W3)を得た。得られた水洗残渣の化学組成は両スラリーでほぼ同一であった。代表として、pHが9.5のスラリーS2から得られた水洗残渣(M4)の化学組成を表2に示す。水洗残渣の化学組成の分析方法はセメントキルンダストの化学組成の分析方法と同じである。
表1と表2の比較にみられるように、水洗残渣(M4)へのセシウムの残存率は約6質量%(=1-(16.0-1.0)/16.0)であった。よって、本試験で用いたセメントキルンダストに含まれるセシウムはその大部分が排水(W3)中に除去され、これを既往の重金属類回収手段に供することにより、回収可能であることがわかる。一方、水洗除去されなかったセシウムを含有する水洗残渣については、これを加熱工程に戻してあらたに除染土壌等と一緒に処理するようにしても、この程度の持ち込み量であれば問題はなく、系外に排出させないことが可能であることがわかる。
固液分離で得られた排水(W3)の重金属類の分析結果を表3に示す。排水中の重金属類の測定はICP質量分析法(同上)を用いた。
表3の結果にみられるように、本試験で用いたセメントキルンダストの場合、水洗工程で水洗するスラリーのpHを調整した方が、調整しない場合より、重金属類の溶出量を抑制できていることが分かる。
1 : 放射性セシウムの処理装置
2 : 加熱装置
3 : 固気分離装置
4 : 水洗装置
41 : 粉体供給装置
42、43 : 液体供給装置
44 : スラリー撹拌装置
45 : pH計
5 : 固液分離装置
51 : 水洗浄装置
6 : 輸送装置
7 : 分岐管
71 : ガス流量調整装置
10 : 制御装置
A1 : pH調整剤
Cl1 : 塩素源
CM1 : カルシウム源及びマグネシウム源(略称:カルマグ源)
G1 : 燃焼排ガス
G2 : 排ガス
M1 : 供された除染土壌等
M2 : M1とM4からなる除染土壌等
M3 : 放射性セシウム含有煤塵
M4 : 水洗残渣
M5 : 焼結物
S1 : スラリー
W1、W2 : 水
W3 : 排水

Claims (5)

  1. 放射性セシウム汚染物から放射性セシウムを除去する放射性セシウムの除去方法であって、
    前記放射性セシウム汚染物とカルシウム源とマグネシウム源と塩素源とを一緒に加熱して放射性セシウムを揮発させるための加熱工程と、
    前記加熱工程で生じた燃焼排ガスを冷却した後に固気分離して放射性セシウムを含有する煤塵を回収するための固気分離工程と、
    前記煤塵に水を加えてスラリー化し、該スラリー液相中に放射性セシウムを溶出させるための水洗工程と、
    前記水洗工程を経たスラリーを固液分離して水洗残渣と排水に分離するための固液分離工程と、
    前記水洗残渣を前記加熱工程における前記放射性セシウム汚染物として循環させるための循環工程と、を備え
    前記固気分離工程において生じる排ガスを、前記水洗工程におけるスラリーに散気しつつ、前記スラリーのpHが8~11となるように調整することを特徴とする放射性セシウムの除去方法。
  2. 前記加熱工程に供される、前記放射性セシウム汚染物と前記カルシウム源と前記マグネシウム源と前記塩素源とを含む調合物中の、下記式で表わされる質量比R1が1.0~1.9である、請求項1に記載の放射性セシウムの除去方法。
    R1=(CaO(質量%)+1.39×MgO(質量%))/(SiO(質量%))
  3. 前記循環工程において循環させる前記水洗残渣の含水率が25質量%以上である、請求項1又は請求項2に記載の放射性セシウムの除去方法。
  4. 放射性セシウム汚染物から放射性セシウムを除去する放射性セシウムの除去装置であって、
    前記放射性セシウム汚染物とカルシウム源とマグネシウム源と塩素源とを一緒に加熱して放射性セシウムを揮発させるための加熱装置と、
    前記加熱装置からの燃焼排ガスを冷却した後に固気分離して放射性セシウムを含有する煤塵を回収するための固気分離装置と、
    前記固気分離装置で回収された前記煤塵に水を加えてスラリー化し、該スラリーの液相中に放射性セシウムを溶出させるための水洗装置と、
    前記水洗装置から排出されたスラリーを固液分離して水洗残渣と排水に分離するための固液分離装置と、
    前記固液分離装置で分離された前記水洗残渣を前記加熱装置で加熱する前記放射性セシウム汚染物として循環させるための循環装置と
    前記固気分離装置で生じる排ガスを、前記水洗装置に送気するための送気管と、を備え
    前記水洗装置には、該装置で水洗される前記スラリーのpHを測定するためのpH計と、該装置で水洗される前記スラリーにpH調整剤を添加するためのpH調整剤添加装置とが付設され、前記pH計の測定結果に基づいて前記pH調整剤添加装置による前記pH調整剤の添加量を自動的に制御するための制御装置、を更に備えていることを特徴とする放射性セシウムの除去装置。
  5. 記送気管には流量調整バルブが付設され、前記制御装置は、前記pH計の測定結果に基づいて、更に前記流量調整バルブによる前記排ガスの送気量を自動的に制御する、請求項に記載の放射性セシウムの除去装置。
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