JP7322709B2 - エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物、並びに繊維強化複合材 - Google Patents
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Description
例えば風力発電ブレードは、インフュージョン成形、Va-RTM法(Vacuum Assist Resin Transfer Molding)又はLight-RTM法にて成形されるようになってきた。これらの方法では、例えば、フィルムやFRPを使用した上型と、下型とからなる型内に予め強化繊維を配置し、この金型内を真空引きし、マトリクス樹脂となるエポキシ樹脂組成物を常圧で充填して強化繊維へ含浸させ、次いで、該エポキシ樹脂を硬化させて成形する。
インフュージョン成形やVa-RTM法、Light-RTM法による成形では、その成形法の特徴上、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とを混合したエポキシ樹脂組成物を金型内へ充填するのに、通常は数十分程度かかる。そのため、これらの成形法に使用されるエポキシ樹脂組成物には低粘度でかつポットライフが長いことが要求される。エポキシ樹脂硬化剤としては、イソホロンジアミン、ポリエーテル骨格のポリアミン化合物等が使用されている。
従来のRTM法は上下一対の金型を使用した密閉型成形の一つであり、該金型内に繊維強化プリフォームを配置し、金型をクランプして密閉した後、注入孔からエポキシ樹脂組成物等の樹脂を金型内に注入して繊維強化プリフォームに含浸させ、次いで該樹脂を硬化させた後、離型するという方法である。しかしながら従来のRTM法では、成形時間(プリフォームの配置、樹脂含浸、樹脂硬化、及び離型まで)に数時間を要するため、自動車構造材用途のCFRPの製造では、より生産性の高いハイサイクルRTM法が用いられている。
しかしながら、AEPは速硬化性であり初期粘度が低い一方で、ポットライフが短く、得られるエポキシ樹脂組成物の硬化物のTgが低くなるという問題がある。またIPDAはポットライフが長く、得られるエポキシ樹脂組成物の硬化物のTgは比較的高くなるが、硬化速度が遅く初期粘度が高いという問題があった。AEPとIPDAのそれぞれの欠点を改善すべくこれらを混合したとしても、ハイサイクルRTM法などによる成形に用いられるエポキシ樹脂硬化剤としては十分満足のいく性能は得られなかった。
[1]N-アミノエチルピペラジン及びイソホロンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(A)と、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(B)とを含有するエポキシ樹脂硬化剤。
[2]前記(A)成分と(B)成分との質量比が0.575<(A)/[(A)+(B)]<1を満たす、上記[1]に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
[3]前記(A)成分がN-アミノエチルピペラジンである、上記[1]又は[2]に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
[4]前記(B)成分が1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンである、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
[5]前記(A)成分及び(B)成分の合計含有量が50質量%以上である、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
[6]上記[1]~[5]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化剤と、エポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂組成物。
[7]上記[6]に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
[8]上記[6]に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物と、強化繊維とを含む繊維強化複合材。
[9]前記強化繊維が炭素繊維である、上記[8]に記載の繊維強化複合材。
当該エポキシ樹脂組成物はポットライフが長いため作業性が良好である。また、CFRPをはじめとするFRPのマトリクス樹脂として用いると、強化繊維への含浸性に優れ、速硬化性であることから金型からの離型が可能になるまでの時間も短く、FRPの生産性を向上させることができる。さらに、得られるFRPの耐熱性も良好になる。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、N-アミノエチルピペラジン(AEP)及びイソホロンジアミン(IPDA)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(A)と、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(B)とを含有する。
本発明は、エポキシ樹脂硬化剤成分として汎用されているAEPやIPDAを含有するエポキシ樹脂硬化剤において、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを配合することにより、AEPとIPDAに由来する諸特性を改善し、得られるエポキシ樹脂組成物の速硬化性、低粘度、ロングポットライフを達成し、硬化物の耐熱性も向上できることを見出したものである。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、(A)成分として、N-アミノエチルピペラジン(AEP)及びイソホロンジアミン(IPDA)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する。これらの化合物はエポキシ樹脂硬化剤成分として汎用されており経済性に優れる。
エポキシ樹脂硬化剤の性能として、AEPは速硬化性かつ低粘度であり、得られるエポキシ樹脂組成物の硬化物の靭性が向上するという利点を有する。またIPDAは、得られるエポキシ樹脂組成物のポットライフが長くなり、かつ硬化物の耐熱性が高くなるという利点を有する。これらの特性を考慮し、所望する性能及び用途に応じて、本発明に用いる(A)成分としてAEP及びIPDAからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を適宜選択することができる。
AEPとIPDAを併用する場合、その含有量比にも特に制限はなく、例えば、AEPとIPDAを質量比で1/99~99/1、好ましくは5/95~95/5の割合で用いることができる。
ハイサイクルRTM法などによる成形に用いられるエポキシ樹脂硬化剤である場合、速硬化性でかつ低粘度であるという点から、(A)成分はN-アミノエチルピペラジン、又はN-アミノエチルピペラジンとイソホロンジアミンの混合物であることが好ましく、N-アミノエチルピペラジンであることがより好ましい。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤は、(B)成分として所定量のビス(アミノメチル)シクロヘキサンを含有する。これにより、前記(A)成分を含有するエポキシ樹脂硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物において速硬化性、低粘度、ロングポットライフを達成し、硬化物の耐熱性も向上させることができる
ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとしては、1,2-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが挙げられ、これらのうち1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが好ましい。
なおビス(アミノメチル)シクロヘキサンは、シス体、トランス体、又はこれらの混合物のいずれであってもよい。ビス(アミノメチル)シクロヘキサンがシス体とトランス体の混合物である場合、シス体/トランス体のモル比は、好ましくは5/95~95/5、より好ましくは10/90~90/10である。
得られるエポキシ樹脂組成物において速硬化性、低粘度、ロングポットライフ、及び硬化物の高耐熱性を得る観点から、本発明のエポキシ樹脂硬化剤における質量比(A)/[(A)+(B)]は、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.90以下、さらに好ましくは0.85以下であり、AEP又はIPDAに由来する諸特性を発現する観点からは、より好ましくは0.60以上、さらに好ましくは0.65以上、よりさらに好ましくは0.70以上、よりさらに好ましくは0.75以上である。
前記(A)成分及び(B)成分以外の硬化剤としては、前記(A)成分及び(B)成分以外の、分子内に2つ以上のアミノ基を有するポリアミン化合物又はその変性体などが挙げられる。当該ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン等の鎖状脂肪族ポリアミン化合物;o-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン等の芳香環含有脂肪族ポリアミン化合物;メンセンジアミン、ノルボルナンジアミン、トリシクロデカンジアミン、アダマンタンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-2-メチルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-3,6-ジエチルシクロヘキサン、ジアミノジエチルメチルシクロヘキサン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン等の脂環式構造を有するポリアミン化合物;フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、2,2’-ジエチル-4,4’-メチレンジアニリン等の芳香族ポリアミン化合物;N,N’-ビス(アミノエチル)ピペラジン等の複素環式構造を有するポリアミン化合物;ポリエーテルポリアミン化合物等が挙げられる。また、当該ポリアミン化合物の変性体としては、上記化合物のマンニッヒ変性物、エポキシ変性物、マイケル付加物、マイケル付加・重縮合物、スチレン変性物、ポリアミド変性物等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の効果を効率的に発現する観点から、当該硬化剤を含有する場合、その含有量は、本発明のエポキシ樹脂硬化剤全量に対して好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、よりさらに好ましくは15質量%以下、よりさらに好ましくは10質量%以下、よりさらに好ましくは5質量%以下、よりさらに好ましくは1質量%以下である。また、下限は0質量%である。
本発明の効果を効率的に発現する観点から、当該硬化促進剤を含有する場合、その含有量は、本発明のエポキシ樹脂硬化剤全量に対して好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、よりさらに好ましくは15質量%以下、よりさらに好ましくは10質量%以下、よりさらに好ましくは5質量%以下、よりさらに好ましくは1質量%以下、よりさらに好ましくは0.5質量%以下である。また、下限は0質量%である。
エポキシ樹脂硬化剤中の硬化促進剤の含有量は最終的に上記範囲となればよく、エポキシ樹脂硬化剤の調製時又は使用時に硬化促進剤の濃度を適宜変動させてもよい。例えば、硬化促進剤のエポキシ樹脂硬化剤に対する配合割合は該硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物の成形中、一定であってもよいし、成形中に硬化促進剤を濃度勾配をつけながら供給するなどして変動させてもよい。
使用前にゲル化が進行するのを避ける観点から、エポキシ樹脂硬化剤に含まれる各成分は使用直前に接触させて混合することが好ましい。エポキシ樹脂硬化剤を単独で調製する場合、エポキシ樹脂硬化剤に含まれる各成分を混合する際の温度は、粘度上昇を抑制する観点から、好ましくは5~30℃、より好ましくは10~25℃である。また、混合時間は好ましくは0.1~15分、より好ましくは0.2~10分、さらに好ましくは0.5~5分の範囲である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記本発明のエポキシ樹脂硬化剤とエポキシ樹脂とを含有するものである。該エポキシ樹脂としては、本発明のエポキシ樹脂硬化剤中の活性アミン水素と反応するグリシジル基を持つエポキシ樹脂であればいずれも使用することができるが、硬化物の機械的強度に優れる観点からは、分子内に芳香環又は脂環式構造を含むエポキシ樹脂であることが好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂がさらに好ましい。中でも、低粘度でかつ硬化物の機械的強度を確保できる観点から下記一般式(1)で示されるエポキシ樹脂が特に好ましい。
R11~R14は炭素数1~4のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、及びt-ブチル基からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
p、q、r、及びsはいずれも0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、すべて0であることがさらに好ましい。
Y1及びY2は-CH2-、又は-C(CH3)2-であることが好ましく、-C(CH3)2-であることがより好ましい。
また、低粘度でかつ硬化物の機械的強度を確保できる観点から、mは0~0.15であることが好ましく、0.01~0.1であることがより好ましい。
エポキシ樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、温度120℃におけるゲル化時間は、好ましくは10分以下、より好ましくは8.0分以下、さらに好ましくは5.0分以下、よりさらに好ましくは3.0分以下である。また、作業性の観点からは、当該ゲル化時間は、好ましくは0.2分以上、より好ましくは0.5分以上である。
上記ゲル化時間はレオメーターを用いて、実施例に記載の方法で測定できる。具体的には、レオメーターを用いて温度80℃(又は120℃)、周波数1Hz、プレート間距離0.5mmでエポキシ樹脂組成物の貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’を測定し、G’とG’’とが交差する点をゲル化時間とする。
使用前にゲル化が進行するのを避ける観点から、エポキシ樹脂組成物に含まれる各成分は使用直前に接触させて混合することが好ましい。エポキシ樹脂組成物に含まれる各成分を混合する際の温度は、エポキシ樹脂の粘度に応じて適宜調整できるが、粘度上昇を抑制する観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下であり、エポキシ樹脂の混和性の観点から、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上である。また、混合時間は好ましくは0.1~15分、より好ましくは0.2~10分、さらに好ましくは0.5~5分の範囲である。装置としては、例えば後述する各種成形方法において例示される装置を用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物(以下、単に「本発明の硬化物」ともいう)は、上述した本発明のエポキシ樹脂組成物を公知の方法で硬化させたものである。エポキシ樹脂組成物の硬化条件は用途、形態に応じて適宜選択され、特に限定されない。
本発明の硬化物の形態も特に限定されず、用途に応じて選択することができる。例えばエポキシ樹脂組成物の用途が塗料である場合、当該組成物の硬化物は通常、膜状である。なお本発明の効果を有効に発揮する観点からは、本発明の硬化物は後述する繊維強化複合材のマトリックス樹脂であることが好ましい。
例えば本発明のエポキシ樹脂組成物は、温度120℃で15分硬化させて得られた硬化物について、示差走査熱量計を用いて、昇温速度5℃/分の条件で30~250℃まで示差走査熱分析を行うことにより求められるTgが好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上、よりさらに好ましくは123℃以上である。硬化物のTgは、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
本発明のエポキシ樹脂硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物は、速硬化性、低粘度、ロングポットライフであり、及び硬化物が高耐熱性であるという特徴を有することから、繊維強化複合材用であることが好ましく、特に、炭素繊維強化複合材(CFRP)用であることが好ましい。
繊維強化複合材は、前記エポキシ樹脂組成物の硬化物と、強化繊維とを含むものであり、強化繊維に前記エポキシ樹脂組成物を含浸させた後、該組成物を硬化させることにより得ることができる。FRPは、前記エポキシ樹脂組成物の硬化物と強化繊維の他に、さらに発泡材を含んでもよい。
CFRPに用いられる炭素繊維は、レーヨンやポリアクリロニトリル(PAN)などを原料として製造したものであってもよいし、石油や石炭などのピッチを原料として紡糸して製造したものであってもよい。また、炭素繊維の端材を再利用した再生品や、CFRPから樹脂を除去した再生品の炭素繊維を用いることもできる。
この観点から、繊維強化複合材の製造方法は、低圧RTM法、中圧RTM法、高圧RTM法、コンプレッションRTM法、リキッドコンプレッションモールディング法、リキッドレイダウン法、スプレーレイダウン法、サーフェイスRTM法、プリプレグコンプレッションモールディング法又はウェットコンプレッションモールディング(WCM)法、及びDynamic Fluid Compression Molding法により成形する工程を有することが好ましい。これらの成形法の中でも、ハイサイクルRTM法に適用する観点から、低圧RTM法、中圧RTM法、又は高圧RTM法が好ましく、中圧RTM法又は高圧RTM法がより好ましく、成形速度の観点からは高圧RTM法がさらに好ましい。
なお本明細書において、低圧RTM法における「低圧」とは、エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤とを圧送して混合する際の圧送時の圧力が0.5MPa未満であることをいう。同様に、中圧RTM法における「中圧」とは上記圧力が0.5MPa以上、7MPa未満、高圧RTM法における「高圧」とは上記圧力が7MPa以上、20MPa以下であるものを指す。
本発明のエポキシ樹脂組成物は速硬化性でかつ低粘度であるため、金型内への充填及び強化繊維への含浸が速く、速やかに硬化するため、成形時間を大幅に短縮できる。したがって本発明のエポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂組成物は、上記成形法に特に好適である。また、上記成形法を用いることにより、本発明のエポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂組成物を適用して、自動車用構造材や建材用などの中~大型のFRPを生産性よく製造することができる。
中圧RTM法では、エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤とを混合する装置としてスタティックミキサーを使用することが好ましい。スタティックミキサーは、多数のミキシングエレメントからなる静止型混合器を1個以上組み込んだ管型反応器である。例えば、エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤とを別々のタンクに充填し、それぞれをスタティックミキサーに送液する。スタティックミキサーのねじれたエレメントに主剤と硬化剤の2液を通すことで、分割・転換・反転等の作用より2液が混合される。このようにして調製したエポキシ樹脂組成物を金型内に注入して強化繊維に含浸させ、次いで、エポキシ樹脂を硬化させる。中圧RTM法は、金型内にエポキシ樹脂組成物を圧送できること、及び、装置コストの観点で有利である。
エポキシ樹脂組成物の強化繊維への含浸時間は、成形性及び生産性の観点から、好ましくは0.1~15分、より好ましくは0.2~10分、さらに好ましくは0.5~5分である。
エポキシ樹脂組成物を金型内に注入する際の吐出速度は、成形性及び生産性の観点から、好ましくは毎秒5~400g、より好ましくは毎秒10~100g、さらに好ましくは毎秒20~60gである。上記速度は成形中一定であってもよいし、成形中に変動させてもよい。
E型粘度計「TVE-22H型粘度計 コーンプレートタイプ」(東機産業(株)製)を用いて、40℃及び80℃にてそれぞれエポキシ樹脂組成物の粘度を測定した。80℃での測定においては、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を混合してエポキシ樹脂組成物を調製した直後に測定を開始し、30秒ごとに測定値を読み取って粘度の経時変化を確認した。
40℃における粘度、及び80℃30秒経過後における粘度が低いほど、初期粘度が低く、成形時の充填性が高くなり成形性が良好であることを示す。また、80℃での測定における粘度の経時変化が少なく、低粘度を維持しているほどポットライフが長いことを示す。
レオメーター「ARES-G2」(TAインスツルメント製)を用いて、80℃及び120℃で測定を行った。80℃(又は120℃)に加温したアルミプレート間にエポキシ樹脂組成物を充填し、温度80℃(又は120℃)、周波数1Hz、プレート間距離0.5mmで貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’を測定して、G’とG’’とが交差する点をゲル化時間とした。ゲル化時間が短いほど速硬化性であることを示す。
エポキシ樹脂組成物の硬化物のTgは、120℃で15分加熱して硬化させたエポキシ樹脂組成物について、示差走査熱量計「DSC 6200」(セイコーインスツル(株)製)を用いて、昇温速度5℃/分の条件で30~250℃まで示差走査熱分析を行うことにより求めた。
(A)成分であるN-アミノエチルピペラジン(AEP、東ソー(株)製)及びイソホロンジアミン(IPDA、EVONIK製)、並びに成分(B)である1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-BAC、三菱瓦斯化学(株)製、シス/トランス比=77/23)を、表1に示す質量部で配合して混合し、エポキシ樹脂硬化剤を得た。
さらに、このエポキシ樹脂硬化剤と、主剤であるビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(「jER825」、三菱化学(株)製)とを、エポキシ樹脂硬化剤中の活性アミン水素数と、主剤であるエポキシ樹脂中のエポキシ基数とが等モルとなるよう配合して混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂組成物について、前述の方法で評価を行った。結果を表1に示す。なお、エポキシ樹脂jER825は下記構造式で示され、エポキシ当量は175g/当量、m=0.035である。
比較例3のエポキシ樹脂組成物と比較して、実施例7のエポキシ樹脂組成物は粘度、ポットライフ、硬化速度及び硬化物の耐熱性がいずれも改善された。
実施例1のエポキシ樹脂組成物を、室温でのハンドレイアップ成形により、炭素繊維織物(東レ(株)製「CO6343」、T300平織りクロス、3K、198g/m2、0.25mm厚、4ply)に含浸させてCFRP基材を作製した。続いて、オーブン内で予め120℃に加熱したアルミ上下型にCFRP基材を載せ、速やかに型を閉じ、3分加熱してエポキシ樹脂組成物を硬化させてCFRPを得た。得られたCFRPはアルミ上下型から容易に離型することができ、エポキシ樹脂組成物の硬化が短時間で進行していることが確認できた。またエポキシ樹脂組成物の炭素繊維への含浸性が低いことなどによる欠陥もなく、外観が良好であった。
当該エポキシ樹脂組成物はポットライフが長いため作業性が良好である。また、CFRPをはじめとするFRPのマトリクス樹脂として用いると、強化繊維への含浸性に優れ、速硬化性であることから金型からの離型が可能になるまでの時間も短く、FRPの生産性を向上させることができる。さらに、得られるFRPの耐熱性も良好になる。
Claims (7)
- N-アミノエチルピペラジン及びイソホロンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(A)と、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(B)とを含有し、前記(A)成分及び(B)成分の合計含有量が70質量%以上であり、前記(A)成分と(B)成分との質量比が0.575<(A)/[(A)+(B)]≦0.75を満たす、エポキシ樹脂硬化剤。
- 前記(A)成分がN-アミノエチルピペラジンである、請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
- 前記(B)成分が1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンである、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化剤と、エポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂組成物。
- 請求項4に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
- 請求項4に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物と、強化繊維とを含む繊維強化複合材。
- 前記強化繊維が炭素繊維である、請求項6に記載の繊維強化複合材。
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
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