JP7328866B2 - マルチカーエレベーター - Google Patents
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Description
さらに、この連結式マルチカーエレベーターにおいて、巻上機及び主索の数を2組又は3組に増やし、それぞれの主索に2台の乗りかごを連結することで、合計で4台又は6台、あるいはそれ以上の乗りかごを同一昇降路に配置する構成も考えられている。
したがって、マルチカーエレベーターでは、機械室などに設置された制御装置が、各乗りかご間の距離が安全距離以上になるように、各主索の駆動状態を制御している。
しかしながら、乗りかごの非常止め装置は、強制的に乗りかごを昇降路内に停止させるものであり、一旦作動させると、その解除に非常に手間がかかる。したがって、万一の主索切れのような最悪の事態以外は、極力使用を避けるのが好ましい。
一方、複数台の乗りかごを備えたマルチカーエレベーターでは、複数台の乗りかごが干渉するために、従来から知られた構成の調速機を設置するのが困難である。また、他の乗りかごとの間で上述した安全距離を保つ問題があり、非常止め装置を作動させるために、従来の調速機との連動とは異なる制御が必要である。
マルチカーエレベーターで安全距離を検知するためには、例えば特許文献1に記載されたように、それぞれの乗りかごに、かご間距離検出器を設置することが考えられる。かご間距離検出器は、レーダ装置を使って構成することができる。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、昇降路内に、複数台の乗りかごが配置されると共に、乗りかごに連結された主索が巻上機で駆動されるマルチカーエレベーターにおいて、複数台の乗りかごの駆動を統括的に制御し、異常を検知した際に主索を駆動する巻上機を非常制動させる地上側安全制御部と、複数台の乗りかごのそれぞれに設置され、昇降路内の他の乗りかごとの距離に基づいて、異常を検知した際に自らの乗りかごの非常止めを作動させる乗りかご側安全制御部と、それぞれの乗りかごに設置された自らの乗りかごの走行位置を検出するセンサと、を備える。ここで、地上側安全制御部と乗りかご側安全制御部とは、無線通信を行うものであり、地上側安全制御部は、全ての乗りかごのセンサの出力を取得し、昇降路内の各乗りかごの間の距離が、乗りかごの速度に応じて予め決められた安全距離よりも短くなることを検出したとき、巻上機を非常制動させると共に、自らの乗りかごが下降している状況で、センサの出力に基づいて異常を検知した際に、非常止めを作動させるようにし、乗りかご側安全制御部が、無線通信で乗りかご側安全制御部からの情報を取得できない状況が発生したとき、最後に取得した情報での各乗りかごの走行位置及び走行速度と無線通信が途絶えた期間とに基づいて、乗りかご側安全制御部が現在の他の乗りかごとの距離を推定し、推定した距離に基づいて異常を検知する。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、本例で対象となるマルチカーエレベーターの概略構成を示す。図1に示すものは、循環式マルチカーエレベーターである。
昇降路10には、6台の乗りかご1A1,1A2,1B1,1B2,1C1,1C2が配置されている。この6台の乗りかご1A1,1A2,1B1,1B2,1C1,1C2は、2台ずつが1組(2本)の主索に連結されており、昇降路10内を循環する。図1の例では、時計回りに6台の乗りかご1A1,1A2,1B1,1B2,1C1,1C2が走行する。但し、いずれかの乗りかごが一時的に逆方向に走行してもよい。
それぞれのループの巻上機は、モータで構成され、例えば各綱車31A,31B,31C,32A,32B,31Cの内側に一体化されている。それぞれの巻上機には、ブレーキが配置され、制御装置3A,3B,3Cによる制御でブレーキの作動(制動)を行うことができる。
このように各ループは駆動構成が独立しており、各ループで個別に乗りかごが走行する。
図2は、本例のマルチカーエレベーターが備える安全システムの構成例を示す。
本例の場合、各ループの6台の乗りかご1A1,1A2,1B1,1B2,1C1,1C2は、それぞれ個別に、かご側安全制御部20-A1,20-A2,20-B1,20-B2,20-C1,20-C2を備える。なお、図2では、乗りかご1B1,1B2,1C1が備えるかご側安全制御部20-B1,20-B2,20-C1内の各ブロックの図示は省略する。
地上側安全制御部200は、各ループの制御装置3A,3B,3Cによる巻上機の駆動を制御する。また、地上側安全制御部200が異常状態を検知した場合には、巻上機のブレーキによる非常制動を実行させる。但し、非常制動には、いずれか1つ又は2つのループの巻上機を非常制動させる場合と、全てのループの巻上機を非常制動させる場合とがある。
塔内安全回路201は、保守点検などで昇降路内に作業員が入る際に操作される停止スイッチや、乗場ドアが異常に開いたことを検知する乗場ドア異常戸開センサを備える。
乗場ドア異常戸開センサは、かごが着床していないにもかかわらず乗場ドアが開いたら、異常な戸開であると検知するものである。塔内安全回路201で異常を検知した際には、全ての乗りかご1A1~1C2の走行を停止させる必要があるため、地上側安全制御部200が、全ての制御装置3A~3Cに対して非常制動の指令を送る。
6台の乗りかご1A1~1C2の安全構成は全て同じであり、ここでは1台の乗りかご1A1について説明する。
乗りかご1A1には、かご側安全制御部20-A1が設置される。
かご側安全制御部20-A1には、乗りかご1A1の昇降路10内の走行位置を検出すると共に、乗りかご1A1の走行速度を検出する位置・速度センサ21の検出信号が供給される。
位置・速度センサ21は、一般的なエレベーターで使われるセンサでよく、例えばバーコードを昇降路内に一定間隔で吊り下げておき、その読取器を乗りかごに搭載する構成などがある。また、速度は位置の微分として導出することが可能なため、位置・速度センサ21として位置の検出信号だけを得て、その検出信号を使った算出で、速度の検出信号を得る構成でもよい。
また、第一の速度閾値よりもさらにかご速度が大きく、第二の速度閾値を超えた場合には、乗りかご1A1は、トリップ検知として、乗りかご1A1内の非常止め23を動作させる。ここで、かご間安全距離として、先行かごの異常時も考慮した距離を確保するように運行制御している場合には、他のループを非常制動させなくても良い。その場合には、図2において、かご側安全制御部20-A1から地上側安全制御部200への信号としては、24Aのみで良い。一方、できるだけ輸送効率を向上させるために、かご間安全距離を先行ループの異常時には非常制動させる想定とした場合には、かごがトリップ検知した場合には他ループも非常制動させる。そのため、図2に示すように、他ループに対しての非常制動指令24B,24Cも地上側安全制御部200に発する。
なお、図2に示す構成では、非常制動指令24A,24B,24Cは、各ループで個別の指令としたが、全ループに対して共通の1つの非常制動指令を、かご側安全制御部20-A1~20-C2から地上側安全制御部200に送るようにしてもよい。
図3は、地上側安全制御部200とかご側安全制御部20-A1~20-C2との通信例を示す。図3では、乗りかご1A2のかご側安全制御部20-A2と、地上側安全制御部200との通信が行われる例を示すが、他のかご側安全制御部20-A1,20-B1~20-C2と、地上側安全制御部200との通信が行われる例についても同様の構成である。
地上側安全制御部200では、取得した乗りかご1A2の位置XA2及び速度VX2を、他のかご側安全制御部20-A1,20-B1~20-C2に伝送する。
また、非常制動の指令[STOP]を送っても、他の乗りかごとの距離が保てないとき、あるいは速度が異常なとき、かご側安全制御部20-A2は、自身の乗りかご1A2の非常止め23(図2)を作動させる。
なお、図3に示す制御例は一例であり、地上側安全制御部200で行われる制御と、かご側安全制御部20-A1~20-C2で行われる制御の詳細については、図5及び図6のフローチャートで説明する。
図4は、図1に示す制御装置3A~3Cをコンピュータ装置で構成した場合のハードウェア構成例を示す。
図4に示す制御装置(コンピュータ装置)は、バスにそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)211、ROM(Read Only Memory)212、及びRAM(Random Access Memory)213を備える。さらに、制御装置(コンピュータ装置)は、不揮発性ストレージ214、ネットワークインタフェース215、入力装置216、及び表示装置217を備える。
RAM213には、演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。
表示装置17は、例えば、液晶ディスプレイモニタであり、この表示装置17によりコンピュータで実行される計算処理の結果が表示される。
図5は、地上側安全制御部200での制御処理の例を示すフローチャートである。
まず、地上側安全制御部200は、各かご側安全制御部20-A1~20-C2や塔内安全回路201から、非常制動信号を受信したか否かを判断する(ステップS11)。
このステップS11の判断で、非常制動信号を受信した場合(ステップS11のYES)、地上側安全制御部200は、該当するループの制御装置(3A,3B,3Cのいずれか)に指令を送り、該当するループを非常制動させる(ステップS14)。この非常制動の指令で、該当するループの巻上機のブレーキが作動する。
このステップS13で、安全距離だけ保たれていると判断したとき(ステップS13のYES)、地上側安全制御部200は、ステップS11の判断に戻る。
一方、ステップS13で、安全距離保たれていないと判断したとき(ステップS13のNO)、地上側安全制御部200は、ステップS14に移り、接近しているループの制御装置(3A,3B,3Cのいずれか)に指令を送り非常制動させる。
図6は、それぞれのかご側安全制御部20-A1~20-C2での制御処理の例を示すフローチャートである。以下の例では、1台のかご側安全制御部20-A1を説明するが、他のかご側安全制御部20-A2~20-C2でも同様の制御が同時に実行されている。
XB1(n)′=XB1(n-1)±ΔX1
で示される。ここで、ΔX1は、通信周期tsと、定格速度vに所定倍(例えば1.3倍)した最大速度vMAXとを乗算した値(ts×vMAX)に、余裕の数値αを足したものである。
この演算で、1通信周期だけ通信できないとき、次の通信周期での位置を推定できる。1通信周期tsは、例えば5m秒から10m秒が想定される。
図7及び図8は、図6のフローチャートにより対向かごの前方距離不足(図6のステップS28のNO)により非常止めを動作(図6のステップS29)させた具体例について時系列に説明したものである。図7(a)及び(b)は、各乗りかごの状態を示し、図8は、図7に示す状態での各乗りかごと地上側安全部の状態を時系列でイベントごとに説明したものである。
この図7では、説明を簡単にするために、マルチカーエレベーターとして、Aループの2台の乗りかご1A1,1A2と、Bループの2台の乗りかご1B1,1B2の、合計4台の乗りかごを備えたものとする。つまり、図1に示すCループはないものとする。
図7(a)に示すように最初の状況では、先行するAループの一方の乗りかご1A1が昇降路内を上昇し、対向する乗りかご1A2が昇降路を下降する走行中であるとする。また、後方でBループも、乗りかご1B1が上昇し、対向する乗りかご1B2が下降している。この状態が図8のイベントT100であり、正常な状態である。
なお、このときBループは異常な状態にはなっていなく、かご間距離も不十分になってなく安全と判定される。
しかし、対向かご1B1と先行対向かご1A1との距離d1は小さく、前方距離が不十分と判定(図6のステップS28のNO)されるため、非常止めを動作させる(図8のイベントT106)。これにより、主索で連結されている乗りかご1B1は減速して停止することができ保護が完了する(図8のイベントT107)。
すなわち、それぞれの乗りかごに設置されたかご側安全制御部20-A1~20-C2で検出した位置や速度から、地上側安全制御部200が異常を検知したとき、巻上機のブレーキによる非常制動が行われ、安全距離を保った運行が行われる。この場合、各乗りかご1A1~1C2では、レーダ等による距離センサを設置する必要がなく、信頼性の高い制御が可能になる。
そして、各かご側安全制御部20-A1~20-C2では、自身の乗りかごと先行かご及び先行対向かごとの距離が安全距離を保てるか否かが判断され、安全距離を保てない場合や、自身の下降速度が異常なとき、確実に非常止め23を作動させることができる。
すなわち、それぞれのかご側安全制御部20-A1~20-C2では、最後に取得した隣接かごの位置及び速度から、自かごとの現在の距離を推定するので、安全距離が保てない状況を適切に阻止できる。かご側安全制御部20-A1~20-C2で非常止め23を作動させる条件は、走行方向が下降であるときに限定した、走行方向が上昇であるときを除外するので、非常止め23を作動させるかごを最低限の台数とすることができ、復旧作業時間を短縮することが可能になる。
なお、本発明は、上述した実施の形態例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
例えば、図1の構成では、2台の乗りかごを1組の主索で連結したループを3組備えた連結式マルチカーエレベーターに適用した例とした。これに対して、1組の主索に3台以上の乗りかごを連結したマルチカーエレベーターにおいても、本発明は適用が可能である。また、本発明は、ループ数が3組以外の連結式マルチカーエレベーターに適用してもよい。
Claims (2)
- 昇降路内に、複数台の乗りかごが配置されると共に、前記乗りかごに連結された主索が巻上機で駆動されるマルチカーエレベーターにおいて、
前記複数台の乗りかごの駆動を統括的に制御し、異常を検知した際に前記主索を駆動する前記巻上機を非常制動させる地上側安全制御部と、
前記複数台の乗りかごのそれぞれに設置され、前記昇降路内の他の乗りかごとの距離に基づいて、異常を検知した際に自らの乗りかごの非常止めを作動させる乗りかご側安全制御部と、
それぞれの前記乗りかごに設置された、自らの乗りかごの走行位置を検出するセンサと、を備え、
前記地上側安全制御部と前記乗りかご側安全制御部とは、無線通信を行うものであり、
前記地上側安全制御部は、全ての前記乗りかごの前記センサの出力を取得し、前記昇降路内の各乗りかごの間の距離が、前記乗りかごの速度に応じて予め決められた安全距離よりも短くなることを検出したとき、前記巻上機を非常制動させると共に、自らの乗りかごが下降している状況で、前記センサの出力に基づいて異常を検知した際に、前記非常止めを作動させるようにし、
前記乗りかご側安全制御部が、前記無線通信で前記乗りかご側安全制御部からの情報を取得できない状況が発生したとき、最後に取得した情報での各乗りかごの走行位置及び走行速度と前記無線通信が途絶えた期間とに基づいて、前記乗りかご側安全制御部が現在の他の乗りかごとの距離を推定し、推定した距離に基づいて異常を検知する
マルチカーエレベーター。 - 前記昇降路内に前記主索が複数組配置され、それぞれの組の前記主索に複数台の乗りかごが連結され、それぞれの組の前記主索が個別の前記巻上機で駆動される
請求項1に記載のマルチカーエレベーター。
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